JP4066724B2 - 塩化ビニル系重合体ラテックスからの未反応塩化ビニル系単量体の回収方法 - Google Patents

塩化ビニル系重合体ラテックスからの未反応塩化ビニル系単量体の回収方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製造後の塩化ビニル系重合体ラテックスからの未反応塩化ビニル系単量体の回収方法に関するものであり、更に詳しくは、塩化ビニル系単量体を水性媒体中で界面活性剤、重合開始剤の存在下で重合を行い得られる塩化ビニル系重合体ラテックスから未反応塩化ビニル系単量体を回収する際に、泡立ちが少なく、高効率で未反応塩化ビニル系単量体が回収できる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
塩化ビニル系重合体ラテックスは、塩化ビニル系単量体を界面活性剤、重合開始剤の存在下、水性媒体中に分散して乳化重合、播種乳化重合、微細懸濁重合、播種微細懸濁重合等を行うことにより粒子径0.05〜10μm程度を有するラテックスとして生産されている。塩化ビニル系重合体ラテックスを製造するこれら乳化重合、播種乳化重合、微細懸濁重合、播種微細懸濁重合等の重合反応では、通常、塩化ビニル系単量体の重合転化率が70〜98%に到達した時点で重合反応を終了させるために、得られる塩化ビニル系重合体ラテックス中には未反応の塩化ビニル系単量体が残存している。そして、塩化ビニル系重合体ラテックスから未反応の塩化ビニル系単量体を回収した後、該ラテックスを噴霧乾燥機等により乾燥することによりペースト加工用塩化ビニル系重合体が生産されている。そのため、ペースト加工用塩化ビニル系重合体の原料となる塩化ビニル系単量体を回収し原単位を改善したり、製造・加工時の作業環境衛生上等の観点から、塩化ビニル系重合体ラテックスに残存する未反応塩化ビニル系単量体をより高効率で回収する方法が望まれている。
【0003】
しかし、塩化ビニル系単量体を水性媒体中で界面活性剤、重合開始剤の存在下で重合して得られる塩化ビニル系重合体ラテックスからの未反応塩化ビニル系単量体の回収においては、該ラテックスは界面活性剤を含むため未反応塩化ビニル系単量体が蒸発する際に、激しい発泡を伴い、泡の飛散による製品ロスの発生や飛散した泡によるスケールリング等の機器トラブル発生等の課題を有していた。
【0004】
これら課題を解決する方法として、塩化ビニル系重合体ラテックスからの未反応塩化ビニル系単量体の回収操作においては、通常発泡を抑制するために未反応塩化ビニル系単量体を回収する際の処理温度を低くしたり、該ラテックスの処理速度をおそくする等の操作が行われている。しかし、これらの方法は発泡を抑制することに関してはある程度効果的であるものの、処理温度を低下した場合は未反応塩化ビニル系単量体の回収効率が低下する。また、処理速度をおそくした場合は、未反応塩化ビニル系単量体回収のための処理時間が長くなる等の課題があった。
【0005】
そこで、これら乳化重合、播種乳化重合、微細懸濁重合、播種微細懸濁重合等で得られた塩化ビニル系重合体ラテックスからの未反応塩化ビニル系単量体の回収操作に関しては、例えば特開平8−325321号公報には、ノズルから塩化ビニル系重合体ラテックスを蒸発缶内に貯溜された塩化ビニル系重合体ラテックスの液面全面に噴霧することで泡立ちを抑制しながら未反応塩化ビニル系単量体を回収する方法が提案され、また、特開平13−81127号公報には、未反応塩化ビニル系単量体回収装置の後に設置した泡分離器内で泡に水蒸気を直接吹込むことで未反応塩化ビニル系単量体の回収操作により発生した泡を消泡する方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平8−325321号公報に提案の方法では、消泡という面では効果があるものの、その一方で塩化ビニル系重合体ラテックスの液面全面に噴霧する操作を行うために新たな泡立ちが発生するため、泡立ち抑制という点でその効果は満足できるものでなく、また、特開平13−81127号公報に提案の方法では、発生した泡を泡分離器内で消泡させるという点では一定の効果が見られるものの、未反応塩化ビニル系単量体の回収装置以外の泡分離器に水蒸気を供給させる等の設備が必要となる等の課題を有していた。
【0007】
