JP4829557B2 - リチウム鉄複合酸化物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はオリビン型構造のリチウム鉄複合酸化物の製造方法及び製造されたリチウム鉄複合酸化物を含有する非水電解質電極活物質に関する。
モバイル機器用エネルギー源として高出力で高エネルギー密度のリチウムイオン二次電池が認知され、従来のアルカリ二次電池やニッケル水素電池と急速に置き換えられてきた。その一方、中型・大型電池のリチウムイオン二次電池は環境問題・エネルギー問題の深刻化を緩和できる一つの解答として期待されているが、安全性に関する不安が解消されておらず、未だ実用化するまでに至っていない。
安全で安価な正極活物質材料としては、これまでにもMn系やFe系を中心とした検討が進められてきた。特にスピネル型LiMn4は精力的に検討された材料ではあったが、高温貯蔵時の安定性が乏しいといった欠点を克服できず、本格的実用化には至っていない。層状岩塩構造LiFeOも長年に亘って検討されてきたが、未だ満足な電気化学特性を発現できない状況にある。
これに対し、特許文献1によって提案されたLiFePO4は、安全性にかかわる正極活物質中の酸素が全てリンと共有結合して強固に固定されていることから、極めて安全で、安定性に優れた正極活物質になり得ることが期待された。しかしながらその電気化学特性は、理論量の高々70%しか発現できないといった課題を有するものであった(非特許文献1)。
従来のLiFePO4が抱える課題は、LiFePO4結晶が乏しい電子伝導性しか持たないことである。そのためリチウムの結晶内への挿入と結晶からの脱離が進行し難い上、結晶内での拡散が遅く、スムースに充放電を繰り返すことができなかった。またLiFePO4が鉄の原子価数が2である2価の鉄化合物であることから、鉄源として安易に2価の鉄化合物を用いたことにある。取り扱い容易な2価の鉄化合物は限られ、汎用性が乏しく高価である。
上記の課題克服のための一つの対策として、活物質を微粒化することが提案されている(非特許文献2)。これにより電荷移動反応に寄与できる表面を増やすことができ、結晶中の電子移動距離を短縮できる。非特許文献2には、粒径10μm以下の粒子を含有するLiFePO4を調製して放電容量160mAh/gを達成したことが報告されている。しかし、これは2価の鉄化合物であって極めて高価な酢酸鉄を鉄源とし、焼結粒子を多発させた負荷特性の発現し難いものであった。
活物質粒子表面に導電性コーティングを施して粒子表面と電極コンポジットの導電性を高めることによっても電気化学特性を改善できることが報告されている。コンポジットの導電助剤として使用される炭素質材料を、粒子の導電性コーティングに用いることも有効である。非特許文献3には、フェノール樹脂由来カーボンと原料の混合物を焼成して得たLiFePO4を用いて、高負荷時においても高い放電容量を発現できることが報告されている。しかし、この場合も、鉄源としては高価な酢酸鉄が使用されている。
特許文献2には、平均粒径0.2〜5μmのLiFePO4粒子に炭素物質微粒子を複合化させる方法が提案されている。しかしながらこうして調製された活物質を用いて組まれた電池の初期放電容量は、2価の鉄化合物である蓚酸鉄を鉄源としているにもかかわらず、88mAh/gと低い特性しか発現できていない。これは取り扱いが難しい微細粒子のために、電池性能を充分に引き出せなかったためと判断される。
結晶自体の導電性を高めて活物質の電気化学特性を改善しようとする試みも検討されている。非特許文献4には、NbやZr等を1モル%ドープすることによりLiFePOの電子伝導性を8桁高められたとし、高負荷特性に優れた電池性能を発現できたと報告している。しかし、これらも2価の鉄化合物である蓚酸鉄を鉄源として検討されたものであって、経済的には実用性が乏しい。
汎用性が高く、安価な鉄化合物を用いてLiFePO4を合成する試みも検討されている。非特許文献5には、容易に入手できて安価な鉄の原子価数が3である3価の鉄化合物のFeを鉄源に、炭素質材料を3価の鉄から2価の鉄に還元するための還元剤に用いて、LiFe0.9Mg0.1POを合成し、良好な電池性能を発現できることが報告されている。しかし、その報告にあるLiFePOのXRDプロファイルは未反応酸化鉄の回折ピークを残すもので、反応が完結していないことを示す。
上記のように従来も良好な電池性能を発現できるLiFePOを合成することは可能ではあったが、それらは2価の鉄化合物を原料とした合成方法によるものであって、安価なLiFePOを豊富に安定して供給しようとする点からは、実用的ではない。
一方、取り扱い勝手が良く安価で容易に入手可能な鉄源としては酸化鉄(Feなど)が有利である。酸化鉄を鉄源としてLiFePOを合成する手法も従来から知られてはいたが、反応を完結させることができず、高負荷特性を大きく低下させてしまうことから実用に供されなかった。
