JP4770090B2 - 光学素子保持装置、鏡筒及び露光装置並びにマイクロデバイスの製造方法 - Google Patents

光学素子保持装置、鏡筒及び露光装置並びにマイクロデバイスの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体素子、液晶表示素子、撮像素子、薄膜磁気ヘッド等のマイクロデバイス、あるいはレチクル、フォトマスク等のマスクなどの製造プロセスにおけるフォトリソグラフィ工程で使用される露光装置において、投影光学系等の光学素子を保持するための光学素子保持装置に関するものである。また、その光学素子保持装置を備えた鏡筒、及びその鏡筒を備えた露光装置に関するものである。さらに、その露光装置を用いたマイクロデバイスの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の光学素子保持装置としては、例えば図23及び図24に示すような構成のものが知られている。すなわち、図23及び図24に示す従来構成においては、レンズ等の光学素子201を収容するための枠体202が円環状に形成されている。その枠体202の内周面には、光学素子201を支持する3つの座面204が等角度間隔おきに形成されている。それらの座面204と対応するように、枠体202の上面にはネジ孔205が形成されている。また、枠体202の上面には、3つのクランプ部材206が各ネジ孔205に対するボルト207の螺合により等角度間隔おきに取り付けられている。
【0003】
そして、これらのボルト207の締め付けにより、光学素子201の外周フランジ部201aが各クランプ部材206と座面204との間で挟み込まれる。これにより、光学素子201が枠体202内で所定位置に保持されるようになっている。そして、光学素子201の光軸と交差する方向への力が加わった場合でも、光学素子201がこのクランプ状態で位置ずれを生じることなく安定して保持されるように、各クランプ部に所定のクランプ力が付与されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、例えば半導体素子製造用の露光装置においては、近年の半導体素子の著しい高度集積化に伴ってパターンがますます微細化しているため、投影光学系のさらなる高解像度化が要求されている。これに伴って、その投影光学系等に使用される光学素子201を、如何に光学性能を保って保持するかが大きな問題となってきている。このように、各光学素子201の光学性能を良好に保つためには、それら光学素子201を露光装置の鏡筒内に支持する際に、その光学素子201の光学面における面精度変化を極力小さく抑える必要がある。
【0005】
前記従来構成では、光学素子201が、枠体202の所定位置に形成された3つの座面204上に載置した状態でクランプ部材206によりクランプ保持される。ここで、このクランプ保持に関わる部分、つまり座面204、クランプ部材206及び光学素子201の外周フランジ部201aの加工精度(座面204においては各座面204の位置関係も含めて)は、クランプ保持された光学素子201の光学素子の面形状に大きな影響を与える。言い換えると、このような影響を無視できる程度に、各座面204を、それぞれの形状を一致させるとともに、理想位置に近づけて配置させるためには、極めて厳密な加工を行う必要がある。また、この座面204のみならず、クランプ部材206、そして光学素子201の外周フランジ部201aをも、極めて厳密に加工する必要がある。従って、各部材の加工に非常に手間がかかって、製造コストが大きく増大するという問題があった。
【0006】
また、前記各座面204、クランプ部材206及び光学素子201の外周フランジ部201aを極めて厳密に加工したとしても、光学素子201をクランプ保持した枠体202を鏡筒内に装着する際に、その枠体202にわずかな歪みを生じるおそれがある。このような歪みが生じると、前記各座面204の位置関係が微妙に変化して、枠体202に組み付けられた光学素子201の光学面に歪みが発生し、その光学素子の201の光学性能が低下するおそれがあるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的としては、光学素子における良好な結像性能を維持可能な光学素子保持装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明のその他の目的としては、このような光学素子保持装置を有する鏡筒、及びその鏡筒を備えた露光装置を提供することにある。
さらに、本発明のその上の目的は、このような露光装置を用いて、マイクロデバイスを製造するマイクロデバイスの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願請求項1に記載の発明は、光学素子の周縁部を保持する保持部を備える光学素子保持装置において、前記保持部は、前記光学素子の周縁部に係合する座面を有する座面ブロックと、前記光学素子の接線方向周りに及び前記光学素子の径方向周りに前記座面ブロックを回転可能に支持する2つのリンクを有する座面ブロック支持機構とを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
この本願請求項1に記載の発明では、係合する光学素子の周縁部の形状に合わせて、座面の姿勢を変化させることが可能となる。
また、本願請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記座面ブロック支持機構は、前記光学素子の光軸と平行な軸周りに前記座面ブロックを回転可能に支持することを特徴とするものである。
【0011】
この本願請求項2に記載の発明では、前記請求項1に記載の発明の作用に加えて、座面の姿勢を係合する光学素子の周縁部の形状に合わせてさらに細かく変化させることが可能となる。
【0012】
また、本願請求項3に記載の発明は、前記請求項1または請求項2に記載の発明において、前記座面ブロック支持機構は、前記光学素子の径方向に前記座面ブロックを移動可能に支持することを特徴とするものである。
【0013】
また、本願請求項4に記載の発明は、光学素子の周縁部を保持する保持部と、前記保持部が固定される固定部とを備える光学素子保持装置において、前記保持部は、前記光学素子の周縁部に係合する座面を有する座面ブロックと、前記固定部に固定される基台部と、前記基台部に対し前記座面ブロックを互いに異なる方向における移動を制限し、かつ前記互いに異なる方向のそれぞれの周りに回転可能に、前記基台部と前記座面ブロックとを連結する一対のリンク機構と、前記座面ブロックと前記基台部と前記リンク機構とを連結し、前記基台部と前記座面ブロックと前記リンク機構との各々に対して断面積の小さな首部とを備えたことを特徴とするものである。
【0014】
この本願請求項4に記載の発明では、一対のリンク機構の各リンクにおいて、基台部に対する回転が許容される。ここで、各リンクは、相互に回転可能に連結されているため、その連結点における複数の方向の変位、あるいはそれら方向周りの回転が許容される。これにより、座面ブロックに複数の方向への移動あるいはそれらの方向周りにおける回転の自由度が確保される。加えて、首部を採用することで、基台部と座面ブロックとリンク機構とを一体の部材で形成することが可能となる。
【0015】
また、本願請求項5に記載の発明は、前記請求項4に記載の発明において、前記一対のリンク機構は、前記基台部に対し前記座面ブロックを前記光学素子の接線方向における移動を制限し、かつ接線方向のまわりに回転可能に前記基台部及び前記座面ブロックを連結する接線方向拘束リンクと、前記基台部に対し前記座面ブロックを前記光学素子の光軸方向に沿って拘束しつつ光軸方向のまわりに回転可能に前記基台部及び前記座面ブロックを連結する光軸方向拘束リンクとからなることを特徴とするものである。
【0018】
また、本願請求項に記載の発明は、前記請求項4または請求項5に記載の発明において、前記首部を、前記座面に垂直な垂線に平行でその座面の中間位置を通る線上またはその近傍に配置したことを特徴とするものである。
【0019】
