JP2001124667A - 空気入りタイヤの設計方法、タイヤ用加硫金型設計方法、タイヤ用加硫金型製造方法、空気入りタイヤの製造方法、最適化解析装置及びタイヤの最適化解析プログラムを記憶した記憶媒体 - Google Patents

空気入りタイヤの設計方法、タイヤ用加硫金型設計方法、タイヤ用加硫金型製造方法、空気入りタイヤの製造方法、最適化解析装置及びタイヤの最適化解析プログラムを記憶した記憶媒体

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JP2001124667A
JP2001124667A JP30316499A JP30316499A JP2001124667A JP 2001124667 A JP2001124667 A JP 2001124667A JP 30316499 A JP30316499 A JP 30316499A JP 30316499 A JP30316499 A JP 30316499A JP 2001124667 A JP2001124667 A JP 2001124667A
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tire
model
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performance
value
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Makoto Ishiyama
誠 石山
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Original Assignee
Bridgestone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 排水性、雪上性能、騒音性能等の流体を介す
る実際に使用するタイヤ性能の予測をしながらタイヤの
設計・開発を高効率化する。 【解決手段】 タイヤ設計案からタイヤモデル、流体モ
デルを作成し、路面モデル作成と共に摩擦係数μの選択
で路面状態を入力し、タイヤ転動時またはタイヤ非転動
時の境界条件を設定し、設計変数及び制約条件を定め
(100〜104)、設計変数を単位量Δri 変化させ
たモデルを求め(106〜110)、タイヤモデル変形
計算、流体計算及び境界条件を求めてタイヤ性能予測し
(112)、目的関数及び制約条件の値、設計変数毎に
感度を演算し、タイヤ性能予測しつつ制約条件を考慮し
ながら目的関数の値を最大にする設計変数の変化量の予
測値を求め、目的関数の値が収束するまで繰り返す(1
14〜124)。目的関数の値が予測値に収束したとき
の設計変数に基づいてタイヤの形状を決定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気入りタイヤの
設計方法、タイヤ用加硫金型設計方法、タイヤ用加硫金
型製造方法、空気入りタイヤの製造方法、最適化解析装
置及びタイヤの最適化解析プログラムを記憶した記憶媒
体に関するもので、特に、タイヤの単一目的性能、二律
背反性能等を達成するタイヤの構造、形状等の設計開発
を効率的にかつ容易にし、しかもタイヤのベストな構
造、形状を求めかつコスト・パーフォーマンスの高いタ
イヤを設計することができる空気入りタイヤの設計方
法、タイヤ用加硫金型設計方法、タイヤ用加硫金型製造
方法、空気入りタイヤの製造方法、最適化解析装置及び
タイヤの最適化解析プログラムを記憶した記憶媒体に関
する。
【0002】
【従来の技術】タイヤの設計は、実験及び計算機を用い
た数値実験の繰り返しによる経験則から成り立ってい
た。このため、開発に必要な試作・試験の件数が膨大な
ものとなり、開発コストがアップし、開発期間もなかな
か短縮できなかった。
【0003】このタイヤの設計にはタイヤの構造、形
状、パターン設計等があり、タイヤの構造、形状、パタ
ーン設計は、目的とするタイヤの性能を得るための構
造、形状、パターンや製造条件等を求めることである。
このタイヤの性能とは計算や実験によって求められる物
理量または実車フィーリング評価結果である。従来のタ
イヤの構造、形状、及びパターン設計等のタイヤ設計方
法は、実験及び計算機を用いた数値実験の繰り返しによ
る試行錯誤的な経験則から成り立っていた。このため、
開発に必要な試作・試験の件数が膨大なものとなり、開
発コストがアップし、開発期間もなかなか短縮できなか
った。
【0004】これを解決する手段として数理計画法や、
遺伝的アルゴリズムを用いた最適化法等のように、最適
解を求める技術が提案されてきた。この数理計画法に関
連するものとして、本出願人も既に出願済の国際公開番
号:WO94/16877に記載された設計方法を提案してい
る。
【0005】最適解を求めることは山登りにたとえられ
る。この時、山の高度は性能に関係しているので、最適
解は山の頂上に相当する。目的関数が単純な場合にはそ
の設計空間(山の形)はピークが一つの山型であるの
で、数理計画法をベースにした最適化手法で最適解を求
めることができる。
【0006】ところで、空気入りタイヤ開発において、
考慮すべきタイヤ性能は実際にタイヤを設計・製造し、
自動車に装着して性能試験を行うことにより得られるも
のであり、性能試験の結果に満足できなければ設計・製
造からやり直す、という手順を踏んできた。最近では、
有限要素法等の数値解析手法や計算機環境の発達によ
り、タイヤ内圧充填状態やタイヤ非転動時の荷重負荷状
態等が計算機で予測できるようになり、この予測から幾
つかの性能予測が行えるようになってきたが、排水性や
雪上性能、及び騒音性能等のように、流体の挙動からタ
イヤ性能が定まるものについては、これまで計算を行う
ことができなかった。このため、タイヤ性能予測が行え
ず、タイヤ開発を効率的に行うことができないのが現状
である。
【0007】計算機を用いて、タイヤの排水性、特にハ
イドロプレーニングに関して、スムースタイヤ(溝無し
タイヤ)と周方向溝のみを配置したタイヤについて解析
を試みた技術文献がある("Tire Science and Technolo
gy, TSTCA, Vol.25, No.4, October-December, 1997, p
p.265-287")。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のタイヤの排水性の考慮では、スムースタイヤ
と周方向溝のみを配置したタイヤについてのみ解析を試
みたものであり、実際のタイヤにおいて排水性に大きく
関与しているタイヤ周方向と交差する傾斜溝を有するパ
ターン付きタイヤについて、また、タイヤ接地時及び回
転時の流体をどのように流動状態に近づけ、過渡的解析
を可能にするかについては言及されていない。すなわ
ち、実際のタイヤに対して実際の環境を想定した解析へ
の考慮がなされていない。
【0009】また、タイヤの設計開発ではある性能につ
いて目標値を定め、この目標値をクリアすれば一応終了
とされ、与えられた資源で最良の性能を得るものではな
かった。また、タイヤの設計とタイヤの性能試験とは独
立して行われており、タイヤの開発が試作・試験の試行
錯誤の繰返しで行われるため、非常に非効率であった。
【0010】本発明は、上記事実を考慮して、排水性、
雪上性能、騒音性能等の流体を介する実際に使用するタ
イヤ性能の予測をしながら高効率化のタイヤの設計・開
発が可能な空気入りタイヤの設計方法、タイヤ用加硫金
型設計方法、タイヤ用加硫金型製造方法、空気入りタイ
ヤの製造方法、最適化解析装置及びタイヤの最適化解析
プログラムを記憶した記憶媒体を得ることが目的であ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者等は種々検討を加えた結果、異分野に利用
されている「最適化設計手法」をタイヤと言う特殊分野
に応用することに着目し、あらゆる検討を試み、最適化
の過程でタイヤの性能予測、すなわち排水性、雪上性
能、騒音性能など流体を介する実際に使用するタイヤ性
能を予測し、特にタイヤ接地時及び回転時の流体をどの
ように流動状態に近づけ、過渡的解析を可能して、タイ
ヤ開発を効率化し、良好な性能のタイヤの提供を容易に
するため、具体的にそれをタイヤ設計方法として確立し
たものである。
【0012】詳細には、請求項1に記載の発明の空気入
りタイヤの設計方法は、空気入りタイヤの設計方法であ
って、(a)内部構造を含むタイヤ断面形状を少なくと
も含みかつ接地及び転動の少なくとも一方により変形を
与えることが可能なパターン形状を有するタイヤモデル
と、流体で一部または全部が満たされかつ前記タイヤモ
デルの少なくとも一部と接触する流体モデルと、タイヤ
性能評価用物理量を表す目的関数と、タイヤのパターン
形状を決定する設計変数と、タイヤ断面形状、タイヤ構
造、パターン形状、性能評価用物理量及びタイヤ寸度の
少なくとも1つを制約する制約条件と、を定めるステッ
プ、(b)前記タイヤモデルの変形状態及び前記流体モ
デルの擬似流動状態の少なくとも一方の状態となる場合
のタイヤモデル及び流体モデルの少なくとも一方のモデ
ルに生じる物理量によりタイヤ性能を予測するステッ
プ、(c)予測したタイヤ性能及び制約条件を考慮しな
がら目的関数の最適値を与える設計変数の値を求めるス
テップ、(d)目的関数の最適値を与える設計変数に基
づいてタイヤを設計するステップ、の各ステップを含ん
でいる。
【0013】請求項2の発明は、請求項1に記載の空気
入りタイヤの設計方法であって、前記ステップ(b)
は、(e)前記タイヤモデルの変形計算を実行するステ
ップ、(f)前記流体モデルの流動計算を実行するステ
ップ、(g)前記ステップ(e)での変形計算後のタイ
ヤモデルと、前記ステップ(f)での流動計算後の流体
モデルとの境界面を認識し、認識した境界面に関する境
界条件をタイヤモデル及び流体モデルに付与しかつ、前
記流体モデルが擬似流動状態となるまで計算させるステ
ップ、(h)前記ステップ(e)またはステップ(f)
におけるタイヤモデル及び流体モデルの少なくとも一方
のモデルに生じる物理量を求めるステップ、(i)前記
物理量によりタイヤ性能を予測するステップ、を含むこ
とを特徴とする。
【0014】請求項3の発明は、請求項1または2に記
載の空気入りタイヤの設計方法であって、前記ステップ
(a)は、流体モデルと接する路面モデルをさらに定め
たことを特徴とする。
【0015】請求項4の発明は、請求項2または3に記
載の空気入りタイヤの設計方法であって、前記ステップ
(e)は、所定時間だけ繰返し計算することを特徴とす
る。
【0016】請求項5の発明は、請求項2乃至請求項4
の何れか1項に記載の空気入りタイヤの設計方法であっ
て、前記ステップ(f)は、一定時間だけ繰返し計算す
ることを特徴とする。
【0017】請求項6の発明は、請求項2乃至請求項5
の何れか1項に記載の空気入りタイヤの設計方法であっ
て、前記ステップ(g)は、予め定めた時間だけ繰返し
計算することを特徴とする。
【0018】請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6
の何れか1項に記載の空気入りタイヤの設計方法であっ
て、前記タイヤモデルを転動させる場合には、前記ステ
ップ(a)において、内圧充填時及び荷重計算時の計算
を施すと共に、回転変位または速度或いは直進変位また
は速度を付与したタイヤモデルを定めることを特徴とす
る。
【0019】請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7
の何れか1項に記載の空気入りタイヤの設計方法であっ
て、前記タイヤモデルを転動させる場合には、前記ステ
ップ(a)において、前記流体モデルの上面では流体が
自由に流出しかつ、前記流体モデルの上面以外の他面で
は流体が流入及び流出しないことを表す流入流出条件を
前記流体モデルに付与することを特徴とする。
【0020】請求項9の発明は、請求項1乃至請求項7
の何れか1項に記載の空気入りタイヤの設計方法であっ
て、前記タイヤモデルを転動させない場合には、前記ス
テップ(a)において、内圧充填時の計算を施すと共
に、該計算後に荷重計算を施したタイヤモデルを定める
ことを特徴とする。
【0021】請求項10の発明は、請求項1乃至請求項
7の何れか1項または請求項9に記載の空気入りタイヤ
の設計方法であって、前記タイヤモデルを転動させない
場合には、前記ステップ(a)において、前記流体モデ
ルの前面では流体が進行速度で流入し、前記流体モデル
の後面及び上面では流体が自由に流出し、前記流体モデ
ルの側面及び下面では流体が流入及び流出しないことを
表す流入流出条件を前記流体モデルに付与することを特
徴とする。
【0022】請求項11の発明は、請求項1乃至請求項
10の何れか1項に記載の空気入りタイヤの設計方法で
あって、前記タイヤモデルは、部分的にパターンを有す
ることを特徴とする。
【0023】請求項12の発明は、請求項1乃至請求項
11の何れか1項に記載の空気入りタイヤの設計方法で
あって、前記路面モデルは、DRY、WET、氷上、雪
上、及び非舗装の少なくとも1つの路面状態を表す摩擦
係数μを選択することによって路面状態を定めることを
特徴とする。
【0024】請求項13の発明は、請求項2乃至請求項
12の何れか1項に記載の空気入りタイヤの設計方法で
あって、前記ステップ(g)において、前記タイヤモデ
ルと流体モデルの干渉部分を生じさせ、当該干渉部分を
認識し、タイヤモデル表面を境界面として、前記流体モ
デルを流体要素で分割することを特徴とする。
【0025】請求項14の発明は、請求項1乃至請求項
13の何れか1項に記載の空気入りタイヤの設計方法で
あって、前記流体モデルは、少なくとも水を含み、前記
物理量としてタイヤモデルに付与されるエネルギを用
い、前記タイヤ性能としてハイプレ性能を予測すること
を特徴とする。
【0026】請求項15の発明は、請求項1乃至請求項
13の何れか1項に記載の空気入りタイヤの設計方法で
あって、前記流体モデルは、少なくとも水を含み、前記
物理量として流体モデルの圧力、流量、及び流速の少な
くとも1つを用い、前記タイヤ性能としてハイプレ性能
を予測することを特徴とする。
【0027】なお、前記空気入りタイヤの設計方法で
は、前記流体モデルは、水及び雪の少なくとも1つを含
み、前記物理量としてタイヤモデルの氷路面及び雪路面
の少なくとも一方の路面での接地面積、接地圧、及び剪
断力の少なくとも1つを用い、前記タイヤ性能としてタ
イヤ氷雪上性能を予測することもできる。
【0028】また、前記空気入りタイヤの設計方法で
は、前記流体モデルは、水及び雪の少なくとも1つを含
み、前記物理量として流体モデルの氷路面及び雪路面の
少なくとも一方での流体モデルの圧力、流量、及び流速
の少なくとも1つを用い、前記タイヤ性能としてタイヤ
氷雪上性能を予測することもできる。
【0029】また、前記空気入りタイヤの設計方法で
は、前記流体モデルは、少なくとも空気を含み、前記物
理量として流体モデルの圧力、流量、流れ速度、エネル
ギー、及びエネルギー密度の少なくとも1つを用い、前
記タイヤ性能としてタイヤ騒音性能を予測することもで
きる。
【0030】請求項16の発明は、請求項1の空気入り
タイヤの設計方法であって、前記ステップ(c)では、
設計変数の単位変化量に対する目的関数の変化量の割合
である目的関数の感度及び設計変数の単位変化量に対す
る制約条件の変化量の割合である制約条件の感度に基づ
いて制約条件を考慮しながら目的関数の最適値を与える
設計変数の変化量を予測すると共に、設計変数を予測量
に相当する量変化させたときの目的関数の値及び設計変
数を予測量に相当する量変化させたときの制約条件の値
を演算し、予測値と演算値とに基づいて、制約条件を考
慮しながら目的関数の最適値を与える設計変数の値を求
めることを特徴とする。
【0031】請求項17の発明は、請求項1に記載の空
気入りタイヤの設計方法であって、前記設計変数は、ラ
グ溝及びリブ溝の少なくとも一方の形状を表すラインの
形状を表す関数、並びにパターンの溝の配置、陸部の配
置、溝の深さ、溝の幅、及び溝の角度の少なくとも1つ
を含むことを特徴とする。
【0032】なお、前記設計変数は、カーカスライン、
折り返しプライライン、タイヤ外面形状を表すライン、
タイヤクラウン形状を表すライン、及び補強材ラインの
少なくとも1つのラインの形状を表す関数と、ビードフ
ィラーのゲージ分布、ゴムチェーファーのゲージ分布、
サイドゴムのゲージ分布、トレッドゴムのゲージ分布、
トレッドベースゴムのゲージ分布、内面補強ゴムのゲー
ジ分布、ベルト間ゴムのゲージ分布、及びベルトエンド
ゴムのゲージ分布の少なくとも1つのタイヤゴム部材の
ゲージ分布を表す変数と、各ベルト層の角度、幅、コー
ド種類、及び打ち込み密度の少なくとも1つのベルト部
の構造を表す変数と、ブロックの形状及びサイプの位
置、本数、及び長さの少なくとも1つのパターンの形状
を表す変数と、の少なくとも1つを含むことができる。
【0033】本発明では、まず、これから評価するタイ
ヤの設計案(タイヤ形状・構造・材料・パターンの変更
など)の性能を予測するため、タイヤ設計案を数値解析
上のモデルに落とし込む。すなわち、数値解析が可能な
タイヤモデル(数値解析モデル)を作成する。更に、目
標性能に関わる流体及び路面のモデル化を行い、流体モ
デル及び路面モデル(数値解析モデル)を作成し、タイ
ヤ、流体、路面の3 者を同時に考慮した数値解析を行
い、目標性能について数値予測する。この予測結果から
タイヤ設計案の可否を判定することができ、結果良好な
ら設計案を採用、もしくは更にこの設計案のさらなる性
能評価向上が可能となる。これらの手順であれば、タイ
ヤを製造して性能評価をする回数が極めて少なくなるた
め、タイヤ開発を効率化できる。
【0034】従って、性能予測に基づくタイヤ開発を行
うためには、効率良く、精度の良いタイヤ性能予測のた
めの数値解析モデルが不可欠である。そこで、本発明で
は、タイヤ性能を予測するため、ステップ(a)におい
て、内部構造を含むタイヤ断面形状を少なくとも含みか
つ接地及び転動の少なくとも一方により変形を与えるこ
とが可能なパターン形状を有するタイヤモデルと、流体
で少なくとも一部が満たされかつタイヤモデルの少なく
とも一部と接触する流体モデルを定める。なお、路面モ
デルをさらに定めることもできる。
【0035】また、ステップ(a)では、タイヤ性能評
価用物理量を表す目的関数、タイヤのパターンを決定す
る設計変数、及びタイヤ断面形状またはタイヤ構造を制
約する制約条件を定める。このタイヤモデルには、タイ
ヤ外面形状を表すラインの他、タイヤクラウン形状を表
すライン、タイヤ内部のベルトを表すベルトライン、タ
イヤのカーカスを表すカーカスライン、タイヤ内部のカ
ーカスプライの折り返しラインを表す折り返しプライラ
イン、各種補強材のラインを表す補強材ライン、タイヤ
ゴム部材のゲージ分布及びベルト部の構造を表す各ベル
ト層の角度、幅、コード種類、打ち込み密度、並びにパ
ターンの形状を表す、ブロック形状、ブロック溝壁角
度、サイプの位置、本数、長さを含ませることができ
る。
【0036】また、タイヤモデルは、複数の要素に分割
する有限要素法と呼ばれる手法を用いても良く解析的手
法を用いても良い。タイヤ性能評価用物理量を表す目的
関数としては、操縦安定性を向上させるためのハイプレ
性能に関する、タイヤモデルを押し上げる力、例えば流
体からの圧力を用いることができる。また、他の目的関
数としては、操縦安定性を向上させるための空気充填時
のタイヤ周方向ベルト張力や横ばね定数等のタイヤ性能
の優劣を支配する物理量を使用することができる。タイ
ヤ断面形状を決定する設計変数としては、カーカスライ
ン、折り返しプライライン、タイヤ外面形状を表すライ
ン、タイヤクラウン形状を表すライン、各種補強材のラ
インを表す補強材ラインの少なくとも1つのラインを表
す関数等を用いることができ、タイヤ構造を決定する設
計変数としては、ビードフィラーのゲージ分布、ゴムチ
ェーファーのゲージ分布、サイドゴムのゲージ分布、ト
レッドゴムのゲージ分布、トレッドベースゴムのゲージ
分布、内面補強ゴムのゲージ分布、ベルト間ゴムのゲー
ジ分布、及びベルトエンドゴムのゲージ分布の少なくと
も1つのタイヤゴム部材のゲージ分布を表す変数、ベル
ト層の角度、ベルト層の幅、プライの高さ、プライの折
返し量、ビード部補強材の角度、幅、位置、材質等のベ
ルト部及びビード、サイド部の構造を表す変数を用いる
ことができる。
【0037】また、パターンを決定する設計変数として
は、ラグ溝やリブ溝の形状を表すラインや角度を用いる
ことができる。また、設計変数は、ラグ溝及びリブ溝の
少なくとも一方の形状を表すラインの形状を表す関数、
並びにパターンの溝の配置、陸部の配置、溝の深さ、溝
の幅、及び溝の角度の少なくとも1つを用いることもで
きる。他の設計変数としては、ブロックの形状、ブロッ
ク溝壁角度、サイプの位置、本数、長さ等のパターンの
形状を表す変数を用いることができる。タイヤ断面形状
やタイヤ構造を制約する制約条件としては、カーカスラ
インのペリフェリ値の制約、上下一次固有振動数の制
約、ベルト層の角度の制約、ベルト層の幅、タイヤ寸
度、バネ定数、タイヤ変形量、タイヤ重量、応力、歪、
歪エネルギー、転がり抵抗の制約等がある。なお、目的
関数、設計変数及び制約条件は、上記の例に限られるも
のではなく、タイヤ設計目的に応じて種々のものを定め
ることができる。
【0038】次に、ステップ(b)では、タイヤモデル
の変形状態及び前記流体モデルの擬似流動状態の少なく
とも一方の状態となる場合のタイヤモデル及び流体モデ
ルの少なくとも一方のモデルに生じる物理量によりタイ
ヤ性能を予測する。このステップ(b)は、ステップ
(e)でタイヤモデルの変形計算を実行し、ステップ
(f)で流体モデルの流動計算を実行し、ステップ
(g)でステップ(e)での変形計算後のタイヤモデル
と、ステップ(f)での流動計算後の流体モデルとの境
界面を認識し、認識した境界面に関する境界条件をタイ
ヤモデル及び流体モデルに付与しかつ、前記流体モデル
が擬似流動状態となるまで計算させ、ステップ(h)で
ステップ(e)またはステップ(f)におけるタイヤモ
デル及び流体モデルの少なくとも一方のモデルに生じる
物理量を求め、ステップ(i)で前記物理量によりタイ
ヤ性能を予測することができる。
【0039】前記ステップ(e)のタイヤモデルの変形
計算は、接地及び転動の少なくとも一方により変形が与
えられたときの変形計算を実行することができる。この
