JP3390610B2 - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系重合体の製造方法

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JP3390610B2
JP3390610B2 JP25540496A JP25540496A JP3390610B2 JP 3390610 B2 JP3390610 B2 JP 3390610B2 JP 25540496 A JP25540496 A JP 25540496A JP 25540496 A JP25540496 A JP 25540496A JP 3390610 B2 JP3390610 B2 JP 3390610B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は塩化ビニル系重合体
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、塩化ビニル系重合体の製造方法に
おいて、重合体の生産効率を高めるために、重合時の反
応熱を除去して重合時間を短縮する試みがなされてい
る。そして、このような反応熱の除去方法としては、重
合容器内に設けた冷却ジャケット、冷却バッフル、還流
コンデンサー等によって除熱する方法が知られている。
中でも、還流コンデンサーによる方法は、伝熱面積を十
分に確保できる点及び重合容器内容物の攪拌・混合に影
響を及ぼさない点で好ましい。しかし、この還流コンデ
ンサーによる方法は、除熱量を大きくすると重合容器内
容物中の単量体が著しく気化するため、該内容物の上面
に単量体ガスを内包した泡層を形成する。そして、この
泡は、低密度の重合体を含むため、この泡の発生が顕著
になると重合容器の気相部にスケールを発生させるとい
う問題がある。また、この泡は重合体を伴って重合容器
内を飛散し、通常の容器洗浄操作では除去が困難な箇
所、例えば、還流コンデンサー内の奥にまで侵入してス
ケールを発生させるという問題がある。また、発生した
スケールは、製造した重合体に混入し、得られた重合体
の加工製品にフィッシュアイを発生させるという問題も
ある。従って、還流コンデンサーによる方法で、重合時
間を短縮するためには、先ず重合容器内に発生した泡の
消去が必要となる。
【0003】一方、このような重合時間を短縮する方法
ではなく、重合サイクルを短縮して重合体の生産効率を
高める試みがなされている。重合サイクルを短縮する方
法としては、例えば、未反応単量体の回収時間を短縮す
る方法が挙げられる。しかし、この方法は未反応単量体
の単位時間当たりの回収量を多くすると、前記の還流コ
ンデンサーを用いた場合と同様に重合容器内に多量の泡
を発生させるため前記と同様の問題が生ずる。そして、
該泡が単量体回収ラインを閉塞するという新たな問題も
生ずる。
【0004】そこで、従来、重合容器内の気相部におけ
る消泡を目的に、該容器の気相部を回転翼で攪拌しなが
ら重合するという方法(特公昭60−42804号公報
参照)、或いは泡に水又は抑泡剤の水溶液をフラットノ
ズルやフルコーンノズル等のスプレーノズルを使用して
噴霧する方法(特公昭50−30106号公報参照)が
提案されている。しかし、前者の方法は、破泡効果は認
められるものの、破泡した際に重合体を含む飛沫が重合
容器内を飛散することには変わりなく、スケールの付着
を充分に防止して高品質の重合体を得るという根本的な
課題を解決し得るものではない。また、後者の方法は、
泡の発生を抑制する所謂抑泡効果は幾分認められるもの
の破泡効果が不十分である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、還流
コンデンサーを備えた重合容器を用いて塩化ビニル系重
合体を製造するにあたり、還流コンデンサーによる除熱
量を大きくしても、或いは未反応単量体の回収流量を増
加させても、重合時又は未反応単量体の回収時に重合容
器の気相部に泡が飛散することなく消去することがで
き、従って高品質の塩化ビニル系重合体を、重合時間及
び重合サイクルの短縮により生産性よく得ることができ
る塩化ビニル系重合体の製造方法を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、重合容器内
容物(液相)の上面を覆う泡を消去するに当たり、液相
上面に直進状の高圧水を噴射すると、噴射水は泡の層を
貫通して液相にまで到達し、該噴射水が液相表面を振動
させて泡のブリッジの破壊を容易にすることを見出し、
そして該噴射水が前記貫通箇所の周囲の泡に含まれる低
密度重合体の濃度を希釈して低下することにより破泡を
促進し、また前記貫通箇所が泡中の単量体ガスの抜け道
となって更に破泡を促進することを見出して本発明に到
達した。
【0007】即ち本発明は、還流コンデンサーを備えた
重合容器内で、塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体
を含む単量体混合物を水性媒体中で懸濁剤の存在下に懸
濁重合を行う塩化ビニル系重合体の製造方法において、
前記重合工程で、前記回収工程で、又はこれら両者の工
程で前記重合容器の気相部に設置したノズルから20k
g/cm2以上の高圧水をほぼ直進状に液相表面に対し
て噴射して該液相表面上に発生した泡を消去することを
特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について更に詳しく
説明する。
【0009】本発明の製造方法に用いる高圧水の圧力
は、20kg/cm2 以上(ノズルに接続した配管にお
けるゲージ圧。以下同じ)、好ましくは20〜500k
g/cm2 、更に好ましくは30〜300kg/c
2、特に50〜200kg/cm2、最も好ましくは8
0〜150kg/cm2である。この圧力が小さすぎる
と破泡効果が不十分になる場合があり、逆に大きすぎる
と、噴射水がミスト化して噴射水の直線性が悪くなり破
泡効果が不十分になる場合がある。
【0010】本発明に用いる、高圧水を直進状に噴射す
ることができるノズル(以下、直進ノズルという)とし
ては、高圧水を噴射したときに噴射水に直進性を付与す
ることができるノズルであればよい。ここで前記の直進
性とは、例えば図7に示すように、大気中においてノズ
ル13を介して高圧水を噴射したときに、噴射水11の
噴射距離Xと噴射範囲12の直径Yとが、Y/X=0.
