JP4144322B2 - ペースト加工用塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents

ペースト加工用塩化ビニル系重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペースト加工用塩化ビニル系重合体の製造方法に関する。更に詳しくは、該重合体を使用して成形加工する際、加熱時のゲル化溶融開始温度を低下することが可能となるペースト加工用塩化ビニル系重合体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ペースト加工用塩化ビニル系重合体は、通常可塑剤、希釈剤、安定剤等の配合剤と混練することによりプラスチゾルとして加工に供され、コーティング、ディッピング、スラッシュモールディング等の加工法により様々な成形品が得られる。これらの加工法においては、いずれもプラスチゾルを加熱した際の、ペースト加工用塩化ビニル系重合体のゲル化溶融開始温度はより低いことが望まれている場合が多い。
【0003】
一般にペースト加工用塩化ビニル系重合体を得るための従来より知られている製造方法としては、塩化ビニル系単量体を脱イオン水、乳化剤、水溶性重合開始剤と共に緩やかな攪拌下で重合を行なう乳化重合法、乳化重合法で得られた粒子をシードとして用い乳化重合を行なうシード乳化重合法、塩化ビニル単量体を脱イオン水、乳化剤、必要に応じて乳化補助剤、油溶性重合開始剤をホモジナイザー等で混合分散した後、緩やかな攪拌下で重合を行なうミクロ懸濁重合法、ミクロ懸濁重合法で得られた油溶性重合開始剤を含有する塩化ビニル系樹脂粒子をシードとして用い重合を行なうシードミクロ懸濁重合法がある。
【0004】
これら重合方法においてゲル化溶融開始温度を低下する手段としては、得られる塩化ビニル系重合体の平均重合度を低くすること(例えば、非特許文献1参照)、又は塩化ビニル単量体と共重合し得る他の単量体と共重合させること(例えば、非特許文献2参照)が知られている。
【0005】
【非特許文献1】
五十嵐敏郎著「塩ビペースト加工」(株)ラバーダイジェスト社発行、1998年11月16日発行、第132頁
【非特許文献2】
五十嵐敏郎著「塩ビペースト加工」(株)ラバーダイジェスト社発行、1998年11月16日発行、第211頁 、表5−2−5
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、得られる塩化ビニル系重合体の平均重合度を低くした場合はゲル化溶融開始温度をある程度まで下げることは可能であるが、該塩化ビニル系重合体を用いて得た成形品は引張り抗張力、伸び等の機械的性質が低下することが避けられない。一方、塩化ビニル単量体と共重合し得る他の単量体と共重合させる場合、例えば、酢酸ビニルなどの他の単量体との共重合体とした場合、ゲル化溶融開始温度は共重合成分の含有量の増加に伴って低下するが、半面プラスチゾルとした際の粘度が高くなる、プラスチゾル粘度の経時安定性が悪くなる、成形品の熱安定性が悪くなる等の課題があった。
【0007】
そこで、本発明は、成形品の機械的性質、プラスチゾル粘度の経時安定性、熱安定性などの性質を低下させることなく、ゲル化溶融開始温度の低いペースト加工用塩化ビニル系重合体を製造する方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、シードミクロ懸濁重合において、塩化ビニル系単量体と高級アルコールを均質化することにより、高級アルコールを十分に塩化ビニル単量体に溶解した後、シードを重合系に添加し重合することにより、成形品の機械的性質、プラスチゾル粘度の経時安定性、熱安定性などの性質を低下させることなく、ゲル化溶融開始温度の低いペースト加工用塩化ビニル系重合体の製造が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、シードミクロ懸濁重合法によりペースト加工用塩化ビニル系重合体を製造するに際し、塩化ビニル系単量体、水、乳化剤及び炭素数8以上の高級アルコールを塩化ビニル系単量体100重量部に対し0.1〜3.0重量部を混合し、均質化処理を行った後に、油溶性重合開始剤を含有したシードを添加し重合を行うことを特徴とするペースト加工用塩化ビニル系重合体の製造方法に関するものである。
