JP2014206234A - 締結部材 - Google Patents

締結部材 Download PDF

Info

Publication number
JP2014206234A
JP2014206234A JP2013084420A JP2013084420A JP2014206234A JP 2014206234 A JP2014206234 A JP 2014206234A JP 2013084420 A JP2013084420 A JP 2013084420A JP 2013084420 A JP2013084420 A JP 2013084420A JP 2014206234 A JP2014206234 A JP 2014206234A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thread
play
fastening member
flank surface
screw
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013084420A
Other languages
English (en)
Inventor
宏 ▲辻▼坂
宏 ▲辻▼坂
Hiroshi Tsujisaka
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP2013084420A priority Critical patent/JP2014206234A/ja
Publication of JP2014206234A publication Critical patent/JP2014206234A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Bolts, Nuts, And Washers (AREA)

Abstract

【課題】高い緩み止め効果を奏する締結部材を提供する。
【解決手段】ねじ構造を有し、ねじ山頂側の上部と、ねじ谷底側の下部とを備える締結部材であって、前記ねじ山頂及び前記上部に形成された遊び側フランク面が、基準山形の遊び側フランク面よりも軸先側に傾いて設けられ、前記下部の少なくとも一方に前記上部において対応するフランク面の延長線よりも内側に設けられた側面を有し、該側面が前記対応するフランク面の下端から連続して形成されている締結部材とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、ねじ構造を有する締結部材および締結構造に関する。
従来、ボルトやナットなどのねじ構造を有する締結部材が広く使用されている。実際にボルトをナットに締めこむことを可能にするためには、ボルトの外径および有効径、ナットの内径および有効径について、寸法上の公差を設ける必要がある。その一方で、公差により緩みが生じる可能性がある。従来、この緩みの発生を防止するために種々の工夫がなされている。
特許文献1に開示されている締結部材は、ねじ山の上部に形成された圧力側フランク面が、基準山形の圧力側フランク面よりも座面側に設けられ、前記下部の少なくとも一方の側面が、対応するフランク面の延長線よりも内側に設けられた雄ねじ構造が開示されている。
また、ねじ山の一部に樹脂被膜層を形成することにより緩み止めを行う方法もある。
特開2011−179687号公報
ねじを緩ませるには例えば右ねじにおいては反時計回りに回しさえすれば工具を軸先方向に押さえつけながらしても、座面方向へと緩むという事実を鑑みると、特許文献1の締結部材では、ねじの軸に対して横からの外力が軸先側から座面の方向へと斜めに生じた場合は緩みにくいが、横からの外力が座面側から軸先の方向へと生じた場合は締結部材が相手側締結部材の圧力側フランク面がわずかでも遊離し、雄ねじのねじ山と雌ねじのねじ山との間に大きな摩擦力が得られず、高い緩み止め効果を奏さない可能性がある点は通常のねじと何ら変わりはない。
特許文献1の構成では、締結固定時に、相手側締結部材の圧力側フランク面が前記締結部材の前記圧力側フランク面を押圧する、弾性変形を許容しているが、ねじ山の反力が弱い素材を用いる場合は、緩み止め効果が低減するため、改良の余地がある。
また、ねじ山の一部に樹脂被膜層を形成することにより緩み止めを行う方法では、ねじの再使用時に樹脂被膜層を再度形成しなければならず、手間がかかる。さらに、雄ねじと雌ねじを接触させることにより、摩擦力で緩みを止める方法では、摩擦トルク(プリベリングトルク)が発生するためにトルク管理が難しい。
本発明は上記問題を解決するためになされたものであって高い緩み止め効果を奏する締結部材の提供を目的とする。
本発明は以上の目的を達成するために、以下に示す締結部材を提供する。
すなわち、本発明は、ねじ構造を有し、ねじ山頂側の上部と、ねじ谷底側の下部とを備える締結部材であって、前記山頂及び前記上部に形成された遊び側フランク面が、基準山形の遊び側フランク面よりも軸先側に傾いて設けられ、前記下部の少なくとも一方に前記上部において対応するフランク面の延長線よりも内側に設けられた側面を有し、該側面が前記対応するフランク面の下端から連続して形成されている締結部材とする。
本発明の締結部材は、ねじ山頂側の上部に形成された遊び側フランク面が基準山形の遊び側フランク面が軸先側に傾いて設けられているため、相手側締結部材に締結すると、遊び側フランク面が相手側締結部材により押圧される。締結部材のねじ山の下部はその側面が対応するフランク面より内側に存在し、下部の側面は内側に抉られた形状となるので、当該押圧によってねじ山の下部が弾性変形して、相手側締結部材の遊び側フランク面に対する反力(スプリングバック)が上記特徴を有する部分のねじ山においてはねじ山全体に生じる。これにより、締結部材と相手側締結部材の両遊び側フランク面に摩擦が生じる。
上記の構造を設けると、特にねじの軸に対して横方向の外力が頭部側から軸先の方向へと傾いて生じた場合に高い緩み止め効果が得られる。この方向の外力に対するゆるみ止めの必要性は、右ねじであれば反時計回りに回転させれば、ねじの頭を軸先方向へ押さえつけながら回転させるのに、却ってねじは座面方向へと徐々に緩む事実から確認できる。
