JP3389629B2 - 塩化ビニル樹脂の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル樹脂の製造方法

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JP3389629B2 JP07424793A JP7424793A JP3389629B2 JP 3389629 B2 JP3389629 B2 JP 3389629B2 JP 07424793 A JP07424793 A JP 07424793A JP 7424793 A JP7424793 A JP 7424793A JP 3389629 B2 JP3389629 B2 JP 3389629B2
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    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
    • B01J19/00Chemical, physical or physico-chemical processes in general; Their relevant apparatus
    • B01J19/18Stationary reactors having moving elements inside

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塩化ビニル樹脂、特に
ペースト用塩化ビニル樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ペースト用塩化ビニル樹脂は、塩化ビニ
ルまたは所望に応じて塩化ビニルと共重合しうる単量体
との混合物を微細懸濁重合、乳化重合または播種乳化重
合により重合した後、噴霧乾燥を行って製造される0.
2〜3μm程度の平均一次粒子径を有する粉状体であ
る。これを可塑剤中に他の配合剤と共に混合分散してい
わゆるプラスチゾルを調製し、注型成形、スラッシュ成
形、回転成形、スプレッドコート成形あるいはスクリー
ン塗布成形などの成形法によって最終成形品に加工され
る。用途は耐チッピング塗料やシーラント、手袋等、多
岐にわたる。
【0003】微細懸濁重合法では、触媒として油溶性の
ラジカル開始剤が用いられ、重合開始前に水性媒体中に
単量体、開始剤、界面活性剤および所望に応じて高級脂
肪酸などの重合助剤、その他の添加剤を加えてプレミッ
クスし、ホモジナイザにより均質化処理して油滴の粒径
調整を行う。ホモジナイザとしては、例えばコロイドミ
ル、振動攪拌機などが用いられる。均質化処理された液
は重合装置に送られ、通常30〜80℃の範囲の温度に
おいて重合反応が行われる。
【0004】ここに、所望に応じて塩化ビニルとの共重
合に用いられる単量体としては、例えば酢酸ビニル、メ
タクリル酸など多数のものを挙げることができる。これ
らの共重合単量体は1種または2種以上を組み合わせて
使用することができる。
【0005】油溶性のラジカル開始剤としては、例えば
ジベンゾイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド
類、ペルオキシジカーボネート類、ペルオキシエステル
類、あるいは有機過酸化物、さらにアゾ化合物などを使
用することができる。
【0006】微細懸濁重合法において使用される界面活
性剤としては、例えばラウリル硫酸エステルナトリウム
などアニオン性界面活性剤類、ソルビタンモノオレート
などノニオン性界面活性剤類、セチルピリジニウムクロ
リドなどのカチオン性界面活性剤などが挙げられ、これ
らは1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0007】微細懸濁重合法では、以上のような成分を
含む液を均質化処理した後、これを重合装置に送り重合
反応を行わせる。重合装置では重合反応熱を除去する必
要上攪拌が行われるが、攪拌が強過ぎると上記の均質化
処理において形成された液滴が衝突により合一するため
粗大粒子が増加し、その結果ペーストゾル粘度の上昇な
ど流動性の悪化を招いたり、液滴が重合装置の壁や攪拌
翼に付着してスケールの増大を招く。
【0008】従って、一般に微細懸濁重合法では緩やか
な攪拌が用いられ、重合装置内に邪魔板(バッフル)を
設けない場合が多いので、重合装置器壁における伝熱係
数を大きく取ることができない。そのため、重合装置の
生産性は重合反応熱の除去が支配的因子になっている。
【0009】一方、乳化重合法は、アニオン性界面活性
