JP2576926B2 - ペースト用塩化ビニル樹脂の製造方法 - Google Patents

ペースト用塩化ビニル樹脂の製造方法

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JP2576926B2
JP2576926B2 JP4105771A JP10577192A JP2576926B2 JP 2576926 B2 JP2576926 B2 JP 2576926B2 JP 4105771 A JP4105771 A JP 4105771A JP 10577192 A JP10577192 A JP 10577192A JP 2576926 B2 JP2576926 B2 JP 2576926B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐チッピング塗料やシ
ーラント、手袋用等の分野で用いられるペーストゾル用
塩化ビニル重合体に関し、詳しくは、成形時にタレのな
い成形加工性に優れたペーストゾル用塩化ビニル重合体
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ペースト用塩化ビニル樹脂粉体
は、そのペースト加工法が多様な用途への高い適合性を
有することから、世界的に需要が増加の傾向にある。こ
のペースト用塩化ビニル樹脂粉体は、平均粒子径0.2
〜3μm程度の真球に近い一次粒子が、二次的に数十μ
mの粒子径に集合したものであって、通常は粉体状で加
工に供される。例えば可塑剤中に該ペースト用塩化ビニ
ル樹脂粉体を熱安定剤、充填剤、顔料その他の配合剤と
共に混合分散して、樹脂組成物、いわゆるプラスチゾル
を調製し、注型成形、スラッシュ成形、回転成形などの
型成形、ナイフコートやロールコートなどのスプレッド
コート成形、あるいはスクリーン塗布成形などの成形法
によって、最終成形品に加工される。このようなペース
ト用塩化ビニル樹脂粉体に要求される重要な性質として
は、(1)前記のプラスチゾル調製に際し、樹脂粒子が
低剪断速度で短時間に単位粒子に分散すること、(2)
加工時プラスチゾルなどの分散液が受ける広い範囲の剪
断力、例えばスラッシュ、回転、浸漬、キャスティン
グ、スポンジ成形などにおける低剪断力から、スプレッ
ド(展延)、噴霧塗装などにおける高剪断力の条件下に
わたって、流動性に優れ、容易に加工成形できること、
(3)可塑剤、希釈剤等の液の量が少なくても十分に流
動性がよいこと、(4)ペースト分散液粘度の経時変化
が小さいことなどを挙げることができる。前記ペースト
用塩化ビニル樹脂は、塩化ビニル単独、または塩化ビニ
ル及びこれと共重合可能な単量体とを、通常微細懸濁重
合法または播種乳化重合法または乳化重合法により重合
または共重合させることにより得られる。ところで、こ
うした方法によって得られたペースト用塩化ビニル樹脂
中には各種乳化剤(界面活性剤)をはじめとする多くの
重合副資材が夾雑物として混入し、とりわけアニオン性
またはノニオン性乳化剤の存在が耐チッピング塗料やシ
ーラント、手袋用等のペーストゾルのタレの障害を発生
させる要因になっているという問題を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、塩化ビニル
または塩化ビニルと共重合しうる単量体との混合物を微
細懸濁重合、播種乳化重合または乳化重合して得られる
ペースト用塩化ビニル樹脂を製造するに際し、耐チッピ
ング塗料やシーラント、手袋用等のペーストゾルのタレ
防止に優れた効果を有するペースト用塩化ビニル樹脂を
効率よく製造する方法を提供することを目的としてなさ
れたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、高分子分散剤を用いるとともに、乾燥出
口温度を従来よりも高い特定の温度にすることによっ
て、その目的を達成しうることを見い出し、この知見に
基づいて本発明を完成するに至った。すなわち本発明
は、塩化ビニルまたは塩化ビニルと共重合しうる単量体
との混合物を水性媒体中で微細懸濁重合、播種乳化重合
または乳化重合して得られるペースト用塩化ビニル重合
体ラテックスを噴霧乾燥しペースト用塩化ビニル樹脂を
得る方法において、高分子分散剤を重合開始前、重合反
応中または重合反応終了後に、0.05重量部〜1.0重
量部添加し、さらに噴霧乾燥に際し乾燥出口空気温度で
60〜75℃で乾燥することを特徴とするペースト用塩
