JP4152109B2 - タイヤ特性予測方法、タイヤ製造方法およびタイヤ特性予測方法を実行するプログラム - Google Patents
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Description
本発明は、路面状態に応じたタイヤ特性、例えば、湿潤(ウェット)状態の路面を空気入りタイヤ(以降、タイヤという)が走行する際のウェット性能を予測するタイヤ特性予測方法、タイヤ製造方法およびタイヤ特性予測方法を実行するプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータの処理速度の向上に伴って、車両に装着される空気入りタイヤ(以降、単にタイヤという)のウェット性能を、有限要素法や有限体積法を用いて予測する方法が種々提案されている。
タイヤのウェット性能とは、例えば、路面に溜まった水膜上をタイヤが走行する際、タイヤと路面との間に水が進入してタイヤが持つ路面へのグリップ力が低下し、最終的に水膜の上をタイヤが滑りタイヤの制御が効かなくなるハイドロプレーニング現象に代表されるように、タイヤと路面間に水が介在することによってタイヤ特性が低下することをいう。従って、タイヤのウェット性能が良好であるとは、タイヤと路面間に水が介在することなく、たとえ水が介在しても、その介在を可能な限り抑えられ、また、この水の介在による影響が小さいことをいう。
【0003】
ところで、水等の流体や構造体等における連続体の運動を定式化する場合、連続体に固定した座標系で記述するLagrangianと、空間に固定した座標系で記述するEulerianの2種類の定式化がある。
通常、タイヤ等の構造体の解析ではLagrangianによる定式化が行われ、水等の流体の解析ではEulerianによる定式化が行われる。Lagrangianによる定式化では、移流項が現れないため計算の際の取り扱いが易しく、流体の境界を精度よく捉えることができるが、流体が大きく変形したり、破砕や合体を繰り返す挙動を精度よく表すことができないといった欠点を有している。一方、Eulerianによる定式化では、移流項が現れるため計算の際の取り扱いが煩雑になり、流体の境界を精度よく捉えることができないといった欠点を有している。
また、流体と構造体とがお互いに相互作用を及ぼす挙動を解く場合、流体をEulerianに基づいた有限体積法で定式化した流体モデルを用い、あるいは、流体をEulerianあるいはALE法(Arbitrary Lagranian-Eulerian method) に基づいた有限要素法で定式化した流体モデルを用いる。ALE法とは、LagrangianとEulerianを組み合わせた手法であり、流体の支配方程式をLagrangianで解き、この後、リメッシュと物理量のリマッピング(advection)を行いながら繰り返し計算を行う方法である。
【0004】
タイヤにおけるウェット性能を予測する方法の場合、例えば、特許第3133738号では、流体をEulerianに基づいた有限体積法で定式化した流体モデルを用いている。すなわち、タイヤを有限要素モデルで作成するとともに、路面上の水等の流体を再現するために、路面上の所定の領域に、空間に固定した空間格子を作成し、この作成した空間格子内で水等の流体要素が自由に移動できるようにした流体モデルを作成し、上記タイヤの有限要素モデルとこの流体モデルの干渉部分を生じさせてこの干渉部分を認識し、タイヤの有限要素モデルの表面を境界面として流体モデルを流体要素で分割することによって、タイヤの有限要素モデルと流体モデルの力の授受を演算する。
これによって、従来できなかったパターン付きタイヤのウェット性能を予測することができるとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記Eulerianに基づいてモデル化した流体モデルでは、流体モデルにおける流体要素の流れの挙動としてある時刻における流線表示を行ったり、所定の位置に配置した仮想粒子がどのように流れるか追跡調査する特別な処理を施して流れの挙動を調べることはできるが、パターン付きタイヤによって踏み込まれて時々刻々変わる非定常な流体の流れの挙動を直接再現することはできない。また、このような問題は上記ALE法に基づいて定式化した流体モデルの場合にも生じる。
【0006】
また、ハイドロプレーニング現象は、タイヤによって水膜が踏み込まれた際、この踏み込みによって発生する水の流れの効率が悪い場合に発生するものであるが、この水膜の表面は大気と接触する自由表面を有するため、水膜の表面で水が大変形し、破砕や合体を繰り返し、水が広い範囲に飛散し移動する。このような飛散や移動を含めた正確な水の流れを再現するには、広い空間に細かな膨大な数の空間格子を設定しなければならず、流体モデルが膨大なモデルとなって処理時間の増加を招くといった不都合が発生する。
また、幅の狭いタイヤ溝の設けられたパターン付きタイヤにおいて、ハイドロプレーニング性能の効果を予測するには、狭いタイヤ溝に適合した極めて細かな膨大な数の空間格子を設定する必要が有り、流体モデルが膨大なモデルとなって処理時間の増加を招くといった不都合が発生する。
【0007】
一方、土砂等の粒状体や水等の流体を複数の粒子モデルでモデル化し、複数の粒子モデル間を単純なばねやダッシュポット等で結合しあるいは粒子モデル間同士の接触を摩擦力を用いて表す方法(DEM:Discrete Element Method )も提案されているが、ばねやダッシュポットを規定する定数や摩擦係数は実際の現象と一致するように試行錯誤を繰り返しながら見つけ出す必要が有る。また、上記定数を見つけ出したとしてもこの定数自体に物理的な意味を持たせることはできず、上記定数を一般化することはできない。そのため、モデル化する流体の種類や条件にかかわらず上記定数が一定であるといった保証もないため、流体の種類や条件がかわる度に上記定数を見つけ出す必要が有り、精度の高い解析を行うことは望めない。また、単純なばねやダッシュポットであるため、流体の挙動を精度良く再現することも難しい。そのため、タイヤのウェット性能等の路面状態に応じたタイヤ特性を精度良く予測して評価することは困難である。
【0008】
そこで、本発明は、タイヤのウェット性能等の路面状態に応じたタイヤ特性を予測して評価する際、予測のために用いるタイヤモデルや路面モデルが膨大なモデルとならず、従来に比べて精度の高い演算結果を得て評価することのできるタイヤ特性予測方法、この方法を用いてタイヤを製造するタイヤ製造方法およびタイヤ特性予測方法を実行するプログラムを提供することを目的とする。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、路面状態に応じたタイヤ特性を予測するタイヤ特性予測方法であって、
タイヤ特性を予測する予測対象タイヤを再現したタイヤモデルと、このタイヤモデルの接地する路面モデルとを作成するタイヤ・路面モデル作成工程と、
前記路面モデル上の少なくとも一部分に複数の粒子モデルを配して路面の状態を再現した路面状態再現モデルを作成する路面状態再現工程と、
前記タイヤモデルが前記粒子モデルの配された前記路面モデル上の領域を踏み込む際の前記タイヤモデルおよび前記路面状態再現モデルの変形計算を、所定の時間間隔の時間ステップ毎に繰り返し行う工程であって、前記時間ステップの度に前記タイヤモデルと前記粒子モデルとの相互作用の演算を行って前記タイヤモデルおよび前記路面状態再現モデルの変形計算を行う演算工程と、
この演算工程における前記タイヤモデルまたは前記路面状態再現モデルの計算結果から、前記タイヤモデルまたは前記路面状態再現モデルの所定の特性物理量を算出し、この算出結果に基づいて前記予測対象タイヤのタイヤ特性を予測して評価する評価工程と、を有し、
前記タイヤ・路面モデル作成工程で作成される前記タイヤモデルは、有限要素モデルであり、前記演算工程における前記タイヤモデルおよび前記路面状態再現モデルの変形計算は、下記式(1)で設定される時間間隔δt以下の所定の時間間隔毎の挙動の計算であって、前記路面状態再現工程で作成される前記路面状態再現モデルおよび前記タイヤモデルは、前記路面状態再現モデルおよび前記タイヤモデルのそれぞれから算出される前記時間間隔δtがともに0.3μ秒以下となるように、前記タイヤモデルを構成する有限要素モデルの有限要素が設定され、前記粒子モデルが配されることを特徴とするタイヤ特性予測方法を提供する。
δt=L/(ρ/E) (1/2) (1)
但し、時間間隔δtが前記路面状態再現モデルに関する場合、Lは前記路面状態再現モデルにおける複数の前記粒子モデル間の間隔のうち最短間隔、ρは前記最短間隔を形成する粒子モデルの密度およびEは前記最短間隔を形成する粒子モデルの弾性率であり、
時間間隔δtが前記タイヤモデルに関する場合、Lは有限要素を規定する要素長さのうち最短長さ、ρは前記最短長さを構成する有限要素の密度およびEは最短長さを構成する有限要素の弾性率である。
【0011】
また、本発明は、路面状態に応じたタイヤ特性を予測するタイヤ特性予測方法であって、
タイヤ特性を予測する予測対象タイヤを再現したタイヤモデルと、このタイヤモデルの接地する路面モデルとを作成するタイヤ・路面モデル作成工程と、
