JP4968892B2 - 二成分現像剤 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる二成分現像剤及び該二成分現像剤を用いた画像形成方法に関する。
特許文献1には、導電性金属微粒子として導電性酸化チタンをトナーに外添することにより、トナー粒子間で導電性酸化チタンを介して電荷を受け渡すことができ、帯電量のばらつきが小さく、かぶれやかすれを起こさず、鮮明且つ高画質な印刷を可能にするとされるトナーが開示されている。
特開2002−108002号公報
しかしながら、粒径が大きな無機微粒子が用いられている特許文献1に記載のトナーは、スジが発生しやすく、画像ムラが生じやすいという欠点を有している。
画像ムラの発生や画像濃度の低下には、帯電立ち上がり性及び現像効率が関連しており、特に、非接触現像方式の画像形成装置においては、現像効率が低下すると、現像効率が極端に悪化する。
本発明の課題は、非接触現像方式の画像形成装置においても、良好な帯電立ち上がり性及び現像効率が得られ、画像ムラ、画像濃度の低下が低減される二成分現像剤及び該二成分現像剤を用いた画像形成方法を提供することにある。
本発明は、
〔1〕 結着樹脂、荷電制御剤及び着色剤を含有してなるトナー母粒子と外添剤とを有するトナーであって、トナー母粒子及び/又は外添剤が、体積抵抗率が100〜1000Ω・cmで、且つかさ密度が600〜1000g/lである金属酸化物微粒子を含有してなるトナーとキャリアからなる二成分現像剤、並びに
〔2〕 前記〔1〕記載の二成分現像剤を、非接触現像方式の画像形成装置に用いる画像形成方法
に関する。
本発明の二成分現像剤は、非接触現像方式の画像形成装置においても、良好な帯電立ち上がり性及び現像効率が得られ、画像ムラ、画像濃度の低下が低減されるという優れた効果を奏するものである。
本発明の二成分現像剤は、トナー中に、特定の体積抵抗率及びかさ密度を有する金属酸化物微粒子が含有されている点に大きな特徴を有するものである。
金属酸化物微粒子の体積抵抗率は、トナーの電荷がリークするのを防止し、安定な帯電性を得る観点から、100Ω・cm以上であり、静電付着力低減の観点から、1000Ω・cm以下である。これらの観点から、金属酸化物微粒子の体積抵抗率は、100〜1000Ω・cmであり、好ましくは200〜800Ω・cm、より好ましくは200〜500Ω・cmである。体積抵抗率がかかる範囲内に調整された、半導電性の金属酸化物微粒子により、トナーと現像ローラとの静電引力が低減し、現像効率が向上する。特に、現像ローラと感光体が非接触の状態にある非接触現像方式の画像形成装置においては、現像効率が低下すると、現像効率が極端に悪化するため、トナーと現像ローラとの付着力を低減させることは非常に重要な課題である。金属酸化物微粒子の体積抵抗率は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
また、金属酸化物微粒子のかさ密度は、トナーとキャリアの攪拌効率を上げ、帯電立ち上がり性を改善する観点から、600g/l以上であり、埋め込み防止の観点から、1000g/l以下である。これらの観点から、金属酸化物微粒子のかさ密度は、600〜1000g/lであり、好ましくは600〜800g/l、より好ましくは700〜800g/lである。かさ密度がかかる範囲内にある金属酸化物微粒子により、二成分現像方式におけるトナーとキャリアの攪拌効率が向上し、帯電立ち上がり性が改善するため、印刷初期やトナーの入れ替わりが激しい高印字率での連続印刷においても安定した現像効率を維持することができ、その結果、画像濃度の低下や画像ムラなどの発生が低減される。金属酸化物微粒子のかさ密度は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
本発明における金属酸化物微粒子は、体積抵抗率及びかさ密度が上記範囲内にある金属酸化物から選択された微粒子だけでなく、解砕処理やコート剤の変更等により金属酸化物微粒子の体積抵抗率及び/又はかさ密度が調整されたものであってもよい。体積抵抗率は、コート剤の材料やコート量等により調整することができ、例えば、コート剤に導電性の酸化スズを用いることにより、導電被膜が金属酸化物表面に形成され、金属酸化物自体が有する体積抵抗率を低くすることができる。また、かさ密度は、解砕処理等により調整することができ、例えば、ジェットミル等で所定の時間解砕処理を加えることにより、金属酸化物自体が有するかさ密度を低くすることができる。
