JP5018116B2 - タイヤの設計方法およびタイヤの設計装置 - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤの設計方法および装置であって、特に、所定のタイヤを基準にして、路面を転動している最中に、この路面との相対角が時系列に変化した際の過渡応答特性が最適となるタイヤを設計する方法および装置に関する。
従来、構造体の構造や形状等の設計は、構造体を試作して実験を行うことによって性能評価を行い、また、構造体の構造解析モデルを作成し、有限要素法等をはじめとする種々の構造解析手法を用いて数値実験を行って性能評価を行い、その性能評価結果に基づいて、構造体や構造解析モデルの再試作・再作成を行う、いわゆる試行錯誤による設計探索が多かった。そのため、設計者の所望する最適な構造体を設計するには、多大の労力や多大の時間、さらには多大の試作コストを費やす必要があった。
この点、タイヤ製造業者においても同様であり、タイヤの設計は、試行錯誤による試作や数値実験により、多大な労力、時間およびコストを必要とした。例えば、タイヤの回転軸を含む平面で切断した断面形状、すなわちタイヤ断面形状は、タイヤ性能に大きな影響を及ぼすため、所望のタイヤ性能を得るためには特に慎重に設計する必要があった。ところで、今日、スーパーコンピュータ等による数値計算の高速処理の向上により、最適な製品性能を得るための数値計算による最適設計手法が、種々提案されている。
例えば、下記特許文献1には、タイヤ用ゴム配合設計等に利用できる多成分系材料最適化解析装置が提案されている。また、下記特許文献2には、タイヤの形状、構造、パターン等の最適化設計案を求めることができる、タイヤの設計方法や最適化解析装置が提案されている。下記特許文献1では、例えば、多成分系材料の構成成分の配合パラメータを設計パラメータとし、また、硬さ、引張強さ、伸び、圧縮永久ひずみ、引張強さ変化率、伸び変化率、硬さ変化、体積変化率など、タイヤの定常的特性を目的関数とし、この目的関数が所定の条件を満たす際の設計パラメータを、材料最適化設計案として出力している。また、下記特許文献2では、例えば、操縦安定性を向上させるために、タイヤの定常的特性である、空気充填時のタイヤ周方向ベルト張力や横ばね定数等を、目的関数としている。
特開平10−55348号公報 WO99/07543号公報
ところで、例えばレース用タイヤを設計するにあたっては、高速走行時での操舵時における操縦安定性が優れたタイヤを開発することが必要になる。このような高速走行時のタイヤの操縦安定性能には、早い操舵を行った際の自動車の応答特性に関係する特性である、タイヤの過渡的応答特性が大きく寄与している。ここでタイヤの過渡的応答特性とは、タイヤを早く操舵した場合の、荷重・スリップ角・キャンバ角・スリップ率などのタイヤへの入力に対する、タイヤ横力やコーナリングフォース、セルフアライニングトルクなどの応答特性で表される特性である。このようなタイヤの過渡的応答特性は、タイヤの定常的特性を表す数値の1つをもって、定量的に表すことはできない。すなわち、上記特許文献1や特許文献2に開示された方法を用いて、最適な定常的特性を有するタイヤを設計することができたとしても、最適な過渡的応答特性をもつタイヤを設計することはできなかった。
なお、高速走行時のタイヤ操縦安定性を評価するために従来から実施されている試験方法として、試験タイヤを車に装着して評価者が車両を操舵し、評価者が感じた操縦安定性についての情報を得る実車フィーリング試験がある。この実車フィーリング試験では、実際に舵を切ったときの操縦安定性についての情報が得られるといった利点はある。しかし、評価者の感覚に基いて得られるこのような情報は、客観的な評価結果とは言えず、また、評価に多大な時間を要していた。このように、従来では、高速走行時のタイヤの操縦安定性能については、評価手法さえ確立していなかった。このため、従来では、高速走行時のタイヤの操縦安定性能を最適にする、すなわち、タイヤを早く操舵した場合の応答特性(過渡応答特性)を最適にするタイヤを設計するために、多大の労力や多大の時間、さらには多大の試作コストを費やす必要があった。
そこで、本発明は、路面を転動している最中に路面との相対角が時系列に変化した際の過渡応答特性が最適となるタイヤを、短い時間で効果的に設計することができるタイヤの設計方法および装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、所定のタイヤを基準にして、路面を転動している最中に前記路面との相対角が時系列に変化した際の過渡応答特性が最適となるタイヤを設計する方法であって、最適化のために変更すべきタイヤの設計パラメータと、前記相対角の時系列情報と、前記過渡応答特性を表す少なくとも1つの目的関数と、この最適化のための最適条件と、を少なくとも設定する条件設定ステップと、前記設計パラメータを変数とするタイヤモデル、および前記路面を再現する路面モデルを少なくとも生成するモデル生成ステップと、前記設計パラメータの値を与えて生成した前記タイヤモデルを、前記路面モデルと接触させて転動させつつ、前記相対角の時系列情報に応じて、前記路面モデルに対する前記タイヤモデルの相対角を時系列に変化させるシミュレーション演算を実施する演算ステップと、前記シミュレーション演算の結果に基き、前記目的関数の値を求める目的値導出ステップと、前記タイヤモデルに与える前記設計パラメータの値を繰り返し変更し、変更の度に、この変更によって生成されるタイヤモデルについて、前記演算ステップおよび前記目的値導出ステップを実行する繰り返しステップと、この繰り返しステップによって求められた複数の前記目的関数の値に基づいて、前記目的関数の値が前記最適条件を満たすときの前記設計パラメータの値を求めるための最適化処理を実施する最適化ステップと、を有し、前記相対角の時系列情報は、単位時間あたりの前記相対角の変化量がそれぞれ異なる複数の時間区間が連続しており、前記単位時間あたりの前記相対角の変化量は各時間区間でそれぞれ略一定であることを特徴とするタイヤの設計方法を提供する。
また、前記相対角の時系列情報は、前記単位時間あたりの前記相対角の変化量がゼロである時間区間が、断続的に配置されていることが好ましい。
また、前記目的関数は、前記回転軸の時系列の軸力を複数の時間区間に区分した際の、複数の時間区間の各端点の時間情報および前記軸力の情報を用いて、前記タイヤの回転軸にかかる軸力の応答特性を表す値を求める関数であることが好ましい。
また、前記目的関数は、直交座標系の一方の軸を時間、他方の軸を前記軸力として表した、前記軸力の時間変化を表すグラフにおいて、前記回転軸の時系列の軸力を複数の時間区間に区分した際の、複数の時間区間における各端点の情報を用いて、前記タイヤの回転軸にかかる軸力の応答特性を表す値を求める関数であることが好ましい。
また、前記目的関数は、前記グラフにおける少なくとも2つの前記端点について、各端点間の最短距離、各端点間の前記一方の軸に沿った方向の距離、各端点間の前記他方の軸に沿った方向の距離、各端点を結んだ直線の傾き、の少なくとも1つを表す関数であることが好ましい。
また、前記タイヤの回転軸にかかる軸力の応答特性を表す値を求める関数は、タイヤ軸力応答の周波数応答特性求める関数であることが好ましい。
