JP4800581B2 - タイヤの設計方法 - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤの設計方法に関し、特に、実験計画法に基づく最適化手法を用いたタイヤの設計方法に関するものである。
従来、例えばアイスハンドリング性能とドライハンドリング性能といった2つのタイヤ性能を両立させた空気入りタイヤを設計する場合、次のような方策が採られていた。すなわち、まず、アイスハンドリング性能を満足するタイヤ構造を考案し、またこれと並行してドライハンドリング性能を満足するタイヤ構造も考案し、これらから経験に基づいて複数の設計案となる候補を選抜してタイヤを作製する。そして、作製した各タイヤについて、アイスハンドリング性能とドライハンドリング性能の両方を実際に評価、又はこれらの性能を代用できる台上試験法により評価して、両性能を共に満足できる設計案を選択してきた。
しかしながら、このような試行錯誤による設計案の選択は、開発コストがかかり、また両性能を充分に満足できるレベルまでには至らないのが通例である。これは、各々の性能に対し、互いに背反性能となる設計因子を選択したか否かが明確でないためである。
そこで、このような従来の試行錯誤の設計を改良するべく、有限要素解析を用いた最適化手法によりタイヤを設計する方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、内部構造を含むタイヤ断面形状を表すとともに複数の要素に分割されたタイヤ基本モデル、タイヤ性能評価用物理量を表す目的関数、ゴム部材及び補強材の物性を決定する設計変数、並びに、ゴム部材及び補強材の物性、性能評価用物理量及びタイヤ寸法の少なくとも1つを制約する制約条件を定めるステップと、制約条件を考慮しながら目的関数の最適値を与える設計変数の値を求めるステップと、目的関数の最適値を与える設計変数に基づいてタイヤを設計するステップと、を含むタイヤの設計方法が開示されている。
また、特許文献2には、内部構造を含むタイヤ断面形状又はタイヤ構造を表すタイヤの設計パラメータと該タイヤの性能との非線形な対応を関係付ける変換系を定めるステップと、前記タイヤの性能を表す目的関数を定めると共に、前記タイヤの性能及び前記タイヤの製造条件の少なくとも一方の許容範囲を制約する制約条件を定めるステップと、前記変換系を用いて、前記目的関数及び前記制約条件に基づいて目的関数の最適値を与えるタイヤの設計パラメータを求めて該タイヤの設計パラメータに基づいてタイヤを設計するステップと、を含むタイヤの設計方法が開示されている。
特開平7−164815号公報 国際公開第99/07543号パンフレット
上記従来の最適化手法を用いたタイヤの設計方法は、2つのタイヤ性能についてそれぞれのタイヤ性能のみに寄与する設計変数を選択して最適化するというものではなく、そのため、互いに背反性能となる2つのタイヤ性能を同時に向上させる上で必ずしも効率的な方法ではなかった。
例えば、上記特許文献2には、縦荷重負荷時の接地圧均一化と横力負荷時の接地圧均一化の両立を図る例が挙げられているが、これら2つの目的関数を重み係数により一つの目的関数と定義して、両立できる解を求めている。そのため、寄与率をみて系統立てて解を求める本発明の手法とは、同様に両立解を求めることを目的としたものではあっても、そのためのアプローチが全く相違している。また、特許文献2の手法では、両立解は得られたとしても、どの設計変数が寄与しているかが分からないため、最適化計算後、実際にタイヤを試作する段階において設計変数の微調整が難しい。
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、アイスハンドリング性能とドライハンドリング性能といった2つのタイヤ性能の両立を図ることができる効率的なタイヤの設計方法を提供することを目的とする。