また、本発明における金属酸化物微粒子は、例えば、カーボンブラックなどの一般的な導電付与剤に比べて色相が薄く、カラートナーにおいても色相を損ねることなく、上記の効果を発揮させることができる。
本発明における金属酸化物微粒子としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ等からなる微粒子が挙げられる。これらの金属酸化物微粒子は、そのままトナーに添加されていてもよいが、導電性付与の観点から、酸化スズ等の金属酸化物により、その表面に被膜が形成されていることが好ましい。
酸化スズ等の金属酸化物による被膜の形成は、従来公知の方法を用いることができる。例えば、二酸化チタン微粒子の水性懸濁液を調製し、所定の温度に調整した後に、四塩化酸化スズを滴下し、中和することにより酸化チタン微粒子表面に酸化スズの被膜を形成することができる。
前記のように、金属酸化物微粒子に酸化スズ被膜処理する場合には、半導電性の維持及びトナー中への電荷のリーク防止の観点から、酸化スズ被膜処理後の金属酸化物微粒子中における酸化スズの含有量は、10〜90重量%が好ましく、20〜80重量%がより好ましい。
また、金属酸化物微粒子又は金属酸化物による被膜が形成された金属酸化物微粒子には、流動性付与と環境安定性の観点から、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、脂肪酸、脂肪酸化合物等の有機化合物により有機表面処理されていることが好ましい。
有機表面処理は、前記有機化合物を、攪拌中の金属酸化物微粒子に直接投入した後、加熱し乾燥する方法、前記有機化合物を有機溶媒中に溶解させ、この溶液を攪拌中の金属酸化物微粒子に滴下した後、乾燥する方法等により行うことができる。
前記のように金属酸化物微粒子を有機表面処理する場合、帯電量と環境安定性の観点から、有機化合物の含有量が、金属酸化物微粒子100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部がより好ましい。
金属酸化物微粒子の平均粒径は、埋め込み防止と脱離防止の観点から、1〜1000nmが好ましく、50〜500nmがより好ましい。金属酸化物微粒子の平均粒径は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
金属酸化物微粒子は、トナー母粒子と外添剤とを有するトナーにおいて、トナー母粒子と外添剤のいずれに含有されていてもよいが、少ない含有量でより効果的に機能を付与する観点から、外添剤に含有されていることが好ましい。
金属酸化物微粒子が、外添剤に含有されている場合、その含有量は、適正な帯電レベルを付与する観点から、トナー母粒子100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましく、0.1〜10重量部がより好ましい。また、金属酸化物微粒子がトナー母粒子に含有されている場合の含有量、又はトナー母粒子と外添剤の両者に含有されている場合の総含有量は、上記と同様の観点から、金属酸化物微粒子を除くトナー母粒子100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましく、0.1〜10重量部がより好ましい。
本発明において、トナー母粒子は、少なくとも、結着樹脂、荷電制御剤及び着色剤を含有するものである。
本発明における結着樹脂としては、ポリエステル、スチレン−アクリル樹脂等のビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、2種以上の樹脂成分を有するハイブリッド樹脂等が挙げられ、特に限定されないが、本発明のトナーが荷電制御剤としてカルボキシル基を有する場合には、ポリエステルが好ましい。ポリエステルのカルボキシル基と荷電制御剤のカルボキシル基の相乗作用により、さらにトナー表面の電荷が均一になり、本発明の効果がより顕著に発揮されるものと考えられる。ポリエステルの含有量は、結着樹脂中50〜100重量%が好ましく、70〜100重量%がより好ましく、実質的に100重量%がさらに好ましい。
ポリエステルは、公知のアルコール成分と、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等の公知のカルボン酸成分とを原料モノマーとして用い、これらを縮重合させて得られる。
アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。