特許第3319258号公報 特開2003−36889号公報 J. Electrochem. Soc. 144,1188(1997) J. Electrochem. Soc. 148,A224(2001) Electrochem. Solid-State Lett. 4,A170(2001) Nature Mater. 2, 123(2002) Electrochem. Solid-State Lett. 6,A53(2003)
本発明は、汎用で安価な、原子価数3の鉄を含有する鉄化合物(以下、3価の鉄化合物ともいう)を原料として、電池特性発現に最適な粒子特性を保持させながら合成反応を遂行できる、オリビン型構造のリチウム鉄複合酸化物の新規な製造方法、及びかかる方法により製造されたオリビン型構造のリチウム鉄複合酸化物を含有する、高い放電容量及び優れた充放電特性を有する非水電解質二次電池用の電極活物質の提供を目的とする。
本発明者は、鋭意研究を進めたところ、下記を特徴とする本発明に到達した。
1.オリビン型構造のLiFePO4で表されるリチウム鉄複合酸化物の製造方法であって、原子価数3の鉄を含有する鉄化合物、親水性が付与された炭素含有化合物、リチウム化合物、並びにリン化合物のうち、前記原子価数3の鉄を含有する鉄化合物及び前記炭素含有化合物を少なくとも含む原料成分と、分散媒とを含むスラリーをビーズミルで微細化処理し、得られる微細化粒子を凝集処理した粒子、又は上記スラリーがLiFePO4の合成に必要な化学量論量のリチウム化合物及び/又はリン化合物を含まない場合には、上記凝集した粒子に対してリチウム化合物及び/又はリン化合物を添加した混合物を300〜1150℃で熱処理することを特徴とするリチウム鉄複合酸化物の製造方法。
2.前記炭素含有化合物が、カーボンブラック類である上記1に記載の製造方法。
3.前記親水性が付与された炭素含有化合物が、ホウ素を含有するカーボンブラック類である上記1又は2に記載の製造方法。
4.前記微細化処理が、図1における、下記の(1)、(2)及び(3)を満足する条件(但し、xは鉄化合物の平均一次粒子径(μm)、yはビーズミルに使用するビーズの粒子径(mm)を表す。)にてビーズミルで微細化処理する、上記1〜3のいずれかに記載の製造方法。
(1)x≦0.6のとき、y≦10.0
(2)0.6<x≦2.0のとき、
y≦−0.342x+1.768x−3.158x+2.322
(3)2.0<x≦10.0のとき、y≦0.35
5.前記スラリー中の原料成分が、LiFePO4の合成に必要な化学量論量のリチウム化合物及び/又はリン化合物を含む上記1〜4のいずれかに記載の製造方法。
6.前記分散媒が、水又は水を含有する媒体である上記1〜5のいずれかに記載の製造方法。
7.前記凝集処理が、ビーズミルでの微細化処理後のスラリーから微細化された原料成分を分離・回収して成される上記1〜6のいずれかに記載の製造方法。
8.前記熱処理が、大気中、不活性雰囲気中、又は還元雰囲気中で成される上記1〜7のいずれかに記載の製造方法。
9.前記凝集処理及び熱処理が、ビーズミルで微細化処理後のスラリーを加熱炉中に噴霧して成される上記1〜6のいずれかに記載の製造方法。
10.前記1〜9のいずれかに記載の製造方法で得られたリチウム鉄複合酸化物を含有する非水電解質二次電池用の電極活物質。
本発明の製造方法によれば、3価の鉄化合物と親水性が付与された炭素含有化合物を少なくとも含む原料成分と、分散媒とを含むスラリーをビーズミルで微細化処理することにより、親水性が付与された炭素含有化合物の特徴とビーズミルによる微細化処理の特徴が充分に活かされ、本来、親和性の乏しい両者を均質に分散させ、緊密に接触させることができる。その結果、炭素含有化合物中の炭素は熱処理時に近接する3価の鉄を2価の鉄に効率良く、且つ定量的に還元すると共に再酸化等の好ましくない副反応を防止するよう機能する。またスラリー中の原料成分が予め制御された粒径分布を持つ原料成分を使用した場合には、スラリーの調製、ビーズミルでの微細化処理、凝集処理を経て得られる凝集粒子は、熱処理されてLiFePOとなった後も熱処理前の粒径分布の多くの特徴を維持するように作用して、一次粒子、二次粒子の過剰な焼結を防止するように機能する。
かくして、本発明の製造方法で得られるLiFePOで表される、オリビン型のリチウム鉄複合酸化物は、微細な一次粒子が集まった、粒径の制御された凝集粒子からなり、その一次粒子の表面には炭素含有化合物由来の炭素質粒子層が設けられる。このような形態が反映されて、本発明で得られるリチウム鉄複合酸化物を正極活物質とした非水電解液二次電池は、界面電荷移動反応がスムースに進行し、優れた電池特性を発現する。特に、大電流を流すことができてパワーが取れ、しかも信頼性の高い安全性と長寿命を達成できる。
