JP4120383B2 - 塩化ビニル系重合体水性分散液からの未反応単量体の回収法 - Google Patents

塩化ビニル系重合体水性分散液からの未反応単量体の回収法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製造後の塩化ビニル系重合体水性分散液からの未反応塩化ビニル系単量体の回収法に関するものであり、更に詳しくは、塩化ビニル系単量体を水性媒体中で界面活性剤、重合開始剤の存在下で重合を行い得られる塩化ビニル系重合体水性分散液から未反応塩化ビニル系単量体を回収する際に、泡立ちが少なく、高効率で未反応塩化ビニル系単量体が回収できる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
塩化ビニル系重合体水性分散液は、塩化ビニル系単量体を界面活性剤、重合開始剤の存在下、水性媒体中に分散して乳化重合、播種乳化重合、微細懸濁重合、播種微細懸濁重合等を行うことにより粒子径0.05〜10μm程度を有するラテックスとして生産されている。塩化ビニル系重合体水性分散液を製造するこれら乳化重合、播種乳化重合、微細懸濁重合、播種微細懸濁重合等の重合反応では、通常、塩化ビニル系単量体の重合転化率が70〜98%に到達した時点で重合反応を終了させるために、得られる塩化ビニル系重合体水性分散液中には未反応の塩化ビニル系単量体が残存している。そして、塩化ビニル系重合体水性分散液から未反応の塩化ビニル系単量体を回収した後、該水性分散液を噴霧乾燥機等により乾燥することによりペースト加工用塩化ビニル系重合体が生産されている。そのため、ペースト加工用塩化ビニル系重合体の原料となる塩化ビニル系単量体を回収し原単位を改善したり、製造・加工時の作業環境衛生上等の観点から、塩化ビニル系重合体水性分散液に残存する未反応塩化ビニル系単量体をより高効率で回収する方法が望まれている。
【0003】
しかし、塩化ビニル系単量体を水性媒体中で界面活性剤、重合開始剤の存在下で重合して得られる塩化ビニル系重合体水性分散液からの未反応塩化ビニル系単量体の回収においては、該水性分散液は界面活性剤を含むため未反応塩化ビニル系単量体が蒸発する際に、激しい発泡を伴い、泡の飛散による製品ロスの発生や飛散した泡によるスケールリング等の機器トラブル発生等の課題を有していた。
【0004】
これら課題を解決する方法として、塩化ビニル系重合体水性分散液からの未反応塩化ビニル系単量体の回収操作においては、通常発泡を抑制するために未反応塩化ビニル系単量体を回収する際の処理温度を低くしたり、該水性分散液から回収する際の処理速度をおそくする等の操作が行われている。しかし、これらの方法は発泡を抑制することに関してはある程度効果的であるものの、処理温度を低下した場合は未反応塩化ビニル系単量体の回収効率が低下する。また、処理速度をおそくした場合は、未反応塩化ビニル系単量体回収のための処理時間が長くなり生産効率が低下する等の課題があった。
【0005】
そこで、これら乳化重合、播種乳化重合、微細懸濁重合、播種微細懸濁重合等で得られた塩化ビニル系重合体水性分散液からの未反応塩化ビニル系単量体の回収操作に関しては、ノズルから塩化ビニル系重合体ラテックスを蒸発缶内に貯溜された塩化ビニル系重合体ラテックスの液面全面に噴霧することで泡立ちを抑制しながら未反応塩化ビニル系単量体を回収する方法(例えば、特許文献1参照)、また、未反応塩化ビニル系単量体回収装置の後に設置した泡分離器内で泡に水蒸気を直接吹込むことで未反応塩化ビニル系単量体の回収操作により発生した泡を消泡する方法(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−325321号公報
【特許文献2】
特開平13−81127号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平8−325321号公報に提案の方法では、消泡という面では効果があるものの、その一方で塩化ビニル系重合体ラテックスの液面全面に噴霧する操作を行うために新たな泡立ちが発生するため、泡立ち抑制という点でその効果は満足できるものでなく、また、塩化ビニル系重合体ラテックスに残存する未反応塩化ビニル系単量体の回収効率の点でも未だ十分でない。
【0008】
また、特開平13−81127号公報に提案の方法では、発生した泡を泡分離器内で消泡させるという点では一定の効果が見られるものの、未反応塩化ビニル系単量体の回収装置以外の泡分離器に水蒸気を供給させる等の設備が必要となる等の課題を有していた。
【0009】
そこで、本発明は、真空蒸発塔等の未反応塩化ビニル系単量体の回収装置内で発生する泡立ちについて、塩化ビニル系重合体水性分散液の噴霧操作を特定の工程を経て行うことによって、泡立ちが抑制され、安定して高効率に未反応塩化ビニル系単量体の回収ができる製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、塩化ビニル系重合体水性分散液から未反応塩化ビニル系単量体を回収する際に、塩化ビニル系重合体水性分散液の噴霧操作を特定の工程で行うことにより泡立ちを抑制し、安定的に高効率で未反応塩化ビニル系単量体の回収が可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
即ち、本発明は、塩化ビニル系単量体を界面活性剤、重合開始剤の存在下、水性媒体中で重合を行い得られる塩化ビニル系重合体水性分散液から未反応塩化ビニル系単量体を真空蒸発塔により回収する際に、少なくとも下記(1)工程及び(2)工程を経ることを特徴とする塩化ビニル系重合体水性分散液からの未反応塩化ビニル系単量体の回収法に関するものである。
