JP2006100315A - 保持機構、光学装置、及びデバイス製造方法 - Google Patents

保持機構、光学装置、及びデバイス製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光学素子に大きな力を加えることなく、接着剤などの有害なガスを発生させる材料を使用することなく、光学素子を保持することのできる保持機構を提供する。
【解決手段】光学素子1を保持する保持機構であって、前記光学素子1又は該光学素子1との位置関係が固定された保持部材3の裏面側に設られた裏面側レンズ係合部と係合する裏面側保持係合部を含む裏面側ブロック6と、前記光学素子又は前記保持部材の表面側に設けられた表面側レンズ係合部と係合する表面側保持係合部を含む表面側ブロック7とを有していることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学要素の保持機構、その保持機構を用いた露光装置等の光学装置、及びデバイス製造方法に関し、具体的には、例えば半導体露光装置に用いられるレンズ、ミラー等の光学要素を保持する保持機構に関する。
半導体露光装置は、回路パターンを有する原版(レチクル)を基板(シリコンウエハ)に転写する装置である。転写する際には、レチクルのパターンをウエハ上に結像させるために投影レンズが用いられるが、高集積な回路を作成するために投影レンズには高い解像力が要求される。そのために、半導体露光装置用のレンズの収差は小さく抑えられている。したがって、半導体露光装置用のレンズ等においては、ガラス材質や膜に関する諸特性の均一性や、ガラスの面形状の加工精度、組立て精度が必要である。
レンズに用いられるガラスを保持する鏡筒は、金属などで形成されるのが一般的であり、ガラスと異なる材質のものが使用される。図9は、従来の半導体露光装置用の光学系の鏡筒構造を示す部分断面図である。図9において、複数のレンズ101,102がそれぞれレンズを支持する金枠103,104に固定され、さらに、空気間隔調整用スペーサ106を挟んで、これらの金枠103,104が筒状の保持部材105の中に積み上げられ、上部から押さえネジ環107,108によって押圧固定されている。なお、接着剤を使用せずに光学素子を固定する方法としては、例えば特許文献1に開示のものがある。また、レンズ外周部を周方向に切り欠き、レンズ有効径内に歪みが伝わらないようにした構造については、例えば特許文献2に開示のものがある。
実開平3−96609号公報 特開2002−48962号公報
半導体露光装置に用いられる投影光学系などの高性能な光学特性が必要とされる機器において、光学系を構成する各レンズは、外力を受けて素子が変形することによる光学性能の劣化を極力減らすために、硬化収縮の小さな接着剤などによって、素子に外力を加えることなく金枠に固定されることが一般的である。しかしながら短波長のレーザを使用して露光を行うと、接着剤からのガス放出が促され、そのため光学素子表面が汚染され、透過率や光学特性の劣化を引き起こすことが懸念される。また、露光装置の製造課程及びメンテナンス過程で光学素子単体を交換する必要がある場合には、接着剤を剥離して再接着する工程が必要となり、歩留りを悪化させる一因となっている。
上記特許文献1には、接着剤を使用しない光学素子固定方法は開示されているが、ガラスに形成された溝及び溝に当接する球状部のみでは、レンズを光軸方向に拘束することができないだけでなく、光軸と垂直方向に加速度が加わった場合にもレンズの位置ずれが発生する懸念がある。それを避けるためには、レンズ上面から大きな力を加える必要があるが、結果として、レンズを歪ませてしまい、レンズに大きな複屈折性を与えてしまう。
上記特許文献2に開示のものによれば、レンズ有効径外に広い加工スペースが必要となるだけでなく、レンズコバ部が薄い場合などには、切り欠き部からレンズが脆性破壊を起こす危険性がある。
