JP6263883B2 - データ処理方法および構造体の設計方法 - Google Patents
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Description
ここで、設計変数の数が1で、特性値の数が1である場合、図9に示すように、設計変数と特性値との関係は明確であり、設計変数が、どの程度特性値に影響を及ぼしているか判別することができる。
また、タイヤを含む構造体の最適化において、最適化計算結果から設定した設計パラメータと目的関数との関係を明確にし、寄与の大小を判定するには多数のデータを層別化しなければならない。しかも、その後、グラフ等に可視化するため、非常に手間がかかるという問題点もある。
本発明の他の目的は、特性値が複数あっても、各設計パラメータが特性値に及ぼす影響の程度を可視化することができるデータ処理方法および構造体の設計方法を提供することにある。
また、感度解析の結果に基づいて、再度、複数の設計変数および各設計変数の定義域、ならび複数の特性値を設定し、第2の工程から第4の工程を繰り返し行うことが好ましい。
例えば、設計変数としてタイヤの固有振動モードを設定し、複数のタイヤの基底形状を重ね合わせてタイヤ形状を定義し、最適なタイヤ形状の探索を行い、データ処理方法で得られた結果を基にタイヤを設計することができる。
図1は、本発明の実施形態のデータ処理方法に利用されるデータ処理装置を示す模式図である。
本実施形態のデータ処理方法には、図1に示すデータ処理装置10が用いられるが、データ処理方法をコンピュータ等のハードウェアおよびソフトウェアを用いて実行することができればデータ処理装置10に限定されるものではない。
処理部12は、制御部34により制御される。また、処理部12において条件設定部20、モデル生成部22、演算部24、パレート解探索部26および解析部28はメモリ32に接続されており、条件設定部20、モデル生成部22、演算部24、パレート解探索部26および解析部28のデータがメモリ32に記憶される。
また、構造体および構造体を構成する材料を規定するパラメータのうち特性値(目的関数)として定めた複数のパラメータが設定される。特性値には、コスト等の物理的および化学的な特性値以外の、構造体および構造体を構成する材料を評価する指標を用いてもよい。
構造体および構造体を構成する材料は、構造体単体ではなく、構造体を構成するパーツ、構造体のアッセンブリ形態等の構造体を含むシステム全体、またはその一部を対象としてもよい。
構造体がタイヤである場合、特性値はタイヤの特性値である。この場合、特性値としては、タイヤ性能として評価しようとする物理量であり、例えば、操縦安定性の指標となるスリップ角ゼロ近傍における横力であるCP(コーナリングパワー)、乗心地性の指標となるタイヤの1次固有振動数、転動抵抗の指標となる転がり抵抗、操縦安定性の指標となる横ばね定数、耐摩耗性の指標となるタイヤトレッド部材の摩耗エネルギ、燃費性能等が挙げられる。目的関数は、それらを求めるための関数である。目的関数は、性能として好ましい方向があり、値が大きくなる、小さくなる、または所定の値に近づく等がある。
制約条件は、目的関数の値を所定の範囲に制約したり、設計変数の値を所定の範囲に制約するための条件である。
また、構造体がタイヤである場合、タイヤの負荷荷重、タイヤの転動速度を初めとする走行条件、タイヤが走行する路面条件、例えば、凹凸形状、摩擦係数等、車両の走行シミュレーションに用いるための車両諸元の情報等が設定される。
条件設定部20では、非線形応答関係により生成するモデル、そのモデルの境界条件、FEM等の数値シミュレーションする場合には、そのシミュレーション条件、シミュレーションにおける制約条件を設定する。更には、パレート解を得るための最適化条件、例えば、パレート解探索のための条件等を設定する。
これ以外に、条件設定部20に設計変数の定義域を設定する。設計変数の定義域は、複数ある設計変数のうち、1つについて後述のように、離散的な水準値を設定し、残りの設計変数については定義域を定数とする。
なお、複数の設計変数があるため、全ての設計変数に対して、それぞれに離散的な水準値を設定し、残りの設計変数について定義域を定数として、後述するパレート解の算出を行う。
設計変数は、図2(a)に示す定義域xiに対して下限値α〜上限値βが存在する。すなわち、設計変数の定義域は、α≦xi≦βで連続である。
本発明では、図2(b)に示すように定義域(下限値α〜上限値β)に対して、例えば、下限値αと上限値βの間に基準値Mを1つ設定し、下限値α、上限値βと合わせて離散的な値を合計3つの水準値を設定する。設定する定義域xiについては、基準値Mをゼロとして、下限値αおよび上限値βを設定するようにしてもよい。また、定義域については、下限値αおよび上限値βの少なくとも一方を含まないように設定してもよい。