本発明は、また、所定のタイヤを基準にして、路面を転動している最中に前記路面との相対角が時系列に変化した際の過渡応答特性が最適となるタイヤを設計する装置であって最適化のために変更すべきタイヤの設計パラメータと、前記相対角の時系列情報と、前記過渡応答特性を表す少なくとも1つの目的関数と、この最適化のための最適条件と、を少なくとも設定する条件設定部と、前記設計パラメータを変数とするタイヤモデル、および前記路面を再現する路面モデルを少なくとも生成するモデル生成部と、前記設計パラメータの値を与えて生成した前記タイヤモデルを、前記路面モデルと接触させて転動させつつ、前記相対角の時系列情報に応じて、前記路面モデルに対する前記タイヤモデルの相対角を時系列に変化させるシミュレーション演算を実施する演算部と、前記シミュレーション演算の結果に基き、前記目的関数の値を求める目的値導出部と、前記タイヤモデルに与える前記設計パラメータの値を繰り返し変更し、変更の度に、前記モデル生成部にタイヤモデルを生成させて、前記演算部に演算部にシミュレーション演算を実施させ、前記目的値導出部に前記目的値を導出させる、繰り返し制御部と、求められた複数の前記目的関数の値に基づいて、前記目的関数の値が前記最適条件を満たすときの前記設計パラメータの値を求めるための最適化処理を実施する最適化制御部と、を有し、前記相対角の時系列情報は、単位時間あたりの前記相対角の変化量がそれぞれ異なる複数の時間区間が連続しており、前記単位時間あたりの前記相対角の変化量は各時間区間でそれぞれ略一定であることを特徴とするタイヤの設計装置を、併せて提供する。
本発明によれば、路面を転動している最中に路面との相対角が時系列に変化した際の過渡応答特性が最適となるタイヤを、短い時間で効果的に設計することができる。本発明は、特に、レース用タイヤなど、高速走行時における操縦安定性を向上させるタイヤの開発などに際し、好適に用いることができる。
以下、本発明のタイヤの設計方法について、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
図1は、本発明のタイヤの設計装置の一例である、タイヤ設計装置10(以降、装置10とする)の概略構成図である。装置10は、所定のタイヤを基準にして、路面を転動している最中に路面との相対角が時系列に変化した際の過渡応答特性が最適となるタイヤを設計するための装置である。この装置10は、入力部12、コンピュータ14及び出力部16を有する。入力部12は、マウスやキーボードであり、各種情報をオペレータの指示により入力するデバイスである。出力部16は、ディスプレイやプリンタなど、各種情報を出力媒体に表示出力するデバイスである。
コンピュータ14は、メモリ13及びCPU15を有し、この他に図示されないROM等を有する。コンピュータ14は、ROM等に記憶されたコンピュータソフトウェアを、CPU15が実行することにより、最適化制御部18および解析手段20の各部を機能的に形成する。解析手段20は、モデル生成部22と、シミュレーション演算部24と、目的値導出部26と、を有して構成されている。なお、装置10は、プログラムを実行することで各部位が機能するコンピュータによって構成されてもよいし、各部位が専用回路で構成された専用装置であってもよい。
最適化制御部18は、キーボードやマウス等からなる入力部12を用いて入力された条件に基いて、タイヤの基準案、最適化のために変更すべき設計パラメータ、変更すべき設計パラメータの値の許容範囲、生成するモデルの境界条件、シミュレーション条件、制約条件、最適化処理の条件、および、タイヤの過渡応答特性を表す少なくとも1つの目的関数等を設定する。最適化制御部18は、これらの情報を入力部12から受け付け、メモリ13に記憶しておく。最適化制御部18は、メモリ13から必要な情報を適宜読み出し、最適化設計に関する各種処理を実施する。ここで、シミュレーション条件とは、後述するシミュレーション演算部24で、タイヤの転動シミュレーションを実施する際の条件である。例えば、シミュレーション条件の1つとして、タイヤが路面を転動している最中の、タイヤと路面との相対角の時系列情報を設定しておく。また、シミュレーション条件の1つとして、タイヤが路面を転動している最中の、タイヤと路面との相対速度の条件を設定しておく。その他、シミュレーション条件の1つとして、タイヤの内圧や、路面に対する付加荷重の条件、路面モデルとタイヤモデルとの摩擦係数の条件などの境界条件等を設定しておけばよい。設計パラメータとしては、タイヤの形状や材料特性を規定するパラメータを設定すればよく、特に限定されない。また、タイヤの過渡応答特性を表す目的関数としては、例えば、タイヤの回転軸にかかる、後述のタイヤ軸力の応答特性を表す関数を設定しておけばよい。本願発明は、特に、このシミュレーション条件と、タイヤの過渡応答特性を表す目的関数とに特徴を有する。シミュレーション条件と目的関数とについては、後に詳述する。
また、この最適化制御部18では、実験計画法を用いて、変更すべき設計パラメータの値の割り付けも行い、割り付けた設計パラメータの値をメモリ13に記憶する。メモリ13に記憶された各設計パラメータの値は、解析手段20のモデル生成部22に読み出されて取得される。実験計画法としては、例えば、直交実験法、D最適性基準に基く方法、ラテンハイパーキューブ法、および区分コンテカルロ法など、公知である各種の実験計画法を用いればよく、特に限定されない。
さらに、最適化制御部18は、解析手段10の目的値導出部26が導出した、各設計パラメータの割り付け値に基いて生成された種々のタイヤモデルについての目的値を取得する。この目的値は、後述するように、解析手段10のシミュレーション演算部24によるシミュレーション演算結果に基いて目的値導出部26が求めた、タイヤの過渡応答特性を表す目的関数の値である。シミュレーション演算部24は、導出した目的値をメモリ13に一旦記憶し、最適化制御部18は、メモリ13から、記憶された目的値を読み出して取得する。
最適化制御部18は、さらに、種々のタイヤモデルについて導出された複数の目的値について、設定された最適化処理を行い、設定した最適化条件を満たす最適化設計案を、必要に応じて抽出する。例えば、最適化処理として、応答曲面法を用いた最適解(最適な設計パラメータの値)の探索を行なってもよく、または、パレート最適解を求めて、パレート最適解の情報を付与した自己組織化マップの生成を行なってもよい。目的関数は、性能として好ましい方向があり、値が大きくなる、小さくなる、又は所定の値に近づく等がある。最適化処理の条件の1つとして、このような目的関数の好ましい方向の情報も、目的関数の設定とともに設定される。また、目的関数が所定の値に近づくことが好ましい場合、最適化処理の条件の1つとして、目的関数の値と所定の値との差の絶対値が小さくなる設計案を、最適設計案として選択するように設定するとよい。最適化制御部18および各部の機能については、後に詳述していく。
