[第1実施形態]
以下において、本発明に係る光学結像装置101の好ましい実施形態について、図1〜5を参照して説明する。
図1は、半導体装置の製造時におけるマイクロリソグラフィ処理に使用される光学露光装置101として、縮尺どおりではない光学結像装置を示す。光学露光装置101は、第1の光学装置である照明ユニット102及び第2の光学装置である光学投影ユニット103を備える。光学投影ユニット103は、露光処理において、マスクユニット104のマスク104.1上に形成されたパターンの像を、基板ユニット105の基板105.1に転写する。
このために、照明ユニット102は、波長193nmの露光光によって、マスク104.1を照明する。しかし、他のあらゆる波長の光を用いる露光装置においても本発明が用いられることが望ましい。具体的には、本発明は、波長20nm未満、典型的には、波長約13nmの極紫外域の光を用いる、いわゆる極紫外線(EUV)システムにも用いることができ、非常に有益である。
光学投影ユニット103は、マスク104.1から露光光を受け、マスク104.1において形成されたパターンの像を、例えばウェーハ等からなる基板105.1に投影する。しかし、本発明は、光学素子を確定位置に保持すべき他のいかなる光学システムにおいても用いることができることが望ましい。
照明ユニット102は、光源(図示しない)及び、光学素子モジュール106.1のような複数の光学素子モジュールを含む光学素子システム106を備える。光学投影ユニット103は、複数の光学素子モジュール107.1を含むさらなる光学素子システム107を備える。光学素子システム106及び107の光学素子モジュールを、光学露光装置101の(eventually folded)光軸101.1に沿って整列させ、レンズ、ミラー、グレーチングなどのあらゆるタイプの光学素子から構成することができる。
例えば、光学素子システム107は、光学素子システム107のハウジング103.1内に保持された光学素子モジュールのスタックによって保持される。光学素子システム107の光学素子モジュールは、本発明に係る光学素子モジュール107.1を含む。
理解を容易にするために、図面において(及び、以下の説明において)、直交座標系を示す。z軸は垂直方向を示し、x及びy軸は水平方向を示す。しかし、本発明の他の実施形態において、構成素子について、他のいかなる空間方向も選択可能である。
図2(光学素子モジュール107.1の上面図)に示すように、光学素子モジュール107.1は、光学素子ユニットとして、サポート構造体109によってサポート及び保持されている簡易レンズ108を有する。しかし、本発明の他の実施形態においては、光学素子ユニットは更なる構成素子(例えば、光学素子に直接接触し、サポート構造体109に接する、セパレート保持リングのようなセパレート保持素子)を備えることができる。言い換えれば、サポート構造体109は光学素子に直接接触することは要さないが、そのような中間素子又は器具を介して光学素子をサポート及び保持することができる。
図示した実施形態においては、サポート手段としてのサポート構造体109は、サポートリング109.1及び3つのレンズホルダ109.2を有する。各レンズホルダ109.2は、サポートリング109.1内の適当な凹部に配置される。各レンズホルダ109.2は、サポートリング109.1に設けられ、(以下に詳述するように)レンズ108の放射突起108.1に接する。
本実施形態における複数のレンズホルダ109.1は、同一に設計されている。しかし、本発明の他の実施形態においては、異なる設計のホルダが組み合わせて用いることもできる。本発明の更に他の実施形態においては、光学素子をサポート及び保持するために所望の数のレンズホルダを用いることができる。
各レンズホルダ109.2は、第1の接触手段としてのレンズサポート109.3及び第2の接触手段としてのクランプ109.4を備える。図2及び3では、左手側のレンズホルダ109.2についてのみ、レンズサポート109.3及びクランプ109.4の両方の構成素子を示し、他の2つのレンズホルダ109.2(右手側)についてはレンズサポート109.3のみを示す。
レンズホルダ109.2は、レンズ108の外側表面において均等に分散配置させる。
しかし、本発明の他の実施形態において、レンズホルダを他の構成とし、他のレンズの外側表面を選択することも可能である。特に、回転対称ではい光学素子については、他の適切なホルダ構成が選択されうる。
図3、4及び8からも明らかなように、各レンズサポート109.3は第1の接触面としてサポート面109.5を備える。図3から明らかなように、レンズ108をサポート構造体109に設置する場合、レンズ108を、(一般的には、マイクロリソグラフィ装置101の光軸101.1に最終的に一致する)光軸108.2に沿って、第2の接触面である、レンズ108の各放射状突起108.1の下部レンズ接触面108.3が、対応するレンズサポート109.3のサポート面109.5に接触するまで移動させる。
したがって各レンズサポート109.3は、この組立段階において、サポート面109.5を介して、保持力方向(z方向)に沿って、保持力としてのサポート力FSIを対応する下部レンズ接触面108.3に対して作用させる。図示した実施形態においては、サポート力FSIは、レンズ108に作用する重力Gに対抗し、完全に補償する。しかし、本発明の他の実施形態において、更なるサポート構成素子がレンズに作用する重力の一部に対抗するために設けられても良い。例えば、多数の小さいスプリング素子をレンズの外側表面に分散配置して、各スプリングがレンズに対して小さいサポート力を作用して、レンズに作用する重力の少なくとも一部をこれらのスプリングによって補償することができる。
図4及び5から明らかなように、各レンズサポート109.3は第1のリンク部である第1レンズサポート素子109.7と、第2のリンク部である典型的にはU字型の第2のレンズサポート素子109.8とを備える。第2のレンズサポート素子は、サポートリング109.1の周方向及び(設置状態の)レンズ108の周方向に対して接線方向に延在する主平面(主拡張平面)を有する。
第1のレンズサポート素子109.7は、第1の接触素子を形成する。第1の接触素子は第1端において第1の接触素子部分109.9を備え、これはサポート表面109.5を有する。第2端においては、第1のレンズサポート素子109.7は第2の接触素子部109.10を備え、これは、接続部109.11を介して第1の接触素子部109.9に接続される。
第1レンズサポート素子109.7の接続部109.11は、2つの第1のリーフスプリング素子109.12によって形成される。2つの第1のリーフスプリング素子109.12は、サポートリング109.1に対して放射方向に横断し、且つ、サポート面109.5によって定義される(下部レンズ接触面108.3の)接触平面内に延在する横断線109.13において主拡張平面が交差するように配置する。これら2つのリーフスプリング素子109.12は、主拡張平面の横断線109.13に対するサポート面109.5の第1の傾斜軸を定める。この第1の傾斜軸109.13の機能は以下に詳述する。
第2の接触素子部109.10はU字型第2レンズサポート素子109.8の基部109.14に設置する。第2レンズサポート素子109.8の2つの脚109.15の自由端はサポートリング109.1に順に設置される。したがって、第1のレンズサポート素子109.7及び第2のレンズサポート素子109.8は、サポート面109.5及びサポートリング109.1の間において動的に配置される。
脚109.15は、それぞれ、保持力方向に延在し、2つの第2リーフスプリング素子109.16を有する。第2リーフスプリング素子109.16は、相互に離間し、且つ、(少なくともレンズサポート109.2に荷重がかかっていない状態において)共通の主拡張平面を有する。この主拡張平面も、サポートリング109.1の周方向に対して接線方向に配置されている。サポート面109.5により定義される接触面について、第2リーフスプリング素子109.16の第2の傾斜軸109.17が、サポートリング109.1に対して放射方向に横断し、且つ、サポート面109.5によって定義される接触平面内に延在するように配置する。第2の傾斜軸109.17は、放射方向(x軸)にサポート面109.5内の略中心を通る。この第2の傾斜軸109.17の機能については以下に詳述する。
