JP2007238671A - 塩化ビニル系樹脂の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 単量体を重合反応缶下部から供給することを特徴とする塩化ビニル系ペースト樹脂の製造方法において、単量体の供給方法を提供する。
【解決手段】 塩化ビニル系単量体を重合反応缶の下部からノズルを通じて重合反応器に供給し、かつ開始剤を重合反応液に連続あるいは断続追加することを特徴とする塩化ビニル系樹脂の製造方法であってにおいて、ノズル内での単量体の線速度が2〜30メートル/秒であり、全単量体に対する転化率をA重量%、全単量体に対する供給済み単量体の割合をB重量%とした時に、Aが20〜70重量%の範囲において、A/Bの比が0.6〜0.9の範囲になるように開始剤の追加速度を調整する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、乳化重合における塩化ビニル系樹脂、特にペースト用塩化ビニル樹脂の製造方法に関する。更に詳しくは、生産性をより向上した、塩化ビニル系ペースト樹脂の乳化重合方法に関する。
塩化ビニル系ペースト樹脂を得る手法として、乳化重合法あるいは播種乳化重合法がある。この場合の乳化重合とは、陰イオン性界面活性剤および/または非イオン性界面活性剤を乳化剤として使用し、水溶性過酸化物、水溶性過酸化物と水溶性還元剤との組み合わせ、または油溶性過酸化物と水溶性過酸化物との組み合わせを重合開始剤として使用し、必要に応じて他の重合助剤の存在下、水性媒体中で塩化ビニル系単量体を重合して、平均粒子径が0.05〜0.5マイクロメートルの粒子の水性媒体分散体(以下、ラテックスと称する)を得る方法である。また播種乳化重合法とは、予め種粒子として調整された塩化ビニル系樹脂の存在下に乳化重合を行うことにより、種粒子を肥大化させて平均粒子径が0.4〜2マイクロメートルの比較的大きな粒子を生成する方法である。なお本特許中では、これら双方の重合を、単に「乳化重合」と呼称する。続いて、このラテックスを単独もしくは必要に応じて他のラテックスの1種類以上と所定の比率で混合した後に噴霧乾燥することにより、製品とされる。
この乳化重合においては、重合の場となる水性媒体中に、なるべく均一に単量体、開始剤、および乳化剤を供給することが重要である。しかしながら、単量体は水性媒体に不溶であり液面に浮遊するため、水性媒体全体に均一に単量体を供給する為には攪拌翼の回転数を増す必要があるが、その場合は重合系全体の安定性が低下する傾向にある。特に近年、生産性を高める為に重合反応缶が大型化したり、除熱効率を向上するために攪拌翼内部に冷凍機水を通してその除熱面積を確保する為に攪拌翼を板状にしたり、単位堆積あたりのジャケット面積を広げるために重合反応缶の有効高さ(H)/有効内径(D)の比が大きい長尺型の重合機を用いる傾向にあり、このような重合反応缶では特に攪拌による単量体の系内への均一供給が困難になる傾向にある。また、乳化剤や開始剤を予め反応機内に仕込んでおくと、均一に供給することは可能でも、得られる粒子径が目的のものよりも小さくなる傾向にあったり、反応が急激に進行する傾向にあったりし、好ましくない。
これらの問題を一気に解決する方法として、例えば、単量体を重合反応缶から供給し、かつ乳化剤ならびに開始剤を重合反応缶の上下に複数設けた追加口から供給する方法が開示されている(特許文献1)。この特許文献1における単量体の供給方法とはノズルを用いて単量体を噴霧したり、多孔板などの液滴作製装置を用いたりして、単量体を0.1〜5ミリメートルの液滴として供給する方法である。しかしながら、この方法では生産性が十分高いとは言えず、加えてノズルを用いて単量体を噴霧する場合は実際に液滴径を知ることは困難であり、所望の重合状態を達成する為にノズルの試作や追加速度の試行錯誤など繰り返す必要があり、経済面で課題があった。また、多孔板などの液滴作製装置を用いる場合、それらに加えて装置の煩雑化や細孔のメンテナンスが必要であるなどの欠点を抱えていた。
特開平3−220210号
本発明は、前述の課題を解決するためになされたものであり、単量体を重合反応缶下部から供給することを特徴とする塩化ビニル系ペースト樹脂の乳化重合であって、単量体の供給方法を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、前述のような事情に鑑み鋭意検討した結果、塩化ビニル系単量体を、重合反応缶の下部からノズルを通じて供給することを特徴とする塩化ビニル系樹脂の乳化重合であって、ノズル内での単量体の特定の線速度範囲で追加する事により、重合反応缶や攪拌翼の形態によらず高い生産性を確保しながら製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
