JP5549302B2 - 作業車両 - Google Patents

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Description

本発明は、農業用、建築用、運搬用等の作業機を連結した作業車両、特にトラクタなどの変速装置の制御装置を備えた作業車両に関する。
前後輪への動力伝達をアクチュエータの駆動により入り切り操作する前後進切替クラッチを備えたトラクタなどの作業車両では、前後進切替操作レバーを後進から前進に切り替えると直ちにエンジンの回転動力が前後輪に伝達されて車両が前進してしまうという不具合を防止する対応策を設けている例がある。例えば下記特許文献1には作業車両が後進から前進に切り替えられたときには、クラッチペダルの踏込操作を検出するまで前進用クラッチの動力伝達を「切」状態に保持しておき、前後進切替操作を完了しても車両を一旦停止させ、オペレータはハンドル操作や他の作業にかかる操作を確実に確認してから、任意のタイミングで車両を発進することができるようにした構成が開示されている。
特開2001−121985号公報
前記特許文献1記載の発明では、作業車両の前後進切替時に車両が一旦停止するため、オペレータは任意のタイミングで車両を発進させることができるが、作業車両の前進と後進の発進時におけるクラッチの動力伝達のための油圧の昇圧速度が同じであるので、オペレータによっては、車両の前進時の発進速度としてはふさわしくても、後進時の発進速度としては速すぎるなどの不具合が生じることがある。
そこで本発明の課題は、作業車両の前進と後進の発進時におけるクラッチの動力伝達のための油圧の昇圧速度をオペレータにとって適切なものにすることができ、オペレータの負担を軽減する変速装置の制御ができる作業車両を提供することである。
本発明の課題は、次の解決手段により解決される。
請求項1記載の発明は、エンジン(62)と、該エンジン(62)の動力が伝達されて作動する駆動輪(11及び/又は13)と、作業車両の進行方向を前後に切り替える前後進切替レバー(115)と、該前後進切替レバー(115)の操作により、駆動輪(11及び/又は13)を正転方向、停止及び逆転方向のいずれかに切り替える前後進切替装置(D)と、該前後進切替装置(D)の出力を駆動輪(11及び/又は13)に伝達又は非伝達するための油圧により作動されるアクチュエータ(85)と、該アクチュエータ(85)に対する作動油の油圧の程度により前後進切替装置(D)の出力を制御する油圧制御装置(100a)とを備えた作業車両において、前記油圧制御装置(100a)は、車両停止状態から前進又は後進する場合と前後進を交互に切り替える場合とで、アクチュエータ(85)が完全接続するまでの油圧切替経過時間(T)と出力油圧(P)との関係を異ならせる油圧制御部を備え、車両停止状態から前進又は後進する場合に比べて前後進を交互に切り替える場合は、アクチュエータ(85)が完全接続するまでの時間を短くすると共に、初期圧(T1)が作用した後の出力油圧(P)の値を高めに構成し、前記前後進切替レバー(115)の操作は、前進又は後進から離れるとき、中立位置、後進又は前進になるときの操作パターンがあり、前後進切替装置(D)の伝動下手側に、変速比の異なる2個のクラッチパック(76、76)から構成される主変速クラッチ(A)を設け、いずれか一方のクラッチパック(76)が接続する時は他方のクラッチパック(76)は接続しないが、前後進切替レバー(115)が前進又は後進から離れるときは、2個のクラッチパック(76、76)を同時に接続する構成としたことを特徴とする作業車両である。
請求項2記載の発明は、車速が規定値以上のときは、前後進切替レバー(115)が前進又は後進から離れるときに、前記主変速クラッチ(A)の2個のクラッチパック(76、76)を同時に接続しない構成としたことを特徴とする請求項1記載の作業車両である。
請求項1記載の発明によれば、車両停止状態から前進又は後進する場合と前後進を交互に切り替える場合とで、アクチュエータ(85)が完全接続するまでの油圧切替経過時間(T)と出力油圧(P)との関係を異なる構成とした。即ち、車両停止状態から前進又は後進する場合に比べて前後進を交互に切り替える場合は、アクチュエータ(85)が完全接続するまでの時間を短くすると共に、初期圧(T1)が作用した後の出力油圧(P)の値を高めに構成したので、前後進切替時、たとえば後進中に前後進切替レバー(115)が後進から離れるとき、後進側の慣性力を主変速クラッチ(A)で止めながら前進動作に移行することになり、応答性を早くすることができる。
また、前後進切替装置)の前後進を互いに切り替える場合は、停車時から駆動開始する場合より、前後進切替装置の圧力を、より早く、より高めに立ち上げられるようにすることで、停車時から発進する場合と前後進を互いに切り替える場合とを比較すると、どちらも進行方向に向かってほぼ同じような加速で走行するので、乗り心地が従来より向上する。
更に、前後進切替レバー(115)が前進又は後進から離れるときは、2個のクラッチパック(76、76)を同時に接続することで、前後進切替装置(D)にブレーキを掛けて前後進切替装置(D)の回転を早く止めるようにするため、前後進切替装置(D)を切り替える際の回転慣性力が発進に影響を与えないようにすることができる。
請求項2記載の発明によれば、 請求項1記載の発明の効果に加えて、車速が規定値以上のときは、前後進切替レバー(115)が前進又は後進から離れるときに、前記主変速クラッチ(A)の2個のクラッチパック(76、76)を同時に接続しない構成としたので、主変速クラッチ(A)に及ぼす影響を防止できる。
本発明の一実施形態のトラクタの左側面図である。 図1のトラクタのトランスミッション内の動力伝動図である。 図2の動力伝動図の油圧回路図である。 図1の変速装置の前後進動力入切用の油圧クラッチシリンダの構成図である。 図1のトラクタの制御ブロック図である。 図1のトラクタの運転席周辺の斜視図である。 図1のトラクタの前後進クラッチの圧力を、停車状態から前進又は後進する場合と前進と後進を切り替える場合でクラッチ切替経過時間(T)に対する圧力(P)の出力カーブを異なるようにしたことを説明する図である。 本発明の一実施形態のトラクタの動力伝動図の油圧回路図である。 図8のトラクタの制御ブロック図である。 本発明の一実施形態のトラクタのエンジンによるPTOの変速を行う動力伝達の構成図である。 図10に示す構成のトラクタの制御ブロック図である。
