JP4816644B2 - 回転ロック装置 - Google Patents
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Description
このリクライニング装置は、シートバックに接合された円盤形状のラチェットとシートクッションに接合された円盤形状のガイドとが互いの盤面を重ね合わせるかたちで相対回動可能に組み付けられた構成となっている。ここで、ラチェットには、その外周縁に沿って、内周面に内歯を有する内歯部が形成されている。この内歯部は、ラチェットの軸方向に円筒状に突出して形成されており、ガイドに組み付けられた状態では、両円盤に囲まれた内部空間に内歯を露出させるようになっている。一方、ガイドには、ラチェットに対向する内側の盤面上に、窪み形状の案内部が形成されていて、その内部に外歯を有する複数のポールが収容されている。この案内部は、各ポールをそれぞれガイドの半径方向にのみ移動可能となるようにガイドしている。そして、このガイドの中心部には、リクライニング操作用の解除レバーによって回動操作されるカムが配置されている。このカムは、常時は、各ポールを半径方向の外側に押し出す方向に附勢されていて、各ポールの外歯をラチェットの内歯と噛合させた状態に保持している。これにより、ラチェットとガイドとの相対回動が規制された状態とされ、リクライニング装置がロック状態として保持される。そして、カムは、解除レバーの操作を行うことにより、各ポールの押出し状態をやめて、各ポールの外歯とラチェットの内歯との噛合状態を解除するようになっている。これにより、ラチェットとガイドとの相対回動が許容された状態となり、リクライニング装置がアンロック状態に切換えられる。そして、この解除レバーの操作をやめることにより、カムが附勢によって回動し、各ポールが半径方向の外側に押し出されてリクライニング装置が自動的にロック状態に戻されるようになっている。
ところで、上記のリクライニング装置には、解除レバーの操作をやめてもリクライニング装置がアンロック状態のまま保持されるフリーゾーンが設定されている。このフリーゾーンは、シートへの着座時には使用されることのない回動領域、例えばシートバックがシートクッションに対して前倒しの姿勢となる回動領域に設定されている。具体的には、フリーゾーンは、ラチェットの内歯部の内周面に部分的に内歯の歯先よりも半径方向の内方に突出した内歯のない突出平坦部が形成されることによって設定されている。すなわち、この突出平坦部の形成された領域では、半径方向の外側に押し出されたいずれかのポールが内歯よりも内方に突出した突出平坦部と当接することにより、その他のポールを外側に押し出そうとするカムの回動が規制される。これにより、各ポールの外歯とラチェットの内歯との噛合が禁止される。したがって、この突出平坦部の形成された回動領域では、解除レバーの操作状態を維持しなくても、シートバックの傾き角度を変えることができる。これにより、例えば、シートバックをシートクッションに畳込むといった操作を簡単に行うことができる。
先ず、第1の発明は、同軸上に相対回動可能に配設された第1部材と第2部材との間に位置して第1部材と第2部材とを連結し、第1部材と第2部材との相対回動を許容するアンロック状態と、第1部材と第2部材との相対回動を阻止しその状態を保持するロック状態と、を成す回転ロック装置である。回転ロック装置は、ラチェットと、ガイドと、3個のポールと、カムと、を有する。ラチェットは、第1部材及び第2部材の一方の部材の軸上位置に接合され、円盤形状を成し、円盤形状の外周縁部位において軸方向に突出して円筒形状部位が形成されている。この円筒形状部位の内周面には内歯が形成されている。ガイドは、第1部材及び第2部材の他方の部材の軸上位置に接合され、円盤形状を成し、ラチェットに対して相対回動可能に互いの盤面を対向させた状態で組み付けられる。3個のポールは、ガイドのラチェットに対向する側の盤面上に円周方向に間隔を置いて配置されており、ガイドに対して半径方向にのみそれぞれ移動可能な状態として保持されており、半径方向外側面に外歯を有する。カムは、ガイドの軸上位置に軸回動可能に配置され、軸回動に伴って3個の各ポールをガイドの半径方向の内側から外側に押し出して、各ポールの外歯をラチェットの円筒形状部位の内周面に形成された内歯に噛合させることができる。3個のポールの円周方向の配置により形成される3つの配置間寸法は、1つの配置間寸法が他の2つの配置間寸法よりも大きく設定されている。ラチェットの円筒形状部位の内周面の円周方向の一部には、内歯が欠歯とされていると共に内歯の歯先よりも半径方向の内方に突出した突出平坦部が一箇所にのみ形成されている。他の小さく設定された2つの配置間寸法は、それぞれ、突出平坦部の円周方向の長さ寸法よりも短く設定されている。
