JP3261246B2 - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents
塩化ビニル系重合体の製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塩化ビニル又は塩化ビ
ニルを含む単量体混合物の懸濁重合方法による塩化ビニ
ル系重合体の製造方法に関するものであり、より詳細に
は、重合器に設けられたジャケットには60℃よりも高
い温度の熱水を供給することなく重合系の温度コントロ
ールを有効に行って、良好な品質の塩化ビニル系重合体
を製造する方法に関する。
ニルを含む単量体混合物の懸濁重合方法による塩化ビニ
ル系重合体の製造方法に関するものであり、より詳細に
は、重合器に設けられたジャケットには60℃よりも高
い温度の熱水を供給することなく重合系の温度コントロ
ールを有効に行って、良好な品質の塩化ビニル系重合体
を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、塩化ビニル又は塩化ビニルを含
む単量体混合物(以下、塩化ビニル等という)の懸濁重
合は、ジャケット及び還流コンデンサーを備えた重合器
中に水性媒体及び分散剤を仕込み、続いて重合開始剤を
仕込み、次に重合器内を排気した後に単量体を仕込み、
更に、必要に応じてその他の添加剤を加えて反応混合物
である水性懸濁液を調製し、次いでジャケットに熱水を
通すことにより、重合器中の水性懸濁液を昇温し、所定
の温度に保ちながら重合反応を開始することにより実施
されている。
む単量体混合物(以下、塩化ビニル等という)の懸濁重
合は、ジャケット及び還流コンデンサーを備えた重合器
中に水性媒体及び分散剤を仕込み、続いて重合開始剤を
仕込み、次に重合器内を排気した後に単量体を仕込み、
更に、必要に応じてその他の添加剤を加えて反応混合物
である水性懸濁液を調製し、次いでジャケットに熱水を
通すことにより、重合器中の水性懸濁液を昇温し、所定
の温度に保ちながら重合反応を開始することにより実施
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、ジャケッ
トを用いて昇温を行う場合には、昇温時間を短縮させよ
うとする為にはジャケットに通す熱水の温度を上げる方
法がとられる。また、重合器を大型にして生産効率を高
めようとすれば、ジャケットの単位体積当りの伝熱面積
が減少するため、より高温の熱水を用いることが必要で
ある。而して、熱水の温度を上げることは、装置の腐食
等の防止のために、熱水中に高価な防食剤を使用しなけ
ればならなくなり、コストアップの原因となる。更に、
昇温時におけるジャケット中の冷却水から熱水への切り
換えに際して、或いは除熱時における熱水から冷却水へ
の切り換えに際して、熱エネルギーのロスを免れず、省
エネの観点より好ましくなかった。また、ジャケット温
度を仮に20〜90℃として広範囲に操作してた場合、重合
器壁面へのスケール付着が起りやすく、長期運転を考え
た場合に、品質劣化もさることながら、重合器内のスケ
ール落とし作業を行う回数も増え、生産性の点で好まし
くなかった。
トを用いて昇温を行う場合には、昇温時間を短縮させよ
うとする為にはジャケットに通す熱水の温度を上げる方
法がとられる。また、重合器を大型にして生産効率を高
めようとすれば、ジャケットの単位体積当りの伝熱面積
が減少するため、より高温の熱水を用いることが必要で
ある。而して、熱水の温度を上げることは、装置の腐食
等の防止のために、熱水中に高価な防食剤を使用しなけ
ればならなくなり、コストアップの原因となる。更に、
昇温時におけるジャケット中の冷却水から熱水への切り
換えに際して、或いは除熱時における熱水から冷却水へ
の切り換えに際して、熱エネルギーのロスを免れず、省
エネの観点より好ましくなかった。また、ジャケット温
度を仮に20〜90℃として広範囲に操作してた場合、重合
器壁面へのスケール付着が起りやすく、長期運転を考え
た場合に、品質劣化もさることながら、重合器内のスケ
ール落とし作業を行う回数も増え、生産性の点で好まし
くなかった。
【0004】さらに懸濁重合により得られた重合体スラ
リー中に残存している未反応単量体を回収するために、
ジャケットに熱水を通して重合体スラリーを加熱するこ
とにより、残存している未反応単量体を重合体スラリー
中から抜く操作が一般に行われている。しかるに、この
段階においても、ジャケットに熱水を通すことから、上
述した様々な問題がある。
リー中に残存している未反応単量体を回収するために、
ジャケットに熱水を通して重合体スラリーを加熱するこ
とにより、残存している未反応単量体を重合体スラリー
中から抜く操作が一般に行われている。しかるに、この
段階においても、ジャケットに熱水を通すことから、上
述した様々な問題がある。
【0005】さらに、昇温時間の短縮化のために、水性
媒体や塩化ビニル等の単量体を予め加熱して重合器内に
仕込む方法(所謂ホットチャージ法)が提案されている
(特公昭62-39601号)。このホットチャージ法は、重合
器の大型化、還流コンデンサー使用に伴う重合器の加熱
能力不足を補う点からも優れている。
媒体や塩化ビニル等の単量体を予め加熱して重合器内に
仕込む方法(所謂ホットチャージ法)が提案されている
(特公昭62-39601号)。このホットチャージ法は、重合
器の大型化、還流コンデンサー使用に伴う重合器の加熱
能力不足を補う点からも優れている。
【0006】然しながら、このホットチャージ方法によ
れば、重合開始剤の仕込みと同時にその重合開始剤が急
激に分解し、その結果として得られる重合体には粗粒が
発生したり、また該重合体をシート等に成形した場合の
フィシュアイが増大し、さらには重合器内壁等への重合
体スケール付着が増大するという問題がある。
れば、重合開始剤の仕込みと同時にその重合開始剤が急
激に分解し、その結果として得られる重合体には粗粒が
発生したり、また該重合体をシート等に成形した場合の
フィシュアイが増大し、さらには重合器内壁等への重合
体スケール付着が増大するという問題がある。
【0007】従って本発明の課題は、重合器に設けられ
