JP5494246B2 - タイヤ設計方法、タイヤ設計装置およびプログラム - Google Patents

タイヤ設計方法、タイヤ設計装置およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、タイヤの水跳ねを抑制するタイヤプロファイル形状を定めるタイヤ設計方法、および装置と、上記タイヤ設計方法をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
近年、コンピュータの処理速度の向上に伴って、車両に装着される空気入りタイヤ(以降、単にタイヤという)のウェット性能を、有限要素法や有限体積法を用いて予測する方法が種々提案されている。
タイヤのウェット性能とは、例えば、ハイドロプレーニング現象に代表されるように、タイヤと路面間に水が介在することによってタイヤ特性が低下することをいう。従って、タイヤのウェット性能が良好であるとは、タイヤと路面間に水が介在することなく、たとえ水が介在しても、その介在を可能な限り抑えられ、また、この水の介在による影響が小さいことをいう。
一方、路面上に形成された水膜をタイヤが通過するとき、水膜の一部が路面から跳ね上がり、水が飛散する場合がある。このような水跳ねは、濡れた路面を車両が通過したとき引き起こされ、道路の側方にいる人の通行を妨げる場合がある。あるいは、高速道路を走行するトラックやバスに対して隣接する車線を走行中の車両がトラックやバスの水跳ねを被って走行の障害になる場合もある。
このような状況下、タイヤのウェット性能等の路面状態に応じたタイヤ特性を予測、評価する際、膨大なモデルとならず、従来に比べて精度の高い演算結果を得て評価することのできるタイヤ特性予測方法が知られている(特許文献1)。
特許第4152109号公報
当該文献1では、有限要素モデルのタイヤモデルと路面モデルと、この路面モデル上の少なくとも一部分に複数の粒子モデルを配した路面状態再現モデルとが作成される。このタイヤモデルが粒子モデルの配された路面モデル上の領域を踏み込む際、タイヤモデルおよび路面状態再現モデルの変形計算を行う時間ステップ毎にタイヤモデルと粒子モデルとの相互作用の演算を行いながらタイヤモデルおよび路面状態再現モデルの変形計算を行う。この計算結果から、タイヤモデルまたは路面状態再現モデルの所定の特性物理量を算出してタイヤ特性を予測し評価する。
当該文献1では、特性物理量として、路面状態再現モデルがタイヤモデルに作用する揚力、路面モデルがタイヤモデルに作用する路面反力、および路面状態再現モデルにおける粒子モデルの移動位置や流速を算出できるが、タイヤの水跳ね特性に優れたタイヤプロファイル形状を見出すことはできない。
実際に試作したタイヤを装着した車両を用いて実際の水跳ねを行って、タイヤの水はね特性を評価することは可能であるが、水跳ね特性に優れた最適なタイヤプロファイル形状を見出すことは難しい。また、実際のタイヤを作製して車両による試験を行う煩雑な作業を要する。このため、水跳ね特性に優れた最適なタイヤプロファイル形状を効率よく見出すことはできない。
そこで、本発明は、タイヤの水跳ねを抑制するタイヤプロファイル形状を効率よく定めることができるタイヤ設計方法および装置と、上記タイヤ設計方法を実行するプログラムを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、 タイヤの水跳ねを抑制するタイヤプロファイル形状を定めるタイヤ設計方法であって、
水跳ね抑制のためにタイヤのサイド部に設けられる凸部の位置および前記凸部の形状の少なくとも1つの設計変数を、定められた範囲に制限する制約条件を定めるステップAと、
サイド部に前記凸部が設けられたタイヤを再現したタイヤモデルを前記制約条件の下で作成し、さらに、タイヤが接地する路面を再現した路面モデルと、この路面上に設けられる水膜を再現した、複数の微小モデルがお互いに分離可能に含まれる水膜モデルと、を作成するステップBと、
作成された前記タイヤモデルを前記水膜モデルが設けられた前記路面モデル上を転動させることにより前記微小モデルを飛散させるシミュレーションを行うステップCと、
前記微小モデルの飛散状態を表すパラメータを目的関数とし、タイヤの水跳ねを抑制するタイヤプロファイル形状を定めるために、前記目的関数の値が所定の範囲に入る前記設計変数の値を決定するステップDと、を有する。
本発明の他の一態様は、タイヤの水跳ねを抑制するタイヤプロファイル形状を定めるタイヤ設計装置であって、
水跳ねを抑制するためにタイヤのサイド部に設けられる凸部の位置および前記凸部の形状の少なくとも1つの設計変数を、定められた範囲に制限する制約条件を定める設定部と、
サイド部に前記凸部が設けられたタイヤを再現したタイヤモデルを前記制約条件の下で作成し、さらに、タイヤが接地する路面を再現した路面モデルと、この路面上に設けられる水膜を再現した、複数の微小モデルがお互いに分離可能に含まれる水膜モデルと、を作成するモデル作成部と、
作成された前記タイヤモデルを前記水膜モデルが設けられた前記路面モデル上を転動させることにより前記微小モデルを飛散させるシミュレーションを行うシミュレーション演算部と、
前記微小モデルの飛散状態を表すパラメータを目的関数とし、タイヤの水跳ねを抑制するタイヤプロファイル形状を定めるために、前記目的関数の値が所定の範囲に入る前記設計変数の値を決定する設計変数決定部と、を有する。
本発明の更に他の一態様は、
タイヤの水跳ねを抑制するタイヤプロファイル形状の設定を、コンピュータに実行させるプログラムであって、
水跳ねを抑制するためにタイヤのサイド部に設けられる凸部の位置および前記凸部の形状の少なくとも1つの設計変数を、定められた範囲に制限する制約条件を、コンピュータが定める手順と、
サイド部に前記凸部が設けられたタイヤを再現したタイヤモデルを前記制約条件の下でコンピュータが作成し、さらに、タイヤが接地する路面を再現した路面モデルと、この路面上に設けられる水膜を再現した、複数の微小モデルがお互いに分離可能に含まれる水膜モデルと、をコンピュータが作成する手順と、
作成された前記タイヤモデルを前記水膜モデルが設けられた前記路面モデル上を転動させることにより前記微小モデルを、コンピュータが飛散させる手順と、
前記微小モデルの飛散状態を表すパラメータを目的関数とし、タイヤの水跳ねを抑制するタイヤプロファイル形状をコンピュータが定めるために、前記目的関数が所定の範囲に入るような前記設計変数の値をコンピュータが決定する手順と、を有する。
上記態様のタイヤ設計方法、装置およびプログラムは、タイヤの水跳ねを抑制するタイヤプロファイル形状を効率よく定めることができる。上記プログラムは、コンピュータを用いてタイヤ設計方法を効率よく行うことができる。
