JP6586820B2 - タイヤの金型形状設計方法、タイヤの金型形状設計装置、およびプログラム - Google Patents
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Description
また、前記目的関数に判定条件を設定する工程を有し、前記作成工程で作成された円弧を用いて表現されたタイヤモデルに対して、前記問題設定工程で設定された目的関数の算出を行い、前記演算工程に用いた前記タイヤモデルにおける、前記問題設定工程で設定された目的関数との誤差を算出し、前記誤差が所定の範囲内であれば前記出力工程にて前記金型形状データを出力し、前記誤差が所定の範囲外であれば固定する節点を変更することが好ましい。
前記問題設定工程で、前記タイヤモデルの形状を変化させる複数の基底形状の組合せにより表現され、それらの定義域を設計変数として少なくとも含むように設定し、前記タイヤモデルの物理量に関する目的関数を少なくとも2つ以上設定し、前記演算工程は、前記タイヤモデルについて多目的最適化計算を行うことが好ましい。
前記条件設定部にて前記目的関数に判定条件を設定し、前記金型データ作成部で作成された円弧を用いて表現されたタイヤモデルに対して、前記条件設定部で設定された目的関数の算出を前記演算部で行い、前記モデル作成部で作成され、円弧の作成に利用した前記タイヤモデルにおける、前記条件設定部で設定された目的関数との誤差を前記演算部で算出し、前記誤差が所定の範囲内であれば前記金型データ作成部から前記金型形状データを出力し、前記誤差が所定の範囲外であれば、前記金型データ作成部は固定する節点を変更することが好ましい。
前記条件設定部で、前記タイヤモデルの形状を変化させる複数の基底形状の組合せにより表現され、それらの定義域を設計変数として少なくとも含むように設定し、前記タイヤモデルの物理量に関する目的関数を少なくとも2つ以上設定し、前記演算部は、前記タイヤモデルについて多目的最適化計算を行うことが好ましい。
図1は本発明の実施形態のタイヤの金型形状設計方法に利用されるタイヤの金型形状設計装置を示す模式図である。
処理部12は、制御部32により制御される。また、処理部12において条件設定部20、モデル作成部22、演算部24、データ作成部26はメモリ28に接続されており、条件設定部20、モデル作成部22、演算部24、およびデータ作成部26のデータがメモリ28に記憶される。
以下に説明するタイヤの金型形状設計方法において、処理部12の各部で種々の処理がなされる。以下の説明では制御部32により処理部12の各部で種々の処理がなされることの説明を省略しているが、各部の一連の処理は制御部32により制御される。メモリ28には、後述する各種の判定条件も記憶されている。制御部32がメモリ28から判定条件を読み出して、演算部24で得られた結果と比較し、判定結果に基づいて各部の動作を決定し、決定した動作に基づいて各部を動作させる。
タイヤの金型形状設計方法では、予め自由度を持たせた形状変化から最適形状を取得し、その後外形線を滑らかにする処理をするため、より最適な解の取得が可能となる。このため、目的特性を満足する形状の特徴を損なわずに、実際の製造上の制約を加味したタイヤ断面形状をコンピュータを用いて効率よく算出することができる。これにより、目的特性を満足するタイヤ形状の特徴を損なうことがない金型形状データを得ることができる。
また、タイヤおよびタイヤを構成する材料を規定するパラメータのうち特性値(目的関数)として定めた複数のパラメータが設定される。特性値には、コスト等の物理的および化学的な特性値以外の、タイヤおよびタイヤを構成する材料を評価する指標を用いてもよい。
タイヤおよびタイヤを構成する材料は、タイヤ単体ではなく、タイヤを構成するパーツ、タイヤのアッセンブリ形態等のタイヤを含むシステム全体、またはその一部を対象としてもよい。