(1)工程:塩化ビニル系重合体水性分散液を真空蒸発塔の塔頂部に設置した空円錐型スプレーノズルにて、その噴霧液到達外周径が真空蒸発塔内周径より大きくなるように噴霧し、未反応塩化ビニル系単量体を回収する工程
(2)工程:(1)工程により得られたボトム液を真空蒸発塔の塔頂部に設置された空円錐型スプレーノズルにて真空蒸発塔内に噴霧し、且つ該塔頂部より噴霧される(1)工程により得られたボトム液の噴霧液量に対して3〜30倍量の流量で該(2)工程により得られるボトム液を真空蒸発塔内飽和水蒸気温度以上の温度で真空蒸発塔内へ空円錐型スプレーノズルを用いて循環再噴霧し未反応塩化ビニル系単量体を回収する工程
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明の未反応塩化ビニル系単量体の回収法は、塩化ビニル系重合体水性分散液から未反応塩化ビニル系単量体を真空蒸発塔により回収する際に、少なくとも(1)工程:塩化ビニル系重合体水性分散液を真空蒸発塔の塔頂部に設置した空円錐型スプレーノズルにて、その噴霧液到達外周径が真空蒸発塔内周径より大きくなるように噴霧し、未反応塩化ビニル系単量体を回収する工程、及び、(2)工程:(1)工程により得られたボトム液を真空蒸発塔の塔頂部に設置された空円錐型スプレーノズルにて真空蒸発塔内に噴霧し、且つ該塔頂部より噴霧される(1)工程により得られたボトム液の噴霧液量に対して3〜30倍量の流量で該(2)工程により得られるボトム液を真空蒸発塔内飽和水蒸気温度以上の温度で真空蒸発塔内へ空円錐型スプレーノズルを用いて循環再噴霧し未反応塩化ビニル系単量体を回収する工程を経る未反応塩化ビニル系単量体の回収法に関するものである。
【0013】
本発明における塩化ビニル系重合体水性分散液とは、水性媒体中で界面活性剤、重合開始剤の存在下、塩化ビニル系単量体を重合して得られるペースト加工用の塩化ビニル系重合体水性分散液であり、その重合方法としては、例えば乳化重合法、播種乳化重合法、微細懸濁重合法、播種微細懸濁重合法等を挙げることができる。
【0014】
ここでいう塩化ビニル系単量体とは、塩化ビニル単量体単独又は塩化ビニル単量体と塩化ビニル単量体との共重合可能なビニル単量体との混合物であり、塩化ビニル単量体と共重合し得るビニル単量体としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸又はその無水物;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル類;マレイン酸エステル、フマル酸エステル、桂皮酸エステル等の不飽和カルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルアミルエーテル、ビニルフェニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等のモノオレフィン類;塩化ビニリデン、スチレン及びその誘導体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を挙げることができ、これらビニル単量体は1種以上で用いることが可能である。
【0015】
界面活性剤としては、例えばジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩等が挙げられ、これらは単独又は2種類以上の組合わせで用いることが可能である。
【0016】
重合開始剤としては、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の水溶性重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド,p−クロロベンゾイルパーオキサイド等の芳香族ジアシルパーオキサイド、カプロイルパーオキサイド,ラウロイルパーオキサイド等の脂肪族ジアシルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトロリル,アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ化合物、t−ブチルパーオキシピバレート等の有機酸のパーオキシジエステル、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート,ジオクチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド等の油溶性重合開始剤が挙げられる。そして、これらは単独又は2種類以上の組合わせで用いることが可能である。
【0017】
水性媒体とは、水単独又は水を主成分とする媒体であり、例えば水、脱イオン水、蒸留水等を挙げることができる。
【0018】
なお、本発明でいう塩化ビニル系重合体水性分散液とは、便宜上塩化ビニル系単量体の重合反応により得られた水性分散液を示し、ボトム液とは、便宜上該塩化ビニル系重合体水性分散液を真空蒸発塔により未反応塩化ビニル系単量体を回収し真空蒸発塔底部に溜まる未反応塩化ビニル系単量体をいったん回収した後の塩化ビニル系重合体水性分散液を示す。
【0019】
本発明の未反応塩化ビニル系単量体の回収法に適応できる塩化ビニル系重合体水性分散液からの未反応塩化ビニル系単量体の回収装置の一例を図1に示し、本発明の未反応塩化ビニル系単量体の回収法を以下に具体的に説明するが、本発明はこれら例示に制限されるものではない。
【0020】
