JP7205160B2 - タイヤの金型形状設計方法、タイヤの金型形状設計装置、およびプログラム - Google Patents

タイヤの金型形状設計方法、タイヤの金型形状設計装置、およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、コンピュータにて数値解析可能な要素でモデル化されたタイヤにおいて、形状最適化計算結果を用いたタイヤの金型形状設計方法、タイヤの金型形状設計装置、およびタイヤの金型形状設計方法を実行するプログラムに関し、特に、目的特性を満足するタイヤ形状の特徴を損なわずに、実際の製造上の制約を加味したタイヤの金型形状設計方法、タイヤの金型形状設計装置、およびタイヤの金型形状設計方法を実行するプログラムに関する。
現在、コンピュータが解析可能なタイヤモデル等を作成し、タイヤ等の性能をシミュレーションする方法が提案されている。性能シミュレーションでは、タイヤを有限個の要素に分割して得られたタイヤモデルを作成する。有限要素で構成されたタイヤモデルを用いて最適化計算を行うことにより、タイヤの最適形状を求めることがなされている。また、タイヤの最適形状の計算結果を用いてタイヤの金型の形状設計することもなされている。
例えば、特許文献1のタイヤ設計方法は、複数の目的関数と、制約条件と、タイヤ基本モデルにおける複数の制御点の位置の決定に用いられる設計パラメータとを設定する設定ステップと、目的関数の最適値を与える設計変数に基づいて最終的な設計パラメータを決定する設計パラメータ決定ステップとを備える。複数の制御点は、第1部材および第2部材モデルの形状を変更可能にし、設定ステップは、第1部材モデルが移動された場合には、操作制御点に基づいて、操作無制御点を移動させ、操作制御点を設計パラメータに含めて設定し、第2部材モデルが移動された場合には、操作制御点に基づいて、第1および第2部材モデルの部材間隔を設計パラメータに含めて設定する。各制御点に沿う曲線(例えば、Bスプライン曲線)は、タイヤ断面形状を規定することができる。
特開2014-148196号公報
特許文献1のタイヤの設計方法は、補強層の位置もコントロールするものである。特許文献1では移動後の各制御点により形成されるタイヤ断面形状を波状に形成させずに、なだらかな形状にさせることができるとされている。特許文献1のタイヤの設計方法で得られたタイヤの最適形状の計算結果を用いて金型を作製する場合、円弧、もしくは直線、もしくは円弧および直線の組合せにて寸法を指示することから、タイヤの外形線を調整することが望ましい。しかし、外形線の調整度合いによってはタイヤの最適形状が有する特性バランスを損なうことがある。特許文献1のタイヤの設計方法では、前記の問題を考慮せずに得られた計算結果を用いて金型の寸法を規定するため、金型形状について十分なものとはいえない。
本発明の目的は、前述の従来技術に基づく問題点を解消し、目的特性を満足する形状の特徴を損なわずに、タイヤ外側の輪郭線が影響する物理量を考慮したタイヤ断面形状を、金型形状データとして効率よく算出できるタイヤの金型形状設計方法、タイヤの金型形状設計装置、およびタイヤの金型形状設計方法を実行するプログラムを提供することにある。
上述の目的を達成するために、本発明の第1の態様は、タイヤについて、形状に関係する設計変数、目的関数、制約条件、最適解の判定条件および節点の抽出条件を設定する問題設定工程と、タイヤについて、コンピュータで数値解析可能な要素でタイヤモデルを作成する作成工程と、前記問題設定工程で設定された前記設計変数、前記目的関数、前記制約条件、前記最適解の判定条件および前記節点の前記抽出条件に基づき、前記タイヤモデルについて形状最適化計算を行う演算工程と、前記演算工程の前記形状最適化計算の結果から、所定の抽出条件を用いて少なくとも1つの解を抽出し、抽出した前記解を構成する設計変数の組合せに対応する前記タイヤモデルの断面形状において、外側の輪郭を構成する複数の節点を抽出する抽出工程と、抽出した前記複数の節点間を近似する楕円弧を、x、yを変数とし、a、b、p、q、x、yをパラメータとする数式で表される関数を用いて作成する作成工程と、前記楕円弧を少なくとも含む前記タイヤモデルの外形線を金型形状データとして出力する出力工程とを有することを特徴とするタイヤの金型形状設計方法を提供するものである。
Figure 0007205160000001
前記演算工程において、前記形状最適化計算は、所定の荷重における接地解析を含み、前記抽出工程では、前記タイヤモデルの少なくともトレッド中央部から接地端迄の範囲で前記複数の節点を抽出し、前記作成工程は、前記タイヤモデルの前記範囲の前記節点を利用して前記楕円弧を作成することが好ましい。
また、前記作成工程は、前記関数のパラメータa、b、p、q、x、yのうち、少なくとも1つを固定し、残りのパラメータを用いて、前記楕円弧を作成することが好ましい。
前記目的関数に判定条件を設定する工程を有し、前記作成工程で作成された前記楕円弧を用いて表現されたタイヤモデルに対して、前記問題設定工程で設定された目的関数の算出を行い、前記演算工程に用いた前記タイヤモデルにおける、前記問題設定工程で設定された目的関数との誤差を算出し、前記誤差が所定の範囲内であれば前記出力工程にて前記金型形状データを出力し、前記誤差が所定の範囲外であれば抽出する節点を変更することが好ましい。
前記問題設定工程で、前記タイヤモデルの形状を変化させる複数の基底形状の組合せにより表現され、それらの定義域を設計変数として少なくとも含むように設定し、前記タイヤモデルの物理量に関する目的関数を少なくとも2つ以上設定し、前記演算工程は、前記タイヤモデルについて最適化計算を行うことが好ましい。
本発明の第2の態様は、タイヤについて、コンピュータで数値解析可能な要素でタイヤモデルを作成するモデル作成部と、設計変数、目的関数、制約条件、最適解の判定条件および節点の抽出条件を設定する条件設定部と、前記条件設定部で設定された形状に関する前記設計変数、前記目的関数、前記制約条件、前記最適解の判定条件および前記節点の前記抽出条件に基づき、前記タイヤモデルについて形状最適化計算を行う演算部と、前記演算部の前記形状最適化計算の結果から、所定の抽出条件を用いて少なくとも1つの解を抽出し、抽出した前記解を構成する設計変数の組合せに対応する前記タイヤモデルの断面形状において、外側の輪郭を構成する複数の節点を抽出し、前記複数の節点間を近似する楕円弧を、x、yを変数とし、a、b、p、q、x、yをパラメータとする数式で表される関数を用いて作成し、前記楕円弧を少なくとも含む前記タイヤモデルの外形線を金型形状データとして出力するデータ作成部とを有することを特徴とするタイヤの金型形状設計装置を提供するものである。
Figure 0007205160000002
前記演算部において、前記形状最適化計算は、所定の荷重における接地解析を含み、前記データ作成部では、前記タイヤモデルの少なくともトレッド中央部から接地端迄の範囲で前記複数の節点を抽出し、前記タイヤモデルの前記範囲の前記節点を利用して前記楕円弧を作成することが好ましい。
前記データ作成部は、前記関数のパラメータa、b、p、q、x、yのうち、少なくとも1つを固定し、残りのパラメータを用いて、前記楕円弧を作成することが好ましい。
前記条件設定部にて前記目的関数に判定条件を設定し、前記データ作成部で作成された前記楕円弧を用いて表現されたタイヤモデルに対して、前記条件設定部で設定された目的関数の算出を前記演算部で行い、前記モデル作成部で作成され、前記楕円弧の作成に利用した前記タイヤモデルにおける、前記条件設定部で設定された目的関数との誤差を前記演算部で算出し、前記誤差が所定の範囲内であれば前記データ作成部から前記金型形状データを出力し、前記誤差が所定の範囲外であれば、前記データ作成部は抽出する節点を変更することが好ましい。
