JP4899522B2 - 播種重合用種子粒子ラテックスを用いたペースト塩化ビニル系樹脂の製造方法 - Google Patents

播種重合用種子粒子ラテックスを用いたペースト塩化ビニル系樹脂の製造方法 Download PDF

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本発明は、ペースト塩化ビニル系樹脂の製造方法に使用する種子粒子ラテックスおよびそのラテックスを使用するペースト塩化ビニル系樹脂の製造方法に関するものであり、さらに詳しくは塩化ビニル系単量体を界面活性剤、種子粒子の存在下、水性媒体中に分散し播種重合を行う際に発生するスケール量が少ない優れたペースト塩化ビニル系樹脂を得るための塩化ビニル系重合体種子粒子ラテックスおよびそれを用いたペースト塩化ビニル系樹脂の製造方法に関するものである。
ペースト塩化ビニル系樹脂は、一般に乳化重合、微細懸濁重合、シード乳化重合、シード微細懸濁重合等の播種重合等で0.05〜10μm程度の塩化ビニル系重合体ラテックスが生産されている。そして、塩化ビニル系重合体ラテックスから未反応の塩化ビニル系単量体を回収した後、該ラテックスを噴霧乾燥機等により乾燥することによりペースト加工用塩化ビニル系重合体が生産されている。塩化ビニル系重合体の重合反応においては、発熱量が重合反応の進行に伴って変化する。通常、反応が進行するに従って発熱量が増大し、反応の末期には発熱量が最大となる。従って、重合缶の除熱能力を大きくするために攪拌速度を早くする方法があるが、上記塩化ビニル系重合体ラテックスは非常に不安定であるため、攪拌シェア等が大きくなると重合中に重合体粒子が凝集し、スケール量の増加、ラテックス安定性の低下等、生産性や品質の悪化等が引き起こされる。また、攪拌操作が弱過ぎると反応器内の不均一化により反応異常等の問題が発生する。このように、ペースト加工用塩化ビニル系重合体の重合反応操作は条件設定が非常に難しく、通常、スケール量増加、ラテックス安定性低下による生産性、品質悪化をある程度見込んだ上で、重合反応操作が行われている。さらに、ペースト加工用塩化ビニル系重合体の生産では、そのラテックス安定性の低さにより重合反応条件の設定が難しいため、広く懸濁重合で生産されている汎用塩化ビニル系重合体に比べ、重合缶容量を大きくすることが難しいという問題があった。これら乳化重合、播種乳化重合、微細懸濁重合、播種微細懸濁重合等における反応中のスケール量増加、ラテックス安定性低下の問題を改良する手法としては種々の提案がなされている。
例えば、還流期間と脱ガス期間の攪拌機先端速度を一定速度以下とすることで重合時間を遅延させずにスケール量を低下させる方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、重合転化率毎に適した攪拌所要動力で攪拌することでスケール量が少なく、ラテックス安定性の良いラテックスが得られる方法が提案されている(特許文献2参照)。
さらに、攪拌操作以外の手法についても提案されており、その一つとして塩化ビニル単量体の仕込み方法の改良が提案されている。例えば、重合反応前に塩化ビニル系単量体の全仕込量の5〜25%を仕込み、重合反応温度到達後に残りの75〜95%を重合缶の下部から供給することで塩化ビニル系単量体の重合缶内の分散性を改善し、コンデンサーによる除熱を高率的に行い、スケールの発生が少ない重合方法が提案されている(特許文献3参照)。
特開昭63−27512号公報 特開平10−265511号公報 特開平3−220210号公報 しかしながら、特開昭63−27512号公報で提案された方法では、反応器へ還流式熱交換器を設置する必要がある点、反応器内の温度分布抑制という点で十分でなく、また、特開平10−265511号公報で提案された方法では、攪拌機の攪拌回転数可変装置を設置する必要があり、また重合缶容量を大きくする場合にラテックス安定性等の点で未だ十分ではない等の問題を有していた。さらに、特開平3−220210号公報で提案された方法では、塩化ビニル系単量体の重合缶内の分散性と除熱に関して効果がみられるものの、単に塩化ビニル系単量体を分割仕込みする際の分散性のみに着目しているため、重合反応温度到達後に供給する塩化ビニル系単量体量が増加するとラテックスの安定性が悪化する等重合反応制御の点で十分でない。
これら乳化重合、微細懸濁重合、播種重合等における反応の中で播種重合法は予め塩化ビニル系単量体を界面活性剤の存在下、水性媒体中に分散して、乳化重合、微細懸濁重合等で予備重合した種子粒子ラテックスを塩化ビニル系単量体と水性媒体中に分散して、重合体の粒子の成長に見合う量の界面活性剤を追加しながら種子粒子を肥大化させる2段階の反応を行うため反応中の塩化ビニル系重合体ラテックスはより不安定な重合反応となっている。