モデル生成部22は、最適化制御部18において設定された変更すべき設計パラメータを変数としたタイヤモデルを生成する。すなわち、タイヤモデルは、設定された設計パラメータを変数とし、最適化制御部18で割り付けられた設計パラメータの割り付け値を、上記変数に代入することで、この割り付け値に応じた解析可能なタイヤモデルを生成する。モデル生成部22は、この他、少なくとも、このタイヤモデルを転動させる対象である路面モデルも、併せて生成する。また、タイヤモデルとともに、このタイヤが装着されるリムやホイールやタイヤ回転軸を再現するモデルも生成すればよい。この際、タイヤモデル、リムモデル、ホイールモデル、およびタイヤ回転軸モデルを、予め設定された境界条件に基いて一体化して、シミュレーション演算部24におけるシミュレーション演算に用いてもよい。なお、本書では、タイヤモデルやリムモデルやホイールモデルやタイヤ回転軸モデルを一体化したモデルについても、単にタイヤモデルと称している。これら各モデルは数値計算可能な離散化モデルであればよく、例えば、公知の有限要素法(FEM)に用いるための有限要素モデル等であればよい。なお、タイヤモデルを用いて、例えばタイヤウエット性能をはじめとするタイヤ性能を最適化するタイヤ設計案を求める場合など、路面モデルとタイヤモデルの他に、路面上に存在する介在物を再現するモデルを生成しておけばよい。例えば、介在物モデルとして、路面上の水、雪、泥、砂、砂利、氷等を再現する各種モデルを、数値計算可能な離散化モデルで生成しておけばよい。なお、路面モデルも、表面が平坦な路面を再現するモデルに限らず、必要に応じて、表面に凹凸を有する路面形状を再現するモデルであってもよい。
図2は、シミュレーション演算部24および目的値導出部26それぞれにおける処理について説明する概略図である。シミュレーション演算部24は、路面上を転動するタイヤの転動を再現するシミュレーション条件を、タイヤモデルや路面モデルなどに与えたときの、タイヤモデルの挙動やタイヤモデルに作用する力などの物理量を時系列に求める。シミュレーション演算部24は、例えば、公知の有限要素ソルバーによるサブルーチンを実行することで機能する。上述したように、最適化制御部18は、入力された情報に基づき、タイヤと路面との相対角の時系列情報や、タイヤと路面との相対速度の条件などを、メモリ13に記憶(設定)する。シミュレーション演算部24は、これらシミュレーション条件をメモリ13から受け取り、設定された目的関数に応じた、タイヤモデルの挙動やタイヤモデルに作用する力などの物理量を時系列に求める。図2では、タイヤの過渡応答特性を表す目的関数として、例えば、タイヤの回転軸にかかる軸力の応答特性を表す関数を設定した場合について示している。この場合、シミュレーション演算部24では、タイヤの回転軸にかかる力(軸力応答)の時系列情報を出力すればよい。タイヤの回転軸にかかる軸力とは、リムおよびホイールにタイヤを装着したタイヤ組立体の、タイヤ回転軸にかかる力であり、特にタイヤ回転軸に沿った方向の力をいう。このタイヤ軸力の大きさは、タイヤに発生するコーナリングフォースの大きさに対応しているといえる。本発明において、タイヤの過渡応答特性を表す目的関数の種類は特に限定されず、コーナリングフォースの大きさや、コーナリングフォースの時間遅れなど、タイヤの過渡応答特性を求める関数を設定すればよい。
図3(a)および(b)は、シミュレーション演算部24におけるシミュレーション条件の一例、および、このシミュレーション条件に基いて行なわれる、シミュレーション演算部24におけるタイヤの転動シミュレーションの結果の一例を、それぞれ示している。図3(a)は、シミュレーション演算部24におけるシミュレーション条件である、タイヤが路面を転動している最中の、タイヤと路面との相対角の時系列情報の一例であって、路面に対するタイヤのスリップ角の時系列情報を示している。なお、本発明においては、シミュレーション条件として設定する、タイヤが路面を転動している最中のタイヤと路面との相対角は、スリップ角であることに限定されず、例えばキャンバー角などであってもよい。
本発明では、シミュレーション演算における、路面に対するタイヤの時系列のスリップ角を、図3(a)に示すように、いわゆるランプ状またはステップ状に変化させることが好ましい。ランプ状またはステップ状に変化するスリップ角を設定することで、タイヤモデルに入力するスリップ角の時系列データに、比較的高い周波数成分を含ませることができる。
相対角の時系列情報がランプ状またはステップ状に変化しているとは、大まかには、相対角の時系列情報が、単位時間あたりの相対角の変化量がそれぞれ異なる複数の時間区間が連続し、単位時間あたりの相対角の変化量は各時間区間でそれぞれ略一定であることをいう。例えば、端点A〜端点A、端点A〜端点A、端点A〜端点A、端点A〜端点A、端点A〜端点A、の連続した各時間区間それぞれで、単位時間あたりの相対角(スリップ角)の変化量は全て略一定となっているといえる。すなわち、図3(a)に示すグラフは、各時間区分毎に、それぞれ異なる直線のグラフ(時間を変数とした1次関数)で、高精度に近似することができる。なお、より具体的には、相対角の時系列情報がランプ状またはステップ状に変化しているとは、単位時間あたりの相対角の変化量がゼロである時間区間(図3(a)の場合、端点A〜端点A、端点A〜端点A、端点A〜端点A)が、断続的に配置されていることをいう。ここで、端点とは、図3(a)および(b)に示しているように、所定の物理量の時間変化を表すグラフにおける、それぞれ異なる直線のグラフ(時間を変数とした1次関数)で高精度に近似することができる複数の時間区間それぞれの、時間軸を基準とした始点および終点のことをいう。
本発明では、スリップ角(相対角)が時系列に変化している部分(図3(a)の場合、端点A〜端点A、端点A〜端点A)では、スリップ角の変化率が0.1〜0.5(sec/deg)であることが好ましい(図3(a)の例では、約0.2(sec/deg))。スリップ角入力をこのような範囲に設定するのは、高速走行時における実際の車両の操舵にともなうスリップ角入力の変化率が、おおよそこの範囲だからである。このように、タイヤに入力するスリップ角の変化率を、実際の車両の操舵にともなうスリップ角入力の変化率とすることで、シミュレーション演算によって、実際に車両を操舵した状態により近い、過渡応答特性(を表す目的値)を求めることができる。
シミュレーション演算部24では、例えば、タイヤ回転軸モデルに軸示されたタイヤモデルを、路面モデルに接触させて転動させつつ、タイヤモデルまたは路面モデルを相対的に移動させてスリップ角を時系列に変動させるシミュレーションを行なう。図3(b)は、シミュレーション演算部24における、タイヤの転動シミュレーションの結果の一例である。図3(b)は、図3(a)に示す、時系列の相対スリップ角を、タイヤモデルおよび路面モデルに入力して、タイヤの転動シミュレーション演算を行なって得られた、タイヤの軸力応答の時系列情報の一例である。タイヤのスリップ角が変化している最中のタイヤ軸力は、図3(b)に示すように、3(a)に示すタイヤスリップ角の変化にともなって、時系列に変化していく(応答する)。しかし、この軸力の時系列の変化(応答)は、図3(a)に示す相対スリップ角に完全な形で追従するのではなく、ある程度の時間遅れの発生など、タイヤ固有の過渡応答特性が表れる。また、発生する軸力の大きさなども、タイヤ固有のものである。
