JP4927086B2 - 地中連続壁用鋼材、地中連続壁用鋼材の製造方法、地中連続壁、及び、地中連続壁を構築する方法 - Google Patents
地中連続壁用鋼材、地中連続壁用鋼材の製造方法、地中連続壁、及び、地中連続壁を構築する方法 Download PDFInfo
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Description
また、前記(1)の地中連続壁用鋼材よりも、より剛性の高い地中連続壁用鋼材として、U形鋼矢板と、H形鋼またはI形鋼あるいはT形鋼とを組み合わせた地中連続壁用鋼材も知られている(例えば特許文献3乃至6参照)。
また、矢板幅寸法を変えずに高い曲げ剛性を有するハット形鋼矢板を安価に容易に製造できない課題を有しているため、現存するまたは将来製造されるハット形鋼矢板を利用して、より剛性の高い安価な地中連続壁用鋼材が望まれる。
本発明は、前記のハット形鋼矢板2の利点を生かしながら、これにH形鋼を組み込む地中連続壁用鋼材において、ハット形鋼矢板2に対するH形鋼の長さ寸法を具体的に規定して、より安価で実用的な地中連続壁用鋼材を提供することを目的とする。すなわち、より安価で実用的な土留め壁あるいは地中連続壁を構築可能な地中連続壁用鋼材の提供を目的とする。
本発明の地中連続壁用鋼材の第1の態様は、長さ方向に対し垂直な断面がハット形のハット形鋼矢板と、長さ方向に対し垂直な断面がH形のH形鋼とを備え、前記ハット形鋼矢板は、ウェブと、該ウェブの両端部に一体に連設され、外側に向かって広がるように傾斜した一対のフランジと、前記一対のフランジの各々に一体に連設され、前記ウェブと略平行な一対のアーム部とを有し、前記H形鋼は、互いに略平行な一対のフランジ部と、該一対のフランジ部同士を間隔を設けて連結するウェブ部とを有し、前記ハット形鋼矢板の前記ウェブと前記各フランジとにより形成される溝側と反対側のウェブ外面に、前記H形鋼の前記一対のフランジ部の一方における前記ウェブ部と連結される側の面と反対側の外面が固定され、前記ハット形鋼矢板の長さ方向における寸法よりもH形鋼の長さ方向における寸法が短く、かつ前記ハット形鋼矢板の前記長さ方向における寸法内に前記H形鋼の前記長さ方向における全長が配設され、前記ハット形鋼矢板の後端よりも前記H形鋼の後端が、前記長さ方向における先端側に位置し、前記H形鋼の後端の位置は、地盤のN値と、地中連続壁用鋼材による土留め壁における設計地盤から地表面までの壁高を変化させた骨組計算解析により、前記ハット形鋼矢板の後端と前記H形鋼の後端との間の離間長さと壁高との比と、地中連続壁用鋼材の天端変位との関係を算出し、この算出結果に基づいて得られた位置である。
また、打設機により、地中連続壁用鋼材の後端部を把持する場合、ハット形鋼矢板の後端とH形鋼の後端の長さ方向における位置が一致する地中連続壁用鋼材では、打設機が把持しようとする地中連続壁用鋼材の後端には、ハット形鋼矢板とH形鋼の双方が存在してしまい、打設機による地中連続壁用鋼材の把持が著しく困難になる。これに対して、前記第1の態様では、ハット形鋼矢板の後端よりもH形鋼の後端が、長さ方向における先端側に位置するので、地中連続壁用鋼材の後端にはハット形鋼矢板のみが存在する。このため、打設機により、容易に、地中連続壁用鋼材の後端部を把持できる。例えばハット形鋼矢板の後端部のみを把持する場合、H形鋼により干渉されずに容易に把持できる。
地中連続壁を構築する際、ハット形鋼矢板とH形鋼を一体化させた地中連続壁用鋼材、及びハット形鋼矢板のみからなる地中連続壁用鋼材を横方向に交互に接続することがあり得る。ハット形鋼矢板とH形鋼を一体化させた地中連続壁用鋼材として、ハット形鋼矢板の後端とH形鋼の後端の長さ方向における位置が一致するものを用いる場合、この地中連続壁用鋼材を地中に打設するためには特殊な打設機を用いる必要がある。このため、特殊な打設機と、ハット形鋼矢板のみからなる地中連続壁用鋼材を打設するための通常使用される打設機とを交互に使用して、打設作業を行う必要が生じ、非常に、作業が煩雑になってしまう。これに対し、本発明の第1の態様であれば、H形鋼により干渉されずにハット形鋼矢板の後端部のみを把持できる。このため、ハット形鋼矢板を打設するための通常使用される打設機のみを使用して双方の打設作業を行うことができ、打設作業の簡略化を図ることができる。
