JP4945864B2 - 保持装置、光学素子保持装置、鏡筒及び露光装置並びにマイクロデバイスの製造方法 - Google Patents
保持装置、光学素子保持装置、鏡筒及び露光装置並びにマイクロデバイスの製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体素子、液晶表示素子、撮像素子、薄膜磁気ヘッド等のマイクロデバイス、あるいはレチクル、フォトマスク等のマスクなどの製造プロセスにおけるフォトリソグラフィ工程で使用される露光装置において、投影光学系等の光学素子やマスク、基板等を保持するための保持装置、その保持装置を用いた光学素子保持装置に関するものである。また、その光学素子保持装置を備えた鏡筒、及びその鏡筒を備えた露光装置に関するものである。さらに、その露光装置を用いたマイクロデバイスの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の光学素子を保持する光学素子保持装置としては、例えば図30及び図31に示すような構成のものが知られている。この従来構成においては、レンズ等の光学素子201を収容するための枠体202が円環状に形成されている。その枠体202の内周面には、光学素子201を支持するための幅の狭い3つの座面204が等角度間隔おきに形成されている。それらの座面204と対応するように、枠体202の上面にはネジ孔205が形成されている。また、枠体202の上面には、3つのクランプ部材206が各ネジ孔205に対するボルト207の螺合により等角度間隔おきに取り付けられている。
【0003】
そして、これらのボルト207の締め付けにより、光学素子201の外周フランジ部201aが各クランプ部材206と座面204との間で挟み込まれる。これにより、光学素子201が枠体202内で所定位置に保持されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年における半導体素子等の著しい高度集積化に伴って、パターンがますます微細化してきている。このため、半導体装置製造用の露光装置では、波面収差やディストーションの極めて少ない投影光学系が要求されるようになってきている。このような要求に対応するため、投影光学系内にレンズ等の光学素子201を、その光軸がより厳密に位置決めされた状態で装着する必要が生じてきている。
【0005】
このような正確な光学素子201の位置決めを行うために、投影光学系をなす鏡筒内にレンズ等の光学素子201を保持した枠体202を装着する際に、枠体202の外周面202a及び底面202bと、鏡筒の内周面及び受け部との係合により、光学素子201の光軸の位置決めが行われている。このため、前記枠体202を鏡筒内に装着する際にも自由度がほとんどない。従って、この枠体202の鏡筒に対する装着時にも、細心の注意を払う必要があり大変手間がかかって煩わしいという問題があった。
【0006】
また、光学素子201は、各クランプ部材206と座面204とにより、ほとんど自由度のない状態で枠体202に保持されている。ここで、例えば枠体202が鏡筒に対してわずかに傾いたような状態で挿入され、その枠体202に過剰な荷重をかけて鏡筒内に装着したような場合には、枠体202に歪みが生じるおそれもある。このように、枠体202に歪みが生じると、その歪みにより光学素子201に予測不能な応力が発生し、その光学素子201の光学面の精度が低下するおそれがあるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的としては、被保持部材の位置決めを、極めて厳密な加工を施すことなく、容易かつ精度よく行うことができる保持装置及び光学素子保持装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明のその他の目的は、より正確な位置決めされた光学素子を収容する鏡筒、及びそのような鏡筒を有し露光精度の向上可能な露光装置を提供することにある。
【0009】
さらに、本発明のその上の目的は、露光精度の向上可能なマイクロデバイスの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願請求項1に記載の発明は、被保持部材を保持する保持装置において、前記被保持部材の略中心を原点とした互いに交差する3つの座標軸に沿う3つの移動と、前記3つの座標軸のうち少なくとも2つの座標軸周りに回転する2つの回転とが可能なように、前記被保持部材を保持する複数のフレクシャ部材と、前記複数のフレクシャ部材のうち、少なくとも一つのフレクシャ部材に接続される2つの変位部材とを備え、前記2つの変位部材のうち一方の変位部材の変位によって、前記少なくとも一つのフレクシャ部材が前記被保持部材を第1方向に移動させ、前記2つの変位部材のうち他方の変位部材の変位によって、前記少なくとも一つのフレクシャ部材が前記第1方向とは異なる第2方向に前記被保持部材を移動させることを特徴とするものである。
【0011】
この本願請求項1に記載の発明では、変位部材によりフレクシャ部材が作動すると、被保持部材に対して、互いに交差する3つの座標軸に沿う3つの移動と、前記3つの座標軸のうち少なくとも2つの座標軸周りの回転との5つの運動自由度が付与することができる。
【0012】
また、本願請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記複数のフレクシャ部材は、前記被保持部材を支持する支持部材に取り付けられることを特徴とするものである。
【0013】
この本願請求項2に記載の発明では、前記請求項1に記載の発明の作用に加えて、フレクシャ部材を作動させることで、支持部材に支持された被保持部材を前記5つの運動自由度をもって変位させることが可能になる。
【0022】
また、本願請求項3に記載の発明は、前記請求項1または請求項2に記載の発明において、前記複数のフレクシャ部材は、前記被保持部材の周りに等間隔で3つ配置されていることを特徴とするものである。
【0023】
また、本願請求項4に記載の発明は、前記請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の発明において、前記複数のフレクシャ部材は、固定部に固定される固定基部と、前記被保持部材に接続される接続ブロックと、前記固定基部と前記接続ブロックとを互いに異なる方向に沿って拘束し、かつ前記互いに異なる方向のそれぞれの周りに回転可能に支持する一対のリンク機構とを備えたことを特徴とするものである。
【0024】
この本願請求項4に記載の発明では、前記請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、固定基部と一対のリンク機構との協働により、接続ブロックに前記少なくとも5つの運動自由度を与えることができる。特に、請求項3に記載の発明の下では、被保持部材の略中心を原点とした互いに交差する3つの座標軸に沿う3つの移動と、その3つの座標軸の座標軸周りの回転との6つの運動自由度を、前記被保持部材に与えることができる。
【0025】
また、本願請求項5に記載の発明は、前記請求項4に記載の発明において、前記一対のリンク機構は、前記固定基部と前記接続ブロックとを水平方向に沿って拘束し、かつ前記水平方向の周りに回転可能に連結する水平方向拘束リンクと、前記固定基部と前記接続ブロックとを前記水平方向と交差する交差方向に沿って拘束し、かつ前記交差方向の周りに回転可能に連結する交差方向拘束リンクとからなることを特徴とするものである。
【0026】
この本願請求項5に記載の発明では、前記請求項4に記載の発明の作用に加えて、水平方向拘束リンクとそれに交差する交差方向拘束リンクとから一対のリンク機構を構成している。
【0027】
また、本願請求項6に記載の発明は、前記請求項4または請求項5に記載の発明において、前記固定基部と前記接続ブロックと前記リンク機構とを回転ピボットで連結したことを特徴とするものである。
【0028】
また、本願請求項7に記載の発明は、前記請求項5または請求項6に記載の発明において、前記駆動機構は、前記変位部材に付与される所定方向の駆動力を、前記所定方向の駆動力と前記所定方向とは異なる方向の駆動力との少なくとも一方に変換する変換機構を有することを特徴とするものである。
【0029】
また、本願請求項8に記載の発明は、前記請求項7に記載の発明において、前記変換機構は、前記変位部材に付与される上下方向の駆動力を前記少なくとも一つのフレクシャ部材を介して前記被保持部材に対して、前記上下方向と交差する方向への駆動力に変換することを特徴とするものである。
【0030】
この本願請求項8に記載の発明では、前記請求項7に記載の発明の作用に加えて、フレクシャ部材の外部において付与された上下方向の駆動力により被保持部材が水平方向に変位可能となる。
【0031】
また、本願請求項9に記載の発明は、前記請求項7に記載の発明において、前記変換機構は、前記変位部材に付与される上下方向の駆動力を前記少なくとも一つのフレクシャ部材を介して前記被保持部材に対する上下方向の駆動力に変換することを特徴とするものである。
【0032】
この本願請求項9に記載の発明では、前記請求項7に記載の発明の作用に加えて、フレクシャ部材の外部において付与された上下方向の駆動力により被保持部材が上下方向に変位可能になる。
【0033】
また、本願請求項10に記載の発明は、前記請求項4〜請求項9のうちいずれか一項に記載の発明において、前記フレクシャ部材のそれぞれは、前記固定基部と前記接続ブロックと前記一対のリンク機構とが単一部材で形成され、前記フレクシャ部材は、前記固定基部、前記接続ブロック及び前記一対のリンク機構を連結する複数の切欠ばねを有することを特徴とするものである。
【0034】
また、本願請求項11に記載の発明は、前記請求項5に記載の発明において、前記変位部材に付与される所定方向の駆動力を、前記所定方向の駆動力と前記所定方向とは異なる方向の駆動力との少なくとも一方に変換する変換機構を有し、前記変換機構は、前記固定基部に形成された複数の切欠ばねを有し、前記一対のリンク機構のうち、前記交差方向拘束リンクに連結される第1切欠ばねと、前記フレクシャ部材に前記変位部材を介して付与される駆動力を、前記所定方向とは異なる方向への駆動力に変換するために用いられる第2切欠ばねとを含み、前記第1切欠ばねと前記第2切欠ばねとは、前記被保持部材に対する水平方向における同一面内に配置されることを特徴とするものである。
【0035】
この本願請求項11に記載の発明では、前記請求項5に記載の発明の作用に加えて、第1切欠ばねと第2切欠ばねとを水平方向の同一平面上に配置することで、変位部材を介して付与される駆動力により第2切欠ばねの部分に回転モーメントが生じるのが抑制される。
【0036】
また、本願請求項12に記載の発明は、前記請求項11に記載の発明において、前記複数の切欠ばねは、前記一対のリンク機構のうち、前記交差方向拘束リンクと前記接続ブロックとを連結する第3切欠ばねを有し、
前記第1切欠ばねと前記第3切欠ばねとは、前記被保持部材に対する垂直方向における同一面内に配置されることを特徴とするものである。
【0037】
この本願請求項12に記載の発明では、前記請求項11に記載の発明の作用に加えて、第1切欠ばねと第3切欠ばねとを垂直方向の同一平面上に配置することで、変位部材を介して付与される駆動力により第3切欠ばねの部分に回転モーメントが生じるのが抑制される。
【0038】
また、本願請求項13に記載の発明は、前記請求項1〜請求項12のうちいずれか一項に記載の発明において、前記変位部材は、付与される駆動力を前記フレクシャ部材に伝達する伝達部を有することを特徴とするものである。
【0039】
また、本願請求項14に記載の発明は、前記請求項13に記載の発明において、前記伝達部は、前記変位部材に付与された駆動力を所定の割合で低減して前記フレクシャ部材に伝達することを特徴とするものである。
【0040】
また、本願請求項15に記載の発明は、前記請求項13または請求項14に記載の発明において、前記変位部材には、前記被保持部材の変位量を設定する変位量設定部材を備えることを特徴とするものである。
【0041】
この本願請求項15に記載の発明では、前記請求項13または請求項14に記載の発明の作用に加えて、変位部材に付与される駆動力が不用意に変動することがない。
【0042】
また、本願請求項16に記載の発明は、前記請求項4に記載の発明において、前記変位部材は、付与される駆動力を前記フレクシャ部材の接続ブロックに伝達する伝達部と、前記伝達部と前記固定部との間に配置され、前記伝達部と前記固定部との間の間隔を調整することによって、任意の変位量を設定する変位量設定部材とを備えることを特徴とするものである。
【0043】
また、本願請求項17に記載の発明は、光学素子の周縁部を保持する保持部を備える光学素子保持装置において、前記保持部は、前記光学素子の周縁部を保持する複数のフレクシャ部材と、前記複数のフレクシャ部材のうち、少なくとも1つのフレクシャ部材に駆動力を伝達する2つの操作部とを備え、前記複数のフレクシャ部材のそれぞれは、固定部に取り付けられる固定基部と、前記光学素子の周縁部に接続される接続ブロックと、前記固定基部と前記接続ブロックとの間に設けられ、前記固定基部及び前記接続ブロックに対して回転ピボットで連結された一対のリンクとを有し、前記少なくとも1つのフレクシャ部材は、一方の前記操作部の操作によって、前記光学素子を第1の方向へ移動させ、他方の前記操作部の操作によって、前記光学素子を前記第1の方向とは異なる第2の方向に移動させることを特徴とするものである。
【0044】
また、本願請求項18に記載の発明は、前記請求項17に記載の発明において、前記第1の方向が前記光学素子の接線方向に沿う方向であり、前記第2の方向が前記光学素子の光軸方向に沿う方向であることを特徴とするものである。
【0045】
また、本願請求項19に記載の発明は、光学素子の周縁部を保持する保持部と、前記保持部が取り付けられる固定部とを備える光学素子保持装置において、前記保持部は、請求項1〜請求項18のうちいずれか一項に記載の保持装置を介して、前記固定部に連結されていることを特徴とするものである。
【0046】