このように、播種重合法を行うに際し塩化ビニル系重合体ラテックスの反応中のスケール量が少なく、ラテックス安定性を損なうことがない播種重合用種子粒子ラテックス、及びそれを用いたペースト塩化ビニル系樹脂の製造方法が望まれていた。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、播種重合法を行うに際し特定の粒子径の種子粒子で、特定の塩化ビニル単量体濃度の播種重合用種子粒子ラテックスをペースト塩化ビニル播種重合法に用いることにより、スケール量が少なく、ラテックスの安定性を低下させることなくペースト塩化ビニル系重合体ラテックスの反応を行うことが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、平均粒子径が0.3〜0.7μmの播種重合用種子粒子であり、かつ、塩化ビニル単量体の残存含有濃度が25000ppm未満であることを特徴とする播種重合用種子粒子ラテックス、および当該ラテックスを用いることを特徴とするペースト塩化ビニル系樹脂の製造方法である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の播種重合用種子粒子ラテックス(以下、シードラテックスと記す。)は、平均粒子径が0.3〜0.7μmの播種重合用種子粒子であり、かつ、塩化ビニル単量体の残存含有濃度が25000ppm未満である。
播種重合用種子粒子の平均粒子径の範囲としては、0.3〜0.7μmであり、特に好ましくは0.55〜0.65μmである。
一方、塩化ビニル単量体の残存含有濃度としては25000ppm未満であり、好ましくは22000ppm未満、さらに好ましくは20000ppm未満である。
本発明のシードラテックスの平均粒子径が0.3μm未満である場合、または0.7μmを超える場合、塩化ビニル単量体の残存含有濃度が25000ppmを超える場合には、シードラテックスを用いた塩化ビニル系重合体ラテックスの安定性が低下する等の問題が生じるおそれがある。
本発明のシードラテックスは、重合をより安定に行うために、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、スルホコハク酸塩の中から選ばれる少なくとも1種のアニオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤を含むことが好ましい。ここに、アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム等を挙げることができ、アルキル硫酸エステル塩としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム等を挙げることができ、スルホコハク酸塩としては、例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム等を挙げることができる。また、ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンラウリルエステル等を挙げることができる。当該界面活性剤の量は、シードラテックスを用いた塩化ビニル系重合体ラテックスの安定性を向上させるために、塩化ビニル系単量体に対し0.6重量%以上が好ましく、0.7〜5.0重量%がより好ましく、0.8〜4.0重量%がさらに好ましい。
本発明のシードラテックスは、微細懸濁重合で合成する場合には、油溶性開始剤を含むことが好ましい。油溶性開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド等の芳香族ジアシルパーオキサイド;カプロイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の脂肪族ジアシルパーオキサイド;アゾビスイソブチロニトロリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ化合物;t−ブチルパーオキシピバレート等の有機酸のパーオキシジエステル;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジオクチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド等を挙げることができる。当該油溶性開始剤の量は、シードラテックスを用いた塩化ビニル系重合体ラテックスの反応を向上させ、かつその反応を制御しやすくするために、播種重合用種子粒子100重量%に対し0.8〜5.0重量%が好ましく、1.0〜4.0重量%がより好ましく、1.5〜3.8重量%であることがさらに好ましい。
