JP2009269557A - タイヤの設計方法及びそのプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】ベルトなどの内部部材の配置を考慮してタイヤ断面形状の最適化を図ることができるタイヤの設計方法を提供することを目的とする。
【解決手段】内部部材を含むタイヤ断面形状を表すタイヤモデルTmを設定し、前記タイヤモデルTmのタイヤ内表面及びタイヤ外表面の少なくとも一方に対応する自由曲線と、前記内部部材に対応する自由曲線と、の少なくとも2つの自由曲線を設定する曲線設定ステップ(ステップ104)と、前記タイヤモデルのタイヤ性能に関する目的関数を設定する関数設定ステップ(ステップ112)と、前記設定した自由曲線のうち少なくとも一方の自由曲線の制御点を変更することで、前記目的関数の最適値を与える制御点を求める計算ステップ(ステップ114〜ステップ124)と、を含むことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、タイヤの設計方法及びそのプログラムに関するものである。
従来、物性を考慮したタイヤの設計方法としては、既存のタイヤに対して形状や材料を変更したタイヤを試作、試験して、転がり抵抗やバネ定数などについて目標性能が得られるまで試作、試験を繰り返すという手法がとられていた。しかしながら、このような方法では、非効率でコスト高になる等の問題があり、そのため、FEM(有限要素法)解析による最適化手法を用いてタイヤを設計する方法が提案されている(下記特許文献1参照)。
下記特許文献1には、タイヤ断面形状を有限個の要素でモデル化したタイヤ基本モデルと、タイヤ性能を表す目的関数と、該タイヤ性能の許容範囲を制約する制約条件と、タイヤ基本モデルにおけるタイヤ断面形状に沿って配置されタイヤ基本モデルにおけるタイヤ断面形状を変更可能にする複数の制御点の位置を決定するために用いられる設計パラメータとを設定し、設計パラメータに含まれている設計変数を逐次変更させて、制約条件を満たしながら目的関数の最適値を与える設計変数に基づいて最終的な設計パラメータを決定するタイヤの設計方法が開示されている。
特開2006−321340号公報
上記従来の最適化手法を用いたタイヤの設計方法では、有限個の要素で構成されたタイヤ基本モデルのタイヤの内表形状に沿って複数の制御点を配置してタイヤ断面形状に応じた1つの連続した自由曲線を設定し、複数の制御点の位置を変更し自由曲線を変形することでタイヤ断面形状を変更する。
通常、ベルトやカーカスプライなどの補強コードを有する補強部材やビードフィラなど他のゴム部材より硬質なゴム材料からなる補強部材などの内部部材がタイヤ断面に含まれており、これらの内部部材の形状や位置といった配置がタイヤ性能に影響するにもかかわらず、従来のタイヤを設計する方法では、自由曲線の形状変更をタイヤ断面形状に反映させる際に、1つの自由曲線の形状変更に追従してタイヤ断面の外形形状と内部部材の配置とが変化するため、内部部材の配置を充分に検討できないという問題がある。
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、内部部材の配置を考慮してタイヤ断面形状の最適化を図ることができるタイヤの設計方法及びそのプログラムを提供することを目的とする。
本発明のタイヤの設計方法は、内部部材を含むタイヤ断面形状を表すタイヤモデルを設定し、前記タイヤモデルのタイヤ内表面及びタイヤ外表面の少なくとも一方に対応する自由曲線と、前記内部部材に対応する自由曲線と、の少なくとも2つの自由曲線を設定する曲線設定ステップと、前記タイヤモデルのタイヤ性能に関する目的関数を設定する関数設定ステップと、前記設定した自由曲線のうち少なくとも一方の自由曲線の制御点を変更することで、前記目的関数の最適値を与える制御点を求める計算ステップと、を含むものである。
