JP4866591B2 - ハンドル - Google Patents

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Description

本発明は、ハンドルに係り、特に、表面に皮革を設けて構成されたものに関する。
図13(a)は、従来のハンドル200の概略構成を示す図であり、図13(b)、(c)は、ハンドル200に使用されている皮革を展開した形状を示す図である。
従来のハンドル200は、リング状に形成されたリング部202とスポーク部204とで構成された被覆体206を、各皮革208、210で覆った構成になっている。
皮革208は、板状で長方形状に形成されているが、幅方向の両側にスポーク部204の一部を覆うための突出部212が設けられている。皮革210も同様に形成されている。また、皮革208や皮革210の幅方向の中心線214の長さの合計は、リング部202の外周216の長さ(リング部202の最も外側の円周の長さ)とほぼ等しくなっている。
したがって、図13(a)に示すように、リング部202の外周216と皮革208や皮革210の中心線214とを互いに一致させて、曲面状の被覆体206の表面(ひょうめん)を覆うように皮革208と皮革210とを設置すると、リング部202の外周216以外の箇所では、皮革208、210が適宜伸縮することになる。
被覆体206に皮革208と皮革210とを設置する際、リング部202の内周218における皮革208の端部同士208aは、たとえば縫い割り(図14参照)やグルーブ(図10参照)により接合され、皮革210の端部同士210aも同様に接合され、皮革208と皮革210との境界220は、たとえば、折り込み接着(図9参照)によって接合されている。
前述したように各皮革208、210を設置して構成されたハンドル200を、ループ式ハンドルという場合がある。なお、ハンドル200では、2つの皮革で被覆体206を覆っているが、1枚の皮革や3枚以上の皮革で被覆体206を覆っている場合もある。また、1枚の皮革で覆う場合であっても、ループ式ハンドル200では、製作上の都合により境界220が1つは存在する。
ところで、従来のループ式ハンドル200では、内周218側に向かうほど、各皮革208、210の圧縮量が増大するので、皺が発生する。この皺を手縫いによる糸の張力で緩和したり、手縫い加工後に蒸気熱風によって皺を無くす仕上げ修正加工が施される。これらの処置によって革が強制的に伸ばされ皮革が表面に本来備えている「しぼ」や「ディンプル」が喪失しハンドルの高級感が損なわれる場合がある。
そこで、特許文献1や特許文献2に記載のハンドルのように、円環状に形成した皮革を被覆体に設置する方式が知られている。
特許文献1に記載のハンドルは、特許文献1の図1(a)に示すように、リング状に形成した1対の皮革(革素材)を用いて被覆体を覆っている。また、特許文献2に記載のハンドルも、特許文献2の図1、図2やで示すように、リング状に形成した皮革を用いて被覆体を覆っている。
なお、特許文献1に記載のハンドルでは、前記被覆体を覆う前の皮革の寸法は、図5に示す円(被覆体のリング部の運転者側の頂点を示す円)CR1の長さに対して、図6(a)に示す円(リング状の皮革の幅方向の中間部に存在する円)CR3や図6(b)に示す円(リング状の皮革の幅方向の中間部に存在する円)CR5の長さがほぼ等しくなっている。
したがって、従来のループ式のハンドル200では、被覆体に設置する際に被覆体の内周側のみで皮革が伸縮するようになっているのに対し、特許文献1や特許文献2に記載のハンドルでは、被覆体に設置する際に被覆体の内外周の両側で皮革が伸縮するので、被覆体に設置する際の皮革の伸縮量がループ式のハンドル200の場合よりも小さくてすみ、被覆体に皮革を設置したときに、皺の発生が少なく、かつ皮革が本来備えている「しぼ」や「ディンプル」が喪失するおそれを回避することができる。