本実施形態のタイヤ設計方法を実行するタイヤ設計装置の概略の構成を示す図である。 (a)は、タイヤのサイド部に設けられる凸部の形状を説明する図であり、(b)は、タイヤモデルのサイド部に設けられる凸部の形状を説明する図である。 本実施形態のタイヤ設計方法で作成される2次元のタイヤモデルの要部の一例を示す図である。 (a)は、タイヤモデルの転動シミュレーションを説明する図であり、(b)は、転動シミュレーションに用いる水膜モデルを説明する図である。 本実施形態のタイヤ設計方法で用いる粒子モデルを投影する平面を説明する図である。 (a)〜(c)は、タイヤモデルと粒子モデルを用いた水跳ねの状態と評価方法を説明する図である。 図6(c)の方法により得られる種々の包絡線の例を示す図である。 本実施形態のタイヤ設計方法のフローを示すフローチャートである。 図8に示す転動シミュレーションの後処理のフローを示すフローチャートである。 (a)〜(c)は、有限要素モデルおよび本実施形態に用いる粒子モデルの違いを説明する図である。 (a),(b)は、粒子モデルを説明する図である。 本実施形態のタイヤ設計方法で用いる転動シミュレーションの要部の処理フローを示すフローチャートである。 (a)〜(c)は、本実施形態のタイヤ設計方法で用いる転動シミュレーションにおけるタイヤモデルと粒子モデルの相互作用を説明する図である。
以下、本発明のタイヤ設計方法、タイヤ設計装置およびプログラムについて詳細に説明する。
(タイヤ設計装置)
図1は、本実施形態のタイヤ設計装置(以降、設計装置という)10の概略の構成を示す図である。設計装置10は、タイヤの水跳ね特性に優れたタイヤプロファアイル形状を有するタイヤを設計する。水跳ね特性とは、タイヤが路面上の水膜を通過するとき、タイヤ周囲に水が跳ね上がるときの特性である。この特性は、例えば到達距離および到達高さ、あるいは水跳ねする水の密度等を含む。
設計装置10は、水跳ね特性に優れたタイヤプロファイル形状を定めるために、タイヤの水跳ね特性を、タイヤモデルを用いた転動シミュレーションを用いて評価する。具体的には、設計装置10は、作成されたタイヤモデルを、別途作成された複数の粒子モデルがお互いに分離可能に含まれる水膜モデルが設けられた路面モデル上に転動させる転動シミュレーションを行う。このとき、水膜モデル中の粒子モデルがお互いに分離して飛散するので、設計装置10は、この粒子モデルの飛散状態を、1つの平面に投影して、粒子モデルの投影像を用いて、タイヤの水跳ね特性を評価する。設計装置10は、粒子モデルの飛散を抑制するタイヤモデルのタイヤプロファイル形状に基づいてタイヤプロファイル形状を決定する。
設計装置10が設計するタイヤは、例えば乗用車用タイヤあるいは重荷重用(バス、トラック用)タイヤ等が含まれ、タイヤサイズに限定されない。
設計装置10は、CPU12、バス14、メモリ16、および、入出力インターフェース部18を主に有するコンピュータを含む。設計装置10は、入出力インターフェース部18を通して、マウスやキーボード等の入力操作系40と、ディスプレイやプリンタ等の出力装置42と接続されている。設計装置10は、メモリ16に記憶されたプログラムを呼び出して、プログラムを実行することにより、条件設定部20、システム統合部22、モデル作成部24、シミュレーション演算部26、シミュレーション結果処理部28、評価部30、が形成されて、処理モジュール群36が形成される。
条件設定部20は、タイヤモデル、路面モデル、および水膜モデルの作成内容を定めるモデル作成条件を設定する。また、条件設定部20は、水跳ねを抑制するためにタイヤのサイド部に別途設けられる凸部の位置およびこの凸部の形状の少なくとも1つを定める設計変数を定め、さらに、この設計変数の数値を制限する制約条件を定める。さらに、条件設定部20は、後述する粒子モデルの飛散状態を表すパラメータ(粒子モデルの最高高さH、包絡線の路面モデルRMの面への交差位置L、および、包絡線のタイヤモデルTMからの出射角度Φの少なくとも1つ)を目的関数として定めると共に、目的関数の目標数値範囲を定める。また、条件設定部20は、後述するシミュレーション演算部26で行われるタイヤの転動シミュレーションの走行条件等を含むシミュレーション条件を設定する。
条件設定部20における各種条件等の設定は、オペレータがディスプレイ等に表示された入力画面を見ながら、マウスやキーボード等の入力操作系40を用いて入力された内容に応じて、あるいは、予めメモリ16に記憶されているデータを呼び出して、行われる。
システム統合部22は、条件設定部20で設定された条件に基づいて、モデル作成部24、シミュレーション演算部26およびシミュレーション結果処理部28がそれぞれの処理を実行するように指示する。例えば、システム統合部22は、モデル作成部24に対して、タイヤプロファイル形状を定めて、このプロファイル形状を持つタイヤモデルを作成するように指示する。具体的には、タイヤプロファイル形状を定める設計変数の値は、設計変数の値が制約条件を満たすように、制約条件として定められた数値範囲の中で、モンテカルロ法あるいはラテンハイパーキューブ法を用いて定められる。すなわち、タイヤプロファイル形状を定める設計変数の値は、モンテカルロ法あるいはラテンハイパーキューブ法を用いて繰り返し設定される。あるいは、タイヤプロファイル形状を定める設計変数の値は、タイヤプロファイル形状を変更して繰り返し定めるために、実験計画法の直交表を用いて設計変数の値が予め振られてもよい。また、D最適性基準に基づいて設計変数の値が振られてもよい。
さらに、システム統合部22は、繰り返し定められるタイヤプロファイル形状に対する評価部30の評価結果に基づいて、最適な水跳ね特性を有するタイヤモデルの位置および形状の少なくとも1つを定める設計変数の値を決定し、最適な水跳ね特性を有するタイヤプロファイル形状を定める。
モデル作成部24は、システム統合部22の指示に基づいて、複数の要素によりタイヤプロファイル形状を再現した2次元および3次元のタイヤモデルと、タイヤが接地する路面を再現した路面モデルと、路面上に設けられる水膜を再現した水膜モデルと、を作成する。水膜モデルは、複数の粒子モデルが分離可能に含まれる。本実施形態は介在物として水を用いるが、水の代わりに、雪、砂、泥、および砂利等が再現されてもよい。本実施形態では、水、すなわち水膜を介在物の代表として用いる。水膜モデルは、後述するように、粒子法を用いてモデル化された複数の粒子モデルが用いられる。この複数の粒子モデルは、タイヤモデルから受ける外力によってお互いに分離可能な程度の弱い拘束力を有する。
2次元のタイヤモデルは、図2(a)に示すように、タイヤ50のサイド部に点P,Q,Rで定められる凸部52が設けられたタイヤプロファイル形状を再現したモデルである。この場合、実際のタイヤに設けられる凸部52はサイド部から滑らかな円弧等の曲線で突出しているが、タイヤモデルでは、凸部52は、図2(b)に示すように、点P,Q,Rを頂点とする略三角形の凸部として再現される。凸部52は滑らかな曲線でなく、直線で略三角形の凸部に再現されても、水跳ね特性には影響を与えない。
図2(a),(b)には、点P,Q,Rで定まる凸部52の他に、位置および形状が異なる凸部54,56の例が重ね書きされている。凸部54,56は、条件設定部20で定められた点P,Q,Rの位置を表す数値の制約条件を満たすように、システム統合部22で定められる。