剤などを乳化剤とし、水性媒体中に乳化分散させた塩化
ビニルモノマのミセルを反応の場として、水溶性重合開
始剤を用いて重合反応を開始させる方法である。重合の
進行に伴って粒子が肥大するのでその安定化に必要かつ
最小限の乳化剤を追加供給する。こうすることにより微
細粒子の発生を防止して、初期に発生した重合体粒子の
個数を維持しつつ重合反応を進行させる。一般に乳化重
合法で得られるポリマーの粒径は非常に小さいが、ペー
スト用塩化ビニル樹脂の場合は平均粒子径が0.4〜
0.6μmに達するまで粒子を肥大させる。
【0010】また播種乳化重合法は、予め通常の乳化重
合や微細懸濁重合により調製された塩化ビニル樹脂粒子
を核として、上記の乳化重合法と同様の乳化剤および重
合開始剤を用いて、水性媒体中で粒子の肥大化重合反応
を行わせる重合方法である。この方法によれば、平均粒
子径が1〜2μmで、これに0.2μm前後の副生小粒
子が加わったシャープな粒径分布を有するペースト用塩
化ビニル樹脂が得られる。
【0011】上述の通り乳化重合では過剰な乳化剤が存
在すると微細粒子が発生するので常時は余分な量の乳化
剤を系内に置かず、析出したポリマーを安定化させるた
めに必要最小限の乳化剤を追加する方法が取られてい
る。従って重合反応中は反応液滴は常に不安定な状態に
あるから、この場合も攪拌について先に説明した微細懸
濁重合の場合と同様の注意を払う必要があり、緩やかな
攪拌が必要である。
【0012】従ってペースト用塩化ビニル樹脂の重合で
は、微細懸濁重合、乳化重合または播種乳化重合法のい
ずれを採用する場合でも、重合反応熱の除去が困難であ
るという共通の問題があり、これまで種々の除熱効率の
向上策が提案されている。
【0013】例えば、重合装置の有効高さHに対する有
効直径Dの比(H/D)を10以上にも取った極端に縦
長の重合装置(特開平3−103408号公報)、攪拌
翼およびバッフルへ冷却水を通水する方法、リフラック
スコンデンサを使用する方法(特開昭54−15389
5号公報)、あるいは冷却装置を使用する方法(特開昭
55−157607号公報)などが提案されている。
【0014】しかしながら、極端に縦長の重合装置を新
規に建設するには多額の設備投資を必要とし、従来から
用いられてきたH/Dが1〜3程度である一般的な重合
設備の生産性を改善する目的には不向きといえる。ま
た、ペースト用塩化ビニル樹脂の重合設備ではスケール
の付着および品質への悪影響からバッフルを使用しない
場合も多く、このような場合にはバッフルへ冷却水を通
水する方法は使用できない。攪拌翼に冷却水を通水する
方法は煩雑である割りには増大できる伝熱面積が少ない
という弱点がある。リフラックスコンデンサを使用する
方法では、反応液の発泡上昇によるリフラックスコンデ
ンサ内へのスケール付着や還流塩化ビニルモノマの再懸
濁が困難であることに伴う異常粒子発生等、特に微細懸
濁重合では適用上の困難が大きい。外部冷却装置を使用
する方法では、重合反応液をポンプで外部冷却装置へ送
給する際の剪断力による液粒子の破壊や冷却装置へのス
ケール付着等の困難と共に冷却コストの増大という問題
がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、攪拌
装置付きの一般的形状を有する耐圧反応器の使用を前提
として、攪拌翼の形状寸法等の攪拌条件を工夫すること
により上述の問題点を解決し、微細懸濁重合法または乳
化重合法において高い除熱能力を確保すると共に、スケ
ール付着および粗大凝集物の発生が少なくゾル粘度が良
好なペースト用塩化ビニル樹脂を高い生産性の下で製造
することができる製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決する手段】本発明者は、重合装置の構造、
特に攪拌装置の構造および重合条件と、伝熱係数、スケ
ール付着等の操業特性、粗粒発生およびゾル粘度等のペ
ースト用塩化ビニル樹脂の品質特性との関係について鋭
意詳細に検討した結果、本発明を完成するに至った。
【0017】本発明に係る塩化ビニル樹脂の製造方法
は、耐圧反応器の中心軸上に複数の板状攪拌翼からなる
攪拌翼列を配置してなる塩化ビニル樹脂の重合装置を使
用して、前記攪拌翼列の最下段を第1段とし、順次上方
へ向かって第2段、・・、第n段(nは任意の整数)と
するとき、前記反応器の内径Dに対する第1段の攪拌翼
先端径dの比(d1 /D)を0.5から0.9、好まし
くは0.6から0.8の範囲で設定し、第n段に対する
第n+1段の攪拌翼先端径dの比(dn+1/dn )を0.
