JP4806103B2 - 締結部材および締結構造 - Google Patents
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Description
特許文献1,2には、ねじ山の圧力側フランク面のフランク角を基準山形のフランク角よりも小さくし、ねじ山の遊び側フランク面のフランク角を基準山形のフランク角よりも大きくしたねじ山を一部に備える雄ねじ構造が開示されている。
特許文献3に開示されている締結部材は、ねじ山の山頂にねじの軸線に垂直方向のスリットを備えると共に、広く形成された谷底を備える。
また、ねじ山の一部に樹脂被膜層を形成することにより緩み止めを行う方法もある。
また、本発明に関連する従来技術として、特許文献4に開示されている緊締ねじがある。
通常、オーバータップは、M10ねじの場合、約0.40mm〜約0.80mm設ける。このようなオーバータップを、特許文献1,2の雄ねじ構造に適用すると、雄ねじのフランク面と雌ねじのフランク面との隙間が大きくなり、雄ねじのフランク面と雌ねじのフランク面との摩擦力が大幅に低下したり、摩擦力が得られなくなる。そのため、特許文献1,2の雄ねじ構造に対して、緩み止め効果を維持しつつ溶融亜鉛メッキのような厚みの大きいメッキを施すことは非常に困難である。
(1)高い緩み止め効果を奏する締結部材または締結構造を提供する。
(2)通常のボルトと同じように締付けができることによりトルク管理を容易にし、再使用が容易な締結部材または締結構造を提供する。
(3)締結部材の第1ねじ山にかかる荷重負担を均一にし、応力集中を防ぐことにより、疲労強度を向上させる締結部材または締結構造を提供する。
(4)初期緩みの発生が防止される締結部材または締結構造を提供する。
(5)緩み止め効果を維持しつつ厚みの大きいメッキを施すことが可能な締結部材または締結構造を提供する。
すなわち、本発明は、ねじ構造を有し、ねじ山頂側の上部と、ねじ谷底側の下部とを備える締結部材であって、上部に形成された圧力側フランク面が、基準山形の圧力側フランク面よりも座面側に設けられ、前記下部の少なくとも一方の側面が、対応するフランク面の延長線よりも内側に設けられた締結部材とする。
締結部材のねじ山の下部はその側面が対応するフランク面より内側に存在し、下部の側面は内側に抉られた形状となるので、当該押圧によってねじ山の下部が弾性変形して、相手側締結部材の圧力側フランク面に対する反力(スプリングバック)がねじ山全体に生じる。
これにより、締結部材の圧力側フランク面と相手側締結部材の圧力側フランク面との摩擦力が増加して、高い緩み止め効果を発揮する。
これにより、オーバータップが設けられていても、締結部材の圧力側フランク面と相手側締結部材の圧力側フランク面とが必ず接触するため、締結部材と相手側締結部材との隙間の大きさに関係なく、ねじ山に相手側締結部材に対する反力(スプリングバック)が生じて、緩み止めの効力を発揮する。
従って、本発明の締結部材の相手側締結部材にオーバータップを設けても緩み止め効果が低下せず、本発明の締結部材に対して緩み止め効果を維持しつつ厚みの大きいメッキを施すことができる。
これにより、座面のへたりによる初期緩みが防止され、初期緩みに起因する締結部材の破断が防止されて信頼性が向上する。また、初期緩みに対する増し締めを行う必要がないため作業性が向上する。
これにより、特別な処理を要することなく、本発明の締結部材を繰り返し使用することができる。
また、本発明の締結部材は締結時にねじ山の下部が弾性変形するため、相手側締結部材に傷を付けにくく、繰り返し使用しても緩み止めの効果が低下しない。
第1の局面の締結部材はねじ構造を有し、ねじ山頂側の上部とねじ谷底側の下部とを備える。
本明細書でいう「ねじ構造」とは、円柱状の本体部において、その側面に先端部へ向かって螺旋状に形成されたねじ山とねじ谷を有する構造を指す。
また、「上部」とは、基準山形の有効径を規定する仮想円筒よりもねじ山頂側を指す。「下部」とは、仮想円筒よりもねじ谷底側を指す。「有効径」とは、基準山形における軸線の方向に計ったねじ溝の幅とねじ山の幅とが等しくなるような仮想的な円筒の直径であり、「有効径を規定する仮想円筒」とは前記仮想的な円筒を指す。
ねじ山の上部は、基準山形の有効径を規定する仮想円筒よりもねじ山頂部側の領域であるため、圧力側フランク面が十分確保されている。
これにより、上部に形成された圧力側フランク面において、相手側締結部材との接触面積を確保できる。
圧力側フランク面の形状は通常平面形状であるが、これに限定されず、座面側に向かって湾曲するR面形状であってもよい。
圧力側フランク面のフランク角は、基準山形のフランク角よりも小さくすることが好ましい。
これにより、締結する際に、締結部材の座面に被締結部材が届くまでは容易に締結部材をねじ込むことができると共に、締め付け始めるとねじ山が徐々に弾性変形し、スプリングバック効果により緩み止め効果を発揮する。
さらに、締結部材を締め込むにつれて、圧力側フランク面と相手側締結部材のフランク面との接触面積が徐々に増すため、ねじ山が弾性変形し易く、スプリングバック効果が確実に得られるため緩みにくくなる。