また上記特徴を有するねじ山は、圧力側フランク面でなく、遊び側フランク面でねじ山を摩擦させることから、締結固定時においてねじ山に掛かるねじの軸力による慢性的な圧力を回避でき、上記の方向の外力が生じた場合のみ摩擦力が増加するため、ねじ山に塑性変形が生じにくい。
また上記特徴を有するねじ山部分と、通常のねじ山を有する部分は締結固定時に押圧する方向が反対なので、一つ一つのねじ山が圧力側フランク面と遊び側フランク面のいずれか一方への圧着を分担させることができ、全体的に見ると締結部材のねじ山が相手側締結部材のねじ山を挟むことになるので、ねじへの外力による振動を抑えやすく高い緩み止め機能が期待できる。
また、ねじの軸力に依拠して、ねじ山が撓んでいるわけではないので、ねじの軸力が軸回転を伴わない理由で下がった場合でも、ねじの脱落が起こりにくい。
本発明の実施例1のねじ山10を備えたボルト1の非締結状態における正面図。 図1において破線で示す部分Aにおける軸線5を含む断面拡大図。 実施例1のボルト1と、その相手側締結部材8を締結した状態におけるねじ山10を示す断面図。 本発明の実施例2のねじ山1aを備えたボルト1の非締結状態における軸線5を含む要部断面図。 本発明の実施例3のねじ山101を備えたボルト100の非締結状態における軸線5を含む要部断面図。 実施例3のボルト100と相手側締結部材8とを締結した状態におけるねじ山101を示す断面図。 実施例3のボルト100の製造方法を説明するための要部断面図。 図8(A)は、本発明の実施例4のねじ山200を備えたボルト1の非締結状態における軸線5を含む要部断面図。図8(B)は、実施例4のねじ山200における遊び側の側面215の断面拡大図。 本発明の実施例5のねじ山200’を備えたボルト1の非締結状態における軸線5を含む要部断面図。 図10(A)は、実施例6のねじ山610を備えたボルト1の非締結状態における要部断面図。図10(B)は、実施例6のボルト1と相手側締結部材8とを締結した状態におけるねじ山610を示す断面図。 図11(A)は、実施例7のねじ山710を備えたボルト1の非締結状態における要部断面図。図11(B)は、実施例7のボルト1と相手側締結部材8とを締結した状態におけるねじ山710を示す断面図。 図12(A)は、本発明の実施例8のねじ山310を備えたボルト300の非締結状態における要部断面図。図12(B)は、実施例6のボルト300と相手側締結部材8とを締結した状態におけるねじ山310を示す断面図。
以下、本発明の各局面について詳細に説明する。
[第1,第6,第7の局面]
第1の局面の締結部材はねじ構造を有し、ねじ山頂側の上部とねじ谷底側の下部とを備える。
本明細書でいう「ねじ構造」とは、円柱状の本体部において、その側面に先端部へ向かって螺旋状に形成されたねじ山とねじ谷を有する構造を指す。
また、「上部」とは、基準山形の有効径を規定する仮想円筒よりもねじ山頂側を指す。「下部」とは、仮想円筒よりもねじ谷底側を指す。「有効径」とは、基準山形における軸線の方向に計ったねじ溝の幅とねじ山の幅とが等しくなるような仮想的な円筒の直径であり、「有効径を規定する仮想円筒」とは前記仮想的な円筒を指す。
ねじ山の上部は、基準山形の有効径を規定する仮想円筒よりもねじ山頂側の領域であるため、遊び側フランク面が十分確保されている。
これにより、上部に形成された遊び側フランク面において、相手側締結部材との接触面積を確保できる。
第6の局面は、上部のねじ山の角度が基準山形のねじ山の角度と略同一である。
尚、本明細書でいう「基準山形」とは、例えば、JIS規格で規定される理論上のねじ山形状であって、ねじ山の角度が60°かつ両フランク角が30°でフランク面が軸線に垂直対称に設けられるねじ山形状、または、ウィットねじのねじ山形状に準じたねじ山形状であって、ねじ山の角度が55°かつ両フランク角が27.5°であり、フランク面が軸線に垂直対称に設けられるねじ山形状を指す。従って、雄ねじのねじ山の角度は例えば約60°または約55°となる。
第1の局面において、遊び側フランク面は、基準山形の遊び側フランク面よりも軸先側に設けられる。
遊び側フランク面の形状は通常平面形状であるが、これに限定されず、座面側に向かって湾曲するR面形状であってもよい。
遊び側フランク面のフランク角は、基準山形のフランク角よりも小さくすることが好ましい。
これにより、締結する際に、締め付け始めるとねじ山が徐々に弾性変形し、スプリングバック効果により緩み止め効果を発揮する。
尚、「フランク角」とは、軸に垂直な線とフランク面とのなす角を指す。
第7の局面は、上部のねじ山の角度が60°であって、遊び側フランク面のフランク角が0°より大きく30°より小さい。
第7の局面によれば、スプリングバック効果が得られやすく、緩み止め効果をさらに高めることができる。
尚、遊び側フランク面のフランク角は、約18°〜約26°とすることが好ましい。
圧力側フランク面のフランク角は、遊び側フランク面のフランク角を考慮して決定できる。例えば、圧力側フランク面のフランク角は基準山形のフランク角よりも大きくすることができ、基準山形のねじ山角度から軸先側のフランク角を差し引いたものを圧力側フランク面のフランク角とすることができる。圧力側フランク面のフランク角は、30°より大きく60°未満、好ましくは約34°〜約42°にすればよい。
第1の局面において、下部の少なくとも一方の側面は、対応するフランク面の延長線よりも内側に位置する。
そのため、フランク面の延長線に沿って下部の側面を設けた場合に比べて、下部が肉薄に形成されることになる。これにより、下部における弾性変形が許容され、ねじ山全体を撓ませることができる。
[第2の局面]
第2の局面は、第1の局面において、締結部材の軸線を含む断面にて、下部の少なくとも一方の側面の形状が、対応するフランク面の延長線から内側に向かって湾曲する曲面形状、または、対応するフランク面の延長線から内側に配置された平面形状と当該延長線から内側に向かって湾曲する曲面形状とを組み合わせた形状である。
下部の側面の形状を、対応するフランク面の延長線から内側に向かって湾曲する曲面とした場合、その曲面の形状は、一定の曲率半径を有するR面形状、または、異なる曲率半径を有する複数の曲面を組み合わせた複合R面形状にすればよい。
また、下部の側面の形状を、対応するフランク面の延長線から内側に配置された平面形状と当該延長線から内側に向かって湾曲する曲面形状とを組み合わせた形状とした場合、当該平面形状は締結部材の軸方向に垂直な面とし、当該曲面形状を前記のR面形状または複合R面形状にすればよい。