また、本願請求項に記載の発明は、前記請求項4〜請求項6のうちいずれか一項に記載の発明において、前記座面ブロックは、その座面が前記リンク機構、前記首部及び前記基台部と一体物で形成されたことを特徴とするものである。
【0020】
また、本願請求項に記載の発明は、前記請求項1〜請求項のうちいずれか一項に記載の発明において、前記座面ブロックを、前記光学素子の接線方向に所定の長さをもって延びるように形成し、その光学素子との対向面上に所定の間隔をおいて複数の座面を形成したことを特徴とするものである。
【0021】
また、本願請求項に記載の発明は、前記請求項1〜請求項のうちいずれか一項に記載の発明において、前記座面ブロックを、前記光学素子の接線方向に所定の長さをもって延びるように形成し、その光学素子との対向面の長手方向のほぼ全面にわたって座面を形成したことを特徴とするものである。
【0022】
この本願請求項に記載の発明では、前記請求項1〜請求項のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、例えば蛍石等のような所定以下の破壊強度を有する脆い硝材からなる光学素子を保持する際に、その保持による応力が一部に集中することなく分散される。
【0023】
また、本願請求項10に記載の発明は、前記請求項1〜請求項のうちいずれか一項に記載の発明において、前記座面上には、前記光学素子に対する摩擦係数を高める摩擦係数向上機構を設けたことを特徴とするものである。
【0024】
また、本願請求項11に記載の発明は、内部に複数の光学素子を保持する鏡筒において、前記光学素子の少なくとも1つを、請求項1〜請求項10のうちいずれか一項に記載の光学素子保持装置を介して保持したことを特徴とするものである。
【0025】
また、本願請求項12に記載の発明は、1つ以上の光学素子を収容する少なくとも1つの鏡筒モジュールを有する鏡筒において、前記少なくとも1つの鏡筒モジュールは、前記光学素子の少なくとも1つ保持する請求項1〜請求項10のうちいずれか一項に記載の光学素子保持装置を備えたことを特徴とするものである。
【0026】
これら本願請求項11または請求項12に記載の発明では、光学素子をその結像性能の低下のおそれを低減しつつ安定に保持することができる。
また、本願請求項13に記載の発明は、マスク上に形成されたパターンの像を投影光学系を介して基板上に転写する露光装置において、前記投影光学系は、前記請求項11または請求項12に記載の鏡筒を有することを特徴とするものである。
【0027】
この本願請求項13に記載の発明では、鏡筒内に光学素子をその結像性能の低下のおそれを低減しつつ安定に保持することができて、露光精度の向上を図ることができる。
【0028】
また、本願請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の露光装置を用いてマイクロデバイスを製造することを特徴とするものである。
この本願請求項14に記載の発明では、露光精度を向上することができて、高集積度のデバイスを歩留まりよく生産することができる。
【0029】
次に、前記各請求項の発明の下で有用性の認められる技術的思想について、それらの作用とともに以下に記載する。
(1) 前記基台部は直角状に屈曲された屈曲剛体からなり、その屈曲剛体の両直線状剛体部に前記接線方向拘束リンクと前記光軸方向拘束リンクとをそれぞれ連結したことを特徴とする前記請求項5に記載の光学素子保持装置。
【0030】
従って、この(1)のようにすれば、一層簡単な構成で前記請求項5の作用・効果を実現することができる
【0032】
(2) 前記保持部は、前記座面ブロックと前記光学素子を介して反対側に配置され、前記座面とともに前記光学素子の周縁部を挟持する押さえ面を有する押さえ面ブロックを備え、前記首部を前記押さえ面における前記光学素子に対する押圧力の作用線のほぼ延長線上に配置したことを特徴とする請求項6に記載の光学素子保持装置。
【0033】
従って、この()のようにすれば、押さえ面から光学素子の周縁部に作用する押圧力の方向が、座面ブロックの基端の首部を指向するように構成することができる。このため、その首部において、前記押圧力に基づくモーメントが生じるのを抑制することができて、光学素子を安定して保持することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下に、本発明の露光装置及び光学素子保持装置を、半導体素子製造用の露光装置とその内部のレンズ等の光学素子を保持する光学素子保持装置とに具体化した第1実施形態について図1〜図17に基づいて説明する。
【0035】
図1に示すように、この実施形態の露光装置31は、光源32と、照明光学系33と、マスクとしてのレチクルRtを保持するレチクルステージ34と、投影光学系35と、基板としてのウエハWを保持するウエハステージ36とから構成されている。
【0036】
前記光源32は、例えば波長193nmのArFエキシマレーザを発振する。照明光学系33は、図示しないフライアイレンズやロッドレンズ等のオプティカルインテグレータ、リレーレンズ、コンデンサレンズ等の各種レンズ系及び開口絞り等を含んで構成されている。そして、光源32から出射される露光光ELが、この照明光学系33を通過することにより、レチクルRt上のパターンを均一に照明するように調整される。
【0037】
前記レチクルステージ34は、照明光学系33の射出側、すなわち、後述する投影光学系35の物体面側(露光光ELの入射側)において、そのレチクルRtの載置面が投影光学系35の光軸方向とほぼ直交するように配置されている。投影光学系35は、複数の鏡筒モジュール37aからなる鏡筒37内に複数のレンズ等の光学素子38を、光学素子保持装置39を介してほぼ水平(いわゆる横置きタイプ)に収容保持するように構成されている。ウエハステージ36は、投影光学系35の像面側(露光光ELの射出側)において、ウエハWの載置面が投影光学系35の光軸方向と交差するように配置されている。そして、前記露光光ELにて照明されたレチクルRt上のパターンの像が、投影光学系35を通して所定の縮小倍率に縮小された状態で、ウエハステージ36上のウエハWに投影転写されるようになっている。
【0038】
次に、第1実施形態の前記光学素子保持装置39の詳細構成について、説明する。
図2は、第1実施形態の光学素子保持装置を示す一部破断分解斜視図であり、図3は、図2の光学素子保持装置を下方から見た図であり、図4は、図2の保持部を拡大した図である。前記光学素子38は合成石英等の所定以上の破壊強度を有する硝材からなり、その周縁部にはフランジ部38aが形成されている。光学素子保持装置39は、固定部としての鏡筒モジュール37aの役割を有する枠体42と、その枠体42上に等角度間隔をおいて配設され、光学素子38のフランジ部38aを保持する3つの保持部43とから構成されている。保持部43は、大きく分けて基台部材45と、クランプ部材46とを備える。そして、枠体42は、円環状をなすアルミニウム等の金属材料からなり、その一方の表面にはクランプ部材46が取り付けられる取付溝44が等角度間隔おきに形成されている。さらに、枠体42の内周面には、後述する基台部材45の座面ブロック50aを収容するための収容凹部60が取付溝44と対応する位置に形成されている。この収容凹部60によって、枠体42の大口径化を防止している。
【0039】
このように、枠体42の一方の表面に取付溝44を形成することにより、クランプ部材46が一対のボルト68で枠体42に取り付けられた際に、一対のボルト68の頭が枠体42の一方の表面から突出しない。従って、一方の面を、他の枠体42に対して重ねた際に、他の枠体42に対するボルト68の干渉を防ぐことができる。なお、1つの枠体42の表面と、他の枠体42の裏面との間には、各枠体42が保持する光学素子38の光軸方向における位置を決定するために、枠体42間の間隔を調整するスペーサが配置される。従って、枠体42表面から光学素子38が若干突出したとしても、スペーサの厚さ以内であれば、光学素子38は他の枠体42の裏面と接触しない。そして、基台部材45は、枠体42に形成された取付溝44とは反対側の表面、すなわち枠体42の他方の面に対して、一対のボルト48により固定されている。
【0040】
