JP5145994B2 - 非水系電解質二次電池用正極活物質とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、非水系電解質二次電池用正極活物質とその製造方法に関する。また、当該正極活物質を用いた非水系電解質二次電池に関する。
近年、携帯電話やノート型パソコンなどの携帯電子機器の普及にともない、高いエネルギー密度を有する小型で軽量な非水系電解質二次電池の開発が強く要望されている。このような二次電池として、リチウムイオン二次電池がある。リチウムイオン二次電池は、負極および正極と電解液などで構成され、負極および正極の活物質として、リチウムを脱離および挿入することが可能な材料が用いられている。
このようなリチウムイオン二次電池については、現在、研究開発が盛んに行われているところである。この中でも、リチウム金属複合酸化物、特に合成が比較的容易なリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)を正極材料に用いたリチウムイオン二次電池は、4V級の高い電圧が得られるため、高いエネルギー密度を有する電池として実用化が進んでいる。このリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)を用いたリチウムイオン二次電池では、優れた初期容量特性やサイクル特性を得るための開発がこれまで数多く行われてきており、すでにさまざまな成果が得られている。
しかし、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)は、原料に希産で高価なコバルト化合物を用いているため、電池のコストアップの原因となる。このため、正極活物質として、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)以外を用いることが望まれている。
また、最近は、携帯電子機器用の小型二次電池だけではなく、電力貯蔵用や、電気自動車用などの大型二次電池として、リチウムイオン二次電池を適用することへの期待も高まってきている。このため、正極材料のコストを下げ、より安価なリチウムイオン二次電池の製造を可能とすることは、広範な分野への大きな波及効果が期待できる。
リチウムイオン二次電池用正極活物質として新たに提案されている材料としては、コバルトよりも安価なマンガンを用いたリチウムマンガン複合酸化物(LiMn24)や、ニッケルを用いたリチウムニッケル複合酸化物(LiNiO2)を挙げることができる。
リチウムマンガン複合酸化物(LiMn24)は、原料が安価である上、熱安定性、特に、発火などについての安全性に優れるため、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)の有力な代替材料であるといえるが、理論容量がリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)のおよそ半分程度しかないため、年々高まるリチウムイオン二次電池の高容量化の要求に応えるのが難しいという欠点を有している。また、45℃以上では、自己放電が激しく、充放電寿命も低下してしまうという問題もある。
一方、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO2)は、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)とほぼ同じ理論容量を持ち、リチウムコバルト複合酸化物よりもやや低い電池電圧を示す。このため、電解液の酸化による分解が問題になりにくく、より高容量が期待できることから、開発が盛んに行われている。しかし、ニッケルを他の元素で置換せずに、純粋にニッケルのみで構成したリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質として用いてリチウムイオン二次電池を作製した場合、リチウムコバルト複合酸化物を正極活物質として用いた場合に比べサイクル特性が劣ってしまう。また、高温環境下で使用されたり保存されたりした場合に、比較的電池性能を損ないやすいという欠点も有している。
このような欠点を解決するために、例えば特許文献1では、高温環境下での保存や使用に際して良好な電池性能を維持することのできる正極活物質として、LiwNixCoyz2(0.05≦w≦1.10、0.5≦x≦0.995、0.005≦z≦0.20、x+y+z=1)で表されるコバルトとホウ素が添加されたリチウムニッケル複合酸化物が提案されている。
また、特許文献2では、リチウムイオン二次電池の自己放電特性やサイクル特性を向上させることを目的として、LixNiaCobc2(0.8≦x≦1.2、0.01≦a≦0.99、0.01≦b≦0.99、0.01≦c≦0.3、0.8≦a+b+c≦1.2、Mは、Al、V、Mn、Fe、CuおよびZnから選ばれる少なくとも1種の元素)で表されるリチウムニッケル複合酸化物が提案されている。
しかしながら、これらの製造方法によって得られたリチウムニッケル複合酸化物では、リチウムコバルト複合酸化物に比べて充電容量および放電容量がともに高く、サイクル特性も改善されているが、満充電状態で高温環境下に放置しておくと、リチウムコバルト複合酸化物に比べて低い温度からリチウムニッケル複合酸化物の分解による酸素放出を起こすといった問題がある。さらに、高温環境下で不安定となったリチウムニッケル複合酸化物の中のニッケルが、電解液と接触することにより触媒的な働きをし、放出された酸素との反応を促進し発火しやすくなるという安全性の問題がある。
このような問題を解決するために、例えば特許文献3では、リチウムイオン二次電池正極材料の熱安定性を向上させることを目的として、LiabNicCode(Mは、Al、Mn、Sn、In、Fe、V、Cu、Mg、Ti、Zn、Moからなる群から選択される少なくとも一種の金属であり、かつ0<a<1.3、0.02≦b≦0.5、0.02≦d/c+d≦0.9、1.8<e<2.2の範囲であって、さらにb+c+d=1である)で表されるリチウム金属複合酸化物が提案されている。この場合に添加元素として、Mに例えばアルミニウムを選択した場合、ニッケルからアルミニウムへの置換量を多くすれば正極活物質の分解反応は抑えられ、熱安定性は向上することが確かめられている。しかし、十分な安定性を確保するのに有効なアルミニウムでニッケルを置換すると、充放電反応にともない酸化還元反応に寄与するニッケルの量が減少するため、電池性能として最も重要である初期容量が大きく低下するという問題点を有している。これは、アルミニウムが3価で安定していることから、ニッケルも電荷を合わせるため3価で安定し、酸化還元反応に寄与しない部分が生ずるために容量低下が起こるものと考えられる。
近年、携帯電子機器等に用いる小型二次電池に対する高容量化の要求は高まる一方であるが、安全性を確保するために容量を犠牲にすることは、リチウムニッケル複合酸化物の高容量のメリットを失うことになり高容量化の要求に応えられなくなる。また、リチウムイオン二次電池を大型二次電池の用途に適用しようという動きも盛んであり、中でもハイブリッド自動車用、電気自動車用の電源としての期待が大きい。このように自動車用の電源として用いられる場合、安全性に劣るというリチウムニッケル複合酸化物の問題点の解消は大きな課題である。
そこで、安全性を改善するため、正極活物質の周りを異種化合物で被覆し、正極活物質と電解液との直接的な接触を防ぐ方法が提案されている。例えば、非特許文献1では、リチウムニッケル複合酸化物の表面にマグネシウム酸化物をコーティングし熱安定性を向上させることを提案している。しかしながら、かかるリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質として用いた二次電池では、充放電容量が低下しており、高容量と安全性の両立という課題を満たしているとは言い難い。