そして、曲面形状である下部の側面の下縁と、谷底(隣接するねじ山の側面との連結部)とが円滑に連続し、谷部分の全体が曲面形状となることが好ましい。
第2の局面によれば、下部が十分に肉薄となるので、締結状態において下部が弾性変形してねじ山全体が撓むため、締結部材に締結された相手側締結部材への反力(スプリングバック)が増すことから、摩擦力も増大して高い緩み止め効果を奏する。
このとき、ねじ山の下部に曲面形状が形成されているため、ねじ山の下部は塑性変形(もしくはクラックの形成)し難くなる。一般的に、締結部材に強い締結力がかかった場合、その谷底若しくはその近傍に応力が集中しやすく、当該部分において塑性変形(又はクラック形成)が生じやすい。
そこで、第2の局面のように、ねじ山の下部に曲面形状を設けると、応力が分散されるので、下部の降伏を避けつつねじ山がより大きく弾性変形可能となり、その結果、ねじ山の反力(スプリングバック)も大きくなる。換言すれば、下部が塑性変形し難くなるので、ねじ山をより確実に弾性変形させられることとなる。
[第3の局面]
第3の局面は、第1の局面または第2の局面において、圧力側フランク面の下端が、基準山形の有効径を示す仮想円筒よりもねじ山頂側に位置し、下部における圧力側の側面が圧力側フランク面の延長線よりも内側に設けられると共に、下部における圧力側の側面が圧力側フランク面の下端から連続して形成されている。
尚、「圧力側フランク面の下端から連続して形成されている」とは、ねじ山の上部における圧力側先端(すなわち、圧力側フランク面の下端)から直接、下部における圧力側の側面が形成されていることを指し圧力側フランク面と圧力側の側面とが圧力側フランク面の下端で接するように形成されていることをいう。
第3の局面によれば、下部における圧力側の側面の広範囲が抉られて下部が一層肉薄となるため、ねじ山が圧力側に弾性変形し易くなるため、ねじ山が圧力側に撓んで反力(スプリングバック)がより大きくなり、高い緩み止め効果を奏する。
[第4の局面]
第4の局面は、第1の局面または第2の局面において、遊び側フランク面の下端が、圧力側フランク面の下端よりもねじ山頂側に位置し、遊び側の側面が、遊び側フランク面の延長線よりも内側に設けられると共に、遊び側フランク面の下端から連続して形成され、下部における圧力側の側面が圧力側フランク面の延長線よりも内側に設けられると共に、圧力側フランク面の下端から連続して形成されている。
第4の局面によれば、下部における遊び側の側面が圧力側の側面よりも広範囲に抉られるため、下部における遊び側の側面が一層薄肉となり、下部における圧力側の側面は遊び側よりも厚肉となる。
このような形状によれば、締結状態においてねじ山は軸先側から圧力を受けるが、ねじ山の撓みは小さく抑制される。その結果、ねじ山の遊び側フランク面へ応力が集中し、遊び側フランク面の形成材料が遊び側フランク面に沿って弾性変形して、ここに高い摩擦力が生じるため、高い緩み止め効果を奏する。
[第5の局面]
第5の局面は、第4の局面において、遊び側フランク面の下端が、基準山形の有効径を示す仮想円筒よりもねじ山頂側に位置し、圧力側フランク面の下端が、仮想円筒よりもねじ谷底側に位置する。
第5の局面によれば、第4の局面の作用・効果をより確実に得られる。
[第8の局面]
第8の局面は、第1の局面または第2の局面において、上部のねじ山の角度が基準山形のねじ山の角度より大きく、遊び側フランク面のフランク角が基準山形のねじ山の遊び側フランク面のフランク角と略同一である。
第8の局面では、締結部材を相手側締結部材に締め込むと、相手側締結部材の遊び側フランク面が締結部材の遊び側フランク面を押圧する。ここで、締結部材の遊び側フランク面のフランク角が基準山形のねじ山の遊び側フランク面のフランク角と略同一であることから、締結部材の遊び側フランク面は相手側締結部材の遊び側フランク面と平行になっている。
そのため、第8の局面によれば、締結部材の遊び側フランク面の略全面が相手側締結部材の遊び側フランク面に押し付けられ、ここに安定した強い押圧力が生じることから、両遊び側フランク面に強い摩擦力が得られ、高い緩み止め効果を奏する。
ところで、本発明の締結部材の製造方法は特に限定されず、平ダイス式、丸ダイス式、プラネタリダイス式、ロータリーダイス式等の転造、切削、鋳造、鍛造、射出成形など公知の方法を採用すればよい。
ところで本明細書においては、説明の便宜上仮想円筒を境に上部と下部を区別するが、請求項においては少なくともいずれか一方のフランク面に存在するフランク面の下端を境に上部と下部を区別するのであり、言葉の定義が異なるので注意を要する。
以下、本発明を具体化した各実施例について図面を参照しながら詳細に説明する。尚、各実施例において、同一の構成部材および構成要素については符号を等しくすると共に、同一内容の箇所については重複説明を省略してある。
また、各実施例を適宜組み合わせて実施してもよい。
図1は、実施例1のねじ山10を備えたボルト1の非締結状態における正面図である。
締結部材であるボルト1は雄ねじ構造を有し、頭部2、円筒部3、ねじ部4を備える。頭部2の裏面には座面20が形成されている。ねじ部4には、ねじ山10が形成されている。
図2は、図1において破線で示す部分Aにおける軸線5を含む断面拡大図である。
符号6の破線は基準山形の有効径を規定する仮想円筒を示し、符号7の破線は基準山形を示す。基準山形7はJIS規格に準じた形状であって、ねじ山10の角度θ1は60°、遊び側フランク面73のフランク角および圧力側フランク面74のフランク角はいずれも30°である。符号75,76で示す破線はねじの軸方向に垂直な仮想線を示す。
ねじ山10は、仮想円筒6よりもねじ山頂10a側の上部11と、仮想円筒6よりも谷底10b,10c側の下部12とを有する。
上部11は、遊び側フランク面13と圧力側フランク面14とを備える。
遊び側フランク面13は、基準山形7の谷底71を通る仮想線13aに沿って形成されており、仮想線13aと仮想線75とのなす角度βは約22°である。
圧力側フランク面14は、基準山形7の谷底72を通る仮想線14aに沿って形成されており、仮想線14aと仮想線76とのなす角度γは約38°である。
仮想線13aと仮想線14aとのなす角度αは約60°である。
尚、各角度α,β,γ,はそれぞれ実験的に最適値を求めて設定すればよい。
