JP3900648B2 - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩化ビニル単量体、又は、塩化ビニル単量体及び塩化ビニル単量体との共重合可能な単量体との混合物(以下、塩化ビニル系単量体という。)の懸濁重合法において、水性媒体および塩化ビニル系単量体の重合温度に到達するまでの昇温時間を短縮して、塩化ビニル系重合体製造時の重合工程の生産性を向上させ、併せて得られる塩化ビニル系重合体のフィッシュアイの改善やスケール付着防止をはかり、粒度分布がシャープな塩化ビニル系重合体が得られる製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常、塩化ビニル系単量体の懸濁重合はバッチ式で行われ、塩化ビニル系重合体製造の際には、重合反応器に水性媒体、懸濁剤、重合開始剤および添加剤を仕込んだ後、重合系内を脱気し、塩化ビニル系単量体等を仕込み、攪拌しながら重合反応器のジャケットに温水循環または水蒸気を通し、重合温度まで昇温して重合反応を開始させる。その後、重合反応熱が出てきた時点から重合反応器のジャケットに冷却水を通して重合温度を一定に保つべく冷却を行い、所定の重合率に到達するまで反応を継続する。そして、重合反応終了後、塩化ビニル系単量体等の未反応単量体を回収し、塩化ビニル系重合体を重合反応器から排出する一連の重合操作を行っている。
【0003】
しかし、このような従来法では、内容積に対して伝熱面積の小さい大型の重合反応器では昇温に長時間を要し、このことが塩化ビニル系重合体の生産性低下の一因となっている。
【0004】
このような問題を解決するため、種々の方法が提案されている。
【0005】
例えば加温水を用いた昇温時間短縮の方法として、特公昭58−50603号公報には、30℃以下の水、懸濁剤及び重合開始剤をオートクレーブに仕込んだ後、塩化ビニル系単量体を仕込み、攪拌混合した後、加温水を仕込んで重合を開始する方法、特開平4−248804号公報には、常温の水性媒体、懸濁剤を仕込み、攪拌を開始した後塩化ビニル系単量体、重合開始剤及び加温水を仕込んで重合を開始する方法、特開平60−47007号公報には、塩化ビニル系単量体、重合開始剤、分散安定剤等を40℃以下の温度で均一混合した後、加温水を仕込む方法等が提案されている。
【0006】
さらに、加温水を用いた昇温時間の短縮と、加温水と塩化ビニル系単量体を同時に仕込む仕込時間の短縮を組み合わせた方法として、特公昭60−26488号公報には、重合開始剤が全量溶解した塩化ビニル系単量体と、分散安定剤が全量溶解した加温水を50%以上同時に仕込む方法、特公平7−119247号公報には、塩化ビニル系単量体と加温水を70%以上同時に仕込み、少なくとも20%の分散安定剤を塩化ビニル系単量体仕込み中に仕込み、重合開始剤を塩化ビニル系単量体全量の30〜100%仕込む間、かつ重合器内の単量体の水に対する重量比が1.5以下の時点で全量仕込む方法等が提案されている。
【0007】
また、特開平6−93006号公報には、重合反応器内にスチームを供給する昇温時間短縮の方法が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特公昭58−50603号公報に記載の方法や、特開平4−248804号公報に記載の方法では、加熱した水を使用することによって昇温時間の短縮は図れるが、低温水と高温水といった2種類の温度の異なる水を使用するため製造工程の操作が煩雑であると共に、昇温時間短縮のためには1種類の温水を使用する場合に比べて予め低温水が仕込まれている分、必然的に高温の温水を使用する必要があり、温水の温度が高いと重合反応が急激に開始されるため重合反応器内壁へのスケールの発生や得られる塩化ビニル系重合体の粗粒の生成といった問題を有している。
【0009】
一方、1種類の温水を使用する方法として、特開昭60−47007号公報に記載の方法では、重合開始剤を含んだ塩化ビニル系単量体を加温水より先に仕込むことから塩化ビニル系単量体が直接重合反応器壁面と接触した状態となり、ここに加温水を仕込むと重合が開始されるので、塩化ビニル系重合体が重合反応器壁面に付着しスケールとなり、フィッシュアイの悪化をもたらす。また、該方法では塩化ビニル系単量体仕込後に加温水を仕込むため、塩化ビニル系単量体中に加温水が分散した状態(塩化ビニル系単量体が連続相)から、加温水中に塩化ビニル系単量体が分散する状態(塩化ビニル単量体が分散相)への相転移が起こるため、得られる塩化ビニル系重合体の粗粒の生成や粒度分布が広くなるといった品質上の問題を有する。さらに、相転移が起こらなければ重合反応器内で塩化ビニル系重合体が塊状となり重合器から排出できないという生産上の大きな問題を引き起こす。