次に、保持部43の具体的構成を説明する。まず、保持部43が備える基台部材45について、図5、図6、図7に基づいて説明する。図5は、先の図4の基台部材45を拡大して示す斜視図、図6は、図4の基台部材45の正面図、図7は図6の7−7線断面図である。基台部材45には、上述したように、一対のボルト48が挿入する貫通孔52が形成されている。この基台部材45には、前記光学素子38のフランジ部38aの一方のフランジ面に係合する座面49を有する座面ブロック50aと、その座面ブロック50aの姿勢を調整可能に支持する座面ブロック支持機構51が形成される支持ブロック50bとを備えている。
【0041】
前記座面ブロック50aは、その長手方向が前記光学素子38の接線方向に沿って配置され、前記座面49はその座面ブロック50aの長手方向の両端部に形成されている。すなわち、座面49は、座面ブロック50aの表面から突出するように形成されている。この座面49は、所定の面積を有する平面状をなすとともに、その周縁が所定の曲率をもった曲面状に形成されている。これは、その座面49が、光学素子38のフランジ部38aに対する角当たりによる損傷を回避するためである。また、この座面49の表面には摩擦係数向上機構としての金の層がメッキ、蒸着等により設けられており、その座面49の表面の光学素子38のフランジ部38aに対する摩擦係数が高められている。
【0042】
なお、座面49と、光学素子38のフランジ部38aとの摩擦係数を高めるために、フランジ部38aの表面には、光学素子38の表面に形成される膜、例えば、反射防止膜と同様の金属膜を形成する。例えば、フランジ部38aに対し、金属膜として、MgF2(フッ化マグネシウム)、AlF3(フッ化アルミニウム)、ZrO2(ジルコニア)、Al23(アルミナ)等を用いて、単層もしくは複数の層(2層、4層もしくはそれ以上の層)を真空蒸着法等で形成すればよい。また、座面49とフランジ部38aとの摩擦係数を向上するために、フランジ部38aの表面積を、座面ブロック50aの長手方向に沿って増加させてもよい。
【0043】
座面ブロック50aと支持ブロック50bとの間、及び支持ブロック50bには、光学素子38の径方向(図4のX軸方向)に貫通する複数のスリット53が形成されている。この複数のスリット53を形成する際、全部のスリット53が互いに連続しないように、スリット53の間に加工を施さない部分を残す。そして、この加工を施さない部分に対して、彫り込み部54が、X方向の+方向から彫り込む加工と、X方向の−方向からの彫り込む加工とにより形成されている。このX方向の+方向からの加工と−方向からの加工とによって、座面ブロック50aと支持ブロック50bとの間、及び支持ブロック50bには、複数の首部55a〜55d(屈曲部)が形成される。ここで、−X方向の彫り込み部54では、首部55a〜55dまでの加工距離が長いため、一旦、大きな穴が加工される。
【0044】
この首部55a〜55dに予測不能な歪みが残存するのを回避するために、各り込み部54の深さ方向における首部55a〜55dの近傍は、その首部55a〜55dの両側が同じ加工方法により切削加工が施されている。この加工方法としては、例えば型彫放電加工、機械的切削加工等が有効である。
【0045】
ここで、支持ブロック50bは、前記複数のスリット53により、図5に示すように、大きく3つの部分に分割されている。すなわち、支持ブロック50bは、前記枠体42に固着される基台部56と、第1ブロック57a、第2ブロック58aとに分割されている。さらに、基台部56と第1ブロック57aと連結する第1首部55aと、基台部56と第2ブロック58aとを連結する第2首部55bと、第1ブロック57aと第2ブロック58aとを連結する第3首部55cと、第2ブロック58aと座面ブロック50aとを連結する第4首部55dとが形成される。これらの複数の首部55a〜55dは、断面正方形をなし、第1ブロック57a、第2ブロック58a、基台部56、座面ブロック50aの断面積に比べて著しく小さな正方形の断面積を有する。
【0046】
そして、第1ブロック57aは、第1首部55a及び第3首部55cによって、第2ブロック58aと基台部56とに固定される。第1ブロック57aは、第1首部55a及び第3首部55cにより、Y方向(光学素子の接線方向)周りに回転可能に保持されるが、Y方向への変位は拘束される。従って、第1ブロック57a、第1首部55a及び第3首部55cにより、光学素子の接線方向への変位を拘束する接線方向拘束リンク57が形成される。
【0047】
また、第2ブロック58aは、第2首部55b及び第4首部55dによって、座面ブロック50aと基台部56とに固定される。第2ブロック58aは、第2首部55b及び第4首部55dにより、Z方向(光学素子の光軸と平行な方向)周りに回転可能に保持されるが、Z方向への変位は拘束される。従って、第2ブロック58a、第2首部55b及び第4首部55dにより、光学素子38の光軸と平行な方向への変位を拘束する光軸方向拘束リンク58が形成される。
【0048】
この接線方向拘束リンク57の拘束方向と、光軸方向拘束リンク58の拘束方向とは、互いにほぼ直交する。言い換えれば、接線方向拘束リンク57の回転軸と、光軸方向拘束リンク58の回転軸とが、互いにほぼ直交する。
【0049】
そして、座面ブロック50aは、第4首部55dによって、支持ブロック50bに連結されている。すなわち、座面ブロック50aは、基台部56に対して、接線方向拘束リンク57と光軸方向拘束リンク58とを備える一対のリンク機構により支持される。
【0050】
また、図6に示すように、これらの首部55a〜55dのうち、第2及び第4首部55b,55dは、前記座面ブロック50aの両座面49の中間位置を通る線上に配置されている。その線は、前記一対の座面49を結ぶ線と直交するとともに前記Z軸に平行である。一方、第1及び第3首部55a,55cは、一対の座面49を結ぶ線と平行な線上に配置されている。さらに、第3首部55cは、第4首部55dの近傍に配置されている。
【0051】
このように構成された基台部材45において、座面ブロック50aは、接線方向拘束リンク57及び光軸方向拘束リンク58により、基台部56に対して、X方向、Y方向、Z方向周りに回転可能に、かつY方向、Z方向への変位が抑制されるように支持されている。さらに、座面ブロック50aは、第4首部55dにより、X方向に変位可能に支持されている。すなわち、座面ブロック支持機構51は、接線方向拘束リンク57と、光軸方向拘束リンク58と、X方向に変位可能な第4首部55dとを含む構成である。
【0052】
なお、前記基台部材45には、その座面ブロック50aに、座面49に対してZ方向(すなわち、光学素子38のフランジ部38aの厚さ方向)に延びて形成される座面側取付部59を備える。言い換えると、座面側取付部59は、前記座面49より高い位置に設けられている。
【0053】
図4に示すように、前記クランプ部材46は、前記座面ブロック50aの上方に対応して配置され、クランプ本体62とパッド部材47とからなっている。このクランプ部材46のうち、クランプ本体62を図8、図9、図10を参照して説明する。図8はクランプ本体62の拡大斜視図であり、図9はそのクランプ本体62を下方から見た拡大斜視図であり、図10は図8の図10−10線断面図である。
【0054】
クランプ本体62は、押さえ面ブロック63と、その押さえ面ブロック63と一体に形成され、押さえ面ブロック63を支持するための押さえ面ブロック支持機構64とが装備されている。押さえ面ブロック63の下面の両端には、前記座面ブロック50aの座面49に対向するように押さえ面65が形成されている。この押さえ面65は、光学素子38の接線方向にほぼ沿った稜線65aを有する断面三角形状に形成されている。この両押さえ面65の稜線65aは、その2つの稜線65aを結ぶ直線の中点が、前記座面ブロック50aと光軸方向拘束リンク58とを連結する第4首部55dの上方に位置するように形成されている。
【0055】