ここで、突出平坦部について、「円周方向の一部に一箇所にのみ形成されている」とは、その一箇所に連続的に1つの突出形状を形成したものの他、その一箇所に起伏を繰り返したような断続的な突出形状を形成したものも含んだ意味となっている。
この第1の発明によれば、ラチェットに形成された突出平坦部がカムに押し出されたいずれのポールとも干渉しない回動領域では、カムに押し出された各ポールは、ラチェットに形成された内歯と噛合する。これにより、ラチェットとガイドとの相対回動が規制されたロック状態となる。したがって、この突出平坦部と各ポールとが干渉しない回動領域が、回転ロック装置をロック状態とすることのできるロックゾーンとして設定される。また、ラチェットに形成された突出平坦部とカムに押し出されたいずれかのポールとが干渉する回動領域では、カムに押し出されたポールは、突出平坦部と当接する位置でその押し出しによる移動が阻止される。これにより、各ポールを押し出そうとするカムの回動が規制され、各ポールの外歯とラチェットの内歯との噛合が禁止されたアンロック状態となる。したがって、この突出平坦部といずれかのポールとが干渉する回動領域は、回転ロック装置がロック状態とはならないフリーゾーンとして設定される。
この突出平坦部は、ラチェットの円周方向の一部に一箇所にのみ形成されている。そして、この一箇所にのみ形成された突出平坦部は、1つの大きな配置間寸法を構成する2個のポールに挟まれた円周方向の領域のうち、3個目のポールが配置されていない側の領域内に位置する時には、押し出されたポールとは干渉せず、ポールとラチェットとの噛合を許容する。したがって、ロックゾーンが、1つの大きな配置間寸法によって広く確保される。また、突出平坦部は、この円周方向の長さ寸法よりも短く設定された他の2つの小さな配置間寸法の範囲の領域内に位置するときには、その小さな配置間寸法を構成する少なくとも一方の押し出されたポールと干渉し、ポールとラチェットとの噛合を禁止する。したがって、ロックゾーンから連続したフリーゾーンが、上記した他の2つの配置間寸法を含んで連続的に広く確保される。
この第2の発明によれば、突出平坦部は、2つの小さな配置間寸法を挟み込んでいる両端の2個のポールに挟まれた3個目のポールを含む円周方向の領域内に位置する時には、常に、その小さな配置間寸法を構成する少なくとも一方の押し出されたポールと干渉する。
この第3の発明によれば、3個のポールをラチェットの内歯に向けて押し出すカムの外周面には、この押圧力の反力が作用する。この反力は、ポールの配置間寸法の1つが他の2つよりも大きく形成されていることにより、カムに対して円周方向に偏向して作用する。しかし、この偏向した反力は、カムの外周面に当接する支持部によって受け止められ、カムにかかる反力が円周方向に均衡化される。
この第4の発明によれば、支持部は、ガイドの板厚方向への半抜き加工により、ガイドの円盤面から軸方向に突出したかたちでこれと一体的に形成される。
この第5の発明によれば、3個のポール及び支持部がガイドの円周方向に均等配置される。これにより、3個のポールの押圧によってカムにかかる反力が、支持部によって支持されて、円周方向に均衡に作用する。
先ず、第1の発明によれば、円周方向に配置した3個のポールの配置間寸法のうち1つの配置間寸法を他の2つよりも大きく設定し、この小さく設定された2つの配置間寸法を突出平坦部の円周方向の長さよりも短く設定したことにより、回転ロック装置のロック強度を向上させると共に、フリーゾーンプレート等の組付部品を別途に設けなくても、連続した広い領域のロックゾーンとフリーゾーンとを設定することができる。
更に、第2の発明によれば、フリーゾーンを構成する突出平坦部と3個のポールとの配置構成を明確にしたことにより、上記第1の発明の構成をより明確にすることができる。
更に、第3の発明によれば、カムにかかる円周方向に偏向した反力を均衡化することのできる支持部を設けたことにより、各ポールとラチェットとの噛合状態を安定させることができ、回転ロック装置のロック強度を更に向上させることができる。