これに対して、従来のリチウム鉄複合酸化物の製造方法においては、構成する各原料成分を微細化出来たとしても、親和性が乏しく比重を大きく異にする成分、特に鉄化合物と炭素含有化合物間のミクロな混合が十分には行えず、製造されたリチウム鉄複合酸化物には未反応部分や再酸化部分を残してしまう結果となる。加えて、熱処理時に独立した一次粒子や微細な二次粒子がバインダーとなり、大きな一次粒子や凝集粒子を多発させる。このような不具合が、従来のリチウム鉄複合酸化物を非水電解質二次電池用電極活物質に使用した場合にサイクル特性や負荷特性の劣化を引き起こすものと推測される。
本発明は、オリビン型構造のLiFePOで表されるリチウム鉄複合酸化物を、3価の鉄化合物を原料成分として使用して製造することができ、かつ得られたリチウム鉄複合酸化物は高性能な電池特性を発現できるところに特徴がある。本発明においては、原料成分として使用可能な鉄化合物は3価の鉄を含む限り、広範囲な鉄化合物の中から選択して用いることができる。なかでも、入手と取り扱いが容易で、しかも安価であることから、3価の鉄を含む酸化鉄を用いるのが好ましい。酸化鉄としてはFeのみでなく、FeあるいはFeOOH等も好適に用いられる。異方性の強い針状酸化鉄も好適に用いられる。
本発明に使用される親水性が付与された炭素含有化合物としては、広範囲のものが使用できる。親水性が付与される炭素含有化合物としては、カーボンブラック類が好ましい。カーボンブラック類としては、カーボンブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、チャンネルブラック、ロールブラック、ディスクブラック、黒鉛化ブラック、アセチレンブラック等が挙げられる。これらのカーボンブラック類は本質的には疎水性であるが、本発明では、これに対して、好ましくは次の(1)〜(5)の手段により親水性が付与される。これらのカーボンブラック類の親水性の付与手段それ自体は知られており、例えば、それぞれ括弧内に記載されている文献により実施できる。
(1)水溶性アルコールや界面活性剤を添加した水性分散媒中にカーボンブラック類を展開する、或いは、表面にアルコールや界面活性剤、水溶性ポリマー等を吸着させてから水性分散媒中に展開する(米国特許5571311号明細書)。
(2)カーボンブラック類の表面にノニオン性、アニオン性、カチオン性等の親水基をグラフト重合する(特開平5−230410号公報、特開平6−128517号公報、特開平6−166954号公報)。
(3)硫酸、三酸化硫黄、スルホン化ピリジン塩等のスルホン化剤で処理して、カーボンブラック類の表面にスルホン酸基を導入する(特開平10−110112号公報、特開2004−253379号公報)。
(4)オゾン処理やプラズマ処理等の気相法、あるいは硝酸、過酸化水素水、過塩素酸ソーダ等で処理する液相法によりカーボンブラック類を酸化処理する(特開平10−120958号公報、特開2002−324557号公報)。
(5)水素や水素化リチウムアルミニウム等の還元剤でカーボンブラック類を処理する(特開平2002−129065号公報、特開2004−339428号公報)。
また、本発明で親水性が付与された炭素含有化合物としては、ホウ素を含有する炭素含有化合物がより好ましく、ホウ素含有のカーボンブラックが特に好ましい。炭素含有化合物中にホウ素は、好ましくは0.1〜5重量%、特に好ましくは0.5〜2重量%含有されるのが好適である。ホウ素を含有するカーボンブラックの製造方法も知られており、本発明ではこれらの既知の技術で実施できる。例えばアセチレンガスと気化したホウ酸トリメチルの混合ガスを2000℃程の加熱炉に噴霧することにより、ホウ素固溶のカーボンブラックを製造することができ、本発明に好適に用いられる。また粉砕した炭化ホウ素と粉砕したカーボンブラックを混合した後非酸化性雰囲気下、2500℃程で加熱することによっても製造できる。
本発明に用いられるリチウム化合物としてはリチウムを含有するものであればいずれも使用可能である。なかでも、取り扱いが容易な点からリチウムの酸化物、水酸化物、塩類、又はこれら化合物2種以上の混合物等が好ましい。
本発明に用いられるリン化合物も限定されるものではない。なかでも、入手し易く取り扱いが容易なことから、リン酸、リン酸鉄、リン酸リチウム、リン酸アンモニウム、又はリン酸トリエチルやリン酸2−エチルへキシルジフェニルといったリン酸エステル類が例示でき、いずれも好ましく使用できる。
上記のリチウム鉄複合酸化物の原料成分は、ビーズミルにて微細化処理される。微細化処理される原料成分としては、3価の鉄を含有する鉄化合物と親水性が付与された炭素含有化合物とを少なくとも含むことが必要である。しかし、これに加えて、LiFePO4で表されるリチウム鉄複合酸化物の製造に化学量論的に必要な一部、好ましくは全部のリチウム化合物及び/又はリン化合物を含むことが好ましい。この場合には、原料成分の微細化処理と同時に原料成分の均質混合も同時に実施できるので好適である。