本発明はまた、内部部材を含むタイヤの設計方法を実行させるためのプログラムであって、前記内部部材を含むタイヤ断面形状を表すタイヤモデルを設定し、前記タイヤモデルのタイヤ内表面及びタイヤ外表面の少なくとも一方に対応する自由曲線と、前記内部部材に対応する自由曲線と、の少なくとも2つの自由曲線を設定する曲線設定ステップと、前記タイヤモデルのタイヤ性能に関する目的関数を設定する関数設定ステップと、前記設定した自由曲線のうち少なくとも一方の自由曲線の制御点を変更することで、前記目的関数の最適値を与える制御点を求める計算ステップと、をコンピュータに実行させるためのものである。
上記本発明では、タイヤ内表面及びタイヤ外表面の少なくとも一方を規定する自由曲線と、内部部材を規定する自由曲線と、の2つの自由曲線を設定しタイヤ断面形状を規定しているため、タイヤ断面の外形形状と内部部材の配置とを組み合わせて最適化することができ、タイヤ性能を大幅に向上することができる。
上記発明において、前記計算ステップが、前記設定した2つ以上の自由曲線の制御点をそれぞれ変更することで、前記目的関数の最適値を与える制御点を求めてもよく、また、前記曲線設定ステップにおいてタイヤ外表面及びタイヤ内表面に対応する自由曲線を設定してもよい。
また、上記発明において、前記タイヤモデルを分割して複数の領域を設定する領域設定ステップと、前記タイヤモデルをメッシュ状に分割して有限個の要素を得るとともに、前記有限個の要素を構成する節点を前記領域ごとにグループ分けする分類ステップと、を備え、前記計算ステップが、前記制御点の変更による前記自由曲線の変化に応じて、前記節点の位置を変更し前記タイヤモデルを更新するものであって、前記複数の領域の少なくとも一部の領域に属する節点の位置を変更する規則が他の領域に属する節点の位置を変更する規則と異なってもよく、その際、前記自由曲線間の変化に応じて、タイヤ内表面の法線方向に隣接する節点間の距離を変更する領域と変更しない領域とを設定してもよい。
このような場合、設定した領域によって前記自由曲線の変化に対する節点の位置を変更する規則を違えることができるため、タイヤ断面に含まれる内部部材の物性を考慮した最適化が可能となり、得られたタイヤモデルの信頼性が向上する。
本発明によれば、タイヤ断面の外形形状と内部部材の配置とを組み合わせて最適化することができ、信頼性の高いタイヤモデルが得られタイヤ性能を大幅に向上することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態にかかるタイヤの設計方法を実現するための最適化計算の流れを示すフロー図であり、コンピュータを用いて実施することができる。
この最適化計算では、まず、ステップ100において、図2に例示するようなトレッドゴム1、サイドウォールゴム2、ビード部の一部を構成するビードフィラー3、ビード部の外側に配されたラバーチェーファー4、ビードフィラー3及びラバーチェーファー4の間に配されたチェーファーパッド5、ベルト9の内側に配されたベルト下パッド6、カーカス8の内側に配されたインナーライナーゴム7などのゴム部材と、カーカス8、複数枚(本実施形態では4枚)のベルトプライを重ね合わせたベルト9、ビードコア10などのコードを含む補強部材などと組み合わされてなる設計対象のタイヤTに対して、図3に示すようなタイヤ断面形状を表すタイヤFEMモデルTmを作成する。
詳細には、自然平衡状態のタイヤ断面形状を基準形状とし、この基準形状をFEM等のようにタイヤ性能評価用物理量を数値的、解析的に求めることができる手法によりモデル化して、ベルト9などの内部部材を含むタイヤ断面形状を表すと共にメッシュ分割によって複数の要素に分割されたタイヤ初期モデルTmを作成する。ここで、モデル化とは、タイヤ形状、構造、材料、パターンを、数値的、解析的手法に基づいて作成されたコンピュータプログラムへのインプットデータ形式に数値化することをいう。本実施形態では、図3に示すように、実質的にタイヤ内表面に相当するカーカス8とタイヤ外表面との間にビードフィラ3やチェーファーパッド5やベルト9を設けたタイヤ断面を、これらの内部部材3,5,9を含めてメッシュ状に複数の要素に分割してタイヤモデルTmを作成する。