シミュレーション演算部24において出力されたシミュレーション結果である、軸力応答の時系列情報は、目的値導出部26に送られる。目的値導出部26では、この軸力応答の時系列情報から、予め定められた目的値(目的関数の値)を求める。本発明では、上述のタイヤ固有の過渡応答特性を表す値を求める関数を目的関数とし、この目的関数の値(目的値)に基いて最適なタイヤ設計案を探索する。目的関数としては、例えば、軸力応答の時系列情報を複数の時間区間に区分した際の、複数の時間区間における各端点の情報を用いて表される値とする。例えば、図3(b)に示す軸力応答の時系列グラフにおける、少なくとも2つの端点について、各端点間の最短距離、各端点間の時間軸(図3(b)の横軸)に沿った方向の距離、各端点間の軸力軸(図3(a)の縦軸)に沿った方向の距離、各端点を結んだ直線の傾き、の少なくとも1つを表す値としておく。目的関数は、これらの各値を求める関数が予め設定されていればよい。
図3(b)に示す各端点B、B、B、B、B、Bは、タイヤ軸力の時系列情報を、区分的な線分で近似した際の、各線分同士の接合部分に対応している。図3(a)に示す時系列相対角の変化に応じて変化する、図3(b)に示す軸力応答の時系列情報は、図3(a)に示すA〜Aに対応する端点B〜Bで時間的に区分することができる。そして、図3(b)に示す軸力応答の時系列情報は、図3(a)と同様に、各時間区分毎に、直線グラフ(1次関数)によってある程度の相関を保って近似できる。ここで、A〜Aの各端点とB〜Bの各端点とが対応するとは、各端点の時間情報が必ずしも一致していることを指すわけではない。これらシミュレーション演算結果の端点としては、大まかには、図3(a)に示すような、ステップ状入力またはランプ状入力の変曲点(A、A、A、A)に対応する近傍の時間領域における、所定の時間単位でのシミュレーション結果の変化量が最も大きい時点のことをいう。相対角の変化に対し、タイヤの軸力が時間遅れなく追従して変化するならば、図3(a)に示す各端点A〜Aと、図3(b)に示す各端点B〜Bとは完全に一致する。この場合、当然、各端点間の最短距離、各端点間の時間軸に沿った方向の距離、各端点間の軸力軸に沿った方向の距離、各端点を結んだ直線の傾きなど、図3(a)に示す場合も図3(b)に示す場合も全く同一となる。しかし、現実には、図3(a)に示すグラフと図3(b)に示すグラフのプロファイルは完全には一致しない。これは、タイヤと路面との相対角の変化に対し、タイヤに発生するコーナリングフォースは遅れをもって応答し、このコーナリングフォースに対応するとみなせるタイヤ軸力も遅れをもって応答するからである。
図3(b)に示す各端点の座標を、それぞれB(x、y)、B(x、y)、B(x、y)とする。例えば、目的関数fで求められる、BとBの間の縦軸方向の距離F(=|y−y│)は、図3(a)の端点A〜Aにいたる時間区分に対応する時間範囲での、タイヤに発生するコーナリングフォースの大きさを表しているといえる。この、端点A〜Aにいたる時間区分に対応する時間範囲は、直進転動している最中に相対角を短時間で上昇させている(例えば、実際の車両では、高速走行中にハンドルを微小操舵している)最中の時間範囲に対応している。例えば、高速走行中にハンドルを微小操舵した際、タイヤに発生するコーナリングフォースがなるべく大きいといった特性のタイヤを設計したい場合は、目的値Fがなるべく大きくなるタイヤを設計すればよい。
また、例えば、目的関数fで求められる、BとBとを結んだ直線の傾きF(=|y−y│/|x−x│)は、図3(a)の端点A〜Aにいたる時間区分に対応する時間範囲での、タイヤに発生するコーナリングフォースの大きさの変化率を表していえる。この、端点A〜Aにいたる時間区分に対応する時間範囲は、直進転動している最中に相対角を短時間で上昇させた後、相対角を維持している時間範囲に対応している。さらにいえば、この変化率は、例えばスリップ角などのタイヤ相対角をゼロから上昇させている最中の、タイヤ軸力(コーナリングフォースの大きさに対応)の応答の遅れの程度を表しているといえる。例えば、高速走行中にハンドルを微小操舵した際、タイヤに発生するコーナリングフォースが、なるべく時間遅れなく応答するといった特性のタイヤを設計したい場合は、目的値Fがなるべく小さくなるタイヤを設計すればよい。
また、例えば、目的関数fで求められる、BとBとを結んだ直線の傾きF(=|y−y│/|x−x│)は、図3(a)の端点A〜Aにいたる時間区分に対応する時間範囲での、タイヤに発生するコーナリングフォースの大きさの変化率を表していえる。この端点A〜Aにいたる時間区分に対応する時間範囲は、相対角を維持していた後、直進転動状態までスリップ角を戻している最中の時間範囲に対応している。さらにいえば、この変化率は、例えばスリップ角などのタイヤ相対角をゼロに戻している最中の、タイヤ軸力の応答の遅れの程度を表しているといえる。例えば、高速走行中にハンドルを直進走行に戻すいわゆる切り返しの操舵の際、タイヤに発生するコーナリングフォースがなるべく時間遅れなく応答するといった特性のタイヤを設計したい場合は、目的値Fがなるべく小さくなるタイヤを設計すればよい。
本願発明では、以上述べたような、時系列のタイヤ軸力の変化を表すグラフにおける、各端点間の最短距離、各端点間の時間軸に沿った方向の距離、各端点間の軸力軸に沿った方向の距離、各端点を結んだ直線の傾きなどを求める関数を、目的関数とすることが好ましい。なお、シミュレーション演算結果の時系列情報において、端点の設定の仕方は特に限定されない。例えば、入力する相対角の変曲点と同一タイミングの点(同一の時間情報を有する点)を、それぞれ端点として設定してもよい。また、変局率が最大となる点に挟まれた時間領域のうち、一次関数で近似した際の相関が最もよくなる部分領域の始点と終点を、端点として設定してもよい。
本実施形態では、上述したように、設計パラメータが変更されて生成された種々のタイヤモデルそれぞれについて、シミュレーション演算部24において、タイヤモデルに入力するスリップ角の時系列データとして、例えばランプ状またはステップ状に変化するスリップ角を設定している。ランプ状またはステップ状に変化するスリップ角を設定することで、スリップ角の時系列データに比較的高い周波数成分を含ませることができ、車両が高速に走行している最中のタイヤの操舵状態を高い精度で再現するシミュレーションを実施することを可能としている。目的値導出部26は、この入力に対するタイヤの応答性(過渡応答特性)を的確に表す目的値(目的関数の値)を求める。求めた各モデルそれぞれについての目的値(目的関数の値)は、各設計パラメータの値と対応づけられて、メモリ13に記憶される。最適化制御部18は、最適化処理を実施する際、各モデル(すなわち各設計パラメータの組み合わせ)それぞれについての目的値をメモリ13からそれぞれ読み出して、最適化処理を実施する。