15以下、好ましくは0.1以下の関係を満足すること
をいう。この場合、Xは100〜200cmであること
が好ましい。
【0011】本発明に用いる直進ノズルは、オリフィス
径が0.5〜7.0mmのものが好ましく、さらに好ま
しくは1.0〜5.0mmのものである。このオリフィ
ス径が小さすぎると、噴射流量が低下するため噴射水の
運動エネルギーが低下する。そして、噴射流量を増加す
るために噴射圧力を上げると噴射水がミスト化するため
好ましくない。これとは逆に、オリフィス径が大きすぎ
ると、重合容器内に噴射可能な合計水量に制限があるた
め、噴射圧の低下を余儀なくされる場合があり、かかる
場合には破泡効果が低下するので好ましくない。
【0012】このような直進ノズルとして特に好適なも
のは、図4に示す直進ノズルである。この直進ノズル
は、略円筒状の水導入部分1Aと、該導入部分の内径
(D:以下、ノズル内径という)より小さい内径(d:
このノズルではオリフィス径に等しい)の略円筒状の噴
射部1Bが、テーパー部1Cを介して連通したノズルで
ある。また、さらに好ましい直進ノズルは、噴射部1B
の区間長さLと前記内径dとの比(L/d)が1.0〜
10.0のものである。この比が小さすぎると噴射水の
直進性が悪くなる場合がある。逆に大きすぎるとノズル
における圧損が増大する場合がある。また、噴射部1B
の区間長さLが長すぎる場合には(L/dが大きすぎる
場合には)、ノズルの製造上の問題として噴射部1Bの
区間の内表面が歪んだり、内表面の研磨が困難であるた
め平滑な内表面を形成することができないという問題が
ある。
【0013】直進ノズルは、内表面を摩擦抵抗が小さく
なるように研磨仕上げ等の平滑処理を行ったものがより
好ましい。なお、前記のテーパー部1Cは、ノズルにお
ける圧損を低減し、またノズル内の水の流れの乱れを防
止する効果を有する。
【0014】本発明に用いる直進ノズルには、前記の水
導入部分1Aに、ジェットスタビライザー等の整流器を
接続してもよい。このような整流器を介して直進ノズル
を取り付けることにより、ノズル内を流れる水を常に整
流することができ、噴射水の直進性をさらに向上させる
ことができる。直進ノズルの材質は、特に限定されるも
のではないが、ステンレス等の耐摩耗性の材質が好まし
い。
【0015】本発明の製造方法では、直進性を噴射水に
付与することができる前記の直進ノズルを用いることが
必要であり、例えば、従来の方法に用いられたフルコー
ンノズル、フラットノズル、ホロコーンノズル等のノズ
ルでは、噴射水に十分な直進性を付与することができな
い。そして、特に、重合容器内の気相雰囲気のような単
量体ガスが多量に存在する高密度の雰囲気においては、
従来のノズルでは噴射水のエネルギー分散が大きくな
る。従って、泡層を貫通して液相にまで到達するように
水を噴射することができず、噴射水による破泡効果が不
十分となる。
【0016】直進ノズルを配置する位置としては、発生
した泡層に水を噴射できる重合容器の気相部であればよ
いが、例えば、重合容器内に添加剤等を供給するために
気相部に配置した他の部材の機能を阻害しない位置に配
置するのが好ましい。
【0017】重合容器内に配置する直進ノズルの個数
は、例えば、重合容器内に噴射可能な合計水量に応じて
決定することができる。即ち、このノズル個数は噴射可
能な合計水量を、直進ノズルが泡層を貫通して液相にま
で到達するのに十分な水圧で水を噴射した場合における
該ノズル1個当たりの噴射水量(単位時間当たりの水
量)及び噴射時間で除して算出することができる。具体
的には、例えば容量が40〜300m3 の重合容器で、
通常1〜6個で十分に破泡効果を発揮する。また、配管
に複数の直進ノズルを取り付ける場合には、例えば、図
5に示すようなリング状の配管2に沿って直進ノズル1
を取り付けてもよいし、図6に示すように、棒状の配管
2に沿って直進ノズル1を取り付けてもよい。
【0018】噴射水の合計水量の上限は、重合容器の気
相部の容積を重合容器の容量の10%以上に維持できる
範囲で決定することができる。なお重合容器の容量とし
ては、40m3 以上が好ましく、さらに好ましくは80
3 以上である。この気相部の容積が10%未満になる
まで水を噴射すると、直進ノズルと泡層の上面との距離
が近接し過ぎるという不都合がある。即ち、泡層が薄す
ぎると高圧水の圧力や噴射水の水量を挙げても破泡でき
ない場合があり、このような場合に直進ノズルと泡層の
上面との距離が近接し過ぎると、泡層の厚さが破泡可能
な厚さになったときには既に直進ノズルが泡層に埋もれ
る事態も生じる。このように直進ノズルが泡層に埋もれ
ると破泡効果が十分に発揮されないため、噴射水の合計
水量も十分に考慮しなければならない。
【0019】直進ノズル1個当たりの噴射水の流量は、
前記の噴射する高圧水の圧力と直進ノズルの前記オリフ
ィス径で定まるので、例えば、直進ノズルのオリフィス
径が前記範囲であることを前提に、先ず該圧力を前記の
範囲内で決定し、該圧力の水を噴射できるオリフィス径
の直進ノズルを選択することにより調節するが、一般に
この流量は噴射圧力20〜500kg/cm2の場合、
1〜100リットル/分、好ましくは3〜50リットル
/分である。
【0020】本発明の製造方法では、以上のような直進
ノズルから高圧水を重合工程で、未反応単量体の回収工
程で、又はこれら両工程で、ほぼ直進状に液相表面に対
して噴射する。
【0021】重合工程で高圧水を噴射する場合の噴射時
期は、重合開始時から重合終了時までの間であれば制限
はなく、特に、還流コンデンサーによる除熱を開始した
後は、泡の発生が顕著になる傾向があるので、還流コン
デンサーによる除熱開始時から重合終了時までの間が好
ましい。なお、還流コンデンサーによる除熱は、重合容
器内の内容物の温度が重合温度に到達した時から重合反
応終了時まで行うのが好ましい。
【0022】未反応単量体の回収工程で高圧水を噴射す
る場合の噴射時期は、未反応単量体の回収開始時から回
収終了時までの間であれば制限はない。
【0023】重合容器から未反応の単量体(ガス)を回
収する方法としては、公知の方法でよく、例えば、図2
に示すように、重合容器6の上鏡部に付設された未反応
単量体回収配管15を介して回収する方法が挙げられ
