JP3437017B2 - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents
塩化ビニル系重合体の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩化ビニル系重合
体の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、ポロシティーが高く加工性に優れ
た塩化ビニル系重合体を得る目的で、懸濁剤として、ケ
ン化度が55モル%以下であり、平均重合度が 600以下の
いわゆる油溶性部分ケン化ポリビニルアルコールを用い
る懸濁重合法が提案されている(特開昭52-5886 号公
報、同52-15890号公報、同55-112210 号公報、同53-639
2号公報及び特公昭61-18562号公報等参照)。 【0003】しかし、これらの製造方法は、重合終了近
くになると、重合器内容物の見掛け粘度が上昇するた
め、該内容物の流動性が低下する。そして、該内容物の
重合反応熱の除去が不十分となるため、該内容物の温度
が上昇し、得られる重合体の可塑剤吸収性が悪くなる。
従って、このような重合体から得られる成形品には、多
くのフィッシュアイが発生する等の問題を生じる。 【0004】また、これらの製造方法は、得られる重合
体の粒度が細かくなり、粒度分布がブロードになるとい
う欠点、並びに熱安定性及び成形品の透明性が劣るとい
う欠点があり、また重合器内にスケールが付着し易くな
るという欠点もある。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、重合
器の内壁等にスケールがほとんど付着しない塩化ビニル
系重合体の製造方法であって、得られる塩化ビニル系重
合体のポロシティーが高く可塑剤吸収性が良好であり、
また粒度分布がシャープであり、しかも熱安定性が良好
でかつ成形品の透明性が優れ、成形品におけるフィッシ
ュアイの発生が極めて少ない塩化ビニル系重合体の製造
方法を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は、塩化ビニル単
量体又は塩化ビニル単量体を含む単量体混合物を水性媒
体中で懸濁剤の存在下に懸濁重合を行う塩化ビニル系重
合体の製造方法において、前記懸濁剤が、(A) 平均重合
度が 300〜2000であり、ケン化度が70〜85モル%であ
り、分子鎖の少なくとも1つの末端にメルカプト基を有
する部分ケン化ポリビニルアルコール、及び(B) 平均重
合度が 600〜3000であり、ケン化度が60〜90モル%であ
り、メルカプト基を有しない部分ケン化ポリビニルアル
コールを含むことを特徴とする塩化ビニル系重合体の製
造方法である。以下、本発明を詳細に説明する。 【0007】懸濁剤 〔成分(A) 〕本発明に用いる成分(A) の懸濁剤〔以下、
懸濁剤(A) という〕は、分子鎖の少なくとも1つの末端
にメルカプト基を有する部分ケン化ポリビニルアルコー
ルである。そして、平均重合度が 300〜2000、好ましく
は 500〜1,500 であり、ケン化度が70〜85モル%、好ま
しくは75〜85モル%の部分ケン化ポリビニルアルコール
である。なお、この平均重合度やケン化度が小さ過ぎる
と、得られる塩化ビニル系重合体の粒度が細かくなり、
粒度分布がブロードになる。また、重合器にスケールが
付着し易くなる。逆に、平均重合度やケン化度が大き過
ぎると、得られる重合体のポロシティーが低下し、重合
体の加工製品にフィッシュアイが発生し易くなる。 【0008】懸濁剤(A) の具体例としては、例えば、下
記一般式: 【化1】 〔式中、x及びyは平均重合度が 300〜2000となるよう
な整数であり、Zは少なくとも一つがメルカプト基であ
り、Zの1つが水素原子であってもよい〕で表されるも
のが挙げられる。 【0009】〔成分(B) 〕本発明に用いる成分(B) の懸
濁剤〔以下、懸濁剤(B) という〕は、メルカプト基を有
しない部分ケン化ポリビニルアルコールである。そし
て、平均重合度が 600〜3000であり、ケン化度が60〜90
モル%である部分ケン化ポリビニルアルコールである。
なお、この平均重合度やケン化度が小さ過ぎると、懸濁
安定性が損なわれ、得られる重合体が粗粒化したり、粒
度分布がブロードになる。また、重合器にスケールが付
着し易くなる。逆に、平均重合度やケン化度が大き過ぎ
ると、得られる重合体の可塑剤吸収性が不十分になり、
重合体から得られる成形品にフィッシュアイが発生し易