図1中の1は(1)工程の真空蒸発塔への塩化ビニル系重合体水性分散液の入口、2は(1)工程の真空蒸発塔で回収された未反応塩化ビニル系単量体の出口、4は(1)工程の真空蒸発塔、5は(1)工程の真空蒸発塔加熱装置、6は塩化ビニル系重合体水性分散液を噴霧する空円錐型スプレーノズル、14は(1)工程により得られたボトム液の入口、15は(2)工程の真空蒸発塔で回収された未反応塩化ビニル系単量体の出口、16は未反応塩化ビニル系単量体を回収した後の塩化ビニル系重合体水性分散液の出口、17は(2)工程の真空蒸発塔、18は(2)工程の真空蒸発塔加熱装置、19は(1)工程で得られたボトム液を噴霧する空円錐型スプレーノズル、20は(2)工程により得られたボトム液を噴霧する空円錐型スプレーノズル、7、13、21、24、34は熱交換器、22は循環ライン、12、23,33は循環ポンプ、3はポンプ、8、25,28は流量計、9、26、29は温度計、10、27は圧力計、11、30、31、32は流量調節弁を示す。
【0021】
本発明で用いる空円錐型スプレーノズルとは、空円錐ノズルを有するものであり、空円錐ノズルとは、塩化ビニル系重合体水性分散液、ボトム液を噴霧した際の噴霧液の断面形状が基本的には中心部に液滴分布を持たない噴霧パターンを有するノズルをいい、噴霧液の投影面積の内、約20%以上が外周部に液滴分布を有するノズルをも指すものである。また、本発明で用いる空円錐型スプレーノズルとは、上記特性を有するノズルを示すものであり、例え投影断面が四角形等の円形以外の形状を示すノズルであってもそれをも包含するものである。
【0022】
ここで、塩化ビニル系重合体水性分散液、(1)工程により得られるボトム液、(2)工程により得られるボトム液を噴霧するスプレーノズルが空円錐型スプレーノズルでない場合は、噴霧された塩化ビニル系重合体水性分散液、ボトム液の殆どは真空蒸発塔底部に溜まっている塩化ビニル系重合体水性分散液(ボトム液)の液表面へ衝突するため、未反応塩化ビニル系単量体回収時の泡立ちが激しくなり、安定的な未反応塩化ビニル系単量体の回収が困難となる。
【0023】
また、本発明で用いる真空蒸発塔とは、一般的に工業プロセスにおいて溶媒、単量体等を減圧下又は真空下で蒸発回収するために用いられている設備であり、特定の特殊な設備を指すものではなく、例え減圧下で使用しても便宜上真空蒸発塔と称する。
【0024】
本発明においては、上記(1)工程及び(2)工程の少なくとも2つの工程を経ることにより、塩化ビニル系重合体水性分散液から未反応塩化ビニル系単量体を回収する際の泡立ちを抑制し、安定的に高効率で未反応塩化ビニル系単量体の回収が達成されるものであり、上記(1)工程、(2)工程のいずれかの工程が行われないような場合、未反応塩化ビニル系単量体の回収量を増加させた際には、真空蒸発塔内の泡の抑制が困難となり、真空蒸発塔内からの泡の飛散が多くなる、処理速度を低下せざるおえない、等の問題が発生し、効率的な未反応塩化ビニル系単量体の回収が困難となる。
【0025】
そして、本発明の未反応塩化ビニル系単量体の回収法においては、上記(1)及び(2)工程を経ることにより、未反応塩化ビニル系単量体を回収する際の泡立ちを抑制し、安定的に高効率で未反応塩化ビニル系単量体の回収を行うことが可能であり、さらに高効率で安定的な未反応塩化ビニル系単量体の回収を達成する為に、上記(1)工程と上記(2)工程の中間、又は、上記(1)工程と上記(2)工程の後に付加的な未反応塩化ビニル系単量体の回収工程を行うことが可能である。その際の付加的な工程としては、本発明の目的が達成される限りにおいていかなる塩化ビニル系単量体の回収工程であってもよく、例えば上記(1)工程、(2)工程を適宜選択して付加的な工程とすることは無論、通常の真空蒸留塔等を使用した一般的な塩化ビニル系単量体の回収工程であってもよい。
【0026】
本発明の塩化ビニル系単量体の回収法は、(1)工程として塩化ビニル系重合体水性分散液を真空蒸発塔の塔頂部に設置した空円錐型スプレーノズルにて、その噴霧液到達外周径が真空蒸発塔内周径より大きくなるように噴霧し、未反応塩化ビニル系単量体を回収する工程を行うものである。
【0027】
(1)工程においては、塩化ビニル系重合体水性分散液中の未反応塩化ビニル系単量体の濃度が高く、泡立ちが激しいことから泡の飛散をスプレー膜により抑制するために、塩化ビニル系重合体水性分散液を真空蒸発塔内の塔頂部に設置した空円錐型スプレーノズルにより、その噴霧液到達外周径が真空蒸発塔内周径より大きくなるように噴霧、つまり噴霧液が真空蒸発塔内壁面に到達するように噴霧するものである。ここで、スプレーノズルが空円錐型スプレーノズルでない場合、噴霧液到達外周径が真空蒸発塔内周径より小さい場合、噴霧液は真空蒸発塔の塩化ビニル系重合体水性分散液に直接到達し、泡立ちが激しくなると共に真空蒸発塔内を上昇する泡のスプレー膜による抑制が悪化し未反応塩化ビニル系単量体の回収効率が低下すると共に、(2)工程の未反応塩化ビニル系単量体の回収を安定して行うことができず、結果として安定的に高効率で塩化ビニル系単量体を回収することが出来なくなる。
【0028】
該(1)工程における空円錐型スプレーノズルの取り付け位置である塔頂部とは、塩化ビニル系重合体水性分散液の噴霧液到達外周径が真空蒸発塔内周径より大きくなる位置であればよく真空蒸発塔塔頂のみならず、その周辺部をも包含するものであり、その中でも未反応塩化ビニル系単量体の回収工程をよりコンパクトな設計とすることが可能であることから真空蒸発塔の断面の中心部に空円錐型スプレーノズルを設置することが好ましい。また空円錐型スプレーノズルの取付高さとしては、真空蒸発塔底部の塩化ビニル系重合体ラテックスの液表面から上昇する泡を空円錐型スプレー膜内部にトラップさせやすくする意味で真空蒸発塔全高の底部から1/4以上の高さに設置することが好ましい。