そこで、本発明は、未反応塩化ビニル系単量体の回収装置内で発生する泡立ちについて、塩化ビニル系重合体ラテックスの噴霧操作を特定条件下で行うことによって、泡立ちが抑制され、安定して高効率に未反応塩化ビニル系単量体の回収ができる製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、塩化ビニル系重合体ラテックスから未反応塩化ビニル系単量体を回収する際に、塩化ビニル系重合体ラテックスの噴霧操作を特定条件下で行うことにより泡立ちを抑制し、安定的に高効率で未反応塩化ビニル系単量体の回収が可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明は、塩化ビニル系単量体を水性媒体中で、界面活性剤、重合開始剤の存在下で重合を行い得られる塩化ビニル系重合体ラテックスから真空蒸発塔を用い未反応塩化ビニル系単量体を回収する際に、塩化ビニル系重合体ラテックスを真空蒸発塔内に空円錐型スプレーノズルを用いて噴霧し、その噴霧液到達外周径が真空蒸発塔内周径より大きくなるように噴霧することを特徴とする塩化ビニル系重合体ラテックスからの未反応塩化ビニル系単量体の回収方法に関するものである。
【0010】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明における塩化ビニル系重合体ラテックスとは、水性媒体中で界面活性剤、重合開始剤の存在下、塩化ビニル系単量体を重合して得られるペースト加工用の塩化ビニル系重合体ラテックスであり、その重合方法としては、例えば乳化重合法、播種乳化重合法、微細懸濁重合法、播種微細懸濁重合等を挙げることができる。
【0012】
ここでいう塩化ビニル系単量体とは、塩化ビニル単量体単独又は塩化ビニル単量体と塩化ビニル単量体との共重合可能なビニル単量体との混合物であり、塩化ビニル単量体と共重合し得るビニル単量体としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸又はその無水物;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル類;マレイン酸エステル、フマル酸エステル、桂皮酸エステル等の不飽和カルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルアミルエーテル、ビニルフェニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等のモノオレフィン類;塩化ビニリデン、スチレン及びその誘導体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を挙げることができ、これらビニル単量体は1種以上で用いることが可能である。
【0013】
界面活性剤としては、例えばジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩等が挙げられ、これらは単独又は2種類以上の組合わせで用いることが可能である。
【0014】
重合開始剤としては、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の水溶性重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド,p−クロロベンゾイルパーオキサイド等の芳香族ジアシルパーオキサイド、カプロイルパーオキサイド,ラウロイルパーオキサイド等の脂肪族ジアシルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトロリル,アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ化合物、t−ブチルパーオキシピバレート等の有機酸のパーオキシジエステル、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート,ジオクチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド等の油溶性重合開始剤が挙げられる。そして、これらは単独又は2種類以上の組合わせで用いることが可能である。
【0015】
水性媒体とは、水単独又は水を主成分とする媒体であり、例えば水、脱イオン水、蒸留水等を挙げることができる。