目的関数はタイヤの特性値である。この場合、特性値としては、タイヤ性能として評価しようとする物理量であり、例えば、操縦安定性の指標となるスリップ角ゼロ近傍における横力であるCP(コーナリングパワー)、乗心地性の指標となるタイヤの1次固有振動数、転動抵抗の指標となる転がり抵抗、操縦安定性の指標となる横ばね定数、耐摩耗性の指標となるタイヤトレッド部材の摩耗エネルギー、燃費性能等が挙げられる。これ以外に、タイヤの物理量の例として、形状および寸法値がある。形状としては、例えば、断面形状である。寸法値としては、例えば、タイヤの幅、タイヤの外径等である。タイヤの物理量の例として、形状または寸法値に加えて、たわみ量、接地圧分布、転がり抵抗およびコーナリング特性等がある。
制約条件は、目的関数の値を所定の範囲に制約したり、設計変数の値を所定の範囲に制約するための条件である。
また、タイヤの負荷荷重、タイヤの転動速度を初めとする走行条件、タイヤが走行する路面条件、例えば、凹凸形状、摩擦係数等、車両の走行シミュレーションに用いるための車両諸元の情報等が設定される。
条件設定部20では、非線形応答関係により生成するモデル、そのモデルの境界条件、FEM等の数値シミュレーションする場合には、そのシミュレーション条件、シミュレーションにおける制約条件を設定する。
これ以外に、条件設定部20に設計変数の定義域を設定する。設計変数の定義域は、離散的な水準値でも、定数であってもよい。なお、複数種の設計変数があるため、全ての設計変数に対して、それぞれに離散的な水準値を設定し、残りの設計変数については定義域を定数として、設計変数の組合せをコンピュータが変更しながら特性値を算出し、後述するパレート解の抽出を行ってもよい。
また、解析に用いるタイヤモデルの形態は、特に限定されるものではなく、溝のないスムースタイヤでも主溝のみのものでもパターン付きであってもよい。
例えば、タイヤを複数の節点で構成される有限個の要素に分割して、タイヤモデルを作成する。
タイヤモデルを構成する要素は、例えば、2次元平面では四辺形要素、3次元体では四面体ソリッド要素、五面体ソリッド要素、六面体ソリッド要素等のソリッド要素、三角形シェル要素、四角形シェル要素等のシェル要素、面要素等のコンピュータで解析可能な要素とする。このようにして分割された要素は、解析の過程においては、3次元モデルでは3次元座標を用いて、2次元モデルでは2次元座標を用いて逐一特定される。
演算部24は、非線形応答関係を用いて、複数種の設計変数の値と特性値で構成される特性値空間での出力値(サンプリング点)を計算する。また、演算部24は、設計変数と出力値(サンプリング点)とを用い、出力値である特性値を目的関数として、近似モデル(メタモデル)を作成する。
上述の近似モデル(メタモデル)は、入出力の関係を近似する数学的モデルのことであり、パラメータを調整することにより、様々な入出力関係を近似できるものである。上述の近似モデルには、例えば、多項式モデル、クリギング、ニューラルネットワークおよび動径基底関数等を用いることができる。
ここで、パレート解は、トレードオフの関係にある複数の特性値(目的関数)において、他の任意の解よりも優位にあるとはいえないが、より優れた解が他に存在しない解をいう。一般にパレート解は集合として複数個存在する。パレート解の探索には、例えば、パレートランキング法を用いる。
金型形状データとは、外形線を構成する直線の長さ、曲線の曲率、直線の位置座標、曲線の位置座標を示す寸法データのことである。具体的には、例えば、NC加工機を用いて金型を作製する際に必要な寸法データのことである。金型形状データとしては、寸法データ以外に、タイヤモデルの形状で示したものであってもよく、この場合、タイヤモデルは、例えば、数値解析可能な要素でモデル化されたものでもよい。
また、表示制御部30は、入力部14を介して入力される各種の情報、タイヤモデル、数値計算の結果、および最適解を表示部16に表示させることもできる。例えば、タイヤモデル、タイヤモデルの形状最適化計算の結果をメモリ28から読み出し、表示部16に表示させる。