なお、従来のループ式のハンドル200で、皮革の長さA(図13(b)の中心線214の長さと図13(c)の中心線214の長さとの合計の長さ)を被覆体206の外周の長さB(図13(a)の円の周長)にあわせた理由は、皮革の長さAを長さBよりも長くすると、被覆体206に皮革208、210を設置したときに皮革208、210に皺が生じてしまい、皮革の長さAを長さBよりも短くすると被覆体206に、皮革208、210を被せる際、大量に伸ばさなければならないからである。以上のことから、従来ループ式ハンドルで皺のないハンドルを造ろうとした場合、皮革が表面に本来備えている「しぼ」や「ディンプル」が喪失することをある程度は覚悟しなければならなかった。
特公平7−102815号公報 特開平10−230856号公報
ところで、前記特許文献1に記載のハンドルでは、特許文献1の図1(e)や特許文献1の図1(f)に示すように、分割された一対の被覆体(皮革が設置された被覆体)を、芯金に接着等して一体的に設けることによってハンドルを形成しているので、却って製造工数がかかるという問題がある。
また、特許文献2に記載のハンドルでは、視認しうる総ての面(リング部の運転者側の総ての面)を皮革で覆っているが、特許文献2の図1に示すように、革の端面処理をキメコミ(図4のVIII部参照)処理してあるので、製造することが難しい。すなわち、皮革を被覆体の外周側および内周側の両側で適宜伸縮させつつ皺が発生しないようにして、被覆体に設置する場合、皮革の両端部をキメコミによって処理することは難しい。
さらに、特許文献2に記載のハンドルでは、視認しうる総ての面側のみを皮革で覆ってあるが、ハンドルに高級感を出すために、リング部の反運転者側の総ての面も皮革で覆いしかも皮革の端部の処理をキメコミによって処理することは、ハンドルの製造を一層困難にする。
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、従来よりも製造が容易であり製造工数を削減することができ、皮革のシボやディンプルの喪失を防止して高級感をかもし出すことができるハンドルを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、リング部とスポーク部とを備えて予め一体的に形成された被覆体と、前記被被覆体の運転者側の部位を覆っている運転者側皮革と、前記被被覆体の反運転者側の部位を覆っている反運転者側皮革とを有し、前記リング部の外周部位における前記運転者側皮革と前記反運転者側皮革との境界部位では、キメコミによって、または、折り込み接着によって、または、入れ子を用いて、または、グルーブによって、前記運転者側皮革の端部と前記反運転者側皮革の端部とが予め一体的に形成された前記被被覆体に固定されて処理されており、前記リング部の内周部位における前記運転者側皮革と前記反運転者側皮革との境界部位では、手縫いによって、または、折り込み接着によって、または、入れ子を用いて、前記運転者側皮革の端部と前記反運転者側皮革の端部とが予め一体的に形成された前記被被覆体に固定されて処理されているハンドルである。
本発明によれば、従来よりも製造が容易であり製造工数を削減することができ、皮革のシボやディンプルの喪失を防止して高級感をかもし出すことができるハンドルを提供することができるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施形態に係るハンドル1の概略構成を示す図であり、図2は、図1におけるII矢視を示す図であり、図3は、図1におけるIII矢視を示す図であり、図4は、図2におけるIV断面を示す図である。
図5は、被覆体3の概略構成を示す図であり、図6は、被覆体3を覆う皮革15、17の概略構成を示す展開図であり、図7は、手縫いにより皮革15、17の端部を処理した状態を説明する図である。なお、図1、図3、図4のEYは、車輌の運転者の目(視点)を示す。
本発明の実施形態に係るハンドル1は、たとえば自動車等の車輌に設置されて使用されるものであり、ハンドル1は、図1、図2や図5に示すように、リング部5とスポーク部7とを備えて予め一体的に形成されている被覆体3を備えている。