【0016】
本発明は、上述の方法により得られた塩化ビニル系重合体ラテックスから未反応塩化ビニル系単量体を回収する際に、塩化ビニル系重合体ラテックスを真空蒸発塔内に空円錐型スプレーノズルを用いて噴霧し、その噴霧液到達外周径が真空蒸発塔内周径より大きくなるように真空蒸発塔内に噴霧することにより、噴霧液の一部又は全部を真空蒸発塔内壁面に到達させ、塩化ビニル系重合体ラテックスからの未反応塩化ビニル系単量体を回収するものである。
【0017】
本発明で用いる空円錐型スプレーノズルとは空円錐ノズルを有するものであり、空円錐ノズルとは、塩化ビニル系重合体ラテックスを噴霧した際の噴霧液の断面形状が基本的には中心部に液滴分布を持たない噴霧パターンを有するノズルをいい、噴霧液の投影面積の内、約20%以上が外周部に液滴分布を有するノズルをも指すものである。また、本発明で用いる空円錐型スプレーノズルとは、上記特性を有するノズルを示すものであり、例え投影断面が四角形等の円錐形以外の形状を示すノズルであってもそれをも包含するものである。
【0018】
本発明で用いる真空蒸発塔とは、一般的に工業プロセスにおいて溶媒、単量体等を減圧下又は真空下で蒸発回収するために用いられている設備であり、特定の特殊な設備を指すものではなく、例え減圧下で使用しても便宜上真空蒸発塔と称する。
【0019】
本発明は、塩化ビニル系重合体ラテックスから未反応塩化ビニル系単量体を回収する際に、塩化ビニル系重合体ラテックスを真空蒸発塔内に空円錐型スプレーノズルを用いて噴霧し、その噴霧液到達外周径が真空蒸発塔内周径より大きくなるように噴霧、つまり噴霧液が真空蒸発塔内壁面に到達するように噴霧を行うものである。この際、真空蒸発塔底部の塩化ビニル系重合体ラテックスの液表面に噴霧される噴霧液量が全噴霧液量の40%以下であることが好ましく、20%以下となるように噴霧を行うことがより好ましい。ここで、塩化ビニル系重合体ラテックスを噴霧するスプレーノズルが空円錐型スプレーノズルでない場合は、噴霧された塩化ビニル系重合体ラテックスの殆どが真空蒸発塔底部の塩化ビニル系重合体ラテックスの液表面へ衝突するために未反応塩化ビニル系単量体回収時の泡立ちが激しくなる。一方、塩化ビニル系重合体ラテックスの噴霧液到達外周径が真空蒸発塔内周径より小さい場合、噴霧液は真空蒸発塔の塩化ビニル系重合体ラテックスの液表面に直接到達し、未反応塩化ビニル系単量体の回収に伴い真空蒸発塔を上昇する泡を抑制することが難しくなるために未反応塩化ビニル系単量体の回収効率が低下する。
【0020】
本発明における空円錐型スプレーノズルの取付位置としては、塩化ビニル系重合体ラテックスの噴霧液到達外周径が真空蒸発塔内周径より大きくなる位置であればよく、その中でも未反応塩化ビニル系単量体の回収工程をよりコンパクトな設計とすることが可能であることから真空蒸発塔の断面の中心部に空円錐型スプレーノズルを設置することが好ましい。また、空円錐型スプレーノズルの取付位置高さとしては、真空蒸発塔底部の塩化ビニル系重合体ラテックスの液表面から上昇する泡を空円錐型スプレー膜内部にトラップさせやすくする意味で真空蒸発塔全高の底部から1/4以上の高さに設置することが好ましい。
【0021】
また、該空円錐型スプレーノズルのスプレー角度については任意であり、その中でも真空蒸発塔内を上昇する泡を効率良く抑制することが可能となることから180°未満であることが好ましく、更に160°以下であることが好ましい。そして、該空円錐型スプレーノズルのノズル構造については任意であり、本発明の効果を得るためには、噴霧液が真空蒸発塔の内壁面に到達しうるノズルを選定する必要がある。
【0022】
本発明の未反応塩化ビニル系単量体の回収をより効果的なものとするためには真空蒸発塔の運転条件としては、塩化ビニル系重合体ラテックス温度を真空蒸発塔内の飽和水蒸気温度より5〜20℃高い温度とし、空円錐型スプレーノズルより真空蒸発塔内壁面に噴霧することが好ましく、真空蒸発塔内の圧力としては50〜250Torrであることが好ましく、特に80〜200Torrであることが好ましい。
【0023】
また、真空蒸発塔に供給する塩化ビニル系重合体ラテックスの温度調節方法としては、例えば塩化ビニル系重合体ラテックスに圧力0.1MPa以上の水蒸気を直接導入して調節することができる。この際、真空蒸発塔に供給する塩化ビニル系重合体ラテックスの流量としては、一般的に経済的な配管流速として知られている0.5〜3.0m/secの範囲で供給すれば良い。
