JP4792332B2 - ねじ締結構造およびねじ部品 - Google Patents
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Description
また、ナット101のねじ山104のピッチが一律に大きくなっているので、ボルト100とナット101のねじ山103,ねじ山104の嵌合長が長くなると、図13(C)に示すように、ねじ込んでいく過程で、累積ピッチ誤差がねじ山103,104間の軸方向隙間に達し、図中矢印Aで示すように、ボルト100とナット101の各ねじ山103,104同士が軸方向ぶつかり合い、途中でねじ込めなくなってしまい、応力を分散させるにも限界がある。
一方、一般的にめねじの材料が軽量化目的でマグネシウムなどが使用されている場合、めねじの強度が低いため、めねじの嵌合第1山目ねじ谷部に応力が集中すると、そこを起点としてめねじ側の嵌合ねじ山のせん断破壊が発生してしまう。その対策としては、嵌合長を長くするなどの対策がとらているが、嵌合長を長くすることによって、全体の肉厚が増加しおねじの全長も長くなるため、軽量化を目的にマグネシウムなどの材料を用いたいのにその効果が半減してしまうという問題もあった。
おねじのピッチは基準ピッチとして一定に形成されているのに対して、めねじのねじ山のピッチを、基準ピッチに対してめねじの締付座面から数えて第1番目の嵌合第1ねじ山側から徐々にめねじの山数の数山分を増加させる除変ピッチパターンとしたことを特徴とする。
めねじの徐変ピッチパターンは、各ねじ山のピッチについて連続的に変化させていることが好ましい。
徐変ピッチパターンの各ピッチの増分の割合は、0.15〜0.9%の範囲とすることが好ましい。
前記百分率で表した各ピッチの増分の変化量は、0.2%であることが好ましい。
徐変ピッチパターンの後段のねじ山のピッチについては、徐々にピッチの増分が小さくなる構成を備えていてもよい。
本発明のめねじを有するねじ部品は、めねじのねじ山のピッチを、基準ピッチに対して嵌合第1ねじ山側から徐々にめねじの山数の数山分を増加させる徐変ピッチパターンとしたことを特徴とする。
めねじの徐変ピッチパターンは、各ねじ山のピッチについて連続的に変化させていることが好ましい。
徐変ピッチパターンの各ピッチの増分の割合は、0.15〜0.9%の範囲とすることが好ましい。
前記百分率で表した各ピッチの増分の変化量は、0.2%であることが好ましい。
徐変ピッチパターンの後段のねじ山のピッチについては、徐々にピッチの増分が小さくなる構成を備えていてもよい。
本発明のおねじを有するねじ部品は、おねじのねじ山のピッチを、予め設定されためねじとの嵌合領域で基準ピッチに対して嵌合第1ねじ山側から徐々に嵌合領域の山数の数山分を小さくなるように変化させる徐変ピッチパターンとしたことを特徴とする。
軽量化目的でめねじの材料として強度の低いマグネシウムなどが用いられている場合でも、本発明によれば、嵌合第1山目ねじ谷部に作用する応力を大きく軽減させることができるので、強度の低いめねじの嵌合長さを短くすることができ、軽量でしかも耐久性の高いねじ締結構造を実現することができる。
特に、めねじについてのピッチの変化パターンを、第1ねじ山側から徐々に増加する除変ピッチパターンとしておけば、嵌合第1山目ねじ谷部に作用する応力を効果的に分散させることができる。
図1は本発明の一実施例に係るねじ締結構造を示している。
すなわち、互いに螺合するめねじ部品であるナット10とおねじ部品であるボルト20を備えたねじ締結構造であって、被締め付け部材30をナット10とボルト20によって締結する構成となっている。
ボルト20はねじ軸部21を備え、ねじ軸部21の一端には頭部22が設けられている。ねじ軸部21外周には螺旋状のねじ山23が形成されている。ナット10は、ナット本体11にねじ穴12が貫通形成された構成で、ねじ穴12内周にボルト20のねじ山23が螺合するねじ山13が形成されている。