くなる。 【0010】前記懸濁剤(A) 及び懸濁剤(B) の使用量
は、合計量で、塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体
を含む単量体混合物 100重量部当り、0.02〜0.5 重量部
が好ましく、さらに好ましくは0.03〜0.1 重量部であ
る。この使用量が少な過ぎると、得られる塩化ビニル重
合体の粒度が粗くなり粗粒化する場合があり、多過ぎる
と、得られる塩化ビニル重合体の粒度が細かくなりすぎ
たり、可塑剤吸収性が低下したり、該重合体から得られ
る成形品にフィッシュアイが増加したりする場合があ
る。前記懸濁剤(A) と懸濁剤(B) の配合比は、懸濁剤
(A) /懸濁剤(B) 〔重量比〕で、95/5〜5/95が好ま
しく、さらに好ましくは9/ 1〜1/ 1である。 【0011】その他の重合条件 本発明の塩化ビニル系重合体の製造方法は、前記の懸濁
剤を使用すること以外は、通常行われている塩化ビニル
系重合体の製造方法と同様の条件で行うことができる。
即ち、塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体を含む単
量体混合物、重合開始剤及び水性媒体等の重合容器への
仕込みは、従来と同様にして行えばよく、重合条件も同
様でよい。 【0012】(単量体)本発明の塩化ビニル系重合体の
製造方法に用いる単量体は、上記の通り、塩化ビニル単
量体のほか、塩化ビニル単量体を主体とするこれと共重
合可能なビニル系単量体(コモノマー)との混合物(塩
化ビニルが50重量%以上)であってもよい。上記コモノ
マーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル等のアクリル酸エステル又はメタアクリル酸エス
テル;エチレン、プロピレン等のオレフィン;ラウリル
ビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニル
エーテル;無水マレイン酸;アクリロニトリル;スチレ
ン;塩化ビニリデン;その他塩化ビニルと共重合可能な
単量体などが挙げられ、これらは1種単独で又は2種以
上の組合せで用いられる。 【0013】(重合開始剤)重合開始剤は、従来、塩化
ビニル系重合体の製造に使用されている油溶性重開始剤
又は水溶性重合開始剤でよい。前記油溶性重合開始剤と
しては、例えば、t−ブチルパーオキシネオデカノエー
ト、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパ
ーオキシピバレート、α−クミルパーオキシネオデカノ
エート、t−ヘキシルネオヘキサノエート、2,4,4
−トリメチルペンチル−2−パーオキシ−2−ネオデカ
ノエート等のパーエステル化合物;ジイソプロピルパー
オキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオ
キシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキ
シジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシ
ジカーボネート等のパーカーボネート化合物;デカノイ
ルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイル
パーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、シクロヘ
キサノンパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパ
ーオキシド、p−メンタンハイドロパーオキシド、3,
5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、イソブ
チリルパーオキシド、2,4,4−トリメチルペンチル
−2−パーオキシフェノキシアセテート、アセチルシク
ロヘキシルスルホニルパーオキシド等のパーオキシド化
合物;α,α′−アゾビスイソブチロニトリル、α,
α′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、
α,α′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチル
バレロニトリル)等のアゾ化合物などが挙げられる。 【0014】前記水溶性重合開始剤としては、例えば、
過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;過