本発明の実施の形態について以下図面と共に説明する。なお、本明細書では作業車両の前進方向に向かって左右をそれぞれ左、右といい、前後をそれぞれ前、後ということにする。そして、本発明の実施の形態によれば、作業車両の一例である農業機械のトラクタを例として以下に説明する。
図1に示すように、トラクタはロータリ耕耘装置等の作業機(図示せず)を機体後部に構成している3点リンク機構により昇降可能に装着して対地作業を行うことができる。車体Tは、前端部にフロントアクスルハウジング(図示せず)を支架している車体フレームにエンジンブラケットを取り付け、このエンジンブラケットを介してエンジン62を搭載し、このエンジン62の後側にクラッチハウジングや、ミッションケース65等を一体的に連結し、このミッションケース65の最後部にリヤアクスルハウジング(図示せず)を設けて、左右両側部に後輪63を軸装する。
なお、図3の油圧回路図と図4の変速装置の前後進動力入切用の油圧クラッチシリンダの構成図で示す個々に説明していない部材は周知の部材であるので、それらの説明は省略する。図2には、図1のトラクタのトランスミッション内の動力伝動図を示す。
エンジン62は後側に突出のエンジン軸1を有し、このエンジン軸1をクラッチハウジング部の入力軸2に連結する。ミッションケース65内の伝動機構を介して後端部の出力軸3及びPTO軸14を連動すると共に、ミッションケース65の下部に設けた前輪出力軸5を連動する構成としている。この出力軸3はミッションケース65内の後部の略中央部において前後方向に沿うように軸受されて後端にドライブピニオンギヤ53を有し、リヤデフ45のデフリングギヤ46に噛合し、リヤアクスルハウジングに沿って軸装されたリヤデフ軸10と後輪軸11を遊星減速機構を介して連動する。また、前輪出力軸5はミッションケース65の下部からエンジン62の下部を経て、フロントアクスルハウジングの中央部に設けられるフロントデフ47の入力軸26に連結され、このフロントアクスルハウジングに沿って軸装されるフロントデフ軸12及び遊星減速機構等を介して前輪軸13へ連動する構成としている。なお、入力軸2から油圧ポンプ80(図3)への動力取り出し用のギヤ駆動軸15,17が入力軸2に並列配置されている。
図2に示すトランスミッションの噛合式変速装置は、エンジン軸1によって駆動される入力軸2から入力ギヤ31に連動されるPTO変速カウンタギヤ44を有するPTOカウンタ軸9上にPTOクラッチパック66を設けている。PTOクラッチパック66や入力ギヤ31などからなるPTOの動力伝達部の構成をPTOクラッチEということにする。
また入力軸2には前後進切替用の前後進切替ギア42、42が遊転状態に設けられ、一方の後進側の前後進切替ギア42には入力軸2と並列配置されたバックカウンタ軸8に設けられたバックカウンタギア43が噛合し、他方の前進側の前後進切替ギア42には主変速軸19上に固定した入力ギヤ48と該主変速軸19上に遊転自在に設けた有効径の異なる4つの主変速ギヤ33を設ける。これら4つの主変速ギヤ33は、四段変速に構成され、クラッチパック76によって切替シフトされ、4つの主変速ギヤ33から構成される変速装置を主変速クラッチAということにする。
前記主変速軸19上には、前記主変速クラッチAの4つの主変速ギヤ33のうち、最も有効径の小さい主変速ギヤ33(第1速用)と3番目に有効径の小さい主変速ギヤ33(第3速用)との間にクラッチパック76を固定して設け、2番目に有効径の小さい主変速ギヤ33(第2速用)と最も有効径の大きい主変速ギヤ33(第4速用)との間にクラッチパック76を固定して設ける。前記2つのクラッチパック76には、各主変速ギヤ33を主変速軸19と一体回転するように連結する摩擦クラッチが各々設けられている。
また、前後進切替ギヤ42の前進側のギヤと噛合可能な入力ギヤ48は、前後進切替ギヤ42の後進側のギヤともバックカウンタ軸8上のバックカウンタギヤ43と噛合っており、該前後進切替ギヤ42のうちの前進側のギヤ42と後進側のギヤ42とを、前後独立した摩擦クラッチから成る2つの前後進切替クラッチパック60の切替によって択一的に入力軸2と一体化して、前進走行と後進走行とに切替えられる構成である。後述する油圧シリンダ85(図3)を含めこれらギヤ42とクラッチパック60などからなる構成を前後進油圧クラッチDということにする。
また、前後進油圧クラッチDの切替を手動で行う前後進切替レバー115(図6)をステアリングハンドル73のハンドルポストの左側部分に設け(右側にはアクセルレバーやウインカレバー等がある。)、クラッチぺダル119はハンドルポスト左側の足下に設けている。またハンドルポスト右側の足元には、ブレーキペダル174とアクセルペダル175がある。
主変速軸19と同軸芯位置に設けられた副変速軸20にはクラッチパック76によって切替シフトされる有効径の異なる2つの高低速切替ギヤ34が設けられており、主変速後の駆動力を更に減速して高速と低速とに切り替えることができる。この高速と低速とに切り替え可能なギア構成をハイ・ロー変速クラッチBということにする。
さらに副変速軸20と同軸上には有効径の異なる3つの副変速ギヤ35を有する出力軸3が配置されている。出力軸3は副変速ギヤ35により三段変速する構成としている。この三段変速可能なギヤ35の構成を副変速ギア伝動機構Cということにする。
また、副変速ギヤ35に噛合するクリープカウンタギヤ49を備えたクリープカウンタ軸21が出力軸3に並列位置に設けられている。また主変速ギヤ33や高低速切替ギヤ34等と噛合する主変速カウンタギヤ39と高低速切替ギヤ40を有する走行カウンタ軸6が主変速軸19や副変速軸20と並列位置に配置されており、主変速軸19から伝動される回転が主変速ギヤ33で変速されて、その回転が主変速カウンタギヤ39と高低速切替ギア40を順次経由して副変速軸20に設けられた高低速切替ギヤ34に伝達される。高低速切替ギヤ34に伝達された動力はクラッチパック76を介して副変速軸20上に設けた副変速ギヤ35による変速機構を介して出力軸3に伝達される。