ねじ山10において、角度αは上部11のねじ山の角度に、角度βは遊び側フランク面13のフランク角に、角度γは圧力側フランク面14のフランク角にそれぞれ相当する。
ねじ山10のピッチは、基準山形7のねじ山と同一である。
実施例1のねじ山10は、基準山形7の谷底71,72を基点として、基準山形7のねじ山の角度θ1(=α)を維持したまま、基準山形7を軸先側(遊び側)に傾斜させた形状となっている。
別な見方をすれば、実施例1のねじ山では基準山形7の谷底71,72を基点として、そのねじ山頂10aが軸先に近い基準山形7の谷底71側へシフトしている。
下部12は、軸先側(遊び側)の側面15と座面側(圧力側)の側面16を備える。
側面15は、遊び側フランク面13の延長線に相当する仮想線13aから内側に湾曲して形成されている。軸先側の側面15は、隣接するねじ山(図示せず)の圧力側の側面16と連続したR面形状であって、その底部が谷底10bとなる。
側面16は、圧力側フランク面14の延長線に相当する仮想線14aから内側に湾曲して形成されている。側面16は、隣接するねじ山(図示せず)のねじ先端側の側面と連続したR面形状であって、その底部が谷底10cとなる。
図3は、実施例1のボルト1と、その相手側締結部材8とを締結した状態におけるねじ山10を示す断面図である。
相手側締結部材8はJIS規格に準じた雌ねじ構造を有し、相手側締結部材8の谷底80の角度θ2は60°である。
ボルト1を相手側締結部材8に締め込むと、相手側締結部材8の遊び側フランク面81がねじ山10の遊び側フランク面13を押圧する。
下部12の両側面15,16は内側に向かう大きなR面形状であって、下部12は、基準山形7に比して、内側に抉られて肉薄となっている。
これにより、相手側締結部材8の遊び側フランク面81による押圧に応じて、ねじ山10全体が弾性変形する。
その結果、図3に示すように、ねじ山10は破線で示した未締結状態から、ねじ山10全体が相手側締結部材8の遊び側フランク面81に沿って起き上がって、実線で示した締結状態となる。
これにより、ねじ山10が相手側締結部材8の遊び側フランク面81に対する反力(スプリングバック)が生じて、ねじ山10の遊び側フランク面13と相手側締結部材8の遊び側フランク面81との間の摩擦力が増加し、高い緩み止め効果を奏する。
また、オーバータップが設けられていても、ねじ山10の遊び側フランク面13と相手側締結部材8の遊び側フランク面81とが必ず接触するため、遊び側フランク面13,81の隙間の大きさに関係なく、ねじ山10に相手側締結部材8の遊び側フランク面81に対する反力(スプリングバック)が生じて、緩み止めの効力を発揮する。
ねじ山10の上部11は、基準山形7の有効径を規定する仮想円筒6よりもねじ山頂10a側の領域であるため、遊び側フランク面13が十分確保されている。
これにより、図3に示すように、締結状態において、ねじ山10の遊び側フランク面13と相手側締結部材8の遊び側フランク面81との接触面積が確保され、高い摩擦力が得られる。
さらに、ねじ山10の角度αは相手側締結部材8の谷底80の角度と略同一の60°であるため、相手側締結部材8のねじ谷にねじ山10全体が弾性変形するための空間が確保されると共に、締結状態において、ねじ山10の遊び側フランク面13の略全面が相手側締結部材8の遊び側フランク面81に当接するため、一層高い摩擦力が得られ、高い緩み止め効果を奏する。
図2に示すように、非締結状態では、ねじ山10の遊び側フランク面13のフランク角βは約22°であり、ねじ山10の圧力側フランク面14のフランク角γは約38°である。
尚、各角度α,β,γ,はそれぞれ実験的に最適値を求めて設定すればよい。
このように、実施例1のボルト1のねじ山10にかかる荷重は、ねじ山10自体が弾性変形するため、相手側締結部材8の複数のねじ谷の側面に接する他のねじ山10に分散される。これにより、相手側締結部材8と接するボルト1のねじ山10のうち、最も座面側に位置するねじ山10(第1ねじ山)への荷重の集中が緩和され、ボルト1の疲労強度が向上する。
さらに、ねじ山10の反力(スプリングバック)が軸先方向であるため、座面20(図1参照)において、座面20のへたりによる初期緩みが防止され、初期緩みに起因するボルト1の破断が防止されて信頼性が向上する。また、初期緩みに対する増し締めを行う必要がないため作業性も向上する。
そして、図3に示す締結状態では、ボルト1のねじ山10の形成材料が弾性変形するが、図2に示す非締結状態に戻せば、ねじ山10の下部12の弾性力により元の状態、すなわち、遊び側フランク面13が基準山形7の遊び側フランク面73よりも軸先側に位置した状態に戻る。
これにより、ねじ山10に特別な処理を要することなく、繰り返し使用することができる。また、締結回転時において、ねじ山10の下部12が弾性変形するため、相手側締結部材8の遊び側フランク面81に傷を付けにくく、繰り返し使用しても緩み止めの効果が低下しない。
尚、実施例1は右ねじのボルト1に適用したものであるが、左ねじのボルトに適用することも可能であり、左ねじに適用した場合でも右ねじに適用した場合と同様の作用・効果が得られる。
上記の特徴を持つねじ山を座面20に最も近い第1ねじ山から数山に設ける。よって締結回転時において上記の特徴を持つねじ山に至るまでは、通常のねじと同様の作業性の良さでボルト1を締結することができ、当該特徴を持つねじ山の部分を締め付けるときは、幾分の抵抗が感じられることになる。この点に関して、以下いずれの実施例においても同様である。
図4は、実施例2のねじ山1aを備えたボルト1の非締結状態における軸線5を含む要部断面図である。
ねじ山1aの遊び側フランク面13bの下端13cは、仮想円筒6よりも下側(軸線5側)に位置する。すなわち、遊び側フランク面13bは、上部11から下部12にわたって形成されている。
ねじ山1aにおける下部12の遊び側には、遊び側フランク面13bの下端13cから谷底10bに連続して、仮想線13aよりも内側に湾曲するR面形状の側面15aが形成されている。
すなわち、側面15aは、ねじ山1aにおける下部12にのみ形成されている。
ねじ山1aの圧力側フランク面14bの下端14cは、仮想円筒6よりも上側(ねじ山頂10a側)に位置する。すなわち、圧力側フランク面14bは、上部11にのみ形成されている。