また、カルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、コハク酸等のジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。上記のような酸、並びにこれらの酸の無水物及びアルキルエステルを、本明細書では総称してカルボン酸化合物と呼ぶ。
カルボン酸成分には、フマル酸及び/又はマレイン酸が含有されていることが好ましい。フマル酸もしくはマレイン酸の含有量、又は両者を含有する場合にはそれらの総含有量は、40〜100モル%が好ましく、50〜90モル%がより好ましく、60〜80モル%がさらに好ましい。フマル酸及び/又はマレイン酸を原料モノマーとして用いた樹脂は、特に、イソフタル酸やテレフタル酸等のベンゼン誘導体に比べて、電子的にリッチなベンゼン環が無いため、樹脂そのものの抵抗が低く、この樹脂を含有したトナーは、トナーの抵抗も低くなり、静電付着力が低減し、現像効率が高くなる。また、帯電立ち上がり性が早く、素早い帯電が求められる高速現像機においても安定した現像性が得られる。
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が、分子量調整や耐オフセット性向上の観点から、適宜含有されていてもよい。
ポリエステルは、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、要すればエステル化触媒の存在下、180〜250℃の温度で縮重合させることにより得られる。
なお、本発明において、ポリエステルは、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルをいう。
耐久性及び定着性の観点から、ポリエステルの軟化点は80〜165℃が好ましく、ガラス転移点は50〜85℃が好ましく、酸価は0.5〜60mgKOH/gが好ましい。
着色剤としては、黒トナー用着色剤又はカラートナー用着色剤として用いられている染料、顔料等を使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができ、トナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよいが、本発明における金属酸化物微粒子は色相が薄く、カラートナーであっても、色相が損なわれることなく、本発明の効果が発揮される。着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、3〜10重量部がより好ましい。
荷電制御剤は、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれであってもよく、これらが併用されていてもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩等が挙げられるが、トナーの色調に与える影響が小さい観点から、4級アンモニウム塩が好ましい。
カルボン酸の4級アンモニウム塩としては、式(I):
Figure 0004968892
(式中、R1〜R4は、同一又は異なっていてもよく、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜8の低級アルキル基、炭素数8〜22のアルキル基もしくはアルケニル基又は炭素数6〜20のアリール基もしくはアラルキル基、Yはカルボン酸イオンを示す)
で表される化合物が好ましい。
本発明では、帯電特性がより安定し定着性も向上させることができる点から、R1〜R4としては、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数12〜18のアルキル基、フェニル基及びベンジル基が好ましく、Y-としては、芳香族カルボン酸イオン及び脂肪族カルボン酸イオンが好ましく、芳香族カルボン酸イオンがより好ましい。芳香族カルボン酸イオンとしては、安息香酸の構造を有するカルボン酸イオンが挙げられる。
安息香酸の構造を有するカルボン酸としては、安息香酸、ジチオジ安息香酸等が挙げられる。
さらに、より好適なジチオジ安息香酸の4級アンモニウム塩として、本発明では、式(Ia):
Figure 0004968892
で表される化合物が挙げられる。
式(Ia)で表される化合物を含有した市販品としては「COPY CHARGE PSY」(クラリアント社製)等が挙げられる。
負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸化合物の金属錯体、ニトロイミダゾール誘導体等が挙げられるが、これらの中では、高い帯電性付与効果の観点から、サリチル酸化合物の金属錯体が好ましい。