塩化ビニル系単量体を重合反応缶の下部からノズルを通じて供給し、かつ開始剤を重合反応液に連続あるいは断続追加することを特徴とする塩化ビニル系樹脂の乳化重合であって、ノズル内での単量体の線速度が2〜30メートル/秒であり、全単量体に対する重合転化率をA重量%、全単量体に対する供給済み単量体の割合をB重量%とした時に、Aが20〜70重量%の範囲において、A/Bの比が0.6〜0.9の範囲になるように開始剤の追加速度を調整することを特徴とする、塩化ビニル系ペースト樹脂の製造方法(請求項1)、
ノズル内での単量体の線速度が、3〜25メートル/秒とする事を特徴とする、請求項1記載の塩化ビニル系ペースト樹脂の製造方法(請求項2)、
ノズル内での単量体の線速度が、5〜20メートル/秒とする事を特徴とする、請求項1または請求項2記載の塩化ビニル系ペースト樹脂の製造方法(請求項3)、に関する。
本発明により、高い生産性で塩化ビニル系ペースト樹脂を生産することができる。
本発明は、塩化ビニルまたは塩化ビニル及びこれと共重合し得るエチレン系不飽和単量体の水系での重合に適用することができるが、本発明は特に、大量の塩化ビニルまたは塩化ビニル及びこれと共重合し得るエチレン系不飽和単量体を、重合反応缶の下部からノズルを通じて供給し、かつ開始剤を重合反応液に連続あるいは断続追加することを特徴とする乳化重合、播種乳化重合に適用することで、最も効果を発揮することができる。
本発明で用いられる共重合し得る単量体は特に限定されるものではないが、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のビニルエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、塩化ビニリデン等のビニリデン類、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸及びその酸無水物、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ブチルベンジル等の不飽和カルボン酸エステル類、スチレン、αーメチルスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類、更にはジアリルフタレート等の架橋性モノマー等の、塩化ビニルと共重合可能な単量体を使用できる。これらの単量体の使用量は、塩化ビニルとの混合物中50体積%未満であることが好ましい。本発明では、これらを「塩化ビニル系単量体」と総称する。
本発明における乳化重合は、まず重合反応缶に仕込み水の総量の半分以上、好ましくは75%以上、更に好ましくは90%以上を仕込み、必要に応じて陰イオン性界面活性剤および/または非イオン性界面活性剤および/またはその他の重合助剤を仕込み、次いで脱酸素を行なった後、塩化ビニル単量体を重合機下部に設けた追加口から少なくとも重合反応缶内圧が、その時の缶内温での塩化ビニル単量体の飽和蒸気圧に達する量を予め導入し、次いで所定の温度まで昇温した後に塩化ビニル系単量体を缶下部から、ノズルを通じてポンプで圧入することで供給しつつ、所望の時間−転化率曲線が得られるように開始剤を連続または断続で追加することで行なうことができる。
本発明における単量体の追加速度は、全単量体に対する1時間当たりの追加量を意味し、重合生産性を確保しかつ重合発熱を効率的に除熱する観点から、10重量%〜40重量%の範囲にすることが好ましく、さらに好ましくは15重量%〜30重量%である。
本発明の「塩化ビニル系単量体を重合反応缶の下部からノズルを通じて供給する」とは、重合機の底面あるいは直胴部の下部に位置する、孔を少なくとも一つ有する管から塩化ビニル系単量体を重合反応液中に注入あるいは噴霧することを意味する。この時供給される単量体は滴となり、浮力により重合機下部から重合反応液上部に上昇しつつ単量体を重合粒子に供給し、自身は細化し最終的には消失する。この時、ノズルから供給された単量体滴が重合反応液全体になるべく均一に単量体を供給し、細化しながら浮上し、最終的に重合液面付近で消失することが好ましい。これを達成するためには適した範囲の液滴径が存在するが、本発明においては、それは該ノズル内での線速度(Un)により制御できる。