ているジャケットに高温の熱水を通さずに温度コントロ
ールが行われ、しかも重合開始のための昇温に要する時
間を短縮することができ、重合器内のスケール付着も有
効に防止され、また成形シートとした時のフィシュアイ
が少ない重合体を得ることが可能な塩化ビニル系重合体
の製造方法を提供することにある。
ているジャケットに高温の熱水を通さずに温度コントロ
ールが行われ、しかも重合開始のための昇温に要する時
間を短縮することができ、重合器内のスケール付着も有
効に防止され、また成形シートとした時のフィシュアイ
が少ない重合体を得ることが可能な塩化ビニル系重合体
の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、ジャケ
ットを備えた重合器内に、塩化ビニル又は塩化ビニルを
含む単量体混合物、重合開始剤、水性媒体、分散剤及び
適宜必要な添加剤を供給して水性懸濁液を調製し、次い
で重合器内にスチームを供給して前記水性懸濁液を所定
の温度に昇温して懸濁重合を行うことからなる塩化ビニ
ル系重合体の製造方法において、前記水性媒体として、
溶存酸素濃度が飽和濃度−2ppm 以内に調整されたもの
を使用して水性懸濁液の調製を行うか、または水性媒体
が供給された重合器内の気相部の真空度が50〜100
mmHg(絶対圧)に設定された状態で、塩化ビニル又は塩
化ビニルを含む単量体混合物を供給し、前記水性懸濁液
は、スチーム供給前の段階におけるpHが3.0〜7.0の
範囲に調整されていることを特徴とする塩化ビニル系重
合体の製造方法が提供される。
ットを備えた重合器内に、塩化ビニル又は塩化ビニルを
含む単量体混合物、重合開始剤、水性媒体、分散剤及び
適宜必要な添加剤を供給して水性懸濁液を調製し、次い
で重合器内にスチームを供給して前記水性懸濁液を所定
の温度に昇温して懸濁重合を行うことからなる塩化ビニ
ル系重合体の製造方法において、前記水性媒体として、
溶存酸素濃度が飽和濃度−2ppm 以内に調整されたもの
を使用して水性懸濁液の調製を行うか、または水性媒体
が供給された重合器内の気相部の真空度が50〜100
mmHg(絶対圧)に設定された状態で、塩化ビニル又は塩
化ビニルを含む単量体混合物を供給し、前記水性懸濁液
は、スチーム供給前の段階におけるpHが3.0〜7.0の
範囲に調整されていることを特徴とする塩化ビニル系重
合体の製造方法が提供される。
【0009】(単量体)本発明の製造方法が適用される
単量体としては、塩化ビニル単独のほか、塩化ビニルを
主成分し、これと共重合可能なコモノマーを含む単量体
混合物(通常、塩化ビニル50重量%以上)が使用され
る。塩化ビニルと共重合されるコモノマーとしては、酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、ア
クリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エス
テル若しくはメタクリル酸エステル、エチレン、プロピ
レン等のオレフィン、無水マレイン酸、アクリロニトリ
ル、スチレン、塩化ビニリデン等が代表的であるが、こ
れら以外にも、塩化ビニルと共重合可能な単量体であれ
ば格別の制限なしに使用することができる。
単量体としては、塩化ビニル単独のほか、塩化ビニルを
主成分し、これと共重合可能なコモノマーを含む単量体
混合物(通常、塩化ビニル50重量%以上)が使用され
る。塩化ビニルと共重合されるコモノマーとしては、酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、ア
クリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エス
テル若しくはメタクリル酸エステル、エチレン、プロピ
レン等のオレフィン、無水マレイン酸、アクリロニトリ
ル、スチレン、塩化ビニリデン等が代表的であるが、こ
れら以外にも、塩化ビニルと共重合可能な単量体であれ
ば格別の制限なしに使用することができる。
【0010】(水性媒体)本発明において、上記の単量
体成分を含む水性懸濁液の調製のために使用される水性
媒体としては、溶存酸素濃度が飽和濃度−2ppm 以内に
調整されたものが使用される。例えば、溶存酸素濃度が
上記範囲よりも低い水性媒体を用いた場合には、溶存酸
素が殆ど存在しないスチームドレンの混入による重合体
粒子の粗大化を有効に回避することが困難となる。この
ような溶存酸素濃度の調整は、用いる水性媒体(通常、
脱イオン水)のタンク中でエアーバブリングを行うこと
によって容易に行うことができる。
体成分を含む水性懸濁液の調製のために使用される水性
媒体としては、溶存酸素濃度が飽和濃度−2ppm 以内に
調整されたものが使用される。例えば、溶存酸素濃度が
上記範囲よりも低い水性媒体を用いた場合には、溶存酸
素が殆ど存在しないスチームドレンの混入による重合体
粒子の粗大化を有効に回避することが困難となる。この
ような溶存酸素濃度の調整は、用いる水性媒体(通常、
脱イオン水)のタンク中でエアーバブリングを行うこと
によって容易に行うことができる。
【0011】尚、このような水性媒体中の溶存酸素濃度
の設定は必須ではなく、例えば、後述する如く、重合器
気相部の真空度が一定のレベルの調整されていれば必ず
しも行わなくてもよいが、通常は、この真空度の調整に
かかわらず溶存酸素濃度の調整が行われていることが望
ましい。
の設定は必須ではなく、例えば、後述する如く、重合器
気相部の真空度が一定のレベルの調整されていれば必ず
しも行わなくてもよいが、通常は、この真空度の調整に
かかわらず溶存酸素濃度の調整が行われていることが望
ましい。
【0012】かかる水性媒体は、通常、仕込み単量体1
00重量部当り20〜500重量部の量で使用される
が、後の段階で行われるスチームの供給によりスチーム
ドレンが混入するので、水性媒体の仕込み量は、このス
チームドレン量を考慮し、その分を差し引いて設定して
おくことが好適である。
00重量部当り20〜500重量部の量で使用される
が、後の段階で行われるスチームの供給によりスチーム
ドレンが混入するので、水性媒体の仕込み量は、このス