また、特許文献4では、リチウム二次電池の正極用層構造酸化物の表面をリチウム移金属酸化物でコーティングすることが提案されている。この技術では、表面処理用原料溶液を、有機酸とアンモニアでpHを5〜9に調整し、溶液濃度を0.1〜2モル濃度に調節したのち層構造酸化物を添加して、コーティングされた層構造酸化物を500〜850℃、3〜48時間で熱処理することにより、リチウム移金属酸化物で表面を層状にコーティングされた層構造酸化物からなる正極活物質を得ている。しかしながら、リチウム移金属酸化物として、LiMn2-XM1X4、LiCo1-XAlX2、LiNi1-XAlX2、LiNi1-X-YCoXAlY2、LiNi1-X-Y-ZCoXM1YM2Z2(M1とM2は、Al、Ni、Co、Fe、Mn、V、Cr、Cu、Ti、W、Ta、MgまたはMo、0≦X<0.5、0≦Y<0.5、0≦Z<0.5)が挙げられているが、これらはリチウムイオンの移動が可能な酸化物であるにもかかわらず、かかる正極活物質を用いても、約8%もの充放電容量の低下が生じている。このように、この提案においても高容量と安全性の両立という課題を満たしているとは言い難い。
さらに、特許文献5では、リチウムニッケル酸化物粒子の表面にコバルト酸リチウム、マンガン酸リチウムなどのリチウム化合物をそれぞれ単独で、メカノフュージョンを用いて添着させた非水電解質リチウムイオン二次電池用正極材料が提案されている。しかしながら、この提案は電解液分解の抑制を目的としたものであって、高容量と安全性の両立を目的としたものではない。また、表面に添着させる態様として層状に被覆させる場合および塊状に点在化させる場合が提案されているが、いずれの態様においても長所と短所を有しており、この観点から見ても高容量と安全性を両立させているとは言い難い。
以上のように、高い充放電容量と熱安定性および安全性を両立させたリチウム金属複合酸化物は見出されておらず、これらの問題を解決した非水系電解質二次電池が望まれている。
特開平8−45509号公報 特開平8−213015号公報 特開平5−242891号公報 特開2002−231227号公報 特開2005−190996号公報 "Surface Modification of LiSr0.002Ni0.9Co0.1O2 by Overcoating with a Magnesium Oxide", H. J. Kweon et al., Electrochem. Solid-State Lett., Volume 3, Issue 3, pp.128-130(March 2000)
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、熱安定性および安全性が高く、かつ、高い充放電容量をもつという2つの特性を両立させた非水系電解質二次電池を実現することが可能な正極活物質を提供することを目的とする。
本発明者は、正極活物質としてリチウム金属複合酸化物を、非水系電解質二次電池に用いる場合に重要となる充放電容量と安全性の両立について深く検討した結果、リチウム金属複合酸化物の一次粒子の表面に、リチウムコバルト複合酸化物およびリチウムマンガン複合酸化物の微粒子からなる被覆層を形成させること、および、被覆層に含まれるコバルトおよびマンガンを所定の比および量とするとともに、微粒子の存在形態を制御することで、高い充放電容量と熱安定性および安全性を両立させることができるとの知見を得て、本発明を完成するに至った。
本発明に係る非水系電解質二次電池用正極活物質は、リチウム金属複合酸化物の一次粒子、および、該一次粒子の表面に形成されたリチウムコバルト複合酸化物およびリチウムマンガン複合酸化物の微粒子からなる被覆層からなることを特徴とする。
前記リチウム金属複合酸化物には、リチウムニッケル複合酸化物のほか、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物が含まれるが、本発明は、一般式:LizNi1-x-yCoxy2(ただし、0.10≦x≦0.21、0≦y≦0.08、0.97≦z≦1.10、Mは、Mn、V、Mg、Mo、Nb、TiおよびAlから選ばれる少なくとも1種の元素)で表されるリチウム金属複合酸化物に特に適用される。
なお、本明細書において、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物には、リチウムニッケル酸化物、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケルコバルト酸化物、リチウムマンガン酸化物、および、これらに他の添加金属元素を含有するものが含まれる。
本発明では、特に、前記被覆層に含まれるコバルトとマンガンの合計の原子数が、前記一次粒子に含まれるリチウムを除く金属の原子数の合計に対して、0.7〜0.9原子%であり、かつ、コバルトとマンガンの合計に対するマンガンの比(Mn/(Mn+Co))が、モル比で0.05〜0.2であることを特徴とする。
前記被覆層中で前記一次粒子側にマンガンの濃縮層が形成されていることが好ましい。
また、前記被覆層中のリチウムマンガン系複合酸化物の微粒子が鱗片状もしくは板状であることが好ましい。
さらに、前記被覆層の厚さが、200nm以下であることが好ましい。
本発明に係る非水系電解質二次電池用正極活物質は、次の工程により、作成される。
すなわち、第1工程として、リチウム金属複合酸化物からなる粉末を水と混合し撹拌することによりスラリーを得る。
次に、第2工程として、前記リチウム金属複合酸化物からなる粉末に含まれるリチウムを除く金属の原子数の合計に対して、コバルトとマンガンの合計の原子数が0.7〜0.9原子%、かつ、コバルトとマンガンの合計に対するマンガンの比がモル比で0.05〜0.2となるように、コバルト塩とマンガン塩を混合して溶解させた水溶液を、前記スラリーに攪拌しつつ添加し、リチウム金属複合酸化物からなる一次粒子の表面にコバルト化合物およびマンガン化合物からなる微粒子を付着させ被覆層を形成させる。
そして、第3工程として、前記被覆層を形成したリチウム金属複合酸化物からなる一次粒子を、300〜700℃で熱処理し、前記被覆層の微粒子をリチウムコバルト複合酸化物およびリチウムマンガン複合酸化物とする。
前記スラリーのpHを、9.0を超えるように制御することが好ましい。
また、前記スラリーのスラリー濃度を、2000〜2500g/Lとすることが好ましい。
さらに、前記コバルト塩とマンガン塩を溶解させた水溶液の中のコバルトとマンガンの合計の濃度を、0.5〜1.0mol/dm3とすることが好ましい。
本発明に係る非水系電解質二次電池用正極活物質は、非水系電解質二次電池の正極材料として適切に用いられる。特に、本発明に係る非水系電解質二次電池用正極活物質を正極材料として用いることで、熱安定性および安全性に優れながら、該二次電池の初期放電容量を、195mAh/g以上とすることが可能となる。
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法により、熱安定性および安全性が高く、かつ、高い充放電容量を有するという2つの特性を両立させた非水系電解質二次電池を実現することが可能な正極活物質を提供することができる。
