JP5011840B2 - 作業車両 - Google Patents
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Description
しかし、上記特許文献1に記載の発明では、車両を減速した後に停止させる構成であり、車両の減速開始から車両停止までの間に油圧クラッチのディスクの過剰なすべりによる加熱などがあるのでクラッチディスクが損傷し易い。
請求項1記載の発明は、エンジン(62)を設け、該エンジン(62)からの動力を走行装置(61,63)に伝達する走行動力伝動系に摩擦伝動式の前後進クラッチ(D)を設け、前記前後進クラッチ(D)の作動用シリンダ(85)の前進側又は後進側に供給する作動油の圧力を検出する圧力検出手段(110,111)をそれぞれ設け、前記前後進クラッチ(D)の切替を手動で行う前後進切替レバー(115)を設け、走行中に前記圧力検出手段(110,111)によって検出する作動油の圧力が所定時間(T1)以上にわたって設定値(P1)以下に低下した場合には異常状態と判定し、前記前後進クラッチ(D)の作動用シリンダ(85)への作動油の供給を断って前後進切替レバー(115)を中立位置にする操作と同じ出力をする制御装置(100)を設け、前記前後進切替レバー(115)を中立位置に戻すことによって、前記異常状態の判定に基づく走行停止状態が解除される構成を有する走行動力伝動系を設け、前記異常状態の表示を行う表示部と該表示部の異常表示を通常表示に切り替え可能な表示切替スイッチを設け、前記制御装置(100)は、前記異常状態が解除されても前記エンジン(62)が停止するまで前記異常表示を継続し、異常表示を前記表示切替スイッチで通常表示に切り替え、且つ規定時間毎に異常状態が解消されていても異常表示を再現する機能と、前記圧力検出手段(110,111)によって検出する作動油の圧力が前記設定値(P1)より高い圧力設定値(P2:P2>P1)である判定基準以下で前記設定値(P1)よりも高い場合は前記異常表示のみを行い走行制御を継続する機能を有し、前記二つの設定値(P1、P2)を作動油の油温によって変更可能な構成とした作業車両である。
また、異常発生があったということは、異常原因が解消されても、その原因が完全に除去されてない場合があるため、継続運転すると再発する可能性があり頻繁に異常表示することで修理・点検を促すことができる。
更に、前後進クラッチ(D)を切る作動用シリンダ(85)の設定値(P1)と、それより高い圧力(P2)との2つの判定油圧を設定することで、オペレータの操作による異常回避を促しながら走行を継続させる油圧の範囲に幅を保たせることができる。
そして、前記設定値(P1,P2)を作動油の油温によって変更できることで、油圧を油温による粘性の変化で誤判定することもない。
また、請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、その旨の異常表示をメッセージで表示することで、少ししか圧力を加えていないつもりでも、高圧が出力されている異常状態であることが分かる。
図1には本実施例のトラクタの側面図を示す。
乗用四輪駆動の走行形態を有するトラクタ車体Tは、ステアリングハンドル73で前輪61を操向しながら走行運転する。車体Tの後部にはロータリ耕耘装置84等の作業機を昇降可能に装着して対地作業を行うことができる。この車体Tは、前端部にフロントアクスルハウジングに支架させるエンジンブラケットを介してエンジン62を搭載し、このエンジン62の後側にクラッチハウジングや、ミッションケース65等を一体的に連結し、このミッションケース65の最後部にリヤアクスルハウジング75を設けて、左右両側部に後輪63を軸装する。
また、前後進クラッチDの切替を手動で行う前後進切替レバー115をステアリングハンドルのポスト部分に設けている。
また、前記副変速ギヤ35と噛み合う副変速カウンタギヤ38の副変速カウンタ軸27を回転自在に支持すると共に、出力軸3から前輪取出ギヤ36を介して連動される前輪連動ギヤ51を有する前輪連動軸28を設け、この前輪連動軸28の前方延長軸芯上にはPTO減速ギヤ50を有するPTO減速軸23を設けている。さらに、前輪連動軸28の並行位置にPTO連動軸4を設け、該PTO連動軸4と同軸芯上前端部にPTO連動軸4を正転と逆転に切替えるPTO正逆切替ギヤ37のPTO正逆切替軸22と、PTO変速ギヤ32のPTO変速軸18を配置している。