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、光学素子に大きな力を加えることなく、接着剤などの有害なガスを発生させる材料を使用することなく、光学素子を保持することのできる保持機構、その保持機構を用いた光学装置、及びデバイス製造方法を提供することを例示的目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の例示的側面としての保持機構は、光学素子を保持する保持機構であって、前記光学素子又は該光学素子との位置関係が固定された保持部材の裏面側に設けられた裏面側レンズ係合部と係合する裏面側保持係合部を含む裏面側ブロックと、前記光学素子又は前記保持部材の表面側に設けられた表面側レンズ係合部と係合する表面側保持係合部を含む表面側ブロックとを有しており、前記裏面側レンズ係合部が少なくとも部分的に球形状をした球状部、又は溝部を有し、前記裏面側保持係合部が前記裏面側レンズ係合部の球状部と係合する溝部、又は前記裏面側レンズ係合部の溝部と係合し、少なくとも部分的に球形状をした球状部を有しており、前記表面側レンズ係合部が少なくとも部分的に球形状をした球状部、又は溝部を有し、前記表面側保持係合部が前記表面側レンズ係合部の球状部と係合する溝部、又は前記表面側レンズ係合部の溝部と係合し、少なくとも部分的に球形状をした球状部を有しており、前記裏面側ブロックと前記表面側ブロックとが連結されていることを特徴とする。
前記表面側ブロックと前記裏面側ブロックとが弾性部材によって結合され、該弾性部材によって前記表面側ブロックが前記裏面側ブロックに向けて前記光学素子を付勢し、前記光学素子の光軸方向の膨張を許容するようになっていてもよい。前記裏面側ブロックが連結溝を有し、前記表面側ブロックが少なくとも部分的に球状とされ、該連結溝と係合する突起状の連結球状部を有してもよい。前記裏面側ブロックの前記球状部及び前記表面側ブロックの前記球状部がそれぞれ1個で、かつ前記連結球状部が2個であるか、又は前記裏面側ブロックの前記球状部及び前記表面側ブロックの前記球状部がそれぞれ2個で、かつ前記連結球状部が1個であってもよい。前記連結球状部が前記連結溝に対して前記弾性部材によって付勢されていることが望ましい。前記裏面側ブロックの前記溝部及び前記表面側ブロックの前記溝部がV溝形状であり、該V溝を形成する2つの面のなす角が20°以上180°未満であってもよい。前記V溝を形成する2つの平面が、精密ラップ加工されていることが望ましい。
本発明の他の例示的側面としての露光装置は、露光光源からの露光光をレチクルに導く照明光学系と、レチクルを駆動するレチクル駆動系と、レチクル上のパターンを基板上へ投影する投影光学系と、基板を駆動する基板駆動系とを有する露光装置であって、照明光学系又は投影光学系のうち少なくともいずれかに上記の保持機構が用いられていることを特徴とする。ここでいう露光装置は、例えば半導体の回路パターンをウエハ上に投影する半導体投影露光装置である。
本発明のさらに他の例示的側面としてのデバイス製造方法は、上記の露光装置によって基板にパターンを投影露光する工程と、投影露光された基板に所定のプロセスを行う工程とを有することを特徴とする。
本発明の他の目的及び更なる特徴は、以下、添付図面を参照して説明される実施形態により明らかにされるであろう。
本発明によれば、光学素子に大きな力を加えることなく、所定の位置に確実に光学素子を位置決めすることが可能である。
以下に、具体的な図面の記載に基づいて、本発明の実施形態について説明する。
[実施の形態1]
本発明の実施の形態1に係る保持機構について、図面を用いて説明する。図1(a)は本発明の実施の形態1に係る保持機構としてのレンズ保持部の外観斜視図であり、図1(b)はレンズを把持する機能を有するブロック(裏面側ブロック)6の外観斜視図である。このレンズ保持部及びそれに保持されるレンズが複数ずつ集まることによって、例えば半導体露光装置の投影光学系を構成する。重力方向は光軸と一致し、図中の−Z方向である。