この走行動力伝達系では、PTO正逆切替ギヤ37機構を備えたPTO連動軸4を回転する伝動形態である正逆転PTOを設けている。
また、前記副変速ギヤ35と噛み合う副変速カウンタギヤ38の副変速カウンタ軸27を回転自在に支持すると共に、出力軸3から前輪取出ギヤ36を介して連動される前輪連動ギヤ51を有する前輪連動軸28を設け、この前輪連動軸28の前方延長軸芯上にはPTO減速ギヤ50を有するPTO減速軸23を設けている。さらに、前輪連動軸28の並行位置にPTO連動軸4を設け、該PTO連動軸4と同軸芯上前端部にPTO連動軸4を正転と逆転に切替えるPTO正逆切替ギヤ37のPTO正逆切替軸22と、PTO変速ギヤ32のPTO変速軸18を配置している。
また、PTO正逆切替ギヤ37と噛合するPTO逆回転カウンタギヤ52を有するPTO逆回転カウンタ軸24が前記PTO正逆切替軸22の側部に設けられ、PTOクラッチパック66の入りによって、入力軸2からPTO変速ギヤ32、PTO変速カウンタギヤ44及びPTO正逆切替ギヤ37等を介してPTO正逆切替軸22へ動力が伝動するように構成している。前記正逆切替ギヤ37は前記PTO変速ギヤ32と同形態のクラッチリングを用いる形態としている。このPTO正逆切替軸22の側方にはPTO逆回転カウンタギヤ52を有する逆回転カウンタ軸24を設け、PTO逆回転カウンタギヤ52は、PTO減速ギヤ50からの連動を受けてPTO正逆切替ギヤ37を逆回転することができる。なお、前記PTOカウンタ軸9の後方に減速軸23が配置される。
更に、ミッションケース65内の下段部に配置された前輪出力軸5は、ミッションケース65の後部底部に軸装されて、前輪連動軸25やカップリング等を介して前記フロントデフ47の入力軸26へ連結する。この前輪出力軸5の横側には前輪駆動軸7が配置されている。前輪駆動軸7の後端には前輪ギヤ55が設けられている。また、前記出力軸3の後端部の前輪取出ギヤ36に前輪連動軸28上の第1の前輪連動ギヤ51が噛合し、該第1の前輪連動ギヤ51を介して前輪連動軸28に伝達される出力軸3の駆動力は、前輪連動軸28と一体回転する第2の前輪連動ギア54に伝達されて、該前輪連動ギア54から前輪駆動軸7に伝達される。
また前輪駆動クラッチパック67を前輪駆動軸7上に設け、この駆動軸7の前端部から前輪出力軸5へギヤ連動する。また、有効径の異なる2つの前輪駆動切替ギヤ41が前輪駆動クラッチパック67の左右に配置されており、該2つの前輪駆動切替ギヤ41は、カウンタ軸59に設けた有効径の異なる2つの切替駆動カウンタギヤ56に各々噛み合わされ、前輪駆動クラッチパック67を択一的に接続することにより、2つの減速比のうちのいずれか一方の減速比で前輪駆動軸7を駆動することができる。
前輪駆動クラッチパック67を中立位置にシフトするときは前輪61を駆動させない後輪駆動の二駆形態とし、この前輪駆動クラッチパック67を油圧操作によって切り換えて低速位置にシフトするときは前輪61を後輪63に対して約1倍の等速駆動させる四駆形態とし、また、この前輪駆動クラッチパック67を油圧操作によって切り換えて高速位置にシフトするときは前輪61を後輪63に対して約2倍に増速駆動させる四駆形態とすることによって走行することができる。
上記構成からなる噛合式変速装置により、エンジン62の回転動力は主クラッチを構成する前後進油圧クラッチDを経由して4段の変速段からなる主変速クラッチAと2段の変速段からなるハイ・ロー変速クラッチB及び3段の変速段からなる副変速ギア伝動機構(副変速装置)Cで合計24段のうちのいずれかの変速段に変速され、得られた回転動力はリヤデフ45を経て後輪63が駆動される。また、前記副変速ギア伝動機構Cで変速された回転動力は前輪駆動クラッチパック(二駆四駆切替クラッチ)67にも伝達され、該クラッチパック67により前輪61が「等速」もしくは「増速」に切り換えられた後、フロントデフ47を経て前輪61が駆動される。
また、PTO変速ギヤ32、走行系の主変速ギヤ33、高低速切替ギヤ34及び副変速ギヤ35等を、ドライブピニオンギヤ53を有する出力軸3の軸芯上に沿って配置する構成とする。走行系の伝動は、入力軸2から出力軸3の軸芯上に配置される主変速ギヤ33、高低速切替ギヤ34及び複変速ギヤ35等を介してドライブピニオンギヤ53へ多段変速連動される。また、PTO系の変速は、この出力軸3の軸芯上の前端部に設けられるPTO変速ギヤ32を介して連動される。
次に図3には主に図2の動力伝動図に示しているクラッチ類の油圧回路図を示す。
図3の油圧回路図では左右の後輪63を独立して制動する左右のブレーキシリンダ83、前輪61へ伝達する動力を「等速」もしくは「増速」に切り換える四駆切換クラッチシリンダ99、ステアリングハンドル73の回転操作により作動するパワーステアリング装置103、PTOクラッチシリンダ104、PTOクラッチ切替弁105、PTOクラッチ比例圧力制御弁106などが設けられている。なお、メイン油圧ポンプ80aからの一部の送油を用いて、一点鎖線部分の回路(作業機昇降・作業機水平や外部油圧取出しなど)101を作動し、サブ油圧ポンプ80bからの送油を用いてパワーステアリング装置のサブ回路103を作動しているが、本明細書では、そのための回路図の図示を省略している。
メイン油圧ポンプ80aから吐出した作動油は、減圧弁81aを介して主変速クラッチAの第4速用と第2速用の各ギア33をクラッチパック76を介してそれぞれ作動させる油圧クラッチシリンダ88と油圧クラッチシリンダ87を切り替える主変速(2−4)クラッチ比例圧力制御弁(2−4速昇圧ソレノイド)89に供給され、さらに主変速クラッチAの第1速用と第3速用の各ギア33をそれぞれ作動させる油圧クラッチシリンダ91と油圧クラッチシリンダ92を切り替える主変速(1−3)クラッチ比例圧力制御弁(1−3速昇圧ソレノイド)93に供給される。