更に、第4の発明によれば、ガイドの半抜き加工によって支持部を形成することにより、支持部を高い支持強度を持たせて簡単に形成することができる。
更に、第5の発明によれば、3個のポール及び支持部を円周方向に90度間隔を置いて均等配置したことにより、カムによって3個のポールをラチェットの内歯に向けて円周方向に均衡な力をかけて押し出すことができ、回転ロック装置のロック強度を更に向上させることができる。
2 シートバック
2f バックフレーム(第1部材及び第2部材の一方の部材)
2a ダボ孔
2b Dダボ孔
2c 貫通孔
3 シートクッション
3f クッションフレーム(第1部材及び第2部材の他方の部材)
3a ダボ孔
3b Dダボ孔
3c 貫通孔
4 リクライニング装置(回転ロック装置)
4r 中心軸線
10 ラチェット
10a 内盤面
10b 外盤面
10c 軸孔
11 内歯部(円筒形状部位)
11a 内歯
11b 突出平坦部
11c 突出平坦部
11d ピン部材(突出平坦部)
12a ダボ
12b Dダボ
20 ガイド
20a 内盤面
20b 外盤面
20c 軸孔
21 囲い部
22a〜22c ガイド溝部
23 支持部
24a ダボ
24b Dダボ
25 掛部
30 セットプレート
31 ラチェット保持面
32 ガイド保持面
40a〜40c ポール
41a〜41c 外歯
42a〜42c 引込溝
43a〜43c フック部
50 回動カム(カム)
51a〜51c 操作腕
51d 支承部
52 嵌込孔
60 ヒンジカム
61 押動部
62 軸部
63 掛部
70 バネ部材
D1〜D3 配置間寸法
U 操作レバー
L ロックゾーン
F フリーゾーン
これらリクライニング装置4は、シートバック2をシートクッション3に対して中心軸線4rのまわりに相対回動させることのできる連結構造となっている。これにより、シートバック2の背凭れ角度の調整が可能とされている。詳しくは、シートバック2は、図2において2つの仮想線で示された状態のように、シートバック2をシートクッション3側に前倒しして畳込んだ姿勢状態と完全に後倒しした姿勢状態との間の180度の角度領域を回動させられるようになっている。ここで、リクライニング装置4は、シートバック2の背凭れ角度を調整可能とするアンロック状態と、背凭れ角度を保持可能とするロック状態と、に切換えられるようになっている。詳しくは、リクライニング装置4は、常時はロック状態に保持されており、シートバック2の背凭れ角度を固定した状態として保持されている。そして、リクライニング装置4は、その一方(紙面内手前側)のリクライニング装置4と連結された操作レバーUを引上げる操作を行うことにより、一斉にアンロック状態に切換えられる。これにより、シートバック2の傾き角度の調整が行えるようになる。そして、リクライニング装置4は、操作レバーUの引上げ操作をやめることにより、操作レバーUがその附勢によって元の位置に戻る動きに合わせて、再び一斉にロック状態に戻されるようになっている。これにより、シートバック2は、その調整された傾き角度の位置に保持される。
ここで、シートバック2とシートクッション3との間には、シートバック2をシートクッション3側に前倒しする回動方向に附勢する附勢バネ(図示省略)が設けられている。これにより、シートバック2は、リクライニング装置4がアンロック状態に切換えられることにより、自動的に前倒しされるようになっている。
前者のロックゾーンLは、前述した操作レバーUを引上げる操作をやめることにより、リクライニング装置4がロック状態に戻される領域となっている。このロックゾーンLは、乗員がシート1に着座した時にシートバック2を背凭れとして使用する回動領域に設定されており、本実施例では、シートバック2が後傾姿勢となる角度領域に設定されている。
また、後者のフリーゾーンFは、一旦引上げ操作した操作レバーUの操作をやめても、リクライニング装置4がアンロック状態のままで維持される領域となっている。このフリーゾーンFは、シート1への着座時には使用されることのない回動領域に設定されており、本実施例では、シートバック2が前傾姿勢となる角度領域に設定されている。したがって、このフリーゾーンFの設定により、シートバック2をシートクッション3の上側に畳込む操作を、操作レバーUの引上げ操作をやめた状態で行うことができるため、かかる操作を簡便に行うことができる。
すなわち、リクライニング装置4は、図1に示されるように、ラチェット10、ガイド20、セットプレート30、ポール40a〜40c、回動カム50、ヒンジカム60、バネ部材70が1つに組み合わされて構成されている。ここで、回動カム50が本発明のカムに相当する。