る。この場合、先ず回収管15の途中に設けられたシー
ケンス弁16を開き、次いで流量計19で回収管15内
における単量体ガスの流量を測定する。次に、流量計1
9の流量測定信号S1 は流量コントラーラ18に送信さ
れ、該コントラーラ18は予め設定された流量になるよ
うに流量コントロール弁17に流量調節信号S2 を送信
し、流量コントロール弁17は回収管15内における単
量体ガスの流量を予め設定された流量に調節する。な
お、該コントラーラ18において予め設定された流量の
値は、重合容器の気相部14において、得られた重合体
が飛散しないように経験的に求められた値である。この
ように回収された単量体ガスは、回収管15の延長上に
設けられたガスホルダー21を経由し圧縮機へ移送され
回収を完了する。また必要に応じ、例えば流量計19と
該ガスホルダー21との間の回収管15上に未反応単量
体回収用ブロワー20を設け、これを使用して単量体ガ
スの真空回収を行うこともできる。このように真空回収
を行うことにより、得られる重合体中の残留未反応単量
体の量を極めて少なくすることができる(例えば、重合
体当たり0.1〜1%)。また回収条件としては、通
常、0.01〜1m/secの空塔線速度(重合容器の
直胴部における未反応単量体ガスの上昇線速度)で未反
応単量体ガスを回収するのが好ましい。回収時間として
は、装置の大きさや得られる重合体の重合容器の気相部
における飛散のし易さなどにより一概に決定できない
が、通常15〜120分間程度でよい。なお、回収速度
及び回収時間は生産効率を考慮すると重合体の気相部に
おける飛散がない限り速ければ速いほど好ましい。
【0024】本発明では未反応単量体の回収工程で高圧
水を噴射する場合、未反応単量体の回収速度を好ましく
は40Nm3/分以上、特に50Nm3/分以上にする
と、重合容器内の気相部の内壁、還流コンデンサーの内
壁及び未反応単量体回収ライン内への泡の飛散を効果的
に防止することができる。
【0025】本発明では高圧水の噴射は重合工程及び未
反応単量体の回収工程の両工程で行うことが好ましい。
この場合、重合工程での高圧水の噴射時期は前述のよう
に還流コンデンサーが稼働している間であることが好ま
しい。従って、本発明では高圧水の噴射は、特に還流コ
ンデンサーの稼働中、及び未反応単量体の回収工程で行
うことが好ましい。この場合の噴射時期の具体例として
は、例えば、還流コンデンサーを稼働する全期間及び未
反応単量体を回収する全期間、還流コンデンサーの稼働
中の一部の期間及び未反応単量体を回収する全期間、還
流コンデンサーを稼働する全期間及び未反応単量体の回
収中の一部の期間、還流コンデンサーの稼働中の一部の
期間及び未反応単量体の回収中の一部の期間等が挙げら
れる。
【0026】高圧水の噴射方法としては、前記いずれの
工程においても前記噴射時期における噴射であれば、高
圧水を噴射開始から噴射終了まで中断することなく連続
的に噴射するものであっても(連続噴射)、或いは噴射
開始後、噴射を一旦中断し、その後さらに噴射を開始す
る断続噴射であってもよい。なお噴射中断期間は複数回
あってもよい。
【0027】いずれにしても高圧水の噴射時期は重合工
程であっても回収工程であっても重合容器内の発泡状態
を確認して決定するのが好ましい。重合容器内の発泡状
態を確認する方法としては、例えば、重合容器内の気相
部に設置した泡センサで確認する方法;重合容器内の気
相部に一端を、そして他端を重合容器外に配置した管で
あって、該管の途中に開閉バルブとサイトグラスを有す
る管からなる簡易式の泡サンプリング管を使用し、該バ
ルブを開いたときに気相部から泡が管内を圧送されてく
るか否かを前記サイトグラスで確認する方法等が挙げら
れる。
【0028】前記の泡センサとしては、例えば、静電容
量式センサ、超音波式センサ、放射線式センサ、赤外線
式センサ、伝導セル等が挙げられる。
【0029】前記の泡センサの取付け位置としては、発
泡に伴う重合容器内における泡層の上昇速度を考慮して
適宜に決定すればよいが、直進ノズルの噴射口から垂直
距離にして10cm以上下方に配置するのが好ましい。
また、泡センサを2以上配置する場合には、各センサ間
の垂直距離が10cm以上となるような位置に該センサ
を配置するのが好ましい。
【0030】このような泡センサを用いて発泡状態を確
認しながら直進ノズルから高圧水を噴射する装置として
は、例えば、図3に示すように、重合容器6内の気相部
14に配置した泡センサ(3A,3B)、直進ノズル1
及び該直進ノズルに高圧水を供給する配管2、並びに該
配管の高圧水の流量を調節する電磁バルブ4及び該バル
ブの開閉を制御するバルブ開閉コントローラ(例えば、
CPU等)5等で構成される装置が挙げられる。そし
て、このような装置においては、例えば、還流コンデン
サーの稼働中又は未反応単量体の回収中に発生した泡が
泡層を形成し、該泡層の上面が重合容器6内を上昇した
ときに、泡センサ(3A,3B)は該泡を検出して泡検
出信号hをバルブ開閉コントローラ5に発信する。泡検
出信号hを受信したバルブ開閉コントローラ5は電磁バ
ルブ4にバルブ開放信号jを発信する。そして、電磁バ
ルブ4はバルブ開放信号jにより配管2に通水し、直進
ノズル1は高圧水を噴射する。この高圧水の噴射により
重合容器6内に発生した泡は破壊され、泡層の上面は重
合容器6内を下降する。このとき泡センサ(3A,3
B)は、泡層上面の下降を検出し泡不検出信号iをバル
ブ開閉コントローラ5に発信する。泡不検出信号iを受
信したバルブ開閉コントローラ5は電磁バルブ4にバル
ブ閉鎖信号kを発信する。そして、電磁バルブ4はバル
ブ閉鎖信号kにより該バルブを閉鎖し、直進ノズル1は
高圧水の噴射を中断する。そして、再び泡層の上面が重
合容器6内を上昇したときには、前記と同様の高圧水の
噴射と噴射中断のサイクルを繰り返す。
【0031】本発明の製造方法では、高圧水を重合工程
でのみ、又は未反応単量体の回収工程でのみ噴射する場
合には、重合を消泡剤の存在下で行うか、又は未反応単
量体を回収する際に重合容器の内容物に消泡剤を存在さ
せた状態で行うことが好ましい。勿論、高圧水を前記両
工程で噴射する場合も上記のように消泡剤を使用するこ
とができる。
【0032】消泡剤の存在下で重合を行う場合、消泡剤