この場合、地中連続壁用鋼材の第1の態様における上記効果が同様に得られる。
地中連続壁用鋼材を一側面側から土圧が作用する土留め壁用の鋼材として使用した場合に、土圧が作用して土留め壁の天端が土圧作用方向に変位しても、同じ長さのハット形鋼矢板とH形鋼矢板を全長に渡って溶接した地中連続壁用鋼材を用いた時の設計上の天端変位Yの10%増以下(すなわち、天端変位Yの110%以下)の変位に抑えることができ、十分な剛性を有すると共に、安価で軽量な地中連続壁用鋼材とすることができる。
また、後述する実験結果で記載されているように、ハット形鋼矢板の後端とH形鋼の後端との間の離間長さが、地中連続壁用鋼材による土留め壁における設計地盤から地表面までの壁高の50%を超えると、天端変位が急激に上昇することが把握される。これに対し、ハット形鋼矢板の後端とH形鋼の後端との間の離間長さが、地中連続壁用鋼材による土留め壁における設計地盤から地表面までの壁高の50%以下の場合、天端変位の上昇率は低く抑えられている。以上のように、離間長さが壁高の50%以下の場合は、離間長さが壁高の50%を超える場合と比較し、十分な剛性を有すると共に、安価で軽量である。
この場合、離間長さが壁高の50%以下であるので、地中連続壁用鋼材を一側面側から土圧が作用する土留め壁用の鋼材として使用した場合に、土圧が作用して土留め壁の天端が土圧作用方向に変位しても、同じ長さのハット形鋼矢板とH形鋼矢板を全長に渡って溶接した地中連続壁用鋼材を用いた時の設計上の天端変位Yの10%増以下(すなわち、天端変位Yの110%以下)の変位に抑えることができ、十分な剛性を有する地中連続壁用鋼材とすることができる。また、離間長さが壁高の10%以上であるので、経済的効果が大きく、安価で軽量な地中連続壁用鋼材とすることができる。
この場合、後述の実験結果から把握されるように、同じ長さのハット形鋼矢板とH形鋼矢板を全長に渡って溶接した地中連続壁用鋼材を用いた時の天端変位とほぼ同様の天端変位を維持でき、十分な剛性を有する地中連続壁用鋼材とすることができる。
この場合、後述の実験結果から把握されるように、ハット形鋼矢板の先端よりもH形鋼の先端を後端側に配置したのみの構成、及び、ハット形鋼矢板の後端よりもH形鋼の後端を先端側に配置したのみの構成と比較し、H形鋼のカット長さ(H形鋼の先端部のカット長さとH形鋼の後端部のカット長さの和)をより大きくしても、問題がない高剛性を維持できる。よって、上記2つの構成と比較し、より安価とでき、更により軽量として作業性を向上できる。
この場合、後述の実験結果から把握されるように、地中連続壁用鋼材を一側面側から土圧が作用する土留め壁用の鋼材として使用した場合に、土圧が作用して土留め壁の天端が土圧作用方向に変位しても、同じ長さのハット形鋼矢板とH形鋼矢板を全長に渡って溶接した地中連続壁用鋼材を用いた時の設計上の天端変位Yの10%増以下(すなわち、天端変位Yの110%以下)の変位に抑えることができ、十分な剛性を有すると共に、安価で軽量な地中連続壁用鋼材とすることができる。
また、後述する実験結果で記載されているように、ハット形鋼矢板の後端とH形鋼の後端との間の離間長さが、地中連続壁用鋼材による土留め壁における設計地盤から地表面までの壁高の50%を超え、かつ、ハット形鋼矢板の先端とH形鋼の先端との間の離間長さが、地中連続壁用鋼材の長さ方向における全長の30%を超えた場合、天端変位が急激に上昇することが把握される。これに対し、ハット形鋼矢板の後端とH形鋼の後端との間の離間長さが、地中連続壁用鋼材による土留め壁における設計地盤から地表面までの壁高の50%以下であり、かつ、ハット形鋼矢板の先端とH形鋼の先端との間の離間長さが、地中連続壁用鋼材の長さ方向における全長の30%以下の場合、天端変位の上昇率は低く抑えられている。以上のように、他の場合と比較し、十分な剛性を有すると共に、安価で軽量である。