【0029】
(1)工程での未反応塩化ビニル系単量体の回収効率を高め、本発明の未反応塩化ビニル系単量体の回収法をより効果的なものとするために(1)工程においては、真空蒸発塔の塔頂部から噴霧する塩化ビニル系重合体水性分散液の噴霧条件として、塩化ビニル系重合体水性分散液を真空蒸発塔内飽和水蒸気温度より5〜25℃高い温度で噴霧する事が好ましく、さらに塩化ビニル系重合体水性分散液の安定性の点からは特に真空蒸発塔内飽和水蒸気温度より5〜20℃高い温度で噴霧することが好ましい。また、真空蒸発塔内の圧力としては50〜300Torrであることが好ましく、特に130〜300Torrであることが好ましい。
【0030】
(1)工程における真空蒸発塔の塔径との関係では、真空蒸発塔内を上昇する泡の発生を抑える意味で、真空蒸発塔内で蒸発し上昇する水蒸気及び未反応塩化ビニル系単量体の空塔速度は0.1〜2.5m/secの範囲で選定することが好ましく、特に0.3〜1.5m/secが好ましい。また、空円錐型スプレーノズルのスプレー角度については任意であり、その中でも真空蒸発塔内を上昇する泡を効率良く抑制することが可能となることから180°未満であることが好ましく、更に160°以下であることが好ましい。そして、空円錐型スプレーノズルのノズル構造については任意であり、本発明の効果を得るためには、噴霧液が真空蒸発塔の内壁面に到達しうるノズルを選定することが好ましい。
【0031】
また、(1)工程の真空蒸発塔に供給する塩化ビニル系重合体水性分散液の温度調節方法としては任意であり、その中でも加熱機の閉塞を防止する意味で塩化ビニル系重合体水性分散液に圧力0.1MPa以上の水蒸気を直接導入して調節する方法や、プレート型熱交換機を使用する事が好ましい。真空蒸発塔に供給する塩化ビニル系重合体水性分散液の流量としては、一般的に経済的な配管流速として知られている0.5〜3.0m/secの範囲で供給することが好ましい。
【0032】
本発明の未反応塩化ビニル系単量体の回収法は、(2)工程として(1)工程を経て得られた塩化ビニル系重合体水性分散液であるボトム液を真空蒸発塔の塔頂部に設置された空円錐型スプレーノズルにて真空蒸発塔内に噴霧し、且つ該塔頂部より噴霧される(1)工程により得られたボトム液の噴霧液量に対して3〜30倍量の流量で該(2)工程により得られるボトム液を真空蒸発塔内飽和水蒸気温度以上の温度で真空蒸発塔内へ空円錐型スプレーノズルを用いて循環再噴霧し未反応塩化ビニル系単量体の回収をおこなうものである。
【0033】
該(2)工程は、濡れ壁効果とフラッシングにより未反応塩化ビニル系単量体の回収効率を加速させることから真空蒸発塔内へ(2)工程により得られるボトム液を真空蒸発塔内飽和水蒸気温度以上の温度で塔頂部から噴霧される(1)工程により得られるボトム液の噴霧液量に対し3〜30倍量の流量で循環再噴霧させるものである。
【0034】
ここで、(2)工程により得られるボトム液の循環再噴霧を行わない場合、(2)工程により得られるボトム液の循環再噴霧液の液量が塔頂部から噴霧される(1)工程により得られるボトム液の噴霧液量に対し3倍量未満である場合、(2)工程により得られるボトム液の循環再噴霧の噴霧液温度が真空蒸発塔内飽和水蒸気温度より低い場合には、未反応塩化ビニル系単量体の回収効率が低下する。一方、(2)工程により得られるボトム液の循環再噴霧液の液量を塔頂部から噴霧される(1)工程により得られるボトム液の噴霧液量に対し30倍より大きくした場合には未反応塩化ビニル系単量体回収設備が大がかりなものとなり、設備費用が大きくなる。また、従来方法のようにボトム液の循環再噴霧を行わずに真空蒸発塔内に滞在する塩化ビニル系重合体水性分散液を真空蒸発塔に付設した外部ジャケット等により加熱した場合には、未反応塩化ビニル系単量体の回収効率は見掛け上本発明と同程度となる可能性もあるが、未反応塩化ビニル系単量体の回収量が増加した場合には、それに伴い増加する泡の抑制が困難となり、真空蒸発塔の泡分離装置を過大なものとする必要があったり、処理速度を低下、つまり回収効率を低下する必要がある等の課題が発生する。
【0035】
本発明の未反応塩化ビニル系単量体の回収法をより効果的なものとするための真空蒸発塔の運転条件としては、真空蒸発塔の塔頂部から噴霧する(1)工程により得られたボトム液の噴霧条件は真空蒸発塔に循環再噴霧する(2)工程により得られるボトム液中の未反応塩化ビニル系単量体の含有濃度を低下させ、回収効率を優れたものとするために真空蒸発塔内飽和水蒸気温度より0〜30℃高い温度で噴霧することが好ましく、さらに(2)工程により得られるボトム液の循環再噴霧液の温度が真空蒸発塔内飽和水蒸気温度より0〜30℃高い温度で噴霧することが好ましく、特にボトム液である塩化ビニル系重合体水性分散液が熱等による劣化等の影響を受けず安定性に優れることからそれぞれの噴霧液の温度が真空蒸発塔内飽和水蒸気温度より5〜25℃高い温度であることが好ましい。また、(2)工程における真空蒸発塔内の圧力としては、50〜300Torrであることが好ましく、特に80〜250Torrであることが好ましい。
【0036】
該(2)工程における(1)工程により得られたボトム液の噴霧は、噴霧液滴がボトム液表面に直接到達することにより誘発される真空蒸発塔底部のボトム液の起泡を抑えるために、塔頂部から該ボトム液を噴霧液到達外周径が真空蒸発塔内周径より大きくなるような空円錐型スプレーノズルによる噴霧、つまり噴霧液が真空蒸発塔内壁面に到達するように噴霧を行うことが好ましい。また、(2)工程により得られたボトム液の循環再噴霧においては、噴霧液滴がボトム液表面に直接到達することにより誘発される真空蒸発塔底部のボトム液の起泡を抑えるために、真空蒸発塔底部のボトム液の液表面に噴霧される噴霧液量が全噴霧液量の40%以下となるように噴霧することが好ましく、特に20%以下となるように噴霧を行うことがより好ましい。