被覆体3は、リング部芯金9とスポーク部芯金11と軟質合成樹脂13とで構成されている。リング部芯金9やスポーク部芯金11は、金属(たとえばダイキャストアルミニウム)で構成されており、スポーク部芯金11は、リング状のリング部芯金9の内周部から内側に延びてリング部芯金9と一体的に形成されている。
また、軟質合成樹脂13は、たとえば、発泡ポリウレタンで構成され、リング部芯金9とスポーク部芯金11のうちの少なくともリング部芯金9側の部位を覆っている。そして、リング部芯金9とこのリング部芯金9を覆っている軟質合成樹脂13とがリング部5を構成し、スポーク部芯金11とこのスポーク部芯金11を覆っている軟質合成樹脂13とがスポーク部7を構成し、また、被覆体3のリング部5は、円環状に(トーラスな形状に)形成されている。なお、被覆体3は、各芯金9、11に軟質合成樹脂13をたとえばモールドすることにより一体的に成形されている。
また、ハンドル1には、運転者側皮革15(図6(a)参照)と反運転者側皮革17(図6(b)参照)とが設置されている。運転者側皮革15は、たとえば1枚でリング状に形成されており、被覆体3の運転者側の部位を継ぎ目なく連続して覆っている。また、反運転者側皮革17も、たとえば1枚でリング状に形成されており、被覆体3の反運転者側の部位を継ぎ目なく連続して覆っている。なお、前記各皮革15、17は天然皮で構成されているが、合成皮革で構成されていてもよい。
運転者側皮革15が覆っている部位(被覆体3の運転者側の部位)は、リング部5の大円の中心CT1(たとえば図4、図5参照)や小円の中心CT3(たとえば図4参照)を通過する平面(ハンドル1を車輌に取り付けたときにハンドル1の回転中心軸CLにほぼ垂直な平面であって前記リング部5の体積をほぼ2等分する平面)PL1で区切られる2つの部位のうちで運転者側に位置する環状の部位と、軟質合成樹脂13で覆われているスポーク部7のうちで運転者側に位置する部位である。
また、被覆体3の運転者側の部位を覆う前における運転者側皮革15の形状は、図6(a)に示すように、円板状のものからこの円よりも半径が小さく中心が前記円と一致している小さい円板状の部位を取り除いたものに、軟質合成樹脂13で覆われているスポーク部7の運転者側の部位を覆うための板状の突出部19を設けた形状に形成されている。
そして、ハンドル1を車輌に取り付けてハンドル1の回転中心軸CLの延伸方向から眺めたときに所定の幅でリング状に見えるリング部5における前記幅方向の円形の中心線の部位(リング部5の大円の中心CT1や小円の中心CT3を通過する平面PL1に垂直な円柱であって側面がリング部5の小円の中心CT3を通過している円柱の前記側面と、リング部5における運転者側部位の表面とが互いに交差する部位;図4に示す左側のCR1や図5に示すCR1の部位)では、運転者側皮革15がほとんど伸縮せず、中心線の部位CR1からリング部5の外周側もしくは内周側に移行するにしたがって、運転者側皮革15の伸縮量が適宜増えることにより、運転者側皮革15が皺のほぼ無い状態でリング部5を覆っている。
また、反運転者側皮革17が覆っている部位(被覆体3の反運転者側の部位)は、リング部5の大円の中心CT1(たとえば図4、図5参照)や小円の中心CT3(たとえば図4参照)を通過する平面(ハンドル1を車輌に取り付けたときの前記ハンドル1の回転中心軸CLにほぼ垂直な平面であって前記リング部5の体積をほぼ2等分する平面)PL1で区切られる2つの部位のうちで反運転者側に位置する部位と、軟質合成樹脂13で覆われているスポーク部7のうちで前記反運転者側に位置する部位である。
さらに、スポーク部7を覆うための突出部21の形状を除いて、反運転者側皮革17は、運転者側皮革15と同様に形成されており、図4に示す右側の中心部位CR1では、ほとんど伸縮せず、内外周側に離れるにしたがって適宜伸縮することにより被覆体3を覆っている。そして、運転者側皮革15と反運転者側皮革17とで、被覆体3の軟質合成樹脂13が存在している部位の表面のほぼ全面が覆われている。