なお、凸部52のモデルは、タイヤにおけるトレッド部を基準とした凸部52の立ち上がり位置と、凸部52の先端の位置とを用いて、作成される。具体的には、点P,Q,Rの位置はそれぞれ、タイヤセンターラインCLからの距離L1と、タイヤ最大外径位置を通り、タイヤ幅方向に延びる最大外径線Mからの距離L2で表され、距離L1,L2は、条件設定部20で定められた制約条件を満たす。点Pと点Qと点Rを用いて凸部52の位置と形状が定まる。距離L1,L2を用いることで、点P.Q,Rの位置を効率よく定めることができる。
図3は、モデル作成部24で作成されるタイヤのプロファイル形状を再現した2次元のタイヤモデルTMの要部を一例として示している。モデル作成部24は、このタイヤモデルTMを、タイヤ周方向に1周させて、3次元のタイヤモデルTMを作成する。
図4(a)は、3次元のタイヤモデルTM、路面モデルRMおよび水膜モデルSMを示す斜視図である。
作成されるタイヤモデルTMは、図4(a)に示すような3次元形状をなした有限要素法に基づいたタイヤモデルである。なお、図4(a)に示すタイヤモデルTMでは要素分割するメッシュは表示されていない。
路面モデルRMは、図4(a)に示すような剛体の路面モデルRMあるいは、複数の要素で構成された有限要素モデルである。
水膜モデルSMは、図4(a)に示すように、路面モデルRMのタイヤモデルTMの走行部分の一部に形成されている。
図4(b)は、水膜モデルSMを詳細に説明する図である。
路面モデルRM上の一部分に設けられる水膜モデルSMは、複数の粒子モデルPMを一定の間隔で配したモデルである。モデル作成部24は、水膜モデルSMの作成時、具体的には、水膜を再現した流体モデルとして、図4(b)に示すように、複数の粒子モデルPMをX方向、Y方向、Z方向に一定の間隔で等方状に配列する。モデル作成部24は、例えば、粒子モデルPMの間隔を2.5mm、粒子モデルの総数Nを数万個として、各粒子モデルPMの質量が同じになる様に、等方状に規則的に配置して、例えば、横幅400mm、厚さ10mm、長さ120mmとする水膜モデルSMを作成する。
水膜モデルSMの粒子モデルPMに適用される粒子法については、後述する。
シミュレーション演算部26は、水膜モデルSMが設けられた路面モデルルRM上でタイヤモデルルTMを転動させることにより、水膜モデルルSMの粒子モデルルPMを飛散させる。粒子モデルルPMとタイヤモデル粒子モデルルTMとの相互作用については、後述する粒子法の説明の中で述べる。
シミュレーション結果処理部28は、転動シミュレーション中、飛散した粒子モデルルPMを、路面モデルRMの面に垂直方向に立設した平面に投影する処理を行う。
具体的には、シミュレーション結果処理部28は、タイヤモデルTMが、水膜モデルSM上の通過開始から通過終了までの所定の時間範囲を一定の時間間隔毎に、飛散する粒子モデルPMの像を上記平面に投影する。投影に用いる上記平面は、タイヤモデルTMの中心を通る路面モデルRMの面に垂直方向に立設した面である。転動タイヤモデルTMは、路面モデルRMに対して移動するため、設定された時間毎に上記平面が設けられて、飛散する粒子モデルPMが上記平面に投影される。上記平面は、この平面の法線方向がタイヤモデルTMの移動方向となるように設けられる。この他に、図5に示されるように、上記平面は、路面モデルRMの面に垂直方向に立設した平面であれば、タイヤモデルTMの移動方向に対してどのような方向に傾斜角θをもって傾斜して設けられてもよい。図5は、タイヤモデルTMを路面モデルRMの上方から見た図である。
シミュレーション結果処理部28は、飛散する粒子モデルルPMを平面に投影する処理を、設定された時間間隔毎に行い、粒子モデルルPMの投影画像を時系列に取得する。
評価部30は、上記平面に投影された粒子モデルルPMの投影像を用いて、タイヤの水跳ね特性を評価する。
図6(a)〜(c)は、粒子モデルPMの投影像を用いた水跳ねの評価を行う流れを示す図である。図中、Y方向は、図4(a)に示すように、タイヤモデルTMの移動方向と直交するタイヤ幅方向に該当し、タイヤモデルTMの回転軸に平行な方向である。Z方向は、路面モデルRMの面に垂直な方向である。
まず、図6(a)に示されるように、評価部30は、設定された時間における粒子モデルルPMの投影像毎に、Y方向の予め定められた各位置における粒子モデルルPMのZ方向の最高位置をプロットする。
次に、評価部30は、図6(b)に示されるように、プロットされた点を用いて曲線によるカーブフィットを行う。すなわち、評価部30は、粒子モデルPMの投影像の包絡線の形状を作成する。包絡線は、例えば、多項式によって表される曲線であることが好ましく、多項式は、a・(x−x0) b+c(a,b,c,x0は定数であり、bは自然数)であることが好ましい。多項式a・(x−x0) b+cは、粒子モデルPMの投影像のプロットされた各点を精度良くカーブフィットすることができる。
次に、評価部30は、図6(c)に示されるように、作成された包絡線において、路面モデルRMの面からの最高高さH、包絡線の路面モデルRMの面への交差位置L、および、包絡線のタイヤモデルTMからの出射角度Φを算出する。算出された最高高さH、交差位置Lおよび出射角度Φは、メモリ16に記憶される。
評価部30は、時系列の粒子モデルルPMの投影画像毎に、図6(a)〜(c)に示す処理を行い、最も大きな包絡線を用いて、水跳ね特性を評価する。
評価部30は、最も大きな包絡線の最高高さH、交差位置Lおよび出射角度Φを用いて、他のタイヤにおける対応する最高高さH、交差位置Lおよび出射角度Φと比較することにより、水跳ね特性に関するタイヤの順位付けの評価を行う。また、評価部30は、カーブフィットにより得られた包絡線の形状を描画するために、ディスプレイ、プリンタ等の出力装置22に出力する。
なお、評価部30は最高高さH、交差位置Lおよび出射角度Φの3つを算出して評価に用いるが、最高高さH、交差位置Lおよび出射角度Φの少なくとも1つを算出して評価に用いることもできる。
図7は、評価部30においてカーブフィットにより得られる包絡線の例を示す図である。図7では、転動速度が40km/時と60km/時である2つの走行速度における、タイヤA,Bの包絡線を示している。タイヤA,Bは、凸部52の位置および形状が異なっている。タイヤBはタイヤAに対して、いずれの走行速度においても最高高さHが低いことがわかる。このように、カーブフィットにより得られる包絡線を用いて、水跳ね特性を効率よく、定量的に評価することができる。
また、評価部30は、水跳ね特性の評価として、条件設定部20で設定された目的関数の値が目標数値範囲に含まれるか否かを判定する。評価部30は、システム統合部22が最適な水跳ね特性を有するタイヤプロファイル形状を定める設計変数の値を決定するために、上記判定結果と目的関数の値をシステム統合部22へ送る。
評価部30は、複数の粒子モデルPMが路面モデルRMの面へ落下する位置における粒子モデルPMの密度分布を用いて評価を行ってもよい。例えば、Y方向の各位置において路面モデルRM上に落下する粒子モデルPMの密度分布を求め、この密度分布により水跳ね特性を評価することもできる。例えば、密度が所定値を超えるY方向位置を目的関数として、Y方向位置を目的関数の値として、Y方向位置が目標数値範囲に含まれるか否かを判定すると共に、この判定結果とY方向位置の情報がシステム統合部22に送られてもよい。
