JP4873592B2 - オキシムの製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オキシムを製造するための接触的方法に関する。この場合、カルボニル化合物、有利に7〜20個の炭素原子を有するシクロアルカノンは、液相中で、2つ以上の成分からなり、その中で成分の少なくとも1つが多孔質の少なくとも1つのチタン含有固体からなり、少なくとも1つの第2の成分が酸性の固体からなる不均質な触媒系に接してアンモニアおよび過酸化水素と反応される(アンモオキシム化(ammoximation))。
【0002】
【従来の技術】
欧州特許出願公開第0208311号明細書、欧州特許出願公開第0267362号明細書および欧州特許出願公開第0299430号明細書ならびに米国特許第4794198号明細書には、チタン、珪素および酸素を基礎とする触媒の製出および活性化ならびにアルデヒドまたはケトン、例えばシクロヘキサノンから出発して、例えば過酸化水素とアンモニアとの反応によりオキシムを合成するための前記触媒の使用が記載されている。この触媒は、通常、30を超える珪素:チタンの比を有する。典型的な代表例は、チタンシリカライト(Titansilikalit)TS1である。
【0003】
小さい脂肪族オキシムおよび脂環式オキシムの合成は、6個までの炭素原子を有するケトン、例えばシクロペンタノンおよびシクロヘキサノンから出発して、触媒としての上記刊行物に記載されかつ活性化された多数のチタンシリカライトについての良好な結果を生じ、一方、大きいかまたは立体的に要求の多いカルボニル化合物、例えばアセトフェノンおよびシクロドデカノンの場合には、明らかに劣悪な結果となる。殊に、反応速度、使用されるカルボニル化合物の変換率および過酸化水素に関連する収率(アンモオキシム化に使用されるH2O2:必要とされるH2O2の全体量・100%)は、この試験の場合には、不満足なものである。
【0004】
欧州特許出願公開第0267362号明細書の実施例中のシクロヘキサノンの場合に10%未満の過酸化物の損失の際に90%を超える変換率が達成される(実施例22および24)の場合には、アセトフェノンと比較可能な反応条件でなお48.9%の過酸化物の損失の際に50.8%の変換率が達成されるにすぎない。シクロドデカノンの変換は、記載された欧州特許出願公開明細書において特許の保護が請求されているが、しかし、変換率および過酸化物の損失についての具体的な実施例は、記載されていない。
【0005】
大きいかまたは立体的に要求の多いカルボニル化合物の場合の明らかに劣悪な結果は、特に大きなカルボニル化合物、例えばシクロドデカノンがチタンシリカライト触媒の細孔を通過することができないかまたは徐々に通過することができるにすぎないことに帰因しうる。それによって、部分的工程のヒドロキシルアミン形成(1)およびケトンのオキシム化(2)(シクロドデカノン(CDON)の実施例に示された反応式)の空間的な分割が生じうる。
【0006】
化学量論的な方程式(3)として形式的に表わされた、存在する過酸化水素を用いてのヒドロキシルアミンの非生産的な分解は、競争反応として著量の含量を発生させることができ、このことは、なかんずく過酸化物に対する収率を減少させる。
【0007】
(1)NH3+H2O2→H2O+NH2OH
(2)NH2OH+CDON→CDON−オキシム+H2O
(3)2NH2OH+H2O2→4H2O+N2
エニヒェム(Enichem)は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19521011号明細書A1(米国特許第5498793号明細書に対応)においてアセトフェノンおよびシクロドデカノンをアンモオキシム化するための共触媒として、非晶質の二酸化珪素の特許の保護を請求している。それによれば、非晶質の二酸化珪素を添加することによって、シクロドデカノンの変換率は、8時間の反応時間後に共触媒なしの76.6%と比較して85.5%または85.2%に上昇することができる(ドイツ連邦共和国特許出願公開第19521011号明細書、実施例5および6)。同時に過酸化物の収率は、65.8%から71.4%または72.3%に上昇する。
【0008】
エニヒェムによって記載された方法は、変換率および過酸化物の収率の簡単な改善を生じるが、しかし、記載された反応の実施は、工業的使用にとって非経済的と思われる多数の欠点を示す。
【0009】
* 使用されるケトンに対する触媒および共触媒の量は、それぞれ25質量%までを用いての実施例においてシクロドデカノンを用いる試験の場合に極めて高い。
【0010】
* 触媒濃度が高いにも拘わらず、変換率は僅かであり、反応は緩徐である。*また、8時間の全反応時間後に、オキシムの収率は、なお完全な変換率から完全にかけ離れている(約99%の変換率は、99.5%を超える可能性により完全と見なされうる)。
