JP4120382B2 - ペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液の貯蔵方法 - Google Patents

ペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液の貯蔵方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液の貯蔵方法に関するものであり、更に詳しくは、塩化ビニル系単量体を界面活性剤、重合開始剤の存在下、水性媒体中に分散し重合して得られる塩化ビニル系重合体水性分散液から未反応塩化ビニル系単量体を回収した後に、塩化ビニル系重合体水性分散液を貯蔵する方法において、塩化ビニル系重合体水性分散液中のスケール分の発生が少なく、貯蔵安定性に優れた塩化ビニル系重合体水性分散液の貯蔵方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
塩化ビニル系単量体を界面活性剤、重合開始剤の存在下、水性媒体中に分散して、乳化重合、播種乳化重合、微細懸濁重合、播種微細懸濁重合等により粒子径0.05〜10μm程度の塩化ビニル系重合体水性分散液が生産されている。塩化ビニル系重合体水性分散液を製造するこれら乳化重合、播種乳化重合、微細懸濁重合、播種微細懸濁重合等の重合反応では、通常、塩化ビニル系単量体の重合転化率が70〜98%に到達した時点で重合反応を終了させるために、得られる塩化ビニル系重合体水性分散液中には未反応の塩化ビニル系単量体が残存している。そして、塩化ビニル系重合体水性分散液から未反応の塩化ビニル系単量体を回収した後、該水性分散を噴霧乾燥機等により乾燥することによりペースト加工用塩化ビニル系重合体が生産されている。しかし、上記塩化ビニル系重合体水性分散液は非常に不安定であるため、未反応の塩化ビニル系単量体の回収操作等による塩化ビニル系重合体水性分散液へのシエアが強すぎると該水性分散液の貯蔵中に重合体粒子が凝集し、スケール量の増加、安定性の低下等、生産性や品質が悪化する。
【0003】
これら課題を解決する方法として、塩化ビニル系重合体水性分散液からの未反応塩化ビニル系単量体の回収操作時シエアを弱めるために未反応塩化ビニル系単量体を回収する際の処理温度を低くしたり、該水性分散液の処理速度を遅くする等の操作が行われている。しかし、これらの方法は、該水性分散液へのシエアを弱めることに関してはある程度効果的であるものの、処理温度を低くした場合は未反応塩化ビニル系単量体の回収効率が低下する。また、処理速度を遅くした場合は、未反応塩化ビニル系単量体濃度が高い状態の時間が長くなるために、未反応単量体回収操作前の水性分散液の安定性が低下する等の問題があった。
【0004】
そこで、これら乳化重合、播種乳化重合、微細懸濁重合、播種微細懸濁重合等で得られた塩化ビニル系重合体水性分散液からの未反応塩化ビニル系単量体の回収操作に関して、真空蒸発缶に取付けたノズルから塩化ビニル系重合体ラテックスを噴霧する際に、塩化ビニル系重合体ラテックス温度を飽和水蒸気温度より0〜30℃高い温度範囲に抑えて噴霧することで、塩化ビニル系重合体ラテックスの安定性低下を抑制しながら未反応塩化ビニル系単量体を回収する方法(例えば、特許文献1参照)が提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平08−325321号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平08−325321号公報に提案の方法では、未反応塩化ビニル系単量体の回収操作のみに着目しているため、未反応塩化ビニル系単量体の回収操作におけるシエア低下という面では一定の効果はあるものの、未反応塩化ビニル系単量体回収後の塩化ビニル系重合体ラテックスの安定性低下抑制という点でその効果は十分でない。
【0007】
このため、通常、ペースト加工用塩化ビニル系重合体の製造においては、塩化ビニル系重合体水性分散液からの未反応塩化ビニル系単量体の回収操時シエアによるスケール量増加、安定性低下による生産性、品質悪化をある程度見込んだ上で生産が行われている。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑み、従来着目されていなかった塩化ビニル系重合体水性分散液の貯蔵条件を適正化することによって、スケール量が少なく、安定性の良いペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液の貯蔵方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、従来の塩化ビニル系重合体水性分散液からの未反応塩化ビニル系単量体の回収操作を行った後も、特定の貯蔵条件下で塩化ビニル系重合体水性分散液を貯蔵することにより、スケール量が低減化でき、安定性に優れたペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
即ち、本発明は、塩化ビニル系重合体水性分散液の冷却を行い、かつ1時間当たり1〜15分間の割合で攪拌機の翼先端速度を0.5〜2.0m/secとし、断続的に攪拌を行うことを特徴とするペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液の貯蔵方法に関するものである。