なお、本発明では、路面に対するタイヤの時系列のスリップ角の情報と、時系列のタイヤ軸力応答の情報とを、それぞれ周波数分析して得られる、タイヤ軸力応答の周波数応答特性を求める関数を、目的関数としてもよい。例えば、周波数分析したスリップ率情報とタイヤ軸力応答情報との振幅比(ゲイン)や、位相角(位相遅れ)の情報を求める関数を、目的関数としてもよい。本発明では、上述のように、タイヤと路面との相対角を、いわゆるランプ入力やステップ入力で入力している。例えば、ランプ入力における相対角の変化率が0.1〜0.5(sec/deg)であれば、高速走行時における実際の車両の操舵にともなうスリップ角入力の変化率を、おおよそ再現できる。このように、ランプ入力やステップ入力により、タイヤに入力するスリップ角の変化率を、実際の車両の操舵にともなうスリップ角入力の変化率に近い範囲としているので、シミュレーション演算によって得られるタイヤ軸力応答の周波数成分は、実際の車両の操舵における周波数成分とごく近いものである。上述した、振幅比(ゲイン)や位相角(位相遅れ)の情報も、高速走行時における実際の車両の操舵における、タイヤの過渡応答特性を表しているといえる。なお、図3(a)に示すように、タイヤと路面との相対角の絶対値の大きさが、例えば2.0(°)以下であるならば(図3(a)の場合、1.2(°))、入力するスリップ角の大きさと、このスリップ角入力に対するタイヤ横力の応答(タイヤ軸力応答など)が、略線形関係となることが一般的に知られている。このような線形領域においては、スリップ角入力に対する横力応答の関係は、1次遅れ系で表される。例えば、本発明では、このような1次遅れ系のモデルにおけるタイヤの力学パラメータを、設計パラメータとして設定しもよい。
なお、例えば、上述した、タイヤモデルを用いて、例えばタイヤウエット性能をはじめとするタイヤ性能を最適化するタイヤ設計案を求める場合など、路面モデルに加えて、雪、泥、砂、砂利、氷等を再現する有限要素モデルを生成し、これら各モデルの流れの影響を加味したシミュレーションを実施すればよい。このような有限要素モデルを用いて行なう、流れの影響を加味したシミュレーションの一例が、本願出願人による出願の公開公報である、特開2004−338660号公報に記載されている。なお、路面モデルに加えて、雪、泥、砂、砂利、氷等を再現する粒子法モデルを生成し、これら各モデルの流れの影響を加味したシミュレーションを実施してもよい。ここで粒子法モデルとは、水や雪などの流体(介在物)を複数の粒子モデルで再現し、この粒子モデルを一定の間隔で等方状に配列した状態から、後述する粒子モデル移動規定条件の下に移動させて、粒子モデルのもつ速度や全エネルギー量の注目物理量を用いて、この流体(介在物)を再現したモデルである。このような粒子モデルを用いて行なう、流れの影響を加味したシミュレーションの一例が、本願出願人による出願の公開公報である、特開2003−220808号公報に記載されている。なお、路面モデルとして、表面に凹凸を有する路面形状を再現するモデルを用いた場合、タイヤモデルと路面モデルとの接地部分については、タイヤモデルの要素の大きさは、路面モデルの凹凸の大きさに比べて小さく設定することが好ましい。なお、本願出願人による出願の公開公報である特開2006−21551号公報に、路面モデルとして表面に凹凸を有する路面形状を再現するモデルを用いた、タイヤの転動シミュレーションの一例が記載されている。本発明で行なうシミュレーション演算は、上記各例に限定されず、従来公知のいずれの方法を用いて実施してもよい。
以下、装置10を用いて行なわれるタイヤの設計方法の一実施形態を、以下詳細に説明する。図4は、本発明のタイヤの設計方法の一例について説明するフローチャートである。以下に説明する実施形態では、所定のタイヤを基準にして、路面を転動している最中に路面との相対角が時系列に変化した際の過渡応答特性が最適となる、タイヤの断面形状の設計案を導出する。
まず、最適化制御部18が、キーボードやマウス等からなる入力部12を用いて入力された条件に基いて、最適化設計案の導出に係る種々の条件(最適化条件)を設定する(ステップS102)。例えば、タイヤの基準案、最適化のために変更すべき設計パラメータ、変更すべき設計パラメータの値の許容範囲、生成するモデルの境界条件、シミュレーション条件、制約条件、最適化処理の条件、および、タイヤの過渡応答特性を表す少なくとも1つの目的関数、変更すべき設計パラメータの値の割り付けの条件(実験計画法の条件)、最適化処理の条件など、最適化設計案に係る各種の条件を設定する。
本実施形態では、タイヤの基準案として、図5に示すM、M、Mの3種類のタイヤ基準断面形状を設定する。本実施形態では、モデル生成部22において、各タイヤ基準形状を、重み付け係数を用いて線型的に組み合わせることで、各種タイヤの設計案を作成する。本実施形態では、この重み付け係数を、設計パラメータとして設定する。
例えば、本実施形態では、シミュレーション条件として、タイヤが路面を転動している最中の、タイヤと路面との相対角の時系列情報を設定しておく。また、シミュレーション条件の1つとして、タイヤが路面を転動している最中の、タイヤと路面との相対速度の条件を設定しておく。その他、シミュレーション条件の1つとして、タイヤの内圧や、路面に対する付加荷重の条件を設定しておく。また、路面モデルの条件やホイールモデル、リムモデルの条件、また、その他シミュレーションにおける各種境界条件についても、適宜設定しておく。また、タイヤの過渡応答特性を表す目的関数として、例えば、上述の図3(b)に示すようなタイヤ軸力の時系列情報から、上記端点の情報を用いて、タイヤ軸力の応答特性を表す値を導出する関数を設定しておく。本実施形態では、タイヤ軸力の応答特性を表す値を導出する関数、すなわち目的関数を、複数設定しておく。例えば、目的関数として、図3(b)に示すF、F、Fを求めるための関数f、f、fを、目的関数としてそれぞれ設定しておく。また、最適化処理の条件を設定しておく。例えば、最適化処理として、応答曲面法を用いた最適解(最適な設計パラメータの値)の探索を行なう条件を設定してもよい。または、パレート最適解を求めて、パレート最適解の情報を付与した自己組織化マップの生成を行なう条件を設定してもよい。複数の目的関数の値(目的値)を最適化する設計案を導出する場合など、例えば、目的値Fがなるべく大きく、目的値Fをなるべく小さく、目的値Fをなるべく大きくする、といった多目的な最適化条件を設定しておく。例えば、トレードオフの関係にある複数の目的関数の値(目的値)を最適化する設計案を導出する場合など、パレート最適解を求めて、自己組織化マップの生成を行なう条件を設定することが好ましい。
次に、最適化制御部18では、実験計画法を用いて、設計パラメータの値の設定を行なう(ステップS104)。すなわち、各タイヤ基準形状を線形的に組み合わせるための重み付け係数の組み合わせを複数設定し、各係数の組み合わせからかる各種の設計案を設定しておく。設定した重み付け係数の組み合わせの情報は、モデル生成部22にそれぞれ送られる。例えば、M、M、Mの3種類のタイヤ基準形状それぞれの所定の設計因子ベクトルをX、X、Xとすると、下記式(1)のXで表される設計因子ベクトルをもつ形状を、タイヤの設計案とする。式(1)において、αおよびαは重み付け係数、すなわち設計パラメータである。最適化制御部18は、実験計画法を用いて、この設計パラメータの組み合わせ(α、α)を、種々設定する。以降、設計パラメータの組み合わせの1つ1つを、それぞれ1つのケースと称する。なお、ステップS102において、変更すべき設計パラメータの値の許容範囲として、例えば、式(1)によって表される設計案の形状が、加硫成型工程を経ても不具合なく製造可能な範囲となるように、各設計パラメータα、αの範囲を規定する条件を設定しておけばよい。