また、本願請求項20に記載の発明は、前記請求項17〜請求項19のうちいずれか一項に記載の発明において、前記保持部は、前記光学素子を収容し、かつ前記光学素子の周縁部に係合する座面が形成された複数の座面ブロックを備える枠体を有し、前記3つのフレクシャ部材は、前記枠体に対し、前記座面ブロックの間にそれぞれ配置されることを特徴とするものである。
【0047】
また、本願請求項21に記載の発明は、内部に複数の光学素子を保持する鏡筒において、前記光学素子の少なくとも1つを、請求項17〜請求項20のうちいずれか一項に記載の光学素子保持装置を介して保持したことを特徴とするものである。
【0048】
また、本願請求項22に記載の発明は、1つ以上の光学素子を収容する少なくとも1つの鏡筒モジュールを有する鏡筒において、前記少なくとも1つの鏡筒モジュールは、前記光学素子の少なくとも1つを保持する請求項17〜請求項20のうちいずれか一項に記載の光学素子保持装置を備えたことを特徴とするものである。
【0049】
これら本願請求項21及び請求項22に記載の発明では、内部の光学素子がより正確に位置決めされており、鏡筒全体の結像性能の向上を図ることができる。
また、本願請求項23に記載の発明は、マスク上に形成されたパターンの像を投影光学系を介して基板上に転写する露光装置において、前記投影光学系は、前記請求項21または請求項22に記載の鏡筒を有することを特徴とするものである。
【0050】
この本願請求項23に記載の発明では、投影光学系の結像性能が向上されて、露光精度の向上を図ることができる。
また、本願請求項24に記載の発明は、前記請求項23に記載の発明において、前記光学素子保持機構は、前記保持部と前記固定部との間の距離を検出し、その検出結果と前記投影光学系の像面側に形成された前記パターンの像に含まれる収差情報とに基づいて、前記保持部と前記固定部との距離を調整すべく、前記駆動機構の状態を制御する制御機構を有することを特徴とするものである。
【0051】
この本願請求項24に記載の発明では、前記請求項23に記載の発明の作用に加えて、投影光学系に残存または発生する収差をより正確に補正することができて、露光精度を一層向上させることができる。
【0052】
また、本願請求項25に記載の発明は、マイクロデバイスの製造方法において、請求項23または請求項24に記載の露光装置を用いてマイクロデバイスを製造することを特徴とすることを特徴とするものである。
【0053】
この本願請求項25に記載の発明では、露光精度を向上することができて、高集積度のデバイスを歩留まりよく製造することが可能となる。
次に、前記各請求項の下で有用性の認められる技術的思想について、それらの効果とともに以下に記載する。
【0054】
(1) 前記回転ピボットは、その両側に連結される部分に対して断面積の小さな首部からなることを特徴とする前記請求項6に記載の保持装置。
このようにすれば、固定基部と接続ブロックとリンク機構とを、簡単な構成で、しかも一体の部材でもって互いに回転可能に形成することが可能となる。
【0055】
(2) 前記変位部材は、前記伝達部を前記固定部側に付勢する付勢部材を設け、その付勢部材の付勢力によって前記伝達部を前記変位量設定部材に当接させることで前記変位部材に付与される駆動力を設定するようにしたことを特徴とする前記請求項15または請求項16に記載の保持装置。
【0056】
このようにすれば、変位部材に付与される駆動力に過不足が生じにくく、被保持部材の変位量の設定をより正確に行うことができる。
(3) 前記保持部には前記フレクシャ部材を等角度間隔で配置し、前記固定部にはその固定部に隣接配置される他の光学素子保持装置の保持部におけるフレクシャ部材に対応する凹部を設けたことを特徴とする前記請求項20に記載の光学素子保持装置。
【0057】
このようにすれば、凹部内に隣接は位置される他の光学素子保持装置のフレクシャ部材を収容することができて、複数の光学素子保持装置を隣接配置させる際に、その全体を小型化することができる。
【0058】
(4) 前記凹部を、前記保持部におけるフレクシャ部材とは所定角度分だけ位相をずらした位置に対応するように設けたことを特徴とする前記(3)に記載の光学素子保持装置。
【0059】
このようにすれば、複数の光学素子保持装置を所定角度分だけ位相をずらして、その一部を重ね合わせて配置することができ、全体をより小型化することができる。
【0060】
(5) 前記固定部の端面が、隣接配置される他の光学素子保持装置の固定部との重合面をなすことを特徴とする前記(3)または(4)に記載の光学素子保持装置。
【0061】
このようにすれば、複数の光学素子保持装置を隙間なく隣接配置させることができ、全体をさらに小型化することができる。
【0072】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下に、本発明の露光装置及び光学素子保持装置を、半導体素子製造用の露光装置とその内部のレンズ等の光学素子を保持する光学素子保持装置とに具体化した第1実施形態について図1〜図19に基づいて説明する。
【0073】
図1に示すように、この実施形態の露光装置31は、光源32と、照明光学系33と、マスクとしてのレチクルRtを保持するレチクルステージ34と、投影光学系35と、基板としてのウエハWを保持するウエハステージ36とから構成されている。
【0074】
前記光源32は、例えば波長193nmのArFエキシマレーザを発振する。照明光学系33は、図示しないフライアイレンズやロッドレンズ等のオプティカルインテグレータ、リレーレンズ、コンデンサレンズ等の各種レンズ系及び開口絞り等を含んで構成されている。そして、光源32から出射される露光光ELが、この照明光学系33を通過することにより、レチクルRt上のパターンを均一に照明するように調整される。
【0075】
前記レチクルステージ34は、照明光学系33の射出側、すなわち、後述する投影光学系35の物体面側(露光光ELの入射側)において、そのレチクルRtの載置面が投影光学系35の光軸方向とほぼ直交するように配置されている。投影光学系35は、複数の鏡筒モジュール37aからなる鏡筒37内に複数のレンズ等の光学素子38(例えば図2参照)を、後述する光学素子保持装置39を介してほぼ水平(いわゆる横置きタイプ)に収容保持するように構成されている。ウエハステージ36は、投影光学系35の像面側(露光光ELの射出側)において、ウエハWの載置面が投影光学系35の光軸方向と交差するように配置されている。そして、前記露光光ELにて照明されたレチクルRt上のパターンの像が、投影光学系35を通して所定の縮小倍率に縮小された状態で、ウエハステージ36上のウエハWに投影転写されるようになっている。
【0076】
次に、前記光学素子保持装置39の詳細構成について説明する。
図2は前記光学素子保持装置39を示す斜視図であり、図3は前記光学素子保持装置39の平面図であり、図4は前記光学素子保持装置39の側面図であり、図5は図3の5−5線における断面図である。前記光学素子38は合成石英等の所定以上の破壊強度を有する硝材からなり、その周縁部にはフランジ部38a(図5参照)が形成されている。光学素子保持装置39は、外部の装置をなす鏡筒37に連結される固定部としての枠体40と、3つのフレクシャ部材41と、保持部としてのレンズ枠体42と、支持部材43とからなっている。その枠体40上には、等角度間隔をおいて3つのフレクシャ部材41が固定されている。そのフレクシャ部材41の上面にはレンズ枠体42が固定され、そのレンズ枠体42上には等角度間隔をおいて3つの支持部材43が配設されている。
【0077】
図6は、前記レンズ枠体42における光学素子38を保持する支持部材43の部分を中心に示す部分斜視図であり、図7はその支持部材43を中心に示す拡大部分分解斜視図である。支持部材43は、大きく分けて基台部材45とクランプ部材46とを備える。そして、前記レンズ枠体42は、円環状をなす鉄、アルミニウム等の金属材料からなり、その一方の表面には前記クランプ部材46が取り付付けられる取付溝44が等角度間隔おきに形成されている。さらに、レンズ枠体42の内周面には、後述する基台部材45における座面ブロック50aを含む上半部を収容するための保持部収容凹部60が取付溝44と対応する位置に形成されている。この保持部収容凹部60によって、レンズ枠体42の大口径化を防止している。
【0078】
このように、レンズ枠体42の一方の表面に取付溝44を形成することにより、クランプ部材46が一対のボルト68でレンズ枠体42に取り付けられた際に、一対のボルト68の頭がレンズ枠体42の一方の表面から突出しない。従って、一方の面を、他のレンズ枠体42及び枠体40に対して重ねた際に、他のレンズ枠体42及び枠体40に対するボルト68の干渉を防ぐことができる。なお、1つのレンズ枠体42の表面と、他のレンズ枠体42及び枠体40の裏面との間には、各レンズ枠体42が保持する光学素子38の光軸方向における位置を決定するために、レンズ枠体42間の間隔を調整するスペーサが配置される。従って、レンズ枠体42表面から光学素子38が若干突出したとしても、スペーサの厚さ以内であれば、光学素子38は他のレンズ枠体42の裏面と接触しない。そして、基台部材45は、レンズ枠体42に形成された取付溝44とは反対側の表面、すなわち、レンズ枠体42の他方の面に対して、図示しない一対のボルトにより固定されている。
【0079】
次に、支持部材43の具体的構成を説明する。図6及び図7に示すように、基台部材45には、前記光学素子38のフランジ部38aの一方のフランジ面に係合する座面49を有する座面ブロック50aと、その座面ブロック50aの姿勢を調整可能に支持する座面ブロック支持機構51が形成される保持部支持ブロック50bとを備えている。前記座面ブロック50aは、その長手方向が前記光学素子38の接線方向に沿って配置され、前記座面49はその座面ブロック50aの長手方向の両端部に形成されている。すなわち、座面49は、座面ブロック50aに対して、光学素子38のフランジ部38aに向かって突出して形成されている。この座面49は、所定の面積を有する平面状をなすとともに、その周縁が所定の曲率をもった曲面状に形成されている。これは、その座面49が、光学素子38のフランジ部38aに対する角当たりによる損傷を回避するためである。また、この座面49の表面には、金の層がメッキ、蒸着等により設けられており、その座面49の表面の光学素子38のフランジ部38aに対する摩擦係数が高められている。
【0080】
なお、座面49と、光学素子38のフランジ部38aとの摩擦係数を高めるために、フランジ部38aに対して、光学素子38の表面に形成される膜、例えば、反射防止膜と同様の金属膜を構成する。例えば、フランジ部38aに対し、金属膜として、MgF2(フッ化マグネシウム)、AlF3(フッ化アルミニウム)、ZrO2(ジルコニア)、Al2O3(アルミナ)等を用いて、単層もしくは複数の層(2層、4層もしくはそれ以上の層)を真空蒸着法等で形成すればよい。また、座面49とフランジ部38aとの摩擦係数を向上するために、フランジ部38aの表面積を、座面ブロック50aの長手方向に沿って増加してもよい。
【0081】
座面ブロック50aと保持部支持ブロック50bとの間、及び保持部支持ブロック50bには、光学素子38の径方向(図7のX軸方向)に貫通する複数のスリット53が形成されている。この複数のスリット53を形成する際、全部のスリット53が互いに連続しないように、スリット53の間に加工を施さない部分を残す。そして、この加工を施さない部分に対して、彫り込み部54が、光学素子38の径方向の中心側から彫り込む加工と、同方向の外側から彫り込む加工とにより形成されている。ここで、この彫り込み部54における光学素子38の径方向の外側には、大きな穴が形成されている。この両方向からの加工によって、座面ブロック50aと保持部支持ブロック50bとの間、及び保持部支持ブロック50bには、複数の保持部首部55a〜55d(屈曲部)が形成される。
【0082】
この保持部首部55a〜55dに予測不能な歪みが残存するのを回避するために、各掘り込み部54の深さ方向における首部55a〜55dの近傍は、その保持部首部55a〜55dの両側が同じ加工方法により切削加工が施されている。この加工方法としては、例えば型彫放電加工、機械的切削加工等が有効である。
【0083】
ここで、保持部支持ブロック50bは、前記複数のスリット53により、大きく3つの部分に分割されている。すなわち、保持部支持ブロック50bは、前記レンズ枠体42に固着される保持部固定部56と、第1保持ブロック57a、第2保持ブロック58aとに分割されている。さらに、彫り込み加工によって、固定部56と第1保持ブロック57aとを連結する第1保持部首部55aと、保持部固定部56と第2保持ブロック58aとを連結する第2保持部首部55bと、第1保持ブロック57aと第2保持ブロック58aとを連結する第3保持部首部55cと、第2保持ブロック58aと座面ブロック50aとを連結する第4保持部首部55dとが形成される。これらの複数の保持部首部55a〜55dは、断面正方形をなし、第1保持ブロック57a、第2保持ブロック58a、保持部固定部56、座面ブロック50aの断面積に比べて著しく小さな断面積を有する。
【0084】
そして、第1保持ブロック57aは、第1保持部首部55a及び第3保持部首部55cによって、第2保持ブロック58aと保持部固定部56とに固定される。第1保持ブロック57aは、第1保持部首部55a及び第3保持部首部55cの協働により、光学素子38の接線方向周りに回転可能に保持されるが、同接線方向への変位は拘束される。従って、第1保持ブロック57a、第1保持部首部55a及び第3保持部首部55cにより、光学素子の接線方向への変位を拘束する接線方向拘束リンク57が形成される。
【0085】
また、第2保持ブロック58aは、第2保持部首部55b及び第4保持部首部55dによって、座面ブロック50aと保持部固定部56とに固定される。第2保持ブロック58aは、第2保持部首部55b及び第4保持部首部55dの協働により、光学素子38の光軸と平行な方向周りに回転可能に保持されるが、同光軸と平行な方向への変位は拘束される。従って、第2保持ブロック58a、第2保持部首部55b及び第4保持部首部55dにより、光学素子38の光軸と平行な方向への変位を拘束する光軸方向拘束リンク58が形成される。