この場合、ハット形鋼矢板の後端とH形鋼記後端との間の離間長さが壁高の50%以下であり、かつ、ハット形鋼矢板の先端とH形鋼の先端との間の離間長さが全長の30%以下であるので、地中連続壁用鋼材を一側面側から土圧が作用する土留め壁用の鋼材として使用した場合に、土圧が作用して土留め壁の天端が土圧作用方向に変位しても、同じ長さのハット形鋼矢板とH形鋼矢板を全長に渡って溶接した地中連続壁用鋼材を用いた時の設計上の天端変位Yの10%増以下(すなわち、天端変位Yの110%以下)の変位に抑えることができ、十分な剛性を有する地中連続壁用鋼材とすることができる。また、ハット形鋼矢板の後端とH形鋼記後端との間の離間長さが壁高の10%以上であり、かつ、ハット形鋼矢板の先端とH形鋼の先端との間の離間長さが全長の5%以上であるので、経済的効果が大きく、安価で軽量な地中連続壁用鋼材とすることができる。
通常、打設機が把持する、地中連続壁用鋼材の後端部の長さは500mm以下である。よって、打設機が把持する部分にH形鋼は存在せず、打設機により、容易に地中連続壁用鋼材の後端部(ハット形鋼矢板の後端部)を把持でき、打設作業を行うことができる。
本発明の地中連続壁用鋼材の第2の態様によれば、後述の実験結果から把握されるように、地中連続壁用鋼材を一側面側から土圧が作用する土留め壁用の鋼材として使用した場合に、土圧が作用して土留め壁の天端が土圧作用方向に変位しても、同じ長さのハット形鋼矢板とH形鋼矢板を全長に渡って溶接した地中連続壁用鋼材を用いた時の設計上の天端変位Yの10%増以下(すなわち、天端変位Yの110%以下)の変位に抑えることができ、十分な剛性を有すると共に、安価で軽量な地中連続壁用鋼材とすることができる。
また、後述する実験結果で記載されているように、ハット形鋼矢板の先端とH形鋼の先端との間の離間長さが、地中連続壁用鋼材の長さ方向における全長の35%を超えると、天端変位が急激に上昇することが把握される。これに対し、ハット形鋼矢板の先端とH形鋼の先端との間の離間長さが、地中連続壁用鋼材の長さ方向における全長の35%以下の場合、天端変位の上昇率は低く抑えられている。以上のように、離間長さが全長の35%以下の場合は、離間長さが全長の35%を超える場合と比較し、十分な剛性を有すると共に、安価で軽量である。
この場合、経済的効果が大きく、安価で軽量な地中連続壁用鋼材とすることができる。
この場合、後述の実験結果から把握されるように、同じ長さのハット形鋼矢板とH形鋼矢板を全長に渡って溶接した地中連続壁用鋼材を用いた時の天端変位とほぼ同様の天端変位を維持でき、十分な剛性を有する地中連続壁用鋼材とすることができる。
本発明の地中連続壁用鋼材の製造方法の第1の態様によれば、安価で軽量な本発明の地中連続壁用鋼材の第1の態様を製造できる。
本発明の地中連続壁用鋼材の製造方法の第2の態様によれば、十分な剛性を有すると共に、安価で軽量な本発明の地中連続壁用鋼材の第2の態様を製造できる。
本発明の地中連続壁を構築する方法は、本発明の地中連続壁用鋼材を複数使用して構築する。
まず、図1A〜図1D、および図2を参照して本発明において使用される地中連続壁用鋼材1の基本形態について説明する。
この実施形態では、前記の壁高Hと、ハット形鋼矢板2の長さ寸法L1と、H形鋼6の長さ寸法L2との関係は、H×0.50≧(L1−L2)を満足する。前記の(L1−L2)が、地中連続壁用鋼材1における後端側のハット形鋼矢板2のみで構成される断面を有する部分の長さAである。
この実施形態では、ハット形鋼矢板2の長さ寸法L1と、H形鋼6の長さ寸法L2との関係は、L1×0.35≧(L1−L2)を満足するようにされている。前記の(L1−L2)が、地中連続壁用鋼材1における先端側のハット形鋼矢板2のみで構成される断面を有する部分の長さBである。