図中符号1は石英のレンズ(又は蛍石のレンズ、又はそれら以外の200nm以下の紫外線に対する透過率が石英又は蛍石と同等に高い硝材であれば他の硝材でも構わない)、符号2はレンズ1を保持するリング部材であり、本実施の形態においてリング部材2はレンズ1の線膨張係数に合わせて熱膨張係数の極めて小さいインバー材(レンズの線膨張係数との差がレンズの線膨張係数の20%、好ましくは10%より小さい材料)が用いられている。符号3はこのレンズ1と、このレンズ1と同じように保持された他のレンズとを実質的に同軸上に(収差補正を行うために、2つのレンズを若干偏心させて保持することもありえる)支持するための保持部材であり、鉄材を用いている。リング部材2の周辺部分の複数箇所が切り欠かれ、その部分に板状のばねを構成する弾性部材4(不図示)が設けられている。この板状のばねは、板状部分の面が、レンズ1の光軸中心の円の径に対して略垂直な方向に配置されており(板状のばねの一部が径に対して略垂直であれば構わない)、レンズ1の光軸に略垂直な方向に変形可能な構成、言い換えるとこの板状のばね4の変形により、リング部材2と保持部材3との位置関係が、実質的に光軸に垂直な方向(レンズ1の径方向)にのみ変化するような構成となっている。この弾性部材4は板の両端にてリング部材2に結合され、中央部にて保持部材3に結合されている(勿論、両端にて保持部材3に、中央部にてリング部材3に結合されていても構わない)。このような支持構造によって、弾性部材4は光学要素に対し、半径方向に低い弾性率を有する構造(レンズ1の光軸方向には実質的に変形しない、すなわち高い弾性率を持つ、実質的に剛性を持つ構造)になっている。
符号5は、レンズ1、リング部材2、保持部材3、弾性部材4によって構成される鏡筒ユニットを光軸方向に所定の間隔に調整するためのスペーサであり、図に示すように保持部材3とスペーサ5とには、外周部に60度ピッチでボルト締結用のネジ穴が設けられている。各鏡筒ユニット内のレンズとスペーサとの位置関係は、相対的に60度ピッチで任意の角度で組み合わせて固定することができるうえに、ボルト穴とボルトとによって形成される隙間の分だけ、光軸と垂直方向に調整しつつ移動させて固定することが可能な構成となっている。
符号6はリング部材2の周上3個所に固定され、球状部(裏面側球状部、ここで、裏面側とは、レンズ1の−Z方向側のことであり、別の言い方をすればレンズ1の略重力方向側である。)61が埋め込まれたブロックである。本実施の形態においては、球状部61はブロック6にロウ接合されているが、脱ガス量の少ないエポキシ系の接着剤などによって固定することも可能であるし、ブロック6上に一体加工によって球形状を形成することも可能である。
図2(a)は、レンズ1の外観斜視図であり、図2(b)は、レンズ1の外周部に形成されたV溝を拡大して示す部分拡大図である。レンズ1の外周部は、図2(b)に示すように研削加工によって形成された上下2つの平面a,bに、断面がV字形状をした溝(以下V溝と記す)が、120度のピッチで放射方向に加工されている。V溝は、レンズ研磨面に直接加工することも可能であるが、押圧荷重によるレンズ面の歪みを極力減らすためには、本実施の形態のように段形状に加工された研磨面以外の面に、V溝を加工することが望ましい。レンズ下面側に設けられた各々のV溝(裏面側溝部)に、それぞれ上記の球状部61が当接することで、レンズ1は反重力方向以外のすべての方向に対して、運動学的に過剰拘束なくレンズ1がブロック6に対して位置決めされる。
V溝の球状部61が当接する部分は、精密ラップ加工により高い面精度の面が形
成されており、レンズを繰り返し着脱した際の位置決め再現性が高められている。レンズ上面側のV溝部には、レンズを反重力方向に拘束する(レンズの反重力方向への移動を拘束する)ための拘束装置(表面側ブロック)7が当接している。拘束装置7は図3に示すように同一面内3箇所に球状部71が埋め込まれている。このうち、レンズ1の溝部に係合する1つを表面側球状部(表面側とは、レンズ1の+Z方向側のことであり、別の言い方をすればレンズ1の略反重力方向側である。)といい、ブロック6に設けられた溝部(連結溝)に係合する2つを連結球状部という。この球状部71も、接着や一体加工によって形成してもよい。3箇所の球状部71のうち1つの表面側球状部がレンズ上面に設けられた溝部(表面側溝部)に、残り2つの連結球状部がブロック6上に設けられたV溝部に当接することにより、拘束装置7は運動学的に位置決めされている。さらに、拘束装置7がコイルバネ8により重力方向に引っ張られることによって、レンズ1は、対向する2つの球状部61,71に挟まれて固定される。コイルバネ8による引っ張り力は、レンズ剛性、レンズ重量、許容される複屈折量、レンズ製造時及び運搬時に加わる衝撃値などから最適化されるが、概ね3〜60Nである。