【0086】
この接線方向拘束リンク57の拘束方向と、光軸方向拘束リンク58の拘束方向とは、互いにほぼ直交する。言い換えれば、接線方向拘束リンク57の回転軸と、光軸方向拘束リンク58の回転軸とが、互いにほぼ直交する。
【0087】
そして、座面ブロック50aは、第4保持部首部55dによって、保持部支持ブロック50bに連結されている。すなわち、座面ブロック50aは、保持部固定部56に対して、接線方向拘束リンク57と光軸方向拘束リンク58とを備える一対のリンク機構によって、支持される。
【0088】
また、これらの保持部首部55a〜55dのうち、第2及び第4保持部首部55b,55dは、光学素子38の光軸に平行で前記座面ブロック50aの両座面49の中間位置を通る線上に配置されている。この線は、一対の座面49を結ぶ線に直交する。一方、第1及び第3保持部首部55a,55cは、一対の座面49を結ぶ線と平行な線上に配置されている。さらに、第3保持部首部55cは、第4保持部首部55dの近傍に配置されている。
【0089】
このように構成された基台部材45において、座面ブロック50aは、接線方向拘束リンク57及び光軸方向拘束リンク58により、保持部固定部56に対して、光学素子38の径方向(X方向)、光学素子38の接線方向(Y方向)及び光学素子38の光軸と平行な方向(Z方向)の各方向周りに回転可能に、かつY方向、Z方向への変位が抑制されるように支持されている。さらに、座面ブロック50aは、第4保持部首部55dにより、X方向に変位可能に支持されている。すなわち、座面ブロック支持機構51は、接線方向拘束リンク57と、光軸方向拘束リンク58と、X方向に変位可能な第4保持部首部55dとを含む構成である。
【0090】
なお、前記基台部材45には、座面ブロック50aは、座面49に対してZ方向(すなわち、光学素子38のフランジ部38aの厚さ方向)に延びて形成される座面側取付部59を備える。
【0091】
前記クランプ部材46は、前記座面ブロック50aの上方に対応して配置され、クランプ本体62とパッド部材47とからなっている。クランプ本体62は、押さえ面ブロック63と、その押さえ面ブロック63を支持するための押さえ面ブロック支持機構64とが装備されている。押さえ面ブロック63の下面の両端には、前記座面ブロック50aの座面49に対向するように押さえ面65が形成されている。この押さえ面65は、光学素子38の接線方向にほぼ沿った稜線を有する断面三角形状に形成されている。この両押さえ面65の稜線は、その2つの稜線を結ぶ直線の中点が、前記座面ブロック50aと光軸方向拘束リンク58とを連結する第4保持部首部55dの上方に位置するように形成されている。
【0092】
前記押さえ面ブロック支持機構64は、腕部66と押さえ面側取付部67とからなっており、その押さえ面側取付部67と前記押さえ面ブロック63とは所定の間隔をおいて離間されている。そして、この押さえ面側取付部67と前記座面側取付部59とを前記パッド部材47を介して接合させた状態でボルト68により締結することにより、クランプ部材46が前記座面ブロック50aに対して固定されるようになっている。また、前記腕部66は、前記押さえ面ブロック63と押さえ面側取付部67との両端を接続するように一対設けられている。各腕部66は、平面コ字状をなし、押さえ面側取付部67と前記座面側取付部59とを前記パッド部材47を介して接合させた状態で弾性変形可能なだけの長さをもって形成されている。さらに、この腕部66は、レンズ枠体42に装着した状態で、そのレンズ枠体42の取付溝44内にその内周面とは離間した状態で収容されるようになっている。
【0093】
前記パッド部材47は、前記両取付部59,67の間に挟持される挟持部71と、前記押さえ面65と光学素子38のフランジ部38aとの間に介装される作用部72と、それら挟持部71と作用部72とを連結するとともに弾性変形可能な薄板状の薄板部73とからなっている。前記作用部72の下面には、光学素子38にフランジ部38aに係合する作用面74が、前記座面49に対応するように平面状に形成されている。この作用面74の周縁は、そのフランジ部38aに対する角当たりによる損傷を回避するため、所定の曲率をもった曲面状に形成されている。
また、この作用面74の表面には、前記座面49と同様に金の層がメッキ、蒸着等により設けられており、その作用面74の表面における光学素子38のフランジ部38aに対する摩擦係数が高められている。
【0094】
そして、このように構成されたクランプ部材46は、前記ボルト68を締め込むことにより、前記腕部66が弾性変形されて、押さえ面ブロック63の押さえ面65に座面ブロック50a側への押圧力を付与する。この押圧力は、パッド部材47の作用面74を介して、光学素子38のフランジ部38aに作用する。これにより、光学素子38のフランジ部38aが、座面ブロック50aの座面49と、押さえ面ブロック63の押さえ面65との間に挟持される。
【0095】
図7及び図18に示すように、隣り合う支持部材43間において、レンズ枠体42には複数の重量支持機構75が配設されている。各重量支持機構75は板バネから構成されている。この板バネでは、光学素子38のフランジ部38aの下面に当接する当接部と、一対のボルトによりレンズ枠体42に取り付け支持される一対の支持部との間が一対の屈曲部により接続されている。そして、この板バネの弾性作用により、光学素子38の重量の一部が支持されるようになっている。この重量支持機構75の数は、光学素子38の重量、厚さ、直径、形状、材質及び支持部材43の数の少なくとも1つに応じて設定されている。ちなみに、この実施形態では、隣り合う支持部材43間に、それぞれ3つの重量支持機構75が配設されている。
【0096】
さらに、レンズ枠体42の前記各取付溝44近傍の外周面上には、後述するレンズ枠体位置検出機構82に対向するように、四角柱状の位置検出用突部76が突設されている。また、レンズ枠体42の上面における各支持部材43の中間には、前記フレクシャ部材41に接合する平板状のフレクシャ接合部77が外方に延出するように形成されている。
【0097】
次に、枠体40の具体的構成を主に図8〜図13に基づいて説明する。図8は枠体40全体を示す斜視図であり、図9はその枠体40のフレクシャ部材41の取付部分を拡大して示す部分平面図であり、図10はその取付部分を中心とした部分側面図である。図8に示すように、前記枠体40は、鉄、アルミニウム等の金属材料からなり、円環状をなしている。図8〜図10に示すように、その枠体40の上面の内周面側には、前記フレクシャ部材41を取り付けるための3つのフレクシャ取付部80が等角度間隔おきに形成されている。そして、枠体40の内周面及び下面には、枠体40同士を積み重ねた際に、光学素子保持装置39のフレクシャ部材41を収容するためのフレクシャ収容凹部81が、前記各フレクシャ取付部80の中間位置に対応するように3つ凹設されている。このフレクシャ収容凹部81では、後述のフレクシャ本体84を収容する本体収容部81aが中心に形成され、その両側端に連続するように後述の各駆動レバー85a,85bを収容するレバー収容部81bが形成されている。ここで、フレクシャ取付部80とフレクシャ収容凹部81とは、枠体40の周方向において交互に、しかも180°位相がずれた状態で形成されている。
【0098】
また、図8に示すように、枠体40における前記フレクシャ収容凹部81の近傍の外周面上には、レンズ枠体位置検出機構82を取着するための検出機構取付座83が形成されている。この検出機構取付座83には、例えば静電容量検出形の断面L字状をなすレンズ枠体位置検出機構82が、枠体40の外方に突出するように取着される。この枠体40上に前記レンズ枠体42が前記フレクシャ部材41を介して取着されたとき、そのレンズ枠体位置検出機構82と、前記レンズ枠体42の位置検出用突部76とが所定の隙間をおいて対向配置されるようになっている。そして、レンズ枠体42が枠体40に対して相対移動されると、前記位置検出用突部76がレンズ枠体位置検出機構82に対して変位して、その変位量がレンズ枠体位置検出機構82により検出されるようになっている。
【0099】
次に、前記フレクシャ部材41の詳細構成について、図9〜図13に基づいて説明する。図8〜図10に示すように、前記フレクシャ部材41は、フレクシャ本体84と、変位部材及び伝達部をなす一対の垂直方向駆動レバー85a及び同じく変位部材及び伝達部をなす水平方向駆動レバー85bとからなっている。前記フレクシャ本体84は、前記レンズ枠体42のフレクシャ接合部77と、前記枠体40のフレクシャ取付部80とに挟持されるように取り付けられている。このフレクシャ本体84には、前記レンズ枠体42のフレクシャ接合部77がボルト98を介して接合固定される接続ブロック84aとその接続ブロック84aの姿勢を調整可能に支持する接続ブロック支持機構92が形成されるフレクシャ支持ブロック84bとを備えている。
【0100】
ここで、図11は前記枠体40におけるフレクシャ本体84の取付部分を拡大して示す部分側面図であり、図12はフレクシャ部材41及び枠体40を両駆動レバー85a,85bに沿って破断した部分断面図である。また、図13は、フレクシャ部材41及び枠体40をフレクシャ本体84のほぼ中央において光学素子38の径方向に沿って破断した拡大部分断面図である。
【0101】
図11〜図13に示すように、このフレクシャ本体84は、略直方体状をなしており、接続ブロック84aとフレクシャ支持ブロック84bとの間、及びフレクシャ支持ブロック84bには、図11のX軸方向に貫通する複数の第1スリット86及び第2スリット87が形成されている。この第1スリット86は、フレクシャ本体84に各スリット86,87を加工する際の基準孔84cより上部側に形成されており、前記第2スリット87は、同基準孔84cの下部側に形成されている。
【0102】
この第1及び第2スリット86,87を形成する際、全部のスリット86,87が互いに連続しないように、スリット86,87の間に加工を施さない部分を残す。この第1スリット86に対応して加工を施さない部分に対して、彫り込み部86aがX方向の+方向(図11の紙面の手前側)から彫り込む加工と、X方向の−方向(図11の紙面の向こう側)から彫り込む加工とにより形成される。ここで、この彫り込み部86aは、図13に示すように、光学素子38の径方向に沿うように形成される。そして、この彫り込み部86aの両端側には、大きな穴が形成されている。このX方向の+方向からの加工と−方向からの加工とによって、接続ブロック84aとフレクシャ支持ブロック84bとの間、及びフレクシャ支持ブロック84bには、回転ピボット及び切欠ばねとしての複数のフレクシャ首部89a〜89dが形成される。そして、各フレクシャ首部89a〜89dの両側には、光学素子38の径方向に貫通する貫通孔としての矩形貫通孔88aが形成される。
【0103】
このフレクシャ首部89a〜89dに予測不能な歪みが残存するのを回避するために、各矩形貫通孔88aの深さ方向におけるフレクシャ首部89a〜89dの近傍は、そのフレクシャ首部89a〜89dの両側が同じ加工方法により切削加工が施されている。この加工方法としては、例えば型彫放電加工、機械的切削加工等が有効である。
【0104】
また、前記第2スリット87に対応して加工を施さない部分(2ヶ所)の両側には、断面略円形状をなし、光学素子38の径方向に貫通する円形貫通孔88bが形成されている。この対向する一対の円形貫通孔88bの間には、変換機構及び第1切欠ばねをなす第1及び第2薄肉部90a,90bが形成されている。
【0105】
ここで、フレクシャ支持ブロック84bは、前記第1及び第2スリット86,87により、大きく6つの部分に分割されている。すなわち、フレクシャ支持ブロック84bは、固定基部としてのフレクシャ固定部91と、第1拘束ブロック93aと、第2拘束ブロック94aと、第1駆動ブロック95aと、第2駆動ブロック96aとに分割されている。前記フレクシャ固定部91は、前記枠体40のフレクシャ取付部80にボルト97を介して固定されている(図8及び図11参照)。
【0106】
そして、彫り込み加工によって、前記第1駆動ブロック95aと第1拘束ブロック93aとを連結する第1フレクシャ首部89aと、前記第2駆動ブロック96aと第2拘束ブロック94aとを連結する第2フレクシャ首部89bと、第1拘束ブロック93aと第2拘束ブロック94aとを連結する第3フレクシャ首部89cと、第1拘束ブロック93aと接続ブロック84aとを連結する第4フレクシャ首部89dとが形成される。これら複数のフレクシャ首部89a〜89dは断面略正方形をなし、各拘束ブロック93a,94a、各駆動ブロック95a,96a、接続ブロック84aの断面積に比べて著しく小さな断面積を有する。
【0107】
そして、第1拘束ブロック93aは、第1フレクシャ首部89a及び第4フレクシャ首部89dによって、第1駆動ブロック95aと接続ブロック84aとに固定される。この第1拘束ブロック93aは、第1フレクシャ首部89a及び第4フレクシャ首部89dの協働により、Z方向(光学素子38の光軸方向)周りに回転可能に保持されるが、Z方向への変位は拘束される。従って、第1拘束ブロック93a、第1フレクシャ首部89a及び第4フレクシャ首部89dにより光学素子38の垂直方向(光軸方向)への変位を拘束する交差方向拘束リンクとしての垂直方向拘束リンク93が形成される。
【0108】
また、第2拘束ブロック94aは、第2フレクシャ首部89b及び第3フレクシャ首部89cによって、第2駆動ブロック96aと第1拘束ブロック93aとに固定される。この第2拘束ブロック94aは、第2フレクシャ首部89b及び第3フレクシャ首部89cの協働により、Y方向(光学素子38の接線方向)周りに回転可能に保持されるが、Y方向への変位は拘束される。従って、第2拘束ブロック94a、第2フレクシャ首部89b及び第3フレクシャ首部89cにより光学素子38の水平方向(接線方向)への変位を拘束する水平方向拘束リンク94が形成される。
【0109】
この垂直方向拘束リンク93の拘束方向と、水平方向拘束リンク94の拘束方向とは、互いにほぼ直交する。言い換えれば、垂直方向拘束リンク93の回転軸と、水平方向拘束リンク94の回転軸とが、互いにほぼ直交する。