【0011】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明におけるペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液とは、界面活性剤、重合開始剤の存在下、塩化ビニル系単量体を水性媒体中で重合して得られた塩化ビニル系重合体水性分散液から未反応塩化ビニル系単量体を回収した後のペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液であり、その重合方法としては、例えば乳化重合法、播種乳化重合法、微細懸濁重合法、播種微細懸濁重合法等を挙げることができる。
【0013】
ここでいう塩化ビニル系単量体とは、塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体と塩化ビニル単量体との共重合可能なビニル単量体との混合物であり、塩化ビニル単量体と共重合し得るビニル単量体としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸又はその無水物;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル類;マレイン酸エステル、フマル酸エステル、桂皮酸エステル等の不飽和カルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルアミルエーテル、ビニルフェニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等のモノオレフィン類;塩化ビニリデン、スチレン及びその誘導体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を挙げることができ、これらビニル単量体は1種以上で用いることが可能である。
【0014】
界面活性剤としては、例えばジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩等が挙げられ、これらは単独又は2種類以上の組合わせで用いることが可能である。
【0015】
重合開始剤としては、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の水溶性重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド等の芳香族ジアシルパーオキサイド;カプロイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の脂肪族ジアシルパーオキサイド;アゾビスイソブチロニトロリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ化合物;t−ブチルパーオキシピバレート等の有機酸のパーオキシジエステル;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジオクチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド等の油溶性重合開始剤が挙げられる。そして、これらは単独又は2種類以上の組合わせで用いることが可能である。
【0016】
ペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液を製造するこれら乳化重合、播種乳化重合、微細懸濁重合、播種微細懸濁重合等の重合反応では、通常、塩化ビニル系単量体の重合転化率が70〜98%に到達した時点で重合反応を終了させるために、重合後の塩化ビニル系重合体水性分散液中には未反応の塩化ビニル系単量体が残存している。これら塩化ビニル系重合体水性分散液から未反応の塩化ビニル系単量体を回収する方法としては、例えば重合後に重合缶内で200〜300Torrの圧力下で50〜70℃に加熱し未反応塩化ビニル系単量体を蒸発させて回収する方法や、さらに真空蒸発塔に噴霧し回収する方法等が挙げられる。そして、このような方法により、得られたペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液は非常に不安定であることに加え、塩化ビニル系重合体水性分散液からの未反応塩化ビニル系単量体の回収は非常に煩雑な操作が必要となるため回収操作後のペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液はより不安定な状態となる。このようにして得られたペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液は、噴霧乾燥機等により乾燥しペースト加工用塩化ビニル系重合体が生産されている。その際に、後工程の乾燥工程での乾燥エネルギーを改善するため、高い温度の状態のまま乾燥工程に供給されている場合もあるが、生産サイクルの関係上、一時的に貯蔵保管することも一般的に行われている。
【0017】
本発明は、水性媒体中で重合反応して得られた塩化ビニル系重合体水性分散液から未反応塩化ビニル系単量体を回収した後、噴霧乾燥工程に供するまでの間、該水性分散液を貯蔵する際に、ペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液を冷却し、かつ1時間当たり1〜15分間の割合で攪拌機の翼先端速度を0.5〜2.0m/secとし、断続的に攪拌を行う貯蔵方法である。
【0018】