化ビニル樹脂の製造方法を提供するものである。本発明
製造方法においては、原料単量体として塩化ビニル及び
所望に応じてこれと共重合可能な単量体を用いる。
【0005】ここに所望に応じて用いられる単量体とし
ては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル
酸、マレイン酸、ケイ皮酸、無水マレイン酸、フマール
酸、イタコン酸、無水イタコン酸などの不飽和モノカル
ボン酸、不飽和ジカルボン酸及びその酸無水物、フマー
ル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエ
ステルなどの不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステ
ル、(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、プロピル、
ブチル、オクチル、シクロヘキシル、ベンジルエステル
などの不飽和モノカルボン酸エステル類、マレイン酸や
フマール酸のジメチル、ジエチル、ジプロピル、ジブチ
ル、ジオクチル、ジシクロヘキシル、ジベンジルエステ
ルなどの不飽和ジカルボン酸ジエステル類、メチルビニ
ルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエ
ーテルなどのビニルエーテル類、エチレン、プロピレ
ン、ブテン−1、ペンテン−1などのオレフィン類、ス
チレンやα−メチルスチレンなどの芳香族モノビニル化
合物、アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシ
アン化ビニル化合物、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニルなどのカルボ
ン酸ビニルエステル、さらには塩化ビニリデンなどが挙
げられる。これらの共重合単量体は1種または2種以上
を組み合わせて使用することができる。
【0006】本発明製造方法が適用される塩化ビニル樹
脂の重合反応は、特に制限はなく、従来プラスチゾルに
用いられている塩化ビニル系重合体の製造に慣用されて
いる方法を使用することができる。例えば微細懸濁重合
法や播種乳化重合法などに本発明製造方法を適用するこ
とができる。特に、本発明製造方法に用いる微細懸濁重
合法としては、触媒として油溶性触媒を用い、重合開始
前に単量体油滴の粒径を均質化処理によって予め調節
し、均質分散重合させる方法などが好適である。このよ
うな微細懸濁重合法においては、触媒として油溶性のラ
ジカル開始剤が使用され、この油溶性のラジカル開始剤
としては、例えばジベンゾイルペルオキシド、ジ−3,
5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド、ジラウ
ロイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類、ジ
イソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ−sec−
ブチルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキ
シルペルオキシジカーボネートなどのペルオキシジカー
ボネート類、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ブ
チルペルオキシネオデカノエートなどのペルオキシエス
テル類、あるいはアセチルシクロヘキシルスルホニルペ
ルオキシド、ジサクシニックアシッドペルオキシドなど
の有機過酸化物、さらには2,2'−アゾビスイソブチロ
ニトリル、2,2'−アゾビス−2−メチルブチロニトリ
ル、2,2'−アゾビスジメチルバレロニトリルなどのア
ゾ化合物などを使用することができる。これらの触媒の
1種または2種以上を組み合わせて使用することがで
き、その使用量は、単量体の種類と量及び仕込方式など
によって適宜選ばれるが、通常使用単量体100重量部
当たり、0.001〜5.0重量部の範囲で選択すること
ができる。
【0007】また、本発明用塩化ビニル系樹脂製造に用
いる微細懸濁重合法においては、通常、界面活性剤が用
いられる。この界面活性剤としては、例えばラウリル硫
酸エステルナトリウム、ミリスチル硫酸エステルナトリ
ウムなどのアルキル硫酸エステル塩類、ドデシルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸
カリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類、ジオ
クチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコ
ハク酸ナトリウムなどのスルホコハク酸エステル塩類、
ラウリン酸アンモニウム、ステアリン酸カリウムなどの
脂肪酸塩類、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル
塩類、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸エステ
ル塩類などのアニオン性界面活性剤類、ソルビタンモノ
オレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレ
ートなどのソルビタンエステル類、ポリオキシエチレン
アルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェ
ニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル
類などのノニオン性界面活性剤類、セチルピリジニウム
クロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミドなど
のカチオン性界面活性剤などが挙げられ、これらは1種
用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよ
く、その使用量は、通常使用単量体100重量部当た
り、0.05〜5重量部、好ましくは0.2〜4.0重量
部の範囲で適宜選択することができる。
【0008】この微細懸濁重合法においては、まず水性
媒体中に、前記油溶性触媒、単量体、前記界面活性剤及
び所望に応じて用いられる高級脂肪酸類や高級アルコー
ル類などの重合助剤、その他の添加剤を加えプレミック
スし、ホモジナイザーにより均質化処理して、油滴の粒
径調節を行う。該ホモジナイザーとしては、例えばコロ
イドミル、振動撹拌機、二段式高圧ポンプ、ノズルやオ
リフィスからの高圧噴出、超音波撹拌などが挙げられ
る。さらに、油滴の粒径の調節は、均質化処理時の剪断
力の制御、重合中の撹拌条件、反応装置の形式、界面活
性剤や添加剤の量などにより影響されるが、これらは簡
単な予備実験により、適当な条件を選択することができ
る。次に、このようにして均質化処理された液は重合缶
に送られ、ゆっくりと撹拌しながら昇温し、通常30〜
80℃の範囲の温度において重合が行われる。
【0009】本発明製造方法は、この原料の仕込みから
重合反応終了後までの工程の中の任意の段階において高
分子分散剤を樹脂100重量部当たり0.05〜1.0重
量部添加する。該添加方法は特に制限はなく、例えば、
重合缶に一括、連続的または断続的に添加することがで
きる。添加量が0.05重量部以下では効果がなく、1.
0重量部を超えると重合体の凝集物が発生したり、ペー
ストゾルの粘度が著しく上昇したり成形品が吸湿性を帯
びる等他の品質を損なう。このようにして粒子径が0.
2〜3μm程度の塩化ビニル共重合体微粒子が均質に分
散したラテックスが得られる。本発明における重合体の
分子量は、目的に応じて反応温度や分子量調節剤により
適宜調節することができる。
【0010】一方、本発明が好適に適用される播種乳化
重合法は、予め通常の乳化重合や微細懸濁重合により調
製された塩化ビニル樹脂粒子を核として、アニオン性界
面活性剤又はそれとノニオン性界面活性剤とを用い、水
性媒体中で粒子の肥大化重合反応を行わせる重合方法で
ある。この際用いられる核粒子の径は、通常平均0.0
3〜0.7μmの範囲にあり、またその使用量は使用す
る単量体100重量部当たり、通常1〜50重量部の範
囲で選択することができる。該播種乳化重合法に用いる
アニオン性界面活性剤およびノニオン界面活性剤として
は、前記の微細懸濁重合法で用いた界面活性剤を使用す
ることができる。本発明製造方法において、播種乳化重
合系に用いるアニオン性界面活性剤は、通常、単量体1
00重量部当たり、0.1〜5重量部使用し、また場合
によって併用されるノニオン性界面活性剤は、通常、単
量体100重量部当たり0〜5重量部使用することがで
きる。
【0011】この播種乳化重合においては、触媒として
過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性ラジ
