JP4098482B2 - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、還流コンデンサーを付設した重合器中で塩化ビニル又はこれを主体とする単量体混合物を重合して塩化ビニル系重合体を製造する方法に関し、特に還流コンデンサーによる反応熱を除去する際や未反応単量体回収の際に発生する泡を防止するために反応系の組成および添加剤の添加の時期を改良した塩化ビニル系重合体の製造方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】
近年、塩化ビニル系重合体の製造方法において、その製造効率を高めるため、重合器の大型化と重合時間の短縮が進められている。重合時間短縮の一方法として重合器に還流コンデンサーを付設して除熱を効率化し、時間短縮を図ること、別の方法として重合終了後の未反応単量体回収速度を高めて該回収時間の短縮が図られている。
【0003】
しかしながら、還流コンデンサーによる除熱量の増大や未反応単量体回収速度の増大は重合器内気相部の真空度を高める結果となるので、スラリー中に溶存している塩化ビニル単量体等の気化が促進され、それに伴って発泡が増大し、液面上部に泡が蓄積され、泡が上昇し、その結果として重合体粒子が重合器上部に到達する現象(キャリーオーバー)が起こるという問題があった。このキャリーオーバーは、著しい時は還流コンデンサー内部や重合器に設けられている未反応単量体回収配管等まで到達し、重合体粒子が重合器上部のみならず、還流コンデンサー内部や未反応単量体回収配管の入口(回収口)付近にスケールを付着する原因となる。このようなスケールの付着は、重合後の整備など製造工程に大きな支障をきたすだけでなく、このまま次の重合を行なってしまうと、得られる重合体製品フィッシュアイ(FE)が増大する原因となるなど、品質的にも悪影響を与えていた。
【0004】
このように還流コンデンサーの使用にはかなりの制約があり、還流コンデンサーの機能を十分活用しているとはいえないものであった。
そこで、従来、重合器内の気相部における消泡を目的に、該重合器の気相部を回転翼で攪拌しながら重合するという方法(特公昭60−42804号公報参照)、或いは泡に水又は抑泡剤の水溶液をフラットノズルやフルコーンノズル等のスプレーノズルを使用して噴霧する方法(特公昭50−30106号公報参照)が提案されている。
【0005】
しかしながら、これらの方法はある程度の消泡効果はあるものの、その効果は十分とはいえずさらなる強力な消泡技術の確立が望まれている。
【0006】
その一つとして、重合中にシリコーン系消泡剤を添加する方法が知られている。しかしながら、シリコーン系消泡剤だけではその消泡効果が不十分であり、消泡効果を高めるために使用量を増大しても、スケールが付着するという問題を生じ、使用には自ずと制限があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、重合中及び未反応単量体の回収に際し、重合体スラリーの発泡、上昇飛散現象を確実に防止し、還流コンデンサーのもつ除熱効果の機能を充分に発揮し、さらに未反応単量体の回収を効率良く行なうことができる塩化ビニル系重合体の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成する手段として、還流コンデンサーを付設した重合器を用いて塩化ビニル又はこれを主体とする単量体混合物を水性媒体中で重合し、その後、未反応単量体の回収を行って塩化ビニル重合体を製造する方法において、
前記重合の段階で重合系に(A) シリコーン系消泡剤、ポリアルキレングリコール系消泡剤およびアマイド系消泡剤から選ばれる少なくとも1つの消泡剤と、
(B−1)SH基またはスルホン酸基が置換基として導入された少なくとも1種の部分けん化ポリビニルアルコール、および(B−2)セルロース系誘導体から選ばれる少なくとも1つの第2添加剤とを、
前記還流コンデンサーの稼働時に添加し始め、かつ
その添加を前記の未反応単量体の回収の段階で前記重合器から未反応単量体回収終了するまで継続して行なうことを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わる塩化ビニル系重合体の製造方法を詳細に説明する。
従来公知の方法により塩化ビニル又はこれを主体とする単量体混合物を水性媒体中において還流コンデンサーを付設した重合器を用いて重合する。この重合法としては、例えば懸濁重合法、乳化重合法等があるが、本発明の方法は、特に懸濁重合法に適用した場合に大きな効果がもたらされる。