コイルバネ8は引っ張り方向以外の方向に対しては、剛性が低いため、拘束装置7がXY面内方向に過度な力を受けることはない。すなわち、レンズ1は単純な光軸方向の押圧力のみを受けることになるため、レンズ1を固定する力によってレンズ面が歪む量を最小限に抑えることが可能となる。
レンズに荷重を加えることにより生じる複屈折量を測定した結果、レンズ外周部から中心に向かって荷重をかけた場合と、レンズ周辺から光軸方向に荷重をかけた場合とでは、明らかに後者の複屈折量の方が小さいことが実験により実証された。よって本実施の形態に示すように、光軸方向にレンズを押圧することによる固定方法は、複屈折性を考慮した場合にも有効であることが明らかである。
また、図4は、物体を鉛直方向に押圧し、摩擦力により固定する場合に、水平方向の外力に対して物体が位置ずれを起こす条件を説明する説明図である。図4(a)は物体の上平面部に対して鉛直方向に荷重をかけた時の様子をモデル化したもの、図4(b)は、本実施の形態のように、溝部などの斜面に荷重をかけた時の様子をモデル化したものである。垂直方向押圧力をf、静止摩擦係数をμとすると、図4(a)に示す場合、水平方向の力Fに対して、
F>μf
の場合に、物体は水平移動することになる。一方図4(b)に示す物体が水平移動する条件は、
F>f(sinθ+μcosθ)/(cosθ−μsinθ)
となる。
図4(b)に示す場合、水平方向の力Fに対して物体が移動しないための条件は、静止摩擦係数とV溝を形成する斜面の角度とにより決定されるが、μ=0.1程度、0<θ<80°の範囲(この範囲内ではcosθ−μsinθ>0となる)においては、
(sinθ+μcosθ)/(cosθ−μsinθ)>μ
となり、平面に荷重をかけた図4(a)に示す場合に比べて、図4(b)に示すものは常に高い水平方向保持力が得られることがわかる。
本実施の形態ではレンズに設けられたV溝の傾斜角θ=π/4、静止摩擦係数μ=0.1程度(この範囲内ではcosθ−μsinθ>0となる)であり、
(sinθ+μcosθ)/(cosθ−μsinθ)=1.22
となり、平面押圧に比べ、より大きな水平方向外力に耐えてレンズを所定の位置に保持することが可能である。
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2に係る保持機構について図5を用いて説明する。図5(a)は本発明の実施の形態2に係る保持機構としてのレンズ保持部の要部を拡大して示す要部拡大図であり、図5(b)はこのレンズ保持部に用いられ、レンズを把持する機能を有するブロック6の分解斜視図であり、図5(c)はレンズ1の外周に形成されたV溝を拡大して示す部分拡大図である。このレンズ保持部及びそれに保持されるレンズは、例えば半導体露光装置の投影光学系を構成する。なお、実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
レンズ1上面側のV溝部には、レンズを反重力方向に拘束するための拘束装置7が当接される。拘束装置は同一面内3箇所に球状部が埋め込まれている。実施の形態1においては、3箇所の球状部のうち1つがレンズ1上面に設けられたV溝部に、残り2つがブロック6上に設けられたV溝部に当接しているのに対し、本実施の形態2では、レンズ側に2つ、ブロック側に1つのV溝が形成され、それぞれに球状部が係合している。
レンズ側に形成された2つのV溝は、互いに平行にならないよう、所定の角度をなすように形成されているため、本実施の形態2においても拘束装置7は運動学的に位置決めされる。レンズ1上面側に設けられた2つのV溝は、その下面対向側にあるV溝と光軸を含む面に対して、対称に位置することが望ましい。
これにより、レンズ固定のために必要な1点あたりの押圧荷重を分散することができ、レンズに生じる複屈折量を、さらに低減することが可能である。また、レンズ上面を押圧する2点間の距離が離れるとレンズ面が押圧荷重によって面外変形してしまうので、変形が無視できる程度になるように2点間の距離は最適化されている。本実施の形態では、2点間の距離が30mm以下としている。それにより、押圧荷重による面外変形が光学性能上無視できることが確認されている。
