JP5019014B2 - 反射防止膜及び反射防止膜の形成方法並びに反射防止ガラス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、CRT、EL、タッチパネルなどの画像表示装置、眼鏡レンズ等のガラス製光学物品の透明性向上に有効な反射防止膜及びその反射防止ガラスに関する。特に、量産性に優れた反射防止ガラスの提供に関する。
【0002】
【従来の技術】
LCD、PDP、CRT、EL、タッチパネルに代表される画像表示装置に用いられる透明電極付きガラス基板などの透明性基材は、その片面でおよそ4%程度の反射光を発生しており、視認性や透過率低下の要因となっている。そこで、基材からの反射光量を低減し、視認性や透過率を向上させる目的で、基材表面に低屈折率薄膜や屈折率の異なる薄膜を積層した多層膜等の、いわゆる反射防止膜を形成する方法が用いられている。
【0003】
一般的に、多層構造による反射防止膜では、広い波長域で有効な反射防止が実現されるが、各層の膜厚を高精度に制御する技術が要求されるため、量産性に劣るものであった。そこで、簡便に反射防止膜を形成する方法として、塗布法により形成される低屈折率薄膜がいくつか提案されている。
【0004】
特開平6−157076号公報には、異なる分子量を有するアルコキシシランの加水分解縮合物の混合物を塗布液に用いることにより、被膜表面に微細な凹凸を形成し、低屈折率の反射防止膜とすることが提案されているが、被膜形成時の相対湿度制御による被膜表面凹凸のコントロールや、異なる分子量を有する縮合物の製造が煩雑である等の問題があった。
【0005】
特開平5−105424号公報には、MgF2 微粒子を含有する塗布液を用いる方法が開示されているが、形成された被膜は機械的強度、基材との密着性に乏しく、さらに反射防止性能に劣るという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、フルオロアルキルシランを用いたポリシロキサン溶液から得られる被膜を、80〜450℃で熱処理することにより、低屈折率かつ大きな水接触角を有する被膜が形成されることを見出した(特開平9−208898号公報)。この場合、表示装置表面に該被膜が形成された時は、大きな水接触角は付加機能として有用な特性であるが、高透明基材として装置内部に用いる場合には、被膜表面にさらに成膜が行われることが必須となり、大きな水接触角は、該被膜上への成膜において不都合なものであった。
【0007】
そこで、さらに鋭意検討した結果、熱処理温度を適正化することにより、水接触角が小さく、かつ低屈折率な被膜が得られることを見いだした。
【0008】
すなわち、本発明は、水接触角が小さく、反射防止性能に優れた反射防止膜を低コストで、大量かつ大面積に処理可能な方法で提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第一発明は、ガラス表面に密着して形成される反射防止膜の形成方法において、下記一般式(1)
【0010】
【化9】
【0011】
(式中、Rは1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を表す。)で示される珪素化合物(A)と、下記一般式(2)
【0012】
【化10】
【0013】
(式中、R1 は炭素数1〜18の有機基を表し、R2 は1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を表す。)で示される珪素化合物(B)と、下記一般式(3)
【0014】
【化11】
【0015】
(式中、R3 は、水素原子または1〜12個の炭素原子を有する非置換のもしくは置換基を有するアルキル基を表す。)で示されるアルコール(C)と、蓚酸(D)とを、珪素化合物(A)1モルに対して珪素化合物(B)0.05〜4.5モルの比率に、珪素化合物(A)と珪素化合物(B)に含まれる全アルコキシ基1モルに対してアルコール(C)0.5〜100モルの比率に、そして珪素化合物(A)と珪素化合物(B)に含まれる全アルコキシ基1モルに対して蓚酸(D)0.2〜2モルの比率に含有する反応混合物を形成させ、そしてこの反応混合物を、その中の珪素原子から換算された0.5〜10重量%のSiO2 濃度に維持すると共に水の不存在を維持しながら、当該反応混合物中の珪素化合物(A)及び珪素化合物(B)の全残存量が5モル%以下となるまで、50〜180℃で加熱して得られたポリシロキサン溶液をガラス表面に塗布し、この塗布により得られた塗膜を480〜520℃の温度で熱硬化させることを特徴とする反射防止膜の形成方法である。
【0016】
次に、第二発明は、第一発明記載の一般式(2)において、R1 で表される有機基がフッ素原子を含む珪素化合物(B)であることを特徴とする、反射防止膜の形成方法である。
【0017】
第三発明は、第一発明記載の一般式(2)が、下記一般式(4)