パレート解のうち、3つの離散値に該当するものを演算部24にて抽出して、各々の条件下にてパレート解を算出し、算出されたパレート解はメモリ32に記憶される。
なお、定義域内では、離散的な水準値を少なくとも2つ設定すればよく、上述のように3つの水準値を設定する必要はない。設定する水準値が2つの場合、例えば、定義域xiの上限値βと下限値αであってもよい。また、定義域を定数とする場合、定義域xiの下限値αとしてもよい。
演算部24では、例えば、路面上を転動するタイヤの転動を再現するシミュレーション条件を、モデル生成部22で生成したタイヤモデル、または路面モデル等に与えたときの、タイヤモデルの挙動、またはタイヤモデルに作用する力等の物理量を時系列に求める。演算部24は、例えば、公知の有限要素ソルバーによるサブルーチンを実行することで機能するものである。
また、演算部24では、モデル生成部22で理論式および近似式等を作成した場合には、理論式および近似式等を解き、特性値を算出する。
本発明では、複数の設計変数のうち、1つの設計変数に対して定義域を離散値で設定し、他の設計変数を定数としている。このため、得られるパレート解は、定義域を設定した設計変数の各水準値でのパレートフロントになる。
パレート解探索部26は、例えば、遺伝的アルゴリズム(GA)を用いてパレート解を探索する。
遺伝的アルゴリズムとしては、例えば、解集合を目的関数に沿って複数の領域に分割し、この分割した解集合毎に多目的GAを行うDRMOGA(Divided Range Multi-Objective GA)、NCGA(Neighborhood Cultivation GA),DCMOGA(Distributed Cooperation model of MOGA and SOGA)、NSGA(Non-dominated Sorting GA)、NSGA2(Non-dominated Sorting GA-II)、SPEAII(Strength Pareto Evolutionary Algorithm-II)法等の公知の方法を用いることができる。その際、解集合が解空間に幅広く分布し、精度の高いパレート解の集合を求める必要がある。このため、パレート解探索部26では、例えば、ベクトル評価遺伝的アルゴリズム(Vector Evaluated Generic Algorithms:VEGA)、パレートランキング法、またはトーナメント法を用いた選択が行われる。遺伝的アルゴリズム(GA)以外に、例えば、焼きなまし法(SA)または粒子群最適化(PSO)を用いてもよい。
ここで、感度解析には、感度として、特性値の変化量を設計変数の変化量で除した値を用いることが望ましい。すなわち、感度としては、各設計変数に対して定義域の範囲を同じ範囲にしたときの特性値の変化量とすることが好ましい。解析部28では、後述するように感度解析の結果に基づいて、最適化条件を再設定するか否かを判定する機能も有する。
また、解析部28は、寄与度解析をすることもできる。この寄与度解析は、例えば、各設計変数において、設計変数の定義域を最大と最小にした時の特性値の変化量を求め、各変化量を比較し、最も変化量が大きい設計変数を寄与度が大きい設計変数とする。これにより、寄与度の大きい設計変数を特定することができる。
複数の設計変数において、各設計変数の定義域が異なる場合、各定義域の範囲を正規化して、各設計変数の影響を解析してもよい。
また、解析部28では、得られたパレート解について改善幅を評価することもできる。改善幅の評価方法としては、感度解析のように定義域の範囲を同じ範囲にしたときの特性値の変化量の比較であっても、寄与度解析のように、各設計変数において、設計変数の定義域を最大と最小にした時の特性値の変化量の比較であってもよい。
また、表示制御部30は、例えば、得られたパレート解について、設計変数の値に応じて、設計変数の値を表すシンボルの色、種類および大きさのうち、少なくとも1つを変える。表示形態を変更したパレート解の情報はメモリ32に記憶される。得られたパレート解は、表示制御部30で表示形態が変えられて表示部16で表示される。さらには、表示制御部30では、設計変数の値毎に、そのパレート解を結んだ線を表示させる機能も有する。
図3は、本発明の実施形態のデータ処理方法の第1の例を工程順に示すフローチャートである。
まず、図3に示すように、対象となる構造体について設計変数、特性値(目的関数)、制約条件等の最適化条件を設定する(ステップS10)。本実施形態では、構造体を、例えば、サイズが195/65R15のタイヤとした。
設計変数として、例えば、タイヤ形状を変化させる4つの設計変数X1〜X4を設定する。