本発明でいう貯蔵とは、未反応塩化ビニル系単量体回収後からペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液を乾燥工程に供するまでの間に該水性分散液を貯槽する工程であり、半連続的に該水性分散液の入出がある中継タンク設備をも含むものである。また、貯蔵設備の設置箇所としては未反応塩化ビニル系単量体の回収操作が行われた設備の後、噴霧乾燥工程の前であれば任意である。
【0019】
本発明の攪拌時間、つまり1時間当たり1〜15分間の断続的な攪拌とは、1時間の間に攪拌が稼動している累計時間をいい、例えば1時間の間に連続して15分間攪拌を行っても、5分間の攪拌を3度行っても1時間当たり15分間の攪拌という。
【0020】
本発明の貯蔵方法は、例えば冷却装置と攪拌装置とを備えた貯蔵設備を使用し、ペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液の冷却を行う共に、1時間当たり1〜15分間の割合で攪拌機の翼先端速度を0.5〜2.0m/secの範囲内で断続的に攪拌を行い、好ましくは1時間当たり1.5〜10分間の割合で攪拌機の翼先端速度を0.6〜1.8m/secの範囲内で断続的に攪拌を行うものである。ここで、貯蔵設備に冷却装置がなくペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液の冷却を行わない場合、ペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液の温度が低下しないために該水性分散液の安定性が経時的に低下する等の問題がある。また、攪拌機の翼先端速度が0.5m/sec未満の場合、攪拌時間が1時間当たり1分間未満である場合、貯蔵中のペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液中の重合体粒子が攪拌による再分散が不十分となるためペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液の安定性が低下する問題がある。翼先端速度が早くなれば伝熱係数が増加することによる水性分散液の冷却効率改善や、攪拌強度の増加による重合体粒子の再分散性は改善方向となるが、攪拌機の翼先端速度が2.0m/secを越える場合、攪拌時間が1時間当たり15分間を越える場合、ペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液中の重合体粒子への負荷が局部的に加わるために重合体粒子同士が合一しスケール量が増加する等の問題がある。
【0021】
本発明において、ペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液を冷却するための冷却機としては、いかなる冷却機の使用も可能であり、外部循環式冷却機等が使用可能である。その中でも、ペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液へのシエアをより低くする意味でタンク装置に付設されたコイル式冷却機、またはジャケット式冷却機を使用することが好ましい。
【0022】
本発明は、ペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液の安定性を優れたものとするために冷却を行うものであり、その際の冷却とは連続的な冷却のみならず、断続的な冷却も包含するものである。また、その際の温度としては、該ペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液の安定性の点からはより低いことが好ましく、その中でも冷却機自体の経済性、後の噴霧乾燥工程での乾燥エネルギー効率に優れることから10〜35℃に冷却して貯蔵することがより好ましい。
【0023】
また、ペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液をタンク装置に供給し貯蔵する際には、例えば未反応塩化ビニル系単量体の回収装置出口等に二重管式、プレート式、多管式等の熱交換機により予備冷却後、タンク装置に供給してもよい。
【0024】
本発明によるペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液の貯蔵安定性向上の効果発現機構の詳細は不明であるが、従来、未反応塩化ビニル系単量体の回収操作等でシエアを受けたペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液は、緩やかな重合体粒子の合一物を含んでおり、温度の高い状態で貯蔵された場合に重合体粒子の熱運動が大きくなり重合体粒子の緩やかな合一が促進されると共に、合一により運動エネルギーの増大した合一粒子群が貯槽内で沈降する結果、局部的に重合体粒子の合一が加速し安定性の低下やスケール量の増加が助長されていたものと考えられる。本発明の貯蔵条件下においては、ペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液を冷却し、攪拌速度、攪拌時間を特定条件に設定することで、緩やかな重合体粒子の合一が促進されずに、攪拌分散方向に働いているものと考えられる。
【0025】
また、ペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液を撹拌するための撹拌機の翼形状やバッフル等には特に制限はなく、例えば攪拌翼としては、アンカー翼、ループ翼、マックスブレンド翼、フルゾーン翼、パドル翼、タービン翼等が挙げられ、バッフルとしては、プレートバッフル、パイプバッフル等を使用することができる。