本発明のビーズミルによる微細化処理は、3価の鉄化合物及と親水性が付与された炭素含有化合物とを少なくとも含む原料成分に分散媒を添加して調製したスラリーの形態において行われる。ビーズミルでは、原料成分を微細化するのみならず、互いに親和性が乏しくなじみ難い鉄化合物と炭素含有化合物を強く接触させ、相互に近接した位置に配置して均質に分散させる。本発明でビーズミルに供されるスラリーに含まれる3価の鉄化合物及び炭素含有化合物を始めとする各原料成分は、その一次粒子の平均直径を10μm以下に調整して使用するのが好ましい。特に、3価の鉄化合物は、一次粒子の平均径D50が10μm以下、特には6μm以下であるのが好ましい。一次粒子の平均径が10μmより大きいと、本発明に好適なビーズミルの条件では微細化に長時間を要したり、微細化が不十分であったりして好ましくない。
なお、本発明における原料成分の一次粒子とは、SEM観察で確認される一次粒子であり、結晶学上の一次粒子を指すものではない。
ビーズミルで使用されるビーズとしてはリチウム鉄複合酸化物の製造に支障にならない限り種々の材質のものが使用されるが、好ましくはジルコニアが使用される。また、ビーズの粒子直径は、好ましくは10mm以下、特に、好ましくは5mm以下、更に好ましくは0.03〜2mmが好適である。しかし、ビーズの粒子直径は0.03mmより小さくてもよい。スラリーの分散媒としては、水、水含有溶剤、ハイドロカーボン、又はハロゲン化カーボンなどの溶剤が使用可能である。なかでも、取り扱いが容易で安価であることから、水又は水含有媒体が好ましい。水含有媒体としては水を含有せしめた炭素数1〜5のアルコールが好ましく、特に含水2−プロパノールが好ましい。
本発明のビーズミルによる微細化処理では、ビーズの充填量、処理温度などの条件は、ビーズミルの通常の条件で実施される。なかでも、本発明のビーズミルでの処理は、3価の鉄化合物の平均一次粒子径をx(μm)とし、ビーズミルに使用するビーズの粒子径をy(mm)とするとき、鉄化合物の一次粒子径(μm)をx軸、ビーズミルに使用するビーズの粒子径(mm)をy軸で表した図1において、下記の(1)、(2)及び(3)を満足する条件にて微細化処理することが必要である。なお、ここで、3価の鉄化合物の平均一次粒子径は、SEM観察で求めたものあり、鉄化合物の粒子が球状でない場合、例えば、針状、円柱状、円盤状粒子などの場合には、長軸、即ち、大きい方の平均サイズを意味する。

(1)x≦0.6のとき、y≦10.0
(2)0.6<x≦2.0のとき、
y≦−0.342x+1.768x―3.158x+2.322
(3)2.0<x≦10.0のとき、y≦0.35

上記範囲において、ビーズミルにて微細化処理する場合には、3価の鉄化合物粒子と炭素含有化合物粒子の微細化と合わせてこれらの原料成分間で相互に強く作用する。かくして、従来困難であった、酸化鉄(Fe2など)等の3価の鉄化合物を鉄源として、高性能な電池特性を発現できる、所望の粒径を有する、オリビン型構造のLiFePO4で表されるリチウム鉄複合酸化物を安定して効率よく製造することが可能となる。
本発明によるビーズミルによる微細化処理は、なかでも、図1において、下記の(1)、(2)及び(3)を満足する条件にて実施した場合には、さらに、効果的に実施でき、特性の優れたオリビン型構造のリチウム鉄複合酸化物が得られる。

(1)x≦0.6のとき、y≦5.0
(2)0.6<x≦2.0のとき、
y≦−0.342x+1.768x―3.158x+2.322
(3)2.0<x≦10.0のとき、y≦0.35

このようにして、本発明では、ビーズミルで微細化処理された後のスラリー中の3価の鉄化合物粒子及び炭素含有化合物粒子などの原料成分の平均粒子径D50は1μm以下であるのが好ましい。なお、原料成分としては、D50が1μmより小さい原料成分を用いることも可能である。この場合、3価の鉄化合物と炭素含有化合物以外の原料成分は、ビーズミル処理を施されること無く他の原料成分と混合し、次の熱処理工程に供することも可能である。しかしながら、3価の鉄化合物及び炭素含有化合物は、いずれの平均粒子径D50が1μmより小さい場合であっても、又は、予めそれぞれ単独でビーズミルで微細化処理されてあった場合でも、それらを混合してスラリーにし、該スラリーをビーズミル処理に供することが好ましい。
上記原料成分を含むスラリーのビーズミルによる処理は、原料成分を構成する原料化合物を、それぞれ単独で、又は2以上の群に分割して、又は一括して1度に処理することもできる。一括して1度に処理する場合には、各原料化合物の微細化と同時に各原料の均質混合をも完了できる。