場合、入力として、接地及び転動の少なくとも一方を定
めれば良い。
【0040】また、認識した境界面に関する境界条件を
タイヤモデル及び流体モデルに付与するとき、境界面よ
り路面モデル側に流体が存在するように流体モデルを定
めることができる。
【0041】なお、前記タイヤモデルの変形計算及び流
動計算の少なくとも一方では繰返し計算を行うことがで
きる。タイヤモデルの変形計算では、繰返し計算を行う
所定時間の経過時間を、10msec以下を採用するこ
とができ、好ましくは1msec以下、更に好ましくは
1μ・sec以下を採用することができる。また、流動
計算では、繰返し計算を行う一定時間の経過時間を、1
0msec以下を採用することができ、好ましくは1m
sec以下、更に好ましくは1μ・sec以下を採用す
ることができる。この経過時間が長すぎると、流体モデ
ル中の流体がタイヤの挙動に合った擬似流動状態となら
ず、数値モデルとしての精度が悪化する。このため、経
過時間は適正な値を採用する必要がある。
【0042】また、流体モデルが擬似流動状態になるま
での計算でも、繰返し計算を行うことができる。この計
算では、繰返し計算を行う所定時間の経過時間を、10
msec以下を採用することができ、好ましくは1ms
ec以下、更に好ましくは1μ・sec以下を採用する
ことができる。
【0043】前記タイヤモデルは、部分的にパターンを
有するものであっても良い。また、前記路面モデルは、
路面状態によりDRY、WET、氷上、雪上、非舗装な
どにより摩擦係数μを適正な値に選択することで、実際
の路面状態を再現させることができる。
【0044】前記境界条件を付与するとき、流体モデル
にタイヤモデル表面を流体の境界面として認識させるこ
とが重要であるが、流体モデルを構成する微小要素をタ
イヤ(特にパターン)モデルに対して常に十分小さく取
ることで流体モデルの構成要素を増加させることは計算
時間の増大を招き、困難である。そこで、流体モデルを
構成する微小要素で、ある程度大きく取って計算時間の
増大を防ぎ、かつタイヤモデルと流体モデルとに干渉部
分を有(オーバーラップ)させ、その干渉部分を認識
し、タイヤモデル表面を境界面として、前記流体モデル
を分割することでタイヤモデルと流体モデルの境界面を
精度よく認識させることが好ましい。
【0045】なお、前記流体モデルが少なくとも水を含
み、タイヤモデルに付与されるエネルギ例えば圧力を物
理量とすればタイヤのハイプレ性能を予測することがで
きる。また、前記流体モデルが少なくとも水を含み、流
体モデルの圧力、流量、流れ速度、を物理量としてもタ
イヤのハイプレ性能を予測することができる。
【0046】なお、前記流体モデルが少なくとも水を含
み、タイヤモデル接地面積、接地圧を物理量とすればタ
イヤWET性能を予測することができる。また、前記流
体モデルが少なくとも水を含み、流体モデルの圧力、流
量、流れ速度、を物理量としてもタイヤWET性能を予
測することができる。
【0047】また、前記流体モデルが水及び雪の少なく
とも一方を含み、タイヤモデルの氷路面及び雪路面の少
なくとも一方の路面での接地面積、接地圧、及び剪断力
の少なくとも1つを物理量として用いれば、タイヤ氷雪
上性能を予測することができる。また、前記流体モデル
が水及び雪の少なくとも一方を含み、流体モデルの氷路
面及び雪路面の少なくとも一方の路面での流体モデルの
圧力、流量、及び流速の少なくとも1つを物理量として
用いても、タイヤ氷雪上性能を予測することができる。
【0048】さらに、前記流体モデルが少なくとも空気
を含み、流体モデルの圧力、流量、流れ速度、エネルギ
ー、及びエネルギー密度の少なくとも1つを物理量とし
て用いれば、タイヤ騒音性能を予測することができる。
【0049】次に、ステップ(c)では、予測したタイ
ヤ性能及び制約条件を考慮しながら目的関数の最適値を
与える設計変数の値を求める。この場合には、設計変数
の単位変化量に対する目的関数の変化量の割合である目
的関数の感度及び設計変数の単位変化量に対する制約条
件の変化量の割合である制約条件の感度に基づいて制約
条件を考慮しながら目的関数の最適値を与える設計変数
の変化量を予測すると共に、設計変数を予測量に相当す
る量変化させたときの目的関数の値及び設計変数を予測
量に相当する量変化させたときの制約条件の値を演算
し、予測値と演算値とに基づいて制約条件を考慮しなが
ら目的関数の最適値を与える設計変数の値を求めると効
果的である。これによって、予測したタイヤ性能及び制
約条件を考慮し目的関数の値が最適になるときの設計変
数の値が求められる。
【0050】また、本発明者等は種々検討を加えた結
果、異分野に利用されている「遺伝的アルゴリズム手
法」をタイヤと言う特殊分野に応用することに着目し、
あらゆる検討を試み、遺伝的アルゴリズムの過程でタイ
ヤの性能予測、すなわち排水性、雪上性能、騒音性能な
ど流体を介する実際に使用するタイヤ性能を予測し、特
にタイヤ接地時及び回転時の流体をどのように流動状態
に近づけ、過渡的解析を可能して、タイヤ開発を効率化
し、良好な性能のタイヤの提供を容易にするため、具体
的にそれをタイヤ設計方法として確立した。
【0051】詳細には、請求項18の発明は、請求項1
の空気入りタイヤの設計方法であって、前記ステップ
(a)では、内部構造を含むタイヤ断面形状を少なくと
も含みかつ接地及び転動の少なくとも一方により変形を
与えることが可能なパターン形状を有する複数個のタイ
ヤモデルからなる選択対象集団を定め、該選択対象集団
の各タイヤモデルについて、タイヤ性能評価用物理量を
表す目的関数、タイヤのパターン形状を決定する設計変
数、タイヤ断面形状、タイヤ構造、パターン形状、性能
評価用物理量及びタイヤ寸度の少なくとも1つを制約す
る制約条件、及び目的関数及び制約条件から評価できる
適応関数を定め、前記ステップ(c)では、適応関数に
基づいて前記選択対象集団から2つのタイヤモデルを選
択し、所定の確率で各タイヤモデルの設計変数を交叉さ
せて新規のタイヤモデルを生成すること及び少なくとも
一方のタイヤモデルの設計変数の一部を変更させて新規
のタイヤモデルを生成することの少なくとも一方を行
い、設計変数を変化させたタイヤモデルの目的関数、制
約条件及び適応関数を求めて該タイヤモデル及び設計変
数を変化させなかったタイヤモデルを保存しかつ保存し
たタイヤモデルが所定数になるまで繰り返し、保存した
所定数のタイヤモデルからなる新規集団が所定の収束条
件を満たすか否かを判断し、収束条件を満たさないとき
には該新規集団を前記選択対象集団として該選択対象集
団が所定の収束条件を満たすまで繰り返すと共に、該所
定の収束条件を満たしたときに保存した所定数のタイヤ
モデルのなかで制約条件を考慮しながら目的関数の最適
値を与える設計変数の値を求める、ことを特徴とする。
【0052】請求項19の発明は、請求項18に記載の
空気入りタイヤの設計方法であって、前記ステップ
(c)において、設計変数を変化させたタイヤモデルに
ついて、設計変数の単位変化量に対する目的関数の変化
量の割合である目的関数の感度及び設計変数の単位変化
量に対する制約条件の変化量の割合である制約条件の感
度に基づいて制約条件を考慮しながら目的関数の最適値
を与える設計変数の変化量を予測すると共に、設計変数
を予測量に相当する量変化させたときの目的関数の値及
び設計変数を予測量に相当する量変化させたときの制約
条件の値を演算し、目的関数の値及び制約条件の値から
適応関数を求めて該タイヤモデル及び設計変数を変化さ
せなかったタイヤモデルを保存しかつ保存したタイヤ基
本モデルが所定数になるまで繰り返すことを特徴とす
る。
【0053】請求項19によれば、前記ステップ(a)
では、内部構造を含むタイヤ断面形状を少なくとも含み
かつ接地及び転動の少なくとも一方により変形を与える
ことが可能なパターン形状を有する複数個のタイヤモデ
ルからなる選択対象集団を定め、該選択対象集団の各タ
イヤモデルについて、タイヤ性能評価用物理量を表す目
的関数、タイヤ断面形状またはタイヤ構造を決定する設
計変数、タイヤ断面形状、タイヤ構造、性能評価用物理
量及びタイヤ寸度の少なくとも1つを制約する制約条
件、及び目的関数及び制約条件から評価できる適応関数
を定め、前記ステップ(c)では、適応関数に基づいて
前記選択対象集団から2つのタイヤモデルを選択し、所
定の確率で各タイヤモデルの設計変数を交叉させて新規
のタイヤモデルを生成すること及び少なくとも一方のタ
イヤモデルの設計変数の一部を変更させて新規のタイヤ
モデルを生成することの少なくとも一方を行い、設計変
数を変化させたタイヤモデルの目的関数、制約条件及び
適応関数を求めて該タイヤモデル及び設計変数を変化さ
せなかったタイヤモデルを保存しかつ保存したタイヤモ
デルが所定数になるまで繰り返し、保存した所定数のタ
イヤモデルからなる新規集団が所定の収束条件を満たす
か否かを判断し、収束条件を満たさないときには該新規
集団を前記選択対象集団として該選択対象集団が所定の
収束条件を満たすまで繰り返すと共に、該所定の収束条
件を満たしたときに保存した所定数のタイヤモデルのな
かで制約条件を考慮しながら目的関数の最適値を与える
設計変数の値を求めることも効果的である。
【0054】この場合、ステップ(c)において、設計
変数を変化させたタイヤモデルについて、設計変数の単
位変化量に対する目的関数の変化量の割合である目的関
数の感度及び設計変数の単位変化量に対する制約条件の
変化量の割合である制約条件の感度に基づいて制約条件
を考慮しながら目的関数の最適値を与える設計変数の変
化量を予測すると共に、設計変数を予測量に相当する量
変化させたときの目的関数の値及び設計変数を予測量に
相当する量変化させたときの制約条件の値を演算し、目
的関数の値及び制約条件の値から適応関数を求めて該タ
イヤモデル及び設計変数を変化させなかったタイヤ基本
モデルを保存しかつ保存したタイヤ基本モデルが所定数
になるまで繰り返すことが更に効果的である。これによ
っても、制約条件を考慮し目的関数の値が最適になると
きの設計変数の値が求められる。なお、目的関数及び制
約条件から評価できる適応関数は、目的関数及び制約条
件からタイヤモデルに対する適応度を求める関数を使用
することができる。また、目的関数、設計変数、制約条
件及び適応関数は、上記の例に限られるものではなく、
タイヤ設計目的に応じて種々のものを定めることができ
る。さらに、前記のタイヤ基本モデルの設計変数の交叉
には、選択した2つのタイヤモデルの設計変数について
その一部または所定部位以降の設計変数を交換する方法
がある。さらにまた、タイヤモデルの設計変数の一部の
変更には、予め定めた確率等で定まる位置の設計変数を
変更(突然変異)する方法がある。
【0055】さらに、本発明者は種々検討を加えた結
果、異分野に利用されている「高等動物の神経回路網を
工学的にモデル化された非線形予測技術、例えばニュー
ラル・ネットワーク」及び「最適化設計手法」をタイヤ
設計と言う特殊分野に応用することに着目し、検討を試
み、具体的にタイヤの設計方法として確立した。
【0056】詳細には、請求項20の発明にも記載した
ように、請求項1に記載の空気入りタイヤの設計方法で
あって、前記ステップ(a)では、内部構造を含むタイ
ヤ断面形状を少なくとも含みかつ接地及び転動の少なく
とも一方により変形を与えることが可能なパターン形状
を有するタイヤの設計パラメータと該タイヤの性能との
非線形な対応を関係付ける変換系を定め、前記制約条件
として前記タイヤ性能及び前記タイヤの製造条件の少な
くとも一方の許容範囲を制約する制約条件を定め、前記
ステップ(c)では前記ステップ(a)で定めた変換系
を用いて、前記目的関数及び前記制約条件に基づいて目
的関数の最適値を与えるタイヤの設計パラメータを求
め、前記ステップ(d)ではタイヤの設計パラメータに
基づいてタイヤを設計することを特徴とする。
【0057】請求項21の発明は、請求項20に記載の
空気入りタイヤの設計方法であって、前記ステップ
(c)では、前記タイヤの設計パラメータを設計変数と
定め、制約条件を考慮しながら前記ステップ(a)で定
めた変換系を用いて目的関数の最適値を与える設計変数
の値を求め、前記ステップ(d)では目的関数の最適値
を与える設計変数に基づいてタイヤを設計することを特
徴とする。
【0058】請求項22の発明は、請求項20または2
1に記載の空気入りタイヤの設計方法であって、前記ス
テップ(a)において、前記タイヤの設計パラメータを
前記タイヤ性能に変換するように学習された多層フィー
ドフォワード型ニューラルネットワークのデータで前記
変換系を構成したことを特徴とする。
【0059】タイヤ性能、例えば操縦安定性やベルト耐
久力等の値はタイヤの設計パラメータ、例えば内部構造
を含むタイヤ断面形状やタイヤの構造で定まる。しか
し、タイヤ断面形状やタイヤ構造の値を線形的に変化さ
せてもタイヤ性能が線形に変化しない場合が多い。そこ
で、本発明のステップ(a)では内部構造を含むタイヤ
断面形状を少なくとも含みかつ接地及び転動の少なくと
も一方により変形を与えることが可能なパターン形状を
有するタイヤの設計パラメータと該タイヤの性能との非
線形な対応を関係付ける変換系を定めている。また、制
約条件として前記タイヤ性能及び前記タイヤの製造条件
の少なくとも一方の許容範囲を制約する制約条件を定め
ている。この変換系は、ニューラルネットワーク等の神
経回路網を工学的にモデル化した非線形予測技術を用い
て定めることができる。また、タイヤ性能を表す目的関
数としては、例えば操縦安定性を向上させるための空気
充填時のタイヤ周方向ベルト張力や横ばね定数、直進も
しくは横力時の接地面内の接地特性等のタイヤ性能の優
劣を支配する物理量を使用することができる。タイヤ性
能及びタイヤの設計パラメータの少なくとも一方の許容
範囲を制約する制約条件としては、例えばタイヤ断面形
状やタイヤ構造を制約する制約条件としては、カーカス
ラインのペリフェリ値の制約、上下一次固有振動数の制
約、ベルト層の角度の制約、ベルト層の幅、タイヤ寸
度、バネ定数、タイヤ変形量、タイヤ重量、応力、歪、
歪エネルギー、転がり抵抗の制約等がある。なお、目的
関数、及び制約条件は、上記の例に限られるものではな
く、タイヤ設計目的に応じて種々のものを定めることが
できる。
【0060】ステップ(c)では前記ステップ(a)で
定めた変換系を用いて、前記目的関数及び前記制約条件
に基づいて目的関数の最適値を与えるタイヤの設計パラ
メータを求め、ステップ(d)でタイヤの設計パラメー
タに基づいてタイヤを設計する。これにより、タイヤの
設計パラメータとタイヤの性能との非線形な対応を関係
付ける変換系が定められ、変換系により複数のタイヤの
設計パラメータとその性能との対応が関連付けられる相
互の関係を見出すことができる。従って、目的関数の最
適値を与えるタイヤの設計パラメータを求めて該設計パ
ラメータに基づいてタイヤを設計することで、高性能な
タイヤの設計が可能となる。
【0061】タイヤを設計する場合、タイヤの設計パラ
メータを設計変数と定め、制約条件を考慮しながらステ
ップ(a)で定めた変換系を用いて目的関数の最適値を
与える設計変数の値を求め、目的関数の最適値を与える
設計変数に基づいてタイヤを設計することができる。こ
のように、制約条件を考慮することにより、タイヤ性能
及びタイヤの設計パラメータの少なくとも一方の許容範
囲を考慮することができ、設計範囲を予め特定したり、
所望の範囲を設定できる。
【0062】また、設計変数の値を求める場合には、設
計変数の単位変化量に対する目的関数の変化量の割合で
ある目的関数の感度及び設計変数の単位変化量に対する
制約条件の変化量の割合である制約条件の感度に基づい
て制約条件を考慮しながら目的関数の最適値を与える設
計変数の変化量を予測すると共に、設計変数を予測量に
相当する量変化させたときの目的関数の値及び設計変数
を予測量に相当する量変化させたときの制約条件の値を
演算し、予測値と演算値とに基づいて、制約条件を考慮
しながらステップ(a) で定めた変換系を用いて目的関数
の最適値を与える設計変数の値を求めると効果的であ
る。これによって、制約条件を考慮し目的関数の値が最
適になるときの設計変数の値が求められる。そして、目
的関数の最適値を与える設計変数に基づいてタイヤの設
計パラメータ等を変更することによりタイヤを設計でき
る。
【0063】さらにまた、本発明では、トレッドパター
ンに存在する各ブロック内のブロック高さを、タイヤが
受ける入力に対する接地圧に対応して一意的に適正化す
るタイヤを設計することによりタイヤパターン内または
ブロック内の接地圧の不均一を解消している。すなわ
ち、ブロック高さを一定に設定した踏面形状の場合に
は、接地圧力分布特性は、ブロック内で不均一になる。
本発明では、踏面形状を変更することによって、ブロッ
ク内で略均一になる接地圧力分布特性を得るこのができ
る。
【0064】このため、本発明では、まず、形状基本モ
デルを作成し、これに入力条件を与える。このときに求
められる接地圧から目的関数値を算出する。そして、設
計変数をブロックの踏面形状として、形状変更を行い、
この新形状を用いたモデルに再び入力を与え、接地圧の
分布を得る。この作業を目的関数の最適値が与えられる
まで繰り返す。なお、本発明では、制約条件を有した場
合にも適用が可能であり、この場合は入力を与えた後に
目的関数値及び制約関数値を求める。この場合の設計終
了は、制約条件内で目的関数の最適値が得られた場合と
なる。この最適な設計変数に基づいてタイヤを設計す
る。
【0065】具体的には、請求項23に記載の発明の空
気入りタイヤの設計方法は、請求項1に記載の空気入り
タイヤの設計方法であって、前記ステップ(a)では、
内部構造を含むブロックの単体の形状、内部構造を含む
タイヤクラウン部のうち1部のパターン形状、及び内部
構造を含むタイヤ周方向に運続する陸部の形状のうち選
択された1つの形状を表す形状基本モデルをさらに定め
ると共に、前記形状基本モデルに少なくとも1つの入力
条件を与え、かつ前記ブロックの単体の形状またはパタ
ーン形状もしくは陸部の形状の少なくとも一部を表す踏
面形状を設計変数とし、前記入力条件におけるタイヤ接
地圧を演算して目的関数として定めることを特徴とす
る。
【0066】請求項24に記載の発明は、請求項23に
記載の空気入りタイヤの設計方法であって、前記制約条
件として、タイヤ接地面積、及び設計変数の変化範囲の
少なくとも一方を更に定め、前記ステップ(c)は、前
記制約条件を考慮しながら前記目的関数の最適値が与え
られるまで設計変数の値を変化させることを特徴とす
る。
【0067】請求項25の発明は、請求項24に記載の
空気入りタイヤの設計方法であって、前記設計変数は、
タイヤ平均接地圧より高い箇所及び低い箇所の少なくと
も一方の箇所の設計変数を変化させることを特徴とす
る。
【0068】形状基本モデルは、内部構造を含むブロッ
クの単体の形状、内部構造を含むタイヤクラウン部のう
ち1部のパターン形状、及び内部構造を含むタイヤ周方
向に運続する陸部の形状のうち選択された1つの形状を
表す。
【0069】ブロック単体の形状を表す形状基本モデル
としては、ブロック単体の外面形状を特定するためのラ
インを表す関数や変曲点の座標値を表す変数から構成す
ることができる。また、内部構造を含むタイヤクラウン
部のうちの1部のパターン形状を表す形状基本モデルと
しては、タイヤクラウン部のうちの1つの陸部の路面接
地側のパターン形状を幾何学的に解析可能な関数、例え
ば長方形や菱形等の多角形を定めるための関数で構成で
きる。また、内部構造を含むタイヤ周方向に連続する陸
部の形状を表す形状基本モデルとしては、タイヤ断面形
状を表すラインを表す関数や変曲点の座標値を表す変数
から構成することができる。これら形状基本モデルは、
複数の要素に分割する有限要素法と呼ばれる手法による
モデルを用いても良く解析的手法によるモデルを用いて
も良い。
【0070】また、前記形状基本モデルに少なくとも1
つの入力条件を与える。入力条件には、付加する荷重を
表す荷重条件、剪断方向を表す方向条件がある。次に、
前記ブロックの単体の形状またはパターン形状もしくは
陸部の形状の少なくとも一部を表す踏面形状を設計変数
とし、入力条件におけるタイヤ接地圧を演算して目的関
数として定める。
【0071】また、ステップ(c)では、目的関数の最
適値が与えられる設計変数の値を求めることができ、ま
た、目的関数の最適値が与えられるまで設計変数の値を
変化させながら演算することにより設計変数の値を求め
ることができる。
【0072】前記踏面形状を設計変数とし、入力条件に
おけるタイヤ接地圧を演算して目的関数として定めると
き、計算負荷軽減等のために制約条件を考慮することが
好ましい。そこで、制約条件としてタイヤ接地面積及び
設計変数の変化範囲の少なくとも一方を更に定め、ステ
ップ(c)では、制約条件を考慮しながら目的関数の最
適値が与えられるまで設計変数の値を変化させる。この
設計変数の変化範囲は、踏面の範囲及びブロック高さの
何れかで表すことができる。
【0073】前記目的関数の最適値が与えられる設計変
数の値を求めるときは、タイヤ平均接地圧より高い箇所
及び低い箇所の少なくとも一方の箇所の設計変数を変化
させることができる。このように、タイヤ平均接地圧よ
り高い箇所の設計変数を変化させる場合には、ブロック
高さを減少させるように変化させることができる。ま
た、タイヤ平均接地圧より低い箇所の設計変数を変化さ
せる場合には、ブロック高さを増加させるように変化さ
せることができる。さらに、前記タイヤ平均接地圧から
の各偏差に応じてブロック高さを変化させることによ
り、設計変数を変化させることもできる。
【0074】なお、前記入力条件が複数ある場合には、
ブロック高さの変化量が大きい入力条件を優先して変化
させることができる。
【0075】また、前記設計変数により表される踏面形
状の少なくとも1部は、多項式、区分多項式、スプライ
ン関数及び有理関数の何れかの数式で表すことができ
る。これらの数式で表した踏面形状の少なくとも1部を
変化させる場合には、計算時問や計算機の能力を考慮し
て、毎演算ごと或いは数演算に1回でも良い。
【0076】なお、上記のタイヤの設計方法により設計
されたタイヤの設計パラメータによる構造等によってタ
イヤを形成することにより、形成されたタイヤは、性能
が最良の設計パラメータで構成されることになり、製造
条件やコスト等の適用条件により最適な設計パラメータ
の内容を直接的に決定することができる。
【0077】なお、上記の空気入りタイヤの設計方法に