【0010】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明で用いられる重合法は、シードミクロ懸濁重合法である。シードミクロ懸濁重合法とは、ミクロ懸濁重合法により得られる油溶性重合開始剤を含有する平均粒子径0.3〜0.7μmの塩化ビニル系樹脂粒子を含んだ塩化ビニル系樹脂ラテックス(以下、単にシードと記す。)を得、続いて該シードと塩化ビニル系単量体を脱イオン水、乳化剤、緩衝剤及び必要に応じて乳化補助剤を緩やかな攪拌下において、重合を行い該シードを肥大化させて塩化ビニル系重合体ラテックスを得る重合方法である。
【0012】
本発明におけるシードとは、ミクロ懸濁重合法により得られる油溶性重合開始剤を含有する塩化ビニル系樹脂粒子を含んだ塩化ビニル系樹脂ラテックスであり、シードミクロ懸濁重合法において、シード(種子)が起点となって粒子成長が行われる重合の場となるものである。
【0013】
本発明は、上述したシードミクロ懸濁重合法のシードを肥大化させるプロセスにおいて、炭素数8以上の高級アルコールを塩化ビニル系単量体100重量部に対し0.1〜3.0重量部を混合し、均質化処理を行った後に、油溶性重合開始剤を含有したシードを添加し重合を行うものであり、シードを仕込む前に、予め、塩化ビニル系単量体中に炭素数8以上の高級アルコールを十分に溶解させるために、均質化することが重要であり、該均質化により得られるペースト加工用塩化ビニル系重合体のゲル化溶融開始温度の低下が達成される。ここで、従来のシードミクロ懸濁重合法において行われているように、均質化することなく、塩化ビニル系単量体、水、乳化剤、その他重合助剤とシードを同時に仕込んで重合を行なうと、得られるペースト加工用塩化ビニル系重合体のゲル化溶融開始温度の低下は認められない。
【0014】
本発明における均質化とは、均質化が達成できる方法であればいずれの方法を行ってもよく、例えば塩化ビニル系単量体、水、乳化剤、炭素数8以上の高級アルコール、その他必要により添加させる重合助剤とを攪拌機付予備攪拌容器、静止型管内混合器、攪拌機付小型混合器などの混合機器または超音波などを用いて予備混合を行った後、一段または二段加圧式高圧ポンプ、コロイドミル、ホモミキサー、振動式攪拌機、ノズルまたはオリフィスよりの高圧噴射、超音波などの公知の機器並びに方法によって行われる。
【0015】
本発明に用いられる塩化ビニル系単量体とは、塩化ビニル単量体単独又は塩化ビニル単量体を主体とする混合物であり、該混合物としては本発明の目的である得られるペースト加工用塩化ビニル系重合体をプラスチゾルとした際の粘度、ゲル化溶融開始温度の低下等が達成させる限りにおいて、塩化ビニル単量体と共重合可能なビニル単量体との混合物が挙げられ、該塩化ビニル単量体と共重合可能なビニル単量体としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸またはその無水物類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル類;マレイン酸エステル、フマル酸エステル、桂皮酸エステル類等の不飽和カルボン酸エステル類:ビニルメチルエーテル、ビニルアミルエーテル、ビニルフェニルエーテル類;エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等のモノオレフィン類;塩化ビニリデン、スチレン及びその誘導体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を挙げることができる。
【0016】