チームドレン量を考慮し、その分を差し引いて設定して
おくことが好適である。
【0013】(分散剤)また水性懸濁液の調製のため
に、通常の懸濁重合と同様に分散剤が使用されるが、こ
の分散剤の種類は特に制限されず、従来一般に使用され
ているものを使用することができる。具体的には、メチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキ
シプロピルセルロース等の水溶性セルロースエステル;
水溶性及び油溶性の部分ケン化ポリビニルアルコール;
アクリル酸重合体;ゼラチン等の水溶性ポリマー;ソル
ビタンモノラウレート、ソルビタントリオレート、グリ
セリントリスステアレート、エチレンオキシド/プロピ
レンオキシドブロックコポリマー等の油溶性乳化剤;ポ
リオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキ
シエチレングリセリンオレート、ラウリン酸ナトリウム
等の水溶性乳化剤;などを例示することができ、これら
は単独でも、二種以上の組み合わせでも使用することが
できる。これらの分散剤は、通常、仕込み単量体100
重量部当り0.01〜3重量部の量で使用される。
に、通常の懸濁重合と同様に分散剤が使用されるが、こ
の分散剤の種類は特に制限されず、従来一般に使用され
ているものを使用することができる。具体的には、メチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキ
シプロピルセルロース等の水溶性セルロースエステル;
水溶性及び油溶性の部分ケン化ポリビニルアルコール;
アクリル酸重合体;ゼラチン等の水溶性ポリマー;ソル
ビタンモノラウレート、ソルビタントリオレート、グリ
セリントリスステアレート、エチレンオキシド/プロピ
レンオキシドブロックコポリマー等の油溶性乳化剤;ポ
リオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキ
シエチレングリセリンオレート、ラウリン酸ナトリウム
等の水溶性乳化剤;などを例示することができ、これら
は単独でも、二種以上の組み合わせでも使用することが
できる。これらの分散剤は、通常、仕込み単量体100
重量部当り0.01〜3重量部の量で使用される。
【0014】(重合開始剤)重合開始剤も、従来塩化ビ
ニル等の重合に使用されているものであれば特に制限な
く使用することができる。その代表例としては、ジイソ
プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘ
キシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパ
ーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート化
合物;t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチル
パーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオ
デカネート、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t
−ヘキシルパーオキシネオデカネート等のパーオキシエ
ステル化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパー
オキサイド、2,4,4 −トリメチルペンチル−2−パーオ
キシフェノキシアセテート等の過酸化物;アゾビス−2,
4 −ジメチルバレロニトリル、アゾビス(4−メトキシ
−2,4 −ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;過
硫酸カリウム;過硫酸アンモニウム;過酸化水素;等が
挙げられ、これらは単独又は2種以上の組み合わせで使
用される。その使用量は、通常、仕込み単量体100重
量部当り0.01〜5重量部である。
ニル等の重合に使用されているものであれば特に制限な
く使用することができる。その代表例としては、ジイソ
プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘ
キシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパ
ーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート化
合物;t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチル
パーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオ
デカネート、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t
−ヘキシルパーオキシネオデカネート等のパーオキシエ
ステル化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパー
オキサイド、2,4,4 −トリメチルペンチル−2−パーオ
キシフェノキシアセテート等の過酸化物;アゾビス−2,
4 −ジメチルバレロニトリル、アゾビス(4−メトキシ
−2,4 −ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;過
硫酸カリウム;過硫酸アンモニウム;過酸化水素;等が
挙げられ、これらは単独又は2種以上の組み合わせで使
用される。その使用量は、通常、仕込み単量体100重
量部当り0.01〜5重量部である。
【0015】(その他の添加剤)本発明方法において
は、上記以外にも、塩化ビニル等の重合に適宜使用され
る重合調整剤、連鎖移動剤、ゲル化改良剤、帯電防止
剤、重合体スケール付着防止剤等を適宜使用することが
できる。
は、上記以外にも、塩化ビニル等の重合に適宜使用され
る重合調整剤、連鎖移動剤、ゲル化改良剤、帯電防止
剤、重合体スケール付着防止剤等を適宜使用することが
できる。
【0016】また、本発明においては、スチームドレン