設計装置10では、形状または構造を変化させる際の入力ファイルにおいて、境界条件および解析ステップ等の共通した部分と節点座標値、補強材の配置角度および初期張力などの個々の形状によって異なる部分を分割し、共通部分に取り込むようなファイル形式を用いて自動化すること、すなわち、個別の情報をインクルードファイル化することにより、多数のタイヤ形状について検討を行う場合であっても容易にタイヤ形状の検討が可能である。
図2は本発明の実施形態のタイヤの金型形状設計方法の第1の例を工程順に示すフローチャートである。
まず、図2に示すように、タイヤについて、設計変数、特性値(目的関数)、制約条件等の最適化条件を設定する(ステップS10)。例えば、タイヤとしては、サイズが195/65R15のタイヤが挙げられる。
設計変数として、例えば、タイヤの形状またはタイヤの断面形状を変化させる設計変数を設定する。設計変数の設定方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ラテンハイパーキューブ法(ラテン超方格法)を用いて設計変数の設計値が設定される。
特性値としては、例えば、タイヤの物理特性としてタイヤ剛性、転がり抵抗、空気抵抗やコーナリング性能、摩擦エネルギー等がある。例えば、第1の特性値と第2の特性値の2つのタイヤ物理特性を目的関数として設定する。なお、目的関数として設定する特性値は1でもよく、3つ以上でもよい。
本実施形態では、このような設定条件でタイヤの金型形状設計方法により、近似モデルが作成される。タイヤの断面形状のパラメータの値による第1の特性値と第2の特性値の変化を求める。
条件設定部20に設定された情報を用いて、モデル作成部22でメッシュモデル等のタイヤモデルを作成する。
次に、サンプリング計算で得られた出力値を用いて近似モデルを作成する。すなわち、設計変数と特性値の関係を近似モデルにて表す。
次に、演算部24で近似モデルを用いた形状最適化計算を実行する(ステップS12)。
形状最適化計算に関しては、入力変数と出力変数の非線形関係(応答曲面)を用いて探索する手法や最適化アルゴリズムに従い入力変数を逐次的に変化させながら出力値を算出して探索する手法のどちらを用いても良い。形状最適化計算は、目的関数が複数設定されていれば、多目的最適化計算ともいう。
ステップS14では、設定する抽出条件として、パレート解探索部にてパレート解を抽出し、パレート解を得てもよい。また、パレート解に限らず全ての個体(解)から目的関数以外の特性を制約条件として解を抽出してもよい。
抽出する外側の輪郭を構成する少なくとも2点は、タイヤの代表的な位置であることが好ましい。タイヤ断面形状を例にすると、キャップトレッドセンター位置、タイヤの最大幅位置、トレッド展開幅位置、モールド分割位置、ビードトウ部およびビードヒール部等である。
ステップS18では、具体的には、下記数式を満たす円弧とする。下記数式においてrは円弧58の曲率半径であり、riは円弧58の中心Oから各節点56a〜56dまでの距離のことである。
円弧58については、例えば、固定点52、54間で曲率半径が最大の円弧を設定し、下記数式を満たすように曲率を変えていき円弧58を探索する。この場合、固定点52、54間で曲率半径が最大の円弧としては、直線を設定してもよい。
上述のもの以外に、円弧58は曲率半径を逐次的に変更しながら探索してもよく、また、曲率半径を離散的に設定した上で最短距離が最小となる円弧を探索してもよい。なお、探索する際は両固定点および固定点間の中央点に最も近傍な節点の3点を通る円弧の曲率半径を基準として探索することが好ましい。
一方、金型形状を作成する際にも円弧または直線の組合せにて寸法を指示することから、外形線を調整することが望ましい。しかしながら、タイヤの形状の取り方によっては最適形状が有する特性バランスを損なうことがある。
トレッド部64の節点66を補間した例を図4(c)に示す。図4(c)に示すラグランジェ補間による外形線70、スプライン補間による外形線72は、節点66を必ず通過するため、外形線70、72上の微小なガタツキが解決できない。本発明では、円弧58は節点66を必ずしも通過しないため、最適化計算で得られたタイヤの形状に忠実な外形線を得ることができる。