前記条件設定部で、前記タイヤモデルの形状を変化させる複数の基底形状の組合せにより表現され、それらの定義域を設計変数として少なくとも含むように設定し、前記タイヤモデルの物理量に関する目的関数を少なくとも2つ以上設定し、前記演算部は、前記タイヤモデルについて最適化計算を行うことが好ましい。
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様のタイヤの金型形状設計方法の各工程を手順としてコンピュータに実行させるためのプログラムを提供するものである。
本発明によれば、目的特性を満足する形状の特徴を損なわずに、タイヤ外側の輪郭線が影響する物理量を考慮したタイヤ断面形状を、金型形状データとして効率よく算出できる。
本発明の実施形態のタイヤの金型形状設計方法に利用されるタイヤの金型形状設計装置を示す模式図である。 本発明の実施形態のタイヤの金型形状設計方法の第1の例を工程順に示すフローチャートである。 (a)は本発明の実施形態のタイヤの金型形状設計方法に用いられるタイヤモデルの一例を示す模式図であり、(b)は楕円弧の作成方法の一例を示す模式図であり、(c)は楕円弧の作成方法の他の例を示す模式図である。 本発明の実施形態のタイヤの金型形状設計方法に用いられるタイヤモデルの接地領域を示す模式図である。 本発明の実施形態のタイヤの金型形状設計方法に基づく楕円弧の第1の例を示す模式図である。 本発明の実施形態のタイヤの金型形状設計方法に基づく楕円弧の第2の例を示す模式図である。 本発明の実施形態のタイヤの金型形状設計方法の第2の例を工程順に示すフローチャートである。 本発明の実施形態のタイヤの金型形状設計方法の第3の例を工程順に示すフローチャートである。 (a)は基準形状のタイヤモデルを示す模式図であり、(b)は第1の基底形状のタイヤモデルを示す模式図であり、(c)は第2の基底形状のタイヤモデルを示す模式図である。 (a)は実施例1の接地圧分布を示す模式図であり、(b)は比較例1の接地圧分布を示す模式図である。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明のタイヤの金型形状設計方法、タイヤの金型形状設計装置、およびタイヤの金型形状設計方法をコンピュータ等で実行するためのプログラムを詳細に説明する。
[タイヤの金型形状設計装置]
図1は本発明の実施形態のタイヤの金型形状設計方法に利用されるタイヤの金型形状設計装置を示す模式図である。
本実施形態のタイヤの金型形状設計方法の実行には、図1に示すタイヤの金型形状設計装置10が用いられる。以下、タイヤの金型形状設計装置10のことを、単に設計装置10という。
設計装置10は、コンピュータ等のハードウェアを用いて構成される。上述のように本発明のタイヤの金型形状設計方法には、図1に示す設計装置10が用いられるが、タイヤの金型形状設計方法をコンピュータ等のハードウェアおよびソフトウェアを用いて実行することができれば設計装置10に限定されるものではない。
設計装置10は、処理部12と、入力部14と、表示部16とを有する。処理部12は、条件設定部20、モデル作成部22、演算部24、データ作成部26、メモリ28、表示制御部30および制御部32を有する。この他に図示はしないがROM等を有する。
処理部12は、制御部32により制御される。また、処理部12において条件設定部20、モデル作成部22、演算部24、データ作成部26はメモリ28に接続されており、条件設定部20、モデル作成部22、演算部24、およびデータ作成部26のデータがメモリ28に記憶される。
以下に説明するタイヤの金型形状設計方法において、処理部12の各部で種々の処理がなされる。以下の説明では制御部32により処理部12の各部で種々の処理がなされることの説明を省略しているが、各部の一連の処理は制御部32により制御される。メモリ28には、後述する各種の判定条件も記憶されている。制御部32がメモリ28から判定条件を読み出して、演算部24で得られた結果と比較し、判定結果に基づいて各部の動作を決定し、決定した動作に基づいて各部を動作させる。
入力部14は、マウスおよびキーボード等の各種情報をオペレータの指示により入力するための各種の入力デバイスである。表示部16は、例えば、タイヤの金型形状設計方法で得られた結果等を表示するものであり、公知の各種のディスプレイが用いられる。また、表示部16には各種情報を出力媒体に表示するためのプリンタ等のデバイスも含まれる。
設計装置10は、ROM等に記憶されたプログラム(コンピュータソフトウェア)を、制御部32で実行することにより、条件設定部20、モデル作成部22、演算部24、およびデータ作成部26の各部を機能的に形成する。設計装置10は、上述のように、プログラムが実行されることで各部位が機能するコンピュータによって構成されてもよいし、各部位が専用回路で構成された専用装置であってもよい。
本実施形態のタイヤの金型形状設計方法は、目的特性を満足する形状の特徴を損なわずに、タイヤ外側の輪郭線が影響する物理量を考慮したタイヤ断面形状を、金型形状データとして効率よく算出することを目的とするものであり、コンピュータを用いた金型形状データ作成手法に関する。
タイヤの金型形状設計方法では、予め自由度を持たせた形状変化から最適形状を取得し、その後外形線を滑らかにする処理をするため、より最適な解の取得が可能となる。このため、目的特性を満足する形状の特徴を損なわずに、タイヤ外側の輪郭線が影響する物理量を考慮したタイヤ断面形状を、金型形状データとして効率よく算出できる。これにより、目的特性を満足するタイヤ形状の特徴を損なうことがない金型形状データを得ることができる。
設計装置10の条件設定部20は、タイヤモデルの形状最適化計算に必要な設計変数、目的関数、制約条件、最適解の判定条件および節点の抽出条件を設定する。また、その他、タイヤモデルの形状最適化計算に必要な各種の条件、情報が入力され、設定する。設計変数、目的関数、制約条件、最適解の判定条件および節点の抽出条件、各種の条件、ならびに情報は、入力部14を介して入力される。条件設定部20で設定する設計変数、目的関数、制約条件、最適解の判定条件および節点の抽出条件、各種の条件、ならびに情報はメモリ28に記憶される。
条件設定部20には、タイヤおよびタイヤを構成する材料を規定するパラメータのうち設計変数として定めた複数のパラメータが設定される。なお、設計変数のパラメータには、荷重および境界条件等のばらつき因子、ならびに製品の場合には、大きさおよび質量等の制約条件を設定してもよい。
また、タイヤおよびタイヤを構成する材料を規定するパラメータのうち特性値(目的関数)として定めた複数のパラメータが設定される。特性値には、コスト等の物理的および化学的な特性値以外の、タイヤおよびタイヤを構成する材料を評価する指標を用いてもよい。
タイヤおよびタイヤを構成する材料は、タイヤ単体ではなく、タイヤを構成するパーツ、タイヤのアッセンブリ形態等のタイヤを含むシステム全体、またはその一部を対象としてもよい。
条件設定部20に設定される複数種の特性値は、評価しようとする物理量、すなわち、目的関数である。目的関数は、性能として好ましい方向があり、値が大きくなる、小さくなる、または所定の値に近づく等がある。また、目的関数については、上述の好ましい方向以外に、好ましい方向とは反対の好ましくない方向もある。
目的関数はタイヤの特性値である。この場合、特性値としては、タイヤ性能として評価しようとする物理量であり、例えば、操縦安定性の指標となるスリップ角ゼロ近傍における横力であるCP(コーナリングパワー)、乗心地性の指標となるタイヤの1次固有振動数、燃費性能の指標となる転がり抵抗、操縦安定性の指標となる横ばね定数、耐摩耗性の指標となるタイヤトレッド部の摩耗エネルギー等が挙げられる。これ以外に、タイヤの物理量の例として、形状および寸法値がある。形状としては、例えば、断面形状である。寸法値としては、例えば、タイヤの幅、タイヤの外径等である。タイヤの物理量の例として、形状または寸法値に加えて、たわみ量、接地圧、転がり抵抗およびコーナリング特性等がある。