酸化水素、キュメンハイドロパーオキシド等が挙げられ
る。これらの重合開始剤は1種単独で又は2種以上の組
合せで用いられる。この重合開始剤の添加量は、前記単
量体100 重量部当り、0.01〜0.5 重量部が好ましく、さ
らに好ましくは0.03〜0.2 重量部である。 【0015】(水性媒体)前記水性媒体としては、例え
ば脱イオン水を挙げることができ、水性媒体の使用量
は、前記単量体100 重量部当り、好ましくは90〜200 重
量部、さらに好ましくは90〜130 重量部である。 【0016】(その他の添加剤)本発明の塩化ビニル系
重合体の製造方法においては、さらに必要に応じて、塩
化ビニル系重合体の製造に適宜使用される重合度調整
剤、連鎖移動剤、pH調整剤、ゲル化改良剤、帯電防止
剤、架橋剤、安定剤、充てん剤、酸化防止剤、緩衝剤、
スケール防止剤等を添加することもできる。また少量の
界面活性剤を添加することもできる。 【0017】(重合)上述した単量体、水性媒体、その
他の諸材料の仕込み方法;重合温度等のその他の重合条
件は、公知の塩化ビニル系重合体の懸濁重合法に従って
行えばよい。代表的な実施態様によれば、例えば、次の
ように行われる。 【0018】まず、懸濁剤(A) 及び(B) 並びに水性媒体
を重合器に仕込む。次に、重合器内を排気して減圧状態
にした後、単量体を仕込む。次に、重合開始剤を仕込ん
で水性懸濁液を調製する。該水性懸濁液を攪拌しながら
昇温を開始し、通常、30〜80℃の反応温度で重合を
行う。重合中には、必要に応じて、前記の水性媒体、懸
濁剤、重合開始剤及びその他の添加剤の1種又は2種以
上を添加してもよい。重合反応終了後、未反応の単量体
を回収し、重合体スラリーを脱水、乾燥して目的の重合
体を得る。 【0019】 【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に示すが、本発明は下記の実施例に制限されるもので
はない。 【0020】〔実施例1〜3及び比較例1〜3〕内容積
2m3 のステンレス製重合器に、脱イオン水900kg、
並びに表1の懸濁剤(A) 、懸濁剤(B) 及びその他の懸濁
剤を、表1の使用量及び配合比となるように仕込んだ。
次に、真空ポンプで重合器内の内圧が−700mmHg (絶対
圧)になるまで排気した。その後、塩化ビニル単量体70
0kg を仕込み、さらに重合開始剤としてt−ブチルパー
オキシネオデカノエート420gを仕込んだ後、昇温を開始
した。重合器の内容物の温度を57.0℃に維持しなが
ら重合を行い、重合器の内圧が6.0kg/cm2 (ゲ
ージ圧)に降下した時点で重合反応を停止した。そし
て、未反応単量体を回収した後、重合体スラリーを重合
器から抜き出し、脱水、乾燥して重合体を得た。 【0021】 【表1】得られた重合体の嵩比重、粒度分布、可塑剤吸収量、フ
ィッシュアイ、熱安定性、透明性及び重合器内のスケー
ル付着状況を下記のようにして測定した。結果を表2に
示す。 【0022】嵩比重 JIS K-6721に準拠して測定した。 【0023】粒度分布 JIS Z-8801に準拠して測定した。 【0024】可塑剤吸収量 内径25mm、深さ85mmのアルミニウム合金製容器の底にグ
ラスファイバーを詰め、これに得られた重合体10g を投
入した。次いで、この容器にジオクチルフタレート(以
下、DOP という)15ccを加え、30分放置してDOP を重合
体に充分浸透させた。その後、1,500Gの加速度で過剰の
DOP を遠心分離した後、重合体が吸収したDOP の重量を
求め、重合体 100重量部当りのDOP 重量部で表した。 【0025】フィッシュアイ 重合体 100重量部、三塩基性硫酸鉛1重量部、ステアリ
ン酸鉛 1.5重量部、二酸化チタン 0.2重量部、カーボン
ブラック 0.1重量部及びDOP 50重量部を混合してコンパ
ウンド25g を得た。そして、該コンパウンド25g を 145
℃のロールで3分間混練し、厚さ0.2mm のシートに加工
し、該シート 100cm2 当りの透明粒子の個数を計数し
た。 【0026】熱安定性 重合体 100重量部、Ba−Zn系複合安定剤 2.0重量部、エ
ポキシ化大豆油 5.0重量部及びDOP 45重量部を混合して
コンパウンドを得た。そして、該コンパウンドを 150℃
のロールで5分間混練し、厚さ0.8mm のシートに加工し
た。次に、このシートを 190℃のギヤー氏オーブン内で
完全に黒化するまでの時間(分)を測定した。 【0027】透明性 前記熱安定性試験に用いたシートと同様のシートを裁断