【0018】
【化12】
【0019】
(式中、nは0〜12の整数を表し、R4 は1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を表す。)で示される珪素化合物(B)であることを特徴とする反射防止膜の形成方法である。
【0020】
第四発明は、ガラス表面に密着して形成される反射防止膜において、下記一般式(1)
【0021】
【化13】
【0022】
(式中、Rは1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を表す。)で示される珪素化合物(A)と、下記一般式(2)
【0023】
【化14】
【0024】
(式中、R1 は炭素数1〜18の有機基を表し、R2 は1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を示す。)で示される珪素化合物(B)と、下記一般式(3)
【0025】
【化15】
【0026】
(式中、R3 は、水素原子または1〜12個の炭素原子を有する非置換のもしくは置換基を有するアルキル基を表す。)で示されるアルコール(C)と、蓚酸(D)とを、珪素化合物(A)1モルに対して珪素化合物(B)0.05〜4.5モルの比率に、珪素化合物(A)と(B)に含まれる全アルコキシ基1モルに対して蓚酸(D)0.2〜2モルの比率に含有する反応混合物を形成させ、そしてこの反応混合物を、その中の珪素原子から換算された0.5〜10重量%のSiO2 濃度に維持すると共に水の不存在を維持しながら、当該反応混合物中の珪素化合物(A)及び珪素化合物(B)の全残存量が5モル%以下となるまで、50〜180℃で加熱して得られたポリシロキサン溶液をガラス表面に塗布し、この塗布により得られた塗膜を480〜520℃の温度で熱硬化して得られる、1.33〜1.38の屈折率及び40°以下の水接触角を示すことを特徴とする反射防止膜である。
【0027】
第五発明は、第四発明記載の一般式(2)において、R1 で表される有機基がフッ素原子を含んでいることを特徴とする反射防止膜である。
【0028】
第六発明は、第四発明記載の一般式(2)が、下記一般式(4)
【0029】
【化16】
【0030】
(式中、nは0〜12の整数を表し、R4 は1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を表す。)で示される珪素化合物(B)であることを特徴とする反射防止膜である。
【0031】
第七発明は、ガラスの片面もしくは両面に第四〜第六発明記載の反射防止膜が形成されてなることを特徴とする反射防止ガラスである。
【0032】
【発明の実施の形態】
次に、実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0033】
前記一般式(1)に含まれるアルキル基Rの例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルなどが挙げられ、好ましい珪素化合物(A)の例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどが挙げられる。これらの中でもテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどが特に好ましい。
【0034】
前記一般式(2)に含まれるアルキル基R2 の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルなどが挙げられ、好ましい珪素化合物(B)の例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらは、単独でまたは二種以上組み合わせて用いることができる。
【0035】
この好ましい珪素化合物(B)のうち、下記一般式(4)
【0036】
【化17】
【0037】
(式中、nは0〜12の整数を表し、R4 は1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を表す。)で示される、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン(n=0)、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン(n=0)、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(n=5)、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン(n=5)、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン(n=7)、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン(n=7)などの含フッ素シランが特に好ましい。