また、本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質を用いて、非水系電解質二次電池を得ることにより、最近の携帯電子機器等の小型二次電池に対する高容量化の要求を満足するとともに、ハイブリッド自動車用や電気自動車用の大型二次電池に用いられる電源として求められる安全性をも確保することが可能となり、工業上、きわめて有用である。
以下、本発明について、一般式:LizNi1-x-yCoxy2(ただし、0.10≦x≦0.21、0≦y≦0.08、0.97≦z≦1.10、Mは、Mn、V、Mg、Mo、Nb、TiおよびAlから選ばれる少なくとも1種の元素)で表されるリチウム金属複合酸化物を用いた場合を中心に説明する。
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質においては、(1)一般式:LizNi1-x-yCoxy2(ただし、0.10≦x≦0.21、0≦y≦0.08、0.97≦z≦1.10、Mは、Mn、V、Mg、Mo、Nb、TiおよびAlから選ばれる少なくとも1種の元素)で表されるリチウム金属複合酸化物からなる一次粒子の表面に、リチウムコバルト複合酸化物およびリチウムマンガン複合酸化物の微粒子からなる被覆層を形成させること、(2)該被覆層に含まれるコバルトとマンガンの合計の原子数が、前記一次粒子に含まれるリチウムを除く金属(すなわち、ニッケル、コバルトおよびM)の原子数の合計に対して0.7〜0.9原子%であること、および、(3)前記被覆層に含まれるコバルトとマンガンの合計に対するマンガンの比(Mn/(Mn+Co))が、モル比で0.05〜0.2であることが重要である。
リチウム金属複合酸化物からなる一次粒子の表面に該被覆層を形成させることで、非水系電解質二次電池の正極活物質として用いた場合に、電解液との接触を減少させ、熱安定性および安全性が高く、かつ、高い充放電容量を確保することが可能となる。
また、該被覆層に含まれるコバルトとマンガンの合計の原子数およびコバルトとマンガンの合計に対するマンガンの比を制御することにより、該被覆層が均一となり、熱安定性および安全性と高い充放電容量を両立させることができる。
さらに、前記被覆層中の前記一次粒子(リチウム金属複合酸化物)側にマンガンの濃縮層を形成させ、鱗片状もしくは板状であるリチウムマンガン複合酸化物の微粒子を形成させることで、さらに電解液との接触を減少させ、熱安定性および安全性をより一層確保することができる。
[1]正極活物質
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質は、一般式:LizNi1-x-yCoxy2(ただし、0.10≦x≦0.21、0≦y≦0.08、0.97≦z≦1.10、Mは、Mn、V、Mg、Mo、Nb、TiおよびAlから選ばれる少なくとも1種の元素)で表されるリチウム金属複合酸化物の一次粒子、および、該一次粒子の表面に形成されたリチウムコバルト複合酸化物およびリチウムマンガン複合酸化物の微粒子からなる被覆層からなり、該微粒子層に含まれるコバルトとマンガンの合計の原子数が、一次粒子に含まれるリチウムを除く金属(ニッケル、コバルトおよびM)の原子数の合計に対して、0.7〜0.9原子%であり、コバルトとマンガンの合計に対するマンガンの比(Mn/(Mn+Co))が、モル比で0.05〜0.2である。ここで微粒子とは、形状がほぼ球状で、粒径が1nm〜10nm程度であり、それらの粒径が均一に揃った粒子をいう。
二次電池の充放電反応は、正極活物質内のリチウムイオンが可逆的に出入りすることで進行する。充電によってリチウムが引き抜かれた正極活物質は、高温で不安定であり、加熱すると活物質が分解して酸素を放出し、この酸素が電解液の燃焼を引き起こし、発熱反応が起こる。したがって、正極材料の熱安定性を改善するということは、リチウムが引き抜かれた正極活物質の分解反応を抑えるということである。
公知の正極活物質の分解反応を抑える方法としては、アルミニウムのように、酸素との共有結合性の強い元素で、ニッケルの一部を置換することが一般的に行なわれている。確かに、ニッケルからアルミニウムへの置換量を多くすれば、正極活物質の分解反応は抑えられ、熱安定性が向上するが、充放電反応にともなう酸化還元反応に寄与するニッケルの量が減少することで、充放電容量の低下を招くため、アルミニウムへの置換量はある程度に留めなければならない。その結果、十分な熱安定性を確保した場合には、十分な可逆容量を得ることができず、逆に、ある程度の容量を得るためには、熱安定性を犠牲にしなければならない。
このため、本発明では、一般式:LizNi1-x-yCoxy2(ただし、0.10≦x≦0.21、0≦y≦0.08、0.97≦z≦1.10、MはMn、V、Mg、Mo、Nb、TiおよびAlから選ばれる少なくとも1種の元素)で表されるリチウム金属複合酸化物を用いることにより、熱安定性を改善し、さらに、リチウム金属複合酸化物からなる粒子の表面にリチウムコバルト複合酸化物およびリチウムマンガン複合酸化物の微粒子からなる被覆層を形成させることにより、高い充放電容量と安全性を十分に確保する。すなわち、リチウムが奪われて不安定化したリチウム金属複合酸化物粒子と電解液との直接的な接触を減少させることにより、発火を抑制または遅延させると同時に、熱伝導も低減させ、温度上昇を緩慢にする効果を得ている。
一般的に、正極活物質の表面が、異種化合物により完全に被覆されてしまうと、リチウムイオンの移動(インターカレーション)が制限されるため、結果的にリチウムニッケル複合酸化物の有する高容量という長所が消されてしまう。しかしながら、本発明において、リチウム金属複合酸化物からなる一次粒子の被覆層は、リチウムイオン伝導率の高いリチウムコバルト複合酸化物およびリチウムマンガン複合酸化物であり、リチウムイオンの移動をほとんど制限しない。
そして、リチウム金属複合酸化物からなる一次粒子の被覆層には、いかなる充放電状態であっても結晶中に十分なリチウムが存在していることになるため、見かけ上、熱的に安定な酸化物として存在し、発火の要因となる熱的不安定な状態とならない。
また、リチウムコバルト複合酸化物およびリチウムマンガン複合酸化物は、微粒子の状態で被覆層を形成していることにより、比表面積が増大することで電解液との接触面積が大きくなり、被覆状態であってもリチウム金属複合酸化物粒子と電解液との間でリチウムイオンの移動がほとんど妨げられない。
以上に挙げた理由により、本発明では、十分な安全性を有したまま高い充放電容量を維持することができる。
対照的に、微粒子ではなく層状に被覆した場合は、比表面積の低下が起こり、その分、電解液との接触面積が小さくなってしまい、それによって充放電容量の低下を招きやすい。
また、塊状で一次粒子の表面に付着させた場合は、その部分で比表面積の低下が起こり、その分、電解液との接触面積が小さくなってしまい、それによって充放電容量の低下を招きやすいばかりか、電解液と直接接触する部分で、従来と同様に、リチウム金属複合酸化物は不安定な状態であり、安全性改善の効果が減少する。
本発明においては、リチウム金属複合酸化物からなる一次粒子の表面にリチウムコバルト複合酸化物およびリチウムマンガン複合酸化物の微粒子からなる被覆層を形成させているため、充電状態において不安定化したリチウム金属複合酸化物に対して上記の効果が生じ、高い安全性を付与することができる。また、高比表面積でリチウムイオン伝導を効果的に維持できるため、充放電容量の低下を最小限に抑えることができる。
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質は、該被覆層に含まれるコバルトとマンガンの合計の原子数が、リチウム金属複合酸化物粒子に含まれるニッケル、コバルトおよびMの原子数の合計に対して、0.7〜0.9原子%であるため、被覆層が十分に薄くリチウムイオンの移動が制限されないため、高い充放電容量と安全性を両立することができる。被覆層は、薄い厚みでリチウム金属複合酸化物を被覆するために、均一な厚みであることが好ましい。