して得られたシート片を7枚重ねし、これを 185℃で5
分間プレスして厚さ5mm のシートを得、このシートの透
明性を測定した。なお、シートの透明性は、デジタル温
度計NDH-20D (日本電色工業社製)を用いてヘイズ
(%)を測定して評価した。 【0028】スケール付着状況 塩化ビニル重合体をスラリー状で重合器外に抜き出した
後、重合器内のスケール付着状況を目視で観察した。 【0029】 【表2】【0030】 【発明の効果】本発明の製造方法によると、ポロシティ
ーが高く可塑剤吸収性が良好であり、また粒度分布がシ
ャープであり、しかも熱安定性が良好でかつ透明性が優
れた成形品を得ることができる塩化ビニル系重合体を製
造することができる。そして、重合に際し、重合器の内
壁等にスケールがほとんど付着しない。本発明の製造方
法ではこのよう特性に優れた重合体を得ることができ、
しかも得られた重合体にスケールが混入することもない
ので、成形品に発生するフィッシュアイが極めて少な
い。
体の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、ポロシティーが高く加工性に優れ
た塩化ビニル系重合体を得る目的で、懸濁剤として、ケ
ン化度が55モル%以下であり、平均重合度が 600以下の
いわゆる油溶性部分ケン化ポリビニルアルコールを用い
る懸濁重合法が提案されている(特開昭52-5886 号公
報、同52-15890号公報、同55-112210 号公報、同53-639
2号公報及び特公昭61-18562号公報等参照)。 【0003】しかし、これらの製造方法は、重合終了近
くになると、重合器内容物の見掛け粘度が上昇するた
め、該内容物の流動性が低下する。そして、該内容物の
重合反応熱の除去が不十分となるため、該内容物の温度
が上昇し、得られる重合体の可塑剤吸収性が悪くなる。
従って、このような重合体から得られる成形品には、多
くのフィッシュアイが発生する等の問題を生じる。 【0004】また、これらの製造方法は、得られる重合
体の粒度が細かくなり、粒度分布がブロードになるとい
う欠点、並びに熱安定性及び成形品の透明性が劣るとい
う欠点があり、また重合器内にスケールが付着し易くな
るという欠点もある。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、重合
器の内壁等にスケールがほとんど付着しない塩化ビニル
系重合体の製造方法であって、得られる塩化ビニル系重
合体のポロシティーが高く可塑剤吸収性が良好であり、
また粒度分布がシャープであり、しかも熱安定性が良好
でかつ成形品の透明性が優れ、成形品におけるフィッシ
ュアイの発生が極めて少ない塩化ビニル系重合体の製造
方法を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は、塩化ビニル単
量体又は塩化ビニル単量体を含む単量体混合物を水性媒
体中で懸濁剤の存在下に懸濁重合を行う塩化ビニル系重
合体の製造方法において、前記懸濁剤が、(A) 平均重合
度が 300〜2000であり、ケン化度が70〜85モル%であ
り、分子鎖の少なくとも1つの末端にメルカプト基を有
する部分ケン化ポリビニルアルコール、及び(B) 平均重
合度が 600〜3000であり、ケン化度が60〜90モル%であ
り、メルカプト基を有しない部分ケン化ポリビニルアル
コールを含むことを特徴とする塩化ビニル系重合体の製
造方法である。以下、本発明を詳細に説明する。 【0007】懸濁剤 〔成分(A) 〕本発明に用いる成分(A) の懸濁剤〔以下、
懸濁剤(A) という〕は、分子鎖の少なくとも1つの末端
にメルカプト基を有する部分ケン化ポリビニルアルコー
ルである。そして、平均重合度が 300〜2000、好ましく
は 500〜1,500 であり、ケン化度が70〜85モル%、好ま
しくは75〜85モル%の部分ケン化ポリビニルアルコール
である。なお、この平均重合度やケン化度が小さ過ぎる
と、得られる塩化ビニル系重合体の粒度が細かくなり、
粒度分布がブロードになる。また、重合器にスケールが
付着し易くなる。逆に、平均重合度やケン化度が大き過
ぎると、得られる重合体のポロシティーが低下し、重合
体の加工製品にフィッシュアイが発生し易くなる。 【0008】懸濁剤(A) の具体例としては、例えば、下
記一般式: 【化1】 〔式中、x及びyは平均重合度が 300〜2000となるよう
な整数であり、Zは少なくとも一つがメルカプト基であ
り、Zの1つが水素原子であってもよい〕で表されるも