設計変数は、タイヤの形状、タイヤの内部構造および材料特性等を規定するものである。設計変数は、タイヤの材料挙動、タイヤの形状、タイヤの断面形状、タイヤの固有振動モードおよびタイヤの構造のうち、複数のパラメータである。設計変数としては、例えば、タイヤのトレッド部におけるクラウン形状を規定する曲率半径、タイヤ内部構造を規定するタイヤのベルト幅寸法等が挙げられる。金型形状データを得るため、設計変数は、タイヤの形状に関するものであることが好ましい。
制約条件は、目的関数の値が所定の範囲を満足するための条件、設計変数の値が所定の範囲を満足するための条件である。
また、タイヤの負荷荷重、タイヤの転動速度を初めとする走行条件、タイヤが走行する路面条件、例えば、凹凸形状、摩擦係数等、車両の走行シミュレーションに用いるための車両諸元の情報等が設定される。
また、条件設定部20に、複数種の設計変数と複数種の特性値との間の非線形応答関係を定めるための情報が設定される。この非線形応答関係には、例えば、FEM(有限要素法)等の数値シミュレーション、理論式等が含まれる。
条件設定部20では、非線形応答関係により生成するモデル、そのモデルの境界条件、FEM等の数値シミュレーションする場合には、そのシミュレーション条件、シミュレーションにおける制約条件を設定する。
更には、最適解の判定条件を設定する。最適解の判定条件は、例えば、パレート解を得るための最適化条件、パレート解探索のための条件等である。パレート解探索のための条件は、パレート解を探索するための手法、パレート解探索における各種条件である。
本実施形態では、例えば、パレート解を探索するための手法として、遺伝的アルゴリズム(GA)を用いることができる。一般に、特性値(目的関数)の増大と共に、遺伝的アルゴリズムの探索能力が低下することが知られている。それを解決する方法の一つが、個体数を増加させる方法である。
これ以外に、条件設定部20に設計変数の定義域を設定する。設計変数の定義域は、離散的な水準値でも、定数であってもよい。なお、複数種の設計変数があるため、全ての設計変数に対して、それぞれに離散的な水準値を設定し、残りの設計変数については定義域を定数として、設計変数の組合せをコンピュータが変更しながら特性値を算出し、後述するパレート解の抽出を行ってもよい。
また、条件設定部20には、節点の抽出条件が設定される。節点の抽出条件は、例えば、抽出する節点の数、節点を抽出する範囲等である。
形状最適化計算に関しては、入力変数と出力変数の非線形関係(応答曲面)を用いて逐次的に探索する手法および進化計算手法のような最適化アルゴリズムに従い入力変数を変化させながら出力値を算出して探索する手法のどちらを用いてもよい。
モデル作成部22は、コンピュータで数値解析可能な要素でモデル化されたタイヤモデルを作成するものである。モデル作成部22は、設定された非線形応答関係に基づいて、各種の計算モデルを作成するものである。非線形応答関係は、上述のようにFEM等の数値シミュレーションが含まれており、この場合、モデル作成部22で、設計変数を表わす設計パラメータ、特性値を表わす特性値パラメータに応じたメッシュモデルが生成される。また、理論式等の場合にも、設計パラメータ、特性値パラメータに応じた理論式等が作成される。演算部24でタイヤモデルを用いてシミュレーション演算がなされる。
なお、モデル作成部22で作成されるタイヤモデルは、条件設定部20で設定された各種類の設計パラメータを用いて作成されるが、タイヤモデルの作成には公知の作成方法を用いることができる。なお、タイヤモデルは、少なくとも、このタイヤモデルを転動させる対象である路面モデルも併せて生成する。また、タイヤが装着されるリム、ホイール、およびタイヤ回転軸を再現するものをタイヤモデルとしてもよい。また、必要に応じて、タイヤが装着される車両を再現するモデルをタイヤモデルに組み込んでもよい。この際、タイヤモデル、リムモデル(ホイールモデル)、およびタイヤ回転軸モデルを、予め設定された境界条件に基づいて一体化したモデルを作成することもできる。
また、解析に用いるタイヤモデルの形態は、特に限定されるものではなく、溝のないスムースタイヤでも主溝のみのものでもパターン付きであってもよい。
なお、モデル作成部22で作成されるタイヤモデルは、条件設定部20で設定された各種類の設計パラメータを用いて作成されるが、タイヤモデルの作成には公知の作成方法を用いることができる。
例えば、タイヤを複数の節点で構成される有限個の要素に分割して、タイヤモデルを作成する。
タイヤモデルを構成する要素は、例えば、2次元平面では四辺形要素、3次元体では四面体ソリッド要素、五面体ソリッド要素、六面体ソリッド要素等のソリッド要素、三角形シェル要素、四角形シェル要素等のシェル要素、面要素等のコンピュータで解析可能な要素とする。このようにして分割された要素は、解析の過程においては、3次元モデルでは3次元座標を用いて、2次元モデルでは2次元座標を用いて逐一特定される。
これら各モデルは数値計算可能な離散化モデルであればよく、例えば、公知の有限要素法(FEM)に用いるための有限要素モデル等であればよい。なお、タイヤモデルを用いて、例えば、タイヤウエット性能を初めとするタイヤ性能を最適化するタイヤ設計案を求める場合等、路面モデルとタイヤモデルの他に、路面上に存在する介在物を再現するモデルを生成しておけばよい。例えば、介在物モデルとして、路面上の水、雪、泥、砂、砂利および氷等を再現する各種モデルを、数値計算可能な離散化モデルで生成しておけばよい。なお、路面モデルも、表面が平坦な路面を再現するモデルに限らず、必要に応じて、表面に凹凸を有する路面形状を再現するモデルであってもよい。
演算部24は、条件設定部20で設定された形状に関する設計変数、目的関数、制約条件、最適解の判定条件および節点の抽出条件に基づき、モデル作成部22で作成されたタイヤモデルについて形状最適化計算を行うものである。これにより、設計変数に対する特性値(出力値)が得られる。得られた出力値(出力値)は、メモリ28に記憶される。演算部24は、例えば、公知の有限要素ソルバーによるサブルーチンを実行することで機能するものである。
演算部24は、非線形応答関係を用いて、複数種の設計変数の値と特性値で構成される特性値空間での出力値(サンプリング点)を計算する。また、演算部24は、設計変数と出力値(サンプリング点)とを用い、出力値である特性値を目的関数として、近似モデル(メタモデル)を作成する。
上述の近似モデル(メタモデル)は、入出力の関係を近似する数学的モデルのことであり、パラメータを調整することにより、様々な入出力関係を近似できるものである。上述の近似モデルには、例えば、多項式モデル、クリギング、ニューラルネットワークおよび動径基底関数等を用いることができる。
演算部24は、近似モデルを用いて形状最適化計算を実行するものでもある。形状最適化計算結果からデータ作成部26にて抽出した解(パレート解を含んでもよい)を用いて、規定した非線形関係を用いて実計算を実行させるものでもある。これ以外にも、演算部24は、近似モデルを用いることなく、有限要素法を用いて、設計変数の組合せから表現されるタイヤモデルに境界条件を与え、直接特性値を算出するものでもある。形状最適化計算手法としては、例えば、進化計算手法の一つである遺伝的アルゴリズム(GA)を用いる。遺伝的アルゴリズムとしては、例えば、解集合を目的関数に沿って複数の領域に分割し、この分割した解集合毎に多目的GAを行うDRMOGA(Divided Range Multi-Objective GA)、NCGA(Neighborhood Cultivation GA),DCMOGA(Distributed Cooperation model of MOGA and SOGA)、NSGA(Non-dominated Sorting GA)、NSGA2(Non-dominated Sorting GA-II)、SPEAII(Strength Pareto Evolutionary Algorithm-II)法等の公知の方法を用いることができる。
