JP3369339B2 - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents
塩化ビニル系重合体の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塩化ビニル系重合体の
懸濁重合による製造方法に関し、特に、可塑剤吸収性に
優れ、しかも嵩比重が高く、粒度分布がシャープであ
り、フィッシュアイの少ない塩化ビニル系重合体をスケ
ール付着が少ない高い生産性で製造する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、加工性、ブレンド性の改良や
成形物に加工した場合のフィッシュアイの低減を目的と
する塩化ビニル系重合体の製造方法が数多く提案されて
いる。例えば、特開昭52-5866 号、同52-15890号、同55
-112210 号、同53-6392 号、特公昭61-18562号公報等に
は、分散剤として、平均重合度 600以下、けん化度55モ
ル%以下の低重合度、低けん化度のいわゆる油溶性ポリ
ビニルアルコールを用いて単量体である塩化ビニルを水
性媒体中に懸濁分散させて懸濁重合を行う塩化ビニル系
重合体を製造する方法が開示されている。この方法によ
れば、得られる塩化ビニル系重合体の可塑剤吸収量をあ
る程度高めることができることからゲル化性を向上させ
ることができ、しかも該重合体を加工することにより得
られる成形物のフィッシュアイの発生もある程度低減す
ることができる。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法による可塑剤吸収量の向上、改良及びフィッシュア
イの低減の程度はなお十分満足できるものではない。ま
た、分散剤として上記の低重合度、低けん化度の油溶性
ポリビニルアルコールの使用量を増加して、可塑剤吸収
量の改良及びフィッシュアイの低減の効果を、より一層
向上させることが試みられているが、上記の低重合度、
低けん化度の油溶性ポリビニルアルコールの重合開始前
の使用量を、仕込み単量体 100重量部当り0.03重量部以
上にすると、反応混合物の懸濁系が不安定となって、粗
粒の発生やスケールの付着が生じたり、得られる塩化ビ
ニル重合体の嵩比重が低下したり、粒度分布がフロート
になったりフィッシュアイが多くなる等の品質低下をま
ねくという問題があった。 【0004】従って、本発明の課題は、低重合度、低け
ん化度の油溶性ポリビニルアルコールの使用量を、例え
ば、仕込み単量体 100重量部当り0.03重量部以上にして
も、可塑剤吸収量が多く、しかも嵩比重が高く、粒度分
布がシャープでありフィッシュアイの少ない塩化ビニル
系重合体を、スケール付着が少ない高い生産性で安定的
に製造することができる方法を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体
を含有する単量体混合物を、反応混合物を攪拌するため
の攪拌機を備えた重合器内で分散剤の存在下、水性媒体
中で懸濁重合することにより塩化ビニル系重合体を製造
する方法において、前記分散剤として、平均重合度が 1
50〜600 で、けん化度が20〜60モル%の部分けん化ポリ
ビニルアルコールが前記単量体 100重量部当り少なくと
も0.03重量部仕込まれ、懸濁重合開始時点から重合転化
率が3〜15%に達する時点までは前記攪拌機の攪拌動力
が前記反応混合物1t当り30〜70kg・m ・s -1・ton -1
の範囲に制御され、それ以後の撹拌動力が少なくとも
80kg・m ・s -1・ton -1 に制御されることを特徴とす
る塩化ビニル系重合体の製造方法(但し、平均重合度40
0〜850の塩化ビニル系重合体を得る場合を除く)を提供
する。 【0006】本発明においては、分散剤として、平均重
合度が 150〜600 、好ましくは 200〜600 、さらに好ま
しくは 200〜400 で、けん化度が20〜60モル%、好まし
くは40〜55モル%、さらに好ましくは45〜55モル%の低
重合度、低けん化度の油溶性部分けん化ポリビニルアル
コールを使用することが不可欠である。平均重合度が15
0未満及び/又はけん化度が20モル%未満のものを使用
すると、懸濁安定性を維持することができないので、粗
粒が発したり、スケールの付着が増大したりする。ま
た、平均重合度が 600を超え及び/又はけん化度が60モ
ル%を超えるものを使用すると、可塑剤吸収量を高める
ことができず、また、得られる重合体の成形物のフィッ
シュアイを低減することができない。 【0007】上記の油溶性部分けん化ポリビニルアルコ
ールは、重合開始前に、水性媒体と同時に、又は水性媒
体仕込み後に仕込まれることにより、重合初期の段階の
単量体液滴を細かく水性媒体中に懸濁分散させることが
でき、これにより、得られる重合体の可塑剤吸収量を高
めることができる。また、その仕込み量は、単量体 100
重量部当り、少なくとも0.03重量部であり、好ましく
は、0.5 〜1重量部、さらに好ましくは0.08〜0.5 重量
部の範囲である。 【0008】また、本発明においては、重合器に備えら
れた攪拌機の攪拌動力が、懸濁重合開始時点から重合転
化率が3〜15%に達する時点までは反応混合物1t当り
30〜70kg・m ・s -1・ton -1 の範囲に制御され、それ
以後の撹拌動力が少なくとも80kg・m ・s -1・ton -1