また、ラチェット10の円盤形状の中心部には、軸方向に貫通した軸孔10cが形成されている。この軸孔10cには、前述した図示しない操作軸が軸回動可能な状態で挿通されるようになっている。
また、図10に示されるように、ラチェット10の外盤面10bには、軸孔10cから径方向に離間した位置に、ダボ12a及びDダボ12bが円周方向に並べて形成されている。これらダボ12aやDダボ12bは、ラチェット10の板厚方向への半抜き加工によって外盤面10bから軸方向に突出して形成されており、バックフレーム2fに形成された対応するダボ孔2aやDダボ孔2bにそれぞれ嵌め込まれるようになっている。ここで、Dダボ12bは、円柱形状の一部が断面D字状に切り欠かれた形状に形成されており、円柱形状のダボ12aとは形状が区別されるようになっている。これにより、ラチェット10を常に定められた向きにしてバックフレーム2f側に嵌め込めるようになっている。そして、これにより、ラチェット10の軸孔10cとバックフレーム2fに形成された貫通孔2cとを同軸上に位置合わせした状態で両者を接合することができる。このラチェット10とバックフレーム2fは、ラチェット10の外盤面10bとバックフレーム2fの板面とを面当接させた状態で、上記ダボ12aやDダボ12bが嵌め込まれた両者の当接部位にアーク溶接が施されることによって一体的に接合されている。
また、ガイド20の円盤形状の中心部には、軸方向に貫通した軸孔20cが形成されている。この軸孔20cは、ガイド20とラチェット10とが組み付けられた状態では、ラチェット10の軸孔10cと同軸上に位置する。そして、この軸孔20cには、前述した図示しない操作軸が軸回動可能な状態で挿通されるようになっている。
また、ガイド20の内盤面20aには、外盤側に向けて押し出されることによって凹状に窪んだ形状とされたガイド溝部22a〜22cが形成されている。これらガイド溝部22a〜22cは、ガイド20の板厚方向への半抜き加工によって形成されており、それぞれ、ガイド20の中心から半径方向の外方に延びる形状に形成されている。詳しくは、ガイド溝部22a〜22cは、ガイド20の円周方向に90度の間隔を置いた3箇所の位置に形成されており、それぞれガイド20の中心から延びるひと続きの形状となっている。そして、各ガイド溝部22a〜22cには、ポール40a〜40cが1つずつ配置されており、各ポール40a〜40cをそれぞれ半径方向にのみ摺動移動可能となるように保持している。このポール40a〜40cの配置状態は、図6において良く表されている。
また、図11に示されるように、ガイド溝部22a〜22cの外盤面20bには、軸孔20cから径方向に離間した位置に、ダボ24a及びDダボ24bが円周方向に並べて形成されている。これらダボ24aやDダボ24bは、ガイド20の板厚方向への半抜き加工によって外盤面20bから軸方向に突出して形成されており、クッションフレーム3fに形成された対応するダボ孔3aやDダボ孔3bにそれぞれ嵌め込まれるようになっている。ここで、Dダボ24bは、円柱形状の一部が断面D字状に切り欠かれた形状に形成されており、円柱形状のダボ24aとは形状が区別されるようになっている。これにより、ガイド20を常に定められた向きにしてクッションフレーム3f側に嵌め込めるようになっている。そして、これにより、ガイド20の軸孔20cとクッションフレーム3fに形成された貫通孔3cとを同軸上に位置合わせした状態で両者を接合することができる。このガイド20とクッションフレーム3fは、ガイド20の外盤面20bとクッションフレーム3fの板面とを面当接させた状態で、上記ダボ24aやDダボ24bが嵌め込まれた両者の当接部位にアーク溶接が施されることによって一体的に接合されている。
これにより、リクライニング装置4は、図10で示したバックフレーム2fと一体的に接合されたラチェット10と、図11で示したクッションフレーム3fと一体的に接合されたガイド20と、が相対回動する動きに伴って、図2に示されるように、シートバック2をシートクッション3に対して相対的に回動させてその背凭れ角度の調整が行えるようになっている。