演算部24は、条件設定部20で設定されたパレート解探索の条件に応じて、演算部24で得られた近似モデルを用いた形状最適化計算結果から、パレート解を探索し、パレート解を抽出するものでもある。得られたパレート解は、メモリ28に記憶される。
ここで、パレート解は、トレードオフの関係にある複数の特性値(目的関数)において、他の任意の解よりも優位にあるとはいえないが、より優れた解が他に存在しない解をいう。一般にパレート解は集合として複数個存在する。パレート解の探索には、例えば、パレートランキング法を用いる。
演算部24では、例えば、ベクトル評価遺伝的アルゴリズム(Vector Evaluated Generic Algorithms:VEGA)、パレートランキング法、またはトーナメント法を用いた選択が行われる。遺伝的アルゴリズム(GA)以外も、同じ進化計算手法として、例えば、焼きなまし法(SA)または粒子群最適化(PSO)を用いてもよい。
本発明では、設計変数と特性値との間で定める非線形応答関係、すなわち、設計変数を用いて特性値を求める場合に利用されるものは、FEM等のシミュレーションに限定されるものではなく、上述のように理論式等を用いることもできる。
データ作成部26は、演算部24の形状最適化計算の結果から、所定の抽出条件を用いて少なくとも1つの解を抽出する。また、抽出した解を構成する設計変数の組合せに対応するタイヤモデルの断面形状において、タイヤモデルの外側の輪郭を構成する複数の節点を抽出する。抽出した複数の節点間を近似する楕円弧を、x、yを変数とし、a、b、p、q、x、yをパラメータとする下記数式で表される関数を用いて作成する。さらには、楕円弧を少なくとも含むタイヤモデルの外形線を金型形状データとして出力する。楕円弧の作成方法等の詳細については後に説明する。
下記数式のパラメータaはx軸方向の半径を示し、パラメータbはy軸方向の半径を示す。パラメータp、qは次数を示す。パラメータxは楕円弧の中心のx座標を示し、パラメータyは楕円弧の中心のy座標を示す。
Figure 0007205160000003
外形線とは、タイヤ赤道面と直交するタイヤ断面において、一方のビードトウからトレッド部を通過して反対側のビードトウ迄の外側の線のことである。
金型形状データとは、外形線を構成する直線の長さ、曲線の曲率、直線の位置座標、曲線の位置座標を示す寸法データのことである。具体的には、例えば、NC加工機を用いて金型を作製する際に必要な寸法データのことである。金型形状データとしては、寸法データ以外に、タイヤモデルの形状で示したものであってもよく、この場合、タイヤモデルは、例えば、数値解析可能な要素でモデル化されたものでもよい。
表示制御部30は、条件設定部20に設定される設計変数、特性値等の各種のパラメータ、演算部24で得られた出力値、タイヤモデルを表示部16に表示させるものである。例えば、特性値の値、タイヤモデルの形状最適化計算の結果をメモリ28から読み出し、表示部16に表示させる。
また、表示制御部30は、入力部14を介して入力される各種の情報、タイヤモデル、数値計算の結果、および最適解を表示部16に表示させることもできる。例えば、タイヤモデル、タイヤモデルの形状最適化計算の結果をメモリ28から読み出し、表示部16に表示させる。
制御部32は、上述のように、処理部12を制御するものであり、以下に示すタイヤの金型形状設計方法でなされる各種の工程を処理部12のモデル作成部22、演算部24、およびデータ作成部26に行わせるものである。
設計装置10では、形状または構造を変化させる際の入力ファイルにおいて、境界条件および解析ステップ等の共通した部分と節点座標値、補強材の配置角度および初期張力等の個々の形状によって異なる部分を分割し、共通部分に取り込むようなファイル形式を用いて自動化すること、すなわち、個別の情報をインクルードファイル化することにより、多数のタイヤ形状について検討を行う場合であっても容易にタイヤ形状の検討が可能である。
[タイヤの金型形状設計方法の第1の例]
次に、本実施形態のタイヤの金型形状設計方法の第1の例について説明する。
図2は本発明の実施形態のタイヤの金型形状設計方法の第1の例を工程順に示すフローチャートである。図3(a)は本発明の実施形態のタイヤの金型形状設計方法に用いられるタイヤモデルの一例を示す模式図であり、(b)は楕円弧の作成方法の一例を示す模式図であり、(c)は楕円弧の作成方法の他の例を示す模式図である。
まず、図2に示すように、タイヤについて、設計変数、特性値(目的関数)、制約条件等の最適化条件を設定する(ステップS10)。また、ステップS10(問題設定工程)では、最適解の判定条件および節点の抽出条件も設定する。例えば、タイヤとしては、サイズが195/65R15のタイヤが挙げられる。
設計変数として、例えば、タイヤの形状またはタイヤの断面形状を変化させる設計変数を設定する。設計変数の設定方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ラテンハイパーキューブ法(ラテン超方格法)を用いて設計変数の設計値が設定される。
特性値としては、例えば、タイヤの物理特性としてタイヤ剛性、接地圧、転がり抵抗、空気抵抗やコーナリング性能、摩擦エネルギー等がある。例えば、第1の特性値と第2の特性値の2つのタイヤ物理特性を目的関数として設定する。なお、目的関数として設定する特性値は1でもよく、3つ以上でもよい。
設計変数(入力パラメータ)がタイヤの断面形状のパラメータであり、特性値(出力パラメータ)がタイヤ物理特性である2つの特性値である。タイヤの断面形状のパラメータ、2つの特性値が条件設定部20に設定される。
本実施形態では、このような設定条件でタイヤの金型形状設計方法により、近似モデルが作成される。タイヤの断面形状のパラメータの値による第1の特性値と第2の特性値の変化を求める。
条件設定部20に設定された情報を用いて、モデル作成部22において、コンピュータで数値解析可能な要素でタイヤモデル、例えば、メッシュモデル等のタイヤモデルを作成する(作成工程)。
次に、設計変数から特性値を求める際に用いる非線形応答を条件設定部20に設定する。すなわち、設計変数と特性値との関係を定める。この非線形応答の種類は、例えば、メモリ28に記憶される。例えば、タイヤの断面形状のパラメータと、第1の特性値および第2の特性値との関係を設定する。タイヤの断面形状のパラメータを入力とし、第1の特性値および第2の特性値を出力とした場合、設定する関係は、例えば、第1の特性値がタイヤの断面形状のパラメータを変数とする多項式等の非線形関数を用いて表わされるものである。また、第2の特性値がタイヤの断面形状のパラメータを変数とする多項式等の非線形関数を用いて表現されるものである。
次に、ステップS10で設定された非線形応答関係を用いて、複数種の設計変数の値と特性値で構成される特性値空間での出力値を計算する。すなわち、設計変数を入力とした場合の出力である特性値を算出するサンプリング計算を実行する。
次に、サンプリング計算で得られた出力値を用いて近似モデルを作成する。すなわち、設計変数と特性値の関係を近似モデルにて表す。
次に、演算部24で近似モデルを用いた形状最適化計算を実行する(ステップS12)。