【0011】
変換率として、8時間の反応時間に亘って、共触媒としての非晶質二酸化珪素なしのオキシム6.38g/(Kat g・分)と比較してオキシム7.10g/(Kat g・分)または7.13g/(Kat g・分)の平均値が生じる。
【0012】
完全な変換を生じる高い変換率は、大きな環状化合物、例えばシクロドデカノンの場合には工業的使用にとって極めて重要である。それというのも、分子量が増大するにつれて、未変換のケトンは、相応するオキシムからなお多大な工業的費用で分離することができるにすぎないからである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従って、アンモオキシム化をできるだけ完全な変換で同時に高い変換率および過酸化物の良好な収率で進行させる方法を見出すという課題が課された。この場合、変換率は、ヒドロキシルアミン水溶液を用いての後反応を断念することができる程度にできるだけ高くなるはずである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
ところで、意外なことに、この課題は、酸性の共触媒をチタン含有触媒と一緒に使用することによって解決することができることが見い出された。殊に、それによって変換率は、明らかに改善することができることが見い出された。
【0015】
従って、本発明の対象は、オキシムをカルボニル化合物、過酸化水素およびアンモニアから少なくとも2つの成分からなる触媒系の存在で製造する方法であり、この方法は、少なくとも1つの成分がチタン、珪素および酸素を基礎とするミクロ孔またはメソ孔の少なくとも1つの固体から形成されており、少なくとも1つの他の成分が有機担持材料または無機担持材料を含む酸性の固体からなり、担持材料それ自体がルイス酸またはブレンステッド酸の性質を有するかまたは相応するルイス酸またはブレンステッド酸の官能基が担持材料上に施こされ、このような基が物理的または化学的に塗布されることができることによって特徴付けられている。チタン、珪素および酸素を基礎とする好ましい触媒は、多孔質構造を有する化合物、例えばチタンシリカライトである。この場合には、ミクロ孔の構造ならびにメソ孔の構造が存在していてもよい。ミクロ孔のチタンシリカライトの制限のない例としては、型TS1およびTi−βを挙げることができる。メソ孔の構造のための制限のない例は、型Ti−MCM41およびTi−HMSのチタンシリカライトである。
【0016】
共触媒としては、表面に接してかまたは細孔内にルイス酸および/またはブレンステッド酸の中心を有する固体が適している。無機共触媒の制限のない例としては、酸性の酸化アルミニウムおよび酸性の活性化されたアルミノ珪酸塩、例えばベントナイト、モンモリロン石およびカオリナイト(Kaolinit)を挙げることができる。有機担持材料上に形成されている共触媒の制限のない例としては、酸性および強酸性のイオン交換樹脂、例えばアンバーリスト(Amberlyst)15またはナフィオン(Nafion)NR50が挙げられる。
【0017】
触媒および共触媒は、それぞれ固体として粉末としても成形体としても使用されることができる。触媒と共触媒との質量比は、通常、0.1:1〜10:1の間で変動する。
【0018】
触媒および/または共触媒を成形体として使用する場合には、場合によっては成形体中で結合剤として機能する他の成分が添加剤として存在していてもよい。このような成分の制限のない例としては、中性および/または弱酸性の珪酸塩、アルミノ珪酸塩および粘土鉱物が挙げられる。
【0019】
本発明の特に好ましい変法において、酸性の固体は、同時に共触媒およびチタンシリカライト成形体のための結合剤の機能をもっている。
【0020】
勿論、触媒ならびに共触媒は、2つ以上の成分の混合物からなることができる。
【0021】
本発明の方法は、大きなカルボニル化合物および有利に大きな環状ケトン、殊に7〜20個の炭素原子を有する環状化合物、特に有利にシクロオクタノンおよびシクロドデカノンを過酸化水素およびアンモニアでアンモオキシム化することができる。
【0022】
この反応は、シクロアルカノンのアンモオキシム化に関連して高度に選択的に進行する。変換が完全な場合には、オキシムの選択性は、シクロオクタノンおよびシクロドデカノンのガスクロマトグラフィー分析(GC)によりそれぞれ99%を超える。工業的に純粋なシクロドデカノンを使用する場合には、ガスクロマトグラム中での副生成物として、既にシクロドデカノン中で不純物として存在した、シクロドデカンおよびシクロドデカノールの痕跡が単に検出されうる。より少ない場合には、他の副生成物としてラウリンラクタムが0.1%未満の濃度で検出された。
【0023】