【0010】
前記単量体としては、塩化ビニル単量体単独に限られず、塩化ビニルを主体とし、これと共重合可能なビニル系単量体(コ単量体)との混合物(塩化ビニルが50重量%以上、特に70重量%以上)であってもよい。前記塩化ビニルと共重合されるコ単量体としては、例えば酢酸ビニル、ブロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステルもしくはメタアクリル酸エステル;エチレン、プロピレン等のオレフィン;ラウリルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル;無水マレイン酸;アクリロニトリル;スチレン;塩化ビニリデン;その他塩化ビニルと共重合可能な単量体等が挙げられる。
【0011】
前記重合反応系に添加される重合開始剤としては、従来より塩化ビニル単量体等の重合に使用されているいずれの油溶性触媒あるいは水溶性触媒でもよい。油溶性触媒としては、例えばジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート化合物;t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、α−クミルパーオキシネオデカネート等のパーエステル化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等の過酸化物;アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等が挙げられる。水溶性触媒としては、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、クメンハイドロパーオキシド等が挙げられる。これらの油溶性触媒あるいは水溶性触媒は、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0012】
前記単量体の水性媒体への分散を促す分散助剤も従来一般に知られているものでよく、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の水溶性セルロースエーテル;アクリル酸重合体;ゼラチン等の水溶性ポリマー、水溶性及び油溶性の部分ケン化ポリビニルアルコール;ソルビタンモノラウレート、トリオレート、ソルビタンモノステアレート、グリセリントリステアレート、エチレンオキシドプロピレンオキシドブロックコポリマー等の油溶性乳化剤;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレングリセリンオレート、ラウリル硫酸ナトリウム等の水溶性乳化剤;炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ドデシルペンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0013】
前記反応系には必要に応じて塩化ビニル系の重合に適宜使用されている重合調整剤、連鎖移動剤、pH調整剤、ゲル化改良剤、帯電防止剤、架橋剤、安定剤、充填剤、酸化防止剤、緩衝剤、スケール防止剤等をさらに添加することを許容する。
【0014】
前記重合に際しての他の条件、重合器への水性媒体、塩化ビニル単量体、場合によっては他のコ単量体、懸濁剤等の仕込み方法は従来と同様にして行なえばよく、これらの仕込み割合、重合温度等の重合条件もまた同様の条件でよい。
【0015】
本発明においては、前述した反応系(重合系)に(A) シリコーン系消泡剤、ポリアルキレングリコール系消泡剤およびアマイド系消泡剤から選ばれる少なくとも1つの消泡剤と、(B−1)SH基またはスルホン酸基を置換基として導入された少なくとも1つの部分ケン化ポリビニルアルコールおよび(B−2)セルロース系誘導体から選ばれる少なくとも1つの第2添加剤とを添加する。その添加は、還流コンデンサーの稼働時に開始し、重合器からの未反応単量体回収終了まで継続して行なう。この添加は、還流コンデンサーの稼動開始と同時に開始することが好ましい。
【0016】
前記(A)成分であるシリコーン消泡剤としては、例えばジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等のシリコーンオイル類、又はこれらをエマルジョン化したもの、これらにシリカ、アルミナなどの微粉末を均一分散させたもの等を用いることができる。
【0017】
前記(A)成分であるポリアルキレングリコール系消泡剤としては、例えばポリオキシエチレン、ポリプロピレンオキサイド共重合体、アセチレングリコール等を挙げることができる。