サリチル酸化合物の金属錯体としては、式(II):
Figure 0004968892
(式中、R5、R6及びR7はそれぞれ独立して水素原子、直鎖または分枝鎖状の炭素数1〜10のアルキル基またはアルケニル基、Mは亜鉛、ジルコニウム、クロム、アルミニウム、銅、ニッケル又はコバルト、mは2以上の整数、nは1以上の整数を示す)
で表されるサリチル酸化合物の金属錯体が好ましい。
式(II)において、R6は水素原子が好ましく、R5及びR7は好ましくは分岐鎖状のアルキル基、より好ましくはtert-ブチル基である。
Mとしては、電気陰性度が高く、帯電性の付与効果が良好な亜鉛及びクロムが好ましく、クロムがより好ましい。
本発明において好適に用いられる、R6が水素原子、R5及びR7がtert-ブチル基であるサリチル酸化合物のクロム錯体の市販品としては、「ボントロン E-81」(オリエント化学工業(株)製)等が、R6が水素原子、R5及びR7がtert-ブチル基であるサリチル酸化合物の亜鉛錯体の市販品としては、「ボントロン E-84」(オリエント化学工業(株)製)等が挙げられる。
荷電制御剤の含有量は、種類等によっても異なるが、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましい。例えば、4級アンモニウム塩の場合、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましく、0.3〜3重量部がより好ましい。また、サリチル酸化合物の金属錯体の場合、その含有量は、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜7重量部がより好ましい。4級アンモニウム塩とサリチル酸化合物の金属錯体を併用する際には、トナー母粒子に適正な帯電性を付与する観点から、トナー母粒子に正帯電性を付与する場合には、4級アンモニウム塩とサリチル酸化合物の金属錯体の重量比(サリチル酸化合物の金属錯体/4級アンモニウム塩)は、1/10〜1/3が好ましく、1/8〜1/5がより好ましい。また、同様の観点から、トナー母粒子に負帯電性を付与する場合には、4級アンモニウム塩とサリチル酸化合物の金属錯体の重量比(4級アンモニウム塩/サリチル酸化合物の金属錯体)は、1/8〜1/2が好ましく、1/5〜1/3がより好ましい。
さらに、本発明のトナーには、離型剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、磁性体等の添加剤が、適宜添加されていてもよい。
外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛等の無機微粒子等が挙げられ、これらの中では、埋め込み防止の観点から、比重の小さいシリカが好ましい。
シリカは、環境安定性の観点から、疎水化処理された疎水性シリカであるのが好ましい。疎水化の方法は特に限定されず、疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン、シリコーンオイル、メチルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらの中ではヘキサメチルジシラザンが好ましい。疎水化処理剤の処理量は、無機微粒子の表面積当たり1〜7mg/m2が好ましい。
外添剤の平均粒径は、帯電性及び感光体への傷防止の観点から、3〜300nmが好ましく、5〜100nmがより好ましい。
外添剤の含有量(前記金属酸化物微粒子が外添剤としてトナー中に含有されている場合は、金属酸化物微粒子を除く外添剤の含有量)は、トナー母粒子100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。
本発明のトナーは、結着樹脂、荷電制御剤及び着色剤、さらに必要に応じて各種添加剤を含有したトナー母粒子を外添剤により表面処理する工程を経て得られる。トナー母粒子は、粉砕トナーが好ましく、例えば、結着樹脂、着色剤等をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機で混合した後、密閉式ニーダー又は1軸もしくは2軸の押出機等で溶融混練し、冷却後、ハンマーミル等を用いて粗粉砕し、さらにジェット気流を用いた微粉砕機や機械式粉砕機により微粉砕し、旋回気流を用いた分級機やコアンダ効果を用いた分級機により所定の粒度に分級して得られる。
