JP5407232B2 - 二次電池用正極活物質とその製造方法及びそれを用いた二次電池 - Google Patents
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一方、上記層状もしくはスピネル型リチウム金属複合酸化物自体の安全性を高める方法についても、これまでに様々な検討がなされている。
さらに、リチウムニッケル酸化物粒子の表面にリチウム化合物を添着させた非水電解質リチウムイオン二次電池用正極材料が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、これらの提案では、層状酸化物やスピネル型酸化物においては、充電状態(リチウムを放出した状態)で高温にしたときに酸素を離しやすいという根本的な問題が解決されないため、安全性の面ではさらなる改善が求められていた。
(イ)リチウム塩、Fe及びCoの2種の金属化合物、リン酸塩、並びに酸化インジウムの各原料粉末を、下記の一般式(1)で表されるオリビン型リン酸リチウムとなるように、配合割合を調整して、混合する。
一般式(1):LixM1−yInyPO4・・・(1)
(式中、x、yは、0.95≦x≦1.05、0.05≦y≦0.10であり、Mは、Fe及びCoの2種の元素である。)
(ロ)混合した原料粉末を、700〜1000℃の温度で加熱処理を行う。
1.二次電池用正極活物質の製造方法
本発明の二次電池用正極活物質の製造方法は、下記(イ)、(ロ)の工程を含むことを特徴とする、一般式(1)で表されるオリビン型リン酸リチウムからなる二次電池用正極活物質の製造方法である。
(イ)リチウム塩、金属化合物、リン酸塩、及び酸化インジウムの各原料粉末を、下記の一般式(1)で表されるオリビン型リン酸リチウムとなるように、配合割合を調整して、混合する。
一般式(1):LixM1−yInyPO4・・・(1)
(式中、x、yは、0.95≦x≦1.05、0.05≦y≦0.10であり、Mは、Mn、Fe、Co、Ni、Cu又はZnから選ばれる少なくとも1種の元素である。)
(ロ)混合した原料粉末を、700〜1000℃の温度で加熱処理を行う。
すなわち、一般的に、二次電池の充放電容量は、正極活物質内のリチウムイオンが可逆的に出入りすることで進行する。したがって、正極活物質の充放電容量を十分に発揮させるためには、その材料の結晶性を高めること、即ち、規則正しい結晶構造にすることが必要である。その最も簡便で効果的な方法としては、結晶化のための熱処理の温度を高めることである。しかしながら、通常、熱処理の温度を上げることにより、焼結が進みやすくなるので、粒子の成長によって粒子サイズの増大化は避けられない。
上記(イ)の工程は、リチウム塩、金属化合物、リン酸塩、及び酸化インジウムの各原料粉末を、下記の一般式(1)で表されるオリビン型リン酸リチウムとなるように、配合割合を調整して、混合する工程である。
:LixM1−yInyPO4・・・(1)
(式中、x、yは、0.95≦x≦1.05、0.05≦y≦0.10であり、Mは、Mn、Fe、Co、Ni、Cu又はZnから選ばれる少なくとも1種の元素である。)
上記リチウム塩としては、特に限定されるものではなく、リチウムの水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物、炭酸塩、硝酸塩、リン酸塩及びハロゲン化物からなる群から選ばれる少なくとも1種が用いられるが、この中で、水酸化リチウム、炭酸リチウム又はリン酸リチウムであることが好ましい。
上記(ロ)の工程は、(イ)の工程で混合した原料粉末を、700〜1000℃の温度で加熱処理を行う工程である。
これにより、インジウムを所定の組成割合で含有するオリビン型リン酸リチウムを合成する。すなわち、加熱温度が700℃未満では、金属酸化物、リン酸塩、及び酸化インジウムとリチウム塩との反応が十分に進まず、所望の組成のオリビン型リン酸リチウムを合成することが難しくなる。一方、加熱温度が1000℃を超えると、焼成工程における設備導入及び運用上のコスト上昇が避けられないため、工業的に好ましくなく、しかも、結晶の焼結があまりにも過剰に進みすぎてしまい、インジウム添加による焼結抑制効果が得られにくい。
また、加熱時間としては、特に限定されないが、原料粉末量、得られるオリビン型リン酸リチウムの結晶性を考慮しながら、任意の時間にすることができる。
本発明の二次電池用正極活物質は、上記製造方法で得られる、下記の一般式(1)で表される、インジウムを所定の範囲に含有するオリビン型リン酸リチウムからなることを特徴とする。
一般式(1):LixM1−yInyPO4・・・(1)