【0024】
本発明においては、真空蒸発塔に付随する機器として一般的に使用されている例えばミストセパレーター、水蒸気コンデンサー、水封式真空ポンプ等を適宜組合せて用いることも可能である。
【0025】
本発明の方法は、塩化ビニル系重合体ラテックスから未反応塩化ビニル系単量体を回収する方法において、未反応塩化ビニル系単量体回収時の泡立ちによる回収効率の低下が改善でき、原単位の向上、環境衛生上の改善等の効果が得られる。
【0026】
【実施例】
以下に、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらによってなんら制限されるものではない。
【0027】
以下に実施例における評価方法を詳細に説明する。
【0028】
〜塩化ビニル重合体ラテックス中の残存塩化ビニル単量体濃度〜
得られた塩化ビニル重合体ラテックス50mgを採取し、熱分解炉(島津製作所製、商品名PYROLYZERPYR−IA)により105℃で1分間加熱し、ガスクロマトグラフにて塩化ビニル単量体濃度を分析定量した。分析定量した塩化ビニル単量体濃度を塩化ビニル重合体ラテックスの固形分重量あたりの残存塩化ビニル単量体量に計算し、塩化ビニル重合体ラテックス中の残存塩化ビニル単量体濃度とした。
【0029】
〜未反応塩化ビニル単量体回収時の泡立ち〜
真空蒸発塔に設置した覗き窓から内部の泡立ちを目視で観察した。
【0030】
合成例1(シード粒子の水性分散液の調整)
重合缶中に脱イオン水10800kg、塩化ビニル単量体9000kg、重合開始剤として3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド90kg、15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液150kgを仕込んだ後、3時間ホモジナイザーを用いて均質化処理を行った後、系内の温度を40℃にあげて重合反応を開始した。そして、重合圧力が低下した後に未反応塩化ビニル単量体を回収することによりシード粒子の水性分散液を調整した。
【0031】
合成例2(塩化ビニル重合体ラテックスの調整)
重合缶中に脱イオン水105000kg、塩化ビニル単量体12000kg、20重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液60kg、合成例1により得られたシード粒子の水性分散液1320kgを仕込んだ後、重合系の温度を64℃に昇温し重合を開始した。重合開始から重合終了までの間、20重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液600kgを連続的に添加した。
【0032】
重合圧力が64℃における塩化ビニル単量体の飽和蒸気圧から0.6MPa降下した時点で重合反応を停止し、未反応塩化ビニル単量体を回収し、ペースト加工用塩化ビニル重合体ラテックスを得た。得られた塩化ビニル重合体ラテックス中の残存塩化ビニル単量体濃度は2.0重量%であった。
【0033】
実施例1
合成例2で得られた塩化ビニル重合体ラテックスを、噴霧ノズルとしてスプレー角度120°の空円錐型スプレーノズルを塔径の中心で塔頂から0.4mの高さに設置した塔径0.5m、塔高さ1.5mの覗き窓付の真空蒸発塔に該空円錐型スプレーノズルにより連続的に200l/hrの速度で噴霧(噴霧液は真空蒸発塔内壁面に到達、外周部の液滴分布60%)供給し、真空蒸発塔塔底の塩化ビニル重合体ラテックスを抜出しながら未反応塩化ビニル単量体の回収を行った。
【0034】
その際の真空蒸発塔の圧力は149Torr(飽和水蒸気温度60℃)に設定し、真空蒸発塔に供給する塩化ビニル重合体ラテックスは0.15MPaの水蒸気を直接供給して70℃となるように調整した。
【0035】
得られた未反応塩化ビニル単量体回収後の塩化ビニル重合体ラテックスの残存塩化ビニル単量体濃度、泡立ち状況を表1に示す。
【0036】
実施例2
噴霧ノズルとしてスプレー角度60°の空円錐型スプレーノズルを設置した真空蒸発塔を使用した(噴霧液は真空蒸発塔内壁面に到達、外周部液滴分布60%)以外は、実施例1と同様の方法により未反応塩化ビニル単量体の回収を行った。
【0037】