これら2つのリーフスプリング素子109.16の大きさ及び/又は位置は、第2傾斜軸109.17の所望位置に応じて、周知の方法で容易に決定できる。すなわち、サポート面109.5によって定められる接触面の位置に応じて決定できる。例えば、両方の第2リーフスプリング素子109.16の大きさが等しく、(例えば、同じ曲げ剛性を有する)同じ素材からなる場合、第2の傾斜軸109.17を、前記2つの第2リーフスプリング素子109.16の中間に配置する。
第2リーフスプリング素子の曲げ剛性が高い場合、その高い曲げ剛性により、第2傾斜軸はリーフスプリング素子から遠ざかる方向に移動する。したがって、脚109.15における所定の幾何学的境界条件において、(例えば、大きさ及び/又は素材を変更して)各第2リーフスプリング素子109.16の曲げ剛性を調整することで、第2傾斜軸109.17の位置は、サポート面109.5に対して調整することができる。
このような第1のリーフスプリング素子109.12及び第2のリーフスプリング素子109.16を用いることは有益である。これらのリーフスプリング素子は、従来の空間的に密閉されていた、いわゆる弾性ヒンジ(すなわち、少なくとも厚さ方向の大きさ程度の長さ及び幅を有するヒンジ素子)に比較して、耐荷重性能が有意に高い。なぜなら、長さ方向全体に亘って荷重分散できるので、弾性素子に作用する局所的な荷重を大幅に低減することができるからである。したがって、そのようなリーフスプリング素子は故障の可能性が低い。更に、そのようなリーフスプリング素子は、少なくとも部分的には製造不整合及びそれにより生じる寄生負荷を低減させることが出来る。これにより、光学素子108に生じる寄生負荷の低減も有利に達成される。
さらに、第2レンズサポート素子109.8の製造後に、第2傾斜軸109.17の位置及び/又は方向をサポート面109.5に対して調整できるようにするために、図4及び5に破線109.18で模式的に示したように、(例えば、スペーサ、調整ネジ等のような受動的手段、又は、ピエゾアクチュエータのような能動的手段などの)調整手段を備えることもできる。
同様の調整手段を、図4に破線109.19で模式的に示したように、サポート面109.5に対して第1傾斜軸109.13の位置及び/又は方向の調整のために備えることもできる。ここでも、スペーサ、調整ネジ等のような受動的手段、又は、ピエゾアクチュエータのような能動的手段などの調整手段を用いることができる。
これらの調整手段は、サポート面109.5に対して各傾斜軸109.13及び109.17の位置及び/又は方向を調整するためだけに用いられるものではないことに留意されたい。これらの調整手段は、後の段階において、レンズ108の位置及び/又は方向を調整するためにも用いることができる。
図示した実施形態において、各下部レンズ接触面108.3は、平坦面であり、それぞれ、(通常は)レンズ108の光軸108.2に対して垂直であり、(公称では)他の下部レンズ接触面108.3と同一平面上に存在する。更に、各サポート面109.5も平坦面であり、それぞれ、(公称では)サポートリング109.2の回転対称軸109.6に対して垂直であり、(公称では)他のサポート面109.5と同一平面上に存在する。
回転対称軸109.6は、典型的には、レンズ108の光軸108.2や、マイクロリソグラフィ装置101の光軸101.1に一致する。
しかし、本発明の他の実施形態においては、下部レンズ接触面のレンズ光軸に対する配置を他の配置にしたり、又サポート面のサポートリング(又は他のあらゆる適切なサポート器具)に対する配置を調整する方法を他の方法にすることも可能である。更に、本発明の他の実施形態においては、各サポート面及び/又は各下部レンズ接触面は、必ずしも連続面である必要は無い。むしろ、いずれも、複数の別の接触表面部によって形成することができる。各サポート面を、例えば、ピン、リッジ等の複数の分離した接触面部を形成する複数の軸突起(即ち、z方向の突起)によって形成することもできる。
下部レンズ接触面108.3及びサポート面109.5が、公称の形状及び方向を有する場合(即ち、整合面108.3及び109.5の間に不整合が存在しない場合)、レンズ108は、下部レンズ接触面108.3及びサポート面190.5が、相対的にz軸方向以外には動かないように、レンズホルダ109.2上に載置される。更に、各サポート面109.5は(公称では)、整合面108.3及び109.5の間の接触において傾斜モーメントが発生しないように、第2リーフスプリング素子109.16の主拡張平面の共通平面に対して対象に配置することができる。
したがって、理想的又は公称の状態では、均等な接触圧力が作用し、生じたサポート力FSI(z方向にのみ作用する)が重力Gの対抗力となる。したがって、このような理想的な状態においては、寄生負荷はレンズ108の突起108.1には生じない。寄生負荷は、レンズ108内に応力を発生させ、その応力がレンズ108の光学機能領域に伝わって、レンズ108の光学特性を損ない、光学システムに結像誤差を発生させる。
しかし、典型的には、このような理想的な公称の形状とは、下部レンズ接触面108.3及びサポート面109.5のいずれか一つの形状及び方向が若干異なることが現実であり、整合面108.3及び109.5の間に若干の不整合が存在する。
図6A〜6Dは、そのような不整合の一例として、2つの構成を示す。ここでは、z軸(サポートリングの軸)又はx軸に対してサポート面が傾いており、サポート面はその公称の平面NPとは異なる。更に具体的には、図6A及び6Bは、上述した米国特許公報第7154684号に記載のレンズサポート9を模式的に示し、図6C及び6Dは、レンズサポート109.3を模式的に示すものである。
図6A及び6Cは、それぞれ、負荷の無い状態におけるレンズサポート9.3及び109.3をそれぞれ示し、図6B及び6Dは、それぞれ、負荷状態におけるレンズサポート9.3及び109.3を示す。負荷状態においては、各下部レンズ接触面8.3及び108.3は各サポート面9.5及び109.5のそれぞれ野接触面と最大限に接触している。
図6A及び6Bから明らかなように、従来のレンズサポート9.3は、y軸に平行な傾斜軸9.17を決定する弾性ヒンジ9.8を介してサポートリング9.1に接続されている。弾性ヒンジ9.8は、図面上では、サポート面9.5の長さ程度だけ離間してサポート面9.5の下に配置する。
一旦、(理想的に方向付けられた)下部レンズ接触面8.3をz軸に沿ってサポート面9.5まで下げると、(図6A及び6Bに誇張表示するように、)サポート面9.5がx軸及びz軸に対して傾いているため、接触力Fcが、下部レンズ接触面8.3の最も近くに位置するサポート面9.5の(右上)端に作用する。その結果、接触力Fcと傾斜軸9.17の間に存在するレバーアームによって、y軸方向の曲げモーメントがレンズサポート9.3に作用し、サポート面9.5が、弾性ヒンジ9.8によって定まる傾斜軸9.17について回転する。
図6Bから明らかなように、描画面において作用している全ての力及びモーメントが相互にバランスが取れるまで、サポート面9.5は傾斜軸9.17について回転する。
下部レンズ接触面8.3及びサポート面9.5の間の接触に摩擦が無ければ、図6Bに破線9.10で示すように、(完全平面の)下部レンズ接触面8.3及びサポート面9.5が完全に接触すれば直ぐに、上述のような均衡状態となる。
この点において、下部レンズ接触面8.3及びサポート面9.5は、x軸に沿う(接触面に対して平行な)距離dxだけ相対的に動く。このような摩擦の無い理想的な状態であっても、レンズ接触面8.3とサポート面9.5との間における接触圧力の分散が不均等となる。これは、(接触圧力分布に起因する)サポート力FSIの作用線は、モーメントを均衡にするために、傾斜軸9.17と交差する必要があるからである。このような不均等な接触圧力の分散は、レンズにおいて望ましくない不均等な応力分散を生じさせ、レンズ8の光学機能部に伝わり、レンズ8に結像誤差を引き起こす。
更には、下部レンズ接触面8.3及びサポート面9.5との間が完全に接触した時点で、下部レンズ接触面8.3及びサポート面9.5との間の接触面が、z軸方向(サポート力方向の)で、距離dzだけ下がりうる。他の2つのレンズサポート8.3が、異なる種類及び/又は程度の不整合を生じた場合も、レンズ8の光軸を不所望に傾斜させることになる。
このように、摩擦の無い理想的な状態においても、周知のレンズサポート9.3では不所望な負荷及び配置状態が発生する。
