JP7225797B2 - トレッド部の設計方法 - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤのトレッド部の設計方法に関し、詳しくは、複数の主溝と陸部とを有するトレッド部を、コンピュータを用いて設計するための方法に関する。
下記特許文献1は、タイヤの旋回性能(コーナリングパワー)を予測する方法を提案している。この予測方法では、予め定められた予測式に、予め設計されたトレッド部の陸部の寸法(トレッドパターン)等のパラメータが代入されることにより、旋回性能を予測することができる。
特許第5602038号公報
しかしながら、上記特許文献1の予測方法を用いて、例えば、旋回性能に優れるトレッドパターンを設計するには、予め定められた制約条件の下、設計者が様々な前記パラメータを設定し、旋回性能の良否を検討するという工程を繰り返す必要があり、設計時間が増大するという問題があった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、旋回性能に優れるトレッド部を短時間で設計することができる方法を提供することを主たる目的としている。
本発明は、トレッド部に、タイヤ周方向に連続してのびる複数の主溝と、前記主溝で区分された複数の陸部とを有するタイヤの前記トレッド部を、コンピュータを用いて設計するための方法であって、前記トレッド部に前記陸部を配置するための制約条件を、前記コンピュータに入力する工程と、前記陸部の寸法及び前記陸部のタイヤ軸方向の位置に関する設計因子に基づいて、予め定めた旋回状態の前記タイヤが発生するコーナリングフォースを推定するための目的関数を、前記コンピュータに入力する工程と、前記コンピュータが、前記制約条件の下で、前記目的関数を満足する前記設計因子の最適解を求める工程とを含むことを特徴とする。
本発明に係る前記トレッド部の設計方法において、前記目的関数は、前記陸部の剛性と、前記旋回状態での前記陸部のせん断変形量との積の項を含んで定義されてもよい。
本発明に係る前記トレッド部の設計方法において、前記設計因子は、前記陸部のタイヤ軸方向の幅を含み、前記陸部の剛性は、下記式(1)に基づいて定義されてもよい。
Figure 0007225797000001
ここで、
Cy:陸部の剛性
X:陸部のタイヤ軸方向の幅
h:主溝の深さ
E*:陸部を構成するゴムの複素弾性率
本発明に係る前記トレッド部の設計方法において、前記設計因子は、前記陸部の幅中心線とタイヤ赤道との間のタイヤ軸方向距離を含み、前記陸部のせん断変形量は、下記式(2)に基づいて定義されてもよい。
Figure 0007225797000002
ここで、
ΔY:陸部のせん断変形量
Y:陸部の幅中心線とタイヤ赤道との間のタイヤ軸方向距離
L(Y):陸部の接地面のタイヤ周方向長さ
γ:タイヤのキャンバー量
α:タイヤのスリップ角
R:タイヤの半径
本発明に係る前記トレッド部の設計方法において、前記設計因子は、前記陸部の幅中心線とタイヤ赤道との間のタイヤ軸方向距離を含み、前記陸部のせん断変形量は、下記式(3)に基づいて定義されてもよい。
Figure 0007225797000003
ここで、
ΔY:陸部のせん断変形量
Y:陸部の幅中心線とタイヤ赤道との間のタイヤ軸方向距離
Fy(Y):旋回状態で陸部に作用する応力
Cy:陸部の剛性
本発明に係る前記トレッド部の設計方法において、前記設計因子は、前記陸部の幅中心線とタイヤ赤道との間のタイヤ軸方向距離を含み、前記陸部のせん断変形量は、前記タイヤ軸方向距離が設定された前記陸部を有する前記タイヤの有限要素モデルを転動させたシミュレーションによって計算されてもよい。
本発明のトレッド部の設計方法は、前記トレッド部に前記陸部を配置するための制約条件の下に、前記陸部の寸法及び前記陸部のタイヤ軸方向の位置に関する設計因子に基づいて、予め定めた旋回状態の前記タイヤが発生するコーナリングフォースを推定するための目的関数を満足する設計因子の最適解が求められる。従って、本発明のトレッド部の設計方法によれば、旋回性能に優れるトレッド部を、短時間で設計することができる。
トレッド部の設計方法を実行するためのコンピュータ1の一例を示す斜視図である。 タイヤのトレッド部の一例を示す展開図である。 トレッド部の設計方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 計算工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 設計因子の最適解が特定される陸部の一例を示すトレッド展開図である。 接地面応力が計算されるプレーンタイヤの接地面の一例を示す図である。 タイヤモデル及び路面モデルの一例を示す図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態のトレッド部の設計方法(以下、単に「設計方法」ということがある。)は、コンピュータを用いて、タイヤのトレッド部を設計するための方法である。