本発明のシードラテックスは、界面活性剤の存在下、塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体を主体とする単量体混合物(以下、塩化ビニル系単量体と記す。)を水性媒体中で乳化重合、微細懸濁重合等により重合した播種重合用種子粒子を含むラテックスの塩化ビニル系単量体を低減化することにより得られる。
ここでいう塩化ビニル系単量体とは、塩化ビニル単量体単独又は塩化ビニル単量体とこれと共重合可能なビニル単量体との混合物であり、塩化ビニル単量体と共重合し得るビニル単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸又はその無水物;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル類;マレイン酸エステル、フマル酸エステル、桂皮酸エステル等の不飽和カルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルアミルエーテル、ビニルフェニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等のモノオレフィン類;塩化ビニリデン、スチレン及びその誘導体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を挙げることができ、これらビニル単量体は1種以上で用いることが可能である。
重合に使用する界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤が挙げられる。ここで、アニオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩;ラウリン酸ナトリウム、半硬化牛脂脂肪酸カリウム等の脂肪酸塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテルサルフェートナトリウム塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルサルフェートナトリウム塩等のエトキシサルフェート塩;アルカンスルホン酸塩;アルキルエーテル燐酸エステルナトリウム塩等を挙げることができる。また、ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンラウリルエステル等を挙げることができる。これら界面活性剤の中から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を使用することが好ましい。特に、より安定な重合が可能であることから、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、又は、スルホコハク酸塩が好ましく、これらは単独又は2種類以上の組合せで用いることも可能である。
界面活性剤の添加量としては、シードラテックスを用いた塩化ビニル系重合体ラテックスの安定性を向上させるために、塩化ビニル系単量体に対し0.6重量%以上が好ましく、0.7〜5.0重量%がより好ましく、0.8〜4.0重量%がさらに好ましい。界面活性剤は重合前、重合中、重合後のいずれの時期に添加しても良い。
重合開始剤としては、油溶性開始剤等を挙げることができる。油溶性開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド等の芳香族ジアシルパーオキサイド;カプロイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の脂肪族ジアシルパーオキサイド;アゾビスイソブチロニトロリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ化合物;t−ブチルパーオキシピバレート等の有機酸のパーオキシジエステル;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジオクチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド等を挙げることができる。これらは単独又は2種類以上を組み合わせて用いることが可能である。