(式中、x、yは、0.95≦x≦1.05、0.05≦y≦0.10であり、Mは、Mn、Fe、Co、Ni、Cu又はZnから選ばれる少なくとも1種の元素である。)
ここで、置換したインジウムは、粉末X線回折による測定では、異相として検出されておらず、完全に上記一般式(1)で表されるオリビン型リン酸リチウム中の金属サイトに固溶しており、充放電容量の低下を引き起こすことはほとんどない。
また、上記二次電池用正極活物質の平均二次粒子の形状としては、略球形であることが好ましい。すなわち、インジウムで微量置換することによって、オリビン型リン酸リチウムの二次粒子の形状としては、略球形になりやすくなる。これにより、正極活物質材料として用いたとき、粒子が詰まりタップ密度が高くなりいため、電池容量が高くなるという効果がある。
本発明の二次電池は、上記インジウムを含有するオリビン型リン酸リチウムからなる二次電池用正極活物質を正極に用いてなる二次電池である。
ここで、上記二次電池は、正極、負極および電解液などからなり、一般の二次電池と同様の構成要素により構成される。なお、以下で説明する実施形態は例示に過ぎず、本発明の二次電池は、本明細書に記載されている実施形態を基に、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。また、本発明の二次電池は、その用途を特に限定するものではない。
まず、粉末状の正極活物質、導電材、結着剤を混合し、さらに必要に応じて活性炭、粘度調整等の目的の溶剤を添加し、これを混練して正極合材ペーストを作製する。正極合材ペースト中のそれぞれの混合比も、二次電池の性能を決定する重要な要素となる。溶剤を除いた正極合材の固形分の全質量を100質量部とした場合、一般の非水系電解質二次電池の正極と同様、正極活物質の含有量を50〜95質量部とし、導電材の含有量を1〜30質量部とし、結着剤の含有量を1〜20質量部とすることが望ましい。
得られた正極合材ペーストを、例えば、アルミニウム箔製の集電体の表面に塗布し、乾燥して、溶剤を飛散させる。必要に応じ、電極密度を高めるべく、ロールプレス等により加圧することもある。このようにして、シート状の正極を作製することができる。シート状の正極は、目的とする電池に応じて適当な大きさに裁断等をして、電池の作製に供することができる。ただし、正極の作製方法は、前記例示のものに限られることなく、他の方法によってもよい。
上記結着剤は、活物質粒子をつなぎ止める役割を果たすもので、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエン、セルロース系樹脂、ポリアクリル酸などを用いることができる。
さらに、必要に応じ、正極活物質、導電材、活性炭を分散させ、結着剤を溶解する溶剤を正極合材に添加する。溶剤としては、具体的には、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。また、正極合材には、電気二重層容量を増加させるために、活性炭を添加することもできる。
ただし、本発明の二次電池は、上記正極活物質を用いる点に特徴を有するものであり、その他の構成要素は特に限定されるものではない。
上記負極としては、例えば、金属リチウム、リチウム合金等、また、リチウムイオンを吸蔵・脱離できる負極活物質に結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を、銅等の金属箔集電体の表面に塗布、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成したものを使用する。
上記負極活物質としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、フェノール樹脂等の有機化合物焼成体、コークス等の炭素物質の粉状体を用いることができる。この場合、負極結着剤としては、正極同様、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂等を用いることができ、これら活物質および結着剤を分散させる溶剤としてはN−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。
(2)正極活物質の平均二次粒子径の測定:レーザー散乱式粒度測定装置(日機装製 マイクロトラックHRA)で測定した粒度分布から、D50(累積分布率50質量%での粒度を求めた。
まず、リン酸リチウム、シュウ酸鉄2水和物、一酸化コバルト、リン酸二水素アンモニウム、酸化インジウムを、それぞれ所定の元素比で乳鉢によって混合し、続いて窒素雰囲気下において900℃の温度で12時間加熱処理を行い、組成がLi1.00Fe0.65Co0.30In0.05PO4で表されるオリビン型リン酸リチウムからなる正極活物質粉末を得た。