図1は、設計方法を実行するためのコンピュータ1の一例を示す斜視図である。コンピュータ1は、本体1a、キーボード1b、マウス1c及びディスプレイ装置1dが含まれる。この本体1aには、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリー、磁気ディスクなどの記憶装置及びディスクドライブ装置1a1、1a2などが設けられている。なお、記憶装置には、本実施形態の設計方法を実行するための処理手順(プログラム)が予め記憶されている。
図2は、タイヤ2のトレッド部3の一例を示す展開図である。本実施形態のトレッド部3は、タイヤ周方向に連続してのびる複数の主溝4と、主溝4で区分された複数の陸部5とを有している。
主溝4は、タイヤ赤道Cのタイヤ軸方向の両外側に配置される一対のセンター主溝4A、4A、及び、センター主溝4Aとトレッド接地端3tとの間に配置される一対のショルダー主溝4B、4Bを含んでいる。
本明細書において、「トレッド接地端3t」とは、正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填した正規状態のタイヤ2に、正規荷重を負荷してキャンバー角0度にて平坦面に接地させた正規荷重負荷状態でのトレッド接地面のタイヤ軸方向の最外端とする。
「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" とする。
「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" とするが、タイヤが乗用車用である場合には180kPaとする。
「正規荷重」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY"とするが、タイヤが乗用車用の場合には、前記荷重の88%に相当する荷重とする。
なお、本明細書では、特に断りがない限り、タイヤ2の各部の寸法は、正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填された無負荷の正規状態において特定される値とする。
陸部5は、一対のセンター主溝4A、4A間で区分されるセンター陸部5A、センター主溝4Aとショルダー主溝4Bとで区分される一対のミドル陸部5B、5B、及び、ショルダー主溝4Bとトレッド接地端3tとで区分される一対のショルダー陸部5C、5Cを含んでいる。一対のミドル陸部5B、5Bは、図においてタイヤ軸方向の一方側(左側)に配置される第1ミドル陸部5Baと、図においてタイヤ軸方向の他方側(右側)に配置される第2ミドル陸部5Bbとに区分される。一対のショルダー陸部5C、5Cは、前記一方側(左側)に配置される第1ショルダー陸部5Caと、前記他方側(右側)に配置される第2ショルダー陸部5Cbに区分される。
各陸部5A~5Cには、主溝4と交差する方向にのびる横溝9、及び、サイプ10が設けられている。本実施形態の横溝9は、そのタイヤ軸方向の両端部のうち、少なくとも一方の端部が、陸部5内で終端するラグ溝として構成されている。従って、各陸部5A~5Cは、タイヤ周方向に連続するリブとして形成される。
次に、本実施形態の設計方法について説明する。本実施形態の設計方法では、陸部5の寸法、及び、陸部5のタイヤ軸方向の位置に関する設計因子が求められる。これらの設計因子(即ち、陸部5の寸法、及び、陸部5のタイヤ軸方向の位置)については、適宜設定することができる。本実施形態において、陸部5の寸法に関する設計因子としては、陸部5のタイヤ軸方向の幅(以下、単に「陸部の幅」ということがある。)Xを含んでいる。また、陸部5のタイヤ軸方向の位置に関する設計因子としては、陸部5の幅中心線5wとタイヤ赤道Cとの間のタイヤ軸方向距離(以下、単に「陸部のタイヤ軸方向距離」ということがある。)Yを含んでいる。これらの設計因子は、各陸部(本実施形態では、センター陸部5A、ミドル陸部5Ba、5Bb、及び、ショルダー陸部5Ca、5Cb)において、それぞれ設定される。このような各陸部5の設計因子が求められることにより、トレッド部3での各陸部5の配置が特定される。図3は、設計方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の設計方法では、先ず、コンピュータ1に、制約条件を入力する(工程S1)。制約条件は、図2に示したトレッド部3に、陸部5を配置するために満たすべき条件である。制約条件については、設計されるトレッドパターンやタイヤ構造に応じて、適宜設定することができる。本実施形態の制約条件は、ランド比の許容範囲、主溝4の溝幅W1の許容範囲、及び、陸部5の幅Xの許容範囲が含まれる。なお、「ランド比」とは、トレッド接地端3t、3t間において、各溝全てを埋めた仮想接地面の全面積Maと、陸部5のトレッド接地面の合計面積Mbとの比(Mb/Ma)で定義される。