より設計したタイヤを製造すれば、タイヤ性能が良好な
タイヤを得ることができる。そこで、本発明では、次の
ようにしてタイヤ用加硫金型の設計、及びタイヤの製造
を行うことができる。
【0078】請求項26の発明のタイヤ用加硫金型設計
方法は、前記請求項1乃至請求項25の何れか1項に記
載の空気入りタイヤの設計方法によって設計したタイヤ
またはタイヤモデルに基づいて、タイヤ用加硫金型を設
計する。
【0079】請求項27の発明のタイヤ用加硫金型製造
方法は、前記請求項26に記載のタイヤ用加硫金型設計
方法によって設計したタイヤ用加硫金型を製造する。
【0080】請求項28の発明の空気入りタイヤの製造
方法は、前記請求項26に記載のタイヤ用加硫金型設計
方法によって設計したタイヤ用加硫金型を製作し、該加
硫金型を用いて空気入りタイヤを製造する。
【0081】請求項29の発明の空気入りタイヤの製造
方法は、前記請求項1乃至請求項25の何れか1項に記
載の空気入りタイヤの設計方法によって設計したタイヤ
またはタイヤモデルに基づいて、空気入りタイヤを製造
する。
【0082】すなわち、タイヤを製造するためのタイヤ
用加硫金型を設計する場合、請求項1乃至請求項25の
何れか1項に記載の空気入りタイヤの設計方法によって
設計したタイヤまたはタイヤモデルに基づいて、タイヤ
用加硫金型を設計する。このようにしてタイヤ性能を予
測し、そのタイヤ性能のタイヤモデルに基づいてタイヤ
用加硫金型を設計するようにすることで、製造されるべ
きタイヤまわりの流体の流れを評価し、流れのスムーズ
さ、乱れの発生を予測し、タイヤ性能を予測しつつタイ
ヤ製造のための金型設計に役立てることができる。
【0083】このようにして設計されたタイヤ用加硫金
型を製造すれば、予測したタイヤ性能となるべきタイヤ
の製造が容易となる。また、このタイヤ用加硫金型を製
造し、それを用いてタイヤを製造すれば、そのタイヤ性
能が予測したものと略一致し、流体の流れに対する評価
や、流れのスムーズさ、乱れの発生等を考慮したタイヤ
を得ることができる。
【0084】また、タイヤを製造する場合、請求項26
に記載のタイヤ用加硫金型設計方法によって設計したタ
イヤ用加硫金型を製作し、該加硫金型を用いて空気入り
タイヤを製造する、または請求項29にも記載したよう
に、請求項1乃至請求項25の何れか1項に記載の空気
入りタイヤの設計方法によって設計したタイヤまたはタ
イヤモデルに基づいて、空気入りタイヤを製造するよう
にすれば、タイヤ性能は予測したものと略一致し、流体
の流れに対する評価や、流れのスムーズさ、乱れの発生
等を考慮したタイヤを得ることができる。
【0085】上記タイヤの設計方法は、請求項30にも
記載したように、タイヤの設計パラメータから該タイヤ
の性能を予測する予測手段と、前記タイヤの設計パラメ
ータと該タイヤの性能との非線形な対応関係を求める変
換系計算手段と、前記タイヤ性能を表す目的関数を定め
ると共に、前記タイヤ性能及び前記タイヤの製造条件の
少なくとも一方の許容範囲を制約する制約条件を定め
て、最適化項目として入力する入力手段と、前記変換系
計算手段を用いて前記入力手段により入力された最適化
項目に基づいて目的関数の最適値を与えるタイヤの設計
パラメータを求める最適化計算手段と、を備えた最適化
解析装置により実現できる。
【0086】この変換系計算手段は、請求項31にも記
載したように、前記タイヤの設計パラメータ及びタイヤ
に対する適用条件と、前記タイヤ性能との非線形な対応
関係を求めることができる。この適用条件にはタイヤを
形成するときの製造条件やタイヤ重量または総合的なコ
ストがある。また、変換系計算手段は、前記タイヤの設
計パラメータを、前記タイヤの性能に変換するように学
習された多層フィードフォワード型ニューラルネットワ
ークで構成することができる。
【0087】上記タイヤの設計方法は、以下の手順によ
るプログラムを含んだ記憶媒体により容易に持ち運びが
可能な最適化解析プログラムを記憶した記憶媒体を提供
できる。すなわち、請求項32にも記載したように、コ
ンピュータによってタイヤを設計するためのタイヤの最
適化解析プログラムを記憶した記憶媒体であって、最適
化解析プログラムは、タイヤの設計パラメータから該タ
イヤの性能を予測し、タイヤの設計パラメータと該タイ
ヤの性能との非線形な対応関係を定め、前記タイヤの性
能を表す目的関数を定めると共に、前記タイヤの性能及
び前記タイヤの製造条件の少なくとも一方の許容範囲を
制約する制約条件を定め、前記定めた対応関係、前記目
的関数及び前記制約条件に基づいて目的関数の最適値を
与えるタイヤの設計パラメータを求めて該タイヤの設計
パラメータに基づいてタイヤを設計する。
【0088】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を詳細に説明する。本実施の形態は空気入りタ
イヤの設計に本発明を適用したものである。
【0089】図1には本発明の空気入りタイヤの設計方
法を実施するためのパーソナルコンピュータの概略が示
されている。このパーソナルコンピュータは、データ等
を入力するためのキーボード10、予め記憶された処理
プログラムに従ってタイヤの性能を予測しながら制約条
件を満たしかつ目的関数を最適、例えば最大または最小
にする設計変数を演算するコンピュータ本体12、及び
コンピュータ本体12の演算結果等を表示するCRT1
4から構成されている。
【0090】なお、コンピュータ本体12には、記録媒
体としてのフロッピーディスク(FD)が挿抜可能なフ
ロッピーディスクユニット(FDU)を備えている。な
お、後述する処理ルーチン等は、FDUを用いてフロッ
ピーディスクFDに対して読み書き可能である。従っ
て、後述する処理ルーチンは、予めFDに記録してお
き、FDUを介してFDに記録された処理プログラムを
実行してもよい。また、コンピュータ本体12にハード
ディスク装置等の大容量記憶装置(図示省略)を接続
し、FDに記録された処理プログラムを大容量記憶装置
(図示省略)へ格納(インストール)して実行するよう
にしてもよい。また、記録媒体としては、CD−ROM
等の光ディスクや、MD,MO等の光磁気ディスクがあ
り、これらを用いるときには、上記FDUに代えてまた
はさらにCD−ROM装置、MD装置、MO装置等を用
いればよい。
【0091】〔第1実施の形態〕次に、操縦安定性を向
上させるために、タイヤの性能を予測しながらハイプレ
予測数値を最適値である最小値にするラグ溝の形状を設
計する第1実施の形態について説明する。なお、ハイプ
レ予測数値とは、所謂FEM解析の結果から得られる付
与圧力の値をいう。
【0092】図2は、第1実施の形態のプログラムの処
理ルーチンを示すものである。ステップ100では、設
計するタイヤの設計案(タイヤ形状、構造、材料、パタ
ーンの変更など)を数値解析上のモデルに落とし込むた
めのタイヤモデル、タイヤ性能評価のための流体モデル
及び路面モデルの作成等の初期モデル作成処理が実行さ
れる。
【0093】ステップ100では図3に示す処理ルーチ
ンが実行される。図3のステップ130では、評価する
タイヤの設計案(タイヤ形状、構造、材料、パターンの
変更など)を定め、次のステップ132でタイヤ設計案
を数値解析上のモデルに落とし込むためにタイヤモデル
を作成し、次のステップ134で流体モデルを作成し、
次のステップ136で路面モデルの作成と共に路面状態
の入力がなされ、次のステップ138で境界条件が設定
される。
【0094】詳細には、図3のステップ130では、初
期のタイヤの設計案(タイヤ形状、構造、材料、パター
ンの変更など)を定め、次のステップ132では、タイ
ヤ設計案を数値解析上のモデルに落とし込むため、タイ
ヤモデルを作成する。
【0095】このタイヤモデルの作成は、用いる数値解
析手法により若干異なる。本実施の形態では数値解析手
法として有限要素法(FEM)を用いるものとする。従
って、上記ステップ132で作成するタイヤモデルは、
有限要素法(FEM)に対応した要素分割、例えば、メ
ッシュ分割によって複数の要素に分割され、タイヤを数
値的・解析的手法に基づいて作成されたコンピュータプ
ログラムヘのインプットデータ形式に数値化したものを
いう。この要素分割とはタイヤ、流体、及び路面等の対
象物を小さな幾つかの(有限の)小部分に分割すること
をいう。この小部分ごとに計算を行い全ての小部分につ
いて計算した後、全部の小部分を足し合わせることによ
り全体の応答を得ることができる。なお、数値解析手法
には差分法や有限体積法を用いても良い。
【0096】上記ステップ132のタイヤモデルの作成
では、タイヤ断面のモデルを作成した後に、パターンを
モデル化する。具体的には、図4に示すタイヤモデル作
成ルーチンが実行される。まず、ステップ140におい
て、タイヤ径方向断面のモデルを作成する。すなわちタ
イヤ断面データを作成する。このタイヤ断面データは、
タイヤ外形をレーザー形状測定器等で計測し値を採取す
ることができる。また、タイヤ内部の構造は設計図面お
よび実際のタイヤ断面データ等から正確なものを採取す
る。タイヤ断面内のゴム、補教材(ベルト、プライ等、
鉄・有機繊維等でできた補強コードをシート状に束ねた
もの)をそれぞれ有限要素法のモデル化手法に応じてモ
デル化する。このようにモデル化したタイヤ径方向断面
のモデルを図5に示した。次のステップ142では、2
次元データであるタイヤ断面データ(タイヤ径方向断面
のモデル)を周方向に一周分展開し、タイヤの3次元
(3D)モデルを作成する。この場合、ゴム部は8節点
ソリッド要素、補教材は角度を表現できる異方性シェル
要素でモデル化することが望ましい。例えば、ゴム部分
は、図8(A)に示すように、8節点ソリッド要素で扱
うことができ、補強材(ベルト、プライ)の扱いは、図
8(B)に示すように、シェル要素として2次元的に補
強材の角度θを考慮することができる。このようにして
3次元的にモデル化した3Dモデルを図6に示した。次
のステップ144では、パターンをモデル化する。この
パターンのモデル化は次の手順、の何れかで行う。
この手順によって、パターンをモデル化したものを図7
に示した。
【0097】手順:パターンの一部または全部を別個
にモデル化し、上記タイヤモデルにトレッド部分として
貼りつける。手順:タイヤ断面データを周方向に展開
する際にリブ・ラグ成分を考慮してパターンを作成す
る。
【0098】上記ステップ132におけるタイヤモデル
の作成の一例としては、自然平衡状態のタイヤ断面形状
を基準形状とし、この基準形状を有限要素法等のように
空気充填時のタイヤ周方向ベルト張力を数値的・解析的
に求めることができる手法によりモデル化し、内部構造
を含むタイヤ断面形状を表すと共にメッシュ分割によっ
て複数の要素に分割されたタイヤ基本モデルを求める。
なお、基準形状は、自然平衡状態のタイヤ断面形状に限
らず任意の形状でよい。ここで、モデル作成とは、タイ
ヤ形状、構造、材料、パターンを、数値的・解析的手法
に基づいて作成されたコンピュータプログラムへのイン
プットデータ形式に数値化することをいう。
【0099】図9は、タイヤ基本モデルのパターンを示
すもので、LLはラグ溝形状を表すラインを示してい
る。
【0100】上記のようにしてタイヤモデルを作成した
後には、図3のステップ134において、流体モデルを
作成する。このステップ134では、タイヤの一部(ま
たは全部)および接地面、タイヤが移動・変形する領域
を含む流体領域を分割し、モデル化する。流体領域は直
方体で分割することが好ましく、この分割する直方体で
ある流体要素は8節点のオイラーメッシュで分割するこ
とが望ましい。また、タイヤモデルと流体モデルは一部
重なって定義されている。タイヤモデルはパターン部分
が複雑な表面形状をしており、この表面形状にあわせて
流体メッシュを定義しないで済むことは、流体モデルの
モデル化の手間を大幅に削減でき、性能予測を効率的に
行う上で重要である。
【0101】なお、流体モデルとなる流体領域はタイヤ
が移動する領域を含むため、タイヤモデルを転動させな
い(以下、タイヤ非転動という)状態のモデル化では進
行方向に接地長の5倍以上、幅方向は接地幅の3倍以
上、深さ方向は例えば30mm以上の領域をモデル化す
る。タイヤモデルを転動させる(以下、タイヤ転動とい
う)状態のモデル化では進行方向に例えば2m以上(タ
イヤ一回転分以上)の流体領域をモデル化する。このよ
うにしてモデル化した流体モデルを図10に示す。図1
0(A)は流体モデルの斜視図であり、図10(B)は
流体モデルの平面図である。
【0102】上記のようにして、流体モデルの作成が終
了すると、図3のステップ136へ進み、路面モデルの
作成と共に路面状態の入力がなされる。このステップ1
06は、路面をモデル化し、そのモデル化した路面を実
際の路面状態に設定するために入力するものである。路
面のモデル化は、路面形状を要素分割してモデル化し、
路面の摩擦係数μを選択設定することで路面状態を入力
する。すなわち、路面状態により乾燥(DRY)、濡れ
(WET)、氷上、雪上、非舗装等に対応する路面の摩
擦係数μが存在するので、摩擦係数μについて適正な値
を選択することで、実際の路面状態を再現させることが
できる。また、路面モデルは,前記流体モデルの少なく
とも一部と接していれば良く,流体モデル内部に配置す
ることも可能である。
【0103】このようにして、路面状態の入力がなされ
ると、図3のステップ138において、境界条件の設定
がなされる。タイヤモデルの一部は流体モデルの一部に
介在することになるので、流体モデルおよびタイヤモデ
ルに解析上の境界条件を与えてタイヤおよび流体の挙動
をシミュレートする必要がある。この手順は、タイヤ転
動時とタイヤ非転動時の場合で異なることになる。この
タイヤ転動時とタイヤ非転動時の選択は、予め入力する
ようにしてもよく、また本処理の実行当初に選択しても
良く、さらに双方を実行し、各々について求めた後に選
択するようにしても良い。
【0104】図3のステップ138における、タイヤ転
動時における境界条件の設定では、図11の処理ルーチ
ンが実行される。まず、ステップ150へ進み、流体モ
デル(流体領域)20に流入・流出に関する境界条件を
与える。この流入・流出に関する境界条件は図15に示
すように、流体モデル(流体領域)20の上面20Aは
自由に流体が流出し、その他の前面20B、後面20
C、側面20D、下面20Eは壁(流入・流出なし)と
して扱う。次のステップ152ではタイヤモデルには内
圧を与え、次のステップ154ではタイヤモデルに回転
変位及び直進変位(変位は力、速度でも良い)の少なく
とも一方と、予め定めた負荷荷重とを与える。なお、路
面との摩擦を考慮する場合は、回転変位(または力、速
度でもよい)もしくは直進変位(または力、速度でもよ
い)のどちらか一方のみでよい。
【0105】また、図3のステップ138における、タ
イヤ非転動時における境界条件の設定では、図12の処
理ルーチンが実行される。まず、ステップ160におい
て、流体モデルに流入・流出に関する境界条件を与え
る。ここでは、解析を定常状態で行うため、タイヤモデ
ルは進行方向に静止し、流体が進行速度でタイヤモデル
に向かって流れる流体モデルを考える。すなわち、ステ
ップ162において流体モデル(流体領域)内の流体に
流速を与える。流入・流出に関する境界条件は図16に
示すように、流体モデル(流体領域)20の前面は進行
速度で流入、後面は流出とし、上面、側面、下面は転動
時と同様である。そして、ステップ164においてタイ
ヤモデルには内圧を与え、次のステップ166において
タイヤモデルに負荷荷重を与える。
【0106】以上のようにして、初期モデル作成処理
(ステップ100)の処理が終了すると、図2のステッ
プ102へ進み、タイヤ性能評価用物理量を表す目的関
数、タイヤ断面形状を制約する制約条件及びタイヤ断面
形状を決定する設計変数を決定する。
【0107】本実施の形態では、操縦安定性を向上させ
るために、ハイプレ予測数値を最小にするラグ溝の形状
を設計するため、目的関数OBJ及び制約条件Gを次の
ように定めている。 目的関数OBJ:ハイプレ予測数値を最小 制約条件G :ラグ角度の範囲が0度〜65度 なお、上記制約条件は、特に設けなくても計算すること
ができる。
【0108】また、設計変数であるラグ溝の形状は、次
のようにして決定される。図9に示すように、パターン
は、タイヤ幅方向(図9の矢印H方向)に、タイヤ周方
向(図9の矢印S方向)に沿う方向に、等間隔(本実施
の形態では、15mm間隔)で補助線NL1,NL2,
NL3,・・・,を設定する。この補助線NLi(本実
施の形態では、1≦i≦6)と、ラインLLの交点にお
いてラインLLに沿う直線La1,La2,La3,・
・・Lai(本実施の形態では、i=6)をラグ溝の形
状とする。このときの、ラインLLに沿う直線Laiと
タイヤ幅方向の直線Lbとの成す角α1,α2,α3,
・・・αi(i=6)をラグ溝角度に設定する。このラ
グ溝角度αiを設計変数riとして設定する。
【0109】このようにして目的関数OBJ、制約条件
G及び設計変数ri を決定した後、図2のステップ10
4において、初期のタイヤ性能予測処理が実行される。
このタイヤ性能予測処理は、図13の処理ルーチンが実
行されるものであり、これまでに作成されたり設定され
たりした数値モデルをもとに、以下に詳述する解析Aの
タイヤモデルの変形計算及び解析Bの流体計算(流動計
算)を行う。本実施の形態では、過渡的な状態を得るた
めに、タイヤモデルの変形計算及び流体モデルの流体計
算をそれぞれ1msec以内で単独計算を行い、1msec毎に
両者の境界条件を更新する。
【0110】図13のステップ200では、タイヤモデ
ルの変形計算(解析A)を行い、次のステップ202で
経過時間が1msec以内か否かを判断する。ステップ20
2で肯定されるとステップ200へ戻り、再度タイヤモ
デルの変形計算を行い、ステップ202で否定される
と、ステップ204へ進み流体計算(解析B)を行う。
次のステップ206では経過時間が1msec以内か否かを
判断し、肯定されるとステップ204へ戻り、再度流体
計算を行い、ステップ206で否定されると、ステップ
208へ進む。
【0111】(解析A)タイヤモデルの変形計算 タイヤモデルおよび与えた境界条件より、有限要素法に
基づいてタイヤモデルの変形計算を行う。過渡的な状態
を得るために、経過時間(単独経過時間)が1msec以下
の間はタイヤモデルの変形計算を繰り返し、1msec経過
したら次の計算(流体)に移る。
【0112】(解析B)流体計算 流体モデル及び与えた境界条件より、有限要素法に基づ
いて流体計算を行う。過渡的な状態を得るために、経過
時間(単独経過時間)が1msec以下の間は流体計算を繰
り返し、1msec経過したら次の計算(タイヤモデルの変
形)に移る。
【0113】なお、(解析A)と(解析B)はどちらを
先に計算しても良いし、また並行して計算しても良い。
すなわち、ステップ200、202と、ステップ20
4、206とは交換した順序であってもよい。
【0114】また、上記の計算(解析Aと解析B)で
は、経過時間(単独経過時間)が1msec以下の間の
好ましい経過時間の間で繰返し計算を行う場合を説明し
たが、本発明で経過時間を1msecに限定するもので
はなく、10msec以下の経過時間を採用することが
でき、好ましくは1msec以下であり、更に好ましく
は1μ・sec以下の経過時間を採用することができ
る。また、この経過時間は、解析Aと解析Bとで異なる
時間を定めても良い。
【0115】次のステップ208では、タイヤモデルの
変形計算および流体計算それぞれ単独の計算を1mse
cづつ行った後、これらを連成させるため、タイヤモデ
ルの変形に応じて流体モデルの境界面を認識し、境界条
件を更新させる(詳細は後述)。このステップ208で
は、境界条件更新の後に、タイヤモデルに流体計算で計
算した圧力をタイヤモデルの境界条件(表面力)として
付加し、流体力によるタイヤモデルの変形を次のタイヤ
モデルの変形計算(解析A)で計算させるようにする。
すなわち、流体側は変形後のタイヤモデルの表面形状を
新たな壁として境界条件に取り入れ、タイヤモデル側は
流体の圧力をタイヤモデルにかかる表面力として境界条
件に取り入れる。これを1msecごとに繰り返すこと
により、タイヤ性能予測に関わる過渡的な流れを擬似的
に作り出すことができる。ここで1msecとは接地面
内のパターンがタイヤ転動により変形していく過程を十
分に表現できる時間である。
【0116】なお、上記では境界条件に取り入れる繰り
返しの時間(単独経過時間)を1msecに定めたが、
本発明は1msecに限定するものではなく、10ms
ec以下の時間を採用することができ、好ましくは1m
sec以下であり、更に好ましくは1μ・sec以下の
時間を採用することができる。
【0117】次のステップ210では、計算終了か否か
を判断し、ステップ210で肯定されるとステップ21
2へ進み、ステップ210で否定されると、ステップ2
00へ戻り、再度タイヤモデルの変形計算および流体計
算それぞれ単独の計算を1msecづつ行う。なお、具
体的な判断方法としては、次の例がある。
【0118】タイヤモデルが、非転動モデル、全周パタ
ーン付転動モデルの場合には、対象とする物理量(流体
反力、圧力、流速等)が定常状態とみなせる(以前に計
算した物理量と同じとみなせる状態)まで繰り返し計算
し、計算が終了した場合には肯定判断とする。さらに、
所定時間になったら終了させることも可能である。この
場合の所定時間は好ましくは100msec以上、さら
に好ましくは300msec以上である。
【0119】タイヤモデルが、転動モデル、パターンを
一部のみモデル化した場合には、解析対象となるパター
ン部分の変形が終了するまで繰り返し計算し、計算終了
とした場合には肯定判断とする。パターン部分の変形と
は、転動によりパターン部分が路面モデルに接触後に路
面モデルから離れるまでの間、もしくは転動によりパタ
ーン部分が流体モデルに接触後に路面モデルに接触する
までの間の変形を指す。このパターン部分の変形は、タ
イヤが1回転以上転動した後に前記各モデルに接触する
ときからを対象としてもよい。さらに、所定時間になっ
たら終了させることも可能である。この場合の所定時間
は好ましくは100msec以上、さらに好ましくは3
00msec以上である。
【0120】次に、図13のステップ208の詳細を説
明する。ステップ208における、タイヤモデル変形に
応じて流体の境界面を認識し、境界条件を付加する処理