なお、設計装置10は、コンピュータを実行させることで上記機能を発揮する装置である。このようなコンピュータのメモリ16には、以下のようなプログラムが記憶され、このプログラムが随時呼び出されて設計装置10として機能する。
すなわち、メモリ16には、タイヤの水跳ねを抑制するタイヤプロファイル形状の設定を、コンピュータに実行させるプログラムが記憶される。
このプログラムは。
水跳ね防止のためにタイヤのサイド部に別途設けられる凸部52の位置および凸部52の形状の少なくとも1つの設計変数を、定められた範囲に制限する制約条件を、コンピュータが定める手順と、
サイド部に凸部52が設けられたタイヤを再現したタイヤモデルTMを制約条件の下でコンピュータが作成し、さらに、タイヤが接地する路面を再現した路面モデルRMと、この路面上に設けられる水膜を再現した、複数の粒子モデルPMがお互いに分離可能に含まれる水膜モデルSMと、をコンピュータが作成する手順と、
作成されたタイヤモデルTMを水膜モデルSMが設けられた路面モデルRM上を転動させることにより粒子モデルPMを、コンピュータが飛散させる手順と、
粒子モデルPMの飛散状態を表すパラメータを目的関数とし、タイヤの水跳ねを抑制するタイヤプロファイル形状を定めるために、目的関数が所定の範囲に入るような設計変数の値をコンピュータが決定する手順と、を有する。
(タイヤ設計方法)
図8は、タイヤの水跳ねを抑制するタイヤプロファイル形状を定めるタイヤ設計方法のフローの一例を示すフローチャートである。
まず、条件設定部20は、オペレータからの入力操作系20を通して入力を受け、この入力に基づいて、各モデルの作成条件が設定される。
次に、モデル作成部24は、メモリ16から呼び出されたモデルの作成条件に応じて、凸部52が設けられていないタイヤモデルTM、路面モデルRM、および、粒子モデルPMが一定間隔で配列された水膜モデルSMを作成する(ステップS10)。
タイヤモデルTMは、例えば2次元モデルである。
路面モデルRMは、剛体モデル、あるいは有限要素により作られた有限要素モデルである。この有限要素モデルには材料定数が付与されている。
水膜モデルSMは粒子モデルPMが図4(b)に示すように層状に形成される。水膜モデルSMは、少なくとも2層以上の粒子モデルPMを有するのが、精度の良い水跳ね特性の評価を得る点で好ましい。なお、粒子モデルPMの挙動を支配する後述する定式化された式中のパラメータの値を変更することにより、水の代わりに、雪、砂、泥、および砂利のいずれか1つを含む介在物を再現することができる。
次に、条件設定部20は、タイヤのサイド部に設ける凸部52の設計変数が定められ、この設計変数の制約条件、すなわち、設計変数の値の許容される範囲を設定する(ステップS20)。例えば、図2(a)に示される点P.Q.Rのそれぞれの距離L1,L2に対して、許容範囲が設定される。設計変数は、点P.Q.Rの代わりに点Pおよび点Qが設定されてもよい。点Pは凸部52の立ち上がり位置の点であり、点Qは凸部52の先端の位置の点である。点Pおよび点Qの位置が設計変数とされることで、水跳ねを抑制する凸部52の位置と形状を効率よく決定することができる。
これにより、システム統合部22は、設定された設計変数の値を制約条件下、凸部52の位置および形状を設定する(ステップS30)。設計変数の値は、モンテカルロ法あるいはラテンハイパーキューブ法で定められる。あるいは、実験計画法により定められる。
さらに、条件設定部20は、図6(c)に示す最高高さH、交差位置Lおよび出射角度Φの少なくともいずれか1つを目的関数として設定する(ステップS40)。
上述のように本実施形態では、ステップS10と、ステップS20およびS30と、ステップS40とは、順番が定められて行われるが、いずれのステップを先に行ってもよい。
次に、システム統合部22は、制約条件の下、凸部52の設計変数の値を設定し、この値をモデル作成部24に送る。モデル作成部24は、予め作成された2次元のタイヤモデルに、システム統合部22からの指示に応じて凸部52が付加される。凸部52は、点P,Q,R間を直線で結ぶことで、凸部52の外形形状が形成される。こうして、付加された凸部52は2次元メッシュ化されて、図3に示すような2次元のモデルが作成される。
この後、モデル作成部24は、2次元のタイヤモデルがタイヤ回転軸を中心に1回転した外形形状に、タイヤ周方向に所定の間隔でメッシュ分割した3次元のタイヤモデルTMを作成する。これにより、モデル作成部24は、2次元のプロファイル形状を有するタイヤモデルを、3次元のタイヤモデルTMに変換する(ステップS50)。このとき、3次元モデルのタイヤモデルTMには、タイヤの構成部材の材料定数、質量およびポアソン比が付与される。
次に、シミュレーション演算部26は、3次元モデルに変換されたタイヤモデルTMに対して走行条件を設定して、タイヤの転動シミュレーションを実行し、粒子モデルPMを飛散させる(ステップS60)。
走行条件は、空気圧、負荷荷重、転動速度、横力、キャンバ角、制駆動力を含む。これらの条件は、予めメモリ16に記憶されており、シミュレーション演算部26から呼び出されて設定される。
タイヤモデルTMの転動シミュレーションでは、タイヤモデルTMに対して空気圧充填処理、接地処理、および転動処理が実行される。
空気圧充填処理では、タイヤモデルTMのタイヤ空洞領域に面する内周面の各節点に、設定された圧力に相当する力が与えられる。
接地処理では、タイヤモデルTMが路面モデルRMに、所定の刻み幅で近づけられて、路面モデルRMとの間での接触の有無が判定される。さらに、接触するときの路面モデルRMからタイヤモデルTMの各節点が受ける力が算出され、この算出した力の合計値が設定された負荷荷重になるまで、タイヤモデルTMが路面モデルRMに近づけられる。
転動処理では、タイヤモデルTMに転動速度0から設定された転動速度まで徐々に速度が付与されることで、設定された転動速度で転動するタイヤモデルTMを作成する。このとき、タイヤモデルTMの各節点に、所定の時間刻み幅と転動速度とによって定まる変位を強制的に与えて回転させることで、路面モデルRM上を転がる転動状態が再現される。この転動処理では、タイヤモデルTMの各節点に路面モデルRMとの間の摩擦係数が与えられ、タイヤモデルTMの路面モデルRMに対する粘着、滑りの状態が再現される。
なお、タイヤモデルTMが水膜モデルSM上を通過するときの、粒子モデルPMとタイヤモデルTMとの相互作用については、後述する。粒子モデルPMは、粒子モデルPMとタイヤモデルTMとの相互作用により、飛散する。
図9は、タイヤモデルTMの転動シミュレーションの後処理のフローを示している。
シミュレーション結果処理部28は、飛散した粒子モデルPMを、設定された時間間隔毎に、路面モデルRMの面に対して垂直方向に立設した平面上に投影する(ステップS62)。上記平面は、タイヤモデルTMの中心を通り、タイヤ幅方向に平行な面であることが、水跳ね特性を精度良く評価する点で好ましい。