[実施の形態3]
本発明の実施の形態3に係る保持機構について、図6を用いて説明する。図6(a)は本発明の実施の形態3に係る保持機構としてのレンズ保持部の要部を拡大して示す要部拡大図であり、図6(b)はこのレンズ保持部に用いられ、レンズを把持する機能を有する十字バネ付きブロック9を上面から見た外観斜視図であり、図6(c)は図6(b)に示す十字バネ付きブロック9を底面から見た外観斜視図である。このレンズ保持部及びそれに保持されるレンズは、例えば半導体露光装置の投影光学系を構成する。なお、実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
十字バネ付きブロック9は、実施の形態1に示したブロック6のリング部材3とブロック6との固定部近傍に、断面が十字形状の弾性部材を設けたものである。具体的には、レンズ1の径方向(図6のX方向)に垂直な第1板状部とレンズ1の周方向(図6のY方向)に垂直な第2板状部とを有し、第1板状部により主にレンズの周方向への変形を可能にし、第2板状部により主にレンズの径方向への移動を可能にしている。このような十字形状の弾性部材を有することにより、リング部材3のブロック取付け部がX軸周りの回転方向に変形した際に、十字状弾性部材がねじり弾性変形することができるため、リング部材3の変形をレンズに伝達しにくい形状になっている。これにより、レンズ製造時やレンズ輸送時に光学系に与えられる外力によってレンズ性能が悪化することを防ぐことができる。
また、投影光学系を構成する光学要素の間隔が極端に狭く、実施の形態1で示したように、リング部材と保持部材とを弾性部材で締結することが困難な場合には、図7に示すように、ねじりに加えてX方向にも弾性を有する第二の弾性部材を構成することで、等価な性能が得られる。本実施の形態3は、実施の形態1を改良した例として図面を記載したが、もちろん実施の形態2に付加して適用することも可能である。
上述の実施の形態1〜3において、球状部と溝部は、球状部を保持機構側に、溝部をレンズ(光学素子)側に設けているが、勿論お互いを逆側に設けても構わない。また、上述の実施の形態1〜3では、溝部をレンズ(光学素子)に設けていたが、レンズとの位置関係が固定されたレンズ保持部材に溝部を設け、その溝部と上述の球状部とを係合させても良い。勿論その場合も溝部と球状部とはお互いに逆側に設けても構わない。さらに、レンズ1の裏面側に関しては、レンズ1に溝部を設け、レンズ1の表面側に関しては、レンズ1に球状部を設けるような構成であっても良いし、その逆の構成としても構わない。その場合、保持機構側には、レンズ1に設けられた形状に合わせて、溝部又は球状部を形成する。
[実施の形態4]
図8は、本発明に係る保持機構としてのレンズ保持部を適用した半導体露光装置Sの要部構成を示すブロック図である。図示しない光源からの露光光が照明光学系54によってレチクルステージ51上に保持されたレチクル50へと導かれる。レチクル50を通過した露光光は、フレーム56に支持された投影光学系52を通ってウエハステージ53上に保持された露光対象としてのウエハ(基板)55へと至る。このように、レチクル50上に形成された回路パターンがウエハ55上へと投影される。
この投影光学系52には、複数のレンズが用いられており、それらのレンズは本発明に係るレンズ保持部によって保持されている。もちろん、照明光学系54内のレンズにこのレンズ保持部を適用することも可能である。
[実施の形態5]
次に、図10及び図11を参照して、上述の露光装置Sを利用したデバイスの製造方法の実施の形態を説明する。図10は、デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。ここでは、半導体チップの製造を例に説明する。ステップ101(回路設計)ではデバイスの回路設計を行う。ステップ102(レチクル製作)では、設計した回路パターンを形成したレチクルを製作する。ステップ103(ウエハ製造)ではシリコンなどの材料を用いてウエハ(基板)を製造する。