JP4639291B2 - 締結具 - Google Patents

締結具 Download PDF

Info

Publication number
JP4639291B2
JP4639291B2 JP2006006715A JP2006006715A JP4639291B2 JP 4639291 B2 JP4639291 B2 JP 4639291B2 JP 2006006715 A JP2006006715 A JP 2006006715A JP 2006006715 A JP2006006715 A JP 2006006715A JP 4639291 B2 JP4639291 B2 JP 4639291B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nut
washer
protrusion
fastening
hole
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006006715A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007187273A (ja
Inventor
輝夫 中上
壽一 河嶋
寛二 月瀬
利徳 藤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shiga Prefectural Government.
Original Assignee
Shiga Prefectural Government.
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shiga Prefectural Government. filed Critical Shiga Prefectural Government.
Priority to JP2006006715A priority Critical patent/JP4639291B2/ja
Publication of JP2007187273A publication Critical patent/JP2007187273A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4639291B2 publication Critical patent/JP4639291B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、緩み止め機能を有する締結具、およびこの締結具に用いられる座金並びにナットに関するものである。
ボルトおよびナットを用いた締結構造(締結具)においては、従来からボルト・ナット締結後の緩みが大きな課題であった。
この課題を解決するために、特許文献1には、ナットの座金側かつ内側に軸対称かつ断面略台形状の凹部を有し、座金のナット側かつ内側に軸対称かつ断面略台形状の凸部を有し、ナットの凹部と座金の凸部とが嵌合する締結構造であって、座金が備える孔は座金の凸部の内側に位置し当該孔の中心位置が座金の凸部の中心位置に対して偏芯している緩み止め用締結構造が開示されている。この技術では、座金が備える孔は、座金の凸部の内側に位置し当該孔の中心位置が座金の凸部の中心位置に対して偏芯しているので、締結時、座金の孔を構成する部分がボルトのねじ山部分に食い込むために、座金の孔を構成する部分が大きく歪み、この歪みの力により強力な緩み止め効果を得ることができるようになっている。
しかしながら、特許文献1の技術では、締結する際のナットの回転よりも緩める際のナットの回転に必要な力が小さくなるため、締結後にナットの戻り(緩み)が発生するという問題点があった。また、まずナットが緩み、次に座金が緩むため、緩み止め効果のばらつきが発生するという問題点があった。
そこで、特許文献2では、特許文献1の構成に加えて、ナットおよび座金における互いの接触部に、互いの斜面部の向きが逆となるように設けられた断面略直角三角形からなる回転抵抗部を設け、これによって締結する際の回転よりも緩める際の回転に必要な力が大きくなるようにしている。
特許第3522695号公報(公開日2002年7月26日) 特開2005−69347号公報(公開日2005年3月17日)
しかしながら、上記特許文献2の技術では、締結する際に、座金とナットの双方の回転抵抗部が摩擦するため、回転抵抗部が変形するなどして、十分な戻り防止効果が得られない場合があった。また、締結時に、座金とナットの双方の回転抵抗部が摩擦しながらナットが回転することを許容するようにするためには、断面の略直角三角形における垂直部の高さを低くする必要があり、戻り防止効果を得るための回転抵抗を十分に得られない場合があった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、緩み止め効果を確実に得ることのできる締結具、およびこの締結具に用いられる座金並びにナットを提供することにある。