次いでステップ102では、タイヤモデルTmにB−spline曲線、NURBS曲線、Bezier曲線などの連続性を保持した自由曲線を設定する位置を選定する。具体的には、タイヤ内表面に相当するカーカス8及びタイヤ外表面の少なくとも一方と、ベルト9、チェーファーパッド5などのタイヤ断面に含まれる内部部材の少なくとも1つを選定し、自由曲線を設定する位置を複数箇所選定する。本実施形態では、例えば、タイヤ内表面に相当するカーカス8と、タイヤ外表面と、ベルト9の厚さ方向中央部(つまりカーカス8側から2層目と3層目のベルトプライの界面)と、チェーファーパッド5のビードフィラ3側の界面と、を選定する。なお、カーカス8の内側にインナーライナーゴム7が配置されているが、インナーライナーゴム7はほぼ厚さ一定のゴム部材としてカーカス8に付着しており、カーカス8の形状により一意的にその形状が定まるため、タイヤ内表面としてカーカス8に自由曲線を設定することが好ましい。
次いでステップ104では、図4に示すように、選定したタイヤ内表面(カーカス8)、タイヤ外表面、ベルト9の厚さ方向中央部、チェーファーパッド5のビードフィラ3側の界面について、これらの断面形状をそれぞれ近似する4つの自由曲線、すなわち、タイヤ内表面(カーカス8)を近似する第1自由曲線C1と、タイヤ外表面を近似する第2自由曲線C2と、ベルト9の厚さ方向中央部を近似する第3自由曲線C3と、チェーファーパッド5のビードフィラ3側の界面を近似する第4自由曲線C4とを設定する。
次いでステップ106では、4つの自由曲線C1〜C4のそれそれについて制御点を求める。その際、計算処理時間と自由曲線の近似精度とを考慮して1つの自由曲線を規定する制御点の数は、図4に示すようなタイヤ半断面当たり7〜15点が好ましい。なお、図4において、○印が第1自由曲線C1を定める制御点を、×印が第2自由曲線C2を定める制御点を、△印が第3自由曲線C3を定める制御点を、□印が第4自由曲線C4を定める制御点を、それぞれ示す。
次いでステップ108では、自由曲線の一端部である開始点(例えば、タイヤ幅方向中央側端部の制御点)から他端部である終点までの長さ、つまり各自由曲線の全長を算出するとともに、自由曲線上に位置するタイヤFEMモデルTmの節点である基準節点について自由曲線の開始点からの距離を算出し、自由曲線の全長に対する開始点から基準節点までの距離の比率を基準節点の位置情報として取得する。このような基準節点の位置情報の取得を4つの自由曲線それぞれについて行う。また、基準節点以外の節点について、例えば、タイヤ内表面に沿う方向に近接する基準節点と関連付けを行い、2つの自由曲線に挟まれた領域における節点では2つの自由曲線上のそれぞれの基準節点と関連付けを行う。
次いで、ステップ110では、タイヤモデルTmを分割して複数(本実施形態では8つ)の領域を設定し、タイヤモデルTm内の要素を構成する節点を複数の領域のごとにグループ分けする。
ここで、タイヤ断面に設定する領域の数や位置・範囲について特に制限はないが、トレッドゴム1やサイドウォールゴム2などのゴム部材と、補強コードを含むカーカス8やベルト9と、サイドウォールゴム2などより硬質なゴム材よりなるビードフィラ3と、が異なる領域に属すように領域を設定することが好ましく、本実施形態では、図5に例示するように、タイヤ断面に配置されたタイヤ材料に応じてタイヤモデルTm内の節点を8つの領域にグループ分けをする。
具体的には、タイヤモデルTmのカーカス8を含みタイヤモデルTmの内表面側に設けられたカーカス領域R1と、タイヤモデルTmのベルト9とほぼ一致する領域に設けられたベルト領域R2と、カーカス領域R1とベルト領域R2とに挟まれタイヤモデルTmのベルト下パッド6に相当するベルト下パッド領域R3と、ベルト領域R2とタイヤ外表面とに挟まれタイヤモデルTmのトレッドゴム1に相当するトレッド領域R4と、カーカス領域R1とタイヤ外表面とに挟まれタイヤモデルTmのサイドウォールゴム2に相当するサイドウォール領域R5と、カーカス領域R1とタイヤモデルTmのチェーファーパッド5とに挟まれタイヤモデルTmのビードフィラ3に相当するビードフィラ領域R6と、タイヤモデルTmのチェーファーパッド5とタイヤ外表面とに挟まれタイヤモデルTmのラバーチェーファー4及びチェーファーパッド5に相当するチェーファー領域R7と、ビードコア10付近のビード領域R8と、が設定され、これらの8つの領域に節点がグループ分けされている。
