JP4104561B2 - リチウムイオン二次電池用負極材料、負極およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用負極材料、負極およびリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、初期充放電効率が高い上、特に水系結着剤を用いて負極を作製した場合であっても、高速充電可能なリチウムイオン二次電池を得ることができるリチウムイオン二次電池用負極材料、該負極材料からなる負極および該負極を用いたリチウムイオン二次電池に関する。
近年、電子機器の小型化あるいは高性能化に伴い、電池の高エネルギー密度化に対する要望はますます高まっている。このような状況のなか、エネルギー密度が高く、高電圧化が可能な電池として、リチウムイオン二次電池が注目されている。このリチウムイオン二次電池の負極材料としては、充放電特性に優れ、高い放電容量と電位平坦性とを示す黒鉛が主流となっている(例えば、特許文献1)。負極材料として使用される黒鉛(黒鉛質材料)としては、天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛粒子、さらにはタール、ピッチを原料としたメソフェーズピッチ、例えば、メソフェーズ小球体などを熱処理して得られるメソフェーズ系黒鉛質粒子が挙げられる。
また、天然黒鉛または人造黒鉛の表面を有機化合物で被覆し、焼成し、黒鉛化して得た黒鉛質炭素材料は、リチウムイオン二次電池の負極材料としての高温特性、充放電効率、サイクル効率が良好なことが知られている(例えば、特許文献2〜4など)。
負極は、負極材料、負極材料同士および負極材料と集電材とを結着させるための結着剤(バインダー樹脂)と集電材から作製される。具体的には、通常、負極材料と結着剤とから負極合剤ペーストを調製し、ついで、該ペーストを銅箔などの集電材上に塗布してプレスし、負極が作製される。
特公昭62−23433号公報 特開平5−307059号公報 特開平10−334916号公報 特開平11−343108号公報
負極材料としての天然黒鉛は、放電容量が大きい反面、りん片状という形状に起因して、負極を作製した際に、配向しやすく、サイクル特性(充放電を繰返したときの放電容量と初回の放電容量との比率)およびレート特性(急速充放電効率)が低下するという問題があった。
一方、メソフェーズピッチを熱処理して得られる黒鉛質粒子、特にメソフェーズ小球体の黒鉛質粒子は、球状または球状に近い形状を有し、負極作製時にランダムに積層することから良好なサイクル特性およびレート特性を有するが、負極を作製する際の結着剤の種類によってはこれらの性能を充分に引き出せない場合がある。例えば、結着剤の分散媒が有機溶媒の場合は、負極材料の性能を充分に発揮することができるが、水系溶媒の場合は、充電速度などの電池特性が低下することがある。近年、環境面、安全面などの観点から、水系溶媒、したがって水系結着剤の使用が望まれている状況に鑑み、水系結着剤を使用する場合であっても、黒鉛質粒子に負極材料としての性能を充分に発揮させ得る技術の出現が望まれている。
また、天然黒鉛、人造黒鉛の表面を炭素材料で完全に被覆する場合は、被覆材を多量に使用する必要があり、そうなると被覆された黒鉛質炭素材料の融着が増大する傾向がある。また、その後の熱処理温度によっては、充放電容量の低下が懸念される。また、リチウムイオン二次電池の高容量化には、負極の体積あたりの充放電容量を増大させることが特に有効である。しかし、そのために、被覆された黒鉛の高密度化を図って、極板のプレス圧力を高めたり、圧延を数回繰返すと、被覆材と芯材である黒鉛との界面が脆弱であることが原因で、割れることがある。その際、新たに生成した界面は、被覆されておらず、活性があるために、電解液との反応性が高く、充放電効率を低下させることがあり、高密度化に対応できないという欠点がある。
また黒鉛が高結晶性である場合には、高密度化により、配向し、充電特性、放電特性が低下する問題も抱えている。
したがって、本発明は、良好なサイクル特性とレート特性を有するリチウムイオン二次電池用の負極材料と負極、それを用いた、良好なサイクル特性とレート特性を有するリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明は、前記のような黒鉛系リチウムイオン二次電池用負極材料の課題を解決するものであり、メソフェーズ小球体またはその粉砕物を黒鉛化したのち、硬質微粒子Fの共存下でメカノケミカル処理により親水化された黒鉛質粒子Aと、該黒鉛質粒子A表面近傍に埋設された硬質微粒子Fと、黒鉛Bの少なくとも一部に、低い結晶性の炭素材料Cの被覆を有する複合黒鉛質炭素材料Dとを含有し、前記複合黒鉛質炭素材料Dのアルゴンレーザーを用いたラマン分光法により測定された1360cm-1ピーク強度(ID)と1580cm-1ピーク強度(IG)の比ID/IGが0.1以上0.3未満であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料である。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材料は、前記複合黒鉛質炭素材料Dが、黒鉛Bに有機化合物Gを付着および/または含浸させた後、900℃以上の温度で熱処理して得られた炭素材料Cの被覆を有する複合黒鉛質炭素材料Dであることが好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材料は、前記複合黒鉛質炭素材料Dが、黒鉛Bに有機化合物Gを付着および/または含浸させた後、900℃以上2800℃未満の温度で熱処理して得られた炭素材料Cの被覆を有する複合黒鉛質炭素材料Dであることが好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材料は、前記複合黒鉛質炭素材料Dが、黒鉛Bに難黒鉛化性炭素前駆体を付着および/または含浸させた後、2800℃以上の温度で熱処理して得られた炭素材料Cの被覆を有する複合黒鉛質炭素材料Dであることが好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材料は、前記いずれかの複合黒鉛質炭素材料Dの平均粒径が1〜30μmであることが好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材料となる前記複合黒鉛質炭素材料Dの、黒鉛Bに付着および/または含浸させる有機化合物Gについては、本発明の範囲で熱処理を行う際に、残留炭素分を有する有機化合物であれば、いかなるものでも構わないが、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂またはそれらの混合物など、石炭系または石油系の重質油、または石炭系または石油系のピッチであることが好ましい。
本発明は、前記いずれかのリチウムイオン二次電池用負極材料からなることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極である。
本発明は、前記のリチウムイオン二次電池用負極を用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池である。