ステップS12(演算工程)の形状最適化計算に関しては、入力変数と出力変数の非線形関係(応答曲面)を用いて探索する手法や最適化アルゴリズムに従い入力変数を逐次的に変化させながら出力値を算出して探索する手法のどちらを用いても良い。形状最適化計算は、目的関数が複数設定されていれば、多目的最適化計算ともいう。
次に、形状最適化計算の結果から、所定の抽出条件を用いて少なくとも1つの解を抽出する(ステップS14)。ステップS14(抽出工程)では、形状最適化計算の結果から、解を構成する設計変数の組合せに対応する形状(抽出形状)が抽出され、タイヤモデル50(図3(a)参照)を得ることができる。
なお、ステップS14では、設定する抽出条件として、パレート解探索部にてパレート解を抽出し、パレート解を得てもよい。また、パレート解に限らず全ての個体(解)から目的関数以外の特性を制約条件として解を抽出してもよい。
次に、抽出した解を構成する設計変数の組合せに対応するタイヤモデル50(図3(a)参照)の断面形状において、外側の輪郭を構成する複数の節点を抽出する(ステップS16)。ステップS16(抽出工程)では、例えば、図3(b)に示すように、節点52a、節点52b、節点52c、節点52dおよび節点52eの5点を抽出する。
外側の輪郭において抽出した複数の節点、すなわち、抽出形状の外形線上において抽出した複数の節点は、タイヤの代表的な位置における節点が含まれることが好ましい。タイヤ断面形状を例にすると、キャップトレッドセンター位置(トレッド中央部)、タイヤの最大幅位置、トレッド展開幅位置、モールド分割位置、ビードトウ部およびビードヒール部等である。なお、抽出した複数の節点は前記代表的な位置における節点を不変とし、他の節点を近似曲線上に補正してもよく、全ての抽出した節点を近似曲線上に補正するようにしてもよい。
次に、抽出した複数の節点間を近似する楕円弧を、x、yを変数とし、a、b、p、q、x、yをパラメータとする上記数式で表される上述の関数を用いて作成する(ステップS18)。
ステップS18(作成工程)では、具体的には、図3(b)に示すように抽出した5つの節点52a、節点52b、節点52c、節点52dおよび節点52eの間を近似する楕円弧58を作成する。なお、図3(b)のO(x、y)は、楕円弧58の中心である。
楕円弧58は、抽出した5つの節点52a、節点52b、節点52c、節点52dおよび節点52eに対して近似したものであるが、楕円弧58と、抽出した5つの節点52a、節点52b、節点52c、節点52dおよび節点52eのそれぞれとは距離δ(残差)が小さい程、近似の精度が高い。楕円弧58は、近似精度が高いものが好ましい。
近似手法としては、特に限定されるものではない。例えば、節点と楕円弧間の距離に着目し、最小二乗法のように残差平方和を最小化する手法、および各節点における距離δ(残差)のうち、それらの最大値が最も小さくなる楕円弧を選択する手法等が挙げられる。
例えば、図3(c)に示すように、抽出した4つの節点56a、節点56b、節点56cおよび節点56dとの距離δ(残差)が最小な楕円弧58を作成する。具体的には、下記数式を満たす楕円弧とする。なお、距離δ(残差)は、特に限定されるものではないが、ユークリッド距離、マンハッタン距離、または距離の軸方向成分(距離の直交する2成分におけるいずれか一方の成分)を用いて規定することが好ましい。
下記数式において、rは楕円弧58の中心O(x、y)から各節点56a~56d迄の距離であり、rは楕円弧の中心O(x、y)と各節点迄の距離を延長した楕円弧の交点迄の距離である。
Figure 0007205160000004
楕円弧58については、例えば、2つの節点52、54を固定点として、2つの固定点の間で、上述の数式を満たす楕円弧58を探索してもよい。この場合、楕円弧58はパラメータa、b、p、q、x、yの値を逐次的に変更しながら探索してもよく、また、いずれか一方の固定点が楕円の長軸もしくは短軸上に位置するように、パラメータa、b、x、yの値のうち少なくとも一つを固定し、残りのパラメータおよびパラメータp、qの値を変化させながら探索してもよい。
図3(b)では、5つの節点52a~52eに対して固定点を設けていないが、これに限定されるものではなく、例えば、両端の節点を固定点として、楕円弧を作成してもよい。
また、作成した楕円弧において、対象となる節点を含むタイヤ断面形状上に周方向溝が存在し、複数の陸部に分割されている場合、製造時における熱収縮を考慮し、出力した金型形状を基に熱収縮計算を行い、得られた結果を用いてトレッド各陸部形状を膨出させたラインに修正する処理をステップS18の最後に与えてもよい。具体的には前記作成した楕円弧を正とし、前記楕円弧よりもトレッド外側に膨出し、かつ陸部の両端を通る曲線を関数としてパラメトリックに定義し、熱収縮計算後のラインとの差分を最小化させるパラメータの探索を最適化アルゴリズムに組み込み、コンピュータに実施させることにより修正後のラインを規定する。
次に、図2に示すように、楕円弧58を少なくとも含むタイヤモデルの外形線を金型形状データとして出力する(ステップS20(出力工程))。このようにして、タイヤの金型形状設計に必要な金型形状データを得ることができる。
また、演算部24による形状最適化計算(ステップS12)は、所定の荷重における接地解析を含んでもよい。
ここで、図4は本発明の実施形態のタイヤの金型形状設計方法に用いられるタイヤモデルの接地領域を示す模式図である。
データ作成部26では、図4に示すようにタイヤモデル50の少なくともトレッド中央部60から接地端62迄の範囲で複数の節点を抽出(ステップS16)し、タイヤモデル50の少なくともトレッド中央部60から接地端62迄の範囲の節点を利用して楕円弧を作成することもできる。
図4に示すようにタイヤモデル50のトレッド中央部60から接地端62迄の範囲が接地領域64である。
このように、節点を抽出する抽出範囲を接地領域64とし、予め計算により接地する領域を見出しておき、トレッド外側の輪郭線を1つの楕円弧にて作成することにより、複数の楕円弧を接続することが不要になり、円弧間の接続点に起因したタイヤ特性への悪影響を改善することができる。このため、接地領域64は1つの楕円弧で近似することが好ましい。
なお、図4に示すタイヤモデル50では、トレッド中央部60および接地端62の節点を固定し、固定点として、接地領域64の外形線(トレッド輪郭)を楕円弧によりスムージングしているが、トレッド中央部60に節点(固定点)がなくてもよい。例えば、トレッド中央部60を軸として対称となる位置に節点(固定点)がなくてもよい。また、接地端62が楕円弧内に含まれていれば、接地端62を節点(固定点)としなくてもよい。
所定の荷重における接地解析において、その荷重は、特に限定されるものではないが、例えば、最大負荷能力相当の荷重、それに安全率を考慮した荷重、または指定した車両における軸荷重相当値を与えることが挙げられる。
なお、トレッド中央部60は、タイヤ赤道面CLと直交するタイヤモデル50の断面形状において、タイヤ赤道面CLを通るタイヤ断面高さが最大となる位置である。
なお、タイヤ赤道面CLとは、タイヤモデル50の回転軸(図示せず)に直交するとともに、タイヤモデル50のタイヤ幅の中心を通る平面である。
データ作成部26は、上記関数のパラメータa、b、p、q、x、yのうち、少なくとも1つを固定し、残りのパラメータを用いて、楕円弧を作成することが好ましい。これにより、楕円弧を作成するためのパラメータの数を減らし、すなわち、自由度を下げ、楕円弧を作成するための計算の効率化を図ることができる。なお、パラメータを固定するとは、パラメータを定数とすることである。
図5は本発明の実施形態のタイヤの金型形状設計方法に基づく楕円弧の第1の例を示す模式図であり、図6は本発明の実施形態のタイヤの金型形状設計方法に基づく楕円弧の第2の例を示す模式図である。なお、図5および図6において、図4に示すタイヤモデル50と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図5に示す楕円弧70は、中心Oを固定しており、パラメータa、b、p、q、x、yのうち、パラメータb、x、yが定数であり、パラメータa、p、qの値を変えて作成されたものである。