前記路面モデル上の少なくとも一部分に複数の粒子モデルを配して路面の状態を再現したモデルであって、このモデルの全領域を覆うように、前記粒子モデルのそれぞれの周りに前記粒子モデルのそれぞれに対応して近傍領域が定められるとともに、この近傍領域内の注目物理量の分布をこの近傍領域に含まれる粒子モデルの持つ注目物理量を用いて近似することによって定められる、前記粒子モデルの移動を規定する粒子モデル移動規定条件を備えた路面状態再現モデルを作成する路面状態再現工程と、
前記タイヤモデルが前記粒子モデルの配された前記路面モデル上の領域を踏み込む際の前記タイヤモデルおよび前記路面状態再現モデルの変形計算を、前記タイヤモデルと前記粒子モデルとの相互作用の演算を行いつつ、行う演算工程と、この演算工程における前記タイヤモデルまたは前記路面状態再現モデルの計算結果から、前記タイヤモデルまたは前記路面状態再現モデルの所定の特性物理量を算出し、この算出結果に基づいて前記予測対象タイヤのタイヤ特性を予測して評価する評価工程とを有することを特徴とするタイヤ特性予測方法を提供する。
【0012】
その際、前記路面状態再現工程における前記粒子モデル移動規定条件は、前記路面状態再現モデルにおける位置座標をx、前記近傍領域内の注目物理量の分布をf(x)として、この注目物理量の分布f(x)を前記近傍領域に含まれる粒子モデルの持つ注目物理量と所定のカーネル関数とを用いて下記式(2)で定まる近似物理量の分布<f(x)>で近似することによって定式化される方程式であるのが好ましい。
【数2】
但し、xj は前記近傍領域に含まれる粒子モデルの位置座標、mj は位置座標xj に位置する粒子モデルの質量、ρj は位置座標xj に位置する粒子モデルの密度、fj は位置座標xj に位置する粒子モデルの持つ物理量、W(|x−xj |,h)はカーネル関数、hはパラメータ、Nは粒子モデルの総数。
例えば、前記路面状態再現工程は、ν=|x−xj |/ hとしたとき、前記カーネル関数W(|x−xj |,h)としてνが所定の範囲内で0以外の値を持ち、νが前記所定の範囲外で0の値を持つνの3次のB−スプライン関数を用いて前記近傍領域を定める。
【0013】
また、上述した2つのタイヤ特性予測方法のそれぞれにおいて、前記タイヤ・路面モデル作成工程で作成される前記タイヤモデルは、有限要素モデルであり、前記路面状態再現工程で作成される前記路面状態再現モデルにおける前記粒子モデルは、流体を粒子の集合体として離散化したものであるのが好ましい。また、前記路面状態再現工程は、前記路面状態再現モデルとして、複数の前記粒子モデルを一定の間隔で等方状に配列したモデルを作成するのが好ましい。
【0014】
さらに、上述した2つのタイヤ特性予測方法のそれぞれにおいて、前記路面状態再現工程は、前記路面状態再現モデルを前記路面モデルの一部分に作成し、
前記演算工程は、前記タイヤモデルに所定の内圧を付与した後、前記路面状態再現モデルの作成されていない前記路面モデルの位置に接地させて、前記タイヤモデルを変形させる第1の変形演算工程と、変形した前記タイヤモデルに前記路面モデルに対する並進速度を少なくとも与えて、前記タイヤモデルの変形演算を行う第2の変形演算工程と、前記第1の変形演算工程および前記第2の変形演算工程を行った後、前記タイヤモデルが前記粒子モデルの配された前記路面モデル上の領域を移動しながら踏み込む際の前記相互作用の演算を行いつつ前記タイヤモデルおよび前記路面状態再現モデルの変形計算を行う相互作用演算工程とを有するのが好ましい。その際、前記第2の演算工程は、前記並進速度の他に、前記タイヤモデルに回転速度を与えて前記タイヤモデルを前記路面モデル上で転動させ前記タイヤモデルの変形計算を行うのが好ましい。
又、上述した2つのタイヤ特性予測方法のそれぞれにおいて、前記演算工程は、前記タイヤモデルの移動に伴う前記タイヤモデルの変形演算を含み、前記路面状態再現モデルは、前記路面モデル上の所定の位置に設けられるものであり、前記路面状態再現モデルは、前記タイヤモデルの変形計算において前記タイヤモデルの接地回転計算の開始後、前記タイヤモデルが前記所定の位置に到達する時間ステップの直前に作成されることが好ましい。その際、前記タイヤモデルと前記粒子モデルとの相互作用の演算は、前記タイヤモデルが前記所定の位置に到達する時間ステップ以降において行われることが好ましい。
【0015】
さらに、本発明は、以上述べたタイヤ特性予測方法を用いて予測されたタイヤ特性に基づいてタイヤを設計して製造するタイヤの製造方法を提供する。
本発明は、このタイヤの製造方法によって製造された空気入りタイヤを提供する。
【0016】
また、本発明は、路面状態に応じたタイヤ特性を予測するタイヤ特性予測方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
タイヤ特性を予測する予測対象タイヤを再現したタイヤモデルと、このタイヤモデルの接地する路面モデルとをコンピュータの演算手段を用いて作成させる手順と、
前記路面モデル上の少なくとも一部分に複数の粒子モデルを配して路面の状態を再現した路面状態再現モデルを前記演算手段に作成させる手順と、
前記タイヤモデルが前記粒子モデルの配された前記路面モデル上の領域を踏み込む際の前記タイヤモデルおよび前記路面状態再現モデルの変形計算を所定の時間間隔の時間ステップ毎に前記演算手段に繰り返し行わせる手順であって、前記時間ステップの度に、前記タイヤモデルと前記粒子モデルとの相互作用の演算を前記演算手段に行わせて前記タイヤモデルおよび前記路面状態再現モデルの変形計算を行わせ、計算結果をコンピュータの記憶手段に記憶させる手順と、
この手順における前記タイヤモデルまたは前記路面状態再現モデルの計算結果を前記記憶手段から呼び出して、前記タイヤモデルまたは前記路面状態再現モデルの所定の特性物理量を前記演算手段に算出させ、この算出結果に基づいて前記予測対象タイヤのタイヤ特性を前記演算手段に予測させて評価させる手順とを有し、
前記タイヤモデルは、有限要素モデルであり、
前記タイヤモデルおよび前記路面状態再現モデルの変形計算は、下記式で設定される時間間隔δt以下の所定の時間間隔毎の挙動の計算であって、
作成される前記路面状態再現モデルおよび前記タイヤモデルは、前記路面状態再現モデルおよび前記タイヤモデルのそれぞれから算出される前記時間間隔δtがともに0.3μ秒以下となるように、前記タイヤモデルを構成する有限要素モデルの有限要素が設定され、前記粒子モデルが配されることを特徴とするプログラムを提供する。
δt=L/(ρ/E) (1/2)
但し、時間間隔δtが前記路面状態再現モデルに関する場合、Lは前記路面状態再現モデルにおける複数の前記粒子モデル間の間隔のうち最短間隔、ρは前記最短間隔を形成する粒子モデルの密度およびEは前記最短間隔を形成する粒子モデルの弾性率であり、
時間間隔δtが前記タイヤモデルに関する場合、Lは有限要素を規定する要素長さのうち最短長さ、ρは前記最短長さを構成する有限要素の密度およびEは最短長さを構成する有限要素の弾性率である。
【0017】
さらに、本発明は、路面状態に応じたタイヤ特性を予測するタイヤ特性予測方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
タイヤ特性を予測する予測対象タイヤを再現したタイヤモデルと、このタイヤモデルの接地する路面モデルとをコンピュータの演算手段を用いて作成させる手順と、
前記路面モデル上の少なくとも一部分に複数の粒子モデルを配して路面の状態を再現したモデルであって、このモデルの全領域を覆うように、前記粒子モデルのそれぞれの周りに前記粒子モデルのそれぞれに対応して近傍領域が定められるとともに、この近傍領域内の注目物理量の分布をこの近傍領域に含まれる粒子モデルの持つ注目物理量を用いて近似することによって定められる、前記粒子モデルの移動を規定する粒子モデル移動規定条件を備えた路面状態再現モデルを前記演算手段に作成させる手順と、
前記タイヤモデルが前記粒子モデルの配された前記路面モデル上の領域を踏み込む際の前記タイヤモデルおよび前記路面状態再現モデルの変形計算を、前記タイヤモデルと前記粒子モデルとの相互作用の演算を前記演算手段に行わせつつつつ、前記演算手段に行わせ、計算結果をコンピュータの記憶手段に記憶させる手順と、
この手順における前記タイヤモデルまたは前記路面状態再現モデルの計算結果を前記記憶手段から呼び出して、前記タイヤモデルまたは前記路面状態再現モデルの所定の特性物理量を前記演算手段に算出させ、この算出結果に基づいて前記予測対象タイヤのタイヤ特性を前記演算手段に予測させて評価させる手順とを有することを特徴とするプログラムを提供する。
ここで、前記タイヤモデル、前記路面モデルおよび前記路面状態再現モデルは予め設定されたモデル作成条件に基づいて前記演算手段によって作成される。
【0018】
その際、前記粒子モデル移動規定条件は、前記路面状態再現モデルにおける位置座標をx、前記近傍領域内の注目物理量の分布をf(x)として、この注目物理量の分布f(x)を前記近傍領域に含まれる粒子モデルの持つ注目物理量と所定のカーネル関数とを用いて上記式(2)で定まる近似物理量の分布<f(x)>で近似することによって定式化される方程式であるのが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のタイヤ特性予測方法について、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明のタイヤ特性予測方法を実施するタイヤ特性予測装置10の概略の構成を示すブロック図である。