、好ましくは、80〜170 kg・m ・s -1・ton -1、さら
に好ましくは 100〜150 kg・m ・s -1・ton -1 の範囲
に制御されることが重要である。重合開始時点から重合
転化率が3〜15%の重合初期の段階の攪拌動力が30kg・
m ・s -1・ton -1未満では、単量体液滴を細かく懸濁分
散させることができず、得られる重合体の粒径が安定し
ないばかりか、フィッシュアイも増大する。70kg・m ・
s -1・ton -1 を超えると単量体液滴が過剰に細かく分
散され、更に重合が進んで液滴の合一が激しくなった場
合、粒径の調節が困難となる結果、粒度分布がブロード
になり、粗径や細粒が極端に増加し、スケールの付着も
しやすくなる。このため,得られる塩化ビニル系重合体
のフィッシュアイの増加等の問題が生じる。また、重合
転化率が3〜15%を超えた後の攪拌動力が80kg・m ・s
-1・ton -1未満では、得られる重合体の嵩比重が高まら
ない上、スラリーの粘度が上昇して重合反応熱の除去が
困難になり、反応を制御することができない。尚、重合
転化率が3〜15%を超えた後の攪拌動力が 170kg・m ・
s -1・ton -1を超えた場合、特に技術的に問題はない
が、得られる効果が特に向上しないので、エネルギー消
費のうえで不利であることから、 170kg・m ・s -1・to
n -1 以下であることが好ましい。 【0009】ここで水性懸濁混合物に加えられる「攪拌
動力」とは、重合器の運転中に攪拌機用モーターの駆動
モーターに負荷されるエネルギー(ワットメーターによ
り電気的に計測される)からモーター効率、伝導ロス、
メカニカルシールロス等の各種ロス等を差し引いた水性
懸濁混合物の攪拌に要した正味のエネルギーである。攪
拌動力は攪拌軸の回転数の変更によって容易に調節する
ことができる。攪拌機用モーターの駆動モーターに負荷
されるエネルギー:Akg・m ・s -1、モーター効率、伝
導ロス、メカニカルシールロス等の各種ロスエネルギ
ー:Bkg・m ・s -1、そして水性懸濁混合物仕込み重
量:Cton とすると、攪拌動力は、次式:で示される。 【0010】また、反応混合物に伝達される撹拌エネル
ギーは、重合器の形状、攪拌翼の形状、バッフルの形状
等に依存するが、攪拌回転数の変更によって攪拌動力を
容易に調節することができるので、本発明においては特
にそれらの形状には制約はない。重合器としては、攪拌
機、還流コンデンサー、バッフル、ジャケット等が付設
された、円筒状等の形状の従来周知のものが用いられ
る。攪拌機には、一般的には、攪拌軸にパドルファウド
ラー、タービン、プロペラ等の形式の攪拌翼のものを複
数段取り付けたものが用いられる。また、用いられるバ
ッフルの形状としては平板状、円筒状、ヘアピンコイル
状等のものが用いられ、これらは複数個適宜重合器内に
付設される。 【0011】本発明の方法で製造される塩化ビニル系重
合体は、塩化ビニルホモポリマーのほか、塩化ビニルと
他のビニル系単量体との共重合物 (通常、塩化ビニルが
50重量%以上) が包含される。この塩化ビニルと共重合
されるコモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロ
ピオン酸ビニル等のビニルエステル;例えば、アクリル
酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル及
びメタクリル酸エステル;例えば、エチレン、プロピレ
ン等のオレフィン;無水マレイン酸;アクリロニトリ
ル;スチレン;塩化ビニリデン等が例示され、これらは
単独で又は2種以上の組合せで用いられる。 【0012】本発明においては、上記の平均重合度 150
〜600 、けん化度20〜60モル%の部分けん化ポリビニル
アルコール (以下、第1の分散剤という)の使用が必須
であるが、その他の分散剤の併用も可能である。しか
し、第1の分散剤を使用すると、通常、その他の分散剤
を併用しなくとも、重合中の攪拌動力を制御することに
より本発明の効果を得ることができる。即ち、本発明に
おいては第1の分散剤のみを用いるのが好ましいが、本
発明の効果を損わない範囲において、以下の様な分散剤
(第2の分散剤ともいう)を併用してもよい。例えば、
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒド
ロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル
セルロース等の水溶性セルロースエーテル;水溶性及び
油溶性の部分けん化ポリビニルアルコール;アクリル酸
重合体及び架橋ポリアクリル酸;ゼラチン等のポリマー
が例示される。第2の分散剤として好ましいのは、けん
化度70〜90モル%、重合度 700〜3000の水溶性部分けん
化ポリビニルアルコールおよびヒドロキシプロピルメチ
ルセルロースである。第2の分散剤は単独でも2種以上
の組合せでも使用することができる。 【0013】本発明で用いられる重合開始剤としては、
従来塩化ビニル等の重合に使用されているものでよく、
例えば、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ブ
チルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシネ
オデカノエート、t−ヘキシルネオヘキサノエート、t