本発明は、次いで、微細化された原料成分粒子を凝集処理する。原料成分粒子を凝集させる方法は、スラリー中から水分を除去するなどの種々の手段で行うことができ、また、凝集させた粒子は乾燥状態で得られるのが好ましい。かくして、例えば、ビーズミルで微細化処理されたスラリーを、好ましくは攪拌してせん断力を加えながら加熱及び/又は減圧下に置き、原料成分の凝集、媒体の除去、及び乾燥を行う方法を用いるのが好ましい。これにより原料成分のほとんど全てを回収でき、得られる凝集粒子の粒径制御も容易にできる。
また、乾燥気流中にビーズミルで微細化処理されたスラリーを供給することにより原料成分の粒子の凝集と乾燥を同時に行う手段も好適に用いられる。さらに、ビーズミルで処理されたスラリーを噴霧乾燥することによっても原料成分の凝集と乾燥を同時に行うことができ、本発明に好適である。このようにして凝集処理された原料成分の凝集粒子は、平均粒子径D50が20μm以下であるのが好ましい。
こうして得られた原料成分の凝集粒子は、該凝集粒子がLiFePO4の合成に必要な化学量論量のリチウム化合物及びリン化合物を含む場合は、次いで、熱処理される。一方、上記凝集粒子がLiFePO4の合成に必要な化学量論量のリチウム化合物及び/又はリン化合物を含まない場合には、これに対してリチウム化合物及び/又はリン化合物の粒子が添加される。この場合、添加されるリチウム化合物及び/又はリン化合物の粒子の量は、添加後の凝集粒子の熱処理によりLiFePO4の合成に必要な化学量論量になるようにせしめられる。また、添加されるリチウム化合物及び/又はリン化合物の粒子径は、平均粒子径が好ましくは10μm以下、特には6μm以下であるのが好適である。これらの粒子の添加は、乾式法でも湿式法でも行うことができる。
本発明では、次いで、原料成分の凝集粒子を300〜1150℃、好ましくは350〜1100℃にて熱処理する。該熱処理により、LiFePOで表されるリチウム鉄複合酸化物が合成される。熱処理温度は300℃より低いと合成反応は進行し難く、また1150℃より高いと目的外の反応生成物を多発してしまい、修復困難となる。熱処理の時間は、熱処理に供する原料成分の微細化の度合い、混合の均一性、処理システム、温度等により、好ましい処理時間は大きく変化する。本発明では数秒〜48時間の範囲で熱処理されるのが好ましい。前記処理時間の範囲外での熱処理も可能であるが、秒オーダー以下で、また、48時間を超えて熱処理しても特性向上にはつながり難い。
本発明における熱処理は、本質的に3価の鉄化合物を2価の鉄化合物に還元してオリビン型構造LiFePOの合成反応を進行させるものであるため、本来、処理雰囲気の酸素濃度はLiFePOの合成反応に影響を与える。しかし、本発明においては、前記のビーズミルでの処理及び凝集処理により、原料成分中には還元剤として機能する炭素含有化合物と鉄化合物が近傍に存在するため、大気雰囲気そのままでも熱処理を完了させることが可能である。また、特に短時間の熱処理で反応を完結させる手法を用いた場合や、熱処理雰囲気中に占める雰囲気ガスの比率が原料に対して小さい場合も支障はない。
熱処理を不活性雰囲気、あるいは不活性気流中で行うこともできる。熱処理雰囲気を不活性にすることにより、設備や処理条件面での制約が少なくなり、種々の熱処理手法を採用することが可能となることから好ましい。さらに、本発明では水素や一酸化炭素といった還元性のガス雰囲気下で熱処理することも可能である。原料成分の過剰な還元を防止するため、窒素等の不活性ガスで還元性ガスを希釈して使用するのも有効である。
本発明においては、噴霧熱分解の手法を用いて原料成分のスラリーからLiFePOを直接合成することもできる。本発明において、ビーズミル処理されたスラリーを、適切な前記の熱処理温度に調整された炉内に噴霧しながら供給することにより、凝集処理、乾燥、及び熱処理を一つの工程で進行させ、LiFePOを合成することができるため好ましい。噴霧熱分解中の雰囲気制御は、噴霧に圧縮空気、不活性ガスあるいは還元性ガスを用いることにより調整できる。さらに燃焼炉を用い、還元炎中にスラリーを噴霧して還元反応を進行させる手法を用いることも可能である。
本発明で製造されるオリビン型構造のリチウム鉄複合酸化物には、粉体特性及び電気化学特性の改良目的で、前記の鉄化合物、リチウム化合物、リン化合物及び炭素含有化合物以外の物質を配合することができる。例えば、亜鉛、アルミニウム、硫黄、インジウム、カドミウム、ガリウム、カルシウム、クロム、コバルト、ジルコニウム、錫、ストロンチウム、セリウム、タングステン、タンタル、チタン、銅、トリウム、鉛、ニオブ、ニッケル、バナジウム、バリウム、ビスマス、フッ素、ベリリウム、ホウ素、マグネシウム、マンガン、モリブデン等を、それらの単体あるいは種々の化合物(例えば、その酸化物、水酸化物、過酸化物、塩類、アルコキシド、アシレート、キレート類等)の粉体、液体、溶液、分散液等の形態で、また、単独あるいは2種以上の組み合わせで好適に用いることができる。それらは本発明のリチウム鉄複合酸化物の内部及び/又は表面に配合される。