タイヤ特性予測装置10は、モデル作成部12、タイヤモデル変形演算部14、踏み込み演算部16、タイヤ特性評価部18、メモリ20および制御部(CPU)22を有して構成される本体装置24と、本体装置24に接続されるマウスおよびキーボードから成る入力操作系26と、本体装置24に接続されるディスプレイ28と、本体装置24に接続されるプリンタ30とを備える。CPU22は、モデル作成部12、タイヤモデル変形演算部14、踏み込み演算部16、タイヤ特性評価部18、メモリ20、入力操作系26、ディスプレイ28およびプリンタ30の機能や動作タイミングを制御する。
【0021】
本体装置24は、プログラムを実行することで各部位が機能を発揮するコンピュータによって構成される。あるいは、各部位が独立した専用回路や専用装置によって構成された装置であってもよく、一部の部位が専用回路等で構成されるとともに、他の部位がプログラムを実行することで機能を発揮するコンピュータによって構成されてもよい。本体装置24がコンピュータによって構成される場合、モデル作成部12、タイヤモデル変形演算部14、踏み込み演算部16およびタイヤ特性評価部18における演算は、コンピュータのCPUが実質的に行う。
【0022】
モデル作成部12は、路面状態に応じたタイヤ特性を予測する予測対象タイヤを複数の有限要素から成る有限要素モデルで再現したタイヤモデルと、このタイヤモデルの接地する路面モデルとを入力操作系26を用いて作成する他、路面モデル上の一部分に複数の粒子モデルを配した路面状態再現モデルを入力操作系26を用いて作成する部位である。
すなわち、モデル作成部12は、本発明のタイヤ特性予測方法における、後述するタイヤ・路面モデル作成工程と路面状態再現工程を実施する部位である。
作成されたタイヤモデルおよび路面モデルはタイヤモデル変形演算部14に送られる。作成された路面状態再現モデルは、踏み込み演算部16に送られる。
【0023】
タイヤモデル変形演算部14は、モデル作成部12で作成されたタイヤモデルに所定の内圧を付与した後、モデル作成部12で作成された路面状態再現モデルのない路面モデル上の位置に所定の荷重を与えて、あるいは、所定の量の撓み量を与えて接地させて、タイヤモデルを変形させたのち、変形したタイヤモデルに路面モデルに対する並進速度を少なくとも与えて、例えば、並進速度の他にタイヤモデルが路面モデルに対して滑ることなく転動するように回転速度を与えて、あるいは、並進速度の他にタイヤモデルが路面モデルに対して一定の滑り率で滑るように回転速度(回転速度0を含め)を与えて、タイヤモデルの変形演算を行い、タイヤモデルが粒子モデルの配された路面状態再現モデルの領域に移動する演算を行う部位である。
すなわち、タイヤモデル変形演算部14は、本発明のタイヤ特性予測方法における、後述する第1の変形演算工程と第2の変形演算工程を実施する部位である。演算結果は、タイヤモデルの各有限要素に係る応力や速度や加速度等の物理量をメモリ20に記憶する。
【0024】
踏み込み演算部16は、作成された路面状態再現モデルの粒子モデルを配した路面モデル上の領域をタイヤモデルが踏み込む際、メモリ20に記憶されたタイヤモデルの物理量を呼び出して、この物理量を用いてタイヤモデルと粒子モデルとの相互作用の演算を行いながら、タイヤモデルおよび路面状態再現モデルの挙動を計算する部位である。
すなわち、踏み込み演算部16は、本発明のタイヤ特性予測方法における、後述する相互作用演算工程を実施する部位である。
計算結果は、メモリ20に記憶される。
【0025】
タイヤ特性評価部18は、メモリ20から呼び出された計算結果を用いて、タイヤモデルまたは路面状態再現モデルの所定の特性物理量、例えば、路面状態再現モデルがタイヤモデルに作用する揚力や、路面モデルがタイヤモデルに作用する路面反力や、路面状態再現モデルにおける粒子モデルの移動位置や流速を算出し、この算出結果に基づいて、タイヤモデルの対象とする予測対象タイヤのタイヤ特性を予測して評価する部位である。
すなわち、タイヤ特性評価部18は、本発明のタイヤ特性予測方法における、後述する評価工程を実施する部位である。
算出結果は、プリンタ30に供給され、数値データやグラフやタイヤモデルの変形状態や粒子モデルの移動(飛散)状態を表した斜視図がプリント出力される。また、ディスプレイ28に数値データやグラフやタイヤモデルの変形状態や粒子モデルの移動状態を表した斜視図が画面表示される。
【0026】
また、必要に応じて、各部位で作成されたモデルや演算結果や評価結果は、メモリ20に記憶され、随時呼び出されて使用される。例えば、路面状態再現モデルを記憶しておき、同一の路面状態再現モデルを用いるために呼び出したり、タイヤ特性評価部18における評価を相対評価とするために、過去に算出されたタイヤモデルまたは路面状態再現モデルの所定の特性物理量を参照データとして呼び出す。
【0027】
タイヤ特性予測装置10は以上のように構成される。
なお、路面状態に応じたタイヤ特性を予測するタイヤ特性予測方法をコンピュータを用いて実施する場合、下記のプログラムをコンピュータに実行させるとよい。
すなわち、プログラムは、タイヤ特性を予測する予測対象タイヤを再現したタイヤモデルと、このタイヤモデルの接地する路面モデルとを入力操作系26を用いて設定されたモデル作成条件に基づいてコンピュータのCPUに作成させる手順と、
前記路面モデル上の少なくとも一部分に複数の粒子モデルを配して路面の状態を再現した路面状態再現モデルをCPUに作成させる手順と、
前記タイヤモデルが前記粒子モデルの配された前記路面モデル上の領域を踏み込む際の前記タイヤモデルおよび前記路面状態再現モデルの変形計算を所定の時間間隔の時間ステップ毎にCPUに繰り返し行わせる手順であって、前記時間ステップの度に、前記タイヤモデルと前記粒子モデルとの相互作用の演算をCPUに行わせて前記タイヤモデルおよび前記路面状態再現モデルの変形計算を行わせ、計算結果をコンピュータのメモリに記憶させる手順と、
この手順における前記タイヤモデルまたは前記路面状態再現モデルの計算結果をメモリから呼び出して、前記タイヤモデルまたは前記路面状態再現モデルの所定の特性物理量をCPUに算出させ、この算出結果に基づいて前記予測対象タイヤのタイヤ特性をCPUに予測させて評価させる手順とを有する。
作成条件に基づいて前記演算手段によって作成される。
【0028】
あるいは、プログラムは、
タイヤ特性を予測する予測対象タイヤを再現したタイヤモデルと、このタイヤモデルの接地する路面モデルとを入力操作系26を用いて設定されたモデル作成条件に基づいてコンピュータのCPUに作成させる手順と、
前記路面モデル上の少なくとも一部分に複数の粒子モデルを配して路面の状態を再現したモデルであって、このモデルの全領域を覆うように、前記粒子モデルのそれぞれの周りに前記粒子モデルのそれぞれに対応して近傍領域が定められるとともに、この近傍領域内の注目物理量の分布をこの近傍領域に含まれる粒子モデルの持つ注目物理量を用いて近似することによって定められる、前記粒子モデルの移動を規定する粒子モデル移動規定条件を備えた路面状態再現モデルをCPUに作成させる手順と、
前記タイヤモデルが前記粒子モデルの配された前記路面モデル上の領域を踏み込む際の前記タイヤモデルおよび前記路面状態再現モデルの変形計算を、前記タイヤモデルと前記粒子モデルとの相互作用の演算をCPUに行わせつつ、CPUに行わせ、計算結果をコンピュータのメモリに記憶させる手順と、
この手順における前記タイヤモデルまたは前記路面状態再現モデルの計算結果をメモリから呼び出して、前記タイヤモデルまたは前記路面状態再現モデルの所定の特性物理量をCPUに算出させ、この算出結果に基づいて前記予測対象タイヤのタイヤ特性をCPUに予測させて評価させる手順とを有する。
【0029】
次に、本発明のタイヤ特性予測方法について、タイヤ特性予測装置10に基づいて説明する。
なお、路面上の一定の領域に設けられた水膜を踏み込んでタイヤが通過する際のタイヤの挙動や水の挙動をシミュレートしてタイヤ特性を予測する例を挙げて説明する。
【0030】
図2は、本発明のタイヤ特性予測方法の一例のフローの流れを示すフローチャートである。
ステップ100は本発明におけるタイヤ・路面モデル作成工程に対応し、ステップ102は本発明における第1の変形演算工程に、ステップ104は本発明における第2の変形演算工程に、ステップ108は本発明における路面状態再現工程に、ステップ110は本発明における相互作用演算工程に、ステップ112は本発明における評価工程にそれぞれ対応する。
【0031】
まず、モデル作成部12において、有限要素モデル(FEMモデル)として図3(a)、(b)に示すようなタイヤモデル50が作成される(ステップ100)。
図3(a)はタイヤモデル50の斜視図、図3(b)はタイヤモデル50の切断面である。タイヤデル50は、トレッド表面上にV字状の溝を有する乗用車用パターン付きタイヤ(サイズ195/65R15)の3次元FEMモデルであって、タイヤ構成部材のうちゴム部材はソリッド要素でモデル化され、補強層はシェル要素でモデル化された、節点数が10801点、要素数が15118個のモデルである。このようなモデルは入力操作系26を用いて設定されたモデル作成条件に基づいて作成される。