本発明に係るタイヤの設計方法は、(a)基準となるタイヤの有限要素モデルを作成するステップと、(b)第1のタイヤ性能を表す第1目的関数と第2のタイヤ性能を表す第2目的関数と第3のタイヤ性能を表す第3目的関数を定めるとともに、タイヤ構成に変更を与える複数の設計変数を定めるステップであって、前記第1のタイヤ性能と前記第2のタイヤ性能が異なる路面状態に対する共通の物理量により表される2つのタイヤ性能であるステップと、(c)前記の基準となる有限要素モデルから実験計画法に基づいて前記複数の設計変数の値を変えた複数個の有限要素モデルを作成し、これら各有限要素モデルについて前記第1目的関数、第2目的関数及び第3目的関数を演算するステップと、(d)ステップ(c)の演算結果を用いて分散分析を実施するステップと、(e)前記分散分析の結果から、前記第1目的関数、第2目的関数及び第3目的関数に対する前記各設計変数の寄与率を求め、前記第1目的関数への寄与率が大きくかつ前記第2目的関数及び第3目的関数への寄与率がともに小さい設計変数と、前記第2目的関数への寄与率が大きくかつ前記第1目的関数及び第3目的関数への寄与率がともに小さい設計変数とを選択するステップと、(f)ステップ(e)で選択した設計変数を設計因子としてタイヤを設計するステップと、を含むものである。
かかる本発明では、前記ステップ(c)において、実験計画法に基づく直交表の各列に前記各設計変数を割り付け、前記の基準となる有限要素モデルから前記直交表の各行に応じた複数の有限要素モデルを作成し、これらの各有限要素モデルについて前記第1目的関数及び第2目的関数を演算するようにしてもよい。このように直交法を用いることにより、より少ない計算工数で正確な寄与率の算出が可能となる。
また、前記ステップ(d)の分散分析の結果から、前記第1目的関数及び第2目的関数のそれぞれについて前記複数の設計変数を用いて表される直交多項式からなる推定式を求め、該推定式から各設計変数に対する感度を求め、前記ステップ(e)において、前記の選択した設計変数の変更方向を上記感度から決定するようにしてもよい。このように感度を求めることで、選択した設計変数を設計因子としてタイヤを設計する際に効率的な設計案の導出が可能となる。
本発明は、実験計画法に基づく最適化手法をタイヤ設計に用いたものであり、その際、特に、第1のタイヤ性能と第2のタイヤ性能の2つのタイヤ性能の両立を図るために、複数の設計変数の中から、第1のタイヤ性能に対して優先的に寄与する設計変数と、第2のタイヤ性能に対して優先的に寄与する設計変数をそれぞれ選択し、このようにして選択した設計変数に基づいてタイヤを設計するようにしている。そのため、効率的に上記2つのタイヤ性能の両立を図ることができる。
そして、更に、第3のタイヤ性能を表す第3目的関数を定めてこれに対する寄与率も上記の如く勘案することにより、第3のタイヤ性能を損なうことなく、第1及び第2のタイヤ性能をともに向上させる効率的なタイヤ設計を可能にすることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は実施形態にかかるタイヤの設計方法の流れを示すフローチャートである。本実施形態では、例として、コントロールタイヤ(即ち、基準タイヤ。一般には本設計方法により改良を加える対象の従来タイヤが基準タイヤとなる。)に対して、乗り心地性能を損なうことなく、アイスハンドリング性能(凍結路面でのハンドリング性能)とドライハンドリング性能(乾燥路面でのハンドリング性能)をともに向上させるタイヤ設計方法について説明する。
本実施形態の方法は、概略すれば、コンピュータを用いた最適化計算によって、上記した目的を達成することができるいくつかの設計候補案を机上で導き出し、次いで、その設計候補案に基づいて実際のタイヤの試作および評価を行うことによって、最終設計案を確定するというものである。なお、本発明はこれに限らず、最終設計案の絞り込みまでコンピュータを用いた最適化計算により行うこともできる。
最適化計算では、まず、ステップ10において、対象とするタイヤに対して、基準となる有限要素(FEM)モデルを作成する。より詳細には、図2に示すように、自然平衡状態のタイヤ断面形状を基準形状とし、この基準形状を有限要素法によりモデル化して、内部構造を含むタイヤ断面形状を表すと共にメッシュ分割によって複数の要素に分割されたタイヤFEMモデルを作成する。