のが挙げられる。 【0009】〔成分(B) 〕本発明に用いる成分(B) の懸
濁剤〔以下、懸濁剤(B) という〕は、メルカプト基を有
しない部分ケン化ポリビニルアルコールである。そし
て、平均重合度が 600〜3000であり、ケン化度が60〜90
モル%である部分ケン化ポリビニルアルコールである。
なお、この平均重合度やケン化度が小さ過ぎると、懸濁
安定性が損なわれ、得られる重合体が粗粒化したり、粒
度分布がブロードになる。また、重合器にスケールが付
着し易くなる。逆に、平均重合度やケン化度が大き過ぎ
ると、得られる重合体の可塑剤吸収性が不十分になり、
重合体から得られる成形品にフィッシュアイが発生し易
くなる。 【0010】前記懸濁剤(A) 及び懸濁剤(B) の使用量
は、合計量で、塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体
を含む単量体混合物 100重量部当り、0.02〜0.5 重量部
が好ましく、さらに好ましくは0.03〜0.1 重量部であ
る。この使用量が少な過ぎると、得られる塩化ビニル重
合体の粒度が粗くなり粗粒化する場合があり、多過ぎる
と、得られる塩化ビニル重合体の粒度が細かくなりすぎ
たり、可塑剤吸収性が低下したり、該重合体から得られ
る成形品にフィッシュアイが増加したりする場合があ
る。前記懸濁剤(A) と懸濁剤(B) の配合比は、懸濁剤
(A) /懸濁剤(B) 〔重量比〕で、95/5〜5/95が好ま
しく、さらに好ましくは9/ 1〜1/ 1である。 【0011】その他の重合条件 本発明の塩化ビニル系重合体の製造方法は、前記の懸濁
剤を使用すること以外は、通常行われている塩化ビニル
系重合体の製造方法と同様の条件で行うことができる。
即ち、塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体を含む単
量体混合物、重合開始剤及び水性媒体等の重合容器への
仕込みは、従来と同様にして行えばよく、重合条件も同
様でよい。 【0012】(単量体)本発明の塩化ビニル系重合体の
製造方法に用いる単量体は、上記の通り、塩化ビニル単
量体のほか、塩化ビニル単量体を主体とするこれと共重
合可能なビニル系単量体(コモノマー)との混合物(塩
化ビニルが50重量%以上)であってもよい。上記コモノ
マーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル等のアクリル酸エステル又はメタアクリル酸エス
テル;エチレン、プロピレン等のオレフィン;ラウリル
ビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニル
エーテル;無水マレイン酸;アクリロニトリル;スチレ
ン;塩化ビニリデン;その他塩化ビニルと共重合可能な
単量体などが挙げられ、これらは1種単独で又は2種以
上の組合せで用いられる。 【0013】(重合開始剤)重合開始剤は、従来、塩化
ビニル系重合体の製造に使用されている油溶性重開始剤
又は水溶性重合開始剤でよい。前記油溶性重合開始剤と
しては、例えば、t−ブチルパーオキシネオデカノエー
ト、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパ
ーオキシピバレート、α−クミルパーオキシネオデカノ
エート、t−ヘキシルネオヘキサノエート、2,4,4
−トリメチルペンチル−2−パーオキシ−2−ネオデカ
ノエート等のパーエステル化合物;ジイソプロピルパー
オキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオ
キシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキ
シジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシ
ジカーボネート等のパーカーボネート化合物;デカノイ
ルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイル
パーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、シクロヘ
キサノンパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパ
ーオキシド、p−メンタンハイドロパーオキシド、3,
5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、イソブ