減圧弁81aを経由する作動油は、前後進クラッチシリンダ85のオン・オフ制御弁129を介して前後進クラッチシリンダ85の前進側と後進側の油圧クラッチDを切り替える切替弁86(前進ソレノイド86F,後進ソレノイド86R)に供給される。該前後進クラッチシリンダ85の前進側と後進側の油圧クラッチDのいずれに作動油が供給されているかは前進側クラッチ圧力センサ110(図5)と後進側クラッチ圧力センサ111(図5)で検出できる。また、前・後進クラッチDの油圧を昇圧するための前後進昇圧ソレノイド90を設けている。
そして、同様に、上記及び下記油圧クラッチシリンダに供給される作動油はそれぞれの油圧クラッチシリンダへの入口側の油路に設けた圧力センサ(例えば油圧クラッチAの第1速用から第4速用までの圧力センサ145a〜145dやPTOクラッチEの圧力センサ146など(図5))で検知できる構成になっている。
また、メイン油圧ポンプ80aから吐出した作動油は、減圧弁81bを介してブレーキバルブ82aを経由して左右のブレーキシリンダ83に分岐供給される。前記ブレーキバルブ82aは後輪63を選択する切替制御弁であり、該ブレーキバルブ82aはブレーキ力を調整する圧力制御弁82bと一体構成となっている。
さらに、減圧弁81bを経由する作動油は、前記第1速〜第4速用の各ギア33で変速された速度を「高速」と「低速」の二つのギヤ40のいずれかにクラッチパック76を介して作動させるハイ・ロー油圧クラッチシリンダ95を切り替えるための制御弁96a,96bに供給される。
また、減圧弁81bを経由する作動油は、デフロック制御弁97を経てフロントデフ47用の前輪デフロックシリンダ98a及びリアデフ45用の後輪デフロックシリンダ98bに分岐される。
さらに、前輪駆動クラッチパック67のギア41の切替用の油圧シリンダ99には切替制御弁94を経て前記減圧弁81bを経由する作動油が供給される。
同様に、減圧弁81bを経由する作動油は、PTO用バルブ105,106を介してPTOクラッチシリンダ104に供給され、PTOクラッチEの圧力を調整する。
また図3に示すサブ油圧ポンプ80bからの油圧は、パワステアリングハンドル73の操作で作動される操舵分流装置107に作動油を供給する構成である。
図4には、前後進ギア42,42の切替を行う前後進クラッチシリンダ85の断面構成図を示す。
シリンダ85の前後一対のシリンダ85F、85R内には流入する作動油(オイル)によりそれぞれ作動するピストン78F、78Rと該ピストン78F、78Rの作動で互いに接触する複数組の摩擦板からなる前後進切替クラッチパック60、60がそれぞれ設けられている。
クラッチペダル119の非操作時であり、且つ前後進切替レバー115が前進又は後進のいずれかに操作されていると、前進と後進用のいずれかのシリンダ85F、85R内にオイルが流入してピストン78F又は78Rが作動状態であり、前後進切替クラッチパック60、60が接続状態となり、エンジン動力が変速装置24内の前進側の駆動機構又は後進側の駆動機構に伝達される。クラッチペダル119が非操作状態であっても、前後進切替レバー115が中立位置であれば前進と後進用のいずれのシリンダ85F、85Rにもオイルは流入しないので、機体は前後進しない。
また各シリンダ85F、85R内にはリターンスプリング(圧縮スプリング)77F、77Rが設けられており、該リターンスプリング77F、77Rはそれぞれ前進、後進クラッチパック60、60の接続状態を解除する側に付勢される。したがって、足踏み式ペダルであるクラッチペダル119を操作するとシリンダ85F又は85R内のオイルが流出して、リターンスプリング77F又は77Rの付勢力でピストン78F又は78Rが戻し方向に移動し、該前進又は後進用のクラッチパック60の接続状態が解除される。このような現象は、前後進切替レバー115が前進又は後進のいずれかに操作されている状態でクラッチペダル119を踏むと起きる。また、クラッチペダル119を踏まなくても、前後進切替レバー115が前進又は後進のいずれかに操作されている状態から中立位置に操作されると起きる。
図5は、コントローラ(制御装置)100a〜100cへの制御信号の入出力を示すブロック図であり、走行速度を制御する走行系コントローラ100aとエンジン62の出力を制御するエンジンコントローラ100bと作業機の昇降を制御する作業機昇降系コントローラ100cが通信回線で連結され、制御信号を交信している。
まず、走行系コントローラ100aには、前記した主変速クラッチAの摩擦クラッチの各クラッチの入/切情報が変速1クラッチ圧力センサ145aと変速2クラッチ圧力センサ145bと変速3クラッチ圧力センサ145cと変速4クラッチ圧力センサ145dから入力され、ハイ・ロー変速クラッチBの入/切情報がHiクラッチ圧力センサ113とLoクラッチ圧力センサ114から入力し、前後進クラッチDのクラッチパック60の入/切情報が前進クラッチ圧力センサ110と後進クラッチ圧力センサ111から入力され、前後進クラッチDを変速操作する前後進レバー115の変速位置を検出する前後進レバー操作位置センサ115aと副変速レバー179の変速位置を検出する副変速レバー操作位置センサ179fから変速位置情報が走行系コントローラ100aに入力される。
さらに、走行系コントローラ100aには、ミッションケース65内のオイル温度がミッションオイル油温センサ147から入力され、クラッチペダル操作位置センサ119aからクラッチペダル119の位置が入力され、前輪61,61の回転数を検出する前輪駆動軸回転数センサ112a(図2)及び後輪63,63の回転数を検出する後輪駆動軸回転数センサ112b(図2)からは各車輪61,63の駆動軸回転数が入力される。また、後述する4WD・2WD切換スイッチ(4WD(前輪、後輪とも駆動状態)と2WD(後輪のみ駆動状態)の切換スイッチ)185からは、選択された駆動状態の情報が図示しないセンサから入力され、前輪駆動クラッチパック(二駆四駆切替クラッチ)67により2駆と4駆の切り替えが行われる。