これらの物質は、上記したリチウム鉄複合酸化物の製造過程において、原料成分あるいは更なる原料成分として用いてもよいし、また、リチウム鉄複合酸化物が合成された後に、リチウム鉄複合酸化物に添加することもできる。
本発明の製造方法で得られるオリビン型構造のリチウム鉄複合酸化物は、電池電極、二次電池用電極の正極活物質として有効に使用される。特にリチウム一次電池を含めた、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、リチウムポリマー電池等の非水電解液二次電池用正極活物質として極めて有効である。本発明の電極活物質を用いた非水電解液二次電池は、大きな充放電容量と高いエネルギー密度を持ち、優れたサイクル特性、高負荷特性、低温特性、高温特性、安全性を発現する。特にパワーの取れるエネルギー密度及び高負荷特性と、信頼性高い安全性を両立できた本発明の製造方法で得られるリチウム鉄複合酸化物は、中・大型二次電池や車載用二次電池の正極活物質として有効に適用できる。
以下に実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。なお、実施例において、容量維持率は以下の式で求めた。
容量維持率(%)=100サイクル目の放電容量/初期放電容量× 100
例1
長軸方向の粒子径1.5μm、短軸方向の粒子径0.3μmの針状結晶が凝集したものとSEMで観察された鉄含有量が69.2重量%である針状酸化鉄(Fe2)の322.8g、リン酸二水素アンモニウムの460.1g、炭酸リチウムの147.8gをステンレスバットに秤量した。これに対して、50gの2−プロパノール(IPA)で濡らした24.2gのカーボンブラック(炭素含有量95.7重量%)を4kgの純水に展開した分散液を加えて撹拌し、スラリーを調製した。このスラリーを直径0.3mmのジルコニアビーズを用いてビーズミルで2時間微細化処理し、D50が0.38μmの原料成分スラリーを得た。次にこのスラリーをスプレー乾燥し、D50が4.63μmの原料成分粉体を得た。
この原料成分粉体を、0.8リットル/分の窒素ガス気流中600℃にて5時間熱処理し、D50が5.29μmのLiFePO(A)536gを得た。
上記で得られた(A)90重量部、カーボン5重量部、及びポリフッ化ビニリデン5重量部に20重量部のN−メチルピロリドンを加えて混練りし、ペーストとした。このペーストをアルミ箔に塗布して乾燥後、圧延して所定の大きさに打ち抜き、正極板とした。また別途、95重量部のカーボンと5重量部のポリフッ化ビニリデンに20重量部のN−メチルピロリドンを加えて混練りしてペーストとし、このペーストを銅箔に塗布して乾燥後、圧延して所定の大きさに打ち抜き、負極板とした。
こうして得られた正極板、負極板にそれぞれリード線を取り付け、ポリオレフィン系セパレータを介してステンレス製セルケースに収納した。続いて、エチレンカーボネートとジエチレンカーボネートの混合液に六フッ化リン酸リチウムを1モル/リットル溶かした電解質溶液を注入し、モデルセルとした。電池特性は充放電測定装置を用い、25℃において充電電流0.6mA/cm2で電池電圧4.3Vになるまで充電した後放電電流2.0mA/cm2(1.25Cレートに相当)で2.0Vになるまで放電する充放電の繰り返しを行い、初期放電容量と100サイクル後の放電容量を求めて評価した。その結果を表1に示した。
例2(比較例)
例1において、微細化処理して得た原料成分スラリーを25℃にて10日間静置した。これにより、親水性を失ったカーボンブラックがスラリー液面上に浮いていた。このスラリーをスプレー乾燥したことを除き、例1と同様にしてD50が11.6μmのLiFePO(B)527gを得た。
例1において、(A)の代わりに上記で得られた(B)を用いたことを除き、例1と同様にして、モデルセルを作成して充放電特性を調べた。その結果を表1に示した。
例3
例1で用いた針状酸化鉄の322.8gと50gのIPAで濡らした24.2gのカーボンブラックをステンレスバットに秤量し、純水を加えて2kgのスラリーを調製した。このスラリーを直径0.3mmのジルコニアビーズを用いてビーズミルで1時間微細化処理した後、これに460.1gのリン酸二水素アンモニウムと147.8gの炭酸リチウムとを含有する3kgの水性スラリーを添加し、さらに直径1.0mmのジルコニアビーズを用いてビーズミルで30分間微細化処理した。この微細化処理されたスラリーをスプレー乾燥し、D50が4.87μmの原料成分粉体を得た。得られた原料成分粉体を例1と同様にして熱処理し、D50が6.07μmのLiFePO(C)522gを得た。