しかし、実際の状態では、下部レンズ接触面8.3及びサポート面9.5との間は摩擦接触している。一般的には、サポート面9.5には、摩擦促進コーティング(例えば、ゴールドコーティング)が均等に施される。したがって、レンズ8をレンズサポート9.3に載置し、下部レンズ接触面8.3とサポート面9.5とが相対的に有意に動くことに起因して、かなりの摩擦力FFが下部レンズ面8.3に対して放射方向(下部レンズ接触面8.3の接線方向)に作用する。
この摩擦力FFにより、(典型的には接触相手のうちの少なくとも1つが弾性変形することと組み合わせて)下部レンズ接触面8.3及びサポート面9.5とが、図6Bに示す完全な接触状態になる前に、力及びモーメントが均衡状態に達する。このような典型的な場合において、下部レンズ接触面8.3及びサポート面9.5との間の接触領域ACは小さくなる。所定のサポート力Fsにおいて、下部レンズ接触面8.3における接触圧力が(理想状態と比較して)増大し、レンズ材内における通常の局所的応力を増大させる。更に、一般的に、下部レンズ接触面8.3の平面に作用する摩擦力FFはレンズ材について固定的(frozen)であるため、レンズ材にかなりの寄生せん断応力を生じさせる。
したがって、周知のレンズサポート9.3は、レンズ材にかなりの寄生負荷を発生させるような、不所望な負荷状態を発生させてしまう。これらの寄生荷重により発生する応力は、レンズ8の光学機能部に伝わり、レンズ8に結像誤差を生じさせ、結果的にレンズ8を有する光学システムに結像誤差を生じさせてしまう。
しかし、本発明によれば、以下に詳述するように、これらの不利益を大幅に回避することができる。上述の通り、図6C、6Dから明らかなように、脚109.15(簡易なリーフスプリングとして示す)は、サポート面109.5により定められる接触面内に、実質的に位置する第2傾斜軸109.17を定める。
一旦、(理想的に方向付けられた)下部レンズ接触面108.3をz軸に沿ってサポート面109.5まで下げると、(図6C及び6Dに誇張表示するように、)サポート面109.5がx軸及びz軸に対して傾いているため、接触力Fcが、下部レンズ接触面108.3の最も近くに位置するサポート面109.5の(右上)端にz軸方向に作用する。その結果、接触力Fcと第2傾斜軸109.17の間に存在するレバーアームによって、y軸方向の曲げモーメントがレンズサポート109.3に作用し、サポート面109.5が、第2レンズサポート素子109.8の脚109.15によって定まる傾斜軸109.17について回転する。
(簡易なリーフスプリングとして図示した)脚109.15について、接触力Fcはz軸方向に作用し、z軸方向の力とy軸についての曲げモーメントを発生させる。力Fc及びリーフスプリング109.15の平面はz軸に平行なので、曲げモーメントはリーフスプリングの長さについて一定である。
曲げリーフスプリング端からその回転中心までの距離は、リーフスプリング平面に対して垂直なモーションdx1と曲げ角dα1との割合によって与えられる。
長さLについての、一定の曲げモーメントMbは、
回転中心は、曲げリーフスプリング端からの距離の半分(L/2)、リーフスプリング109.15の中心に位置する。つまり、サポート面109.5の面が、リーフスプリング109.15の中央においてリーフスプリング109.15に交差する場合に、第2傾斜軸109.17は、サポート面109.5付近に位置する。あるいは、例えば、各足が2つの同一のリーフスプリング部により形成される場合には、2つの同一のリーフスプリング部の間の中央に位置する。
図6Dから明らかなように、描画面において作用している全ての力及びモーメントが相互にバランスが取れるまで、サポート面109.5は傾斜軸109.17について回転する。更に具体的には、(接触力Fcにより発生する)この曲げモーメントに応じて、第1レンズサポート素子109.7及び第二レンズサポート素子109.8の脚109.5は、両方とも第2傾斜軸109.17に垂直なたわみ平面(すなわち、描画面)において多少たわむ。
先ず、第2レンズサポート素子109.8の脚109.15は、このたわみ平面において比較的柔軟であるため、各脚やサポートリング109.1の間に存在するギャップに起因して曲げられる。したがって、第2レンズサポート素子109.8の基体素子109.14に接続され第1レンズサポート素子109.7の端部109.21が、第2レンズサポート素子109.8の基体素子109.14に接続され、これら両方が、放射方向に外側に(x軸に沿って)、第1の放射距離dx1だけ移動し、軸方向上側に(z軸に沿って)、第1の軸距離dz1だけ移動する。そして、第1レンズサポート素子109.7の他の端部109.22は、サポート面109.5に隣接して位置し、これは上述した、放射方向に第1の放射距離dx1だけ移動し、軸方向(z軸方向)に第1の軸距離dz1だけ移動する。
さらには、接触素子109.7が、このたわみ平面において実質的に剛性であるため、第1レンズサポート素子109.7は、このたわみ平面上において端部109.21について回転する。このような回転に起因して、サポート面109.5に隣接する第1レンズサポート素子109.7の端部109.22は、放射方向に内側に(x軸に沿って)、第2の放射距離dx2だけ移動し、軸方向下側に(z軸に沿って)、第2の軸距離dz2だけ移動する。
図示した実施形態においては、第1放射距離dx1は第2放射距離dx2に等しく、第1軸距離dx2は第2放射距離dx2に等しい。したがって、第2傾斜軸109.17が接触面109.5の平面内に実質的に位置するので、第1レンズサポート素子109.7の端部109.22が、回転に伴ってz軸(保持力方向)及びx軸(放射方向)に沿って移動する軌跡は、第2レンズサポート素子109.8のたわみに起因して第1レンズサポート素子109.7の端部109.22が、回転に伴ってz軸(保持力方向)及びx軸(放射方向)に沿って移動する軌跡とは反対である。
したがって、実質的に下部レンズ接触面108.3及びサポート面109.5の接触面において、相対的な(変形の)動作は生じない。したがって、下部レンズ接触面108.3及びサポート面109.5の間に摩擦がある実際の状態でさえも、レンズ108は実質的に接触面に作用している摩擦力を受けることが無い。よって、実質的に、レンズ108の光学機能部に伝わり、結像誤差を発生する(寄生負荷に起因する)せん断応力を受けることがない。
言い換えれば、第2傾斜軸109.17の位置は、(理論上の)摩擦のない接触に応じたサポート面109.5の動き、(実際の)摩擦接触により生じる実際の動きに一致させる。このような理論上の動きと実際の動きとの違いは、レンズ108及びレンズサポート109.3の少なくともいずれか一つの弾性変形によって補償されなければ、それぞれの接触相手にプレストレスを発生させてしまう。これにより、レンズ108に寄生負荷が生じてしまう。
さらに、第2傾斜軸109.17の位置は、レンズサポート109.3が動いても、実質的に保持され、(放射方向に沿う)サポート面109.5内に位置する。このため、接触面108.3及びサポート面109.5の間における接触圧力の分散は、ほぼ均等になる。これは、均等な接触圧力の分散に起因するサポート力FSiの作用線は、モーメント均衡状態とするために、第2傾斜軸109.17と交差する必要があるためである。このような接触圧力の均等分散は、レンズ108の光学機能部に伝わり、レンズ108に結像誤差を引き起こす、レンズにおける不均等な応力分散を回避する。
更には、下部レンズ接触面108.3及びサポート面109.5との間が完全に接触した時点で、下部レンズ接触面108.3及びサポート面109.5との間の接触面が、z軸方向(サポート力方向)において、実質的に不動である。
したがって、実質的にレンズ108の光軸が不所望に傾斜することは無い。
本発明の他の実施形態において、第2レンズサポート素子によって定まる第2傾斜軸も、サポート面によって定まる接触面から一定距離離間して配置されることも可能である。
この場合、若干の相対的な動きが発生し、若干の摩擦力が接触面に作用して、レンズにせん断応力を発生させる。しかし、これらの相対的な動きと、それにより生じるせん断応力を、可能な限り低く抑えるために、第2傾斜軸及び接触面の間の距離は、第2傾斜軸に垂直な平面内の接触相手間の接触領域の最大長の、好ましくは20%未満、更に好ましくは5%未満、更に好ましくは2%未満であることが好ましい。