次に、評価部30は、飛散する粒子モデルPMの上記平面上の投影像から、図6(a),(b)に示すように、粒子モデルPMの投影像の包絡線を形成する(ステップS64)。具体的には、評価部30は、図6(a)に示されるように、Y方向の各位置における粒子モデルPMの投影像の最高位置をプロットし、このプロットした点を用いて、図4(b)に示すように、多項式で表される曲線、例えば、a・(x−x0) b+c(a,b,c,x0は定数であり、bは自然数)によるカーブフィットを行う。こうして、評価部30は粒子モデルPMの投影像の包絡線を作成する。なお、飛散する粒子モデルPMの上記平面上の投影像は、設定された時間間隔毎に時系列で得られるので、評価部30は、粒子モデルPMの投影像の包絡線のうち最も大きな包絡線を水跳ね特性の評価用として選択する。
次に、評価部30は、選択された包絡線のパラメータ、すなわち、最高高さH、交差位置Lおよび出射角度Φの少なくともいずれか1つの値を、目的関数として抽出する(ステップS66)。
評価部30は、抽出された値が目的関数の目標数値範囲に含まれるか否かを判定する(ステップS70)。評価部30は、判定の結果および目的関数の値をシステム統合部22に送る。
システム統合部22は、判定の結果に応じて、設計変数の値を制約条件の下、変更する(ステップS80)。変更された設計変数の値は、モデル作成部24に送られて、凸部52の位置、形状を設定する(ステップS30)。このように、評価部30において、抽出された値が目的関数の目標数値範囲に含まれまで、ステップS30〜ステップS80が繰り返される。設計変数の値の変更は、モンテカルロ法あるいはラテンハイパーキューブ法を用いて行われる。
システム統合部22は、目的関数の値が目標数値範囲に含まれる場合、最適解として凸部52の位置および形状を決定する(ステップS90)。
さらに、システム統合部22は、タイヤモデルTMのサイド部と位置および形状が決定された凸部52とを滑らかな曲線により接続する(ステップS100)。例えば、図2(b)に示すような三角形形状の凸部52から図2(a)に示すような滑らかな曲線で外観形状が形成された凸部52に修正される。
こうして、システム統合部22は、目的関数が目標数値範囲に入るような設計変数の値を決定し、水跳ねを抑制する最適な凸部52を備えたタイヤのプロファイル形状を作成することができる。
本実施形態のフローでは、ステップS80における設計変数の値をモンテカルロ法やラテンハイパーキューブ法を用いて定めるが、実験計画法の直交表を用いて設計変数の値を予め設定し、ステップS80が行われるたびに予め設定した設計変数の値を順次定めるようにしてもよい。この場合、凸部52の設計変数の制約条件の下、異なる複数のタイヤモデルを定める設計変数の組が予め定められ、設計変数の組により作成される複数のタイヤモデルのそれぞれに対して、転動シミュレーションが行われる。タイヤの水跳ねを抑制する凸部52を含んだタイヤプロファイル形状を定めるとき、目的関数が所定の範囲に入る適正タイヤモデルを、複数のタイヤモデルの目的関数の値を用いて抽出する。具体的には、評価部30は、実験計画法で予め定めた凸部52の位置および形状を持つ複数のタイヤモデルTMをすべて評価し、システム統合部22は、評価部30の評価結果である目的関数の値を凸部52の位置および形状と関連付けた近似関数を作成する。システム統合部22は、作成した近似間数から、水跳ねが最も抑制される凸部52の位置および形状を定める最適解を算出する。
また、本実施形態では、凸部52を設ける前のタイヤのプロファイル形状を固定して、最適な凸部52の位置および形状を決定するが、最適な凸部52の位置および形状を決定する際、凸部52を設ける前のタイヤのプロファイル形状を定める設計変数の一部、例えば、クラウン形状を規定する曲率半径、が設計変数として含まれてもよい。
さらに、タイヤモデルTM、路面モデルRMおよび水膜モデルSMを作成する際、設計装置10は、タイヤを装着する車両のホイールハウスを少なくとも再現した車両モデルを作成し、粒子モデルPMを飛散させる際、タイヤモデルTMを車両モデルに装着してもよい。この場合、飛散した粒子モデルPMが、車両モデルに衝突する状態を調べることもできる。
このように、粒子モデルが設けられた路面モデルをタイヤモデルが転動するとき、粒子モデルの飛散を用いて評価することにより、タイヤモデルTMの水跳ねを抑制する凸部52の位置および形状、ひいては、タイヤプロファイル形状を効率よく定めることができる。
また、本実施形態では、タイヤモデルTMに形成される凸部のモデルが、タイヤにおけるトレッド部を基準とした凸部の立ち上がり位置と、凸部の先端の位置とを用いて作成されるので、最適な水跳ね特性を有する設計変数の値を効率よく求めることができる。
また、本実施形態では、タイヤセンターラインから凸部の先端位置にいたるタイヤ幅方向に沿った離間距離と、トレッド部の最大外径位置から凸部の立ち上がり位置にいたるタイヤ径方向に沿った離間距離と、が制限されるので、タイヤプロファイル形状を定めるタイヤ設計に有効に用いることができる。
また、タイヤモデルTMに形成される凸部のモデルが、凸部の立ち上がり位置と、前記凸部の先端の位置とを直線で結んで形成されるので、簡略化したタイヤモデルTMを用いた粒子モデルPMの飛散の計算を効率よく行うことができる。さらに、凸部の立ち上がり位置と、凸部の先端の位置とを曲線を用いて接続することにより、タイヤプロファイル形状を定めるので、現実的なタイヤプロファイル形状を効率よく定めることができる。
粒子モデルPMの飛散状態を表すパラメータとして、飛散した粒子モデルPMを路面モデルRMの面に垂直方向に立設した平面に投影した投影像から得られる投影像の包絡線を規定するパラメータを用いるので、水跳ね特性を定量的かつ精度良く評価することができる。
このような粒子モデルを用いて、水跳ねを再現するために、以下のような粒子モデルPMを用いることが好ましい。
以下、粒子モデルPM、および粒子モデルPMとタイヤモデルTMの相互作用について説明する。
(粒子モデル)
一般に、有限要素法によって作成されるモデルは、図10(a)に示すように、有限要素の応力や歪み等の物理量の分布を、有限要素を構成する節点の物理量を用いて表現する。一方、図10(b)に示されるように、空間に固定された空間格子内で流体要素(図10(b)中の斜線部分)を移動させ、空間格子で仕切られた領域における物理量を用いて水膜モデルを表現する方法もある。しかし、本実施形態の水膜モデルSMは、図10(c)に示すように、複数の粒子モデルPMで構成し、この粒子モデルPMを一定の間隔で等方状に配列した状態から、後述する移動規定条件の下に粒子モデルPMを移動させて、粒子モデルPMの持つ速度や密度や全エネルギー量を用いて表現する。そのため、従来の方法のように、空間格子や有限要素が設けられない。しかも、粒子モデルPMは、粒子モデル移動規定条件の下に自由に移動するので、大きな移動や飛散を伴う挙動を流体に固定した座標系で記述するLagrangianに基づいて表現しても、数値計算上の適切な解を得ることができる。