【0010】
また、加温水を用いた昇温時間の短縮と、加温水と塩化ビニル系単量体を同時に仕込む仕込時間の短縮を組み合わせた方法のうち、特開昭60−26488号公報に記載の方法は、重合開始剤を塩化ビニル系単量体に溶解して仕込むため、塩化ビニル系単量体の温度を低温に保持するか、あるいは重合活性の低い重合開始剤を用いる必要があり、塩化ビニル系単量体の温度を低温に保持する場合は昇温時間の短縮が図れず、また重合活性の低い重合開始剤を使用する場合は重合時間の短縮が図れないため、生産性向上の効果が小さい。さらに昇温時間を短縮するためには、塩化ビニル系単量体の温度が低い分、より高温の水を使用する必要があり、重合反応器内壁へのスケールの付着や粗粒の生成が問題となる。また、分散安定剤を加温水に溶解し仕込む場合、加温水の温度が分散安定剤の曇点を超えると分散安定剤が析出するため仕込配管等へ付着し仕込みが困難となるため、曇点の高い分散安定剤を使用するか、あるいは配管内への付着を防止する措置を高じなければならないといった問題を有する。
【0011】
特公平7−119247号公報に記載の方法は、塩化ビニル系単量体仕込中に分散安定剤を少なくとも20%仕込むため分散安定剤の濃度にむらができるためか、得られる塩化ビニル系重合体の粒度分布が広くなるという問題があった。さらに、塩化ビニル系単量体と加温水の同時仕込では、塩化ビニル系単量体と加温水の仕込比率を制御してやらないと、塩化ビニル系単量体と水性媒体の相転移が起こる恐れがあり、特に生産性向上のために1バッチ当たりの塩化ビニル系単量体の仕込量を多くした場合、塩化ビニル系単量体に対する加温水の比率が小さくなるため、塩化ビニル系単量体や加温水の仕込タイミングや仕込速度の微妙なコントロールが必要となる。
【0012】
さらに、特開平6−93006号公報に記載の方法では、スチーム吹き込みにより昇温時間は短縮されるものの、スチームとの接触部の温度が急激に上昇するため、重合が局部的に開始し、得られる塩化ビニル系重合体のロールフィッシュアイが大きく悪化してしまうという問題を有する。
【0013】
そこで、本発明の目的は、上記の課題を解決した塩化ビニル系重合体の製造時の生産性に優れ、得られる塩化ビニル系重合体の粒度分布がシャープであり、フィッシュアイが改善される塩化ビニル系重合体の製造方法を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決し重合工程のサイクル時間を短縮すべく鋭意検討を進めた結果、特定の条件下で塩化ビニル系重合体の製造を行うことにより、昇温時間の短縮により重合工程のサイクル時間の短縮を達成できるとともに、得られる塩化ビニル系重合体のフィッシュアイ、粒度分布を損なうことなく、またスケールの付着がないことを見出し本発明を完成させるに至った。
【0015】
即ち、本発明は、塩化ビニル系単量体を重合開始剤及び分散安定剤存在下、水性媒体中で懸濁重合を行い塩化ビニル系重合体を製造する方法において、予め重合反応器ジャケットに50℃以上80℃未満の温水を循環し、反応容器内の圧力をゲージ圧にて0MPa以上とした状態で、撹拌下にて40℃以下の水性媒体及び分散安定剤の重合反応器内への仕込みを開始し、該水性媒体の仕込量が用いるべき塩化ビニル系単量体に対して30重量%以上に達した時点で、塩化ビニル系単量体の仕込みを開始し、該塩化ビニル系単量体の仕込み終了後、重合反応器ジャケットに80℃以上100℃未満の温水を循環させることを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法に関するものである。
【0016】
以下、本発明について更に詳細に説明する。
【0017】
本発明において用いられる塩化ビニル系単量体とは、塩化ビニル単量体、又は、塩化ビニル単量体及び塩化ビニル単量体と共重合可能な単量体との混合物である。
【0018】