本発明の負極材料は、放電容量、初期充放電効率と急速充放電効率が高く、サイクル特性にも優れ、特に水系結着剤を用い、高密度化された負極を作製したときも、良好な充放電特性を示す。そのため、本発明のリチウムイオン二次電池は、近年の電池の高エネルギー密度化に対する要望を満たし、搭載する機器の小型化および高性能化に有効である。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明においては、メソフェーズ小球体またはその粉砕物を黒鉛化したのち、硬質微粒子Fの共存下でメカノケミカル処理により親水化された黒鉛質粒子Aと、該黒鉛質粒子A表面近傍に埋設された硬質微粒子Fと、黒鉛Bの少なくとも一部に、低い結晶性の炭素材料Cの被覆を有し、複合黒鉛質炭素材料Dのアルゴンレーザーを用いたラマン分光法により測定された1360cm-1ピーク強度(ID)と1580cm-1ピーク強度(IG)の比ID/IGが0.1以上0.3未満である複合黒鉛質炭素材料Dとを含有させてリチウムイオン二次電池用負極材料を調製する。
(親水化された黒鉛質粒子A)
親水化された黒鉛質粒子Aとは、黒鉛質粒子に、親水性を付与するための処理が施された黒鉛質粒子のことを言う。親水化された黒鉛質粒子Aを用いることにより、後述する負極合剤中において、結着剤(特に水系結着剤)が親水化された黒鉛質粒子Aの周囲に均一に分散し、負極合剤全体の導電性が大きく改善され、充電特性および放電特性が向上する。黒鉛質粒子の親水性は、黒鉛質粒子と水との接触角の測定、または黒鉛質粒子への水の浸透速度、浸透量の測定などにより知ることができる。本発明においては、25℃において、黒鉛質粒子15gを底部(内径36mm)が金網およびろ紙からなる円筒容器に充填し、180回タッピングを繰返した後、該容器の底部を水面に接触させ、水の浸透量を測定した親水化度とした。例えば、水の浸透時間が30sec の場合の浸透量が0.5g以上のもの、好ましくは0.8g以上のもの、より好ましくは1.0g以上のものを親水性が付与されたものとする。
親水化は黒鉛質粒子Eをメカノケミカル処理することにより実施する。
メカノケミカル処理される黒鉛質粒子E、電池特性上、メソフェーズ小球体の黒鉛質粒子である
メカノケミカル処理される黒鉛質粒子Eは、高い放電容量を得るために、特にX線回折における格子面間隔d002 が0.34nm未満、好ましくは0.337nm以下の結晶性の高い黒鉛質粒子であることが好ましい。格子面間隔d002 はX線としてCuK α線を用い、高純度シリコンを標準物質に使用して黒鉛質粒子の(002)回折ピークを測定し、そのピーク位置より算出する。算出方法は学振法(日本学術振興会第17委員会が定めた測定法)に従うものであり、具体的には、「炭素繊維」(大谷杉郎、733−742頁(1986年3月)、近代編集社)などに記載された方法によって測定された値である。
メカノケミカル処理される黒鉛質粒子Eの平均粒径は特に問わないが、通常1〜100μm、好ましくは5〜40μmである。負極の厚みなどによって調整される。平均粒径はレーザー回折式粒度分布計により測定した粒度分布の累積度数が体積百分率で50%となる粒径である。また黒鉛質粒子Eの比表面積が大きすぎると不可逆容量の増大や電池の安全性の低下を招くため、比表面積は好ましくは20m2/g以下であり、より好ましくは5m2/ g以下0.1m2/ g以上である。比表面積は窒素ガス吸着BET法により測定される。また、黒鉛質粒子Eの真比重は2.2以上であることが好ましい。真比重はブタノールを溶媒に用いた液相置換法により測定される。
メカノケミカル処理される黒鉛質粒子Eの形態は特に限定されないが、球状、粒状、塊状、りん片状、繊維状などであることが好ましい。
メカノケミカル処理される黒鉛質粒子Eは、本発明の目的を損なわない範囲であれば、他の炭素材料(非晶質ハードカーボンなどを含む)、有機物、金属化合物との混合物、造粒物、被覆物、積層物であってもよい。また、液相、気相、固相における各種化学的処理、熱処理、酸化処理などを施したものであってもよい。
(硬質微粒子F)
前記黒鉛質粒子Eに後述するメカノケミカル処理を施す際に、硬質微粒子Fの共存下に該処理を行う
該硬質微粒子Fは、該黒鉛質粒子Eの平均粒径よりも小さい平均粒径を有し、かつ該黒鉛質粒子Eよりも硬いものであればよく、これら以外の条件は特に制限されない。硬質微粒子Fが凝集物である場合には、その一次粒子の平均粒径が黒鉛質粒子Eの平均粒径よりも小さい凝集物であればよい。硬質微粒子Fの平均粒径が1nmより大きければ、黒鉛質粒子Eに親水性を付与することができる。平均粒径が100nm以下であれば、黒鉛質粒子E同士の接触を妨げず、充放電特性に悪影響を及ぼさない。
硬質微粒子Fは導電性および充放電特性に寄与するものであっても、寄与しないものであっても差支えなく、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属ホウ化物、金属炭化物などである。親水性を有する硬質微粒子Fが好ましく、特に、気相法によって製造された無水シリカ(気相シリカ)、酸化チタン、酸化アルミニウムなどの金属酸化物の微粒子が好適である。親水性を有する硬質微粒子Fを用いることにより、黒鉛質粒子Eへのメカノケミカル処理による親水性付与に加えて、一段と高い親水性を付与することができる。
黒鉛質粒子Eのメカノケミカル処理には、上記のような硬質微粒子Fを、通常、黒鉛質粒子Eに対し0.01〜10質量%の割合で使用する。メカノケミカル処理に使用された硬質微粒子Fは、その後作製される負極材料中に残存させる必要はないが、黒鉛質粒子Eに対し0.01〜5質量%、好ましくは0.01〜0.5質量%の割合で埋設、一体化することが好ましい。また硬質微粒子Fは、予め黒鉛質粒子Eとドライブレンドしてメカノケミカル処理に供してもよく、黒鉛質粒子Eのメカノケミカル処理中に添加してもよい。
(メカノケミカル処理)
メカノケミカル処理とは、黒鉛質粒子Eに圧縮力と剪断力を同時にかける処理を言う。剪断力や圧縮力は通常一般の攪拌力よりも大きいが、これら機械的応力は、黒鉛質粒子Eの表面にかけられることが好ましく、黒鉛質粒子Eの粒子骨格を破壊しないことが好ましい。黒鉛質粒子Eの粒子骨格が破壊されると、負極材料として使用したとき、不可逆容量の増大を招く傾向がある。剪断力や圧縮力は、一般的にはメカノケミカル処理による黒鉛質粒子Eの平均粒径の低下率を20%以下に抑える程度であることが好ましい。
メカノケミカル処理装置は、被処理物(黒鉛質粒子E、またはさらに硬質微粒子F)に圧縮力と剪断力を同時にかけることができる装置であれば、装置の種類、構造は特に限定されない。例えば加圧ニーダー、二本ロールなどの混練機、回転ボールミル、ハイブリダイゼーションシステム((株)奈良機械製作所製)などの高速衝撃式乾式粉体複合化装置、メカノマイクロス((株)奈良機械製作所製)、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン(株)製)などの圧縮剪断式乾式粉体複合化装置などを使用することができる。