【0037】
本発明における(2)工程での真空蒸発塔内の空円錐型スプレーノズルの取付位置としては、(1)工程により得られるボトム液噴霧用空円錐型スプレーノズルは塔頂部であり、(2)工程により得られるボトム液の循環再噴霧用空円錐型スプレーノズルは任意である。ここで塔頂部とは塔頂のみならず、塔頂付近を指すものである。その中でも効率よく真空蒸発塔内での発泡が抑制され、未反応塩化ビニル系単量体の回収効率に優れる回収法となることから共に噴霧液到達外周径が真空蒸発塔内周径より大きくなる位置とすることが好ましい。また、未反応塩化ビニル系単量体の回収工程をよりコンパクトな設計とすることが可能であることから真空蒸発塔の断面の中心部にそれぞれ空円錐型スプレーノズルを設置することが好ましい。
【0038】
また、それぞれの空円錐型スプレーノズルの取付位置高さとしては、真空蒸発塔底部のボトム液の液表面から上昇する泡を空円錐型スプレー膜内部にトラップさせることが可能となり、未反応塩化ビニル系単量体の回収効率に優れることから塔頂部に設置する(1)工程により得られるボトム液を噴霧する空円錐型スプレーノズルは、真空蒸発塔の塔頂〜塔長さの3/4の間の位置に設置することが好ましく、(2)工程により得られるボトム液の循環再噴霧を行う空円錐型スプレーノズルは、真空蒸発塔の塔頂より塔長さの1/4〜3/4低い位置に設置することが好ましい。これら塔頂部に設置又は循環再噴霧に使用する空円錐型スプレーノズルの数には制限はなく複数個設置することも可能であり、また多段に複数個設置することも可能である。そして、これら空円錐型スプレーノズルのスプレー角度については任意であり、その中でも真空蒸発塔内を上昇する泡を効率良く抑制することが可能となることから180°未満であることが好ましく、更に160°以下であることが好ましい。そして、これら空円錐型スプレーノズルのノズル構造については任意であり、本発明の効果を得るためには、噴霧液が真空蒸発塔の内壁面に到達しうるノズルを選定することが好ましい。
【0039】
(2)工程における真空蒸発塔の塔径との関係では、真空蒸発塔内を上昇する泡の発生を抑える意味で、真空蒸発塔で蒸発し上昇する水蒸気、及び未反応塩化ビニル系単量体の空塔速度は、0.1〜2.5m/secの範囲で選定することが好ましく、特に0.3〜1.5m/secが好ましい。
【0040】
また、(2)工程における真空蒸発塔に供給する塩化ビニル系重合体水性分散液である(1)工程により得られるボトム液、循環再噴霧される(2)工程により得られるボトム液の温度調節方法としては任意であり、その中でも加熱機の閉塞を防止する意味でこれら塩化ビニル系重合体水性分散液に圧力0.1MPa以上の水蒸気を直接導入して調節する方法や、プレート型熱交換機を使用する事が好ましく、特に、未反応塩化ビニル系単量体の回収効率を高める際には塔頂部から噴霧する(1)工程により得られるボトム液の温度調整方法は、循環再噴霧を行う(2)工程により得られるボトム液に比べ液温の上昇を大きくする必要がある場合があるため、水蒸気を直接導入して調節することが好ましい。
【0041】
(2)工程における真空蒸発塔に供給する(1)工程により得られるボトム液及び循環再噴霧される(2)工程により得られるボトム液の流量としては、一般的に経済的な配管流速として知られている0.5〜3.0m/secの範囲で供給することが好ましい。
【0042】
本発明の少なくとも上記(1)工程及び(2)工程を経る未反応塩化ビニル系単量体の回収法においては、(1)工程の噴霧条件、(2)工程の循環再噴霧の噴霧液量、加熱温度を所定の条件とすることにより、未反応塩化ビニル系単量体の回収量増加に伴う真空蒸発塔内の泡の上昇をスプレー膜で抑制し、未反応塩化ビニル系単量体の回収効率を高める点に特徴がある。その意味では、(1)工程の噴霧条件は真空蒸発塔底部の塩化ビニル系重合体水性分散液であるボトム液の液表面に噴霧される噴霧液量は少ない方が好ましく、(2)工程の噴霧条件は循環再噴霧される(2)工程により得られるボトム液の流量が多く、噴霧温度が高い方が好ましい。
【0043】
本発明の回収法においては、それぞれの工程において通常真空蒸発塔に付随する機器として一般的に使用されている例えばミストセパレーター、水蒸気コンデンサー、水封式真空ポンプ等を適宜組合せて用いることも可能である。
【0044】
本発明の方法は、塩化ビニル系重合体水性分散液から未反応塩化ビニル系単量体を回収する方法において、未反応塩化ビニル系単量体回収時の泡立ちによる回収効率の低下が改善でき、原単位の向上、環境衛生上の改善等の効果が得られる。
【0045】
【実施例】
以下に、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらによってなんら制限されるものではない。
【0046】
以下に実施例における評価方法を詳細に説明する。
【0047】
〜塩化ビニル重合体水性分散液中の残存塩化ビニル単量体濃度〜
得られた塩化ビニル重合体水性分散液50mgを採取し、熱分解炉(島津製作所製、商品名PYROLYZERPYR−IA)により105℃で1分間加熱し、ガスクロマトグラフにて塩化ビニル単量体濃度を分析定量した。分析定量した塩化ビニル単量体濃度を塩化ビニル重合体水性分散液の固形分重量あたりの残存塩化ビニル単量体量に計算し、塩化ビニル重合体水性分散液中の残存塩化ビニル単量体濃度とした。