本発明に用いられる高級アルコールとしては、炭素数8以上の高級アルコールであればいずれでもよく、例えばオクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、2−エチルヘキシルアルコールのような直鎖または分枝の高級アルコールをあげることができ、これらは単独または組み合わせて使用することができる。ここで、高級アルコールの炭層数が7以下である場合、得られるペースト加工用塩化ビニル系重合体のゲル化溶融開始温度の低下がみられない。また、該単数数8以上の高級アルコールの添加量は、塩化ビニル系単量体100重量部に対し0.1〜3.0重量部、好ましくは0.5〜2.5重量部である。該添加量が0.1重量部未満である場合、得られるペースト加工用塩化ビニル系重合体のゲル化溶融開始温度の低下が達成されない。一方、該添加量が3.0重量部を超える場合、製造時の重合安定性が悪化したり、得られたペースト加工用塩化ビニル系重合体を成形した成形品から高級アルコールがブリードしたりするため好ましくない。
【0017】
本発明で用いられる乳化剤としては、一般的なアニオン性乳化剤又はノニオン性乳化剤があげられ、アニオン性乳化剤としては、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジへキシルスルホコハク酸ナトリウムなどのスルホコハク酸塩;ラウリン酸ナトリウム、半硬化牛脂脂肪酸カリウムなどの脂肪酸塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテルサルフェートナトリウム塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルサルフェートナトリウム塩などのエトキシサルフェート塩;アルカンスルホン酸塩;アルキルエーテル燐酸エステルナトリウム塩などを挙げることができる。また、ノニオン性乳化剤としては、例えばポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンラウリルエステルなどを挙げることができる。そしてその中でも、より安定にペースト加工用塩化ビニル系重合体の製造が可能となることから、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩又はアルキルベンゼンスルホン酸塩とアルキル硫酸エステル塩との混合物を使用することが好ましい。また、該乳化剤の添加時期としては、均質化時に乳化剤が存在していればよく、均質化前又は均質化時に全部添加しても、均質化前又は均質化時に一部を添加し、残りの乳化剤を重合中に断続あるいは連続して添加してもよい。
【0018】
また、本発明の製造方法においては、必要に応じてリン酸一水素アルカリ金属塩、リン酸二水素アルカリ金属塩、フタル酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどの緩衝剤を添加してもよい。
【0019】
本発明における水とは、通常ペースト加工用塩化ビニル系重合体の製造時に用いられる水であればよく、水単独又は水を主成分とする媒体であり、例えば水、脱イオン水、蒸留水等を挙げることができる。
【0020】
本発明に使用される油溶性重合開始剤を含んだシードとは、一般的なミクロ懸濁重合法により調製されたシードを用いることができ、その方法としては、例えば、まず、塩化ビニル単量体単独又は塩化ビニル単量体を主体とする混合物である塩化ビニル系単量体、塩化ビニル系単量体に可溶な油溶性重合開始剤、界面活性剤、緩衝剤、高級アルコール,高級脂肪酸,高級脂肪酸エステル,塩素化パラフィンなどの分散助剤、必要に応じて重合度調整剤を加えてプレミックスし、ホモジナイザー等により均質化処理を行い塩化ビニル系単量体油滴の調整を行う。その際のホモジナイザーとしては、例えばコロイドミル、振動攪拌機、二段式高圧ポンプなどを用いることができる。均質化処理を行った後の液を重合器に送り、緩やかに攪拌しながら重合器内の温度を上げて重合反応を開始し、以後所定の転化率に達するまで重合を行うことにより油溶性重合開始剤を含んだシードの調製を行うことができる。その際の重合温度としては、30〜55℃であることが好ましい。
【0021】