X= +α −X )+α −X ) ・・・(1)
次に、モデル生成部22が、最適化制御部18において設定された変更すべき設計パラメータを変数としたタイヤモデルを生成する(ステップS106)。図6は、本実施形態において生成するモデルの一例を示す、モデルの概略斜視図である。本実施形態では、モデル生成部22は、公知の有限要素法(FEM)に用いるための有限要素モデルを生成する。モデル生成部22は、タイヤモデル32の他、予め設定された条件に応じて、少なくとも、このタイヤモデルを転動させる対象である路面モデル42も、併せて生成する。また、タイヤモデルとともに、ホイールモデル34やタイヤ回転軸モデル36も生成する。モデル生成部22では、タイヤモデル32とホイールモデル34とタイヤ回転軸モデル36を、予め設定された境界条件に基いて一体化して、タイヤ組立体モデル30(以降、単にタイヤモデル30と称する)を作成しておく。
次に、シミュレーション演算部24が、例えば、公知の有限要素ソルバーによるサブルーチンを実行することで、タイヤモデル30に路面モデル42上を転動させるシミュレーションを実施する(ステップS108)。シミュレーション演算部24は、シミュレーション条件をメモリ13から受け取り、設定された目的関数に応じた、タイヤモデルの挙動やタイヤモデルに作用する力などの物理量を時系列に求める。本実施形態では、シミュレーション演算部24は、タイヤの回転軸にかかる力(軸力応答)の時系列情報を出力する。
目的値導出部26は、この軸力応答の時系列情報から、目的関数f、f、fの値それぞれ、すなわち、目的値F、F、Fの値をそれぞれ求める(ステップS110)。次に、上述の割り付け値に基づいて設定されたすべてのケースについて目的値が算出されたか判別される(ステップS112)。この判別において否定された場合、ケース番号が変更されて(ステップS114)、実行されていないケースについて、目的値がそれぞれ実行される。
次に、最適化制御部18が、各モデル(すなわち各設計パラメータの組み合わせ)それぞれについての目的値をメモリ13からそれぞれ読み出して、最適化処理を実施する(ステップS116)。この際、例えば、変更すべき設計パラメータを変数とする各目的値の応答曲面を求め、この応答曲面から、制約条件を満足しつつ過渡応答特性が最適条件を満たす設計パラメータの値を求めることによって、最適解を導出してもよい。応答曲面の種類については特に限定されず、直交多項式によって表されるものでもよく、クリンギング、ラジアルベーシスファンクションなど、その他の公知の手法によって表される応答曲面を用いてもよい。例えば、最適化条件として、各目的値が最も所定の値に近づくことを設定している場合、各目的値と所定の値との差の絶対値の平均が、最も小さくなるケースの設計パラメータの値の組み合わせを、最適設計案として設定すればよい。
なお、最適化制御部18が行なう最適化処理として、パレート最適解を求めて、パレート最適解の情報を付与した自己組織化マップの生成を行なってもよい。パレート最適解は、トレードオフの関係にある複数の目的関数において、他の任意の解よりも優位にあるとはいえないが、より優れた解が他に存在しない解をいう。一般にパレート最適解は集合として複数個存在する。最適化制御部18は、一度の探索で複数のパレート最適解の集合を求める多目的GAの手法を用いる。通常のGAは、初期解のサンプル集合に対して、評価、選択、交叉、変異の処理を行い、次の世代の解集合として生成し、この処理を逐次続けて、数10〜数100世代後の解集合を求めて最適解を求める手法である。
多目的GAは、複数の目的関数に対して複数の最適解が存在するため、GAの方法を用いて、この最適解の境界をパレート最適解として求める方法である。多目的GAは、現在種々の方法が提案されているが、本発明では特に制限されない。例えば、解集合を目的関数に沿って複数の領域に分割し、この分割した解集合毎に多目的GAを行うDRMOGA(Divided Range Multi-Objective GA)、NCGA(Neighborhood Cultivation GA),DCMOGA(Distributed Cooperation model of MOGA and SOGA)、NSGA(Non-dominated Sorting GA)、NSGA2(Non-dominated Sorting GA-II)、SPEAII(Strength Pareto Evolutionary Algorithm-II)法等の公知の方法を用いることができる。その際、解集合が解空間に幅広く分布し、精度の高いパレート最適解の集合を求める必要がある。このため、最適化制御部18では、例えば、ベクトル評価遺伝的アルゴリズム(Vector Evaluated Generic Algorithms:VEGA)や、パレートランキング法やトーナメント法を用いた選択が行われる。
最適化制御部18は、このような多目的GAによる最適設計処理ルーチンを制御して、設定された各設計パラメータを種々変化させたサンプル集合を設定し、これにシミュレーション演算を施して目的関数の値を求めることにより、パレート最適解の初期解のサンプル集合を設定し(ステップS102〜S112の処理を行い)、この集合を用いて多目的GAを行なってもよい。多目的GAにおける解集合に対する評価、選択,交又の各操作は、シミュレーション演算結果である目的関数の値によって行い、さらに変異の操作が行われて次世代の解集合を生成する。
自己組織化マップ(Self-Organizing Map)は、多次元の入力データを予備的な知識なし(教師なし)に、クラスタリングして、複数の領域に区切られて表されたマップである。この多次元のデータとしてパレート最適解における目的関数の値が用いられる。自己組織化マップには、二次元平面上に規則的に配置されたノードが存在し、このノードのそれぞれは目的関数の設定数と同じ数の次元のベクトルであって、ベクトル成分が乱数で初期化された参照ベクトルを持つ。一方、パレート最適解は目的関数毎の値を持ち、この値をベクトル成分とするベクトルで表したとき、このベクトルに最も距離の近い参照ベクトルに対応するノードがベストマッチノード(勝者)として選択される。そして、このベストマッチノードと、このベストマッチノードから所定範囲に存在するノードのベクトルがパレート最適解のベクトルとの間の距離に応じてパレート最適解のベクトルに近づくように、パレート最適解のベクトル毎に更新される。このような参照ベクトルを持つノードによって構成されるマップが自己組織化マップである。なお、自己組織化マップについては、“Visualization and Data Mining of Pareto Solutions Using Self-Organizing Map”(Shigeru Obayashi and Daisuke Sasaki, 2nd International Conference on Evolutionary Multi-Criterion Optimization, 8-11th April 2003, Portugal)に詳細が述べられている。また、本願出願人による出願の公開公報である、特開2006−285381などに、自己組織化マップの具体例が記載されている。