【0032】
なお、タイヤモデル50は、複数の有限要素からなる有限要素モデル(FEMモデル)と同様に、所定の基準位置に対する各節点の座標情報と、この各節点および各有限要素を番号化して各有限要素の構成を節点番号の組で表した各有限要素の構成情報と、各有限要素の材料定数の情報とからなる数値データファイルとして表される。
このようなタイヤモデル50と同様に路面モデル52が作成される。
路面モデル52は、図4(a)に示すような平面状の剛表面を持つモデルである。また、タイヤモデル50と路面モデル52の摩擦係数は、入力操作系26を用いて適宜設定される。
【0033】
次に、タイヤモデル変形演算部14において、タイヤモデル50の接地変形計算が行われる(ステップ102)。
具体的には、タイヤモデル50に所定の内圧、例えば0.2MPa(2気圧)が付与された後、路面モデル52の所定の位置に、例えば4000N(400kgf)の荷重が与えられて、あるいは、撓み量20mmが与えられて接地し、タイヤモデル50の変形計算が行われる。
【0034】
次に、タイヤモデル変形演算部14において、路面モデル52に接地したタイヤモデル50の接地回転計算が行われる(ステップ104)。
具体的には、変形したタイヤモデル50に路面モデル52に対する並進速度と、この並進速度に対応してタイヤモデル50が路面モデル52に対して滑ることなく転動する回転速度とが与えられて、タイヤモデル50の移動に伴う変形の演算が行われる。
演算されたタイヤモデル50から、各有限要素にかかる応力や速度や加速度等の物理量が取り出され、メモリ20に記憶される(ステップ106)。
【0035】
次に、路面モデル52上の一部分に複数の粒子モデルPを配した路面状態再現モデル54が作成されて、水膜を再現した流体モデルが作成される(ステップ108)。この流体モデルは、図4(a)に示すようにタイヤモデル50が路面状態再現モデル54の設定位置に移動して踏み込む直前に作成される。
流体モデルの作成は、具体的には、水膜を再現した流体モデルとして、図4(b)や図5に示すように、複数の粒子モデルPをX方向、Y方向、Z方向に一定の間隔で等方状に配列する。例えば、粒子モデルPの間隔を2.5mm、粒子モデルの総数Nを30720個として、各粒子モデルPの質量が同じになる様に、等方状に規則的に配置して、横幅400mm、厚さ10mm、長さ120mmとする路面状態再現モデル54を作成する。
【0036】
一般に、FEMモデルは、図6(a)に示すように、有限要素の応力や歪み等の物理量の分布を有限要素を構成する節点の物理量を用いて表現する。
一方、上述の特許3133738号で示される予測方法は、図6(b)に示されるように、空間に固定された空間格子内で流体要素(図6(b)中の斜線部分)を移動させ、空間格子で仕切られた領域における物理量を用いて流体モデルを表現する。
しかし、本発明の方法は、図6(c)に示すように、流体を複数の粒子モデルPで再現し、この粒子モデルPを一定の間隔で等方状に配列した状態から、後述する粒子モデル移動規定条件の下に移動させて、粒子モデルPの持つ速度や密度や全エネルギー量の注目物理量を用いて流体モデルを表現する。そのため、従来の方法のように、空間格子や有限要素が設けられない。しかも、粒子モデルPは、粒子モデル移動規定条件の下に自由に移動するので、大きな移動や飛散を伴う挙動を流体に固定した座標系で記述するLagrangianに基づいて表現しても、数値計算上の適切な解を得ることができる。
【0037】
このような粒子モデルPを用いて物理的挙動を演算し予測することは、一般に天文学の分野における圧縮性流れの数値解析法におけるSPH(Smoothed Particle Hydrodynamics)法として公知である(Monaghan,J.J.,Smoothed Particle Hydrodynamics ,Annu.Rev.Astron.Astrophys.vol.30,1992,pp543-574) 。
しかし、本発明は、一定の間隔で等方状に配列した複数の粒子モデルPからなる路面状態再現モデル54を用いて、タイヤモデル50と路面状態再現モデル54との相互作用を演算して、タイヤ特性を予測する方法を特徴とするものである。
【0038】
このような粒子モデルPを用いて表す流体の挙動は、公知のように、下記式(3)〜(5)に示す流体の連続の式、運動方程式およびエネルギー方程式の各式を支配方程式として用いて表される。
【数3】
【数4】
【数5】
ここで、ρは流体の密度、Uは流体の速度、σは流体の応力テンソルであり、流体の圧力pとσ=−pI(Iは単位テンソル)の関係にある量、eは単位体積当たりの全エネルギー量である。
【0039】
一方、流体の持つ速度(流速)等の注目物理量の分布f(x)(xは空間の3次元位置座標を表す)は、下記式(6)に示すように、所定の位置座標x’における注目物理量f(x’)とカーネル関数W(|x−x’|,h)(hはパラメータ)とを用いて求められる近似物理量の分布<f(x)>によって近似することができる。
【数6】
【0040】
そこで、このときの路面状態再現モデル54の位置座標x’における注目物理量f(x’)を、粒子モデルPj の持つ注目物理量fj (jは1以上N以下の自然数で、Nは粒子モデルPの総数)とし、粒子モデルPの密度ρj と、粒子モデルPの質量mj とを用いて上記式(2)のように離散化して表すことができる。例えば、流体の速度U(x)について下記式(7)のように表すことができる。
【数7】
【0041】
同様に流体の密度ρ(x)および全エネルギー量e(x)も上記式(2)の注目物理量f(x)の替わりに用いて表すことができる。すなわち、上記式(3)〜(5)における流体の速度Uや密度ρや全エネルギー量eを、粒子モデルPの有する速度Uj や密度ρj を用いた近似速度<U(x)>、近似密度<ρ(x)>、近似全エネルギー量<e(x)>を用いて表すことができる。
そこで、上記式(3)〜(5)のU、ρ、eに近似速度<U(x)>、近似密度<ρ(x)>、近似全エネルギー量<e(x)>を代入して下記式(8)〜(10)を求めることができる。
iは、複数の粒子モデルPのうち注目する粒子モデルの番号を指す。以降注目する粒子モデルをPi とする。
【数8】
【数9】
【数10】
ここで、▽Wijは、下記式(11)を表す。
【数11】
なお、▽は空間微分を表す。
また、Πijは人工粘性を表し、後述する変形計算において数値上の振動解の発生を抑制し、また異なる粒子モデルPが衝突する際に互いに相手をすり抜けないように、運動量や全エネルギー量を交換するもので、予め設定されるものである。
【0042】
このように、速度Uや密度ρや全エネルギー量e等の注目物理量の分布f(x)を粒子モデルPの持つ注目物理量fj を用いて近似することによって定められる式(8)〜(10)が作成される。
なお、本発明では、路面状態再現モデルが式(8)〜(10)をすべて備える必要はなく、式(9)を、粒子モデルPの移動を規定する粒子モデル移動規定条件として備えた路面状態再現モデルであってもよい。以降では、式(9)を粒子モデル移動規定条件として備えた路面状態再現モデルに基づいて説明する。
【0043】
ここで、カーネル関数W(|x−x’|,h)は、特に限定されないが、|x−x’|/h=νとして、例えば、下記式(12)に示すように、3次のB−スプライン関数を用いるとよい。
【数12】
【0044】
式(12)に示す3次のB−スプライン関数をカーネル関数W(|x−x’|,h)として用いると、νが2以上の場合、カーネル関数W(|x−x’|,h)は0となり、νが2未満の場合正の値となるため、式(8)〜(10)に示すように、注目する粒子モデルPi の挙動は、νが2未満の範囲内に位置する粒子モデルPj に依存することになる。すなわち、図7(a)に示すように、粒子モデルPi を中心とする半径2hの球の範囲(この範囲を粒子モデルPi に対応した近傍領域Ri という)内に含まれる粒子モデルPj によって、粒子モデルPi の移動が規定される。この半径2hはスムージングレングスともいう。また、路面状態再現モデル54では、図7(b)に示すように、路面状態再現モデル54の全領域を覆うように、粒子モデルPi のそれぞれの周りに近傍領域Ri が粒子モデルPi のそれぞれに対応して定められる。しかも、この近傍領域Ri 内の速度U等の注目物理量の分布をこの近傍領域Ri に含まれる粒子モデルPj の持つ速度Uj 等の注目物理量を用いて近似することによって定められる、粒子モデルPi の移動を規定する速度Ui 等に関する方程式(式(8)〜(10))を備える。このような複数の粒子モデルPから構成される路面状態再現モデル54によって水膜を再現した流体モデルが路面モデル52の一部分に作成される。
【0045】
次に、タイヤモデル50と複数の粒子モデルPとの相互作用の演算を行いながら、転動するタイヤモデル50が路面状態再現モデル54を設けた領域を踏み込んで通過する際のタイヤモデル50の接地回転計算が、踏み込み演算部16において行われる(ステップ110)。すなわち、タイヤモデル50の変形計算と路面状態再現モデル54における複数の粒子モデルPの移動の計算が、互いのモデルが及ぼす相互作用を考慮して行われる。これらの計算、すなわち、タイヤモデル50の変形計算、路面状態再現モデル54の変形計算およびタイヤモデル50と複数の粒子モデルPとの相互作用の演算は、所定の時間間隔毎の時間ステップ毎に逐次行われる。