本発明の座金は、上記の課題を解決するために、ボルトの軸が通る孔を備えたナットおよび座金からなり、上記ナットは、座金側かつ内側に軸対称かつ座金側に向かうほど開口部の面積が大きくなった凹部を有し、上記座金は、ナット側かつ内側に軸対称かつナット側に向かうほど外径が狭くなった凸部を有し、上記座金が備える孔は上記凸部の内側に位置し、当該孔の中心位置が上記座金の凸部の中心位置に対して偏芯しており、締結時、上記ナットにおける凹部と上記座金における凸部とが接触部を構成して嵌合する締結具に用いられる座金であって、上記ナットとの接触部に、上記凸部の中心位置を通る放射線よりもナットの締め込み方向に傾いた方向に延在し、上記ナット側に突出する突出部が少なくとも1つ以上形成されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、上記ナットは、座金側かつ内側に軸対称かつ座金側に向かうほど開口部の面積が大きくなった凹部を有し、上記座金は、ナット側かつ内側に軸対称かつナット側に向かうほど外径が狭くなった凸部を有しており、締結時には、上記ナットの凹部と上記座金の凸部とが接触部を構成して嵌合する。また、上記座金が備える孔は上記凸部の内側に位置し、当該孔の中心位置が上記座金の凸部の中心位置に対して偏芯しているので、ナットにおける凹部と座金における凸部とが接触して嵌合すると、座金が上記孔の中心位置と上記座金の凸部の中心位置とを一致させる方向に移動および/または変形し、座金がボルトに圧接する。その結果、ボルトとナットとの間に互いに押し付け合う力が作用し、ナットが締結状態から緩むことを防止する緩み止め効果(第1の緩み止め効果)が発生する。
さらに、上記座金における上記ナットとの接触部に、突出部が形成されているので、締結時にナットを締め込むと、この突出部がナットに圧接する。この圧接により、ナットの締め付けトルクに起因する力Fは、上記突出部が上記凸部の中心位置を通る放射線(凸部の直径方向)よりもナットの締め込み方向に傾いた方向に延在しているため、上記凸部の中心位置を通る放射線方向の成分F1と、上記凸部の円周方向の成分F2とに分解される。したがって、ナットと座金に設けられた突出部との接触部には、この座金をボルトに押し付ける方向の力F1が作用することになる。これにより、締結完了後には、締め付け時に突出部に作用した上記の力Fに相当する力を加えない限り、ナットが緩み始めなくなる。つまり、緩み止め効果をより強くすることができる(第2の緩み止め効果)。
また、上記突出部の延在方向の、上記凸部の中心位置を通る放射線に対する傾斜角度γが、0°<γ≦60°であってもよい。上記角度γをこの範囲に設定することにより、締結時に、ナットを締め込む方向の力を確実に作用させることができ、上記第2の緩み止め効果をより確実に得ることができる。
また、上記突出部における上記延在方向に垂直な断面のなす輪郭のうち、この突出部の設置面から突出する部分の少なくとも一方は、上記設置面に対する角度が90°±10°の範囲内である構成としてもよい。
上記の構成によれば、締結時に、ナットを締め込む方向の力をより好適に作用させることができ、上記第2の緩み止め効果をより好適に得ることができる。
また、上記凸部の被締結体側に設けられ、締結時に被締結体と当接する支持部を備え、上記突出部は、上記凸部から当該凸部の中心位置に対して外側に向かって延在するように、上記支持部の上面に形成されている構成としてもよい。
上記の構成によれば、突出部が上記凸部から上記座金の外側に向かって延在するように、上記支持部の上面に形成されているので、締結時には、ナットにおける上記凹部の先端がこの突出部に当接する。これにより、ナットにおける上記突出部との接触面に、ナットを締め込む方向の力をより好適に作用させることができる。
また、締結時には、上記ナットにおける凹部の座金側端部と上記凸部とが接触部を構成するようになっており、上記突出部は、締結時に上記ナットにおける凹部の座金側端部に圧接する構成としてもよい。
上記の構成によれば、締結時には、上記ナットにおける凹部の座金側端部と上記凸部とが接触部を構成するので、この座金側端部にナットと座金との圧接力が集中することになる。そして、この圧接力が集中する位置に上記突出部を設けることにより、上記第2の緩み止め効果をより強いものにできる。
また、上記凸部の被締結体側に、締結時に被締結体と当接する支持部を備えており、この支持部の上記被締結体表面に対する傾斜角度は、0°よりも大きくかつ上記凸部の上記被締結体表面に対する傾斜角度よりも小さい構成としてもよい。
上記の構成によれば、締結時にナットを締め込むと、この締め付けトルクにより、支持部にバネ作用が生じる。このバネ作用により、座金における孔を構成する部分がボルトにより強く圧接されるので、緩み止め効果をより強くすることができる(第3の緩み止め効果)。
また、締結時に上記ボルトに当接する部分の肉厚が、上記ボルトに設けられたねじ山のピッチよりも薄い構成としてもよい。