前記押さえ面ブロック支持機構64は、腕部66と押さえ面側取付部67とからなっており、その押さえ面側取付部67と前記押さえ面ブロック63とは所定の間隔をおいて離間されている。そして、この押さえ面側取付部67と前記座面側取付部59とを前記パッド部材47を介して接合させた状態でボルト68により締結することにより、クランプ部材46が前記座面ブロック50aに対して固定されるようになっている。また、前記腕部66は、前記押さえ面ブロック63と押さえ面側取付部67との両端を接続するように一対設けられている。各腕部66は、平面コ字状になし、押さえ面側取付部67と前記座面側取付部59とを前記パッド部材47を介して接合させた状態で弾性変形可能なだけの長さをもって形成されている。さらに、この腕部66は、枠体42に装着した状態で、その枠体42の取付溝44内にその内周面とは離間した状態で収容されるようになっている。
【0056】
図4に示すパッド部材47の構成を、図11及び図12に基づいて説明する。図11は、そのパッド部材47を拡大して示す底面図であり、図12は、図11の12−12線断面図である。前記パッド部材47は、前記両取付部59,67の間に挟持される挟持部71と、前記押さえ面65と光学素子38のフランジ部38aとの間に介装される作用部72と、それら挟持部71と作用部72とを連結するとともに弾性変形可能な薄板状の薄板部73とからなっている。前記作用部72の下面には、光学素子38にフランジ部38aに係合する作用面74が、前記座面49に対応するように平面状に形成されている。この作用面74の周縁は、そのフランジ部38aに対する角当たりによる損傷を回避するため、所定の曲率をもった曲面状に形成されている。また、この作用面74の表面には、前記座面49と同様に金の層がメッキ、蒸着等により設けられており、その作用面74の表面における光学素子38のフランジ部38aに対する摩擦係数が高められている。
【0057】
そして、このように構成されたクランプ部材46は、図13及び図14に示すように、前記ボルト68を締め込むことにより、前記腕部66が弾性変形されて、押さえ面ブロック63の押さえ面65に座面ブロック50a側への押圧力を付与する。この押圧力は、パッド部材47の作用面74を介して、光学素子38のフランジ部38aに作用する。これにより、光学素子38のフランジ部38aが、座面ブロック50aの座面49と、押さえ面ブロック63の押さえ面65との間に挟持される。
【0058】
図2〜図4に示すように、隣り合う保持部43間において、枠体42には複数の重量支持機構77が配設されている。重量支持機構77の具体的構成を図16に示す。この重量支持機構77の数は、光学素子38の重量、厚さ、直径、形状、材質及び保持部43の数の少なくとも1つに応じて設定されている。ちなみに、この実施形態では、隣り合う保持部43間に、それぞれ3つの重量支持機構77が配設されている。
【0059】
前記各重量支持機構77は板バネ78から構成され、その板バネ78には、光学素子38のフランジ部38aの下面に当接する当接部78aと、一対のボルト79により枠体42に取り付け支持される一対の支持部78bと、その当接部78a及び支持部78b間を接続する一対の屈曲部78cとが設けられている。そして、この板バネ78の弾性作用により、光学素子38の重量の一部が支持されるようになっている。
【0060】
次に、前記のように構成された光学素子保持装置39を用いて、光学素子38を保持する場合の手順について説明する。
図2及び図13〜図15に示すように、枠体42に対し3つの取付溝44に対応するようにその下方側から基台部材45を一対のボルト48により取り付けると、座面ブロック50aが各収容凹部60の内周面内にその内周面から離間した状態で配置される。次いで、座面ブロック50aが基台部に対して不用意に変形することを防止するために、座面ブロック50aの両側面の一部を、一対の平板状をなすサンドイッチ部材で挟み込んだ状態で、この基台部材45に仮固定する。この仮固定は、座面ブロック支持機構の各首部55a〜55dに不用意に荷重がかかるのを防止するために行われる。
【0061】
次に、枠体42内に光学素子38を挿入して、その光学素子38の周縁のフランジ部38aを各座面ブロック50a上の座面49に載置する。そして、前記サンドイッチ部材を、座面ブロック50aの両側面から取り外す。すると、座面ブロック50aが、座面ブロック支持機構51の作用により、光学素子38のフランジ部38aの下面に沿って、その光学素子38の接線方向(Y方向)及び径方向(X方向)を軸線として回転される。これにより、座面ブロック50aの姿勢が光学素子38のフランジ部38aの下面の状態、つまり傾き、うねり等に応じて調整され、光学素子38とフランジ部38aとの接触面積が最大限に確保される。
【0062】
その後、光学素子38のフランジ部38aの上面と座面ブロック50aの座面側取付部59の上面とにわたって、パッド部材47を配置するとともにクランプ本体62を接合させると、各パッド部材47の作用面74が光学素子38のフランジ部38aの上面に係合される。この状態で、各パッド部材47及びクランプ本体62を、一対のボルト68にて締め付け固定する。これに伴って、押さえ面ブロック63の押さえ面65がパッド部材47の上端面に当接するとともに、腕部66が弾性変形され、パッド部材47の作用面74が光学素子38を押圧付勢する。
【0063】
これにより、光学素子38のフランジ部38aが、座面ブロック50aの座面49と押さえ面ブロック63の押さえ面65との間で、光学素子38のフランジ部38aとそれに対向する座面49及び作用面74との接触面積を最大限に確保した状態でクランプ保持される。従って、光学素子38を、安定に保持することができる。
【0064】
このように、光学素子38が光学素子保持装置39の枠体42に保持された状態で、図1に示すように積層される。この構成において、光学素子38と枠体42とは、それぞれ異なる材質で形成されており、光学素子38と枠体42との間では線膨張係数に差を生じることがある。このため、光源32からの露光光ELの照射により光学素子38等が発熱したような場合には、光学素子38と枠体42との間で光学素子38の径方向へ伸縮長さの違いが生じることがある。
【0065】
このような伸縮長さの違いが生じた場合には、各座面ブロック支持機構51の各拘束リンク57,58及び各首部55a〜55dの協働作用により、光学素子38を挟持する座面ブロック50aと押さえ面ブロック63とが、枠体42に対し光学素子38の径方向へ相対移動される。これにより、前記伸縮長さの違いが吸収され、光学素子38に大きな伸縮荷重が直接加わるおそれはない。
【0066】
また、枠体42を積層する際に、その枠体42にわずかな歪みを生じるおそれがある。このように枠体42に歪みが生じたとしても、各座面ブロック支持機構51の各拘束リンク57,58及び各首部55a〜55dの協働作用により、光学素子38が枠体42に対してキネマティックに保持されるため、その歪みの影響が光学素子38に及ぶのが抑制される。
【0067】
次に、この光学素子保持装置39において、光学素子38がキネマティックに保持するための機構について説明する。
本実施形態における光学素子38の保持部43を模式的に示すと、図17に示すようになる。図17は、3つの保持部43のうち、1つの保持部43を模式的に描いたものである。図17において、光学素子38の周縁にある矩形は座面ブロック50a及び押さえ面ブロック63を、L字形は基台部材45の基台部56を示している。また、同図において、両者をつなぐ2本の直線は、接線方向拘束リンク57及び光軸方向拘束リンク58を、その直線上の点は各首部55a〜55dを示している。
【0068】
基台部56は、2つの直線状剛体56a,56bが直角状に一体化された屈曲剛体をなし、一方の直線状剛体部56aには接線方向拘束リンク57の基端が第1首部55aを介して連結されている。他方の直線状剛体部56bは、光軸方向拘束リンク58の基端が第2首部55bを介して連結されている。接線方向拘束リンク57の他端は、光軸方向拘束リンク58に第3首部55cを介して連結されている。そして、光軸方向拘束リンク58の他端は、座面ブロック50aに第4首部55dを介して連結されている。
【0069】