具体的には、ステップ106で取得され、メモリ20に記憶された各有限要素に係る応力や速度や加速度等の物理量が取り出され、この物理量を初期条件として、路面状態再現モデル54の粒子モデルPに速度が与えられる。
【0046】
図8はタイヤモデル50が路面状態再現モデル54を踏み込む際の接地回転計算(スッテプ110)の流れを示すフローチャートである。
まず、粒子モデルPの位置が既知の状態にある、時刻T(n) の時間ステップにおける路面状態再現モデル54において、粒子モデルP各々のスムージングレングスの設定、すなわち、上記半径2hの球の範囲(近傍領域Ri ) を粒子モデルPi のそれぞれについて設定し(ステップ110a)、近傍領域Ri に含まれる近接する粒子モデルPj を探索し求める(ステップ110b)。この後、近接する粒子モデルPj の数に基づいて粒子モデルPi における密度ρi を算出するとともに、近傍領域Ri における歪みや歪み速度を粒子モデルPj の位置および速度を用いて算出する(ステップ110c)。この後、粒子モデルPi における密度ρi から路面状態再現モデル54の対象とする流体を支配する状態方程式と等温変化の条件とを用いて粒子モデルPi にかかる圧力を求める。具体的には、密度に比例する形で粒子モデルPi にかかる圧力を算出する。さらに、粒子モデルPi のそれぞれの有する運動エネルギーや歪みエネルギーを算出する(ステップ110d)。算出される粒子モデルPi における圧力をpとすると式(9)中のσi とσi =−pI(Iは単位テンソル)の関係があり、この関係を用いて、後述する粒子モデルPの移動の計算において用いられる。さらに、粒子モデルPの移動の計算において粘性を考慮する場合、近傍領域Ri における歪み速度から粒子モデルPi における粘性応力が求められ、式(9)中のσi に加えられる。
なお、近傍領域Ri が粒子モデルPj を全く含まない場合、式(9)中のmj は0となり右辺は0となる。
【0047】
一方、路面状態再現モデル54と同時刻T(n) におけるタイヤモデル50の各有限要素における歪みを算出し(ステップ110e)、さらに、タイヤモデル50の各有限要素における応力、運動エネルギーや歪みエネルギーを算出する(ステップ110f)。
次に、時刻T(n) が予め定められた経過時刻を経過しているか否かを判断し(ステップ110g)、予め定められた経過時刻を経過していないと判断した場合、時刻T(n) を時刻T(n+1) とし、タイヤモデル50と粒子モデルPの相互作用の演算(ステップ110h)と、粒子モデルの移動の計算(路面状態再現モデルの変形計算)(ステップ110i)と、タイヤモデルの変形計算(ステップ110j)とを行う。ステップ110gにおいて時刻T(n) が予め定められた経過時刻を経過している場合、接地回転計算は終了する。
このようにして、予め定められた経過時刻までステップ110a〜110f、ステップ110h〜110jを繰り返す。
【0048】
図9(a)〜(c)は、粒子モデルP2 における近傍領域Ri に含まれる粒子モデルPが粒子モデルP1 、P3 であり、粒子モデルP2 がタイヤモデル50と接触して、速度U2 で移動する例を示している。
この例に沿って説明すると、時刻T(1) の時間ステップにおいて速度uを有して移動するタイヤモデル50が粒子モデルP2 と接触する直前の状態(図8(a))から、時刻T(2) の時間ステップにおいて粒子モデルP2 が一旦タイヤモデル50の内部に位置する状態(図8(b))に変化し、さらに、時刻T(3) の時間ステップにおいて粒子モデルP2 がタイヤモデル50の外部に位置して移動する状態(図8(c))に変化するように、相互作用の演算(ステップ110h)と、粒子モデルPの移動計算(ステップ110i)と、タイヤモデルの変形計算(ステップ110j)とが行われる。
【0049】
まず、時刻T(2) の時間ステップにおける粒子モデルPに対してステップ110a〜ステップ110dの処理を行うとともに、タイヤモデル50に対してステップ110e、ステップ110fの処理を行う。
時刻T(2) が所定の経過時刻を経過しない時刻であるとステップ110gにおいて判断された場合、時刻T(2) の時間ステップの状態から時刻T(3) の時間ステップの状態へ移行する際のタイヤモデル50と粒子モデルPの相互作用の演算が行われる(ステップ110h)。
相互作用の演算では、まず、粒子モデルPがタイヤモデル50の内部に進入しているか否かが、粒子モデルPの各々について判別される。
粒子モデルP2 がタイヤモデル50内部に進入したと判別されると、この状態の粒子モデルP2 が時刻T(3) の時間ステップにおいてタイヤモデル50の外部に位置するように、図8(b)のようにタイヤモデル50の内部に進入した粒子モデルP2 の進入量に応じた相互作用エネルギー項を算出し、粒子モデルP2 に関する式(9)に付加する。
【0050】
この後、相互作用エネルギー項が付加された粒子モデルP2 に関する式(9)および相互作用エネルギー項が付加されていない粒子モデルP1 、P3 に関する式(9)を後述する差分スキームを用いて解き、粒子モデルP1 〜P3 の加速度を求め、速度および位置を算出する。これによって、時刻T (2)の時間ステップにおける粒子モデルPの移動の計算を行い(ステップ110i)、時刻T(3) の時間ステップにおける粒子モデルPの移動の状態を算出する。
一方、タイヤモデル50には、粒子モデルP2 に付与される相互作用エネルギー項の反作用として、相互作用エネルギー項が付与されるため、この相互作用エネルギー項の付与された、時刻T(2) の時間ステップにおけるタイヤモデル50の変形計算を行い(ステップ110j)、時刻T(3) の時間ステップにおけるタイヤモデル50の変形状態を算出する。相互作用エネルギー項は粒子モデルP2 がタイヤモデル50に与える衝突圧力である。
こうして算出された時刻T(3) の時間ステップにおける粒子モデルPに対してステップ110a〜110dの処理を行うとともに、タイヤモデル50に対してステップ110e、ステップ110fの処理を行った後、ステップ110gの判断を行う。
このようにして、所定の経過時刻を経過するまで、時間ステップ毎にタイヤモデル50と粒子モデルPの相互作用の演算と粒子モデルPの移動の計算とタイヤモデル50の変形計算を繰り返し、ステップ110gで判断結果が肯定されると接地回転計算は終了する。
【0051】
なお、式(9)における時間微分の方程式は、中心差分による時間積分スキームを用いた解法を用いて解かれ、速度Ui が計算される。
すなわち、下記式(13)のような差分スキームをとり、Ui n+1/2 (第n時間ステップと第(n+1)時間ステップとの間の中間の速度)から、下記式(14)を用いて第(n+1)時間ステップにおける粒子モデルPi の変位量di n+1 を求める。さらに、変位量di n+1 を下記式(15)を用いて初期状態における位置座標xi 0 に加算して、第(n+1)時間ステップにおける粒子モデルPi の位置座標xi n+1 を求める。Δtn は、第n時間ステップにおける時間ステップの時間間隔である。時間ステップが一定の時間間隔毎のステップの場合、Δtn はnに関わらず、すべて一定である。
こうして、各粒子モデルPの位置座標が求められる。
【0052】
【数13】
【数14】
【数15】
【0053】
なお、次の時間ステップにおいてタイヤモデル50内に進入する粒子モデルPi が有るか否かを判別し、進入した粒子モデルPi に対して相互作用エネルギー項を式(9)に与えて、次の時間ステップで粒子モデルPi のタイヤモデル52外に移動させる上述の方法の他に、粒子モデルPi のタイヤモデル52内への進入が発生しない様に、粒子モデルPi の移動を計算する際、タイヤモデル50の表面形状をラグランジェの未定定数法における拘束条件として付加し、この未定定数を求める方法を利用してもよい。この場合、数値として求まる未定定数が粒子モデルPi の進入を阻止する粒子モデルPのタイヤモデル50への衝突圧力となる。
【0054】
以上のようにして、タイヤモデル50の変形計算および粒子モデルPの移動の計算(路面状態再現モデル54の変形計算)が行われる。
なお、本実施例では、タイヤモデル50に並進速度と並進速度に応じた回転速度を与えて、タイヤモデル50が路面モデル52に対して滑りがない(滑り率0)転動状態を演算するが、本発明においては、タイヤモデル50の滑り率が0でない状態を演算してもよい。
さらに、本発明においては、タイヤモデル50に並進速度も与えず、路面モデル52に設けられた路面状態再現モデル54をタイヤモデル50が上方から踏み際のタイヤモデル50および路面状態再現モデル54の変形計算を行うものであってもよい。
【0055】
次に、ステップ110におけるタイヤモデル50または路面状態再現モデル54の計算結果から、タイヤモデル50または路面状態再現モデル54の所定の特性物理量、例えば、路面状態再現モデル54がタイヤモデル50に作用する揚力や、路面モデル52がタイヤモデル50に作用する路面反力や、路面状態再現モデルにおける粒子モデルの移動位置を算出し、この算出結果に基づいて前記予測対象タイヤのタイヤ特性を予測して評価する(ステップ112)。