この実施形態では、ハット形鋼矢板2の長さ寸法(地中連続壁用鋼材1の全長)L1と、H形鋼6の長さ寸法L2と、地中連続壁用鋼材1における後端側のハット形鋼矢板2のみで構成される断面を有する部分の長さAと、地中連続壁用鋼材1における先端側のハット形鋼矢板2のみで構成される断面を有する部分の長さBとの関係は、A+B=L1−L2を満足させ、かつA≦H×0.50を満足させ、さらにB≦L1×0.30を満足するようにされている。
(1)壁高Hは、設計地盤面(地盤を掘削したときの底面)10から地盤表面9までの高さ寸法
(2)ELは、仮想地盤面(図5において、地中連続壁用鋼材1に対する、地中連続壁用鋼材1の右側の地盤からの土圧と地中連続壁用鋼材1の左側の地盤からの土圧が同一となる高さにおける地盤面)11から設計地盤面10までの高さ寸法
(3)根入れ長Lは、仮想地盤面11からハット形鋼矢板2先端19までの高さ寸法
ハット形鋼矢板とH形鋼矢板の長さが同じであり全長に渡って溶接された地中連続壁用鋼材(全長にわたって図2に示す断面を有する従来の地中連続壁用鋼材)を用いた場合の天端変位の最大値は0.05m[50mm]とされている。このため、通常使用される従来の地中連続壁用鋼材は、設計上の天端変位Yが最大で40mm〜45mmとなる性能を有するように製造されている。よって、従来の地中連続壁用鋼材の設計上の天端変位Y(45mm)に対して10%増以下の天端変位が生じる範囲内で地中連続壁用鋼材を設計すれば、天端変位を50mm以下に抑えられる。このため、地中連続壁用鋼材の設計が容易になると共に、これを使用した土留め壁8としても実用上特に支障がない。そこで本発明では、天端変位を、従来の地中連続壁用鋼材の設計上の天端変位Y[m]の最大10%増以下に設定した。
また、ハット形鋼矢板2の後端18とH形鋼6の後端20との間の離間長さ(A)が、地中連続壁用鋼材1による土留め壁8における設計地盤10から地表面9までの壁高Hの50%を超えると、天端変位が急激に上昇することが把握される。これに対し、ハット形鋼矢板2の後端18とH形鋼6の後端20との間の離間長さ(A)が、地中連続壁用鋼材1による土留め壁8における設計地盤10から地表面9までの壁高Hの50%以下の場合、天端変位の上昇率は低く抑えられている。以上のように、離間長さ(A)が壁高Hの50%以下の場合は、離間長さ(A)が壁高Hの50%を超える場合と比較し、十分な剛性を有すると共に、安価で軽量である。
さらに、図6に示されたように、壁高Hの30%以下にH形鋼6の後端20側をカットした場合、同じ長さのハット形鋼矢板とH形鋼を全長に渡って溶接した地中連続壁用鋼材を用いた時の天端変位とほぼ同じ天端変位を維持でき、十分な剛性を有する地中連続壁用鋼材とすることができる。
なお、前記の図6および後記する図7〜図9のグラフでは、地盤のN値が10で壁高Hが5.5mの場合を黒丸で示し、N値が20で壁高Hが5.5mの場合を白丸で示し、N値が5で壁高Hが5.5mの場合を白四角で示し、N値が10で壁高Hが6.0mの場合を黒四角で示している。
ここで、N値とは、標準貫入試験により求めた地盤の硬軟や締り具合を示す値であり、所定質量の重りを所定高さから自由落下させ、サンプラーを地盤内に所定深さ貫入させるために要する打撃回数のことである。
N値が大きくなると天端変位が小さくなり、壁高Hが高くなると天端変位が大きくなることが予想されるが、これらのグラフからも同様なことがわかる。
また、ハット形鋼矢板2の先端19とH形鋼6の先端21との間の離間長さ(B)が、地中連続壁用鋼材1の長さ方向における全長の35%を超えると、天端変位が急激に上昇することが把握される。これに対し、ハット形鋼矢板2の先端19とH形鋼6の先端21との間の離間長さ(B)が、地中連続壁用鋼材1の長さ方向における全長の35%以下の場合、天端変位の上昇率は低く抑えられている。以上のように、離間長さが全長の35%以下の場合は、離間長さが全長の35%を超える場合と比較し、十分な剛性を有すると共に、安価で軽量である。
したがって、ハット形鋼矢板2の全長の0%を超え35%以下までH形鋼6をカットすることが可能である。また、ハット形鋼矢板2の全長の20%以下では、天端変位の増加割合にほとんど変化がなく、ハット形鋼矢板2とH形鋼6とが同じ長さ寸法とした地中連続壁用鋼材と同等の部材であることがわかる。