−ヘキシルパーオキシピバレート、α−クミルパーオキ
シネオデカネート、2,4,4−トリメチルペンチル−
2−パーオキシ−2−ネオデカネート等のパーエステル
化合物;例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネ
ート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネー
ト、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネー
ト、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネー
ト、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパ
ーカーボネート化合物;例えば、デカノイルパーオキシ
ド、ベンゾイルパーオキシド、クメンハイドロパーオキ
シド、シクロヘキサノンパーオキシド、2,4−ジクロ
ロベンゾイルパーオキシド、p−メタンハイドロパーオ
キシド、イソブチリルパーオキシド、アセチルシクロヘ
キシルスルホニルパーオキシド、2,4,4−トリメチ
ルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテート、
3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、ラ
ウロイルパーオキシド等の過酸化物;例えば、α,α′
−アゾビスイソブチロニトリル、α,α′−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)、α,α′−アゾ
ビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)等のアゾ化合物などの油溶性の重合開始剤が挙げら
れ、これらは1種単独で又は2種以上を組合せで使用す
ることができる。 【0014】重合開始剤は、通常行われるように仕込む
ことができ、例えば、水又は単量体の仕込み中、あるい
は仕込み終了後に添加すれば良く、予め単量体に均一に
混合して単量体と共に仕込んでもよく、更には水性エマ
ルジョンとして水性媒体と共に仕込んでもよい。 【0015】本発明の製造方法は、上述した第1の分散
剤を重合開始前に仕込み、撹拌動力を上述した特定の範
囲に制御することを除けば、従来公知の条件で懸濁重合
を行うことができる。 【0016】以下、本発明の一般的な懸濁重合方法を具
体的に例示する。まず、水、上記の第1の分散剤、必要
に応じて第2の分散剤などのその他の添加剤を仕込む。
次に、重合器内を排気して 0.1〜100 mmHg abs. に減圧
した後、単量体を仕込む。この時、重合器内の内圧は通
常 0.5〜30kgf/cm2 ・Gになる。また、重合開始剤は、
水又は単量体の仕込み中、又は仕込み終了後に添加すれ
ばよく、予め単量体に均一に混合した状態で単量体とと
もに仕込んでもよく、さらには水性エマルジョンとして
水性媒体とともに仕込んでもよい。その後、通常30〜80
℃の反応温度で重合を行うが、重合開始時点から重合転
化率が3〜15%に達する時点までは攪拌動力を反応混合
物1t当り30〜70kg・m ・s -1・ton -1 の範囲に制御
し、それ以後は少なくとも80kg・m ・s -1・ton -1 に
制御しながら行う。尚、重合転化率は重合開始からの除
熱量の積算値を仕込み単量体の理論重合発熱量で割った
値に100 をかけて算出される。また、重合中には、必要
に応じて、水、分散剤及び重合開始剤の1種又は2種以
上を添加してもよい。重合は、重合器の内圧が0〜7kg
f/cm2 ・Gに低下した時に、あるいは重合器外周に装備
されたジャケット内に流入、流出させる冷却水の入口温
度と出口温度との差がほぼなくなった時(すなわち、重
合反応による発熱がなくなった時)に、完了したと判断
される。 【0017】重合の際に仕込まれる水、重合開始剤の量
は、従来公知の量でよく、例えば、単量体を懸濁分散さ
せるために使用する水性媒体の仕込み量は、単量体との
仕込み比(水/単量体)が 1.0〜1.5 程度で良く、必要
に応じて重合の途中で水を追加することもできる。更
に、必要に応じて重合度調節剤、pH調整剤等の各種添加
剤を重合系に添加することも可能である。 【0018】 【作用】本発明においては、上記した第1の分散剤を単
量体 100重量部当り少なくとも0.03重量部使用し、重合
器に備えられた攪拌機の攪拌動力を、懸濁重合開始時点
から重合転化率が3〜15%に達する時点までは反応混合
物1t当り30〜70kg・m・s -1・ton -1 の範囲に制御
し、それ以後の撹拌動力を少なくとも80kg・m ・s -1・
ton -1 に制御して、重合開始時点から重合終了までの
全期間にわたって適度な懸濁性を維持することにより、
可塑剤吸収量が多く、嵩比重が高く、粒度分布がシャー
プであり粗粒が少なく、しかも加工後の成形物のフィッ
シュアイが少ない塩化ビニル形重合体をスケール付着が
少ない高い生産性で安定的に製造することが可能となっ
た。これは、以下の理由による。上記の第1の分散剤
は、重合初期の段階の単量体液滴を細かく懸濁分散さ
せ、得られる重合体の可塑剤吸収量を向上させるために
重合開始前の段階で水性媒体と同時に又は水性媒体の仕
込み後に仕込まれる。しかし、第1の分散剤の量が0.03