図示例では、ナット10のねじ山13の数を8山としているが、ねじ山13の数を限定するものではない。8山未満、たとえば3〜4山程度でもよいし、8山より多くてもよい。
また、ボルト20側のねじ山23の符号についても、総括的な説明では23とし、ナット10に嵌合する個々のねじ山23を特定する場合には、ナット10側のねじ山13に嵌合する嵌合ねじ山23に対して、ナット座面14側から順番に、符号「23」の後に連番を付し、第1ねじ山231,第2ねじ山232,第3ねじ山233・・・として説明するものとする。
このナット10のねじ山13のピッチは、周方向の所定の基準位相、たとえばナット座面14側のねじ端部位置を基準にして設定される。また、ピッチの変化は、各ねじ山23のリード角を変えることにより変化させることができる。
この例は、第1ねじ山131から数山分のピッチについて、ナット座面14側から徐々に増加するように変化させる除変ピッチパターンとしたものである。
図示例では、第1ピッチP1の基準ピッチP0に対する増分をδ1、第2ピッチP2の基準ピッチP0に対する増分をδ2,第2ピッチP3の基準ピッチP0に対する増分をδ3とすると、増分が徐々に増加するように変化させている(δ1<δ2<δ3)。
各ピッチの増分δは、基準ピッチに対する百分率で表すと、0.15〜0.9%程度が好適で、増分の変化量は、0.2%程度とすることが好適である。
本発明では、ナット10のねじ山13のピッチを、第1,第2ねじ山131,132間の第1ピッチP1から徐々に増加するような除変ピッチパターンとすることにより、応力分布を改善することができた。
ナット10のピッチの変化量が大きければ、ナット10,ボルト20の各ねじ山13,23の嵌合が不可能になり、締め付け不可能になるが、通常、おねじとめねじのねじ山嵌合部は、ISO規格のISO6g6hのように隙間ばめに分類されており、この隙間の範囲でピッチを分配することにより、締め付け荷重を各ねじ山に平均的に分散させることが可能である。たとえば、ISOのナット高さはねじサイズによって異なるが、M10×1.25のボルトの場合は、ナット高さは8.94〜9.30で、ナット10の中の山数は4山程度あるので、この隙間範囲でピッチを変化させる構成であれば、嵌合には問題はない。
この場合は、ねじを締め付けていくと、基準ピッチの第4ねじ山134,234乃至第8ねじ山138,238が一度に当接し、さらに締め付けると、第3ねじ山133,233,第2ねじ山132,232,第1ねじ山131,231の順に当接して締め付けられ、締め付け荷重が各ねじ山に分散される。
この場合、ねじを締め付けていくと、最も遠い第8ねじ山138,238から順番に第4ねじ山134,234まで順次密接し、さらに締め付けると、第3ねじ山133,233,第2ねじ山132,232,第1ねじ山131,231の順に当接して締め付けられ、締め付け荷重が各ねじ山に分散される。
もちろん、ピッチの変化パターンとしては、図3に記載のパターンに限定されるものではなく、1山目のみを変化させてもよいし、ナット10の締め付け座面14側及び反対側の数山分は基準ピッチで、中間のねじ山についてピッチを大きくするように構成してもよく、種々のパターンを採用し得る。
また、ナット10のピッチを広げると共にボルト20のピッチを狭めるというように両方のピッチを変化させてもよい。
また、ねじ山の形状について、三角ねじを例にとって説明したが、三角ねじに限定されるものではなく、角ねじ,台形ねじ等、種々の形状のねじに対して適用可能である。また、1条ねじだけでなく、多条ねじについても適用可能である。
ボルトの寸法は、M12×1.25、有効径11.07、ねじ谷Rが0.156のボルトで、サンプルのナットの基本寸法は、高さが10.50,有効径11.188,内径10.647である。
除変ピッチパターンとして、7パターンのサンプルを用意し、比較例として、基準ピッチの比較例1、基準ピッチに対してすべて均等にピッチを広げた比較例2を用意し、それぞれについて、軸力のみの引張り試験にて解析を行った。荷重は50kNとしてボルトとナットの締結構造体のFEM解析を行い、ボルトのねじ軸部についての最大主応力をグラフにとっている。