カル開始剤、又は水溶性還元剤と有機過酸化物との組合
せが用いられる。水溶性ラジカル開始剤の使用量として
は、使用する単量体100重量部当たり、通常0.00
5〜1重量部の範囲で選ばれる。該水溶性還元剤として
は、例えば水に可溶な通常のラジカル酸化還元重合触媒
成分として用いられる還元剤、例えばエチレンジアミン
四酢酸又はそのナトリウム塩やカリウム塩、あるいはこ
れらと鉄、銅、クロムなどの重金属との錯化合物、スル
フィン酸又はそのナトリウム塩やカリウム塩、l−アス
コルビン酸又はそのナトリウム塩、カリウム塩、カルシ
ウム塩、ピロリン酸第一鉄、硫酸第一鉄、硫酸第一鉄ア
ンモニウム、亜硫酸ナトリウム、酸性亜硫酸ナトリウ
ム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、還元
糖類などを使用することができ、これらは1種または2
種以上を組み合わせて使用することができる。これらの
還元剤の使用量は、使用する単量体100重量部当た
り、通常0.00001〜5重量部の範囲で選択するこ
とができる。一方、有機過酸化物としては、例えばクメ
ンヒドロペルオキシド、p−サイメンヒドロペルオキシ
ド、t−ブチルイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシ
ド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、p−
メンタンヒドロペルオキシド、デカリンヒドロペルオキ
シド、t−アミルヒドロペルオキシド、t−ブチルヒド
ロペルオキシド、イソプロピルヒドロペルオキシドなど
のヒドロペルオキシド類が挙げられる。これらの有機過
酸化物は1種または2種以上を組み合わせて使用するこ
とができ、その使用量は、通常使用する単量体100重
量部当たり、0.001〜5重量部の範囲で選択するこ
とができる。
【0012】次に、本発明製造方法における播種乳化重
合法の好適な態様例について説明すると、まず塩化ビニ
ル樹脂核粒子の水性エマルジョンを調製したのち、これ
に前記水溶性還元剤及び単量体を仕込み、加温して30
〜80℃程度の温度に保持する。一方、別途に前記界面
活性剤を用いて有機過酸化物の水性エマルジョンと、前
記界面活性剤水溶液とを調製し、これらを前記の塩化ビ
ニル樹脂核粒子、水溶性還元剤及び単量体を含有する水
性エマルジョンに、通常30〜80℃の範囲の温度を保
持しながら連続的に投入して、重合反応を行う。なお、
この播種乳化重合においては、使用される界面活性剤や
重合触媒の作用を助長するために、高級脂肪酸、高級ア
ルコール、無機塩類などを併用することができる。重合
反応終了後、生成した塩化ビニル共重合体粒子を含有す
るエマルジョンから、前記の微細懸濁重合法の場合と同
様にして、該塩化ビニル共重合体を固形物として取り出
す。この共重合体の分子量は、目的に応じて反応温度や
分子量調節剤などにより適宜調節される。本発明を播種
乳化重合に適用する場合も微細懸濁重合の場合と同様
に、原料の仕込みから重合反応終了後までの工程の中で
高分子分散剤が0.05〜1.0重量部添加される。添加
方法は重合缶に一括、連続的又は断続的に添加するどの
方法でもよい。
【0013】本発明製造方法に用いる高分子分散剤とし
ては、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテ
ル、ポリエチレングリコール、デンプン、アルギン酸ナ
トリウム、ゼラチン、ペクチンメチルセルロース、カル
ボキシル化セルロース等の水溶性セルロース誘導体、マ
レイン酸−酢酸ビニル共重合体、メチルビニルエーテル
−無水マレイン酸の共重合体及びその塩などのマレイン
酸誘導体の共重合体又はポリエチレングリコールの脂肪
酸エステル等を使用することができ、これらの1種また
は2種以上を組み合わせて使用することができる。その
使用量は、通常使用単位100重量部当たり、0.05
〜1.0重量部、好ましくは0.1〜0.8重量部の範囲
で選択することができる。本発明製造方法は、上記高分
子分散剤を添加した微細懸濁重合法、乳化重合法または
播種乳化重合法で得られたペースト用塩化ビニル重合体
ラテックスから噴霧乾燥により該重合体樹脂粒子を回収
する。噴霧乾燥機の種類は特に制限はなく、例えば「化
学工学便覧」(化学工学協会、改訂四版、昭和53年、
丸善発行)第746〜754ページに記載されている加
圧ノズル式や回転円板式等が用いられる。
【0014】ラテックスを噴霧装置で乾燥機内で10〜