【0056】
図10(a)〜(h)は、ステップ110の計算結果を用いて、複数の粒子モデルPから成る路面状態再現モデル54をタイヤモデル50が通過する際、複数の粒子モデルPの移動(飛散)状態を時系列的に表した斜視図である。なお、タイヤモデル50の並進速度は70km/時である。
図10(c)はタイヤモデル50が路面状態再現モデル54を踏み込む瞬間を示しており、図10(d)は路面状態再現モデル54を踏み込んだ直後を示している。図10(d)〜図10(h)では、粒子モデルPが移動(飛散)している。
【0057】
一方、図11(b)は、図11(a)に示す様に図中右から左にタイヤモデル50が移動し、しかも、トレッドパターンのV字状溝のV字の鋭角部分が最初に踏面に踏み込まれる回転状態(正転状態)のタイヤモデル50を路面モデル52側からA方向に向けて見た時の粒子モデルPの移動(飛散)状態を示したものである。図11(b)は、粒子モデルPの移動(飛散)状態を粒子モデルPの速度に応じて長さの異なる白矢印線で表した流速ベクトルの分布で示している。
一方、図11(d)は、図11(c)に示す様に図中右から左にタイヤモデル50が移動し、しかも、トレッドパターンのV字状溝のV字の鋭角部分が最後に踏面に踏み込まれる回転状態(逆転状態)のタイヤモデル50を路面モデル52側からA方向に向けて見た時の粒子モデルPの移動(飛散)状態を示したものである。図11(d)は、粒子モデルPの移動(飛散)状態を粒子モデルPの速度に応じて長さの異なる白矢印線で表した流速ベクトルの分布で示している。
【0058】
図11(b)と図11(d)とを比較すると、図11(b)では、トレッドパターンのV字状の溝内に粒子モデルPが移動して納まっているが、図11(c)では、一部の粒子モデルPがトレッドパターンのV字状の溝に納まっていない。すなわち、図11(c)の逆転状態の場合、タイヤモデル50の踏面と路面モデル52の表面との間に粒子モデルPが介在する。特に接地踏み込み先端部分で顕著である。
【0059】
また、図12は、タイヤモデル12の正転状態(図11(a)の状態)と、タイヤモデル12の逆転状態(図11(c)の状態)における、路面モデル52がタイヤモデル50に作用する路面反力の変動を表している。
図12では、横軸を時間軸とし、約0.07秒でタイヤモデル50が路面モデル52に接地して、荷重400kgfの負荷を受ける。約0.15秒後にタイヤモデル50は転動を開始して、約0.21秒後に路面状態再現モデル54を通過して、約0.3秒後に路面状態再現モデル54を通り抜ける際の路面反力の時間波形を示している。
ここで、タイヤモデル50が路面状態再現モデル54を通過する際の路面反力は、タイヤモデル50の踏面と路面モデル52の表面との間に水が進入することで減少し、この後400kgfに回復するが、この時の路面反力の最小値は正転状態の方が逆転状態に比べて大きく、正転状態の方が逆転状態に比べてタイヤモデル50の踏面と路面モデル52の表面との間に粒子モデルPが進入しにくい。すなわち、正転状態の方が逆転状態に比べて、ハイドロプレーニング性能は向上すると評価される。
【0060】
このように図11(b)や図11(d)に示すような粒子モデルPの流速ベクトルの分布図や図12に示すような路面反力の変動の波形によって、タイヤモデル50の対象とする予測対象タイヤのタイヤ特性を評価することができる。
また、粒子モデルPがタイヤモデル50に衝突する際の圧力を総計して得られる、路面状態再現モデル54がタイヤモデル50に作用する揚力によってもタイヤ特性を評価することができる。
【0061】
タイヤモデル50の正転状態と逆転状態で粒子モデルPの挙動に差異が生ずるが、このような差異が実際のタイヤにおいても同様に生ずるか否かを調べた結果が図13(b)に示されている。
実際のタイヤを用いた実験は、図3(a)に示すようなV字状溝のトレッドパターンを持つ実際のタイヤTを車両に装着して、図13(a)に示すように、路面100と面一となったガラスプレート102の上に厚みが10mmの水膜104を設け、一方、ガラスプレート102の下方に照明装置106と撮影機材108を設置して、並進速度80km/時で転動するタイヤTの通過するタイミングでタイヤTの踏面の状態を撮影した。
【0062】
図13(b)に示す実験の欄では、水が介在することなくタイヤTがガラスプレート102と接触する部分を黒い領域で表している。なお、水膜104がない場合のタイヤTの踏面を破線で示している。
一方、計算の欄では、路面再現状態モデル54をタイヤモデル50が踏み込んで通過するある時刻における粒子モデルPの位置を黒い点で表している。
これによると、実験では正転の方が逆転の場合に比べて、タイヤTがガラスプレート102と接触する黒い領域が大きく、正転におけるタイヤTの踏面とガラスプレート102の表面の間の水の進入が少なく、水膜104を踏み込んで通過する際タイヤTの踏面のガラスプレート102との接触面積の低下が少ないことがわかる。
一方、計算では、正転状態の方が、V字状の溝内へ粒子モデルPが納まり易く、タイヤモデル50の踏面と路面モデル52の表面との接触が逆転状態に比べて粒子モデルPによって低下することは少ない。すなわち、正転状態の場合、逆転状態の場合に比べて、タイヤモデル50の踏面と路面モデル52の表面の間の粒子モデルPの進入が少なく、路面状態再現モデル54を踏み込んで通過する際タイヤモデル50の踏面の路面モデル52との接触面積の低下が少ないことがわかる。
このように、上述の計算結果は、実験結果と一致することが分かる。それ故、粒子モデルPを用いて水の挙動を正しく予測でき、タイヤ特性を評価することができる。
【0063】
なお、粒子モデルPを用いた上述の計算では、タイヤモデル50または路面状態再現モデル54の演算を、予め定められた時間間隔Δt毎の各時間ステップ毎に行うが、この時間間隔Δtは0.3μ秒以下であるのが好ましい。より好ましくは、0.1μ秒以下である。時間間隔Δtが0.3μ秒より長い場合は、図14(a)、図14(b)に示す様に粒子モデルPの一部分が超音速で移動し、実際の挙動を再現しないからである。
勿論、この場合、時間間隔Δtは、数値的な振動が発生しない様に、上述の式(1)で定められる時間間隔δt以下であることが好ましい。この条件はクラーン条件といわれるものである。
【0064】
あるいは、時間間隔Δtを、式(1)で設定される時間間隔δt以下の一定の時間間隔とし、しかも、この時間間隔δtが0.3μ秒以下、より好ましくは0.1μ秒以下となるように、粒子モデル間の最短間隔Lを形成する粒子モデルPの密度ρi や最短間隔Lを適宜調整して粒子モデルPの配置を設定して粒子モデルPを配し、なおかつ、タイヤモデル50を構成する有限要素の要素長さのうち最短長さや最短長さを構成する有限要素の密度等を適宜調整して有限要素を設定するのが好ましい。
一般に、時間間隔Δtが短いと所望の挙動を予測するまでの計算時間が長くなるため、効率の良い予測を行うには、クラーン条件として求まる上記式(1)の時間間隔δtに、0.9等の安全係数を乗じた時間間隔を時間間隔Δtとして時間積分スキームに用いる。しかし、粒子モデルPの密度ρi や隣接する粒子モデルとの最短間隔Lを適宜調整することで、かつ、タイヤモデル50を構成する有限要素の要素長さのうち最短長さやこの最短長さを持つ有限要素の密度等を適宜調整することで、クーラン条件として求まる時間間隔δtを0.3μ秒以下、より好ましくは0.1μ秒以下とすることができる。
【0065】
以上が図2に示すフローチャートに沿ったタイヤ特性予測方法の流れであるが、本発明は、図15に示すようなフローチャートに沿ってタイヤ特性の予測、評価を行ってもよい。
すなわち、ステップ200において、ステップ100に対応するタイヤモデルおよび路面モデルを作成し、次に、ステップ202において、水膜の路面状態再現モデルとして粒子モデルからなる、ステップ108に対応する流体モデルを作成した後、ステップ204において、ステップ102に対応するタイヤモデルの接地変形計算を行い、この後、ステップ206において、ステップ104とステップ110に対応する接地回転計算を行い、この後、ステップ208において、ステップ112に対応するタイヤ特性の評価を行ってもよい。
この場合、ステップ206において、与えられた並進速度で移動するタイヤモデルが路面状態再現モデルと明らかに衝突しない離れた距離に位置する場合でも、粒子モデルとの衝突の有無を逐次判定するための時間を必要とする。そのため、より短時間でタイヤ特性を予測、評価するには、図2に示す方法のように、タイヤモデルが路面状態再現モデルの設定位置に移動して来る直前に、路面状態再現モデルを作成することが好ましい。
【0066】
本実施例は上述した様に、公知のSPH法を路面状態再現モデル54に適用して、タイヤモデルとの相互作用を計算しタイヤ特性を予測するものであるが、従来の有限要素法や有限体積法を用いた場合、路面状態再現モデルの注目する位置における注目物理量は、注目する位置を含む有限要素や空間格子といった定まった微小領域の注目物理量、例えば有限要素の場合節点における注目物理量の情報から近似関数を作成して求められる近似物理量によって表される。