その他の構成は前記実施形態の場合と同様である。
また、図8,9に示されたように、ハット形鋼矢板2の後端18とH形鋼6の後端20との間の離間長さ(A)が、地中連続壁用鋼材1による土留め壁8における設計地盤10から地表面9までの壁高Hの50%を超え、かつ、ハット形鋼矢板2の先端19とH形鋼6の先端21との間の離間長さ(B)が、地中連続壁用鋼材1の長さ方向における全長の30%を超えた場合、天端変位が急激に上昇することが把握される。これに対し、ハット形鋼矢板2の後端18とH形鋼6の後端20との間の離間長さ(A)が、地中連続壁用鋼材1による土留め壁8における設計地盤10から地表面9までの壁高Hの50%以下であり、かつ、ハット形鋼矢板2の先端19とH形鋼6の先端21との間の離間長さ(B)が、地中連続壁用鋼材1の長さ方向における全長の30%以下の場合、天端変位の上昇率は低く抑えられている。以上のように、この場合、他の場合と比較し、十分な剛性を有すると共に、安価で軽量である。
また、通常、打設機が把持する地中連続壁用鋼材1の後端部の長さは500mm以下である。よって、ハット形鋼矢板2の後端18からH形鋼6の後端20を離間させる場合、ハット形鋼矢板2の後端18とH形鋼6の後端20との間の離間長さ(A)は、500mm以上であることが望ましい。
まず前述した本発明の地中連続壁用鋼材1を構成するハット形鋼矢板2とH形鋼6を用意する。ハット形鋼矢板2とH形鋼6の形状および寸法は、前述した実施形態の通りである。本発明においては、部材全体を熱間圧延加工により製造したハット形鋼矢板2を使用してもよく、継手部を熱間圧延加工により製作し、アーム部3,4に溶接により固定するようなハット形鋼矢板2を使用してもよい。
図3Aに示されたように、H形鋼6における一方のフランジ部6aを、ハット形鋼矢板2におけるウェブ7とフランジ5とにより形成される溝Dと反対側に配置し、H形鋼6における一方のフランジ部6aを、ハット形鋼矢板2のウェブ7外面71に当接する。ここで、ハット形鋼矢板2の後端18とH形鋼6の後端20との間の離間長さ(A)およびハット形鋼矢板2の先端19とH形鋼6の先端21との間の離間長さ(B)は、前述した実施形態の地中連続壁用鋼材1となるように適宜調整される。
このように、ハット形鋼矢板2とH形鋼6が当接された状態で、図3Bに示されたように、H形鋼6のフランジ部6aの両側部を、全長に渡って溶接Wにより、ハット形鋼矢板2におけるウェブ7外面71(外側面)側に固定する。
図4に示されたように、本発明の地中連続壁用鋼材1の先端部を地盤表面9に向けて地中連続壁用鋼材1を直立した状態で、打設機15のクランプ(把持部)16により地中連続壁用鋼材1の後端部を把持する。なお、図4では、クランプ16によりハット形鋼矢板2の一対のフランジ7をそれぞれ把持した場合を示しているが、ウェブ5のみ、またはウェブ5とフランジ7を把持しても構わない。
そして、地中連続壁用鋼材1の先端部側を先頭にして、加振装置17により地中連続壁用鋼材1を地中方向Sに所定の深さまで打設する。
次に別の地中連続壁用鋼材1を用意し、この地中連続壁用鋼材1の継手14aと、既に打設済みの地中連続壁用鋼材1の継手14bとを嵌合させた状態で、別の地中連続壁用鋼材1を打設する位置に配置する。そして、前述したようにクランプ16によりハット形鋼矢板2の一対のフランジ7をそれぞれ把持し、加振装置17により地中方向Sに所定の深さまで打設する。
以上の操作を繰り返し、複数の地中連続壁用鋼材1を地盤表面9に打設し、本発明の地中連続壁を構築する。
なお、形成する地中連続壁となるように、予め複数の地中連続壁用鋼材1を地盤表面9上に配置し、隣接する地中連続壁用鋼材1のそれぞれの継手14a,14bを嵌合させ、この状態で地中連続壁用鋼材1を順次、打設機15によって打設しても構わない。
また本発明の地中連続壁用鋼材1と共に、他の地中連続壁用鋼材を用いても構わない。例えば地中連続壁用鋼材1と、ハット形鋼矢板のみからなる地中連続壁用鋼材とを横方向に交互に接続して地中連続壁を構築してもよい。