は、図14の処理ルーチンが実行される。まず、ステッ
プ220において、流体モデル(流体領域)20のどの
部分がタイヤモデル30に隠れているのか判定するた
め、流体モデル20とタイヤモデル30の干渉部分40
を計算する(図17参照)。これは流体モデル20すな
わち流体領域を小部分に分割した要素(流体要素)全て
について行う。
【0121】次のステップ222では、流体要素がタイ
ヤモデルに完全に隠れているか否かを判断し、流体要素
がタイヤモデルに完全に隠れている場合はステップ22
2で肯定され、ステップ224へ進み、この要素はタイ
ヤモデル内部にあり、流体の流入・流出は行われないた
め壁としての境界条件を付加する。
【0122】一方、ステップ222で否定されると、ス
テップ226へ進み、タイヤモデルに流体要素の一部が
隠れているか否かを判断する。タイヤモデルに流体要素
の一部が隠れている場合は、ステップ226で肯定さ
れ、次のステップ228において、タイヤモデル30の
表面32で流体要素を2分する面である切断面を計算し
(図18参照)、次のステップ230でこの切断面で流
体要素22を更に分割する。次のステップ232では、
上記分割した流体要素のうちタイヤモデルに隠れていな
い領域22Aを、新たに流体モデル(流体領域)として
定義し、この部分を流体計算に用いるものとする。ま
た、新たな流体要素の切断面に対応する面は、タイヤモ
デルと接しているため壁としての境界条件を付加する。
【0123】なお、分割した流体要素を更に細かく分割
していくのは計算時間の増大につながり好ましくないた
め、流体要素の分割には制限(この場合は、一度分割し
た要素は分割しないという制限)を設けることが好まし
い。
【0124】次のステップ234では、上記の処理が全
ての流体要素についてなされたか否かを判断し、未処理
の流体要素が残存する場合、ステップ234で否定さ
れ、ステップ220へ戻る。一方、全ての流体要素につ
いて上記処理が終了した場合には,本ルーチンを終了す
る。これによって、タイヤモデルの表面形状を境界条件
として流体計算に取り込むことができる。
【0125】このように、タイヤモデルと流体モデルを
一部重ねて定義できる手法は計算モデル作成の手間を大
幅に減らすことができる。更にタイヤモデルに一部隠れ
る流体要素を2分することによって初期の流体メッシュ
を大きく取ることができ、流体要素が増えて計算時間が
増大することを防ぐことができ、性能予測を効率的に行
える。
【0126】このようにして、解析A、解析B、および
両者の連成のための境界条件変更を行った後、解析Aに
戻り、変更した境界条件で計算を行う。これを計算終了
まで繰り返し、計算が終了した場合には、図13のステ
ップ210で肯定され、ステップ212へ進み、計算結
果を予測結果として出力(評価)する。
【0127】なお、上記では、解析A、解析B、及び境
界条件変更を繰り返し、計算が終了すると、計算結果を
出力(評価)する場合を説明したが,繰り返し計算中
に、その時点における計算結果を出力し、その出力につ
いて評価したり、逐次評価したりしてもよい。すなわ
ち、計算中に出力・評価してもよい。
【0128】予測結果の出力は流体力、流れ速度、流
量、圧力、エネルギー等の値もしくは分布を採用するこ
とができる。予測結果の出力の具体的な一例として、流
体反力の出力、流体の流れの出力と可視化、及び水圧分
布の出力と可視化がある。本実施の形態では、予測結果
としてハイプレ予測数値を用いている。ハイプレ予測数
値は、タイヤが受ける付与圧力の値であり、流体反力で
あるとも言える。つまり、流体反力は、流体(例えば,
水)がタイヤを上方へ押し上げる力である(図19参
照)。この流体反力が小さければパターンが浮き上がり
にくく、ハイプレしにくいことになる。流体の流れは、
流体の速度ベクトルから計算することができ、その流れ
とタイヤモデル周辺やパターン周辺とを共に線図等で表
せば、可視化することができる。流体の水圧分布の可視
化は、タイヤモデル周辺やパターン周辺を線図として作
成し、その図形上に水圧値を色や模様に対応させて表示
させればよい。
【0129】本実施の形態では、予測結果としてハイプ
レ予測数値を用いているので、その評価は、ハイプレ予
測数値が所定値以下であるかを判断することにより行わ
れる。なお、他の評価としては、主観評価(全体的に、
スムーズに流れているか、流れの方向による乱れの判断
等)、圧力・エネルギーが局所的に上昇していないか、
必要な流量が得られているか、流体力が上昇していない
か、流れが停滞していないか等を採用することができ
る。また、パターンの場合、溝内を流れているかを採用
することもできる。また、タイヤモデルの場合、タイヤ
が回転することにより、接地面及び接地面近傍でタイヤ
が水等の流体を挟み込み、前方に押し出す前方スプレー
の量が多いか、路面内では横に流れているか、を採用す
ることができる。
【0130】なお、予測結果の評価は、予測結果の出力
値や出力値の分布を用いて、予め定めた許容値や許容特
性を各出力値や出力値の分布にどの程度適合するかを数
値的に表現することによって、評価値を定めることがで
きる。
【0131】従って,予測結果の評価から、予測性能が
良好であるか否かを判断することができる。この判断
は、キーボードによる入力によってなされてもよくま
た、上記評価値に、許容範囲を予め定めておき、予測結
果の評価値が許容範囲内に存在するときに、予測性能が
良好であると判断するようにしてもよい。
【0132】予測性能の評価の結果、目標性能に対して
不十分であるときは、この時点で処理を中止し、設計案
を変更(修正)した後に再度タイヤの設計を開始(これ
までの処理をやり直す)してもよいし、予測性能の評価
の結果を記憶しておき、最適化のときに参照しても良
い。
【0133】以上のようにして、初期のタイヤ性能予測
処理が終了すると、図2のステップ106へ進み、設計
変数ri の初期値roにおける目的関数OBJの初期値
OBJo及び制約条件Gの初期値Goを演算する。
【0134】次のステップ108では、タイヤ基本モデ
ルを変化させるために設計変数riを各々Δri ずつ変
化させる。次のステップ110では、設計変数をΔri
変化させた後のタイヤ断面形状、すなわちタイヤ修正モ
デルを決定する。
【0135】このようにしてタイヤ修正モデルが決定さ
れると、次のステップ112において、上記ステップ1
04と同様にして、修正されたタイヤモデルのタイヤ性
能予測処理が実行される。なお、ステップ112におい
て、タイヤ性能予測処理が実行された場合、上記と同様
に、予測結果の評価から、予測性能が良好であるか否か
を判断することができる。この判断は、キーボードによ
る入力によってなされてもよくまた、上記評価値に、許
容範囲を予め定めておき、予測結果の評価値が許容範囲
内に存在するときに、予測性能が良好であると判断する
ようにしてもよい。また、予測性能の評価の結果、目標
性能に対して不十分であるときは、この時点で処理を中
止し、設計案を変更(修正)した後に再度タイヤの設計
を開始(これまでの処理をやり直す)してもよいし、予
測性能の評価の結果を記憶しておき、適宜参照しても良
い。
【0136】ステップ114では、ステップ110で求
めたタイヤ修正モデルについて設計変数をΔri 変化さ
せた後の目的関数の値OBJi 、制約条件の値Gi を演
算し、ステップ116で以下の式に従って、設計変数の
単位変化量に対する目的関数の変化量の割合である目的
関数の感度dOBJ/dri 及び設計変数の単位変化量
に対する制約条件の変化量の割合である制約条件の感度
dG/dri を各設計変数毎に演算する。
【0137】
【数1】
【0138】なお、上記の感度演算は、設計変数毎に順
に行うことが好ましい。すなわち、最初にラグ角度α1
を微笑変化させたときのハイプレ予測値を計算し、感度
を求め、順に他のラグ角度についても感度解析を行うこ
とが好ましい。
【0139】この感度によって、設計変数をΔri 変化
させたときに目的関数の値及び制約条件の値がどの程度
変化するか予測することができる。なお、この感度は、
タイヤのモデル化に用いた手法や設計変数の性質によっ
ては、解析的に求められる場合があるので、その際には
ステップ114の演算は不要になる。
【0140】次のステップ118では、目的関数の初期
値OBJo、制約条件の初期値Go、設計変数の初期値
ro及び感度を用いて、数理計画法により制約条件を満
たしながら目的関数を最大にする設計変数の変化量を予
測する。この設計変数の予測値を用いて、ステップ12
0でステップ110と同様の方法によりタイヤ修正モデ
ルを決定すると共に、目的関数値を演算する。
【0141】このステップ120でタイヤ修正モデルが
決定されると、次のステップ122において、上記ステ
ップ104及び112と同様にして、修正されたタイヤ
モデルのタイヤ性能予測処理が実行される。なお、ステ
ップ122において、タイヤ性能予測処理が実行された
場合、上記と同様に、予測結果の評価から、予測性能が
良好であるか否かを判断することができる。この判断
は、キーボードによる入力によってなされてもよくま
た、上記評価値に、許容範囲を予め定めておき、予測結
果の評価値が許容範囲内に存在するときに、予測性能が
良好であると判断するようにしてもよい。また、予測性
能の評価の結果、目標性能に対して不十分であるとき
は、この時点で処理を中止し、設計案を変更(修正)し
た後に再度タイヤの設計を開始(これまでの処理をやり
直す)してもよいし、予測性能の評価の結果を記憶して
おき、適宜参照しても良い。
【0142】次のステップ124では、ステップ120
で演算した目的関数値OBJとステップ104で演算し
た目的関数の初期値OBJoとの差と、予めインプット
されたしきい値とを比較することで目的関数の値が収束
したか否かを判断し、目的関数の値が収束していない場
合にはステップ118で求められた設計変数値を初期値
として、ステップ106からステップ124を繰り返し
実行する。目的関数の値が収束したと判断されたときに
は、このときの設計変数の値をもってタイヤ性能を考慮
しつつ制約条件を満たしながら目的関数を最大にする設
計変数の値とし、ステップ126でこの設計変数の値を
用いてタイヤの形状を決定する。
【0143】このように本実施の形態では、タイヤモデ
ル、流体モデル及び路面の状態を模擬しながら、制約条
件を満たす目的関数の最適値を与える設計変数を求め、
この設計変数からタイヤを設計しているので、設計・開
発した場合従来の試行錯誤を基本とした設計・開発と異
なり、コンピューター計算を主体にしてベストモードの
設計から設計されたタイヤの性能評価までが可能とな
り、著しい効率化を達成でき、開発にかかる費用が削減
可能となるものである。
【0144】なお、本発明は、タイヤクラウン部の形状
決定に適用することができる。この場合、タイヤと地面
との接触領域の形状を変えることなく、接触領域の圧力
分布を均一化し、磨耗性能を向上させることができる。
この場合、目的関数を接触領域における圧力分布の標準
偏差、制約条件をクラウン部中心およびベルト端部にお
けるタイヤ周方向接触長が初期形状における接触長の±
5%以内に定めることが好ましい。また、設計変数はク
ラウン部形状として、ラグランジェ補間ルーチン等によ
り定めることが好ましい。
【0145】なお、タイヤクラウン部の形状決定の他の
適用では、目的関数を接触領域における圧力分布の標準
偏差、制約条件をクラウン部中心およびベルト端部にお
けるタイヤ周方向接触長が初期形状における接触長の±
5%以内に定め、設計変数であるクラウン部形状につい
ては、予め指定したクラウン部の範囲を複数個の円弧で
近似することが好ましい。
【0146】また、本発明は、タイヤのパターン表面の
形状決定に適用することができる。この場合、パターン
と地面とが接触した際の圧力分布を均一化し、磨耗性能
を向上させることができる。目的関数を接触領域におけ
る圧力分布の標準偏差、制約条件をパターンの総体積が
初期の体積の±5%以内に定めることが好ましい。ま
た、設計変数であるパターン表面の形状は、パターン表
面を、予めインプットされたラグランジェ補間次数に従
って格子状に分割し、得られた各点のパターン厚み方向
の座標値を設計変数とすることが好ましい。
【0147】ここで、15mm間隔で補助線を設けてラ
グ角度の初期値を50度とし、実際に上記の最適化を実
行した結果、図20に示す結果を得た。その結果、各ラ
グ角度が、α1=65度、α2=65度、α3=57
度、α4=47度、α5=34度、α6=15度であっ
た。図から理解されるように、センター付近はハイアン
グル、ショルダーに向かって徐々にローアングルにある
点が最適値として得られた。また、ラグ角度を一律50
度で設定したパターンのハイプレ予測数値を100とし
た場合に、上記最適化を実施すると(図20)、ハイプ
レの流体反力は90であった。すなわち、ハイプレが1
0%良化したことが理解される。
【0148】また、上記の最適化を行って設計したタイ
ヤを実際に製造し、実車に装着して試験した結果を以下
に示す。試験方法は、水深4mmのプールに車両を突入
させて、ハイプレが生じるか否かを判定した。このと
き、ハイプレが生じることのない車速から徐々に車速を
変化させながら複数回前記プールに突入させ、ハイプレ
が生じる瞬間の速度測定した。この結果、ラグ角度を一
律50度で設定したパターンは、88km/hでハイプ
レが生じたのに対して、上記最適化を実施すると(図2
0)、102km/hまでハイプレが生じなかった。す
なわち、ハイプレが14km/h高速側へシフトしたこ
とになり、最適化の有効性が実証された。
【0149】〔第2実施の形態〕次に、第2実施の形態
を説明する。上記の実施の形態では、1つの設計案につ
いてタイヤ性能予測及び評価を設計案を修正しながら繰
り返し、採用する設計案を求めた場合を説明したが、本
実施の形態は、複数の設計案から採用する設計案を求め
るものである。詳細には、操縦安定性を向上させるため
に、タイヤの性能を予測しながらハイプレ予測数値を最
適値である最小値にする溝の形状(溝深さ)を遺伝的に
アルゴリズムによって設計するものである。なお、本実
施の形態は、上記実施の形態と同様の構成のため、同一
部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0150】図22は、第2実施の形態のプログラムの
処理ルーチンを示すものである。ステップ300では、
N個のタイヤ断面形状を有限要素法等のように溝の形状
(溝深さ)を数値的・解析的に求めることができる手法
によりモデル化し、内部構造を含むタイヤ基本モデルを
求める。なお、Nは予め使用者がインプットする。本実
施の形態では100とする。
【0151】図21に示すように、本実施の形態で用い
るタイヤ基本モデルのパターンは、溝深さをHiとし
て、iが奇数でリブ溝の深さを表し、iが偶数でラグ溝
の深さを表している。このタイヤ基本モデルの分割は、
予め定めたリブ溝及びラグ溝によるブロックで分割され
たものである。なお、設計目的によって3角形等の任意
の形状に分割してもよい。
【0152】次のステップ302では、タイヤ性能評価
用物理量を表す目的関数、タイヤ断面形状を制約する制
約条件及びN個のタイヤモデルのタイヤ断面形状を決定
する設計変数を決定する。本実施の形態では、操縦安定
性を向上させるために、ハイプレ予測数値を最小値にす
る溝の形状(溝深さ)を設計するため、目的関数OBJ
及び制約条件Gを次のように定めている。
【0153】目的関数OBJ:ハイプレ予測数値を最小 制約条件G :溝深さの平均を7mmで維持
【0154】また、設計変数である溝の深さは、各主溝
の幅H1〜H9を設定している。なお、本実施の形態で
は、これらの各溝幅に、4〜9mmの制約を設けてい
る。
【0155】各溝幅H1〜H9は、1mm間隔で取り得
る値が設定されている。 H1:4,5,6,7,8,9 H2:4,5,6,7,8,9 H3:4,5,6,7,8,9 H4:4,5,6,7,8,9 H5:4,5,6,7,8,9 H6:4,5,6,7,8,9 H7:4,5,6,7,8,9 H8:4,5,6,7,8,9 H9:4,5,6,7,8,9
【0156】これら設定されている各値の1つを乱数に
基づいて選択することにより、初期世代に関する、目的
関数OBJ、制約条件G及びN個のタイヤモデルの各々
の設計変数riJ(i=1,2,・・・,9;J=1,
2,・・・,N)を決定した後に、ステップ303にお
いて、初期世代N個のタイヤモデルの各々について、上
記説明した図2のステップ104と同様にして、タイヤ
性能予測処理が実行される。なお、ステップ303で
は、タイヤ性能予測処理が実行された場合、予測結果の
評価から、予測性能が良好であるか否かを判断すること
ができるが、ここでは、予測結果の出力及び予測性能の
評価の結果を記憶でき、適宜参照可能な構成とする。
【0157】タイヤ性能予測処理が終了した後の、図2
2のステップ304ではN個のタイヤモデルの各々の設
計変数riJの各々の目的関数OBJJ 及び制約条件GJ
を演算する。次のステップ306では、ステップ304
で求めたN個のタイヤモデルの各々の目的関数OBJJ
及び制約条件GJ を用いて、N個のタイヤモデルの各々
の適応関数FJ を以下の式(4)に従って演算する。本
実施の形態では、例えばハイプレ予測数値を最小にする
ため、適応関数による値(適応度)は、ハイプレ予測数
値が小さくなると小さくなる。
【0158】 ΦJ =−OBJJ +γ・max(GJ 、O) FJ =−ΦJ ・・・(4) または、 FJ =1/ΦJ または、 FJ =−a・ΦJ +b
【0159】
【数2】
【0160】次のステップ308では、N個のモデルの
中から交叉させるモデルを2個選択する。選択方法とし
ては、一般に知られている適応度比例戦略を用い、N個
のタイヤモデルのある個体lが各々選択で選ばれる確率
l は以下の式で表わされる。
【0161】
【数3】
【0162】上記実施の形態では、選択方法として適応
度比例戦略を用いたが、この他、遺伝的アルゴリズム
(北野宏明 編)に示されている様な、期待値戦略、ラ
ンク戦略、エリート保存戦略、トーナメント選択戦略、
あるいはGENITORアルゴリズム等を用いてもよ
い。
【0163】次のステップ310では、選択された2個
のタイヤモデルを、使用者が予め入力した確率Tによっ
て交叉させるか否かを決定する。ここでいう、交叉と
は、後述するように、2個のタイヤモデルの要素の一部
を交換することをいう。否定判定で交叉させない場合
は、ステップ312において現在の2個のタイヤモデル
をそのままの状態でステップ316へ進む。一方、肯定
判定で交叉させる場合には、ステップ314において後
述するように2個のタイヤモデルを交叉させる。2個の
タイヤモデルの交叉は、図23に示す交叉ルーチンによ
って行われる。先ず、図22のステップ308において
選択された2個のタイヤモデルをタイヤモデルa及びタ
イヤモデルbとすると共に、各々のタイヤモデルa,b
の設計変数について並びを含む設計変数ベクトルで表
し、タイヤモデルaの設計変数ベクトルをVra =(r
1 a 、r2 a 、・・・、ri a 、・・・、rn-1 a )、
タイヤモデルbの設計変数ベクトルをVrb
(r1 b ,r2 b 、・・・ri b 、・・・rn-1 b )と
する。
【0164】2個のタイヤモデルの交叉は、図23に示
す交叉ルーチンによって行われる。先ず、図22のステ
ップ308において選択された2個のタイヤモデルをタ
イヤモデルa及びタイヤモデルbとすると共に、各々の
タイヤモデルa,bの設計変数について並びを含む設計
変数ベクトルで表し、タイヤモデルaの設計変数ベクト
ルをVra =(r1 a 、r2 a 、・・・、ri a 、・・
・、rn-1 a )、タイヤモデルbの設計変数ベクトルを
Vrb =(r1 b ,r2 b 、・・・ri b 、・・・r
n-1 b )とする。
【0165】図23のステップ350では、予め定めた
乱数を生成し、この乱数に応じてタイヤモデルa,bの
設計変数ベクトルに関する交叉場所iを決定する。次の
ステップ352では、交叉すると決定されたタイヤモデ
ルa,bの設計変数ri a ,ri b に対して、以下の式
に従って距離dを求める。
【0166】d=|ri a −ri b | 次のステップ354では、ri a 、ri b の取り得る範
囲の最小値BL 及び最大値Bu を用いて、以下の式に従
って正規化距離d’を求める。
【0167】
【数4】
【0168】ステップ356では、正規化距離d’の値
を適度に分散させるために、図24(a),(b)に示
すような山型の写像関数Z(x)(0≦x≦1,0≦Z
(x)≦0.5)を用いて、以下の式に従って関数値Z
abを求める。 Zab=Z(d’) このようにして、関数値Zabを求めた後、ステップ35
8において新しい設計変数ri a 、ri b を次の式
に従って求める。
【0169】
【数5】
【0170】このようにして、ri a 、ri b を求
めた後、ステップ360で新しい設計変数の並びである
設計変数ベクトルVr’a 、Vr’b は以下のように求
められる。 Vr’a =(r1 a 、r2 a 、・・・ri ' a 、ri+1
b 、・・・、rn-1 b ) Vr’b =(r1 b 、r2 b 、・・・ri b 、ri+1
a 、・・・、rn-1 a ) なお、ri の取り得る範囲の最小値BL 及び最大値Bu
は、使用者が予め入力しておく。また、写像関数Z
(x)は図25(a),(b)に示すような、谷型の関
数でもよい。また、上記例では交叉場所iは1ヶ所であ
るが、この他に遺伝的アルゴリズム(北野 宏明 編)
に示されているような、複数点交叉または一様交叉等を
用いてもよい。
【0171】このような交叉によって新規な2個のタイ
ヤモデルを生成した後、図22のステップ316では、
使用者が予め入力した確率Sで、突然変異させるか否か
を決定する。この突然変異は、後述するように、設計変
数の一部を微小に変更することをいい、最適な設計変数
となりうる母集団を含む確度を高くするためである。ス
テップ316で、否定判定で突然変異させない場合に
は、ステップ318で現在の2個のタイヤモデルを維持
したまま、次のステップ321進む。肯定判定で突然変
異させる場合には、次のステップ320で以下のように
して突然変異処理を行う。
【0172】この突然変異は、図26に示す突然変異ル
ーチンによって行われる。先ず、ステップ362では乱
数を生成し、乱数によって突然変異の場所iを決定す
る。次のステップ364では、距離d’を 0≦d’≦1 の範囲で乱数により決定する。