上記の許容範囲は、タイヤ2のサイズ等に応じて設定される。本実施形態の設計方法では、後述の計算工程S3において、これらの制約条件に基づいて、設計因子(本実施形態では、図2に示した陸部5の幅X、及び、陸部5のタイヤ軸方向距離Y)が求められる。制約条件は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態の設計方法では、コンピュータ1に、目的関数が入力される(工程S2)。目的関数は、前記設計因子に基づいて、予め定めた旋回状態のタイヤ2(図2に示す)が発生するコーナリングフォースを推定するためのものである。本実施形態の目的関数は、陸部5(図2に示す)の剛性と、旋回状態での陸部5のせん断変形量との積の項(以下、単に「積の項」ということがある。)を含んで定義される。また、旋回状態としては、適宜設定することができる。本実施形態の旋回状態としては、例えば、0.2Gの横加速度が作用する状態として定義される。
陸部の剛性Cyは、下記式(1)に基づいて定義される。下記式(1)は、陸部5の横弾性定数を示すためのものである。下記式(1)は、文献(酒井秀男著、「タイヤ工学入門から応用まで」、株式会社グランプリ出版、1987、p.97-99)の記載に基づいて、陸部5の曲げ変形量を示す式(5.6.3)と、せん断変形量を示す式(5.6.4)とを合成することで定義することができる。なお、下記式(1)では、上記文献に記載の横弾性定数の式(5.6.10)とは異なり、タイヤ周方向に連続する陸部(リブパターン)として計算されるため、例えば、ブロック断面の一辺の長さa及びbを省略することができ、陸部の剛性Cyを容易に求めることができる。
Figure 0007225797000004
ここで、
Cy:陸部の剛性
X:陸部のタイヤ軸方向の幅
h:主溝の深さ
E*:陸部を構成するゴムの複素弾性率
上記式(1)において、陸部5のタイヤ軸方向の幅X(図2に示す)は、上述した設計因子の一つである。このため、陸部5のタイヤ軸方向の幅Xは、変数として定義される。
主溝の深さh(図示省略)は、図2に示した各陸部5A~5Cのタイヤ軸方向で隣接する主溝4の深さである。例えば、センター陸部5Aの剛性Cyを求める場合、上記式(1)の深さhには、センター主溝4Aの深さ(図示省略)が設定される。ミドル陸部5Bの剛性Cyを求める場合、上記式(1)の深さhには、センター主溝4Aの深さとショルダー主溝4Bの深さ(図示省略)との平均値が設定される。ショルダー陸部5Cの剛性Cyを求める場合、上記式(1)の深さhには、ショルダー主溝4Bの深さが設定される。従って、主溝の深さhは、定数として定義される。
陸部5を構成するゴムの複素弾性率E*は、JIS-K6394の規定に準じて、次に示される条件で、株式会社岩本製作所製の「粘弾性スペクトロメータ」を用いて測定した値である。従って、複素弾性率E*は、定数として定義される。
初期歪み:10%
振幅:±2%
周波数:10Hz
変形モード:引張
測定温度:30℃
このように、上記式(1)では、図2に示した各陸部5A~5Cの幅Xに応じて、各陸部5A~5Cの剛性Cyが決定される。陸部の剛性Cyを定義する上記式(1)は、コンピュータ1に記憶される。
陸部のせん断変形量は、下記式(2)に基づいて定義される。下記式(2)は、陸部5の横変形量を示すためのものである。下記式(2)は、文献(酒井秀男著、「タイヤ工学入門から応用まで」、株式会社グランプリ出版、1987、p.405-406)の記載に基づいて、トレッド部の横変形量を示す式(15.3.4)に、接地部におけるカーカスの曲げ変形の近似式(15.3.1)及び(15.3.2)を代入することで、定義することができる。なお、下記式(2)では、上記文献のトレッド部の横変形量を示す式(15.3.4)とは異なり、タイヤの設計値(タイヤの半径R)、タイヤの実使用条件(タイヤのキャンバー量γ及びタイヤのスリップ角α)、及び、基準タイヤの測定値(陸部の接地面のタイヤ周方向長さL(Y))に基づいて、容易に計算することができる。
Figure 0007225797000005
ここで、
ΔY:陸部のせん断変形量
Y:陸部の幅中心線とタイヤ赤道との間のタイヤ軸方向距離
γ:タイヤのキャンバー量
α:タイヤのスリップ角
L(Y):陸部の接地面のタイヤ周方向長さ