重合開始剤の添加量としては、シードラテックスを用いた塩化ビニル系重合体ラテックスの反応を維持し、かつ反応を制御しやすくするために、播種重合用種子粒子100重量%に対し0.8〜5.0重量%が好ましく、1.0〜4.0重量%がより好ましく、1.5〜3.8重量%であることがさらに好ましい。
水性媒体とは、水単独又は水を主成分とする媒体であり、例えば、水、脱イオン水、蒸留水等を挙げることができる。
シードラテックスを重合する反応では、塩化ビニル系単量体の重合転嫁率が所定の重合転化率に到達した時点で重合反応を終了させるために、得られるシードラテックス中には未反応の塩化ビニル系単量体が残存しており、通常、大気圧まで未反応の塩化ビニル系単量体を回収した後、播種重合用シードラテックスとして使用されている。しかし、予備重合したシードラテックスは次に塩化ビニル系単量体と水性媒体中で、種子粒子を肥大化させる2段階目の反応を行うため、シードラテックスの取扱い上の目的以上に塩化ビニル系単量体の低減化は行われることはなく30000〜400000ppmの塩化ビニル系単量体を含んでいる。
本発明のシードラテックスを得るための塩化ビニル系単量体の低減方法は特に制限はないが、シードラテックスの重合反応への影響がなく、平均粒子径変化が抑制できることから、窒素パージを行う方法又はシードラテックスの重合反応後に減圧下で所定時間吸引する方法が好ましい。
本発明のシードラテックスを用いてペースト塩化ビニル系樹脂を製造する方法としては、本発明のシードラテックスを、界面活性剤の存在下、塩化ビニル系単量体とを水性媒体中でシード乳化重合、シード微細懸濁重合等の播種重合法等で重合することが好ましく、特にシード微細懸濁重合で重合することが好ましい。この際、いずれの重合方法においても30〜80℃の温度範囲で重合することが好ましい。
ペースト塩化ビニル系樹脂の重合において用いられる界面活性剤は、前記に挙げた界面活性剤を単独又は2種類以上の組み合わせで用いることが可能である。
界面活性剤の添加量としては、塩化ビニル系単量体に対し0.4重量%以上、好ましくは0.6〜4.0重量%、さらに好ましくは0.7〜3.5重量%を重合前、重合中、重合後に添加することが好ましい。
また、塩化ビニル系単量体の重合反応を行う重合缶としては、通常用いられているジャケット付重合缶以外に、還流凝縮器付重合缶、外部循環熱交換器付重合缶等、重合反応の発熱量制御により必要に応じて使用が可能である。重合缶の攪拌方式やバッフル等も特に制限はなく、例えば、アンカー翼、ループ翼、マックスブレンド翼、フルゾーン翼、パイプバッフル等を使用することができる。
得られた塩化ビニル系重合体ラテックスの乾燥方法としては、乾燥時の熱劣化が緩和できることから、噴霧乾燥装置による噴霧乾燥方法が用いられる。この際の噴霧乾燥装置の種類に制限はなく、一般に使用されているものでよく、例えば「SPRAY DAYING HANDBOOK」(K.Master著、第3版、1979年、George godwin Limitedより出版)の第121頁第4.10図に記載されている各種のスプレー乾燥機が挙げられ、その運転条件としては一般に使用されている条件で問題はなく、例えば、乾燥出口温度40〜90℃の範囲で運転され、好ましくは40〜70℃、特に好ましくは40〜65℃で乾燥される。乾燥入口温度としては70〜250℃の範囲で運転され、好ましくは80〜160℃、特に好ましくは80〜130℃で乾燥される。
本発明のシードラテックスを用いて播種重合を行うことでラテックス安定性を損なうことなく、ペースト塩化ビニル系樹脂の重合を行うことが可能となる。
以下に、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらによってなんら限定されるものではない。
以下に実施例における評価方法を詳細に説明する。
<シードラテックス中の塩化ビニル系単量体濃度>
得られた塩化ビニル重合体ラテックス50mgを採取し、熱分解炉(島津製作所製、商品名PYROLYZERPYR−IA)により105℃で1分間加熱し、ガスクロマトグラフにて塩化ビニル単量体濃度を分析定量した。分析定量した塩化ビニル単量体濃度を塩化ビニル重合体ラテックスの固形分重量あたりの残存塩化ビニル単量体量に計算し、塩化ビニル重合体ラテックス中の残存塩化ビニル単量体濃度とした。
<平均粒子径の測定>
測定サンプルをレーザー透過率が75〜85%となるように濃度調整を行なった試料により、レーザー回析/散乱式粒径測定装置(堀場製作所(株)製、商品名LA−700)を用いて平均粒子径の測定を行った。
<シードラテックス中の重合開始剤含有量の測定>