【0026】
本発明は、ペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液貯蔵中のスケール分の発生が少なく、貯蔵安定性に優れたペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液が得られる等の効果が得られる。
【0027】
【実施例】
以下に、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらによってなんら限定されるものではない。
【0028】
以下に実施例における評価方法を詳細に説明する。
【0029】
〜スケール量の評価〜
得られたペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液を、500μmの金網でろ過し、金網上残分をスケールとし、該残分の乾燥後重量を重合反応に仕込んだ塩化ビニル系単量体量に対する重量%で表した。
【0030】
〜ラテックス安定性の測定〜
500mlカップに25℃に調整したペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液250g、クロロホルム1.25gを入れ、ホモジナイザー(ヤマト科学製、商品名ULTRA−DISPERSER MODEL LK−41)を用いて、攪拌開始から重合体粒子が凝集し流動性が低下するまでの時間を測定した。
【0031】
合成例1(シード粒子の水性分散液の調整)
重合缶中に脱イオン水10800kg、塩化ビニル単量体9000kg、重合開始剤として3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド90kg、15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液150kgを仕込んだ後、3時間ホモジナイザーを用いて均質化処理を行った後、系内の温度を40℃にあげて重合反応を開始した。そして、重合圧力が低下した後に未反応塩化ビニル単量体を回収することによりシード粒子の水性分散液を調整した。
【0032】
合成例2(塩化ビニル重合体水性分散液の調整)
重合缶中に脱イオン水105000kg、塩化ビニル単量体12000kg、20重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液60kg、合成例1により得られたシード粒子の水性分散液1320kgを仕込んだ後、重合系の温度を64℃に昇温し重合を開始した。重合開始から重合終了までの間、20重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液480kgを連続的に添加した。
【0033】
重合圧力が64℃における塩化ビニル単量体の飽和蒸気圧から0.5MPa降下した時点で重合反応を停止し、20重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液120kgを添加した。未反応塩化ビニル単量体を回収し、塩化ビニル重合体水性分散液を得た。得られた塩化ビニル重合体水性分散液中の残存塩化ビニル単量体濃度は1.5重量%であった。
【0034】
実施例1
合成例2で得られた塩化ビニル重合体水性分散液を、未反応塩化ビニル単量体の回収方法として、噴霧スプレーノズルを塔径の中心で塔頂から0.4mの高さに設置した塔径0.5m、塔高さ1.5mの覗き窓付の真空蒸発塔にスプレーノズルにより連続的に200l/hrの速度で噴霧供給し、真空蒸発塔塔底の塩化ビニル重合体水性分散液を200l/hrで抜出しながら未反応塩化ビニル単量体の回収を行った。その際、真空蒸発塔の圧力は149Torrに設定し、真空蒸発塔に供給する塩化ビニル重合体水性分散液は65℃となるように調整した。
【0035】
得られた未反応塩化ビニル単量体回収後のペースト加工用塩化ビニル重合体水性分散液を2000lのコイル式冷却機とパドル式攪拌機が付設されたタンクに供給し、コイル式冷却機に連続的に20℃の冷却水を供給しペースト加工用塩化ビニル重合体水性分散液を冷却すると共に、タンクレベルが10%となった時点から1時間ごとに5分間の間隔で断続的に攪拌機の翼先端速度を1.50m/secとして攪拌を行い、24時間該タンクにて貯蔵を行った。
【0036】
未反応塩化ビニル単量体回収直後のペースト加工用塩化ビニル重合体水性分散液の液温、24時間貯蔵後のペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液の液温、スケール量、安定性を表1に示す。
【0037】
実施例2
攪拌機の翼先端速度1.50m/secの代わりに、攪拌機の翼先端速度を1.00m/secとした以外は、実施例1と同様の方法によりペースト加工用塩化ビニル重合体水性分散液の貯蔵を行った。
【0038】
未反応塩化ビニル単量体回収直後のペースト加工用塩化ビニル重合体水性分散液の液温、24時間貯蔵後のペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液の液温、スケール量、安定性を表1に示す。
【0039】
実施例3
1時間ごとの5分間の断続的な攪拌の代わりに、0.5時間毎に5分間の間隔で断続的な攪拌を行った以外は、実施例1と同様の方法によりペースト加工用塩化ビニル重合体水性分散液の貯蔵を行った。