は少なくとも重合時に重合系に存在していればよく、予
め、重合容器内に仕込んでも、或いは重合開始時から重
合終了時までの間に重合容器内に投入してもよい。特に
還流コンデンサーで除熱を開始した時から重合終了時ま
での間に投入するのが好ましい。
【0033】また、重合容器の内容物に消泡剤が存在し
た状態で未反応単量体の回収を行う場合、消泡剤は少な
くとも回収時の重合容器内容物中に存在していればよ
く、予め、重合容器内に仕込んでも、或いは重合開始時
から重合終了時までの間に重合容器内に投入しても、或
いは未反応単量体の回収開始時から回収終了時までの間
に投入してもよい。特に未反応単量体の回収開始時から
回収終了時までの間に投入するのが好ましい。
【0034】消泡剤を重合容器に投入する方法として
は、例えば、予め脱イオン水等と共に重合容器に仕込む
方法;消泡剤を含有する前記の高圧水を使用する方法;
高圧水とは別の経路、例えば、図1及び図2に示すよう
に、重合容器6内の気相部に一端を開口し、他端を重合
容器6外に配置した管であって、その途中に開閉バルブ
を備えた消泡剤添加配管10を介して重合容器内に投入
する方法等が挙げられる。この場合、高圧水には消泡剤
を添加せずに、予め重合容器内に仕込み或いは前記別の
経路から消泡剤を添加してもよいし、高圧水に消泡剤を
添加するとともに、予め重合容器内に仕込み或いは前記
の別の経路から消泡剤を添加してもよい。なお、前記別
の経路から消泡剤を添加する場合には、連続的に或いは
断続的に重合容器内に添加することができる。
【0035】前記消泡剤としては、公知の抑泡剤又は破
泡剤でよく、例えば、オルガノポリシロキサン等のシリ
コーン類;メチルアルコール、エチルアルコール、オク
チルアルコール、アセチレンアルコール等のアルコール
類;スパン(ソルビタン脂肪酸エステル系非イオン界面
活性剤の商品名)、ポリエーテル等の非イオン界面活性
剤などが挙げられる。
【0036】消泡剤の使用量は、単量体又は単量体混合
物100重量部当り、0.0001〜1重量部が好まし
い。なお、前記消泡剤の使用量が多過ぎる場合には、得
られる重合体の品質に悪影響を与える場合がある。な
お、この場合の消泡剤の使用量は、高圧水に添加する消
泡剤の量と前記別の経路から添加する消泡剤の量との合
計量(予め重合開始前に予め重合容器内に投入する場合
はこの使用量も加算する)が前記の使用量の範囲になる
ように調節する。
【0037】本発明の塩化ビニル系重合体の製造方法
は、前記のように重合工程で、未反応単量体の回収工程
で、又はこれら両工程で、直進ノズルから高圧水をほぼ
直進状に液相表面に対して噴射して重合容器内容物の上
面に発生した泡を破泡すること及び場合により消泡剤を
使用すること以外は、通常行われている塩化ビニル系重
合体の製造方法と同様の条件で行うことができる。即
ち、塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体を含む単量
体混合物、懸濁剤、重合開始剤及び水性媒体等の重合容
器への仕込みは、従来と同様にして行えばよく、重合条
件も同様でよい。
【0038】本発明の塩化ビニル系重合体の製造方法に
用いる単量体は、前記の通り、塩化ビニル単量体のほ
か、塩化ビニル単量体を主体とするこれと共重合可能な
ビニル系単量体(コモノマー)との混合物(塩化ビニル
が50重量%以上)であってもよい。前記コモノマーとし
ては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビ
ニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等
のアクリル酸エステルもしくはメタアクリル酸エステ
ル;エチレン、プロピレン等のオレフィン;ラウリルビ
ニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエ
ーテル;無水マレイン酸;アクリロニトリル;スチレ
ン;塩化ビニリデン;その他塩化ビニルと共重合可能な
単量体などが挙げられ、これらは1種単独で又は2種以
上の組合せで用いられる。
【0039】前記懸濁剤としては、塩化ビニル単量体を
水性媒体中で重合する際に、通常用いられるものであれ
ば特に制限はなく、例えば、メチルセルロース、エチル
セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシ
プロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ース等の水溶性セルロースエーテル;アクリル酸重合
体;ゼラチン等の水溶性ポリマー;水溶性又は油溶性の
部分ケン化ポリビニルアルコール;ソルビタンモノラウ
レート、ソルビタントリオレート、ソルビタンモノステ
アレート、グリセリントリステアレート、エチレンオキ
シドプロピレンオキシドブロックコポリマー等の油溶性
乳化剤;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレー
ト、ポリオキシエチレングリセリンオレート、ラウリル
硫酸ナトリウム等の水溶性乳化剤;炭酸カルシウム;リ
ン酸カルシウム;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ムなどが挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上の
組合せで用いられる。この懸濁剤の添加量は、重合容器
内に仕込む前記単量体又は単量体混合物100重量部当
り、通常、0.01〜0.3重量部、好ましくは0.0
2〜0.2重量部である。
【0040】重合開始剤は、従来、塩化ビニル系重合体
の製造に使用されている油溶性重合開始剤又は水溶性重
合開始剤でよい。前記油溶性重合開始剤としては、例え
ば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2
−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキ
シエチルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネー
ト化合物;t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t
−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキ
シピバレート、α−クミルパーオキシネオデカノエー
ト、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシ
−2−ネオデカノエート等のパーエステル化合物;アセ
チルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド、2,4,
4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシア
セテート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオ
キシド、ラウロイルパーオキシド等の過酸化物;アゾビ
ス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビス(4−
メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ
化合物などが挙げられる。前記水溶性重合開始剤として
は、例えば、過硫酸カリウム、過酸化水素、キュメンハ
イドロパーオキシド等が挙げられる。これらの重合開始
剤は1種単独で又は2種以上の組合せで用いられる。こ
の重合開始剤の添加量は、前記単量体又は単量体混合物
100重量部当り、通常、0.01〜0.5重量部、好
ましくは0.02〜0.3重量部である。
【0041】前記水性媒体としては、例えば脱イオン水
を挙げることができ、水性媒体の添加料は、前記単量体
又は単量体混合物100重量部当り、通常、80〜30
0重量部、好ましくは110〜200重量部である。
【0042】本発明の塩化ビニル系重合体の製造方法に
おいては、さらに必要に応じて、塩化ビニル系重合体の
製造に適宜使用される重合度調整剤、連鎖移動剤、pH調
整剤、ゲル化改良剤、帯電防止剤、架橋剤、安定剤、充
填剤、酸化防止剤、緩衝剤、スケール防止剤等を添加す
ることもできる。
【0043】重合条件については、一般に重合温度は3
0〜70℃、重合圧力は3〜12kg/cm2(ゲージ
圧)、重合時間は3〜6時間程度である。
【0044】
【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に示すが、本発明は下記の実施例に制限されるもので
はない。 〔実施例1〜5〕本例においては、図1に示すような、
還流コンデンサー7、攪拌機8及びジャケット9を備え
た重合容器であって、気相部14に直進ノズル1(噴射
口の内径:表1に示す、噴射部1Bの区間長さLと前記
噴射口の内径dとの比L/d:表1に示す、設置数:
1)を配置した内容積2m3 のステンレス製重合容器6
を使用した。この重合容器に、脱イオン水900kg、部
分ケン化ポリビニルアルコール390g 及びt−ブチル
パーオキシネオデカノエート420g を仕込んだ。次い
で、重合容器内の排気を行った後、塩化ビニル単量体6
00kgを仕込んだ。そして、重合容器の内容物を攪拌翼
で攪拌しながらジャケットに熱水を通して該内容物の昇
温することにより重合を開始し、昇温開始から60分間
経過後(内容物の温度:57℃)、還流コンデンサーを
作動させ、該内容物の除熱を開始した(除熱量:150
Mcal/ 時間)。
【0045】一方、還流コンデンサーの作動と同時に、
重合容器の気相部に設けたノズルから高圧水を表1に示
す条件で噴射した。なお、表1中の噴射方法として、断
続噴射とあるのは、還流コンデンサーの作動と同時に高
圧水の噴射を開始し、1分間噴射した後、9分間噴射を
休止し、さらに1分間の噴射と9分間の休止を重合反応
を停止するまで交互に繰り返したことを意味する。
【0046】重合容器内の内圧が6.0kg/cm
2(ゲージ圧)に降下した時点で重合反応を停止し、未
反応単量体を回収し、塩化ビニル重合体をスラリー状で
重合容器外に抜き出した。このようにして得られたスラ
リー状重合体を脱水してから乾燥し、粉末の塩化ビニル
重合体を得た。 〔比較例1〕高圧水の噴射を行わなかった他は、実施例
1と同様にして重合を行い、粉末の塩化ビニル重合体を
得た。 〔比較例2〕高圧水の圧力300kg/cm2 を10k
g/cm2 とした他は、実施例1と同様にして重合を行
い、粉末の塩化ビニル重合体を得た。 〔実施例6〜8〕表2に示した消泡剤を含有する高圧水
を用い、且つ直進ノズルの噴射口の内径を0.6mmに
した以外は、実施例5と同様にして重合を行い、粉末の
塩化ビニル重合体を得た。 〔実施例9〕消泡剤を含有しない高圧水を用いた以外は
実施例6と同様にして重合を行い、粉末の塩化ビニル重
合体を得た。 〔実施例10〜12〕高圧水に消泡剤を添加する代わり
に、表3に示す消泡剤を図1に示す消泡剤添加配管10
を介して重合容器6内に表3に示す量で高圧水の噴射時
期に一致させて投入(断続添加)した以外は、実施例6
と同様にして重合を行い、粉末の塩化ビニル重合体を得
た。
【0047】前記実施例1〜12及び比較例1〜2にお
いて、スラリー状重合体を重合容器外へ抜き出した後、
重合容器内の重合時における気相部対応部分に対する重
合体の飛散状況を目視により下記判断基準で評価した。
結果を表1、2及び3に示す。
【0048】判断基準 ○・・・重合容器気相部の内壁に重合体の飛散は全く認
められない。 △・・・重合容器気相部の内壁に重合体の飛散が若干認
められる。 ×・・・重合容器気相部の内壁及び還流コンデンサーの
内壁に多量の重合体の飛散が認められる。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】 表2中、(*)は単量体100重量部当たりの使用量
(重量部)である。また、消泡剤(1)は、メタノール
であり、消泡剤(2)は、シリコーン系消泡剤〔信越化
学工業(株)製、KM−72A(商品名)〕であり、消
泡剤(3)は、アセチレンアルコール系消泡剤[日信化
学(株)製、サーフィノール104(商品名)]であ
る。
【0051】
【表3】 表3中、(*)、消泡剤(2)、消泡剤(3)は表2に
同じ。消泡剤(4)は、ポリエーテル系消泡剤[サンノ