重量部以上になると重合初期の段階において単量体液滴
が過剰に細かく懸濁分散されて、得られる重合体の粒度
が細かくなりすぎて、攪拌時間の経過とともに水相中の
該分散剤が減少し、重合が進んで液滴の合一が激しくな
ると分散剤の量が不足して液滴の合一を抑制して粒径を
制御することが困難となるため粗粒やスケールが生じ易
くなる。そこで、重合転化率が3〜15%未満の重合初期
の段階での攪拌動力を反応混合物1t当り30〜70kg・m
・s -1・ton -1 と低くすると、単量体液滴が過剰に細
かく分散されるのを防止することが可能となる。そし
て、重合転化率が3〜15%を超え、重合が進んだ段階に
おいては、攪拌動力を少なくとも80kg・m ・s -1・ton
-1と高めることにより、かかる段階での液滴の合一を抑
制して懸濁安定性を維持し、嵩比重を高め、さらにはス
ラリー粘度の上昇を抑えて重合体の粒径を制御すること
が可能となり、粒径やスケールの発生を防ぐことが可能
となる。 【0019】 【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に示すが、本発明は下記の実施例に制限されるもので
はない。なお、以下の例において部は重量部である。 【0020】実施例1〜3、比較例1〜3 各実施例及び比較例において、次のようにして重合を行
った。重合器として、外部にジャケット、内部に攪拌機
(バドル翼3枚)及び平板バッフルを備えた、内容積20
00リットルの円筒型状オートクレーブを使用した。該オ
ートクレーブに、脱イオン水 910kgと表1に示した第1
の分散剤を同表に示す量で仕込んだ。次に、真空ポンプ
でオートクレーブの内圧が60mmHgとなるまで脱気した。 【0021】その後、塩化ビニル単量体 700kgを仕込
み、表1に示した攪拌動力(表1中の初期の攪拌動力の
欄参照)で撹拌を開始した。次いでジャケットに熱水を
通して昇温を開始すると共に、重合開始剤として2−エ
チルヘキシルパーオキシジカーボネート 385gをポンプ
で圧入した。この重合開始剤を仕込んだ時点を重合開始
時として、重合転化率0%とする。また、該重合開始剤
の仕込んだ後、仕込み反応混合物の温度を51℃に保って
重合を行った。次に、表1に示す重合転化率に到達した
時点で、表1に示した攪拌動力(表1中の変更後の攪拌
動力の欄参照)に変更した。オートクレーブの内圧が
6.5kgf/cm2 ・Gに達した時点で反応を停止して、未反
応の単量体を回収した後、オートクレーブ内の反応生成
物を脱水、乾燥して塩化ビニル重合体を得た。 【0022】得られた重合体について、下記方法により
嵩比重、粒度分布、可塑剤吸収量、シートに成形した場
合のフィッシュアイの個数を測定した。その結果を表1
に示す。 【0023】・嵩比重 JIS K 6721に従って測定した。 【0024】・粒度分布 JIS Z 8801に準拠して測定した。 【0025】・可塑剤吸収量 内径25mm、深さ85mmのアルミニウム合金製容器の底にグ
ラスファイバーを詰め、試料の塩化ビニル重合体10g を
採取して投入した。これにジオクチルフタレート(DOP)
15ccを加え、30分放置してDOP を重合体に十分浸透させ
た。その後、1500G の加速度下に過剰のDOP を遠心分離
し、重合体10g に吸収されたDOP の量を測定して、重合
体100g当りに換算した。 【0026】・フィッシュアイ 試料の塩化ビニル重合体を 100部、三塩基性硫酸鉛1
部、ステアリン酸鉛1.5部、酸化チタン 0.2部、カーボ
ンブラック 0.1部及びDOP 50部の割合で調製した混合物
をロールを用いて 145℃でそれぞれ1分間、又は2分間
混練して2種の試料を調製した後、それぞれ厚さ 0.2mm
のシートに成形し、シート 100cm2 当りに含まれるフィ
ッシュアイの個数を光透過法により計数した。 【0027】尚、比較例1においては、重合末期に除熱
が困難となり、重合温度が2℃上昇してしまい、重合終
了後、重合器内の液相部にスケールが付着していた。比
較例2及び3においては、重合途中で除熱不能となり重
合を継続することができなかった。 【0028】 【表1】 【0029】尚、表1中の分散剤は、以下のとおりで
ある。 (分散剤)重合度 235、けん化度50.7モル%の油溶性
部分けん化ポリビニルアルコール 【0030】 【発明の効果】本発明の塩化ビニル系重合体の製造方法
によれば、低重合度、低けん化度の油溶性ポリビニルア
ルコールの使用量を増加しても(仕込み単量体 100重量
部当り0.03重量部以上にしても)可塑剤吸収量が多く、
嵩比重が高く、粘度分布がシャープでありフィッシュア
イの少ない塩化ビニル系重合体をスケール付着が少ない
高い生産性で安定的に製造することができる。
懸濁重合による製造方法に関し、特に、可塑剤吸収性に
優れ、しかも嵩比重が高く、粒度分布がシャープであ
り、フィッシュアイの少ない塩化ビニル系重合体をスケ
ール付着が少ない高い生産性で製造する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、加工性、ブレンド性の改良や
成形物に加工した場合のフィッシュアイの低減を目的と
する塩化ビニル系重合体の製造方法が数多く提案されて
いる。例えば、特開昭52-5866 号、同52-15890号、同55
-112210 号、同53-6392 号、特公昭61-18562号公報等に
は、分散剤として、平均重合度 600以下、けん化度55モ