図7(a)〜(d)には、自己組織化マップの一例を示している。図7(a)〜(d)は、目的値Fを最大化、目的値Fを最小化、目的値Fを最大化、という、多目的な最適化で得られたパレート解の自己組織化マップを表し、パレート最適解における目的値(目的関数の値)をクラスタリングして、複数の領域に区切って表している。図7(a)〜(d)の各マップの下側には、各目的関数や設計パラメータの値と色表示(色彩、色濃度)との対応関係を示すバーを示している。図7(a)はF、図7(b)はF、図7(c)はF、図7(d)はX、図7(e)はX、および図7(f)はX、をそれぞれ表している。図7(a)〜(d)それぞれの同一位置のノードは、それぞれ同一のパレート解を表し、各ノードにおける色が、各設計パラメータの値や各目的値を、それぞれ表している。図7(a)〜(d)では、各目的値(目的関数の値)と設計パラメータを、それぞれ規格化して表している。
図7(a)から、目的値Fを良くする(大きくする)には、自己組織化マップ上、より左側にクラスタリングされたノードにおける設計案を選択することが好ましいことがわかる。同様に、図7(b)から、目的値Fを良くする(小さくする)には、自己組織化マップ上、より左側にクラスタリングされたノードにおける設計案を選択することが好ましいことがわかる。しかし、一方、図7(c)からは、目的値Fを良くする(大きくする)には、自己組織化マップ上、より右側にクラスタリングされたノードにおける設計案を選択することが好ましいことがわかる。また、図7(c)〜(d)から、最適化パレート解としては、設計パラメータXは全て1であり、設計パラメータXも、若干の例外の除いて全てゼロ(0)となっていることが好ましいことがわかる。そして、設計パラメータXについては、最適化パレート解も多様な値をもっており、例えば設計パラメータXが小さいと(自己組織化マップのより左側では)、目的値Fと目的値Fが、より良くなることがわかる。また、例えば設計パラメータXが大きいと(自己組織化マップのより右側では)、目的値Fがより良くなることがわかる。すなわち、タイヤの過渡応答特性を表す目的関数の値である、目的値F〜Fについては、設計パラメータXの寄与度が大きいといえる。図7(a)〜(c)に示す自己組織化マップからは、設計パラメータXの値をより小さくすれば、目的値Fと目的値Fを比較的向上させることができ(目的値Fと目的値Fとに特化することができ)、設計パラメータXの値をより大きくすれば、目的値Fを比較的向上させることができる(目的値Fに特化することができる)ことがわかる。図7(a)〜(d)に示すように、複数の目的値(目的関数の値)や設計パラメータの値を、同じマップ上に表示(コンター表示)することで、各目的関数の相関などを視覚的に理解することができる。また、同様に、設計パラメータと目的関数との関係も視覚的に理解することができるため、設計に役立つ情報を取得することができる。最適化制御部18は、自己組織化マップの情報に基づいて、所定の条件を満たす最適化設計案を求めればよい。
最後に、応答曲面法やパレート最適解を用いて導出された最適設計案を、出力部16によって表示出力し(ステップS118)、終了する。なお、パレート最適解の手法を用いる場合、生成し自己組織化マップを、出力部16によって表示出力し、出力された自己組織化マップを見たオペレータが、最適設計案の値を選択・抽出してもよい。
以上、目的関数として、タイヤの過渡的応答特性を表す値を求める関数を設定し、この目的関数の値(目的値)を最適化する最適化設計案を導出する場合について説明した。本発明では、この過渡応答特性を表す値を最適化するのみではなく、タイヤに関する他の物理量も同時に最適化する設計案を、最適設計案として求めてもよい。例えば、装置10のシミュレーション演算部24が、生成された種々のタイヤモデルそれぞれを用いて、過渡応答特性以外の他のタイヤ性能を表す第2の物理量の値を求め、このタイヤ性能を表す第2の物理量も同時に最適化する設計案を、最適設計案として求めてもよい。例えば、シミュレーション演算部24が、タイヤの転動シミュレーション以外にも、タイヤの磨耗性能、耐久性能、転がり抵抗、NV、乗り心地、バネ特性、ハイプレ性能、トラクション性能など、タイヤのその他の性能を求めるための各種シミュレーション演算も実施し、第2の物理量の値を求めればよい。例えば、タイヤの断面形状や、タイヤの構成部材の形状およびタイヤ構成部材の物性値に応じて変化する、タイヤ耐久性を表す物理量である、タイヤ構成部材の余裕率(タイヤモデルにおけるタイヤ構成部材の各要素中の最大主歪、最大主応力、あるいは最大歪エネルギー密度の少なくとも1つの力学特性値と、タイヤ構成部材の材料自体が有する破断時の力学特性値との比率)を求めるシミュレーション演算が、本願出願人による出願の公開公報である特開2005−1649号公報に記載されている。
また、タイヤに関する物理量(過渡応答特性や、上記他の物理量)のみではなく、タイヤを構成するゴム部材の物性値(ヤング率、せん断剛性、ポアソン比、あるいは超弾性ポテンシャルのパラメータ、外力を与えた場合の応力や歪など)も同時に最適化する設計案を、最適設計案として求めてもよい。また、設計パラメータとして、タイヤの形状などのタイヤ全体に関する値の他に、トレッド部材における材料特性を規定するフィラー分散形状やフィラー体積率、など、タイヤを構成する微視的なゴム部材の材料を特徴づける設計パラメータを設定してもよい。このような場合、モデル生成部22が、上記タイヤを再現するタイヤモデルの他に、タイヤのミクロ構造を再現したミクロスケールモデルや、ミクロスケールモデルが表す代表領域よりも大きい領域を再現したメゾスケールモデル、さらには、タイヤモデルが装着された車両モデルなど、異なるスケールのモデルをそれぞれ生成する。ミクロスケールモデルとは、例えば、フィラーが分散配置されたゴム部材や、ゴム部材中にスチール線材が埋設された部材などを再現したモデルなどである。また、メゾスケールモデルとは、例えば、トレッドゴム部材が微小凹凸路面と接触したとき微小凹凸に応じて変化する状態を再現するようなタイヤのトレッド部材モデルの一部分を再現したモデルなどである。そして、シミュレーション演算部24が、各シミュレーションモデルを用いて、所定の条件下で、いわゆるマルチスケールシミュレーションとよばれるシミュレーション演算を行えばよい。マルチスケールシミュレーションでは、各スケールのシミュレーションの間で入出力のやり取りを行ない、タイヤを構成するゴム部材の物性値や、車両の挙動など、異なるスケールのモデルが表す物理量をそれぞれ取得すればよい。例えば、ミクロモデルシミュレーションの結果を、メゾスケールシミュレーションに反映させ、メゾスケールシミュレーションの結果をタイヤモデルを用いたシミュレーションに反映させ、タイヤモデルを用いたシミュレーションの結果を車両モデルを用いたシミュレーションに反映させ、最終的に車両モデルを用いたシミュレーションの結果を得ることができる。このようなマルチスケールシミュレーションを用いることで、異なるスケールでの構造や物性値を設計パラメータとしても、異なるスケールそれぞれの物理量を求めることができる。また、異なるスケールそれぞれの物理量を目的関数として、各スケールの物理量を最適化する設計案を探索することができる。なお、上記本願出願人による出願の公開公報である、特開2006−285381には、自己組織化マップの具体例に加え、マルチスケールシミュレーションの具体的実施例も記載されている。