【0038】
前記一般式(3)に含まれる非置換のアルキル基R3 の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、へプチル、オクチルなどが挙げられ、置換基を有するアルキル基R3 の例としては、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、エトキシメチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、エトキシエチルなどが挙げられる。
【0039】
好ましいアルコール(C)の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられ、これらは単独でまたは二種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも特にエタノールが好ましい。
【0040】
珪素化合物(B)の含有量は、珪素化合物(A)1モルに対して、0.05〜4.5モルが好ましい。含有量を0.05モル以下とした場合、1.40以下の屈折率を有する被膜が形成されず、4.5モル以上とした使用した場合には、均一な溶液が得られない。
【0041】
アルコール(C)の含有量は、珪素化合物(A)と珪素化合物(B)に含まれる全アルコキシ基の1モルに対して、0.05〜100モル、特に好ましくは1〜50モルであり、0.5モルより少ない場合、ポリシロキサンを生成させるのに長時間を要し、そして得られたポリシロキサン含有液からは、硬度の高い被膜が生成しない。100モルより多い場合は、得られたポリシロキサン含有液のSiO2濃度が不足し、塗布前に濃縮を必要とし効率的でない。
【0042】
蓚酸(D)の含有量は、珪素化合物(A)と珪素化合物(B)に含まれる全アルコキシ基の1モルに対して、0.2〜2モル、特に好ましくは0.25〜1モルであり、0.2モルより少ない場合は、得られた溶液からは硬度の高い被膜が形成されず、2モルより多い場合は、相対的に多量の蓚酸(D)を含有し、目的とする性能の被膜が得られない。
【0043】
上記珪素化合物(A)、珪素化合物(B)、アルコール(C)及び蓚酸(D)を含有する反応混合物は、これらを混合することにより形成させることができる。この反応混合物は、溶液状の反応混合物として加熱するのが好ましく、例えば、あらかじめアルコール(C)に蓚酸(D)を加えて蓚酸のアルコール溶液とした後、当該溶液と珪素化合物(A)、珪素化合物(B)を混合することにより得られる溶液状の反応混合物として加熱するのが好ましい。この加熱は、液温50〜180℃で行うことができ、好ましくは、液の蒸発、揮散などが起こらないように、例えば、密閉容器中または還流下で行われる。
【0044】
ポリシロキサン溶液を形成する際の液温が50℃以下であると、溶液に濁りを生じたり、不溶解物を含有したりするなど、不均一な溶液となりやすいため、液温は50℃以上が望ましく、高温であるほど短時間に終了させることができる。
【0045】
しかしながら、180℃より高温での加熱は、付加的利益をもたらさず非効率的である。加熱時間には特に制限はなく、例えば50℃では約8時間、78℃の還流下では約3時間で十分であり、通常、珪素化合物(A)及び珪素化合物(B)の全量に対して、これら珪素化合物の残存量が5モル%以下となった時点で加熱は停止される。残存量が5モル%よりも多い場合、この溶液を基材表面に塗布し、さらに熱硬化させたとき、得られた被膜にピンホールが生じたり、あるいは十分な硬度を有する被膜が得られない。
【0046】
上記加熱により得られたポリシロキサン溶液は、所望に応じ、濃縮または希釈して使用することができる。この時のポリシロキサン溶液中のSiO2 固形分換算濃度は、0.5〜15重量%が好ましく、SiO2 濃度が0.5重量%より低いと、一回の塗布で所望の膜厚を得ることが難しく、15重量%より高いと、溶液のポットライフが不足し易い。
【0047】
調製された溶液は、通常用いられる塗布法により、塗布、熱硬化することで所望の被膜を得ることができる。この際、基材(ガラス)上に形成された塗膜は、そのまま熱硬化させても良いが、これに先立ち室温〜120℃、好ましくは50〜100℃で乾燥させた後、480〜520℃の温度で加熱される。加熱温度が480℃以下になると水接触角が40°を越えて大きくなり、好ましくない。一方、520℃より高くなると屈折率が1.38を越えて大きくなる傾向にあり、反射防止性能に劣る被膜となる。従って、水接触角が40°以下と小さく、かつ屈折率が1.33〜1.38であり反射防止性能に優れた被膜を形成するためには、上記温度が適正である。
【0048】
この加熱の時間としては、特に限定されないが、5〜60分で十分である。加熱は、通常公知の方法、例えば、ホットプレート、オーブン、ベルト炉などを用いることができる。