油溶性重合開始剤としては、油溶性重合開始剤の範疇に属するものであればいかなるものでもよく、その中でも10時間半減期温度が30〜70℃の範囲であるジアシルパーオキサイドが好ましく、そのような油溶性重合開始剤としては、例えばイソブチリルパーオキサイド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、カプロイルパーオキサイドなどがあげらる。そして、本発明の製造方法に用いるシードには、油溶性重合開始剤をシード中に含有していることが必要であり、その際シード調整時の油溶性重合開始剤の分解量は、全油溶性重合開始剤の5〜50重量%とする事が好ましい。該油溶性重合開始剤の分解速度は反応温度に依存おり、比較的容易に該分解量の調整を行うことが可能となる半減期を有する油溶性重合開始剤を用いることが好ましく、そのような油溶性重合開始剤としては、例えば3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドを挙げることができる。
【0022】
本発明に用いられるシードを製造する際に使用される塩化ビニル系単量体とは、塩化ビニル単量体単独又は塩化ビニル単量体を主体とする混合物であり、該混合物には塩化ビニル単量体と共重合可能なビニル単量体が挙げられ、該塩化ビニル単量体と共重合可能なビニル単量体としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸またはその無水物類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル類;マレイン酸エステル、フマル酸エステル、桂皮酸エステル類等の不飽和カルボン酸エステル類:ビニルメチルエーテル、ビニルアミルエーテル、ビニルフェニルエーテル類;エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等のモノオレフィン類;塩化ビニリデン、スチレン及びその誘導体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を挙げることができる。また、シードを製造する際に使用される乳化剤は、前記にあげた乳化剤を単独あるいは、2種類以上を混合しても用いることができる。
【0023】
本発明の製造方法における重合温度としては、所望するペースト加工用塩化ビニル系重合体の重合度により適宜選択すればよい。更に、重合速度を増加するためには、鉄、銅などの金属塩、アスコルビン酸などの還元物質からなるレドックス系物質で賦活することがこのましい。
【0024】
重合の進行により、重合系の圧力が低下した後に反応を停止して、未反応の単量体を除去する。本発明の方法によって得られた塩化ビニル系重合体ラテックスは噴霧乾燥のような既知の方法により乾燥しペースト加工用塩化ビニル系重合体として回収される。
【0025】
本発明の製造方法においては、重合反応により得られた塩化ビニル系重合体ラテックスからペースト加工用塩化ビニル系重合体を回収する方法としては、ペースト加工用塩化ビニル系重合体が回収できる限りにおいていかなる方法を用いてもよく、その中でも、特に効率よく該ラテックスから水分を除去しペースト加工用塩化ビニル系重合体を回収することができることから、噴霧乾燥による方法が好ましい。この際の噴霧乾燥に使用する乾燥機としては、一般的に使用されているものでよく、例えば「SPRAY DAYING HANDBOOK」(K.Masters著、3版、1979年、George godwin Limitedより出版)の121頁第4.10図に記載されている各種のスプレー乾燥機があげられる。そして、乾燥条件である乾燥温度としては、ペースト加工用塩化ビニル系重合体回収時の温度でよく、乾燥機入口温度で80〜200℃、また乾燥機出口温度で40〜70℃、好ましくは45〜65℃がよい。
【0026】
また、噴霧乾燥により得られたペースト加工用塩化ビニル系重合体は、一般的には重合反応により得られた塩化ビニル系重合体ラテックスを構成する粒子の凝集体であり、通常平均粒径10〜150μmを有する顆粒状である。そこで、本発明の製造方法において噴霧乾燥によりペースト加工用塩化ビニル系重合体を回収する場合にその乾燥機出口温度が52℃を超える場合には、得られた顆粒状ペースト加工用塩化ビニル系重合体を粉砕した方がプラスチゾルとする際の可塑剤等への分散性に優れることから好ましい。また、乾燥機出口温度が52℃以下である場合には、顆粒状のままでも粉砕してもどちらでもよい。