本発明における路面状態再現モデルの注目する位置における注目物理量は、この注目する位置の近傍に位置する自在に移動する粒子モデルの持つ注目物理量の情報から近似関数を作成して求められる近似物理量によって表される点で従来の有限要素法や有限体積法と大きく異なる。
【0067】
特に、本発明は、式(3)〜(5)のような支配方程式における密度や速度や全エネルギー量等の注目物理量を、粒子モデルの持つ注目物理量の情報から作成した近似物理量に置き換えて、式(3)〜(5)のような支配方程式から式(8)〜(10)のような粒子モデル移動規定条件である方程式を得、この方程式に基づいて粒子モデルの移動を規定するので、複数の粒子モデル間を単純なばねやダッシュポット等で結合し、あるいは粒子モデル同士の接触を摩擦力を用いて表すDEMの場合に必要であったばねやダッシュポット等の定数や摩擦係数を見いだす必要もなく、しかも、粒子モデル移動規定条件は支配方程式に基づいて自動的に定まるので、粒子モデル移動規定条件は物理的な意味を備えた条件となる。このような点からDEMとも大きく異なる。
【0068】
なお、本発明は、自在に移動する粒子モデルの注目物理量の情報からカーネル関数を用いて近似関数を作成して近似物理量を求める限りにおいて、近似関数の作成方法を式(2)と異なる方法によって、あるいは、近似物理量を代入する微分方程式の強形式や弱形式といった支配方程式の表現形式の種類によって、式(8)〜(10)とは異なる式に定式化された方程式を用いてもよく、例えば、RKPM法(Reproducing Kernel Particle Method) や有限粒子法(Finite Particle Method) やEFGM(Element Free Galerkin Method)法等を用いてもよい。
【0069】
なお、本実施例は、水膜を路面条件再現モデル50としたが、本発明においては、砂や土等の粉流体や雪等の種々の路面状態を複数の粒子モデルPからなる路面状態再現モデルで再現して、トラクション性能の予測、評価を行ってもよい。このように、粒子モデルを用いて路面状態再現モデルを表すので、流体のような大変形が生じる場合、Lagrangianによる定式化を行ってモデルを作成しても、要素形状が崩れて計算が破綻しまう数値計算上の問題は生じない。しかも、トレッドパターン付きタイヤが水膜と衝突する場合のような非定常状態の流れ場を直接演算して予測できるばかりでなく、水が移動(飛散)する領域を予め計算領域に含めて空間格子を用意する必要がないため、比較的少ない自由度のモデルで広範囲に飛散する水の飛散の様子を予測することができる。さらに、タイヤモデルと粒子モデルとの相互作用の際に粒子モデルが超音速で移動(飛散)する物理的に起こり得ない計算結果を、時間積分スキームにおける時間間隔に制限を与えることで解消することができる。
【0070】
このようなタイヤ特性予測方法によって路面状態に応じたタイヤ特性が予測されこの予測結果はタイヤ特性の良し悪しの評価とされるが、タイヤモデルとして、タイヤ断面形状やタイヤ構造部材の配置やタイヤ構造部材の材料定数を種々変えた複数のタイヤモデルを作成して、上記タイヤ特性予測方法を適用してタイヤ特性の予測、評価を行い、この評価結果に基づいて実際のタイヤを設計して製造することができる。
また、タイヤの製品名や型式に対応させて、上記タイヤ特性予測方法を用いて予測されたタイヤ特性が、テレビやラジオ等のマスメディアによって宣伝され、あるいは、広告やパンフレット等に掲載され、タイヤの評価をタイヤ購入者や消費者に認知させることができる。このようなタイヤ特性の評価が与えられて製造されたタイヤは本発明における空気入りタイヤに含まれる。
【0071】
以上、本発明のタイヤ特性予測方法、タイヤ製造方法および前記タイヤ特性予測方法を実行するプログラムについて詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0072】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、粒子モデルを用いて路面状態再現モデルを表すので、流体のような大変形が生じる場合、Lagrangianによる定式化を行ってモデルを作成しても、要素形状が崩れて計算が破綻しまう数値計算上の問題は生じない。しかも、トレッドパターン付きタイヤが水膜と衝突する場合のような非定常状態の流れ場を直接演算して予測できるばかりでなく、水等の流体が移動(飛散)する領域を予め計算領域に含めて空間格子を作成する必要がないため、比較的少ない自由度の路面状態再現モデルで広範囲に移動(飛散)する流体の様子を再現して予測することができる。従って、路面状態に応じたタイヤ特性を予測して評価する際、予測のために用いるタイヤモデルや路面モデルが膨大なモデルとならない。さらに、支配方程式上で表される密度や速度や全エネルギー量等の注目物理量を、粒子モデルの持つ注目物理量の情報から作成した近似物理量に置き換えて粒子モデル移動規定条件を備えた路面状態再現モデルを作成するので、DEM等による従来の方法に比べて精度の高い演算結果を得て評価することのできる。
さらに、タイヤモデルと粒子モデルとの相互作用の際に粒子モデルが超音速で移動(飛散)する物理的に起こり得ない計算結果を、時間積分スキームにおける時間間隔に制限を与えることで解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のタイヤ特性予測方法を実施するタイヤ特性予測装置の概略の構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明のタイヤ特性予測方法の一例を示すフローチャートである。
【図3】 (a)、(b)は、タイヤモデルの例を示す図である。
【図4】 (a)、(b)は、路面モデルおよび路面状態再現モデルの例を示す図である。
【図5】 路面状態再現モデルを詳細に示す図である。
【図6】 (a)は有限要素モデルを、(b)は空間格子を、(c)は粒子モデルを説明する図である。
【図7】 (a)、(b)は粒子モデルを説明する図である。
【図8】 本発明のタイヤ特性予測方法の要部の流れを示すフローチャートである。
【図9】 (a)〜(c)は、粒子モデルとタイヤモデルとの相互作用を説明する図である。
【図10】 (a)〜(h)は、路面状態再現モデルをタイヤモデルが通過する際、複数の粒子モデルの移動(飛散)状態を所定の時間間隔毎に表した斜視図である。
【図11】 (a)はタイヤモデルの正転を説明する図であり、(b)はタイヤモデルの正転状態における粒子モデルの流速ベクトルの分布の一例を表した図であり、(c)はタイヤモデルの逆転を説明する図であり、(d)はタイヤモデルの逆転状態における粒子モデルの流速ベクトルの分布の一例を表した図である。
【図12】 路面モデルがタイヤモデルに作用する路面反力の時間波形の一例を示した図である。
【図13】 (a)はタイヤが水膜を通過する際のタイヤの踏面の状態を観測する実験方法を説明する図であり、(b)は(a)に示す方法で得られた実験結果と、本発明のタイヤ特性予測方法で得られた計算結果の一例とを対比した図である。
【図14】 (a)〜(c)はタイヤモデルが路面状態再現モデルを通過する際の粒子モデルの移動(飛散)状態を示す図である。
【図15】 本発明のタイヤ特性予測方法の他の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 タイヤ特性予測装置
12 モデル作成部
14 タイヤモデル変形演算部
16 踏み込み演算部
18 タイヤ特性評価部
20 メモリ
22 制御部(CPU)
24 本体装置
26 入力操作系
28 ディスプレイ
30 プリンタ
50 タイヤモデル
52 路面モデル
54 路面状態再現モデル
Claims (14)
- 路面状態に応じたタイヤ特性を予測するタイヤ特性予測方法であって、
タイヤ特性を予測する予測対象タイヤを再現したタイヤモデルと、このタイヤモデルの接地する路面モデルとを作成するタイヤ・路面モデル作成工程と、
前記路面モデル上の少なくとも一部分に複数の粒子モデルを配して路面の状態を再現した路面状態再現モデルを作成する路面状態再現工程と、
前記タイヤモデルが前記粒子モデルの配された前記路面モデル上の領域を踏み込む際の前記タイヤモデルおよび前記路面状態再現モデルの変形計算を、所定の時間間隔の時間ステップ毎に繰り返し行う工程であって、前記時間ステップの度に前記タイヤモデルと前記粒子モデルとの相互作用の演算を行って前記タイヤモデルおよび前記路面状態再現モデルの変形計算を行う演算工程と、
この演算工程における前記タイヤモデルまたは前記路面状態再現モデルの計算結果から、前記タイヤモデルまたは前記路面状態再現モデルの所定の特性物理量を算出し、この算出結果に基づいて前記予測対象タイヤのタイヤ特性を予測して評価する評価工程と、を有し、
前記タイヤ・路面モデル作成工程で作成される前記タイヤモデルは、有限要素モデルであり、
前記演算工程における前記タイヤモデルおよび前記路面状態再現モデルの変形計算は、下記式(1)で設定される時間間隔δt以下の所定の時間間隔毎の挙動の計算であって、
前記路面状態再現工程で作成される前記路面状態再現モデルおよび前記タイヤモデルは、前記路面状態再現モデルおよび前記タイヤモデルのそれぞれから算出される前記時間間隔δtがともに0.3μ秒以下となるように、前記タイヤモデルを構成する有限要素モデルの有限要素が設定され、前記粒子モデルが配されることを特徴とするタイヤ特性予測方法。