【0049】
前記塗布法としては、通常公知の方法、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、フレキソ印刷法などを用いることができる。
【0050】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0051】
実施例1
還流管を備え付けた四つ口反応フラスコにエタノール70.8gを投入し、攪拌下に蓚酸12.0gを少量づつ添加することにより、蓚酸のエタノール溶液を調製した。
【0052】
次いで、この溶液をその還流温度まで加熱し、還流下にテトラエトキシシラン11.0gとトリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン6.2gの混合液を滴下した。
【0053】
滴下終了後、還流下に加熱を5時間行った後、冷却することによりSiO2 固形分換算濃度で4重量%のポリシロキサン溶液(L1)を調製した。
【0054】
この溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、アルコキシドモノマーは検出されなかった。
【0055】
実施例2
還流管を備え付けた四つ口反応フラスコにエタノール72.4gを投入し、攪拌下に蓚酸12.0gを少量づつ添加することにより、蓚酸のエタノール溶液を調製した。
【0056】
次いで、この溶液をその還流温度まで加熱し、還流下にテトラエトキシシラン12.5gとトリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン3.1gの混合液を滴下した。
【0057】
滴下終了後、還流下に加熱を5時間行った後、冷却することによりりSiO2 固形分換算濃度で4重量%のポリシロキサン溶液(L2)を調製した。
【0058】
この溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、アルコキシドモノマーは検出されなかった。
【0059】
実施例3
還流管を備え付けた四つ口反応フラスコにエタノール70.6gを投入し、攪拌下に蓚酸12.0gを少量づつ添加することにより、蓚酸のエタノール溶液を調製した。
【0060】
次いで、この溶液をその還流温度まで加熱し、還流下にテトラエトキシシラン9.4gとトリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン6.2gとγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1.2gとγ-アミノプロピルトリエトキシシラン0.6gの混合液を滴下した。滴下終了後、還流下に加熱を5時間行った後、冷却することによりSiO2 固形分換算濃度で4重量%のポリシロキサン溶液(L3)を調製した。
【0061】
この溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、アルコキシドモノマーは検出されなかった。
【0062】
実施例4
還流管を備え付けた四つ口反応フラスコにエタノール73.9gを投入し、攪拌下に蓚酸12.0gを少量づつ添加することにより、蓚酸のエタノール溶液を調製した。
【0063】
次いで、この溶液をその還流温度まで加熱し、還流下にテトラエトキシシラン9.4gとトリフルオロプロピルトリメトキシシラン2.9gとγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1.2gとγ-アミノプロピルトリエトキシシラン0.6gの混合液を滴下した。滴下終了後、還流下に加熱を5時間行った後、冷却することによりりSiO2 固形分換算濃度で4重量%のポリシロキサン溶液(L4)を調製した。
【0064】
この溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、アルコキシドモノマーは検出されなかった。
【0065】
実施例5
還流管を備え付けた四つ口反応フラスコにエタノール52.7gを投入し、攪拌下に蓚酸20.5gを少量づつ添加することにより、蓚酸のエタノール溶液を調製した。
【0066】
次いで、この溶液をその還流温度まで加熱し、還流下にテトラエトキシシラン21.9gとオクタデシルトリエトキシシラン4.9gの混合液を滴下した。滴下終了後、還流下に加熱を5時間行った後、冷却することによりりSiO2 固形分換算濃度で7重量%のポリシロキサン溶液(L5)を調製した。
【0067】
この溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、アルコキシドモノマーは検出されなかった。
【0068】
実施例6