ここで、図5(a)はタイヤモデルの最適形状の一例を示す模式図であり、(b)はトレッドセンター部を拡大して示す模式図である。
図5(a)に示すタイヤモデル61において符号80はトレッドセンター部の固定点(節点)を示し、符号82はトレッド端部の固定点(節点)を示す。符号86はトレッドセンター部の固定点80(節点)からトレッド端部の固定点(節点)82迄の外形線を示す。
第1の円弧86aの求め方は、上述の円弧58と同様であるため、その詳細な説明は省略する。なお、図5(b)の符号O1は第1の円弧86aの中心を示し、符号O2は第2の円弧86bの中心を示す。図5(b)の符号88は節点を示す。第1の円弧86aの中心O1と第2の円弧86bの中心O2は同一直線89上にある。このため、センター部側の第1の円弧86aを定め、任意の固定点84を選択すると、第2の円弧86bは一意的に決まる。
図6は、本発明の実施形態のタイヤの金型形状設計方法の第2の例を工程順に示すフローチャートである。図7(a)および(b)は円弧の固定点の変更方法を示す模式図であり、(c)は円弧の固定点間における節点の変更方法を示す模式図である。
タイヤの金型形状設計方法の第2の例においては、上述のタイヤの金型形状設計方法の第1の例と同様の工程について、その詳細な説明は省略する。また、図7(a)〜(c)において、図3(b)と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、以下、タイヤの金型形状設計方法の第2の例を単に第2の例という。
誤差が予め定められた判定条件を満たす場合(ステップS26)、ステップS18で得られた円弧58を少なくとも含むタイヤモデルの外形線を金型形状データとして出力する(ステップS30)点が異なり、それ以外の工程は、タイヤの金型形状設計方法の第1の例と同様の工程であるため、その詳細な説明は省略する。
ステップS24では、ステップS12で形状最適化計算をしており、目的設定工程で設定された目的関数は算出されている。このため、ステップS12とステップS22の目的関数の算出結果を比較し、誤差を求める。
ステップS26では、目的関数に応じて誤差が予め設定されており、この誤差とステップS24で得られた誤差を比較する。ステップS24で得られた誤差が設定された誤差よりも小さければ、円弧58を少なくとも含むタイヤモデルの外形線のデータが金型形状データとして出力される(ステップS30)。
ステップS28における固定する節点の変更方法は、固定点52側に変更することに、特に限定されるものではなく、固定点54側の節点に変更してもよい。
ステップS28による補正後のタイヤモデルにおける節点位置は、図7(c)に示すように、補正前の節点56a〜56dおよび円弧58の中心Oを通る直線Lと、形成した円弧58との交点59にオフセットさせて目的関数の算出を行うことが望ましい。これにより、元の節点位置からの移動量を最小にしつつ円弧上に節点を移動させることができ、元形状から極力変化させない補正が可能となる。このため、構成する要素の形状等のメッシュ品質の低下を抑制することができる。
図8(a)はタイヤモデルの一例を示す模式図であり、(b)はタイヤモデルの要部拡大図である。
図8(a)に示すタイヤモデル90で、例えば、図8(b)に示すように、固定点92と固定点94の間について、途中に固定点96を設けて、2つの円弧を作成する場合、各円弧の曲率半径について所定の閾値を設定する。円弧の曲率半径が閾値の曲率半径よりも大きい場合、円弧を設定する固定点間を直線とする。目的性能または位置によって算出された曲率半径が直線と等価である場合、寸法指示を明確かつ簡略化した金型形状データを出力することができる。
図8(b)では、固定点92と固定点94間は曲率半径が閾値よりも小さく円弧98aとする。固定点96と固定点94間は円弧とした場合、曲率半径が閾値よりも大きく、直線98bとする。なお、例えば、円弧の曲率半径が4000mm以上であれば直線とする。