また、前輪切れ角センサ(前輪操舵角度検出手段)116とはステアリングハンドル73の旋回(操舵)作動に対応する前輪61,61の操舵角度(旋回角度)を検出するセンサであり、前輪切れ角センサ116からは前輪61,61の操舵角度(ステアリングハンドル73の旋回、操舵角度に対応)が入力される。
さらに、走行系コントローラ100aには、アクセル変速設定スイッチ(後述するATシフト路上スイッチ199,ATシフト作業スイッチ200のことである)からアクセル変速情報(後述する自動変速(オートドライブ)が設定されているか否かの情報である)が入力され、主変速増減速操作スイッチ192a、192bから設定情報が入力され、アクセルペダル175の踏み込み位置(作業時の場合はアクセルレバー176の操作量)を検出するアクセルポジションセンサ175aからアクセル設定情報が入力され、アクセル微調整レバー153(図5、図6)から設定情報が入力される。アクセル微調整レバー153は跳ね返り式押しスイッチであり、押す度に段階的に調整値が変化する。
走行系コントローラ100aから出力される制御信号は、前後進クラッチDのクラッチパック60を作動させる油圧バルブ86の前後進切換ソレノイド86F,86Rへの切換信号とリニア昇圧ソレノイド90(前後進昇圧ソレノイド)への切換昇圧信号とクラッチソレノイド129a(オン・オフ制御弁129のソレノイド)への中立作動信号、主変速(1−3)クラッチ比例圧力制御弁93の1−3速切換ソレノイド93aへの切換信号と1−3速昇圧ソレノイド93bへの昇圧信号、主変速(2−4)クラッチ比例圧力制御弁89の変速2−4切換ソレノイド89aへの切換信号と変速2−4昇圧ソレノイド89bへの昇圧信号、ハイ・ロー油圧クラッチシリンダ95(図3)を切り替えるための油圧バルブのHiクラッチ切換ソレノイド96aとLoクラッチ切換ソレノイド96bへの高・低切換信号である。また、前輪61,61を駆動、速度調整するための前輪増速4WDソレノイド121や前輪等速4WDソレノイド122への作動信号などである。
エンジンコントローラ100bに入力される情報信号は、エンジン排気温度センサ164からの排気温度と、エンジン回転センサ165からの回転数と、エンジンオイル圧力センサ166からのオイル圧力と、エンジン水温センサ167からの冷却水温度と、レール圧センサ168からのコモンレール圧で、エンジンコントローラ100bから出力される制御信号は、燃料高圧ポンプ169への加圧信号と各高圧インジェクタ170への燃料噴射信号である。
作業機昇降系コントローラ100cに入力される情報信号は、作業機の位置を調整するためのポジションコントロールレバー190からの作業機の位置情報と、リフトシリンダ(図示せず)のリフトアームセンサ161からのアーム位置情報と、作業機の上げ位置を規制するための上げ位置規制ダイヤル(上げ調整ダイヤル)183の規制位置情報、及び作業機の下げ速度を規制するための下げ速度調整ダイヤル(下げ速度ダイヤル)197の下げ速度情報であり、作業機昇降系コントローラ100cから出力される制御信号は、左右リフトアーム(図示せず)を作動させる油圧シリンダ用バルブのメイン上昇ソレノイド171aとメイン下降ソレノイド171bへの昇降信号である。
メータパネル213には各センサの検出情報やスイッチの設定情報が表示され、スイッチボックス180(図6)を含む操縦席16シート周辺の操作パネル181で各種の設定信号が入力される。
なお、図6に示すように操縦席16の右側には、エンジン回転数記憶スイッチ177a、177b、サブコントロールレバー178a、178b、副変速レバー179、レバーガイド179a、スイッチボックス180、ドラフト比調整ダイヤル182、上げ位置規制ダイヤル183、傾き調整ダイヤル184、4WD切替スイッチ185、手動上げ下げスイッチ186、PTO入り切りスイッチ187、PTO手動自動スイッチ188、デフロックスイッチ189、作業機ポジションレバー190、昇降用スイッチ(作業機昇降スイッチ)191、主変速増減速スイッチ192a,192b、シガーライター194が配置されている。
本実施例の作業車両の特徴は、図7に示すように前後進クラッチDの圧力を、停車状態から前進又は後進する場合と、前進状態から後進への切り替え及び後進状態から前進状態への切り替えの場合でクラッチ切替経過時間(T)に対する圧力(P)の出力カーブを異なるように構成したことである。
一般に前後進状態を交互に切り替える場合と停車から発進(前進又は後進)する場合では、車両の慣性が異なり動き始めるトルク(前後進クラッチ圧力)が異なる。したがって、前後進状態を交互に切り替える場合と停車から発進(前進又は後進)する場合で同じようなフィーリング(進行方向への加速度)で発進するために図7に示すようにそれぞれの場合に対応した異なる経過時間に対する圧力カーブが必要となる。
図7には停車時からの発進又は前後進切替時に機体の転がり(機体が動いている状態)が無い時を実線で示し、前後進切替時の発進又は前後進切替時に機体に転がりがある時を破線で示す。なお実線で示す圧力線は、その初期段階では前後進クラッチDのクラッチパック60内のディスク板が初期接触するまでのピストン78F又は78R(図4)の移動時間(T1)での圧力線を表し、それ以後は時間の経過と共に前後進クラッチDのクラッチパック60内のディスク板同士が完全接続(完全密着)するまでの昇圧時間T2(前後進切替時の発進又は前後進切替時に機体に転がりがある時)と昇圧時間T3(停車時からの発進又は前後進切替時に機体の転がりが無い時)に対応する圧力線を示す。
図7に示すように前後進切替時の発進又は前後進切替時に機体に転がりがある時には前後進クラッチDの破線で示す圧力(P)を停車時発進又は前後進切替時に機体の転がりが無い時の前後進クラッチDの実線で示す圧力(P)に比べて早めに(昇圧時間T2;T2<T3)完全接続することである。
また、同一時間経過後でも点線の場合は実線の場合より高い圧力であり、さらに、完全接続するまでの時間が点線の方が実線の方より早い。これにより、前後進切替時、たとえば後進中に前進に切り替えた場合には後進側の慣性力を前進クラッチDで止めながら前進動作に移行することになり、応答性良く切り替えできる。