尚、「フランク角」とは、軸に垂直な線とフランク面とのなす角を指す。
第7の局面によれば、スプリングバック効果が得られやすく、緩み止め効果をさらに高めることができる。
尚、圧力側フランク面のフランク角は、約18°〜約26°とすることが好ましい。
そのため、フランク面の延長線に沿って下部の側面を設けた場合に比べて、下部が肉薄に形成されることになる。これにより、下部における弾性変形が許容され、ねじ山全体を撓ませることができる。
第2の局面は、第1の局面において、締結部材の軸線を含む断面にて、下部の少なくとも一方の側面の形状が、対応するフランク面の延長線から内側に向かって湾曲する曲面形状、または、対応するフランク面の延長線から内側に配置された平面形状と当該延長線から内側に向かって湾曲する曲面形状とを組み合わせた形状である。
また、下部の側面の形状を、対応するフランク面の延長線から内側に配置された平面形状と当該延長線から内側に向かって湾曲する曲面形状とを組み合わせた形状とした場合、当該平面形状は締結部材の軸方向に垂直な面とし、当該曲面形状を前記のR面形状または複合R面形状にすればよい。
そして、曲面形状である下部の側面の下縁と、谷底(隣接するねじ山の側面との連結部)とが円滑に連続し、谷部分の全体が曲面形状となることが好ましい。
このとき、ねじ山の下部に曲面形状が形成されているため、ねじ山の下部は塑性変形(もしくはクラックの形成)し難くなる。一般的に、締結部材に強い締結力がかかった場合、その谷底若しくはその近傍に応力が集中しやすく、当該部分において塑性変形(又はクラック形成)が生じやすい。
そこで、第2の局面のように、ねじ山の下部に曲面形状を設けると、応力が分散されるので、下部の降伏を避けつつねじ山がより大きく弾性変形可能となり、その結果、ねじ山の反力(スプリングバック)も大きくなる。換言すれば、下部が塑性変形し難くなるので、ねじ山をより確実に弾性変形させられることとなる。
第3の局面は、第1の局面または第2の局面において、遊び側フランク面の下端が、基準山形の有効径を示す仮想円筒よりもねじ山頂部側に位置し、下部における遊び側の側面が遊び側フランク面の延長線よりも内側に設けられると共に、下部における遊び側の側面が遊び側フランク面の下端から連続して形成されている。
第3の局面によれば、下部における遊び側の側面の広範囲が抉られて下部が一層肉薄となるため、ねじ山が遊び側に弾性変形し易くなるため、ねじ山が遊び側に撓んで反力(スプリングバック)がより大きくなり、高い緩み止め効果を奏する。
第4の局面は、第1の局面または第2の局面において、圧力側フランク面の下端が、遊び側フランク面の下端よりもねじ山頂部側に位置し、圧力側の側面が、圧力側フランク面の延長線よりも内側に設けられると共に、圧力側フランク面の下端から連続して形成され、下部における遊び側の側面が、遊び側フランク面の延長線よりも内側に設けられると共に、遊び側フランク面の下端から連続して形成されている。
このような形状によれば、締結状態においてねじ山は座面側から圧力を受けるが、ねじ山の撓みは小さく抑制される。その結果、ねじ山の圧力側フランク面へ応力が集中し、圧力側フランク面の形成材料が圧力側フランク面に沿って弾性変形して、ここに高い摩擦力が生じるため、高い緩み止め効果を奏する。
第5の局面は、第4の局面において、圧力側フランク面の下端が、基準山形の有効径を示す仮想円筒よりもねじ山頂部側に位置し、遊び側フランク面の下端が、仮想円筒よりもねじ谷底側に位置する。
第5の局面によれば、第4の局面の作用・効果をより確実に得られる。
第8の局面は、第1の局面または第2の局面において、上部のねじ山の角度が基準山形のねじ山の角度より大きく、圧力側フランク面のフランク角が基準山形のねじ山の圧力側フランク面のフランク角と略同一である。
そのため、第8の局面によれば、締結部材の圧力側フランク面の略全面が相手側締結部材の圧力側フランク面に押し付けられ、ここに安定した強い押圧力が生じることから、両圧力側フランク面に強い摩擦力が得られ、高い緩み止め効果を奏する。
第9の局面は、第1〜第8の局面の締結部材と、その締結部材に締結される相手側締結部材とを備え、締結部材を相手側締結部材に締結したとき、相手側締結部材の圧力側フランク面が締結部材の圧力側フランク面を押圧することにより、締結部材の下部が弾性変形し、締結部材の圧力側フランク面と相手側締結部材の圧力側フランク面との摩擦力が増加する。
尚、相手側締結部材の種類は特に限定されず、例えば、ユニファイねじ、ウィットねじなど、公知の規格に準じたねじ構造を有するものを採用すればよい。
第10の局面は、第9の局面において、締結部材を相手側締結部材に締結したとき、締結部材のねじ山頂部が相手側締結部材のねじ谷底に当接する。
第10の局面によれば、締結部材を相手側締結部材に締め込むと、締結部材の座面に力が加わるまでは少ない抵抗で締め付けることができるが、座面締め付けでトルクが大きくなるにつれて、締結部材の圧力側フランク面が相手側締結部材の圧力側フランクに押圧されることにより、締結部材のねじ山が遊び側に起き上がる。これにより、締結部材のねじ山が圧力側にスプリングバックして、締結部材の圧力側フランク面と相手側締結部材の圧力側フランク面との摩擦力が増加する。