図3の油圧回路図では左右の後輪63を独立して制動する左右のブレーキシリンダ83、前輪61へ伝達する動力を「等速」もしくは「増速」に切り換える四駆切換クラッチシリンダ99、ステアリングハンドル73の回転操作により作動するパワーステアリング装置103、PTOクラッチシリンダ104、PTOクラッチ圧力コントロール用バルブ105,106などが設けられている。なお、一点鎖線部分の回路101はメイン油圧回路(作業機昇降・作業機水平や外部油圧取出しなど)となり、サブ回路(走行・ブレーキ・デフロック・PTO側回路)とあまり関係がないため、回路図の図示を省略している。
同様に、上記及び下記油圧クラッチシリンダに供給される作動油はそれぞれの油圧クラッチシリンダへの入口側の油路に設けた圧力センサで検知できる構成になっている。
さらに、前輪駆動クラッチパック67のギア41の切替用の油圧シリンダ99には切替制御弁94を経て前記減圧弁81bを経由する作動油が供給される。
また図3に示す油圧ポンプ80からの油圧は、パワステアリングハンドル73の操作で作動されるオービットロール107に作動油を供給する構成である。
前後進ギア42,42の切替を前後進クラッチシリンダ85で行うが、前後進クラッチシリンダ85に供給する前進クラッチ圧力、後進クラッチ圧力をそれぞれ圧力センサ110,111で検出する。
前後進クラッチシリンダ85の油圧低下があると、エンジン動力が走行系に伝わらなくなるので、車両はそのまま走行停止する。しかし、原因要因が取り除かれると停止している車両が突然走り始めることになるので、本実施例では前記条件が成立すると強制的に前後進クラッチDを切ることで車両を停止させる。
このように、異常が発生したことと強制停止動作状態であることをオペレータに知らせ、前記した異常回避のための操作方法を表示部に表示することで異常を回避した走行継続が簡単に行えるようにする。
これは、異常が解消されても、その原因が完全に除去されていない場合があるため、車両を継続運転すると異常状態が再発する可能性があり、頻繁に異常表示することで修理・点検を促すためである。
すなわち、圧力(P2)を検出すると、オペレータの操作不良や調整不良で圧力(P2)以下になることも考えられるので、しばらくは走行可能な状態として作業を中断させないで走行を継続させ、それでも圧力が規定圧(P1)になると、初めて前後進クラッチ85を切って車両の走行を停止させる構成であるので、前後進クラッチ85に与えるダメージが早期発生する様な場合は強制的に停止させ、しばらく走行可能な場合とは区別することで異常発生時の作業の継続性に幅を持たせることができる。
異常発生があると、即座に前後進クラッチDのディスクが使用不能になるわけではないので、たとえば、規定時間(T1)を1秒間とするとき、規定時間(T2)を数秒〜数十秒の長い時間として、その間に異常の判定をすることで、誤検出やオペレータの癖による長めのクラッチ操作などが原因での異常表示を防止できる。
こうすることで、特異な異常状態が継続しているので、早期に点検等することをオペレータに促すことができる。
上記常時噛合式の変速装置の制御フローチャートを図5に示す。
3 出力軸 4 PTO連動軸
5 前輪出力軸 6 走行カウンタ軸
7 前輪駆動軸 8 バックカウンタ軸
9 PTOカウンタ軸 10 リヤデフ軸
11 後輪軸 12 フロントデフ軸
13 前輪軸 14 PTO軸
15,17 ギヤ駆動軸 18 PTO変速軸
19 主変速軸 20 副変速軸
21 クリープカウンタ軸 22 PTO正逆切替軸
23 PTO減速軸 24 PTO逆回転軸
25 前輪連動軸 26 入力軸
27 副変速カウンタ軸 28 前輪連動軸
31 入力ギヤ 32 PTO変速ギヤ
33 主変速ギヤ 34 高低速切替ギヤ
35 副変速ギヤ 36 前輪取出ギヤ
37 PTO正逆切替ギヤ 38 副変速カウンタギヤ
39 主変速カウンタギヤ 40 高低速切替ギヤ