ここで、各拘束リンク57,58は、前記基台部56の各直線状剛体部56a,56bと同様に、その長手方向には剛体として作用し同方向に沿った伸縮は生じない。この一方で、各直線状剛体部56a,56b及び各拘束リンク57,58は、回転ピボットをなす各首部55a〜55dにより連結されている。この各首部55a〜55dは、その両側に接続される剛体に比べて非常に小さな断面積を有するものであり、その首部55a〜55dが塑性変形しない微小な範囲内において、両側の剛体の相対変位に基づいて容易に全ての方向に曲げあるいはねじれ変形させることができる。このように、座面ブロック支持機構51には、基台部56を固定リンクとして、各拘束リンク57,58が協働して作動するリンク機構80が構成されている。
【0070】
ここで、光学素子38の中心を原点とし、その光学素子38の径方向をR軸、周方向をθ軸、光軸をZ軸とする極座標系R−θ−Zを考える。このリンク機構80によれば、光学素子38とリンク機構80との連結点をなす第4首部55dは、所定の範囲において、R方向にのみ変位可能となる。すなわち、光学素子38に対して固定された3つの点(第4首部55d)のそれぞれにおいて光学素子38の自由度がそれぞれ2つずつ拘束され、光学素子38の姿勢(6自由度)は機構学に基づいて拘束される。すなわち、光学素子38は、キネマティックに保持される。
【0071】
次に、このリンク機構80により、光学素子38に生じた熱変形の吸収作用について、説明する。すなわち、光学素子38に熱変形が生じたとすると、その光学素子38は径方向に膨張または収縮する。このような膨張または収縮が生じたときには、前記第4首部55dを光学素子38の径方向に変位させる方向に力が働く。この力に対して、各拘束リンク57,58はその枠体42との連結点をなす第1首部55a及び第2首部55bを結ぶ線を軸線として回転され、その回転運動により光学素子38の熱変形に伴う光学素子38の周縁の変位が吸収される。これにより、光学素子38にひずみが生じるのが抑制される。
【0072】
従って、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(イ) この光学素子保持装置39では、光学素子38を保持する保持部43の座面ブロック50aに、光学素子38のフランジ部38aに係合する座面49が形成されている。そして、その座面ブロック50aを、光学素子38の接線方向周り、その光軸方向周り及びその径方向周りに回転可能に支持する座面ブロック支持機構51が設けられている。
【0073】
このため、係合する光学素子38のフランジ部38aの形状に合わせて、座面49の姿勢を変化させることができ、その光学素子38に座面49との係合により予期しない応力が発生するのが抑制される。これにより、光学素子38を、その光学面の精度を良好に保ちつつ安定に保持することができる。従って、光学素子38を安定に保持できるとともに、保持部43に極めて厳密な加工を施すことなく、光学素子38における良好な結像性能を維持することができる。
【0074】
(ロ) この光学素子保持装置39では、座面ブロック支持機構51が座面ブロック50aを光学素子38の径方向に移動可能に支持するようになっている。このため、光学素子38の熱変形が吸収され、その光学面を良好に保つことができて、光学素子38の熱変形時における結像性能の変化を低減することができる。
【0075】
(ハ) この光学素子保持装置39では、光学素子38のフランジ部38aを保持する保持部43に、そのフランジ部38aに係合する座面49が形成された座面ブロック50aが形成されている。そして、同保持部43には、枠体42に固定される基台部56と座面ブロック50aとを、光学素子38の接線方向に沿って拘束するとともにその接線方向周りに回転可能に連結する接線方向拘束リンク57が設けられている。さらに、基台部56と座面ブロック50aとを、光学素子38の光軸方向に沿って拘束するとともにその光軸方向周りに回転可能に連結する光軸方向拘束リンク58が設けられている。そして、両リンク57,58は、相互に回転可能に連結されている。
【0076】
このため、両リンク57,58の連結点における複数の方向の変位、あるいはそれら方向周りの回転が許容される。これにより、座面ブロック50aに複数の方向への移動あるいはそれらの方向周りにおける回転の自由度が確保される。そして、例えば枠体42側に歪みが生じたような場合にも、前記連結点がその歪みを打ち消すように移動または回転され、3つの座面ブロック50aをそれぞれ所定の位置関係に保持することができる。そして、保持部43に極めて厳密な加工を施すことなく、光学素子38における良好な結像性能を維持することができる。
【0077】
また、座面ブロック支持機構51における一対のリンク機構80の各リンク57,58を、光学素子38の接線方向と光軸方向とにそれぞれ沿って設けることで、リンク機構80の構成が複雑化することがなく、その設計を容易に行うことができる。
【0078】
(ニ) この光学素子保持装置39では、基台部56と座面ブロック50aと接線方向拘束リンク57と光軸方向拘束リンク58とが、回転ピボットをなす首部55a〜55dを介して連結されている。この首部55a〜55dは、その両側に連結される基台部56、座面ブロック50a、接線方向拘束リンク57及び光軸方向拘束リンク58に対して小さな断面積を有している。
【0079】
このため、回転ピボットとして首部55a〜55dを採用することで、基台部56と座面ブロック50aと接線方向拘束リンク57と光軸方向拘束リンク58を一体の部材で形成することが可能となる。従って、部品点数の増大を招くことなく、簡単な構成で、しかも一体の部材でもって前記(ハ)に記載の効果を実現することができる。
【0080】
(ホ) この光学素子保持装置39では、座面ブロック50aに連結される第4首部55dが、各座面の中間位置を通り光学素子38の光軸に平行な線上に配置されている。このため、座面49の姿勢の変化を安定に行うことができる。
【0081】
(ヘ) この光学素子保持装置39では、座面ブロック50aが光学素子38の接線方向に所定の長さをもって延びるように形成されている。そして、その座面ブロック50aにおける光学素子38のフランジ部38aとの対向面上に、所定の間隔をおいて2つの座面49が形成されている。このため、例えば合成石英等のような所定以上の破壊強度を有する硝材からなる光学素子38を、より確実かつ安定に保持することができる。
【0082】
(ト) この光学素子保持装置39では、座面ブロック50aの座面49の表面とパッド部材47の作用面74の表面とには、光学素子38に対する摩擦係数を高める金のメッキまたは蒸着層が設けられている。このため、座面49及び作用面74と光学素子38のフランジ部38aとの間で滑りを生じるのが抑制されて、光学素子38をより安定に保持することができる。
【0083】
(チ) この光学素子保持装置39では、クランプ部材46の押さえ面ブロック63の押さえ面65が下方に膨出するとともに、その稜線65aが光学素子38の接線方向に延びるように形成されている。そして、この押さえ面65が、平板状をなすパッド部材47の作用部72を介して、光学素子38のフランジ部38aを押圧するようになっている。これにより、光学素子38のフランジ部38aが、座面ブロック50aとの間で挟持されるようになっている。このとき、一対の押さえ面65の稜線65aを結んだ直線の下方に、座面ブロック50a基端の第4首部55dが配置されるようになっている。
【0084】
このため、第4首部55dが、押さえ面65からの押圧力の作用線のほぼ延長線上に配置されることになる。従って、第4首部55dにおいて、前記押圧力に基づくモーメントが生じるのを抑制することができて、光学素子38を安定して保持することができる。
【0085】
(リ) この光学素子保持装置39においては、座面ブロック50aは、その座面49が各拘束リンク57,58、各首部55a〜55d及び基台部56と一体物で形成されている。
【0086】
このため、座面ブロック50aと座面ブロック支持機構51が形成された支持ブロック50bとが同一材質の一体物で形成されることになる。これにより、座面ブロック50aと支持ブロック50bとに接合部が形成されることがないとともに、複数材質で構成する場合に比べて歪みが生じにくいものとすることができる。また、座面ブロック50aと支持ブロック50bを一体化することができて、それらを小型化することができる。
【0087】