塩化ビニル単量体と共重合可能な単量体としては、塩化ビニル単量体と共重合可能な単量体であればいかなるものも使用することができ、例えばエチレン,プロピレン等のオレフィン類、酢酸ビニル,ステアリン酸ビニル等のビニルエステル類、エチルビニルエーテル,セチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸ブチル,アクリル酸プロピル等のアクリル酸エステル類、マレイン酸,フマル酸のエステル類または無水物、スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル等の従来から塩化ビニル単量体と共重合可能な単量体として知られている単量体が挙げられる。そして、該共重合可能な単量体は、塩化ビニル単量体に対し通常20重量%以下の割合で使用することが好ましい。
【0019】
本発明において用いられる水性媒体としては、脱イオン水が好ましく、該水性媒体を用いる際には、常温でも、予め加温しておいても差し支えないが、40℃以下の温度で重合反応器内に仕込むものである。
【0020】
本発明において用いられる重合開始剤としては、一般に重合開始剤として知られているものを用いることができ、例えばジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート化合物;t−ブチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシビバレート、t−アミルパーオキシネオデカノエート、1,1−ジメチル−3−ヒドロキシブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシジグリコレート、α−クミルパーオキシネオデカネート等のパーオキシエステル化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド等の過酸化物;アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル),アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;過酸化水素等を挙げることができ、これらは一種単独または二種以上の組合わせで使用することも可能である。
【0021】
ここで、該重合開始剤は、塩化ビニル系単量体100重量部に対して、0.001〜1重量部の範囲が使用することが好ましい。
【0022】
本発明の方法において用いられる分散安定剤としては、特に限定はなく、一般的に懸濁重合の分散安定剤として使用されているもので良く、例えばメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、部分けん化ポリビニルアルコール,アクリル酸重合体,ゼラチン等の水溶性ポリマー、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤等が挙げられ、これらは一種単独でまたは二種以上組合わせ使用することも可能である。
【0023】
ここで、該分散安定剤は、塩化ビニル系単量体100重量部に対して、0.01〜1重量部の範囲で使用することが好ましい。
【0024】
本発明の製造方法は、予め重合反応器ジャケットに50℃以上80℃未満の温水を循環させるものである。これは、重合反応器内に仕込む水性媒体をその仕込み中に加温することが目的であり、本発明はこの操作により生産性が向上されるものである
ここで、重合反応器ジャケットに循環させる温水の温度が50℃未満の場合、重合反応器への水性媒体の仕込み時に水性媒体の温度を高めることができず、この結果生産性の向上が達成されない。一方、重合反応器ジャケットに循環させる温水の温度が80℃以上の場合、重合反応器内の温度が急激に上昇し、重合反応器内の温度制御が困難となるばかりでなく、塩化ビニル系重合体の製造時にスケールの付着が激しくなり好ましくない。
【0025】
さらに、本発明の製造方法を実施する際には、塩化ビニル系重合体が特に粒度分布の小さい粒子として得られることから、邪魔板を有する重合反応器を用いることが好ましい。そして、その際には、効率よく水性媒体の温度を高めることが可能となることから、邪魔板を二重管とし、水性媒体を仕込み中に加熱するために、予め該邪魔板にも50℃以上80℃未満の温水を循環させることが好ましい。
【0026】
また、本発明の製造方法は、重合反応容器内の圧力をゲージ圧にて0MPa以上とした状態で、撹拌下にて40℃以下の水性媒体および分散安定剤の仕込みを開始するものである。本発明でいうゲージ圧とは、一般的な市販の圧力ゲージを用いて測定した値をいう。
【0027】