なお、走行条件やタイヤ製造条件のばらつきに対する、目的関数の値の頑健さ(ロバスト性)も最適化された設計案を導出したい場合は、最適化処理の条件の1つとして、このロバスト性についての条件も設定しておけばよい。この際、最適化制御部18が、設計パラメータに加えて、予め設定された所定の変動因子(荷重の条件や、タイヤの形状および材料物性値の条件、路面とタイヤの摩擦係数の条件など)も種々変更し、シミュレーション演算部24が、各変動因子の値毎に、シミュレーション演算を実施すればよい。最適化制御部18は、設定したロバスト性についての条件も加味して、所定の条件を満たす最適化設計案を求めればよい。
以上、本発明のタイヤの設計方法および装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
本発明のタイヤの設計装置の一例の概略構成図である。 図1に示すタイヤの設計装置の、シミュレーション演算部および目的値導出部それぞれにおける処理について説明する概略図である。 (a)は、シミュレーション条件の一例を示し、(b)は、(a)のシミュレーション条件に基いて行なわれる、タイヤの転動シミュレーションの結果の一例を示している。 本発明のタイヤの設計方法の一例について説明するフローチャートである。 図4にフローチャートで示すタイヤの設計方法における、タイヤ基準断面形状を示している。 本発明のタイヤの設計方法で生成するモデルの一例の、概略斜視図である。 図(a)〜(f)は、本発明のタイヤの設計方法で作成される自己組織化マップの一例である。
符号の説明
10 タイヤ設計装置
12 入力部
13 メモリ
14 コンピュータ
15 CPU
16 出力部
18 最適化制御部
20 解析手段
22 モデル生成部
24 シミュレーション演算部
26 目的値導出部
32 タイヤモデル
34 ホイールモデル
36 タイヤ回転軸モデル
42 路面モデル

Claims (7)

  1. 所定のタイヤを基準にして、路面を転動している最中に前記路面との相対角が時系列に変化した際の過渡応答特性が最適となるタイヤを設計する方法であって、
    最適化のために変更すべきタイヤの設計パラメータと、前記相対角の時系列情報と、前記過渡応答特性を表す少なくとも1つの目的関数と、この最適化のための最適条件と、を少なくとも設定する条件設定ステップと、
    前記設計パラメータを変数とするタイヤモデル、および前記路面を再現する路面モデルを少なくとも生成するモデル生成ステップと、
    前記設計パラメータの値を与えて生成した前記タイヤモデルを、前記路面モデルと接触させて転動させつつ、前記相対角の時系列情報に応じて、前記路面モデルに対する前記タイヤモデルの相対角を時系列に変化させるシミュレーション演算を実施する演算ステップと、
    前記シミュレーション演算の結果に基き、前記目的関数の値を求める目的値導出ステップと、
    前記タイヤモデルに与える前記設計パラメータの値を繰り返し変更し、変更の度に、この変更によって生成されるタイヤモデルについて、前記演算ステップおよび前記目的値導出ステップを実行する繰り返しステップと、
    この繰り返しステップによって求められた複数の前記目的関数の値に基づいて、前記目的関数の値が前記最適条件を満たすときの前記設計パラメータの値を求めるための最適化処理を実施する最適化ステップと、を有し、
    前記相対角の時系列情報は、単位時間あたりの前記相対角の変化量がそれぞれ異なる複数の時間区間が連続しており、前記単位時間あたりの前記相対角の変化量は各時間区間でそれぞれ略一定であることを特徴とするタイヤの設計方法。
  2. 前記相対角の時系列情報は、前記単位時間あたりの前記相対角の変化量がゼロである時間区間が、断続的に配置されていることを特徴とする請求項に記載のタイヤの設計方法。
  3. 前記目的関数は、前記回転軸の時系列の軸力を複数の時間区間に区分した際の、複数の時間区間の各端点の時間情報および前記軸力の情報を用いて、前記タイヤの回転軸にかかる軸力の応答特性を表す値を求める関数であることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤの設計方法。
  4. 前記目的関数は、直交座標系の一方の軸を時間、他方の軸を前記軸力として表した、前記軸力の時間変化を表すグラフにおいて、前記回転軸の時系列の軸力を複数の時間区間に区分した際の、複数の時間区間における各端点の情報を用いて、前記タイヤの回転軸にかかる軸力の応答特性を表す値を求める関数であることを特徴とする請求項に記載のタイヤの設計方法。
  5. 前記目的関数は、前記グラフにおける少なくとも2つの前記端点について、各端点間の最短距離、各端点間の前記一方の軸に沿った方向の距離、各端点間の前記他方の軸に沿った方向の距離、各端点を結んだ直線の傾き、の少なくとも1つを表す関数であることを特徴とする請求項に記載のタイヤの設計方法。
  6. 前記タイヤの回転軸にかかる軸力の応答特性を表す値を求める関数は、タイヤ軸力応答の周波数応答特性求める関数であることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のタイヤの設計方法。
  7. 所定のタイヤを基準にして、路面を転動している最中に前記路面との相対角が時系列に変化した際の過渡応答特性が最適となるタイヤを設計する装置であって
    最適化のために変更すべきタイヤの設計パラメータと、前記相対角の時系列情報と、前記過渡応答特性を表す少なくとも1つの目的関数と、この最適化のための最適条件と、を少なくとも設定する条件設定部と、
    前記設計パラメータを変数とするタイヤモデル、および前記路面を再現する路面モデルを少なくとも生成するモデル生成部と、
    前記設計パラメータの値を与えて生成した前記タイヤモデルを、前記路面モデルと接触させて転動させつつ、前記相対角の時系列情報に応じて、前記路面モデルに対する前記タイヤモデルの相対角を時系列に変化させるシミュレーション演算を実施する演算部と、
    前記シミュレーション演算の結果に基き、前記目的関数の値を求める目的値導出部と、
    前記タイヤモデルに与える前記設計パラメータの値を繰り返し変更し、変更の度に、前記モデル生成部にタイヤモデルを生成させて、前記演算部に演算部にシミュレーション演算を実施させ、前記目的値導出部に前記目的値を導出させる、繰り返し制御部と、
    求められた複数の前記目的関数の値に基づいて、前記目的関数の値が前記最適条件を満たすときの前記設計パラメータの値を求めるための最適化処理を実施する最適化制御部と、を有し、
    前記相対角の時系列情報は、単位時間あたりの前記相対角の変化量がそれぞれ異なる複数の時間区間が連続しており、前記単位時間あたりの前記相対角の変化量は各時間区間でそれぞれ略一定であることを特徴とするタイヤの設計装置。
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