6から1.0の範囲で設定し、軸方向から見た第n段と
第n+1段の攪拌翼の交差角度を20°から90°、好
ましくは30°から60°の範囲で設定し、かつ、前記
反応器に所定量の室温の清水を仕込み、前記攪拌翼列を
回転させ、所定の直径を有し前記反応器内で中心軸を共
有する仮想円筒面上において測定される軸方向流速に対
する円周方向流速の比の分布における最大値と最小値の
比が15を超えない範囲で極小値を示す攪拌回転速度を
採用し、かくして決定される攪拌条件下で塩化ビニルを
主体とする単量体の微細懸濁重合または乳化重合を行う
ことを特徴とする。
【0018】本発明に係る製造方法において使用する重
合装置は、反応器の内径Dに対する反応器の有効高さH
の比(H/D)として1〜3を予定し、攪拌翼の形状と
してはパドル型攪拌翼を使用し、反応器の形状に応じて
2〜5段の攪拌翼の段数を予定している。翼の軸方向の
幅hの反応器の有効高さHに対する比(h/H)は、
0.05〜0.40の範囲で任意に選択することができ
る。また、先ごろ神鋼パンテック社により開発された比
較的縦長の門形の翼形で、上下の翼の一部がオーバーラ
ップする『フルゾーン』翼(神鋼パンテック社から特許
・商標登録出願中)も使用可能である(図2参照)。
【0019】攪拌翼列中の翼間隔は、最上段、最下段の
翼の位置を決定しその間を均等に分割すればよいが、均
等間隔から40%以下の範囲で上下に移動することもで
きる。ただし最上段の攪拌翼の取り付け高さは、重合反
応の進行に伴って反応器内容物の体積が収縮して液面が
低下することを考慮して定める必要がある。また最下段
の攪拌翼は、該攪拌翼下部と反応器の底部内面との間に
略均等な間隔を生じさせる輪郭形状とすることができ
る。
【0020】
【作用】塩化ビニルを主体とする単量体の微細懸濁重合
または乳化重合に使用する塩化ビニル樹脂の重合装置で
は、重合反応熱の除去を効率的に行うという観点からは
できるだけ強い攪拌を行うことが好ましいものの、従来
はスケールの付着および凝集物の生成を低く押さえる観
点から、緩やかな攪拌を採用せざるをえないと考えられ
てきた。
【0021】しかし本発明者は、局所的に過大な流動状
態が発生しないように系全体の流動状態をできるだけ均
一に保つことが重要であり、そうすることにより相対的
に強い攪拌を行うことができ、しかもスケールの付着を
少なく保つことができるので、結果的に総括伝熱係数を
高く維持することができると考えた。
【0022】本発明者はこのような観点から数多くの実
験的検討を重ねた結果、多くの因子の中から、(a)反
応器の内径Dに対する最下段の攪拌翼先端軌跡径dの比
(d1 /D)、(b)第n段に対する第n+1段の攪拌
翼先端径dの比(dn+1/dn )、(c)第n段と第n+
1段の攪拌翼の交差角度、の3因子が、反応系の局所的
流動状態に特に大きい影響を持つことを見出した。
【0023】局所的流動状態を示す指標としては、反応
器と中心軸を共有する反応器内の仮想円筒面上の各所に
おいて実験流体として室温の清水を用いて測定した縦
(軸)および横(円周)方向の流速比(縦/横)の最大
/最小値の比を採用した。この指標値は攪拌翼の各種形
状寸法の相違によって大きく変化し、小さい場合は3程
度から大きい場合は70以上にもなる。また、一定の攪
拌翼構成の下で攪拌機回転数を変えると、この指標値は
様々な傾向を持って敏感に変動する。
【0024】スケール付着量および凝集物の生成状態か
らこの指標値が小さいほど局所的流動状態の均一性が高
いと考えられ、この値が15以下であれば実用的、7以