【0018】
前記(A)成分であるアマイド系消泡剤としては、例えばポリアルキレンアマイド等を挙げることができる。
【0019】
前記(B−1)成分としては、SH基またはスルホン酸基が置換基として導入された部分けん化ポリビニルアルコールが用いられる。このSH基またはスルホン酸基が置換基として導入された部分けん化ポリビニルアルコールとしては平均重合度100〜500、ケン化度50〜99モル%であるものを用いるのが好ましい。
【0020】
前記(B−2)成分であるセルロース系誘導体としては、例えばメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等を挙げることができる。
【0021】
前記(A)成分である消泡剤は、その固形分が全単量体に対して重量基準で10〜500ppmの範囲で添加することが望ましく、より好ましくは20〜200ppmである。前記(B−1),(B−2)の第2添加剤は、その固形分が全単量体に対し重量基準で100〜2000ppm添加することが望ましく、より好ましくは100〜1500ppmである。なお、ここで述べた消泡剤の添加量は添加開始から添加終了までの全添加量である。
【0022】
前記(A)及び(B)の添加剤は、還流コンデンサーの作動中及び未反応単量体回収中に連続して添加する必要がある。一度に全部添加すると、重合体スラリーの発泡、飛散現象の防止効果を重合終了時及び未反応単量体回収終了時まで持続できない場合がある。
【0023】
前記消泡剤(A)の添加量を10ppm未満にすると、その消泡効果を十分発揮することが困難になる。一方、この添加量が500ppmを超えると、使用量が増大して経済的に不利になるばかりか、重合器壁面にスケールが付着しやすくなり、逆にフィシュアイが増大する恐れがある。
【0024】
前記(B−1)及び(B−2)の第2添加剤の添加量を100ppm未満にすると、十分な消泡効果を発揮することが困難になる。一方、その添加量が2000ppmを超えると、使用量が増大して経済的に不利になるばかりか、分散剤による泡を逆に増加させて消泡効果を低下させる恐れがある。
【0025】
なお、重合の終了方法、終了後の処理方法は、公知の方法に従って行うことができる。
【0026】
以上説明した本発明によれば、還流コンデンサーの除熱量及び/又は未反応単量体回収速度を増大しても重合体スラリーの発泡、上昇、飛散を有効に防止することができる。その結果、還流コンデンサーによる除熱効果が十分に得られると共に、重合器上部、還流コンデンサー内部、未反応単量体回収配管などへの重合体の付着とスケール付着も防止できるため、フィッシュアイが減少された高品質の塩化ビニル系重合体を製造することができる。
【0027】
作用
重合中及び未反応単量体回収時に発生する泡(以下、重合体スラリーの泡)は、分散剤として使用されるポリビニルアルコールやセルロース系分散剤による泡(以下、分散剤の泡)と、その泡に塩化ビニル系重合体の粉体を多く含有する泡(重合体の泡)が複雑にからみあっており、どちらか一方を抑制しても重合体スラリーの泡を十分に消泡できない。これは、分散剤と水だけの系においては例えばシリコーン系のような消泡剤により十分に消泡することが可能であるのとは全く異なる状況である。
【0028】
重合体を含む系で発生する泡は、その中に重合体を多く取り込まれるために、泡が硬くなって泡の安定性を高められる。つまり、重合開始前に添加されるポリビニルアルコールやセルロース系分散剤によりその界面活性が低下して重合体スラリーが泡立った場合、分散剤の泡は比較的容易に消失するものの、重合体スラリーの泡は消失せずにそのまま残留する。これはスラリー中に含有されている重合体粉体がスラリー中で発生する泡に付着し、液上部に蓄積されることによるものである。この重合体粉体が集まった液上部では、順次供給される泡を消す効果が弱められ、次第に泡が蓄積される。泡が蓄積されると、そこに更に重合体が蓄積されるという蓄積の繰り返しがなされるため、最後にはキャリーオーバーなどのトラブルを生じるものと考えられる。
【0029】
これに対し、本発明では、前記消泡剤(A)により分散剤による泡を消し、さらに重合体と水のなじみが良好な前記第2添加剤によりスラリー中で発生した単量体ガスによる泡に重合体を付着させるとともに、泡上部に蓄積される重合体を速やかに液中に戻すことができるため、重合体による泡を同時に消すことができる。したがって、前記各分散剤による泡と重合体による泡を同時に消すことにより重合体スラリーの発泡及び泡の上昇を十分に抑制することが可能となる。