ル%以下の低重合度、低けん化度のいわゆる油溶性ポリ
ビニルアルコールを用いて単量体である塩化ビニルを水
性媒体中に懸濁分散させて懸濁重合を行う塩化ビニル系
重合体を製造する方法が開示されている。この方法によ
れば、得られる塩化ビニル系重合体の可塑剤吸収量をあ
る程度高めることができることからゲル化性を向上させ
ることができ、しかも該重合体を加工することにより得
られる成形物のフィッシュアイの発生もある程度低減す
ることができる。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法による可塑剤吸収量の向上、改良及びフィッシュア
イの低減の程度はなお十分満足できるものではない。ま
た、分散剤として上記の低重合度、低けん化度の油溶性
ポリビニルアルコールの使用量を増加して、可塑剤吸収
量の改良及びフィッシュアイの低減の効果を、より一層
向上させることが試みられているが、上記の低重合度、
低けん化度の油溶性ポリビニルアルコールの重合開始前
の使用量を、仕込み単量体 100重量部当り0.03重量部以
上にすると、反応混合物の懸濁系が不安定となって、粗
粒の発生やスケールの付着が生じたり、得られる塩化ビ
ニル重合体の嵩比重が低下したり、粒度分布がフロート
になったりフィッシュアイが多くなる等の品質低下をま
ねくという問題があった。 【0004】従って、本発明の課題は、低重合度、低け
ん化度の油溶性ポリビニルアルコールの使用量を、例え
ば、仕込み単量体 100重量部当り0.03重量部以上にして
も、可塑剤吸収量が多く、しかも嵩比重が高く、粒度分
布がシャープでありフィッシュアイの少ない塩化ビニル
系重合体を、スケール付着が少ない高い生産性で安定的
に製造することができる方法を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体
を含有する単量体混合物を、反応混合物を攪拌するため
の攪拌機を備えた重合器内で分散剤の存在下、水性媒体
中で懸濁重合することにより塩化ビニル系重合体を製造
する方法において、前記分散剤として、平均重合度が 1
50〜600 で、けん化度が20〜60モル%の部分けん化ポリ
ビニルアルコールが前記単量体 100重量部当り少なくと
も0.03重量部仕込まれ、懸濁重合開始時点から重合転化
率が3〜15%に達する時点までは前記攪拌機の攪拌動力
が前記反応混合物1t当り30〜70kg・m ・s -1・ton -1
の範囲に制御され、それ以後の撹拌動力が少なくとも
80kg・m ・s -1・ton -1 に制御されることを特徴とす
る塩化ビニル系重合体の製造方法(但し、平均重合度40
0〜850の塩化ビニル系重合体を得る場合を除く)を提供
する。 【0006】本発明においては、分散剤として、平均重
合度が 150〜600 、好ましくは 200〜600 、さらに好ま
しくは 200〜400 で、けん化度が20〜60モル%、好まし
くは40〜55モル%、さらに好ましくは45〜55モル%の低
重合度、低けん化度の油溶性部分けん化ポリビニルアル
コールを使用することが不可欠である。平均重合度が15
0未満及び/又はけん化度が20モル%未満のものを使用
すると、懸濁安定性を維持することができないので、粗
粒が発したり、スケールの付着が増大したりする。ま
た、平均重合度が 600を超え及び/又はけん化度が60モ
ル%を超えるものを使用すると、可塑剤吸収量を高める
ことができず、また、得られる重合体の成形物のフィッ
シュアイを低減することができない。 【0007】上記の油溶性部分けん化ポリビニルアルコ
ールは、重合開始前に、水性媒体と同時に、又は水性媒
体仕込み後に仕込まれることにより、重合初期の段階の
単量体液滴を細かく水性媒体中に懸濁分散させることが
でき、これにより、得られる重合体の可塑剤吸収量を高
めることができる。また、その仕込み量は、単量体 100
重量部当り、少なくとも0.03重量部であり、好ましく
は、0.5 〜1重量部、さらに好ましくは0.08〜0.5 重量
部の範囲である。 【0008】また、本発明においては、重合器に備えら
れた攪拌機の攪拌動力が、懸濁重合開始時点から重合転
化率が3〜15%に達する時点までは反応混合物1t当り
30〜70kg・m ・s -1・ton -1 の範囲に制御され、それ
以後の撹拌動力が少なくとも80kg・m ・s -1・ton -1
、好ましくは、80〜170 kg・m ・s -1・ton -1、さら
に好ましくは 100〜150 kg・m ・s -1・ton -1 の範囲
に制御されることが重要である。重合開始時点から重合
転化率が3〜15%の重合初期の段階の攪拌動力が30kg・
m ・s -1・ton -1未満では、単量体液滴を細かく懸濁分
散させることができず、得られる重合体の粒径が安定し
ないばかりか、フィッシュアイも増大する。70kg・m ・
s -1・ton -1 を超えると単量体液滴が過剰に細かく分
散され、更に重合が進んで液滴の合一が激しくなった場
合、粒径の調節が困難となる結果、粒度分布がブロード
になり、粗径や細粒が極端に増加し、スケールの付着も
しやすくなる。このため,得られる塩化ビニル系重合体
のフィッシュアイの増加等の問題が生じる。また、重合
転化率が3〜15%を超えた後の攪拌動力が80kg・m ・s
-1・ton -1未満では、得られる重合体の嵩比重が高まら
ない上、スラリーの粘度が上昇して重合反応熱の除去が