ここで、各ポール40a〜40cの進退移動は、ガイド20の中心部に設けられた回動カム50の回動運動によって行われる。詳しくは、各ポール40a〜40cの半径方向の内方側の部位には、回動カム50に形成された操作腕51a〜51cを引き込む引込溝42a〜42cと操作腕51a〜51cに引掛けられるフック部43a〜43cとが形成されている。これら引込溝42a〜42cは、回動カム50の回動に伴って操作腕51a〜51cをその内部に受け入れることのできる引込形状に形成されている。そして、フック部43a〜43cは、操作腕51a〜51cが引込溝42a〜42cに受け入れられる動きに伴って、操作腕51a〜51cに引掛けられる形状に形成されている。したがって、このフック部43a〜43cにより、操作腕51a〜51cが引込溝42a〜42cに受け入れられる動きに伴って、各ポール40a〜40cが半径方向の内方に引き込まれるようになっている。この各ポール40a〜40cが半径方向の内方に引き込まれた状態は、図6の仮想線によって示されている。
ところで、このリクライニング装置4には、上記した3個のポール40a〜40cが90度間隔で配置されていることによって、円周方向に3つの配置間寸法D1〜D3が設定されている。詳しくは、配置間寸法D1はポール40aとポール40cとの配置間の寸法であり、配置間寸法D2はポール40aとポール40bとの配置間の寸法であり、配置間寸法D3はポール40bとポール40cとの配置間の寸法である。この配置間寸法D1は、他の2つの配置間寸法D2,D3よりも大きく設定されている。そして、2つの配置間寸法D2,D3は、前述した突出平坦部11bの円周方向の長さ寸法よりも短く設定されている。
この回動カム50には、各ポール40a〜40cの配置されている円周方向の3箇所の部位に、半径方向の外方に伸びる操作腕51a〜51cが形成されている。これら操作腕51a〜51cは、回動カム50の周縁部から紙面内時計回りに腕を外側に伸び出す形状に形成されている。これら操作腕51a〜51cは、例えば、図6の実線で示された状態から、回動カム50を時計回り方向に回動させることにより、各ポール40a〜40cに形成された引込溝42a〜42cの内部に入り込んで、フック部43a〜43cを引掛ける。これにより、同図の仮想線で示されるように、回動カム50を時計回り方向への回動に伴って、各ポール40a〜40cが半径方向の内方に引き込まれるようになっている。また、この仮想線で示された状態から、回動カム50を反時計回り方向に回動させることにより、各操作腕51a〜51cは、引込溝42a〜42cの内周面の形状に沿って各ポール40a〜40cを半径方向の外側に押し出していく。これにより、同図の実線で示されるように、各ポール40a〜40cの外歯41a〜41cがラチェット10の内歯11aに押し付けられるようになっている。この回動カム50は、後述するヒンジカム60と連結されており、常時は、反時計回りの回動方向に附勢されている。これにより、各ポール40a〜40cは、常時は回動カム50によってラチェット10の内周面に向けて押し付けられた附勢された状態とされている。ここで、図1に良く示されるように、回動カム50の中心部には、ヒンジカム60を嵌め込むことのできる嵌込孔52が形成されている。
また、図6に戻って、回動カム50には、支持部23の配置されている円周方向の1箇所の部位に、その周縁部が部分的に半径方向の外方に膨らんだ形状の支承部51dが形成されている。この支承部51dは、円弧状に膨らんだ形状に形成されており、その外周面を支持部23の内周面に当接させている。これにより、回動カム50が各ポール40a〜40cをラチェット10の内周面に押し付けた際に受ける反力が、支承部51dの外周面と当接している支持部23によって受け止められるようになっている。すなわち、回動カム50は、円周方向に偏向して配置された3個のポール40a〜40cをラチェット10の内周面に押し付けることにより、円周方向に偏向した反力の作用を受ける。しかし、この偏向した反力の作用は、支承部51dが支持部23に受け止められることによって支持される。すなわち、互いに90度間隔で配置された各ポール40a〜40cと支承部51dとによって、回動カム50にかかる円周方向の反力が均衡化されている。これにより、各ポール40a〜40cをラチェット10の内周面に押圧する力が安定して作用するようになっている。