200μmの液滴径として噴霧しつつ導入する乾燥用空
気の温度は入口部で90〜180℃である。本発明にお
いて乾燥温度は入口空気温度は特に限定を要しないが、
出口空気温度は60〜75℃であることが必要である。
この出口温度は、従来のペースト用塩化ビニル重合体ラ
テックスの乾燥のために採られている条件より5〜20
℃高い温度である。これにより樹脂粒子が適度に凝集し
て、ペースト加工に供される時に前述の高分子分散剤の
作用との相俟ってタレを防止する効果を相乗的に増大す
るのに寄与しているものと推定される。出口空気温度が
60℃より低いと、本発明の目的である優れたタレ防止
効果のあるペーストゾルが得られない。一方出口空気温
度が75℃より高いと樹脂粒子が熱変色を起こしたり、
得られるペーストゾルがコーティング用途等に使用され
るときに塗膜表面に粒状突起が多く現れる等の問題を生
じ易い。乾燥工程の後、特に粗大な凝集粒子を崩壊させ
る目的で粉砕機に通すと、コーティング用途等での塗布
表面の粒状突起やすじ引きの発生の防止に有効である。
このようにして得られたペースト用塩化ビニル樹脂は、
耐チッピング塗料やシーラント、手袋用等で用いられる
ペーストゾルに優れたタレ防止効果を付与することがで
きた。
【0015】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。
【0016】実施例1 10リットルのステンレス製オートクレーブに脱イオン
水6000g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
30g、ラウリルアルコール30g、ジイソプロピルペ
ルオキシジカーボネート1.8gを仕込んで減圧脱気し
たのち、塩化ビニル3000gを仕込み撹拌後エマルジ
ョンとした。この混合物をホモジナイザーで均質化した
のち、別の脱気された10リットルのオートクレーブに
移し45℃に昇温して重合を開始した。重合開始後、メ
チルセルロースの2%水溶液300gを12時間にわた
って一定速度で連続的に重合中のオートクレーブに注入
して重合を終了させた。未反応の単量体を減圧回収した
のち、入口温度を170℃、出口温度を65℃に設定し
たスプレー乾燥機に反応液を導入して乾燥しこれを粉砕
して樹脂を得た。反応後にラテックス中に存在する重合
体の塊状物の量は0.1%(対仕込み単量体)、オート
クレーブ缶壁の重合体付着量は0.04%(対仕込み単
量体)であった。この重合体100重量部にジオクチル
フタレート150重量部、炭酸カルシウム350重量
部、酸化カルシウム10重量部、接着付与剤5重量部、
希釈剤10重量部を石川式らい潰機により混合したの
ち、減圧脱泡処理を行ってプラスチゾルを得た。このプ
ラスチゾルを未脱脂の300×100×0.8mmのカチ
オン電着塗装板(ED板)に横100mm、縦10mm、厚
み5mmで塗布し、ED板を垂直に立てて10分間静置し
タレ長さを測った。その後垂直に立てたままオーブンに
入れ140℃×30分間焼き付けその時のタレ長さを測
定した。いずれの場合もタレ長さは0mmであった。
【0017】実施例2 実施例1において、メチルセルロース6gを重合反応中
に連続的に注入するのではなく、反応終了後にオートク
レーブに一括添加する以外は実施例1と同様にして実施
した。その結果、反応後にラテックス中に存在する塊状
物の量は0.01%(対仕込み単量体)、オートクレー
ブの缶壁の付着物量は0.01%(対仕込み単量体)で
あった。常温でのタレ長さは1mmで、140℃×30分
でのタレ長さは2mmであった。
【0018】実施例3 実施例1において、メチルセルロースのかわりに、ポリ
ビニルアルコールを重合反応中に連続的に注入する以外
は実施例1と同様にして実施した。その結果、反応後に
ラテックス中に存在する塊状物の量は0.06%(対仕
込み単量体)、オートクレーブ缶壁の重合体付着量は
0.03%(対仕込み単量体)であった。また常温での
タレ長さは0mmで、140℃×30分でのタレ長さは1
mmであった。
【0019】実施例4 実施例2のメチルセルロースのかわりにポリビニルアル
コールを反応終了後にオートクレーブに一括添加する以
外は実施例2と同様にして実施した。その結果、反応後
にラテックス中に存在する塊状物の量は0.01%(対
仕込み単量体)、オートクレーブの缶壁の付着物量は
0.01%(対仕込み単量体)であった。常温でのタレ
長さは1mmで、140℃×30分でのタレ長さは1mmで
あった。