【0173】次のステップ366では、図24(a),
(b)に示すような山型の写像関数Z(x)(0≦x≦
1で、0≦Z(x)≦0.5)あるいは図25(a),
(b)に示すような谷型の写像関数Z(x)を用いて、
以下の式に従って、関数値Zdを求める。
【0174】Zd=Z(d’) このようにして、関数値Zdを求めた後、ステップ36
8において新しい設計変数ri ’を以下の式に従って求
める。
【0175】
【数6】
【0176】このようにして、設計変数ri ’を求めた
後、ステップ370で求められる、新しい設計変数の並
びである設計変数ベクトルVr’は以下のようになる。
【0177】Vr’=(r1 、r2 、・・・ri ’、r
i+1 、・・・、rn-1 ) このようにして、新たに生成された2個のダイヤモデル
について、次のステップ321では、上記ステップ30
3と同様にして(図2のステップ104)、各タイヤモ
デルについて、タイヤ性能予測処理が実行される。な
お、ステップ321では、タイヤ性能予測処理が実行さ
れた場合、予測結果の評価から、予測性能が良好である
か否かを判断することができるが、ここでは、予測結果
の出力及び予測性能の評価の結果を記憶でき、適宜参照
可能な構成とする。
【0178】次のステップ322では、新たに生成され
た2個のダイヤモデルについて、目的関数の値と制約条
件の値を演算する。次のステップ324では、得られた
目的関数の値と制約条件の値から前記実施の形態例と同
様に(4)式を用いて適応関数を演算する。
【0179】次のステップ326では、上記2個のタイ
ヤモデルを保存する。次のステップ328では、ステッ
プ326で保存したタイヤモデルの数が、N個に達した
か否かを判断し、N個に達していない場合は、N個にな
るまでステップ308からステップ328を繰り返し実
行する。一方、タイヤモデルの数がN個に達した場合に
は、ステップ330で収束判定をし、収束していない場
合には、N個のタイヤモデルをステップ326で保存さ
れたタイヤモデルに更新し、ステップ308からステッ
プ330を繰り返し実行する。一方、ステップ330で
収束したと判断された場合には、N個のタイヤモデルの
中で制約条件を略満たしながら目的関数の値が最大とな
るタイヤモデルの設計変数の値をもって制約条件を略満
たしながら目的関数を最大にする設計変数の値とし、ス
テップ332においてこの設計変数の値を用いてタイヤ
の形状を決定する。
【0180】なお、ステップ330の収束判定は以下の
条件のいずれかを満足したら収束とみなす。
【0181】1)世代数がM個に達した 2)一番目的関数の値が大きい線列の数が全体のq%以
上になった 3)最大の目的関数の値が、続くp回の世代で更新され
ない。 なお、M、q、pは使用者が予め入力しておく。また、
この収束判定には、タイヤ性能の出力を用いることがで
きる。
【0182】このように、本実施の形態では、第1実施
の形態対比計算量が増加するため、設計開発に要した時
間は若干増加するが、より良い性能のタイヤ設計を行う
ことができる、という効果がある。
【0183】ここで、溝深さの初期値を7mmとし、実
際に上記の最適化を実行した結果、図27に示す結果を
得た。その結果、リブ溝の深さがH2=9mm,H4=
8mm,H6=7mm,H8=4mmであり、ラグ溝深
さがH1=9mm,H3=8mm,H5=7mm,H7
=5mm,H9=5mmであった。図から理解されるよ
うに、センター付近は溝が深くなる最適値が得られた。
また、溝深さを一律7mmで設定したパターンのハイプ
レ予測数値を100とした場合に、上記最適化を実施す
ると(図27)、ハイプレの流体反力は92であった。
すなわち、ハイプレが8%良化したことが理解される。
【0184】また、上記の最適化を行って設計したタイ
ヤを実際に製造し、実車に装着して試験した結果を以下
に示す。試験方法は、水深6mmのプールに車両を突入
させて、ハイプレが生じるか否かを判定した。このと
き、ハイプレが生じることのない車速から徐々に車速を
変化させながら複数回前記プールに突入させ、ハイプレ
が生じる瞬間の速度測定した。この結果、溝深さを一律
7mmで設定したパターンは、73km/hでハイプレ
が生じたのに対して、上記最適化を実施すると(図2
7)、82km/hまでハイプレが生じなかった。すな
わち、ハイプレが9km/h高速側へシフトしたことに
なり、最適化の有効性が実証された。
【0185】なお、第1実施の形態と、第2実施の形態
とを組み合わせてもよい。すなわち、交叉、突然変異に
よって得られた設計案をもとに目的関数、制約条件を演
算する場合には、Goldberg,D.E.,"Genetic Algorithms
in Search,Optimization andMachineイ Learning",Addis
on-Wesley(1989)に記載されているように局所的な最適
解に落ち込まないものの、真の最適解を求めることが難
しいという問題点がある。このため、第2実施の形態の
ステップ222の演算処理として、第1実施の形態のス
テップ104〜116の処理を用いて、各方法を組み合
わせれば、上記問題点を解決できる。このような、局所
的な最適解に落ち込まず、真の最適解を得る方法は、こ
こで述べた手法以外に、前記参考文献に記載されてある
焼きなまし法(Simulated Annealing)と呼ばれる方法を
組み合わせることもできる。
【0186】〔第3実施の形態〕本実施の形態は、最適
なタイヤの設計パラメータを求める最適化装置に本発明
を適用したものである。本実施の形態の最適化装置で
は、高等動物の神経回路網が工学的にモデル化された非
線形予測技術である学習後のニューラル・ネットワーク
を変換系として最適化計算によって設計パラメータを求
めている。なお、本実施の形態は、上記実施の形態と略
同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細
な説明を省略する。
【0187】本実施の形態に係る最適化の実施をするた
めの最適化装置60は、図1の空気入りタイヤの設計方
法を実施するためのパーソナルコンピュータと同様の構
成で実施でき、コンピュータ本体12は予め記憶された
プログラムに従って非線形化予測手法によるニューラル
ネットワークを用いてタイヤの形状、構造、パターンの
設計パラメータ等からその性能を予測すると共に制約条
件を満たしかつ目的関数を最適(例えば、最大または最
小)にする設計変数を演算する。CRT14は、コンピ
ュータ本体12の演算結果等を表示する。
【0188】詳細には図28に示すように、最適化装置
60は、マイクロコンピュータを含んで構成されたコン
ピュータ本体12、データ入出力装置28、データやコ
マンドを入力するためのキーボード10、及びモニター
14から構成されている。コンピュータ本体12は、C
PU16、ROM18、RAM50、変換系等(詳細は
後述)を記憶するためのメモリ52、本体と他の装置と
の間でデータ等をやりとりするための入出力装置(以
下、I/Oという)56及びこれらをデータやコマンド
が入出力可能なように接続されたバス54から構成され
ている。なお、ROM18には、後述する処理プログラ
ムが記憶されている。なお、データ入出力装置28は、
数値表現されたタイヤの形状、構造、パターンの設計パ
ラメータ、製造条件、タイヤ性能(本実施の形態ではタ
イヤの形状、構造、パターン等)が外部記憶手段に記憶
されている場合に、外部記憶手段から読み込むための装
置であり、キーボード10を入力装置として用いる場合
には不要である。
【0189】図29は本実施の形態の最適化装置60の
機能別概略構成を示すブロック図である。本実施の形態
の最適化装置60では、最大化もしくは最小化すべきタ
イヤ性能(これを目的関数という)を最適化してその最
適化したタイヤ性能に対する設計パラメータを出力す
る。
【0190】この最適化装置60は、機能別に、非線形
演算部62、最適化演算部64、性能予測データ入力部
70、最適化項目入力部72及び最適化結果出力部74
に分類される。非線形演算部62は、ニューラルネット
ワークで構成された(詳細後述)変換系の計算部として
機能し、性能予測データ入力部70から入力されたデー
タに基づいて、タイヤの形状、構造、パターン、製造条
件とその性能とが関連付けられた変換系を求めるための
ものである。なお、ここでいう変換系とは、タイヤの形
状、構造、パターンの設計パラメータ及び製造条件等と
その性能とが1対1に対応するように変換及び逆変換が
可能な変換系そのものをいい、学習後のニューラルネッ
トワークを数式で表現するときは数式及びその係数を含
めたものをいう。性能予測データ入力部70は、タイヤ
の形状、構造、パターンの設計パラメータ及び製造条件
等と、それらに対応する性能との各データを入力するた
めのものである。この場合の性能はタイヤ性能予測処理
によって求められるものである。
【0191】最適化項目入力部72は、最大化もしく
は最小化すべきタイヤの予測もしくは計測される物理量
等タイヤ性能(後述の目的関数)、最大化、もしくは
最小化する時に制約を設けるタイヤの予測もしくは計測
される物理量、及びタイヤの形状・構造・パターンの設
計パラメータ並びに加硫温度や等の製造条件、タイヤ
の形状・構造・パターンの設計パラメータ及び製造条件
のとりうる範囲、最適化に関する方法の選択及びその
時のパラメータ等を入力するためのものである。
【0192】なお、上記の最適化に関する方法は、数理
計画法及び遺伝的アルゴリズム等の最適化手法がある
が、本実施の形態では数理計画法による最適化手法を選
択するものとする。
【0193】最適化演算部64は、目的関数を収束する
まで最適化するためのものであり、目的関数・制約条件
演算部66及び目的関数最適化演算部68から構成され
る。目的関数・制約条件演算部66は非線形演算部62
による変換系を用いてタイヤの形状、構造、パターンの
設計パラメータ及び製造条件からそのタイヤ性能を予測
するためのものであり、目的関数最適化演算部68は最
適化項目入力部72で入力した目的関数を、制約条件を
満たしつつ収束するまで最適化するためのものである。
【0194】最適化結果出力部74は、最適化演算部6
4による最適化の結果として、入力された最適化項目を
満足するように最適化された、タイヤの形状、構造、パ
ターンの設計パラメータと製造条件を出力するためのも
のである。
【0195】なお、本実施の形態では、非線形演算部6
2は、図28に示すハードウェア資源及び後述するソフ
トウェア資源を用いて構成され、後述するように概念的
なニューラルネットワークで構成された変換機能を有す
ると共に、それを学習する学習機能を有している。ま
た、非線形演算部62は、学習機能を有さない変換機能
のみを有する構成とすることも可能である。すなわち、
後述するように、非線形演算部62は、タイヤの形状、
構造、パターンの設計パラメータ及び製造条件とそのタ
イヤ性能とが関連付けられた変換系を求めるものである
が、タイヤの形状、構造、パターンの設計パラメータ及
び製造条件とその性能との間で変換できればよい。従っ
て、タイヤの形状、構造、パターンの設計パラメータ及
び製造条件とその性能との対応を予め他のニューラルネ
ットワークで学習し、学習された他のニューラルネット
ワークの変換係数を入力するようにして、この変換係数
を用いてタイヤの形状、構造、パターンの設計パラメー
タ及び製造条件とその性能とが関連付けられた変換系を
求めてもよい。つまり、変換係数が入力される構成であ
れば、変換係数を用いてタイヤの形状、構造、パターン
の設計パラメータ及び製造条件とそのタイヤ性能との間
で変換する変換のみの機能でよい。また、これらの対応
をルックアップテーブルとして記憶して、記憶されたル
ックアップテーブルを参照することによって、変換して
もよい。
【0196】上記の非線形演算部62は、タイヤの形状
・構造・パターンの設計パラメータ、及び製造条件の各
値毎の入力を可能とするために入力層としてタイヤの形
状・構造・パターンの設計パラメータ及び製造条件の数
に応じたニューロンを有し、中間層を介して出力層とし
て目的関数や制約条件に関係した予測するタイヤ性能項
目の数に応じたニューロンを有して各々のニューロンが
シナプスによって結合されたニューラルネットワークを
構成している。この非線形演算部62は、後述する学習
後に、タイヤの形状・構造・パターンの設計パラメータ
及び製造条件の各値が入力されると、それに対応する性
能が出力される。学習時には、タイヤの形状・構造・パ
ターンの設計パラメータ及び製造条件に対応する既知の
性能が教師として入力され、出力の性能と既知の性能と
の誤差差分等の大小により、タイヤの形状・構造・パタ
ーンの設計パラメータ及び製造条件の各値と、その性能
とが対応されるように設定される。
【0197】この非線形演算部62に用いられているニ
ューラルネットワークの一例としては、図30に示すよ
うに、ニューロンに対応する所定数のユニットI1、I
2、・・・、Ip(p>1)から成る入力層、多数のユ
ニットM1、M2、・・・、Mq(q>1)から成る中
間層、及び所定数の出力ユニットU1、U2、・・・、
Ur(r>1)から成る出力層から構成されている。な
お、入力層のユニット数、及び出力層のユニット数はタ
イヤの形状・構造・パターンの設計パラメータ及び製造
条件個数、性能の個数に応じて設定すればよい。また、
中間層の各ユニット及び出力層の各ユニットには出力値
を所定値だけオフセットさせるためのオフセットユニッ
ト46、48に接続されている。上記入力層のユニット
には例えば、タイヤのベルトの幅、ベルトの角度、ベル
トの材質、タイヤ形状をあらわすパラメータ、そしてコ
ストを入力値として用いることができる。出力層のユニ
ットには例えば、転がり抵抗、応力・歪み、タイヤのバ
ネ特性、タイヤの接地特性等を出力値として用いること
ができる。
【0198】なお、本実施の形態では、中間層のユニッ
ト及び出力層のユニットは入出力関係がシグモイド関数
によって表されるシグモイド特性を有する神経回路素子
により構成され、入力層のユニットは入出力関係が線形
の神経回路素子で構成されている。このシグモイド特性
を有するように構成することによって、出力値は実値
(正の数)となる。
【0199】非線形演算部62における、中間層のユニ
ット、及び出力層のユニットの各々の出力は、次の
(5)、(6)式で表すことができる。すなわち、或る
ユニットについて、入力側のシナプスの個数をpとし、
各シナプス結合の強さに相当する重み(ユニットの結合
係数)をwji(1≦j≦N,1≦i≦p)とし、各入力
信号をxj とするとき、ニューロンの膜電位の平均値に
相当する仮想的な内部状態変数uは次の(5)で表すこ
とができ、出力yはニューロンの特性を表す非線形関数
fにより次の(6)式で表すことができる。
【0200】
【数7】
【0201】但し、bj はオフセットユニットから供給
されるオフセット値、Wjiは異なる層のi番目とj番目
のユニット間の重みを表す。
【0202】従って、入力層のユニットへタイヤの形
状、構造、パターンの設計パラメータ及び製造条件の各
値を入力することによって、出力層のユニットから、タ
イヤ性能の個数に応じた各値が出力される。
【0203】なお、上記の入力層の各ユニットの特性は
入力をそのまま出力する特性でよい。また、非線形演算
部62(ニューラルネットワーク)の各ユニットの重み
(結合係数)は、後述する学習処理により、既知である
予測データについて誤差が最小となるように学習・修正
される。
【0204】次に、非線形演算部62におけるニューラ
ルネットワークの学習の処理の詳細を図32を参照して
説明する。本実施の形態では、タイヤの形状、構造、パ
ターンの設計パラメータ及び製造条件の各値によってタ
イヤを試作・評価、またはタイヤをモデル化しコンピュ
ータで予測することによってタイヤの性能に関するデー
タを得る。また、タイヤの形状、構造、パターンの設計
パラメータ及び製造条件の各値と、その性能を表す各値
との対応をデータとして学習に用いる。
【0205】なお、複数のデータのうち所定数(例え
ば、全体の90%)のデータを学習データとすると共
に、それ以外(例えば、残り10%)のデータをテスト
データとしている。これは予測データを、ニューラルネ
ットワークの学習時に用いるデータと、学習が終了した
ニューラルネットワークが最適に学習がなされたかを確
認するデータとに用いるためである。また、これらタイ
ヤの形状、構造、パターンの設計パラメータ及び製造条
件の各値を入力データとすると共に、タイヤの性能を表
す各値を出力教師データとしている。
【0206】まず、図32のステップ460では、予め
求めた、学習データ及びテストデータを読み取る。次の
ステップ462では、ニューラルネットワークにおける
各ユニットのの結合係数(重み)及びオフセット値を予
め定めた値に設定することによって初期化する。次のス
テップ464では、タイヤの形状、構造、パターンの設
計パラメータ及び製造条件が既知の複数の学習データを
用いてニューラルネットワークを学習させるため、中間
層及び出力層の各々のユニットの誤差を求める。
【0207】出力層の誤差は学習データのタイヤ性能に
対する差を誤差とすることができる。各結合係数及びオ
フセット値の少なくとも1つを僅かづつ変化させること
によって出力層の誤差、すなわちユニットの誤差が最小
になるようにすることができる。また、中間層の誤差
は、出力層の誤差を用いて誤差逆伝搬法等の逆計算によ
り求めることができる。
【0208】次のステップ466では、上記求めた各結
合係数及びオフセット値を更新(書換え)して、次のス
テップ468においてその更新された各結合係数及びオ
フセット値によるニューラルネットワークによってテス
トデータの各々をテストしてテスト結果の値としてタイ
ヤの性能を表すデータを得る。次のステップ470で
は、上記ステップ468で求めたテスト結果の値が収束
判定の基準である所定範囲内の値か否かを判別すること
により収束したか否かを判断するか、または上記の処理
を所定回数繰り返ししたか否かを判断し、肯定判断の場
合には本ルーチンを終了する。一方、否定判断の場合に
はステップ464へ戻り、上記処理を繰り返す。これに
よって、学習データを入力した場合に、中間層及び出力
層の各々のユニットの誤差が最小になるように各結合係
数及びオフセット値が定まる。
【0209】このようにして、タイヤの形状、構造、パ
ターンの設計パタメータ及び製造条件が既知の複数の予
測データを用いてニューラルネットワークを学習させ
る。すなわち、教師信号に対するニューラルネットワー
クの出力層からの出力値の誤差が最小となるように学習
される。このように、学習することによって非線形演算
部32では、タイヤの形状、構造、パターンの設計パラ
メータ及び製造条件の値が入力されると、タイヤの性能
を表す値を出力することになる。
【0210】なお、以上の処理が終了し、ニューラルネ
ットワークの学習が十分に行われた後に、ネットワーク
の構造、すなわち結合係数やオフセット値をメモリ52
に記憶し、変換系を構築するようにしてもよい。
【0211】上記では非線形演算部62としてニューラ
ルネットワークを用いた場合を説明したが、次の(7)
式に示すように、多項式による応答曲面法を利用した変
換系を用いることもできる。
【0212】
【数8】
【0213】次に、本実施の形態の最適化装置60の作
動を図31のフローチャートを参照してさらに説明す
る。最適化装置60の電源が投入または実行開始の指示
がキーボードよりなされると、図31のステップ400
へ進み、タイヤの形状、構造、パターンの設計パラメー
タxi (i=1〜p)、目的関数、最大実験回数を設定
する。すなわち、何れの性能を改良するか、またその場
合、何回程度の実験回数までに最適なタイヤの形状、構
造、パターンの設計パラメータを決定したいかを設定す
る。
【0214】本実施の形態では、図34に示すように、
パターンの溝幅について最適化を行う。パターンの溝幅
は、タイヤの中心から離れるにしたがって順にW1,W
2,W3,W4に設定している。従って、ステップ40
0では、設計パラメータxi(i=1〜p)として、図
34に示す溝幅W1,W2,・・・,目的関数、最大実
験回数を設定する。すなわち、何れの性能を改良する
か、またその場合、何回程度の実験回数までに最適なタ
イヤの形状、構造、パターンの設計パラメータを決定し
たいかを設定する。
【0215】次のステップ402では、ステップ400
で設定したタイヤの形状、構造、パターンの設計パラメ
ータxi の許容範囲を設定し(xi L ≦xi ≦xi U
i L は下限値、xi U は上限値)、次のステップ40
4では実験または数値計算による解析回数M及びタイヤ
の形状、構造、パターンの設計パラメータの位置を表す
変数eを初期化する(M=0、i=1)。
【0216】次のステップ406では、ステップ400
で設定したタイヤの形状、構造、パターンの設計パラメ
ータxi 、タイヤ性能に関して、過去の実験データを利
用できるか否かを判定し、肯定判定で利用できるときは
ステップ408へ進み、否定判定で新規に求めなければ
ならないときはステップ420へ進む。
【0217】ステップ420では、直交表または最適実
験計画等を用いて、何れのタイヤの形状、構造、パター
ンの設計パラメータxi を変化させて実験を行うかを決
定することによってタイヤの形状、構造、パターンの設
計パラメータパラメータを決定する。このタイヤの形
状、構造、パターンの設計パラメータの決定は、「Boxa
nd Draper;"Empirical Model Builing and Response Su
rfaces",John Wiley &Sons,New York 」に記載の方法を
利用することができる。
【0218】次のステップ422では、ステップ420
で決定した実験計画に従ったタイヤの形状、構造、パタ
ーンの設計パラメータにより各設計変数を変化させたタ
イヤモデルを作成する。すなわち、全実験数または数値
解析の回数をni として、n i 個のタイヤ断面形状を有
限要素法等のように空気充填時のタイヤ周方向ベルト張
力を数値的・解析的に求めることができる手法によりモ
デル化し、内部構造を含むタイヤ基本モデルを求める。
【0219】また、このステップ422では、タイヤ性
能評価用物理量を表す目的関数、タイヤ断面形状を制約
する制約条件及びni 個のタイヤモデルのタイヤ断面形
状を決定する設計変数を決定する。本実施の形態では、
目的関数は、上記実施の形態と同様にハイプレ予測数値
の最小を設定し、制約条件にはネガティブ現状の42.