一方、0.7原子%未満では、リチウム金属複合酸化物と電解液との接触を減少させる効果が十分ではなくなる。また、0.9原子%を超えると被覆層が厚くなり、リチウムイオンの移動が制限され充放電容量が低下してしまう。
さらに、本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質は、リチウムコバルト複合酸化物およびリチウムマンガン複合酸化物の微粒子により被覆されているが、リチウムコバルト複合酸化物は、リチウムマンガン複合酸化物よりリチウムイオン伝導率が高いが、被覆層を形成したときの熱安定性および安全性の改善効果がリチウムマンガン複合酸化物よりも少ない。一方、リチウムマンガン複合酸化物は、リチウムコバルト複合酸化物ほどリチウムイオン伝導率は高くないが、被覆層を形成したときの熱安定性および安全性の改善効果が大きい。
したがって、極めて微量のリチウムマンガン複合酸化物の微粒子で被覆層を形成することで熱安定性および安全性と高い充放電容量を両立させることが可能であるが、均一な被覆層を形成することが困難であり、現実的でない。これに対して、リチウムイオン伝導率が高いリチウムコバルト複合酸化物の微粒子と熱安定性および安全性の改善効果が大きいリチウムマンガン複合酸化物の微粒子が混合した被覆層を形成することで、均一な被覆層を形成できる被覆量としても安定性および安全性と高い充放電容量を両立させることができる。
ここで、被覆層中にリチウムコバルト複合酸化物を多くする方が、充放電容量にとっては有利であり、リチウムマンガン複合酸化物は可能な限り少量とすることが好ましい。したがって、前記被覆層に含まれるコバルトとマンガンの合計に対するマンガンの比(Mn/(Mn+Co))は、モル比で0.05〜0.2であり、好ましくは0.1〜0.2である。0.05未満にすると、熱安定性および安全性の改善効果が十分でない。一方、0.2を超えると、充放電容量が低下する。
少量のリチウムマンガン複合酸化物で熱安定性および安全性の改善効果を最大限とするためには、前記被覆層中に均一にリチウムマンガン複合酸化物が分散しているより層状に濃縮している方が、リチウムマンガン複合酸化物の微粒子の間隔が狭く効果的である。また、一次粒子であるリチウム金属複合酸化物に近い位置にリチウムマンガン複合酸化物の微粒子が存在する方が、電解液との接触を直接減少させることができ、さらに効果的である。したがって、本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質においては、前記リチウム金属複合酸化物側にマンガンの濃縮層を形成しているが好ましい。
該マンガン濃縮層中のマンガン濃度は特に限定されるものではなく、マンガンのみの層が形成されてもよく、被覆層中の該マンガン濃縮層以外の部分よりマンガン濃度が高い程度でもよい。被覆層中の該マンガン濃縮層は、透過式電子顕微鏡のEDX分析等により容易に確認できる。
リチウムマンガン複合酸化物の微粒子は前記のように熱安定性および安全性の改善効果が大きいが、その理由として、リチウムマンガン複合酸化物は鱗片状もしくは板状となりやすいためと考えられる。鱗片状もしくは板状となることで比較的緻密な層を形成し、リチウム金属複合酸化物と電解液との接触を効率よく抑制するものと考えられる。したがって、リチウムマンガン複合酸化物の微粒子は鱗片状もしくは板状であることが好ましい。球状もしくは塊状となった場合、微粒子間の間隙が大きく電解液との接触を抑制する効果が十分でない場合がある。
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質においては、リチウム金属複合酸化物からなる一次粒子の表面の該被覆層の厚さは、200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。200nmを超える厚さの被覆層が形成されると充放電時のリチウムイオンの移動が阻害され、充放電容量が十分得られない場合がある。また、該被覆層の厚さが、50nm以下になるとリチウム金属複合酸化物の表面の露出が多くなり、熱安定性および安全性の改善効果が十分でない場合がある。
さらに、該被覆層中のリチウムコバルト系複合酸化物およびリチウムマンガン複合酸化物の微粒子の粒径は10nmであることが好ましい。該微粒子の粒径が10nmより大きくなると、微粒子と電解液との接触面積が小さくなるとともに、該被覆層の厚みの均一性が損なわれるため、リチウムイオンの移動に悪影響を及ぼす可能性が生じ好ましくない。なお、該微粒子の粒径が1nm未満である場合も、微粒子の凝集が進行しやすくなり、リチウムイオン伝導性に悪影響を及ぼすとともに、前述の効果が小さくなるため、好ましくない。
上記リチウム金属複合酸化物の表面の性状は、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM、HITACHI社製、S−4700)または透過型電子顕微鏡(TEM、日本電子株式会社製、JED−2300T)で観察することにより判断できる。
なお、上述のように、リチウム金属複合酸化物の表面にリチウムコバルト複合酸化物およびリチウムマンガン複合酸化物の微粒子層を付着させることによる効果は、上述の一般式のたとえば、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物など、本発明で掲げた正極活物質だけでなく一般的に使用されるリチウム二次電池用正極活物質にも適用できる。
[2]正極活物質の製造方法
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法は、リチウム金属複合酸化物からなる粉末を水と混合し、撹拌することにより、スラリーを得る第1工程、得られたスラリーを撹拌しつつ、コバルトとマンガンの合計の原子数が、第1工程で使用されるリチウム金属複合酸化物からなる粉末に含まれるリチウムを除く金属(ニッケル、コバルトおよびM)の原子数の合計に対して、0.7〜0.9原子%であり、コバルトとマンガンの合計に対するマンガンの比(Mn/(Mn+Co))が、モル比で0.05〜0.2となるようにコバルト塩とマンガン塩を溶解させた水溶液を添加することにより、リチウム金属複合酸化物からなる一次粒子の表面に、コバルト化合物およびマンガン化合物の微粒子からなる被覆層を付着させる第2工程、および、300〜700℃で熱処理をすることにより、前記化合物の被覆層を同時にリチウムコバルト複合酸化物およびリチウムマンガン複合酸化物の微粒子の被覆層とする第3工程を有する。
特に、本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法においては、第1工程で得られたリチウム金属複合酸化物のスラリーに添加するコバルト塩とマンガン塩を溶解させた水溶液を、コバルトとマンガンの合計の原子数が、該リチウム金属複合酸化物からなる粉末に含まれるニッケル、コバルトおよびMの原子数の合計に対して、0.7〜0.9原子%であり、コバルトとマンガンの合計に対するマンガンの比(Mn/(Mn+Co))が、モル比で0.05〜0.2となるように調整することが重要である。
コバルトとマンガンの合計の原子数およびコバルトとマンガンの合計に対するマンガンの比を上記のように制御することで、リチウム金属複合酸化物の表面に均一で電解液との接触を効率的に抑制できる被覆層を形成することができ、熱安定性および安全性が高く、かつ、高い充放電容量を持った正極活物質を得ることができる。以下、各工程ごとに詳細に説明する。