ところで、相手側締結部材のねじ谷の谷径を小さくすることで、締結時に締結部材のねじ山頂が相手側締結部材のねじ谷底に当接するようにしてもよい。
第11の局面は、第9の局面において、締結部材を相手側締結部材に締結したとき、締結部材の遊び側フランク面が相手側締結部材の遊び側フランク面に当接する。
第11の局面によれば、締結部材を相手側締結部材に締め込むと、締結部材の座面に力が加わるまでは少ない抵抗で締め付けることができるが、座面締め付けでトルクが大きくなるにつれて、ねじ山が起き上がり、締結部材の遊び側フランク面が相手側締結部材の遊び側フランク面に当接して押し付けられ、ここに強い摩擦力が生じて、この摩擦力が圧力側フランク面の摩擦力に加わることにより、全体として一層高い緩み止め効果を奏する。
膨出部の形状は、相手側締結部材の遊び側フランク面と平行にする。これにより、膨出部と相手側締結部材の遊び側フランク面との干渉を避けると共に、膨出部が相手側締結部材の遊び側フランク面に押し付けられ、強い摩擦力が得られる。
そして、膨出部は、遊び側フランク面の下端からねじ山頂部へ向かって徐々に膨らむように形成にする。これにより、座面締め付けにより、ねじ山はその遊び側フランク面のねじ山頂部側が相手側締結部材の遊び側フランク面に向かうように起き上がるため、膨出部を相手側締結部材の遊び側フランク面に一層強く押し付けることができる。
第12の局面は、第11の局面において、締結部材のねじ山頂部の近傍を、圧力側フランク面に向かって下降傾斜するように切り取った切り取り面が形成されている。
第12の局面によれば、締結部材を相手側締結部材に締め込むと、座面締め付けでトルクが大きくなるにつれて、締結部材の圧力側フランク面が相手側締結部材の圧力側フランク面に押圧される。
このとき、締結部材の圧力側フランク面において、相手側締結部材の圧力側フランク面に最初に当接するのは、ねじ山頂部となる切り取り面の上端近傍ではなく、圧力側フランク面の上端となる。
その結果、締結部材のねじ山は、圧力側フランク面と遊び側フランク面の両方で摩擦力が得られ、さらなる緩み止め効果を奏する。
転造を採用する場合は、一工程でねじ山を形成してもよく、二工程でねじ山を形成してもよい。二工程でねじ山を形成する場合、例えば、基準山形よりも内側となるように下部の側面を付形し、上部形成用凸条部を形成する第1のステップと、上部形成用凸条部を変形して、圧力側フランク面の一部が基準山形の圧力側フランク面よりも座面側に位置するように圧力側フランク面を付形する第2のステップとを設ければよい。
また、各実施例を適宜組み合わせて実施してもよく、その場合には組み合わせた実施例の作用・効果を合わせもたせたり、相乗効果を得ることができる。
締結部材であるボルト1は雄ねじ構造を有し、頭部2、円筒部3、ねじ部4を備える。頭部2の裏面には座面20が形成されている。ねじ部4には、ねじ山10が形成されている。
符号6の破線は基準山形の有効径を規定する仮想円筒を示し、符号7の破線は基準山形を示す。基準山形7はJIS規格に準じた形状であって、ねじ山10の角度θ1は60°、圧力側フランク面73のフランク角および遊び側フランク面74のフランク角はいずれも30°である。符号75,76で示す破線はねじの軸方向に垂直な仮想線を示す。
上部11は、圧力側フランク面13と遊び側フランク面14とを備える。
圧力側フランク面13は、基準山形7の谷底71を通る仮想線13aに沿って形成されており、仮想線13aと仮想線75とのなす角度βは約22°である。
遊び側フランク面14は、基準山形7の谷底72を通る仮想線14aに沿って形成されており、仮想線14aと仮想線76とのなす角度γは約38°である。
仮想線13aと仮想線14aとのなす角度αは約60°である。
ねじ山10のピッチは、基準山形7のねじ山と同一である。
実施例1のねじ山10は、基準山形7の谷底71,72を基点として、基準山形7のねじ山の角度θ1(=α)を維持したまま、基準山形7を座面20側(圧力側)に傾斜させた形状となっている。
別な見方をすれば、基準山形7ではその山頂部は谷底71,72の中央の半径方向外方に位置するが、実施例1のねじ山では基準山形7の谷底71,72を基点として、その山頂部10aが座面20に近い谷部71側へシフトしている。
側面15は、圧力側フランク面13の延長線に相当する仮想線13aから内側に湾曲して形成されている。側面15は、隣接するねじ山(図示せず)の遊び側の側面と連続したR面形状であって、その底部が谷底10bとなる。
側面16は、遊び側フランク面14の延長線に相当する仮想線14aから内側に湾曲して形成されている。側面16は、隣接するねじ山(図示せず)のねじ先端側の側面と連続したR面形状であって、その底部が谷底10cとなる。
ナット8はJIS規格に準じた雌ねじ構造を有する相手側締結部材であって、ナット8の谷底80の角度θ2は60°である。
ボルト1をナット8に締め込むと、ナット8の圧力側フランク面81がねじ山10の圧力側フランク面13を押圧する。