例1において、(A)の代わりに上記で得られた(C)を用いたことを除き、例1と同様にして、モデルセルを作成して充放電特性を調べた。その結果を表1に示した。
例4(比較例)
例3において、30分間の微細化処理後の原料成分スラリーを25℃にて10日間静置した。これにより、親水性を失ったカーボンブラックがスラリー液面上に浮いていた。このスラリーをスプレー乾燥したことを除き、例3と同様にしてD50が510.4μmのLiFePO(D)515gを得た。
例1において、(A)の代わりに上記で得られた(D)を用いたことを除き、例1と同様にして、モデルセルを作成して充放電特性を調べた。その結果を表1に示した。
例5
750〜800℃に調整したチューブ炉に、アセチレンガスを200リットル/時間、ホウ酸トリメチルを36ミリリットル/時間の供給速度で噴霧し、ホウ素含有のアセチレンブラックを得た。このホウ素含有アセチレンブラックをアルゴン雰囲気下2800℃にて処理してホウ素固溶のカーボンブラックを得た。得られたホウ素固溶カーボンブラックは、ホウ素含有量1.21重量%、炭素含有量94.3重量%であった。
このホウ素固溶カーボンブラックの24.2g、例1で用いた針状酸化鉄の322.8g、リン酸二水素アンモニウムの460.1g、炭酸リチウムの147.8gをステンレスバットに秤量し、純水を加えて5kgのスラリーを調製した。このスラリーを直径0.2mmのジルコニアビーズを用いてビーズミルで1時間微細化処理し、D50が0.19μmの原料成分スラリーを得た。次いで、この原料成分スラリーをスプレー乾燥し、D50が8.35μmの原料成分粉体を得た。
上記で得られた原料成分粉体を、水素ガスを10vol%含有した窒素ガスを0.8リットル/分流しながら550℃にて5時間熱処理し、D50が9.32μmのLiFePO(E)524gを得た。(E)のX線回折パターン、粒径分布、SEM観察写真をそれぞれ図2、図3、図4に示した。図より、微細な一次粒子の凝集した、結晶性良好なLiFePOであることがわかる。
例1において、(A)の代わりに上記で得られた(E)を用いたことを除き、例1と同様にして、モデルセルを作成して充放電特性を調べた。その結果を表1に示した。
例6
例5において、微細化処理後の原料成分スラリーを25℃にて10日間静置した。スラリーの形態に変化は見られなかった。これはホウ素固溶カーボンブラックが恒久的に親水性であることによる。このスラリーをスプレー乾燥したことを除き、例5と同様にしてD50が8.94μmのLiFePO(F)536gを得た。
例1において、(A)の代わりに上記で得られた(F)を用いたことを除き、例1と同様にして、モデルセルを作成して充放電特性を調べた。その結果を表1に示した。
例7
変性ポリカルボン酸のアミン塩を主成分とした分散剤が1重量%含まれる水溶液300gに、カーボンブラック(炭素含有量95.7重量%)の24.2gを加えてカーボンブラック分散液を調製した。次に、平均して粒子径1.8μmの塊状結晶が凝集したものとSEM観察される鉄含有量が69.0重量%の擬似球状酸化鉄(Fe2)の323.8g、リン酸二水素アンモニウムの460.1g、炭酸リチウムの147.8gをステンレスバットに秤量し、これに前記で調製したカーボンブラック分散液を加えてなじませた後、純水を加えて5kgのスラリーを得た。このスラリーを直径0.2mmのジルコニアビーズを用いてビーズミルで1時間微細化処理し、D50が0.3μmの原料成分スラリーを得た。この原料成分スラリーをスプレー乾燥し、D50が3.85μmの原料成分粉体を得た。
得られた原料成分粉体を、0.8リットル/分の窒素ガス気流中600℃にて5時間熱処理し、D50が5.29μmのLiFePO(G)529gを得た。
例1において、(A)の代わりに上記で得られた(G)を用いたことを除き、例1と同様にして、モデルセルを作成して充放電特性を調べた。その結果を表1に示した。
例8
例7において、微細化処理後の原料成分スラリーを25℃にて10日間静置した。スラリーの形態に変化は見られなかった。これは分散剤にて処理したカーボンブラックが長期に親水性を有していることを示す。このスラリーをスプレー乾燥したことを除き、例7と同様にしてD50が4.09μmのLiFePO(H)523gを得た。
例1において、(A)の代わりに上記で得られた(H)を用いたことを除き、例1と同様にして、モデルセルを作成して充放電特性を調べた。その結果を表1に示した。
例9
例1で用いたカーボンブラック(炭素含有量95.7重量%)の250gと炭化ホウ素の10gを混合撹拌した後、アルゴン雰囲気下2800℃の黒鉛化炉で黒鉛化処理し、ホウ素含有量1.25重量%のカーボンブラックを得た。