本発明の「ノズル内での単量体の線速度」とは、単量体がノズルを出て重合反応液に供給された直後の単位時間当たりの平均移動距離であり、単量体の供給速度をV、ノズルの開口部の有効孔断面積をSとすれば、Un=V÷Sより求めることができる。この時、Vは缶の単量体供給ラインの途中に流量計を取り付けたり、単量体の供給もとの貯槽の重量を計重機で測定したり内容体積をレベルゲージで測定しておきその変化割合から算出したりして、知ることができる。この時、缶外部での単量体の温度と缶内温が異なる場合はノズル通過時に温度が変化し、それに伴い密度ひいては体積が変動する傾向にあるが、ノズル中の滞留期間が短いため無視しても構わないし、より精度を上げるために重合反応液中に出ているノズルの長さは短い方が好ましく、必要に応じて貯層の単量体温度を予め重合内温と同じにしておくことも可能である。Sは、ノズルの直径から容易に算出できる。ノズルの直径は、重合缶の大きさによって好ましい大きさは異なるが、最大20ミリメートルの範囲から適宜きめることができる。
本発明の方法では、重合反応液の系全体で均一に重合を進行させるため、あるいは単量体を供給する際の配管内の圧力の大幅な上昇を防止するためにノズル内での単量体の線速度は2〜30メートル/秒とすることができ、好ましくは3〜25メートル/秒であり、更に好ましくは5〜20メートル/秒である。
本発明の方法では、重合反応缶に供給する単量体の量に応じてノズルの径を調整することが望ましい。すなわち、重合反応缶に供給する単量体の量が比較的多い場合はノズルの径を大きくすることで、逆に供給する単量体の量が比較的少ない場合はノズル径を小さくすることで、ノズル内の線速度が上記範囲内になるように調整することが望ましい。また、必要に応じて2個以上の複数のノズルを用いても構わない。
本発明の方法では、単量体が重合反応液中に噴霧される、あるいは線状に注入されるような、ノズル内での線速度が比較的速い場合は、該単量体が攪拌翼に衝突しないようにノズルを設置することが好ましい。この態様としては、例えば、ノズルを攪拌翼の最下部より下の位置に設置し単量体を水平に供給する態様、ノズルを攪拌翼の最下部より上に設置する場合は翼の先端が描く弧の接線方向に単量体を供給する態様、ノズルを攪拌翼の最下部より上に設置しかつ翼の軸に向かって供給する場合は翼の先端部から距離を設ける態様、などを挙げることができる。
本発明の「開始剤を連続あるいは断続追加する」とは、耐圧ポンプを用いて重合機中に開始剤あるいは還元剤の水溶液を重合機中に圧入する、あるいは重合機に付帯する容器に所定量の開始剤あるいは還元剤の水溶液を一旦封入し、それを重合機中に圧入することを断続的に繰り返すことを意味する。
本発明の方法においては、全単量体に対する転化率をA重量%、全単量体に対する供給済み単量体の割合をB重量%とした時に、Aが20〜70重量%の範囲において、A/Bの比が0.6〜0.9の範囲、好ましくは0.7〜0.8の範囲になるように、開始剤の追加を調整する。A/Bの比が0.6〜0.9の範囲にあれば、得られる重量平均分子量が好ましい範囲に維持できる上に、スケールと称する大きな塊状の夾雑物の発生を抑制できる傾向にあり、かつ重合時間が短くなるため、好ましい。
本発明で用いる開始剤は、塩化ビニルの乳化重合に使用されている開始剤全てが使用可能であるが、一般的には水溶性開始剤が好ましい。例えば水溶性開始剤は、過硫化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過ホウ酸ナトリウムなどの、フリーラジカルを形成する水溶性開始剤を例示できる。更に、これらと例えば亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、硫酸第一鉄等の適当な還元剤との併用系を使用することができる。この場合、予め水相中に水溶性開始剤を仕込んでおき還元剤を反応系内に追加することにより重合速度を調整する、あるいは予め水相中に還元剤を仕込んでおき開始剤を反応系に追加することにより重合速度を調整できる。また必要に応じて油溶性開始剤を用いても良く、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどの有機過酸化物開始剤を例示できる。開始剤の使用量は、塩化ビニル系単量体100重量部に対して一般的には0.001〜2重量部である。
本発明の「開始剤の追加を調整する」とは、重合転化率の進行状況により連続あるいは断続追加する開始剤または還元剤水溶液(以下、単に開始剤水溶液と述べる)の追加速度を調節することを意味する。すなわち連続追加を行う場合は、耐圧ポンプのストロークを変更したり必要に応じて停止することで追加速度を調整することができる。また、より広いレンジで追加速度を調整するために、重合機に複数の追加ポンプを付帯させて稼動させるポンプ台数を変更したり、開始剤水溶液の濃度を適宜調整することもできる。また断続追加を行う場合は、追加した後の次の追加までの時間を調整したり、1回当たりの追加量および/または量を変更することで調整することができる。