(ヌ) この鏡筒37では、複数の光学素子38が上記の光学素子保持装置39を介して保持されている。このため、光学素子38をその結像性能の低下のおそれを低減しつつ安定に保持することができ、鏡筒37全体の結像性能を良好に維持することができる。
【0088】
(ル) この露光装置31では、投影光学系35がその内部に光学素子38を光学素子保持装置39により保持した鏡筒37で構成されている。このため、光学素子38が、鏡筒37内にその結像性能の低下のおそれを低減しつつ安定に保持されて、露光精度の向上を図ることができる。
【0089】
(第2実施形態)
つぎに、本発明の第2実施形態について、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0090】
この第2実施形態においては、図18〜図20に示すように、座面ブロック50aの座面91及びパッド部材47の作用面92が光学素子38の接線方向に所定の長さをもって延びるように形成されている。
【0091】
また、その座面91及び作用面92の中央には、硬化段階で体積がわずかに収縮する収縮性接着剤を収容するための収容孔93が形成されている。そして、この収容孔93に接着剤を充填して、この接着剤によりランジ部38aを座面91及び作用面92に係合させるようになっている。なお、図19に破線で示すように、この収容孔93の底面にその収容孔93に通じる接着剤の注入孔94を設けてもよい。
【0092】
従って、本実施形態によれば、前記第1実施形態における(イ)〜(ホ)及び(ト)〜(ル)に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(ヲ) この光学素子保持装置39では、光学素子38のフランジ部38aに対向する座面91及び作用面92が、光学素子38の接線方向に所定の長さをもって延びるように形成されている。
【0093】
このため、例えば蛍石等のような所定以下の破壊強度を有する脆い硝材からなる光学素子38を保持する際に、その保持による応力が一部に集中することなく分散される。これにより、応力集中により光学素子38が破壊されたりするのを抑制することができる。
【0094】
(ワ) この光学素子保持装置39では、光学素子38のフランジ部38aに対向する座面91及び作用面92の中央に接着剤を収容する収容孔93が形成されている。
【0095】
このため、この収容孔93にそれぞれ収縮性の接着剤を充填した状態で、光学素子38のフランジ部38aを係合させ、接着剤を硬化させることで、フランジ部38aと座面91及び作用面92との係合がより確実なものとなる。このとき、収縮性の接着剤を使用することで、硬化した接着剤が光学素子38のフランジ部38aが圧迫して、光学素子38の保持が不安定になったりすることがない。
【0096】
また、前記注入孔94を設けないように構成した場合、硬化した接着剤は、光学素子38のフランジ部38aにより密封された状態で収容孔93内に収容される。このため、硬化した接着剤からの脱ガスが鏡筒37内に漏出することがなく、その鏡筒37内の光学素子38に曇り等を生じさせたりすることがない。
【0097】
(変形例)
なお、本発明の実施形態は、以下のように変形してもよい。
・ 前記各実施形態では、押さえ面ブロック63がパッド部材47を介して、光学素子38のフランジ部38aを押圧するように構成した。これに対して、パッド部材47を省略して、押さえ面ブロック63が直接フランジ部38aを押圧するようにしてもよい。この場合、押さえ面ブロック63の押さえ面65は、座面49と同様に平面状に形成することが望ましい。
【0098】
・ 前記第1実施形態では、座面49を座面ブロック50aにおける光学素子38との対向面の両端に2つ設けたが、第2実施形態のように、その対向面のほぼ全面に座面を形成してもよいし、3つ以上の座面を形成してもよい。押さえ面ブロック63の押さえ面65も、同様に、その対向面のほぼ全面に形成してもよいし、3つ以上を形成してもよい。
【0099】
・ 前記各実施形態のクランプ本体62では、長く延長された腕部66が、押さえ面ブロック63を付勢するようになっている。これに対して、この腕部66に代えて、例えば板状の板バネ、コイルバネ等を採用して押さえ面ブロック63を付勢するようにしてもよい。
【0100】
・ 前記各実施形態では、重量支持機構77が、当接部78aと支持部78bと屈曲部78cとを備えた板バネ78で構成されているが、この重量支持機構77を、当接部78a及び支持部78bのみを備えた単純形状の板バネで構成してもよい。
【0101】
・ 前記各実施形態では、摩擦係数向上機構として、座面49及び作用面74に金をめっきまたは蒸着して、光学素子38のフランジ部38aに対する摩擦係数を高めるようにした。これに対して、この摩擦係数向上機構は、例えば錫、インジウム、アルミニウム、真鍮等の金属蒸着、めっき、溶射等、また、座面49及び作用面74の表面をエッチング、研削等で荒らすこと等をも含むものである。
【0102】
・ 前記実施形態では、光学素子38としてレンズが例示されているが、この光学素子38は平行平板、ミラー、ハーフミラー等の他の光学素子であってもよい。
【0103】
・ この発明の光学素子保持装置39は、前記実施形態の露光装置31の投影光学系35における横置きタイプの光学素子38の保持構成に限定されることなく、例えば露光装置31の照明光学系33における光学素子の保持構成、縦置きタイプの光学素子38の保持構成に具体化してもよい。さらに、他の光学機械、例えば顕微鏡、干渉計等の光学系における光学素子の保持構成に具体化してもよい。
【0104】
・ この発明の光学素子保持装置39では、1つの枠体42の表面と、他の枠体42の裏面との間には、枠体42間の間隔を調整するスペーサが配置する構成としたが、各枠体42を直接積層する構成としてもよい。ただし、この場合、各枠体42を、その表面が他の枠体42の基台部材45と干渉しないように構成する必要がある。
【0105】
以上のようにした場合でも、前記実施形態における効果とほぼ同様の効果が得られる。
・ また、露光装置として、投影光学系を用いることなく、マスクと基板とを密接させてマスクのパターンを露光するコンタクト露光装置、マスクと基板とを近接させてマスクのパターンを露光するプロキシミティ露光装置の光学系にも適用することができる。また、投影光学系としては、全屈折タイプに限らず、反射屈折タイプであってもよい。
【0106】
さらに、本発明の露光装置は、縮小露光型の露光装置に限定されるものではなく、例えば等倍露光型、拡大露光型の露光装置であってもよい。
また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクルまたはマスクを製造するために、マザーレチクルからガラス基板やシリコンウエハなどへ回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(深紫外)やVUV(真空紫外)光などを用いる露光装置では一般に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては、石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、蛍石、フッ化マグネシウム、または水晶などが用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置や電子線露光装置などでは、透過型マスク(ステンシルマスク、メンバレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウエハなどが用いられる。
【0107】
もちろん、半導体素子の製造に用いられる露光装置だけでなく、液晶表示素子(LCD)などを含むディスプレイの製造に用いられてデバイスパターンをガラスプレート上へ転写する露光装置、薄膜磁気ヘッド等の製造に用いられて、デバイスパターンをセラミックウエハ等へ転写する露光装置、及びCCD等の撮像素子の製造に用いられる露光装置などにも本発明を適用することができる。
【0108】
さらに、本発明は、マスクと基板とが相対移動した状態でマスクのパターンを基板へ転写し、基板を順次ステップ移動させるスキャニング・ステッパ、マスクと基板とが静止した状態でマスクのパターンを基板へ転写し、基板を順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式のステッパとを問わず適用することができる。