次いで、得られた親水性のホウ素含有カーボンブラックの24.2g、長軸方向の粒子径0.4μm、短軸方向の粒子径0.1μm以下の針状結晶が凝集したものとSEM観察される鉄含有量67.5重量%の針状酸化鉄の330.9g、リン酸二水素アンモニウムの460.1g及び、炭酸リチウムの147.8gをステンレスバットに秤量し、純水を加えて5kgのスラリーを調製した。このスラリーを直径0.5mmのジルコニアビーズを用いてビーズミルで1時間微細化処理し、D50が0.25μmの原料成分スラリーを得た。このスラリーをスプレー乾燥し、D50が3.92μmの原料成分粉体を得た。
得られた原料成分粉体を、0.8リットル/分の窒素ガス気流中600℃にて5時間熱処理し、D50が4.55μmのLiFePO(J)535gを得た。
例1において、(A)の代わりに上記で得られた(J)を用いたことを除き、例1と同様にして、モデルセルを作成して充放電特性を調べた。その結果を表1に示した。
例10
例9において、微細化処理後の原料成分スラリーを25℃にて10日間静置した。スラリーの形態に変化は見られなかった。このスラリーをスプレー乾燥したことを除き、例9と同様にしてD50が4.38μmのLiFePO(K)532gを得た。
例1において、(A)の代わりに上記で得られた(K)を用いたことを除き、例1と同様にして、モデルセルを作成して充放電特性を調べた。その結果を表1に示した。
Figure 0004829557
本発明の好ましいビーズミルでの微細化処理条件を表した図で、横軸は原料の3価の鉄化合物の一次粒子径、縦軸はビーズミルに使用するビーズの粒子径を示している。図中の横軸、縦軸及び破線で囲まれた範囲が、本発明の好ましい微細化処理条件である。 例5で調製したLiFePO(C)のX線回折パターン図。 例5で調製したLiFePO(C)及びその原料成分スラリー、原料成分粉体の粒径分布図。 例5で調製したLiFePO(C)の走査電子顕微鏡(SEM)観察写真。

Claims (10)

  1. オリビン型構造のLiFePO4で表されるリチウム鉄複合酸化物の製造方法であって、原子価数3の鉄を含有する鉄化合物、親水性が付与された炭素含有化合物、リチウム化合物、並びにリン化合物のうち、前記原子価数3の鉄を含有する鉄化合物及び前記炭素含有化合物を少なくとも含む原料成分と、分散媒とを含むスラリーをビーズミルで微細化処理し、得られる微細化粒子を凝集処理した粒子、又は上記スラリーがLiFePO4の合成に必要な化学量論量のリチウム化合物及び/又はリン化合物を含まない場合には、上記凝集した粒子に対してリチウム化合物及び/又はリン化合物を添加した混合物を300〜1150℃で熱処理することを特徴とするリチウム鉄複合酸化物の製造方法。
  2. 前記炭素含有化合物が、カーボンブラック類である請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記親水性が付与された炭素含有化合物が、ホウ素を含有するカーボンブラック類である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記微細化処理が、図1における、下記の(1)、(2)及び(3)を満足する条件(但し、xは鉄化合物の平均一次粒子径(μm)、yはビーズミルに使用するビーズの粒子径(mm)を表す。)にてビーズミルで微細化処理する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
    (1)x≦0.6のとき、y≦10.0
    (2)0.6<x≦2.0のとき、
    y≦−0.342x+1.768x−3.158x+2.322
    (3)2.0<x≦10.0のとき、y≦0.35
  5. 前記スラリー中の原料成分が、LiFePO4の合成に必要な化学量論量のリチウム化合物及び/又はリン化合物を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記分散媒が、水又は水を含有する媒体である請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記凝集処理が、ビーズミルでの微細化処理後のスラリーから微細化された原料成分を分離・回収して成される請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記熱処理が、大気中、不活性雰囲気中、又は還元雰囲気中で成される請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 前記凝集処理及び熱処理が、ビーズミルで微細化処理後のスラリーを加熱炉中に噴霧して成される請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法で得られたリチウム鉄複合酸化物を含有する非水電解質二次電池用の電極活物質。
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