R:タイヤの半径
上記式(2)において、陸部5の幅中心線5wとタイヤ赤道Cとの間のタイヤ軸方向距離Y(図2に示す)は、上述した設計因子の一つである。従って、タイヤ軸方向距離Yは、変数として定義される。
上記式(2)において、タイヤ2のキャンバー量γ(図示省略)及びタイヤ2のスリップ角α(図示省略)は、上記旋回状態(本実施形態では、0.2Gの横加速度が作用する状態)に基づいて設定される。陸部5の接地面のタイヤ周方向長さL(Y)は、上記旋回状態でのタイヤ2の接地面形状(フットプリント)に基づいて、陸部5のタイヤ軸方向距離Y(図2に示す)から決定される。タイヤの半径R(図示省略)は、前記正規荷重負荷状態において、タイヤ2の軸心とトレッド接地面との間のタイヤ半径方向の距離として設定される。従って、キャンバー量γ、スリップ角α、陸部の接地面のタイヤ周方向長さL(Y)、及び、タイヤの半径Rは、定数として定義される。これらの定数は、本実施形態の設計方法が実施されるのに先立って、予め取得されているのが望ましい。
このように、上記式(2)では、図2に示した各陸部5A~5Cのタイヤ軸方向距離Yに応じて、上記旋回状態(本実施形態では、0.2Gの横加速度が作用する状態)での各陸部5A~5Cのせん断変形量ΔYが決定される。陸部のせん断変形量ΔYを定義する上記式(2)は、コンピュータ1に記憶される。
上記式(1)の陸部の剛性Cyと、上記式(2)の陸部のせん断変形量ΔYとの積の項(Cy・ΔY)は、上記旋回状態において、図2に示した各陸部5(本実施形態では、センター陸部5A、一対のミドル陸部5Ba、5Bb及び一対のショルダー陸部5Ca、5Cb)に作用するコーナリングフォース(タイヤ周方向と直交する横向きの力)を推定した値である。これらの陸部5(即ち、センター陸部5A、一対のミドル陸部5Ba、5Bb、及び、一対のショルダー陸部5Ca、5Cb)毎に求められた積の項(Cy・ΔY)を合計したΣ(Cy・ΔY)により、タイヤ1本当たりのコーナリングフォースを推定することができる。本実施形態では、タイヤ1本当たりのコーナリングフォースを推定するため、積の項(Cy・ΔY)の合計したΣ(Cy・ΔY)が、目的関数として設定される。なお、特定の陸部5のコーナリングフォースのみを推定する場合、目的関数には、積の項(Cy・ΔY)のみが設定されてもよい。
さらに、本実施形態において、目的関数Σ(Cy・ΔY)は、少なくとも車両の前輪と後輪の2輪分が計算されるのが望ましく、また、全輪分(乗用車であれば、4輪分)が計算されてもよい。これにより、タイヤ2が装着される位置によって異なる傾向にあるコーナリングフォースを推定することができる。目的関数は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態の設計方法は、コンピュータ1が、制約条件の下で、目的関数を満足する設計因子の最適解を求める(計算工程S3)。本実施形態において、「目的関数を満足する」とは、目的関数Σ(Cy・ΔY)で推定されるコーナリングフォースが、最適解が求められる前のタイヤ(基準タイヤ)2の設計因子に基づいて計算されたコーナリングフォースよりも大(即ち、良好)であることを意味している。図4は、計算工程S3の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の計算工程S3では、先ず、最適化前のタイヤ(基準タイヤ)2の目的関数が求められる(工程S31)。工程S31では、先ず、図2に示した実際のタイヤ2の陸部5の幅X、及び、陸部5のタイヤ軸方向距離Y(図5に示す)の測定結果を用いて、最適化前のタイヤ2の目的関数Σ(Cy・ΔY)が求められる。目的関数Σ(Cy・ΔY)の求め方は、上述のとおりである。最適化前のタイヤ2の目的関数Σ(Cy・ΔY)は、コーナリングフォースが推定されるタイヤ2毎(例えば、前輪及び後輪毎)に求められるのが望ましい。最適化前のタイヤ2の目的関数Σ(Cy・ΔY)は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態の計算工程S3では、陸部の幅X及び陸部のタイヤ軸方向距離Yが、ランダムに決定される(工程S32)。図5は、設計因子の最適解が特定される陸部5の一例を示すトレッド展開図である。本実施形態の陸部5の幅Xは、第1ショルダー陸部5Caの幅X1、第1ミドル陸部5Baの幅X2、センター陸部5Aの幅X3、第2ミドル陸部5Bbの幅X4、及び、第2ショルダー陸部5Cbの幅X5を含んでいる。また、本実施形態の陸部5のタイヤ軸方向距離Yは、第1ショルダー陸部5Caのタイヤ軸方向距離Y1、第1ミドル陸部5Baのタイヤ軸方向距離Y2、センター陸部5Aのタイヤ軸方向距離Y3、第2ミドル陸部5Bbのタイヤ軸方向距離Y4、及び、第2ショルダー陸部5Cbのタイヤ軸方向距離Y5を含んでいる。