また、図1に戻って、ヒンジカム60には、その中心部に、軸方向の一方に突出した筒状の軸部62が形成されている。そして、この筒状の軸部62が、ガイド20の軸孔20cに挿通されることにより、ヒンジカム60がガイド20に対して軸回動可能に支持されている。そして、この軸部62の先端部には、後述するバネ部材70の内側の端部を掛着することのできる四角形状の掛部63が形成されている。この掛部63は、軸部62がガイド20の軸孔20cに挿通された状態では、ガイド20の外盤面20b側から突出するようになっており、その突出した位置でバネ部材70の内側の端部と掛着されている。ここで、図3には、バネ部材70の掛着状態が表されている。同図に示されるように、バネ部材70は、その内側の端部がヒンジカム60の内側の端部と掛着されており、外側の端部が、ガイド20の外盤面20b上に突出して形成されたピン形状の掛部25と掛着されている。これにより、ヒンジカム60は、上記したバネ部材70の附勢力によって、常時は、図6に示された反時計回りの回動方向に附勢されている。そして、これにより、ヒンジカム60は、回動カム50を反時計回りの回動方向に附勢して、各ポール40a〜40cを半径方向の外側に押し出す。これにより、各ポール40a〜40cがラチェット10の内歯11aと噛合し、リクライニング装置4がロック状態として保持される。
このヒンジカム60は、前述したように、図示しない操作軸と回動方向に一体的に連結されている。そして、この操作軸は、図2において前述した操作レバーUと一体的に連結されており、操作レバーUを引上げる操作を行うことによって回動操作されるようになっている。詳しくは、操作軸は、操作レバーUを引上げる操作を行うことにより、図6に示されるように、ヒンジカム60を上記の附勢に抗して時計回りに回動させる。これにより、ヒンジカム60が、回動カム50を時計回り方向に回動させて、ラチェット10の内歯11aと噛合状態となっている各ポール40a〜40cを半径方向の内方に引き寄せる。これにより、リクライニング装置4がアンロック状態に切換えられる。そして、操作レバーU(図2参照)を引上げる操作をやめることにより、ヒンジカム60は、その附勢によって反時計回り方向に回動し、再び各ポール40a〜40cをラチェット10の内歯11aと噛合させて、リクライニング装置4をロック状態に切換える。
この突出平坦部11bは、図2を参照して、シートバック2を前述した完全に後傾させた姿勢状態から起こし上げていくことにより、図7に示されている仮想線で示された状態から反時計回りに回動していく。そして、突出平坦部11bは、上述した反時計回りの回動によって、図7の実線で示される紙面内左側に配置されたポール40aと円周方向に隣接した回動位置の状態となるまでの領域では、回動カム50に押し出されたいずれのポール40a〜40cとも干渉しないようになっている。この突出平坦部11bと各ポール40a〜40cとが干渉しない回動領域は、操作レバーU(図2参照)の回動操作をやめることによってリクライニング装置4をロック状態とすることのできるロックゾーンLとして設定される。本実施例では、このロックゾーンLは、88度の角度領域に設定されている。ここで、図2には、シートバック2をロックゾーンLの境界位置まで起こし上げた状態が、実線の状態によって表されている。
この突出平坦部11bは、図6において前述したように、配置間寸法D2及び配置間寸法D3よりも円周方向の長さ寸法が長く設定されている。したがって、突出平坦部11bは、その反時計回りの回動によって、配置間寸法D2や配置間寸法D3の領域内に位置されているときには、常に、配置間寸法D2を挟み込んでいるポール40a,40bの少なくとも一方か、或いは配置間寸法D3を挟み込んでいるポール40b,40cの少なくとも一方かと干渉する。また、突出平坦部11bは、紙面内下側に配置されたポール40bや紙面内右側に配置されたポール40cと円周方向に重なり合う状態に位置されているときにも、その押し出されたポール40bやポール40cと干渉する。すなわち、本実施例では、図8に示されるように、突出平坦部11bを実線で示された回動位置の状態から反時計回りに回動させていく残りの全ての回動領域が、操作レバーU(図2参照)の回動操作をやめてもリクライニング装置4がアンロック状態のままで維持されるフリーゾーンFとして設定される。なお、本実施例では、図2を参照して、シートバック2を実線で示されたロックゾーンLの境界位置から前倒ししてシートクッション3の上に畳み込むまでの回動領域がフリーゾーンFとして設定されている。このフリーゾーンFは、92度の角度領域に設定されている。