更には、2つの第1リーフスプリング素子109.12によって定まる第1傾斜軸109.13は、サポート面109.5の面内に位置するので、下部レンズ接触面108.3及びサポート面109.5の間の不整合を補償し、サポート構造体109を介してレンズ108に寄生負荷が発生することを少なくとも低減させるために同様の効果を有する。
第1レンズサポート素子109.7及び第2レンズサポート素子109.8は、モノリシック部品として形成されることもできる。しかし、本発明の他の実施形態において、クランプは、適切な方法で相互に接続された別部品として形成されることも可能である。これは特に、上述のように第1及び第2の傾斜軸の位置及び/又は方向を調整することが可能な場合である。
以下において、図7及び8を参照して、クランプ109.4及びその機能を更に詳述する。図7は、クランプ109.4の斜視図であり、図8は、図2のVIII−VIII断面図である。
図示した実施形態におけるクランプ109.4は、マウント素子109.23、接触素子109.24、及び、マウント素子並びに接触素子109.24に接続するリンク素子109.25を備えるモノリシック部品である。しかし、本発明の他の実施形態において、クランプは適切な方法で相互接続された別部品として構成することも可能である。
図8から明らかなように、クランプ109.4は、第1接触面としてクランプ面109.26を更に備える。これは、クランプ力方向(z軸に沿う第1方向)に更なる保持力として、レンズ108の突起108.1のそれぞれの上部レンズ接触面108.4に対してクランプ力FCLを作用させるために用いられる
このため、(上述のように、一旦レンズ108がレンズサポート109.3に設置されると)、各クランプ109.4を各レンズ108について整列させる。そして、クランプ面109.26は、上部レンズ接触面108.4にほぼ平行となるように配置する。クランプ109.4を、サポートリング109.1の軸109.6及びレンズ108の光軸108.2に沿って(すなわち、z軸に沿って)、クランプ面109.26が他のレンズ接触面108.4に接し、そして、マウント素子109.23のマウント面が対応するレンズサポート109.3のマウント面に接するまで、それぞれ降下させる。これを、クランプ面109.26及び上部レンズ接触面108.4の配置を変更せずに行うために、適切なガイド機構(図示しない)を用いることができる。
図示した実施形態において、各下部レンズ接触面108.4は、平坦面であり、それぞれ、(通常は)レンズ108の光軸108.2に対して垂直であり、(公称では)他の下部レンズ接触面108.4と同一平面状に存在する。更には、各クランプ面109.26も平坦面であり、(レンズをクランプしていない公称の設置状態において)サポートリング109.2の回転対称軸109.6に対して垂直に延在し、他のクランプ面109.26と同一平面上に存在する。
しかし、本発明の他の実施形態においては、下部レンズ接触面のレンズ光軸に対する配置を他の配置にしたり、又サポート面のサポートリング(又は他のあらゆる適切なサポート器具)に対する配置を調整する方法を他の方法にすることも可能である。更に、本発明の他の実施形態においては、各サポート面及び/又は各下部レンズ接触面は、必ずしも連続面である必要は無い。むしろ、いずれも、複数の別の接触面部によって形成することができる。各サポート面を、例えば、ピン、リッジ等の複数の分離した接触面部を形成する複数の軸突起(即ち、z方向の突起)によって形成することもできる。
設置状態においては、突起108.1及びクランプ109.4は、相互接触領域ACを定め、放射方向(x軸、第2方向)の長さはLxであり、サポートリング109.1(y軸、第3方向)の接線方向の長さはLyである。長さLx及びLyは、それぞれの方向でより大きさの小さい接触相手によって定められる。図示した実施形態においては、両方の場合において、上部レンズサポート面108.4はLx及びLyをそれぞれ定める。しかし、本発明の他の実施形態においては、これらの長さの一つ又は両方がクランプによって決まる。
接触領域ACは、接触領域ACの中心において放射方向(x軸、第2方向)に位置し、放射方向について傾斜して(更に正確には垂直に)配置される参照面RPを備える。
クランプ109.4のリンク素子109.25は、2つのリーフスプリング素子109.27を備える。これらは、クランプ109.4の設置状態において、サポートリング109.1の放射第2方向(x軸)に延在するものであり、クランプ力方向を横断する。リーフスプリング素子109.27は、接線第3方向(y軸)において、小ギャップ109.28だけ接触素子109.24から離間して、接触素子109.24の両側に配置される。
図示した実施形態において、リーフスプリング素子109.27は、参照面RPの両側にそれぞれ延在する。各リーフスプリング素子109.27の第1端は、参照面RPの片側でマウント素子109.23に接続され、各リーフスプリング素子109.27の第2端は、参照面RPのもう一方の側で接続素子109.24に接続される。従って、参照面RP及び接続素子109.24の間に位置する各リーフスプリング109.27は、第1リンク部109.29を形成する。各リーフスプリング109.27の参照面RPとマウント素子109.23との間に位置する部分は、第2リンク部109.30を形成する。よって、第1リンク部109.29及び第2リンク部109.30は、マウント素子109.23及び接触素子109.24の間に連動的に配置されている。
以下に詳述するように、リーフスプリング素子109.27の大きさは、上部レンズ接触面108.4及びクランプ面109.26の間の接触領域ACにおいて接触圧力pcが作用し、圧力が接触領域AC全体でほぼ一定となるように選択される。したがって、参照面RPにおいて作用する接触圧力Pcによって、クランプ力FCLが生じる。生じたクランプ力FCLの結果として、曲げモーメントMyが各リーフスプリング素子109.27に作用する。曲げモーメントMyは、サポートリング109.1の接線方向に延在する曲げ軸について作用する。すなわち、軸第1方向(z軸)及び放射第2方向(x軸)によって定められる曲げ平面において作用する。
曲げモーメントMyは、リーフスプリング素子109.27の第1端(接触素子109.24に接続されている)において、負の最大値My1である。また、リーフスプリング素子109.27の第2端(マウント素子109.23に接続されている)において、正の最大値My2であり、参照面RPにおいてゼロである(すなわち、各ウィングスプリング素子109.27の屈曲点が参照面RP上に存在する)。
図9Aから明らかなように、第1リンク部109.29は、放射方向に第1の長さaを有し、第2リンク部109.30は放射方向に第2の長さbを有する。接触領域AC全体が完全に平坦に接触するような公称の状態においては、第1リンクセクション109.29が接触素子109.24に接続する位置及び第2リンクセクション109.30がマウント素子109.2に接続する位置の両方において、各リーフスプリング素子109.27の長手方向軸の放射方向(x軸)に対する角度がゼロ度となるような幾何学的境界条件を満たす。
この幾何学的境界条件では、各リーフスプリング素子109.27の一定断面(すなわち、それぞれの接線軸接線y軸について一定の断面二次モーメント(area moment of inertia)lyは、2つのリンクセクション109.29及び109.30のそれぞれの放射方向の全長に渡って、一端で硬く保持され、自由端に作用する垂直方向の力Fによって曲がる、水平の梁として考えることができる。したがって、接続位置における、(z軸方向の)リンク部109.29及び109.30の軌跡W1及びW2は、それぞれ以下のように算出することができる。
ただし、リーフスプリング素子109.27の材料の弾性率をEとする。したがって、接続位置における、放射方向(x軸方向)に対する各リンク部109.29及び109.30の角度α1及びα2は、それぞれ以下のように算出することができる。
更なる境界条件において、2つの角度α1及びα2は、同一である(すなわち、α1=α2)ことを要し、このとき、第1の長さ及び第2の長さが同一である(すなわち、a=b)であることは明らかである。