外添剤によるトナー母粒子の表面処理工程は、外添剤とトナー母粒子とをヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の高速攪拌機、V型ブレンダー等を用いる乾式混合法が好ましい。外添剤は、あらかじめ混合して高速攪拌機やV型ブレンダーに添加してもよく、また別々に添加してもよい。
本発明のトナーの体積中位粒径(D50)は、外添剤を添加する前の粒径で3〜15μmが好ましく、4〜9μmがより好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
本発明の二成分現像剤において、キャリアとしては、画像特性の観点から、磁気ブラシのあたりが弱くなる飽和磁化の低いキャリアが用いられるのが好ましい。キャリアの飽和磁化は、40〜100Am2/kgが好ましく、50〜90Am2/kgがより好ましい。飽和磁化は、磁気ブラシの固さを調節し、階調再現性を保持する観点から、100Am2/kg以下が好ましく、キャリア付着やトナー飛散を防止する観点から、40Am2/kg以上が好ましい。キャリアの飽和磁化は、後述の実施例に記載の方法に測定される。
キャリアのコア材としては、公知の材料からなるものを特に限定することなく用いることができ、例えば、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト、銅-亜鉛-マグネシウムフェライト、マンガンフェライト、マグネシウムフェライト等の合金や化合物、ガラスビーズ等が挙げられ、これらの中では、帯電性の観点から、鉄粉、マグネタイト、フェライト、銅-亜鉛-マグネシウムフェライト、マンガンフェライト及びマグネシウムフェライトが好ましく、画質の観点から、フェライト、銅-亜鉛-マグネシウムフェライト、マンガンフェライト及びマグネシウムフェライトがより好ましい。
キャリアの表面は、キャリア汚染低減の観点から、樹脂で被覆されているのが好ましい。キャリア表面を被覆する樹脂としては、トナー材料により異なるが、例えばポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン樹脂、ポリエステル、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂等が挙げられ、これらは単独であるいは2種以上を併用して用いることができるが、トナーが負帯電性である場合には、帯電性及び表面エネルギーの観点から、シリコーン樹脂が好ましい。樹脂によるコア材の被覆方法は、例えば、樹脂等の被覆材を溶剤中に溶解もしくは懸濁させて塗布し、コア材に付着させる方法、単に粉体で混合する方法等、特に限定されない。
トナーとキャリアとを混合して得られる本発明の二成分現像剤において、トナーとキャリアの重量比(トナー/キャリア)は、1/99〜10/90が好ましく、5/95〜7/93がより好ましい。
本発明の二成分現像剤は、接触現像方式、非接触現像方式のいずれの現像方式にも用いることができるが、より高い現像効率が要求される非接触現像方式の画像形成装置に用いても、良好な帯電立ち上がり性及び現像効率が得られ、画像ムラ、画像濃度の低下が低減される。従って、本発明においては、さらに、本発明の二成分現像剤を、非接触現像方式の画像形成装置に用いる画像形成方法を提供する。
本発明の画像形成方法では、画像形成装置において、静電潜像を現像する現像工程が非接触現像方式で行われる以外は、公知の工程を経て画像が形成される。画像形成方法における工程としては、現像工程以外に、例えば、感光体表面に静電潜像を形成させる工程(帯電・露光工程)、現像したトナー像を紙等の被転写材に転写する工程(転写工程)、転写したトナー像を定着させる工程(定着工程)、感光体ドラム等の現像部材に残存したトナーを除去する工程(クリーニング工程)等がある。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂のガラス転移点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
〔トナーの体積中位粒径(D50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5重量%の濃度となるよう前記電解液に溶解させて分散液を得る。
分散条件:前記分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mlに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
〔金属酸化物微粒子の体積抵抗率〕