200ml三角フラスコに塩化ビニル樹脂固形分で1gとなるようにシードラテックスを秤量した。続いてベンゼン20ml、イソプロピルアルコール80ml、10%酢酸溶液20ml、10%ヨウ化カリウム水溶液20mlを添加した。該三角フラスコに五球コンデンサを付設し、スターラーで攪拌しながら15分間加熱し、冷却後、1/100Nチオ硫酸ナトリウムで滴定した。
シードラテックス中の重合開始剤含有量は、次式(1)及び(2)により算出した。
A=(V1−V2)/1000×(1/100N)×(1/2) (1)
(ここで、Aはシードラテックス中の重合開始剤のモル数を示し、V1はサンプルの1/100Nチオ硫酸ナトリウムの滴定量(ml)を示し、V2はブランクの1/100Nチオ硫酸ナトリウムの滴定量(ml)を示し、Nは1/100Nチオ硫酸ナトリウムの規定度を示す。)
塩化ビニル樹脂中の重合開始剤含有量(%)=A/W×398×100 (2)
(ここで、Wは重合開始剤等含有シード固形分(g)を示す。)
<ラテックス安定性の測定>
500ccカップに25℃に調整したラテックスを250g、クロロホルム1.25gを入れ、ホモジナイザー(ヤマト科学製、商品名ULTRA−DISPERSER MODEL LK−41)を用いて、攪拌開始から重合体粒子が凝集し流動性が低下するまでの時間を測定した。
<スケール量の測定>
塩化ビニル系重合体ラテックスを調製し、重合缶から抜き出した後に孔径1mmのフィルターによって除かれたスケールを回収し重量を測定した。定量したスケールの重量を重合において仕込んだ塩化ビニル単量体の重量で除した値(重量%)をスケール量として評価した。
合成例1
1mオートクレーブ中に脱イオン水360kg、塩化ビニル単量体300kg、過酸化ラウロイル6kg及び15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液30kgを仕込み、3時間ホモジナイザーを用いて均質化処理を行った後、系内の温度を45℃に上げて重合反応を開始した。そして、重合圧力が低下した後に重合反応を停止した。重合反応停止後に、未反応塩化ビニル単量体を大気圧まで回収し、油溶性重合開始剤含有シードラテックス(以下、シード1と略記する)を得た。
合成例2
1mオートクレーブ中に脱イオン水400kg、塩化ビニル単量体350kg、16重量%過硫酸カリウム水溶液2kg、16重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液5kgを仕込んだ後に系内の温度を54℃に上げて重合反応を開始した。そして、重合圧力が低下した後に重合反応を停止した。重合反応停止後に、未反応塩化ビニル単量体を大気圧まで回収し、単量体可溶開始剤含有しないシードラテックス(以下、シード2と略記する)を得た。シード2中に含まれる種子粒子の平均粒子径は0.15μmであった。
合成例3
ホモジナイザーを用いた均質化処理を5時間で行った以外は合成例1と同様の方法により、油溶性重合開始剤含有シードラテックス(以下、シード3と略記する)を得た。
合成例4
ホモジナイザーを用いた均質化処理を8時間で行った以外は合成例1と同様の方法により、油溶性重合開始剤含有シードラテックス(以下、シード4と略記する)を得た。
実施例1
合成例1によって得られたシード1中の未反応塩化ビニル単量体を大気圧まで回収した後、−0.05MPaの真空下で5時間放置することでさらに未反応塩化ビニル単量体を回収し、残存塩化ビニル単量体の濃度が低いシード1を得た(残存塩化ビニル単量体濃度:23400ppm)。次に、1mオートクレーブ中に脱イオン水350kg、塩化ビニル単量体400kg、20重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液2kg、シード1を塩化ビニル単量体に対して3.0重量%、合成例2により得られたシード2を7.5重量%仕込み、重合系の温度を61℃に昇温し重合を開始した。重合開始してから重合終了までの間、塩化ビニル単量体に対してドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.7重量%連続的に添加した。重合圧力が61℃における塩化ビニル単量体の飽和蒸気圧から0.6MPa降下した時点で重合反応を停止した。重合反応停止後に、未反応塩化ビニル単量体を回収し、ペースト加工用塩化ビニル重合体ラテックスを調製した。シード1中に含まれる種子粒子の平均粒子径は0.60μm、重合開始剤含有量は3.23重量%であった。シード1のラテックス安定性およびペースト加工用塩化ビニル重合体ラテックスの調製時に発生したスケール量を表1に示す。