チリルパーオキシド、2,4,4−トリメチルペンチル
−2−パーオキシフェノキシアセテート、アセチルシク
ロヘキシルスルホニルパーオキシド等のパーオキシド化
合物;α,α′−アゾビスイソブチロニトリル、α,
α′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、
α,α′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチル
バレロニトリル)等のアゾ化合物などが挙げられる。 【0014】前記水溶性重合開始剤としては、例えば、
過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;過
酸化水素、キュメンハイドロパーオキシド等が挙げられ
る。これらの重合開始剤は1種単独で又は2種以上の組
合せで用いられる。この重合開始剤の添加量は、前記単
量体100 重量部当り、0.01〜0.5 重量部が好ましく、さ
らに好ましくは0.03〜0.2 重量部である。 【0015】(水性媒体)前記水性媒体としては、例え
ば脱イオン水を挙げることができ、水性媒体の使用量
は、前記単量体100 重量部当り、好ましくは90〜200 重
量部、さらに好ましくは90〜130 重量部である。 【0016】(その他の添加剤)本発明の塩化ビニル系
重合体の製造方法においては、さらに必要に応じて、塩
化ビニル系重合体の製造に適宜使用される重合度調整
剤、連鎖移動剤、pH調整剤、ゲル化改良剤、帯電防止
剤、架橋剤、安定剤、充てん剤、酸化防止剤、緩衝剤、
スケール防止剤等を添加することもできる。また少量の
界面活性剤を添加することもできる。 【0017】(重合)上述した単量体、水性媒体、その
他の諸材料の仕込み方法;重合温度等のその他の重合条
件は、公知の塩化ビニル系重合体の懸濁重合法に従って
行えばよい。代表的な実施態様によれば、例えば、次の
ように行われる。 【0018】まず、懸濁剤(A) 及び(B) 並びに水性媒体
を重合器に仕込む。次に、重合器内を排気して減圧状態
にした後、単量体を仕込む。次に、重合開始剤を仕込ん
で水性懸濁液を調製する。該水性懸濁液を攪拌しながら
昇温を開始し、通常、30〜80℃の反応温度で重合を
行う。重合中には、必要に応じて、前記の水性媒体、懸
濁剤、重合開始剤及びその他の添加剤の1種又は2種以
上を添加してもよい。重合反応終了後、未反応の単量体
を回収し、重合体スラリーを脱水、乾燥して目的の重合
体を得る。 【0019】 【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に示すが、本発明は下記の実施例に制限されるもので
はない。 【0020】〔実施例1〜3及び比較例1〜3〕内容積
2m3 のステンレス製重合器に、脱イオン水900kg、
並びに表1の懸濁剤(A) 、懸濁剤(B) 及びその他の懸濁
剤を、表1の使用量及び配合比となるように仕込んだ。
次に、真空ポンプで重合器内の内圧が−700mmHg (絶対
圧)になるまで排気した。その後、塩化ビニル単量体70
0kg を仕込み、さらに重合開始剤としてt−ブチルパー
オキシネオデカノエート420gを仕込んだ後、昇温を開始
した。重合器の内容物の温度を57.0℃に維持しなが
ら重合を行い、重合器の内圧が6.0kg/cm2 (ゲ
ージ圧)に降下した時点で重合反応を停止した。そし
て、未反応単量体を回収した後、重合体スラリーを重合
器から抜き出し、脱水、乾燥して重合体を得た。 【0021】 【表1】得られた重合体の嵩比重、粒度分布、可塑剤吸収量、フ
ィッシュアイ、熱安定性、透明性及び重合器内のスケー
ル付着状況を下記のようにして測定した。結果を表2に
示す。 【0022】嵩比重 JIS K-6721に準拠して測定した。 【0023】粒度分布 JIS Z-8801に準拠して測定した。 【0024】可塑剤吸収量 内径25mm、深さ85mmのアルミニウム合金製容器の底にグ
ラスファイバーを詰め、これに得られた重合体10g を投
入した。次いで、この容器にジオクチルフタレート(以
下、DOP という)15ccを加え、30分放置してDOP を重合
体に充分浸透させた。その後、1,500Gの加速度で過剰の
DOP を遠心分離した後、重合体が吸収したDOP の重量を
求め、重合体 100重量部当りのDOP 重量部で表した。 【0025】フィッシュアイ 重合体 100重量部、三塩基性硫酸鉛1重量部、ステアリ
ン酸鉛 1.5重量部、二酸化チタン 0.2重量部、カーボン