【0110】
そして、前記接続ブロック84aは、第4フレクシャ首部89dによって、フレクシャ支持ブロック84bに連結されている。すなわち、接続ブロック84aは、垂直方向拘束リンク93と水平方向拘束リンク94とを備える一対のリンクリンク機構によって支持されている。
【0111】
また、図11〜図13に示すように、これらのフレクシャ首部89a〜89dのうち、第1及び第4フレクシャ首部89a,89dは、前記接続ブロック84aのほぼ中心を通り前記Z軸に平行な線上に配置されている。一方、第2及び第3フレクシャ首部89b,89cは、前記接続ブロック84aの表面にほぼ平行な線上に配置されている。さらに、第3フレクシャ首部89cは、第4フレクシャ首部89dの近傍に配置されている。
【0112】
このように構成されたフレクシャ本体84において、接続ブロック84aは、垂直方向拘束リンク93及び水平方向拘束リンク94により、第1及び第2駆動ブロック95a,96aに対して、X方向、Y方向、Z方向周りに回転可能に、かつY方向、Z方向への変位が抑制されるよう支持されている。さらに、接続ブロック84aは、第4フレクシャ首部89dによりX方向に変位可能に支持されている。
【0113】
ところで、第1駆動ブロック95aは、第1フレクシャ首部89aにより第1拘束ブロック93aに連結され、第1薄肉部90aによりフレクシャ固定部91に連結されている。そして、その第1駆動ブロック95aの外端には、長尺状をなす前記垂直方向駆動レバー85aが前記光学素子38の接線方向に沿って延びるように一体形成されている。この第1駆動ブロック95aは、変換機構及び第1切り欠きばねとしての第1薄肉部90aの作用により、前記垂直方向駆動レバー85aに光学素子38の光軸と平行な方向(上下方向)に駆動力が付与されたとき、その駆動力を接続ブロック84a側の第2切欠ばねとしての第1フレクシャ首部89aに対して上下方向の駆動力として伝達する。従って、第1駆動ブロック95a、第1フレクシャ首部89a及び第1薄肉部90aにより、垂直方向駆動レバー85aに付与された上下方向の駆動力を前記垂直方向拘束リンク93に上下方向の駆動力として伝達する垂直方向駆動リンク95が形成される。
【0114】
一方、第2駆動ブロック96aは、第2フレクシャ首部89bにより第2拘束ブロック94aに連結され、第2薄肉部90bによりフレクシャ固定部91に連結されている。そして、その第2駆動ブロック96aの外端には、長尺状をなす前記水平方向駆動レバー85bが前記光学素子38の接線方向に沿って延びるように一体形成されている。この第2駆動ブロック96aは、変換機構及び第1切り欠きばねとしての第2薄肉部90bの作用により、前記水平方向駆動レバー85bに光学素子38の光軸と平行な方向(上下方向)に駆動力が付与されたとき、その駆動力を接続ブロック84a側の第3切欠ばねとしての第2フレクシャ首部89bに対して光学素子38の接線方向(水平方向)の駆動力として伝達する。従って、第2駆動ブロック96a、第2フレクシャ首部89b及び第2薄肉部90bにより、水平方向駆動レバー85bに付与された上下方向の駆動力を前記水平方向拘束リンク94に水平方向の駆動力として伝達する水平方向駆動リンク96が形成される。
【0115】
ここで、前記第1フレクシャ首部89aは、前記第1薄肉部90aの中央を通り前記光学素子38の接線方向に沿う直線上に配置されている。一方、前記第2フレクシャ首部89bは、前記第2薄肉部90bの中央を通り前記光学素子38の光軸方向に沿う直線上に配置されている。
【0116】
図8〜図10及び図12に示すように、前記枠体40における前記両駆動レバー85a,85bの先端の上面には、変位量設定手段をなす調整ワッシャ99及び同じく変位量設定手段をなす調整ボタン100が交換部材(例えば、ボルト、プラグ等)101により交換可能に固定されている。この調整ワッシャ99はその厚さが例えば1μmおきで、調整ボタン100はその厚さが例えば10μmおきで、予めそれぞれ複数用意されている。すなわち、調整ワッシャ99が微調整用に、また調整ボタン100が祖調整用に使われる。そして、これらの調整ワッシャ99及び調整ボタン100を選択的に嵌合することで、前記両駆動レバー85a,85bと枠体40との間の間隔が調整され、これにより前記両駆動レバー85a,85bに付与される駆動力が設定されるようになっている。
【0117】
しかも、前記両駆動レバー85a,85bは、前記光学素子38の接線方向に沿って所定の長さを有するように形成されている。このため、前記調整ワッシャ99及び調整ボタン100で設定され、両駆動レバー85a,85bに付与される駆動力は、その長さに応じた割合で低減されて前記フレクシャ本体84に伝達されるようになっている。
【0118】
また、これら調整ワッシャ99及び調整ボタン100の近傍で、かつフレクシャ本体84側の枠体40の上面には、操作部をなすリフトレバー102が上下移動可能かつ前記両駆動レバー85a,85bに接離可能に設けられている。さらに、両駆動レバー85a,85bには、そのリフトレバー102の近傍で、かつフレクシャ本体84側の部分において、一端が枠体40に固定された引っ張りばねからなる復帰ばね103の他端が取着されている。これにより、両駆動レバー85a,85bは枠体40側に付勢され、前記リフトレバー102が当接していない状態では、両駆動レバー85a,85bの先端が前記調整ボタン100の上面に当接するようになっている。
【0119】
このリフトレバー102を駆動レバー85a,85bに当接させたまま、枠体40から離れる方向、すなわち上方向に移動させることによって、各駆動レバー85a,85bが復帰ばね103の付勢力に抗して枠体40から離れるように移動する。このように、各駆動レバー85a,85bが、調整ボタン100から離れた状態で、調整ボタン100及び調整ワッシャ99の交換が行われる。調整ボタン100及び調整ワッシャ99の交換が完了した後、リフトレバー102を元の位置に戻すことによって、各駆動レバー85a,85bが復帰ばね103の付勢力によって調整ボタン100の上面に当接する。
【0120】
図2及び図14に示すように、前記枠体40の上面及び下面の外周側部分には、枠体40同士が積み重ねられた際に、他の枠体40との重合面40aが形成されている。そして、以上のように構成された複数の光学素子保持装置39が、それぞれその位相を180°ずつずらした状態で、その枠体40の重合面40aにおいて間隔調整用スペーサを介して互いに積層されるようになっている。このように、複数の光学素子保持装置39が重合配置された状態では、下方に配置される光学素子保持装置39のレンズ枠体42は、上方に配置される光学素子保持装置39の枠体40内に収容される。また、このとき、下方側の光学素子保持装置39のフレクシャ部材41は、上方側の枠体40のフレクシャ収容凹部81内に収容される。
【0121】
次に、この光学素子保持装置39の作用について、説明する。
本実施形態における光学素子保持装置39は、前述のように、光学素子38を支持する支持部材をなすレンズ枠体42と、そのレンズ枠体42を鏡筒モジュール37aに固定する固定部をなす枠体40との間が、3つのフレクシャ部材41で接続されている。この鏡筒モジュール37aは、互いに積層された他のレンズ枠体42を示し、全てのレンズ枠体42が積層されて鏡筒37が構成される。この光学素子保持装置39のフレクシャ部材41を6本の剛体に置き換えて示すと、図15に示すようになる。この図15に示すように、各フレクシャ部材41は、それぞれ2本の剛体106a,106bと、剛体106aの両端に設けられた回転ピボット107a,107bと、剛体106bの両端に設けられた回転ピボット107c,107dとを有している。つまり、光学素子保持装置39全体では、6本の剛体と、その各剛体の両端にそれぞれ回転ピボットが配設されている。また、回転ピボット107a,107b〜107dは、剛体106aの長手方向を貫く軸線と、その軸線に直交するとともに互いに直交する2つの軸線との3つの軸線周りの3方向の回転が可能になっている。回転ピボット107c,107dは、剛体106bの長手方向を貫く軸線と、その軸線に直交するとともに互いに直交する2つの軸線との3つの軸線周りの3方向の回転が可能になっている。
【0122】
また、前記各剛体106a,106bは、剛体106aの回転ピボット107a,107bを結ぶ直線と、剛体106bの回転ピボット107c,107bを結ぶ直線とを仮定したときに、(本実施形態では、剛体106a,106bの組合せが3つあるので、6本の直線が仮定される)、3本以上の直線が同一点で交差しないように配置されている。この場合、各剛体106a,106bが直線状なので、各剛体106a,106bの両端の回転ピボット107aと107b、107cと107dを結ぶ直線は、各剛体106a,106bの延長線と等価である。なお、剛体106aの一端の回転ピボット107bと、剛体106bの一端の回転ピボット107dとが非常に近接して配置されているために、全体的に見るとほぼ同一の回転ピボット107b,107dからなる。言い換えると、2本の剛体106a,106bが、1つの回転ピボットを共有している。
【0123】
さらに、各剛体106a,106bの他端には、その各剛体106a,106bの枠体40との相対位置を調整する距離調整機構としての位置調整機構108が装備されている。そして、この位置調整機構108により、前記各剛体106a,106bの端部の位置を変位させることで、枠体40とレンズ枠体42との間の距離を調整するようになっている。
【0124】
ここで、前記モデルと本実施形態のフレクシャ部材41とを対比して考えると、剛体106aには第2拘束ブロック94aが対応し、剛体106bには第1拘束ブロック93aが対応している。また、回転ピボット107aは第2フレクシャ首部89bに対応し、回転ピボット107bは第3フレクシャ首部89cに対応し、回転ピボット107cは第1フレクシャ首部89aに対応し、回転ピボット107dは第4フレクシャ首部89dに対応している。
【0125】
そして、前記第2拘束ブロック94aの一端の第3フレクシャ首部89cは、前記第1拘束ブロック93aの一端の第4フレクシャ首部89dのすぐ近傍に接続されている。このため、この両フレクシャ首部89c,89dは、全体として一体的な回転ピボット107b,107dとして見るとことができる。さらに、前記位置調整機構108には、調整ワッシャ99、調整ボタン100、垂直方向駆動レバー85a、水平方向駆動レバー85b、第1駆動ブロック95a及び第2駆動ブロック96aが対応している。
【0126】
なお、設計の都合上、各拘束ブロック93a,94aの変位の方向は、上下または左右方向となっており、前記モデルにおける2本の剛体106a,106bの斜め方向とは異ってはいるが、組合せることで実質的に同一となる。
【0127】
次に、この光学素子保持装置39のフレクシャ本体84の動作について、さらに詳細に説明する。図16は、3つのフレクシャ本体84のうち、1つのフレクシャ本体84の一部を模式的に描いたものである。
【0128】
図16において、垂直方向駆動レバー85a側の第1薄肉部90aではその両側の円形貫通孔88bが上下に対向するように配列されている。このため、所定の駆動力F1を作用させて垂直方向駆動レバー85aの先端部を垂直方向に変位させると、その第1薄肉部90aでは光学素子38の径方向を軸線とする回動力M1に変換される。ここで、第1フレクシャ首部89aは、前記第1薄肉部90aの中心を通るとともに光学素子38の接線方向に沿う直線L1上に形成されている。このため、前記第1薄肉部90aにおける回動力M1が、第1駆動ブロック95aを介して、第1フレクシャ首部89aにおける垂直方向への直線駆動に変換される。この直線駆動が第1拘束ブロック93a及び第4フレクシャ首部89dを介して接続ブロック84aに伝達され、レンズ枠体42内の光学素子38における光軸方向に沿った変位が実現される。
【0129】
一方、水平方向駆動レバー85b側の第2薄肉部90bではその両側の円形貫通孔88bが水平に対向するように配列されている。このため、所定の駆動力F2を作用させて水平方向駆動レバー85bの先端部を垂直方向に変位させると、その第2薄肉部90bでは光学素子38の径方向を軸線とする回動力M2に変換される。ここで、第2フレクシャ首部89bは、前記第2薄肉部90bの中心を通るとともに光学素子38の光軸方向に沿う直線L2上に形成されている。このため、前記第2薄肉部90bにおける回動力M2が、第2駆動ブロック96aを介して、第2フレクシャ首部89bにおける水平方向への直線駆動に変換される。この直線駆動が第2拘束ブロック94a、第3フレクシャ首部89c及び第4フレクシャ首部89dを介して接続ブロック84aに伝達され、レンズ枠体42内の光学素子38における接線方向に沿った変位が実現される。
【0130】
さらに、所定の駆動力F1,F2を作用させて両駆動レバー85a,85bの先端部をそれぞれ垂直方向に変位させると、前記第1拘束ブロック93a、第2拘束ブロック94a及び第3フレクシャ首部89cを介して、前記2つの方向への駆動力が合成される。つまり、光学素子38の光軸をZ軸とする極座標R−θ−Z系を考えた場合、第3フレクシャ首部89cのθ座標、Z座標が、両駆動レバー85a,85bの動きに応じた位置に変化する。一方、前記第1拘束ブロック93a及び第2拘束ブロック94aは、駆動力の伝達方向に沿って拘束され(その長さが変化することなく)、かつ第3フレクシャ首部89cは、前記第1フレクシャ首部89aと第2フレクシャ首部89bとを結ぶ直線L3を中心軸として微少回転することが可能である。すなわち、極座標でいうところのR方向(光学素子38の径方向)に変位する自由度を有している。従って、レンズ枠体42に対して不動な点である第3フレクシャ首部89cは、極座標で言うところのθ、Z並進移動の自由度を、望むべく位置に拘束され、かつR並進自由度を有している。また、第3フレクシャ首部89cは回転ピポットであるので、R、θ、Zの各軸回りの回転自由度を有している。
【0131】