図9は、本発明の実施形態のタイヤの金型形状設計方法の第3の例を工程順に示すフローチャートである。図10(a)は基準形状のタイヤモデルを示す模式図であり、(b)は第1の基底形状のタイヤモデルを示す模式図であり、(c)は第2の基底形状のタイヤモデルを示す模式図である。
タイヤの金型形状設計方法の第3の例においては、タイヤの金型形状設計方法の第1の例と同様の工程について、その詳細な説明は省略する。以下、タイヤの金型形状設計方法の第3の例を単に第3の例という。
第3の例において、上述のステップS40〜S48については、例えば、特開2013−189160号公報、特開2013−191146号公報に記載の方法を適宜利用することができる。また、上述のステップS40〜S48は、第1の例のステップS10に対応するものである。
次に、複数の基底形状を設定する(ステップS52)。基底形状は、例えば、図10(b)に示す第1の基底形状のタイヤモデル102、図10(c)に示す第2の基底形状のタイヤモデル104である。第1の基底形状のタイヤモデル102、第2の基底形状のタイヤモデル104のデータは、例えば、メモリ38に記憶される。なお、基底形状の数は、複数であればよく、2つに限定されるものではなく3以上でよいことはもちろんである。
基準形状のタイヤモデル100、第1の基底形状のタイヤモデル102および第2の基底形状のタイヤモデル104は、いずれも数値解析可能な要素でモデル化されたものである。
第1の基底形状と第2の基底形状を組み合わせる際、例えば、変化部分の重み付け加算をする。ステップS44では、このときの重みを設定する。
ここで変化部分とは、基底形状の節点の位置座標と、基準形状の対応する節点の位置座標との差分(変位)をいう。重み付け加算とは、各基底形状の変化部分について重み強度の値を用いて重み付け加算する、すなわち、変化量を変えることをいう。重み付け加算には、重み付け加算した基底形状の加算結果を、用いた重み強度の値の合計で除算して得られる重み付け平均も含まれる。なお、試行断面形状を作成する際、基底形状のそれぞれに対して重み強度の値が与えられる。重み強度の値は、条件設定部20で設定される。重み強度の値は、例えば、公知の実験計画手法、具体的には、ラテンハイパーキューブまたは直交表といった計画行列を用いて重み強度の値を設定する。
重み強度の値は、前記計画行列に従って設定されても、定められた範囲の中で逐次変更されてもよく、重み強度の値が変更される度にタイヤ断面形状が作成される。いずれも設定された範囲内全体を満遍なくカバーするように重み強度の値を変更してタイヤ断面形状を作成する。重み強度の値は、例えば、一定の大きさずつ大きく、または小さくなるように変更されるが、この他に重み強度の値はランダムに変更されてもよい。
なお、目的関数の設定については、第1の例のステップS10の目的関数の設定と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
次に、非線形関数を設定する(ステップS48)。非線形関数の設定については、第1の例のステップS10の非線形関数の設定と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
多目的最適化計算は、目的関数の種類および目的関数の設定数が異なる以外は、第1の例の形状最適化計算(ステップS12)と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
多目的最適化計算の結果から、所定の抽出条件で少なくとも1つの解を抽出する(ステップS52)。
次に、抽出した節点を固定点として設定し、固定点間にあるそれぞれの節点との最短距離が最小となる円弧を作成する(ステップS56)。
次に、円弧を少なくとも含んで構成されたタイヤモデルの外形線を金型形状データとして出力する(ステップS58)。このようにして、タイヤの金型形状設計に必要な金型形状データを得ることができる。
なお、ステップS52〜ステップS58は、第1の例のステップS12〜S20に対応するものであり、その詳細な説明は省略する。