図5の楕円弧70は、トレッド中央部60と接地端62との間の接地領域64を近似している。符号63はトレッド中央部60の節点を示し、符号65は接地端62の節点を示す。楕円弧70において、パラメータbは、中心Oからトレッド中央部60の節点63迄の距離の値である。パラメータp、qおよびパラメータaは、接地領域64を近似するように調整されたものである。楕円弧70は、上述の近似方法を用いて作成することができる。
なお、タイヤモデル50のタイヤ断面形状がタイヤ赤道面CLを軸に対称な場合、楕円弧の中心Oはタイヤ赤道面CL上にあることが好ましい。図5では、楕円弧70の中心Oはタイヤ赤道面CL上にある。
図5の楕円弧70は、パラメータa、p、qの値を変えたものであるが、これに限定されるものではない。例えば、パラメータa、b、p、q、x、yのうち、パラメータa、bを定数とし、パラメータp、qの値を変えてもよい。この場合、パラメータa、bを定数とすると、中心O(x、y)が固定され、例えば、図6に示す楕円弧72が作成される。図6では、楕円弧72の中心Oは、タイヤ赤道面CL上にある。
楕円弧72において、パラメータaは、中心Oからタイヤの最大幅位置66の節点67迄の距離の値である。パラメータbは、中心Oからトレッド中央部60の節点63迄の距離の値である。パラメータp、qは、接地領域64を近似するように調整されたものである。楕円弧72は、上述の近似方法を用いて作成することができる。
この場合、固定点間における全ての節点と楕円弧との残差二乗和を最小化させるのではなく、一部の領域の精度を高めるような重みを与えてもよい。例えば、パラメータaが表す位置を最大幅位置に固定し、トレッド中央部60と接地端62との間(接地領域64)における残差二乗和が最小となるp,qの値を算出する手法を用いてもよい。
なお、パラメータa、bを定数とする場合、パラメータa、bは、タイヤ赤道面CL、タイヤ幅方向における最大長さで表される最大幅、ビード底面からタイヤ最大幅位置迄のタイヤ径方向の距離(SDH)等にて規定される。
また、上述の関数において、パラメータp、qの次数の定義域は特に限定されるものではないが、探索効率を高めるために楕円弧の中心を抽出節点群より内部、すなわち、軸中心側に制約したい場合は、p>1,q>1となる制約条件を与えることが好ましい。なお、楕円弧の中心が節点群より外側の場合には、アステロイド状の曲線を用いてもよい。アステロイド状の曲線は、p<1,q<1となる制約条件を与えることで得られる。
[タイヤの金型形状設計方法の第2の例]
次に、本実施形態のタイヤの金型形状設計方法の第2の例について説明する。
図7は本発明の実施形態のタイヤの金型形状設計方法の第2の例を工程順に示すフローチャートである。
タイヤの金型形状設計方法の第2の例においては、上述のタイヤの金型形状設計方法の第1の例と同様の工程について、その詳細な説明は省略する。なお、以下、タイヤの金型形状設計方法の第2の例を単に第2の例という。
第2の例は、タイヤの金型形状設計方法の第1の例に比して、楕円弧により表される修正後のタイヤモデルについて目的特性を検証する点が異なり、それ以外の工程は、タイヤの金型形状設計方法の第1の例と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
第2の例では、ステップS18で作成した楕円弧を用いて表現されたタイヤモデル、すなわち、修正後のタイヤモデルに対して、問題設定工程で設定された目的関数を算出する工程(ステップS22)を有する。
さらに、形状最適化計算に用いたタイヤモデルにおける、問題設定工程で設定された目的関数と、修正後のタイヤモデルにおける、問題設定工程で設定された目的関数との差を求め、誤差を算出する工程(ステップS24)を有する。
誤差が予め定められた判定条件を満たさない場合(ステップS26)、すなわち、誤差が所定の範囲外であれば、再度複数の節点を抽出する(ステップS16)。再度抽出した節点を使って再度楕円弧を作成し(ステップS18)、目的関数の算出(ステップS22)、誤差の算出(ステップS24)、誤差が予め定められた判定条件を満たすかの判定(ステップS26)を繰り返し行う。
誤差が予め定められた判定条件を満たす場合(ステップS26)、ステップS18で得られた楕円弧を少なくとも含むタイヤモデルの外形線を金型形状データとして出力する(ステップS30)点が異なり、それ以外の工程は、タイヤの金型形状設計方法の第1の例と同様の工程であるため、その詳細な説明は省略する。なお、第1の例における熱収縮を考慮して膨出した形状に修正させるステップを組込む場合、ステップS26の判定条件を満たした後に実行するよう設定することが好ましい。
ステップS22では、楕円弧を少なくとも含むタイヤモデルを用いて、例えば、FEM解析により、問題設定工程で設定された目的関数を算出する。なお、目的関数が複数設定されている場合には、少なくとも1の目的関数を算出すればよい。
ステップS24では、ステップS12で形状最適化計算をしており、問題設定工程で設定された目的関数は算出されている。このため、ステップS12とステップS22の目的関数の算出結果を比較し、誤差を求める。
ステップS26では、目的関数に応じて許容誤差が予め設定されており、この許容誤差とステップS24で得られた誤差を比較する。ステップS24で得られた誤差が設定された許容誤差よりも小さければ、すなわち、誤差が所定の範囲内であれば、楕円弧を少なくとも含むタイヤモデルの外形線のデータが金型形状データとして出力される(ステップS30)。
第2の例では、楕円弧形成前後によって起こるタイヤ形状の変化に伴い、目的特性の変化が大きくなる場合において、抽出する複数の節点の範囲および節点の数を変更することにより、目的特性を損なうことがない金型形状が抽出可能である。
なお、抽出する複数の節点の変更とは、楕円弧にて近似する範囲を変えることと同義である。
[タイヤの金型形状設計方法の第3の例]
次に、タイヤの金型形状設計方法の第3の例について説明する。
図8は本発明の実施形態のタイヤの金型形状設計方法の第3の例を工程順に示すフローチャートである。図9(a)は基準形状のタイヤモデルを示す模式図であり、(b)は第1の基底形状のタイヤモデルを示す模式図であり、(c)は第2の基底形状のタイヤモデルを示す模式図である。
タイヤの金型形状設計方法の第3の例においては、タイヤの金型形状設計方法の第1の例と同様の工程について、その詳細な説明は省略する。以下、タイヤの金型形状設計方法の第3の例を単に第3の例という。
第3の例は、タイヤの金型形状設計方法の第1の例に比して、最適化計算を実行する(ステップS50)の前に、タイヤモデルの形状を、基準形状と形状が異なる複数の基底形状の組合せにより表現し(ステップS40、S42)、それらの定義域を設計変数として少なくとも含むように設定し(ステップS44)、タイヤモデルの物理量に関する目的関数を少なくとも2つ以上設定し(ステップS46)、さらに設計変数と目的関数の非線形関数を設定する(ステップS48)点が異なり、それ以外の工程は、タイヤの金型形状設計方法の第1の例と同様の工程であるため、その詳細な説明は省略する。
第3の例において、上述のステップS40~S48については、例えば、特開2013-189160号公報、特開2013-191146号公報に記載の方法を適宜利用することができる。また、上述のステップS40~S48は、第1の例のステップS10に対応するものである。
第3の例では、まず、図9(a)に示す基準形状のタイヤモデル100を設定する(ステップS40)。基準形状のタイヤモデル100のデータは、例えば、メモリ38に記憶される。