5%以下を設定する。また、設計変数には溝幅W1,W
2,・・・,を設定する。この後に、ステップ424に
おいて、ni 個のタイヤモデルの各々について、上記説
明した図2のステップ104と同様にして、タイヤ性能
予測処理を実行する。これにより、タイヤ性能予測結果
が得られることになる。
【0220】タイヤ性能予測処理が終了した後の、図3
1のステップ426ではni 個のタイヤモデルの各設計
変数の各々の目的関数OBJJ 及び制約条件GJ を演算
し、記憶する。
【0221】次のステップ428では、上記で説明した
ようにしてニューラルネットワークを学習する。すなわ
ち、入力層へ入力する値をタイヤの形状、構造、パター
ンの設計パラメータの各値、出力層から出力される値を
タイヤの性能の各値としてニューラルネットワークを学
習する。
【0222】次のステップ430では、目標物性・特性
に対して寄与が少ないタイヤの形状、構造、パターンの
設計パラメータの有無を判断する。例えば、入力層の少
なくとも1つのユニットへ入力したタイヤの形状、構
造、パターンの設計パラメータxi を僅か変化させたと
きに対する出力層のタイヤ性能の変化傾向を示す感度、
及び入力層の少なくとも1つのユニットからの出力を零
にしたときに対する、出力層のタイヤ性能の予測精度の
低下度合を計算し、寄与が少ないタイヤの形状、構造、
パターンの設計パラメータを決定する。これは感度が小
さくその入力を無視しても予測精度が低下しないタイヤ
の形状、構造、パターンの設計パラメータは寄与が少な
いと考えられるためである。
【0223】寄与が少ないタイヤの形状、構造、パター
ンの設計パラメータが有るときは、ステップ430で肯
定判断され、次のステップ432において寄与が少ない
タイヤの形状、構造、パターンの設計パラメータxi
削除し、その削除された後のタイヤの形状、構造、パタ
ーンの設計パラメータによって再度学習する(ステップ
428)。一方、寄与が少ないタイヤの形状、構造、パ
ターンの設計パラメータが無のときはステップ430で
否定判断され、次のステップ434において上記学習さ
れたニューラルネットワークの入力層(タイヤの形状、
構造、パターンの設計パラメータ)と出力層(タイヤ性
能)の関係を記憶する。すなわち、各結合係数及びオフ
セット値を記憶する。
【0224】次のステップ436では、記憶された入力
層(タイヤの形状、構造、パターンの設計パラメータ)
と出力層(タイヤ性能)の関係を用いて後述するように
して目的関数を最適化することによって最良のタイヤの
形状、構造、パターンの設計パラメータxi を求める
(図33)。
【0225】最適化が終了すると、次のステップ438
で実験回数または解析回数Mが増加され(M=M+
i )、次のステップ440において、M<(設定され
た最大の実験回数または解析回数)か否かが判断され、
小さい場合には、ステップ442へ進む。
【0226】ステップ442では変数iをインクリメン
トし、次のステップ444で、以下の(8)〜(10)
式に示すようにタイヤの形状、構造、パターンの設計パ
ラメータの許容範囲を再設定してステップ420へ戻
る。この処理を繰り返すことで、最適なタイヤの形状、
構造、パターンの設計パラメータxi OPT の精度を向上
することができる。なお、ステップ444の許容範囲の
再設定は、ステップ402で定めたタイヤの形状、構
造、パターンの設計パラメータの許容範囲を狭め設定を
行い、ステップ420ではこの狭めた領域について再実
験点の計画を行う。
【0227】
【数9】
【0228】ここで、NNは、タイヤの形状、構造、パ
ターンの設計パラメータの許容範囲を狭める程度を定め
るための係数であり、1.5から5程度の値を設定する
ことが望ましい。
【0229】一方、ステップ440で否定判断、すなわ
ち予め定めた最大の実験回数または解析回数より多く実
験または数値解析した場合には、ステップ446で最後
に得られたタイヤの形状、構造、パターンの設計パラメ
ータを最適タイヤ設計として出力する。次のステップ4
48では、過去の実験データ内に同様な実験または数値
解析があるか否かを判断し、否定判断の場合には次のス
テップ450で最適タイヤ設計の性能をメモリ22また
はデータ入出力装置28を介して外部記憶装置等のデー
タベースへ登録する。なお、再度実験または数値解析し
てタイヤの性能を求めてもよい。
【0230】なお、最大の実験回数または解析回数は、
実験または数値解析にかかる費用及び最適タイヤ設計を
求めるのに用する時間等によって定められた定数であ
る。次に、上記ステップ406で肯定判断された場合に
は、ステップ408において、予め用意されたデータベ
ースからステップ400で設定した各項目に関連した過
去のタイヤの形状、構造、パターンの設計パラメータ、
タイヤ性能を読み取り、次のステップ410において、
その読み取ったデータを以下の(11)〜(14)式を
用いて尖度、歪度が小さくなるように変換する。
【0231】
【数10】
【0232】次のステップ412では、上記ステップ4
28と同様にニューラルネットワークを学習し、次のス
テップ414で上記ステップ434と同様に学習結果を
記憶する。次のステップ416では実験データ(予測デ
ータ)に戻すために、ステップ410による変換の逆変
換を行い、次のステップ418で全実験数niをリセッ
トし(=0)、ステップ436へ進む。
【0233】次に、図31のステップ436の最適化処
理の詳細を説明する。図33のステップ460では、改
良したいタイヤ性能を表す目的関数、或るタイヤ性能を
改良するときに悪化してはならないタイヤ性能等を制約
する制約条件及びタイヤの形状、構造、パターンの設計
パラメータを決定する設計変数を定め、次のステップ4
62でタイヤの形状、構造、パターンの設計パラメータ
の数を表す変数jをリセット(=0)する。
【0234】次のステップ464では、最適化するとき
の初期値として用いるタイヤの形状、構造、パターンの
設計パラメータを設定する。タイヤの形状、構造、パタ
ーンの設計の最適化問題は、入力値(例えばベルトの幅
と確度)を2次元平面にプロットして目的関数の値を高
さ方向にプロットしたイメージによる3次元的に捉える
とタイヤの性能に関する設計空間が多峰性を有するため
に、異なった初期値から最適化を行って最適解の解空間
を知る必要がある。初期値としては、例えば、以下に示
す(15)式を用いることができる。
【0235】
【数11】
【0236】次のステップ466では、ステップ304
で設定した初期のタイヤの形状、構造、パターンの設計
パラメータを入力としてニューラルネットワークによる
出力を実行し、入力したタイヤの形状、構造、パターン
の設計パラメータに対応したタイヤの性能を予測する。
その結果を用いて、目的関数、制約条件の初期値を演算
する。
【0237】次のステップ468では、タイヤの形状、
構造、パターンの設計パラメータを変化させるためにス
テップ464で設定されたタイヤの形状、構造、パター
ンの設計パラメータxi を各々△xi づつ変化させて、
次のステップ470で、設計変数をΔxi 変化させた後
の目的関数の値OBJi 及び制約条件の値Gi を演算
し、ステップ472で以下の式(16)、(17)に従
って、設計変数の単位変化量に対する目的関数の変化量
の割合である目的関数の感度dOBJ/dxi 及び設計
変数の単位変化量に対する制約条件の変化量の割合であ
る制約条件の感度dG/dxi を各設計変数毎に演算す
る。
【0238】
【数12】
【0239】この感度によって、設計変数をΔxi 変化
させたときに目的関数の値がどの程度変化するか予測す
ることができる。この予測、すなわち、最適化の過程
は、登山にたとえることができ、目的関数の値の変化を
予測することは登山の方向を指示することに相当する。
【0240】次のステップ474では、全てのタイヤの
形状、構造、パターンの設計パラメータについて演算が
終了したか否かを判断し、全てのタイヤの形状、構造、
パターンの設計パラメータについて演算が終了していな
い場合には、ステップ468からステップ474を繰り
返し実行する。
【0241】次のステップ476では、目的関数、制約
条件の設計変数に関する感度を用いて、数理計画法によ
り制約条件を満たしながら目的関数を最小又は最大にす
る設計変数の変化量を予測する。この設計変数の予測値
を用いて、ステップ478で各タイヤの形状、構造、パ
ターンの設計パラメータを修正すると共に、修正された
各タイヤの形状、構造、パターンの設計パラメータによ
る目的関数値を演算する。次のステップ480では、ス
テップ488で演算した目的関数値OBJとステップ4
66で演算した目的関数の初期値OBJoとの差と、予
め入力されたしきい値とを比較することで目的関数の値
が収束したか否かを判断し、目的関数の値が収束してい
ない場合にはステップ476で求められた設計変数値を
初期値として、ステップ466からステップ480を繰
り返し実行する。目的関数の値が収束したと判断された
ときには、このときの設計変数の値をもって制約条件を
満たしながら目的関数を最良にする設計変数の値とし、
ステップ482においてこの設計変数の値を用いてタイ
ヤの形状、構造、パターンの設計パラメータを決定し、
次のステップ484で変数jをインクリメントしてステ
ップ486へ進む。
【0242】ステップ486ではjが初期のタイヤの形
状、構造、パターンの設計パラメータの許容数:(1+
Munit)p を越えるか否かを判断し、越えない場合
には、ステップ464へ戻り初期のタイヤの形状、構
造、パターンの設計パラメータの値を変更して上記ステ
ップ464からステップ486を繰り返し実行する。
【0243】一方、ステップ486で肯定判断の場合に
は次のステップ488で最適タイヤ設計を決定し、本ル
ーチンを終了する。本実施の形態のステップ488にお
ける最適タイヤ設計の決定は、次の2つの条件を考慮し
て求めるものであり、条件に対する一致度が大きいもの
を最適タイヤ設計とする。
【0244】[条件] 目的関数OBJが小さい値を有する。(目的関数に選
んだタイヤ性能が小さい方が良いように設定する。大き
い方が良い場合にはマイナス符号を付与して対応す
る。) 求められた最適解の周りでタイヤの形状、構造、パタ
ーンの設計パラメータを少し変更しても目的関数、制約
条件が余り変化しない。
【0245】以上説明したように、本実施の形態では、
変換系を定めるために、ニューラルネットワークによる
非線形演算部において、タイヤの形状、構造、パターン
の設計パラメータ、製造条件とタイヤの性能との対応関
係を実験または数値解析によるデータにより学習してい
るので、変換系を計算する手段として関数型を仮定する
必要がなく、タイヤの形状、構造、パターンの設計パラ
メータ及び製造条件と、タイヤの性能との対応が関連付
けられた相互の関係を見出すことのできる変換系を、精
度が高く任意性の少なく作成することができる。また、
その変換系と最適化演算部を組み合わせることによっ
て、有効性のあるタイヤの形状、構造、パターンの最適
設計案を出力することができる。
【0246】なお、上記実施形態における感度解析(図
33)に代えて遺伝的アルゴリズムの手法によって、最
適化するようにしてもよい。なお、遺伝的アルゴリズム
の手法は、図22の処理からステップ303及びステッ
プ321のタイヤ性能予測処理を除いた処理を実行すれ
ばよい。
【0247】ここで、溝深さを8mmとし、各主溝の幅
W1,W2,W3、W4の制約として、0mm以上16
mm以下の制約を設けて、実際に上記の最適化を実行し
た結果、図35に示す結果を得た。その結果、溝の幅W
1=16mm、溝の幅W2=14.5mm、溝の幅W3
=11.5mm、溝の幅W4=6mmを得た。図から理
解されるように、センター付近は溝の幅が広くなる最適
値が得られた。また、溝深さを一律12mmで設定した
パターンのハイプレ予測数値を100とした場合に、上
記最適化を実施すると(図35)、ハイプレの流体反力
は92であった。すなわち、ハイプレが8%良化したこ
とが理解される。
【0248】また、上記の最適化を行って設計したタイ
ヤを実際に製造し、実車に装着して試験した結果を以下
に示す。試験方法は、水深6mmのプールに車両を突入
させて、ハイプレが生じるか否かを判定した。このと
き、ハイプレが生じることのない車速から徐々に車速を
変化させながら複数回前記プールに突入させ、ハイプレ
が生じる瞬間の速度測定した。この結果、溝幅さを一律
12mmで設定したパターンは、89km/hでハイプ
レが生じたのに対して、上記最適化を実施すると(図3
5)、95km/hまでハイプレが生じなかった。すな
わち、ハイプレが6km/h高速側へシフトしたことに
なり、最適化の有効性が実証された。
【0249】〔第4実施の形態〕次に、第4実施の形態
を説明する。本実施の形態は、偏磨耗抑制性能と操縦安
定性能を向上させるために、接地面積を減少させずに接
地圧を均一にする直方体ブロック踏面形状を設計し、タ
イヤを設計するものである。
【0250】図38は、本実施の形態のプログラムの処
理ルーチンを示すものである。ステップ500では、図
2のステップ100と同様に、設計するタイヤの設計案
(タイヤ形状、構造、材料、パターンの変更など)を数
値解析上のモデルに落とし込むためのタイヤモデル、タ
イヤ性能評価のための流体モデル及び路面モデルの作成
等の初期モデル作成処理が実行される。
【0251】本実施の形態では、接地面積を減少させず
に接地圧を均一にする直方体ブロック踏面形状を設計
し、タイヤを設計するために、ステップ500におい
て、タイヤを構成する1ブロックについて、さらにモデ
ル化を進め、踏面が平面のブロック形状を基準形状と
し、この基準形状を有限要素法等のように路面入力時の
応答を数値的・解析的に求めることができる手法により
モデル化し、ブロック形状を表すと共にメッシュ分割に
よって複数の要素に分割されたブロック基本モデルを求
める。なお、基準形状は、踏面が平面のものに限らず任
意の形状で良い。ここで、モデル化とは、パターン形
状、ブロック形状、構造、材料等を数値的・解析的手法
に基づいて作成されたコンピュータプログラムヘのイン
プットデータ形式に数値化することをいう。
【0252】図39はブロック基本モデルの一例を示す
ものである。また、このブロック基本モデルはメッシュ
分割によって複数の要素に分割、すなわち図中、複数の
線分PLによって複数の要素に分割されている。なお、
上記ではブロック基本モデルを図39に示されるように
複数の要素に分割した例について示したが、この分割方
法は任意であり、目的に応じて分割幅を変化させたり、
また、三角形等の任意の形状に分割しても良い。本実施
の形態の場合ではブロック踏面形状を決定する節点Di
(i:節点の番号、i≧1)の、ブロック高さ方向(図
39の矢印UP方向)の座標を設計変数ri としてい
る。
【0253】次に、図2のステップ102及びステップ
104と同様にして、ステップ502では、タイヤ性能
評価用物理量を表す目的関数、タイヤ断面形状を制約す
る制約条件及びタイヤ断面形状を決定する設計変数を決
定し、次のステップ504では初期のタイヤ性能を予測
する。
【0254】次のステップ506では、上記ステップ5
00でモデル化されたブロック基本モデルに少なくとも
一つの入力Ij (j:入力の番号、j≧1)を与える。
本実施の形態では合計9個の入力Ij を与えている。図
40(A)に示すように、ブロック基本モデルに対して
略垂直に荷重付与したときの平押し荷重(例えば、面圧
4kgf/cm2 )を入力I1 とする。この平押し荷重下にお
いて、図40(B)に示すように、ブロック基本モデル
の中心部からブロック高さ方向UPと交差する方向(踏
面Cに沿う方向)でかつ等角度で8方向の入力、すなわ
ち約45度ピッチ(8方向)の剪断方向入力をそれぞれ
1mm与え、これらの入力を入力I2 〜I9 としてい
る。この1mmとは、基準となるブロック底面に対して
路面を1mm動かしたことに相当する。これらの入力I
1 〜I9 は、入力条件に相当する。入力条件は、与える
入力を規定するための条件であり、入力の力(荷重)、
方向、及び複数入力の組み合わせをいうものである。
【0255】なお、本実施の形態では複数の入力I1
9 を与える場合を説明するが、上記入力数に限定され
るものではなく、目的に応じて、荷重条件を2つ以上の
複数にしてもよい。また、剪断方向入力は、5つに限定
されるものではなく、1つ以上であればよく、また、剪
断方向入力の各々を荷重設定してもよい。
【0256】次のステップ508では、上記ステッブ5
06で与えられた入力Ij に対する接地圧pi,j を演算
し、パターン性能評価用物理量やブロック性能評価用物
理量(以下、パターン/ブロック性能評価用物理量と記
載する)を表す目的関数OBJ、パターン/ブロック踏
面形状を制約する制約条件Gを決定する。本実施の形態
では、操縦安定性を向上させ同時に偏摩耗抑制の効果を
狙い、目的関数(OBJ及び制約条件(G1,G2)を
次のように定めている。
【0257】目的関数OBJ:接触領域における接地圧
分布の標準偏差 制約条件G1:接地面積が同じ入力のブロック基本モデ
ル同等以上 制約条件G2;ブロック最大高さがブロック基本モデル
と同じであること なお、本実施の形態では接地性重視の観点から接地面積
を制約条件Gとして設け、さらにタイヤ半径を変えない
目的でブロック最大高さを不変としている。しかし、上
記制約条件Gは目的に応じて他の物理量を用いることも
可能であり、制約条件Gが単数または複数もしくは制約
条件Gを用いなくても本設計方法は成立する。
【0258】また、上記では、ステップ508において
入力に対する接地圧を求めているが、ステップ506で
入力が与えられた時点で接地圧分布を求めてもよい。
【0259】次のステップ510では、各節点の接地圧
偏差を感度情報として用い、設計変数ri の変化量を予
測する(ブロック踏面の形状の変化量を予測する)。す
なわち、各節点の接地圧から平均より高ければ(低けれ
ば)ブロック高さを減少(増加)方向に設計変数の改良
方向の変化量を予測する。本実施の形態のステップ51
0では、次に示す(18)式に則って設計変数ri の変
化量を予測している。
【0260】
【数13】
【0261】上記(18)式は、「各節点は、複数の入
力条件を考えたときに、最も平均接地圧との比率が大き
い入力条件にしたがって、その比率にある比例定数αを
かけた距離だけ変化する」ということを表している。な
お、この(18)式は、接地圧均一化を想定した場合
に、接地圧が低い部分の踏面形状(ブロック高さ)を高
くする、接地圧が高い部分の踏面形状(ブロック高さ)
を低くする、という設計変数ri の変更を可能にするた
めに用いている。
【0262】次のステップ512では、設計変数ri
変化量の予測値に対応する修正モデルを作成する。この
ステップ512では、修正モデルすなわちブロックから
タイヤモデルを形成し、修正されたタイヤモデルを生成
することができる。次のステップ514では、図2のス
テップ104と同様にして、修正されたタイヤモデルの
タイヤ性能予測処理が実行される。なお、ステップ51
4において、タイヤ性能予測処理が実行された場合、上
記と同様に、予測結果の評価から、予測性能が良好であ
るか否かを判断することができる。この判断は、キーボ
ードによる入力によってなされてもよくまた、上記評価
値に、許容範囲を予め定めておき、予測結果の評価値が
許容範囲内に存在するときに、予測性能が良好であると
判断するようにしてもよい。また、予測性能の評価の結
果、目標性能に対して不十分であるときは、この時点で
処理を中止し、設計案を変更(修正)した後に再度タイ
ヤの設計を開始(これまでの処理をやり直す)してもよ
いし、予測性能の評価の結果を記憶しておき、適宜参照
しても良い。
【0263】タイヤ性能予測処理が終了した後は、ステ
ップ516において、接地圧、目的関数及び制約条件を
求め、次のステップ518において、上記ステップ51
6で求めた目的関数OBJの値と、前回の繰り返し処理
までに求められている目的関数の値(前回の繰り返し処
理におけるステップ516で求めた目的関数の値)とを
比較することで、目的関数の値が収束したか否かを判断
する。制約条件を満たす目的関数の収束値が得られたと
きは、ステップ518で肯定され、ステップ520へ進
む。一方、制約条件を満たす目的関数の収束値が得られ
なかったときは、ステップ518で否定され、ステップ
506へ戻り、上記処理を繰り返し実行する。
【0264】本実施の形態では、目的関数である、接触
領域における接地圧分布の標準偏差が小さい程、偏磨耗
抑制性能と操縦安定性能とが向上することが予想される
ので、目的関数OBJの値が小さくなる方向に収束され
る。従って、本実施の形態では、目的関数OBJの最小
値が得られるまでステップ506からステップ518の
処理を繰り返し実行する。
【0265】なお、本実施の形態では制約条件Gがある
ため、この制約条件Gを満たす中で目的関数OBJの最
小値が得られたとき、繰り返し処理(ステップ506〜
ステップ518)が終了する。形状の変化を定義する数
式は、上記(18)式以外を用いてもよく、様々な方法
が可能である。例えば、複数の入力の中で特定の入力が
重視されるような重みwを乗算して各入力からの応答を
混ぜ合わせる数式等も用いることができる。以下の(1
9)式に一例を示す。
【0266】
【数14】
【0267】なお、本実施の形態の目的関数は小さい程
よいというメジャーを採用したため最小値を求めるが、
目的に応じて値が大きい程よい目的関数や、ある特定の
値を最良とする目的関数の選定も可能である。
【0268】次のステップ520では、ブロック踏面形
状をカーブフイット処理する。このカーブフィット処理
は、ブロックの接地縁付近の形状について予め定めた曲
率半径Rの形状に揃える処理である。具体的には、図4
1(A)及び図41(B)に示すように、ブロックの接
地縁付近について、ブロック端から、ブロックへ垂直方
向(方向UPに沿う方向及び逆方向)に予め定めた長さ
Hの位置と、ブロックへ水平方向(方向UPの交差方
向)に予め定めた長さLの位置とを結ぶ曲線を、曲率半
径Rとなるようにブロック形状を揃える。これは、踏面
全体が設計変数r i となり、上記ステップ518までの
処理によって、接地縁付近または踏面全体の形状は複雑
になるので、製造上の手間やコストを考慮して、より単
純な形状にするためである。
【0269】図42に、ステップ518までに計算した
ブロック形状の一例を示す。図43に、図42の矢印B
方向から見た斜視図を示す。ステップ520のカーブフ
ィット処理を行った結果を図44に示した。従って、図
43に示すブロックの形状は、図44に示すブロックの
形状に置き換えられる。この各ブロック端に配される曲
率半径Rは最小二乗近似により最も最適な設計変数ri
に近い形状を得ることができる。この近似はブロック端
断面の数箇所で行い、他の部分はその数点の間をラグラ
ンジェ多項式で補間して形状決定することができる。
【0270】なお、本実施の形態では近似に曲率半径R
を用いているが、この曲率半径Rは多項式、区分多項
式、スプライン、NURBS、有理関数等を用いても良
い。さらに、その指定断面の間の部分はラグランジェ多
項式で補間したが、上記曲率半径Rと同様に他の多項
式、区分多項式、スプライン関数、NURBS、有理関
数等を用いてもよい。また、断面を指定するのではな
く、踏面形状そのものを多項式補間曲面、区分多項式曲
面、スプライン曲面、NURBS曲面などで表現するこ
ともできる。近似においても、最小二乗近似以外の近似
方法を用いてもよい。このように、本実施の形態では最
適な目的関数値を与える設計変数が得られた後に製造を
考慮して形状の近似を行っている。
【0271】以上の処理が終了すると、次のステップ5
22において踏面形状を決定する。このステップ114
では、上記演算から得られた最良の目的関数値を与える
設計変数に基づいてタイヤを設計、すなわち、上記決定
した踏面形状を有するブロックを配置したタイヤを設計
する。なお、このステップ522では、タイヤの設計に
代えてタイヤ加硫用金型の設計を行うことができる。
【0272】上記では、最適な目的関数値を与える設計
変数が得られた後に製造を考慮して形状を近似した場合
を説明したが、上記関数あるいは数式に従い形状を変化
させる処理は、計算時間や計算機の能力を考慮して、毎
演算あるいは数演算に1回でも良い。毎演算ごとに形状
近似する場合の処理の流れの一例を図45に示す。図4
5の処理は、図38のステップ520の処理、すなわち
最適な目的関数値を与える設計変数が得られた後に製造
を考慮して形状近似する処理を、ステップ512とステ
ップ514との間で処理させるものである。
【0273】図45の処理では、ステップ512におい
て、設計変数ri の変化量の予測値に対応する修正モデ
ルを作成し、次のステップ520でブロック踏面形状を
カーブフイット処理する。そして、ステップ514にお
いて、タイヤ性能予測を実行しする。
【0274】従って、毎演算ごとに形状近似することに
よって、近似した形状で目的関数の収束を判断すること
ができる。なお、数演算に1回の近似を行う場合には、
図45において、ステップ520の処理を数演算に1回
行うように判定条件を負荷すればよい。
【0275】なお、形状の近似を毎演算ごとに行う場