下部12の両側面15,16は内側に向かう大きなR面形状であって、下部12は、基準山形7に比して、内側に抉られて肉薄となっている。
これにより、ナット8の圧力側フランク面81による押圧に応じて、ねじ山10全体が弾性変形する。
これにより、ねじ山10がナット8の圧力側フランク面81に対する反力(スプリングバック)が生じて、ねじ山10の圧力側フランク面13とナット8の圧力側フランク面81との間の摩擦力が増加し、高い緩み止め効果を奏する。
また、オーバータップが設けられていても、ねじ山10の圧力側フランク面13とナット8の圧力側フランク面81とが必ず接触するため、圧力側フランク面13,81の隙間の大きさに関係なく、ねじ山10にナット8の圧力側フランク面81に対する反力(スプリングバック)が生じて、緩み止めの効力を発揮する。
従って、ナット8にオーバータップを設けても緩み止め効果が低下しないため、ボルト1やナット8に溶融亜鉛メッキを有効に施すことができる。
これにより、図3に示すように、締結状態において、ねじ山10の圧力側フランク面13とナット8の圧力側フランク面81との接触面積が確保され、高い摩擦力が得られる。
さらに、ねじ山10の角度αはナット8の谷底80の角度と略同一の60°であるため、ナット8のねじ谷にねじ山10全体が弾性変形するための空間が確保されると共に、締結状態において、ねじ山10の圧力側フランク面13の略全面がナット8の圧力側フランク面81に当接するため、一層高い摩擦力が得られ、高い緩み止め効果を奏する。
これらのフランク角はJIS規格の基準とは異なるが、いずれもボルト1とナット8との隙間の範囲内である。そのため、座面締め付け力が生じるまでは、ボルト1とナット8との間の摩擦トルクが小さく、ストレス無くねじ込みができる。
その後、さらにねじ込みすると、座面締め付け力が生じて、前記のようにねじ山10の弾性変形による高い緩み止め効果を奏する。
また、ボルト1のねじ山10にかかる荷重は、ねじ山10自体が弾性変形するため、ナット8の複数のねじ谷の側面に接する他のねじ山10に分散される。これにより、ナット8と接するボルト1のねじ山10の内、最も座面側に位置するねじ山10(第1ねじ山)への荷重の集中が緩和され、ボルト1の疲労強度が向上する。
さらに、ねじ山10の反力(スプリングバック)により、座面20(図1参照)においても摩擦力が増加する。これにより、座面20のへたりによる初期緩みが防止され、初期緩みに起因するボルト1の破断が防止されて信頼性が向上する。また、初期緩みに対する増し締めを行う必要がないため作業性も向上する。
これにより、ねじ山10に特別な処理を要することなく、繰り返し使用することができる。また、締結状態において、ねじ山10の下部12が弾性変形するため、ナット8の圧力側フランク面81に傷を付けにくく、繰り返し使用しても緩み止めの効果が低下しない。
ねじ山1aの圧力側フランク面13bの下端13cは、仮想円筒6よりも下側(軸線5側)に位置する。すなわち、圧力側フランク面13bは、上部11から下部12にわたって形成されている。
ねじ山1aにおける下部12の圧力側には、圧力側フランク面13bの下端13cから谷底10bに連続して、仮想線13aよりも内側に湾曲するR面形状の側面15aが形成されている。
すなわち、側面15aは、ねじ山1aにおける下部12にのみ形成されている。
ねじ山1aにおける上部11から下部12にわたる遊び側には、遊び側フランク面14bの下端14cから谷底10cに連続して、仮想線14aよりも内側に湾曲するR面形状の側面16aが形成されている。
すなわち、側面16aは、ねじ山1aにおける上部11から下部12にわたって形成されている。
このように、実施例2のねじ山1aでは、実施例1のねじ山10に比べて(図2参照)、隣接するねじ山の間の谷底が座面側に位置した形状となっている。
そして、実施例2のねじ山1aでは、下部12の圧力側の側面15aが、実施例1のねじ山10の側面15よりも小さく抉られている。
これにより、実施例2のねじ山1aの圧力側フランク面13bは、実施例1のねじ山10の圧力側フランク面13に比べて広く形成されていることになる。
その結果、実施例2のねじ山1aを備えるボルトをナットに締結した状態では、ナットのフランク面との接触面積が大きくなって摩擦力が一層増加し、緩み止め効果がさらに向上する。
これにより、実施例2のねじ山1aが遊び側に撓んで反力(スプリングバック)がより大きくなり、緩み止め効果がさらに向上する。
実施例3のねじ山101は、仮想円筒6よりもねじ山頂部102側の上部110と、仮想円筒6よりも谷底側の下部120からなる。
上部110は圧力側フランク面130と、遊び側フランク面140を備える。
ねじ山101の角度aは約60°であり、圧力側フランク面130のフランク角bは約22°であり、遊び側フランク面140のフランク角cは約38°である。
ねじ山101の下部120は圧力側において、圧力側フランク面130の下端131からねじ山101の内側に抉られており、下部120の側面150は圧力側フランク面130の延長線130aよりも内側に位置している。