のpHがアルカリサイドにあることから、スチームドレ
ンの混入による水性懸濁液のpH上昇による不都合を防
止するために、懸濁重合に供する水性懸濁液のpHを、
3.0〜7.0、特に4.0〜6.0に調整しておくことが必要
である。このpH調整のために、通常、硫酸、塩酸、硝
酸等の鉱酸、特に好ましくは硫酸が使用される。これに
より、水性懸濁液の分散安定性が良好に保持され、粒の
そろった重合体粒子を得ることができる。
のpHがアルカリサイドにあることから、スチームドレ
ンの混入による水性懸濁液のpH上昇による不都合を防
止するために、懸濁重合に供する水性懸濁液のpHを、
3.0〜7.0、特に4.0〜6.0に調整しておくことが必要
である。このpH調整のために、通常、硫酸、塩酸、硝
酸等の鉱酸、特に好ましくは硫酸が使用される。これに
より、水性懸濁液の分散安定性が良好に保持され、粒の
そろった重合体粒子を得ることができる。
【0017】(水性懸濁液の調製)懸濁重合に供する水
性懸濁液は、上述した各成分の所定量を重合器内に仕込
んで均一に混合することによって調製されるが、特に前
述した溶存酸素濃度が一定濃度以上に調整された水性媒
体を用いない場合には、予め水性媒体を重合器内に供給
し、脱気を行って気相部の真空度を50〜100mmHg (絶対
圧)の範囲に調整した状態で単量体成分の供給を行うこ
とが必要である。これにより、重合器内の酸素濃度が一
定レベルの保たれるため、溶存酸素のないスチームドレ
ンが水性懸濁液中に混入した場合にも、重合体の粗粒化
等が有効に防止される。例えば気相部の真空度が50mmHg
(絶対圧)よりも低いと、重合器内の酸素量の不足から
重合体の粗粒化を生じやすく、また100mmHg (絶対圧)
よりも高いと、所定量の塩化ビニル単量体を水性媒体中
に均一に混合することが困難となる。
性懸濁液は、上述した各成分の所定量を重合器内に仕込
んで均一に混合することによって調製されるが、特に前
述した溶存酸素濃度が一定濃度以上に調整された水性媒
体を用いない場合には、予め水性媒体を重合器内に供給
し、脱気を行って気相部の真空度を50〜100mmHg (絶対
圧)の範囲に調整した状態で単量体成分の供給を行うこ
とが必要である。これにより、重合器内の酸素濃度が一
定レベルの保たれるため、溶存酸素のないスチームドレ
ンが水性懸濁液中に混入した場合にも、重合体の粗粒化
等が有効に防止される。例えば気相部の真空度が50mmHg
(絶対圧)よりも低いと、重合器内の酸素量の不足から
重合体の粗粒化を生じやすく、また100mmHg (絶対圧)
よりも高いと、所定量の塩化ビニル単量体を水性媒体中
に均一に混合することが困難となる。
【0018】上記の真空度の調整は、溶存酸素濃度が一
定濃度以上に調整された水性媒体を用いている場合に
は、酸素量の確保が有効に行われているため特に必要は
ないが、一般的には、そのような水性媒体が用いられて
いる場合にも真空度の調整を行っておくことが好まし
い。尚、真空度の調整を行う場合には、分散剤やその他
の添加剤は、単量体の供給前に水性媒体と添加混合して
おくことが好ましい。この場合、重合開始剤は、単量体
よりも先に混合してもよいし、また単量体の供給後に添
加混合してもよい。
定濃度以上に調整された水性媒体を用いている場合に
は、酸素量の確保が有効に行われているため特に必要は
ないが、一般的には、そのような水性媒体が用いられて
いる場合にも真空度の調整を行っておくことが好まし
い。尚、真空度の調整を行う場合には、分散剤やその他
の添加剤は、単量体の供給前に水性媒体と添加混合して
おくことが好ましい。この場合、重合開始剤は、単量体
よりも先に混合してもよいし、また単量体の供給後に添
加混合してもよい。
【0019】真空度の調整を行わない場合には、水性懸
濁液の調製は、従来の方法と同様に行うことができ、例
えば重合開始剤は、水又は単量体の仕込中、或いは仕込
終了後に攪拌下に添加すればよく、予め単量体に均一に
混合して単量体とともに仕込むことも可能である。また
水性エマルジョンとして水性媒体とともに仕込んでもよ
い。また仕込み時間を短縮するために水性媒体と単量体
を同時に仕込むことも可能であるし、その他の分散剤等
も任意の方法で仕込むことができる。
濁液の調製は、従来の方法と同様に行うことができ、例
えば重合開始剤は、水又は単量体の仕込中、或いは仕込
終了後に攪拌下に添加すればよく、予め単量体に均一に
混合して単量体とともに仕込むことも可能である。また
水性エマルジョンとして水性媒体とともに仕込んでもよ
い。また仕込み時間を短縮するために水性媒体と単量体
を同時に仕込むことも可能であるし、その他の分散剤等
も任意の方法で仕込むことができる。
【0020】本発明において、上記で調製された水性懸
濁液は、スチームの供給による昇温開始に先立って、重
合開始剤の10時間半減期温度(T1/2 )よりも2℃以上
低い温度に温度調整されていることが好適である。即
ち、上記範囲よりも高い温度に水性懸濁液が保持されて
いると、重合開始剤の分解の急激な分解が起きるため、
フィシュアイ増加の原因となる。ただしあまり低い温度
にすると昇温時間が長くなるため、所定の重合温度に応
じて、あまり温度が低くならない様に配慮することも必
要である。この様なスチーム供給前の水性懸濁液の温度
コントロールは、重合器に設けられているジャケットに
60℃よりも低い温度の温水あるいは冷却水を供給する
ことによって行うことができる。
濁液は、スチームの供給による昇温開始に先立って、重
合開始剤の10時間半減期温度(T1/2 )よりも2℃以上
低い温度に温度調整されていることが好適である。即
ち、上記範囲よりも高い温度に水性懸濁液が保持されて
いると、重合開始剤の分解の急激な分解が起きるため、
フィシュアイ増加の原因となる。ただしあまり低い温度
にすると昇温時間が長くなるため、所定の重合温度に応
じて、あまり温度が低くならない様に配慮することも必
要である。この様なスチーム供給前の水性懸濁液の温度
コントロールは、重合器に設けられているジャケットに
60℃よりも低い温度の温水あるいは冷却水を供給する
ことによって行うことができる。