すなわち、本実施例のリクライニング装置4では、図9に示されるように、前述したロックゾーンLを除く全ての回動領域がフリーゾーンFとして設定されている。これにより、1つのロックゾーンLとこのロックゾーンLから連続した1つのフリーゾーンFとを合わせた1組の回動領域が、最大で360度の広い角度領域を確保できるようになっている。
そこで、先ず、この初期状態から、シートバック2をシートクッション3側に前倒しして折畳姿勢とする方法について説明する。始めに、操作レバーUを引上げ操作して、リクライニング装置4をアンロック状態に切換える。これにより、シートバック2は、その前倒し方向にかかる附勢力によって回動し、シートクッション3の上側に畳込まれる。このとき、リクライニング装置4は、上記の実線状態の位置から少し前倒しすることにより、フリーゾーンFの回動領域に入る。したがって、この状態では、操作レバーUの引上げ操作をやめても、リクライニング装置4はアンロック状態のまま維持されるため、操作レバーUの操作を継続することなくシートバック2を自動的に前倒しして折畳むことができる。
次に、折畳姿勢とされたシートバック2を元の起立姿勢の状態に戻す方法について説明する。この場合には、シートバック2をその前倒し方向にかかる附勢力に抗して起こし上げていけばよい。すなわち、シートバック2を起立姿勢の位置まで起こし上げるまでの間は、リクライニング装置4はアンロック状態に維持されるため、操作レバーUの操作を継続することなくシートバック2を起こし上げていくことができる。そして、シートバック2が起立姿勢となることにより、リクライニング装置4が自動的にロックゾーンLに入ってロック状態に切り換えらる。これにより、シートバック2が起立姿勢の傾き角度で固定された状態となる。
次に、シートバック2を起立姿勢から後倒しする方法について説明する。始めに、操作レバーUを引上げ操作して、リクライニング装置4をアンロック状態に切換える。そして、操作レバーUの操作状態を維持したままで、シートバック2をその前倒し方向にかかる附勢力に抗して後傾させることにより、傾き角度の調整を行う。そして、その後に、操作レバーUの引上げ操作をやめれば、リクライニング装置4はロック状態に切換えられる。これにより、シートバック2の傾き角度が、その調整された位置で固定される。なお、シートバック2は、最大で同図の仮想線で示された後倒しの姿勢位置まで傾き角度を調整することができる。
更に、回動カム50にかかる円周方向に偏向した反力を均衡化することのできる支持部23を設けたことにより、各ポール40a〜40cとラチェット10との噛合状態を安定させることができ、リクライニング装置4のロック強度を向上させることができる。更に、ガイド20の半抜き加工によって支持部23を形成したことにより、支持部23を高い支持強度を持たせて簡単に形成することができる。更に、3個のポール40a〜40c及び支持部23を円周方向に90度間隔を置いて均等配置したことにより、回動カム50によって3個のポール40a〜40cをラチェット10の内歯11aに向けて円周方向に均衡な力をかけて押し出すことができ、リクライニング装置4のロック強度を向上させることができる。
本実施例では、ラチェット10に形成された突出平坦部11cが、円周方向に2つに分断された形状として形成されている。この突出平坦部11cは、実施例1(図1参照)で示した突出平坦部11bと同じように、その内周面に歯を持たない形状に形成されており、内歯11aの歯先よりも半径方向の内方に突出した形状に形成されている。そして、この突出平坦部11cの円周方向の長さ寸法、すなわち突出平坦部11cの全体形状の両端間の円周方向の長さ寸法は、実施例1(図6参照)で示した突出平坦部11bと同じように、2つの配置間寸法D2,D3よりも長く形成されている。
このように、突出平坦部11cが、円周方向に断続的に突出する形状に形成されている場合でも、実施例1で示した突出平坦部11bと同じ作用効果を得ることができる。
本実施例では、ラチェット10に形成された突出平坦部が、ラチェット10の内周面に打ち込まれた複数のピン部材11dによって形成されている。これらピン部材11dは、ラチェット10の内周面の円周方向の3箇所の位置に打ち込まれており、その外周面は歯を持たない平滑面によって形成されている。そして、各ピン部材11dは、実施例1(図1参照)で示した突出平坦部11bと同じように、内歯11aの歯先よりも半径方向の内方に突出した配置状態とされている。そして、両端に配置されたピン部材11dの間の円周方向の長さ寸法は、実施例1(図6参照)で示した突出平坦部11bと同じように、2つの配置間寸法D2,D3よりも長く形成されている。