以上の動き及び拘束状態は、枠体40の3ヶ所に設置されたフレクシャ本体84のそれぞれの中で独立に生じる。従って、レンズ枠体42に対して固定された3つの点(第3フレクシャ首部89c)のそれぞれにおいてレンズ枠体42の自由度がそれぞれ2ずつ拘束され、レンズ枠体42の姿勢(6自由度)は機構学の教えるところにより過不足なく拘束される。かつ、その姿勢は、両駆動レバー85a,85bの駆動量と1:1で対応しているため、レンズ枠体42及びそれに保持される光学素子38の姿勢を、それらに無理な力、歪みを与えることなく自在に調節することが可能である。
【0132】
このように、レンズ枠体42は、各フレクシャ部材41を介して、前記枠体40に対して、いわゆるキネマティックに支持されている。ここで、光学素子38の中心を原点、その光学素子38の光軸方向をZ軸、光学素子38の径方向をR軸及び光学素子38の周方向をθ軸とする極座標系R−θ−Z系を考える。このフレクシャ部材41のリンク機構109によれば、レンズ枠体42とリンク機構109との連結点をなす前記第3フレクシャ首部89cは、所定の範囲内においてR、θ、Zの各軸方向に変位可能となる。また、枠体各リンク機構109における、前記第3フレクシャ首部89cの枠体40からの高さ位置を適宜変更して組み合わせることにより、レンズ枠体42を前記枠体40に対して任意の方向に傾けることができる。これにより、レンズ枠体42が枠体40に対して、いわゆるキネマティックに、つまりR、θ、Zの各軸方向への移動とR軸、θ軸及びZ軸の各軸周りの回転とが可能なように保持される。
【0133】
さて、3つのリンク機構109の協働により、光学素子38をその光軸に垂直な面内で変位させる場合における動作の一例について、図17に基づいて説明する。図17において、上側のリンク機構109cの第3フレクシャ首部89cが、矢印方向に所定の点MPに移動されたとする。この移動に伴って、レンズ枠体42の中心Oは、各リンク機構109a,109bのそれぞれの第3フレクシャ首部89cにおける接線TLの交点IPを中心として、前記リンク機構109cの移動方向と平行に前記所定量の2/3の距離だけ変位することになる。
【0134】
これは、以下の理由による。すなわち、各リンク機構109a〜109cは、その枠体40と各リンク機構109a〜109cとの節をなす第3フレクシャ首部89cが、光学素子38のX軸及びY軸方向への並進自由度を確保しつつ、互いの位置関係が固定されている。そして、各リンク機構109a〜109cが120°間隔で配置されている。ここで、レンズ枠体42の中心Oと各リンク機構109a,109bの第3フレクシャ首部89cと、前記接線TLの交点IPとの位置関係を考えると、それらの4つの点により、30°、60°、90°の各内角を有する互いに合同な2つの直角三角形が構成される。そして、前記レンズ枠体42の中心Oと前記各第3フレクシャ首部89cとの距離(半径)を1とした場合、前記レンズ枠体42の中心Oと前記交点IPとの距離は、前記半径の2倍となる。このため、前記交点IPとリンク機構109cの第3フレクシャ首部89cとの距離は、前記半径の3倍となる。このため、光学素子38の中心Oが点MP’へと、前記リンク機構109cの第3フレクシャ首部89cの変位方向と平行にその移動距離の2/3だけ変位する。
【0135】
次に、この光学素子保持装置39の組立手順について説明する。
まず、図18に示すように、レンズ枠体42の取付溝44とは反対側の表面に対して、支持部材43の基台部材45を図示しないボルトで締め付け固定する。この状態で、基台部材45の座面ブロック支持機構51をサンドイッチ部材112で挟み込んで仮固定する。これにより、光学素子38を組み付けるまでの間に、座面ブロック支持機構51の各拘束リンク57,58及び各首部55a〜55dに対して、不用意に過剰な荷重がかかるの防止する。
【0136】
次いで、光学素子38を、そのレンズ枠体42内に収容するとともに、その光学素子38のフランジ部38aを前記基台部材45の座面ブロック50a上の座面49に載置させる。そして、芯出し装置上において、前記レンズ枠体42に対する光学素子38の位置決めを行い、前記基台部材45の座面側取付部59上にパッド部材47及びクランプ部材46をボルト68で締め付け固定する。これにより、光学素子38のフランジ部38aを、前記基台部材45の座面ブロック50aの座面49と、前記押さえ面ブロック63の押さえ面65との間に挟持させる。そして、前記サンドイッチ部材112を基台部材45から取り外し、座面ブロック50aの姿勢を光学素子38のフランジ部38aの形状に応じて変化させ、光学素子38の挟持を安定させる。
【0137】
この状態で、光学素子38の光学面の精度を検査する。この検査において、所定値以上の光学面の変化が生じていることがあきらかになったときには、再度座面ブロック支持機構51をサンドイッチ部材112で挟み込んで仮固定して、光学素子38の装着作業をやり直す。
【0138】
次に、図19に示すように、枠体40上のフレクシャ取付部80に、フレクシャ本体84をボルト97により締め付け固定する。次いで、フレクシャ本体84の接続ブロック84aを両側方から挟み込むように、肩パット部材113を装着、仮固定する。これにより、レンズ枠体42を組み付けるまでの間に、フレクシャ本体84の各拘束リンク93,94、各駆動リンク95,96、各首部89a〜89d及び各薄肉部90a,90bに対して、不用意に過剰な荷重がかかるの防止する。
【0139】
ついで、枠体40上にレンズ枠体42を、そのフレクシャ接合部77が肩パット部材113を装着したフレクシャ本体84の接続ブロック84a上に接合するように載置し、ボルト98で仮固定する。この状態で、枠体40全体を、芯出し装置に搭載して回転させ、光学素子38の光軸の振れ具合を観察する。その観察結果に基づいて、前記ボルト98を緩めレンズ枠体42の位置を調整して、再度ボルト98で仮固定する。そして、回転させたときにおける光学素子38の光軸の振れがほとんどなくなるまで、この調整をくり返す。光学素子38の振れがほぼ解消されたら、前記ボルト98を完全に締め込んで、レンズ枠体42をフレクシャ本体84を介して枠体40上に固定する。
【0140】
そして、前記肩パット部材113を取り外し、図2及び図3に示すような光学素子保持装置39が構成される。そして、この状態で再度芯出し装置上で回転させ、光学素子38の光軸の振れが完全に解消されるように、芯出し装置のテーブルを平行移動あるいは傾ける。このときの芯出し装置におけるレンズ枠体42外径の偏心量、端面の傾き量を記録しておく。これらの情報を専用のソフトウェアに入力し、これらの偏心量及び傾き量を打ち消すような姿勢変化を発生させる調整ワッシャ99及び調整ボタン100の組み合わせを計算する。そして、この計算結果に基づいて、前記調整ワッシャ99及び調整ボタン100を選択的に嵌合する。最後に、もう一度、芯出し装置により全体を回転させ、光学素子38の光軸の振れを確認する。
【0141】
そして、図14に示すように、各光学素子保持装置39を、その位相が180°ずつずらすようにして積層して鏡筒37の一部を形成する。
従って、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0142】
(イ) この光学素子保持装置39では、光学素子38を保持するレンズ枠体42と枠体40とが3つのフレクシャ本体84を介して連結されている。そして、そのフレクシャ本体84には、前記光学素子38の中心を原点とし、その光学素子38の光軸方向をZ軸、径方向をR軸、周方向をθ軸とした極座標系R−θ−Z系に沿う3つの変位と、前記3つの座標軸R、θ、Z周りの回転との6つの運動自由度を与える駆動レバー85a,85bが設けられている。
【0143】
このため、駆動レバー85a,85bに所定の駆動力が与えられると、フレクシャ本体84の作用により、光学素子38には、座標軸R、θ、Zの3つの座標軸に沿う3つの変位と、前記3つの座標軸R、θ、Z周りの回転との6つの運動自由度が付与される。つまり、光学素子38が、いわゆるキネマティックに保持されている。これにより、前記光学素子38の姿勢を微妙に調整することができて、枠体40等に厳密な加工を施すことなく、光学素子38の位置決めを容易かつ精度よく行うことができる。
【0144】
(ロ) この光学素子保持装置39では、3つのフレクシャ本体84は、光学素子38の周りに等間隔で3つ配置されている。このため、光学素子38の位置決めを簡単な構成で実現できるとともに、その光学素子38を安定して保持することができる。
【0145】
(ハ) この光学素子保持装置39では、3つのフレクシャ本体84は、枠体40に固定されるフレクシャ固定部91と、光学素子38が保持されるレンズ枠体42に接続する接続ブロック84aとを有している。そして、それらフレクシャ固定部91と接続ブロック84aとを互いに異なる方向(垂直方向と水平方向)への変位を拘束し、かつその互いに異なる方向のそれぞれの周りに回転可能に支持する一対の垂直方向拘束リンク93と水平方向拘束リンク94とが設けられている。
【0146】
このため、フレクシャ固定部91と各拘束リンク93,94との協働により、接続ブロック84aに6つの運動自由度が与えられる。これにより、光学素子38の位置決めを容易かつ精度よく行うことができる。
【0147】
(ニ) この光学素子保持装置39では、フレクシャ本体84に形成されたリンク機構の一方が、フレクシャ固定部91と接続ブロック84aとを水平方向への変位を拘束し、かつ水平方向の周りに回転可能に連結する水平方向拘束リンク94となっている。また、もう一方は、フレクシャ固定部91と接続ブロック84aとを垂直方向に沿って拘束し、かつ垂直方向の周りに回転可能に連結する垂直方向拘束リンク93となっている。
【0148】
このように、水平方向拘束リンク94と垂直方向拘束リンク93とから一対のリンク機構を構成することで、そのリンク機構、ひいてはフレクシャ本体84の構成の簡素化を図ることができる。
【0149】
(ホ) この光学素子保持装置39では、フレクシャ固定部91と接続ブロック84aと各拘束リンク93,94とを回転ピボットをなす各フレクシャ首部89a〜89dで連結したことを特徴とするものである。このため、フレクシャ固定部91と接続ブロック84aとを連結する各拘束リンク93,94の回転を簡単な構成で実現できる。
【0150】
(ヘ) この光学素子保持装置39では、水平方向駆動レバー85bに付与される上下方向の駆動力を、水平方向の駆動力に変換する第2薄肉部90bと第2フレクシャ首部89bとからなる変換機構が設けられている。
【0151】
このため、水平方向への駆動力も垂直方向の駆動力を変換することで得られるため、フレクシャ本体84における設計の自由度を増すことができる。また、フレクシャ本体84の外部において付与された上下方向の駆動力により光学素子38が水平方向に変位される。このため、例えば光学素子38がレンズ枠体42の内部に収容されるような場合において、特に有用である。
【0152】
(ト) この光学素子保持装置39では、垂直方向駆動レバー85aに付与される上下方向の駆動力を、上下方向の駆動力に変換する第1薄肉部90aと第1フレクシャ首部89aとからなる変換機構が設けられている。
【0153】
このため、フレクシャ本体84の外部において付与された上下方向の駆動力により光学素子38が上下方向に変位される。このため、例えば光学素子38がレンズ枠体42の内部に収容されるような場合において、特に有用である。
【0154】
(チ) この光学素子保持装置39では、フレクシャ本体84のそれぞれは、フレクシャ固定部91と接続ブロック84aと各拘束リンク93,94とが単一部材で形成されている。そして、それら各拘束リンク93,94は、一対の矩形貫通孔88aとその矩形貫通孔88aの間の首部で連結されている。このため、リンク機構を構成するあたって、部品点数の増大を招くことなく、しかも簡単な構成で実現することができる。
【0155】
(リ) この光学素子保持装置39では、駆動力が付与される垂直方向駆動レバー85a側の第1薄肉部90aと、その駆動力を光学素子38に対する上下方向への駆動力に変換するために用いられる第1フレクシャ首部89aとが光学素子38に対する水平方向における同一面内に配置されている。
【0156】
このように、第1薄肉部90aと第1フレクシャ首部89aとを水平方向の同一平面上に配置することで、垂直方向駆動レバー85aに付与された駆動力により第1フレクシャ首部89aの部分に回転モーメントが生じるのが抑制される。これにより、垂直方向駆動レバー85aに付与される駆動力を、正確に光学素子38に対する上下方向への駆動力に変換することができる。
【0157】
(ヌ) この光学素子保持装置39では、水平方向駆動レバー85b側の第2薄肉部90bと、接続ブロック84a側の第2フレクシャ首部89bとが、光学素子38の上下方向における同一面内に配置されている。
【0158】
このように、第2薄肉部90bと第2フレクシャ首部89bとを上下方向の同一平面上に配置することで、水平方向駆動レバー85bに付与された駆動力により第2フレクシャ首部89bの部分に回転モーメントが生じるのが抑制される。これにより、水平方向駆動レバー85bに付与される駆動力が、正確に光学素子38に対する水平方向への駆動力に変換される。
【0159】
(ル) この光学素子保持装置39では、各駆動レバー85a,85bがその先端に付与された駆動力を所定の割合で低減してフレクシャ本体84のリンク機構に伝達するようになっている。このため、フレクシャ本体84の各リンク93〜96を介して光学素子38を容易に微小変位させることができる。また、駆動力の低減率に応じて、光学素子38における微小変位を正確にな制御することができる。
【0160】
(ヲ) この光学素子保持装置39では、各駆動レバー85a,85bに付与される駆動力を設定する調整ワッシャ99及び調整ボタン100が設けられている。このため、各駆動レバー85a,85bに付与される駆動力が不用意に変動することがなく、より正確に光学素子38の位置制御を行うことができる。
【0161】
(ワ) この光学素子保持装置39では、調整ワッシャ99及び調整ボタン100は、各駆動レバー85a,85bと枠体40との間に配置され、その間の間隔を調整することによって、任意の駆動力を設定するようになっている。このため、簡単な構成で前記(ヲ)に記載の効果を実現することができる。