溶剤としては、過酸化水素およびアンモニアと比較して安定性でありかつカルボニル化合物ならびに形成されたオキシムに対して十分な溶解性を示す化合物が使用される。溶剤は、水と混合可能であることができるが、しかし、水と混合可能である必要はない。有利に、溶剤としては、C1〜C6−脂肪族アルコールまたはC1〜C6−脂環式アルコールから選択された、水と混合可能であるかまたは部分的に混合可能である脂肪族アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソブタノール、第三ブタノールまたは第三アミルアルコールが適している。シクロドデカノンとの反応には、メタノール、エタノールおよび第三ブタノールが特に適している。
【0024】
過酸化水素は、有利に水溶液として商習慣上の濃度(30〜70%、有利に少なくとも35%)で使用される。アンモニアは、濃厚な水溶液(有利に20%以上)または好ましくはガスとして反応器に供給される。アンモニアをガス状で計量供給する場合および過酸化水素溶液の濃度が高い場合には、反応混合物の後処理の際に溶剤と分離しなければならない微少量の水から利点が明らかになる。
【0025】
アンモオキシム化の場合の反応温度は、20℃〜150℃の間、有利に50℃〜120℃の間、特に有利に60℃〜100℃の間にある。この場合、反応器は、それぞれの反応温度の際に分圧の総和によって生じる圧力として定義される常圧で運転されるか、または過圧、有利に1〜10バールで運転される。過圧は、アンモニアまたは不活性ガス、例えば窒素で調節されることができる。反応器を密閉した場合には、圧力は、ガス状分解生成物(なかんずく窒素)の形成によって副反応において反応の間に徐々に上昇する。反応器を等バール(isobar)で運転することは、好ましくは、この場合には、ガス状の分解生成物は、軽い排ガス流を介して制御されて逃出することができ、その際逃出するアンモニアで調節弁により後圧縮される。
【0026】
排ガス流中に含有されているアンモニアガスは、凝縮によって捕集され、プロセス中に返送される。
【0027】
アンモオキシム化反応の場合には、カルボニル化合物および過酸化水素は、それぞれ非連続的または連続的に供給されることができる。方程式(3)による分解反応は、常についでに発生するので、カルボニル化合物の完全な変換のためには、過剰の過酸化物溶液が必要とされ、この場合この過剰は、適当な反応の実施および本発明による触媒系によって最少化されうる。試験の場合、反応の開始時にカルボニル化合物を装入するかまたは等モル量で過酸化水素と同時に計量供給し、必要とされる過剰の過酸化物をカルボニル化合物の添加の終結後に消費量に従ってさらに計量供給することは、好ましいことが判明した。
【0028】
【実施例】
次の実施例は、本発明を詳説するが、しかし、本発明はこれに限定されるものではない。全ての実施例の場合、新しい触媒(チタンシリカライトTS1、Degussa-Huels社)が使用された。反応前の触媒の付加的な活性化は、行なわれなかった。粉末状の触媒は、反応後に圧力フィルターを介して分離され、こうして回収された。
【0029】
例1〜4は、ガス吸収型攪拌機を備えたガラスからなる温度処理された100mlの圧力型反応器中で60℃および溶剤としての第三ブタノールで行なわれた。反応は、それぞれ約5時間に亘る全時間後に中断された。シクロドデカノンの変換率は、GCによって測定され、過酸化水素含量は、硫酸セリウムを用いての酸化還元滴定によって測定された。
【0030】
例1(比較試験):
チタンシリカライトTS1 1.0g(Degussa-Huels社)、シクロドデカノン9.1g、ガスクロマトグラフィーのための内部標準としてのジグリメ1.5g(ジエチレングリコールジメチルエーテル)および95質量%の第三ブタノールを装入した。反応器をアンモニアガスで洗浄し、1.0バールのアンモニア過圧に調節した。60℃への加熱後、強力に攪拌しながら185分間で50.7質量%の過酸化水素溶液6.8gを供給した。60℃で2時間の後反応の後、81%の過酸化水素変換率および70%のシクロドデカノン変換率を測定した。シクロドデカノンの変換生成物として、ガスクロマトグラフィーにより専らシクロドデカノンオキシムが見い出された。
【0031】
例2(比較試験):
試験を例1と同様に実施した。チタンシリカライト触媒(TS1 1.0g、Degussa-Huels社)以外に、シリカゲル60 1.0g(Merck)をドイツ連邦共和国特許出願公開第19521011号明細書の記載に相応して装入した。97%の過酸化水素変換率および60%のシクロドデカノン変換率を測定した。シクロドデカノンの変換生成物として、専らシクロドデカノンオキシムが見い出された。
【0032】
例3:
試験を例1と同様に実施した。触媒として、チタンシリカライト粉末触媒0.8g(TS1、Degussa-Huels社)およびAl2O3プラル(Pural)SB 0.2g(Condea)からなる混合物を使用した。86%の過酸化水素変換率および79%のシクロドデカノン変換率を測定した。シクロドデカノンの変換生成物として、専らシクロドデカノンオキシムが見い出された。
【0033】
例4:
試験を例1と同様に実施した。チタンシリカライト粉末触媒(TS1、Degussa−Huels社)をAl2O3プラル(Pural)SB 20質量%と一緒に押出し、乾燥し、550℃でか焼し、かつ押出物を粉末化することによって得られた触媒1.0gを使用した。97%の過酸化水素変換率および84%のシクロドデカノン変換率を測定した。シクロドデカノンの変換生成物として、専らシクロドデカノンオキシムが見い出された。
【0034】
例5〜11は、最適化された反応条件下で80℃で溶剤としてのエタノール中でのシクロドデカノンの完全な変換を示す。試験は、ガス導入型攪拌機(500rpm)および圧力調節器を備えたガラスからなる温度処理された1.6 lの圧力型反応器中で行なわれた。試料の採取者により、規則的な間隔で反応混合物からなる試料を取出し、分析した。シクロドデカノンの変換率をガスクロマトグラフィーによって測定し、過酸化水素を酸化還元滴定によって測定した。
【0035】
例5(比較例V):
触媒2.5g(TS1、Degussa-Huels社)を40℃でエタノール488g中のシクロドデカノン62.7g(344ミリモル)の溶液中に懸濁させた。反応器を80℃に加熱し、0.1バールに減圧した。引続き、アンモニアガスを1.6バールの圧力になるまで圧縮した。この場合、アンモニア13g(765ミリモル)を添加した。これは、シクロドデカノンに対して2.2モル当量に相当した。反応の間、圧力を軽い排ガス流上で一定に維持した。逃出したアンモニアガス(約2g/4時間)を後計量供給した。2時間で、2.04当量(702ミリモル)の過酸化水素を水溶液(50.4質量%)として供給した。過酸化水素の供給の終結後、反応混合物をなお120分間さらに反応させた。
【0036】
240分後、変換率は99.80%であった。1.96当量のH2O2を消費した。これは、50.9%の過酸化物の選択性に相当した。他の結果は、第1表および第2表に記載されている。
【0037】
例6:
試験を例5と同様に実施した。チタンシリカライト2.5g(TS1、Degussa-Huels社)および酸化アルミニウム1.25g(Aldrich、活性化、酸性、〜150メッシュ、CAMAG 504-C-I. 表面積155m2/g)を共触媒として使用した。2時間で、1.99当量のH2O2を計量供給した。240時間後、変換率は99.77%であった。1.91当量のH2O2を消費した。これは、52.2%の過酸化物の選択性に相当した。他の結果は、第1表および第2表に記載されている。
【0038】
例7:
試験を例5と同様に実施した。チタンシリカライト2.5g(TS1、Degussa−Huels社)および酸化アルミニウム2.5g(Aldrich、例6と同様)を共触媒として使用した。2時間で、1.88当量のH2O2を計量供給した。240時間後、変換率は99.76%であった。1.76当量のH2O2を消費した。これは、56.7%の過酸化物の選択性に相当した。他の結果は、第1表および第2表に記載されている。
【0039】
例8:
試験を例5と同様に実施した。チタンシリカライト2.5g(TS1、Degussa-Huels社)および酸化アルミニウム5.0g(Aldrich、例6と同様)を共触媒として使用した。2時間で、2.04当量のH2O2を計量供給した。240時間後、変換率は99.85%であった。1.96当量のH2O2を消費した。これは、51.0%の過酸化物の選択性に相当した。他の結果は、第1表および第2表に記載されている。
【0040】
例9:
試験を例5と同様に実施した。チタンシリカライト2.5g(TS1、Degussa-Huels社)およびモンモリロン石2.5g(Engelhard、活性化、酸性、BET表面積300m2/g)を共触媒として使用した。2時間で、2.04当量のH2O2を計量供給した。240時間後、変換率は98.73%であった。1.99当量のH2O2を消費した。これは、49.8%の過酸化物の選択性に相当した。他の結果は、第1表および第2表に記載されている。
【0041】
例10:
試験を例5と同様に実施した。チタンシリカライト2.5g(TS1、Degussa-Huels社)およびナフィオン(Nafion)NR50 2.5g(Fluka)を共触媒として使用した。2時間で、2.04当量のH2O2を計量供給した。240時間後、変換率は99.84%であった。1.94当量のH2O2を消費した。これは、51.5%の過酸化物の選択性に相当した。他の結果は、第1表および第2表に記載されている。
【0042】
例11(比較例、V):