次いでステップ112では、各自由曲線を規定する制御点をタイヤモデルTmに変更を与える設計変数に設定するとともに、更に、タイヤ性能評価用物理量を表す目的関数と、制御点や目的関数や他のタイヤ性能評価用物理量の少なくとも1つを制約する制約条件と、自由曲線の変化に対する節点の位置を変更する節点変更規則と、を設定する。
ここで、目的関数としては、走行時の形状保持性能や、転がり抵抗などが挙げられる。制約条件としては、タイヤ断面形状やタイヤ材料の物性として許容される範囲や、目的関数について最低限の目標性能や、目的関数以外のタイヤ性能評価用物理量に関して所定以上の性能を確保するための制約範囲などが挙げられる。また、制約条件としてタイヤモデルTm内に設定した4つの自由曲線が互いに交差するのを制限するため、第1自由曲線C1と第2自由曲線C2との間に設けた第3自由曲線C3及び第4自由曲線C4の制御点を
第1自由曲線C1と第2自由曲線C2との間に挟まれた範囲内に移動させる条件を設定する。
また、節点変更規則は、制御点の変更によりタイヤモデルTm内の自由曲線の形状が変化した場合に、この変化に対して節点の位置を変更してタイヤモデルTmを更新するための規則であって、タイヤモデルTm内に設定した8つの領域ごとに異なる規則が設定されている。
具体的には、カーカス領域R1に属する節点は、第1自由曲線C1の形状変化に応じて変化するように設定され、タイヤ内表面の法線方向(すなわち、タイヤ断面の厚さ方向)に隣接する節点までの距離の変更が制限されている。また、タイヤ内表面に沿う方向については、形状変化前の第1自由曲線C1上の基準節点の位置情報に基づいて形状変化後の第1自由曲線C1上に基準節点を移動させ、その移動に応じて基準節点と関連付けられた節点を移動させる。これにより、第1自由曲線C1の形状変化に応じて、カーカス領域R1は、タイヤ断面の厚さ方向の大きさが変化することなくタイヤモデルTm全体に占める位置や形状が変化する。
また、ベルト領域R2に属する節点は、第3自由曲線C3の形状変化に応じて変化するように設定され、カーカス領域R1の場合と同様、タイヤ断面の厚さ方向に隣接する節点までの距離を変更することなく、タイヤ内表面に沿う方向について、形状変化前の基準節点の位置情報に基づいてベルト領域R2に属する節点を変更する。
ベルト下バッド領域R3に属する節点は、第1自由曲線C1及び第3自由曲線C3の形状変化に応じて変化するように設定されており、形状変化前の第1自由曲線C1及び第3自由曲線C3上の基準節点の位置情報に基づいて形状変化後の第1自由曲線C1及び第3自由曲線C3上に基準節点を移動させ、第1自由曲線C1及び第3自由曲線C3上の基準節点と関連付けられた節点をそれらの基準節点の移動に応じて移動させる。これにより、第1自由曲線C1及び第3自由曲線C3の形状変化に応じて、ベルト下バッド領域R3は、タイヤモデルTm全体に占める位置や形状が変化するとともに、第1自由曲線C1及び第3自由曲線C3の間隔が変化することでタイヤ断面の厚さ方向の大きさも変化する。
また、トレッド領域R4に属する節点は第2自由曲線C2及び第3自由曲線C3の形状変化に応じて変化するように設定され、サイドウォール領域R5に属する節点は第1自由曲線C1及び第2自由曲線C2の形状変化に応じて変化するように設定され、ビードフィラー領域R6に属する節点は第1自由曲線C1及び第4自由曲線C4の形状変化に応じて変化するように設定され、チェーファー領域R7に属する節点は第2自由曲線C2及び第4自由曲線C4の形状変化に応じて変化するように設定されており、これらの領域R4,R5,R6,R7は、ベルト下バッド領域R3の場合と同様、形状変化前の自由曲線上の基準節点の位置情報に基づいて形状変化後の自由曲線上に基準節点を移動させ、対応する自由曲線上の基準節点と関連付けられた節点をそれらの基準節点の移動に応じて移動させることで、タイヤモデルTm全体に占める位置や形状が変化するとともに、タイヤ断面の厚さ方向の大きさも変化する。