Figure 0004899522
実施例2
未反応塩化ビニル単量体を大気圧まで回収した後、−0.05MPaの真空下で8時間放置して残存塩化ビニル単量体の濃度が低いシード1を得た(残存塩化ビニル単量体濃度:21970ppm)以外は実施例1と同様の方法でペースト加工用塩化ビニル重合体ラテックスを調製した。このシード1中に含まれる種子粒子の平均粒子径は0.60μm、重合開始剤含有量は3.20重量%であった。シード1のラテックス安定性およびペースト加工用塩化ビニル重合体ラテックスの調製時に発生したスケール量を表1に示す。
実施例3
合成例3によって得られたシード3中の未反応塩化ビニル単量体を大気圧まで回収した後、−0.05MPaの真空下で5時間放置することでさらに未反応塩化ビニル単量体を回収し、残存塩化ビニル単量体の濃度が低いシード3を得た(残存塩化ビニル単量体濃度:24100ppm)。次に、シード1の代わりにシード3を用いた以外は実施例1と同様の方法でペースト加工用塩化ビニル重合体ラテックスを調製した。このシード3中に含まれる種子粒子の平均粒子径は0.42μm、重合開始剤含有量は3.24重量%であった。シード3のラテックス安定性およびペースト加工用塩化ビニル重合体ラテックスの調製時に発生したスケール量を表1に示す。
比較例1
合成例1によって得られたシード1を−0.05MPaの真空下で放置せずにそのまま使用した(残存塩化ビニル単量体濃度:30570ppm)以外は実施例1と同様の方法でペースト加工用塩化ビニル重合体ラテックスを調製した。シード1中に含まれる種子粒子の平均粒子径は0.60μm、重合開始剤含有量は3.24重量%であった。シード1のラテックス安定性およびペースト加工用塩化ビニル重合体ラテックスの調製時に発生したスケール量を表1に示す。
比較例2
ホモジナイザーを用いた均質化処理を1.2時間で行った以外は合成例1と同様の方法でシード1を得た。また、このシード1を−0.05MPaの真空下で放置せずに使用した(残存塩化ビニル単量体濃度:29800ppm)以外は実施例1と同様の方法でペースト加工用塩化ビニル重合体ラテックスを調製した。このシード1中に含まれる種子粒子の平均粒子径は0.78μm、重合開始剤含有量は3.21重量%であった。シード1のラテックス安定性およびペースト加工用塩化ビニル重合体ラテックスの調製時に発生したスケール量を表1に示す。
比較例3
シード1の代わりに合成例3によって得られたシード3を−0.05MPaの真空下で放置せずにそのまま使用した(残存塩化ビニル単量体濃度:30200ppm)以外は実施例1と同様の方法でペースト加工用塩化ビニル重合体ラテックスを調製した。このシード3中に含まれる種子粒子の平均粒子径は0.40μm、重合開始剤含有量は3.20重量%であった。シード3のラテックス安定性およびペースト加工用塩化ビニル重合体ラテックスの調製時に発生したスケール量を表1に示す。
比較例4
合成例4によって得られたシード4中の未反応塩化ビニル単量体を大気圧まで回収した後、−0.05MPaの真空下で8時間放置することでさらに未反応塩化ビニル単量体を回収し、残存塩化ビニル単量体の濃度が低いシード4を得た(残存塩化ビニル単量体濃度:20980ppm)。次に、シード1の代わりにシード4を用いた以外は実施例1と同様の方法でペースト加工用塩化ビニル重合体ラテックスを調製した。このシード4中に含まれる種子粒子の平均粒子径は0.20μm、重合開始剤含有量は3.23重量%であった。シード4のラテックス安定性およびペースト加工用塩化ビニル重合体ラテックスの調製時に発生したスケール量を表1に示す。

Claims (3)

  1. 平均粒子径が0.3〜0.7μmの播種重合用種子粒子であり、かつ、塩化ビニル単量体の残存含有濃度が25000ppm未満である播種重合用種子粒子ラテックスを用いることを特徴とするペースト塩化ビニル系樹脂の製造方法。
  2. 播種重合用種子粒子ラテックスが、さらに、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、スルホコハク酸塩の中から選ばれる少なくとも1種のアニオン性界面活性剤又はノニオン性界面活性剤、及び、油溶性開始剤を含むことを特徴とする請求項1記載のペースト塩化ビニル系樹脂の製造方法。
  3. 播種重合用種子粒子ラテックスが、界面活性剤を0.6重量%以上含み、油溶性開始剤を0.8〜5.0重量%含むことを特徴とする請求項2記載のペースト塩化ビニル系樹脂の製造方法。
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