比較例1の最大主応力のピーク値は、図4(B)に示すように、
ナットの第1ねじ山が嵌合する嵌合第1山目ねじ谷部位置で1060MPa、
第2ねじ山が嵌合する嵌合第2山目ねじ谷部位置で830MPa、
第3ねじ山が嵌合する嵌合第3山目ねじ谷部位置で640MPa、
第4ねじ山が嵌合する嵌合第4山目ねじ谷部位置で520MPa、
第5ねじ山が嵌合する嵌合第5山目ねじ谷部位置で400MPa、
第6ねじ山が嵌合する嵌合第6山目ねじ谷部位置で310MPa、
第7ねじ山が嵌合する嵌合第7山目ねじ谷部位置で230MPa、
第8ねじ山が嵌合する嵌合第8山目ねじ谷部位置では、170MPaであった。
ナットの第1ねじ山が嵌合する嵌合第1山目ねじ谷部位置で980MPa、
第2ねじ山が嵌合する嵌合第2山目ねじ谷部位置で830MPa、
第3ねじ山が嵌合する嵌合第3山目ねじ谷部位置で660MPa、
第4ねじ山が嵌合する嵌合第4山目ねじ谷部位置で550MPa、
第5ねじ山が嵌合する嵌合第5山目ねじ谷部位置で470MPa、
第6ねじ山が嵌合する嵌合第6山目ねじ谷部位置で420MPa、
第7ねじ山が嵌合する嵌合第7山目ねじ谷部位置で360MPa、
第8ねじ山が嵌合する嵌合第8山目ねじ谷部位置で320MPaであった。
比較例1に対して、最大主応力が嵌合第1山目ねじ谷部位置で80MPa低下し、嵌合第8山目ねじ谷部で110MPa増大しており、第8ねじ谷部では嵌合第1山目ねじ谷部の3分の1程度となっている。
1山目の第1ピッチP1が、1.251875mm(0.15%)、
2山目の第2ピッチP2が、1.254375mm(0.35%)、
3山目の第3ピッチP3が、1.2575mm(0.6%)、
4山目の第4ピッチP4が、0.26125mm(0.9%)、
5山目から8山目までが基準ピッチ1.25mmとなっている。
ナットの第1ねじ山131が嵌合する嵌合第1山目ねじ谷部位置で920MPa、
第2ねじ山132が嵌合す嵌合第2山目ねじ谷部位置で800MPa、
第3ねじ山133が嵌合する嵌合第3山目ねじ谷部位置で790MPa、
第4ねじ山134が嵌合する嵌合第4山目ねじ谷部位置で890MPa、
第5ねじ山135が嵌合する嵌合第5山目ねじ谷部位置で920MPa、
第6ねじ山136が嵌合する嵌合第6山目ねじ谷部位置で600MPa、
第7ねじ山137が嵌合する嵌合第7山目ねじ谷部位置で480MPa、
第8ねじ山138が嵌合する嵌合第8山目ねじ谷部位置で400MPaであった。
このように、比較例1,2に比べて、嵌合第1山目ねじ谷部の応力を低下させることができ、さらに嵌合第5山目ねじ谷部まで応力分布を平均化することができた。嵌合第6〜第8山目ねじ谷部についても最大主応力は増大している。
このサンプル2のピッチパターンは、図3(B)のタイプで、
1山目の第1ピッチP1が、1.251875mm(0.15%)、
2山目の第2ピッチP2が、1.254375mm(0.35%)、
3山目の第3ピッチP3が、1.2575mm(0.6%)、
4山目の第4ピッチP4が、0.26125mm(0.9%)、
5山目の第5ピッチP5が、1.2575mm(0.6%)、
6山目の第6ピッチP6が、1.254375mm(0.35%)、
7山目の第7ピッチP7が、1.251875mm(0.15%)、
8山目の第8ピッチP8が、1.25mm(0%)となっている。
第1ねじ山131が嵌合する嵌合第1山目ねじ谷部位置で820MPa、
第2ねじ山132が嵌合する嵌合第2山目ねじ谷部位置で770MPa、
第3ねじ山133が嵌合する嵌合第3山目ねじ谷部位置で760MPa、
第4ねじ山134が嵌合する嵌合第4山目ねじ谷部位置で920MPa、
第5ねじ山135が嵌合する嵌合第5山目ねじ谷部位置で990MPa、
第6ねじ山136が嵌合する嵌合第6山目ねじ谷部位置で820MPa、