次に、複数の基底形状を設定する(ステップS42)。基底形状は、例えば、図9(b)に示す第1の基底形状のタイヤモデル102、図9(c)に示す第2の基底形状のタイヤモデル104である。第1の基底形状のタイヤモデル102、第2の基底形状のタイヤモデル104のデータは、例えば、メモリ38に記憶される。なお、基底形状の数は、複数であればよく、2つに限定されるものではなく3以上でよいことはもちろんである。
基準形状のタイヤモデル100、第1の基底形状のタイヤモデル102および第2の基底形状のタイヤモデル104は、いずれもコンピュータで数値解析可能な要素でモデル化されたものである。
次に、設計変数の定義域を設定する(ステップS44)。
第1の基底形状と第2の基底形状を組み合わせる際、例えば、変化部分の重み付け加算をする。ステップS44では、このときの重みを設定する。
ここで変化部分とは、基底形状の節点の位置座標と、基準形状の対応する節点の位置座標との差分(変位)をいう。重み付け加算とは、各基底形状の変化部分について重み強度の値を用いて重み付け加算する、すなわち、変化量を変えることをいう。重み付け加算には、重み付け加算した基底形状の加算結果を、用いた重み強度の値の合計で除算して得られる重み付け平均も含まれる。なお、試行断面形状を作成する際、基底形状のそれぞれに対して重み強度の値が与えられる。重み強度の値は、条件設定部20で設定される。重み強度の値は、例えば、公知の実験計画手法、具体的には、ラテンハイパーキューブまたは直交表といった計画行列を用いて重み強度の値を設定する。
重み強度の値は、前記計画行列に従って設定されても、定められた範囲の中で逐次変更されてもよく、重み強度の値が変更される度にタイヤ断面形状が作成される。いずれも設定された範囲内全体を満遍なくカバーするように重み強度の値を変更してタイヤ断面形状を作成する。重み強度の値は、例えば、一定の大きさ毎に大きく、または小さくなるよう離散的に変更されるが、この他に重み強度の値はランダムに変更されてもよい。
次に、目的関数を設定する(ステップS46)。ステップS46で設定される目的関数は、タイヤの物理量に関するものであり、これらが少なくとも2つ設定される。タイヤの物理量は、例えば、タイヤの幅、タイヤの外径等、たわみ量、接地圧、転がり抵抗およびコーナリング特性等である。
なお、目的関数の設定については、第1の例のステップS10の目的関数の設定と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
次に、非線形関数を設定する(ステップS48)。非線形関数の設定については、第1の例のステップS10の非線形関数の設定と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
次に、ステップS48で設定された非線形応答関係を用いて、複数種の設計変数の値と特性値で構成される特性値空間での出力値を計算する。すなわち、設計変数を入力とした場合の出力である特性値を算出するサンプリング計算を実行する。サンプリング計算で得られた出力値を用いて近似モデルを作成する。すなわち、設計変数と特性値の関係を近似モデルにて表す。次に、演算部24で近似モデルを用いた最適化計算を実行する(ステップS50)。
最適化計算(ステップS50)は、目的関数の種類および目的関数の設定数が異なる以外は、第1の例の形状最適化計算(ステップS12)と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
最適化計算の結果から、所定の抽出条件で少なくとも1つの解を抽出する(ステップS52)。ステップS52は、形状最適化計算の結果から、所定の抽出条件を用いて少なくとも1つの解を抽出すること(ステップS14)と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
次に、抽出した解を構成する設計変数の組合せに対応するタイヤモデルの断面形状において、外側の輪郭を構成する複数の節点を抽出する(ステップS54)。ステップS54は、第1の例の複数の節点の抽出(ステップS16)と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
次に、抽出した複数の節点間を近似する楕円弧を、x、yを変数とし、a、b、p、q、x、yをパラメータとする上記数式で表される上述の関数を用いて作成する(ステップS56)。ステップS56は,第1の例の楕円弧の作成(ステップS18)と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
次に、楕円弧を少なくとも含んで構成されたタイヤモデルの外形線を金型形状データとして出力する(ステップS58)。このようにして、タイヤの金型形状設計に必要な金型形状データを得ることができる。
上述のように、ステップS50~ステップS58は、第1の例のステップS12~S20に対応する工程である。
第3の例によれば、タイヤの形状を組み合わせることで、最適なタイヤ形状を得ることができる。タイヤの形状を組み合わせる場合でも、タイヤの金型形状設計に必要な金型形状データを得ることができる。
また、第3の例によれば、外形線の制約を除外してタイヤ最適形状を探索することにより、広い設計空間から目的特性を満足するタイヤ形状を取得しつつ、実際の製造上の制約を加味したタイヤ断面形状、例えば、接地に起因する特性を悪化させることのないタイヤ断面形状の、例えば、接地に起因する特性を悪化させることのないタイヤ断面形状の金型寸法を、コンピュータ等を用いて効率よく算出できる。
第3の例においても、第2の例のように、ステップS56で得られた楕円弧について誤差を検証してもよい。
また、第3の例においても、第2の例のように楕円弧を得るための複数の節点を変更してもよい。
なお。上述の第1の例~第3の例のタイヤの金型形状設計方法は、いずれもタイヤの金型形状設計方法を実行するプログラムにより、各工程を手順としてコンピュータに実行させることができる。
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明のタイヤの金型形状設計方法、タイヤの金型形状設計装置、およびプログラムについて詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。
以下、本発明のタイヤの金型形状設計方法の実施例について具体的に説明する。
本実施例では、以下に示す実施例1および比較例1を用いて本発明のタイヤの金型形状設計方法の効果について確認した。
本実施例では、トレッド部に溝がないタイヤモデル(図示せず)を用いて、実施例1と比較例1を作成した。外側の輪郭を含むタイヤモデルの形状は形状最適化計算を行って得られたものである。なお、タイヤモデルでは、接触不良とならない様にリム接触部は形状を不変として形状最適化計算を実施している。また、実施例1と比較例1は、外形線の補正方法が異なるだけであり、元とする形状は同じ結果を用いている。
実施例1は、トレッド部に溝がないタイヤモデルに、本発明のタイヤの金型形状設計方法を適用したものであり、楕円弧を用いてタイヤモデルの外形線を作成したものである。
比較例1は、トレッド部に溝がないタイヤモデルに、接続部において接線を共有する2種の円弧を組み合わせてタイヤモデルの外形線を作成したものである。
上述のように、実施例1は楕円弧で外形線が構成され、比較例1は2種の円弧を組み合わせて外形線が構成されたものであり、実施例1と比較例1とはタイヤモデルの外形線が異なる以外は、同じ構成であり、FEM解析の際もタイヤモデルの外形線が異なる以外は同じ構成とした。