また、リング部5の外周部位(図4のVIII部)における運転者側皮革15と反運転者側皮革17との境界部位では、キメコミによって、運転者側皮革15の端部と反運転者側皮革17の端部とが処理されており、リング部5の内周部位における運転者側皮革15と反運転者側皮革17との境界部位では、手縫い(自動機による縫いも含む)によって、運転者側皮革15の端部と反運転者側皮革17の端部とが処理されている。
また、スポーク部7における運転者側皮革15と反運転者側皮革17との境界は、縫い目が不存在な状態になっている。たとえば、図6に示すように、運転者側皮革15の突出部19の先端部側は、反運転者側皮革17の突出部21の先端部側よりも幅が広くなっている。そして、各皮革15、17を被覆体3に設置した際、スポーク部7を覆う部位では、反運転者側皮革17の突出部21の一部に、運転者側皮革15の突出部19の一部が覆い被さるように構成されている。
なお、ハンドル1の中央部には、クラクションスイッチやエアーバッグを取り付けるためのパッド部23が設けられており、このパッド部23によって、スポーク部7の内側部位(軟質合成樹脂13で覆われていない部位)が運転者から隠されるようになっている(図1や図3参照)。
ここで、キメコミと手縫いについて説明する。
キメコミは、図4のVIII部に示すように、被覆体3のリング部5の外周に設けた所定の幅で所定の深さの溝内に、運転者側皮革15の端部と反運転者側皮革17の端部とを所定の深さ挿入して、各皮革15、17の端部を処理したものである。また、手縫いは、図7に示すように、運転者側皮革15の端部と反運転者側皮革17の端部とを糸25を用いて縫い合わせたものである。
ところで、ハンドル1のリング状部の表面を、図4に示すように、AゾーンとBゾーンとCゾーンとに分けて考えることができる。なお、図4は、ハンドル1の一部の断面であるので、図4では、前記各ゾーンが円弧状に示されているが、実際の各ゾーンは、回転中心軸CLを中心にして形成された回転体状(環状)に形成されている。
ここで、Aゾーンは、運転者が車輌を運転しているときに常に運転者から見える部位であり、Bゾーンは、ハンドル1の回転角度(操舵角度)により、運転者から見えることがある部位であり、Cゾーンは、車輌を運転しているときには、運転者からは見えない部位である。
ハンドル1では、前記キメコミの箇所が、Bゾーンに位置しており、前記手縫いの箇所(図4の糸25の部位)が、Cゾーンに位置している。したがって、前記Aゾーンでは、皮革の継ぎ目や縫い目が不存在になっている。
なお、前記キメコミに代えて、折りこみ接着によって、または、入れ子を用いて、または、グルーブによって、ハンドル1の外周側における運転者側皮革15の端部と反運転者側皮革17の端部とを処理してもよい。
入れ子を用いた場合は、図8に示すように、被覆体3のリング部5の外周に設けたやや広い所定の幅で所定の深さの溝内に、運転者側皮革15の端部と反運転者側皮革17の端部とを所定の長さ挿入して、この挿入した各皮革を、リング状の入れ子27を用いて覆い、前記溝を塞いで、各皮革15、17の端部を処理してある。
折りこみ接着は、図9に示すように、運転者側皮革15の端部や反運転者側皮革17の端部を所定の幅にわたって折り返して接着し、前記折り返した各部位が被覆体3の接触するようにして、各皮革15、17を被覆体3に設置し、各皮革15、17の端部を処理してある。
グルーブは、図11(a)に示すように、運転者側皮革15の端部と反運転者側皮革17とを互いに重ね合わせ、この重ね合わせた状態で、図11(b)に示すように、各皮革の端部を糸29で縫い合わせ、この縫い合わせた後に、図11(c)に示すように、各皮革15、17を開き、この開いたものの糸29が存在している部位を、図10に示すように、被覆体3のリング部5の外周に設けた所定の幅で所定の深さの溝内に挿入して、各皮革15、17の端部を処理したものである。