プコ(株)製、SNデフォーマー777(商品名)]で
ある。 〔実施例13〕実施例1と同様の条件で3バッチ繰り返
して重合を行い、最後に得られた重合体粉末のフィッシ
ュアイを下記のようにして測定した。結果を表4に示
す。
【0052】フィッシュアイ 重合体100重量部、三塩基性硫酸鉛1重量部、ステア
リン酸鉛1.5重量部、二酸化チタン0.2重量部、カ
ーボンブラック0.1重量部及びDOP50重量部の割
合で調製した混合物を145℃のロールで3分間混練し
た。次いで、この混合物を厚さ0.2mmのシートに加
工し、該シート100cm2 当たりの透明粒子を計数し
た。 〔実施例14〜15、比較例3〕実施例1の条件に代え
て、実施例7、実施例11又は比較例1と同様の条件で
重合を行った以外は、実施例13と同様にして重合体を
得、フィッシュアイを測定した。結果を表4に示す。
【0053】
【表4】 〔実施例16〜20〕本例においては、図2に示すよう
な、還流コンデンサー7、攪拌機8及びジャケット9を
備えた重合容器であって、気相部14に直進ノズル1
(噴射口の内径:表5に示す、噴射部1Bの区間長さL
と前記噴射口の内径dとの比L/d:表5に示す、設置
数:1)を配置した内容積2m3 のステンレス製重合容
器6を使用した。また、この重合容器6には上鏡部に未
反応単量体回収配管15を備えている。この重合容器
に、脱イオン水900kg、部分ケン化ポリビニルアルコ
ール390g 及びt−ブチルパーオキシネオデカノエー
ト420g を仕込んだ。次いで、重合容器内の排気を行
った後、塩化ビニル単量体600kgを仕込んだ。そし
て、重合容器の内容物を攪拌翼で攪拌しながらジャケッ
トに熱水を通し、該内容物の温度を57℃まで昇温し
た。該内容物の温度を57℃に維持しながら重合を行
い、重合容器内の内圧が6.0kg/cm2 (ゲージ
圧)に降下した時点で重合反応を停止した。
【0054】次いで、前記の未反応単量体回収配管15
から重合容器6内の未反応単量体を回収した。このとき
未反応単量体の回収は、空塔線速が0.15m/秒とな
る条件で行った。そして、このような未反応単量体の回
収を開始したのと同時に、前記のノズル1から高圧水を
表5に示す条件で噴射した。なお、表5中の噴射方法と
して、連続噴射とあるのは、未反応単量体の回収を開始
したのと同時に高圧水の噴射を開始し、該回収が終了す
るまで噴射を連続したことを意味する。このように高圧
水を噴射しながら未反応単量体を回収した後、塩化ビニ
ル重合体をスラリー状で重合容器外に抜き出した。この
ようにして得られたスラリー状重合体を脱水してから乾
燥し、粉末の塩化ビニル重合体を得た。 〔比較例4〕未反応単量体を回収する際に高圧水の噴射
を行わなかった他は、実施例16と同様にして重合を行
い、粉末の塩化ビニル重合体を得た。 〔比較例5〕高圧水の圧力300kg/cm2 を10k
g/cm2 とした他は、実施例16と同様にして重合を
行い、粉末の塩化ビニル重合体を得た。 〔実施例21〜23〕表6に示した消泡剤を含有する高
圧水を用い、直進ノズルの噴射口の内径を0.6mmに
し、さらに連続噴射に代え、下記のような断続噴射にし
た以外は、実施例20と同様にして重合を行い、粉末の
塩化ビニル重合体を得た。
【0055】断続噴射 未反応単量体の回収を開始したのと同時に高圧水の噴射
を開始し、1分間噴射した後、1分間噴射を休止し、さ
らに1分間の噴射と1分間の休止を該回収が終了するま
で交互に繰り返したことを意味する。 〔実施例24〕消泡剤を含有しない高圧水を用いた以外
は実施例21と同様にして重合を行い、粉末の塩化ビニ
ル重合体を得た。 〔実施例25〜27〕高圧水に消泡剤を添加する代わり
に、表7に示す消泡剤を図2に示す消泡剤添加配管10
を介して重合容器内に表7に示す量を、高圧水の噴射時
期に一致させて投入(断続添加)した以外は、実施例2
1と同様にして重合を行い、粉末の塩化ビニル重合体を
得た。
【0056】前記実施例16〜27及び比較例4〜5に
おいて、スラリー状重合体を重合容器外へ抜き出した
後、重合容器内の重合時における気相部対応部分に対す
る重合体の飛散状況を実施例1〜12に記載した判断基
準で評価した。結果を表6〜8に示す。
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】 表6中、(*)は単量体100重量部当たりの使用量
(重量部)である。また、消泡剤(1)は、メタノール
であり、消泡剤(2)は、シリコーン系消泡剤〔信越化
学工業(株)製、KM−72A(商品名)〕であり、消
泡剤(3)は、アセチレンアルコール系消泡剤[日信化
学(株)製、サーフィノール104(商品名)]であ
る。
【0059】
【表7】 表7中、(*)、消泡剤(2)、消泡剤(3)は表6に
同じ。消泡剤(4)は、ポリエーテル系消泡剤[サンノ
プコ(株)製、SNデフォーマー777(商品名)]で
ある。 〔実施例28〕実施例16と同様の条件で3バッチ繰り
返して重合を行い、最後に得られた重合体粉末のフィッ
シュアイを実施例13に記載した方法で測定した。結果
を表8に示す。 〔実施例29〜30、比較例6〕実施例16の条件に代
えて、実施例22、実施例26又は比較例4と同様の条
件で重合を行った以外は、実施例28と同様にして重合
体を得、フィッシュアイを測定した。結果を表8に示
す。
【0060】
【表8】 〔実施例31〕本例においては、図3に示すような、還
流コンデンサー7、攪拌機8及びジャケット9を備えた
重合容器であって、気相部に泡センサ3A、該泡センサ
3Aより10cm上方に設置した泡センサ3B及びリン
グ状配管2に沿って配置した直進ノズル1(配置数:4
個)を備えたステンレス製重合容器6(内容積80
3)を用いた。なお、直進ノズル1としては、図4に
示すオリフィス径d(噴射口1Bの内径dに相当)が
2.08mmであり、噴射部1Bの区間長さLと前記内
径dの比(L/d)が3.0であるものを用いた。ま
た、泡センサ3A及び泡センサ3Bは静電容量方式のも
のを用いた。
【0061】このステンレス製重合容器6に、脱イオン
水39t、部分ケン化ポリビニルアルコール10.1kg
及びヒドロキシプロピルメチルセルロースの6重量%水
溶液(ヒドロキシプロピルメチルセルロースとして6.