下であれば良好と判断される。15を超える場合は反応
流体の滞留が生じているものと考えられ、熱拡散不良に
よる局部的温度上昇や局部的に過大な流動箇所が発生
し、その結果スケールおよび凝集物が増大するものと推
定している。また、スケール付着が増えれば伝熱が阻害
されるので、この指標値が高いことは伝熱上からも好ま
しくない。
【0025】一方、重合反応初期の総括伝熱係数を決定
する因子は攪拌機の回転数である。しかし、反応途上で
スケールの付着が顕著であると総括伝熱係数は急速に低
下する。また、流動状態の均一性を示すと考えられる前
記指標値と攪拌機回転数の間には必ずしも一定方向の相
関が認められない。
【0026】このことは、必要な総括伝熱係数を確保す
るための攪拌機回転数と、良好なスケールの付着および
凝集物の生成状態を実現するための均一な流動状態の確
保との間にはある程度の自由度があり、夫々独立に対策
を取ることができることを示唆している。従って、上で
挙げた3因子を適切に選択することにより良好な局所的
流動状態の均一性を実現してスケール付着量およびペー
スト品質を所望の範囲に保ちつつ、併せて高い攪拌機回
転数を採用し高い総括伝熱係数をも実現することができ
ることになる。また、そのような状態において攪拌機回
転数の微調整を行って前記指標値がより小さくなる回転
数を探索すれば、スケールの付着をさらに減少させて高
い総括伝熱係数を維持することができる。
【0027】上記の3因子は、夫々次の範囲にあること
が望ましい。
【0028】d1 /D = 0.5〜0.9、さらに好
ましくは0.6〜0.8 dn+1/dn = 0.6〜1.0 交差角度 = 20〜90°、さらに好ましくは30〜
60° d1 /Dは反応器下層における攪拌翼吐出量に関係する
値である。d1 /Dの値が0.5より小さいと凝集物の
発生が増大する。これは反応器壁面と攪拌翼先端との距
離が大きいため攪拌翼から吐出された流体の速度が反応
器壁面近傍に至るまでに減少して攪拌翼先端との間で流
速の差が増大し、この流速の差が局所的流動状態の均一
性を阻害するため結果的に凝集物の増大につながるもの
と考えられる。また流速が反応器壁面近傍で減少するこ
とは伝熱係数の面で不利であることはいうまでもない。
逆にd1 /Dが0.9より大であるとやはり凝集物が増
大する。これは反応器壁面と攪拌翼先端との距離が小さ
くなり過ぎて、攪拌翼から吐出された流体が反応器壁面
に衝突して液滴が破壊される頻度が増加するために生じ
るものと考えられる。d1 /Dの値が0.6から0.8
の範囲にある場合はさらに良好な結果が得られる。
【0029】dn+1/dn は上下方向の流れに影響する因
子である。dn+1/dn が0.6より小さいと凝集物の発
生が増大する。これは、現実には最上段の攪拌翼につい
てのd/Dの値が0.5を大幅に下回り、上記d1 /D
について述べた理由と同様に説明されると考えられる。
n+1/dn が1.0を超えると粗大粒子やスケールが増
大する。これは上下方向の流れが攪乱されたり、反応器
壁面近傍の流れが下向きになるためと考えられる。
【0030】攪拌翼段間の交差角度も上下方向の流れに
影響する因子である。交差角度が20°を下回ると凝集
物の発生が増大する。これは上段翼と下段翼のつながり
が悪くなり、夫々の翼から吐出された流れが翼間で互い
に衝突し、円滑な流体輸送が阻害されるためと考えられ
る。交差角度が60°を上回ると凝集物の発生がやや増
大する。これは、20°を下回る場合よりははるかに上
段翼と下段翼のつながりは良好であるものの、30°〜