図7に点線で示すように前記前後進クラッチDを前後進を互いに切り替える場合は、停車時から駆動開始する場合より、前後進クラッチDの圧力を早めにより高く立ち上げられるようにしてもよい。すなわち、前後進クラッチDを前後進を互いに切り替える場合は、前後進クラッチDのピストン78F,78Rの回転慣性力を反対方向に回転させる必要があり、駆動トルクが大きく必要であるので上記のような構成にすることで、安定してスムーズな変速ができる。このようにして、停車時から発進する場合でも前後進を交互に切り替える場合でも、略同じ加速度とすることで同じような発進性を再現することができるようになった。
作業車両が転がり状態(例えば停車していても坂道などで車輪が転がっている場合など駆動力が無い状態で、前後に車両が移動する状態)が継続している場合は、作業車両を停止また逆向きに転がすためには、転がり動力に打ち勝つトルクで前後進クラッチDを作動させる必要がある。また車両の転がりがほとんどない状態の場合は、前後進クラッチDの切り替え操作時間の長さによるが、クラッチシリンダ85の回転慣性力の影響分を圧力補正する必要がある。すなわち、前後進を交互に切り替える場合において、これから進行しようとする方向と逆方向に機体が動いている場合には、前後進クラッチDの圧力を高めにすることで、停車時から発進する場合に比べて加速度が低くなることを防止する。
そこで、図7に示す前後進クラッチDの油圧(P)と該クラッチDの切替経過時間(T)の関係に示すように、作業車両の転がり状態を車速センサ(駆動軸回転数センサ112a,112b)で監視しておき、前後進クラッチDを切り替え操作した際、作業車両の転がりがある場合と転がりがない場合とで、前後進クラッチDの切替操経過時間が短い場合などの条件により前後進クラッチDの駆動圧力をコントロールする。こうして、少なくとも作業車両の慣性力に打ち勝つ場合と前後進クラッチDの回転慣性力の影響を考慮する場合とこれらを考慮しない場合で異なる前後進クラッチDの圧力が得られるようにすることで条件にあった適正な駆動ができる。
また、走行トランスミッションの構成において、前後進クラッチDの切り操作と連動して下流側の主変速(2−4速)クラッチAの比例制御弁89と主変速(1−3速)クラッチAの比例制御弁93を同時に作動させて前記2つの主変速クラッチAの各クラッチパック76,76(以下、これを単に「主変速クラッチA」と記すことがある。)を一瞬、二重噛みさせ、1速と2速又は4速を接続するか、3速と2速又は4速を接続することでメカロックとさせ、前後進クラッチDにブレーキを掛けて該前後進クラッチDの回転を早く止めるようにした。
これは、図2に示すトランスミッションの構成の場合、前後進クラッチDを切り替えた際、該前後進クラッチDの回転が反転することになり、その回転慣性力が発進に影響するので、前記回転慣性力が発進に影響を与えないようにするためである。
例えば、前進10km/hrで走行中に、後進10km/hrに切り替えた時、前記2つの主変速クラッチAを2重噛みさせて、一瞬メカロック状態にしてブレーキを効かす。こうして、前後進切替レバー115が前進位置から離れるときに、常に前後進クラッチDにブレーキを与える操作をするようにしておくことで、いつも同じような走行性能が発揮できる状態になる。すなわち、前後進切替レバー115による前後進クラッチDを切り操作すると、前進位置から離れるときと、中立位置を通過するときと、後進位置になるときの3つのパターンが考えられるが、上記操作例では前進位置からの切り操作に連動するので前進位置から離れる場合に対応している。
前後進クラッチDの切替操作(前後進レバー115が前進位置から後進位置になる操作)に連動して2つの主変速クラッチAのクラッチパック76,76を2重噛みさせる構成において前後進切替レバー115の操作を素早くして前後進クラッチDを切り替えた際は、前後進クラッチDが中立位置にある時間が短く、ブレーキ時間確保(前述のメカロック状態)のため、前後進クラッチDの切り替え時に反対方向の出力を一旦、約0.2〜3秒待つ出力ディレーを設けて、前記2つの主変速クラッチA、Bの2重噛み時間を長くするようにし、前後進クラッチDが中立になる時間を確保するようすると、2重噛みした主変速クラッチAによるブレーキ効果が確実に行え、発進フィーリングが安定する。
また、前進又は後進状態を前後進切替レバー115で切り操作すると、前後進クラッチDは切り操作(前後進の切替操作ではない)となり、前後進クラッチDの油圧を抜き始めて切り状態となる。これに連動した主変速クラッチAのクラッチパック76,76の2重噛み中は、ハイ・ロー変速クラッチBのクラッチパック76を切り操作し、主変速軸19の後車軸11との連携を絶つようにしおく構成にしても良い。
主変速クラッチAのクラッチパック76,76の2重噛みは、ハイ・ロー変速クラッチBを介して後輪63と直結しているので、走行カウンタ軸6を停止する方向にブレーキを掛けるため、走行状態によっては車両に急ブレーキを掛けることになる。従って、前後進クラッチDの切り操作と連動して主変速クラッチAのクラッチパック76,76が2重噛みする場合は、ハイ・ロー変速クラッチBをフリーにしておくことで、車両の急な停止などの挙動が出ないようにする。
また、このとき、車速が規定値(約2km/h)以上速い場合、例えば15km/hrで走行中は、前後進クラッチDの切り操作があっても主変速クラッチAの2重噛みを行わない構成にする。これは、車両の車速が速い場合には機体の慣性力も大きなものになるため、前記切り操作が行われると車両に対してはブレーキを掛けるような状態となる。すなわち前後進クラッチDを切りしても圧力損失による残圧がありブレーキトルクが伝達される。これは、ブレーキを掛けている主変速クラッチAに対しダメージを与えることになるため、高速走行時において前後進クラッチDの切り操作があっても前記主変速クラッチAのブレーキ制御を実施しないようにして走行安全性を保つことが重要である。このように前後進クラッチDの残圧により発生するトルクが、メカロックしている主変速クラッチAに及ぼす影響が大きくなるために、所定速度以上では主変速クラッチAを2重噛みさせないようにする。