その後、得られた正極活物質の組成、平均二次粒子径(D50)、及び放電容量を上記評価方法により評価した。結果を表1に示す。
また、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM(HITACHI社製、S−4700)を用いて正極活物質の表面写真を得た。図2に示す。
組成がLi1.00Fe0.65Co0.30In0.10PO4であったこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得て、得られた正極活物質の組成、平均二次粒子径(D50)、及び放電容量を上記評価方法により評価した。結果を表1に示す。
加熱処理温度が700℃であったこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得て、得られた正極活物質の組成、平均二次粒子径(D50)、及び放電容量を上記評価方法により評価した。結果を表1に示す。
加熱処理温度が1000℃であったこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得て、得られた正極活物質の組成、平均二次粒子径(D50)、及び放電容量を上記評価方法により評価した。結果を表1に示す。
組成がLi1.00Fe0.65Co0.35PO4であったこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得て、得られた正極活物質の組成、平均二次粒子径(D50)、及び放電容量を上記評価方法により評価した。結果を表1に示す。
また、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM(HITACHI社製、S−4700)を用いて正極活物質の表面写真を得た。図3に示す。
組成がLi1.00Fe0.65Co0.30In0.15PO4であったこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得て、得られた正極活物質の組成、平均二次粒子径(D50)、及び放電容量を上記評価方法により評価した。結果を表1に示す。
加熱処理温度が600℃であったこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得て、得られた正極活物質の組成、平均二次粒子径(D50)、及び放電容量を上記評価方法により評価した。結果を表1に示す。
これに対し、比較例1〜3では、インジウムの配合割合又は加熱処理温度がこれらの条件に合わないので、平均二次粒子径又は放電容量のいずれかによって満足すべき結果が得られないことが分かる。
さらに、固相合成という低コストにできる製造方法を用いて、良好な物性を持つ正極活物質が得られるという点において、電気エネルギーで駆動する電気自動車用の電源のみならず、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等の燃焼機関と併用するいわゆるハイブリッド車用の電源としても用いることができる。
2 セパレータ(電解液含浸)
3 正極(評価用電極)
4 ガスケット
5 負極缶
6 正極缶
7 集電体
Claims (4)
- 下記(イ)、(ロ)の工程を含むことを特徴とする二次電池用正極活物質の製造方法。
(イ)リチウム塩、Fe及びCoの2種の金属化合物、リン酸塩、並びに酸化インジウムの各原料粉末を、下記の一般式(1)で表されるオリビン型リン酸リチウムとなるように、配合割合を調整して、混合する。
一般式(1):LixM1−yInyPO4・・・(1)
(式中、x、yは、0.95≦x≦1.05、0.05≦y≦0.10であり、Mは、Fe及びCoの2種の元素である。)
(ロ)混合した原料粉末を、700〜1000℃の温度で加熱処理を行う。 - 前記リチウム塩は、水酸化リチウム、炭酸リチウム又はリン酸リチウムであることを特徴とする請求項1に記載の二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記金属化合物は、Fe及びCoの2種の金属の酸化物、リン酸塩、水酸化物、シュウ酸塩、酢酸塩、又は硝酸塩であることを特徴とする請求項1に記載の二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記リン酸塩は、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、又は無水リン酸であることを特徴とする請求項1に記載の二次電池用正極活物質の製造方法。
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