ねじ山101の下部120は遊び側において、遊び側フランク面140の下端141からねじ山101の内側に抉られており、下部120の側面160は遊び側フランク面140の延長線140aよりも内側に位置している。
側面150,160の断面形状は、隣接するねじ山(図示せず)に連続する複合R面形状となっている。
ボルト100をナット8に締め込むと、ナット8の圧力側フランク面81がねじ山101の圧力側フランク面130を押圧する。
ねじ山101の下部120は、基準山形7に比して内側に抉られて肉薄となっており、圧力側フランク面81による押圧に応じてねじ山101全体が弾性変形する。
その結果、図6に示すように、ねじ山101は破線で示した未締結状態から、ねじ山101全体がナット8の圧力側フランク面81に沿って起き上がって、実線で示した状態となる。
尚、ねじ山頂部102および遊び側フランク面140の下端141は基準山形7の外側に位置するが、いずれもボルト100とナット8との隙間の範囲内であるため、若干のひっかかりが生じることがあるが、座面締め付け力が生じるまではボルト100とナット8との間の摩擦トルクが小さく、ストレス無くねじ込みができる。
ボルト100は、第1ステップと第2ステップの二工程で製造される。
上部形成用凸条部180の形状は縦断面において、ボルト100の軸方向(図7では紙面左右方向)に垂直な軸103を対称軸とする左右対称の矩形である。
さらに、縦断面において上部形成用凸条部180の幅w1とねじ山101の幅w2の長さの比は、w1:w2=1:4である。
尚、上部形成用凸条部180の幅wとねじ山710の幅w2の長さの比はこれに限定されるものではなく、例えば、w1:w2=1:2〜6とすることができる。
上部形成用凸条部180は、縦断面において軸103がねじ山101の下部120の中心軸に一致するように下部120の上に形成されている。
第2の転造ダイスは、ねじ山頂部102を基準山形7のねじ山頂部よりも座面側に形成して、ねじ山頂部102に60°の角度を付形すると共に、圧力側フランク面130のフランク角bに約22°の角度を、遊び側フランク面140のフランク角cに約38°の角度を付形する(第2ステップ、図7(c))。
これにより、ねじ山101の圧力側フランク面130の一部(すなわち、ねじ山頂部102の圧力側)が基準山形7の圧力側フランク面73よりも座面側に位置することになる。
このように、二工程を経てボルト100のねじ山101を形成することにより、上部110と下部120とをより高精度に形成することができる。
ねじ山200における圧力側フランク面213bは仮想線13aに沿って形成されている。
圧力側フランク面213bの下端213cは、仮想円筒6よりもねじ山頂部10a側に位置する。
ねじ山200における下部12の圧力側の側面215は、圧力側フランク面213bの下端213cから谷底10bにわたって仮想線13aよりも内側に湾曲する形状であって、R面形状と平面形状とを組み合わせた形状となっている。
下部12の圧力側の側面215は、平面215aとR面215bとからなる。
平面215aはねじの軸方向に垂直な仮想線75に平行な面であって、下端213cから下部12の高さの2/3の位置(符号215c)まで、谷底10bに向かって形成されている。
R面215bは、曲率半径0.4mmの円周面であって、符号215cで示す位置から平面215aに連続して谷底10bまで形成されている。
遊び側フランク面214bの下端214cは、仮想円筒6よりも軸線5側に位置する。下部12の遊び側の側面216は、圧力側の側面215と同様に、遊び側フランク面214bの下端214cから谷底10cにわたって仮想線14aよりも内側に湾曲する形状であって、R面形状と平面形状とを組み合わせた形状となっている。
実施例4のねじ山200では、圧力側フランク面213bの下端213cは、遊び側フランク面214bの下端214cよりもねじ山頂部10a側に位置することになる。
これにより、締結状態においてねじ山200全体が遊び側に撓むと共に、圧力側により強くスプリングバックするため、さらに高い緩み止め効果を奏する。
実施例5のねじ山200’では、実施例4のねじ山200に比べて(図8(A)参照)、ねじ山200’における下部12の遊び側には内側に湾曲して抉られた部分が設けられておらず、遊び側フランク面214’が延長して下部12の遊び側の側面216’を形成しており、遊び側フランク面214’と遊び側の側面216’とが面一になっている。
実施例5のねじ山200’において、その他の形状は実施例4のねじ山200と同一である。
このことにより、経年変化によるねじ山200’の弾性変形量の低下を防ぎ、ナットの圧力側フランク面に対する反力(スプリングバック)を保ち続けることが可能となる。
ねじ山200’の圧力側の側面215が内側に湾曲して抉られているため、座面締め付けによりトルクが高くなると、ねじ山200’がナットの圧力側フランク面に押し付けられ、ねじ山200’の上部11の圧力側がナットの圧力側フランク面に沿うように弾性変形して、ここに高い摩擦力が生じることになる。