第7ねじ山137が嵌合する嵌合第7山目ねじ谷部位置で680MPa、
第8ねじ山138が嵌合する嵌合第8山目ねじ谷部位置で560MPaであった。
このように、サンプル2についても、比較例1,2に比べて、嵌合第1山目ねじ谷部の応力を低下させることができ、さらに嵌合第1山目ねじ谷部から嵌合第5山目ねじ谷部まで応力分布を平均化することができた。さらに嵌合第6〜第8山目ねじ谷部については、サンプル1よりも最大主応力は増大している。
このサンプル3のピッチパターンも、図3(A)のタイプであるが、中央の第3乃至第6ピッチを一定としたものである。
1山目から3山目までがサンプル1と同じ、
中間の4山目から6山目までが、3山目と同じ1.2575mm(0.6%)、
7山目が1.254375mm(0.35%)、
8山目が1.251875mm(0.15%)である。
ナットの第1ねじ山131が嵌合する嵌合第1山目ねじ谷部位置で800MPa、
第2ねじ山132が嵌合する嵌合第2山目ねじ谷部位置で740MPa、
第3ねじ山133が嵌合する嵌合第3山目ねじ谷部位置で780MPa、
第4ねじ山134が嵌合する嵌合第4山目ねじ谷部位置で900MPa、
第5ねじ山135が嵌合する嵌合第5山目ねじ谷部位置で950MPa、
第6ねじ山136が嵌合する嵌合第6山目ねじ谷部位置で680MPa、
第7ねじ山137が嵌合する嵌合第7山目ねじ谷部位置で700MPa、
第8ねじ山138が嵌合する嵌合第8山目ねじ谷部位置で520MPaであった。
このサンプル3については、サンプル2とほぼ同じ傾向であるが、中央の嵌合第4,第5山目ねじ谷部位置の応力が低減され、第6ねじ谷部と第7ねじ谷部の応力が平均化している。
このサンプル4のピッチパターンも、基本的には図3(A)のタイプであるが、第7,第8ピッチを基準ピッチとしたものである。
1山目〜4山目までがサンプル1と同じで、
5山目が1.259375mm(0.75%)、
6山目が1.2575mm(0.6%)、
7山目と8山目が1.25mm(0%)である。
ナットの第1ねじ山131が嵌合する嵌合第1山目ねじ谷部位置で780MPa、
第2ねじ山132が嵌合する嵌合第2山目ねじ谷部位置で760MPa、
第3ねじ山133が嵌合する嵌合第3山目ねじ谷部位置で800MPa、
第4ねじ山134が嵌合する嵌合第4山目ねじ谷部位置で880MPa、
第5ねじ山135が嵌合する嵌合第5山目ねじ谷部位置で970MPa、
第6ねじ山136が嵌合する嵌合第6山目ねじ谷部位置で800MPa、
第7ねじ山137が嵌合する嵌合第7山目ねじ谷部位置で600MPa、
第8ねじ山138が嵌合する嵌合第8山目ねじ谷部位置で480MPaであった。
このサンプル4についても、嵌合第1山目ねじ谷部の応力を低下させることができ、さらに嵌合サンプル2に比べて全体的に平均化している。
このサンプル5のピッチパターンも、基本的には図3(B)のタイプであるが、第1ピッチを基準ピッチとし、第2ピッチから第5ピッチの基準ピッチに対する増分を徐々に増加させ、第6ピッチから第8ピッチの基準ピッチに対する増分を徐々に減少させたものである。
すなわち、
1山目が1.25mm(0%)、
2山目が1.25625mm(0.5%)、
3山目が1.2575mm(0.6%)、
4山目が1.259375mm(0.75%)、
5山目が1.26125mm(0.9%)、
6山目が1.25875mm(0.75%)、
7山目が1.2575mm(0.6%)、
8山目が1.25625mm(0.5%)である。
ナットの第1ねじ山131が嵌合する嵌合第1山目ねじ谷部位置で830MPa、
第2ねじ山132が嵌合する嵌合第2山目ねじ谷部位置で800MPa、
第3ねじ山133が嵌合する嵌合第3山目ねじ谷部位置で830MPa、
第4ねじ山134が嵌合する嵌合第4山目ねじ谷部位置で910MPa、
第5ねじ山135が嵌合する嵌合第5山目ねじ谷部位置で960MPa、
第6ねじ山136が嵌合する嵌合第6山目ねじ谷部位置で900MPa、
第7ねじ山137が嵌合する嵌合第7山目ねじ谷部位置で650MPa、