(第1工程)
まず、リチウム金属複合酸化物からなる粉末を水と混合し、撹拌することにより、スラリーを得る。リチウム金属複合酸化物は、高容量と熱安定性の観点より、一般式:LizNi1-x-yCoxy2(ただし、0.10≦x≦0.21、0≦y≦0.08、0.97≦z≦1.10、Mは、Mn、V、Mg、Mo、Nb、TiおよびAlから選ばれる少なくとも1種の元素)で表されるリチウム金属複合酸化物を用いることが好ましい。
スラリーを得るための水は、正極活物質にとって有害な不純物を含まない一般的な純水などを用いることが、高い充放電容量を得るためには好ましい。
スラリー濃度は、2000〜2500g/Lとすることが好ましい。スラリー濃度が2000g/L未満で希薄になるとスラリーの容積が増えて、排水量や一度に作製可能な量を考慮した場合、効率が悪くコスト的に不利になりやすい。また、2500g/Lを超えて濃厚になると、スラリーの粘度が高くなり過ぎて、均一に撹拌することが困難となる。
(第2工程)
次に、得られたスラリーを撹拌しつつ、該スラリーにコバルト塩とマンガン塩を溶解させた水溶液を添加する。該水溶液は、コバルトとマンガンの合計の原子数が、第1工程で使用されるリチウム金属複合酸化物からなる粉末に含まれるニッケル、コバルトおよびMの原子数の合計に対して、0.7〜0.9原子%であり、コバルトとマンガンの合計に対するマンガンの比(Mn/(Mn+Co))が、モル比で0.05〜0.2、好ましくは0.1〜0.2となるように調整することが必要である。
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法においては、添加する水溶液中にイオンとして存在するコバルトおよびマンガンは、水酸化物を主としたコバルト化合物およびマンガン化合物となって晶析した後、スラリー中において、リチウム金属複合酸化物の一次粒子と衝突することにより表面に付着するか、もしくは、一次粒子の表面上で晶析することにより付着する。この際、水溶液に含まれるコバルトおよびマンガンは、ほぼ全量がリチウム金属複合酸化物粒子の表面に付着する。
したがって、該水溶液中のコバルトとマンガンの合計の原子数およびコバルトとマンガンの合計に対するマンガンの比を上記のように制御することで、該一次粒子の表面にコバルトとマンガンの合計の原子数が、該一次粒子に含まれるニッケル、コバルトおよびMの原子数の合計に対して、0.7〜0.9原子%であり、コバルトとマンガンの合計に対するマンガンの比(Mn/(Mn+Co))が、モル比で0.05〜0.2である被覆層が得られる。
コバルト塩とマンガン塩は特に限定されるものではないが、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、酢酸塩など、水に対して易溶性のコバルト塩とマンガン塩を用いることが好ましい。コバルト塩およびマンガン塩は水に完全に溶解させ、晶析の均一性から、スラリーを撹拌しつつ添加することが好ましい。
ここで、コバルト塩とマンガン塩を含む水溶液中の金属イオン濃度は0.5〜1.0mol/dm3であることが好ましい。1.0mol/dm3より濃度が高いと析出する微粒子が凝集しやすく、0.5mol/dm3未満では、濃度が薄いため水溶液が大量に必要となり、スラリーのpHを変化させやすくなるため均一な微粒子の生成が起こりにくい。コバルト塩とマンガン塩を含む水溶液を添加する速度は特に限定されないが、スラリー濃度を考慮して、リチウム金属複合酸化物の一次粒子の表面上に晶析するように任意に決定することができる。
スラリーに該水溶液を添加するとき、スラリーのpHが9.0を超えるように制御することが好ましい。スラリーのpHが9.0以下の場合、中和反応によるコバルトおよびマンガン化合物が生成されにくく、また、工程中にリチウム金属複合酸化物の一次粒子から大幅なリチウムの脱離が生じて、充放電容量の顕著な低下を招く。さらに、表面を被覆するコバルト化合物およびマンガン化合物の形状に対しては、pHの影響が非常に大きい。pHが9.0以下の場合、該化合物が粗大粒子となりやすく、焼成後に層状の被覆物となりやすく、電解液との接触面積が減少して、充放電容量の低下を招く。
これに対して、本発明では、pHが常に9.0を超えるように調整して、多量のコバルトおよびマンガン化合物の核発生を起こさせ、さらに、粒成長を制御することにより、粒径が10nmないしはそれ以下のコバルトおよびマンガン化合物の均一な微粒子による付着物を得ている。
さらに、上記金属イオン濃度およびpHに制御することにより、上記リチウム金属複合酸化物側にマンガンの濃縮層が形成される。濃縮層が形成される理由は明確ではないが、上記金属イオン濃度およびpHの条件におけるコバルト化合物とマンガン化合物の晶析の速度差に起因するものと考えられる。
上記スラリーのpHは特に限定されないが、9.0を超えて13.5以下となる程度に保持できれば十分である。
前述の第1工程では、リチウム金属複合酸化物の粉末と水とを混合してスラリーとする際に、リチウム金属複合酸化物の粉末中のリチウムイオンがスラリー中に少量溶出して、スラリーのpHを上昇させる効果もあるが、pHが9.0以下の場合は、水酸化リチウムを添加してスラリーのpHを上昇させ、9.0を超えるようにすることが好ましい。
リチウム金属複合酸化物の粉末のスラリーを得る第1工程において、用いる水に、あらかじめ一定量の水酸化リチウムを溶解させておくことで、pHの変動を安定化させ、その後のコバルトおよびマンガン化合物の晶析を安定して行うことができ、晶析生成物の均一性も向上する。また、正極活物質であるリチウム金属複合酸化物の粉末からの過剰なリチウムの脱離を防ぐことができる。
スラリー中に存在しているリチウムは、コバルト塩およびマンガン塩と共に、リチウム金属複合酸化物からなる一次粒子の表面に晶析して、その後の熱処理でリチウムコバルト複合酸化物およびリチウムマンガン複合酸化物を形成する。したがって、あらかじめ添加しておく水酸化リチウムは、その後の熱処理で、リチウムコバルト複合酸化物およびリチウムマンガン複合酸化物の量に見合う量で十分である。また、水酸化リチウムを過剰に添加した場合には、余剰のリチウムが増えて、電池特性が低下する。また、無駄になるリチウムも増加し、コスト面からも好ましくない。
(第3工程)
濾過および乾燥を行った後、300〜700℃の温度で熱処理を行うことで、リチウム金属複合酸化物の一次粒子の表面の被覆層に存在するリチウムを含んだコバルト化合物およびマンガン化合物の微粒子は、リチウムコバルト複合酸化物およびリチウムマンガン複合酸化物からなる微粒子に同時に転換されて、該一次粒子の表面にリチウムコバルト複合酸化物およびリチウムマンガン複合酸化物の微粒子からなる被覆層が形成されたリチウム金属複合酸化物からなる非水系電解質二次電池用正極活物質が得られる。なお、リチウムコバルト複合酸化物およびリチウムマンガン複合酸化物には、一次粒子であるリチウム金属複合酸化物中のリチウム以外の金属(ニッケル、コバルトおよびM)が含まれていてもよい。
スラリーの濾過は通常用いられる方法のいずれかでよく、吸引濾過、フィルタープレス、遠心分離等が用いられる。乾燥方法は特に限定されないが、非水系電解質二次電池用正極活物質として用いたときの電気特性の劣化を防止するため、不活性雰囲気あるいは真空中で乾燥することが好ましく、特に真空乾燥が好ましい。例えば90〜210℃、好ましくは150℃以上で14時間以上真空乾燥させることが好ましい。