【0040】
未反応塩化ビニル単量体回収直後のペースト加工用塩化ビニル重合体水性分散液の液温、24時間貯蔵後のペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液の液温、スケール量、安定性を表1に示す。
【0041】
実施例4
コイル式冷却機に供給する20℃の冷却水の代わりに、連続的に10℃の冷却水を供給した以外は、実施例1と同様の方法によりペースト加工用塩化ビニル重合体水性分散液の貯蔵を行った。
【0042】
未反応塩化ビニル単量体回収直後のペースト加工用塩化ビニル重合体水性分散液の液温、24時間貯蔵後のペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液の液温、スケール量、安定性を表1に示す。
【0043】
比較例1
コイル式冷却機に冷却水を通水しなかった以外は、実施例1と同様の方法でペースト加工用塩化ビニル重合体水性分散液の貯蔵を行った。
【0044】
未反応塩化ビニル単量体回収直後のペースト加工用塩化ビニル重合体水性分散液の液温、24時間貯蔵後のペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液の液温、スケール量、安定性を表1に示す。
【0045】
24時間貯蔵後のペースト加工用塩化ビニル重合体水性分散液はスケール量が多く、安定性も悪いものであった。
【0046】
比較例2
攪拌機の翼先端速度1.50m/secの代わりに、攪拌機の翼先端速度を2.50m/secとした以外は、実施例1と同様の方法によりペースト加工用塩化ビニル重合体水性分散液の貯蔵を行った。
【0047】
未反応塩化ビニル単量体回収直後のペースト加工用塩化ビニル重合体水性分散液の液温、24時間貯蔵後のペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液の液温、スケール量、安定性を表1に示す。
【0048】
24時間貯蔵後のペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液はスケール量が多く、安定性も悪いものであった。
【0049】
比較例3
攪拌機の翼先端速度1.50m/secの代わりに、攪拌機の翼先端速度を0.40m/secとした以外は、実施例1と同様の方法によりペースト加工用塩化ビニル重合体水性分散液の貯蔵を行った。
【0050】
未反応塩化ビニル単量体回収直後のペースト加工用塩化ビニル重合体水性分散液の液温、24時間貯蔵後のペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液の液温、スケール量、安定性を表1に示す。
【0051】
24時間貯蔵後のペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液はスケール量が多く、安定性も悪いものであった。
【0052】
比較例4
攪拌機を連続的に翼先端速度1.50m/secで攪拌した以外は、実施例1と同様の方法によりペースト加工用塩化ビニル重合体水性分散液の貯蔵を行った。
【0053】
24時間貯蔵後のペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液のスケール量及び安定性は、ペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液がクリーム状となり測定できなかった。
【0054】
比較例5
1時間ごとの5分間の断続的な攪拌の代わりに、30分間ごとに攪拌と攪拌停止を繰り返す断続的な攪拌とした以外は、実施例1と同様の方法によりペースト加工用塩化ビニル重合体水性分散液の貯蔵を行った。
【0055】
未反応塩化ビニル単量体回収直後のペースト加工用塩化ビニル重合体水性分散液の液温、24時間貯蔵後のペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液の液温、スケール量、安定性を表1に示す。
【0056】
24時間貯蔵後のペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液はスケール量が多く、安定性も悪いものであった。
【0057】
【表1】
Figure 0004120382
【発明の効果】
本発明は、貯蔵時のペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液中のスケール分の発生が少なく、安定性に優れたペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液が得られる等の効果に優れたものである。

Claims (2)

  1. 塩化ビニル系重合体水性分散液の冷却の際に冷却機を用いて10〜35℃で冷却を行い、かつ1時間当たり1〜15分間の割合で攪拌機の翼先端速度を0.5〜2.0m/secとし、断続的に攪拌を行うことを特徴とするペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液の貯蔵方法。
  2. 冷却の際に冷却機としてコイル式冷却機又はジャケット式冷却機を用いることを特徴とする請求項1に記載のペースト加工用塩化ビニル系重合体水性分散液の貯蔵方法。
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