【0030】
なお、前記(B−1)及び(B−2)から選ばれる前記第2添加剤は前記消泡剤(A)と併用せずに、単独で添加した場合は全く効果はなく、逆に泡立ちが多くなる。
【0031】
また、前記第2添加剤は添加してから次第に効果が弱まり、その添加開始時から20分程度で殆どその効果がなくなってしまう。したがって、前記消泡剤(A)と前記(B−1)及び(B−2)から選ばれる第2添加剤は連続的に添加していくこと必要がある。
【0032】
【実施例】
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はここで説明する実施例に制限されるものではない。なお、塩化ビニル単量体をVCと略記することがある。
【0033】
[実施例1〜6及び比較例1〜7]
いずれの例の場合も、内容積2000Lの攪拌機及びジャケット付きのステンレス製重合器に脱イオン水900kg、重合度1500〜2700、ケン化度75〜85モル%の部分ケン化ポリビニルアルコール390g、t−ブチルパーオキシネオデカネートを下記表1、表2に示す量をそれぞれ仕込んだ。つづいて、前記重合器内を8.0kPa(60mmHg)になるまで排気した後、塩化ビニル単量体を600kg仕込み、前記重合器内を攪拌しながらジャケットに熱水を通して昇温を開始した(即ち、重合を開始した)。昇温開始後内温が57℃に到達した時点で内温を57℃に維持して重合を行った。昇温開始80分後から還流コンデンサーを稼動させ、各例における還流コンデンサーの除熱量を表1、表2に示す値に制御した。未反応単量体の回収は、重量終了時から開始し、表1、表2に示す未反応VC回収流量条件で回収を行い、表1、表2に示す未反応VC回収所要時間かけて未反応単量体の回収を行った。なお、重合は、重合器内の圧力が0.588MPa・G(6.0kgf/cm2G)に降下した時点で終了とみなした。
【0034】
ここで使用した添加剤(A)、(B−1)、(B−2)は次のとおりである。・消泡剤(A)
(i):シリコーン系消泡剤
(ii):ポリアルキレングリコール系消泡剤
(iii):アマイド系消泡剤
・添加剤(B−1)
(イ):SH基が置換基として導入された部分けん化ポリビニルアルコール(平均重合度 280、ケン化度 80モル%)
(ロ):スルホン酸基が置換基として導入された部分けん化ポリビニルアルコール(平均重合度 280、ケン化度 80モル%)
・添加剤(B−2)
HPMC:ヒドロキシメチルセルロース
各例で添加した添加剤、全添加量及びその添加時期は表1、表2に示す通りである。
【0035】
各例とも、重合終了後重合体スラリーを器外に取り出し、脱水、乾燥して、塩化ビニル重合体を得た。
【0036】
各例における重合器内の重合体スケール付着状況、還流コンデンサ内へのキャリーオーバー、未反応単量体回収口内へのキャリーオーバー、得られた製品重合体の粒度分布、可塑剤吸収量、フィッシュアイの発生状況、かさ比重、体積電気抵抗、初期着色性、熱安定性の評価、測定を行った。その結果を下記表3、表4に示す。
【0037】
前記評価、測定は次のような方法により行った。
<重合体スケール付着状況の観察>
重合終了後に重合器内の重合体スケール付着状況を目視で観察し、下記のランクで評価した。なおスケールの観察は2回重合後の状態を観察した。
○:重合体スケールの付着が認められず重合器内壁が金属鏡面の光沢を持つ。
×:重合器内壁面の金属鏡面の一部に重合体スケールが認められる。
<還流コンデンサー内へのキャリーオーバー>
未反応単量体回収終了後に目視で観察を行ない、下記基準で評価した。
○:コンデンサー下部に塩化ビニル系重合体の付着がみられない
×:コンデンサー上部に塩化ビニル系重合体の付着がみられる
<未反応単量体回収口へのキャリーオーバー>
未反応単量体回収終了後目視で観察を行ない、下記基準で評価した。
○:重合器内部の未反応単量体回収口に塩化ビニル系重合体がみられない
×:未反応単量体回収口及びその配管に塩化ビニル系重合体がみられる
【0038】
<粒度分布>
JIS Z-8801に準じた#60、#100、#150及び#200の各篩を用い、試料を篩分けし、各篩を通過した試料の割合(重量%)を求めた。
<可塑剤吸収量>
内径25mm、深さ85mmのアルミニウム合金製重合器の底にグラスファイバーを詰め、該重合器に試料10gを投入し、次にジオクチルフタレート(DOP) 15mlを加えた。そして、30分間放置して試料にDOPを充分浸透させた後、1500Gの加速度下で試料から過剰量のDOPを遠心分離した。試料に吸収されたDOPの量をDOP吸収前の試料の重量に対する重量%として求めた。