【0162】
(カ) この光学素子保持装置39では、1つのフレクシャ本体84において2つの駆動レバー85a,85bを備えている。そして、一方の水平方向駆動レバー85bの操作によって光学素子38がその接線方向へ変位し、他方の垂直方向駆動レバー85aの操作によって光学素子38が光軸方向に変位するようになっている。
【0163】
このため、2つの駆動レバー85a,85bの操作によって光学素子38の姿勢を容易かつより正確に制御することができる。しかも、その変位方向を一方が光学素子38の接線方向、他方が光学素子38の光軸方向とすることで、機構の簡素化を図ることができて、設計が容易となる。
【0164】
(ヨ) この光学素子保持装置39では、フレクシャ本体84が、光学素子38のフランジ部38aに係合する座面ブロック50aの間に配置されている。このため、光学素子保持装置39の全体構成を小型化することができる。
【0165】
(タ) この光学素子保持装置39では、フレクシャ本体84の各拘束リンク93,94の両端に配置される前記回転ピボットが、その両側に連結される部分に対して断面積の小さな各フレクシャ首部89a〜89dからなっている。すなわち、これら各フレクシャ首部89a〜89dは、単一部材に形成された2つの剛体間に形成される切欠ばねからなっている。このため、各フレクシャ首部89a〜89dの弾性変形力を利用して、フレクシャ固定部91と接続ブロック84aと各拘束リンク93,94とを、簡単な構成で、しかも一体の部材でもって互いに回転可能に形成することができる。しかも、フレクシャ部材41は一体の部材からなるため、そのフレクシャ部材41を枠体40とレンズ枠体42との間に容易に組み付けることができる。
【0166】
(レ) この光学素子保持装置39では、各駆動レバー85a,85bを枠体40側に付勢する復帰ばね103が設けられている。そして、その復帰ばね103の付勢力によって、各駆動レバー85a,85bを調整ボタン100に当接させることで、各駆動レバー85a,85bに付与される駆動力を設定するようになっている。このため、各駆動レバー85a,85bに付与される駆動力が、調整ワッシャ99及び調整ボタン100の絶対的な厚みにより設定される。これに対して、例えばネジ等により前記駆動力を設定する場合では、ネジの締め込み量を厳密に制御するのは困難である。従って、前記駆動力の設定に過不足を生じにくく、その駆動力の設定をより正確に行うことができる。
【0167】
(ソ) この光学素子保持装置39では、枠体40上においてフレクシャ本体84が等角度間隔で配置されている。そして、フレクシャ本体84の間に、その枠体40に重合配置される他の光学素子保持装置39のフレクシャ本体84に対応するフレクシャ収容凹部81が設けられている。このため、フレクシャ収容凹部81内に隣接配置される他の光学素子保持装置39のフレクシャ本体84を収容することができて、複数の光学素子保持装置39を重合配置させる際に、その全体を小型化することができる。
【0168】
(ツ) この光学素子保持装置39では、フレクシャ収容凹部81が、フレクシャ本体84とは180°分だけ位相をずらした位置に対応するように設けられている。このため、複数の光学素子保持装置39を180°分だけ位相をずらして、その一部を重ね合わせて配置することができ、全体をより小型化することができる。
【0169】
(ネ) この光学素子保持装置39では、枠体40の端面に、他の光学素子保持装置39の枠体40との重合面40aが定義されている。この重合面40aの間に間隔調整用のスペーサを配置して、光学素子保持装置39の互いの位置を調整することができる。すなわち、間隔調整用のスペーサで、光学素子保持装置39が保持する光学素子38の位置を粗調整することができる。その後、光学素子保持装置39の各駆動レバー85a,85bを駆動するとともに、調整ワッシャ99及び調整ボタン100の厚みを変更することにより、光学素子38を目的とする位置まで変位させることができる。なお、この間隔調整スペーサは、重合面40aと略同一形状のリング状のスペーサであってもよく、重合面40aの複数箇所に配置される分割されたスペーサ(例えばワッシャ等)であってもよい。
【0170】
(ナ) この鏡筒37では、複数の光学素子38が上記の光学素子保持装置39を介して保持されている。このため、内部の光学素子38がより正確に位置決めされており、鏡筒37全体の結像性能の向上を図ることができる。
【0171】
(ラ) この露光装置31では、投影光学系35がその内部に光学素子38を光学素子保持装置39により保持した鏡筒37で構成されている。このため、投影光学系35の結像性能が向上されて、露光精度の向上を図ることができる。
【0172】
(ム) この露光装置31では、フレクシャ部材を41を駆動する駆動レバー85a,85bが、光学素子38を支持するレンズ枠体42と、枠体40との間に配置されている。このため、駆動レバー85a,85bを作動させることで、光学素子38を前記6つの運動自由度をもって変位させることが可能になる。従って、枠体40やレンズ枠体42等を厳密に加工することなく、光学素子38の位置決めを容易かつ精度よく行うことができる。
【0173】
(ウ) この露光装置31では、3つのフレクシャ部材41が、それぞれ所定の長さの剛体をなす第1拘束ブロック93a及び第2拘束ブロック94aを有している。そして、レンズ枠体42が、全体では6本の剛体を介して枠体40上に支持されている。しかも、各剛体は、前記6つの運動自由度を有しているため、前記枠体40に対してみそすり運動(歳差運動)可能なものとなる。このため、前記レンズ枠体42に支持される光学素子38を、簡単な構成でもって、その中心を原点とし、径方向をR、周方向をθ、光軸方向をZとする3つの座標軸系R−θ−Z系においてキネマティックに支持することができる。
【0174】
(ヰ) この露光装置31では、フレクシャ部材41が、レンズ枠体42と枠体40との間の距離を調整する位置調整機構108を有している。このため、レンズ枠体42と枠体40との間の距離を調整することにより、光学素子38の変位の範囲を拡大することができる。そして、これを、投影光学系35の残存収差の補正に利用することで、投影光学系35の結像特性が大きく向上し、露光装置31の露光精度を向上させることができる。
【0175】
(ノ) この露光装置31では、3つのフレクシャ部材41のフレクシャ本体84に取り付けられた駆動レバー85a,85bを変位させることにより、そのフレクシャ本体84を変位させる。そして、このフレクシャ本体84の変位により、光学素子38の位置決めをなすようになっている。このように、光学素子38の変位はフレクシャ部材41を介して行うこととなり、前記光学素子38に予想外のひずみが生じたりするのが抑制される。従って、光学素子38の精度を保ちつつ、その光学素子38をより正確に変位させることができる。
【0176】
(オ) ある物体を所定の固定部に対して6本の剛体を介しキネマティックに保持したとき、その6本の剛体の延長線のうち3本以上が同一点で交わると、キネマティックの特異点が生じる。この特異点では、前記物体の保持が不安定となり、その物体の正確な位置決めが困難となる。これに対して、この露光装置31では、各フレクシャ部材41の剛体をなす各拘束ブロック93a,94aにおける両端のフレクシャ首部89a〜89dを結ぶ6本の直線を仮定したときに、3本以上の直線が同一点で交わらないようになっている。このため、キネマティックの特異点が生じることがなく、光学素子38の位置決めをより確実に行うことができる。
【0177】
(第2実施形態)
次に、本発明の光学素子保持装置の第2実施形態について、前記第1実施形態とは異なる部分を中心に、図20〜図22に基づいて説明する。
【0178】
図20は、この第2実施形態の光学素子保持装置121を模式的に示した斜視図である。図20に示すように、この光学素子保持装置で121では、光学素子38を保持するレンズ枠体122がそれぞれ独立した6本(図中には5本を記載)の剛体123を介して枠体124上に保持されている。
【0179】
図21は前記剛体123を示す断面図であり、図22はその図21における22−22線での断面図となっている。図21及び図22に示すように、剛体123は金属製の四角柱で形成されており、その両端の近傍には前記第1実施形態のフレクシャ首部89a〜89dと同様な構成の回転ピボット125が切り欠き形成されている。そして、前記各剛体123は、その一端が直接前記枠体124に固定され、他端が取り付け部材126を介して前記レンズ枠体122に固定されている。なお、この6本の剛体123も、各剛体123の両端の回転ピボット125を結ぶ6本の直線を仮定したとき、3本以上の直線が同一点で交わらないように配置されている。
【0180】
このように構成された第2実施形態によれば、前記第1実施形態に記載の(イ)、(ホ)、(チ)、(ラ)、(ウ)及び(オ)の効果とほぼ同様の効果に加えて、次の効果を得ることができる。
【0181】
(第3実施形態)
次に、本発明の光学素子保持装置の第3実施形態について、前記各実施形態とは異なる部分を中心に説明する。図23に模式的に示すように、この第3実施形態の光学素子保持装置131は、前記第2実施形態の光学素子保持装置121のレンズ枠体122が省略されたものとなっている。そして、剛体123の一方の端部には、座面ブロック支持機構や、クランプ部材が取着され、光学素子38を直接挟持するようになっている。
【0182】
このようにしても、前記第2実施形態の光学素子保持装置121とほぼ同様の効果が得られる。また、レンズ枠体122に設けられた座面ブロック支持機構や、クランプ部材に限らず、他の機構で光学素子38をレンズ枠体122に保持してもよい。
【0183】
(第4実施形態)
次に、本発明の光学素子保持装置の第4実施形態について、前記各実施形態とは異なる部分を中心に説明する。
【0184】
図24は、この第4実施形態の光学素子保持装置136を模式的に示した斜視図である。図24に示すように、この光学素子保持装置で136は、前記第1実施形態の光学素子保持装置39において、位置調整機構108が省略されたものである。具体的には、前記第1実施形態の光学素子保持装置39において、垂直方向駆動レバー85a及び水平方向駆動レバー85bと、さらに両駆動レバー85a,85bの変位を調整する調整ワッシャ99及び調整ボタン100と、それらの周辺構成が省略されたものとなっている。
【0185】
このように構成しても、光学素子38をレンズ枠体42に載置したときに、フレクシャ部材41の作用により、前記極座標系R−θ−Z系に沿う3つの移動と、前記3つの座標軸R、θ、Z周りの回転との6つの運動自由度が確保される。従って、光学素子38をキネマティックに前記枠体40上に保持することができて、光学素子38の位置調整の範囲が小さくなるものの、前記第1実施形態の光学素子保持装置39とほぼ同様の効果が得られる。
【0186】
(第5実施形態)
次に、本発明の光学素子保持装置の第5実施形態について、前記各実施形態とは異なる部分を中心に説明する。
【0187】
図25は、この第5実施形態の光学素子保持装置141を模式的に示した斜視図である。図25に示すように、この光学素子保持装置で141では、前記第2実施形態の光学素子保持装置121において、剛体142の形状が変更されているとともに、各剛体142の途中に距離調整機構をなす長さ調整機構143が配設されたものとなっている。また、各剛体142は、2本ずつ、その一端側の回転ピボット144が非常に近接配置され、2本の剛体142が1つの回転ピボットをほぼ共有するようになっている。
【0188】
図26は1本の前記剛体142を示す断面図であり、図27は図26における27−27線での断面図となっている。図26及び図27に示すように、剛体142は金属製の円柱で形成されており、その両端の近傍には断面略U字状の環状溝からなる回転ピボット144が切り欠き形成されている。この回転ピボット144は、前記第1実施形態のフレクシャ首部89a〜89dと同様な作用を奏する。この回転ピボット144のごく近傍に、他の剛体142の回転ピボット144が接続されている。そして、前記各剛体142は、その一端が固定部としての前記枠体124に直接固定され、他端が取り付け部材126を介して前記レンズ枠体122に固定されている。
【0189】
前記長さ調整機構143は、例えばピエゾ素子からなり、露光装置31全体の動作を制御する制御装置としての主制御装置145に接続されている。この主制御装置145では、前記露光装置31の投影光学系35の像面上に形成された前記レチクルRt上のパターンの像に基づいて、前記投影光学系35の収差情報が検出されるようになっている。また、この主制御装置145には、前記長さ調整装置143から自身の伸長長さの情報が入力され、この主制御装置145において、各長さ調整機構143からの伸長長さの情報から前記レンズ枠体122と枠体124との距離が求められるようになっている。そして、主制御装置145は、前記収差情報と、前記レンズ枠体122と枠体124との距離とに基づいて、前記各長さ調整機構143の伸長長さを制御するようになっている。これにより、前記レンズ枠体122と枠体124との距離が調整され、前記投影光学系35の収差を補正される。
【0190】
このように構成された第5実施形態によれば、前記第1実施形態に記載の(イ)、(ホ)、(チ)、(ラ)、(ウ)及び(オ)の効果とほぼ同様の効果に加えて、次の効果を得ることができる。
【0191】
(ヤ) この光学素子保持装置141では、主制御装置145がレンズ枠体122と枠体124との間の距離を検出するようになっている。そして、主制御装置145は、その検出結果と投影光学系35の像面側に形成されたパターンの像に含まれる収差情報とに基づいて、前記レンズ枠体122と前記枠体124との距離を調整すべく、長さ調整機構143の状態を制御するようになっている。
【0192】
このため、投影光学系35に残存する収差をより正確に補正することができて、露光精度を一層向上させることができる。しかも、長さ調整機構143にピエゾ素子を採用することで、前記レンズ枠体122と前記枠体124との距離を調整を電気的にリアルタイムで行うことができ、投影光学系35の収差をその投影光学系35の状態変化に追従させつつ補正することができる。