図9Bは、クランプ109.4の変更態様を示す図である。図9Bにおいて、各リーフスプリング素子109.27の第1及び第2リンク部109.29及び109.30の第1の長さ及び第2の長さは異なる(即ち、a≠b、ここではa<bである)。これにより、リーフスプリング素子109.27の断面2次モーメントly’が、その長さ方向全体に亘って一定に維持された場合、曲げモーメントMy’はゼロとなり、したがって、クランプ力FCL’は、参照面RPからマウント素子109.23に向かって移動して遠ざかる。従って、接触領域ACにおける接触圧力pCの分散は不均一となりうる。このような不均一な接触圧力の分散は、ある程度までは許容可能である。好ましくは、接触領域ACにおける接触圧力pcの分散は、接触領域AC全体の平均接触圧力の±20%未満であり、更に好ましくは、±10%未満である。
しかし、そのような、接触領域AC全体に渡る不均一な接触圧力の分散に対して反作用させるために、リーフスプリング素子109.27の断面2次モーメントly”が、その長さ方向全体にわたって曲げモーメントMy”がゼロとなるように変更し、クランプ力FCL”を参照面RPに近づける(完全に戻す)ように移動させる。このように、各リンク部109.29及び109.30の半径方向の長さa及びbが異なる場合であっても、接触圧力Pcを均一に分散させることができる。
他の実施形態において、リーフスプリング素子の断面二次モーメントを変更することに加えて、又はそれに代えて、リーフスプリング素子の(材料の)長さ方向全体に渡る弾性率を変更し、接触領域ACにおける接触圧力をほぼ均一に分散させることも可能である。
言い換えれば、本発明に係るクランプ109.4は、(例えば、様々な長さのリーフスプリング素子109.27が必要とされる)様々な幾何学的境界条件に容易に適用可能である。これにより、上部レンズ接触面108.4及びクランプ面109.26間の接触領域AC全体における接触圧力が均一になる。このようにして、接触領域AC全体に渡って接触圧力pcを均一に分散させることで、局所的に集中した応力の発生を低減して、それがレンズ108にもたらされ、レンズ108の光学機能部分に伝わる(そして、レンズ108及びレンズ108を含む光学システムに結像誤差を生じさせる)ことを抑制する。
図9C及び9Dは、レンズホルダ9.2(図6A及び6Bに示す)の他の部品を示す、(模式的且つ縮尺によらない)図である。これは、上述した米国特許第7154684号より周知である。図9Eは、周知のレンズホルダ9.2をより詳細に示す図である。
図9Cは、クランプ9.4を、レンズ8をサポートするレンズサポート9.3に設置する前における、レンズホルダ9.2の状態を示す。図9Dは、クランプ9.4がレンズサポート9.3上に設置され、レンズ8をクランプしている状態の、レンズホルダ9.2を示す。
図9C、9D、及び9Eから明らかなように、従来のクランプ9.4は、2つの分離した部品からなる。すなわち、自由端において接触ヘッド9.32を有するリーフスプリング素子9.27を含む第1部品9.31と、接触ヘッド9.32及びレンズ8の上部レンズ接触面8.4の間に配置された接触素子9.34を有する第2部品9.33とを有する。
図9Dから明らかなように、(レンズサポート9.3に端部が堅く埋設保持された水平の梁状の)リーフスプリング素子9.27は、その接触ヘッド9.32及び接触素子9.34を介して、上部レンズ接触面9.4に対して、クランプ力FCLを自由に作用させる。接触素子9.34及びレンズ8の間の接触領域において作用する接触圧力をほぼ均等にするために、接触ヘッド9.32をリッジ又はルーフ状に構成して、(接触素子9.34に線接触するようにして)、接触ヘッド9.32が接触素子9.34に対して傾斜することを可能にする(これにより、接触領域に曲げモーメントが伝わることを回避する)。したがって、リーフスプリング素子9.27のy軸について作用する曲げモーメントMyは接触ヘッド9.32においてゼロになる。
一方で、周知のクランプ9.4は、別々の構成素子から構成されるので、それらの構成素子の製造不整合に起因して複数の誤差をシステムに生じさせるという不利益がある。更に、クランプ力FCLが、接触ヘッド9.32及び接触素子9.34の間の非常に小さい接触領域を介して、空間的に極度に集中して伝われば、この接触領域において応力が極度に集中し、これらの構成素子が(たとえば、構成素子に作用する加速に起因する負荷によって)故障するおそれがある。
周知のサポート構造体9のクランプ機構とは対称的に、本発明に係るクランプ109.4は、弾性変形可能な第1及び第2のリンク部109.29及び109.30が参照面RPの両端に配置されているという構成に起因して、リンク部109.29及び109.30は、曲げ軸(y軸)について逆向きに回転して、クランプ面109.26及び上部レンズ接触面108.4が適切に平行配置するように調整する。具体的には、第1リンク部109.29はその端部において接触素子109.24に接続されるが、曲げモーメントMyによって曲げ軸(y軸)について回転する結果、曲げモーメントMyに応じた第2リンク部109.30の曲がりによって生じる曲げ軸(y軸)についての第1リンク部の端部の回転は完全に補償される。
したがって、従来から周知のクランプ9.4とは異なり、小領域に大きな応力が集中することは無くなり、これにより、応力集中に起因する故障のリスクが回避される。むしろ、過剰な負荷(例えば、整合部材における過剰な加速に起因する)は、各リーフスプリング素子109.27の長さ全体にわたって分散され、これによりクランプ109.4における局所的応力が有意に低減される。
クランプ109.4の更なる有利点は、リーフスプリング素子109.27が、更なる
第1傾斜軸109.35と、更なる第2傾斜軸109.36とを定める点にある。これら
の軸は、実質的にクランプ面109.26内に位置し、したがって接触領域AC内(接触
面109.26及び上部レンズ接触面108.4の間)に位置する。
第1傾斜軸109.35は、放射第2方向(x軸)に延在し、第2傾斜軸109.36は接線第3方向(y軸)に延在する。第1傾斜軸109.35及び第2傾斜軸109.36は、傾斜軸109.13及び109.17と同様に、接触領域AC内に位置する(又は少なくとも直近に位置する)ため、クランプ面109.26及び上部レンズ接触面108.4との間における、接触面について平行な相対的な動きを抑制する。このような傾斜軸の詳細な機能は、傾斜軸109.17に関連して詳細に説明した。したがって、ここに、上述の説明を主に引用すると共に、これにより、接触相手同士の間に生じる摩擦せん断力及び寄生負荷の発生を回避することができるという点を再度述べるに留める。この寄生負荷は、レンズ108の光学機能部に伝わり結像誤差を生じさせる。
サポート構造109を介してレンズ108の各突起108.1に生じる、寄生負荷に起因する応力を更に低減するために、突起108.1は上側及び下側応力逃がし溝108.5を備える。この溝は、下部レンズ接触面108.3及び上部レンズ接触面108.4に隣接するレンズ108の円周方向に延在する。本発明の他の実施形態において、このような応力除去溝は他態様で設計されることも可能であり、当然、各突起の少なくとも一つの表面に備えられなくてもよい。
図1に示す光学露光装置101において、本発明に係る光学素子ユニットの保持方法の好ましい実施形態は、以下において図1〜10を参照して実施可能である。
ステップ110.1において、光学露光装置101の構成素子は、具体的には、図1〜9Dにおいて記載したような、レンズ108及びサポート構造体109である。
ステップ110.2においては、光学露光装置101の構成素子は、図1〜9Dにおいて記載したような構成における空間的関係に配置する。更に具体的には、ステップ110.2において、レンズサポート109.3の変形可能なリンク部(第1レンズサポート素子109.7及び第2レンズサポート素子109.8)は、上述のような態様で配置する。
ステップ110.3においては、レンズ108の突起108.1は、レンズサポート109.3上に配置し、上述したように、それぞれサポート力FSIをレンズ108に作用させる。これにより、レンズサポート109.3の変形可能なリンク部109.7及び109.8を、上述したような態様で変形させる。
ステップ110.4においては、光学露光装置101の更なる構成素子の部品は、図1〜9Dにおいて記載したような構成における空間的関係に配置する。更に具体的には、ステップ110.4において、クランプ109.4の変形可能なリンク部(リーフスプリング素子109.27)は、レンズ108及びレンズサポート109.3に対して、上述のような態様で配置する。