【0048】
〜未反応塩化ビニル単量体回収時の泡立ち〜
真空蒸発塔に設置した覗き窓から内部の泡立ちを目視で観察した。
【0049】
合成例1(シード粒子の水性分散液の調整)
重合缶中に脱イオン水10800kg、塩化ビニル単量体9000kg、重合開始剤として3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド90kg、15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液150kgを仕込んだ後、3時間ホモジナイザーを用いて均質化処理を行った後、系内の温度を40℃にあげて重合反応を開始した。そして、重合圧力が低下した後に未反応塩化ビニル単量体を回収することによりシード粒子の水性分散液を調整した。
【0050】
合成例2(塩化ビニル重合体水性分散液の調整)
重合缶中に脱イオン水105000kg、塩化ビニル単量体12000kg、20重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液60kg、合成例1により得られたシード粒子の水性分散液1320kgを仕込んだ後、重合系の温度を64℃に昇温し重合を開始した。重合開始から重合終了までの間、20重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液480kgを連続的に添加した。
【0051】
重合圧力が64℃における塩化ビニル単量体の飽和蒸気圧から0.5MPa降下した時点で重合反応を停止し、20重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液120kgを添加した。未反応塩化ビニル単量体を回収し、ペースト加工用塩化ビニル重合体水性分散液を得た。得られた塩化ビニル重合体水性分散液中の残存塩化ビニル単量体濃度は1.5重量%であった。
【0052】
実施例1
合成例2で得られた塩化ビニル重合体水性分散液を、(1)工程として、スプレー角度120°の噴霧ノズルを有する空円錐型スプレーノズルを塔径の中心で塔頂から0.4mの高さに設置した塔径0.5m、塔高さ1.5mの覗き窓付の真空蒸発塔内に該空円錐型スプレーノズルにより連続的に200l/Hrの速度で噴霧(噴霧液は真空蒸発塔内壁面に到達)供給し、未反応塩化ビニル単量体の回収を行った。
【0053】
その際の真空蒸発塔内の圧力は149Torr(飽和水蒸気温度60℃)に設定し、真空蒸発塔に供給する合成例2により得られた塩化ビニル重合体水性分散液は0.15MPaの水蒸気を直接供給して65℃となるように調整した。
【0054】
続いて、(2)工程として、スプレー角度120°の噴霧ノズルを有する空円錐型スプレーノズルを塔径の中心で塔頂から0.4mの高さに設置した塔径0.5m、塔高さ1.5mの覗き窓付の真空蒸発塔内に(1)工程により得られた未反応塩化ビニル単量体回収後の塩化ビニル重合体水性分散液であるボトム液を該空円錐型スプレーノズルにより連続的に200l/Hrの速度で噴霧(噴霧液は真空蒸発塔内壁面に到達)供給し、該真空蒸発塔内のボトム液を3m3/Hrの速度で真空蒸発塔の塔頂から0.7mの高さに設置した空円錐型スプレーノズル(噴霧液は真空蒸発塔内壁面に到達、外周部の液滴分布60%)より循環再噴霧し真空蒸発塔塔底の塩化ビニル重合体水性分散液を200l/Hrで抜出しながら未反応塩化ビニル単量体の回収を行った。
【0055】
その際の真空蒸発塔内の圧力は149Torr(飽和水蒸気温度60℃)に設定し、真空蒸発塔に供給する(1)工程により得られたボトム液は0.15MPaの水蒸気を直接供給して65℃となるように調整し、循環再噴霧液を行う(2)工程により得られるボトム液はプレート型熱交換器により65℃になるように調整した。
【0056】
(1)工程、(2)工程を経て得られた未反応塩化ビニル単量体回収後の塩化ビニル重合体水性分散液の残存塩化ビニル単量体濃度、(1)工程、(2)工程での真空蒸発塔内の泡立ち状況を表1に示す。
【0057】
実施例2
(2)工程での(2)工程により得られたボトム液の循環再噴霧液量3m3/Hrの代わりに、循環再噴霧量を4m3/Hrとした(噴霧液は真空蒸発塔内壁面に到達、外周部液滴分布60%)以外は、実施例1と同様の方法により未反応塩化ビニル単量体の回収を行った。
【0058】
(1)工程、(2)工程を経て得られた未反応塩化ビニル単量体回収後の塩化ビニル重合体水性分散液の残存塩化ビニル単量体濃度、(1)工程、(2)工程での真空蒸発塔内の泡立ち状況を表1に示す。
【0059】
実施例3
(2)工程での(2)工程により得られたボトム液の循環再噴霧液量3m3/Hrの代わりに、循環再噴霧液量を1.5m3/Hrとした(噴霧液は真空蒸発塔内壁面に到達、外周部液滴分布60%)以外は、実施例1と同様の方法により未反応塩化ビニル単量体の回収を行った。
【0060】
(1)工程、(2)工程を経て得られた未反応塩化ビニル単量体回収後の塩化ビニル重合体水性分散液の残存塩化ビニル単量体濃度、(1)工程、(2)工程での真空蒸発塔内の泡立ち状況を表1に示す。
【0061】
実施例4
(1)工程での合成例2で得られた塩化ビニル重合体水性分散液の噴霧液量200l/Hrの代わりに、噴霧液量を300l/Hrとし、(2)工程での(1)工程により得られたボトム液の噴霧液量200l/Hrの代わりに、噴霧液量を300l/Hrとした(噴霧液は真空蒸発塔内壁面に到達)以外は、実施例1と同様の方法により未反応塩化ビニル単量体の回収を行った。
【0062】