試料を40mmφのアルミリングに入れ、500kgf/cm2で加圧成形し、4端子4探針法定電流印加方式の抵抗率計ロレスタAP((株)ダイヤインスツルメンツ製)にて4端子プローブを用いて体積抵抗値を測定する。なお、室温は20〜25℃、湿度は40〜60%とする。
〔金属酸化物微粒子のかさ密度の測定〕
メスシリンダー(容量100ml)にゆっくり所定量の試料を投入して重量を測定し、投入し終わった後、1分間メスシリンダーを静置した後に体積を読み取り、重量/体積×1000=かさ密度(g/l)を求める。なお、室温は20〜25℃、湿度は40〜60%とする。
〔金属酸化物微粒子、外添剤の平均粒径〕
下記式より求める。
平均粒径(μm)=6/(ρ×比表面積(m2/g))
式中、ρは外添剤の比重であり、例えば、二酸化チタンの比重は4.0、シリカの比重は2.2である。比表面積は、窒素吸着(BET)法により求められたBET比表面積である。疎水化処理された外添剤の場合は、疎水化処理前の原体の比表面積とする。
なお、上記式は、粒子径Rの球と仮定して、
比表面積=S×(1/m)
m(粒子の重さ)=4/3×π×(R/2)3×比重
S(表面積)=4π(R/2)2
から得られる式である。
〔キャリアの飽和磁化〕
(1) 外径7mm(内径6mm)、高さ5mmの蓋付プラスティックケースにキャリアをタッピングしながら充填し、プラスティックケースの重量とキャリアを充填したプラスティックケースの重量の差から、キャリアの質量を求める。
(2) 理研電子(株)の磁気特性測定装置「BHV-50H」(V.S.MAGNETOMETER)のサンプルホルダーにキャリアを充填したプラスティックケースをセットし、バイブレーション機能を使用して、プラスティックケースを加振しながら、79.6kA/mの磁場を印加して飽和磁化を測定する。得られた値は充填されたキャリアの質量を考慮し、単位質量当たりの飽和磁化に換算する。
樹脂製造例1
ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン1,040g、ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン10g、テレフタル酸199g及びエステル化触媒として酸化ジブチル錫4gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、常圧下230℃にて5時間かけて反応させた後、8.3kPaにて2時間反応させた。反応溶液を210℃に冷却し、フマル酸209g及び重合禁止剤としてハイドロキノン1gを添加し、5時間反応させた後、さらに8.3kPaにて、所定の軟化点に達するまで反応させて、樹脂A(ポリエステル)を得た。得られた樹脂Aの軟化点は109.5℃、ガラス転移点は64.4℃、酸価は21.3mgKOH/gであった。
金属酸化物微粒子の製造例1
二酸化チタン200gを水3リットルに分散させ懸濁液とした。この懸濁液を70℃に加熱し、四塩化スズ(SnCl4/5H2O)100gを添加した。その後、20容量%の希硫酸水溶液と10重量%の水酸化ナトリウム水溶液とを、pHが2〜3を維持するように1時間かけて添加し、酸化スズによる被膜を二酸化チタン粒子の表面に形成した。その後、懸濁液を濾過・洗浄した後、温度600℃で約1時間焼成し、ジェットミルで解砕して、BET比表面積が15m2/g、平均粒径が100nmの酸化スズ被膜二酸化チタンA(酸化スズ含有量:15重量%)を得た。
得られた酸化スズ被膜二酸化チタンA 100gに、シリコーンオイル(信越化学製、KF96L)15重量%のメタノール溶液30mlを滴下しながら、ミキサーで攪拌した。その後、100℃で熱乾燥し、有機表面処理を施した金属酸化物微粒子Aを得た。
金属酸化微粒子の製造例2
四塩化スズ(SnCl4/5H2O)の使用量を150gに変更した以外は、上記金属酸化微粒子の製造例1と同様にして、BET比表面積が12.5m2/g、平均粒径が120nmの酸化スズ被膜二酸化チタンB(酸化スズ含有量:19重量%)を得た。
得られた酸化スズ被膜二酸化チタンB 100gに、シリコーンオイル(信越化学製、KF96L)15重量%のメタノール溶液30mlを滴下しながら、ミキサーで攪拌した。その後、100℃で熱乾燥し、有機表面処理を施した金属酸化物微粒子Bを得た。
金属酸化物微粒子の製造例3
酸化スズ被膜二酸化チタンとして、平均粒径が40nmのものを得た以外は、製造例1と同様にして金属酸化物微粒子Cを得た。
金属酸化物微粒子の製造例4
酸化スズ被膜二酸化チタンA 100gに、ステアリン酸(花王製、ルナック)1gを投入し、ミキサーで攪拌した後、100℃で加熱処理して有機表面処理を行った以外は、製造例1と同様にして金属酸化物微粒子Dを得た。