ステップ110.5においては、各クランプ109.4をレンズ108の各突起108.1に配置し、レンズサポート109.3に設置し、上述したように、それぞれサポート力FCLをレンズ108に作用させる。これにより、レンズクランプ109.4の変形可能なリンク部109.27を、上述したような態様で変形させる。
[第2実施形態]
以下、図1〜10、及び図11Aを参照して説明した、本発明に従う光学素子モジュール207.1の第2の実施形態を示す。光学素子モジュール207.1は、その基本設計及び機能面において光学素子モジュール107.1に大部分が対応し、図1に示す光学結像装置101における光学素子モジュール107.1に代えて用いることができる。したがって、ここでは、主に上述の記載を参照し、光学素子モジュール107.1と異なる点について以下に詳述する。具体的には、同様の部分は、上述の参照符号に100を加えた参照符号を付して示し、これらに関しては、特に明示が無ければ、第1実施形態において説明した内容を参照されたい。
図11Aは、図5に対応するものであり、光学素子モジュール207.1の詳細を示す概略断面図である。光学素子モジュール207.1の光学素子モジュール107.1との唯一の違いは、第2レンズサポート素子209.8の脚209.15の設計にある。
2つのリーフスプリング素子109.16に代えて、脚109.15に対して1つのリーフスプリング素子209.16だけを設ける。
各脚209.15の第2リーフスプリング素子209.16は、主拡張平面を有し、この平面は、サポートリング109.1の円周接線方向にも配置されている。第1レンズサポート素子109.7(破線で示す)のサポート面109.5によって定められる接触面に関して、第2傾斜軸109.17が第1実施形態において詳述したような態様となるように、第2リーフスプリング素子209.16を配置する。ここでも、実際には、第2傾斜軸109.17は、サポートリング109.1の接線方向に一致させ、且つ、サポート面109.5によって定められる接触面内に延在させる。第2の傾斜軸109.17は、放射方向(x軸)にサポート面109.5内の略中心を通る。
これら2つのリーフスプリング素子209.16の大きさ及び/又は位置は、第2傾斜軸109.17の所望位置に応じて、周知の方法で容易に決定できる。すなわち、サポート面109.5によって定められる接触面の位置に応じて決定できる。例えば、第2リーフスプリング素子209.16の接線方向(y軸)についての接触断面2次モーメントlyが一定であれば、第2傾斜軸109.17は、第2リーフスプリング素子209.16の両端の間において、軸方向(z軸)中央に沿って位置する。
第2リーフスプリング素子が、接線軸(y軸)についての断面2次モーメント又は軸方向(z軸)に沿って可変の弾性率Eを有する場合、第2傾斜軸の位置が移動しうる。
したがって、脚209.15における所定の幾何学的境界条件において、第2リーフスプリング素子209.16の大きさ及び/又は素材を変更することで、サポート面109.5に対する第2傾斜軸109.17の位置を調整することができる。更には、上述のような調整手段109.18を備えることもできる。
この光学素子モジュール207.1においても、(第1実施形態において上述した)本発明に従う光学素子ユニットの保持方法を実施することができる。
[第3実施形態]
以下、図1〜10、及び図11Bを参照して説明した、本発明に従う光学素子モジュール307.1の第3実施形態を示す。光学素子モジュール307.1は、その基本設計及び機能面において光学素子モジュール107.1に大部分が対応し、図1に示す光学結像装置101における光学素子モジュール107.1に代えて用いることができる。したがって、ここでは、主に上述の記載を参照し、光学素子モジュール107.1と異なる点について以下に詳述する。具体的には、同様の部分は、上述の参照符号に200を加えた参照符号を付して示し、これらに関しては、特に明示が無ければ、第1実施形態において説明した内容を参照されたい。
図11Bは、図5に対応するものであり、光学素子モジュール307.1の詳細を示す概略断面図である。光学素子モジュール307.1の光学素子モジュール107.1との唯一の違いは、第2レンズサポート素子309.8の脚309.15の設計にある。
同一平面上のリーフスプリング素子109.16の代わりに、2つのリーフスプリング素子309.16を備える。これらの主拡張平面は、第2傾斜軸109.17を定める交差線上で交差し、サポートリング109.1(y軸)の接線方向に延在する。
また、第2傾斜軸109.17は、第1レンズサポート素子109.7の接触面109.5(破線で示す)によって定められる接触面(下部レンズ接触面108.3)内に延在する。このような傾斜軸の詳細な機能は、傾斜軸109.17に関連して詳細に説明した。第2の傾斜軸109.17は、放射方向(x軸)にサポート面109.5内の略中心を通る。
したがって、脚109.15における所定の幾何学的境界条件において、第2リーフスプリング素子309.16の主拡張部面の交差線の位置を変更することで、サポート面109.5に対する第2傾斜軸109.17の位置を調整することができる。更には、上述のような調整手段109.18を備えることもできる。
更には、第2リーフスプリング素子をサポート面109.5によって定められる接触面の反対側に配置することもできる。更には、第2傾斜軸109.17を定める主拡張面が、実質的に共通の交差線上において交差する限りにおいて追加の第2リーフスプリングを設けることもできる。
この光学素子モジュール307.1においても、(第1実施形態において説明した)本発明に従う光学素子ユニットの保持方法を実施することができる。
[第4実施形態]
以下、図1〜10、及び図11Cを参照して説明した、本発明に従う光学素子モジュール407.1の第4実施形態を示す。光学素子モジュール407.11は、その基本設計及び機能面において光学素子モジュール107.1に大部分が対応し、図1に示す光学結像装置101における光学素子モジュール107.1に代えて用いることができる。したがって、ここでは、主に上述の記載を参照し、光学素子モジュール107.1と異なる点について以下に詳述する。具体的には、同様の部分は、上述の参照符号に300を加えた参照符号を付して示し、これらに関しては、特に明示が無ければ、第1実施形態において説明した内容を参照されたい。
図11Cは、図5に対応するものであり、光学素子モジュール407.1の詳細を示す概略断面図である。光学素子モジュール407.1の光学素子モジュール107.1との唯一の違いは、第2レンズサポート素子409.8の脚409.15の設計にある。同一平面上に位置するリーフスプリング素子109.16に代えて、一つの弾性ヒンジ素子409.37が設けられている。このヒンジ素子409.37は、サポートリング109.1の接線方向(y軸)に延在する第2傾斜軸109.17を定める。
また、第2傾斜軸109.17は、第1レンズサポート素子109.7の接触面109.5(破線で示す)によって定められる接触面(下部レンズ接触面108.3)内に延在する。このような傾斜軸の詳細な機能は、傾斜軸109.17に関連して詳細に説明した。第2の傾斜軸109.17は、放射方向(x軸)にサポート面109.5内の略中心を通る。
したがって、脚109.15における所定の幾何学的境界条件において、弾性ヒンジ素子409.37の位置を変更することで、サポート面109.5に対する第2傾斜軸109.17の位置を調整することができる。更には、上述のような調整手段109.18を備えることもできる。
更には、第1実施形態と同様の態様で、2つ又はそれ以上の弾性ヒンジ素子を(軸方向において)備えることが出来る。これらの組み合わせで、第2傾斜軸109.17の位置が定まる。
この光学素子モジュール407.1においても、(第1実施形態において上述した)本発明に従う光学素子ユニットの保持方法を実施することができる。
[第5実施形態]
以下において、本発明に係る光学結像装置507.1の第5実施形態について、図1〜10及び図12を参照して説明する。光学素子モジュール507.1はその基本設計及び機能の大部分が光学素子モジュール107.1に対応し、図1に示す光学結像装置101の光学素子モジュール107.1と置き換えることができる。したがって、ここでは、主に上述の記載を参照し、光学素子モジュール107.1と異なる点について以下に詳述する。具体的には、同様の部分は、上述の参照符号に400を加えた参照符号を付して示し、これらに関しては、特に明示が無ければ、第1実施形態において説明した内容を参照されたい。