60°の場合に比較して翼間での流れの衝突がやや増加
し、流速分布が広くなるためと考えられる。
【0031】
【実施例】以下に本発明の実施例および比較例を示す。
以下の実施例および比較例には、図1に示すH/Dが
2.0、有効容積1.0m3 の攪拌機付重合反応器1を
用いた。この反応器1ではバッフルを用いていない。
【0032】反応器1内の流速分布は重合反応とは別に
測定した。反応器1に脱イオン水1.0m3 を仕込み、
各実施例、比較例において指定する攪拌条件の下で攪拌
を行い、その流速分布を光ファイバレーザ流速計を用い
て測定し、流速分布の測定点は、図1に示すように、反
応器1と中心軸2を共有し、直径dがd=d1 +(1/
3)(D−d1 )で与えられる仮想円筒面(d1 は最下
段の攪拌翼先端径)上の軸方向に、それぞれ液面直下、
上段翼の高さ中心、上・中段間の中間位置、中段翼の高
さ中心、中・下段間の中間位置、下段翼の高さ中心を示
すポイント1〜6を設けた。各測定点において円周方向
と軸方向の流速を求め、両者の比(A=軸方向流速/円
周方向流速)の反応器内分布をもって流速分布の指標と
した。
【0033】実施例1〜3および比較例1〜3は微細懸
濁重合法により、実施例4〜6および比較例4は播種乳
化重合法により重合を行った。
【0034】各実施例および比較例の結果は、表1に示
す通りである。ただし、ここに掲げた重合時間、重合転
化率、凝集物量、スケール量、ゾル粘度、総括伝熱係数
は、Amax /Amin が極小になる攪拌機回転数において
重合反応を行った結果を示している。また、流速分布の
データを表2に掲げた。
【0035】表1の各実施例および比較例の結果に見ら
れるように、凝集物量、スケール量が少ない例では上述
のAmax /Amin が1桁台を示しており、しかもそのよ
うな例では総括伝熱係数も相対的に大きいことがわか
る。これは、一つにはそのような例では攪拌機回転数を
高く取ることができていることに加えて、さらにそのよ
うな例ではスケールの付着が少ないので総括伝熱係数も
大きい値が維持されていると考えることができる。実施例1 容量1.0m3 の攪拌機付予備混合槽に脱イオン水48
0kgを仕込み、次にアルキルベンゼンスルホン酸ソー
ダの25%水溶液13.5kg、塩化パラフィン6.2
kg、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネイ
トの70%ミネラルスピリット溶液0.35kg、ラウ
ロイルパーオキサイド0.3kgを加えて脱気した後、
塩化ビニル単量体を500kg仕込み、30分間攪拌
し、予備乳化を行った。
【0036】次に、この予備乳化液を高圧の乳化均質機
を通して予め脱気した上記の反応器1へ移送し、攪拌し
ながら昇温し、50℃で重合を行った。
【0037】攪拌機の攪拌翼としてはパドル翼3〜5を
使用し、翼段数は3段で、上段、中段、下段の各翼のd
/Dは、それぞれ0.50、0.60、0.70であっ
た。各段の翼の羽根板の枚数は2枚で、下段翼に対する
中段翼、中段翼に対する上段翼の交差角度θ1 、θ2
夫々45°とした。
【0038】反応器1に脱イオン水1.0m3 を仕込
み、攪拌機回転数を20〜80rpmの範囲で変化させ
てAmax /Amin を求め、その値が極小になる回転数を
選定し、その回転数で重合を行った。
【0039】得られたラテックスの重合転化率、総括伝
熱係数、凝集物量、スケール量およびゾル粘度を測定し
た。重合転化率および凝集物量は仕込み単量体量に対す