なお、ハンドル1の内周側においては、前記手縫いに代えて、折り込み接着によって、または入れ子を用いて、さらには後述するVステッチや平行ステッチによって、各皮革15、17の端部を処理してもよい。
Vステッチは、図15に示すように、端部15aを糸30で斜めに縫い込んだ運転者側皮革15と、端部17aを糸30で斜めに縫い込んだ反運転者側皮革17とを接合させて処理したものである。当該処理により、ハンドル1の内周側に略V字型の縫糸模様ができるため、ハンドル1の外観に美観を生じさせるとともに、ハンドルを把持した際、糸30の摩擦により指の引っ掛かりが良くなり、使用者の手の滑りを防止することができる。
また、平行ステッチは、図16に示すように、端部15aを糸30でハンドル1の軸方向と平行に縫い込んだ運転者側皮革15と、端部17aを糸30でハンドル1の軸方向と平行に縫い込んだ反運転者側皮革17とを接合させて処理したものである。当該処理により、ハンドル1の内周側に破線状の縫糸模様ができるため、ハンドル1の外観に美観を生じさせるとともに、ハンドルを把持した際、糸30の摩擦により指の引っ掛かりが良くなり、使用者の手の滑りを防止することができる。
ところで、ハンドル1では、運転者側皮革15や反運転者側皮革17は、1枚で継ぎ目の無いリング状に形成されているが、図12に示すように、運転者側皮革15を、1枚のリング状のものを周方向の所定の箇所で分断した1枚(図12(a)参照)もしくは複数枚のもの(図12(b)、(c)参照)で構成してもよい。なお、前記分断箇所では、たとえば縫い割りやグルーブにより皮革の端部が処理される。ここで、縫い割りとは、図11(a)に示すように、運転者側皮革15の端部と反運転者側皮革17とを互いに重ね合わせ、この重ね合わせた状態で、図11(b)に示すように、各皮革の端部を糸29で縫い合わせ、この縫い合わせた後に、図11(c)に示すように、各皮革15、17を開き、図14に示すように開いた部位とは反対側の部位を開き、被覆体3のリング部5に取り付ける方法のことを示している。
この場合、反運転者側皮革17の分断箇所の数が運転者側皮革15の分断箇所の数よりも多くなっていることが望ましい。たとえば、運転者側皮革15を、1枚で継ぎ目の無いリング状に形成し、反運転者側皮革17を、図12(b)で示すように、2箇所で分断することが考えられる。
ハンドル1によれば、予め一体的に形成された被覆体3を皮革15、17で覆うことによってハンドル1を形成してあるので、芯金に皮革が設置された軟質合成樹脂を接着する場合(特許文献1の場合)に比べて少ない工数で容易にハンドルを製造することができる。また、芯金に皮革が設置された軟質合成樹脂を接着する場合には、接着する際に芯金と軟質合成樹脂との間に圧力をかける必要があり、この際、ハンドルのリング部の全面が皮革であると皮革に傷がつくおそれがあるが、ハンドル1では、芯金に皮革が設置された軟質合成樹脂を接着するような工程が存在せず、したがって、ハンドル1の製造時に皮革15、17に傷がつくおそれを無くすことができる。
また、皮革15、17の外周側の端部をキメコミ等で処理し内周側の端部を手縫い等で処理してあるので、皮革15、17を適宜伸縮させつつ皺が発生しないように被覆体3に設ける際に、まず、被覆体3の外周に位置する皮革15、17の端部をキメコミ等で被覆体3に固定し、この固定後、被覆体3の内周に位置する皮革15、17の端部を手縫い等で処理すればよく、皮革15、17を被覆体3に設置する工程が簡素になっており、ハンドル1の製造が容易になっている。
さらに、皮革15、17を被覆体3に設置する際、ループ式ハンドルのように被覆体の内周側だけでなく、被覆体3の内外周の両側で皮革15、17が適宜伸縮するので、皮革15、17の最大の伸縮量を従来のループ式ハンドルよりも小さくすることができ、皮革15、17を被覆体3に設置したときにおける皮革15、17のシボやディンプルの喪失を防止して高級感をかもし出すことができる。
なお、運転者側皮革15を一枚のものでリング状に形成してあれば、運転者の通常の運転姿勢における視点からは皮革15の継ぎ目が見えなくなり、さらなる高級感をかもし出すことができる。