困難になり、反応を制御することができない。尚、重合
転化率が3〜15%を超えた後の攪拌動力が 170kg・m ・
s -1・ton -1を超えた場合、特に技術的に問題はない
が、得られる効果が特に向上しないので、エネルギー消
費のうえで不利であることから、 170kg・m ・s -1・to
n -1 以下であることが好ましい。 【0009】ここで水性懸濁混合物に加えられる「攪拌
動力」とは、重合器の運転中に攪拌機用モーターの駆動
モーターに負荷されるエネルギー(ワットメーターによ
り電気的に計測される)からモーター効率、伝導ロス、
メカニカルシールロス等の各種ロス等を差し引いた水性
懸濁混合物の攪拌に要した正味のエネルギーである。攪
拌動力は攪拌軸の回転数の変更によって容易に調節する
ことができる。攪拌機用モーターの駆動モーターに負荷
されるエネルギー:Akg・m ・s -1、モーター効率、伝
導ロス、メカニカルシールロス等の各種ロスエネルギ
ー:Bkg・m ・s -1、そして水性懸濁混合物仕込み重
量:Cton とすると、攪拌動力は、次式:で示される。 【0010】また、反応混合物に伝達される撹拌エネル
ギーは、重合器の形状、攪拌翼の形状、バッフルの形状
等に依存するが、攪拌回転数の変更によって攪拌動力を
容易に調節することができるので、本発明においては特
にそれらの形状には制約はない。重合器としては、攪拌
機、還流コンデンサー、バッフル、ジャケット等が付設
された、円筒状等の形状の従来周知のものが用いられ
る。攪拌機には、一般的には、攪拌軸にパドルファウド
ラー、タービン、プロペラ等の形式の攪拌翼のものを複
数段取り付けたものが用いられる。また、用いられるバ
ッフルの形状としては平板状、円筒状、ヘアピンコイル
状等のものが用いられ、これらは複数個適宜重合器内に
付設される。 【0011】本発明の方法で製造される塩化ビニル系重
合体は、塩化ビニルホモポリマーのほか、塩化ビニルと
他のビニル系単量体との共重合物 (通常、塩化ビニルが
50重量%以上) が包含される。この塩化ビニルと共重合
されるコモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロ
ピオン酸ビニル等のビニルエステル;例えば、アクリル
酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル及
びメタクリル酸エステル;例えば、エチレン、プロピレ
ン等のオレフィン;無水マレイン酸;アクリロニトリ
ル;スチレン;塩化ビニリデン等が例示され、これらは
単独で又は2種以上の組合せで用いられる。 【0012】本発明においては、上記の平均重合度 150
〜600 、けん化度20〜60モル%の部分けん化ポリビニル
アルコール (以下、第1の分散剤という)の使用が必須
であるが、その他の分散剤の併用も可能である。しか
し、第1の分散剤を使用すると、通常、その他の分散剤
を併用しなくとも、重合中の攪拌動力を制御することに
より本発明の効果を得ることができる。即ち、本発明に
おいては第1の分散剤のみを用いるのが好ましいが、本
発明の効果を損わない範囲において、以下の様な分散剤
(第2の分散剤ともいう)を併用してもよい。例えば、
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒド
ロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル
セルロース等の水溶性セルロースエーテル;水溶性及び
油溶性の部分けん化ポリビニルアルコール;アクリル酸
重合体及び架橋ポリアクリル酸;ゼラチン等のポリマー
が例示される。第2の分散剤として好ましいのは、けん
化度70〜90モル%、重合度 700〜3000の水溶性部分けん
化ポリビニルアルコールおよびヒドロキシプロピルメチ
ルセルロースである。第2の分散剤は単独でも2種以上
の組合せでも使用することができる。 【0013】本発明で用いられる重合開始剤としては、
従来塩化ビニル等の重合に使用されているものでよく、
例えば、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ブ
チルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシネ
オデカノエート、t−ヘキシルネオヘキサノエート、t
−ヘキシルパーオキシピバレート、α−クミルパーオキ
シネオデカネート、2,4,4−トリメチルペンチル−
2−パーオキシ−2−ネオデカネート等のパーエステル
化合物;例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネ
ート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネー
ト、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネー
ト、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネー
ト、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパ
ーカーボネート化合物;例えば、デカノイルパーオキシ
ド、ベンゾイルパーオキシド、クメンハイドロパーオキ
シド、シクロヘキサノンパーオキシド、2,4−ジクロ