このような粒子モデルPMを用いて物理的挙動を演算し予測することは、一般に天文学の分野における圧縮性流れの数値解析法におけるSPH(Smoothed Particle Hydrodynamics)法として公知である(Monaghan,J.J.,Smoothed Particle Hydrodynamics ,Annu.Rev.Astron.Astrophys.vol.30,1992,pp543-574) 。本実施形態は、一定の間隔で等方状に配列した複数の粒子モデルPMからなる水膜モデルSMを用いて、タイヤモデルTMと粒子モデルPMとの相互作用を演算して、粒子モデルPMの飛散を含む移動を計算する。
粒子モデルPMを用いて表す流体の挙動は、公知のように、下記式(1)〜(3)に示す流体の連続の式、運動方程式およびエネルギー方程式の各式を支配方程式として用いて表される。



ここで、ρは流体の密度、Uは流体の速度、σは流体の応力テンソルであり、流体の圧力pとσ=−pI(Iは単位テンソル)の関係にある量、eは単位体積当たりの全エネルギー量である。
一方、流体の持つ速度(流速)等の注目物理量の分布f(x)(xは空間の3次元位置座標を表す)は、下記式(4)に示すように、所定の位置座標x’における注目物理量f(x’)とカーネル関数W(|x−x’|,h)(hはパラメータ)とを用いて求められる近似物理量の分布<f(x)>によって近似することができる。
そこで、このときの粒子モデルPMの位置座標x’における注目物理量f(x’)を、粒子モデルPj の持つ注目物理量fj (jは1以上N以下の自然数で、Nは粒子モデルPの総数)とし、粒子モデルPMの密度ρj と、粒子モデルPMの質量mj とを用いて下記式(5)のように離散化して表すことができる。例えば、流体の速度U(x)について下記式(6)のように表すことができる。

同様に流体の密度ρ(x)および全エネルギー量e(x)も上記式(5)の注目物理量f(x)の替わりに用いて表すことができる。すなわち、上記式(1)〜(3)における流体の速度Uや密度ρや全エネルギー量eを、粒子モデルPMの有する速度Uj や密度ρj を用いた近似速度<U(x)>、近似密度<ρ(x)>、近似全エネルギー量<e(x)>を用いて表すことができる。そこで、上記式(1)〜(3)のU、ρ、eに近似速度<U(x)>、近似密度<ρ(x)>、近似全エネルギー量<e(x)>を代入して下記式(7)〜(9)を求めることができる。iは、複数の粒子モデルPMのうち注目する粒子モデルの番号を指す。以降注目する粒子モデルをPi とする。



ここで、▽Wijは、下記式(10)を表す。

なお、▽は空間微分を表す。また、πijは人工粘性を表し、後述する変形計算において数値上の振動解の発生を抑制し、また異なる粒子モデルPMが衝突する際に互いに相手をすり抜けないように、運動量や全エネルギー量を交換するもので、予め設定されるものである。
このように、速度Uや密度ρや全エネルギー量e等の注目物理量の分布f(x)を粒子モデルPの持つ注目物理量fj を用いて近似することによって定められる式(7)〜(9)が作成される。なお、本実施形態では、粒子モデルPMが式(7)〜(9)をすべて備える必要はなく、式(9)を、粒子モデルPMの移動を規定する粒子モデル移動規定条件として備えた水膜モデルSMのであっても良い。以降では、式(8)を粒子モデル移動規定条件として備えた水膜モデルSMに基づいて説明する。
ここで、カーネル関数W(|x−x’|,h)は、特に限定されないが、|x−x’|/h=νとして、例えば、下記式(11)に示すように、3次のB−スプライン関数を用いるとよい。
式(11)に示す3次のB−スプライン関数をカーネル関数W(|x−x’|,h)として用いると、νが2以上の場合、カーネル関数W(|x−x’|,h)は0となり、νが2未満の場合正の値となるため、式(7)〜(9)に示すように、注目する粒子モデルPi の挙動は、νが2未満の範囲内に位置する粒子モデルPj に依存することになる。すなわち、図11(a)に示すように、粒子モデルPi を中心とする半径2hの球の範囲(この範囲を粒子モデルPi に対応した近傍領域Ri という)内に含まれる粒子モデルPj によって、粒子モデルPiの移動が規定される。この半径2hはスムージングレングスともいう。また、水膜モデルSMでは、図11(b)に示すように、水膜モデルSMの全領域を覆うように、粒子モデルPi のそれぞれの周りに近傍領域Ri が粒子モデルPi のそれぞれに対応して定められる。しかも、この近傍領域Ri 内の速度U等の注目物理量の分布をこの近傍領域Ri に含まれる粒子モデルPj の持つ速度Uj 等の注目物理量を用いて近似することによって定められる、粒子モデルPi の移動を規定する速度Ui 等に関する方程式(式(7)〜(9))を備える。このような複数の粒子モデルPMから構成される水膜モデルSMによって水膜が再現される。
(タイヤモデルと粒子モデルとの相互作用の計算)
次に、タイヤモデルTMと複数の粒子モデルPMとの相互作用の演算を説明する。
具体的には、タイヤモデルTMの変形計算と複数の粒子モデルPMの移動の計算が、互いのモデルが及ぼす相互作用を考慮して行われる。これらの計算、すなわち、タイヤモデルTMの変形計算、粒子モデルPMの変形計算、およびタイヤモデルTMと複数の粒子モデルPとの相互作用の演算は、所定の時間間隔毎の時間ステップ毎に逐次行われる。具体的には、タイヤモデルTMが水膜モデルSM上の通過を開始する直前のタイヤモデルTMの各要素の応力や速度や加速度等の物理量が取り出され、この物理量を初期条件として、粒子モデルPMに速度が与えられる。
図12は、転動シミュレーションの要部の処理フローを示すフローチャートである。
まず、それぞれの粒子モデルPMの位置が既知の状態にある、時刻T(n) の時間ステップにおいて、粒子モデルPM各々のスムージングレングスの設定、すなわち、上記半径2hの球の範囲(近傍領域Ri ) を粒子モデルPi のそれぞれについて設定し(ステップS200)、近傍領域Ri に含まれる近接する粒子モデルPj を探索し求める(ステップS202)。この後、近接する粒子モデルPj の数に基づいて粒子モデルPi における密度ρi を算出するとともに、近傍領域Ri における歪みや歪み速度を粒子モデルPj の位置および速度を用いて算出する(ステップS204)。この後、粒子モデルPi における密度ρi から水を支配する状態方程式と等温変化の条件とを用いて粒子モデルPi にかかる圧力を求める。具体的には、密度に比例する形で粒子モデルPi にかかる圧力を算出する。さらに、粒子モデルPi のそれぞれの有する運動エネルギーおよび歪みエネルギーを算出する(ステップS206)。算出される粒子モデルPi における圧力をpとすると式(8)中のσi とσi =−pI(Iは単位テンソル)の関係があり、この関係を用いて、後述する粒子モデルPMの移動の計算において用いられる。さらに、粒子モデルPMの移動の計算において粘性を考慮する場合、近傍領域Ri における歪み速度から粒子モデルPi における粘性応力が求められ、式(8)中のσi に加えられる。これにより、雪、砂、泥、および砂利の介在物の挙動を再現することができる。なお、近傍領域Ri が粒子モデルPj を全く含まない場合、式(8)中のmjは0となり右辺は0となる。