中でも回転速度差を利用して剪断力および圧縮力を同時にかける装置が好ましい。具体的には回転するドラム(回転ローター)と、該ドラムと回転速度の異なる内部部材(インナーピース)と、被処理物の循環機構(例えば循環用ブレード)とを有する装置(例えば図1(A) 〜(B) に模式的機構を示すホソカワミクロン(株)製メカノフュージョンシステム)を用い、回転ドラムと内部部材との間に供給された被処理物に遠心力を付与しながら、内部部材により回転ドラムとの速度差に起因する圧縮力と剪断力とを同時に繰返しかけることによりメカノケミカル処理することが好ましい。
また固定ドラム(ステーター)と、高速回転する回転ローターの間に被処理物を通すことで固定ドラムと回転ローターとの速度差に起因する圧縮力と剪断力とを被処理物にかける装置(例えば図2に模式的機構を示す(株)奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステム)も好ましい。
メカノケミカル処理の条件は、使用する装置によっても異なり一概には言えないが、例えば、図1(A) 〜(B) に示すような回転ドラム11と内部部材(インナーピース)12を備えた装置を用いる場合には、被処理物13を回転ドラム11に供給し、回転ドラム11と内部部材12との周速度差が5〜50m/sec 、両者間の距離が1〜100mm、処理時間が3〜90min の条件で操業するのが好ましい。被処理物13は該装置内の循環機構14により循環され、メカノケミカル処理され、排出機構15から排出される。
また図2に示すような固定ドラム21とブレード26を有する高速回転ローター22を備えた装置を用いる場合には、被処理物23を循環機構24に供給し、固定ドラム21と回転ローター22との周速度差が10〜100m/sec 、処理時間が30sec 〜10min の条件で操業するのが好ましい。被処理物23は該装置内の循環機構24により循環され、メカノケミカル処理され、排出機構25から排出される。なお、該装置にはステーター27とジャケット28が敷設されている。
黒鉛質体粒子Eのメカノケミカル処理前、処理中、処理後のいずれかにおいて、本発明が期待するサイクル特性とレート特性を損なわない範囲において、公知の導電性材料、イオン伝導性材料、界面活性剤、高分子化合物などの各種添加剤を添加することができる。
メカノケミカル処理により、黒鉛質粒子Eに親水性が付与され、また、硬質微粒子Fを共存させた場合は、より親水性が大となるのに加え、表面の凸部が主に研磨され平滑化し、微細な粗さを有する表面に変化し、表面の滑り性がよくなる。また、表面の結晶性または配向性が低下するなどの表面特性が改善される結果、ラマン分光におけるR値が増大し、親水化された黒鉛質粒子Aが得られる。表面改質効果が得られる機構は、必ずしも明確ではないが、メカノケミカル処理による圧縮下での剪断力により、黒鉛質粒子Eの表面が研磨されるためと推測される。特に硬質微粒子Fの共存下でのメカノケミカル処理では、黒鉛質粒子Aの表面の研磨効果が高くなるとともに、硬質微粒子Fが黒鉛質粒子Aの表面近傍に埋設され、一体化することも本発明の効果を助長する原因と考えられる。したがって、本発明においては、メカノケミカル処理、特に硬質微粒子Fを共存させるメカノケミカル処理によって親水化された黒鉛質粒子Aの使用が特に好ましい。
前記黒鉛質粒子Aをリチウムイオン二次電池用負極材料として用いると、高い放電容量を維持しつつ、不可逆容量を低減する効果を奏する(すなわち、高い充放電効率を得る)ことができる。特に、負極は、後述するように、前記黒鉛質粒子A、複合黒鉛質炭素材料Dと結着剤とから調製された負極合剤ペーストから作製されるが、このペースト調製時の結着剤が水溶性および/または水分散性結着剤(水系結着剤)であっても、結着剤の分散媒が有機溶媒系の場合と同等の充放電特性を得ることができる。
(低い結晶性の炭素材料Cの被覆を有する複合黒鉛質炭素材料D)
本発明の低い結晶性の炭素材料Cの被覆を有する複合黒鉛質炭素材料Dは、芯材が高結晶性の黒鉛Bであり、低い結晶性の炭素材料C(炭素質材料および/または黒鉛質材料)で芯材の少なくとも一部が被覆されている複合材料である。炭素材料Cは、該複合黒鉛質炭素材料Dの内部および/または表面に存在するものであり、内部および/または表面の少なくとも一部に存在すればよい。
低い結晶性とは、黒鉛Bの少なくとも一部を被覆する炭素材料Cの原料となる有機化合物Gを単独で、後述する熱処理をしたときに、X線回折における格子面間隔d002 が0.34nm以上を示す場合を意味する。被覆後の複合黒鉛質炭素材料DのX線回折においては、芯材の黒鉛Bと炭素材料Cとの結晶性の分離ができないだけではなく、被覆時と単独時では、異なる結晶性となることがあるため、X線回折での炭素材料Cの結晶性の解析は不適である。したがって、本発明において、低い結晶性とは、表面の状態をより分析しやすいラマン分光において、複合黒鉛質炭素材料DのR値が0.1以上、0.3未満を示す場合である。R値が0.1未満であると表面の結晶性が高く、本発明の効果を得るには至らない。一方、0.3以上であると表面の結晶性は十分に低いが、低すぎるため他の電池特性(初期充放電効率、急速放電効率)を劣化させる。
R値とは、アルゴンレーザーを用いたラマン分光法により測定したDバンド1360cm-1ピーク強度IDとGバンド1580cm-1ピーク強度IGの比ID/IGである。
前記複合黒鉛質炭素材料Dは、芯材の黒鉛Bに、有機化合物Gを付着および/または含浸させ、これを900℃以上の温度で熱処理して得たものであることが好ましい。さらに好ましいのは、900℃以上、2800℃未満、特に好ましいのは1150℃以上、2300℃未満の温度で熱処理して得たものである。熱処理温度が900℃未満の場合には、これを負極材料とすると充放電ロスがあり、充放電容量が低下することがある。2800℃以上の場合には、表面に被覆された炭素材料Cが高結晶化する場合があり、この場合には、これを負極材料とすると充放電ロスの増大と高速充放電特性の低下が起こることがある。
有機化合物Gとして難黒鉛性炭素前駆体を用いる場合には、2800℃以上の熱処理温度にすることができる。難黒鉛性炭素前駆体を用いると2800℃以上の熱処理でもそれほど結晶化が進まず、本発明が所望する一部に低い結晶性の炭素材料Cの被覆をすることができ、良好な充放電特性を示す複合炭素質材料Dが得られる。
(黒鉛B)
芯材の黒鉛Bについては、各種天然黒鉛、人造黒鉛の中から選ぶことができるが、りん片状黒鉛、塊状黒鉛、球状黒鉛などが好ましい。内部構造としては、芯材中に適度な空隙を有するものが好ましい。芯材の黒鉛Bの平均粒径は1〜30μmの範囲であることが好ましい。比表面積は特に問わないが、炭素材料Cとなる有機化合物Gの分散が良好であることから大きい方が好ましく、0.5m2/g以上であることが好ましい。格子面間隔d002 は、被覆後の放電容量を高めることから小さい方が好ましいが、熱処理工程での向上もあり得るため、特に限定されない。不純物を含んでいても構わない。
(炭素材料Cの前駆体、有機化合物G)