【0021】(重合)本発明によれば、重合器内にスチ
ームを供給することにより水性懸濁液を所定の重合温度
(通常、30〜80℃)に昇温させることにより、懸濁
重合を開始する。これにより、重合器外部のジャケット
に、例えば60℃よりも高温の熱水を供給する必要がな
いので、このような熱水の使用に起因する種々の問題を
回避できることは先に述べた通りである。
ームを供給することにより水性懸濁液を所定の重合温度
(通常、30〜80℃)に昇温させることにより、懸濁
重合を開始する。これにより、重合器外部のジャケット
に、例えば60℃よりも高温の熱水を供給する必要がな
いので、このような熱水の使用に起因する種々の問題を
回避できることは先に述べた通りである。
【0022】スチームの供給は、任意の方法で行うこと
ができるが、通常、重合器内の水性懸濁液内に直接供給
することが好ましく、例えば重合器の底壁部から直接ス
チームを吹き込むことが好適である。また、このスチー
ムの吹き込みは、移動式ノズルを用いて重合器内に均一
にスチームが行き渡るように行うことが好適であり、吹
き込み終了後は、このノズルを移動乃至取外して重合系
から離隔しておくことが好適である。即ち、このノズル
部分にスケールが付着し易いので、スケ−ル付着による
重合体の品質低下やノズルの目詰まり等を防止するため
である。また移動式でないノズルを用いた場合には、ス
チーム吹き込みを停止している状態であっても、常時、
水をフラッシングしておくことが望ましい。本発明にお
いて、特に好適に使用されるノズルとしては、スチーム
サイレンサ、ミキシングノズル、タンクミキシングエダ
クター等を使用するのが好適である。一般に使用される
スプレーノズル等も使用可能であるが、使用時の騒音が
大きいのであまり好ましくない。
ができるが、通常、重合器内の水性懸濁液内に直接供給
することが好ましく、例えば重合器の底壁部から直接ス
チームを吹き込むことが好適である。また、このスチー
ムの吹き込みは、移動式ノズルを用いて重合器内に均一
にスチームが行き渡るように行うことが好適であり、吹
き込み終了後は、このノズルを移動乃至取外して重合系
から離隔しておくことが好適である。即ち、このノズル
部分にスケールが付着し易いので、スケ−ル付着による
重合体の品質低下やノズルの目詰まり等を防止するため
である。また移動式でないノズルを用いた場合には、ス
チーム吹き込みを停止している状態であっても、常時、
水をフラッシングしておくことが望ましい。本発明にお
いて、特に好適に使用されるノズルとしては、スチーム
サイレンサ、ミキシングノズル、タンクミキシングエダ
クター等を使用するのが好適である。一般に使用される
スプレーノズル等も使用可能であるが、使用時の騒音が
大きいのであまり好ましくない。
【0023】スチームの吹き込みは、所定の反応温度に
水性懸濁液が到達することにより終了されるが、一般
に、この終了の時点は、重合器内温度が所定の反応温度
に到達するまでの任意の時点でよいが、好ましくは、所
定反応温度の5℃手前から所定反応温度に到達する間に
終了する。
水性懸濁液が到達することにより終了されるが、一般
に、この終了の時点は、重合器内温度が所定の反応温度
に到達するまでの任意の時点でよいが、好ましくは、所
定反応温度の5℃手前から所定反応温度に到達する間に
終了する。
【0024】スチームの吹き込み速度は、重合条件によ
って異なるが、目安としては仕込まれた反応混合物総量
100kg当たり、0.5kg/min 以下の速度であり、昇温中そ
の範囲内で増減させてもよい。0.5kg/min を越えた速度
でスチームを流した場合、重合系の撹拌に影響を与え、
均一な撹拌ができなくなるおそれがあり、またスチーム
直接吹き込み用配管やオプション等の摩耗や衝撃による
破損、吹き込み口を大きくしなければならないといった
問題が生じることがある。スチーム圧力は重合器内の最
大圧力よりも高ければよく、通常、重合器内最大圧力よ
り1kg・f/cm2以上高いことが安全性の面で好ましい。
また重合器内温度が所定の反応温度に達した後において
も重合器内温度を調節する等、必要に応じてスチーム吹
き込み操作を行ってもよい。
って異なるが、目安としては仕込まれた反応混合物総量
100kg当たり、0.5kg/min 以下の速度であり、昇温中そ
の範囲内で増減させてもよい。0.5kg/min を越えた速度
でスチームを流した場合、重合系の撹拌に影響を与え、
均一な撹拌ができなくなるおそれがあり、またスチーム
直接吹き込み用配管やオプション等の摩耗や衝撃による
破損、吹き込み口を大きくしなければならないといった
問題が生じることがある。スチーム圧力は重合器内の最
大圧力よりも高ければよく、通常、重合器内最大圧力よ
り1kg・f/cm2以上高いことが安全性の面で好ましい。
また重合器内温度が所定の反応温度に達した後において
も重合器内温度を調節する等、必要に応じてスチーム吹
き込み操作を行ってもよい。
【0025】スチームの吹き込み停止後は、重合器外周
に装備されたジャケットに冷却水を通水して重合反応熱
を除去し、所定の反応温度に保ちながら重合が行われ
る。重合中には、必要に応じて、水、分散剤及び重合開
始剤の一種又は二種以上を添加することも可能である。
に装備されたジャケットに冷却水を通水して重合反応熱
を除去し、所定の反応温度に保ちながら重合が行われ
る。重合中には、必要に応じて、水、分散剤及び重合開
始剤の一種又は二種以上を添加することも可能である。
【0026】重合器の内圧が0〜7kgf/cm2 ・G に低下
した時に、或いはジャケット内に流入、流出させる冷却
水の入口温度と出口温度との差がほぼ等しくなった時
(即ち、重合反応による発熱がなくなった時)に、完了
したと判断され、排ガスを行い、重合体スラリー中に残
存する未反応単量体の回収が行われる。この排ガス時に
は、通常、ジャケットに熱水を供給することにより、未
反応単量体の回収率を向上させているが、本発明によれ
ば、その代わりに、再びスチームの吹き込みを行うこと
によって未反応単量体の回収率を向上させることができ
る。
した時に、或いはジャケット内に流入、流出させる冷却
水の入口温度と出口温度との差がほぼ等しくなった時