図12は、図7に対応するものであり、光学素子モジュール507.1の詳細を示す概略断面図である。光学素子モジュール507.1の光学素子モジュール107.1との唯一の違いは、クランプ509.4の第2レンズサポート素子509.24の設計にある。
クランプ509.4のマウント素子109.23及びリンク素子109.25(リーフスプリング素子109.27を有する)は、第1実施形態において詳述したものと同一であり、接触素子509.24は、その第一端において、(第1実施形態において詳述した)クランプ面109.26を有する第1接触素子部分509.38を有する。第2端において、接触素子509.24は第2接触素子部分509.39を有する。第2接触素子部分509.39は、一方の側ではリンク素子109.25の2つのリーフスプリング素子109.27に接続し、他方の側では、接続部509.40を介して第1接触素子部509.38に接続される。
接触素子509.24の接続部509.40は、2つのリーフスプリング素子509.41によって形成される。主拡張面が、サポートリング109.1の放射方向(x軸)に沿い、クランプ面109.26によって定められる(上部レンズ接触面108.4の)接触面内に延在する交差線において交差するように、これら2つのリーフスプリング素子509.41を配置する。2つのリーフスプリング素子509.41は、クランプ面109.26の第1傾斜軸109.36を定める。
第1実施形態のクランプ109.4と比べて、クランプ509.4はクランプ面109.26の第1傾斜軸109.36についての傾斜動作が、(クランプ力FCLも発生させる必要がある)リーフスプリング素子109.27のねじれによらずに、リーフスプリング素子509.41の曲がりによって、行われる点で有利である。
したがって、このような傾斜動作に対して比較的抵抗の少ない構成を実現することができる。
また、ここでも、第1傾斜軸109.36は、クランプ509.4(破線で示す)のクランプ面109.26において定められる接触面(上部レンズ接触面108.4)内に延在する。このような傾斜軸の詳細な機能は、傾斜軸109.36に関連して詳細に説明した。第1の傾斜軸109.36は、接線方向(y軸)に沿い、クランプ面109.26内において略中心に位置する。
更には、第1傾斜軸109.36を定める主拡張面が、実質的に共通の交差線上において交差する限りにおいて追加のリーフスプリングを設けることもできる。
この光学素子モジュール507.1においても、(第1実施形態において上述した)本発明に従う光学素子ユニットの保持方法を実施することができる。
[第6実施形態]
以下において、本発明に係る光学結像装置607.1の第6実施形態について、図1〜10及び図13を参照して説明する。光学素子モジュール607.1はその基本設計及び機能の大部分が光学素子モジュール107.1に対応し、図1に示す光学結像装置101の光学素子モジュール107.1と置き換えることができる。したがって、ここでは、主に上述の記載を参照し、光学素子モジュール107.1と異なる点について以下に詳述する。具体的には、同様の部分は、上述の参照符号に500を加えた参照符号を付して示し、これらに関しては、特に明示が無ければ、第1実施形態において説明した内容を参照されたい。
図13は、図2における線XIII−XIIIに従う、光学素子モジュール607.1の一部分に係る概略断面図である。図14は、図13に示すクランプ609.4の概略斜視図である。光学素子モジュール607.1の光学素子モジュール107.1との唯一の違いは、クランプ609.4の設計にある。
クランプ109.4との違いの1つは、(マウント素子609.23及び接触素子609.24をリンクする)リンク素子609.25が、(接触素子109.24の両側に位置する2つの別々のリーフスプリング素子109.27に代えて)接触素子609.24の上に位置する1つのリーフスプリング素子609.27を備えることにある。
しかし、参照面RPに対するリーフスプリング素子609.27の構成は、第1実施形態において詳述したリーフスプリング素子109.27の少なくとも一つと同一である。
したがって、ここでは、リーフスプリング素子109.27に関する上述の説明についてのみ参照する。また、クランプ面109.26及び上部レンズ接触面108.4の間の接触領域AC全体で、接触圧力PCが均一に分布する。
クランプ109.4との第2の違いは、接触素子609.24はその第一端において、(第1実施形態において説明したような)クランプ面109.26を備える第1接触素子部609.38を有するという点にある。第2端において、接触素子609.24は第2接触素子部分609.39を有する。第2接触素子部分609.39は、一方の側ではリンク素子609.25のリーフスプリング素子609.27に接続し、他方の側では、接続部609.40を介して第1接触素子部609.38に接続される。
接触素子609.24の接続部609.40は、3つの弾性変形ストラット素子609.41によって形成される。これらの長手軸が、クランプ面109.26によって定められる(上部レンズ接触面108.4の)接触平面内の交差点において、三脚のように交差するように配置される。これら3つのストラット素子609.41の軸が交差する点は、傾斜点を定める。すなわち、上述したようなクランプ面109.26の傾斜軸109.35及び109.36を定める。
第1実施形態のクランプ109.4と比べて、クランプ609.4はクランプ面109.26の傾斜動作が、(クランプ力FCLも発生させる必要がある)リーフスプリング素子609.27の曲がりによらずに、リーフスプリング素子609.41の曲がりによって、行われる点で有利である。したがって、このような傾斜動作に対して比較的抵抗の少ない構成を実現することができる。
また、ここでも、傾斜軸109.35及び109.36は、それぞれ、クランプ609.4のクランプ面109.26によって定められる接触面(上部レンズ接触面108.4)内に延在する。このような傾斜軸109.36のそれぞれにおける詳細な機能は、第1実施形態において詳細に説明した。傾斜軸109.35及び109.36は、それぞれ、接線方向(y軸)及び放射方向(x軸)に沿い、クランプ面109.26内において略中心に位置する。
更には、傾斜軸109.35及び109.36のそれぞれを定める長手軸が、実質的に共通の交差点上で交差する限りにおいて、追加の弾性ストラット素子を設けることもできる。
この光学素子モジュール607.1においても、(第1実施形態において上述した)本発明に従う光学素子ユニットの保持方法を実施することができる。
[第7実施形態]
以下において、本発明に係る光学結像装置707.1の第7実施形態について、図1〜10及び図13〜15を参照して説明する。光学素子モジュール707.1はその基本設計及び機能の大部分が光学素子モジュール107.1及び607.1に対応し、図1に示す光学結像装置101の光学素子モジュール107.1と置き換えることができる。したがって、ここでは、主に上述の記載を参照し、光学素子モジュール107.1と異なる点について以下に詳述する。具体的には、同様の部分は、上述の参照符号に600を加えた参照符号を付して示し、これらに関しては、特に明示が無ければ、第1実施形態において説明した内容を参照されたい。
図15は、図13に示す断面に対応するものであり、光学素子モジュール507.1の詳細を示す概略断面図である。光学素子モジュール707.1の光学素子モジュール607.1との違いは、接続部709.11の設計にある。接続部709.11は、(サポート面109.5を備える)第1接触素子部709.9と、第1レンズサポート素子709.7の第2接触素子部709.10とを接続する。
接続部709.11は、クランプ609.4の接続部609.40と同様に設計する。具体的には、接触部709.11は、3つの弾性変形ストラット素子709.12より形成される。これらは、長手軸がサポート面109.5によって定められる(下部レンズ接触面108.3の)接触平面内の交差点において、三脚のように交差するように配置される。3つのストラット素子709.12の軸が交差する点は、傾斜点を定める。すなわち、上述したようなサポート面109.26の傾斜軸109.13及び109.17を(他の軸の中から)定める。