炭素材料Cの前駆体としては、熱処理した際に、炭素分が残留する有機化合物Gを選定することが好ましい。また、熱処理後に、充放電反応を阻害または電解液の分解を促進させるような重金属、軽金属元素がほとんど残留しないものが好ましい。熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、石炭系・石油系の重質油、石油系・石炭系のピッチなどが好ましい。特に炭素質微粒子(石炭の微粉、一次QI(キノリン不溶分)、カーボンブラック、炭素または黒鉛の微粒子など)を含むものが好ましい。また、有機化合物Gとして、難黒鉛性炭素前駆体を用いてもよい。難黒鉛性炭素前駆体はフェノール樹脂、フラン樹脂、ポリ塩化ビニリデン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリビニリデンジフルオライド、易黒鉛性ピッチの架橋変性体(酸化、硫黄処理などの生成物)、砂糖など固相で炭化反応が進むものが挙げられる。好ましいのはフェノール樹脂、フラン樹脂などである。
これら有機化合物Gをそのまま、または溶剤に溶解または分散して、またはスラリー化してから、芯材の黒鉛Bと混合した後、熱処理を行うことにより、低い結晶性を示す炭素材料Cが黒鉛Bに付着および/または含浸して、黒鉛Bの少なくとも一部が炭素材料Cにより被覆された複合黒鉛質炭素材料Dが得られる。
有機化合物Gの黒鉛Bに対する混合割合としては、熱処理温度によっても異なるが、熱処理後に、黒鉛Bと炭素材料Cの合計質量に対して、炭素材料Cが0.5〜30質量%、特に3〜20質量%となるように調整するのが好ましい。炭素材料Cが過剰であると、これを負極材料とした場合に、充放電容量、充放電効率の低下を招き、それに伴い良好な高速放電特性が得られなくなることがある。逆に炭素材料Cが過少であると、これを負極材料とした場合に、放電容量は確保されるが、充放電効率、充電特性などの向上が認められないことがある。
前記複合黒鉛質炭素材料Dをリチウムイオン二次電池用負極材料として用いると、低い結晶性を示す炭素材料Cによって、充電特性が優れる。さらに、親水化された黒鉛質粒子Aと併用することにより、黒鉛質粒子Aの良好な放電特性を維持しつつも、混合した負極材料全体の充電特性を向上させることができ、サイクル特性が向上し、レート特性にも優れる。
(負極材料)
かくして得られた複合黒鉛質炭素材料Dを、親水化された黒鉛質粒子Aと混合する。その混合比は、複合黒鉛質炭素材料Dに対する炭素材料Cの比率や親水化された黒鉛質粒子Aの結晶性の程度によって異なるが、複合黒鉛質炭素材料D/黒鉛質粒子Aの質量比で10/90〜80/20、好ましくは20/80〜70/30である。10/90未満であったり、80/20超であると、充放電特性を充分に発揮することができないことがある。
負極材料としては、特に前記メカノケミカル処理を施して表面を親水化した黒鉛質粒子Aに、黒鉛Bに低い結晶性の炭素材料Cを被覆した複合黒鉛質炭素材料Dを混合したものが好ましく、特に、負極合剤ペーストを調製する時の結着剤の分散媒が水系結着剤であっても良好なサイクル特性およびレート特性を発現する。
複合黒鉛質炭素材料Dと親水化された黒鉛質粒子Aとの混合方法は、特に限定されないが、両者を粉体のままドライ状態で各種混合機を用いる方法が一般的である。また結着剤を加えて混合する場合には、各粒子の偏りがないように、すなわち、均一な分散が得られるように、充分な時間をかけて混合することが好ましい。
前記負極材料を用い、水系結着剤と集電材とから作製した負極を含むリチウムイオン二次電池が、優れたサイクル特性、レート特性などの充放電特性を発現するのは、親水化された黒鉛質粒子Aと、低い結晶性の炭素材料Cにより被覆された複合黒鉛質炭素材料Dとが、黒鉛質粒子Aの周囲に均一に分散した水系結着剤によって強固に密着しているために、充放電を繰返しても該黒鉛質粒子Aと該複合黒鉛質炭素材料Dとの密着性が保たれ、さらに該黒鉛質粒子Aと該複合黒鉛質炭素材料Dと水系結着剤と集電体との強固な密着が維持されること、さらには、該水系結着剤が均一に薄膜化して黒鉛質粒子Aの周囲に介在して、導電性、イオン伝導性、電解液浸透性などを阻害することがないことによるものと考えられる。
さらに、サイクル特性、レート特性の向上を達成できるのは、黒鉛質粒子A、複合黒鉛質炭素材料Dの芯材の黒鉛Bと黒鉛質粒子A間の近接部分において、リチウムイオン、溶媒和したリチウムイオン、電子などが粒子間で高速に交換して互いの充電に優れた部分から優先的に充電反応が進行するが、その粒子から他の粒子への固体内拡散や粒子間拡散が起こり、充電反応が円滑に進行するためと考えられる。また、放電に関しても、異なる炭素または黒鉛質材料の放電に優れた部分からのリチウムイオンの放出による固相内リチウムイオン濃度の変化が他の粒子から迅速に起こるためではないかと考えられる。この効果は該黒鉛質粒子Aと該炭素質材料Dとの密着性がバインダーの薄膜を介して十分に保たれるために発現し、これを達成するのに、本発明の組合せが適していると考えられる。
本発明の負極材料は、その特徴を生かして負極材料以外の用途に転用することもできるが、特に上記したリチウムイオン二次電池の負極材料として好適である。したがって本発明では、さらにこの負極材料を用いたリチウムイオン二次電池用負極、さらにはリチウムイオン二次電池が提供される。
(負極)
本発明では、親水化された黒鉛質粒子Aと、複合黒鉛質炭素材料Dとを含有する負極材料を用いて負極を作製するが、この際に、負極の作製に通常使用される導電材、改質材、添加剤などを混合してもよい。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、気相成長炭素繊維、またはこれらの黒鉛化物などを混合してもよい。これらの添加量は、一概には言えないが、0.1〜10質量%である。
本発明における親水化された黒鉛質粒子Aおよび複合黒鉛質炭素材料Dとを含有する負極材料を用いる負極の作製は、該負極材料の性能を充分に引き出し、かつ粉末に対する賦型性が高く、化学的、電気化学的に安定な負極を得ることができる成形方法であれば何ら制限されず、通常の成形方法に準じて行うことができる。
負極作製時には、前記負極材料に結着剤を加えた負極合剤を用いることができる。結着剤としては、電解質に対して化学的安定性、電気化学的安定性を有するものが好ましく、例えばポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、さらにはカルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴムなどが用いられる。これらを併用することもできる。
なお、本発明では、前記負極材料を用いることにより、有機溶媒に溶解および/または分散する有機溶媒系結着剤はもちろんのこと、水溶性および/または水分散性の水系結着剤を用いても優れた充放電特性を発現する負極を得ることができる。
前記のうちでも、本発明の目的を達成し、効果を最大限に活かす上で、カルボキシメチルセルロース(水溶性)、ポリビニルアルコール(水溶性)、スチレンブタジエンゴム(水分散性)などの水系結着剤を用いることが特に好ましい。
結着剤は、通常、負極合剤の全量中0.5〜20質量%の割合で使用されることが好ましい。