る重量比(%)で表した。
【0040】凝集物については、重合終了後のラテック
スが60メッシュ篩を通過する際に篩上に残留する凝集
物を集めて乾燥し、その重量を測定した。
【0041】スケール量については、反応器内に付着し
たスケールを反応器開缶後に目視によって観察し評語を
与えた。
【0042】重合終了後、未反応のモノマーを除去した
ラテックスをスプレー乾燥機を用いて、入口熱風温度1
65℃、出口温度55℃で乾燥し、粉砕機で粉砕した。
【0043】ゾル粘度については、乾燥塩化ビニル樹脂
100部に対してジオクチルフタレート(DOP)60
部を加え、らいかい機で混練したゾルを25℃で1時間
静置した後、B型粘度計を用いて測定した。
【0044】総括伝熱係数については、重合中の反応器
ジャケットを流れる冷却水量、および冷却水の入口、出
口温度を測定し、次式により計算で求めた。ただし、冷
却水の流量がその最大流量の70%を超える流量で1時
間以上持続するデータを用いた。
【0045】 U=Cp W(Tout −Tin)/AΔtlm Δtlm =〔(T−Tin)−(T−Tout )〕/ln
〔(T−Tin)/(T−Tout )〕 ここで、 U : 総括伝熱係数(kcal/m2
r℃) Cp : 冷却水の比熱(kcal/kg℃) W : 冷却水量 (kg/hr) T : 反応温度 (℃) Tin : 冷却水の入口温度(℃) Tout : 冷却水の出口温度(℃) A : 反応器ジャケットの伝熱面積(m2 実施例2 攪拌翼の上段、中段、下段のd/Dをすべて0.60と
し、交差角度θ1 、θ 2 をそれぞれ30°とした以外
は、実施例1と同じ条件で重合反応(微細懸濁重合)お
よびその他の処理を行った。実施例3 攪拌翼として神鋼パンテック社製の『フルゾーン』翼6
〜8を採用した以外は実施例1と同じ条件で重合反応
(微細懸濁重合)およびその他の処理を行った。ただし
『フルゾーン』翼は3段で、上段、中段、下段の各翼の
d/Dをそれぞれ0.5、0.55、0.65とし、各
段の翼板の枚数は2枚で、交差角度θ1 、θ2 をそれぞ
れ45°とした。比較例1 攪拌翼の上段、中段、下段のd/Dをすべて0.60と
し、交差角度θ1 、θ 2 をいずれも0°とした以外は、
実施例1と同じ条件で重合反応(微細懸濁重合)および
その他の処理を行った。比較例2 攪拌翼の上段、中段、下段のd/Dをそれぞれ0.6
0、0.60、0.92とし、交差角度θ1 、θ2 をそ
れぞれ30°とした以外は、実施例1と同じ条件で重合
反応(微細懸濁重合)およびその他の処理を行った。比較例3 攪拌翼の上段、中段、下段のd/Dをそれぞれ0.2
4、0.24、0.60とし、交差角度θ1 、θ2 をそ
れぞれ30°とした以外は、実施例1と同じ条件で重合
反応(微細懸濁重合)およびその他の処理を行った。実施例4 冒頭に記した反応器1に脱イオン水350kgを仕込
み、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ソーダ30g、硫
酸第1鉄3g、カセイソーダ50gを攪拌しながら加え
る。次に脱気を行い、平均粒子径が0.45μmの種粒
子を含んだ固形分濃度24.5%のシードラテックスを
100kgを吸引させる。次に塩化ビニル単量体480
kgを仕込んで昇温し、55℃で重合を開始した。重合
中にクメンハイドロパーオキサイドの0.1%濃度の水
溶液にラウリル硫酸ナトリウム0.05%を加えて乳化
したものを、0.9l/hrのレートで添加する。また
同時に、ラウリル硫酸ナトリウムの20%水溶液を3.