Claims (19)
- 長さ方向に対し垂直な断面がハット形のハット形鋼矢板(2)と、長さ方向に対し垂直な断面がH形のH形鋼(6)とを備え、
前記ハット形鋼矢板(2)は、ウェブ(7)と、該ウェブ(7)の両端部に一体に連設され、外側に向かって広がるように傾斜した一対のフランジ(5)と、前記一対のフランジ(5)の各々に一体に連設され、前記ウェブ(7)と略平行な一対のアーム部(3、4)とを有し、
前記H形鋼(6)は、互いに略平行な一対のフランジ部(6a、6b)と、該一対のフランジ部(6a、6b)同士を間隔を設けて連結するウェブ部(6c)とを有し、
前記ハット形鋼矢板(2)の前記ウェブ(7)と前記各フランジ(5)とにより形成される溝(D)側と反対側のウェブ(7)外面(71)に、前記H形鋼(6)の前記一対のフランジ部(6a、6b)の一方(6a)における前記ウェブ部(6c)と連結される側の面と反対側の外面(6a1)が固定され、
前記ハット形鋼矢板(2)の長さ方向における寸法(L1)よりもH形鋼(6)の長さ方向における寸法(L2)が短く、かつ前記ハット形鋼矢板(2)の前記長さ方向における寸法(L1)内に前記H形鋼(6)の前記長さ方向における全長が配設され、
前記ハット形鋼矢板(2)の後端(18)よりも前記H形鋼(6)の後端(20)が、前記長さ方向における先端側に位置し、
前記H形鋼(6)の前記後端(20)の位置は、地盤のN値と、地中連続壁用鋼材(1)による土留め壁(8)における設計地盤(10)から地表面(9)までの壁高(H)を変化させた骨組計算解析により、前記ハット形鋼矢板(2)の前記後端(18)と前記H形鋼(6)の前記後端(20)との間の離間長さ(A)と前記壁高(H)との比と、地中連続壁用鋼材(1)の天端変位との関係を算出し、この算出結果に基づいて得られた位置であることを特徴とする地中連続壁用鋼材(1)。 - 前記ハット形鋼矢板(2)の先端(19)と前記H形鋼(6)の先端(21)の、前記長さ方向における位置が一致している請求項1に記載の地中連続壁用鋼材(1)。
- 前記ハット形鋼矢板(2)の前記後端(18)と前記H形鋼(6)の前記後端(20)との間の離間長さ(A)は、地中連続壁用鋼材(1)による土留め壁(8)における設計地盤(10)から地表面(9)までの壁高(H)の50%以下である請求項2に記載の地中連続壁用鋼材(1)。
- 前記ハット形鋼矢板(2)の前記後端(18)と前記H形鋼(6)の前記後端(20)との間の離間長さ(A)は、地中連続壁用鋼材(1)による土留め壁(8)における設計地盤(10)から地表面(9)までの壁高(H)の10%以上50%以下である請求項2に記載の地中連続壁用鋼材(1)。
- 前記ハット形鋼矢板(2)の前記後端(18)と前記H形鋼(6)の前記後端(20)との間の離間長さ(A)は、地中連続壁用鋼材(1)による土留め壁(8)における設計地盤(10)から地表面(9)までの壁高(H)の30%以下である請求項2に記載の地中連続壁用鋼材(1)。
- 前記ハット形鋼矢板(2)の先端(19)よりも前記H形鋼(6)の先端(21)が、前記長さ方向における後端側に位置する請求項1に記載の地中連続壁用鋼材(1)。
- 前記ハット形鋼矢板(2)の前記後端(18)と前記H形鋼(6)の前記後端(20)との間の離間長さ(A)は、前記地中連続壁用鋼材(1)による土留め壁(8)における設計地盤(10)から地表面(9)までの壁高(H)の50%以下であり、かつ前記ハット形鋼矢板(2)の前記先端(19)と前記H形鋼(6)の前記先端(21)との間の離間長さ(B)は、前記地中連続壁用鋼材(1)の長さ方向における全長の30%以下である請求項6に記載の地中連続壁用鋼材(1)。
- 前記ハット形鋼矢板(2)の前記後端(18)と前記H形鋼(6)の前記後端(20)との間の離間長さ(A)は、前記地中連続壁用鋼材(1)による土留め壁(8)における設計地盤(10)から地表面(9)までの壁高(H)の10%以上50%以下であり、かつ前記ハット形鋼矢板(2)の前記先端(19)と前記H形鋼(6)の前記先端(21)との間の離間長さ(B)は、前記地中連続壁用鋼材(1)の長さ方向における全長の5%以上30%以下である請求項6に記載の地中連続壁用鋼材(1)。