また、ここでも、傾斜軸109.13及び109.17は、それぞれ、レンズサポート709.3のサポート面109.5によって定められる接触面(下部レンズ接触面108.3)内に延在する。このような傾斜軸109.13及び109.17の、それぞれの詳細な機能は、第1実施形態において詳細に説明した。傾斜軸109.13及び109.17は、それぞれ、放射方向(x軸)及び接線方向(y軸)に沿い、サポート面109.5内において略中心に位置する。
第1実施形態のレンズサポート109.3に比べて、レンズサポート709.3は、サポート面109.5のどの傾斜動作もストラット素子の曲がりによってもたらされるという利点を有する。したがって、このような傾斜動作に対して対抗力の少ない構成を提供できる。また、そのためにサポート面109.5の傾斜軸を提供する更なる構成部品を備える必要がない。したがって、第1及び第6実施形態との第2の違いは、第1レンズサポート素子709.7がサポートリング109.1に直接支持されているということである。
更には、傾斜軸109.135及び109.17のそれぞれを定める長手軸が、実質的に共通の交差点上において交差する限りにおいて、追加の弾性ストラット素子を設けることもできる。
この光学素子モジュール707.1においても、(第1実施形態において説明した)本発明に従う光学素子ユニットの保持方法を実施することができる。
[第8実施形態]
以下において、本発明に係る光学結像装置807.1の第8実施形態について、図1〜10及び図16を参照して説明する。光学素子モジュール807.1はその基本設計及び機能の大部分が光学素子モジュール107.1に対応し、図1に示す光学結像装置101の光学素子モジュール107.1と置き換えることができる。したがって、ここでは、主に上述の記載を参照し、光学素子モジュール107.1と異なる点について以下に詳述する。具体的には、同様の部分は、上述の参照符号に700を加えた参照符号を付して示し、これらに関しては、特に明示が無ければ、第1実施形態において説明した内容を参照されたい。
図16は、図13に対応するものであり、光学素子モジュール807.1の詳細を示す概略断面図である。光学素子モジュール807.1の光学素子モジュール107.1との唯一の違いは、クランプ809.4及びリンク素子809.25の設計にある。
クランプ809.4のマウント素子109.23及び接触素子109.24は、第1実施形態において説明したものと同一である。リンク素子809.25は2つのリーフスプリング素子809.42を備え、これらは参照面RPの両側に位置し、且つ実質的に剛性の接続素子809.43によって接続されている。
破線809.44によって示すように、リーフスプリング素子809.42は、(クランプ809.4に負荷がかかっていない状態では)軸方向(y軸)に沿って延在する主拡張面を有する。図16より明らかなように、変形素子を参照面RPの両側に配置することで、そのような構成においても、接触面ACに作用する接触圧力pcがほぼ均一に分布し、これにより、生じたクランプ力FCLが実質的に参照面RP内において作用するようになる。
したがって、本発明によれば、クランプの弾性変形部は、放射方向(x軸)に対してあらゆる適切な方向に変形することが可能である。そのような変形部を(接触面ACによって定められる)参照面RPの両側に備える限りにおいて、接触領域ACにおいて作用する接触圧力pcの分散を略均一にすることが可能である。これにより、負荷の集中を低減し、局所的な応力がレンズ108の光学機能部に伝わることを回避する(所望の結像誤差を得る)ことができる。
この光学素子モジュール807.1においても、(第1実施形態において説明した)本発明に従う光学素子ユニットの保持方法を実施することができる。
[第9実施形態]
以下において、本発明に係る光学結像装置907.1の第9実施形態について、図1〜10及び図17を参照して説明する。光学素子モジュール907.1はその基本設計及び機能の大部分が光学素子モジュール107.1に対応し、図1に示す光学結像装置101の光学素子モジュール107.1と置き換えることができる。したがって、ここでは、主に上述の記載を参照し、光学素子モジュール107.1と異なる点について以下に詳述する。具体的には、同様の部分は、上述の参照符号に800を加えた参照符号を付して示し、これらに関しては、特に明示が無ければ、第1実施形態において説明した内容を参照されたい。
光学素子モジュール107.1との唯一の違いは、第1レンズサポート素子909.7の接続部909.11が2つの第1リーフスプリング素子909.12によって形成され、これらの素子が一連のリーフスプリングではなく、2つの分離したリーフスプリング部を有する素子である点にある。
[第10実施形態]
以下において、本発明に係る光学結像装置1007.1の第10実施形態について、図1〜10及び図18を参照して説明する。光学素子モジュール1007.1はその基本設計及び機能の大部分が光学素子モジュール107.1に対応し、図1に示す光学結像装置101の光学素子モジュール107.1と置き換えることができる。したがって、ここでは、主に上述の記載を参照し、光学素子モジュール107.1と異なる点について以下に詳述する。具体的には、同様の部分は、上述の参照符号に900を加えた参照符号を付して示し、これらに関しては、特に明示が無ければ、第1実施形態において説明した内容を参照されたい。
光学素子モジュール107.1との唯一の違いは、U型第2レンズサポート素子1009.8のクランプ1009.4が、基部1009.14に直接設置されている点にある。
[第11実施形態]
以下において、本発明に係る光学結像装置1107.1の第11実施形態について、図1〜10及び図18を参照して説明する。光学素子モジュール1107.1はその基本設計及び機能の大部分が光学素子モジュール107.1に対応し、図1に示す光学結像装置101の光学素子モジュール107.1と置き換えることができる。したがって、ここでは、主に上述の記載を参照し、光学素子モジュール107.1と異なる点について以下に詳述する。具体的には、同様の部分は、上述の参照符号に1000を加えた参照符号を付して示し、これらに関しては、特に明示が無ければ、第1実施形態において説明した内容を参照されたい。
光学素子モジュール107.1との唯一の違いは、クランプ1109.4がサポートリング1109.1に直接設置されている点にある。
ここまで、本発明について、光学素子及び光学素子を保持するホルダを有する光学素子モジュールを用いる実施形態に関して説明してきた。しかし、本発明は、光学素子に直接流体アクチュエータが接続されるような実施形態にも適用可能である。
更に、本発明は、流体アクチュエータを用いて光学素子の配置(例えば、空間における位置及び/又は方向)を変更するような実施形態にも適用可能である。しかし、上述したように、本発明の他の実施形態においても、本発明に係るアクチュエータによってもたらされる作動力は、光学素子又は他の光学装置の構成素子の形状を変更するために用いられることも可能である。更には、本発明に従うアクチュエータによってもたらされる作動力はそのような光学装置における他のあらゆる動作のために用いられても良い。
ここまで、本発明について、保持器具の接触素子が直接光学素子ユニットの唯一の構成部品である光学素子に作用するような例に関して説明してきた。しかし、本発明の他の実施形態において、(光学素子とは別に)光学素子ユニットが更なる構成素子を備え(例えば、光学素子に直接接触する保持素子等)、これらが保持器具に接触して、発生した負荷を光学素子に伝えることが考えられる。
ここまで、本発明について、波長193nmの露光光によって作動するマイクロリソグラフィシステムに関して説明してきた。しかし、本発明は、他のいかなる波長によって作動する他のいかなる光学システム、特に、変形感受性の構成素子を用いる他のいかなる光学装置においても用いることができることが望ましい。特に、本発明は、波長20nm以下、典型的に波13nmで作動する、いわゆるEUVシステムにおいて用いることができる。
最後に、本発明は、光学装置内のあらゆる位置において用いられる他のいかなるタイプの光学素子、具体的には、屈折性、反射性、回折性の光学素子又はこれらの組み合わせにおいて用いられることができる。