ブラック 0.1重量部及びDOP 50重量部を混合してコンパ
ウンド25g を得た。そして、該コンパウンド25g を 145
℃のロールで3分間混練し、厚さ0.2mm のシートに加工
し、該シート 100cm2 当りの透明粒子の個数を計数し
た。 【0026】熱安定性 重合体 100重量部、Ba−Zn系複合安定剤 2.0重量部、エ
ポキシ化大豆油 5.0重量部及びDOP 45重量部を混合して
コンパウンドを得た。そして、該コンパウンドを 150℃
のロールで5分間混練し、厚さ0.8mm のシートに加工し
た。次に、このシートを 190℃のギヤー氏オーブン内で
完全に黒化するまでの時間(分)を測定した。 【0027】透明性 前記熱安定性試験に用いたシートと同様のシートを裁断
して得られたシート片を7枚重ねし、これを 185℃で5
分間プレスして厚さ5mm のシートを得、このシートの透
明性を測定した。なお、シートの透明性は、デジタル温
度計NDH-20D (日本電色工業社製)を用いてヘイズ
(%)を測定して評価した。 【0028】スケール付着状況 塩化ビニル重合体をスラリー状で重合器外に抜き出した
後、重合器内のスケール付着状況を目視で観察した。 【0029】 【表2】【0030】 【発明の効果】本発明の製造方法によると、ポロシティ
ーが高く可塑剤吸収性が良好であり、また粒度分布がシ
ャープであり、しかも熱安定性が良好でかつ透明性が優
れた成形品を得ることができる塩化ビニル系重合体を製
造することができる。そして、重合に際し、重合器の内
壁等にスケールがほとんど付着しない。本発明の製造方
法ではこのよう特性に優れた重合体を得ることができ、
しかも得られた重合体にスケールが混入することもない
ので、成形品に発生するフィッシュアイが極めて少な
い。
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平8−127604(JP,A)
特開 平8−109206(JP,A)
特開 平7−76603(JP,A)
特開 昭63−191806(JP,A)
特開 昭60−197229(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C08F 2/00 - 2/60,14/06
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体
を含む単量体混合物を水性媒体中で懸濁剤の存在下に懸
濁重合を行う塩化ビニル系重合体の製造方法において、 前記懸濁剤が、 (A) 平均重合度が 300〜2000であり、ケン化度が70〜85
モル%であり、分子鎖の少なくとも1つの末端にメルカ
プト基を有する部分ケン化ポリビニルアルコール、及び
(B) 平均重合度が 600〜3000であり、ケン化度が60〜90
モル%であり、メルカプト基を有しない部分ケン化ポリ
ビニルアルコールを含むことを特徴とする塩化ビニル系
重合体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20909295A JP3437017B2 (ja) | 1995-07-25 | 1995-07-25 | 塩化ビニル系重合体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP20909295A JP3437017B2 (ja) | 1995-07-25 | 1995-07-25 | 塩化ビニル系重合体の製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH0940706A JPH0940706A (ja) | 1997-02-10 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20909295A Expired - Fee Related JP3437017B2 (ja) | 1995-07-25 | 1995-07-25 | 塩化ビニル系重合体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3437017B2 (ja) |
-
1995
- 1995-07-25 JP JP20909295A patent/JP3437017B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH0940706A (ja) | 1997-02-10 |
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