- 前記ハット形鋼矢板(2)の前記後端(18)と前記H形鋼(6)の前記後端(20)との間の離間長さ(A)は、500mm以上である請求項1に記載の地中連続壁用鋼材(1)。
- 長さ方向に対し垂直な断面がハット形のハット形鋼矢板(2)と、長さ方向に対し垂直な断面がH形のH形鋼(6)とを備え、
前記ハット形鋼矢板(2)は、ウェブ(7)と、該ウェブ(7)の両端部に一体に連設され、外側に向かって広がるように傾斜した一対のフランジ(5)と、前記一対のフランジ(5)の各々に一体に連設され、前記ウェブ(7)と略平行な一対のアーム部(3、4)とを有し、
前記H形鋼(6)は、互いに略平行な一対のフランジ部(6a、6b)と、該一対のフランジ部(6a、6b)同士を間隔を設けて連結するウェブ部(6c)とを有し、
前記ハット形鋼矢板(2)の前記ウェブ(7)と前記各フランジ(5)とにより形成される溝(D)側と反対側のウェブ(7)外面(71)に、前記H形鋼(6)の前記一対のフランジ部(6a、6b)の一方(6a)における前記ウェブ部(6c)と連結される側の面と反対側の外面(6a1)が固定され、
前記ハット形鋼矢板(2)の長さ方向における寸法(L1)よりもH形鋼(6)の長さ方向における寸法(L2)が短く、かつ前記ハット形鋼矢板(2)の前記長さ方向における寸法(L1)内に前記H形鋼(6)の前記長さ方向における全長が配設され、
前記ハット形鋼矢板(2)の後端(18)と前記H形鋼(6)の後端(20)の、前記長さ方向における位置が一致し、
前記ハット形鋼矢板(2)の先端(19)よりも前記H形鋼(6)の先端(21)が、前記長さ方向における後端側に位置し、
前記ハット形鋼矢板(2)の前記先端(19)と前記H形鋼(6)の前記先端(21)との間の離間長さ(B)は、前記地中連続壁用鋼材(1)の長さ方向における全長の35%以下であり、
前記離間長さ(B)は、地盤のN値と、地中連続壁用鋼材(1)による土留め壁(8)における設計地盤(10)から地表面(9)までの壁高(H)を変化させた骨組計算解析により、前記ハット形鋼矢板(2)の前記先端(19)と前記H形鋼(6)の前記先端(21)との間の離間長さ(B)と前記ハット形鋼矢板(2)全長との比と、地中連続壁用鋼材(1)の天端変位との関係を算出し、この算出結果に基づいて得られたものであることを特徴とする地中連続壁用鋼材(1)。 - 前記ハット形鋼矢板(2)の前記先端(19)と前記H形鋼(6)の前記先端(21)との間の離間長さ(B)は、前記地中連続壁用鋼材(1)の長さ方向における全長の5%以上である請求項10に記載の地中連続壁用鋼材(1)。
- 前記ハット形鋼矢板(2)の前記先端(19)と前記H形鋼(6)の前記先端(21)との間の離間長さ(B)は、前記地中連続壁用鋼材(1)の長さ方向における全長の20%以下である請求項10に記載の地中連続壁用鋼材(1)。
- 長さ方向に対し垂直な断面がハット形のハット形鋼矢板(2)と、長さ方向に対し垂直な断面がH形のH形鋼(6)とを用意し、前記ハット形鋼矢板(2)は、ウェブ(7)と、該ウェブ(7)の両端部に一体に連設され、外側に向かって広がるように傾斜した一対のフランジ(5)と、前記一対のフランジ(5)の各々に一体に連設され、前記ウェブ(7)と略平行な一対のアーム部(3、4)とを有し、前記H形鋼(6)は、互いに略平行な一対のフランジ部(6a、6b)と、該一対のフランジ部(6a、6b)同士を間隔を設けて連結するウェブ部(6c)とを有し、前記H形鋼(6)の長さ方向における寸法(L2)が前記ハット形鋼矢板(2)の長さ方向における寸法(L1)より短く、