ねじ山1aにおける上部11から下部12にわたる圧力側には、圧力側フランク面14bの下端14cから谷底10cに連続して、仮想線14aよりも内側に湾曲するR面形状の側面16aが形成されている。
すなわち、側面16aは、ねじ山1aにおける上部11から下部12にわたって形成されている。
このように、実施例2のねじ山1aでは、実施例1のねじ山10に比べて(図2参照)、隣接するねじ山の間の谷底が軸先側に位置した形状となっている。
実施例2のねじ山1aによれば、実施例1のねじ山10と同様の作用・効果が得られる。
そして、実施例2のねじ山1aでは、下部12の遊び側の側面15aが、実施例1のねじ山10の側面15よりも小さく抉られている。
これにより、実施例2のねじ山1aの遊び側フランク面13bは、実施例1のねじ山10の遊び側フランク面13に比べて広く形成されていることになる。
その結果、実施例2のねじ山1aを備えるボルトを相手側締結部材8に締結した状態では、相手側締結部材8のフランク面との接触面積が大きくなって摩擦力が一層増加し、緩み止め効果がさらに向上する。
また、実施例2のねじ山1aでは、下部12の圧力側の側面16aが、実施例1のねじ山10の側面16よりも大きく抉られているため、下部12においてねじ山1aが圧力側に弾性変形することが許容される。
これにより、実施例2のねじ山1aが圧力側に撓んで反力(スプリングバック)がより大きくなり、緩み止め効果がさらに向上する。
尚、実施例2の側面15a,16aの形状は、実施例1の側面15,16と同様に、R面形状の他、複合R面形状や、R面形状と平面形状とを組み合わせた形状とすることができる。
図5は、実施例3のねじ山101を備えたボルト100の非締結状態における軸線5を含む要部断面図である。
実施例3のねじ山101は、仮想円筒6よりもねじ山頂102側の上部110と、仮想円筒6よりも谷底側の下部120からなる。
上部110は遊び側フランク面130と、圧力側フランク面140を備える。
ねじ山101の角度aは約60°であり、遊び側フランク面130のフランク角bは約22°であり、圧力側フランク面140のフランク角cは約38°である。
尚、各角度a,b,c,はそれぞれ実験的に最適値を求めて設定すればよい。
ねじ山頂102は基準山形7の遊び側フランク面73よりも軸先側に位置している。遊び側フランク面130の下端131は、基準山形7の遊び側フランク面73の内側に位置している。圧力側フランク面140の下端141は、基準山形7の圧力側フランク面74の外側、すなわち、座面20側に位置している。
ねじ山101の下部120は遊び側において、遊び側フランク面130の下端131からねじ山101の内側に抉られており、下部120の側面150は遊び側フランク面130の延長線に相当する仮想線130aよりも内側に位置している。
ねじ山101の下部120は圧力側において、圧力側フランク面140の下端141からねじ山101の内側に抉られており、下部120の側面160は圧力側フランク面140の延長線に相当する仮想線140aよりも内側に位置している。
側面150,160の断面形状は、隣接するねじ山(図示せず)に連続する複合R面形状となっている。
図6は、実施例3のボルト100と相手側締結部材8とを締結した状態におけるねじ山101を示す断面図である。
ボルト100を相手側締結部材8に締め込むと、相手側締結部材8の遊び側フランク面81がねじ山101の遊び側フランク面130を押圧する。
ねじ山101の下部120は、基準山形7に比して内側に抉られて肉薄となっており相手側締結部材8の、遊び側フランク面81による押圧に応じてねじ山101全体が弾性変形する。
その結果、図6に示すように、ねじ山101は破線で示した未締結状態から、ねじ山101全体が相手側締結部材8の遊び側フランク面81に沿って起き上がって、実線で示した状態となる。
これにより、実施例3のねじ山101においても、実施例1のねじ山10と同様の反力(スプリングバック)が生じて、高い緩み止め効果を奏する。
図7は、実施例3のボルト100の製造方法を説明するための要部断面図である。
ボルト100は、第1ステップと第2ステップの2工程で製造される。
まず、ボルト粗材170の円筒部(図7(a)参照)に対して、転造によりねじ山101の下部120の側面150、160を付形し、上部形成用凸条部180を第1の転造ダイスを用いて形成する(第1ステップ、図7(b)参照)。
上部形成用凸条部180の形状は縦断面において、ボルト100の軸方向(図7では紙面左右方向)に垂直な軸103を対称軸とする左右対称の矩形である。
さらに、縦断面において上部形成用凸条部180の幅w1とねじ山101の幅w2の長さの比は、w1:w2=1:4である。
尚、上部形成用凸条部180の幅wとねじ山710の幅w2の長さの比はこれに限定されるものではなく、例えば、w1:w2=1:2〜6とすることができる。
上部形成用凸条部180は、縦断面において軸103がねじ山101の下部120の中心軸に一致するように下部120の上に形成されている。
次いで、上部形成用凸条部180に対して第2の転造ダイスを用いて上部110を形成する。
第2の転造ダイスは、ねじ山頂102を基準山形7のねじ山頂よりも軸先側に形成して、ねじ山頂102に60°の角度を付形すると共に、遊び側フランク面130のフランク角bに約22°の角度を、圧力側フランク面140のフランク角cに約38°の角度を付形する(第2ステップ、図7(c))。
これにより、ねじ山101の遊び側フランク面130の一部(すなわち、ねじ山頂部102の遊び側)が基準山形7の遊び側フランク面73よりも軸先側に位置することになる。
このように、2工程を経てボルト100のねじ山101を形成することにより、上部110と下部120とをより高精度に形成することができる。
図8(A)は、実施例4のねじ山200を備えたボルト1の非締結状態における軸線5を含む要部断面図である。
ねじ山200における遊び側フランク面213bは仮想線13aに沿って形成されている。
遊び側フランク面213bの下端213cは、仮想円筒6よりもねじ山頂10a側に位置する。
ねじ山200における下部12の遊び側の側面215は、遊び側フランク面213bの下端213cから谷底10bにわたって仮想線13aよりも内側に湾曲する形状であって、R面形状と平面形状とを組み合わせた形状となっている。