工程S32では、上述した制約条件を満たすように、陸部5A~5Cbの幅X1~X5、及び、タイヤ軸方向距離Y1~Y5がそれぞれ決定される。決定された陸部5A~5Cbの幅X1~X5、及び、タイヤ軸方向距離Y1~Y5は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態の計算工程S3では、工程S32で決定された陸部5A~5Cbの幅X1~X5、及び、タイヤ軸方向距離Y1~Y5が、目的関数に代入される(工程S33)。上述したように、本実施形態の目的関数は、陸部5A、5Ba、5Bb、5Ca及び5Cb毎に求められた積の項(Cy・ΔY)を合計したΣ(Cy・ΔY)である。
工程S33では、先ず、第1ショルダー陸部5Caの幅X1及びタイヤ軸方向距離Y1が代入された積の項(Cy・ΔY)、第1ミドル陸部5Baの幅X2及びタイヤ軸方向距離Y2が代入された積の項(Cy・ΔY)、及び、センター陸部5Aの幅X3及びタイヤ軸方向距離Y3が代入された積の項(Cy・ΔY)が求められる。さらに、工程S33では、第2ミドル陸部5Bbの幅X4及びタイヤ軸方向距離Y4が代入された積の項(Cy・ΔY)、及び、第2ショルダー陸部5Cbの幅X5及びタイヤ軸方向距離Y5が代入された積の項(Cy・ΔY)が求められる。そして、工程S33では、第1ショルダー陸部5Caの積の項(Cy・ΔY)、第1ミドル陸部5Baの積の項(Cy・ΔY)、センター陸部5Aの積の項(Cy・ΔY)、第2ミドル陸部5Bbの積の項(Cy・ΔY)、及び、第2ショルダー陸部5Cbの積の項(Cy・ΔY)を合計したΣ(Cy・ΔY)により、タイヤ1本当たりのコーナリングフォースを推定することができる。目的関数Σ(Cy・ΔY)は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態の計算工程S3では、代入された目的関数Σ(Cy・ΔY)が、最適化前の目的関数よりも良好か否かが判断される(工程S34)。工程S34では、目的関数Σ(Cy・ΔY)で推定されるコーナリングフォースが、工程S31で求められた最適化前のタイヤ2のコーナリングフォース(目的関数Σ(Cy・ΔY))よりも大(即ち、良好)であれば、目的関数を満足していると判断される。他方、工程S34では、目的関数で推定されるコーナリングフォースが、最適化前のタイヤ2のコーナリングフォース以下であれば、目的関数を満足していないと判断される。
工程S34において、目的関数を満足していると判断された場合(工程S34で、「Y」)、制約条件の下で、目的関数を満足する設計因子(本実施形態では、図5に示した陸部の幅X1~5、及び、陸部のタイヤ軸方向距離Y1~Y5)の最適解を求めることができている。従って、次の工程S4が実施される。他方、工程S34において、目的関数を満足していないと判断された場合(工程S34で、「N」)、工程S32~工程S34が再度実施される。これにより、計算工程S3では、制約条件の下で、目的関数を満足する設計因子の最適解を確実に求めることができる。
計算工程S3において、図4に示した工程S32~工程S34までの一連の処理は、例えば、表計算ソフト等に付属しているソルバーを用いて、容易に行うことができる。なお、工程S32~工程S34までの一連の処理は、例えば、遺伝的アルゴリズム(GA(Genetic Algorithm))、及び、粒子群最適化(PSO(Particle Swarm Optimization))等の最適化アルゴリズムに基づいて行われてもよい。設計因子の最適解は、コンピュータ1に記憶される。
このように、本実施形態の設計方法では、コンピュータ1が、制約条件の下で、目的関数を満足する設計因子の最適解を求めることができるため、従来のように、制約条件の下、設計者が様々な設計因子(パラメータ)を設定し、旋回性能の良否を検討するという工程を繰り返す必要がない。従って、本実施形態の設計方法によれば、旋回性能に優れるトレッド部3を、短時間で設計(及びタイヤを製造)することができる。
計算工程S3で求められた設計因子の最適解は、上記式(1)及び上記式(2)で定義されるコーナリングフォースの推定値に基づいて求められているため、設計因子の最適解に基づいて設計されたトレッド部3(図5に示す)が、推定値と同等のコーナリングフォースを発揮できるか否かを、予め評価しておくのが望ましい。コーナリングフォースを評価する方法としては、例えば、図5に示した各陸部5A~5Cbを有するトレッド部3をハンドカットによって試作したタイヤ2のコーナリングフォースを測定する方法や、後述のタイヤの有限要素モデルを転動させるシミュレーションによって、コーナリングフォースを計算する方法を採用することができる。これにより、本実施形態の設計方法では、所望のコーナリングフォースを確実に発揮しうる設計因子の最適解を、確実に求めることができる。