<フィッシュアイの発生状況>
試料100重量部に対し、DOP 50重量部、ステアリン酸バリウム0.1重量部、ステアリン酸カドミウム0.1重量部、セタノール0.8重量部、スズ系安定剤2.0重量部、二酸化チタン0.5重量部及びカーボンブラック0.1重量部を添加した。得られた混合物を6インチロールを用いて、140℃で5分間混合・混練した後、厚さ0.3mmのシートに成形した。このシート100cm2当りに含まれる白色透明の粒子(フィッシュアイ)の数を計数した。
<かさ比重>
JIS K-6723に準じて測定した。
<体積抵抗率>
JIS K-6723に準じて測定した。
【0039】
なお粒度分布、可塑剤吸収量、フィッシュアイ、かさ比重、熱安定性、体積抵抗率、初期着色性の測定は原材料の仕込み、重合、未反応単量体の回収、スラリーの取出しなどからなる一バッチのサイクルを2回行ない、2回目のバッチで得られる塩化ビニル系樹脂について行なった。
【0040】
<初期着色性>
得られた塩化ビニル重合体100重量部にラウリル酸スズを1重量部、カドミウム系安定剤を0.5重量部及びジオクチルフタレートを50重量部の割合で配合した混合物を2本ロールミルを用いて160℃で5分間混練した後、厚さ0.8mmのシートに成形した。次に、このシートを裁断して重ねて、4×4×1.5cmの型枠に入れて160℃、6.4〜6.9MPa(65〜70kgf/cm2)で加熱、加圧下で成形して測定試料を作成した。この測定試料について、光電色彩計(日本電色工業株式会社製)を用いて、JISZ8730(1980)に基づいてハンターの色差式における明度指数Lを求め、a値及びb値を測定した。
<熱安定性>
初期着色性の測定に際し成形した厚さ0.8mmのシートを用い、185℃に加熱したオーブンに入れ、黒化するまでの時間を測定した。
【0041】
【表1】
Figure 0004098482
【0042】
【表2】
Figure 0004098482
【0043】
【表3】
Figure 0004098482
【0044】
【表4】
Figure 0004098482
【0045】
前記表1、表2および表3、表4から明らかなように本発明の実施例1−6の塩化ビニル系重合体の製造方法は比較例1−7の同製造方法に比べて還流コンデンサ内へのキャリーオーバー、未反応単量体回収口内へのキャリーオーバー、スケール発生が殆どなく、しかも得られた重合体は体積抵抗率等の優れた諸特性を有することがわかる。
【0046】
特に、比較例2,6のように消泡剤(A)および添加物(B−1)の両者を添加した場合でも、その添加が重合開始と同時期であると、良好な消泡効果を達成することができないことがわかる。
【0047】
また、比較例3によると、開始剤の添加量を640ppmに少なくし、重合時間を長くして、コンデンサーの除熱量を100Mcal/hに低く制御しても、消泡剤(A)を添加しないとキャリーオーバーが起こることがわかる。
【0048】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、還流コンデンサーによる除熱を強化したり、さらに未反応単量体の回収速度を増大したりしても重合体スラリーの発泡、泡の気相部上部への上昇、飛散を防止でき、製造工程に支障をきたすことがない。これにより均一な品質、特にフィッシュアイの発生が少なく体積抵抗率の良好な塩化ビニル系重合体を高い生産性で得ることが可能であり、工業的効果が極めて大である。

Claims (1)

  1. 還流コンデンサーを付設した重合器を用いて塩化ビニル又はこれを主体とする単量体混合物を水性媒体中で重合し、その後、未反応単量体の回収を行って塩化ビニル重合体を製造する方法において、
    前記重合の段階で重合系に(A) シリコーン系消泡剤、ポリアルキレングリコール系消泡剤およびアマイド系消泡剤から選ばれる少なくとも1つの消泡剤と、
    (B−1)SH基またはスルホン酸基が置換基として導入された少なくとも1種の部分けん化ポリビニルアルコール、および(B−2)セルロース系誘導体から選ばれる少なくとも1つの第2添加剤とを、
    前記還流コンデンサーの稼働時に添加し始め、かつ
    その添加を前記の未反応単量体の回収の段階で前記重合器から未反応単量体回収終了するまで継続して行なうことを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法。
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