得られた未反応塩化ビニル単量体回収後の塩化ビニル重合体ラテックスの残存塩化ビニル単量体濃度、泡立ち状況を表1に示す。
【0038】
実施例3
空円錐型スプレーノズルの取付位置を塔頂から0.7mの高さとした真空蒸発塔を使用した(噴霧液は真空蒸発塔内壁面に到達、外周部液滴分布60%)以外は、実施例2と同様の方法により未反応塩化ビニル単量体の回収を行った。
【0039】
得られた未反応塩化ビニル単量体回収後の塩化ビニル重合体ラテックスの残存塩化ビニル単量体濃度、泡立ち状況を表1に示す。
【0040】
実施例4
真空蒸発塔の圧力を118Torr(飽和水蒸気温度55℃)に設定し、真空蒸発塔に供給する塩化ビニル重合体ラテックスを60℃となるように調整した以外は、実施例2と同様の方法で未反応塩化ビニル単量体の回収を行った。
【0041】
得られた未反応塩化ビニル単量体回収後の塩化ビニル重合体ラテックスの残存塩化ビニル単量体濃度、泡立ち状況を表1に示す。
【0042】
実施例5
真空蒸発塔の圧力を188Torr(飽和水蒸気温度65℃)に設定し、真空蒸発塔に供給する塩化ビニル系重合体ラテックスを68℃となるように調整した以外は、実施例2と同様の方法で未反応塩化ビニル単量体の回収を行った。
【0043】
得られた未反応塩化ビニル単量体回収後の塩化ビニル重合体ラテックスの残存塩化ビニル単量体濃度、泡立ち状況を表1に示す。
【0044】
比較例1
噴霧ノズルとしてスプレー角度60°の充円錐型スプレーノズルを設置した真空蒸発塔を使用した以外は、実施例2と同様の方法により未反応塩化ビニル単量体の回収を行った。
【0045】
得られた未反応塩化ビニル単量体回収後の塩化ビニル重合体ラテックスの残存塩化ビニル単量体濃度、泡立ち状況を表1に示す。
【0046】
運転途中より泡立ちが激しくなり、真空ポンプ側への泡の飛散が発生し、真空圧力が設定圧力に調整できず、残存塩化ビニル単量体濃度は高いものであった。
【0047】
比較例2
空円錐型スプレーノズルの取付位置を塔頂から1.2mの高さとした真空蒸発塔を使用した(噴霧液は真空蒸発塔内壁面に未到達、外周部液滴分布60%)以外は、実施例2と同様の方法により未反応塩化ビニル単量体の回収を行った。
【0048】
得られた未反応塩化ビニル単量体回収後の塩化ビニル重合体ラテックスの残存塩化ビニル単量体濃度、泡立ち状況を表1に示す。
【0049】
噴霧液到達外周径が真空蒸発塔内周径より小さくなり噴霧液は真空蒸発塔内壁面に未到達であるため、運転当初より泡立ちが激しく、真空ポンプ側への泡の飛散が発生し、真空圧力が設定圧力に調整できず、残存塩化ビニル単量体濃度は高いものであった。
【0050】
比較例3
噴霧ノズルとしてスプレー角度60°の扇型スプレーノズルを設置した真空蒸発塔を使用した(噴霧液は真空蒸発塔内壁面に未到達)以外は、実施例2と同様の方法により未反応塩化ビニル単量体の回収を行った。
【0051】
得られた未反応塩化ビニル単量体回収後の塩化ビニル重合体ラテックスの残存塩化ビニル単量体濃度、泡立ち状況を表1に示す。
【0052】
運転当初より泡立ちが激しく、真空ポンプ側への泡の飛散が発生し、真空圧力が設定圧力に調整できず、残存塩化ビニル単量体濃度は高いものであった。
【0053】
【表1】
Figure 0004066724
【発明の効果】
本発明の方法は、泡立ちが抑制され、安定して高効率に塩化ビニル系重合体ラテックスから未反応塩化ビニル系単量体の回収が可能となる等の効果に優れたものである。

Claims (1)

  1. 塩化ビニル系単量体を水性媒体中で、界面活性剤、重合開始剤の存在下で重合を行い得られる塩化ビニル系重合体ラテックスから真空蒸発塔を用い未反応塩化ビニル系単量体を回収する際に、真空蒸発塔内の圧力を50〜250Torrとし、塩化ビニル系重合体ラテックスに圧力0.1MPa以上の水蒸気を直接導入することで塩化ビニル系重合体ラテックスの温度を真空蒸発塔内の飽和水蒸気温度より5〜20℃高い温度に調整し、塩化ビニル系重合体ラテックスを真空蒸発塔内に空円錐型スプレーノズルを用いて噴霧し、その噴霧液到達外周径が真空蒸発塔内周径より大きくなるように噴霧することを特徴とする塩化ビニル系重合体ラテックスからの未反応塩化ビニル系単量体の回収方法。
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