本発明の方法においては、転化率の測定は重合中のラテックスサンプルを缶から採取し、それを用いて公知の重量法やガスクロマトグラフィー法で知ることができるが、操作の煩雑さを考慮すればジャケットの入口/出口温度差、ジャケット流量より除熱量を算出することで重合転化率A重量%を算出するのが好ましい。また、全単量体に対するその時点までに供給済みの単量体の割合B重量%を同時に算出しておき、A/Bの比をリアルタイムで算出する方法が好ましい。その時点までの時間−転化率曲線ならびに時間−単量体追加量曲線より、A/Bの比が上記の範囲の下限より下に外れることが予測される場合は、開始剤水溶液の追加速度を増すあるいは/および単量体の追加速度を本発明の線速度の範囲内で低下させるあるいは停止させることにより修正することができる。逆にA/Bの比が上記の範囲の上限より上に外れることが予測される場合は、単量体の追加速度を本発明の線速度の範囲内で増加させるあるいは/および開始剤水溶液の追加速度を減じるあるいは停止させることにより修正することができる。
本発明で用いる陰イオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩類、アルカンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸カリウムなどのアルカンスルホン酸金属塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸エステル塩類、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウムなどのスルホコハク酸エステル塩類、ラウリン酸アンモニウム、ミリスチン酸アンモニウム、ステアリン酸カリウム等の脂肪酸塩類などの公知の陰イオン界面活性剤から少なくとも1種類を選択し、必要に応じて2種類以上用いても構わない。その使用量は、ラテックスの安定化を確保し、かつラテックスや排水の泡立ちによるトラブルや最終製品の品質を維持する観点から、通常は塩化ビニル系単量体100重量部に対して、0.05〜5重量部、好ましくは0.2〜3.0重量部、更に好ましくは0.5〜2.0重量部の範囲で適宜選択される。
本発明で用いる非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなどのソルビタンエステル類などの公知の非イオン界面活性剤が挙げられ、これらは必要に応じて1種、あるいは2種以上組み合わせて用いることができ、使用量は、通常の使用塩化ビニル系単量体100重量部に対して、最大5重量部の範囲で適宜選択することができる。
本発明で用いる重合助剤は、ステアリン酸、ラウリン酸などの高級脂肪酸、ステアリルアルコール、セチルアルコールなどの高級アルコール、ポリビニールアルコールやメチルセルロースなどの水溶性高分子、炭酸水素ナトリウムや塩化水素などのpH調整剤などが挙げられる。これらは必要に応じて1種、あるいは2種以上組合わせて用いることができる。
重合温度は通常の方法に従って行なわれ、例えば重合温度は40〜70℃であり、また重合用の水の量は、塩化ビニル系単量体100重量部に対して60〜300重量部である。
重合反応缶については、その形状に特に制限は無いが、重合反応缶の除熱効率を向上するために缶の有効高さ(H)/有効内径(D)の比を大きくすることができ、一般的には5〜15が採用される。また必要に応じて攪拌翼を板状にして内部に冷凍機水を通したり、リフラックスコンデンサーを設置する事により除熱能力を向上することができる。攪拌翼も板型翼、網型翼、櫛型翼、三方後退翼、いかり型翼などを用いることができ、この中でも特に、板型翼を用いた場合に本発明の効果を最も発揮することができる。本発明の目的を達する事ができれば特に制約はないが、翼径(d)/Dは0.3〜0.9が一般的である。
また、必要に応じて陰イオン性界面活性剤および/または非イオン性界面活性剤および/またはその他の重合助剤を連続または断続で追加することで行なうことができる。
本発明の樹脂を得るための乾燥方法は制限は無く、スプレー乾燥など種々の方法により粉体とすることができる。
以下に実施例ならびに比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによりなんら限定されるものではない。なお、特に記述が無い限り、%およびppmは重量基準である。