(1)工程、(2)工程を経て得られた未反応塩化ビニル単量体回収後の塩化ビニル重合体水性分散液の残存塩化ビニル単量体濃度、(1)工程、(2)工程での真空蒸発塔内の泡立ち状況を表1に示す。
【0063】
実施例5
(2)工程で循環再噴霧液を行う(2)工程により得られるボトム液の液温65℃の代わりに、循環再噴霧を行うボトム液の液温を70℃とした以外は、実施例1と同様の方法により未反応塩化ビニル単量体の回収を行った。
【0064】
(1)工程、(2)工程を経て得られた未反応塩化ビニル単量体回収後の塩化ビニル重合体水性分散液の残存塩化ビニル単量体濃度、(1)工程、(2)工程での真空蒸発塔内の泡立ち状況を表1に示す。
【0065】
実施例6
(2)工程で循環再噴霧液を行う(2)工程により得られるボトム液の液温65℃の代わりに、循環再噴霧を行うボトム液の液温を75℃とした以外は、実施例1と同様の方法により未反応塩化ビニル単量体の回収を行った。
【0066】
(1)工程、(2)工程を経て得られた未反応塩化ビニル単量体回収後の塩化ビニル重合体水性分散液の残存塩化ビニル単量体濃度、(1)工程、(2)工程での真空蒸発塔内の泡立ち状況を表1に示す。
【0067】
実施例7
(1)工程で真空蒸発塔内に噴霧される合成例2により得られた塩化ビニル重合体水性分散液の液温65℃の代わりに、塩化ビニル重合体水性分散液の液温を70℃とし、(2)工程で真空蒸発塔の塔頂部より噴霧される(1)工程により得られたボトム液の液温65℃の代わりに、(1)工程により得られるボトム液の液温を70℃とした以外は、実施例5と同様の方法により未反応塩化ビニル単量体の回収を行った。
【0068】
(1)工程、(2)工程を経て得られた未反応塩化ビニル単量体回収後の塩化ビニル重合体水性分散液の残存塩化ビニル単量体濃度、(1)工程、(2)工程での真空蒸発塔内の泡立ち状況を表1に示す。
【0069】
実施例8
(1)工程での真空蒸発塔の圧力149Torr(飽和水蒸気温度60℃)の代わりに、圧力を188Torr(飽和水蒸気温度65℃)に調整した以外は、実施例7と同様の方法で未反応塩化ビニル単量体の回収を行った。
【0070】
(1)工程、(2)工程を経て得られた未反応塩化ビニル単量体回収後の塩化ビニル重合体水性分散液の残存塩化ビニル単量体濃度、(1)工程、(2)工程での真空蒸発塔内の泡立ち状況を表1に示す。
【0071】
実施例9
(2)工程での真空蒸発塔の圧力149Torr(飽和水蒸気温度60℃)の代わりに、圧力を188Torr(飽和水蒸気温度65℃)に調整した以外は、実施例5と同様の方法で未反応塩化ビニル単量体の回収を行った。
【0072】
(1)工程、(2)工程を経て得られた未反応塩化ビニル単量体回収後の塩化ビニル重合体水性分散液の残存塩化ビニル単量体濃度、(1)工程、(2)工程での真空蒸発塔内の泡立ち状況を表1に示す。
【0073】
比較例1
(2)工程による未反応塩化ビニル単量体の回収を行わず、(1)工程のみで未反応塩化ビニル単量体の回収を行なった以外は、実施例1と同様の方法により未反応塩化ビニル単量体の回収を行った。
【0074】
得られた未反応塩化ビニル単量体回収後の塩化ビニル重合体水性分散液の残存塩化ビニル単量体濃度、泡立ち状況を表2に示す。
【0075】
得られた塩化ビニル重合体水性分散液中に残存する塩化ビニル単量体濃度は高いものであった。
【0076】
比較例2
(2)工程での未反応塩化ビニル単量体の回収時に(2)工程により得られたボトム液の循環再噴霧を行わなかった以外は、実施例1と同様の方法により未反応塩化ビニル単量体の回収を行った。
【0077】
得られた未反応塩化ビニル単量体回収後の塩化ビニル重合体水性分散液の残存塩化ビニル単量体濃度、泡立ち状況を表2に示す。
【0078】
未反応塩化ビニル単量体回収時、真空蒸発塔内での泡立ちは見られなかったが、得られた塩化ビニル重合体水性分散液中に残存する塩化ビニル単量体濃度は高いものであった。
【0079】
比較例3
(2)工程での未反応塩化ビニル単量体の回収時に(2)工程により得られたボトム液の循環再噴霧を行わず、(2)工程で用いる真空蒸発塔の外部ジャケットの温度を65℃に調整して運転した以外は、実施例1と同様の方法により未反応塩化ビニル単量体の回収を試みたが、(2)工程での運転途中より真空蒸発塔内での泡立ちが激しくなり、真空ポンプ側への泡の飛散が発生し、真空圧力が設定圧力に調整できず、運転を中止した。
【0080】
比較例4
(2)工程で循環再噴霧を行う(2)工程により得られるボトム液の液温65℃の代わりに、循環再噴霧を行うボトム液の液温を55℃に調整した以外は、実施例1と同様の方法により未反応塩化ビニル単量体の回収を行った。
【0081】
得られた未反応塩化ビニル単量体回収後の塩化ビニル重合体水性分散液の残存塩化ビニル単量体濃度、泡立ち状況を表2に示す。
【0082】
真空蒸発塔内での泡立ちはみられなかったが、得られた塩化ビニル重合体水性分散液中に残存する塩化ビニル単量体濃度は高いものであった。
【0083】
比較例5
(1)工程で合成例2により得られた塩化ビニル重合体水性分散液を真空蒸発塔内に噴霧するスプレー角度120°の噴霧ノズルを有する空円錐型スプレーノズル(噴霧液は真空蒸発塔内壁面に到達)の代わりに、スプレー角度120°の扇型スプレーノズル(噴霧液は真空蒸発塔内壁面に未到達)を設置した以外は、実施例1と同様の方法により未反応塩化ビニル単量体の回収を試みたが、それぞれの工程で共に運転当初より真空蒸発塔内の泡立ちが激しくなり、真空ポンプ側への泡の飛散が発生し、真空圧力が設定圧力に調整できず、運転を中止した。
【0084】
比較例6