(即ち、重合反応による発熱がなくなった時)に、完了
したと判断され、排ガスを行い、重合体スラリー中に残
存する未反応単量体の回収が行われる。この排ガス時に
は、通常、ジャケットに熱水を供給することにより、未
反応単量体の回収率を向上させているが、本発明によれ
ば、その代わりに、再びスチームの吹き込みを行うこと
によって未反応単量体の回収率を向上させることができ
る。
【0027】次いで、得られた重合体スラリーを重合器
外に取り出し、脱水乾燥を行い、目的とする塩化ビニル
系重合体を得ることができる。
外に取り出し、脱水乾燥を行い、目的とする塩化ビニル
系重合体を得ることができる。
【0028】
【実施例】実験例1 内容積が2.1m3 のステンレス製重合器(撹拌装置及び
ジャケット付き)に、脱イオン水(25℃) 780k
g、硫酸 1g、部分けん化ポリビニルアルコール 3
20g、セルロースエーテル 140g、を水溶液にし
て投入した。尚、重合に用いた脱イオン水(25℃)は、
予めAir バブリングを行い脱イオン水温度における飽和
酸素濃度(8.2ppm)に近い8.0ppmまで溶存酸素濃度を高
めたものを使用した。重合器内を60mmHgになるまで脱気
した後、塩化ビニル単量体 685kgを仕込み、撹拌
し、ジャケットにて内温を30℃に安定させた後、ジャケ
ットの循環ポンプを止め、更に、ジ−2−エチルヘキシ
ルパーオキシジカーボネート 380g(10時間半減期
温度43.7℃)をポンプを用いて1分で圧入した。
ジャケット付き)に、脱イオン水(25℃) 780k
g、硫酸 1g、部分けん化ポリビニルアルコール 3
20g、セルロースエーテル 140g、を水溶液にし
て投入した。尚、重合に用いた脱イオン水(25℃)は、
予めAir バブリングを行い脱イオン水温度における飽和
酸素濃度(8.2ppm)に近い8.0ppmまで溶存酸素濃度を高
めたものを使用した。重合器内を60mmHgになるまで脱気
した後、塩化ビニル単量体 685kgを仕込み、撹拌
し、ジャケットにて内温を30℃に安定させた後、ジャケ
ットの循環ポンプを止め、更に、ジ−2−エチルヘキシ
ルパーオキシジカーボネート 380g(10時間半減期
温度43.7℃)をポンプを用いて1分で圧入した。
【0029】その2分後、重合器底部に取り付けられた
ノズルから重合器内液相部に5.0kg/min の速度でスチー
ムを吹き込み、昇温を開始し、重合器内温が54℃になっ
た時点より、スチームの吹き込みを徐々に減少させ、重
合器内温が57℃になる直前にスチーム吹き込みを終了
し、ジャケット循環ポンプを駆動してジャケットに冷水
を通じ、重合器内の温度を57℃に保ちながら重合を続け
た。重合器内圧が6kgf/cm2 ・G に達した時点で重合を
停止して未反応単量体を回収し、得られた重合体をスラ
リー状で重合器外に抜き出し脱水乾燥した。なおスチー
ム吹き込みを終了した後はスチーム吹き込みノズルを重
合器外へ移動させ、完全に重合系とは遮断した。
ノズルから重合器内液相部に5.0kg/min の速度でスチー
ムを吹き込み、昇温を開始し、重合器内温が54℃になっ
た時点より、スチームの吹き込みを徐々に減少させ、重
合器内温が57℃になる直前にスチーム吹き込みを終了
し、ジャケット循環ポンプを駆動してジャケットに冷水
を通じ、重合器内の温度を57℃に保ちながら重合を続け
た。重合器内圧が6kgf/cm2 ・G に達した時点で重合を
停止して未反応単量体を回収し、得られた重合体をスラ
リー状で重合器外に抜き出し脱水乾燥した。なおスチー
ム吹き込みを終了した後はスチーム吹き込みノズルを重
合器外へ移動させ、完全に重合系とは遮断した。
【0030】得られた塩化ビニル重合体について嵩比
重、粒度分布、可塑剤吸収量及びフィシュアイを以下の
方法で測定した。その結果を表1に示す。 (1) 嵩比重 :JIS K 6721に従って測定した。 (2) 粒度分布:JIS Z 8801に準じ、 #60、#80 、#100、
#120、#150、#200の各メッシュサイズの篩を用いて篩分
けし、通過量(重量%)を計量した。 (3) 可塑剤吸収量:内径25mm、深さ85mmのアルミニウム
合金製容器の底にグラスファイバーを詰め、試料の塩化
ビニル重合体10g を採取して投入する。これにジオクチ
ルフタレート(以下、DOP という) 15ccを加え、30分放
置してDOP を重合体に充分浸透させる。その後、1500G
の加速度下に過剰のDOP を遠心分離し、重合体10g に吸
収されたDOP の量を測定して、重合体100g当たりに換算
した。 (4) フィッシュアイ:試料の塩化ビニル重合体を 100重
量部、三塩基製硫酸鉛を1重量部、ステアリン酸鉛を
1.5重量部、酸化チタンを 0.2重量部、カーボンブラッ
クを 0.1重量部及びDOP を50重量部の割合で調製した混
合物をロールを用いて 145℃で5分間混練した後、厚さ
0.2mmのシートに成形し、シート 100cm2当たりに含ま
れるフィッシュアイの個数を計数した。 また、上記の重合器内温度昇温に要した時間、及び、重
合終了後の重合器内のスケール付着状況を観察した結果
を表1に示す。
重、粒度分布、可塑剤吸収量及びフィシュアイを以下の
方法で測定した。その結果を表1に示す。 (1) 嵩比重 :JIS K 6721に従って測定した。 (2) 粒度分布:JIS Z 8801に準じ、 #60、#80 、#100、
#120、#150、#200の各メッシュサイズの篩を用いて篩分
けし、通過量(重量%)を計量した。 (3) 可塑剤吸収量:内径25mm、深さ85mmのアルミニウム
合金製容器の底にグラスファイバーを詰め、試料の塩化
ビニル重合体10g を採取して投入する。これにジオクチ
ルフタレート(以下、DOP という) 15ccを加え、30分放
置してDOP を重合体に充分浸透させる。その後、1500G
の加速度下に過剰のDOP を遠心分離し、重合体10g に吸
収されたDOP の量を測定して、重合体100g当たりに換算
した。 (4) フィッシュアイ:試料の塩化ビニル重合体を 100重
量部、三塩基製硫酸鉛を1重量部、ステアリン酸鉛を
1.5重量部、酸化チタンを 0.2重量部、カーボンブラッ