7kg)を投入した。次に、重合容器内の圧力が50mmHg
(絶対圧)になるまで排気を行った後、塩化ビニル単量
体28tを投入した。次いで、重合容器内容物を攪拌し
ながらt−ブチルパーオキシネオデカノエート12.6
kg及びクミルパーオキシネオデカノエート7.0kgを重
合容器内に圧入すると同時に、ジャケットに熱水を通し
該内容物を昇温して重合を開始した。そして、該内容物
の温度が重合設定温度の56℃に達する直前でジャケッ
トに冷却水を通し該内容物の冷却を開始した。
【0062】(1)還流コンデンサー稼働中での高圧水
の噴射 次に、重合転化率が5%に達した時点で還流コンデンサ
ーに冷却水を通し、該内容物の除熱を開始した。そし
て、重合反応が進行するとともに還流コンデンサーの除
熱量を1600Mkal/hr まで増加した。その結果、重合
転化率が65%に達した時点で泡センサ3Aが泡を検出
した。そして、泡センサ3Aが泡を検出してから1分後
に直進ノズルから高圧水[圧力:100kg/cm2]の噴射
を行った(表9中、高圧水の圧力を噴射圧と記す。以下
表中これに同じ)。高圧水の噴射開始から1分間経過後
には泡が消滅し、泡センサ3Aでも泡は検知されなかっ
た。その後高圧水の噴射は重合終了時まで中断すること
なく継続した(表9中、連続噴射と記す。以下表11に
おいても同じ)。
【0063】(2)未反応単量体の回収工程での高圧水
の噴射 次に、重合容器内の圧力が6.0mmHg(絶対圧)に降下
した時点で重合容器内に重合停止剤を圧入して重合を終
了した。そして、重合容器の回収管15から未反応単量
体の回収を開始した(回収速度:60Nm3/min)。回収
開始時から10分間経過した時点で泡センサ3Aが泡を
検出した。そして、泡センサ3Aが泡を検出してから1
分後に直進ノズルから高圧水[圧力:100kg/cm2]の
噴射を行った。高圧水の噴射開始から30秒間経過後に
は泡が消滅し、泡センサ3Aでも泡は検知されなかっ
た。その後高圧水の噴射は未反応単量体の回収が終了す
るまで中断することなく継続した(表9中、連続噴射と
称する。以下表12においても同じ)。
【0064】未反応単量体を回収した後、塩化ビニル重
合体をスラリー状で重合容器外に抜き出した。そして、
重合容器内を目視で観察し、重合容器内壁に飛散した重
合体の状況を下記の基準で評価した。結果を表9に示
す。
【0065】評価基準 ○・・・重合容器気相部の内壁に重合体の飛散は全く認
められない。 ×・・・重合容器気相部の内壁及び還流コンデンサーの
内壁に多量の重合体の飛散が認められた。 ××・・・重合容器気相部の内壁、還流コンデンサーの
内壁及び未反応単量体回収ライン内に多量の重合体の飛
散が認められた。
【0066】そして、得られたスラリー状重合体を脱水
してから乾燥し、粉末の塩化ビニル重合体を得た。ま
た、得られた重合体の製品中のフィッシュアイを実施例
13に記載した方法で測定した。結果を表9に示す。
【0067】そして、得られた重合体を重合容器外に抜
き出した後の前記重合容器を使用した以外は、前記と同
様にして次バッチの重合を行い粉末の塩化ビニル重合体
を得、得られた重合体100g中に含まれる異物数を測
定した。結果を表9に示す。 〔実施例32及び33〕 (1)還流コンデンサー稼働中での高圧水の噴射及び
(2)未反応単量体回収工程での高圧水の噴射におい
て、使用したノズル、ノズルの設置個数、高圧水の圧
力、噴射水の合計水量及び噴射時間を表9のとおりとし
た以外は、実施例31と同様にして重合を行い、重合体
を抜き出した後の重合容器内壁に飛散した重合体の状
況、得られた重合体の異物数及び重合体から得られた製
品のフィッシュアイを実施例31と同様に評価した。結
果を表9に示す。
【0068】
【表9】 〔実施例34〜39〕下記の噴射(1)及び(2)以外
は、実施例31と同様にして重合を行った。
【0069】(1)還流コンデンサー稼働中での高圧水
の噴射 使用したノズル、ノズルの設置個数、高圧水の圧力、噴
射水の合計水量及び噴射時間を表10のとおりとし、そ
して連続噴射に代えて下記の断続噴射を行った以外は実
施例31と同様にして該噴射を行った。なお、実施例3
7については該噴射の1回目噴射開始時から45秒間経
過後には既に泡センサ3Aで泡が検出されなかった。実
施例38については該噴射の1回目噴射開始時から75
秒間経過後には既に泡センサ3Aで泡が検出されなかっ
た。実施例39については該噴射の1回目噴射開始時か
ら2分間経過後には既に泡センサ3Aで泡が検出されな
かった。
【0070】断続噴射 泡センサ3Aが泡を検出してから1分間経過後に高圧水
を噴射し、泡センサ3Aが泡を検知しなくなっても更に
噴射を続け、噴射開始から2分間経過後に噴射を中断す
る。そして、再び泡センサ3Aが泡を検出してから前記
と同様にして1分間経過後に高圧水を噴射し、この噴射
と噴射の中断を重合終了時まで繰り返す。
【0071】(2)未反応単量体回収工程での高圧水の
噴射 高圧水の圧力、噴射水の合計水量及び噴射時間を表10
のとおりとし、そして連続噴射に代えて前記の断続噴射
を行った以外は実施例31と同様にして該噴射を行っ
た。なお、実施例37については該噴射の1回目噴射開
始時から20秒間経過後には既に泡センサ3Aで泡が検
出されなかった。実施例38については該噴射の1回目
噴射開始時から40秒間経過後には既に泡センサ3Aで
泡が検出されなかった。実施例39については該噴射の
1回目噴射開始時から1分間経過後には既に泡センサ3
Aで泡が検出されなかった。
【0072】そして、未反応単量体を回収した後、重合
容器から重合体を抜き出して重合容器内壁に飛散した重
合体の状況、得られた重合体の異物数及び重合体から得
られた製品のフィッシュアイを実施例31と同様に評価
した。結果を表10に示す。
【0073】
【表10】 〔比較例7〜11〕 (1)還流コンデンサー稼働中での高圧水の噴射 使用したノズル、ノズルの設置個数、噴射水の合計水量
及び噴射時間を表11のとおりとした以外は実施例31
と同様にして該噴射を行った。なお、使用したフルコー
ンノズル、フラットノズル及びホロコーンノズルの高圧
水の噴射角度は、30度[噴射条件:大気圧における噴
射、噴射圧50kg/cm2(ゲージ圧)]である。その結
果、比較例7では、噴射開始時から3分間経過後には既
に泡センサ3Bでも泡が検出され、それ以後において
も、泡センサ3Bで泡が検出され続けた。比較例8でも
同様に、噴射開始時から5分間経過後は泡センサ3Bで
泡が検出され続けた。比較例9でも同様に、噴射開始時
から6分間経過後は泡センサ3Bで泡が検出され続け