図8(B)は、実施例4のねじ山200において、下部12の遊び側の側面215の断面拡大図である。
下部12の遊び側の側面215は、平面215aとR面215bとからなる。
平面215aはねじの軸方向に垂直な仮想線75に平行な面であって、下端213cから下部12の高さの2/3の位置(符号215c)まで、谷底10bに向かって形成されている。
R面215bは、曲率半径0.4mmの円周面であって、符号215cで示す位置から平面215aに連続して谷底10bまで形成されている。
実施例4のねじ山200において、圧力側フランク面214bは仮想線14aに沿って形成されている。
圧力側フランク面214bの下端214cは、仮想円筒6よりも軸線5側に位置する。下部12の圧力側の側面216は、遊び側の側面215と同様に、圧力側フランク面214bの下端214cから谷底10cにわたって仮想線14aよりも内側に湾曲する形状であって、R面形状と平面形状とを組み合わせた形状となっている。
実施例4のねじ山200では、遊び側フランク面213bの下端213cは、圧力側フランク面214bの下端214cよりもねじ山頂10a側に位置することになる。
実施例4のねじ山200を備えたボルト1によれば、下部12の遊び側の側面215が下部12の圧力側の側面216よりも広範囲に抉られ、下部12の遊び側の側面215が一層薄肉となり、圧力側の側面216は遊び側よりも厚肉となる。
これにより、締結状態においてねじ山200全体が圧力側に撓むと共に、遊び側により強くスプリングバックするため、さらに高い緩み止め効果を奏する。
図9は、実施例5のねじ山200’を備えたボルト1の非締結状態における軸線5を含む要部断面図である。
実施例5のねじ山200’では、実施例4のねじ山200に比べて(図8(A)参照)、ねじ山200’における下部12の圧力側には内側に湾曲して抉られた部分が設けられておらず、圧力側フランク面214’が延長して下部12の圧力側の側面216’を形成しており、圧力側フランク面214’と圧力側の側面216’とが面一になっている。
実施例5のねじ山200’において、その他の形状は実施例4のねじ山200と同一である。
実施例5のねじ山200’によれば、締結状態において座面締め付けによりトルクが高くなると、遊び側フランク面213bが相手側締結部材8の遊び側フランク面に押圧されて圧力側へ撓む力が生じるが、ねじ山200’における下部12の圧力側の側面216’が内側に湾曲して抉られておらず平面形状であるため、ねじ山200’が遊び側へ撓むことが抑制される。
このことにより、経年変化によるねじ山200’の弾性変形量の低下を防ぎ、相手側締結部材の遊び側フランク面に対する反力(スプリングバック)を保ち続けることが可能となる。
実施例5のねじ山200’における上部11から下部12にわたる遊び側には、遊び側フランク面213bの下端213cから谷底10bに連続して、仮想線13aよりも内側に湾曲するR面形状の側面215が形成されている。
ねじ山200’の遊び側の側面215が内側に湾曲して抉られているため、座面締め付けによりトルクが高くなると、ねじ山200’が相手側締結部材の遊び側フランク面に押し付けられ、ねじ山200’の上部11の遊び側が相手側締結部材の遊び側フランク面に沿うように弾性変形して、ここに高い摩擦力が生じることになる。
尚、遊び側フランク面213bの下端213c(圧力側の側面215の上端)は、締結状態において相手側締結部材の遊び側フランク面上に位置することが好ましい。
その理由は、締結状態において、ねじ山200’の遊び側フランク面213bと相手側締結部材の遊び側フランク面との接合面積が確保されて十分な摩擦力が得られると共に、下部12の遊び側の側面215の弾性変形が十分許容されるからである。
また、遊び側の側面215のR面形状の曲率半径を大きくし、遊び側の側面215がさらに大きく湾曲して抉れた形状にすることにより、ねじ山200’の上部11がより弾性変形し易くなるため、ねじ山200’の上部11の遊び側フランク面213bと相手側締結部材の遊び側フランク面との間に生じる摩擦力を高めることが可能になることから、上記効果を高めることができる。
図10(A)は、実施例6のねじ山610を備えたボルト1の非締結状態における要部断面図である。
実施例6のねじ山610は、実施例5のねじ山200’(図9参照)と同様に、ねじ山610における下部12の圧力側には内側に湾曲して抉られた部分が設けられておらず、圧力側フランク面214’が延長して下部12の圧力側の側面216’を形成しており、圧力側フランク面214’と圧力側の側面216’とが面一になっている。
そして、実施例6のねじ山610は、実施例5のねじ山200’における圧力側フランク面213bのフランク角を大きくした形状になっている。
図9に示すように、実施例5のねじ山200’の遊び側フランク面213bは、仮想線13aに沿って形成されており、遊び側フランク面213bのフランク角βは、実施例1のねじ山10(図2参照)と同じく、約22°である。
また、ねじ山200’の圧力側フランク面214’は、仮想線14aに沿って形成されており、圧力側フランク面214’のフランク角γは、ねじ山10と同じく、約38°である。
そして、ねじ山200’の上部11のねじ山の角度αは、ねじ山10と同じく、約60°である。
それに対して、実施例6のねじ山610の遊び側フランク面613は、仮想線13aの角度β(=約22°)に追加する角度θ7(=約8°)を加えて成る仮想線613aに沿って形成されており、遊び側フランク面613のフランク角θ8(=β+θ7)は約30°である。
また、ねじ山610の圧力側フランク面214’は、仮想線14aに沿って形成されており、圧力側フランク面214’のフランク角γは、ねじ山10,200’と同じく、約38°である。
そして、ねじ山610の上部11のねじ山の角度α+θ7は約68°である。
このように、実施例6のねじ山610における上部11のねじ山の角度α+θ7(=約68°)は、基準山形7(図2参照)における上部11のねじ山の角度α(=60°)より角度θ7(=約8°)だけ大きい。
そして、ねじ山610の遊び側フランク面613のフランク角θ8(=30°)は、基準山形7のねじ山(図2参照)の角度θ1(=60°)の1/2であり、基準山形7のねじ山の遊び側フランク面73のフランク角と同一である。