ビード領域R8に属する節点は、いずれの自由曲線の変化の影響を受けることなく、節点位置が変更しないように設定されている。
次いでステップ114では、設計変数の初期値における目的関数OBJの初期値を演算する。詳細には、タイヤFEMモデル(初期モデル)に実験条件を模擬した計算条件(例えば、空気圧、荷重など)を該FEMモデルに付与して、それにより得られる要素毎の力と変位を計算し、この計算結果から目的関数の初期値を算出する。
次いでステップ116において、各設計変数を各々予め定められた所定量だけ少しずつ変化させ、最も勾配が急な方向を見つける感度解析を行う。この感度解析では、例えば、下記式(1)で定義される。
Figure 2009269557
詳細には、制御点の位置などの設計変数xiをΔxiだけ変化させて、変化後の目的関数OBJの値を演算し、上記式(1)に従って設計変数の単位変化量に対する目的関数OBJの変化量の割合である目的関数の感度を各設計変数毎に演算して、感度の勾配が最も急な方向を見つける。
次いで、ステップ118において、一次元探索により、上記した勾配が急な方向に設計変数をどれだけ変化させたらよいかを求めて、目的関数OBJを最大化又は最小化し得る設計変数の解を求めるとともに、この設計変数の解から目的関数OBJの値を演算する。
次のステップ120において、ステップ114で求めた初期モデルでの目的関数OBJの値と、ステップ118で求めた修正モデルでの目的関数OBJの値とを対比して、両者の差と所定のしきい値とを比較することで目的関数OBJの値が収束したか否かを判断し、両者の差がしきい値よりも大きく、目的関数OBJの値が収束していないと判断した場合には、ステップ122に進み、両者の差が所定のしきい値以下であり、目的関数OBJの改良幅が小さくなったときにはステップ124に進む。
ステップ122では、タイヤ初期モデルを今回得られた修正モデルに更新して、即ちステップ118で求めた設計変数の解及び目的関数の値を初期値とした後、ステップ114に戻り、ステップ114からステップ120を繰り返し実行する。なお、このように繰り返し実行するに際し、ステップ120では、前回得られた解から算出した目的関数OBJの値と、今回得られた解から算出した目的関数OBJの値とを比較することで収束性を判断する。
ステップ124では、目的関数OBJの値が収束したと判断してこのときの設計変数(制御点)の値より決定される4つの自由曲線から節点変更規則に基づいてタイヤ初期モデル内の節点位置を変更しタイヤモデルTmを更新する。そして、更新したタイヤモデルTm内に歪んだ要素が存在するなどタイヤモデルTmの品質に異常がある否か判断し、品質に異常があればステップ122の戻り、異常がなければ、得られたタイヤモデルTmを目的関数OBJに対して最適値を与える最適化モデルを決定し、最適化計算を終了する。
以上のようにしてステップ124で算出された設計変数の最適解により、タイヤ断面の外形形状とベルト9などの内部部材の配置とを考慮して目的関数OBJの値が最適化されたタイヤを設計することができる。
以上説明したタイヤの設計方法は、パソコンなどのコンピュータを用いて実現することができる。通常は、上記タイヤの設計方法の各ステップを実行させるためのプログラムがコンピュータのハードディスクに保存されており、プログラムを実行する場合に適宜RAMに読み込まれ、キーボードなどの入力手段から入力された種々のデータを用いて、CPUにより演算を行い、モニターなどの表示手段により結果が表示される。
上記プログラムは、機能としては、タイヤのFEMモデルを作成するFEMモデル作成部と、タイヤFEMモデル内のタイヤ内外表面とベルトやチェーファーパッドなどの内部部材に対応する自由曲線を設定する曲線設定部と、タイヤモデル内に設定した自由曲線の制御点を変更し目的関数が最適値を与える制御点を求める計算部との各機能を実現させるものである。なお、かかるシミュレーションプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(CD−ROM、DVD等)に記録されていてもよい。