図8と図9にそれぞれ示す油圧回路図と制御ブロック図を有する本発明の他の実施例のトラクタでは、図3と図5にそれぞれ示すトラクタの油圧回路図とトラクタの制御ブロック図における作業機昇降系の油圧回路に使用するメイン油圧ポンプモータM1とサブ油圧ポンプモータM2の他に走行系ミッションの油圧ポンプを作動するモータM3とクラッチ潤滑系油圧ポンプを作動するモータM4を備えている。
従来はトランスミッション内の走行系の油圧ポンプはエンジン駆動とする構成であり、エンジン作動中は、油圧ポンプは回されており、油圧力が必要ない場合でも油圧回路中を潤滑油を循環させるためにアンロード分の油圧を維持するためにエンジンに余分の負荷が掛かっていた。
そこで図8と図9にそれぞれ示すトラクタの油圧回路図と制御ブロック図を用いるトラクタの油圧装置にあっては、耕耘装置などの作業機の昇降や走行系トランスミッションの油圧クラッチなどを駆動するための油圧ポンプは、油圧ポンプの駆動の必要があるときにのみ、モータM1〜M4の中の必要なモータのみを作動させる制御を行う構成とした。このとき、制御コントローラは図9に示すそれぞれモータM1,M2及びモータM3,M4で別個に制御すると、通信回線を介すことがないため、応答性良く駆動できる。
また上記油圧ポンプ用モータM1〜M4を各々の独立して駆動制御できるようにすることが望ましい。また、このように油圧ポンプ用モータM1〜M4を各々独立して駆動制御するために、油圧力を必要とするかどうかの判定をする。前記各電気モータM1〜M4の駆動の有無の判断は、油圧回路内のアクチュエータを作動させるか否かで判断する。油圧回路内のアクチュエータの作動は、例えば、前後進用のクラッチDを作動させるときには図8の走行系ポンプモータM3を駆動させなくてはならないので、前後進切替レバー115の操作に基づいてモータM3を駆動することになる。また、前後進クラッチを潤滑させるために、同時に潤滑ポンプ駆動用モータM4も駆動させることになる。こうして、本実施例により送油が不要な部位にはオイルの送油をしないので、馬力ロスがなく省エネルギー効果がある。
ただし、走行系のトランスミッション作動用の油圧ポンプについては、エンジン駆動とする構成とすることが望ましい。これは、車両走行中は、ほとんど油圧力により走行系のクラッチを動作させているため、モータM1〜M4を駆動させるメリットが少なく、モータM1〜M4を介してポンプを動かすことのロスが発生することになるためである。従って、走行系については、エンジン動力を利用する構成にすることで、ロス低減になる。
また、図10に示す構成は図2に示すPTO軸14を変速するための別実施例であり、図11の制御ブロック図に示すようにPTOの同一変速位置でPTO回転数を標準と高速の2段階に電気的に切り換え可能に構成している。図10の実施例では、PTO変速2ではメカ的な2段速があり、このメカ的な2段変速はレバーで行うが、図10のPTO変速1では電気的に変速可能(標準と高速)としているので、PTO軸14は1速〜4速まで変速できる。
このような構成において、省エネモードスイッチ120を設け、省エネモードスイッチ120がオンの時にはPTO回転数を切り替えて省エネ作業を行う構成としても良い。そのため、例えば省エネモードスイッチ120をオンにすると、予め定めている(記憶している)省エネのエンジン回転数を有効にする。このとき、スロットルレバーの指示位置のエンジン回転数が省エネのエンジン回転数よりも高い場合は、省エネのエンジン回転数にする。ところが、エンジン回転数を下げるとPTO軸14の回転も下がってしまうために、PTO軸14を電気的に高速にする。こうして、PTO軸14を電気的に高速側に変速する構成にすると、オペレータの設定したPTO回転数や車速を保ちながら省エネルギー運転ができるので、高精度作業と省エネルギーが両立できる。
また、大きな負荷のためにアクセルを全開しており、省エネエンジン回転数にできない場合は、車速を落として負荷を下げる。車速を落とすとPTO軸14の回転も追従して高速から標準(高速よりも低い)になるようにする。
また、省エネモードスイッチ120をオンすると、すぐに省エネのエンジン回転数にするのではなく、先ず、運転者が予め設定しているエンジン回転等で作業を行う。そして、この回転数が省エネのエンジン回転数よりも低い場合は能率が落ちてしまうため、エンジン負荷が所定値よりも低い場合に限って、主変速を高速にする。これはエンジン負荷が所定値よりも高い場合に車速を上げると、エンストするので、それを防ぐためである。
さらに、省エネモードスイッチ120をオンすると、エンジン回転数を省エネのエンジン回転数(回転数は低くなる。)にし、このためPTO回転数を維持するためにPTOを高速側に切り換え、主変速も高速側に切り換える。こうして車速を上げることにより省エネルギー運転が可能になる。
また、省エネルギー運転に移るとランプあるいは液晶等のモニタ121に省エネルギー運転中であることを表示させる構成とすることで、省エネルギー運転状態であることがオペレータに容易に分かるのでエンジン回転数が変わった時の違和感をなくすと共に省エネルギーの意識向上につながる。
また、時間当たりの燃料消費量を計算可能にし、通常運転時と省エネルギー運転時の時間当たりの燃料消費量を比較できるよう液晶等のモニタに表示する構成にすると、省エネルギー運転の効果がよく分かるようになる。
本発明は、トラクタなどの作業車両の操作性を良くすることができ、農業用、建築用、運搬用等の様々な作業車両に利用できる。
1 エンジン軸 2 入力軸
3 出力軸 4 PTO連動軸
5 前輪出力軸 6 走行カウンタ軸
7 前輪駆動軸 8 バックカウンタ軸
9 PTOカウンタ軸 10 リヤデフ軸
11 後輪軸 12 フロントデフ軸
13 前輪軸 14 PTO軸
15,17 ギヤ駆動軸 16 操縦席
18 PTO変速軸 19 主変速軸
19 主変速軸 20 副変速軸
21 クリープカウンタ軸 22 PTO正逆切替軸
23 PTO減速軸 24 PTO逆回転軸
25 前輪連動軸 26 入力軸