金属酸化物微粒子の製造例5
酸化スズ被膜二酸化チタンとして、平均粒径が60nmのものを得た以外は、製造例1と同様にして金属酸化物微粒子Eを得た。
実施例1〜4及び比較例1〜8
樹脂A 100重量部、キナクリドン顔料「Fastogen Super Magenta R」(大日本インキ化学工業社製)5重量部、サリチル酸化合物のクロム錯体「ボントロンE-81」(オリエント化学工業社製)3.5重量部、カルボン酸の4級アンモニウム塩「COPY CHARGE PSY」(クラリアント社製)1重量部及びポリプロピレンワックス「NP-105」(三井化学社製)1重量部をヘンシェルミキサーにて混合後、二軸押出機により溶融混練し、冷却後、ハンマーミルを用いて1mm程度に粗粉砕した。得られた粗粉砕物をエアージェット方式の粉砕機により微粉砕後、分級し、体積中位粒径(D50)8.5μmの負帯電性のトナー母粒子を得た。
得られたトナー母粒子100重量部と、外添剤として、表1に示す金属酸化物微粒子又は疎水性シリカと、疎水性シリカ「R972」(日本アエロジル社製、疎水化処理剤:ジメチルジクロロシラン、平均粒径16nm)0.9重量部をヘンシェルミキサーで3分間混合して、外添処理をしたトナーを得た。
得られたトナー6重量部と、フェライトキャリア(体積平均粒径:60μm、飽和磁化:68Am2/kg)94重量部とを混合し、二成分現像剤を得た。
試験例1
二成分現像剤を、非磁性二成分現像方式の画像形成装置「Vario stream 9000」(Oce Printing Systems社製)に実装し、トナー濃度を6%に調整した後、印字率9%、線速1000mm/secで、3万枚印刷した。1000枚印刷時(印刷初期)と3万枚印刷時(耐刷後)にベタ画像を印刷し、画像濃度及び画像ムラを以下の方法により評価した。結果を表1に示す。
〔画像濃度〕
画像濃度を色彩計「GretagMacbeth Spectroeye」(グレタグ社製)で画像印字部を5点測定し、その平均値を画像濃度(ID)として算出し、以下の評価基準に従って、画像濃度を評価した。
◎:画像濃度が1.2以上
○:画像濃度が1.1以上、1.2未満
△:画像濃度が1.0以上、1.1未満
×:画像濃度が1.0未満
〔画像ムラ〕
ベタ画像の画像ムラの有無を目視にて観察し、以下の評価基準に従って評価した。
◎:ムラが全く無い。
○:ムラが殆ど無い。
△:ムラが少しある。
×:ムラがある。
Figure 0004968892
以上の結果より、比較例1〜8と対比して実施例1〜4は、耐刷後も、画像濃度を維持することができ、画像ムラのない良好な画像が得られていることが分かる。カブリが抑制され、かつ画像スジの原因となる現像ローラーのスジも発生しておらず、現像性及びベタ追従性も良好であることが分かる。これは、実施例では、トナーとキャリアの効率が高く、トナーが良好な帯電立ち上がり性を有しているため、連続印刷においても高い現像効率を維持していることに起因している。
本発明の二成分現像剤は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に用いられる。

Claims (3)

  1. 結着樹脂、荷電制御剤及び着色剤を含有してなるトナー母粒子と外添剤とを有するトナーであって、トナー母粒子及び/又は外添剤が、体積抵抗率が100〜1000Ω・cmで、且つかさ密度が600〜1000g/lである金属酸化物微粒子を含有してなり、前記結着樹脂が、アルコール成分と、フマル酸及び/又はマレイン酸を40〜90モル%含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルであり、前記荷電制御剤が式:
    Figure 0004968892
    (式中、R 1 〜R 4 は、同一又は異なっていてもよく、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜8の低級アルキル基、炭素数8〜22のアルキル基もしくはアルケニル基又は炭素数6〜20のアリール基もしくはアラルキル基、Y は安息香酸の構造を有するカルボン酸イオンを示す)
    で表されるカルボキシル基を有する正帯電性荷電制御剤を含有してなるトナーと、キャリアからなる二成分現像剤。
  2. トナーがカラートナーである、請求項1記載の二成分現像剤。
  3. 請求項1又は2記載の二成分現像剤を、非接触現像方式の画像形成装置に用いる画像形成方法。
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