クを 0.1重量部及びDOP を50重量部の割合で調製した混
合物をロールを用いて 145℃で5分間混練した後、厚さ
0.2mmのシートに成形し、シート 100cm2当たりに含ま
れるフィッシュアイの個数を計数した。 また、上記の重合器内温度昇温に要した時間、及び、重
合終了後の重合器内のスケール付着状況を観察した結果
を表1に示す。
【0031】実験例2 実験例1において硫酸を使用せず、また重合器の脱気を
40mmHgとし、脱イオン水のAir バブリングを行わなかっ
た(溶存酸素濃度5.0ppm)以外は、実験例1と同様に重
合を行ない、得られた塩化ビニル重合体についての物性
測定を行った。その結果を表1に示す。
40mmHgとし、脱イオン水のAir バブリングを行わなかっ
た(溶存酸素濃度5.0ppm)以外は、実験例1と同様に重
合を行ない、得られた塩化ビニル重合体についての物性
測定を行った。その結果を表1に示す。
【0032】実験例3 スチーム直接吹き込みによる昇温を開始する前の混合物
の温度を42℃とし、スチーム吹き込み速度を2.8kg/min
とした以外は、実験例1と同様に重合を行ない、得られ
た塩化ビニル重合体についての物性測定を行った。その
結果を表1に示す。
の温度を42℃とし、スチーム吹き込み速度を2.8kg/min
とした以外は、実験例1と同様に重合を行ない、得られ
た塩化ビニル重合体についての物性測定を行った。その
結果を表1に示す。
【0033】実験例4 スチーム吹き込みノズルを、昇温が終了した後も重合系
の中へ出しておいた他は実験例1と同様にして重合を行
ない、得られた塩化ビニル重合体についての物性測定を
行った。その結果を表1に示す。
の中へ出しておいた他は実験例1と同様にして重合を行
ない、得られた塩化ビニル重合体についての物性測定を
行った。その結果を表1に示す。
【0034】実験例5 重合前に仕込む脱イオン水の量を856kg とし、脱気を40
mmHgとし、昇温中に重合器中へのスチーム昇温を行わず
ジャケットに熱水を通じることにより昇温を行った以外
は実験例1と同様にして重合を行ない、得られた塩化ビ
ニル重合体についての物性測定を行った。その結果を表
1に示す。
mmHgとし、昇温中に重合器中へのスチーム昇温を行わず
ジャケットに熱水を通じることにより昇温を行った以外
は実験例1と同様にして重合を行ない、得られた塩化ビ
ニル重合体についての物性測定を行った。その結果を表
1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】本発明においては、重合反応に供する水
性懸濁液の昇温が、重合器内にスチームを供給すること
により行われる。従って、重合器に設けられているジャ
ケットには、重合反応の前後を通じて高温の熱水、例え
ば60℃よりも高い温度の熱水が供給されることがない
ため、省エネの点から極めて有利である。即ち、高温の
熱水を用いないので、ジャケット内における高温の熱水
と冷却水との切替えあるいはこの逆の操作がないので、
熱エネルギーロスが殆どない。また、熱水が高温でない
ので、該熱水中に高価な防食剤を添加する必要もないの
で、コスト的にも極めて有利となる。さらには、重合器
の外壁に設けられたジャケットでの加熱により昇温が行
われるものでないから、特にロングランで重合を行った
時に重合器内壁に顕著に発生するスケール付着も有効に
回避することができる。
性懸濁液の昇温が、重合器内にスチームを供給すること
により行われる。従って、重合器に設けられているジャ
ケットには、重合反応の前後を通じて高温の熱水、例え
ば60℃よりも高い温度の熱水が供給されることがない
ため、省エネの点から極めて有利である。即ち、高温の
熱水を用いないので、ジャケット内における高温の熱水
と冷却水との切替えあるいはこの逆の操作がないので、
熱エネルギーロスが殆どない。また、熱水が高温でない
ので、該熱水中に高価な防食剤を添加する必要もないの
で、コスト的にも極めて有利となる。さらには、重合器
の外壁に設けられたジャケットでの加熱により昇温が行
われるものでないから、特にロングランで重合を行った
時に重合器内壁に顕著に発生するスケール付着も有効に
回避することができる。
【0037】また本発明において、溶存酸素濃度が飽和
濃度に近い水性媒体の使用、或いは単量体供給時におけ
る重合器内の気相部の真空度の設定は、重合器内の酸素
濃度を一定レベル以上に保持するために行われるもので
あり、これらの操作により、得られる重合体が粗粒化し
たりする不都合を有効に回避することができる。即ち、
重合器内にスチームを供給することにより水性懸濁液の
昇温を行う場合、該懸濁液中には、スチームがドレンと
して混入するが、通常、スチームドレン中には溶存酸素
が殆ど含まれていないため、このまま重合を行った場
合、最終的に得られる重合体が粗粒化したり、最悪の場
合にはブロック化してしまうこともある。本発明によれ
ば、上記の如く、水性懸濁液の調製に用いる水性媒体中
の溶存酸素濃度を飽和濃度に近いレベルに設定するか、
或いは単量体を供給する際の気相部の真空度を一定の範
囲に設定しておくことにより、スチームドレンの混入に
起因する重合体の粗粒化を回避することができるのであ
る。
濃度に近い水性媒体の使用、或いは単量体供給時におけ
る重合器内の気相部の真空度の設定は、重合器内の酸素
濃度を一定レベル以上に保持するために行われるもので
あり、これらの操作により、得られる重合体が粗粒化し
たりする不都合を有効に回避することができる。即ち、
重合器内にスチームを供給することにより水性懸濁液の
昇温を行う場合、該懸濁液中には、スチームがドレンと
して混入するが、通常、スチームドレン中には溶存酸素
が殆ど含まれていないため、このまま重合を行った場
合、最終的に得られる重合体が粗粒化したり、最悪の場
合にはブロック化してしまうこともある。本発明によれ
ば、上記の如く、水性懸濁液の調製に用いる水性媒体中
の溶存酸素濃度を飽和濃度に近いレベルに設定するか、
或いは単量体を供給する際の気相部の真空度を一定の範
囲に設定しておくことにより、スチームドレンの混入に
起因する重合体の粗粒化を回避することができるのであ