次のステップ12で、タイヤ性能を表す目的関数、タイヤ構成に変更を与える複数の設計変数、及び、各設計変数の制約範囲を定める。
詳細には、タイヤ性能を表す目的関数としては、タイヤ性能の優劣を支配する物理量を種々使用することができ、一例として、本実施形態では、第1のタイヤ性能であるアイスハンドリング性能を表す低μ(摩擦抵抗)でのタイヤ前後剛性を第1目的関数とし、第2のタイヤ性能であるドライハンドリング性能を表す高μ(摩擦抵抗)でのタイヤ前後剛性を第2目的関数とし、第3のタイヤ性能である乗り心地性能を表すタイヤ縦剛性を第3目的関数とする。そして、上記したように乗り心地性能を損なうことなく、アイスハンドリング性能とドライハンドリング性能をともに向上させることを目標とするので、全体での目的関数としては、低μでの前後剛性を上げ、かつ、高μでの前後剛性を上げ、かつ、縦剛性を保持するという最適化問題に置換される。
次に、上記目標を達成するための設計要素を設定する。その設計要素が最適化計算における設計変数となる。一例して本実施形態の場合、設計要素は「トレッドゴムモジュラス」、「サイドウォールゴムモジュラス」及び「カーカスプライ諸元(エンド数、角度)」であり、これらを設計変数としている。具体的には、図3及び下記表1に示すように、トレッドをセンター部とショルダー部に分割した各部のゴムモジュラスと、サイドウォールを内外に2層及び上下に分割した各部のゴムモジュラスと、2プライのカーカスについて各プライのエンド数及び角度(タイヤ赤道面に対する角度)との、計10個の設計変数を定義する。
更に、工程性を考慮するために、また設計の制約を考慮して、各設計変数の制約範囲(上限値と下限値)を定める。一例として本実施形態の場合、表1に示すように各設計変数の制約範囲を定める。なお、ゴムモジュラスについての各値は、コントロールタイヤの各値を100とした比率(%表示)である。
Figure 0004800581
次のステップ14では、実験計画法に基づいて、上記した基準となるFEMモデルから設計変数の値を変えた複数個のFEMモデルを作成する。詳細には、まず、実験計画法に基づく直交表の各列に各設計変数を割り付ける。直交表としては、本実施形態の場合、設計変数が10個であるため、下記表2に示すL27の3水準直交表を用いる。そして、この直交表の第1列〜第10列に対して上記した10個の設計変数を割り付ける。上記直交表の各行がそれぞれ1つのFEMモデルを作成するための1つのデータとなるので、用いた直交表の行数個、ここでは27個のFEMモデルを作成する。すなわち、27個の有限要素データをプログラムを介して生成させる。なお、直交表の3つの水準(1,2,3)は、上記制約範囲の下限、中間値、上限とされ、例としてゴムモジュラスであれば水準1を70%、水準2を100%、水準3を130%とすればよい。
Figure 0004800581
次いで、ステップ16において、上記作成した各FEMモデルについて、有限要素法により構造解析を行い、構造解析後に、得られた結果を基に、それぞれ上記第1、第2及び第3目的関数を演算する。本実施形態の場合、第1目的関数と第2目的関数が異なる路面状態に対する共通の物理量(前後剛性)にかかるものであるため、各々の計算条件(路面条件)でこれらの直交表に基づく計算を繰り返して行う。より詳細には、例えば、第1目的関数に係るアイスハンドリング性能については路面とタイヤ接地面との間の摩擦係数を0.05〜0.3(例えば、0.1)とし、第2目的関数に係るドライハンドリング性能については路面とタイヤ接地面との間の摩擦係数を0.6〜1.2(例えば、0.6)として、構造解析を各々の条件で実行する。
次のステップ18で、上記演算結果を用いて分散分析を実施する。該分散分析は、設計変数が挙動を表す目的関数に与える影響の大小を判断するために行われ、具体的な手法については「実験計画法による非線形問題の最適化」(柏村孝蔵、白鳥正樹著、朝倉書店発行)の第8〜39頁に記載の方法に従って行うことができる(実験計画法の詳細については第116〜139頁参照)。