一方、粒子モデルPMと同時刻T(n) におけるタイヤモデルTMの各有限要素における歪みが算出され(ステップS208)、さらに、タイヤモデルTMの各有限要素における応力、運動エネルギーや歪みエネルギーが算出される(ステップS210)。次に、時刻T(n) が予め定められた経過時刻を経過しているか否かが判断され(ステップS212)、予め定められた経過時刻を経過していないと判断した場合、時刻T(n) を時刻T(n+1) とし、タイヤモデルTMと粒子モデルPMの相互作用の演算(ステップS214)と、粒子モデルPMの移動の計算(水膜モデルSMの変形計算)(ステップS216)と、タイヤモデルTMの変形計算(ステップS218)とが行われる。ステップS212において時刻T(n) が予め定められた経過時刻を経過している場合、相互作用の計算は終了する。このようにして、予め定められた経過時刻までステップS200〜210、ステップS214〜218が繰り返される。
図13(a)〜(c)は、粒子モデルP2 における近傍領域Ri に含まれる粒子モデルPMが粒子モデルP1 、P3 であり、粒子モデルP2 がタイヤモデルTMと接触して、速度U2 で移動する例を示している。この例に沿って説明すると、時刻T(1) の時間ステップにおいて速度uを有して移動するタイヤモデルTMが粒子モデルP2 と接触する直前の状態(図13(a))から、時刻T(2) の時間ステップにおいて粒子モデルP2 が一旦タイヤモデルTMの内部に位置する状態(図13(b))に変化し、さらに、時刻T(3) の時間ステップにおいて粒子モデルP2 がタイヤモデルTMの外部に位置して移動する状態(図13(c))に変化するように、相互作用の演算(ステップS214)と、粒子モデルPの移動計算(ステップS216)と、タイヤモデルの変形計算(ステップS218)と、が行われる。
まず、時刻T(2) の時間ステップにおける粒子モデルPMに対してステップS200〜ステップS206の処理が行われるとともに、タイヤモデルTMに対してステップS208、ステップS210の処理が行われる。時刻T(2) が所定の経過時刻を経過しない時刻であるとステップS212において判断された場合、時刻T(2) の時間ステップの状態から時刻T(3) の時間ステップの状態へ移行する際のタイヤモデルTMと粒子モデルPMの相互作用の演算が行われる(ステップS214)。相互作用の演算では、まず、粒子モデルPMがタイヤモデルTMの内部に進入しているか否かが、粒子モデルPMの各々について判別される。粒子モデルP2 がタイヤモデルTM内部に進入したと判別されると、この状態の粒子モデルP2 が時刻T(3) の時間ステップにおいてタイヤモデルTMの外部に位置するように、図13(b)のようにタイヤモデルTMの内部に進入した粒子モデルP2 の進入量に応じた相互作用エネルギー項を算出し、この項が粒子モデルP2 に関する式(8)に付加される。
この後、相互作用エネルギー項が付加された粒子モデルP2 に関する式(8)および相互作用エネルギー項が付加されていない粒子モデルP1 、P3 に関する式(8)を後述する差分スキームを用いて解き、粒子モデルP1 〜P3 の加速度を求め、速度および位置を算出する。これによって、時刻T (2)の時間ステップにおける粒子モデルPの移動の計算が行われ(ステップS216)、時刻T(3) の時間ステップにおける粒子モデルPMの移動の状態が算出される。一方、タイヤモデルTMには、粒子モデルP2 に付与される相互作用エネルギー項の反作用として、相互作用エネルギー項が付与されるため、この相互作用エネルギー項の付与された、時刻T(2) の時間ステップにおけるタイヤモデルTMの変形計算が行われ(ステップS218)、時刻T(3) の時間ステップにおけるタイヤモデルTMの変形状態が算出される。相互作用エネルギー項は粒子モデルP2がタイヤモデルTMに与える衝突圧力である。こうして算出された時刻T(3) の時間ステップにおける粒子モデルPMに対してステップS200〜S206の処理が行われるとともに、タイヤモデルTMに対してステップS208、ステップS210の処理が行われた後、ステップ212の判断が行われる。このようにして、所定の経過時刻を経過するまで、時間ステップ毎にタイヤモデルTMと粒子モデルPMの相互作用の演算と粒子モデルPMの移動の計算とタイヤモデルTMの変形計算が繰り返され、ステップS212で判断結果が肯定されると相互作用の計算は終了する。
なお、本実施形態では、粒子モデルPMの飛散の挙動を計算するので、相互作用の計算が終了した後も、粒子モデルPMの移動の計算は続行される。
なお、式(8)における時間微分の方程式は、中心差分による時間積分スキームを用いた解法を用いて解かれ、速度Ui が計算される。すなわち、下記式(12)のような差分スキームをとり、Ui n+1/2 (第n時間ステップと第(n+1)時間ステップとの間の中間の速度)から、下記式(13)を用いて第(n+1)時間ステップにおける粒子モデルPi の変位量di n+1 が求められる。さらに、変位量di n+1 が下記式(14)を用いて初期状態における位置座標xi 0 に加算されて、第(n+1)時間ステップにおける粒子モデルPi の位置座標xi n+1 が求められる。Δtn は、第n時間ステップにおける時間ステップの時間間隔である。時間ステップが一定の時間間隔毎のステップの場合、Δtn はnに関わらず、すべて一定である。こうして、各粒子モデルPMの位置座標が求められる。


なお、次の時間ステップにおいてタイヤモデルTM内に進入する粒子モデルPi が有るか否かを判別し、進入した粒子モデルPi に対して相互作用エネルギー項を式(8)に与えて、次の時間ステップで粒子モデルPi のタイヤモデルTM外に移動させる上述の方法の他に、粒子モデルPi のタイヤモデルTM内への進入が発生しない様に、粒子モデルPi の移動を計算する際、タイヤモデルTMの表面形状をラグランジェの未定定数法における拘束条件として付加し、この未定定数を求める方法を利用してもよい。この場合、数値として求まる未定定数が粒子モデルPi の進入を阻止する粒子モデルPMのタイヤモデルTMへの衝突圧力となる。
以上のようにして、タイヤモデルTMの変形計算および粒子モデルPMの移動の計算が行われる。なお、本実施形態では、タイヤモデルTMに並進速度と並進速度に応じた回転速度を与えて、タイヤモデルTMが路面モデルRMに対して滑りがない(滑り率0)転動状態を演算するが、タイヤモデルTMの滑り率が0でない状態を演算してもよい。
粒子法は、上記SPH法の他に、RKPM法(Reproducing Kernel Particle Method) や有限粒子法(Finite Particle Method)およびEFGM(Element Free Galerkin Method)法を含む。
あるいは、粒子法による粒子モデルを用いる代わりに、粒状体や水等の流体を複数の粒子モデルPMでモデル化し、複数の粒子モデルPM間を単純なばねやダッシュポット等で結合しあるいは粒子モデルPM間同士の接触を摩擦力を用いて表す方法(DEM:Discrete Element Method )を粒子モデルPMに適用することもできる。