特性値として、燃費性能および操縦安定性能の2つを設定する。燃費性能と操縦安定性能とはトレードオフの関係にある。
本実施形態では、入力がタイヤの形状パラメータであり、出力が燃費性能および操縦安定性能である。データ処理により、タイヤの形状パラメータの値による燃費性能および操縦安定性能の変化を求める。タイヤの形状パラメータ、燃費性能および操縦安定性能が条件設定部20に設定される。
また、ステップS12において、予め実験計画に基づいたサンプリング結果から設計変数と特性値との応答曲面を作成し、最適化計算を行うことが好ましい。
例えば、タイヤの形状パラメータであれば、サイズの下限値αと上限値βの間に基準値Mを1つ、離散的に設定し、設計変数の定義域として設定する。また、タイヤのゴム組成であれば、弾性率の下限値αと上限値βの間に基準値Mを1つ、離散的に設定する。この設計変数の定義域の設定は、条件設定部20でなされ、例えば、メモリ32に記憶される。
次に、複数ある設計変数において、全ての設計変数に対して、上述の離散的な定義域を設定し、他の設計変数を定数として、最適化計算したかを判定する(ステップS20)。
この場合、複数ある設計変数のうち、1つずつに対して上述の離散的な定義域を設定し、他の設計変数に対して定数を設定する。これを全ての設計変数に対して、順番に定義域を設定し、最適化計算を実施し、パレート解を得る。このとき、各設計変数において、それぞれの設計変数の各水準値でのパレートフロントが得られる。このため、後に説明する図4(a)および(b)ならびに図5(a)および(b)は、いずれもパレートフロントが表示される。
ステップS20において、複数ある設計変数について、全ての設計変数に対して、上述の離散的な定義域を設定し、他の設計変数を定数として、最適化計算したと判定された場合、設計変数毎に、パレート解を表示する(ステップS22)。
図4(a)は設計変数X1に対して離散的な3つの水準値を設定し、残りの設計変数X2〜X4を定数とて設定して得られたパレート解を示す。図4(b)は設計変数X2に対して離散的な3つの水準値を設定し、残りの設計変数X1、X3およびX4を定数とて設定して得られたパレート解を示す。図5(a)は設計変数X3に対して離散的な3つの水準値を設定し、残りの設計変数X1、X2およびX4を定数とて設定して得られたパレート解を示す。図5(b)は設計変数X4に対して離散的な3つの水準値を設定し、残りの設計変数X1〜X3を定数とて設定して得られたパレート解を示す。
設計変数X1〜X4について、上述の寄与度(特性値の変化量δ1〜δ4)を求めた結果、図4(a)および(b)ならびに図5(a)および(b)に示すように、設計変数X1は寄与度が大きい。このように、例えば、トレードオフの関係にある燃費性能および操縦安定性能の2つの特性値に対して、より高次元で両立するパレート解の探索が可能であり、しかも、設計変数の影響の程度を容易に把握することができる。
なお、ステップS22でパレート解を表示する際、特性値の変化量δ1〜δ4を合わせて表示するようにしてもよい。
図6は、本発明の実施形態のデータ処理方法の第2の例を工程順に示すフローチャートであり、図7は、図6に示すデータ処理方法の最適化処理を示すフローチャートである。
すなわち、図6に示す第2の例のフローチャートにおいて、ステップS30〜ステップS40は、図3に示す第2の例のフローチャートのステップS10〜ステップS20と同様の工程であるため、その詳細な説明は省略する。このため、ステップS42から説明する。
ステップS42においては、上述の感度解析方法を用いて、感度解析がなされる。例えば、上述のように、定義域の各水準値での特性値の平均値を求め、所定の閾値を定めておき有意差の有無を判定すること、パレート解集合における両端の解およびその中央値またはそのいずれかの解を用いて上記感度を利用して算出する手法、ならびに分散分析を用いて誤差分散を閾値として有意要因を抽出する手法等を用いて感度解析を行う。
この場合、図4(a)および(b)ならびに図5(a)および(b)に示す例では、感度解析の結果、感度は、設計変数X1>設計変数X2>設計変数X3>設計変数X4である。設計変数X1が最も感度が高く、パレート解が大きく変化する。これにより、設計変数X1〜X4が特性値に与える影響の程度を把握することができる。
ステップS44の判定は、特に限定されるものではない。判定基準としては、感度に対して下限値の閾値を設定しておき、下限値の閾値未満のものを寄与の小さな設計変数とし、例えば、該当する設計変数を削除するか、または定義域を定数とする。感度の小さい設計変数を定数とする場合、例えば、部材の板厚のように材料コストを考慮して定義域の下限値としてもよい。これ以外に、例えば、設計変数の定義域をパレート解として望ましい方向、すなわち、2つの特性値を満足するパレート解が得られるように設計変数の定義域を拡張することが挙げられる。例えば、図4(a)および(b)ならびに図5(a)および(b)に示す例では、設計変数X4の感度が低いため、設計変数X4の定義域を定数とする。