ここで、重合反応容器内の圧力をゲージ圧で0MPa未満とした状態で、撹拌下にて40℃以下の水性媒体および分散安定剤の仕込みを開始した場合、水性媒体中の溶存酸素濃度が低下するために、得られる塩化ビニル系重合体が粗粒化してしまう。そして、特に本発明において使用される水性媒体としては、溶存酸素濃度2ppm以上飽和濃度+2ppm以下の範囲である水性媒体を用いることが好ましい。
【0028】
また、撹拌を行わずに40℃以上の水性媒体及び分散安定剤の仕込みを開始した場合、水性媒体の温度制御が困難となる。さらに、分散安定剤の曇点を超えた場合、分散安定剤が重合反応器壁面に付着し、重合反応時のスケール発生の原因となるとともに、分散剤濃度低下により得られる塩化ビニル系重合体が粗粒化してしまう。
【0029】
本発明において重合反応容器内の圧力をゲージ圧にて0MPa以上とする方法は、重合反応容器内の圧力をゲージ圧にて0MPa以上とすることが可能であればいかなる方法を用いても良く、例えば重合反応器の脱気後塩化ビニル系単量体を少量仕込み0MPa以上とする方法,前バッチの未反応単量体を重合反応器内に残し0MPa以上とする方法等の塩化ビニル系単量体により重合反応器内の圧力を0MPa以上とする方法、窒素,ヘリウム,アルゴン等の不活性ガスにより重合反応器内の圧力を0MPa以上とする方法等が挙げられ、本発明においては、重合工程の煩雑化を伴うことなく重合反応容器内の圧力をゲージ圧にて0MPa以上とすることが可能であることからこれらの方法、特に塩化ビニル系単量体により重合反応器内の圧力を0MPa以上とする方法を用いることが好ましい。
【0030】
さらに、本発明の製造方法は、該水性媒体の仕込量が用いるべき塩化ビニル単量体に対して30重量%以上に達した時点で、塩化ビニル系単量体の仕込みを開始するものである。ここで、該水性媒体の仕込量が用いるべき塩化ビニル系単量体に対して30重量%より少ない段階で塩化ビニル系単量体の仕込みを開始した場合、塩化ビニル系単量体と水性媒体の相転移が起こる可能性があり、重合反応中にスケールが付着したり、得られる塩化ビニル系重合体のロールフィッシュアイが悪化するという問題を有する。さらに、重合反応器内で塩化ビニル系重合体が塊状となり重合反応器から排出できないという生産上の大きな問題を引き起こす恐れがある。
【0031】
本発明の製造方法は、塩化ビニル系単量体の仕込み終了後に重合反応器ジャケットに80℃以上100℃未満の温水を循環させることにより、所定の重合温度まで昇温するものである。ここで、温水の温度が80℃より低い場合、重合反応器内温度の上昇が遅く、所定の重合温度まで昇温するのに長時間を要し、塩化ビニル系重合体製造時の生産性の向上が達成されない。一方、温水の温度が100℃以上の場合、重合反応器内の温度が急激に上昇し、重合反応器内の温度制御が困難となるばかりでなく、塩化ビニル系重合体のスケールの付着が激しくなり、品質の優れる塩化ビニル系重合体が得られない。
【0032】
【実施例】
以下、本発明の製造方法を実施例および比較例にもとづき説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
実施例及び比較例により得られた塩化ビニル系重合体の評価・測定は下記方法により行った。
【0034】
〜粒度分布〜
得られた塩化ビニル系重合体をJIS Z 8801に準じた45メッシュの篩にかけ、該篩を通過したサンプルをさらにJIS Z 8801に準じた60メッシュ、80メッシュ、100メッシュ、140メッシュ、200メッシュの篩で篩い、該サンプルの85重量%の塩化ビニル系重合体粒子が通過した篩目の大きさ(A(μm))、15重量%の塩化ビニル系重合体粒子が通過した篩目の大きさ(B(μm))及び50重量%の塩化ビニル系重合体粒子が通過した篩目の大きさ(C(μm))を測定し、その結果を下記式に挿入することにより粒度分布を算出した。
【0035】
粒度分布=(A−B)/C
〜平均粒径〜
得られた塩化ビニル系重合体をJIS Z 8801に準じた45メッシュの篩にかけ、該篩を通過したサンプルを用い、該サンプルの50重量%の塩化ビニル系重合体粒子が通過するふるいの目の大きさ(μm)を平均粒径として表す。
【0036】
〜45メッシュオン〜
得られた塩化ビニル系重合体をJIS Z 8801に準じた45メッシュの篩にかけ、該篩にかけるサンプル全量に対する該篩上に残ったサンプルの重量比率(百分率)を45メッシュオンとして表す。
【0037】
〜かさ比重〜
JIS K 6721に準じた。
【0038】