【0020】実施例5 実施例1のメチルセルロースのかわりにスチレン無水マ
レイン酸の共重合体のアンモニウム塩を重合反応中に連
続的に注入する以外は実施例1と同様にして実施した。
その結果、反応中にラテックス中に存在する塊状物の量
は0.03%(対仕込み単量体)、オートクレーブの缶
壁の付着物量は0.01%(対仕込み単量体)であっ
た。常温でのタレ長さは0mmで、140℃×30分での
タレ長さは1mmであった。
【0021】実施例6 実施例1のメチルセルロースのかわりにメチルビニルエ
ーテル無水マレイン酸の共重合体のアンモニウム塩を重
合反応中に連続的に注入する以外は実施例1と同様にし
て実施した。その結果、反応後にラテックス中に存在す
る塊状物の量は0.08%(対仕込み単量体)、オート
クレーブの缶壁の付着量は0.04%(対仕込み単量
体)であった。常温でのタレ長さ0mm、140℃×30
分でのタレ長さは0mmであった。
【0022】実施例7〜12 実施例1〜6における高分子分散剤の量を2%水溶液3
00gの場合は水溶液600gを6gの場合は、21g
に変えた以外は、それぞれ実施例1〜6と同様にして実
施した。その結果を第1表に示す。なお、実施例7は実
施例1、実施例8は実施例2、実施例9は実施例3、実
施例10は実施例4、実施例11は実施例5、実施例1
2は実施例6に対応する。
【0023】
【表1】
【0024】実施例13〜18 実施例1〜6のスプレー乾燥機の出口温度を70℃に変
えた以外は、それぞれ実施例1〜6と同様にして実施し
た。その結果を第1表に示した。なお実施例13は実施
例1、実施例14は実施例2、実施例15は実施例3、
実施例16は実施例4、実施例17は実施例5、実施例
18は実施例6に対応する。
【0025】比較例1 実施例1において、メチルセルロースを用いなかった以
外は、実施例1と同様にして実施した。その結果、反応
後にラテックス中に存在する塊状物の量は0.05%
(対仕込み単量体)、オートクレーブの缶壁の付着物量
は0.03%(対仕込み単量体)であったが、常温での
タレ長さ10mm、140℃×30分でのタレ長さは34
mmであった。
【0026】比較例2 実施例1において、メチルセルロースの2%水溶液45
gを12時間にわたって一定速度で連続的に重合中のオ
ートクレーブに注入する以外は実施例1と同様にして実
施した。その結果、反応後にラテックス中に存在する塊
状物の量は0.04%(対仕込み単量体)、オートクレ
ーブの缶壁の付着物量は0.02%(対仕込み単量体)
であったが、常温でのタレ長さは6mm、140℃×30
分でのタレ長さは20mmであった。
【0027】比較例3 実施例1において、スプレー乾燥機の出口温度を52℃
とした以外は、実施例1と同様にして実施した。常温で
のタレ長さは、4mm、140℃×30分でのタレ長さは
11mmであった。
【0028】比較例4 実施例1において脱イオン水6000gを4500gに
変え、メチルセルロースの2%水溶液300gを180
0gに変え、一定速度で連続的に重合中のオートクレー
ブに注入する以外は実施例1と同様にして実施した。そ
の結果、反応後にラテックス中に存在する塊状物の量は
1.5%(対仕込み単量体)、オートクレーブの缶壁の
付着物量は1.3%(対仕込み単量体)であった。常温
でのタレ長さは0mm、140℃×30分でのタレ長さは
0mmであった。
【0029】
【発明の効果】本発明によると、耐チッピング塗料やシ
ーラント、手袋用等のペーストゾルのタレ防止に優れた
効果を有するペースト用塩化ビニル樹脂を効率よく製造
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08F 14/06 C08F 14/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化ビニルまたは塩化ビニルと共重合しう
    る単量体との混合物を水性媒体中で微細懸濁重合または
    乳化重合して得られるペースト用塩化ビニル重合体ラテ
    ックスを噴霧乾燥しペースト用塩化ビニル樹脂を得る方
    法において、高分子分散剤を重合開始前、重合反応中ま
    たは重合反応終了後に、0.05重量部〜1.0重量部添
    加し、さらに噴霧乾燥に際し乾燥出口空気温度で60〜
    75℃で乾燥することを特徴とするペースト用塩化ビニ
    ル樹脂の製造方法。
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