ステップ104(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、レチクルとウエハを用いてリソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。ステップ105(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ104によって作成されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ106(検査)では、ステップ105で作成された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テストなどの検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ107)される。
図11は、ステップ104のウエハプロセスの詳細なフローチャートである。ステップ111(酸化)ではウエハの表面を酸化させる。ステップ112(CVD)では、ウエハの表面に絶縁膜を形成する。ステップ113(電極形成)では、ウエハ上に電極を蒸着などによって形成する。ステップ114(イオン打ち込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップ115(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。ステップ116(露光)では、露光装置Sによってレチクルの回路パターンをウエハに露光する。ステップ117(現像)では、露光したウエハを現像する。ステップ118(エッチング)では、現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ119(レジスト剥離)では、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行うことによってウエハ上に多重に回路パターンが形成される。本実施の形態の製造方法によれば従来よりも高品位のデバイスを製造することができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。
以上の本実施形態によれば、レンズ等の光学素子に大きな力を加えることなく、所定の位置に確実に光学素子を位置決めすることが可能である。また接着剤などの有害なガスを発生させる材料を使用することがないため、これを半導体露光装置などの投影光学系に適用することによって、コンタミによる透過率劣化のない、安定した、収差の小さい露光性能が実現でき、解像力の高い転写を行うことができる。これにより、微細な半導体を製造することが可能になる。さらに露光装置の製造過程及びメンテナンス過程において、単レンズの交換を行う場合にも作業を短時間で行うことが可能となり、歩留りを向上させることができる。
以上、本発明を半導体露光装置の投影レンズシステムを例として説明したが、光学要素としては屈折レンズ以外にミラーに適用してもよい。また、回折を応用した光学素子など、変形や脱ガスによる光学性能劣化を問題とする光学素子に適用することが可能である。
(a)は、本発明の実施の形態1に係るレンズ保持部の外観斜視図であり、(b)はレンズを把持する機能を有するブロックの外観斜視図である。 (a)は、レンズの外観斜視図であり、(b)は、レンズの外周部に形成されたV溝を拡大して示す部分拡大図である。 図1(b)に示すブロックの分解斜視図である。 物体を鉛直方向に押圧し、摩擦力により固定する場合に、水平方向の外力に対して物体が位置ずれを起こす条件を説明する説明図であって、(a)は物体の上平面部に対して鉛直方向に荷重をかけた時の様子をモデル化したものであり、(b)は、本実施の形態のように、溝部などの斜面に荷重をかけた時の様子をモデル化したものである。 (a)は本発明の実施の形態2に係るレンズ保持部の要部を拡大して示す要部拡大図であり、(b)はこのレンズ保持部に用いられ、レンズを把持する機能を有するブロックの分解斜視図であり、(c)はレンズの外周に形成されたV溝を拡大して示す部分拡大図である。 (a)は本発明の実施の形態3に係るレンズ保持部の要部を拡大して示す要部拡大図であり、(b)はこのレンズ保持部に用いられ、レンズを把持する機能を有する十字バネ付きブロックを上面から見た外観斜視図であり、(c)は図6(b)に示す十字バネ付きブロックを底面から見た外観斜視図である。 本発明の実施の形態3に係るレンズ保持部に用いられる十字バネ付きブロックの他の例を示す外観斜視図である。 本発明の実施の形態4に係る露光装置の要部構成を示すブロック図である。 従来の半導体露光装置用の光学系の鏡筒構造を示す部分断面図である。 図8に示す露光装置によるデバイス製造方法を説明するためのフローチャートである。 図10に示すステップ104の詳細なフローチャートである。