(実施例1)
板型攪拌機を付帯した、内径700ミリメートル、直胴部の長さ1200ミリメートルの槽式重合反応缶に、水200リットル、ラウリル硫酸ソーダ70グラム、30%過酸化水素水90グラム、1%塩酸水溶液15グラムを仕込み、内圧が50mmHgになるまで真空ポンプを用いて減圧にした後に、塩化ビニル単量体15キログラムを最初に仕込み(以下、初期単量体と称する)、攪拌翼を45回転/分に設定して系を攪拌しながら昇温した。
缶内温が60℃に到達した時点から内温をカスケード制御で60℃に保ちながら、重合反応缶の直胴部の下端に位置する追加口からロンガリットの0.1%水溶液を耐圧ポンプを用いて、反応の最初から1.2時間までは20ppm/総単量体量/時間の速度で、それ以降は8ppm/総単量体量/時間の速度で連続追加し重合を進行させた。
それと平行して、10℃の塩化ビニル単量体175キログラムを、重合反応缶最下部に水平方向に設置した、内径1ミリメートルの孔を一つ有するノズルから、追加ポンプを用いて重合開始から5.5時間目にかけて圧入することで、重合反応缶内に噴霧しながら供給した。この時のノズル内での単量体の線速度は12.2メートル/秒となる。
ついで反応開始30分目から5.5時間目にかけて、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液45キログラムを、ロンガリットと同じ追加口を通して等速で追加した。
反応開始から5.5時間目、所定量の単量体を追加終了すると同時に内圧の降下が見られたのでその時点で重合終了と判断し、重合系内の残留単量体を回収してポリ塩化ビニルの水分散体を得た。
時間−転化率曲線ならびに時間−単量体追加曲線から、転化率(A)が20%および70%の時点の、全単量体に対する供給済み単量体の割合(B)はそれぞれ23%および85%であり、Aが20〜70%の間のA/Bの比は常に0.82〜0.87の間にあった。
最終転化率は96.9%であった。また得られたラテックスを、JIS Z8801:2000に記載の、目開き1.7ミリメートルの試験用ふるいで全量濾し、採取したスケール量の乾燥重量を測定すると40グラムであった。結果は、表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、ノズル径を1.5ミリメートルとした以外は、実施例1と同じとした。この時のノズル内の単量体線速度は、5.4メートル/秒であった。
内圧降下により重合終了と判断できた時間は、開始後5.7時間目であった。
時間−転化率曲線ならびに時間−単量体追加曲線から、転化率(A)が20%および70%の時点の、全単量体に対する供給済み単量体の割合(B)はそれぞれ25%および95%であり、Aが20〜70%の間のA/Bの比は常に0.72〜0.80の間にあった。
最終転化率は92.3%で、得られた樹脂の水分散体内のスケール量は45グラムであった。結果は、表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、ノズル径を2.2ミリメートルとした以外は、実施例1と同じとした。この時のノズル内の単量体線速度は、2.5メートル/秒であった。
内圧降下により重合終了と判断できた時間は、開始後5.8時間目であった。
時間−転化率曲線ならびに時間−単量体追加曲線から、転化率(A)が20%および70%の時点の、全単量体に対する供給済み単量体の割合(B)はそれぞれ32%および90%であり、Aが20〜70%の間のA/Bの比は常に0.62〜0.78の間にあった。
最終転化率は93.1%で、得られた樹脂の水分散体内のスケール量は48グラムであった。結果は、表1に示す。
(実施例4)
板型攪拌機を付帯した、内径520ミリメートル、直胴部の長さ5200ミリメートルの塔式重合反応缶に水400リットル、ラウリル硫酸ソーダ140グラム、30%過酸化水素水180グラム、1%塩酸水溶液30グラム仕込み、内圧が50mmHgになるまで真空ポンプを用いて減圧にした後に、初期単量体を30キログラム仕込み、攪拌翼を80回転/分に設定して系を攪拌しながら昇温した。
缶内温が60℃に到達した時点から実施例1と同様の速度でロンガリットの0.1%水溶液を耐圧ポンプを用いて連続追加し、重合を進行させた。
それと平行して、10℃の塩化ビニル単量体350キログラムを、重合反応缶最下部に水平方向に設置した内径1.0ミリメートルのノズルから追加ポンプを用いて、重合開始から5.5時間目にかけて圧入することで、重合反応缶内に噴霧しながら供給した。この時のノズル内での単量体の線速度は24.5メートル/秒となる。