また、熱処理温度は300〜700℃が好ましい。300℃未満では、リチウムコバルト複合酸化物およびリチウムマンガン複合酸化物への転換が十分ではなく、700℃を超えると、リチウム金属複合酸化物からなる一次粒子が焼結あるいは凝集を起こすため、好ましくない。熱処理時の雰囲気は、反応の必要性から、大気雰囲気あるいは酸素雰囲気などのような酸化性雰囲気とすることが好ましい。熱処理時間は、特に限定されないが、リチウム金属複合酸化物の量、および熱処理温度を考慮して、リチウムコバルト複合酸化物およびリチウムマンガン複合酸化物への転換が十分に行われる時間とすればよい。
さらに、熱処理を行う前に、目開きが100〜200μm、好ましくは、100μmの篩にて解砕することが好ましい。解砕することで、熱処理時におけるリチウム金属複合酸化物の凝集を防止することができる。
[3]非水系電解質二次電池
本発明の非水系電解質二次電池は、正極、負極および非水系電解液などからなり、一般の非水系電解質二次電池と同様の構成要素により構成される。なお、以下で説明する実施形態は例示に過ぎず、本発明の非水系電解質二次電池は、本明細書に記載されている実施形態を基に、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。また、本発明の非水系電解質二次電池は、その用途を特に限定するものではない。
(a)正極
前述のように得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いて、例えば、以下のようにして、非水系電解質二次電池の正極を作製する。
まず、粉末状の正極活物質、導電材、結着剤を混合し、さらに必要に応じて活性炭、粘度調整等の目的の溶剤を添加し、これを混練して正極合材ペーストを作製する。正極合材ペースト中のそれぞれの混合比も、非水系電解質二次電池の性能を決定する重要な要素となる。溶剤を除いた正極合材の固形分の全質量を100質量部とした場合、一般の非水系電解質二次電池の正極と同様、正極活物質の含有量を60〜95質量部とし、導電材の含有量を1〜20質量部とし、結着剤の含有量を1〜20質量部とすることが望ましい。
得られた正極合材ペーストを、例えば、アルミニウム箔製の集電体の表面に塗布し、乾燥して、溶剤を飛散させる。必要に応じ、電極密度を高めるべく、ロールプレス等により加圧することもある。このようにして、シート状の正極を作製することができる。シート状の正極は、目的とする電池に応じて適当な大きさに裁断等をして、電池の作製に供することができる。ただし、正極の作製方法は、前記例示のものに限られることなく、他の方法によってもよい。
正極の作製にあたって、導電剤としては、例えば、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛など)や、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック系材料などを用いることができる。
結着剤は、活物質粒子をつなぎ止める役割を果たすもので、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエン、セルロース系樹脂、ポリアクリル酸などを用いることができる。
必要に応じ、正極活物質、導電材、活性炭を分散させ、結着剤を溶解する溶剤を正極合材に添加する。溶剤としては、具体的には、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。また、正極合材には、電気二重層容量を増加させるために、活性炭を添加することができる。
(b)負極
負極には、金属リチウムやリチウム合金等、あるいは、リチウムイオンを吸蔵および脱離できる負極活物質に、結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を、銅等の金属箔集電体の表面に塗布し、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成したものを使用する。
負極活物質としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、フェノール樹脂等の有機化合物焼成体、コークス等の炭素物質の粉状体を用いることができる。この場合、負極結着剤としては、正極同様、PVDF等の含フッ素樹脂等を用いることができ、これらの活物質および結着剤を分散させる溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。
(c)セパレータ
正極と負極との間には、セパレータを挟み込んで配置する。セパレータは、正極と負極とを分離し、電解質を保持するものであり、ポリエチレン、ポリプロピレン等の薄い膜で、微少な孔を多数有する膜を用いることができる。
(d)非水系電解液
非水系電解液は、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解したものである。
有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート等の環状カーボネート、また、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート、さらに、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル化合物、エチルメチルスルホン、ブタンスルトン等の硫黄化合物、リン酸トリエチル、リン酸トリオクチル等のリン化合物等から選ばれる1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
支持塩としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiN(CF3SO22等、およびそれらの複合塩を用いることができる。
さらに、非水系電解液は、ラジカル捕捉剤、界面活性剤および難燃剤等を含んでいてもよい。
(e)電池の形状、構成
以上のように説明してきた正極、負極、セパレータおよび非水系電解液で構成される本発明の非水系電解質二次電池の形状は、円筒型、積層型等、種々のものとすることができる。
いずれの形状を採る場合であっても、正極および負極を、セパレータを介して積層させて電極体とし、得られた電極体に、非水系電解液を含浸させ、正極集電体と外部に通ずる正極端子との間、および、負極集電体と外部に通ずる負極端子との間を、集電用リード等を用いて接続し、電池ケースに密閉して、非水系電解質二次電池を完成させる。
(f)特性
本発明の正極活物質を用いた二次電池は、195mAh/g以上の初期放電容量が得られる。また、示差走査熱量測定(DSC、BRUKER社製、DSC3100SA)において、該微粒子層による被覆がない正極活物質との比較において、発熱開始温度の大幅な上昇および発熱量の低減化が確認されており、安全性においても優れているといえる。
以下、本発明の一実施例について、図面を参照して詳述する。図1は、初期容量評価に用いたコイン電池を示す斜視図および断面図である。
(実施例1)
Li1.05Ni0.85Co0.15Al0.032で表されるリチウム金属複合酸化物の粉末200gを、80mLの純水に加え、撹拌することにより、2500g/Lのスラリー濃度で、スラリー化した。
次に、コバルト(Co)とマンガン(Mn)の合計に対するマンガンの比(Mn/(Mn+Co))が0.125であり、リチウム金属複合酸化物中のニッケル、コバルトおよびアルミニウムの原子数の合計に対して、コバルトとマンガンの添加量(Co+Mn添加量)が0.8原子%となるように、硫酸コバルト(和光純薬工業株式会社製、硫酸コバルト(II)七水和物)と硫酸マンガン(和光純薬工業株式会社製、硫酸マンガン(II)五水和物)を秤量し、これらをコバルトとマンガンの濃度が0.75mol/m3となるように純水に加え、混合水溶液を調製した。その後、得られたスラリーを撹拌しつつ、混合水溶液を30分間かけて滴下した。滴下終了後、スラリーを吸引濾過し、得られた粉末を150℃で14時間、真空乾燥させ、さらに、目開き100μmの篩にかけて解砕した。