実施例1および比較例1に対してFEM解析を施し、接地圧を算出し、接地圧分布をも求めた。その結果を図10(a)および図10(b)に示す。図10(a)は実施例1の接地圧分布を示す模式図であり、(b)は比較例1の接地圧分布を示す模式図である。なお、図10(a)および図10(b)の図面左右方向がタイヤ幅方向である。
また、接地圧から平均接地圧を求めた。その結果を下記表1に示す。
実施例1、および比較例1に対し、縦剛性、横剛性、周剛性、摩耗寿命をFEM解析により求めた。その結果を下記表1に示す。なお、下記表1の縦剛性、横剛性、周剛性、平均接地圧、摩耗寿命のそれぞれの数値は、比較例1を100とした指数で示したものである。縦剛性、横剛性、周剛性および摩耗寿命は数値が100を超えることが好ましい。平均接地圧は数値が100未満であることが好ましい。
Figure 0007205160000005
上記表1に示すように、実施例1は、縦剛性、横剛性、周剛性および平均接地圧の性能を維持しつつ、高い摩耗寿命を得ることができた。
また、図10(a)に示すように、実施例1は接地圧の圧力差が小さい。これに対して、図10(b)に示す比較例1には接地端部に接地圧の高い領域があった。本発明では、タイヤモデルの断面形状において外側の輪郭を構成する節点のガタツキに由来する局所的な接地圧の上昇を改善し、かつタイヤの最適形状の特性バランスを維持したまま金型形状に落とし込むことができた。このように、本発明では、目的特性を満足するタイヤ形状の特徴を損なうことがない金型形状データを得ることができた。
10 タイヤの金型形状設計装置(設計装置)
12 処理部
14 入力部
16 表示部
20 条件設定部
22 モデル作成部
24 演算部
26 データ作成部
28 メモリ
30 表示制御部
32 制御部
50、100、102、104 タイヤモデル
52a~52d、56a~56d 節点
58、70、72 楕円弧
60 トレッド中央部
62 接地端
64 接地領域
63、65、67 節点
66 最大幅位置
CL タイヤ赤道面
O 中心
δ 距離

Claims (11)

  1. タイヤについて、形状に関係する設計変数、目的関数、制約条件、最適解の判定条件および節点の抽出条件を設定する問題設定工程と、
    タイヤについて、コンピュータで数値解析可能な要素でタイヤモデルを作成する作成工程と、
    前記問題設定工程で設定された前記設計変数、前記目的関数、前記制約条件、前記最適解の判定条件および前記節点の前記抽出条件に基づき、前記タイヤモデルについて形状最適化計算を行う演算工程と、
    前記演算工程の前記形状最適化計算の結果から、所定の抽出条件を用いて少なくとも1つの解を抽出し、抽出した前記解を構成する設計変数の組合せに対応する前記タイヤモデルの断面形状において、外側の輪郭を構成する複数の節点を抽出する抽出工程と、
    抽出した前記複数の節点間を近似する楕円弧を、x、yを変数とし、a、b、p、q、x、yをパラメータとする数式で表される関数を用いて作成する作成工程と、
    前記楕円弧を少なくとも含む前記タイヤモデルの外形線を金型形状データとして出力する出力工程とを有することを特徴とするタイヤの金型形状設計方法。
    Figure 0007205160000006
  2. 前記演算工程において、前記形状最適化計算は、所定の荷重における接地解析を含み、
    前記抽出工程では、前記タイヤモデルの少なくともトレッド中央部から接地端迄の範囲で前記複数の節点を抽出し、
    前記作成工程は、前記タイヤモデルの前記範囲の前記節点を利用して前記楕円弧を作成する、請求項1に記載のタイヤの金型形状設計方法。
  3. 前記作成工程は、前記関数のパラメータa、b、p、q、x、yのうち、少なくとも1つを固定し、残りのパラメータを用いて、前記楕円弧を作成する、請求項1または2に記載のタイヤの金型形状設計方法。
  4. 前記目的関数に判定条件を設定する工程を有し、
    前記作成工程で作成された前記楕円弧を用いて表現されたタイヤモデルに対して、前記問題設定工程で設定された目的関数の算出を行い、
    前記演算工程に用いた前記タイヤモデルにおける、前記問題設定工程で設定された目的関数との誤差を算出し、前記誤差が所定の範囲内であれば前記出力工程にて前記金型形状データを出力し、
    前記誤差が所定の範囲外であれば抽出する節点を変更する、請求項1~3のいずれか1項に記載のタイヤの金型形状設計方法。
  5. 前記問題設定工程で、前記タイヤモデルの形状を変化させる複数の基底形状の組合せにより表現され、それらの定義域を設計変数として少なくとも含むように設定し、前記タイヤモデルの物理量に関する目的関数を少なくとも2つ以上設定し、
    前記演算工程は、前記タイヤモデルについて最適化計算を行う、請求項1~4のいずれか1項に記載のタイヤの金型形状設計方法。
  6. タイヤについて、コンピュータで数値解析可能な要素でタイヤモデルを作成するモデル作成部と、
    設計変数、目的関数、制約条件、最適解の判定条件および節点の抽出条件を設定する条件設定部と、
    前記条件設定部で設定された形状に関する前記設計変数、前記目的関数、前記制約条件、前記最適解の判定条件および前記節点の前記抽出条件に基づき、前記タイヤモデルについて形状最適化計算を行う演算部と、
    前記演算部の前記形状最適化計算の結果から、所定の抽出条件を用いて少なくとも1つの解を抽出し、抽出した前記解を構成する設計変数の組合せに対応する前記タイヤモデルの断面形状において、外側の輪郭を構成する複数の節点を抽出し、
    前記複数の節点間を近似する楕円弧を、x、yを変数とし、a、b、p、q、x、yをパラメータとする数式で表される関数を用いて作成し、
    前記楕円弧を少なくとも含む前記タイヤモデルの外形線を金型形状データとして出力するデータ作成部とを有することを特徴とするタイヤの金型形状設計装置。
    Figure 0007205160000007
  7. 前記演算部において、前記形状最適化計算は、所定の荷重における接地解析を含み、
    前記データ作成部では、前記タイヤモデルの少なくともトレッド中央部から接地端迄の範囲で前記複数の節点を抽出し、前記タイヤモデルの前記範囲の前記節点を利用して前記楕円弧を作成する、請求項6に記載のタイヤの金型形状設計装置。
  8. 前記データ作成部は、前記関数のパラメータa、b、p、q、x、yのうち、少なくとも1つを固定し、残りのパラメータを用いて、前記楕円弧を作成する、請求項6または7に記載のタイヤの金型形状設計装置。
  9. 前記条件設定部にて前記目的関数に判定条件を設定し、
    前記データ作成部で作成された前記楕円弧を用いて表現されたタイヤモデルに対して、前記条件設定部で設定された目的関数の算出を前記演算部で行い、
    前記モデル作成部で作成され、前記楕円弧の作成に利用した前記タイヤモデルにおける、前記条件設定部で設定された目的関数との誤差を前記演算部で算出し、前記誤差が所定の範囲内であれば前記データ作成部から前記金型形状データを出力し、
    前記誤差が所定の範囲外であれば、前記データ作成部は抽出する節点を変更する、請求項6~8のいずれか1項に記載のタイヤの金型形状設計装置。
  10. 前記条件設定部で、前記タイヤモデルの形状を変化させる複数の基底形状の組合せにより表現され、それらの定義域を設計変数として少なくとも含むように設定し、前記タイヤモデルの物理量に関する目的関数を少なくとも2つ以上設定し、
    前記演算部は、前記タイヤモデルについて最適化計算を行う、請求項6~9のいずれか1項に記載のタイヤの金型形状設計装置。
  11. 請求項1~5のいずれか1項に記載のタイヤの金型形状設計方法の各工程を手順としてコンピュータに実行させるためのプログラム。
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