尚、各角度β,γ,θ7はそれぞれ実験的に最適値を求めて設定すればよい。また、フランク角θ8は、基準山形7のねじ山の遊び側フランク面73のフランク角と略同一にすればよい。
実施例6のねじ山610の下部12における遊び側の側面615は、実施例4のねじ山200における下部12の圧力側の側面215(図8(B)参照)と同様に、遊び側フランク面613の下端613cから谷底10bにわたって仮想線613aよりも内側に湾曲する形状であって、R面形状と平面形状とを組み合わせた形状となっている。
図10(B)は、実施例6のボルト1と相手側締結部材8とを締結した状態におけるねじ山610を示す断面図である。
ボルト1を相手側締結部材8に締め込むと、相手側締結部材8の遊び側フランク面81がねじ山610の遊び側フランク面613を押圧する。
ここで、ねじ山610の遊び側フランク面613のフランク角θ8は、基準山形7のねじ山の遊び側フランク面613のフランク角と略同一であることから、遊び側フランク面613は相手側締結部材8の遊び側フランク面81と平行になっている。
そのため、ねじ山610の遊び側フランク面613の略全面が相手側締結部材8の遊び側フランク面81に押し付けられ、ここに安定した強い押圧力が生じることから、両遊び側フランク面613,81に強い摩擦力が得られる。
そして、実施例6においても実施例5と同様に、ねじ山610の遊び側の側面615が内側に湾曲して抉られているため、座面締め付けによりトルクが高くなり、ねじ山610の遊び側フランク面613と相手側締結部材8の遊び側フランク面81との押圧力が大きくなると、ねじ山610の上部11の遊び側が弾性変形して、両遊び側フランク面613,81に強い摩擦力が得られ、より大きな反力(スプリングバック)が発生するため、さらなる緩み止め効果を奏する。
図11(A)は、実施例10のねじ山710を備えたボルト1の非締結状態における要部断面図である。
図11(B)は、実施例10のボルト1と相手側締結部材8とを締結した状態におけるねじ山710を示す断面図である。
実施例7のねじ山710において、実施例6のねじ山610(図10参照)と異なるのは、下部12における圧力側の側面716が、圧力側フランク面214’の延長線に相当する仮想線14aから内側に湾曲して形成されている点だけである。
そのため、実施例7によれば、下部12における圧力側の側面が仮想線14aから内側に湾曲して形成されている他の実施例における圧力側の側面(実施例1の側面16(図2参照)、実施例2の側面16a(図4参照)、実施例4の側面216(図8参照)に係るものと同様の作用・効果が得られる。
図12(A)は、実施例8のねじ山310を備えたボルト300の非締結状態における要部断面図である。
実施例8のねじ山310の角度α’は約58°であり、破線で示す実施例1のねじ山10(図2参照)の角度α(=60°)よりも若干小さい。ねじ山310のピッチはJIS規格に準ずる。
実施例8のねじ山310において、その他の形状は実施例1のねじ山10と同一であり、ねじ山310の下部12における遊び側の側面315および遊び側の側面316は、それぞれのフランク面の延長線に相当する仮想線13aと仮想線14aから内側に湾曲して形成されている。
図12(B)は、実施例8のボルト300と相手側締結部材8とを締結した状態におけるねじ山310を示す断面図である。
相手側締結部材8は、JIS規格やISO規格に準じたナットである。ボルト300を相手側締結部材に締め込むと、ボルト300の座面に力が加わるまでは少ない抵抗で締め付けることができるが、座面締め付けでトルクが大きくなるにつれて、遊び側フランク面313が相手側締結部材8の遊び側フランク面81に押圧されることにより、ねじ山310が遊び側に起き上がる。
これにより、ねじ山310が圧力側にスプリングバックして、ボルト300の遊び側フランク面313と相手側締結部材8の遊び側フランク面81との摩擦力が増加する。
本発明の締結部材は、車輌や様々な装置、建築物等における締結部材または締結構造として広く利用することができる。
1,100,300…ボルト(締結部材)
10,1a,101,200,200’,610,710,310…ねじ山
10a,102,211’311,…ねじ山頂
10b,10c…谷底
11,110…上部
12,120…下部
13,13b,130,213,213b,613,313…遊び側フランク面
14,14b,140,214,214b,214’,314…圧力側フランク面
13a,14a,75,76,78.130a,140a,613a…仮想線
15,16,15a,16a,150,160,215,216,216’,615,716,315,316…側面
6…仮想円筒
7…基準山形
71,72…基準山形7の谷底
73…基準山形7の遊び側フランク面
74…基準山形7の圧力側フランク面
8…相手側締結部材
80…相手側締結部材8の谷底
81…相手側締結部材8の遊び側フランク面
82…相手側締結部材8の圧力側フランク面
2…頭部
3…円筒部
4…ねじ部
5…軸線
20…座面
A…破線で示す部分
θ1…ねじ山10の角度(基準山形7のねじ山の角度)
β…仮想線13aと仮想線75とのなす角度(遊び側フランク面13のフランク角)
γ…仮想線14aと仮想線76とのなす角度(圧力側フランク面14のフランク角)
α…仮想線13aと仮想線14aとのなす角度(ねじ山10の角度)
13c,213c,613c…遊び側フランク面の下端
14c,214c…圧力側フランク面の下端
θ2…相手側締結部材8の谷底80の角度
θ7… 追加する角度
θ8…遊び側フランク面613のフランク角
215c…下端
215b…R面
215a…平面
a…ねじ山101の角度
b…遊び側フランク面130のフランク角
c…圧力側フランク面140のフランク角
170…ボルト粗材
180…上部形成用凸条部
103…軸

Claims (4)

  1. ねじ構造を有し、ねじ山頂側の上部と、ねじ谷底側の下部とを備える締結部材であって、前記ねじ山頂及び前記上部に形成された遊び側フランク面が、基準山形の遊び側フランク面よりも軸先側に傾いて設けられ、前記下部の少なくとも一方に前記上部において対応するフランク面の延長線よりも内側に設けられた側面を有し、該側面が前記対応するフランク面の下端から連続して形成されている締結部材。