0l/hrのレートで添加する。
【0046】以上の重合処方により播種乳化重合を行う
以外は、実施例1と同じ条件で攪拌および重合後の処理
を行った。実施例5 攪拌翼の上段、中段、下段のd/Dをすべて0.60と
した以外は、実施例4と同じ条件で重合反応(播種乳化
重合)およびその他の処理を行った。実施例6 攪拌翼として神鋼パンテック社製の『フルゾーン』翼6
〜8を採用した以外は実施例4と同じ条件で重合反応
(播種乳化重合)およびその他の処理を行った。ただし
フルゾーン翼は3段で、上段、中段、下段の各翼のd/
Dをそれぞれ0.5、0.55、0.65とし、各段の
翼板の枚数は2枚で、交差角度θ1 、θ2をそれぞれ4
5°とした。比較例4 攪拌翼の上段、中段、下段の各翼のd/Dをすべて0.
60とし、交差角度θ 1 、θ2 をそれぞれ10°とした
以外は、実施例4と同じ条件で重合反応(播種乳化重
合)およびその他の処理を行った。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、反応系内の流速分布を
より均一に近づけつつ、より高い攪拌速度(回転数)を
採用することが可能になるので、除熱能力が高く、かつ
スケール付着および粗粒発生が少なくゾル粘度が良好
な、微細懸濁重合法または乳化重合法によるペースト用
塩化ビニル樹脂の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るペースト用塩化ビニル樹脂製造方
法の一実施例におけるパドル型攪拌翼の配置状況を示す
(a)側面図および(b)平面図である。側面図には流
速分布測定点を記入した。
【図2】本発明に係るペースト用塩化ビニル樹脂製造方
法の他の実施例における『フルゾーン』攪拌翼の配置状
況を示す(a)側面図および(b)平面図である。
【符号の説明】
1…反応器 2…攪拌翼列の中心軸 3…最下段パドル攪拌翼 4…下から2段目のパドル攪拌翼 5…下から3段目のパドル攪拌翼 6…最下段フルゾーン攪拌翼 7…下から2段目のフルゾーン攪拌翼 8…下から3段目のフルゾーン攪拌翼
【表1】
【表2】

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】耐圧反応器の中心軸上に複数の板状攪拌翼
    からなる攪拌翼列を配置してなる塩化ビニル樹脂の重合
    装置を使用して、前記攪拌翼列の最下段を第1段とし、
    順次上方へ向かって第2段、・・、第n段(nは任意の
    整数)とするとき、 前記反応器の内径Dに対する第1段の攪拌翼先端径dの
    比(d1 /D)を0.5から0.9の範囲で設定し、 第n段に対する第n+1段の攪拌翼先端径dの比(d
    n+1/dn )を0.6から1.0の範囲で設定し、 軸方向から見た第n段と第n+1段の攪拌翼の交差角度
    を20°から90°の範囲で設定し、かつ、 前記反応器に所定量の室温の清水を仕込み、前記攪拌翼
    列を回転させて、所定の直径を有し前記反応器内で中心
    軸を共有する仮想円筒面上において測定される軸方向流
    速に対する円周方向流速の比の分布における最大値と最
    小値の比が15を超えない範囲で極小値を示す攪拌回転
    速度を採用し、 かくして決定される攪拌条件下で塩化ビニルを主体とす
    る単量体の微細懸濁重合または乳化重合を行うことを特
    徴とする塩化ビニル樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の方法において、前記(d1
    /D)を0.6から0.8の範囲に設定することを特徴
    とする塩化ビニル樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の方法において、前記交差角
    度を30°から60°の範囲に設定することを特徴とす
    る塩化ビニル樹脂の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1記載の方法において、前記流速比
    の分布における最大値と最小値の比が7を超えないこと
    を特徴とする塩化ビニル樹脂の製造方法。
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