【0193】
(ク) この光学素子保持装置141では、レンズ枠体122と枠体124との距離を、長さ調整機構143により、それらを接続する剛体142の長さを調整することにより行っている。このようにすれば、簡単な構成で、前記レンズ枠体122と前記枠体124ととの間の距離を調整できて、光学素子38の上下変位及びチルト変位の範囲を拡大することができる。
【0194】
(変形例)
なお、本発明の実施形態は、以下のように変形してもよい。
・ 前記第1実施形態では、調整ワッシャ99及び調整ボタン100を選択的に嵌合させることで各駆動レバー85a,85bに付与される駆動力を設定するように構成した。これに対して、例えばピエゾ等のアクチュエータを用いて、各駆動レバー85a,85bに付与される駆動力を設定するようにしてもよい。また、レンズ枠体42の位置を常時検出するようなセンサを設けて、リアルタイムに光学素子38の姿勢を制御するようにしてもよい。
【0195】
・ 前記第1実施形態では、押さえ面ブロック63がパッド部材47を介して、光学素子38のフランジ部38aを押圧するように構成した。これに対して、パッド部材47を省略して、押さえ面ブロック63が直接フランジ部38aを押圧するようにしてもよい。この場合、押さえ面ブロック63の押さえ面65は、座面49と同様に平面状に形成することが望ましい。
【0196】
・ 前記第1実施形態では、座面49を座面ブロック50aにおける光学素子38との対向面の両端に2つ設けたが、その対向面のほぼ全面に座面を形成してもよいし、3つ以上の座面を形成してもよい。押さえ面ブロック63の押さえ面65も、同様に、その対向面のほぼ全面に形成してもよいし、3つ以上を形成してもよい。このように、座面49を前記対向面の全面にわたって形成することで、例えば蛍石等の、さらに破壊強度の小さな硝材を保持が可能となる。
【0197】
・ 前記第1実施形態の押さえ面ブロック支持機構64では、長く延長された腕部66の弾性作用で、押さえ面ブロック63を付勢するようになっている。これに対して、この腕部66に代えて、例えば板状の板バネ、コイルバネ等を採用して押さえ面ブロック63を付勢するようにしてもよい。
【0198】
・ 前記各実施形態では、光学素子38としてレンズが例示されているが、この光学素子38は平行平板、ミラー、ハーフミラー等の他の光学素子であってもよい。
【0199】
・ この発明の光学素子保持装置39は、前記各実施形態の露光装置31の投影光学系35における横置きタイプの光学素子38の保持構成に限定されることなく、例えば露光装置31の照明光学系33における光学素子の保持構成、縦置きタイプの光学素子38の保持構成に具体化してもよい。さらに、他の光学機械、例えば顕微鏡、干渉計等の光学系における光学素子の保持構成に具体化してもよい。加えて、この発明の保持装置は、例えばウエハステージ等の位置決め機能を持ったステージ、鏡筒37の露光装置31の架台に対する保持装置等に具体化してもよい。
【0200】
以上のようにした場合でも、前記実施形態における効果とほぼ同様の効果が得られる。
・ また、露光装置として、投影光学系を用いることなく、マスクと基板とを密接させてマスクのパターンを露光するコンタクト露光装置、マスクと基板とを近接させてマスクのパターンを露光するプロキシミティ露光装置の光学系にも適用することができる。また、投影光学系としては、全屈折タイプに限らず、反射屈折タイプであってもよい。
【0201】
さらに、本発明の露光装置は、縮小露光型の露光装置に限定されるものではなく、例えば等倍露光型、拡大露光型の露光装置であってもよい。
また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクルまたはマスクを製造するために、マザーレチクルからガラス基板やシリコンウエハなどへ回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(深紫外)やVUV(真空紫外)光などを用いる露光装置では一般に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては、石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、蛍石、フッ化マグネシウム、または水晶などが用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置や電子線露光装置などでは、透過型マスク(ステンシルマスク、メンバレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウエハなどが用いられる。
【0202】
もちろん、半導体素子の製造に用いられる露光装置だけでなく、液晶表示素子(LCD)などを含むディスプレイの製造に用いられてデバイスパターンをガラスプレート上へ転写する露光装置、薄膜磁気ヘッド等の製造に用いられて、デバイスパターンをセラミックウエハ等へ転写する露光装置、及びCCD等の撮像素子の製造に用いられる露光装置などにも本発明を適用することができる。
【0203】
さらに、本発明は、マスクと基板とが相対移動した状態でマスクのパターンを基板へ転写し、基板を順次ステップ移動させるスキャニング・ステッパ、マスクと基板とが静止した状態でマスクのパターンを基板へ転写し、基板を順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式のステッパとを問わず適用することができる。
【0204】
・ また、露光装置の光源としては、例えばg線(436nm)、i線(365nm)、KrFエキシマレーザ(248nm)、F2レーザ(157nm)、Kr2レーザ(146nm)、Ar2レーザ(126nm)等を用いてもよい。また、DFB半導体レーザまたはファイバレーザから発振される赤外域、または可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(またはエルビウムとイッテルビウムの双方)がドープされたファイバアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いてもよい。
【0205】
なお、前記実施形態の露光装置31は、例えば次のように製造される。
すなわち、まず、照明光学系33、投影光学系35を構成する複数のレンズまたはミラー等の光学素子38の少なくとも一部を前記各実施形態または前記各変形例の実施形態の光学素子保持装置39で保持し、この照明光学系33及び投影光学系35を露光装置31の本体に組み込み、光学調整を行う。次いで、多数の機械部品からなるウエハステージ36(スキャンタイプの露光装置の場合は、レチクルステージ34も含む)を露光装置31の本体に取り付けて配線を接続する。そして、露光光ELの光路内にガスを供給するガス供給配管を接続した上で、さらに総合調整(電気調整、動作確認など)を行う。
【0206】
ここで、光学素子保持装置39を構成する各部品は、超音波洗浄などにより、加工油や、金属物質などの不純物を落としたうえで、組み上げられる。なお、露光装置31の製造は、温度、湿度や気圧が制御され、かつクリーン度が調整されたクリーンルーム内で行うことが望ましい。
【0207】
前記実施形態における硝材として、蛍石、石英などを例に説明したが、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、リチウム−カルシウム−アルミニウム−フロオライド、及びリチウム−ストロンチウム−アルミニウム−フロオライド等の結晶や、ジルコニウム−バリウム−ランタン−アルミニウムからなるフッ化ガラスや、フッ素をドープした石英ガラス、フッ素に加えて水素もドープされた石英ガラス、OH基を含有させた石英ガラス、フッ素に加えてOH基を含有した石英ガラス等の改良石英を用いた場合にも、前記実施形態の光学素子保持装置39を適用することができる。
【0208】
次に、上述した露光装置31をリソグラフィ工程で使用したデバイスの製造方法の実施形態について説明する。
図28は、デバイス(ICやLSI等の半導体素子、液晶表示素子、撮像素子(CCD等)、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートを示す図である。図28に示すように、まず、ステップS151(設計ステップ)において、デバイス(マイクロデバイス)の機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップS152(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスク(レクチルRt等)を製作する。一方、ステップS153(基板製造ステップ)において、シリコン、ガラスプレート等の材料を用いて基板(シリコン材料を用いた場合にはウエハWとなる。)を製造する。
【0209】
次に、ステップS154(基板処理ステップ)において、ステップS151〜S153で用意したマスクと基板を使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によって基板上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップS155(デバイス組立ステップ)において、ステップS154で処理された基板を用いてデバイス組立を行う。このステップS155には、ダイシング工程、ボンディング工程、及びパッケージング工程(チップ封入等)等の工程が必要に応じて含まれる。
【0210】
最後に、ステップS156(検査ステップ)において、ステップS155で作製されたデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
【0211】
図29は、半導体デバイスの場合における、図28のステップS154の詳細なフローの一例を示す図である。図20において、ステップS161(酸化ステップ)では、ウエハWの表面を酸化させる。ステップS162(CVDステップ)では、ウエハW表面に絶縁膜を形成する。ステップS163(電極形成ステップ)では、ウエハW上に電極を蒸着によって形成する。ステップS164(イオン打込みステップ)では、ウエハWにイオンを打ち込む。以上のステップS161〜S164のそれぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
【0212】
ウエハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップS165(レジスト形成ステップ)において、ウエハWに感光剤を塗布する。引き続き、ステップS166(露光ステップ)において、先に説明したリソグラフィシステム(露光装置31)によってマスク(レチクルRt)の回路パターンをウエハW上に転写する。次に、ステップS167(現像ステップ)では露光されたウエハWを現像し、ステップS168(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップS169(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
【0213】
これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハW上に多重に回路パターンが形成される。
以上説明した本実施形態のデバイス製造方法を用いれば、露光工程(ステップS166)において上記の露光装置31が用いられ、真空紫外域の露光光ELにより解像力の向上が可能となり、しかも露光量制御を高精度に行うことができる。従って、結果的に最小線幅が0.1μm程度の高集積度のデバイスを歩留まりよく生産することができる。
【0214】
【発明の効果】
以上詳述したように、本願請求項1に記載の発明によれば、厳密な加工を施すことなく、被保持部材の姿勢を微妙に調整することができて、被保持部材の位置決めを容易かつ精度よく行うことができる。
【0215】
また、本願請求項2に記載の発明によれば、前記請求項1に記載の発明の効果に加えて、支持部材と固定部とをともに厳密に加工することなく、被保持部材の位置決めを容易かつ精度よく行うことができる。
【0220】
また、本願請求項3に記載の発明によれば、前記請求項1または請求項2に記載の発明の効果に加えて、被保持部材の位置決めを簡単な構成で実現できるとともに、被保持部材を安定して保持することができる。
【0221】
また、本願請求項4に記載の発明によれば、前記請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、固定基部と一対のリンク機構との協働により、接続ブロックに前記少なくとも5つの運動自由度を与えることができる。特に、請求項2に記載の発明の下では、被保持部材を、いわゆるキネマティックに保持することができる。
【0222】
また、本願請求項5に記載の発明によれば、前記請求項4に記載の発明の効果に加えて、リンク機構の構成の簡素化を図ることができる。
また、本願請求項6に記載の発明によれば、前記請求項4または請求項5に記載の発明の効果に加えて、固定基部と接続ブロックとを連結する一対のリンク機構の回転を簡単な構成で実現できる。
【0223】
また、本願請求項7に記載の発明によれば、前記請求項5または請求項6に記載の発明の効果に加えて、設計の自由度を増すことができる。
【0224】
また、本願請求項8及び請求項9に記載の発明によれば、前記請求項7に記載の発明の効果に加えて、例えば被保持部材が枠体の内部に収容されるような場合において、特に有用である。
【0225】
また、本願請求項10に記載の発明によれば、部品点数の増大を招くことなく、しかも簡単な構成で、前記請求項4〜請求項9のうちいずれか一項に記載の発明の効果を実現可能できる。
【0226】
また、本願請求項11に記載の発明によれば、前記請求項5に記載の発明の効果に加えて、駆動機構に付与される駆動力を、正確に被保持部材に対する上下方向への駆動力に変換することができる。
【0227】
また、本願請求項12に記載の発明によれば、前記請求項11に記載の発明の効果に加えて、駆動機構に付与される駆動力を、正確に被保持部材に対する水平方向への駆動力に変換することができる。