  2. 請求項1に記載の締結部材において、前記締結部材の軸線を含む断面にて、前記下部の少なくとも一方の側面の形状は、前記対応するフランク面の延長線から内側に向かって湾曲する曲面形状、または、前記対応するフランク面の延長線から内側に配置された平面形状と当該延長線から内側に向かって湾曲する曲面形状とを組み合わせた形状である締結部材。
  3. 請求項1と2に記載のねじ山を座面により近い数山にのみ有しそれ以外の半数を超えるねじ山は請求項1と2に記載のねじ山ではない通常のねじ山であることを特徴とする締結部材。
  4. 請求項1と2に記載の締結部材が、締結回転時に、前記相手側締結部の遊び側フランク面が前記締結部材の遊び側フランク面を押圧することにより、ねじ山全体が撓むため、前記締結部材の遊び側フランク面と前記相手側締結部の遊び側フランク面との摩擦力が増加する締結部材。
JP2013084420A 2013-04-13 2013-04-13 締結部材 Pending JP2014206234A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013084420A JP2014206234A (ja) 2013-04-13 2013-04-13 締結部材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013084420A JP2014206234A (ja) 2013-04-13 2013-04-13 締結部材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014206234A true JP2014206234A (ja) 2014-10-30

Family

ID=52119934

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013084420A Pending JP2014206234A (ja) 2013-04-13 2013-04-13 締結部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014206234A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105485140A (zh) * 2016-01-18 2016-04-13 霍永久 一种r型螺纹
JP2018508728A (ja) * 2015-04-07 2018-03-29 テグワン・メタル・カンパニー・リミテッドDae Kwang Metal.Co.Ltd 緩み防止用ねじ山構造及びその加工工具
WO2022145078A1 (ja) * 2020-12-28 2022-07-07 ハードロック工業株式会社 緩み止めボルト
CN115111254A (zh) * 2022-05-19 2022-09-27 嘉兴意动能源有限公司 一种异型防松螺纹结构

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018508728A (ja) * 2015-04-07 2018-03-29 テグワン・メタル・カンパニー・リミテッドDae Kwang Metal.Co.Ltd 緩み防止用ねじ山構造及びその加工工具
US10871182B2 (en) 2015-04-07 2020-12-22 Dae Kwang Metal.Co.Ltd Screw thread structure for preventing being pulled out and tool for manufacturing same
CN105485140A (zh) * 2016-01-18 2016-04-13 霍永久 一种r型螺纹
EP3193028A1 (en) * 2016-01-18 2017-07-19 Yongjiu Huo R-type thread
US9945412B2 (en) 2016-01-18 2018-04-17 Dongguan Guanhong Hardware Technology Co., Ltd. R-type thread
WO2022145078A1 (ja) * 2020-12-28 2022-07-07 ハードロック工業株式会社 緩み止めボルト
CN115111254A (zh) * 2022-05-19 2022-09-27 嘉兴意动能源有限公司 一种异型防松螺纹结构

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5711408B2 (ja) 締結部材および締結構造
TWI422754B (zh) 形成螺紋之固定件
JP4878407B2 (ja) 締結部材および締結構造
JP2014206234A (ja) 締結部材
US20070280803A1 (en) All-metal thread locking/prevailing torque threaded fastener
US10233963B2 (en) Deformable fastening thread providing wedge-effect
JP2012112403A (ja) ゆるみ防止ねじ部品
JP2013545058A (ja) 頭部と軸部と円錐形でコルゲート状のフランジとを有するねじ
JP2015052369A (ja) ボルト・ナットの弛み止め構造
JP6892046B2 (ja) 締結部材
US20130064624A1 (en) Lock nut and a fastening unit comprising the same
JP4639291B2 (ja) 締結具
JP4361128B1 (ja) 緩み防止ねじ
JP7328906B2 (ja) おねじ部材
JP5982331B2 (ja) 弛み防止ねじ
JP5465093B2 (ja) 弛み防止ねじ
WO2013030970A1 (ja) 焼付き防止ナット
JP4792332B2 (ja) ねじ締結構造およびねじ部品
JP4837963B2 (ja) ねじの弛み止め構造
WO2020166415A1 (ja) ねじ
TWI427222B (zh) 緊固構件及緊固構造
JP4418025B1 (ja) ボルトナット締結体
JP4553324B1 (ja) 多条ねじ
JP5984329B2 (ja) ボルトの転造方法
JP7042748B2 (ja) おねじ及びねじ締結構造