試験を例5と同様に実施した。チタンシリカライト2.5g(TS1、Degussa-Huels社)および非晶質の二酸化珪素2.5g(Kieselgel、Merck)を共触媒として使用した。2時間で、2.04当量のH2O2を計量供給した。4時間後、変換率は99.79%であった。1.98当量のH2O2を消費した。これは、50.4%の過酸化物の選択性に相当した。他の結果は、第1表および第2表に記載されている。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
例12(比較例):
試験を例5と同様に実施した。シクロドデカノンの代わりに、シクロオクタノン43.67g(346ミリモル)を装入した。2時間で、2.04当量のH2O2を計量供給し、引続き1時間さらに攪拌した。60時間後、63.6%のシクロオクタノンがシクロドデカノンオキシムに変換され、これは、オキシム207.20mg/(TSI g・分)の変換率に相当した。180分後、変換率は99.7%であった。1.99当量のH2O2を全部消費した。これは、50.1%の過酸化物の選択性に相当した。
【0046】
例13:
試験を例12と同様に実施した。付加的に酸化アルミニウム2.5g(Aldrich、例6と同様)を共触媒として使用した。60時間後、71.9%のシクロオクタノンがシクロドデカノンオキシムに変換され、これは、オキシム234.3mg/(TSI g・分)の変換率に相当した。180分後、変換率は100%であった。2.01当量のH2O2を全部消費した。これは、49.8%の過酸化物の選択性に相当した。
【0047】
例14:
試験13を繰り返した。2時間で、1.51当量のH2O2を計量供給し、引続き1時間さらに攪拌した。180分後、変換率は99.7%であった。1.50当量のH2O2を消費した。これは、66.5%の過酸化物の選択性に相当した。
【0048】
例15:固定床反応器
例5からの試験構成を循環ポンプ(150ml/分)を備えた固定床反応器で補充した。固定床触媒として、押出機中で例4と同様にチタンシリカライト50質量%(TS1、Degussa-Huels社)およびAl2O3プラル(Pural)SB 50質量%から得られた、成形体30g(グラニュール、直径1mm)を使用した。反応を80℃および1.6バールの一定の圧力で例5と同様に行なった。シクロドデカノン62.7gをエタノール488g中に装入した。過酸化水素(50質量%の水溶液)を固定床反応器の前方で循環反応器中に供給した。4時間で、1.94当量の過酸化水素を供給し、過酸化物の添加の終結後に、なお1時間さらに攪拌した。
【0049】
シクロドデカノンの変換率は、300分後に1.90当量の過酸化物の消費で99.7%であった。これは、52.5%の過酸化物の選択性に相当した。
Claims (13)
- オキシムを、7〜20個の炭素原子を有する環式ケトンから選択されるカルボニル化合物、過酸化水素およびアンモニアから、少なくとも2つの成分からなる触媒系の存在で製造する方法において、触媒の少なくとも1つの成分として、チタン、珪素および酸素を基礎とする結晶質のミクロ孔またはメソ孔である少なくとも1つの固体を使用し、共触媒として酸化アルミニウムまたは珪酸アルミニウムを基礎とする酸性の無機固体、あるいは、酸性または強酸性のイオン交換体を基礎とする有機固体を使用し、かつ、反応前に触媒の付加的な活性化を行わないことを特徴とする、オキシムの製造法。
- カルボニル化合物がシクロオクタノンまたはシクロドデカノンである、請求項1記載の方法。
- 有機溶剤を使用する、請求項1記載の方法。
- 有機溶剤がメタノール、エタノールまたは第三ブタノールである、請求項3記載の方法。
- 反応温度が20℃〜150℃である、請求項1記載の方法。
- 圧力が1〜10バールである、請求項1記載の方法。
- アンモニアをガス状で反応器中に供給する、請求項1記載の方法。
- 過酸化水素を少なくとも35質量%の量で含有する水溶液として使用する、請求項1記載の方法。
- 触媒としてチタンシリカライトを使用する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
- 触媒対共触媒の質量比が0.1:1〜10:1である、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
- 触媒および共触媒を粉末の形で使用する、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
- 触媒および共触媒を成形体として使用する、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
- 共触媒が同時に成形体の結合剤として機能する、請求項12記載の方法。
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