【0228】
また、本願請求項13に記載の発明によれば、前記請求項1〜請求項12のうちいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、フレクシャ部材と変位部材とを離隔させることができて、設計の自由度を向上することができる。
【0229】
また、本願請求項14に記載の発明によれば、前記請求項13に記載の発明の効果に加えて、フレクシャ部材を介して被保持部材を容易かつ正確に微小変位させることができる。
【0230】
また、本願請求項15に記載の発明によれば、前記請求項13または請求項14に記載の発明の効果に加えて、より正確な被保持部材の位置制御を行うことができる。
【0231】
また、本願請求項16に記載の発明によれば、簡単な構成で、前記請求項4に記載の発明の効果を実現できる。
また、本願請求項17に記載の発明によれば、2つの操作部の操作によって光学素子の姿勢を容易かつより正確に制御することができる。
【0232】
また、本願請求項18に記載の発明によれば、前記請求項17に記載の発明の効果に加えて、機構の簡素化を図ることができて、設計を容易に行うことができる。
【0233】
また、本願請求項19に記載の発明によれば、光学素子保持装置において、前記請求項1〜請求項18に記載の発明の優れた効果を実現することができる。
また、本願請求項20に記載の発明によれば、前記請求項17〜請求項19のうちいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、光学素子保持装置の全体構成を小型化することができる。
【0234】
また、本願請求項21及び請求項22に記載の発明によれば、内部の光学素子をより正確に位置決めすることができ、鏡筒全体の結像性能の向上を図ることができる。
【0235】
また、本願請求項23に記載の発明によれば、投影光学系の結像性能を向上させることができて、露光精度の向上を図ることができる。
また、本願請求項24に記載の発明によれば、前記請求項23に記載の発明の効果に加えて、投影光学系に残存または発生する収差をより正確に補正することができて、露光精度を一層向上させることができる。
【0236】
また、本願請求項25に記載の発明によれば、露光精度を向上することができて、高集積度のデバイスを歩留まりよく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態の露光装置の概要を示す構成図。
【図2】 本発明の第1実施形態の光学素子保持装置を示す斜視図。
【図3】 図2の光学素子保持装置の平面図。
【図4】 図2の光学素子保持装置の側面図。
【図5】 図3の5−5線断面図。
【図6】 図2のレンズ枠体を示す部分拡大斜視図。
【図7】 図2の保持部を示す部分拡大斜視図。
【図8】 図2の枠体を示す斜視図。
【図9】 図2のフレクシャ本体の周辺構成を示す部分拡大平面図。
【図10】 図2のフレクシャ本体の周辺構成を示す部分拡大側面図。
【図11】 図10のフレクシャ本体を中心に示す部分拡大側面図。
【図12】 図9の12−12線断面図。
【図13】 図9の13−13線断面図。
【図14】 図2の光学素子保持装置を積層状態で示す斜視図。
【図15】 図2の光学素子保持装置を模式的に示す説明図。
【図16】 図2の1つのフレクシャ部材の動作を模式的に示す説明図。
【図17】 光学素子の平行移動に関する説明図。
【図18】 図2のレンズ枠体の基台部材の取付に関する部分斜視図。
【図19】 図2の枠体のフレクシャ本体の取付に関する部分斜視図。
【図20】 第2実施形態の光学素子保持装置を模式的に示す説明図。
【図21】 図20の剛体を示す断面図。
【図22】 図21の22−22線断面図。
【図23】 第3実施形態の光学素子保持装置を模式的に示す説明図。
【図24】 第4実施形態の光学素子保持装置を模式的に示す説明図。
【図25】 第5実施形態の光学素子保持装置を模式的に示す説明図。
【図26】 図25の剛体を示す断面図。
【図27】 図26の27−27線断面図。
【図28】 デバイスの製造例のフローチャート。
【図29】 半導体デバイスの場合における図28の基板処理に関する詳細なフローチャート。
【図30】 従来構成の光学素子保持装置を示す分解斜視図。
【図31】 図30の光学素子保持装置の断面図。
【符号の説明】
31…露光装置、35…投影光学系、37…鏡筒、37a…鏡筒モジュール、38…被保持部材としての光学素子、38a…周縁部をなすフランジ部、39,121,131,136,141…光学素子保持装置、40,124…固定部としての枠体、41…フレクシャ部材、42,122…保持部としてのレンズ枠体、43…支持部材、49…座面、50…座面ブロック、84a…接続ブロック、85a…変位部材及び伝達部をなす垂直方向駆動レバー、85b…変位部材及び伝達部をなす水平方向駆動レバー、88a…貫通孔としての矩形貫通孔、89a…回転ピボット及び第2切欠ばねをなす第1フレクシャ首部、89b…回転ピボット及び第3切欠ばねをなす第2フレクシャ首部、89c…回転ピボット及び切欠ばねをなす第3フレクシャ首部、89d…回転ピボット及び切欠ばねをなす第4フレクシャ首部、90a…変換機構及び第1切欠ばねとしての第1薄肉部、90b…変換機構及び第1切欠ばねとしての第2薄肉部、91…固定基部としてのフレクシャ固定部、93…交差方向拘束リンクとしての垂直方向拘束リンク、93a…剛体をなす第1拘束ブロック、94…水平方向拘束リンク、94a…剛体をなす第2拘束ブロック、99…変位量設定部材としての調整ワッシャ、100…変位量設定部材としての調整ボタン、102…操作部をなすリフトレバー、106a,106b,123,142…剛体、107a〜107d,125,144…回転ピボット、108…駆動機構及び距離調整機構をなす位置調整機構、143…駆動機構及び距離調整機構をなす長さ調整機構、145…制御機構としての主制御装置、Rt…マスクとしてのレチクル、W…基板としてのウエハ。
Claims (25)
- 被保持部材を保持する保持装置において、
前記被保持部材の略中心を原点とした互いに交差する3つの座標軸に沿う3つの移動と、前記3つの座標軸のうち少なくとも2つの座標軸周りに回転する2つの回転とが可能なように、前記被保持部材を保持する複数のフレクシャ部材と、前記複数のフレクシャ部材のうち、少なくとも一つのフレクシャ部材に接続される2つの変位部材とを備え、
前記2つの変位部材のうち一方の変位部材の変位によって、前記少なくとも一つのフレクシャ部材が前記被保持部材を第1方向に移動させ、前記2つの変位部材のうち他方の変位部材の変位によって、前記少なくとも一つのフレクシャ部材が前記第1方向とは異なる第2方向に前記被保持部材を移動させることを特徴とする保持装置。 - 前記複数のフレクシャ部材は、前記被保持部材を支持する支持部材に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の保持装置。
- 前記複数のフレクシャ部材は、前記被保持部材の周りに等間隔で3つ配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の保持装置。
- 前記複数のフレクシャ部材は、固定部に固定される固定基部と、前記被保持部材に接続される接続ブロックと、前記固定基部と前記接続ブロックとを互いに異なる方向に沿って拘束し、かつ前記互いに異なる方向のそれぞれの周りに回転可能に支持する一対のリンク機構とを備えたことを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の保持装置。
- 前記一対のリンク機構は、前記固定基部と前記接続ブロックとを水平方向に沿って拘束し、かつ前記水平方向の周りに回転可能に連結する水平方向拘束リンクと、前記固定基部と前記接続ブロックとを前記水平方向と交差する交差方向に沿って拘束し、かつ前記交差方向の周りに回転可能に連結する交差方向拘束リンクとからなることを特徴とする請求項4に記載の保持装置。
- 前記固定基部と前記接続ブロックと前記リンク機構とを回転ピボットで連結したことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の保持装置。
- 前記変位部材に付与される所定方向の駆動力を、前記所定方向の駆動力と前記所定方向とは異なる方向の駆動力との少なくとも一方に変換する変換機構を有することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の保持装置。
- 前記変換機構は、前記変位部材に付与される上下方向の駆動力を前記少なくとも一つのフレクシャ部材を介して前記被保持部材に対して、前記上下方向と交差する方向への駆動力に変換することを特徴とする請求項7に記載の保持装置。
- 前記変換機構は、前記変位部材に付与される上下方向の駆動力を前記少なくとも一つのフレクシャ部材を介して前記被保持部材に対する上下方向の駆動力に変換することを特徴とする請求項7に記載の保持装置。
- 前記フレクシャ部材のそれぞれは、前記固定基部と前記接続ブロックと前記一対のリンク機構とが単一部材で形成され、前記フレクシャ部材は、前記固定基部、前記接続ブロック及び前記一対のリンク機構を連結する複数の切欠ばねを有することを特徴とする請求項4〜請求項9のうちいずれか一項に記載の保持装置。
- 前記変位部材に付与される所定方向の駆動力を、前記所定方向の駆動力と前記所定方向とは異なる方向の駆動力との少なくとも一方に変換する変換機構を有し、前記変換機構は、前記固定基部に形成された複数の切欠ばねを有し、前記一対のリンク機構のうち、前記交差方向拘束リンクに連結される第1切欠ばねと、前記フレクシャ部材に前記変位部材を介して付与される駆動力を、前記所定方向とは異なる方向への駆動力に変換するために用いられる第2切欠ばねとを含み、前記第1切欠ばねと前記第2切欠ばねとは、前記被保持部材に対する水平方向における同一面内に配置されることを特徴とする請求項5に記載の保持装置。
- 前記複数の切欠ばねは、前記一対のリンク機構のうち、前記交差方向拘束リンクと前記接続ブロックとを連結する第3切欠ばねを有し、
前記第1切欠ばねと前記第3切欠ばねとは、前記被保持部材に対する垂直方向における同一面内に配置されることを特徴とする請求項11に記載の保持装置。 - 前記変位部材は、付与される駆動力を前記フレクシャ部材に伝達する伝達部を有することを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれか一項に記載の保持装置。
- 前記伝達部は、前記変位部材に付与された駆動力を所定の割合で低減して前記フレクシャ部材に伝達することを特徴とする請求項13に記載の保持装置。
- 前記変位部材には、前記被保持部材の変位量を設定する変位量設定部材を備えることを特徴とする請求項13または請求項14に記載の保持装置。
- 前記変位部材は、付与される駆動力を前記フレクシャ部材の接続ブロックに伝達する伝達部と、前記伝達部と前記固定部との間に配置され、前記伝達部と前記固定部との間の間隔を調整することによって、任意の変位量を設定する変位量設定部材とを備えることを特徴とする請求項4に記載の保持装置。
- 光学素子の周縁部を保持する保持部を備える光学素子保持装置において、
前記保持部は、前記光学素子の周縁部を保持する複数のフレクシャ部材と、
前記複数のフレクシャ部材のうち、少なくとも1つのフレクシャ部材に駆動力を伝達する2つの操作部とを備え、
前記複数のフレクシャ部材のそれぞれは、固定部に取り付けられる固定基部と、前記光学素子の周縁部に接続される接続ブロックと、前記固定基部と前記接続ブロックとの間に設けられ、前記固定基部及び前記接続ブロックに対して回転ピボットで連結された一対のリンクとを有し、
前記少なくとも1つのフレクシャ部材は、一方の前記操作部の操作によって、前記光学素子を第1の方向へ移動させ、他方の前記操作部の操作によって、前記光学素子を前記第1の方向とは異なる第2の方向に移動させることを特徴とする光学素子保持装置。 - 前記第1の方向が前記光学素子の接線方向に沿う方向であり、前記第2の方向が前記光学素子の光軸方向に沿う方向であることを特徴とする請求項17に記載の光学素子保持装置。
- 光学素子の周縁部を保持する保持部と、前記保持部が取り付けられる固定部とを備える光学素子保持装置において、
前記保持部は、請求項1〜請求項18のうちいずれか一項に記載の保持装置を介して、前記固定部に連結されていることを特徴とする光学素子保持装置。 - 前記保持部は、前記光学素子を収容し、かつ前記光学素子の周縁部に係合する座面が形成された複数の座面ブロックを備える枠体を有し、前記3つのフレクシャ部材は、前記枠体に対し、前記座面ブロックの間にそれぞれ配置されることを特徴とする請求項17〜請求項19のうちいずれか一項に記載の光学素子保持装置。
- 内部に複数の光学素子を保持する鏡筒において、
前記光学素子の少なくとも1つを、請求項17〜請求項20のうちいずれか一項に記載の光学素子保持装置を介して保持したことを特徴とする鏡筒。 - 1つ以上の光学素子を収容する少なくとも1つの鏡筒モジュールを有する鏡筒において、
前記少なくとも1つの鏡筒モジュールは、前記光学素子の少なくとも1つを保持する請求項17〜請求項20のうちいずれか一項に記載の光学素子保持装置を備えたことを特徴とする鏡筒。 - マスク上に形成されたパターンの像を投影光学系を介して基板上に転写する露光装置において、
前記投影光学系は、前記請求項21または請求項22に記載の鏡筒を有することを特徴とする露光装置。 - 前記光学素子保持装置は、前記保持部と前記固定部との間の距離を検出し、その検出結果と前記投影光学系の像面側に形成された前記パターンの像に含まれる収差情報とに基づいて、前記保持部と前記固定部との距離を調整すべく、前記駆動機構の状態を制御する制御機構を有することを特徴とする請求項23に記載の露光装置。
- 請求項23または請求項24に記載の露光装置を用いてマイクロデバイスを製造することを特徴とするマイクロデバイスの製造方法。
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