得られた粉末を20g秤取り、10cm×5cm×5cmのアルミナ製焼成容器に入れ、管状電気炉を用いて、流量1.5L/minの100%酸素気流中において、昇温速度5℃/minで500℃まで昇温して2時間熱処理し、その後、室温まで炉冷した。最後に目開き50μmの篩にかけ再度解砕することにより、リチウムニッケル複合酸化物からなる微粒子が表面に付着するリチウム金属複合酸化物の粉末である正極活物質を得た。
得られた正極活物質の初期容量評価は、以下のようにして行った。
正極活物質の粉末70質量%に、アセチレンブラック(電気化学工業株式会社製)20質量%、およびPTFE(ダイキン工業株式会社製)10質量%を混合し、150mgを取り出して、圧力100MPaで直径11mmのペレットを作製し、正極とした。負極としてリチウム金属を用い、電解液には1MのLiClO4を支持塩とするエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の等量混合溶液(富山薬品工業株式会社製)を用いた。これらを用いて、露点が−80℃に管理されたAr雰囲気のグローブボックス中で、図1に斜視図および断面図を示すような2032型のコイン電池を作製した。
作製した電池は、24時間程度、放置し、開回路電圧(OCV;Open Circuit Voltage)が安定した後、正極に対する電流密度を0.5mA/cm2として、カットオフ電圧4.3Vまで充電して、初期充電容量とし、1時間の休止後、カットオフ電圧3.0Vまで放電したときの容量を、初期放電容量とした。
正極の安全性の評価は、前述と同様な方法で作製した2032型のコイン電池を用いて、以下のように行った。
まず、カットオフ電圧4.5VまでCCCV充電(定電流−定電圧充電。最初に、充電が定電流で動作し、それから定電圧で充電を終了するという2つのフェーズの充電過程を用いる充電方法)をした後、短絡しないように注意しながら解体して正極を取り出した。得られた正極を3.0mg計り取り、電解液を1.3mg加えてアルミニウム製測定容器に封入し、示差走査熱量計(DSC、BRUCKER社製、DSC3100SA)を用いて昇温速度10℃/minで室温から400℃までの発熱速度を測定し、発熱開始温度および発熱ピーク強度を測定した。そして、後述する比較例2で得られた発熱ピーク強度を100とする相対比を算出した。
以上によって得られた初期放電容量、DSC発熱開始温度、および相対比として求めたDSC発熱ピーク強度を表1に示す。
図2に、FE−SEM(HITACHI社製、S−4700)を用いて得られた正極活物質の表面微細領域写真を示す。図3に、TEM(日本電子株式会社製、JED−2300T)を用いて得られた正極活物質断面の微細領域写真およびEDX元素分析結果を示す。
図2のFE−SEM写真をみると、直径約0.3〜0.5μmのリチウム金属複合酸化物からなる粒子の表面に、微粒子が均一に付着していることが理解される。また、図3より、微粒子による被覆層の厚さは約100nmであり、均一な厚さであることも理解される。図3のEDX元素分析結果より、リチウム金属複合酸化物の一次粒子の表面に形成された被覆層からは、コバルトとマンガンが検出されており、リチウムイオンの導電体であることから、この被覆層はリチウムコバルト複合酸化物およびリチウムマンガン複合酸化物であることが理解される。さらに、被覆層中のリチウム金属複合酸化物側にマンガン濃度が高い層が確認され、マンガンの濃縮層が形成されていることが理解される。
(実施例2)
混合水溶液を0.5mol/dm3となるように調製したこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得て、同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例3)
混合水溶液を1.0mol/dm3となるように調製したこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得て、同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例4)
混合水溶液を0.25mol/dm3となるように調製したこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得て、同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例5)
混合水溶液を1.25mol/dm3となるように調製したこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得て、同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例1)
Mn/(Mn+Co)が0.25であるように調製したこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得て、同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例2)
硫酸マンガンを使用せずに、硫酸コバルトのみを使用した(Mn/(Mn+Co)=0)こと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得て、同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例3)
リチウム金属複合酸化物中のニッケル、コバルトおよびアルミニウムの原子数の合計に対して、コバルトとマンガンの添加量(Co+Mn添加量)を0.6原子%としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得て、同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例4)
リチウム金属複合酸化物中のニッケル、コバルトおよびアルミニウムの原子数の合計に対して、コバルトとマンガンの添加量(Co+Mn添加量)を1.0原子%としたこと以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を得て、同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
[評価]
表1から、本発明の実施例1〜5では、DSC発熱開始温度も250℃以上と高く、発熱ピーク強度も比較例2に対して減少していることがわかる。すなわち、表面に微粒子からなる被覆層が十分に形成されていたため、界面抵抗が増加して熱伝導がある程度抑制されるとともに、リチウムが失われて不安定化したリチウム金属複合酸化物粒子と電解液との直接的な接触が抑制されて正極活物質から脱離した酸素との反応が比較的緩やかになったと考えられる。
また、本発明の実施例1〜5では、初期放電容量も196mAh/g以上であり、熱安定性および安全性と高い充放電容量を両立させた正極活物質が得られていることがわかる。ただし、実施例4および5では、実施例1〜3と比較すると、DSC発熱ピーク強度が高い傾向になる。この原因としては、混合水溶液濃度の最適化が十分でなく、被覆層を形成する化合物が晶析段階で凝集してしまったために、リチウム金属複合酸化物の一次粒子の表面を均一に被覆することができず電解液との接触が増えてしまい、被覆層による安全性改善の効果が少なくなったことなどが考えられる。