る。
【0038】また本発明によれば、水性懸濁液のpHを
一定のレベルに設定しておくことも重要である。一般に
スチーム中には、配管等の腐食防止のために、ヒドラジ
ン、アンモニア、リン酸塩等の脱酸素剤、pH調整剤が含
まれているため、pHがアルカリサイドとなっている。
従って、スチームがドレンとなって水性懸濁液中に入っ
た場合、pHが増大して分散安定性が損なわれ、得られ
る重合体の粒子径のバラツキや粗粒化が発生するため、
懸濁剤の増量等の操作をしなければならない。本発明に
よれば、水性懸濁液のpHを予め低いレベルに設定して
おくことにより、このような不都合も回避することがで
きるのである。
一定のレベルに設定しておくことも重要である。一般に
スチーム中には、配管等の腐食防止のために、ヒドラジ
ン、アンモニア、リン酸塩等の脱酸素剤、pH調整剤が含
まれているため、pHがアルカリサイドとなっている。
従って、スチームがドレンとなって水性懸濁液中に入っ
た場合、pHが増大して分散安定性が損なわれ、得られ
る重合体の粒子径のバラツキや粗粒化が発生するため、
懸濁剤の増量等の操作をしなければならない。本発明に
よれば、水性懸濁液のpHを予め低いレベルに設定して
おくことにより、このような不都合も回避することがで
きるのである。
【0039】このように本発明の方法によれば、昇温に
要する時間を短縮することができ、塩化ビニル系重合体
の生産性を向上させることができる。さらに重合器外壁
に設けられているジャケットに熱水を使用しないことか
ら省エネ、防食剤のコスト削減となり、ジャケットには
冷却水又は60℃以下の温水のみを使用することがで
き、特にロングランの重合を行う時に顕著な重合器壁面
でのスケール付着を著しく減少させることができる。従
って、得られる重合体のフィシュアイも少なく、重合体
中の粗粒の発生も抑制されるのである。
要する時間を短縮することができ、塩化ビニル系重合体
の生産性を向上させることができる。さらに重合器外壁
に設けられているジャケットに熱水を使用しないことか
ら省エネ、防食剤のコスト削減となり、ジャケットには
冷却水又は60℃以下の温水のみを使用することがで
き、特にロングランの重合を行う時に顕著な重合器壁面
でのスケール付着を著しく減少させることができる。従
って、得られる重合体のフィシュアイも少なく、重合体
中の粗粒の発生も抑制されるのである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥野 義隆 茨城県鹿島郡神栖町大字東和田1番地 信越化学工業株式会社 塩ビ技術研究所 内 (56)参考文献 特開 平4−236202(JP,A) 特開 昭51−70287(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/18 - 2/20
Claims (5)
- 【請求項1】 ジャケットを備えた重合器内に、塩化ビ
ニル又は塩化ビニルを含む単量体混合物、重合開始剤、
水性媒体、分散剤及び適宜必要な添加剤を供給して水性
懸濁液を調製し、次いで重合器内にスチームを供給して
前記水性懸濁液を所定の温度に昇温して懸濁重合を行う
ことからなる塩化ビニル系重合体の製造方法において、 前記水性媒体として、溶存酸素濃度が飽和濃度−2ppm
以内に調整されたものを使用して水性懸濁液の調製を行
うか、または水性媒体が供給された重合器内の気相部の
真空度が50〜100mmHg(絶対圧)に設定された状態
で、塩化ビニル又は塩化ビニルを含む単量体混合物を供
給し、 前記水性懸濁液は、スチーム供給前の段階におけるpH
が3.0〜7.0の範囲に調整されていることを特徴とする
塩化ビニル系重合体の製造方法。 - 【請求項2】 前記溶存酸素濃度の調整が、水性媒体を
エアーバブリングすることによって行われる請求項1に
記載の製造方法。 - 【請求項3】 前記スチームは、前記水性懸濁液中に直
接吹き込まれる請求項1に記載の製造方法。 - 【請求項4】 前記スチームの供給直前における水性懸
濁液の温度は、重合開始剤の10時間半減期温度よりも
2℃以上低い温度に保持されている請求項1に記載の製
造方法。 - 【請求項5】 前記ジャケット中に流される水の温度
は、常時60℃以下の温度にある請求項1に記載の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34191993A JP3261246B2 (ja) | 1993-12-13 | 1993-12-13 | 塩化ビニル系重合体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34191993A JP3261246B2 (ja) | 1993-12-13 | 1993-12-13 | 塩化ビニル系重合体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07165803A JPH07165803A (ja) | 1995-06-27 |
JP3261246B2 true JP3261246B2 (ja) | 2002-02-25 |
Family
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Family Applications (1)
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KR101338723B1 (ko) * | 2010-10-26 | 2013-12-06 | 주식회사 엘지화학 | 현탁 중합에 의한 염화비닐 중합체의 제조방법 |
KR102367336B1 (ko) * | 2018-10-11 | 2022-02-25 | 주식회사 엘지화학 | 중합 개시제 조성물의 제조방법 |
-
1993
- 1993-12-13 JP JP34191993A patent/JP3261246B2/ja not_active Expired - Fee Related
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