次に、本実施形態の設計方法は、陸部5以外の構成要素が設計される(工程S4)。本実施形態の工程S4では、陸部の幅X1~X5及び陸部のタイヤ軸方向距離Y1~Y5がそれぞれ決定された各陸部5A~5Cb(図5に示す)において、図2に示した横溝9やサイプ10等の配置や形状が設計される。横溝9及びサイプ10の設計には、計算工程S3で計算された各陸部5A~5Cbのコーナリングフォースが考慮されるのが望ましい。これにより、本実施形態の設計方法では、旋回性能に優れるトレッド部3(図2に示す)を、確実に設計することができる。
本実施形態では、上記式(2)に基づいて、陸部のせん断変形量ΔYが定義される態様が例示されたが、このような態様に限定されない。例えば、陸部のせん断変形量ΔYは、フックの法則に基づいて、下記式(3)で定義されてもよい。
Figure 0007225797000006
ここで、
ΔY:陸部のせん断変形量
Y:陸部の幅中心線とタイヤ赤道との間のタイヤ軸方向距離
Fy(Y):旋回状態で陸部に作用する応力
Cy:陸部の剛性
上記式(3)において、陸部の幅中心線とタイヤ赤道との間のタイヤ軸方向距離Yは、上述した設計因子の一つである。従って、タイヤ軸方向距離Yは、変数として定義される。
上記式(3)において、応力Fy(Y)は、上記旋回状態(本実施形態では、0.2Gの横加速度が作用する状態)において、タイヤ赤道Cからタイヤ軸方向距離Yを隔てた陸部5に作用する応力である。この応力Fy(Y)は、例えば、株式会社昭和電機製作所製の接地面応力観測装置と、トレッドパターンが形成されていないプレーンタイヤとを用いた上記旋回状態での接地面応力の測定結果に基づいて決定することができる。図6は、接地面応力が計算されるプレーンタイヤ21の接地面23の一例を示す図である。
応力Fy(Y)は、プレーンタイヤ21のタイヤ赤道Cからタイヤ軸方向距離Yを隔てた計測点22で測定された応力が、タイヤ赤道Cからタイヤ軸方向距離Yを隔てた陸部5(図5に示す)に作用する応力として特定される。なお、応力は、タイヤ軸方向において、予め定められた間隔(例えば、10~20mm)で離間した複数の計測点22で測定されるのが望ましい。これにより、工程S32でランダムに設定される様々なタイヤ軸方向距離Yに対して、応力Fy(Y)を容易に特定することができる。陸部の剛性Cyは、上記式(1)で定義される。従って、応力Fy(Y)、及び、陸部の剛性Cyは、定数である。
このように、上記式(3)では、陸部のタイヤ軸方向距離Yに応じて、上記旋回状態での陸部のせん断変形量ΔYが決定される。このような上記式(3)の陸部のせん断変形量ΔYは、上記式(2)の陸部のせん断変形量ΔYと同様に、上記式(1)の陸部の剛性Cyとの積の項(Cy・ΔY)により、コーナリングフォースを推定することができる。
これまでの実施形態では、上記式(2)及び上記式(3)に基づいて、陸部5のせん断変形量ΔYが定義される態様が例示されたが、このような態様に限定されない。例えば、陸部5のせん断変形量ΔYは、タイヤ軸方向距離Yが設定された陸部5を有するタイヤ2(図5に示す)の有限要素モデルを転動させたシミュレーションによって計算されてもよい。図7は、タイヤモデル11及び路面モデル12の一例を示す図である。
タイヤモデル11は、タイヤ2(図5に示す)を、数値解析法により取り扱い可能な有限個の要素F(i)(i=1、2、…)でモデル化(離散化)することによって設定される。数値解析法としては、例えば、有限要素法、有限体積法、差分法、又は、境界要素法を適宜採用することができる。本実施形態では、有限要素法が採用されている。
トレッド部13には、センター陸部5A(図5に示す)をモデル化したセンター陸部モデル14A、一対のミドル陸部5Ba、5Bb(図5に示す)をモデル化した一対のミドル陸部モデル14Ba、14Bb、及び、一対のショルダー陸部5Ca、5Cb(図5に示す)をモデル化した一対のショルダー陸部モデル14Ca、14Cbが設定される。各陸部モデル14A、14Ba、14Bb、14Ca、及び、14Cbは、変数であるタイヤ軸方向距離Yに基づいて、トレッド部13での軸方向の位置を自由に変更することができる。
各要素F(i)には、複数個の節点16が設けられる。また、各要素F(i)には、要素番号、節点16の番号、節点16の座標値、及び、各部材の材料特性(例えば、密度、ヤング率、減衰係数、損失正接tanδ、及び/又は、熱伝導率等)などの数値データが定義される。このようなタイヤモデル11は、コンピュータ1に記憶される。