【0109】
・ また、露光装置の光源としては、例えばg線(436nm)、i線(365nm)、KrFエキシマレーザ(248nm)、F2レーザ(157nm)、Kr2レーザ(146nm)、Ar2レーザ(126nm)等を用いてもよい。また、DFB半導体レーザまたはファイバレーザから発振される赤外域、または可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(またはエルビウムとイッテルビウムの双方)がドープされたファイバアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いてもよい。
【0110】
なお、前記実施形態の露光装置31は、例えば次のように製造される。
すなわち、まず、照明光学系33、投影光学系35を構成する複数のレンズまたはミラー等の光学素子38の少なくとも一部を本実施形態の光学素子保持装置39で保持し、この照明光学系33及び投影光学系35を露光装置31の本体に組み込み、光学調整を行う。次いで、多数の機械部品からなるウエハステージ36(スキャンタイプの露光装置の場合は、レチクルステージ34も含む)を露光装置31の本体に取り付けて配線を接続する。そして、露光光ELの光路内にガスを供給するガス供給配管を接続した上で、さらに総合調整(電気調整、動作確認など)を行う。
【0111】
ここで、光学素子保持装置39を構成する各部品は、超音波洗浄などにより、加工油や、金属物質などの不純物を落としたうえで、組み上げられる。なお、露光装置31の製造は、温度、湿度や気圧が制御され、かつクリーン度が調整されたクリーンルーム内で行うことが望ましい。
【0112】
前記実施形態における硝材として、蛍石、石英などを例に説明したが、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、リチウム−カルシウム−アルミニウム−フロオライド、及びリチウム−ストロンチウム−アルミニウム−フロオライド等の結晶や、ジルコニウム−バリウム−ランタン−アルミニウムからなるフッ化ガラスや、フッ素をドープした石英ガラス、フッ素に加えて水素もドープされた石英ガラス、OH基を含有させた石英ガラス、フッ素に加えてOH基を含有した石英ガラス等の改良石英を用いた場合にも、前記実施形態の光学素子保持装置39を適用することができる。
【0113】
次に、上述した露光装置31をリソグラフィ工程で使用したデバイスの製造方法の実施形態について説明する。
図21は、デバイス(ICやLSI等の半導体素子、液晶表示素子、撮像素子(CCD等)、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートを示す図である。図22に示すように、まず、ステップS101(設計ステップ)において、デバイス(マイクロデバイス)の機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップS102(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスク(レチクルRt等)を製作する。一方、ステップS103(基板製造ステップ)において、シリコン、ガラスプレート等の材料を用いて基板(シリコン材料を用いた場合にはウエハWとなる。)を製造する。
【0114】
次に、ステップS104(基板処理ステップ)において、ステップS101〜S103で用意したマスクと基板を使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によって基板上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップS105(デバイス組立ステップ)において、ステップS104で処理された基板を用いてデバイス組立を行う。このステップS105には、ダイシング工程、ボンディング工程、及びパッケージング工程(チップ封入等)等の工程が必要に応じて含まれる。
【0115】
最後に、ステップS106(検査ステップ)において、ステップS105で作製されたデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
【0116】
図22は、半導体デバイスの場合における、図21のステップS104の詳細なフローの一例を示す図である。図22において、ステップS111(酸化ステップ)では、ウエハWの表面を酸化させる。ステップS112(CVDステップ)では、ウエハW表面に絶縁膜を形成する。ステップS113(電極形成ステップ)では、ウエハW上に電極を蒸着によって形成する。ステップS114(イオン打込みステップ)では、ウエハWにイオンを打ち込む。以上のステップS111〜S114のそれぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
【0117】
ウエハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップS115(レジスト形成ステップ)において、ウエハWに感光剤を塗布する。引き続き、ステップS116(露光ステップ)において、先に説明したリソグラフィシステム(露光装置31)によってマスク(レチクルRt)の回路パターンをウエハW上に転写する。次に、ステップS117(現像ステップ)では露光されたウエハWを現像し、ステップS118(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップS119(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
【0118】
これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハW上に多重に回路パターンが形成される。
以上説明した本実施形態のデバイス製造方法を用いれば、露光工程(ステップS116)において上記の露光装置31が用いられ、真空紫外域の露光光ELにより解像力の向上が可能となり、しかも露光量制御を高精度に行うことができる。従って、結果的に最小線幅が0.1μm程度の高集積度のデバイスを歩留まりよく生産することができる。
【0119】
【発明の効果】
以上詳述したように、本願請求項1に記載の発明によれば、光学素子に座面との係合による予期しない応力の発生が抑制され、光学素子の光学面の精度が良好に保たれる。このため、光学素子を保持する部分に極めて厳密な加工を施すことなく、光学素子における良好な結像性能を維持することができる。
【0120】
また、本願請求項2に記載の発明によれば、前記請求項1に記載の発明の効果に加えて、光学素子の結像性能を一層良好に維持することができる。
また、本願請求項3に記載の発明によれば、前記請求項1または請求項2に記載の発明の効果に加えて、光学素子の熱変形時における結像性能の変化を低減することができる。
【0121】
また、本願請求項4に記載の発明によれば、例えば基台部あるいは固定部側に歪みが生じたような場合にも、各リンクの連結点がそのひずみを打ち消すように移動または回転される。これにより、複数の座面ブロックがそれぞれ所定の位置関係に保持され、光学素子を保持する部分に極めて厳密な加工を施すことなく、光学素子における良好な結像性能を維持することができる。
【0122】
また、本願請求項5に記載の発明によれば、前記請求項4に記載の発明の効果に加えて、一対のリンク機構の各リンクを光学素子の接線方向と光軸方向とにそれぞれ沿って設けることにより、構成の簡素化を図ることができる。
【0124】
また、本願請求項に記載の発明によれば、前記請求項4または請求項5に記載の発明の効果に加えて、座面の姿勢の変化を安定に行うことができる。
また、本願請求項に記載の発明では、前記請求項4〜請求項6のうちいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、座面ブロックと座面ブロック支持機構とが同一材質の一体物で形成されることになる。このため、座面ブロックと座面ブロック支持機構とに接合部が形成されることがないとともに、複数材質で構成する場合に比べて歪みが生じにくいものとすることができる。また、座面ブロックと座面ブロック支持機構を一体化することができて、それらを小型化することができる。