第8ねじ山138が嵌合する嵌合第8山目ねじ谷部位置で520MPa、
であった。
このサンプル5も、嵌合第1山目ねじ谷部の応力を低下させることができ、さらに嵌合
サンプル2に比べてより平均化している。
このサンプル6のピッチパターンは、基本的には図3(C)のタイプであり、
1山目〜4山目までが基準ピッチ1.25mmで、
5山目が0.26125mm(0.9%)、
6山目が1.2575mm(0.6%)、
7山目が1.254375mm(0.35%)、
8山目が1.251875mm(0.15%)である。
ナットの第1ねじ山131が嵌合する嵌合第1山目ねじ谷部位置で1000MPa、
第2ねじ山132が嵌合する嵌合第2山目ねじ谷部位置で750MPa、
第3ねじ山133が嵌合する嵌合第3山目ねじ谷部位置で520MPa、
第4ねじ山134が嵌合する嵌合第4山目ねじ谷部位置で410MPa、
第5ねじ山135が嵌合する嵌合第5山目ねじ谷部位置で510MPa、
第6ねじ山136が嵌合する嵌合第6山目ねじ谷部位置で810MPa、
第7ねじ山137が嵌合する嵌合第7山目ねじ谷部位置で720MPa、
第8ねじ山138が嵌合する嵌合第8山目ねじ谷部位置で550MPaであった。
このサンプル6については、サンプル1乃至5に比較すると、嵌合第1山目ねじ谷部の応力はそれほど低下しないが、第6,第7,第8山目ねじ谷部位置の応力が増大しており、この第6,第7,第8ねじ山に荷重が分散されていることがわかる。
図10(A)は、サンプル7についてのピッチパターンを示し、図10(B)はその解析結果を示している。
このサンプル7のピッチパターンも、基本的には図3(B)のタイプであるが、第1ピッチから第4ピッチの基準ピッチに対する増分を徐々に増加させ、第4ピッチから第8ピッチの基準ピッチに対する増分を対称的に徐々に減少させ、第8ピッチを基準ピッチとしたものである。
すなわち、
1山目が1.2525mm(0.2%)、
2山目が1.255mm(0.4%)、
3山目が1.2575mm(0.6%)、
4山目が1.26mm(0.8%)、
5山目が1.2675mm(0.6%)、
6山目が1.255mm(0.4%)、
7山目が1.2525mm(0.2%)、
8山目が1.25mm(0%)である。
ナットの第1ねじ山131が嵌合する嵌合第1山目ねじ谷部位置で770MPa、
第2ねじ山132が嵌合する嵌合第2山目ねじ谷部位置で770MPa、
第3ねじ山133が嵌合する嵌合第3山目ねじ谷部位置で720MPa、
第4ねじ山134が嵌合する嵌合第4山目ねじ谷部位置で910MPa、
第5ねじ山135が嵌合する嵌合第5山目ねじ谷部位置で940MPa、
第6ねじ山136が嵌合する嵌合第6山目ねじ谷部位置で780MPa、
第7ねじ山137が嵌合する嵌合第7山目ねじ谷部位置で620MPa、
第8ねじ山138が嵌合する嵌合第8山目ねじ谷部位置で500MPa、
であった。
このサンプル7も、嵌合第1山目ねじ谷部の応力を低下させることができ、さらに嵌合
サンプル2に比べてより平均化している。
図11は上記サンプル1から7の最大主応力ピーク値をピックアップしたグラフである。
基準ピッチの比較例1に対して、一律にピッチを広げた比較例2は、共に嵌合第1山目ねじ谷部から山数が進むにつれて右肩下がりに下がっていく傾向となるのに対して、本願発明のサンプル1乃至7では、サンプル6を除いて嵌合第1山目ねじ谷部から中間部までの前半の嵌合ねじ谷部の応力が低く、山数が進んだ中間部が若干大きく、さらに中間から後方の嵌合ねじ谷部で減少する傾向の応力パターンとなっている。
このように嵌合第1山目ねじ谷部から中間までの前半の嵌合ねじ谷部の応力よりも中間のねじ谷部の応力が大きくなるように設定しておけば、過度の外力が作用した場合、第1山目嵌合ねじ谷部側が上昇し中間の嵌合ねじ谷部側が低下することになり、外力に対する第1山目嵌合ねじ谷部の応力の上昇を抑えることができる。
また、図12は、この実施例では、ナットの嵌合長が長い場合のサンプル8についての、応力の解析結果を示している。