路面モデル12は、例えば、単一の平面を構成する剛表面の要素Hでモデル化される。これにより、路面モデル12は、外力が作用しても変形不能に定義される。そして、路面モデル12を構成する要素Hの数値データが、コンピュータ1に記憶される。なお、路面モデル12は、例えば、ドラム試験機のように円筒状表面に形成されても良い。また、路面モデル12には、必要に応じて、段差、窪み、うねり又は轍などが設けられても良い。
このようなモデルの設定(モデリング)は、従来の方法と同様に、例えば、加硫金型の設計データ(例えば、CADデータ)と、メッシュ化ソフトウェアとを用いることにより、容易に実施することができる。
タイヤモデル11を路面モデル12に転動させるシミュレーションでは、従来のシミュレーションと同様に、例えば、タイヤモデル11の内圧条件、負荷荷重条件、キャンバー角、スリップ角、走行速度Vs、静摩擦係数、又は、動摩擦係数等を含む境界条件が設定される。そして、境界条件に基づいて、路面モデル12を転動するタイヤモデル11が計算される。
タイヤモデル11の変形計算は、各要素の形状及び材料特性などをもとに、各要素F(i)の質量マトリックス、剛性マトリックス及び減衰マトリックスがそれぞれ作成される。さらに、これらの各マトリックスが組み合わされて、全体の系のマトリックスが作成される。そして、コンピュータ1が、前記各種の条件を当てはめて運動方程式を作成し、これらを単位時間T(x)(x=0、1、…)ごと(例えば、1μ秒毎)にタイヤモデル11の変形計算を行う。このような変形計算は、例えば、LSTC社製のLS-DYNAなどの市販の有限要素解析アプリケーションソフトを用いて計算できる。
この実施形態のシミュレーションでは、タイヤ軸方向距離Y1~Y5(図5に示す)が設定された各陸部モデル14A、14Ba、14Bb、14Ca及び14Cbにおいて、せん断変形量ΔYがそれぞれ計算される。これらのせん断変形量ΔYは、上記式(1)、(2)で定義されたせん断変形量ΔYと同様に、上記式(1)の陸部の剛性Cyとの積の項(Cy・ΔY)の計算に用いられることにより、コーナリングフォースを推定することができる。
これまでの実施形態では、上記旋回状態(本実施形態では、0.2Gの横加速度が作用する状態)のコーナリングフォースを推定するための目的関数Σ(Cy・ΔY)を満足する(即ち、コーナリングフォースが、最適化前のタイヤ(基準タイヤ)2のコーナリングフォースよりも大きい)設計因子の最適解が求められたが、このような態様に限定されない。例えば、0.1Gの横加速度が作用する第1旋回状態の目的関数Σ(Cy・ΔY)と、0.2Gの横加速度が作用する第2旋回状態の目的関数Σ(Cy・ΔY)との間の変化量が、最適化前のタイヤ2の変化量よりも小さい設計因子の最適解が求められてもよい。これにより、この実施形態の設計方法では、旋回中にキャンバー量及びスリップ角が変化したときの過渡特性に優れるトレッド部3を、短時間で設計することができる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図2に示した最適化前のタイヤ(基準タイヤ)の目的関数Σ(Cy・ΔY)が求められた。最適化前のタイヤの目的関数Σ(Cy・ΔY)は、上記式(1)で定義される陸部の剛性Cyと、上記式(3)で定義される陸部のせん断変形量ΔYとの積の項を、全ての陸部で合計したタイヤ1本当たりのコーナリングフォースを推定したものである。最適化前のタイヤのコーナリングフォースは、車両の前輪及び後輪毎に求められた。さらに、最適化前のタイヤについて、旋回状態のコーナリングフォース、及び、排水性能(ハイドロプレーニングの発生速度)が測定された。さらに、最適化前のタイヤに基づいて設定されたタイヤモデルを用いて、流体シミュレーションが行われ、排水性能が予測された。
次に、図3及び図4に示した処理手順に従って、トレッド部に、タイヤ周方向に連続してのびる複数の主溝と、主溝で区分された複数の陸部とを有するタイヤのトレッド部が、コンピュータを用いて設計された。実施例では、制約条件の下で、上記式(1)で定義される陸部の剛性Cyと、上記式(3)で定義される陸部のせん断変形量ΔYとの積の項を、全ての陸部で合計したタイヤ1本当たりのコーナリングフォースを推定する目的関数を満足する(最適化前のタイヤのコーナリングフォースよりも良好)設計因子の最適解が求められた。実施例では、車両の前輪及び後輪の設計因子の最適解がそれぞれ求められた。
さらに、設計因子の最適解に基づいて、ハンドカットで陸部が形成されたタイヤが試作され、このタイヤの旋回状態のコーナリングフォースが測定された。また、設計因子の最適解に基づいて設定されたタイヤモデルを用いて流体シミュレーションが行われ、排水性能が予測された。さらに、最適解に基づいて試作されたタイヤを用いて、排水性能(ハイドロプレーニングの発生速度)が測定された。