ついで反応開始30分目から5.5時間目にかけて、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液90キログラムを、ロンガリットと同じ追加口を通して等速で追加した。
内圧降下により重合終了と判断できた時間は、開始後5.9時間目であった。
時間−転化率曲線ならびに時間−単量体追加曲線から、転化率(A)が20%および70%の時点の、全単量体に対する供給済み単量体の割合(B)はそれぞれ26%および90%であり、それぞれのA/Bの比は0.77ならびに0.78であり、その間のA/B比は常に0.76〜0.80の間にあった。
最終転化率は94.3%で、得られた樹脂の水分散体内のスケール量は45グラムであった。結果は、表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、ノズル径を6.0ミリメートルとした以外は、実施例1と同じとした。この時のノズル内の単量体線速度は、0.34メートル/秒であった。
内圧降下により重合終了と判断できた時間は、開始後9.5時間目であった。
時間−転化率曲線ならびに時間−単量体追加曲線から、転化率(A)が20%の時点で全単量体に対する供給済み単量体の割合(B)が65%でこの時点でのA/Bの比は0.31であった。またAが60%に到達するより前の、Aが42%の時点でBが100%に達したが、この時点のA/Bの比は0.42であり、A=20%から単量体追加終了までのA/Bの比は0.31〜0.42の間にあった。
最終転化率は92.3%で、得られた樹脂の水分散体内のスケール量は337グラムであった。結果は、表2に示す。
(比較例2)
実施例1において、塩化ビニル単量体を3.5時間の間に全量追加した以外は、実施例1と同じとした。この時のノズル内の単量体線速度は、19.3メートル/秒であった。
内圧降下により重合終了と判断できた時間は、開始後8.9時間目であった。
時間−転化率曲線ならびに時間−単量体追加曲線から、転化率(A)が20%の時点で全単量体に対する供給済み単量体の割合(B)が51%でこの時点でのA/Bの比は0.39であった。またAが60%に到達するより前の、Aが51%の時点でBが100%に達したが、この時点のA/Bの比は0.51であり、A=20%から単量体追加終了までのA/Bの比は0.39〜0.51の間にあった。
最終転化率は91.6%で、得られた樹脂の水分散体内のスケール量は298グラムであった。結果は、表2に示す。
(比較例3)
実施例1において、ノズル径を0.5ミリメートルとした以外は、実施例1と同じとした。この時のノズル内の単量体線速度は、48.7メートル/秒であったが、単量体の追加を開始すると追加ラインの内圧が著しく上昇し、追加ラインに付帯した安全弁が作動した為に実験を中止した。
(比較例4)
実施例1において、単量体を追加する代わりに、全量を重合反応缶を減圧にした後に仕込んだ以外は、実施例1と同じとした。
内圧降下により重合終了と判断できた時間は反応開始後11.5時間目で、最終転化率は89.7%であった。また、得られた樹脂の水分散体内のスケール量は1130グラムであった。結果は、表2に示す。
本願発明の実施態様を例示的に示したものである。
符号の説明
1 重合反応缶
2 板型攪拌翼
3 乳化剤およびロンガリット水溶液追加口
4 塩化ビニル単量体追加ノズル

Claims (3)

  1. 塩化ビニル系単量体を重合反応缶の下部からノズルを通じて重合反応器に供給し、かつ開始剤を重合反応液に連続あるいは断続追加することを特徴とする塩化ビニル系樹脂の製造方法であって、ノズル内での単量体の線速度が2〜30メートル/秒であり、全単量体に対する重合転化率をA重量%、全単量体に対する供給済み単量体の割合をB重量%とした時に、Aが20〜70重量%の範囲において、A/Bの比が0.6〜0.9の範囲になるように開始剤の追加速度を調整することを特徴とする、塩化ビニル系ペースト樹脂の製造方法。
  2. ノズル内での単量体の線速度が、3〜25メートル/秒とする事を特徴とする、請求項1記載の塩化ビニル系ペースト樹脂の製造方法。
  3. ノズル内での単量体の線速度が、5〜20メートル/秒とする事を特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の塩化ビニル系ペースト樹脂の製造方法。
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