すなわち、上記で得られた特性値(目的関数)のデータを使用して各設計変数・次数成分の変動を求める。この変動を自由度で割り分散を求める。ここで、直交表を用いた場合の自由度はすべて1である。次いで、全変動と各設計変数・次数成分の変動の合計との差を求める。これが誤差項の変動である。これを誤差の自由度で割ると誤差分散が求まる。ここで、誤差の自由度は、全自由度から設計変数・次数成分の自由度の合計を引いたものである。また、全自由度は直交表の行数引く1である。次いで、設計変数・次数成分の分散を誤差分散で割りF値を求める。解析の評価はF検定で行う。F検定ではF分布の危険率例えば5%点の値に対し各設計変数・次数成分のF値を比較し有意差を検定する。この段階で有意差がないと判断された設計変数・次数成分の中で特に小さいF値の設計変数・次数成分については、その変動、自由度を誤差項の変動、自由度に加え再度誤差分散を求める。この新たな誤差分散で各設計変数・次数成分のF値を求め再度有意差の判断を行う。この作業をF分布の危険率5%点の値に比べて小さいF値の設計変数・次数成分がなくなるまで繰り返すことにより最終的な分散分析結果を得る。
次のステップ20では、上記分散分析の結果から、目的関数に対する各設計変数の寄与率、各目的関数についての推定式、及び、感度を求める。
詳細には、各設計変数・次数成分の変動から誤差分散と自由度の積を引いて求められる純変動と全変動の比である寄与率を求める。寄与率は、第1、第2及び第3目的関数のそれぞれについて各設計変数の寄与率を求める。一例として、図4は、本実施形態における低μでの前後剛性(第1目的関数)および縦剛性(第3目的関数)に対する各設計変数の寄与率の算出結果を示すグラフであり、図5は、高μでの前後剛性(第2目的関数)および縦剛性(第3目的関数)に対する各設計変数の寄与率の算出結果を示すグラフである。
また、第1目的関数と第2目的関数のそれぞれについて、上記複数の設計変数を用いて表される直交多項式からなり、その挙動や応答を表す推定式を求める。この直交多項式は、Chebyshevの直交関数により求められるものであり、3水準の直交表を用いた本実施形態の場合、各設計変数をA(n=1〜10)として、下記一般式で表される。
Figure 0004800581
そして、この推定式を設計変数で偏微分することにより、各設計変数に対する感度が求まる。
次のステップ22では、上記で求めた寄与率から目標性能を満足するために有意な設計変数を選択・抽出する。そのためには、第1目的関数への寄与率が大きくかつ第2目的関数及び第3目的関数への寄与率がともに小さい設計変数A1と、第2目的関数への寄与率が大きくかつ第1目的関数及び第3目的関数への寄与率がともに小さい設計変数A2とを選択すればよい。なお、このような要件を満足する設計変数A1、A2がそれぞれ複数ある場合には、複数の設計変数を選択することも可能である。
例として本実施形態の場合、図4に示すように、設計変数の1つであるトレッドショルダー部のゴムモジュラスは、低μでの前後剛性に対する寄与が高く、縦剛性に対する寄与が低い。また、このトレッドショルダー部のゴムモジュラスは、図5に示すように、高μでの前後剛性、縦剛性ともに寄与が低い。従って、この設計変数(トレッドショルダー部のゴムモジュラス)は、背反性能を損なうことなく、低μでの前後剛性(第1目的関数)を効果的に上げることのできる設計因子である。
一方、図5に示すように、設計変数の1つである第1プライの角度は、高μでの前後剛性に対する寄与が高く、縦剛性に対する寄与が低い。また、この第1プライの角度は、図4に示すように、低μでの前後剛性、縦剛性ともに寄与が低い。従って、この設計変数(第1プライの角度)は、背反性能を損なうことなく、高μでの前後剛性(第2目的関数)を効果的に上げることのできる設計因子である。
従って、本実施形態の場合であれば、第1目的関数に寄与する設計変数A1としてトレッドショルダー部のゴムモジュラスが、第2目的関数に寄与する設計変数A2として第1プライの角度が選択される。