符号の説明
S:露光装置
a,b:平面
1:石英レンズ
2:リング部材
3:保持部材
4:弾性部材
5:スペーサ
6:ブロック(裏面側ブロック)
7:拘束装置(表面側ブロック)
8:コイルバネ
9:十字バネ付きブロック
50:レチクル
51:レチクルステージ
52:投影光学系
53:ウエハステージ
54:照明光学系
55:ウエハ
56:フレーム
61,71:球状部
101,102:レンズ
103,104:金枠

Claims (9)

  1. 光学素子を保持する保持機構であって、
    前記光学素子又は該光学素子との位置関係が固定された保持部材の裏面側に設けられた裏面側レンズ係合部と係合する裏面側保持係合部を含む裏面側ブロックと、
    前記光学素子又は前記保持部材の表面側に設けられた表面側レンズ係合部と係合する表面側保持係合部を含む表面側ブロックとを有しており、
    前記裏面側レンズ係合部が少なくとも部分的に球形状をした球状部、又は溝部を有し、前記裏面側保持係合部が前記裏面側レンズ係合部の球状部と係合する溝部、又は前記裏面側レンズ係合部の溝部と係合し、少なくとも部分的に球形状をした球状部を有しており、
    前記表面側レンズ係合部が少なくとも部分的に球形状をした球状部、又は溝部を有し、前記表面側保持係合部が前記表面側レンズ係合部の球状部と係合する溝部、又は前記表面側レンズ係合部の溝部と係合し、少なくとも部分的に球形状をした球状部を有しており、
    前記裏面側ブロックと前記表面側ブロックとが連結されていることを特徴とする保持機構。
  2. 前記表面側ブロックと前記裏面側ブロックとが弾性部材によって結合され、該弾性部材によって前記表面側ブロックが前記裏面側ブロックに向けて前記光学素子を付勢し、前記光学素子の光軸方向の膨張を許容することを特徴とする請求項1に記載の保持機構。
  3. 前記裏面側ブロックが連結溝を有し、前記表面側ブロックが少なくとも部分的に球状とされ、該連結溝と係合する突起状の連結球状部を有していることを特徴とする請求項1に記載の保持機構。
  4. 前記裏面側ブロックの前記球状部及び前記表面側ブロックの前記球状部がそれぞれ1個で、かつ前記連結球状部が2個であるか、又は前記裏面側ブロックの前記球状部及び前記表面側ブロックの前記球状部がそれぞれ2個で、かつ前記連結球状部が1個であることを特徴とする請求項3に記載の保持機構。
  5. 前記連結球状部が前記連結溝に対して前記弾性部材によって付勢されていることを特徴とする請求項3に記載の保持機構。
  6. 前記裏面側ブロックの前記溝部及び前記表面側ブロックの前記溝部がV溝形状であり、該V溝を形成する2つの面のなす角が20°以上180°未満であることを特徴とする請求項1に記載の保持機構。
  7. 前記V溝を形成する2つの平面が、精密ラップ加工されていることを特徴とする請求項5に記載の保持機構。
  8. 露光光源からの露光光をレチクルに導く照明光学系と、
    該レチクルを駆動するレチクル駆動系と、
    前記レチクル上のパターンを基板上へ投影する投影光学系と、
    該基板を駆動する基板駆動系とを有する露光装置であって、前記照明光学系又は前記投影光学系のうち少なくともいずれかに請求項1から請求項7のうちいずれか1項に記載の保持機構が用いられていることを特徴とする露光装置。
  9. 請求項8に記載の露光装置によって前記基板にパターンを投影露光する工程と、
    投影露光された前記基板に所定のプロセスを行う工程とを有するデバイスの製造方法。
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