【0027】
【実施例】
以下に、実施例をあげて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0028】
尚、実施例、比較例において、評価及び測定は下記の方法により行った。
【0029】
〜プラスチゾル1の調製(ゲル化溶融開始温度、ゾル粘度、ゾル粘度安定性測定用プラスチゾル)〜
得られたペースト加工用塩化ビニル重合体100重量部に対し、ジ−2−エチルヘキシルフタレート60重量部、Ca/Zn安定剤(旭電化(株)製、商品名SC−34)2重量部をT.K.ホモディスパー(特殊機化工業製)を用い1000rpmで2分間混練し、プラスチゾル1を調整した。
【0030】
〜プラスチゾル2の調製(張り抗張力測定用プラスチゾル)〜
得られたペースト加工用塩化ビニル重合体100重量部に対し、ジ−2−エチルヘキシルフタレート75重量部、ポリエステル系可塑剤(旭電化(株)製、商品名PN−850)23重量部、Ca/Zn安定剤(旭電化(株)製、商品名SC−34)3重量部をT.K.ホモディスパー(特殊機化工業製)を用い1000rpmで2分間混練し、プラスチゾル2を調整した。
【0031】
〜平均重合度〜
JIS K 6721を準拠し測定した。
【0032】
〜ゲル化溶融開始温度の測定〜
上記プラスチゾル1をトルクレオメーター(Haake Bucker社製、商品名Rheocord System40)を用い混練トルク−樹脂温度の関係を測定した。得られた測定結果である混練トルク−樹脂温度曲線の立ち上がり部分をトルク0に直線で外挿し、該トルク0の値をゲル化溶融開始温度として求めた
〜ゾル粘度の測定〜
上記プラスチゾル1の25℃、2時間放置後の粘度をB8H型粘度計(東京計器製)(No.6ローターを使用)を用い、回転数20rpmで測定し、該測定値をゾル粘度とした。
【0033】
〜ゾル粘度安定性〜
上記プラスチゾル1の25℃、24時間放置後の粘度及び25℃、7日間放置後の粘度をB8H型粘度計(東京計器製)(No.6ローターを使用)を用い、回転数20rpmで測定し、ゾル粘度安定性として、下記式により求めた。
【0034】
粘度安定性=7日間放置後のゾル粘度/24時間放置後のゾル粘度
〜引張り抗張力〜
ドクターブレードを用い上記プラスチゾル2をガラス板上に塗布し、160℃に保ったオーブン中で10分間加熱し、厚さ1mmのシートを得た。得られたシートをJISダンベル3号で打ち抜きサンプルを作製後、該サンプルを引張測定機(島津製作所製、商品名オートグラフIS−2000)により、引っ張り速度200mm/min、測定温度23℃の条件下で引張り抗張力を測定した。
【0035】
合成例1(シードの調製)
1m3オートクレーブ中に脱イオン水360Kg、塩化ビニル単量体300Kg、油溶性重合開始剤として過酸化ラウロイル5.7Kg、15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを30Kgのそれぞれを仕込み、この重合液を3時間ホモジナイザーを用い循環し、均質化処理を行った後、温度を45℃に上げて重合反応を進めた。重合圧力が低下した後、未反応の塩化ビニル単量体を回収し、固形分含有率35重量%、粒子が0.55μmの平均粒子径を有し、かつポリマーを基として2重量%の過酸化ラウロイルを含有するシードを得た。
【0036】
実施例1
1m3オートクレーブ中に脱イオン水300Kg、ラウリルアルコール6Kgを投入した後、オートクレーブ内の空間部を窒素置換し、減圧にして塩化ビニル単量体400Kg、15重量%ラウリル硫酸ナトリウム塩水溶液10Kg、硫酸銅0.002Kgを加え、30分間ホモジナイザーを用いて循環し、均質化処理を行った後、合成例1で得られた油溶性重合開始剤を含有するシード54Kgを加え、この反応用混合物の温度を48℃に上げるとともに、0.1重量%アスコルビン酸水溶液16Kgを全重合時間を通じて連続的に添加した。更に、重合開始から重合の終わりまでの間、全量で塩化ビニル単量体100重量部に対して0.6重量部の15重量%ラウリル硫酸ナトリウム塩水溶液を連続的に添加した。
【0037】