また、第3の例によれば、外形線の制約を除外してタイヤ最適形状を探索することにより、より広い設計空間から目的特性を満足するタイヤ形状を取得しつつ、実際の製造上の制約を加味したタイヤ断面形状の金型寸法を用いて効率よく算出できる。
また、第3の例においても、第2の例のように円弧の得るための固定点を変更してもよい。また、円弧は複数であってもよい。さらには、円弧の曲率半径が閾値よりも大きい場合には、円弧ではなく直線にしてもよい。
本実施例では、以下に示す実施例1および比較例1、2を用いて本発明のタイヤの金型形状設計方法の効果について確認した。
比較例1は、図11に示すタイヤモデル110のままである。実施例1の処理前の状態である。
比較例2は、図11に示すタイヤモデル110に対して、オペレータが手動で修正を加えたものである。
実施例1、比較例1、および比較例2は、タイヤモデルの外形線が異なる以外は、同じ構成であり、FEM解析の際もタイヤモデルの外形線が異なる以外は同じ構成とした。
また、実施例1、比較例1、および比較例2に対し、縦剛性、横剛性、周剛性、転がり抵抗、摩耗寿命をFEM解析により求めた。その結果を下記表1に示す。なお、下記表1の縦剛性、横剛性、周剛性、転がり抵抗、摩耗寿命のそれぞれの数値は、比較例1を100とした指数で示したものである。縦剛性、横剛性、周剛性および摩耗寿命は数値が100を超えることが好ましい。転がり抵抗は数値が100未満であることが好ましい。
比較例2は、転がり抵抗が大きくなり、かつ摩耗寿命が短くなっていた。
また、図12(a)に示すように、実施例1は接地圧の圧力分布差が小さい。これに対して、図12(b)に示す比較例1、および図12(c)に示す比較例2には接地端部に接地圧の高い領域があった。このように、本発明では、目的特性を満足するタイヤ形状の特徴を損なうことがない金型形状データを得ることができる。
12 処理部
14 入力部
16 表示部
20 条件設定部
22 モデル作成部
24 演算部
26 金型データ作成部
28 メモリ
30 表示制御部
32 制御部
50、60、61、90、100、102、104、110 タイヤモデル
52、54、54a、80、82、92、94、96 固定点
56a〜56d、66 節点
62 トレッドショルダー部
64 トレッド部
68、86 外形線
Claims (11)
- コンピュータが、
タイヤについて、形状に関係する設計変数、目的関数および制約条件を設定する問題設定工程と、
タイヤについて、コンピュータで数値解析可能な要素でタイヤモデルを作成する作成工程と、
前記問題設定工程で設定された設計変数、目的関数および制約条件に基づき、前記タイヤモデルについて形状最適化計算を行う演算工程と、
前記演算工程の前記形状最適化計算の結果から、所定の抽出条件を用いて少なくとも1つの解を抽出し、前記抽出した解を構成する設計変数の組合せに対応する前記タイヤモデルの断面形状において、外側の輪郭を構成する少なくとも2点の節点の抽出をする抽出工程と、
前記抽出した前記少なくとも2点の前記節点を固定点として設定し、前記固定点間にあるそれぞれの節点との最短距離が最小となる円弧を作成する作成工程と、
前記円弧を少なくとも含む前記タイヤモデルの外形線を金型形状データとして出力する出力工程とを実行することを特徴とするタイヤの金型形状設計方法。 - 前記コンピュータが実行する前記作成工程において、複数の円弧を作成する場合、少なくとも1点の固定点が隣り合う円弧と接線を共有する請求項1に記載のタイヤの金型形状設計方法。
- 前記コンピュータが実行する前記目的関数に判定条件を設定する工程を有し、
前記コンピュータが、前記作成工程で作成された円弧を用いて表現されたタイヤモデルに対して、前記問題設定工程で設定された目的関数の算出を実行し、
前記コンピュータが、前記演算工程に用いた前記タイヤモデルにおける、前記問題設定工程で設定された目的関数との誤差を算出し、前記誤差が所定の範囲内であれば前記出力工程にて前記金型形状データを出力し、