ロベンゾイルパーオキシド、p−メタンハイドロパーオ
キシド、イソブチリルパーオキシド、アセチルシクロヘ
キシルスルホニルパーオキシド、2,4,4−トリメチ
ルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテート、
3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、ラ
ウロイルパーオキシド等の過酸化物;例えば、α,α′
−アゾビスイソブチロニトリル、α,α′−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)、α,α′−アゾ
ビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)等のアゾ化合物などの油溶性の重合開始剤が挙げら
れ、これらは1種単独で又は2種以上を組合せで使用す
ることができる。 【0014】重合開始剤は、通常行われるように仕込む
ことができ、例えば、水又は単量体の仕込み中、あるい
は仕込み終了後に添加すれば良く、予め単量体に均一に
混合して単量体と共に仕込んでもよく、更には水性エマ
ルジョンとして水性媒体と共に仕込んでもよい。 【0015】本発明の製造方法は、上述した第1の分散
剤を重合開始前に仕込み、撹拌動力を上述した特定の範
囲に制御することを除けば、従来公知の条件で懸濁重合
を行うことができる。 【0016】以下、本発明の一般的な懸濁重合方法を具
体的に例示する。まず、水、上記の第1の分散剤、必要
に応じて第2の分散剤などのその他の添加剤を仕込む。
次に、重合器内を排気して 0.1〜100 mmHg abs. に減圧
した後、単量体を仕込む。この時、重合器内の内圧は通
常 0.5〜30kgf/cm2 ・Gになる。また、重合開始剤は、
水又は単量体の仕込み中、又は仕込み終了後に添加すれ
ばよく、予め単量体に均一に混合した状態で単量体とと
もに仕込んでもよく、さらには水性エマルジョンとして
水性媒体とともに仕込んでもよい。その後、通常30〜80
℃の反応温度で重合を行うが、重合開始時点から重合転
化率が3〜15%に達する時点までは攪拌動力を反応混合
物1t当り30〜70kg・m ・s -1・ton -1 の範囲に制御
し、それ以後は少なくとも80kg・m ・s -1・ton -1 に
制御しながら行う。尚、重合転化率は重合開始からの除
熱量の積算値を仕込み単量体の理論重合発熱量で割った
値に100 をかけて算出される。また、重合中には、必要
に応じて、水、分散剤及び重合開始剤の1種又は2種以
上を添加してもよい。重合は、重合器の内圧が0〜7kg
f/cm2 ・Gに低下した時に、あるいは重合器外周に装備
されたジャケット内に流入、流出させる冷却水の入口温
度と出口温度との差がほぼなくなった時(すなわち、重
合反応による発熱がなくなった時)に、完了したと判断
される。 【0017】重合の際に仕込まれる水、重合開始剤の量
は、従来公知の量でよく、例えば、単量体を懸濁分散さ
せるために使用する水性媒体の仕込み量は、単量体との
仕込み比(水/単量体)が 1.0〜1.5 程度で良く、必要
に応じて重合の途中で水を追加することもできる。更
に、必要に応じて重合度調節剤、pH調整剤等の各種添加
剤を重合系に添加することも可能である。 【0018】 【作用】本発明においては、上記した第1の分散剤を単
量体 100重量部当り少なくとも0.03重量部使用し、重合
器に備えられた攪拌機の攪拌動力を、懸濁重合開始時点
から重合転化率が3〜15%に達する時点までは反応混合
物1t当り30〜70kg・m・s -1・ton -1 の範囲に制御
し、それ以後の撹拌動力を少なくとも80kg・m ・s -1・
ton -1 に制御して、重合開始時点から重合終了までの
全期間にわたって適度な懸濁性を維持することにより、
可塑剤吸収量が多く、嵩比重が高く、粒度分布がシャー
プであり粗粒が少なく、しかも加工後の成形物のフィッ
シュアイが少ない塩化ビニル形重合体をスケール付着が
少ない高い生産性で安定的に製造することが可能となっ
た。これは、以下の理由による。上記の第1の分散剤
は、重合初期の段階の単量体液滴を細かく懸濁分散さ
せ、得られる重合体の可塑剤吸収量を向上させるために
重合開始前の段階で水性媒体と同時に又は水性媒体の仕
込み後に仕込まれる。しかし、第1の分散剤の量が0.03
重量部以上になると重合初期の段階において単量体液滴
が過剰に細かく懸濁分散されて、得られる重合体の粒度
が細かくなりすぎて、攪拌時間の経過とともに水相中の
該分散剤が減少し、重合が進んで液滴の合一が激しくな
ると分散剤の量が不足して液滴の合一を抑制して粒径を
制御することが困難となるため粗粒やスケールが生じ易
くなる。そこで、重合転化率が3〜15%未満の重合初期
の段階での攪拌動力を反応混合物1t当り30〜70kg・m
・s -1・ton -1 と低くすると、単量体液滴が過剰に細
かく分散されるのを防止することが可能となる。そし
て、重合転化率が3〜15%を超え、重合が進んだ段階に
おいては、攪拌動力を少なくとも80kg・m ・s -1・ton
-1と高めることにより、かかる段階での液滴の合一を抑
制して懸濁安定性を維持し、嵩比重を高め、さらにはス
ラリー粘度の上昇を抑えて重合体の粒径を制御すること
が可能となり、粒径やスケールの発生を防ぐことが可能