合、設計変数に与える制約条件としての機能を果たすこ
とになる。
【0276】一方、形状近似を用いずに最適形状そのも
のをタイヤ設計に適用することも可能である。形状近似
を行わない場合のフローチャートを図46に示す。図4
6の処理は、図38のステップ520の処理すなわち最
適な目的関数値を与える設計変数が得られた後に製造を
考慮して形状近似する処理を削除したものである。
【0277】以上説明したように、本実施の形態では、
パターンやブロック踏面形状を適正化するので、操縦安
定性及び耐偏摩耗性能を向上させたタイヤを提供するこ
とができる。
【0278】また、これらのタイヤについての摩耗の様
子を概念図として図47及び図48に示す。実線は摩耗
前、破線は摩耗後の接地端付近断面図を表す。図47に
示すように、従来形状のタイヤでは、接地端部が局所的
に激しく摩耗する。一方、44に示すように、本実施例
のタイヤは略均等な摩耗状態になる。これにより、適正
な踏面形状により局所的な偏摩耗が抑制されることが理
解される。
【0279】以上のように、本実施の形態によりパター
ン/ブロック踏面形状を適正化することにより、操縦安
定性及び耐偏摩耗性能を向上させたタイヤを提供するこ
とができる。
【0280】〔第5実施の形態〕次に、第5実施の形態
を説明する。本実施の形態は、ハイプレが優れたパター
ンを探索し、タイヤを設計するものである。上記の実施
の形態では、数値を微調整しながらタイヤ性能予測及び
評価して最適値の1つの設計案に修正しながら繰り返
し、採用する設計案を求めているが、本実施の形態は、
設計空間内を縦横多数に分割し、その分割要素に量子化
した値(パターンが非存在のものに「0」、パターンが
存在するものに「1」の数値)を当てはめることで採用
する設計案を求めるものである。詳細には、上記図22
の遺伝的にアルゴリズムによる設計と同様であり、同一
部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0281】まず、タイヤのモデル化を行う(図22の
ステップ300)。本実施の形態の形態では、まず、設
計空間を定義する。設計空間は、図36に示すように、
パターンの一定範囲を設計空間として定め、その摂家意
空間を細かな4角形に分割する。本実施の形態では、縦
50mm×横110mmを設計空間に定め、1辺が2m
mの正方形Bsの集まりにより構成されるように形成し
ている。従って、正方形の個数は55個×25個=13
75個である。なお、図36の例では、パターンを左右
対称形であるものと想定して、片側のみをモデル化し
た。
【0282】そして、これら1辺が2mmの正方形Bs
の値が設計変数となる。すなわち、正方形Bsが溝であ
るか陸であるかを「0」、「1」の数値で対応させる。
陸の場合は0として、溝の場合は1とする。この137
5個の正方形Bsの列を設計変数として、乱数によって
初期世代のモデルをN個(本実施の形態では、300
個)作成する。なお、上記正方形には限定されず、設計
目的によって3角形等の任意の形状に分割してもよい。
【0283】次のステップ302では、タイヤ性能評価
用物理量を表す目的関数、タイヤ断面形状を制約する制
約条件及びN個のタイヤモデルのタイヤ断面形状を決定
する設計変数を決定する。本実施の形態では、操縦安定
性を向上させるために、ハイプレ予測数値を最小値にす
る溝の形状(溝深さ)を設計するため、目的関数OBJ
及び制約条件Gを次のように定めている。 目的関数OBJ:ハイプレ予測数値を最小 制約条件G :溝深さを8mmで維持
【0284】このように、初期世代に関する、目的関数
OBJ、制約条件G及びN個のタイヤモデルの各々の設
計変数riJ(i=1,2,・・・,1375;J=1,
2,・・・,N=300)を決定した後に、初期世代N
個の各タイヤモデルについて、タイヤ性能予測処理が実
行される(ステップ303、図2のステップ104と同
様の処理)。タイヤ性能予測処理が終了した後、N個の
タイヤモデルの各々の設計変数riJの各々の目的関数O
BJJ 及び制約条件GJ を演算し(ステップ304)、
求めたN個のタイヤモデルの各々の目的関数OBJJ
び制約条件GJを用いて、N個のタイヤモデルの各々の
適応関数FJ を上記式(4)に従って演算する(ステッ
プ306)。
【0285】本実施の形態では、制約条件として、全体
に対する溝の割合を35%以下にする、を設定する。す
なわち、この設定は、「0」と「1」を空間に配置した
とき、1375×0.35=481個以下に溝を示す個
数になるよう押さえることである。また、空間をタイヤ
のセンターより半分のショルダー寄りの半分に分けて、
それぞれの空間内で溝を占める割合が40%を超えない
ようにする。これは、「1」がどちらかに偏ることを防
止するためである。また、1つの陸は最低70個の要素
からなるように設定される。つまり、陸を表す「0」は
少なくとも70のかたまりとして存在することになる。
【0286】次に、N個のモデルの中から交叉させるモ
デルを2個選択し(ステップ308)、選択された2個
のタイヤモデルを、使用者が予め入力した確率Tによっ
て交叉させるか否かを決定する(ステップ310)。交
叉させない場合は現在の2個のタイヤモデルをそのまま
の状態で次処理へ進み(ステップ312)、交叉させる
場合は上記と同様に(図23参照)して2個のタイヤモ
デルを交叉させた後に次処理へ進む(ステップ31
4)。
【0287】交叉により新規な2個のタイヤモデルを生
成した後、使用者が予め入力した確率Sで、突然変異さ
せるか否かを決定し(ステップ316)、突然変異させ
ない場合は現在の2個のタイヤモデルを維持したまま次
処理へ進み(ステップ318)、突然変異させる場合は
上記と同様にして突然変異(図26参照)させて次処理
へ進む(ステップ320)。
【0288】このようにして、新たに生成された2個の
ダイヤモデルについて、上記と同様にしてタイヤ性能予
測処理が実行される(ステップ321)。次に、新たに
生成された2個のダイヤモデルについて、目的関数の値
と制約条件の値を演算し(ステップ322)、得られた
目的関数の値と制約条件の値から適応関数を演算し(ス
テップ324)、2個のタイヤモデルを保存する(ステ
ップ326)。
【0289】ここで保存したタイヤモデルの数が、N個
に達したか否かを判断し(ステップ328)、N個に達
していない場合は、N個になるまで上記処理を繰り返し
実行する。一方、タイヤモデルの数がN個に達した場合
には、収束判定をし(ステップ330)、収束していな
い場合には、N個のタイヤモデルをステップ326で保
存されたタイヤモデルに更新し、上記処理を繰り返し実
行する。一方、収束した場合には、N個のタイヤモデル
の中で制約条件を略満たしながら目的関数の値が最大と
なるタイヤモデルの設計変数の値をもって制約条件を略
満たしながら目的関数を最大にする設計変数の値とし、
この設計変数の値を用いてタイヤの形状を決定する(ス
テップ332)。
【0290】なお、本実施の形態では、ステップ326
において保存するモデルとして、上位30個のエリート
集団のみを保存するものとする。
【0291】ここで、溝深さの初期値を8mmとし、実
際に上記の最適化を実行した結果、図37に示す結果を
得た。この例では、53世代目に収束をみた。
【0292】〔第6実施の形態〕次に、第6実施の形態
を説明する。なお、本実施の形態は、上記実施の形態と
同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細
な説明を省略する。また、本実施の形態では、流体とし
て水を採用している。
【0293】タイヤモデルの全周にパターンを有させて
解析を行うと、計算量が膨大となり、結果を簡単に得る
ことができない。そこで、本実施の形態は、タイヤの排
水性を考慮しながらタイヤの設計を容易にするため、タ
イヤモデルの一部にのみパターンを有させてタイヤ設計
をするものである。
【0294】本発明者は、タイヤの排水性について、踏
込み部のパターン排水に着目した。踏込み部とは、タイ
ヤが転動するときに、タイヤが路面に近づくまたは接触
する付近を示している。
【0295】図49に示すように、タイヤの排水性、特
にハイドロプレーニング(以下、ハイプレという)に関
して、タイヤの周辺部は、接地面近傍で次のA領域から
C領域の3つの領域に分類できる。
【0296】A領域:厚い水膜上(水の慣性効果、動水
圧主体、ダイナミックハイプレ) B領域:薄い水膜上 (粘性効果が主体、ビスカスハイプ
レ) C領域:完全にDRY接地 なお、水深が厚い(10mm程度の)場合や、路面に凹凸
があって粘性効果が無視できる場合はA領域のダイナミ
ックハイプレが重要である。
【0297】上記ダイナミックハイプレ(A領域)が生
じる理由としては、次の2つの理由が考えられる。
【0298】1:タイヤと流体(本実施の形態では、
水)が高速で衝突し、その速度の2乗に比例する動水圧
が作用すること。 2:踏込み部の動水圧が接地圧を超えると浮き上がる。
なお、踏込み部の水をパターンで排水させると動水圧が
下がり、ハイプレを抑制することができる。
【0299】図50(A)に示すように、路面18上を
タイヤ(タイヤモデル30)が転動方向(図50(A)
の矢印M方向)に転動する場合には、踏込み部付近50
において、タイヤモデル30と路面18との間でタイヤ
転動側に流体20が主に貯留する。この場合の圧力関係
を考えると、図50(B)に示すようになる。タイヤモ
デル30と流体(水)が衝突し、その速度の2乗に比例
して踏込み部に圧力52(図50(B)に一点鎖線で示
す)が発生する。タイヤモデル30と路面18とが接触
している付近は略行っての圧力54(図50(B)に点
線で示す)が発生している。このように、ダイナミック
ハイプレ(A領域)における圧力が支配的になる。
【0300】そこで、本実施の形態では、タイヤの排水
性を考慮しながらタイヤ設計を容易にするため、タイヤ
モデル30として、全周が平坦なスムースタイヤモデル
を基本とし、踏込み部の解析が容易となるに必要な一部
のパターンをスムースタイヤモデルに有させて解析を行
う。なお、以下の説明では、本解析を、GL (Glob
al−Local)解析と呼ぶ。
【0301】次に、本実施の形態におけるGL解析を説
明する。このGL解析の概略は、次の手順1〜手順4に
より実施できる。
【0302】<GL解析の手順> 手順1:スムースタイヤモデル、パターンモデル(一
部)とパターンに貼りつける部分のベルトモデルを準備
(図51参照) 手順2:スムースタイヤモデルの転動及びハイプレ解析
(global analysys:G解析、図52参照) 手順3:スムースタイヤモデルの結果から、パターン部
(一部)に貼り付けるベルトモデル(パターンモデルの
一部と同じ)の転動軌跡を計算する。具体的には、ベル
トモデル(シェル)の全節点の転動中の変位を出力し
(これを速度に変換して出力してもよい。なお、FEM
ソフト上の制約や変位のまま求めることができればそれ
でも良い)、パターンモデル(一部)をベルトモデルに
貼りつけ、ベルトモデルの節点に強制速度(変位でも
可)を付与 手順4:手順3までによってパターン部(一部)のみを
転動させることが可能であるので、パターン部に対応す
る流体メッシュを準備し、パターン部のみを排水性解析
(local analysys:L解析、図53参照) なお、評価は流体反力・水圧分布・流れ解析で行なう。
【0303】詳細には、上記実施の形態と略同様であ
り、まず、タイヤ設計案からタイヤモデル、流体モデル
を作成し、路面モデル作成と共に摩擦係数μの選択で路
面状態を入力し、タイヤ転動時またはタイヤ非転動時の
境界条件を設定し、設計変数及び制約条件を定める(図
2の100〜104)。この場合、タイヤモデルは、ス
ムースタイヤモデルであり、また、パターンモデル(一
部)とパターンに貼りつける部分のベルトモデルを作成
する。そして、タイヤ転動時またはタイヤ非転動時の境
界条件を設定し、タイヤモデルの変形計算及び流体計算
等を行う。これは、スムースタイヤモデルの転動及びハ
イプレ解析(global analysys:G解析、図52参照)で
ある。
【0304】次に、設計変数を単位量Δri 変化させた
モデルを求め(図2の106〜110)、タイヤモデル
変形計算、流体計算及び境界条件を求めてタイヤ性能予
測する(図2の112)。すなわち、スムースタイヤモ
デルの結果から、パターン部(一部)に貼り付けるベル
トモデル(パターンモデルの一部と同じ)の転動軌跡を
計算する。これによってパターン部(一部)のみが転動
されるので(図53)、パターン部に対応する流体メッ
シュを準備し、パターン部のみを排水性解析する。これ
は、パターンモデルの一部であるパターン部のみの解析
(local analysys:L解析)である。ここで、図53に
示すように、パターン部(一部)の転動により、パター
ン部は、位置状態L1〜位置状態L13に推移すること
になる。
【0305】そして、目的関数及び制約条件の値、設計
変数毎に感度を演算し、タイヤ性能予測しつつ制約条件
を考慮しながら目的関数の値を最大にする設計変数の変
化量の予測値を求め、目的関数の値が収束するまで繰り
返す(図2の114〜124)。目的関数の値が予測値
に収束したときの設計変数に基づいてタイヤの形状を決
定する。
【0306】このように、本実施の形態では、スムース
タイヤモデルを基本とし、パターンの一部を用いてタイ
ヤ性能を予測するGL (Global−Local)解
析を行っているので、次の3つの利点を得ることができ
る。 1:計算時間の短縮。本発明者は、細かいメッシュで全
周のパターンモデルで解析した場合、約1ヶ月を必要と
した計算時間を、約2日に短縮することができることを
確認した。 2:各種モデル作成が簡単になる。特に、タイヤモデル
においてパターンを全周用意する必要がない。 3:(ダイナミック)ハイプレで重要な、踏込み部パタ
ーンの入水時の排水性だけを簡単に解析できる。
【0307】図54、図55、図56には、パターン部
(一部)を転動させたときの、排水性解析結果の一例を
示したものである。図54乃至図56は、パターン部の
時系列的な状態を示しており、図54はパターン部が転
動して路面に接触する時点の状態を示している。図55
はパターン部が路面に接触を開始して僅かに踏み込んだ
時点の状態を示している。図56はパターン部の中腹部
が路面に接触している時点の状態を示している。図から
理解されるように、パターン部の路面接触の当初は、流
体(水)がタイヤモデルの転動方向に散布されたように
離散しており(図54)、僅かに踏み込むとタイヤモデ
ルの溝に導かれる流体(水)が増加して散布されたよう
な流体(水)が減少し(図55)、パターン部の中腹部
が接触すなわちパターン部の略全てが路面に接地してい
るときはタイヤモデルの溝に導かれる流体(水)が殆ど
になっている(図56)。
【0308】〔第7実施の形態〕次に、第7実施の形態
を説明する。なお、本実施の形態は、上記実施の形態と
同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細
な説明を省略する。本実施の形態は、タイヤを構成する
ブロック先端の一部を落として流体の抵抗を減少させる
ブロック形状を最適化するものである。
【0309】図57は、本実施の形態のプログラムの処
理ルーチンを示すものである。ステップ600では、図
39のステップ200と同様に、設計するタイヤの設計
案(タイヤ形状、構造、材料、パターンの変更など)を
数値解析上のモデルに落とし込むためのタイヤモデル、
タイヤ性能評価のための流体モデル及び路面モデルの作
成等の初期モデル作成処理が実行される。なお、本実施
の形態では、第2実施の形態及び第8実施の形態と同様
に、タイヤの排水性を考慮しながらタイヤの設計を容易
にしかつ計算負荷抑制のため、タイヤモデルの一部にの
みパターンを有させて最適化する。このため、ステップ
600では、スムースタイヤモデル、パターンの一部の
モデル、ベルトモデル、及びパタン接地部の流体モデル
の各モデルの作成処理がなされる。
【0310】また、本実施の形態では、タイヤを構成す
るブロック先端の一部を落として流体の抵抗を減少させ
るブロック形状を設計し、タイヤを設計するために、ス
テップ600において、タイヤを構成する1ブロックに
ついて、さらにモデル化を進め、図56に示すような、
踏面が平面のブロック形状を基準形状とし、この基準形
状を有限要素法等のように路面入力時の応答を数値的・
解析的に求めることができる手法によりモデル化し、ブ
ロック形状を表すと共にメッシュ分割によって複数の要
素に分割されたブロック基本モデルを含ませている。な
お、基準形状は、踏面が平面のものに限らず任意の形状
で良い。ここで、モデル化とは、パターン形状、ブロッ
ク形状、構造、材料等を数値的・解析的手法に基づいて
作成されたコンピュータプログラムヘのインプットデー
タ形式に数値化することをいう。
【0311】図59及び図60はブロック基本モデルの
外形の一例を示すものである。図59に示すように、ブ
ロック基本モデルは、最適化前は、踏み込み側の先端部
Tpが高さWdでかつ、ブロック先端を落としこむため
の位置として先端部Tpから下流に向かって長さLgの
位置が定められている。最適化後には、図60に示すよ
うに、先端部Tpから下流に向かって長さLgの位置を
基点として、ブロック先端が落とされ、この踏面からブ
ロック高さ方向の長さをブロック先端の落としこみ量A
としている。本実施の形態の場合では、ブロック先端の
落としこみ量A(踏面からブロック高さ方向の長さ)を
設計変数ri としている。なお、図示は省略したが、ブ
ロック基本モデルはメッシュ分割によって複数の要素に
分割可能にされている。この分割方法は任意であり、目
的に応じて分割幅を変化させたり、また、三角形等の任
意の形状に分割しても良い。このように、ブロック先端
を落としこむことで図61に示すように、流体の抵抗が
減少することが予測される。
【0312】次に、図2のステップ102と同様にし
て、ステップ602では、タイヤ性能評価用物理量を表
す目的関数、タイヤ断面形状を制約する制約条件及びタ
イヤ断面形状を決定する設計変数を決定し、次のステッ
プ604において上記作成したモデルを用いてタイヤ形
状であるタイヤモデルの初期値を決定する。
【0313】本実施の形態では、目的関数及び制約条件
を次のように定めている。
【0314】目的関数:流体反力(最小化) 制約条件:ブロック体積が初期形状の60%〜100%
以内 設計変数は上述のように、ブロック踏込み側先端での落
し量Aである(図60)。
【0315】ところで、目的関数の流体反力はパターン
付きタイヤの転動・排水性解析で求める必要があるが、
ブロック先端形状のような小さい領域での効果を扱う場
合、精度を確保するために流体領域のメッシュ分割を
(少なくともブロック先端が接地する付近で)十分細か
くしなければらならい。だがトレッド全面のパターンを
モデル化したタイヤの転動・排水性解析は、精度を確保
するためにほぼ全領域にわたって流体メッシュを細かく
する必要があり、計算時間が膨大になり、繰り返し計算
を必要とする最適化手法には向かない。
【0316】そこで、本実施の形態では、次のステップ
606において、GL解析による排水性計算を行う。こ
のステップ606では、粗い流体メッシュによるタイヤ
の転動・排水性解析で得た結果をもとに、パターンの一
部分のみを転動させる排水性解析であるGL解析(Gl
obal/Local解析、Global解析:スムー
スタイヤの転動・排水性解析、Local解析:パター
ンー部のみの転動・排水性解析)で流体反力に及ぼすブ
ロック先端形状の効果を評価する。このGL解析は、上
記実施の形態と同様の手順で行う。
【0317】詳細には、ステップ606のGL解析によ
る排水性計算の処理は、図58の処理ルーチンが実行さ
れる。図58のステップ630では、手順1としての、
スムースタイヤモデル、パターンモデル(一部)とパタ
ーンに貼りつける部分のベルトモデルを準備する(図5
1及び図52参照)。またパターン部が接地する領域に
対応する流体メッシュを準備する。そして、手順2とし
ての、スムースタイヤの転動・ハイプレ解析を行なう
(Global解析)。
【0318】次のステップ632では、手順3として、
スムースタイヤの結果から、パターン部に貼り付けるベ
ルトモデルの転動軌跡を計算する。具体的には、ベルト
モデルの全節点の転動中の変位を出力し、パターンモデ
ルをベルトモデルに貼りつけ(ステップ634)、ベル
トモデルの節点に強制速度(変位でも可)を与える。な
お、パターンモデルをベルトモデルに貼りつける際に
は、両者のメッシュ分割を同一にして節点を共有させて
も、メッシュ分割密度を変えて(パターン側を細かくし
て)両者を拘束条件によって接合させても良い。
【0319】次のステップ636では、手順4として、
パターン部のみ転動させ、排水性解析する。すなわち、
パターン部のみが転動するので、パターン部のみの排水
性解析を行なう。これにより、流体領域がパターン部の
接地領域近傍のみのため、流体メッシュ領域が小さく、
流体メッシュを細かくしても要素数が増えすぎないので
計算時間の増大を避けられる。
【0320】次のステップ638では、流体反力の評価
を行う。すなわち、評価はパターン部が着水して接地す
る一回分の流体反力の時間履歴を求め.着水時から接地
時までのある時間間隔で流体反力を積分し、その積分値
の比較で行なう。
【0321】なお、以下に説明する最適化過程での繰り
返し計算時には、手順1のモデル準備はパターンモデル
のブロック先端形状の修正だけで良く、手順2のGlo
bal解析は計算する必要がない(ブロック先端形状が
変わってもベルトの転動軌跡には影響を与えないと近似
する)。図62にはパターンを一部モデル化した様子を
示し、図63にパターンモデルにおけるブロック先端形
状の変更位置Ag1,Ag2,Ag3,Ag4を示し
た。また、図64には本実施の形態で用いた流体メッシ
ュを示し、図65には流体メッシュとパターンモデルと
が緩衝した状態を示した。
【0322】このようにして、ステップ606のGL解
析による排水性計算が終了すると、ステップ608へ進
み、図2のステップ106同様に、設計変数ri の初期
値roにおける目的関数OBJの初期値OBJo及び制
約条件Gの初期値Goを演算する。次のステップ610
では、図2のステップ108と同様に、タイヤ基本モデ
ルを変化させるためにブロック先端の落とし込み量であ
る設計変数ri をΔri ずつ変化させ、次のステップ6
12においてタイヤモデルを修正する。すなわち、設計
変数に対応する落としこみ量でブロック先端を落としこ
み、その落とし込んだブロックにタイヤモデルを修正、
すなわちタイヤ修正モデルを決定する。
【0323】このようにしてタイヤ修正モデルが決定さ
れると、次のステップ614では図2のステップ114
と同様に、タイヤ修正モデルについて設計変数をΔri
変化させた後の目的関数の値OBJi 、制約条件の値G
i を演算し、次のステップ616において上記図2のス
テップ116と同様に、設計変数の単位変化量に対する
目的関数の変化量の割合である目的関数の感度dOBJ
/dri 及び設計変数の単位変化量に対する制約条件の
変化量の割合である制約条件の感度dG/dri を各設
計変数毎に演算する。
【0324】この感度によって、設計変数をΔri 変化
させたときに目的関数の値及び制約条件の値がどの程度
変化するか予測することができる。なお、この感度は、
タイヤのモデル化に用いた手法や設計変数の性質によっ
ては、解析的に求められる場合があるので、その際には
ステップ214の演算は不要になる。
【0325】次のステップ618では、上記図2のステ
ップ118と同様に、目的関数の初期値OBJo、制約
条件の初期値Go、設計変数の初期値ro及び感度を用
いて、数理計画法により制約条件を満たしながら目的関
数を最大にする設計変数の変化量を予測する。この設計
変数の予測値を用いて、ステップ620において図2の
ステップ120と同様の方法によりタイヤ修正モデルを
決定すると共に、目的関数値を演算する。
【0326】タイヤ修正モデルが決定されると、次のス
テップ622において、演算した目的関数値OBJとス
テップ206で演算した目的関数の初期値OBJoとの
差と、予めインプットされたしきい値とを比較すること
で目的関数の値が収束したか否かを判断し、目的関数の
値が収束していない場合にはステップ618で求められ
た設計変数値を初期値として、ステップ608からステ
ップ622を繰り返し実行する。目的関数の値が収束し
たと判断されたときには、このときの設計変数の値をも
ってタイヤ性能を考慮しつつ制約条件を満たしながら目
的関数を最大にする設計変数の値とし、ステップ624
でこの設計変数の値を用いてタイヤの形状を決定する。
【0327】このように本実施の形態では、ブロック先
端形状を落としこませることによって、流体例えば水の
抵抗を減少させるタイヤを設計しているので、設計・開
発した場合従来の試行錯誤を基本とした設計・開発と異
なり、コンピューター計算を主体にしてベストモードの
設計から設計されたタイヤの性能評価までが可能とな
り、著しい効率化を達成でき、開発にかかる費用が削減
可能となるものである。
【0328】本実施の形態では、タイヤサイズは205
/55R16、内圧は220kPa、荷重は4500