負極合剤の調製は、例えば、親水化された黒鉛質粒子Aと、複合黒鉛質炭素材料Dを分級等によって適当な粒径に調整し、結着剤と混合することによって実施される。この負極合剤を、通常、集電材の片面もしくは両面に塗布して負極合剤層を形成する。また負極合剤を溶媒に分散させ、ペースト状にした後、集電材に塗布、乾燥すれば、集電材に均一かつ強固に接着した負極合剤層が形成される。ペーストは、翼式ホモミキサーにて300〜3000rpm 程度で撹拌することにより調製することができる。溶媒は負極合剤の調製に使用される通常の溶媒で差し支えない。
例えば、本発明の負極材料と、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂粉末あるいはカルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴムなどの水溶性または水分散性結着剤を、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、水、アルコールなどの溶媒と混合してスラリーや溶液とした後、これを集電材に塗布すればよい。中でも、溶媒乾燥除去における安全面、環境面への影響を配慮して、水またはアルコールなどを溶媒として、カルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴムなどを溶解、分散させてなる水系スラリーを用いることが好ましい。
ペーストは、公知の攪拌機、混合機、混練機、ニーダーなどを用いて混合することにより調製される。
本発明による負極材料と結着剤とを混合してなる負極合剤を集電材に塗布し、乾燥した後の膜厚は10〜200μm、好ましくは20〜200μmである。
また前記負極材料の粒子と結着剤としてのポリエチレン、ポリビニルアルコールなどの樹脂粉末とを乾式混合し、金型内でホットプレス成形して負極を製造することもできる。
負極合剤層を形成した後、プレス加工などの圧着を行うと、負極合剤層と集電材との接着強度をさらに高めることができる。
負極に用いる集電材の形状は、特に限定されないが、箔状、またはメッシュ、エキスパンドメタルなどの網状のものなどが用いられる。集電材としては、例えば銅、ステンレス、ニッケルなどを挙げることができる。集電材の厚みは、箔状の場合、5〜20μmであることが好ましい。
(正極)
正極の材料(正極活物質)としては、充分量のリチウムを吸蔵/脱離し得るものを選択することが好ましい。そのような正極活物質としては、リチウム含有遷移金属酸化物、遷移金属カルコゲン化物、バナジウム酸化物(V2 5 、V6 13、V2 4 、V3 8 など)およびそのリチウム化合物などのリチウム含有化合物、一般式MX Mo6 8-y (式中Xは0≦X≦4、Yは0≦Y≦1の範囲の数であり、Mは遷移金属などの金属を表す)で表されるシェブレル相化合物、活性炭、活性炭素繊維などを用いることができる。
前記リチウム含有遷移金属酸化物は、リチウムと遷移金属との複合酸化物であり、リチウムと2種類以上の遷移金属を固溶したものであってもよい。リチウム含有遷移金属酸化物は、具体的には、LiM(1)1-p M(2)p 2 (式中Pは0≦P≦1の範囲の数であり、M(1)、M(2)は少なくとも一種の遷移金属元素からなる。)またはLiM(1)2-Q M(2)Q 4 (式中Qは0≦Q≦2の範囲の数であり、M(1)、M(2)は少なくとも一種の遷移金属元素からなる。)で示される。
前記において、Mで示される遷移金属元素としては、Co、Ni、Mn、Cr、Ti、V、Fe、Zn、Al、In、Snなどが挙げられ、好ましくはCo、Ni、Fe、Mn、Ti、Cr、V、Alが挙げられる。
リチウム含有遷移金属酸化物としては、より具体的に、LiCoO2 、Lip Niq 1-q 2(MはNiを除く前記遷移金属元素、好ましくはCo、Fe、Mn、Ti、Cr、V、Alから選ばれる少なくとも一種、0.05≦p≦1.10、0.5≦q≦1.0である。)で示されるリチウム複合酸化物、LiNiO2 、LiMnO2 、LiMn2 4 、LiNi0.9 Co0.1 2 、LiNi0.5 Co 0.52 などが挙げられる。
前記のようなリチウム含有遷移金属酸化物は、例えば、リチウム、遷移金属の酸化物または塩類を出発原料とし、これら出発原料を所望の組成に応じて混合し、酸素雰囲気下、600〜1000℃の温度で焼成することにより得ることができる。なお出発原料は酸化物または塩類に限定されず、水酸化物などでもよい。
本発明では、正極活物質は、前記化合物を単独で使用しても2種類以上併用してもよい。例えば、正極材料に炭酸リチウムなどの炭酸アルカリ塩を添加することもできる。
このような正極材料によって正極を形成するには、例えば正極材料と結着剤および電極に導電性を付与するための導電剤よりなる正極合剤を集電材の両面に塗布することで正極合剤層を形成する。結着剤としては、負極で例示したものがいずれも使用可能である。導電剤としては、例えば炭素材料、黒鉛やカーボンブラックが用いられる。
集電材の形状は特に限定されず、箱状、またはメッシュ、エキスパンドメタルなどの網状などのものが用いられる。集電材の基板としては、アルミニウム、ステンレス、ニッケルなどを挙げることができる。その厚さは、10〜40μmが好適である。
また正極の場合も負極と同様に、正極合剤を溶剤中に分散させることでペースト状にし、このペースト状の正極合剤を集電材に塗布、乾燥することによって正極合剤層を形成してもよく、正極合剤層を形成した後、さらにプレス加圧等の圧着を行っても構わない。これにより正極合剤層が均一かつ強固に集電材に接着される。
以上のような負極および正極を形成するに際しては、従来公知の導電剤や結着剤などの各種添加剤を適宜に使用することができる。
(電解質)
本発明に用いられる電解質としては通常の非水電解液に使用されている電解質塩を用いることができ、例えば、LiPF6 、LiBF4 、LiAsF6 、LiClO4 、LiB(C6 5 4 、LiCl、LiBr、LiCF3 SO3 、LiCH3 SO3 、LiN(CF3 SO2 2 、LiC(CF3 SO2 3 、LiN(CF3 CH2 OSO2 2 、LiN(CF3 CF2 OSO2 2 、LiN(HCF2 CF2 CH2 OSO2 2 、LiN{(CF3 2 CHOSO2 2 、LiB{C6 3 (CF3 2 4 、LiAlCl4 、LiSiF6 などのリチウム塩などを用いることができる。特にLiPF6 、LiBF4 が酸化安定性の点から好ましく用いられる。
電解液中の電解質塩濃度は0.1〜5mol/L が好ましく、0.5〜3.0mol/L がより好ましい。
前記非水電解質は、液系の非水電解液としてもよいし、固体電解質あるいはゲル電解質など高分子電解質としてもよい。前者の場合、非水電解質電池は、いわゆるリチウムイオン電池として構成され、後者の場合、非水電解質電池は、高分子固体電解質電池、高分子ゲル電解質電池などの高分子電解質電池として構成される。