41 前輪駆動切換ギヤ 42 前後進切替ギヤ
43 バックカウンタギヤ 44 PTO変速カウンタギヤ
45 リヤデフ 46 デフリングギヤ
47 フロントデフ 48 入力ギヤ
49 クリープカウンタギヤ 50 PTO減速ギヤ
51 前輪連動ギヤ 52 PTO逆回転ギヤ
53 ドライブピニオンギヤ 54 前輪連動ギヤ
55 前輪ギヤ 56 切替駆動カウンタギヤ
59 カウンタ軸 60 前後進切替クラッチパック
61 前輪 62 エンジン
63 後輪 65 ミッションケース
66 PTOクラッチパック 67 前輪駆動クラッチパック
73 ステアリングハンドル 75 リヤアクスルハウジング
76 クラッチパック 80 油圧ポンプ
81a,81b 減圧弁 82a ブレーキバルブ
82b 圧力制御弁 83 ブレーキシリンダ
84 作業機 85 前後進クラッチシリンダ
86 切替弁 89 変速制御弁
87,88,91,92 油圧クラッチシリンダ
93 変速制御弁 94 切替制御弁
95 ハイ・ロー油圧クラッチシリンダ
96a,96b 制御弁 97 デフロック制御弁
98a 前輪デフロックシリンダ 98b 後輪デフロックシリンダ
99 四駆切替クラッチシリンダ 100 制御装置
101 メイン油圧回路 103 パワーステアリング装置
104 PTOクラッチシリンダ
105,106 PTOクラッチ圧力コントロール用バルブ
107 オービットロール 110 前進側クラッチ圧力センサ
111 後進側クラッチ圧力センサ 115 前後進切替レバー
120 クラッチペダルセンサ 121 クラッチペダルスイッチ
129 オン・オフ制御弁 A 主変速装置
B ハイ・ロー変速装置 C 副変速装置
D 前後進クラッチ T トラクタ車体
Claims (2)
- エンジン(62)を設け、
該エンジン(62)からの動力を走行装置(61,63)に伝達する走行動力伝動系に摩擦伝動式の前後進クラッチ(D)を設け、
前記前後進クラッチ(D)の作動用シリンダ(85)の前進側又は後進側に供給する作動油の圧力を検出する圧力検出手段(110,111)をそれぞれ設け、
前記前後進クラッチ(D)の切替を手動で行う前後進切替レバー(115)を設け、
走行中に前記圧力検出手段(110,111)によって検出する作動油の圧力が所定時間(T1)以上にわたって設定値(P1)以下に低下した場合には異常状態と判定し、前記前後進クラッチ(D)の作動用シリンダ(85)への作動油の供給を断って前後進切替レバー(115)を中立位置にする操作と同じ出力をする制御装置(100)を設け、
前記前後進切替レバー(115)を中立位置に戻すことによって、前記異常状態の判定に基づく走行停止状態が解除される構成を有する走行動力伝動系を設け、
前記異常状態の表示を行う表示部と該表示部の異常表示を通常表示に切り替え可能な表示切替スイッチを設け、
前記制御装置(100)は、前記異常状態が解除されても前記エンジン(62)が停止するまで前記異常表示を継続し、異常表示を前記表示切替スイッチで通常表示に切り替え、且つ規定時間毎に異常状態が解消されていても異常表示を再現する機能と、前記圧力検出手段(110,111)によって検出する作動油の圧力が前記設定値(P1)より高い圧力設定値(P2:P2>P1)である判定基準以下で前記設定値(P1)よりも高い場合は前記異常表示のみを行い走行制御を継続する機能を有し、
前記二つの設定値(P1、P2)を作動油の油温によって変更可能な構成としたことを特徴とする作業車両。 - 前記前後進クラッチ(D)の作動用のクラッチペダルを設け、
前記制御装置(100)は、前記クラッチペダルの操作位置と連動して前記前後進クラッチ(D)の作動用シリンダ(85)の圧力をコントロールしており、且つ前記前後進クラッチ(D)の作動用シリンダ(85)の検出圧力がクラッチペダルによる指示圧力よりも高く、規定値(P1)以上、規定時間(T1)以上高くなっている場合に、その旨の異常表示をメッセージで表示部に表示する機能を有することを特徴とする請求項1記載の作業車両。
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