次に、上記した実施形態の最適化手法を用いてシミュレーションを行うことで、走行時のタイヤ形状保持性及び転がり抵抗性を向上を図るタイヤ設計方法の1実施例について説明する。
この実施例では、タイヤサイズ:295/80R22.5、空気圧:900kPa、荷重:35770Nとした。目的関数は転がり抵抗性、設計変数は4つの自由曲線の決定する制御点の座標、制約条件は走行時のタイヤ形状保持性がタイヤ初期モデルより悪化ぜず、かつ、タイヤ重量がタイヤ初期モデルから増加しないこととした。なお、転がり抵抗性は数値計算によって算出される歪み履歴から算出されるタイヤモデルTm中の各要素におけるエネルギー損失(発熱量)から得られ、タイヤ形状保持性は転動の影響を考慮したタイヤの形状変化に関する特性であり、トレッド1のショルダー部の変化量に対する幅方向中央部の変形量の比から算出される。
そして、制約条件を満たしつつ、転がり抵抗性(タイヤ性能)を最適値にさせ得る制御点の座標を決定し、このときの制御点の座標によって決定される4つの自由曲線から節点変更規則に基づいてタイヤ初期モデル内の節点位置を変更し最適化モデルを決定した。なお、比較のため、タイヤ内表面に対応した1つの自由曲線を設定し、その他は実施例と同様にして最適化を行ったものを比較例とした。
下記表1に、実施例において得られた最適化モデルでの転がり抵抗とタイヤ形状保持性の値と、比較例において得られたモデルでの転がり抵抗とタイヤ形状保持性の値を、タイヤ初期モデルでの転がり抵抗とタイヤ形状保持性を100として指標して表示した。いずれも指数が大きいほど結果が良好であることを示す。
Figure 2009269557
表1に示すように、実施例の最適化モデルは比較例の最適化モデルに比べて転がり抵抗性及び形状保持性のいずれにおいても向上が図られていた。
以上のように、本実施形態では、タイヤ内表面及びタイヤ外表面を規定する自由曲線C1,C2と、ベルト9及びビードフィラ3とチェーファーパッド5との界面を規定する自由曲線C3,C4を設定することでタイヤ断面形状を規定しているので、タイヤ断面の外形形状の変更と別個にベルト9やビードフィラ3などの内部部材の配置を変更することができる。そのため、タイヤ断面の外形形状を変更させてもベルト9の厚さを変更することなくその形状や位置を変更することができ、タイヤを構成する部材の物性の違いを考慮しつつ、タイヤ断面の外形形状と内部部材の配置とを組み合わせて最適化することができ、タイヤ断面の外形形状と内部部材の配置とを別個に最適化する場合に比べ計算時間を短縮しつつ信頼性の高い最適化モデルが得られ、短時間でタイヤ性能を大幅に向上することができる。
なお、以上説明した実施形態では、数理計画法に基づく最適化手法について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、例えば遺伝的アルゴリズムや、実験計画法や、統計的最適化手法など、種々の最適化手法に適用することができる。
また、本実施形態では、タイヤ内外表面と、ベルト9の厚さ方向中央部及びチェーファーパッド5のビードフィラ3側に4つの自由曲線を設定したが、本発明では、タイヤ内表面及びタイヤ外表面のいずれか一方とタイヤ断面に含まれる任意の内部部材に自由曲線を設定してもよい。このような場合であっても、本実施形態と同様、タイヤ断面の外形形状の変更と内部部材の配置とを別個に変更することができ、タイヤ断面の外形形状と内部部材の配置とを組み合わせて最適化することができる。