ボルトの寸法は、上記サンプル1乃至7の場合と同様に、M12×1.25、有効径11.07、ねじ谷Rが0.156のボルトで、ナット高さ(2d)が24mm、有効径1
1.188,内径10.647であり、嵌合するねじ山の数が19山である。
比較例1のナットはねじ山間のピッチがすべて基準ピッチであり、比較例2のナットは7山目までが0.15%基準ピッチより大きくしたものである。
これに対して、サンプル8のピッチパターンは、第1ピッチから第8ピッチの基準ピッチに対する増分を、サンプル7のパターンと同様に、第1ピッチから第4ピッチまでを徐々に増大させ、第4ピッチから第8ピッチの基準ピッチに対する増分を対称的に徐々に減少させ、第9ピッチ以後を基準ピッチとしたものである。
すなわち、
1山目が1.2525mm(0.2%)、
2山目が1.255mm(0.4%)、
3山目が1.2575mm(0.6%)、
4山目が1.26mm(0.8%)、
5山目が1.2675mm(0.6%)、
6山目が1.255mm(0.4%)、
7山目が1.2525mm(0.2%)、
8山目が1.25mm(0%)である。
このように嵌合長が長い場合でも、嵌合ねじ山間の隙間の範囲内で、嵌合第1山目ねじ谷部の応力を効果的に分散させることができ、第8山目〜9山目程度までの応力を平均化することができた。したがって、嵌合長さが長い場合でも、高い応力分散効果を発揮することができる。
11 ナット本体
12 ねじ穴
13 ねじ山
131〜138 第1〜第8ねじ山(ナット側)
14 ナット座面
20 ボルト
21 ねじ軸部
22 頭部
23 ねじ山
231〜238 第1〜第8ねじ山(ボルト側)
30 被締め付け部材
P1〜P8 ピッチ
Po 基準ピッチ
δ1〜δ3 ピッチ増分
Claims (11)
- 互いに螺合するめねじとおねじを備え、被締め付け部材をめねじとおねじによって締め付ける構成のねじ締結構造において、
おねじのピッチは基準ピッチとして一定に形成されているのに対して、めねじのねじ山のピッチを、基準ピッチに対してめねじの締付座面から数えて第1番目の嵌合第1ねじ山側から徐々にめねじの山数の数山分を増加させる除変ピッチパターンとしたことを特徴とするねじ締結構造。 - 前記めねじの徐変ピッチパターンは、各ねじ山のピッチについて連続的に変化させていることを特徴とする請求項1に記載のねじ締結構造。
- 徐変ピッチパターンの各ピッチの増分は、基準ピッチに対する百分率で表すと、0.15〜0.9%である請求項1または2に記載のねじ締結構造。
- 前記百分率で表した各ピッチの増分の変化量は、0.2%である請求項3に記載のねじ締結構造。
- めねじのねじ山のピッチを、基準ピッチに対して嵌合第1ねじ山側から徐々にめねじの山数の数山分を増加させる徐変ピッチパターンとしためねじを有するねじ部品。
- 前記めねじの徐変ピッチパターンは、各ねじ山のピッチについて連続的に変化させていることを特徴とする請求項5に記載のねじ部品。
- 徐変ピッチパターンの各ピッチの増分は、基準ピッチに対する百分率で表すと、0.15〜0.9%である請求項5または6に記載のねじ部品。
- 前記百分率で表した各ピッチの増分の変化量は、0.2%である請求項7に記載のねじ部品。
- おねじのねじ山のピッチを、予め設定されためねじとの嵌合領域で基準ピッチに対して
嵌合第1ねじ山側から徐々に嵌合領域の山数の数山分を小さくなるように変化させる徐変ピッチパターンとしたおねじを有するねじ部品。 - 徐変ピッチパターンの後段のねじ山のピッチについては、徐々にピッチの増分が小さくなる構成を備えている請求項1乃至4のいずれかの項に記載のねじ締結構造。
- 徐変ピッチパターンの後段のねじ山のピッチについては、徐々にピッチの増分が小さくなる構成を備えている請求項5乃至8のいずれかの項に記載のねじ部品。
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