27 副変速カウンタ軸 28 前輪連動軸
30 アームレスト 31 入力ギヤ
32 PTO変速ギヤ 33 主変速ギヤ
34 高低速切替ギヤ 35 副変速ギヤ
36 前輪取出ギヤ 37 PTO正逆切替ギヤ
38 副変速カウンタギヤ 39 主変速カウンタギヤ
40 高低速切替ギヤ 41 前輪駆動切換ギヤ
42 前後進切替ギヤ 43 バックカウンタギヤ
44 PTO変速カウンタギヤ
45 リヤデフ 46 デフリングギヤ
47 フロントデフ 48 入力ギヤ
49 クリープカウンタギヤ
50 PTO減速ギヤ 51 前輪連動ギヤ
52 PTO逆回転ギヤ 53 ドライブピニオンギヤ
54 前輪連動ギヤ 55 前輪ギヤ
56 切替駆動カウンタギヤ 59 カウンタ軸
60 前後進切替クラッチパック
61 前輪 62 エンジン
63 後輪 65 ミッションケース
66 PTOクラッチパック 67 前輪駆動クラッチパック
73 ステアリングハンドル 76 クラッチパック
77F、77R リターンスプリング
78F、78R ピストン 80a メイン油圧ポンプ
80b サブ油圧ポンプ
81a,81b 減圧弁 82a ブレーキバルブ
82b 圧力制御弁 83 ブレーキシリンダ
85 前後進クラッチシリンダ
86 前後進クラッチ比例圧力制御弁(切替弁)
86F、86R ソレノイド
89 主変速(2−4)クラッチ比例圧力制御弁
90 前後進昇圧ソレノイド
87,88,91,92 油圧クラッチシリンダ
93 主変速(1−3)クラッチ比例圧力制御弁
94 切替制御弁 95 ハイ・ロー油圧クラッチシリンダ
96a,96b 制御弁 97 デフロック制御弁
98a 前輪デフロックシリンダ
98b 後輪デフロックシリンダ
99 四駆切替クラッチシリンダ
100 制御処理装置(コントローラ)
100a メモリ
100b 発進時変速位置設定部
101 メイン油圧回路 103 パワーステアリング装置
104 PTOクラッチシリンダ
105,106 PTOクラッチ比例圧力制御弁
107 オービットロール 110 前進側クラッチ圧力センサ
111 後進側クラッチ圧力センサ
112 エンジン回転数センサ
115 前後進切替レバー 129 オン・オフ制御弁
120 省エネスイッチ 121 モニタ
130,131,133〜137,139,140 ギア
145、146 圧力センサ 167 前後進レバーセンサ
170 車速センサ 172 駐車ブレーキ
173 PTOチェンジレバー
174 ブレーキペダル 175 アクセルペダル
175a アクセルポジションセンサ
176 アクセルレバー
177a、177b エンジン回転数記憶スイッチ
178a、178b サブコントロールレバー
179 副変速レバー 179a レバーガイド
180 スイッチボックス 181 操作パネル
182 ドラフト比調整ダイヤル
183 上げ位置規制ダイヤル
184 傾き調整ダイヤル 185 4WD切替スイッチ
186 手動上げ下げスイッチ
187 PTO入り切りスイッチ
188 PTO手動自動スイッチ
189 デフロックスイッチ 190 作業機ポジションレバー
191 昇降用スイッチ(作業機昇降スイッチ)
192a、192b 主変速増減速スイッチ
194 シガーライター 197 下げ調整速度ダイヤル
199 ATシフト路上スイッチ
199a ATシフト路上スイッチセンサ
200 ATシフト作業スイッチ
201 接続感度変速スイッチ
201a ランプ 202 接続感度PTOスイッチ
203 水平感度スイッチ 204 バックアップ入切スイッチ
205 オートリフト入切スイッチ
206 オートブレーキ入切スイッチ
207 水平切換スイッチ 208 3点切換スイッチ
209 オートアクセルスイッチ
211 蓋 213 メータパネル
215 表示部
A 主変速クラッチ B ハイ・ロー変速クラッチ
C 副変速ギア伝動機構(副変速装置)
D 前後進クラッチ E PTOクラッチ
T トラクタ車体

Claims (2)

  1. エンジン(62)と、該エンジン(62)の動力が伝達されて作動する駆動輪(11及び/又は13)と、作業車両の進行方向を前後に切り替える前後進切替レバー(115)と、該前後進切替レバー(115)の操作により、駆動輪(11及び/又は13)を正転方向、停止及び逆転方向のいずれかに切り替える前後進切替装置(D)と、該前後進切替装置(D)の出力を駆動輪(11及び/又は13)に伝達又は非伝達するための油圧により作動されるアクチュエータ(85)と、該アクチュエータ(85)に対する作動油の油圧の程度により前後進切替装置(D)の出力を制御する油圧制御装置(100a)とを備えた作業車両において、
    前記油圧制御装置(100a)は、車両停止状態から前進又は後進する場合と前後進を交互に切り替える場合とで、アクチュエータ(85)が完全接続するまでの油圧切替経過時間(T)と出力油圧(P)との関係を異ならせる油圧制御部を備え
    車両停止状態から前進又は後進する場合に比べて前後進を交互に切り替える場合は、アクチュエータ(85)が完全接続するまでの時間を短くすると共に、初期圧(T1)が作用した後の出力油圧(P)の値を高めに構成し、
    前記前後進切替レバー(115)の操作は、前進又は後進から離れるとき、中立位置、後進又は前進になるときの操作パターンがあり、
    前後進切替装置(D)の伝動下手側に、変速比の異なる2個のクラッチパック(76、76)から構成される主変速クラッチ(A)を設け、
    いずれか一方のクラッチパック(76)が接続する時は他方のクラッチパック(76)は接続しないが、前後進切替レバー(115)が前進又は後進から離れるときは、2個のクラッチパック(76、76)を同時に接続する構成としたことを特徴とする作業車両。
  2. 車速が規定値以上のときは、前後進切替レバー(115)が前進又は後進から離れるときに、前記主変速クラッチ(A)の2個のクラッチパック(76、76)を同時に接続しない構成としたことを特徴とする請求項1記載の作業車両。
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