重合圧が48℃における塩化ビニル単量体飽和蒸気圧から0.1MPa降下した時に重合を停止し、未反応塩化ビニル単量体を回収した。得られた塩化ビニル重合体ラテックスを噴霧乾燥機により噴霧乾燥した後、粉砕しペースト加工用塩化ビニル重合体を得た。
【0038】
得られたペースト加工用塩化ビニル重合体の評価及び測定を上記に従い行なった。結果を表1に示す。また、ゲル化溶融開始温度測定の混練トルク−樹脂温度曲線を図1に示す。
【0039】
実施例2
ラウリルアルコールの添加量を10Kgにした以外は、実施例1と同様の方法によりペースト加工用塩化ビニル重合体を得た。
【0040】
得られたペースト加工用塩化ビニル重合体の評価及び測定結果を表1に示す。
【0041】
実施例3
高級アルコールをラウリルアルコールの代わりにステアリルアルコールにした以外は、実施例1と同様の方法によりペースト加工用塩化ビニル重合体を得た。
【0042】
得られたペースト加工用塩化ビニル重合体の評価及び測定結果を表1に示す。
【0043】
実施例4
高級アルコールであるラウリルアルコール6kgの代わりにラウリルアルコール4kg、ステアリルアルコール2kgとし添加した以外は、実施例1と同様の方法によりペースト加工用塩化ビニル重合体を得た。
【0044】
得られたペースト加工用塩化ビニル重合体の評価及び測定結果を表1に示す。
【0045】
比較例1
ホモジナイザーにより均質化処理を行わなかった以外は、実施例1と同様の方法によりペースト加工用塩化ビニル重合体を得た。
【0046】
得られたペースト加工用塩化ビニル重合体の評価及び測定結果を表1に示す。
【0047】
得られたペースト加工用塩化ビニル系重合体をプラスチゾルとした際のゲル化溶融開始温度、ゾル粘度は高く、ゾル粘度安定性は低いものであった。
【0048】
比較例2
高級アルコールであるラウリルアルコールの添加を行わなかった以外は、実施例1と同様の方法によりペースト加工用塩化ビニル重合体を得た。
【0049】
得られたペースト加工用塩化ビニル重合体の評価及び測定結果を表1に示す。
【0050】
得られたペースト加工用塩化ビニル系重合体をプラスチゾルとした際のゲル化溶融開始温度、ゾル粘度は高く、ゾル粘度安定性は低いものであった。
【0051】
比較例3
高級アルコールであるラウリルアルコール6Kgの代わりにラウリルアルコール20Kgとした以外は、実施例1と同様の方法によりペースト加工用塩化ビニル系重合体の製造を試みた。
【0052】
しかし、重合反応中に反応系が不安定となり正常な塩化ビニル重合体ラテックスを得ることはできなかった。
【0053】
比較例4
ラウリルアルコールを添加せず、さらに酢酸ビニルモノマー20Kg添加した以外は、実施例1と同様の方法によりペースト加工用塩化ビニル系重合体を得た。
得られたペースト加工用塩化ビニル系重合体の評価及び測定結果を表1に示す。
【0054】
得られたペースト加工用塩化ビニル系重合体をプラスチゾルとした際のゾル粘度は高く、ゾル粘度安定性、引張り抗張力は低いものであった。
【0055】
【表1】
Figure 0004144322

【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1により得られたペースト加工用塩化ビニル重合体のプラスチゾルの混練トルク−樹脂温度との関係を示す図である。
【発明の効果】
本発明の製造方法により、プラスチゾルを調製した際のゲル化溶融開始温度が低く、プラスチゾル粘度が低く、プラスチゾル粘度の貯蔵安定性が良いペースト加工用塩化ビニル系重合体をシードミクロ懸濁重合により得ることができる。

Claims (1)

  1. シードミクロ懸濁重合法によりペースト加工用塩化ビニル系重合体を製造するに際し、塩化ビニル系単量体、水、乳化剤及び炭素数8以上の脂肪族高級アルコールを塩化ビニル系単量体100重量部に対し0.1〜3.0重量部を混合し、均質化処理を行った後に、油溶性重合開始剤を含有したシードを添加し重合を行うことを特徴とするペースト加工用塩化ビニル系重合体の製造方法。
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