最適化前のタイヤ、及び、最適化後のタイヤ(最適解)について、コーナリングフォース(計算)、コーナリングフォース(測定)、排水性能(計算)及び排水性能(測定)は、最適化前のタイヤを100とする指数で表示している。共通仕様、及び、上記式(3)で用いられる旋回状態で陸部に作用する応力Fy(Y)の測定の詳細については、次のとおりである
タイヤサイズ:215/60R16
内圧:250kPa
制約条件:
ランド比の許容範囲:60~90%
主溝の溝幅の許容範囲:5~20mm
陸部の幅の許容範囲:15~40mm
設計因子:
陸部のタイヤ軸方向の幅X1~X5
陸部の幅中心線とタイヤ赤道との間のタイヤ軸方向距離Y1~Y5
旋回状態で陸部に作用する応力Fy(Y)の測定:
接地面応力観測装置:株式会社昭和電機製作所製
プレーンタイヤ:
タイヤサイズ:215/60R16
内圧:250kPa
計測点:9点(間隔:15mm)
直進状態(横加速度:0G):
リアタイヤの旋回内輪:
スリップ角α:-0.46°
キャンバー量γ:1.23°
リアタイヤの旋回外輪:
スリップ角α:-0.48°
キャンバー量γ:-1.23°
旋回状態(横加速度:0.2G)
リアタイヤの旋回内輪:
スリップ角α:0.18°
キャンバー量γ:1.87°
リアタイヤの旋回外輪:
スリップ角α:0.99°
キャンバー量γ:-0.62°
テストの結果を表1に示す
Figure 0007225797000007
テストの結果、最適化後のタイヤ(最適解)は、最適化前のタイヤに比べて、排水性能を維持しつつ、コーナリングフォースが大きくすることができた。したがって、実施例では、旋回性能に優れるトレッド部を短時間で設計することができた。
S1 制約条件を入力する工程
S2 目的関数を入力する工程
S3 設計因子の最適解を求める工程

Claims (5)

  1. トレッド部に、タイヤ周方向に連続してのびる複数の主溝と、前記主溝で区分された複数の陸部とを有するタイヤの前記トレッド部を、コンピュータを用いて設計するための方法であって、
    前記トレッド部に前記陸部を配置するための制約条件を、前記コンピュータに入力する工程と、
    前記陸部の寸法及び前記陸部のタイヤ軸方向の位置に関する設計因子に基づいて、予め定めた旋回状態の前記タイヤが発生するコーナリングフォースを推定するための目的関数を、前記コンピュータに入力する工程と、
    前記コンピュータが、前記制約条件の下で、前記目的関数を満足する前記設計因子の最適解を求める工程とを含み、
    前記目的関数は、前記陸部の剛性と、前記旋回状態での前記陸部のせん断変形量との積の項を含んで定義される、
    トレッド部の設計方法。
  2. 前記設計因子は、前記陸部のタイヤ軸方向の幅を含み、
    前記陸部の剛性は、下記式(1)に基づいて定義される請求項1記載のトレッド部の設計方法。
    Figure 0007225797000008
    ここで、
    Cy:陸部の剛性
    X:陸部のタイヤ軸方向の幅
    h:主溝の深さ
    E*:陸部を構成するゴムの複素弾性率
  3. 前記設計因子は、前記陸部の幅中心線とタイヤ赤道との間のタイヤ軸方向距離を含み、
    前記陸部のせん断変形量は、下記式(2)に基づいて定義される請求項1又は2記載のトレッド部の設計方法。
    Figure 0007225797000009
    ここで、
    ΔY:陸部のせん断変形量
    Y:陸部の幅中心線とタイヤ赤道との間のタイヤ軸方向距離
    L(Y):陸部の接地面のタイヤ周方向長さ
    γ:タイヤのキャンバー量
    α:タイヤのスリップ角
    R:タイヤの半径
  4. 前記設計因子は、前記陸部の幅中心線とタイヤ赤道との間のタイヤ軸方向距離を含み、
    前記陸部のせん断変形量は、下記式(3)に基づいて定義される請求項1又は2記載のトレッド部の設計方法。
    Figure 0007225797000010
    ここで、
    ΔY:陸部のせん断変形量
    Y:陸部の幅中心線とタイヤ赤道との間のタイヤ軸方向距離
    Fy(Y):旋回状態で陸部に作用する応力
    Cy:陸部の剛性
  5. 前記設計因子は、前記陸部の幅中心線とタイヤ赤道との間のタイヤ軸方向距離を含み、
    前記陸部のせん断変形量は、前記タイヤ軸方向距離が設定された前記陸部を有する前記タイヤの有限要素モデルを転動させたシミュレーションによって計算される請求項1又は2記載のトレッド部の設計方法。
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