このように、本実施形態の設計装置10および評価方法では、タイヤモデルTMが水を再現した粒子モデルPMを飛散させる際、路面モデルRMの面に垂直方向に立設した平面に粒子モデルPMを投影し、投影された粒子モデルPMの投影像を用いるので、タイヤの水跳ね特性を効率よく、かつ定量的に評価することができる。
このように、本実施形態の設計装置10およびタイヤ設計方法では、タイヤモデルTMを水膜モデルSMが設けられた路面モデルRM上を転動させることにより粒子モデルPMを飛散させるシミュレーションを行い、このシミュレーションにより得られた粒子モデルPMの飛散状態を表すパラメータを目的関数とし、この目的関数の値が所定の範囲に入るタイヤモデルのプロファイル形状に基づいて、タイヤの水跳ねを抑制するタイヤプロファイル形状を定める。このため、タイヤの水跳ねを抑制するタイヤプロファイル形状を効率よく定めることができる。
以上、本発明のタイヤ設計方法、タイヤ設計装置、およびプログラムについて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
10 タイヤ設計装置
12 CPU
14 バス
16 メモリ
18 入出力インターフェース部
20 条件設定部
22 システム統合部
24 モデル作成部
26 シミュレーション演算部
28 シミュレーション結果処理部
30 評価部
36 処理モジュール群
40 入力操作系
42 出力装置

Claims (9)

  1. タイヤの水跳ねを抑制するタイヤプロファイル形状を定めるタイヤ設計方法であって、
    水跳ね抑制のためにタイヤのサイド部に設けられる凸部の位置および前記凸部の形状の少なくとも1つの設計変数を、定められた範囲に制限する制約条件を定めるステップAと、
    サイド部に前記凸部が設けられたタイヤを再現したタイヤモデルを前記制約条件の下で作成し、さらに、タイヤが接地する路面を再現した路面モデルと、この路面上に設けられる水膜を再現した、複数の微小モデルがお互いに分離可能に含まれる水膜モデルと、を作成するステップBと、
    作成された前記タイヤモデルを前記水膜モデルが設けられた前記路面モデル上を転動させることにより前記微小モデルを飛散させるシミュレーションを行うステップCと、
    前記微小モデルの飛散状態を表すパラメータを目的関数とし、タイヤの水跳ねを抑制するタイヤプロファイル形状を定めるために、前記目的関数の値が所定の範囲に入る前記設計変数の値を決定するステップDと、を有することを特徴とするタイヤ設計方法。
  2. 前記ステップBでは、前記タイヤモデルに形成される前記凸部のモデルが、前記タイヤにおける前記トレッド部を基準とした前記凸部の立ち上がり位置と、前記凸部の先端の位置とを用いて作成される、請求項1に記載のタイヤ設計方法。
  3. 前記制約条件として、タイヤセンターラインから前記凸部の先端位置にいたるタイヤ幅方向に沿った離間距離と、前記トレッド部の最大外径位置から前記凸部の立ち上がり位置にいたるタイヤ径方向に沿った離間距離と、が制限される、請求項1または2に記載のタイヤ設計方法。
  4. 前記ステップBでは、前記タイヤモデルに形成される前記凸部のモデルが、前記凸部の立ち上がり位置と、前記凸部の先端の位置とを直線で結んで形成され、
    前記ステップDでは、前記凸部の立ち上がり位置と、前記凸部の先端の位置とを曲線を用いて接続することにより、タイヤプロファイル形状を定める、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ設計方法。
  5. 前記ステップCにおける前記微小モデルの飛散状態を表すパラメータは、前記飛散した前記微小モデルを前記路面モデルの面に垂直方向に立設した平面に投影した投影像から得られる前記投影像の包絡線を規定するパラメータである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のタイヤ設計方法。
  6. 前記ステップDにおいて前記目的関数の値が所定の範囲に入らないとき、前記タイヤモデルの前記設計変数を前記制約条件の下で変更することにより、新たなタイヤモデルが作成されて前記ステップCおよび前記ステップDが再度行われる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のタイヤ設計方法。
  7. 前記ステップBでは、前記制約条件の下、異なる複数のタイヤモデルを定める設計変数の組みが予め作成され、
    前記ステップCでは、前記複数のタイヤモデルのそれぞれについて前記シミュレーションが行われ、
    前記ステップDでは、前記目的関数が所定の範囲に入る適正タイヤモデルを前記複数のタイヤモデルの前記目的関数の値を用いて抽出することにより、タイヤの水跳ねを抑制するタイヤプロファイル形状が定められる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のタイヤ設計方法。
  8. タイヤの水跳ねを抑制するタイヤプロファイル形状を定めるタイヤ設計装置であって、
    水跳ねを抑制するためにタイヤのサイド部に設けられる凸部の位置および前記凸部の形状の少なくとも1つの設計変数を、定められた範囲に制限する制約条件を定める設定部と、
    サイド部に前記凸部が設けられたタイヤを再現したタイヤモデルを前記制約条件の下で作成し、さらに、タイヤが接地する路面を再現した路面モデルと、この路面上に設けられる水膜を再現した、複数の微小モデルがお互いに分離可能に含まれる水膜モデルと、を作成するモデル作成部と、
    作成された前記タイヤモデルを前記水膜モデルが設けられた前記路面モデル上を転動させることにより前記微小モデルを飛散させるシミュレーションを行うシミュレーション演算部と、
    前記微小モデルの飛散状態を表すパラメータを目的関数とし、タイヤの水跳ねを抑制するタイヤプロファイル形状を定めるために、前記目的関数の値が所定の範囲に入る前記設計変数の値を決定する設計変数決定部と、を有することを特徴とするタイヤ設計装置。
  9. タイヤの水跳ねを抑制するタイヤプロファイル形状の設定を、コンピュータに実行させるプログラムであって、
    水跳ねを抑制するためにタイヤのサイド部に設けられる凸部の位置および前記凸部の形状の少なくとも1つの設計変数を、定められた範囲に制限する制約条件を、コンピュータが定める手順と、
    サイド部に前記凸部が設けられたタイヤを再現したタイヤモデルを前記制約条件の下でコンピュータが作成し、さらに、タイヤが接地する路面を再現した路面モデルと、この路面上に設けられる水膜を再現した、複数の微小モデルがお互いに分離可能に含まれる水膜モデルと、をコンピュータが作成する手順と、
    作成された前記タイヤモデルを前記水膜モデルが設けられた前記路面モデル上を転動させることにより前記微小モデルを、コンピュータが飛散させる手順と、
    前記微小モデルの飛散状態を表すパラメータを目的関数とし、タイヤの水跳ねを抑制するタイヤプロファイル形状をコンピュータが定めるために、前記目的関数が所定の範囲に入るような前記設計変数の値をコンピュータが決定する手順と、を有することを特徴とするプログラム。
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