【0125】
また、本願請求項に記載の発明によれば、前記請求項1〜請求項のうちいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、例えば合成石英等のような所定以上の破壊強度を有する硝材からなる光学素子を、より確実かつ安定に保持することができる。
【0126】
また、本願請求項に記載の発明によれば、前記請求項1〜請求項のうちいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、例えば蛍石等のような所定以下の破壊強度を有する脆い硝材からなる光学素子を保持する際に、応力集中により光学素子が破壊されたりするのを抑制することができる。
【0127】
また、本願請求項10に記載の発明によれば、前記請求項1〜請求項のうちいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、座面と光学素子の周縁部との間で滑りを生じるのが抑制されて、光学素子をより安定に保持することができる。
【0128】
また、本願請求項11及び請求項12に記載の発明によれば、結像性能の低下のおそれを低減しつつ、光学素子を安定に保持可能な鏡筒を提供することができる。
【0129】
また、本願請求項13に記載の発明によれば、鏡筒内に光学素子をその結像性能低下のおそれを低減しつつ安定に保持することができて、露光精度の向上を図ることができる露光装置を提供することができる。
【0130】
また、本願請求項14に記載の発明によれば、露光精度を向上することができて、高集積度のデバイスを歩留まりよく生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 露光装置の概要を示す構成図。
【図2】 第1実施形態の光学素子保持装置を示す一部破断分解斜視図。
【図3】 図2を下方から見た一部破断分解斜視図。
【図4】 図2の保持部を拡大して示す分解斜視図。
【図5】 図4の基台部材を拡大して示す斜視図。
【図6】 図4の基台部材を拡大して示す正面図。
【図7】 図6の7−7線断面図。
【図8】 図2のクランプ部材のクランプ本体を拡大して示す斜視図。
【図9】 図9を下方から見た斜視図。
【図10】 図8の10−10線断面図。
【図11】 図2のパッド部材を拡大して示す底面図。
【図12】 図11の12−12線断面図。
【図13】 図4の保持部を拡大して示す平面図。
【図14】 図13の14−14線断面図。
【図15】 図13の15−15線断面図。
【図16】 図2の素子重量支持機構を拡大して示す平面図。
【図17】 図2の保持部を模式的に示す説明図。
【図18】 第2実施形態の光学素子保持装置におけるパッド部材を拡大して示す底面図。
【図19】 図18の19−19線断面図。
【図20】 第2実施形態の光学素子保持装置における基台部材を拡大して示す斜視図。
【図21】 デバイスの製造例のフローチャート。
【図22】 半導体デバイスの場合における図21の基板処理に関する詳細なフローチャート。
【図23】 従来構成の光学素子保持装置を示す断面図。
【図24】 図23の光学素子保持装置の分解斜視図。
【符号の説明】
31…露光装置、33…投影光学系、37…鏡筒、37a…鏡筒モジュール、38…光学素子、38a…周縁部としてのフランジ部、39…光学素子保持装置、42…固定部としての枠体、43…保持部、49,91…座面、50a…座面ブロック、51…座面ブロック支持機構、56…基台部、57…接線方向拘束リンク、58…光軸方向拘束リンク、55a…回転ピボットをなす第1首部、55b…回転ピボットをなす第2首部、55c…回転ピボットをなす第3首部、55d…回転ピボットをなす第4首部、Rt…マスクとしてレチクル、W…基板としてのウエハ。

Claims (14)

  1. 光学素子の周縁部を保持する保持部を備える光学素子保持装置において、
    前記保持部は、前記光学素子の周縁部に係合する座面を有する座面ブロックと、前記光学素子の接線方向周りに及び前記光学素子の径方向周りに前記座面ブロックを回転可能に支持する2つのリンクを有する座面ブロック支持機構とを備えたことを特徴とする光学素子保持装置。
  2. 前記座面ブロック支持機構は、前記光学素子の光軸と平行な軸周りに前記座面ブロックを回転可能に支持することを特徴とする請求項1に記載の光学素子保持装置。
  3. 前記座面ブロック支持機構は、前記光学素子の径方向に前記座面ブロックを移動可能に支持することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光学素子保持装置。
  4. 光学素子の周縁部を保持する保持部と、前記保持部が固定される固定部とを備える光学素子保持装置において、
    前記保持部は、前記光学素子の周縁部に係合する座面を有する座面ブロックと、前記固定部に固定される基台部と、前記基台部に対し前記座面ブロックを互いに異なる方向における移動を制限し、かつ前記互いに異なる方向のそれぞれの周りに回転可能に、前記基台部と前記座面ブロックとを連結する一対のリンク機構と、前記座面ブロックと前記基台部と前記リンク機構とを連結し、前記基台部と前記座面ブロックと前記リンク機構との各々に対して断面積の小さな首部とを備えたことを特徴とする光学素子保持装置。
  5. 前記一対のリンク機構は、前記基台部に対し前記座面ブロックを前記光学素子の接線方向における移動を制限し、かつ接線方向のまわりに回転可能に前記基台部及び前記座面ブロックを連結する接線方向拘束リンクと、前記基台部に対し前記座面ブロックを前記光学素子の光軸方向に沿って拘束しつつ光軸方向のまわりに回転可能に前記基台部及び前記座面ブロックを連結する光軸方向拘束リンクとからなることを特徴とする請求項4に記載の光学素子保持装置。
  6. 前記首部を、前記座面に垂直な垂線に平行でその座面の中間位置を通る線上またはその近傍に配置したことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の光学素子保持装置。
  7. 前記座面ブロックは、その座面が前記リンク機構、前記首部及び前記基台部と一体物で形成されたことを特徴とする請求項4〜請求項6のうちいずれか一項に記載の光学素子保持装置。
  8. 前記座面ブロックを、前記光学素子の接線方向に所定の長さをもって延びるように形成し、その光学素子との対向面上に所定の間隔をおいて複数の座面を形成したことを特徴とする請求項1〜請求項7のうちいずれか一項に記載の光学素子保持装置。
  9. 前記座面ブロックを、前記光学素子の接線方向に所定の長さをもって延びるように形成し、その光学素子との対向面の長手方向のほぼ全面にわたって座面を形成したことを特徴とする請求項1〜請求項7のうちいずれか一項に記載の光学素子保持装置。
  10. 前記座面上には、前記光学素子に対する摩擦係数を高める摩擦係数向上機構を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項9のうちいずれか一項に記載の光学素子保持装置。
  11. 内部に複数の光学素子を保持する鏡筒において、
    前記光学素子の少なくとも1つを、請求項1〜請求項10のうちいずれか一項に記載の光学素子保持装置を介して保持したことを特徴とする鏡筒。
  12. 1つ以上の光学素子を収容する少なくとも1つの鏡筒モジュールを有する鏡筒において、
    前記少なくとも1つの鏡筒モジュールは、前記光学素子の少なくとも1つ保持する請求項1〜請求項10のうちいずれか一項に記載の光学素子保持装置を備えたことを特徴とする鏡筒。
  13. マスク上に形成されたパターンの像を投影光学系を介して基板上に転写する露光装置において、
    前記投影光学系は、請求項11または請求項12に記載の鏡筒を有することを特徴とする露光装置。
  14. 請求項13に記載の露光装置を用いてマイクロデバイスを製造することを特徴とするマイクロデバイスの製造方法。
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