すなわち、圧力側の側面215の内側に湾曲して抉られた部分により、ねじ山200’は上部11の圧力側の弾性変形が許容されることになる。この弾性変形は、第1ねじ山から第2ねじ山、第3ねじ山へと順に発生し、その結果、ボルトとナットの螺合部分全体で高い緩み止め効果が得られ、第1ねじ山への応力集中が分散されるため疲労強度が向上する。
その理由は、締結状態において、ねじ山200’の圧力側フランク面213bとナットの圧力側フランク面との接合面積が確保されて十分な摩擦力が得られると共に、下部12の圧力側の側面215の弾性変形が十分許容されるからである。
実施例6のねじ山310の角度α’は約58°であり、破線で示す実施例1のねじ山10(図2参照)の角度α(=60°)よりも若干小さい。ねじ山310のピッチはJIS規格に準ずる。
そのため、実施例6のねじ山310のねじ山頂部311は、実施例1のねじ山10のねじ山頂部10aよりも高くなり、実施例6のボルト300の外径はJIS規格よりも大きくなっている。
ナット8は、JIS規格やISO規格に準じたナットである。ボルト300をナット8に締め込むと、ボルト300の座面に力が加わるまでは少ない抵抗で締め付けることができるが、座面締め付けでトルクが大きくなるにつれて、圧力側フランク面313がナット8の圧力側フランク面81に押圧されることにより、ねじ山310が遊び側に起き上がる。
これにより、ねじ山310が圧力側にスプリングバックして、ボルト300の圧力側フランク面313とナット8の圧力側フランク面81との摩擦力が増加する。
しかし、実施例6のボルト300によれば、圧力側フランク面313とナット8の圧力側フランク面81との摩擦力に加えて、ボルト300のねじ山頂部311が谷底801によって拘束されてボルト300の半径方向の緩みが防止されるため、十分な緩み止め効果が得られる。
実施例7のねじ山410は、実施例1のねじ山10における遊び側フランク面14(図2参照)に膨出部414を設けた形状である。
膨出部414の表面414bは、仮想線414’に沿って形成されている。
ねじの軸方向に垂直な仮想線77と仮想線414’との成す角度θ4は約30°であり、圧力側フランク面413の延長線と仮想線414’との成す角度θ3は54°である。
そして、膨出部414は遊び側フランク面の下端414cからねじ山頂部411側へ向かって徐々に膨らむように形成され、ねじ山頂部411と膨出部414の表面414bとは緩やかに連続している。
ボルト400をナット8に締め込むと、座面締め付けでトルクが大きくなるにつれて、ねじ山410が遊び側に起き上がって圧力側にスプリングバックし、圧力側フランク面413とナット8の圧力側フランク面81との摩擦力が増加する。
さらに、ねじ山410が遊び側へ起き上がることにより、ねじ山410の遊び側に設けられた膨出部414がナット8の遊び側フランク面82に近づいて、膨出部414の表面414bがナット8の遊び側フランク面82に押し付けられることになる。
その結果、ねじ山410は、圧力側フランク面413と、膨出部414の表面414bとの両方で摩擦力が得られ、さらなる緩み止め効果を奏する。
これにより、座面締め付けまでの状態において、膨出部414の表面414bとナット8の遊び側フランク面82との干渉が防止されるため、締め込みが容易となる。
実施例8のねじ山510は、実施例7のねじ山410の膨出部414(図11参照)と同様に、実施例1のねじ山10における遊び側フランク面14(図2参照)に膨出部514を設けた形状である。
但し、実施例8のねじ山510は、実施例7のねじ山410のねじ山頂部411の近傍を圧力側フランク面513に向かって下降傾斜する仮想線511’に沿って切り取った形状になっている。
仮想線511’は、破線で示す実施例1のねじ山10の圧力側フランク面13(図2参照)の中央部近傍を通り、仮想円筒6に平行な仮想線と仮想線511’とのなす角度θ5は45°である。
また、切り取り面511の下端511bは、破線で示す実施例1のねじ山10の圧力側フランク面13の中央部近傍に位置する。
そして、膨出部514は遊び側フランク面の下端514cから切り取り面511の上端511a側へ向かって徐々に膨らむように形成され、切り取り面511の上端511aと膨出部514の表面514bとは緩やかに連続している。
また、ねじ山510の下部12における圧力側の側面515および遊び側の側面516は、それぞれのフランク面の延長線に相当する仮想線から内側に湾曲して形成されている。
ボルト500をナット8に締め込むと、座面締め付けでトルクが大きくなるにつれて、圧力側フランク面513がナット8の圧力側フランク面81に押圧される。
このとき、圧力側フランク面513において、ナット8の圧力側フランク面81に最初に当接するのは、ねじ山510のねじ山頂部(切り取り面511の上端511a)近傍ではなく、圧力側フランク面513の上端となる。
その結果、ねじ山510は、圧力側フランク面513と、膨出部514の表面514bとの両方で摩擦力が得られ、さらなる緩み止め効果を奏する。
実施例9のねじ山610は、実施例5のねじ山200’(図9参照)と同様に、ねじ山610における下部12の遊び側には内側に湾曲して抉られた部分が設けられておらず、遊び側フランク面214’が延長して下部12の遊び側の側面216’を形成しており、遊び側フランク面214’と遊び側の側面216’とが面一になっている。