となる。 【0019】 【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に示すが、本発明は下記の実施例に制限されるもので
はない。なお、以下の例において部は重量部である。 【0020】実施例1〜3、比較例1〜3 各実施例及び比較例において、次のようにして重合を行
った。重合器として、外部にジャケット、内部に攪拌機
(バドル翼3枚)及び平板バッフルを備えた、内容積20
00リットルの円筒型状オートクレーブを使用した。該オ
ートクレーブに、脱イオン水 910kgと表1に示した第1
の分散剤を同表に示す量で仕込んだ。次に、真空ポンプ
でオートクレーブの内圧が60mmHgとなるまで脱気した。 【0021】その後、塩化ビニル単量体 700kgを仕込
み、表1に示した攪拌動力(表1中の初期の攪拌動力の
欄参照)で撹拌を開始した。次いでジャケットに熱水を
通して昇温を開始すると共に、重合開始剤として2−エ
チルヘキシルパーオキシジカーボネート 385gをポンプ
で圧入した。この重合開始剤を仕込んだ時点を重合開始
時として、重合転化率0%とする。また、該重合開始剤
の仕込んだ後、仕込み反応混合物の温度を51℃に保って
重合を行った。次に、表1に示す重合転化率に到達した
時点で、表1に示した攪拌動力(表1中の変更後の攪拌
動力の欄参照)に変更した。オートクレーブの内圧が
6.5kgf/cm2 ・Gに達した時点で反応を停止して、未反
応の単量体を回収した後、オートクレーブ内の反応生成
物を脱水、乾燥して塩化ビニル重合体を得た。 【0022】得られた重合体について、下記方法により
嵩比重、粒度分布、可塑剤吸収量、シートに成形した場
合のフィッシュアイの個数を測定した。その結果を表1
に示す。 【0023】・嵩比重 JIS K 6721に従って測定した。 【0024】・粒度分布 JIS Z 8801に準拠して測定した。 【0025】・可塑剤吸収量 内径25mm、深さ85mmのアルミニウム合金製容器の底にグ
ラスファイバーを詰め、試料の塩化ビニル重合体10g を
採取して投入した。これにジオクチルフタレート(DOP)
15ccを加え、30分放置してDOP を重合体に十分浸透させ
た。その後、1500G の加速度下に過剰のDOP を遠心分離
し、重合体10g に吸収されたDOP の量を測定して、重合
体100g当りに換算した。 【0026】・フィッシュアイ 試料の塩化ビニル重合体を 100部、三塩基性硫酸鉛1
部、ステアリン酸鉛1.5部、酸化チタン 0.2部、カーボ
ンブラック 0.1部及びDOP 50部の割合で調製した混合物
をロールを用いて 145℃でそれぞれ1分間、又は2分間
混練して2種の試料を調製した後、それぞれ厚さ 0.2mm
のシートに成形し、シート 100cm2 当りに含まれるフィ
ッシュアイの個数を光透過法により計数した。 【0027】尚、比較例1においては、重合末期に除熱
が困難となり、重合温度が2℃上昇してしまい、重合終
了後、重合器内の液相部にスケールが付着していた。比
較例2及び3においては、重合途中で除熱不能となり重
合を継続することができなかった。 【0028】 【表1】 【0029】尚、表1中の分散剤は、以下のとおりで
ある。 (分散剤)重合度 235、けん化度50.7モル%の油溶性
部分けん化ポリビニルアルコール 【0030】 【発明の効果】本発明の塩化ビニル系重合体の製造方法
によれば、低重合度、低けん化度の油溶性ポリビニルア
ルコールの使用量を増加しても(仕込み単量体 100重量
部当り0.03重量部以上にしても)可塑剤吸収量が多く、
嵩比重が高く、粘度分布がシャープでありフィッシュア
イの少ない塩化ビニル系重合体をスケール付着が少ない
高い生産性で安定的に製造することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C08F 2/00 - 2/60
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体
を含有する単量体混合物を、反応混合物を攪拌するため
の攪拌機を備えた重合器内で分散剤の存在下、水性媒体
中で懸濁重合することにより塩化ビニル系重合体を製造
する方法において、 重合開始前に、前記分散剤として、平均重合度が 150〜
600 で、けん化度が20〜60モル%の部分けん化ポリビニ
ルアルコールが前記単量体 100重量部当り少なくとも0.
03重量部仕込まれ、 懸濁重合開始時点から重合転化率が3〜15%に達する時
点までは前記攪拌機の攪拌動力が前記反応混合物1t当
り30〜70kg・m ・s -1・ton -1 の範囲に制御され、そ
れ以後の撹拌動力が少なくとも80kg・m ・s -1・ton -1
に制御されることを特徴とする塩化ビニル系重合体の
製造方法(但し、平均重合度400〜850の塩化ビニル系重
合体を得る場合を除く)。
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JP31415894A JP3369339B2 (ja) | 1994-11-24 | 1994-11-24 | 塩化ビニル系重合体の製造方法 |
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JPH08143609A JPH08143609A (ja) | 1996-06-04 |
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