液系の非水電解質液とする場合には、溶媒として、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、1,1 −または1,2 −ジメトキシエタン、1,2 −ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、1 ,3−ジオキソラン、4 −メチル−1 ,3 −ジオキソラン、アニソール、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、クロロニトリル、プロピオニトリル、ホウ酸トリメチル、ケイ酸テトラメチル、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、酢酸エチル、トリメチルオルトホルメート、ニトロベンゼン、塩化ベンゾイル、臭化ベンゾイル、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、3−メチル−2−オキサゾリドン、エチレングリコール、ジメチルサルファイトなどの非プロトン性有機溶媒を用いることができる。
また、電池の性能を向上させる添加剤などを含有していても差し支えない。
非水電解質を高分子固体電解質、高分子ゲル電解質などの高分子電解質とする場合には、可塑剤(非水電解液)でゲル化されたマトリクスの高分子化合物を含むが、このマトリクス高分子化合物としては、ポリエチレンオキサイドやその架橋体などのエーテル系高分子化合物、ポリメタクリレート系高分子化合物、ポリアクリレート系高分子化合物、ポリビニリデンフルオライドやビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素系高分子化合物などを単独、もしくは混合して用いることができる。
これらの中で、酸化還元安定性の観点などから、ポリビニリデンフルオライドやビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素系高分子化合物を用いることが望ましい。
これら高分子固体電解質または高分子ゲル電解質には可塑剤が含有されるが、可塑剤としては前記の電解質塩や非水溶媒が使用可能である。高分子ゲル電解質の場合、可塑剤である非水電解液中の電解質塩濃度は0.1〜5mol/L が好ましく、0.5〜2.0mol/L がより好ましい。
このような高分子電解質の製造方法は特に制限されないが、例えば、マトリクスを形成する高分子化合物、リチウム塩および非水溶媒(可塑剤)を混合し、加熱して高分子化合物を溶融する方法、有機溶剤に高分子化合物、リチウム塩および非水溶媒を溶解させた後、混合用有機溶剤を蒸発させる方法、ならびに高分子電解質の原料となる重合性モノマー、リチウム塩および非水溶媒を混合し、混合物に紫外線、電子線または分子線などを照射して重合性モノマーを重合させ高分子電解質を製造する方法などを挙げることができる。
また、前記固体電解質中の溶媒の混合割合が10〜90質量%であると、導電率が高く、かつ機械的強度が高く、成膜しやすいので好ましく、より好ましくは30〜80質量%である。
(リチウムイオン二次電池)
リチウムイオン二次電池は、通常、負極、正極および非水電解質を主たる電池構成要素とし、正極、負極はそれぞれリチウムイオンの担持体からなり、充放電過程におけるリチウムイオンの出入は層間で行われる。そして充電時にはリチウムイオンが負極中に吸蔵され、放電時には負極から脱離する電池機構を構成する。
本発明のリチウムイオン二次電池は、本発明の負極材料を用いること以外は特に限定されず、他の電池構成要素については一般的なリチウムイオン二次電池の要素に準じる。
本発明のリチウムイオン二次電池に使用するセパレータは、特に限定されるものではないが、例えば織布、不織布、合成樹脂製微多孔膜などが挙げられる。特に合成樹脂製微多孔膜が好適に用いられるが、その中でもポリオレフィン系微多孔膜が、厚さ、膜強度、膜抵抗の面で好適である。具体的には、ポリエチレンおよびポリプロピレン製微多孔膜、またはこれらを複合した微多孔膜などである。
本発明のリチウムイオン二次電池において、ゲル電解質を用いることも可能である。
ゲル電解質二次電池は、負極、正極およびゲル電解質を、例えば負極、ゲル電解質、正極の順で積層し、電池外装材内に収容することで構成される。なお、さらに負極と正極の外側にゲル電解質を配するようにしてもよい。
本発明に係るリチウムイオン二次電池の構造は任意であり、その形状、形態について特に限定されるものではなく、円筒型、角型、コイン型、ボタン型などの中から任意に選択することができる。より安全性の高い密閉型非水電解液電池を得るためには、過充電などの異常時に電池内圧上昇を感知して電流を遮断させる手段を備えたものであることが好ましい。アルミラミネートフィルムなどに封入した構造とすることもできる。
以下に、本発明を実施例および比較例によって具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例および比較例では、本発明の負極材料を用いて、図3に示すような構造の評価用のボタン型電池を作製して評価した。実電池は、本発明の概念に基き、公知の方法に準じて作製することができる。
粒子の物性は下記のように測定した。
平均粒径は、レーザー回折式粒度分布計により粒度分布の累積度数が体積百分率で50%となる粒径とした。
格子面間隔d002 は前述したX線広角回折法により求めた。
真比重はブタノールを溶媒に用いる液相置換法で測定した。
比表面積は、窒素ガス吸着によるBET比表面積である。
水の浸透量(親水性)は、黒鉛質粒子15gを、25℃で底部が内径36mmの金網およびろ紙からなる円筒容器に充填し、パウダテスタ(PTR ;ホソカワミクロン(株)製)を用い、1min 間に60回のタッピングを3min 行ない、180回タッピングした後、該容器の底部を水面に接触させた30sec 後の浸透量である。浸透量はペネトアナライザー(ホソカワミクロン(株)製)を用いて測定した。
R値は、レーザーラマン分光分析装置(NR-1800 ;日本分光(株)製)を用い、励起光は514.5nmのアルゴンイオンレーザー、照射面積は50μmφで分析し、Dバンド1360cm-1ピークの強度をID、Gバンドの1580cm-1ピークの強度をIGとしたときのID/IGである。
参考例1)
(親水化された黒鉛質粒子A1の作製)
コールタールピッチを熱処理してなるメソフェーズ小球体(JFEケミカル(株)製、平均粒径:25μm)を3000℃で黒鉛化し、メソフェーズ小球体の黒鉛質粒子E1を得た。該粒子E1は球状であり、格子面間隔d002 が0.3362nm、真比重が2.228であった。また比表面積は0.45m2/gであった。浸透量(親水性)は0.15g(30sec )であった。
ついで、この黒鉛質粒子E1に、図2に示すような概略構造のメカノケミカル処理装置((株)奈良機械製作所製「ハイブリダイゼーションシステム」)を用いて、下記の条件でメカノケミカル処理を行った。すなわち、回転ローターの周速40m/sec で処理時間6min の条件下で処理することにより、該装置内に投入された黒鉛質粒子E1を分散しながら主として衝撃力、分子間相互作用を含めた圧縮力、摩擦力、剪断力などの機械的作用を繰返し付与した。得られた親水化された黒鉛質粒子A1は球状を呈しており、平均粒径は24μmであった。浸透量(親水性)は1.3g(30sec )であった。
(低い結晶性炭素材料C1の被覆を有する複合黒鉛質炭素材料D1の作製)