そして、実施例9のねじ山610は、実施例5のねじ山200’における圧力側フランク面213bのフランク角を大きくした形状になっている。
また、ねじ山200’の遊び側フランク面214’は、仮想線14aに沿って形成されており、遊び側フランク面214’のフランク角γは、ねじ山10と同じく、約38°である。
そして、ねじ山200’の上部11のねじ山の角度αは、ねじ山10と同じく、約60°である。
また、ねじ山610の遊び側フランク面214’は、仮想線14aに沿って形成されており、遊び側フランク面214’のフランク角γは、ねじ山10,200’と同じく、約38°である。
そして、ねじ山610の上部11のねじ山の角度α+θ7は約68°である。
そして、ねじ山610の圧力側フランク面613のフランク角θ8(=30°)は、基準山形7のねじ山(図2参照)の角度θ1(=60°)の1/2であり、基準山形7のねじ山の圧力側フランク面73のフランク角と同一である。
尚、各角度β,γ,θ7はそれぞれ実験的に最適値を求めて設定すればよい。また、フランク角θ8は、基準山形7のねじ山の圧力側フランク面73のフランク角と略同一にすればよい。
ボルト1をナット8に締め込むと、ナット8の圧力側フランク面81がねじ山610の圧力側フランク面613を押圧する。
ここで、ねじ山610の圧力側フランク面613のフランク角θ8は、基準山形7のねじ山の圧力側フランク面613のフランク角と略同一であることから、圧力側フランク面613はナット8の圧力側フランク面81と平行になっている。
そのため、ねじ山610の圧力側フランク面613の略全面がナット8の圧力側フランク面81に押し付けられ、ここに安定した強い押圧力が生じることから、両圧力側フランク面613,81に強い摩擦力が得られる。
図14(B)は、実施例10のボルト1とナット8とを締結した状態におけるねじ山710を示す断面図である。
実施例10のねじ山710において、実施例9のねじ山610(図13参照)と異なるのは、下部12における遊び側の側面716が、遊び側フランク面214’の延長線に相当する仮想線14aから内側に湾曲して形成されている点だけである。
この振動試験は、2010年1月27日に財団法人 日本品質保証機構 関西試験センターにて実施したものである。
ボルトとナットの締付トルクは70N・mに設定して試験した。
尚、通常の使用時には、強度区分4.8Tの炭素鋼をボルトの材質とする場合の締付トルクは約40〜50N・mであり、強度区分8.8Tの炭素鋼をボルトの材質とする場合の締付トルクは約70〜80N・mである。
尚、試験品を高速ねじ弛み試験機に取り付ける際には、振動バーレルとワッシャとをボルトとナットの間に挟み込んでおき、振動バーレルを加振台により加振させた。
そして、緩みの判定は、試験品のボルト,ナット,ワッシャの合マークがずれ、ワッシャが手で回せるようになったときに緩んだと判定した。
それに対して、実施例5(図9参照)のボルト1では、強度区分4.8Tでも2分9秒まで緩まず、強度区分8.8Tでは9分58秒まで緩まず、JIS規格品よりもはるかに高い緩み止め効果を奏することがわかる。
そして、実施例9(図13参照)のボルト1では、強度区分4.8Tでも4分4秒まで緩まず、強度区分8.8Tでは10分間緩まず、実施例9の方が実施例5よりも優れていることがわかる。
そして、上記各実施例は雄ねじ構造を有した締結部材に適用したものであるが、本発明は、雌ねじ構造を有した締結部材に適用することも可能であり、雌ねじ構造に適用した場合でも雄ねじ構造に適用した場合と同様の作用・効果が得られる。
10,1a,101,200,210’,310,410,510,610,710…ねじ山
10a,102,211’311,411,511…ねじ山頂部
10b,10c…谷底
11,110…上部
12,120…下部
13,13b,130,213,213b,313,413,513,613…圧力側フランク面
14,14b,140,214,214b,214’,314,414b,514b…遊び側フランク面
13a,14a,75,76,130a,511’,613a…仮想線
15,16,15a,16a,150,160,215,216,216’,315,316,415,416,515,516,615,716…側面
414,514…膨出部
511…切り取り面
6…仮想円筒
7…基準山形
73…基準山形7の圧力側フランク面
74…基準山形7の遊び側フランク面
8…ナット(相手側締結部材)
80…ナット8の谷底
81…ナット8の圧力側フランク面
82…ナット8の遊び側フランク面
Claims (16)
- ねじ構造を有し、ねじ山頂部側の上部と、ねじ谷底側の下部とを備える締結部材であって、
前記山頂部及び前記上部に形成された圧力側フランク面が、基準山形の圧力側フランク面よりも座面側に設けられ、
前記下部の少なくとも一方の側面が、前記上部において対応するフランク面の延長線よりも内側に設けられ、該側面は前記対応するフランク面の下端から軸方向に垂直な仮想平面上若しくはそれより外側に、かつ円滑に連続して形成されている締結部材。 - 請求項1に記載の締結部材において、