前記ハット形鋼矢板(2)の前記長さ方向における寸法(L1)内に前記H形鋼(6)の前記長さ方向における全長を配設し、かつ前記ハット形鋼矢板(2)の後端(18)よりも前記H形鋼(6)の後端(20)を、前記長さ方向における先端側であって、地盤のN値と、地中連続壁用鋼材(1)による土留め壁(8)における設計地盤(10)から地表面(9)までの壁高(H)を変化させた骨組計算解析により、前記ハット形鋼矢板(2)の前記後端(18)と前記H形鋼(6)の前記後端(20)との間の離間長さ(A)と前記壁高(H)との比と、地中連続壁用鋼材(1)の天端変位との関係を算出し、この算出結果に基づいて得られた位置に配置した状態で、前記ハット形鋼矢板(2)の前記ウェブ(7)と前記各フランジ(5)とにより形成される溝(D)側と反対側のウェブ(7)外面(71)に、前記H形鋼(6)の前記一対のフランジ部(6a、6b)の一方(6a)における前記ウェブ部(6c)と連結される側の面と反対側の外面(6a1)を当接させ、
互いに当接されている前記ハット形鋼矢板(2)の前記ウェブ(7)及び前記H形鋼の前記フランジ部(6a)を、溶接により互いに固定することを特徴とする地中連続壁用鋼材(1)の製造方法。 - 前記ハット形鋼矢板(2)の先端(19)と前記H形鋼(6)の先端(21)の、前記長さ方向における位置を一致させるように配置する請求項13に記載の地中連続壁用鋼材(1)の製造方法。
- 前記ハット形鋼矢板(2)の先端(19)よりも前記H形鋼(6)の先端(21)を、前記長さ方向における後端側に位置させるように配置する請求項13に記載の地中連続壁用鋼材(1)の製造方法。
- 長さ方向に対し垂直な断面がハット形のハット形鋼矢板(2)と、長さ方向に対し垂直な断面がH形のH形鋼(6)とを用意し、前記ハット形鋼矢板(2)は、ウェブ(7)と、該ウェブ(7)の両端部に一体に連設され、外側に向かって広がるように傾斜した一対のフランジ(5)と、前記一対のフランジ(5)の各々に一体に連設され、前記ウェブ(7)と略平行な一対のアーム部(3、4)とを有し、前記H形鋼(6)は、互いに略平行な一対のフランジ部(6a、6b)と、該一対のフランジ部(6a、6b)同士を間隔を設けて連結するウェブ部(6c)とを有し、前記H形鋼(6)の長さ方向における寸法(L2)が前記ハット形鋼矢板(2)の長さ方向における寸法(L1)より地中連続壁用鋼材(1)の長さ方向における全長の35%以下の長さ分だけ短く、
前記ハット形鋼矢板(2)の前記長さ方向における寸法(L1)内に前記H形鋼(6)の前記長さ方向における全長を配設し、かつ前記ハット形鋼矢板(2)の後端(18)と前記H形鋼(6)の後端(20)の、前記長さ方向における位置を一致させ、前記ハット形鋼矢板(2)の先端(19)よりも前記H形鋼(6)の先端(21)を、前記長さ方向における後端側であって、地盤のN値と、地中連続壁用鋼材(1)による土留め壁(8)における設計地盤(10)から地表面(9)までの壁高(H)を変化させた骨組計算解析により、前記ハット形鋼矢板(2)の前記先端(19)と前記H形鋼(6)の前記先端(21)との間の離間長さ(B)と前記ハット形鋼矢板(2)全長との比と、地中連続壁用鋼材(1)の天端変位との関係を算出し、この算出結果に基づいて得られた位置に配置した状態で、前記ハット形鋼矢板(2)の前記ウェブ(7)と前記各フランジ(5)とにより形成される溝(D)側と反対側のウェブ(7)外面(71)に、前記H形鋼(6)の前記一対のフランジ部(6a、6b)の一方(6a)における前記ウェブ部(6c)と連結される側の面と反対側の外面(6a1)を当接させ、
互いに当接されている前記ハット形鋼矢板(2)の前記ウェブ(7)及び前記H形鋼(6)の前記フランジ部(6a)を、溶接により互いに固定することを特徴とする地中連続壁用鋼材(1)の製造方法。 - 前記H形鋼(6)の前記長さ方向における寸法(L2)は、前記ハット形鋼矢板(2)の前記長さ方向における寸法(L1)より、前記地中連続壁用鋼材(1)の長さ方向における全長の20%以下の長さ分だけ短い請求項16に記載の地中連続壁用鋼材(1)の製造方法。
- 請求項1〜12の何れか1つに記載の地中連続壁用鋼材(1)を複数使用して構築された地中連続壁。
- 請求項1〜12の何れか1つに記載の地中連続壁用鋼材(1)を複数使用して、地中連続壁を構築する方法。
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