オートクレーブに、芯材として天然黒鉛B1(中越黒鉛(株)製BF10A、平均粒径10μm、格子面間隔d002 が0.3356nm、R値0.09)100質量部を入れ、さらに有機化合物としてのコールタールピッチG1 20質量部をタール中油100質量部に溶解させた溶液を入れ、攪拌下に140℃に加熱した。加熱を継続した後、減圧蒸留によってタール中油を除去し、ピッチが表面および/または内部に付着および/または含浸した複合黒鉛質炭素材料の前駆体を得た。ついで、これをステンレス製るつぼに充填し、焼成炉にて不活性ガス流通下、500℃で加熱した後、アトマイザーで粉砕した。さらに、これを1000℃で熱処理し、低い結晶性炭素材料C1が被覆された複合黒鉛質炭素材料D1を得た。各々の加熱または熱処理の収率から、複合黒鉛質炭素材料D1中の炭素材料C1の質量を算出したところ、8質量%に相当した。R値は0.28であった。
前記親水化された黒鉛質粒子A1と複合黒鉛質炭素材料D1とを含む負極材料を用いて、水溶媒系の負極合剤ペーストを調製した。
(負極合剤ペーストH1の調製)
プラネタリーミキサーに、親水化された黒鉛質粒子A1と複合黒鉛質炭素材料D1とを質量比が60:40となるように入れ、ドライ状態で攪拌した後、固形分でそれぞれ次の質量%となるようにカルボキシメチルセルロースナトリウム1質量%、カルボキシ変性スチレンブタジエンゴムラテックスエマルジョン(JSR(株)製)1質量%と水を加えて混合し、引き続き攪拌を行い、水溶媒系の負極合剤ペーストH1を調製した。
(作用電極の作製)
前記負極合剤ペーストH1を、銅箔(厚さ16μm)上に塗布し、さらに真空中90℃で溶媒を揮発させて乾燥させた。次に、形成された負極合層H1をローラープレスによって加圧し、さらに直径15.5mmの円形状に打ち抜くことで、銅箔に密着した負極合剤層H1(厚さ60μm)を有する作用電極を作製した。
(対極の作製)
リチウム金属箔(厚さ500μm)をニッケルネットに押付け、直径15.5mmの円形状に打ち抜いて、ニッケルネットからなる集電材(厚さ250μm)と、該集電材に密着したリチウム金属箔からなる対極を作製した。
(電解液)
エチレンカーボネート33mol%、メチルエチルカーボネート67mol%の割合で混合してなる混合溶媒に、LiPF6 を1mol/dm3 となる濃度で溶解させ、非水電解液を調製した。得られた非水電解質液をポリプロピレン多孔質膜に含浸させ、電解液が含浸したセパレータを作製した。
(評価電池の作製)
評価電池として図3に示すボタン型評価電池を作製した。
外装カップ31と外装缶33とは、その周縁部において絶縁ガスケット36を介してかしめられた密閉構造を有し、その内部に外装缶33の内面から順に、ニッケルネットからなる集電材37a、リチウム箔よりなる円盤状の対極34、電解質液が含浸したセパレータ35、負極合剤を有する円盤状の作用電極32および銅箔からなる集電材37bが積層された電池構造である。
評価電池は、電解液を含浸させたセパレータ35を、集電材37bに密着した作用電極32と、集電材37aに密着した対極34との間に挟んで積層した後、作用電極32を外装カップ31内に、対極34を外装缶33内に収容して、外装カップ31と外装缶33とを合わせ、外装カップ31と外装缶33との周縁部を絶縁ガスケット36を介してかしめ密閉して作製した。
評価電池は、実電池において、負極用活物質として使用可能な黒鉛質粒子を含有する作用電極32と、リチウム金属箔からなる対極34とから構成される電池である。
前記評価電池について、25℃で下記のような充放電試験を行い、放電容量、初期充放電効率、急速充電効率およびサイクル特性を測定した。黒鉛質粒子1g当りの放電容量(mAh/g )、初期充放電効率(%)、急速充電効率(%)、急速放電効率(%)およびサイクル特性を表2に示した。
(放電容量)(初期充放電効率)
0.9mAの電流値で回路電圧が0mVに達するまで定電流充電を行い、回路電圧が0mVに達した時点で定電圧充電に切替え、さらに電流値が20μAになるまで充電を続けた後、その間の通電量から充電容量を求めた。その後、120min 間休止した。
次に0.9mAの電流値で、回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行い、この間の通電量から放電容量を求めた。これを第1サイクルとした。次式1から初期充放電効率を計算した。
初期充放電効率(%)=(第1サイクルにおける放電容量/第1サイクルにおける 充電容量)×100 式1
なおこの試験では、リチウムイオンを負極材料中に吸蔵する過程を充電、負極材料から脱離する過程を放電とした。
(急速充電効率)
前記に引き続き、第2サイクルにて高速充電を行なった。
電流値を第1サイクルの5倍の4.5mAとして、回路電圧が0mVに達するまで定電流充電を行い、充電容量を求め、次式2から急速充電効率を計算した。
急速充電効率(%)=(第2サイクルにおける定電流充電容量/第1サイクルにお ける充電容量)×100 式2
(急速放電効率)
引き続き、第3サイクルにて高速放電を行なった。
電流値を第1サイクルの15倍の13.5mAとして、回路電圧が2.5mVに達するまで定電流放電を行った。得られた放電容量から、次式3により急速放電効率を計算した。
急速放電効率(%)=(第3サイクルにおける放電容量/第1サイクルにおける放 電容量)×100 式3
(サイクル特性)
別の評価電池を用いて、回路電圧が0mVに達するまで4.0mAの定電流充電を行った後、回路電圧が0mVに達した時点で定電圧充電に切替え、さらに電流値が20μAになるまで充電を続けた後、120min 間休止した。次に4.0mAの電流値で回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行い、この間の通電量から放電容量を求めた。この充放電を20回繰返し、得られた放電容量から、次式4を用いてサイクル特性を計算した。
サイクル特性(%)=(第20サイクルにおける放電容量/第1サイクルにおける 放電容量)×100 式4
参考例2)
参考例1において、負極合剤ペーストH1(負極合剤H1)を調製する際の親水化された黒鉛質粒子A1と複合黒鉛質炭素材料D1との質量比を70:30に変える以外は、参考例1と同様に負極合剤ペーストH2(負極合剤H2)の調製を行い、かつそれ以後の諸工程も参考例1と同様に実施して負極材料、負極および評価電池を作製し、電池特性などの評価も同様に行った。評価結果を表2に示した。
参考例3)
参考例1において、複合黒鉛質炭素材料D1の黒鉛B1を黒鉛質粒子B2(KS44;Timcal(株)製、格子面間隔d002 0.3359nm、R値0.10)に変えて作製した複合黒鉛質炭素材料D2(R値0.29)を用いる以外は、参考例1と同様に負極合剤ペーストH3(負極合剤H3)の調製を行い、かつそれ以後の諸工程も参考例1と同様に実施して負極材料、負極および評価電池を作製し、電池特性などの評価も同様に行った。評価結果を表2に示した。
参考例4)
参考例1において、黒鉛質材料A1の黒鉛質粒子としてメソフェーズ小球体(平均粒径:25μm)を粉砕して平均粒径を14μmとしたメソフェーズ小球体を熱処理して作製した黒鉛質粒子E2を用いる以外は、参考例1と同様にメカノケミカル処理を行い親水化された黒鉛質粒子A2を得、これを用いて参考例1と同様に負極合剤ペーストH4(負極合剤H4)の調製を行い、かつそれ以後の諸工程も参考例1と同様に実施して負極材料、負極および評価電池を作製し、電池特性などの評価も同様に行った。評価結果を表2に示した。