前記締結部材の軸線を含む断面にて、前記下部の少なくとも一方の側面の形状は、前記対応するフランク面の延長線から内側に向かって湾曲する曲面形状、または、前記対応するフランク面の延長線から内側に配置された平面形状と当該延長線から内側に向かって湾曲する曲面形状とを組み合わせた形状である締結部材。 - 請求項1に記載の締結部材において、
前記締結部材の軸線を含む断面にて、前記下部の少なくとも一方の側面の形状は、前記対応するフランク面の延長線から内側に配置された平面形状と当該延長線から内側に向かって湾曲する曲面形状とを組み合わせた形状であり、前記平面形状は前記締結部材の軸方向に垂直な面とする締結部材。 - 請求項1、2又は3に記載の締結部材において、
遊び側フランク面の下端が、前記基準山形の有効径を示す仮想円筒よりも前記ねじ山頂部側に位置し、
前記下部における遊び側の側面が前記遊び側フランク面の延長線よりも内側に設けられると共に、前記下部における遊び側の側面が前記遊び側フランク面の下端から連続して形成されている締結部材。 - 請求項1、2又は3に記載の締結部材において、
前記圧力側フランク面の下端が、前記遊び側フランク面の下端よりも前記ねじ山頂部側に位置し、
前記圧力側の側面が、前記圧力側フランク面の延長線よりも内側に設けられると共に、前記圧力側フランク面の下端から連続して形成され、
前記下部における遊び側の側面が、前記遊び側フランク面の延長線よりも内側に設けられると共に、前記遊び側フランク面の下端から連続して形成されている締結部材。 - 請求項5に記載の締結部材において、
前記圧力側フランク面の下端が、前記基準山形の有効径を示す仮想円筒よりも前記ねじ山頂部側に位置し、
前記遊び側フランク面の下端が、前記仮想円筒よりも前記ねじ谷底側に位置する締結部材。 - 請求項1、2、3、4、5、又は6に記載の締結部材において、
前記上部のねじ山の角度が前記基準山形のねじ山の角度と略同一である締結部材。 - 請求項1に記載の締結部材において、
前記上部のねじ山の角度が、前記基準山形のねじ山の角度より大きく、
前記圧力側フランク面のフランク角が、前記基準山形のフランク角と略同一である締結部材。 - 請求項8に記載の締結部材において、
前記圧力側フランク面の下端が、前記遊び側フランク面の下端よりも前記ねじ山頂部側に位置し、
前記圧力側の側面が、前記圧力側フランク面の延長線よりも内側に設けられると共に、前記圧力側フランク面の下端から連続して形成され、
前記下部における遊び側の側面が、前記遊び側フランク面の延長線よりも内側に設けられると共に、前記遊び側フランク面の下端から連続して形成されている締結部材。 - 請求項9に記載の締結部材において、
前記圧力側フランク面の下端が、前記基準山形の有効径を示す仮想円筒よりも前記ねじ山頂部側に位置し、
前記遊び側フランク面の下端が、前記仮想円筒よりも前記ねじ谷底側に位置する締結部材。 - ねじ構造を有し、ねじ山頂部側の上部と、ねじ谷底側の下部とを備える締結部材であって、
前記ねじ構造の山頂部及び圧力側フランク面は、基準山形の一対の谷底を基点として、前記基準山形の山頂部及び圧力側フランク面より座面側へシフトしており、
前記ねじ構造の圧力側フランク面は前記基準山形の圧力側フランク面と平行であり、
前記下部の少なくとも圧力側の側面が、前記上部において対応するフランク面の延長線よりも内側に設けられ、該側面は前記対応するフランク面の下端から軸方向に垂直な仮想平面上若しくはそれより外側に、かつ円滑に連続して形成されている締結部材。 - 請求項11に記載の締結部材において、
前記締結部材の軸線を含む断面にて、前記下部の圧力側の側面の形状は、前記対応するフランク面の延長線から内側に配置された平面形状と当該延長線から内側に向かって湾曲する曲面形状とを組み合わせた形状であり、前記平面形状は前記締結部材の軸方向に垂直な面とする締結部材。 - 請求項1、2及び請求項8〜12の何れかに記載の締結部材と、
その締結部材に締結される相手側締結部材とを備え、
前記締結部材を前記相手側締結部材に締結したとき、前記相手側締結部材の圧力側フランク面が前記締結部材の前記圧力側フランク面を押圧することにより、ねじ山全体が撓むため、前記締結部材の圧力側フランク面と前記相手側締結部材の圧力側フランク面との摩擦力が増加する締結構造。 - 請求項13に記載の締結構造において、
前記締結部材を前記相手側締結部材に締結したとき、前記締結部材のねじ山頂部が前記相手側締結部材のねじ谷底に当接する締結構造。 - 請求項13に記載の締結構造において、
前記締結部材を前記相手側締結部材に締結したとき、前記締結部材の遊び側フランク面が前記相手側締結部材の遊び側フランク面に当接する締結構造。 - 請求項13に記載の締結構造において、
前記締結部材のねじ山頂部の近傍を、圧力側フランク面に向かって下降傾斜するように切り取った切り取り面が形成されている締結構造。
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