一方、比較例1では、初期放電容量が190mAh/g以下であり、充放電容量が十分でない結果となった。これは、被覆層に含まれるリチウムマンガン複合酸化物の割合が高すぎたため、リチウムイオンの移動を阻害する結果となったことが原因として考えられる。
また、比較例2では、DSC発熱ピーク強度が上昇し、安全性改善の効果が十分とは言えない結果となった。これは、安全性改善効果の低いリチウムコバルト複合酸化物だけで被覆層を形成させたためと考えられる。
比較例3では、DSC発熱ピーク強度が比較例2と比較しても高くなっている。これは、コバルトとマンガンの添加量(Co+Mn添加量)が少なく、リチウム金属複合酸化物の一次粒子の表面に形成された被覆層の厚さが不足していたためであると考えられる。
逆に、比較例4では、DSCの結果は良好であるものの、リチウム金属複合酸化物の一次粒子の表面に形成された被覆層の厚さが過剰となったために、リチウムイオンの移動が妨げられて初期放電容量が低下したと考えられる。
以上より、リチウム金属複合酸化物の一次粒子の表面にリチウムコバルト複合酸化物およびリチウムマンガン複合酸化物の微粒子からなる被覆層を形成した本発明の正極活物質は、熱安定性および安全性と高い充放電容量を両立させていることがわかる。また、被覆層を均一かつ確実に形成させるためには、コバルト塩とマンガン塩を溶解させた混合水溶液において、混合水溶液中に含まれるコバルトとマンガンの合計の原子数がリチウム金属複合酸化物からなる粉末に含まれるニッケル、コバルトおよびMの原子数の合計に対して、0.7〜0.9原子%であり、コバルトとマンガンの合計に対するマンガンの比(Mn/(Mn+Co))が、モル比で0.05〜0.2となるように調整することが必要であることがわかる。
また、被覆層をより最適化するためには、混合水溶液中のコバルトとマンガンの合計の濃度を0.5〜1.0mol/dm3とすることが好ましいことがわかる。
安全性に優れていながら、高い充放電容量を有しているという本発明の非水系電解質二次電池は、常に高容量を要求される小型携帯電子機器(ノート型パソコンや、携帯電話端末など)の電源に好適である。
また、電気自動車用の電源においては、電池の大型化による安全性の確保の難しさと、より高度な安全性を確保するための高価な保護回路が必要不可欠であるが、本発明の非水系電解質二次電池は、優れた安全性を有しているため、安全性の確保が容易になるばかりでなく、高価な保護回路を簡略化し、より低コストにできるという点において、電気自動車用電源としても好適である。なお、本発明は、純粋に電気エネルギーで駆動する電気自動車用の電源のみならず、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等の燃焼機関と併用するいわゆるハイブリッド車の電源としても用いることができる。
正極活物質の初期容量評価に用いたコイン電池を示す斜視図および断面図である。 本発明の実施例1で得られた非水系電解質二次電池用正極活物質の表面微細領域のFE−SEM写真である。 本発明の実施例1で得られた非水系電解質二次電池用正極活物質の断面微細領域のTEM写真および、同領域のEDX元素分析結果である。
符号の説明
1 リチウム金属負極
2 セパレータ(電解液含浸)
3 正極(評価用電極)
4 ガスケット
5 負極缶
6 正極缶
7 集電体

Claims (12)

  1. リチウム金属複合酸化物の一次粒子、および、該一次粒子の表面に形成されたリチウムコバルト複合酸化物およびリチウムマンガン複合酸化物の微粒子からなる被覆層からなり、該被覆層に含まれるコバルトとマンガンの合計の原子数が、前記一次粒子に含まれるリチウムを除く金属の原子数の合計に対して、0.7〜0.9原子%であり、かつ、コバルトとマンガンの合計に対するマンガンの比が、モル比で0.05〜0.2であることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質。
  2. 前記リチウム金属複合酸化物が、一般式:LizNi1-x-yCoxy2(ただし、0.10≦x≦0.21、0≦y≦0.08、0.97≦z≦1.10、Mは、Mn、V、Mg、Mo、Nb、TiおよびAlから選ばれる少なくとも1種の元素)で表される請求項1に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
  3. 前記被覆層中で前記一次粒子側にマンガンの濃縮層が形成されている請求項1または2に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質
  4. 前記被覆層中のリチウムマンガン系複合酸化物の微粒子が鱗片状もしくは板状である請求項1〜3のいずれか一項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
  5. 前記被覆層の厚さが、200nm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
  6. リチウム金属複合酸化物からなる粉末を水と混合し撹拌することによりスラリーを得て、
    前記リチウム金属複合酸化物からなる粉末に含まれるリチウムを除く金属の原子数の合計に対して、コバルトとマンガンの合計の原子数が0.7〜0.9原子%、かつ、コバルトとマンガンの合計に対するマンガンの比がモル比で0.05〜0.2となるように、コバルト塩とマンガン塩を混合して溶解させた水溶液を、前記スラリーに攪拌しつつ添加し、リチウム金属複合酸化物からなる一次粒子の表面にコバルト化合物およびマンガン化合物からなる微粒子を付着させ被覆層を形成させ、
    該被覆層を形成したリチウム金属複合酸化物からなる一次粒子を、300〜700℃で熱処理し、前記被覆層の微粒子をリチウムコバルト複合酸化物およびリチウムマンガン複合酸化物とすることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  7. 前記リチウム金属複合酸化物として、一般式:LizNi1-x-yCoxy2(ただし、0.10≦x≦0.21、0≦y≦0.08、0.97≦z≦1.10、Mは、Mn、V、Mg、Mo、Nb、TiおよびAlから選ばれる少なくとも1種の元素)で表されるリチウム金属複合酸化物を用いる請求項6に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  8. 前記スラリーのpHを、9.0を超えるように制御する請求項6または7に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  9. 前記スラリーのスラリー濃度を、2000〜2500g/Lとする請求項6〜8のいずれか一項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  10. 前記コバルト塩とマンガン塩を溶解させた水溶液の中のコバルトとマンガンの合計の濃度を、0.5〜1.0mol/dm3とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  11. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質が、正極材料に用いられていることを特徴とする非水系電解質二次電池。
  12. 初期放電容量が、195mAh/g以上である請求項11に記載の非水系電解質二次電池。
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