δt=L/(ρ/E) (1/2) (1)
但し、時間間隔δtが前記路面状態再現モデルに関する場合、Lは前記路面状態再現モデルにおける複数の前記粒子モデル間の間隔のうち最短間隔、ρは前記最短間隔を形成する粒子モデルの密度およびEは前記最短間隔を形成する粒子モデルの弾性率であり、
時間間隔δtが前記タイヤモデルに関する場合、Lは有限要素を規定する要素長さのうち最短長さ、ρは前記最短長さを構成する有限要素の密度およびEは最短長さを構成する有限要素の弾性率である。 - 前記演算工程における前記時間間隔は、少なくとも0.3μ秒以下である請求項1に記載のタイヤ特性予測方法。
- 路面状態に応じたタイヤ特性を予測するタイヤ特性予測方法であって、
タイヤ特性を予測する予測対象タイヤを再現したタイヤモデルと、このタイヤモデルの接地する路面モデルとを作成するタイヤ・路面モデル作成工程と、
前記路面モデル上の少なくとも一部分に複数の粒子モデルを配して路面の状態を再現したモデルであって、このモデルの全領域を覆うように、前記粒子モデルのそれぞれの周りに前記粒子モデルのそれぞれに対応して近傍領域が定められるとともに、この近傍領域内の注目物理量の分布をこの近傍領域に含まれる粒子モデルの持つ注目物理量を用いて近似することによって定められる、前記粒子モデルの移動を規定する粒子モデル移動規定条件を備えた路面状態再現モデルを作成する路面状態再現工程と、
前記タイヤモデルが前記粒子モデルの配された前記路面モデル上の領域を踏み込む際の前記タイヤモデルおよび前記路面状態再現モデルの変形計算を、前記タイヤモデルと前記粒子モデルとの相互作用の演算を行いつつ、行う演算工程と、
この演算工程における前記タイヤモデルまたは前記路面状態再現モデルの計算結果から、前記タイヤモデルまたは前記路面状態再現モデルの所定の特性物理量を算出し、この算出結果に基づいて前記予測対象タイヤのタイヤ特性を予測して評価する評価工程とを有することを特徴とするタイヤ特性予測方法。 - 前記路面状態再現工程における前記粒子モデル移動規定条件は、前記路面状態再現モデルにおける位置座標をx、前記近傍領域内の注目物理量の分布をf(x)として、この注目物理量の分布f(x)を前記近傍領域に含まれる粒子モデルの持つ注目物理量と所定のカーネル関数とを用いて下記式(2)で定まる近似物理量の分布<f(x)>で近似することによって定式化される方程式である請求項3に記載のタイヤ特性予測方法。
- 前記路面状態再現工程は、ν=|x−xj |/ hとしたとき、前記カーネル関数W(|x−xj|,h)としてνが所定の範囲内で0以外の値を持ち、νが前記所定の範囲外で0の値を持つνの3次のB−スプライン関数を用いて前記近傍領域を定める請求項4に記載のタイヤ特性予測方法。
- 前記路面状態再現工程で作成される前記路面状態再現モデルにおける前記粒子モデルは、流体を粒子の集合体として離散化したものである請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤ特性予測方法。
- 前記路面状態再現工程は、前記路面状態再現モデルとして、複数の前記粒子モデルを一定の間隔で等方状に配列したモデルを作成する請求項1〜6のいずれかに記載のタイヤ特性予測方法。
- 前記路面状態再現工程は、前記路面状態再現モデルを前記路面モデルの一部分に作成し、
前記演算工程は、前記タイヤモデルに所定の内圧を付与した後、前記路面状態再現モデルの作成されていない前記路面モデルの位置に接地させて、前記タイヤモデルを変形させる第1の変形演算工程と、
変形した前記タイヤモデルに前記路面モデルに対する並進速度を少なくとも与えて、前記タイヤモデルの変形演算を行う第2の変形演算工程と、
前記第1の変形演算工程および前記第2の変形演算工程を行った後、前記タイヤモデルが前記粒子モデルの配された前記路面モデル上の領域を移動しながら踏み込む際の前記相互作用の演算を行いつつ前記タイヤモデルおよび前記路面状態再現モデルの変形計算を行う相互作用演算工程とを有する請求項1〜7のいずれかに記載のタイヤ特性予測方法。 - 前記第2の演算工程は、前記並進速度の他に、前記タイヤモデルに回転速度を与えて前記タイヤモデルを前記路面モデル上で転動させ前記タイヤモデルの変形計算を行う請求項8に記載のタイヤ特性予測方法。
- 請求項1〜9のいずれかに記載のタイヤ特性予測方法を用いて予測されたタイヤ特性に基づいてタイヤを設計して製造することを特徴とするタイヤの製造方法。
- 路面状態に応じたタイヤ特性を予測するタイヤ特性予測方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
タイヤ特性を予測する予測対象タイヤを再現したタイヤモデルと、このタイヤモデルの接地する路面モデルとをコンピュータの演算手段を用いて作成させる手順と、
前記路面モデル上の少なくとも一部分に複数の粒子モデルを配して路面の状態を再現した路面状態再現モデルを前記演算手段に作成させる手順と、
前記タイヤモデルが前記粒子モデルの配された前記路面モデル上の領域を踏み込む際の前記タイヤモデルおよび前記路面状態再現モデルの変形計算を所定の時間間隔の時間ステップ毎に前記演算手段に繰り返し行わせる手順であって、前記時間ステップの度に、前記タイヤモデルと前記粒子モデルとの相互作用の演算を前記演算手段に行わせて前記タイヤモデルおよび前記路面状態再現モデルの変形計算を行わせ、計算結果をコンピュータの記憶手段に記憶させる手順と、
この手順における前記タイヤモデルまたは前記路面状態再現モデルの計算結果を前記記憶手段から呼び出して、前記タイヤモデルまたは前記路面状態再現モデルの所定の特性物理量を前記演算手段に算出させ、この算出結果に基づいて前記予測対象タイヤのタイヤ特性を前記演算手段に予測させて評価させる手順とを有し、
前記タイヤモデルは、有限要素モデルであり、
前記タイヤモデルおよび前記路面状態再現モデルの変形計算は、下記式で設定される時間間隔δt以下の所定の時間間隔毎の挙動の計算であって、
作成される前記路面状態再現モデルおよび前記タイヤモデルは、前記路面状態再現モデルおよび前記タイヤモデルのそれぞれから算出される前記時間間隔δtがともに0.3μ秒以下となるように、前記タイヤモデルを構成する有限要素モデルの有限要素が設定され、前記粒子モデルが配されることを特徴とするプログラム。
δt=L/(ρ/E) (1/2)
但し、時間間隔δtが前記路面状態再現モデルに関する場合、Lは前記路面状態再現モデルにおける複数の前記粒子モデル間の間隔のうち最短間隔、ρは前記最短間隔を形成する粒子モデルの密度およびEは前記最短間隔を形成する粒子モデルの弾性率であり、
時間間隔δtが前記タイヤモデルに関する場合、Lは有限要素を規定する要素長さのうち最短長さ、ρは前記最短長さを構成する有限要素の密度およびEは最短長さを構成する有限要素の弾性率である。 - 路面状態に応じたタイヤ特性を予測するタイヤ特性予測方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
タイヤ特性を予測する予測対象タイヤを再現したタイヤモデルと、このタイヤモデルの接地する路面モデルとをコンピュータの演算手段を用いて作成させる手順と、
前記路面モデル上の少なくとも一部分に複数の粒子モデルを配して路面の状態を再現したモデルであって、このモデルの全領域を覆うように、前記粒子モデルのそれぞれの周りに前記粒子モデルのそれぞれに対応して近傍領域が定められるとともに、この近傍領域内の注目物理量の分布をこの近傍領域に含まれる粒子モデルの持つ注目物理量を用いて近似することによって定められる、前記粒子モデルの移動を規定する粒子モデル移動規定条件を備えた路面状態再現モデルを前記演算手段に作成させる手順と、
前記タイヤモデルが前記粒子モデルの配された前記路面モデル上の領域を踏み込む際の前記タイヤモデルおよび前記路面状態再現モデルの変形計算を、前記タイヤモデルと前記粒子モデルとの相互作用の演算を前記演算手段に行わせ、前記演算手段に行わせ、計算結果をコンピュータの記憶手段に記憶させる手順と、
この手順における前記タイヤモデルまたは前記路面状態再現モデルの計算結果を前記記憶手段から呼び出して、前記タイヤモデルまたは前記路面状態再現モデルの所定の特性物理量を前記演算手段に算出させ、この算出結果に基づいて前記予測対象タイヤのタイヤ特性を前記演算手段に予測させて評価させる手順とを有することを特徴とするプログラム。 - 請求項1〜9のいずれか1項に記載のタイヤ特性予測方法であって、
前記演算工程は、前記タイヤモデルの移動に伴う前記タイヤモデルの変形演算を含み、
前記路面状態再現モデルは、前記路面モデル上の所定の位置に設けられるものであり、
前記路面状態再現モデルは、前記タイヤモデルの変形計算において前記タイヤモデルの接地回転計算の開始後、前記タイヤモデルが前記所定の位置に到達する時間ステップの直前に作成されるタイヤ特性予測方法。 - 請求項13に記載のタイヤ特性予測方法であって、
前記タイヤモデルと前記粒子モデルとの相互作用の演算は、前記タイヤモデルが前記所定の位置に到達する時間ステップ以降において行われるタイヤ特性予測方法。
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