還流管を備え付けた四つ口反応フラスコにエタノール50.7gを投入し、攪拌下に蓚酸21.6gを少量づつ添加することにより、蓚酸のエタノール溶液を調製した。
【0069】
次いで、この溶液をその還流温度まで加熱し、還流下にテトラエトキシシラン6.3gとメチルトリエトキシシラン21.4gの混合液を滴下した。滴下終了後、還流下に加熱を5時間行った後、冷却することによりりSiO2 固形分換算濃度で9重量%のポリシロキサン溶液(L6)を調製した。
【0070】
この溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、アルコキシドモノマーは検出されなかった。
【0071】
実施例7
還流管を備え付けた四つ口反応フラスコにエタノール64.9gを投入し、攪拌下に蓚酸15.8gを少量づつ添加することにより、蓚酸のエタノール溶液を調製した。
【0072】
次いで、この溶液をその還流温度まで加熱し、還流下にテトラエトキシシラン10.4gとメチルトリエトキシシラン8.9gの混合液を滴下した。滴下終了後、還流下に加熱を5時間行った後、冷却することによりSiO2 固形分換算濃度で6重量%のポリシロキサン溶液(L7)を調製した。
【0073】
この溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、アルコキシドモノマーは検出されなかった。
【0074】
比較例1
還流管を備え付けた四つ口反応フラスコにエタノール43.7gとテトラエトキシシラン16.6gとトリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン9.3gを投入して混合することによりエタノール溶液を調製した。次いでこの溶液をその還流温度まで加熱し、還流下にエタノール24.9gと水5.4gと硝酸0.1gの混合液を滴下した。
【0075】
滴下終了後、還流下に加熱を5時間行った後、冷却することによりSiO2 固形分換算濃度で4重量%のポリシロキサン溶液(L8)を調製した。
【0076】
比較例2
還流管を備え付けた四つ口反応フラスコにエタノール70.8gを投入し、攪拌下に蓚酸12.0gを少量づつ添加することにより、蓚酸のエタノール溶液を調製した。
【0077】
次いで、この溶液をその還流温度まで加熱し、還流下にテトラエトキシシラン13.9gを滴下した。滴下終了後、還流下に加熱を5時間行った後、冷却することによりSiO2 固形分換算濃度で4重量%のポリシロキサン溶液(L9)を調製した。
【0078】
この溶液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、アルコキシドモノマーは検出されなかった。
【0079】
上記(L1)〜(L9)の溶液をSiO2 固形分換算で1重量%となるようにエタノールにて希釈した溶液を塗布液として、それぞれガラス上にディップコートして塗膜を形成させた後、この塗膜をオーブン中、100℃で10分乾燥し、次いで焼成炉中にて表1に示す温度(硬化温度)で加熱することにより、反射防止ガラスを得た。次いで得られた被膜(反射防止膜)について、下記に示す方法により、鉛筆硬度、屈折率、透過率、水接触角及び膜厚を測定した。
【0080】
尚、屈折率測定にはシリコン基板上に同一条件にて成膜したものを用いた。
【0081】
鉛筆硬度:JIS規格K5400に従い測定した。
【0082】
屈折率:溝尻化学(株)製のエリプソメーターDVA−36Lを使用して、波長633nmでの屈折率を測定した。
【0083】
透過率:(株)島津製作所製の分光光度計UV3100PCを用い、400〜800nmでの分光透過率を測定した。
【0084】
水接触角:協和界面科学(株)製の自動接触角計CA−Z型を用い、純水3マイクロリットルを滴下したときの接触角を測定した。(但し、本測定装置では、水接触角が10°未満では正確な計測値を得ることができなかった。)
膜厚:乾燥膜にカッターで傷を付け、硬化後にランクテイラーホブソン社製タリステップを用い、段差を測定することで膜厚とした。
【0085】
これらの評価結果を表1に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
【発明の効果】
本発明により、反射防止性能に優れた反射防止膜を生産性に優れた方法で提供することができる。これにより得られる反射防止ガラスは、LCD、PDP、タッチパネルなどの各種ディスプレイの高透明化に有用なものである。
Claims (3)
- ガラス表面に密着して形成される反射防止膜の形成方法において、下記一般式(1)
- 前記一般式(2)において、R1 で表される有機基がフッ素原子を含む珪素化合物(B)であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止膜の形成方法。
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