前記誤差が所定の範囲外であれば、前記コンピュータが固定する節点を変更する請求項1または2に記載のタイヤの金型形状設計方法。 - 前記コンピュータが実行する前記作成工程において、複数の円弧を作成する場合、前記円弧の曲率半径に所定の閾値を設け、前記複数の円弧にて表現されるタイヤモデルの外形線において、前記円弧が閾値よりも大きな曲率半径の場合、前記円弧を設定する固定点間を直線とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤの金型形状設計方法。
- 前記コンピュータが実行する前記問題設定工程で、前記タイヤモデルの形状を変化させる複数の基底形状の組合せにより表現され、それらの定義域を設計変数として少なくとも含むように前記コンピュータが設定し、前記タイヤモデルの物理量に関する目的関数を少なくとも2つ以上前記コンピュータが設定し、
前記コンピュータが実行する前記演算工程は、前記コンピュータが、前記タイヤモデルについて多目的最適化計算を実行する請求項1〜4のいずれか1項に記載のタイヤの金型形状設計方法。 - タイヤについて、コンピュータで数値解析可能な要素でタイヤモデルを作成するモデル作成部と、
設計変数、目的関数および制約条件を設定する条件設定部と、
前記条件設定部で設定された形状に関する設計変数、目的関数および制約条件に基づき、前記タイヤモデルについて形状最適化計算を行う演算部と、
前記演算部の前記形状最適化計算の結果から、所定の抽出条件を用いて少なくとも1つの解を抽出し、前記抽出した解を構成する設計変数の組合せに対応する前記タイヤモデルの断面形状において、外側の輪郭を構成する少なくとも2点の節点を抽出し、
前記抽出した節点を固定点として設定し、前記固定点間にあるそれぞれの節点との最短距離が最小となる円弧を作成し、
前記円弧を少なくとも含む前記タイヤモデルの外形線を金型形状データとして出力する金型データ作成部とを有することを特徴とするタイヤの金型形状設計装置。 - 前記金型データ作成部において、複数の円弧を作成する場合、少なくとも1点の固定点が隣り合う円弧と接線を共有させる請求項6に記載のタイヤの金型形状設計装置。
- 前記条件設定部にて前記目的関数に判定条件を設定し、
前記金型データ作成部で作成された円弧を用いて表現されたタイヤモデルに対して、前記条件設定部で設定された目的関数の算出を前記演算部で行い、
前記モデル作成部で作成され、円弧の作成に利用した前記タイヤモデルにおける、前記条件設定部で設定された目的関数との誤差を前記演算部で算出し、前記誤差が所定の範囲内であれば前記金型データ作成部から前記金型形状データを出力し、
前記誤差が所定の範囲外であれば、前記金型データ作成部は固定する節点を変更する請求項6または7に記載のタイヤの金型形状設計装置。 - 前記金型データ作成部で複数の円弧を作成する場合、前記金型データ作成部で、前記複数の円弧にて表現されるタイヤモデルの外形線において、前記円弧の曲率半径に所定の閾値を設け、
前記円弧が閾値よりも大きな曲率半径の場合、前記金型データ作成部では前記円弧を設定する固定点間を直線とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のタイヤの金型形状設計装置。 - 前記条件設定部で、前記タイヤモデルの形状を変化させる複数の基底形状の組合せにより表現され、それらの定義域を設計変数として少なくとも含むように設定し、前記タイヤモデルの物理量に関する目的関数を少なくとも2つ以上設定し、
前記演算部は、前記タイヤモデルについて多目的最適化計算を行う請求項6〜9のいずれか1項に記載のタイヤの金型形状設計装置。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載のタイヤの金型形状設計方法の各工程を手順としてコンピュータに実行させるためのプログラム。
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