この場合、座金とナットとが嵌合することによって座金がボルトに圧接する際、座金をボルトのねじ山に食い込ませることができる。これにより、くさび効果により複合的な緩み止め効果(第4の緩み止め効果)が得られる。すなわち、ナットを締め付けると、その締め付けトルクがボルトのねじ山に横(ボルトの軸に対して略垂直な方向)からの力として作用する結果、座金がボルトのねじ山に食い込み、座金とボルトとの位置関係が固定化されるため、より強力な緩み止め効果が得られる。
また、ボルトのねじ山は螺旋状になっているので、座金の先端がボルトの螺旋状のねじ山と噛み合うことにより、この座金におけるねじ山との接触部分にねじれが生じる。このねじれとボルトに形成された螺旋状のねじ山との作用によって緩み止め効果をさらに強くすることができる(第5の緩み止め効果)。
本発明のナットは、上記の課題を解決するために、ボルトの軸が通る孔を備えたナットおよび座金からなり、上記ナットは、座金側かつ内側に軸対称かつ座金側に向かうほど開口部の面積が大きくなった凹部を有し、上記座金は、ナット側かつ内側に軸対称かつナット側に向かうほど外径が狭くなった凸部を有し、上記座金が備える孔は上記凸部の内側に位置し、当該孔の中心位置が上記座金の凸部の中心位置に対して偏芯しており、締結時、上記ナットにおける凹部と上記座金における凸部とが接触部を構成して嵌合する締結具に用いられるナットであって、上記座金との接触部に、上記孔の中心位置を通る放射線よりも該ナットの締め込み方向に傾いた方向に延在し、上記座金側に突出する突出部が少なくとも1つ以上形成されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、上記ナットは、座金側かつ内側に軸対称かつ座金側に向かうほど開口部の面積が大きくなった凹部を有し、上記座金は、ナット側かつ内側に軸対称かつナット側に向かうほど外径が狭くなった凸部を有しており、締結時には、上記ナットの凹部と上記座金の凸部とが接触部を構成して嵌合する。また、上記座金が備える孔は上記凸部の内側に位置し、当該孔の中心位置が上記座金の凸部の中心位置に対して偏芯しているので、ナットにおける凹部と座金における凸部とが接触して嵌合すると、座金が上記孔の中心位置と上記座金の凸部の中心位置とを一致させる方向に移動および/または変形し、座金がボルトに圧接する。その結果、ボルトとナットとの間に互いに押し付け合う力が作用し、ナットが締結状態から緩むことを防止する緩み止め効果(第1の緩み止め効果)が発生する。
さらに、上記ナットにおける上記座金との接触部に、突出部が形成されているので、締結時にナットを締め込むと、この突出部が座金に圧接する。この圧接により、ナットの締め付けトルクに起因する力Fは、上記突出部が上記孔の中心位置を通る放射線(孔の直径方向)よりもナットの締め込み方向に傾いた方向に延在しているため、上記孔の中心位置を通る放射線方向の成分F1と、上記孔の円周方向の成分F2とに分解される。したがって、ナットに設けられた突出部と座金との接触部には、該座金をボルトに押し付ける方向の力F1が作用することになる。これにより、締結完了後には、締め付け時に突出部に作用した上記の力Fに相当する力を加えない限り、ナットが緩み始めなくなる。つまり、緩み止め効果をより強くすることができる(第2の緩み止め効果)。
本発明の締結具は、上記の課題を解決するために、ボルトの軸が通る孔を備えたナットおよび座金からなり、上記ナットは、座金側かつ内側に軸対称かつ座金側に向かうほど開口部の面積が大きくなった凹部を有し、上記座金は、ナット側かつ内側に軸対称かつナット側に向かうほど外径が狭くなった凸部を有し、上記座金が備える孔は上記凸部の内側に位置し、当該孔の中心位置が上記座金の凸部の中心位置に対して偏芯しており、締結時、上記ナットにおける凹部と上記座金における凸部とが接触部を構成して嵌合する締結具であって、上記したいずれかの座金、および/または、上記ナットを用いていることを特徴としている。
上記の構成によれば、緩み止め効果を確実に得ることができる。
以上のように、本発明の座金は、上記ナットとの接触部に、上記凸部の中心位置を通る放射線よりもナットの締め込み方向に角度γだけ傾いた方向に延在し、上記ナット側に突出する突出部が形成されている。また、本発明のナットは、上記座金との接触部に、上記孔の中心位置を通る放射線よりもナットの締め込み方向に角度γだけ傾いた方向に延在し、上記座金側に突出する突出部が形成されている。また、本発明の締結具は、上記いずれかの座金および/または上記ナットを備えている。
それゆえ、本発明の座金、ナット、および締結具は、緩み止め効果を適切に得ることができる。
本発明の一実施形態について、図を参照しながら説明する。
図1(a)は、本実施形態にかかる締結具1における締結完了前の状態を示す断面図であり、図1(b)は締結完了時の状態を示す断面図である。これらの図に示すように、締結具1は、ボルト4と座金3とナット2とからなる。
ボルト4は、ねじ部41と頭部42とからなる。ナット2は、座金3側(被締結体5側)かつ内側(ボルト4側)に、ボルト4の軸4aに対して軸対称であって、かつ、この軸4aに平行な断面の形状が略台形状の凹部21を有している。座金3は、ナット2側かつ内側に、ボルト4の軸4aに対して軸対称であって、かつ、この軸に平行な断面の形状が略台形状の凸部31を有している。