〜フィッシュアイ〜
得られた塩化ビニル系重合体100重量部、Ca−Zn系粉末複合安定剤1.5重量部、有機燐系安定化助剤0.5重量部、群青3重量部およびDOP(ジオクチルフタレート)50重量部を混合し、150℃のロールで厚さ0.35mmとして5分間混練し、0.35mmのシートを分取し、シート50cm2中の透明粒子の数をもって示す。
【0039】
〜スケール付着状況〜
重合反応器壁についたスケール量を目視で評価した。
【0040】
○良好
×悪い(付着が激しい)
実施例1
重合反応器として、1.6m3の逆流コンデンサーを設置し、二重管構造となったパイプ型の邪魔板を有する重合反応器を用いた。まず、重合反応器のジャケット及び二重管構造の邪魔板に60℃の温水を循環させた。その後、重合反応器内を脱気し、塩化ビニル単量体10kgを仕込んだ。その時の重合反応器内の圧力はゲージ圧にて0.1MPaであった。
【0041】
そして、撹拌下、溶存酸素濃度7ppmの35℃の脱イオン水576kg、分散安定剤としてけん化度80モル%、平均重合度2600の部分ケン化ポリビニルアルコール3.5%溶液7800gの仕込みを同時に開始し、脱イオン水は10分間、分散安定剤は2分間で仕込みを終了した。脱イオン水の仕込み終了後、20℃の塩化ビニル単量体536kgの仕込みを開始し、塩化ビニル単量体の仕込みは6分間で終了した。なお、塩化ビニル単量体380kg(塩化ビニル単量体全仕込量の約70重量%)仕込んだ段階で、予めポットに仕込んでおいた純度70重量%のクミルパーオキシネオデカノエート368gと純度70%のt−ブチルパーオキシネオデカノエート368gを重合反応器内に仕込んだ。これらの仕込み終了後の重合反応器内温度は45℃であった。
【0042】
塩化ビニル単量体仕込み終了後、重合反応器ジャケット及び二重管構造の邪魔板に90℃の温水を循環させ、重合反応器内温度を57.5℃まで昇温した。昇温には18分間を要し、仕込み開始から重合温度到達までの昇温時間は34分間であった。
【0043】
そして、重合反応器内圧力が57.5℃における飽和蒸気圧より0.2MPa低下した段階で重合を終了とし、未反応塩化ビニル単量体を回収し撹拌をした。得られたスラリーを脱水乾燥し、塩化ビニル重合体を得た。
【0044】
得られた塩化ビニル重合体を上記の評価方法により、評価測定した。その結果を表1に示す。
【0045】
得られた塩化ビニル重合体の粉体特性及びフィッシュアイは良好なものであり、塩化ビニル重合体の製造時のスケールの付着も認められなかった。
【0046】
実施例2
重合反応器ジャケット及び二重管構造の邪魔板に75℃の温水を循環させ、撹拌下35℃の脱イオン水及び分散安定剤の仕込みを同時に開始した。仕込み開始時の重合反応器内の圧力は0.2MPaであった。
【0047】
脱イオン水仕込終了後20℃の塩化ビニル単量体の仕込みを開始し、塩化ビニル単量体の仕込みは6分間で終了した。塩化ビニル単量体仕込み終了後、重合反応器内の温度は50℃であった。
【0048】
続いて、重合反応器ジャケット及び二重管構造の邪魔板に90℃の温水を循環させ、重合反応器内温度を57.5℃まで昇温した。昇温には11分間を要し、仕込み開始から重合温度到達までの昇温時間は27分間であったことを除いては実施例1と同様の方法で塩化ビニル単量体の重合を行った。
【0049】
得られた塩化ビニル重合体を上記の評価方法により、評価測定した。その結果を表1に示す。
【0050】
得られた塩化ビニル重合体の粉体特性及びフィッシュアイは良好なものであり、塩化ビニル重合体の製造時のスケールの付着も認められなかった。
【0051】
実施例3
重合反応器ジャケット及び二重管構造の邪魔板に75℃の温水を循環させ、撹拌下35℃の脱イオン水及び分散安定剤の仕込みを同時に開始した。仕込み開始時の重合反応器内の圧力は0.2MPaであった。
【0052】
そして、脱イオン水仕込み開始5分後、脱イオン水を268kg(用いるべき塩化ビニル単量体の50重量%に相当。)仕込んだ段階で、20℃の塩化ビニル単量体の仕込みを開始し、塩化ビニル単量体は6分間で仕込み、塩化ビニル単量体仕込み終了後、重合反応器内の温度は45℃であった。
【0053】
そして、重合反応器ジャケット及び二重管構造の邪魔板に90℃の温水を循環させ、重合反応器内温度を57.5℃まで昇温した。昇温には18分間を要し、仕込み開始から重合温度到達までの昇温時間は29分間であったことを除いては実施例1と同様の方法で重合を行った。