このように、突出平坦部に相当するピン部材11dが、円周方向に間をあけて複数配置されている場合でも、実施例1で示した突出平坦部11bと同じ作用効果を得ることができる。
例えば、本発明の回動ロック装置は、上記実施例で示したリクライニング装置に限定されず、同軸上に相対回動可能に配設された部材同士を連結する種々の連結構造に適用することができる。
また、リクライニング装置は、ラチェットがシートクッション側に連結されて、ガイドがシートバック側に連結される構成であっても良い。
また、回動カムの偏向した押圧力を受け止める支持部のない構成であっても構わないが、この場合には、回動カムに円周方向に偏向した押圧力の反力が作用するため、上記各実施例で示した構成と比べると、リクライニング装置のロック強度が低下することとなる。また、ヒンジカム等の他の構成部品にも偏向した負荷がかかってしまう。
また、3個のポールがガイドの円周方向に90度間隔に配置されたものを示したが、3つの配置間寸法のうち、1つの配置間寸法が他の2つの配置間寸法よりも大きく設定される間隔に配置されていれば良く、その配置間寸法は特に限定されない。
また、突出平坦部は、平坦な形状に限定されるものではなく、ポールの外歯と噛合しない程度に曲がった曲面形状であってもよい。
Claims (5)
- 同軸上に相対回動可能に配設された第1部材と第2部材との間に位置して第1部材と第2部材とを連結し、第1部材と第2部材との相対回動を許容するアンロック状態と、第1部材と第2部材との相対回動を阻止しその状態を保持するロック状態と、を成す回転ロック装置であって、
第1部材及び第2部材の一方の部材の軸上位置に接合され、円盤形状を成し、該円盤形状の外周縁部位において軸方向に突出して円筒形状部位が形成されており、該円筒形状部位の内周面に内歯が形成されているラチェットと、
第1部材及び第2部材の他方の部材の軸上位置に接合され、円盤形状を成し、前記ラチェットに対して相対回動可能に互いの盤面を対向させた状態で組み付けられるガイドと、
該ガイドの前記ラチェットに対向する側の盤面上に円周方向に間隔を置いて3個配置されており、前記ガイドに対して半径方向にのみそれぞれ移動可能な状態として保持されており、半径方向外側面に外歯を有するポールと、
前記ガイドの軸上位置に軸回動可能に配置され、該軸回動に伴って前記3個の各ポールを前記ガイドの半径方向の内側から外側に押し出して、当該各ポールの外歯を前記ラチェットの円筒形状部位の内周面に形成された内歯に噛合させることのできるカムと、を有し、
前記3個のポールの円周方向の配置により形成される3つの配置間寸法は、1つの配置間寸法が他の2つの配置間寸法よりも大きく設定されており、
前記ラチェットの円筒形状部位の内周面の円周方向の一部には、前記内歯が欠歯とされていると共に前記内歯の歯先よりも半径方向の内方に突出した突出平坦部が一箇所にのみ形成されており、他の小さく設定された2つの配置間寸法は、それぞれ、前記突出平坦部の円周方向の長さ寸法よりも短く設定されていることを特徴とする回転ロック装置。 - 請求項1に記載の回転ロック装置であって、
前記3個のポールの円周方向の配置により形成される3つの配置間寸法は、前記突出平坦部が他の小さく設定された2つの配置間寸法を通って3個の各ポールの間を移動する領域中では、常にこれら小さな配置間寸法を構成する少なくとも一方のポールと突出平坦部とが該ポールの押出し時に当接する配置構成とされていることを特徴とする回転ロック装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の回転ロック装置であって、
前記ガイドには、前記3個のポールの配置間寸法が大きく設定された1つの配置間寸法位置に、前記カムの外周面に当接して支持する支持部が一体に設けられていることを特徴とする回転ロック装置。 - 請求項3に記載の回転ロック装置であって、
前記支持部は、前記ガイドの円盤形状が板厚方向に半抜き加工されて形成されていることを特徴とする回転ロック装置。 - 請求項3又は請求項4に記載の回転ロック装置であって、
前記3個のポール及び前記支持部は、前記ガイドの盤面上に円周方向にそれぞれ90度間隔を置いて配置されていることを特徴とする回転ロック装置。
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