た。比較例10でも同様に、噴射開始時から5分間経過
後は泡センサ3Bで泡が検出され続けた。比較例11で
も同様に、噴射開始時から3分間経過後は泡センサ3B
で泡が検出され続けた。
【0074】(2)未反応単量体の回収工程での高圧水
の噴射 未反応単量体の回収速度を実施例31の60Nm3/minか
ら30Nm3/minに変更したところ、未反応単量体の回収
が終了するまで、泡センサ3Aで泡が検出されなかった
ので、高圧水の噴射は行わなかった。
【0075】そして、未反応単量体を回収した後、重合
容器から重合体を抜き出して重合容器内壁に飛散した重
合体の状況、得られた重合体の異物数及び重合体から得
られた製品のフィッシュアイを実施例31と同様に評価
した。結果を表11に示す。
【0076】
【表11】 〔比較例12〜15〕 (1)還流コンデンサー稼働中での高圧水の噴射 実施例31において還流コンデンサーの最大除熱量16
00Mkal/hr を1000Mkal/hr に変更したところ、重
合終了時まで泡センサ3Aで泡が検出されなかったの
で、高圧水の噴射は行わなかった。
【0077】(2)未反応単量体の回収工程での高圧水
の噴射 高圧水の圧力、使用したノズル、ノズルの設置個数、噴
射水の合計水量及び噴射時間を表12のとおりとした以
外は実施例31と同様にして該噴射を行った。なお、使
用したフルコーンノズル、フラットノズル及びホロコー
ンノズルは、比較例7〜11で用いたものと同様のもの
である。その結果、比較例12では、噴射開始時から5
分間経過後には既に泡センサ3Bでも泡が検出され、そ
れ以後においても、泡センサ3Bで泡が検出され続け
た。比較例13でも同様に、噴射開始時から8分間経過
後は泡センサ3Bで泡が検出され続けた。比較例14で
も同様に、噴射開始時から5分間経過後は泡センサ3B
で泡が検出され続けた。そして比較例14では噴射開始
時から10分間経過後に回収管15が閉塞したので未反
応単量体の回収を中止すると共に高圧水の噴射も中止し
た。比較例15でも同様に、噴射開始時から4分間経過
後は泡センサ3Bで泡が検出され続けた。そして比較例
15では噴射開始時から8分間経過後に回収管15が閉
塞したので未反応単量体の回収を中止すると共に高圧水
の噴射も中止した。
【0078】そして、未反応単量体を回収を中止した
後、重合容器から重合体を抜き出して重合容器内壁に飛
散した重合体の状況、得られた重合体の異物数及び重合
体から得られた製品のフィッシュアイを実施例31と同
様に評価した。結果を表12に示す。
【0079】
【表12】
【0080】
【発明の効果】本発明の塩化ビニル系重合体の製造方法
によれば、還流コンデンサーを備えた重合容器を用いて
塩化ビニル系重合体を製造するにあたり、還流コンデン
サーによる除熱量を大きくしても、或いは未反応単量体
の回収流量を増加させても、重合時又は未反応単量体の
回収時に重合容器の気相部に泡が飛散することがなく、
従って、フィッシュアイや異物の少ない高品質の塩化ビ
ニル系重合体を、重合時間及び重合サイクルの短縮によ
り生産性よく得ることができる。特にこれらの効果は、
高圧水の噴射を前記重合工程における還流コンデンサー
の稼働中、及び前記回収工程で行うと顕著である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製造方法に用いる一例の装置の断面
を表す概念図である。
【図2】 本発明の製造方法に用いる他の例の装置の断
面を表す概念図である。
【図3】 本発明の製造方法に用いる更に他の例の装置
の断面を表す概念図である。
【図4】 本発明に用いる、高圧水を直進状に噴射する
ノズルを例示する断面図である。
【図5】 本発明に用いる、高圧水を直進状に噴射する
ノズルを配置する配管を例示する概念図である。
【図6】 本発明に用いる、高圧水を直進状に噴射する
ノズルを配置する配管を例示する概念図である。
【図7】 大気中でノズルから高圧水を噴射したときの
噴射水の直進性を説明するために用いた噴出パターンの
概念図である。
フロントページの続き (72)発明者 中島 斉 茨城県鹿島郡神栖町大字東和田1番地 信越化学工業株式会社 塩ビ技術研究所 内 (72)発明者 野茎 源治 茨城県鹿島郡神栖町大字東和田1番地 信越化学工業株式会社 塩ビ技術研究所 内 (72)発明者 奥野 義隆 茨城県鹿島郡神栖町大字東和田1番地 信越化学工業株式会社 塩ビ技術研究所 内 (56)参考文献 特開 平4−130103(JP,A) 特開 昭57−21407(JP,A) 特開 平5−320209(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/00 - 2/60 C08F 14/06

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 還流コンデンサーを備えた重合容器内
    で、塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体を含む単量
    体混合物を水性媒体中で懸濁剤の存在下に懸濁重合を行
    い、重合反応終了後に未反応単量体を回収する工程を含
    む塩化ビニル系重合体の製造方法において、 前記重合工程で、前記回収工程で、又はこれら両者の工
    程で前記重合容器の気相部に設置したノズルから20k
    g/cm2以上の高圧水をほぼ直進状に液相表面に対し
    て噴射して該液相表面上に発生した泡を消去することを
    特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 重合工程を消泡剤の存在下に行うか、又
    は前記未反応単量体の回収工程を重合容器の内容物に消
    泡剤を含有した状態で行う請求項1に記載の塩化ビニル
    系重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 重合工程での高圧水の噴射を、還流コン
    デンサーの稼働中に行う請求項1に記載の塩化ビニル系
    重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 重合工程及び/又は未反応単量体回収工
    程での高圧水の噴射を、重合容器の気相部に設置した、
    泡の存在を検知する泡センサーからの検知信号により開
    始する請求項1に記載の塩化ビニル系重合体の製造方
    法。
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