次のステップ24で、上記で選択した設計変数A1、A2を変更する方向を決定する。すなわち、ステップ22で選択した設計変数A1,A2をコントロールタイヤに対してどの方向(大きくするか、小さくするか)に変更するかを、ステップ20で求めた感度の値により決定する。この変更する大きさは工程性などを加味し、いくつかの設計候補を決める。
以上の最適化計算により、上記目標を達成することができるタイヤ構造の設計候補案を効率的に、かつ十分な効果代をもって机上で導くことができる。すなわち、上記目標達成のため、どの設計変数をどの方向に、どれだけ変更すべきかが決まる。
そのため、次のステップ26で、上記した最適化計算の結果に基づいて、実タイヤに設計可能な設計手法を用いてタイヤ設計を行う。詳細には、ステップ24において工程性や設計の制約などから定めたいくつかの設計候補案について、タイヤの試作および評価を行い、最終設計案を確定する。これにより、上記目標を達成することができるタイヤを、効率的に、かつ十分な効果を持たせて設計することができる。
次に、上記した実施形態の設計方法を用いて空気入りタイヤを設計した一実施例について説明する。
この実施例では、タイヤサイズ:205/65R15、リムサイズ:15×6.5JJ、空気圧:200kPa、荷重:4110Nとした。目的関数は、上記したように、アイスハンドリング性能を表す低μでの前後剛性を第1目的関数とし、ドライハンドリング性能を表す高μでの前後剛性を第2目的関数とし、乗り心地性能を表す縦剛性を第3目的関数として、低μでの前後剛性を上げ、かつ、高μでの前後剛性を上げ、かつ、縦剛性を保持するという最適化問題に置換した。また、設計変数および制約条件は上記表1に示す通りであり、上記表2の直交表を用いた実験計画法に基づく最適化手法により各設計変数の寄与率を求めた。得られた寄与率は図4及び図5に示すとおりであり、この結果から、第1目的関数に寄与する設計変数A1としてトレッドショルダー部のゴムモジュラスを、第2目的関数に寄与する設計変数A2として第1プライの角度をそれぞれ選択した。その後、これらの設計変数を設計因子として上記ステップ22及び24に従い、上記目的関数を満足する実施例の改良タイヤを作製した。なお、ゴムモジュラスは、JIS K 6251の加硫ゴムの引張試験方法により求めたものである。
また、比較例として、従来の経験に基づく改良方法により2種の改良タイヤを試作した。比較例1は、アイスハンドリング性能を高めるように設計したタイヤであり、比較例2は、ドライハンドリング性能を高めるように設計したタイヤである。
下記表3に、コントロール、実施例、比較例1および比較例2の各タイヤについて各設計変数の値を示した。表中のゴムモジュラスについての各値は、コントロールタイヤ(従来タイヤ)の各値を100とした比率(%表示)である。なお、実施例のタイヤについて、第2目的関数に寄与する設計変数A2としては第1プライの角度を抽出し、この角度を変更することにしたため、第2プライが第1プライと等しい角度で交差するように表3の通り第2プライの角度も変更した。
Figure 0004800581
次いで、コントロール、実施例、比較例1及び比較例2の各タイヤについて、アイスハンドリング性能、ドライハンドリング性能および乗り心地性能を評価した。評価方法は以下の通りである。
・アイスハンドリング性能:評価車両として2000ccのセダンを用い、これに荷重としてドライバー1名とダミー荷重(55kg)を負荷し、路面の氷の温度−15°〜−5°の試験場所において、試験速度40km/hにて、連続したコーナーでの切り返しや、大きくコーナリングを行うときの大きい横加速度がかかった状態での車両の挙動、タイヤ特性を評価した。
・ドライハンドリング性能:評価車両として2000ccのセダンを用い、これに荷重としてドライバー1名とダミー荷重(55kg)を負荷し、乾燥状態のアスファルトの路面において、試験速度80km/hにて、連続したコーナーでの切り返しや、大きくコーナリングを行うときの大きい横加速度がかかった状態での車両の挙動、タイヤ特性を評価した。