また、ハンドル1によれば、ハンドル1の外周における皮革15、17の端部をキメコミ等で処理してあるので、すなわち、皮革15、17を縫っている糸が皮革15、17の表面に露出していないので、長年の使用によっても糸が切れてしまうことはなく耐久性が良くなっていると共に、ハンドル1の操作時に凸になった糸が運転者の手の平に触れることがなく、操作感が良くなっている。なお、ハンドル1の内周における皮革15、17の端部を手縫いで処理してあるので、ハンドル1の内周の皮革15、17の表面に糸25が露出するが、通常の運転時において前記内周に露出した糸25が運転者の手に触れることがほとんどない。また、触れたとしても指先のほうが触れるので、操作感が悪化することはほとんどない。
さらに、芯金に軟質合成樹脂等を接着する場合はリング部における芯金の断面を円形にしておかないと接着しにくいが、ハンドル1では、被覆体3を予め一体的に形成してあるので、リング部5における芯金の断面を円形以外の形状(たとえば、「H」字状、「U」字状)にすることが容易になっており、ハンドル1の剛性を維持しつつ芯金の質量を軽減しハンドル1の軽量化を図ることができる。
また、ハンドル1において、反運転者側皮革17の分断箇所の数を運転者側皮革15の分断箇所の数よりも多くすれば、運転者から見える側では皮革の継ぎ目が少なく高級感をかもし出すことができ、無駄の少ない材料取りがされた皮革を反運転者側の皮革として使用することができる。
さらに、ハンドル1では、スポーク部7における運転者側皮革15と反運転者側皮革17との境界は、縫い目が不存在なので、ハンドル1を操作すべく運転者の指がスポーク部に接触しても凸状の糸に指が接触することがなく、良好な操作感を得ることができる。
本発明の実施形態に係るハンドルの概略構成を示す図である。 図1におけるII矢視を示す図である。 図1におけるIII矢視を示す図である。 図2のおけるIV断面を示す図である。 被覆体の概略構成を示す図である。 被覆体を覆う皮革の概略構成を示す図である。 手縫いにより皮革の端部を処理した状態を説明する図である。 入れ子を用いて皮革の端部を処理した状態を説明する図であり、図4のVIII部の変形例を示す図である。 折り込み接着によって皮革の端部を処理した状態を説明する図であり、図4のVIII部の変形例を示す図である。 グルービングによって皮革の端部を処理した状態を説明する図であり、図4のVIII部の変形例を示す図である。 グルービングについて説明する図である。 皮革を分割して変形例を示す図である。 従来のハンドルを示す図である。 縫い割りについて説明する図である。 Vステッチについて説明する図であり、ハンドルの一部を内周側から見た図である。 平行ステッチについて説明する図であり、ハンドルの一部を内周側から見た図である。
1 ハンドル
被覆体
5 リング部
7 スポーク部
15 運手者側皮革
17 反運転者側皮革

Claims (1)

  1. リング部とスポーク部とを備えて予め一体的に形成された被被覆体と;
    前記被被覆体の運転者側の部位を覆っている運転者側皮革と;
    前記被被覆体の反運転者側の部位を覆っている反運転者側皮革とを有し、
    前記リング部の外周部位における前記運転者側皮革と前記反運転者側皮革との境界部位では、キメコミによって、または、折り込み接着によって、または、入れ子を用いて、または、グルーブによって、前記運転者側皮革の端部と前記反運転者側皮革の端部とが予め一体的に形成された前記被被覆体に固定されて処理されており、
    前記リング部の内周部位における前記運転者側皮革と前記反運転者側皮革との境界部位では、手縫いによって、または、折り込み接着によって、または、入れ子を用いて、前記運転者側皮革の端部と前記反運転者側皮革の端部とが予め一体的に形成された前記被被覆体に固定されて処理されている、
    ことを特徴とするハンドル。
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