さらにまた、本実施形態では、タイヤモデル内に設定した4つの自由曲線全てについて制御点を設計変数としてその座標を変更してタイヤモデルを更新したが、例えば、ベルトに設定した自由曲線の制御点の座標を変更するが、タイヤ内外表面に設定した自由曲線の制御点を座標を変更しない場合など、本発明において、タイヤモデル内に設定した複数の自由曲線のうちの一部の自由曲線の制御点のみ設計変数としてもよい。従来のようなタイヤ断面に1つの自由曲線を設定する場合では自由曲線の形状変更に追従してタイヤ断面の外形形状と内部部材の配置とが変化することとなり、例えば、タイヤ断面を変更することなく内部部材の配置のみ最適化することができないが、本発明のように複数の自由曲線を設定することで、タイヤ外形形状を変更することなく内部部材の配置のみ最適化したり、タイヤ内表面形状を変更することなくタイヤ外表面形状と内部部材の配置のみ最適化するなど、タイヤ断面形状から最適化を行う位置を選択することができ、計算コストを抑えつつタイヤモデルの最適化を図ることができる。
本発明は、ベルトやチェーファーパッドなどの内部部材を備えたタイヤの効率的な設計に利用することができる。
本発明の一実施形態における最適化計算の流れを示すフロー図である。 解析対象である空気入りタイヤの半断面図である。 解析対象である空気入りタイヤのタイヤFEMモデルを示す図である。 タイヤFEMモデルに設定した自由曲線を示す図である。 タイヤFEMモデルに設定した領域を示す図である。
符号の説明
1…トレッドゴム
2…サイドウォールゴム
3…ビードフィラ
4…ラバーチェーファ
5…チェーファーパッド
6…ベルト下パッド
7…インナーライナーゴム
8…カーカス
9…ベルト
10…ビードコア

Claims (6)

  1. 内部部材を含むタイヤ断面形状を表すタイヤモデルを設定し、前記タイヤモデルのタイヤ内表面及びタイヤ外表面の少なくとも一方に対応する自由曲線と、前記内部部材に対応する自由曲線と、の少なくとも2つの自由曲線を設定する曲線設定ステップと、
    前記タイヤモデルのタイヤ性能に関する目的関数を設定する関数設定ステップと、
    前記設定した自由曲線のうち少なくとも一方の自由曲線の制御点を変更することで、前記目的関数の最適値を与える制御点を求める計算ステップと、
    を含むことを特徴とするタイヤの設計方法。
  2. 前記計算ステップが、前記設定した2つ以上の自由曲線の制御点をそれぞれ変更することで、前記目的関数の最適値を与える制御点を求めることを特徴とする請求項1に記載のタイヤの設計方法。
  3. 前記曲線設定ステップにおいてタイヤ内表面及びタイヤ外表面に対応する自由曲線を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤの設計方法。
  4. 前記タイヤモデルを分割して複数の領域を設定する領域設定ステップと、
    前記タイヤモデルをメッシュ状に分割して有限個の要素を得るとともに、前記有限個の要素を構成する節点を前記領域ごとにグループ分けする分類ステップと、を備え、
    前記計算ステップが、前記制御点の変更による前記自由曲線の変化に応じて、前記節点の位置を変更し前記タイヤモデルを更新するものであって、前記複数の領域の少なくとも一部の領域に属する節点の位置を変更する規則が他の領域に属する節点の位置を変更する規則と異なることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のタイヤの設計方法。
  5. 前記自由曲線間の変化に応じて、タイヤ内表面の法線方向に隣接する節点間の距離を変更する領域と変更しない領域とを設定することを特徴とする請求項4に記載のタイヤの設計方法。
  6. 内部部材を含むタイヤの設計方法を実行させるためのプログラムであって、
    前記内部部材を含むタイヤ断面形状を表すタイヤモデルを設定し、前記タイヤモデルのタイヤ内表面及びタイヤ外表面の少なくとも一方に対応する自由曲線と、前記内部部材に対応する自由曲線と、の少なくとも2つの自由曲線を設定する曲線設定ステップと、
    前記タイヤモデルのタイヤ性能に関する目的関数を設定する関数設定ステップと、
    前記設定した自由曲線のうち少なくとも一方の自由曲線の制御点を変更することで、前記目的関数の最適値を与える制御点を求める計算ステップと、
    をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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