【0054】
得られた塩化ビニル重合体を上記の評価方法により、評価測定した。その結果を表1に示す。
【0055】
得られた塩化ビニル重合体の粉体特性及びフィッシュアイは良好なものであり、塩化ビニル重合体の製造時のスケールの付着も認められなかった。
【0056】
比較例1
重合反応器のジャケット及び二重管構造の邪魔板に60℃の温水を循環し、重合反応器をゲージ圧にて−0.06MPaまで脱気した後、その状態で35℃の脱イオン水及び分散安定剤の仕込みを撹拌下で同時に開始した以外は実施例1と同様の方法により塩化ビニル単量体の重合を行った。
【0057】
得られた塩化ビニル重合体を上記の評価方法により、評価測定した。その結果を表1に示す。
【0058】
得られた塩化ビニル重合体は、粗粒化し、ロールフィッシュアイが大きく悪化し、スケールの付着も激しいものであった。
【0059】
比較例2
重合反応器のジャケット及び二重管構造の邪魔板に90℃の温水を循環し、塩化ビニル単量体仕込後の重合反応器内の温度が55℃であり、重合温度までの昇温に5分間を要し、仕込み開始から重合温度到達までの昇温時間が21分間であったことを以外は、実施例1と同様の方法で塩化ビニル重合体の重合を行った。
【0060】
得られた塩化ビニル重合体を上記の評価方法により、評価測定した。その結果を表2に示す。
【0061】
得られた塩化ビニル重合体は、粗粒化し、ロールフィッシュアイが大きく悪化し、スケールの付着も激しいものであった。
【0062】
比較例3
脱イオン水として50℃の純水を使用し、塩化ビニル単量体仕込み終了後の重合反応器内の温度が50℃であり、重合温度到達までの昇温に11分間を要し、仕込み開始から重合温度到達までの昇温時間が27分間であったことを以外は実施例1と同様の方法で塩化ビニル重合体の重合を行った。
【0063】
得られた塩化ビニル重合体を上記の評価方法により、評価測定した。その結果を表2に示す。
【0064】
得られた塩化ビニル重合体は、粗粒化し、ロールフィッシュアイが大きく悪化し、スケールの付着も激しいものであった。
【0065】
比較例4
重合反応器のジャケット及び二重管構造の邪魔板に温水を循環せず、実施例1と同様の方法で脱イオン水、塩化ビニル単量体を仕込んだ。塩化ビニル単量体仕込み終了後の重合反応器内の温度は30℃であった。塩化ビニル単量体仕込み終了後に重合反応器のジャケット及び二重管構造の邪魔板に90℃温水を循環させ、重合温度到達までの昇温に40分間を要し、仕込み開始から重合温度到達までの昇温時間に56分間を要した以外は実施例1と同様の方法により塩化ビニル重合体の重合を行った。
【0066】
得られた塩化ビニル重合体を上記の評価方法により、評価測定した。その結果を表2に示す。
【0067】
仕込み開始から重合温度到達までの昇温時間に長時間を有し、生産性の低いものであった。
【0068】
【表1】
Figure 0003900648
【0069】
【表2】
Figure 0003900648
【0070】
【発明の効果】
本発明の製造方法によると、粒度分布がシャープでロールフィッシュアイに優れる塩化ビニル系重合体がスケールの付着を伴うことなく、仕込み昇温時間が大幅に短縮でき、塩化ビニル系重合体の生産性を大幅に高める方法により製造することが可能となり、本発明の工業的価値は非常に大きいものである。

Claims (2)

  1. 塩化ビニル系単量体を重合開始剤及び分散安定剤存在下、水性媒体中で懸濁重合を行い塩化ビニル系重合体を製造する方法において、予め重合反応器ジャケットに50℃以上80℃未満の温水を循環し、反応容器内の圧力をゲージ圧にて0MPa以上とした状態で、撹拌下にて40℃以下の水性媒体及び分散安定剤の重合反応器内への仕込みを開始し、該水性媒体の仕込量が用いるべき塩化ビニル系単量体に対して30重量%以上に達した時点で、塩化ビニル系単量体の仕込みを開始し、該塩化ビニル系単量体の仕込み終了後、重合反応器ジャケットに80℃以上100℃未満の温水を循環させることを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法。
  2. 重合反応器として二重管の邪魔板を有する重合反応器を用い、該邪魔板にも予め50℃以上80℃未満の温水を循環させることを特徴とする請求項1に記載の塩化ビニル系重合体の製造方法。
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