(実施例
参考例4のメソフェーズ小球体を熱処理して作製した黒鉛質粒子E2 100質量部と、硬質微粒子Fとして無水シリカ(「AEROSIL 300 」:日本アエロジル(株)製、平均粒径7μm、硬さ相対値4.2)0.2質量部とを混合し、処理時間を20min とする以外は、参考例1と同様にメカノケミカル処理を行ない親水化された黒鉛質粒子A3を得た。平均粒径は14μm、浸透量(親水性)は3.2g(30sec )であった。
鱗片状天然黒鉛(平均粒径30μm)を、カウンタジェットミル(200AFG;ホソカワミクロン(株)製)に入れ、空気圧力300KPa で1時間機内循環させて造粒した。これから風力分級装置を用い、粒径5μm以下の微粉を除去し、さらに75μmの目開きのふるいを通して、平均粒径20μmの球状化黒鉛B3を得た。これの格子面間隔d002 は0.3356nm、R値は0.88、アスペクト比は2.0、比表面積は3.8m2/gであった。
参考例4において、複合黒鉛質炭素材料D1の代わりに、該球状化黒鉛B3を用いて作製した複合黒鉛質炭素材料D3(R値0.31)を用い、さらに親水化された黒鉛質材料A3を用いる以外は、参考例4と同様に負極合剤ペーストH5(負極合剤H5)の調製を行い、かつそれ以後の諸工程も参考例4と同様に実施して負極材料、負極および評価電池を作製し、電池特性などの評価も同様に行った。評価結果を表2に示した。
(実施例
フェノール39gと37質量%ホルマリン水溶液66gとヘキサメチレンテトラミン4gとからなる溶液に、実施例の球状化黒鉛B3 110gを加え、分散状態で攪拌し、90℃に加熱した。重縮合により得られた難黒鉛化性炭素前駆体であるフェノール樹脂G2が球状化黒鉛B3を被覆した複合黒鉛質炭素材料の前駆体を得た。ろ過により複合黒鉛質炭素材料の前駆体を分離した。被覆層は該フェノール樹脂G2分として20質量%(残炭素分で10質量%)であった。複合黒鉛質炭素材料の前駆体を空気中で270℃まで5時間かけて昇温し、さらに270℃に2時間保持し、被覆層を硬化させた。得られた該複合黒鉛質炭素材料D4を75μmふるい下になるように解砕した。ついで、窒素雰囲気中1000℃で熱処理(炭化処理)を行い、さらに3000℃で熱処理を行うことによって、該球状化黒鉛B3の表面の一部が難黒鉛化性炭素前駆体G2を熱処理して得られた炭素材料C2で被覆された複合黒鉛質炭素材料D4(R値0.18)を得た。複合黒鉛質炭素材料D4中の炭素材料C2は10質量%であった。
実施例において、複合黒鉛質炭素材料D3の代わりに、該複合黒鉛質炭素材料D4を用いる以外は、実施例と同様に負極合剤ペーストH6(負極合剤H6)の調製を行い、かつそれ以後の諸工程も参考例1と同様に実施して負極材料、負極および評価電池を作製し、電池特性などの評価も同様に行った。評価結果を表2に示した。
(比較例1)
参考例1において、メソフェーズ小球体の黒鉛質粒子E1(平均粒径:25μm)のメカノケミカル処理を省略した黒鉛質粒子A4(=E1)を用いる以外は、参考例1と同様に負極合剤ペーストH7(負極合剤H7)の調製を行い、かつそれ以後の諸工程も参考例1と同様に実施して負極および評価電池を作製し、電池特性などの評価も同様に行った。評価結果を表2に示した。
(比較例2)
参考例1において、親水化された黒鉛質粒子A1を用いることなく、参考例1と同様に負極材料ペーストH8(負極合剤H8)の調製を行い、かつそれ以後の諸工程も参考例1と同様に実施して負極および評価電池を作製し、電池特性などの評価も同様に行った。評価結果を表2に示した。
実施例1、2、参考例1〜4はいずれも、放電容量、初期充放電効率、急速充放電効率(レート特性)、およびサイクル特性に優れている。これ対して、親水化されていない黒鉛質粒子と複合黒鉛質炭素材料を用いる比較例1、および複合黒鉛質炭素材料のみを用いる比較例2は、初期充放電効率、急速充放電効率およびサイクル特性に劣っている。
Figure 0004104561
Figure 0004104561
Figure 0004104561
本発明のメカノケミカル処理に好適なメカノケミカル処理装置の構造を示す概略説明図である。 実施例で用いたメカノケミカル処理装置の構造を示す概略説明図である。 負極材料の特性を評価するための評価電池の断面図である。
符号の説明
11 回転ドラム
12 内部部材(インナーピース)
13 被処理物
14 被処理物の循環機構
15 被処理物の排出機構
21 固定ドラム
22 ローター
23 被処理物
24 被処理物の循環機構
25 被処理物の排出機構
26 ブレード
27 ステーター
28 ジャケット
31 外装カップ
32 作用電極
33 外装缶
34 対極
35 電解質溶液含浸セパレータ
36 絶縁ガスケット
37a、37b 集電体

Claims (7)

  1. メソフェーズ小球体またはその粉砕物を黒鉛化したのち、硬質微粒子Fの共存下でメカノケミカル処理により親水化された黒鉛質粒子Aと、該黒鉛質粒子Aの表面近傍に埋設された硬質微粒子Fと、黒鉛Bの少なくとも一部に、低い結晶性の炭素材料Cの被覆を有する複合黒鉛質炭素材料Dとを含有し、前記複合黒鉛質炭素材料Dのアルゴンレーザーを用いたラマン分光法により測定された1360cm-1ピーク強度(ID)と1580cm-1ピーク強度(IG)の比ID/IGが0.1以上0.3未満であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料。
  2. 前記複合黒鉛質炭素材料Dが、黒鉛Bに有機化合物Gを付着および/または含浸させた後、900℃以上の温度で熱処理して得られた炭素材料Cの被覆を有する複合黒鉛質炭素材料Dである請求項に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
  3. 前記複合黒鉛質炭素材料Dが、黒鉛Bに有機化合物Gを付着および/または含浸させた後、900℃以上2800℃未満の温度で熱処理して得られた炭素材料Cの被覆を有する複合黒鉛質炭素材料Dである請求項に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
  4. 前記複合黒鉛質炭素材料Dが、黒鉛Bに難黒鉛化性炭素前駆体を付着および/または含浸させた後、2800℃以上の温度で熱処理して得られた炭素材料Cの被覆を有する複合黒鉛質炭素材料Dである請求項に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
  5. 前記複合黒鉛質炭素材料Dの平均粒径が1〜30μmである請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極材料からなることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。
  7. 請求項に記載のリチウムイオン二次電池用負極を用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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