再設定する場合、制約条件として、特性値(目的関数)が所望の値を満たすこと、製品の規格等の制約条件が加えてもよい。この制約条件を設計変数に加えて最適化計算を行う。また、新しい設計変数を設定し、さらに新たな設計変数に定義域を設定してもよい。
そして、最適化処理を行う(ステップS48)。ステップS48の最適化処理については、図7を参照して説明する。最適化処理では、ステップS46で再設定された最適化条件を用い、設計変数から特性値を求める際に用いる非線形応答を定める(ステップS60)。この非線形応答関係の設定は、ステップS12と同様であるため、その詳細な説明は省略する。この非線形応答の種類は、例えば、メモリ28に記憶される。
次に、非線形応答関係に基づいてモデル生成部22でモデル作成を実施し、演算部24にてステップS10で設定した非線形応答関係に基づいて特性値を算出する(ステップS64)。
次に、パレート解探索部26にて特性値の演算結果に対して、特性値を目的関数とする最適化を実施し、パレート解を得る(ステップS66)。このパレート解の算出は、上述のステップS18と同様の方法を用いることができるため、その詳細な説明は省略する。
ステップS44において、再設定する必要がないと判定された場合、最初に設定された最適化条件にて、上述のステップS48の最適化処理を実施し、パレート解を得て、そのパレート解を、例えば、特性値空間に散布図として表示部16に表示する(ステップS50)。
なお、ステップS50において、パレート解を表示する場合、設計変数の値に応じて、設計変数の値を表すシンボルの色、種類および大きさのうち、少なくとも1つを変えてもよい。
このようにして、目的特性に寄与の大きな設計変数を調整して、最適なパレート解を効率的に探索することができ、トレードオフの関係にある燃費性能および操縦安定性能のような目的特性であっても、より高次元で両立するパレート解の探索が可能である。
なお、感度解析を行った後(ステップS42)、その感度解析の結果とともに、パレート解を表示してもよい(ステップS50)。この場合、特性値が複数あっても、各設計変数における特性改善への寄与、さらには設計変数の望ましい変化方向を明確に把握することができる。
構造体の設計としては、例えば、タイヤの設計に利用することができる。以下、具体例として、最適なタイヤ断面形状の決定に利用することを説明する。
図8(a)は、参照タイヤモデルにおける参照タイヤ断面形状の一例を示す模式図であり、(b)、(c)は、それぞれタイヤの基底形状のタイヤモデルの例を示す模式図である。なお、図8(a)〜(c)では、タイヤは対称であるため、片側だけを図示する。
ここで、最適なタイヤ断面形状とは、設定されたタイヤ性能における評価値が、設計変数の設定された範囲において、最大値もしくは最小値となるか、または入力された値と一致もしくは許容範囲内で一致するタイヤ断面形状のことをいう。
したがって、調整済試行断面形状に基いて決定される最適なタイヤ断面形状から作成されるタイヤは常にタイヤ寸法の規格を満足する。データ処理装置10において決定される最適なタイヤ断面形状から作製されるタイヤは、従来のように、タイヤ寸法の規格に適合するように最適なタイヤ断面形状を修正することはないので、本実施形態の方法で決定された最適なタイヤ断面形状を有するタイヤは、目標通りのタイヤ性能を発揮することができる。
具体的には、モデル生成部22は、入力部14を介して入力された参照タイヤ断面形状の情報を取得する。また、モデル生成部22は、メモリ32または図示しないROM等から基準とする参照タイヤ断面形状の情報を読み出して取得する。さらに、モデル生成部22は、FEMモデルである参照タイヤモデルの節点および要素に関する情報と、参照タイヤモデルの材料定数に関する情報を作成し統合する。これにより、参照タイヤモデルが作成される。ここで、参照タイヤ断面形状の情報は、タイヤのベルト部材、カーカス部材、トレッド部材、サイド部材、スティフナー部材およびビード部材等のタイヤ構成部材の配置位置を定める位置座標と、各タイヤ構成部材に対応した密度、ヤング率、せん断剛性およびポアソン比等の材料定数の値を含む。
具体的には、モデル生成部22は、固有値解析を行うための参照タイヤモデルの剛性マトリクスおよび質量マトリクスを作成する。モデル生成部22は、剛性マトリクスおよび質量マトリクスを用いて参照タイヤモデルの固有値解析を行って、タイヤ断面形状における1次、2次、および3次等の複数の固有振動モードの、タイヤ断面内の変形形状を求める。モデル生成部22が固有値解析を行うとき、必ずしも剛性マトリクスの剛性を実際のタイヤの剛性に合わせる必要はなく、モデル生成部22は、ベルト部材等のゴム部材に比べて剛性が高い部分は、剛性を低下させて固有値解析を行ってもよい。