・乗心地性能:評価車両として2000ccのセダンを用い、これに荷重としてドライバー1名とダミー荷重(55kg)を負荷し、アスファルトまたはコンクリートで舗装された路面において、試験速度50km/hにて、コンクリート路や橋梁の継ぎ目など、比較的大きな突起物または逆に凹部がある路面において、単発的でかつ比較的大きなショックとその後の振動の収まりとが、時系列な現象として現れ、その現象について評価した。
上記の評価はいずれも、「1」〜「10」の10段階で行い、数値が高いほど結果が良好であることを意味し、更に該数値に付記した「−」は各段階において劣ること、また「+」は優れることをそれぞれ意味する。各評価結果を表4に示す。
Figure 0004800581
表4に示すように、比較例1のタイヤでは、アイスハンドリング性能は向上していたものの乗り心地性能が劣っており、また、比較例2のタイヤでは、ドライハンドリング性能は向上していたものの、アイスハンドリング性能と乗り心地性能が劣っていた。これに対し、本発明を適用した実施例のタイヤであると、乗り心地性能を損なうことなくアイスハンドリング性能とドライハンドリング性能をともに向上することができた。
本発明は、例えば従来のタイヤに対して複数のタイヤ性能を同時に向上させるタイヤ設計を行う際に有利に利用することができる。
実施形態にかかるタイヤの設計方法の流れを示すフローチャートである。 タイヤ断面を複数の要素に分割したFEMモデルの図である。 図2において設計変数の設定を示したFEMモデルの図である。 低μでの剛性に対する各設計変数の寄与率を示したグラフである。 高μでの剛性に対する各設計変数の寄与率を示したグラフである。

Claims (3)

  1. (a)基準となるタイヤの有限要素モデルを作成するステップと、
    (b)第1のタイヤ性能を表す第1目的関数と第2のタイヤ性能を表す第2目的関数と第3のタイヤ性能を表す第3目的関数を定めるとともに、タイヤ構成に変更を与える複数の設計変数を定めるステップであって、前記第1のタイヤ性能と前記第2のタイヤ性能が異なる路面状態に対する共通の物理量により表される2つのタイヤ性能であるステップと、
    (c)前記の基準となる有限要素モデルから実験計画法に基づいて前記複数の設計変数の値を変えた複数個の有限要素モデルを作成し、これら各有限要素モデルについて前記第1目的関数、第2目的関数及び第3目的関数を演算するステップと、
    (d)ステップ(c)の演算結果を用いて分散分析を実施するステップと、
    (e)前記分散分析の結果から、前記第1目的関数、第2目的関数及び第3目的関数に対する前記各設計変数の寄与率を求め、前記第1目的関数への寄与率が大きくかつ前記第2目的関数及び第3目的関数への寄与率がともに小さい設計変数と、前記第2目的関数への寄与率が大きくかつ前記第1目的関数及び第3目的関数への寄与率がともに小さい設計変数とを選択するステップと、
    (f)ステップ(e)で選択した設計変数を設計因子としてタイヤを設計するステップと、を含むタイヤの設計方法。
  2. 前記ステップ(c)において、実験計画法に基づく直交表の各列に前記各設計変数を割り付け、前記の基準となる有限要素モデルから前記直交表の各行に応じた複数の有限要素モデルを作成し、これらの各有限要素モデルについて前記第1目的関数及び第2目的関数を演算することを特徴とする請求項1記載のタイヤの設計方法。
  3. 前記ステップ(d)の分散分析の結果から、前記第1目的関数及び第2目的関数のそれぞれについて前記複数の設計変数を用いて表される直交多項式からなる推定式を求め、該推定式から各設計変数に対する感度を求め、前記ステップ(e)において、前記の選択した設計変数の変更方向を上記感度から決定することを特徴とする請求項1又は2記載のタイヤの設計方法。
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