N、タイヤ速度は60km/h、水深は10mmとし
て、最適化に用いた種々の結果を以下に示した。
【0329】最適化により得られた結果を表1に示す。
ブロック先端の落とし量Aは6.4mmとなり、流体反
力(着水から接地までの間6msの時間履歴の積分値)
は指数表示で100から96へ減少し、ブロック先端の
水の抵抗が減少して流体反力が低減していることがわか
る。
【0330】
【表1】
【0331】図66にブロック先端形状の変更位置Ag
1を示し、図67(A)には最適化前の変更位置Ag1
における水の流れを示し、図67(B)には最適化後の
変更位置Ag1における水の流れを示しした。最適化前
のブロック先端を落としていない状態ではブロック先端
で水の流れが乱れているのに対し、最適化後にはブロッ
ク先端の末の流れがスムーズになっていることがわか
る。
【0332】また、表2に転動・排水性解析の計算時間
(一回当たり)の比較を、トレッド全面にパターンをモ
デル化して転動・排水性解析を行なった場合と、GL解
析を用いてLocal解析によるパターン部分のみの転
動中排水性解析のみとした場合で示す。
【0333】
【表2】
【0334】この表からGL解析により転動口排水性解
析一回あたりの時間が大幅に減少しており、繰り返し計
算の必要な最適化手法には、GL解析による計算時間の
短縮が有効であることが分かる。
【0335】表3に計算により求めた最適化ブロック先
端形状の効果を実車で確認した結果を示す。ハイドロプ
レーニング測定条件は計算時の条件と同一で、最適化ブ
ロック先端形状は元形状を削ることにより表現した。そ
の結果、最適化形状はハイドロプレーニング発生速度が
1.0km/h向上しており、計算による最適化形状が
実車でも効果があることがわかった。
【0336】
【表3】
【0337】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ハ
イプレ性能のように流体を介して実際に使用する環境下
におけるタイヤの性能を予測しながら、制約条件を満た
す目的関数の最適値を与える設計変数を求め、この設計
変数からタイヤを設計することができ、タイヤ接地時及
び回転時の流体を考慮した解析を可能にし、タイヤ開発
の効率を向上できると共に、良好な性能のタイヤを得る
ことができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に使用されるパーソナルコ
ンピュータの概略図である。
【図2】本発明の第1実施の形態の処理の流れを示すフ
ローチャートである。
【図3】初期モデル作成処理の流れを示すフローチャー
トである。
【図4】タイヤモデル作成処理の流れを示すフローチャ
ートである。
【図5】タイヤ径方向断面モデルを示す斜視図である。
【図6】タイヤの3次元モデルを示す斜視図である。
【図7】パターンをモデル化したイメージを示す斜視図
である。
【図8】モデル化するときの要素を説明するためのイメ
ージ図であり、(A)はゴム部の扱いを説明するための
イメージ図、(B)補強材の扱いを説明するためのイメ
ージ図である。
【図9】第1実施の形態の設計変数を説明するための説
明図である。
【図10】流体モデルを示す線図であり、(A)は斜視
図、(B)は平面図である。
【図11】転動時の境界条件設定処理の流れを示すフロ
ーチャートである。
【図12】非転動時の境界条件設定処理の流れを示すフ
ローチャートである。
【図13】タイヤ性能予測処理の流れを示すフローチャ
ートである。
【図14】境界条件付加処理の流れを示すフローチャー
トである。
【図15】転動時の境界条件の設定を説明するための説
明図である。
【図16】非転動時の境界条件の設定を説明するための
説明図である。
【図17】タイヤモデルと流体モデルとの干渉領域を示
す線図である。
【図18】流体要素を分割することを説明するための説
明図であり、(A)は分割前、(B)は分割後の流体側
を示している。
【図19】タイヤを上方向に押し上げる上向き流体力を
説明するための説明図である。
【図20】第1実施の形態の最適化の結果を説明するた
めの説明図である。
【図21】第2実施の形態の設計変数を説明するための
説明図である。
【図22】本発明の第2実施の形態の処理の流れを示す
フローチャートである。
【図23】交叉処理の流れを示すフローチャートであ
る。
【図24】山型写像関数を示す線図であり、(a)は連
続的な山型写像関数を示す線図、(b)は線型的な山型
写像関数を示す線図である。
【図25】谷型写像関数を示す線図であり、(a)は連
続的な谷型写像関数を示す線図、(b)は線型的な谷型
写像関数を示す線図である。
【図26】突然変異処理の流れを示すフローチャートで
ある。
【図27】第3実施の形態の設計変数を説明するための
説明図である。
【図28】本発明の第3実施の形態にかかる最適化装置
の概略構成図である。
【図29】最適化装置の機能別概略ブロック図である。
【図30】ニューラルネットワークの概念構成図であ
る。
【図31】第3実施の形態の最適化装置の作動の流れを
示すフローチャートである。
【図32】ニューラルネットワークの学習処理の流れを
示すフローチャートである。
【図33】第3実施の形態の最適化処理の流れを示すフ
ローチャートである。
【図34】第3実施の形態の設計変数を説明するための
説明図である。
【図35】第3実施の形態の最適化の結果を説明するた
めの説明図である。
【図36】第4実施の形態の設計変数を説明するための
説明図である。
【図37】第4実施の形態の最適化の結果を説明するた
めの説明図である。
【図38】本発明の第5実施の形態にかかり、空気入り
タイヤの設計プログラムの処理の流れを示すフローチャ
ートである。
【図39】形状基本モデルを示す斜視図である。
【図40】形状基本モデルに与える入力を示す概念斜視
図である。
【図41】カーブフイット処理を説明するためのブロッ
クの接地縁付近の形状について示す線図である。
【図42】計算結果のブロック形状を示す線図である。
【図43】矢印B方向から見た斜視図である。
【図44】ブロック形状を、カーブフィット処理した結
果のブロック形状を示す線図である。
【図45】毎演算ごとに形状近似する場合の処理の流れ
を示すフローチャートである。
【図46】形状近似を用いずに最適形状そのものをタイ
ヤ設計に適用する処理の流れを示すフローチャートであ
る。
【図47】従来のタイヤ形状についての摩耗の様子を説
明するための概念図である。
【図48】本発明によるタイヤ形状についての摩耗の様
子を説明するための概念図である。
【図49】接地面近傍のタイヤモデルの周辺部を説明す
るための説明図である。
【図50】接地面近傍の圧力関係を説明するための説明
図であり、(A)は路面とタイヤモデルと流体との間の
位置関係を示し、(B)は位置に対応する圧力関係を示
している。
【図51】スムースタイヤモデル、パターンモデル(一
部)、及びパターンに貼りつける部分のベルトモデルを
示す斜視図である。
【図52】スムースタイヤモデルの転動を示すイメージ
図である。
【図53】スムースタイヤモデルに貼り付けたパターン
モデルの一部がタイヤモデルの転動により推移すること
を示すイメージ図である。
【図54】タイヤモデルの転動によりパターン部が路面
に接触する時点の排水状態を示すイメージ図である。
【図55】パターン部が路面に接触を開始して僅かに踏
み込んだ時点の排水状態を示すイメージ図である。
【図56】パターン部の中腹部が路面に接触している時
点の排水状態を示すイメージ図である。
【図57】本発明の第7実施の形態にかかり、空気入り
タイヤの設計プログラムの処理の流れを示すフローチャ
ートである。
【図58】GL解析による排水性計算の処理の流れを示
すフローチャートである。
【図59】最適化前のキャラメルブロックの側面図であ
る。
【図60】最適化後のキャラメルブロックの側面図であ
る。
【図61】最適化によりブロック先端を落として流体の
抵抗が減少する様子を示すイメージ図である。
【図62】パターンを一部モデル化した様子を示す斜視
図である。
【図63】パターンモデルにおけるブロック先端形状の
変更位置を示した線図である。
【図64】流体メッシュを示す線図である。
【図65】流体メッシュとパターンモデルとが緩衝した
状態を示す線図である。
【図66】ブロック先端形状の変更位置Ag1を示す線
図である。
【図67】(A)は、最適化前の変更位置Ag1におけ
る水の流れを示す線図であり、(B)は、最適化後の変
更位置Ag1における水の流れを示す線図である。
【符号の説明】
10 キーボード 12 コンピュータ本体 14 CRT 20 流体モデル 30 タイヤモデル FD フロッピーディスク(記録媒体) FDU フロッピーディスクユニット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29K 21:00 B29K 105:24 105:24 B29L 30:00 B29L 30:00 G01M 17/02 B

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空気入りタイヤの設計方法であって、
    (a)内部構造を含むタイヤ断面形状を少なくとも含み
    かつ接地及び転動の少なくとも一方により変形を与える
    ことが可能なパターン形状を有するタイヤモデルと、流
    体で一部または全部が満たされかつ前記タイヤモデルの
    少なくとも一部と接触する流体モデルと、タイヤ性能評
    価用物理量を表す目的関数と、タイヤのパターン形状を
    決定する設計変数と、タイヤ断面形状、タイヤ構造、パ
    ターン形状、性能評価用物理量及びタイヤ寸度の少なく
    とも1つを制約する制約条件と、を定めるステップ、
    (b)前記タイヤモデルの変形状態及び前記流体モデル
    の擬似流動状態の少なくとも一方の状態となる場合のタ
    イヤモデル及び流体モデルの少なくとも一方のモデルに
    生じる物理量によりタイヤ性能を予測するステップ、
    (c)予測したタイヤ性能及び制約条件を考慮しながら
    目的関数の最適値を与える設計変数の値を求めるステッ
    プ、(d)目的関数の最適値を与える設計変数に基づい
    てタイヤを設計するステップ、の各ステップを含むこと
    を特徴とする空気入りタイヤの設計方法。
  2. 【請求項2】 前記ステップ(b)は、(e)前記タイ
    ヤモデルの変形計算を実行するステップ、(f)前記流
    体モデルの流動計算を実行するステップ、(g)前記ス
    テップ(e)での変形計算後のタイヤモデルと、前記ス
    テップ(f)での流動計算後の流体モデルとの境界面を
    認識し、認識した境界面に関する境界条件をタイヤモデ
    ル及び流体モデルに付与しかつ、前記流体モデルが擬似
    流動状態となるまで計算させるステップ、(h)前記ス
    テップ(e)またはステップ(f)におけるタイヤモデ
    ル及び流体モデルの少なくとも一方のモデルに生じる物
    理量を求めるステップ、(i)前記物理量によりタイヤ
    性能を予測するステップ、を含むことを特徴とする請求
    項1に記載の空気入りタイヤの設計方法。
  3. 【請求項3】 前記ステップ(a)は、流体モデルと接
    する路面モデルをさらに定めたことを特徴とする請求項
    1または2に記載の空気入りタイヤの設計方法。
  4. 【請求項4】 前記ステップ(e)は、所定時間だけ繰
    返し計算することを特徴とする請求項2または3に記載
    の空気入りタイヤの設計方法。
  5. 【請求項5】 前記ステップ(f)は、一定時間だけ繰
    返し計算することを特徴とする請求項2乃至請求項4の
    何れか1項に記載の空気入りタイヤの設計方法。
  6. 【請求項6】 前記ステップ(g)は、予め定めた時間
    だけ繰返し計算することを特徴とする請求項2乃至請求
    項5の何れか1項に記載の空気入りタイヤの設計方法。
  7. 【請求項7】 前記タイヤモデルを転動させる場合に
    は、前記ステップ(a)において、内圧充填時及び荷重
    計算時の計算を施すと共に、回転変位または速度或いは
    直進変位または速度を付与したタイヤモデルを定めるこ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記
    載の空気入りタイヤの設計方法。
  8. 【請求項8】 前記タイヤモデルを転動させる場合に
    は、前記ステップ(a)において、前記流体モデルの上
    面では流体が自由に流出しかつ、前記流体モデルの上面
    以外の他面では流体が流入及び流出しないことを表す流
    入流出条件を前記流体モデルに付与することを特徴とす
    る請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の空気入り
    タイヤの設計方法。
  9. 【請求項9】 前記タイヤモデルを転動させない場合に
    は、前記ステップ(a)において、内圧充填時の計算を
    施すと共に、該計算後に荷重計算を施したタイヤモデル
    を定めることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れ
    か1項に記載の空気入りタイヤの設計方法。
  10. 【請求項10】 前記タイヤモデルを転動させない場合
    には、前記ステップ(a)において、前記流体モデルの
    前面では流体が進行速度で流入し、前記流体モデルの後
    面及び上面では流体が自由に流出し、前記流体モデルの
    側面及び下面では流体が流入及び流出しないことを表す
    流入流出条件を前記流体モデルに付与することを特徴と
    する請求項1乃至請求項7の何れか1項または請求項9
    に記載の空気入りタイヤの設計方法。
  11. 【請求項11】 前記タイヤモデルは、部分的にパター
    ンを有することを特徴とする請求項1乃至請求項10の
    何れか1項に記載の空気入りタイヤの設計方法。
  12. 【請求項12】 前記路面モデルは、DRY、WET、
    氷上、雪上、及び非舗装の少なくとも1つの路面状態を
    表す摩擦係数μを選択することによって路面状態を定め
    ることを特徴とする請求項1乃至請求項11の何れか1
    項に記載の空気入りタイヤの設計方法。
  13. 【請求項13】 前記ステップ(g)において、前記タ
    イヤモデルと流体モデルの干渉部分を生じさせ、当該干
    渉部分を認識し、タイヤモデル表面を境界面として、前
    記流体モデルを流体要素で分割することを特徴とする請
    求項2乃至請求項12の何れか1項に記載の空気入りタ
    イヤの設計方法。
  14. 【請求項14】 前記流体モデルは、少なくとも水を含
    み、前記物理量としてタイヤモデルに付与されるエネル
    ギを用い、前記タイヤ性能としてハイプレ性能を予測す
    ることをと特徴とする請求項1乃至請求項13の何れか
    1項に記載の空気入りタイヤの設計方法。
  15. 【請求項15】 前記流体モデルは、少なくとも水を含
    み、前記物理量として流体モデルの圧力、流量、及び流
    速の少なくとも1つを用い、前記タイヤ性能としてハイ
    プレ性能を予測することを特徴とする請求項1乃至請求
    項13の何れか1項に記載の空気入りタイヤの設計方
    法。
  16. 【請求項16】 前記ステップ(c)では、設計変数の
    単位変化量に対する目的関数の変化量の割合である目的
    関数の感度及び設計変数の単位変化量に対する制約条件
    の変化量の割合である制約条件の感度に基づいて制約条
    件を考慮しながら目的関数の最適値を与える設計変数の
    変化量を予測すると共に、設計変数を予測量に相当する
    量変化させたときの目的関数の値及び設計変数を予測量
    に相当する量変化させたときの制約条件の値を演算し、
    予測値と演算値とに基づいて、制約条件を考慮しながら
    目的関数の最適値を与える設計変数の値を求める請求項
    1の空気入りタイヤの設計方法。
  17. 【請求項17】 前記設計変数は、ラグ溝及びリブ溝の
    少なくとも一方の形状を表すラインの形状を表す関数、
    並びにパターンの溝の配置、陸部の配置、溝の深さ、溝
    の幅、及び溝の角度の少なくとも1つを含むことを特徴
    とする請求項1に記載の空気入りタイヤの設計方法。
  18. 【請求項18】 前記ステップ(a)では、内部構造を
    含むタイヤ断面形状を少なくとも含みかつ接地及び転動
    の少なくとも一方により変形を与えることが可能なパタ
    ーン形状を有する複数個のタイヤモデルからなる選択対
    象集団を定め、該選択対象集団の各タイヤモデルについ
    て、タイヤ性能評価用物理量を表す目的関数、タイヤの
    パターン形状を決定する設計変数、タイヤ断面形状、タ
    イヤ構造、パターン形状、性能評価用物理量及びタイヤ
    寸度の少なくとも1つを制約する制約条件、及び目的関
    数及び制約条件から評価できる適応関数を定め、前記ス
    テップ(c)では、適応関数に基づいて前記選択対象集
    団から2つのタイヤモデルを選択し、所定の確率で各タ
    イヤモデルの設計変数を交叉させて新規のタイヤモデル
    を生成すること及び少なくとも一方のタイヤモデルの設
    計変数の一部を変更させて新規のタイヤモデルを生成す
    ることの少なくとも一方を行い、設計変数を変化させた
    タイヤモデルの目的関数、制約条件及び適応関数を求め
    て該タイヤモデル及び設計変数を変化させなかったタイ
    ヤモデルを保存しかつ保存したタイヤモデルが所定数に
    なるまで繰り返し、保存した所定数のタイヤモデルから
    なる新規集団が所定の収束条件を満たすか否かを判断
    し、収束条件を満たさないときには該新規集団を前記選
    択対象集団として該選択対象集団が所定の収束条件を満
    たすまで繰り返すと共に、該所定の収束条件を満たした
    ときに保存した所定数のタイヤモデルのなかで制約条件
    を考慮しながら目的関数の最適値を与える設計変数の値
    を求める、ことを特徴とする請求項1の空気入りタイヤ
    の設計方法。
  19. 【請求項19】 前記ステップ(c)において、設計変
    数を変化させたタイヤモデルについて、設計変数の単位
    変化量に対する目的関数の変化量の割合である目的関数
    の感度及び設計変数の単位変化量に対する制約条件の変
    化量の割合である制約条件の感度に基づいて制約条件を
    考慮しながら目的関数の最適値を与える設計変数の変化
    量を予測すると共に、設計変数を予測量に相当する量変
    化させたときの目的関数の値及び設計変数を予測量に相
    当する量変化させたときの制約条件の値を演算し、目的
    関数の値及び制約条件の値から適応関数を求めて該タイ
    ヤモデル及び設計変数を変化させなかったタイヤモデル
    を保存しかつ保存したタイヤ基本モデルが所定数になる
    まで繰り返すことを特徴とする請求項18に記載の空気
    入りタイヤの設計方法。
  20. 【請求項20】 前記ステップ(a)では、内部構造を
    含むタイヤ断面形状を少なくとも含みかつ接地及び転動
    の少なくとも一方により変形を与えることが可能なパタ
    ーン形状を有するタイヤの設計パラメータと該タイヤの
    性能との非線形な対応を関係付ける変換系を定め、前記
    制約条件として前記タイヤ性能及び前記タイヤの製造条
    件の少なくとも一方の許容範囲を制約する制約条件を定
    め、前記ステップ(c)では前記ステップ(a)で定め
    た変換系を用いて、前記目的関数及び前記制約条件に基
    づいて目的関数の最適値を与えるタイヤの設計パラメー
    タを求め、前記ステップ(d)ではタイヤの設計パラメ
    ータに基づいてタイヤを設計することを特徴とする請求
    項1に記載の空気入りタイヤの設計方法。
  21. 【請求項21】 前記ステップ(c)では、前記タイヤ
    の設計パラメータを設計変数と定め、制約条件を考慮し
    ながら前記ステップ(a)で定めた変換系を用いて目的
    関数の最適値を与える設計変数の値を求め、前記ステッ
    プ(d)では目的関数の最適値を与える設計変数に基づ
    いてタイヤを設計することを特徴とする請求項20に記
    載の空気入りタイヤの設計方法。
  22. 【請求項22】 前記ステップ(a)において、前記タ
    イヤの設計パラメータを前記タイヤ性能に変換するよう
    に学習された多層フィードフォワード型ニューラルネッ
    トワークのデータで前記変換系を構成したことを特徴と
    する請求項20または21に記載の空気入りタイヤの設
    計方法。
  23. 【請求項23】 前記ステップ(a)では、内部構造を
    含むブロックの単体の形状、内部構造を含むタイヤクラ
    ウン部のうち1部のパターン形状、及び内部構造を含む
    タイヤ周方向に運続する陸部の形状のうち選択された1
    つの形状を表す形状基本モデルをさらに定めると共に、
    前記形状基本モデルに少なくとも1つの入力条件を与
    え、かつ前記ブロックの単体の形状またはパターン形状
    もしくは陸部の形状の少なくとも一部を表す踏面形状を
    設計変数とし、前記入力条件におけるタイヤ接地圧を演
    算して目的関数として定めることを特徴とする請求項1
    に記載の空気入りタイヤの設計方法。
  24. 【請求項24】 前記制約条件として、タイヤ接地面
    積、及び設計変数の変化範囲の少なくとも一方を更に定
    め、前記ステップ(c)は、前記制約条件を考慮しなが
    ら前記目的関数の最適値が与えられるまで設計変数の値
    を変化させることを特徴とする請求項23に記載の空気
    入りタイヤの設計方法。
  25. 【請求項25】 前記設計変数は、タイヤ平均接地圧よ
    り高い箇所及び低い箇所の少なくとも一方の箇所の設計
    変数を変化させることを特徴とする請求項24に記載の
    空気入りタイヤの設計方法。
  26. 【請求項26】 前記請求項1乃至請求項25の何れか
    1項に記載の空気入りタイヤの設計方法によって設計し
    たタイヤまたはタイヤモデルに基づいて、タイヤ用加硫
    金型を設計するタイヤ用加硫金型設計方法。
  27. 【請求項27】 前記請求項26に記載のタイヤ用加硫
    金型設計方法によって設計したタイヤ用加硫金型を製造
    するタイヤ用加硫金型製造方法。
  28. 【請求項28】 前記請求項26に記載のタイヤ用加硫
    金型設計方法によって設計したタイヤ用加硫金型を製作
    し、該加硫金型を用いて空気入りタイヤを製造する空気
    入りタイヤの製造方法。
  29. 【請求項29】 前記請求項1乃至請求項25の何れか
    1項に記載の空気入りタイヤの設計方法によって設計し
    たタイヤまたはタイヤモデルに基づいて、空気入りタイ
    ヤを製造する空気入りタイヤの製造方法。
  30. 【請求項30】 タイヤの設計パラメータから該タイヤ
    の性能を予測する予測手段と、 前記タイヤの設計パラメータと該タイヤの性能との非線
    形な対応関係を求める変換系計算手段と、 前記タイヤ性能を表す目的関数を定めると共に、前記タ
    イヤ性能及び前記タイヤの製造条件の少なくとも一方の
    許容範囲を制約する制約条件を定めて、最適化項目とし
    て入力する入力手段と、前記変換系計算手段を用いて前
    記入力手段により入力された最適化項目に基づいて目的
    関数の最適値を与えるタイヤの設計パラメータを求める
    最適化計算手段と、を備えた最適化解析装置。
  31. 【請求項31】 前記変換系計算手段は、前記タイヤの
    設計パラメータを、前記タイヤ性能に変換するように学
    習された多層フィードフォワード型ニューラルネットワ
    ークであることを特徴とする請求項30に記載の最適化
    解析装置。
  32. 【請求項32】 コンピュータによってタイヤを設計す
    るためのタイヤの最適化解析プログラムを記憶した記憶
    媒体であって、 最適化解析プログラムは、 タイヤの設計パラメータから該タイヤの性能を予測し、 タイヤの設計パラメータと該タイヤの性能との非線形な
    対応関係を定め、 前記タイヤの性能を表す目的関数を定めると共に、前記
    タイヤの性能及び前記タイヤの製造条件の少なくとも一
    方の許容範囲を制約する制約条件を定め、 前記定めた対応関係、前記目的関数及び前記制約条件に
    基づいて目的関数の最適値を与えるタイヤの設計パラメ
    ータを求めて該タイヤの設計パラメータに基づいてタイ
    ヤを設計することを特徴とするタイヤの最適化解析プロ
    グラムを記憶した記憶媒体。
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