(2)工程で(1)工程により得られた塩化ビニル重合体水性分散液であるボトム液を真空蒸発塔内に噴霧する塔頂部に設置されたスプレー角度120°の噴霧ノズルを有する空円錐型スプレーノズル(噴霧液は真空蒸発塔内壁面に到達)及び(2)工程により得られるボトム液を循環再噴霧するスプレー角度120°の噴霧ノズルを有する空円錐型スプレーノズル(噴霧液は真空蒸発塔内壁面に到達)の代わりに、共に噴霧ノズルとしてスプレー角度120°の扇型スプレーノズル(噴霧液は真空蒸発塔内壁面に未到達)を設置した以外は、実施例1と同様の方法により未反応塩化ビニル単量体の回収を試みたが、(2)工程での運転当初より真空蒸発塔内での泡立ちが激しくなり、真空ポンプ側への泡の飛散が発生し、真空圧力が設定圧力に調整できず、運転を中止した。
【0085】
比較例7
(1)工程で合成例2により得られた塩化ビニル重合体水性分散液を真空蒸発塔内に噴霧するスプレー角度120°の噴霧ノズルを有する空円錐型スプレーノズル(噴霧液は真空蒸発塔内壁面に到達)の代わりに、噴霧ノズルとしてスプレー角度120°の充円錐型スプレーノズルを設置した以外は、実施例1と同様の方法により未反応塩化ビニル単量体の回収を試みたが、運転途中より真空蒸発塔内での泡立ちが激しくなり、真空ポンプ側への泡の飛散が発生し、真空圧力が設定圧力に調整できず、運転を中止した。
【0086】
比較例8
(2)工程で(1)工程により得られた塩化ビニル重合体水性分散液であるボトム液を真空蒸発塔内に噴霧する塔頂部に設置されたスプレー角度120°の噴霧ノズルを有する空円錐型スプレーノズル(噴霧液は真空蒸発塔内壁面に到達)及び(2)工程により得られるボトム液を循環再噴霧するスプレー角度120°の噴霧ノズルを有する空円錐型スプレーノズル(噴霧液は真空蒸発塔内壁面に到達)の代わりに、共に噴霧ノズルとしてスプレー角度120°の充円錐型スプレーノズルを設置した真空蒸発塔を使用した以外は、実施例1と同様の方法により未反応塩化ビニル単量体の回収を試みたが、(2)工程での運転途中より真空蒸発塔内での泡立ちが激しくなり、真空ポンプ側への泡の飛散が発生し、真空圧力が設定圧力に調整できず、運転を中止した。
【0087】
【表1】
Figure 0004120383
【表2】
Figure 0004120383
【発明の効果】
本発明の未反応塩化ビニル系単量体の回収法は、泡立ちが抑制され、安定して高効率に塩化ビニル系重合体水性分散液から未反応塩化ビニル系単量体の回収が可能となる等の効果に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】;本発明の実施に使用できる未反応塩化ビニル系単量体の回収装置の一例
【符号の説明】
1 (1)工程の真空蒸発塔への塩化ビニル系重合体水性分散液の入口
2 (1)工程で回収された未反応塩化ビニル系単量体の出口
3 ポンプ
4 (1)工程の真空蒸発塔
5 (1)工程の真空蒸発塔加熱装置
6 空円錐型スプレーノズル
7 熱交換器
8 流量計
9 温度計
10 圧力計
11 流量調節弁
12 循環ポンプ
13 熱交換器
14 (2)工程の真空蒸発塔への(1)工程により得られたボトム液の入口
15 (2)工程で回収された未反応塩化ビニル系単量体の出口
16 未反応塩化ビニル系単量体が回収された塩化ビニル系重合体水性分散液の出口
17 (2)工程の真空蒸発塔
18 (2)工程の真空蒸発塔加熱装置
19 空円錐型スプレーノズル
20 空円錐型スプレーノズル
21 熱交換器
22 循環ライン
23 循環ポンプ
24 熱交換器
25 流量計
26 温度計
27 圧力計
28 流量計
29 温度計
30 流量調節弁
31 流量調節弁
32 流量調節弁
33 循環ポンプ
34 熱交換器

Claims (2)

  1. 塩化ビニル系単量体を界面活性剤、重合開始剤の存在下、水性媒体中で重合を行い得られる塩化ビニル系重合体水性分散液から未反応塩化ビニル系単量体を真空蒸発塔により回収する際に、少なくとも下記(1)工程及び(2)工程を経ることを特徴とする塩化ビニル系重合体水性分散液からの未反応塩化ビニル系単量体の回収法。
    (1)工程:真空蒸発塔内の圧力が130〜300Torrの範囲で、供給される塩化ビニル系重合体水性分散液の温度が、真空蒸発塔内飽和水蒸気温度より5〜25℃高い温度の塩化ビニル系重合体水性分散液を真空蒸発塔の塔頂部に設置した空円錐型スプレーノズルにて、その噴霧液到達外周径が真空蒸発塔内周径より大きくなるように噴霧し、未反応塩化ビニル系単量体を回収する工程
    (2)工程:真空蒸発塔内の圧力が80〜250Torrの範囲で、(1)工程により得られたボトム液を真空蒸発塔内飽和水蒸気温度より0〜30℃高い温度で真空蒸発塔の塔頂部に設置された空円錐型スプレーノズルにて真空蒸発塔壁面に噴霧し、且つ該塔頂部より噴霧される(1)工程により得られたボトム液の噴霧液量に対して3〜30倍量の流量で該(2)工程により得られるボトム液を真空蒸発塔内飽和水蒸気温度より0〜30℃高い温度で、真空蒸発塔内ボトム液表面に直接到達する噴霧液量が全噴霧液量の40%以下となるように、真空蒸発塔内へ空円錐型スプレーノズルを用いて循環再噴霧し未反応塩化ビニル系単量体を回収する工程
  2. (2)工程における(2)工程により得られるボトム液の循環再噴霧を真空蒸発塔塔頂から真空蒸発塔の塔長さの1/4〜3/4低い位置に設置した空円錐型スプレーノズルを用い行うことを特徴とする請求項1に記載の塩化ビニル系重合体水性分散液からの未反応塩化ビニル系単量体の回収法。
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