特性値としては、例えば、燃費性能および操縦安定性能を設定する。
そして、固有振動モードの変形形状と、燃費性能および操縦安定性能との間の非線形応答関係を条件設定部20に定める。
この場合においても、上述の第2の例と同様に感度解析を行ってもよい。さらには、感度解析に結果に基づいて、固有振動モードの変形形状および制約条件等を再設定し、その後、上述のように最適化計算を行い、パレート解を表示するようにしてもよい。
そして、例えば、特許4723057号公報に開示されている方法を用いて、タイヤの断面形状について最適値を得る。この場合、複数の基底形状を重み付け加算することにより、タイヤの断面形状を生成し、応答曲面法に従って処理を行い、最適なタイヤ断面形状が得られる。
ここで、応答曲面法とは、実験計画法に従って実験計画され、この実験計画された製品形状についてFEM等による構造解析が行なわれ、製品の設計空間を近似する解析手法である。すなわち、基底形状を実験計画法に従って線型的に組み合わせて複数のタイヤ形状が生成され、この生成されたタイヤ形状の製品性能の評価値がFEM等の構造解析を用いて求められ、この複数のタイヤ形状を構成する固有振動モードの水準値と、構造解析によって求められた評価値とから非線形関数によって表される複雑な製品の設計空間が、直交多項式等の曲面近似関数を用いて表される。
なお、曲面近似関数としては、チェビシェフの直交多項式、n次多項式、動径基底関数(RBF)およびクリギング法等の関数が用いられる。
本発明のデータ処理方法は、タイヤに限定されるものではなく、例えば、ゴム製品、家電製品、自動車、および飛行機等の構造設計にも適用することができる。この場合でも、設計変数と特性値(目的関数)との因果関係を体系的に理解でき、得られる設計情報を設計へ生かすことができる。更には上述のように、商品開発を進めることができ、開発コストを削減できるとともに開発のリードタイムを短縮することができる。
12 処理部
14 入力部
16 表示部
20 条件設定部
22 モデル生成部
24 演算部
26 パレート解探索部
28 解析部
30 表示制御部
32 メモリ
34 制御部
D 領域
Claims (5)
- 構造体および構造体を構成する材料を規定するパラメータのうち設計変数として定められた複数のパラメータと、構p造体および構造体を構成する材料を規定するパラメータのうち特性値として定められた複数のパラメータとの2種類のデータを対象とした、コンピュータを用いたデータの処理方法であって、
前記複数の設計変数および前記各設計変数の定義域、ならび前記複数の特性値を設定する第1の工程と、
前記コンピュータが前記設計変数と前記特性値との間の非線形応答関係を定める第2の工程と、
前記コンピュータが前記設計変数の定義域を定め、前記第2の工程で定めた非線形応答関係を用いて、特性値を目的関数とする最適化を実施しパレート解を算出する第3の工程と、
前記コンピュータが前記設計変数毎に、パレート解を特性値空間に表示する第4の工程を有し、
前記第3の工程では、前記設計変数のうち、1つについて前記定義域を少なくとも2つの離散値で設定し、残りの設計変数は定義域を定数とし、前記特性値を目的関数とする最適化を実施しパレート解を算出することを、全ての設計変数について、前記定義域を少なくとも2つの離散値で設定し、残りの設計変数は定義域を定数として、前記コンピュータが前記パレート解を算出することを特徴とするデータの処理方法。 - 前記第3の工程と前記第4の工程の間に、前記コンピュータが前記パレート解に対して感度解析を行う工程を有し、
前記第4の工程では、さらに前記感度解析の結果を出力する請求項1に記載のデータ処理方法。 - 前記コンピュータが前記感度解析の結果に基づいて、再度、前記複数の設計変数および前記各設計変数の定義域、ならび前記複数の特性値を設定し、前記第2の工程から前記第4の工程を繰り返し行う請求項2に記載のデータ処理方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のデータ処理方法で得られた結果を用いてコンピュータが構造体を設計することを特徴とする構造体の設計方法。
- 設計変数として設定された複数のタイヤの基底形状を重ね合わせてタイヤ形状が定義されており、前記コンピュータが最適なタイヤ形状の探索を行い、前記データ処理方法で得られた結果を基にタイヤを設計する請求項4に記載の構造体の設計方法。
Priority Applications (1)
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