そして、被締結体5,6に設けられた孔にボルト4のねじ部41を貫通させ、座金3を被締結体5との間に挟みこむようにしてナット2を締め込むことにより、被締結体5と6とを締結するようになっている。
なお、ナット2および座金3の材質は特に限定されるものではないが、後述するように、座金3の方がナット2よりも硬い(硬度が高い)材質であることが好ましい。本実施形態では、ナット2の材質をS35Cとし、座金3の材質をS45Cとしている。また、座金3には焼入れ加工を施している。
図2(a)はナット2の平面図であり、図2(b)は図2(a)におけるA−A断面の断面図であり、図2(c)はナット2の底面図である。
図2(b)に示したように、ナット2の内側の上部(座金3とは反対側)には、ナット2の上面から高さSの範囲に、ボルト4のねじ部41に形成された雄ねじ部と噛み合うように、雌ねじ部26が形成されている。また、ナット2の内側の下部には、軸対称かつ断面略台形状の凹部21が、底面からの高さがH’となるように形成されている。なお、ここでいう軸対称とは、ナット2の中心軸T(締結時にボルト4の軸4aと一致する)に関して対称であるという意味である。
凹部21は、傾斜部22と、この傾斜部22と底面28との交点に位置する下面交点部25と、凹部21の上面である上面部23と、この上面部23と傾斜部22との交点に位置する上面交点部24とからなる。なお、本実施形態では、傾斜部22の中心軸Tに対する角度θを約14°に設定している。ただし、角度θの大きさはこれに限るものではなく、締結時に座金3をボルト4に圧接させることができるように、座金3の形状などを考慮して適宜設定すればよい。
このように、ナット2の内側の下部には軸対称かつ断面略台形状の凹部21が形成されているので、図2(c)に示すように、雌ねじ部26の内径27、上面交点部24、下面交点部25は同心円となる。
図2(c)に示したように、ナット2の外形は二面幅(対辺間の距離)がVの正六角形になっている。なお、本実施形態では、ナット2の外形を正六角形としているが、これに限るものではない。
雌ねじ部26の外径D、上面交点部24の直径D'、下面交点部25の直径D''、二面幅Vの寸法は、この順で大きくなるように設定される。すなわち、上記D,D’,D’’,Vは、D<D'<D''<Vの関係を満たすように設定される。
また、雌ねじ部26の高さSおよび凹部21の高さH’は、ナット2の高さをHとすると、H=S+H'の関係を満たしている。なお、雌ねじ部26の高さSおよび凹部21の高さH’は、特に限定されるものではなく、ねじ部に必要な強度を得ることができるように高さSを設定し、かつ、緩み止め効果を十分に得ることができるように高さH’を設定すればよい。
図3(a)は座金3の上面図であり、図3(b)は図3(a)におけるB−B断面の断面図である。
この図に示すように、座金3は、凸部31と、支持部32と、この支持部32の上方に設けられた突出部39とからなる。なお、本実施形態では、説明の便宜上、凸部31と支持部32と突出部39とを区別しているが、これらは一体的に形成されるものであってもよい。また、突出部39は、例えば、圧造、切削、鋳造、あるいはプレス等の特殊加工により製造される。
支持部32は、凸部31の下側に形成されており、この支持部32が被締結体5に当接するようになっている。支持部32は、ボルト4の軸4aおよびナット2の中心軸Tと共通な軸x−xに垂直な面に対する角度がαになっている。なお、本実施形態ではα=10°としている。
凸部31は、図3(b)に示すように、湾曲下部点34、湾曲部36、湾曲上部点38、孔35からなり、ナット2側かつ内側に、ボルト4の軸4aに対して軸対称であって、かつ、この軸に平行な断面の形状が略台形状となるように設けられている。湾曲下部点34は図3(a)に示したように、凸部31の中心位置iを中心とする円を構成している。この凸部31の中心位置iはx−x軸上にある。
湾曲部36は、x−x軸に対する平均角度が概ね角度βになっている。この角度βの大きさは特に限定されるものではないが、本実施形態ではβ=15°としている。
凸部31の上部に位置する孔35の外径点37は、図3(a)に示したように、円を構成しており、この円の中心位置j、すなわち孔35の中心位置jはy−y軸上にある。このように、孔35の中心位置jはy−y軸上にあり、凸部31の中心位置iはx−x軸上にある。すなわち、孔35の中心位置jと凸部31の中心位置iとは偏芯している。
なお、支持部32の外側の端部33が構成する円の直径(座金3の外径)p、湾曲部36の最下部点である湾曲下部点34が構成する円の直径p''、湾曲部36の最上部点である湾曲上部点38が構成する円の直径p'、孔35の直径d、前述したナット2における雌ねじ部26の直径Dは、この順で小さくなるように設定されている。すなわち、p>p''>p'>d>Dの関係が成り立つように設定されている。
さらに、湾曲上部点38が構成する円の直径p'は、ナット2における上面交点部24の直径D'未満の寸法になっており、湾曲下部点34が構成する円の直径p''は、ナット2における下面交点部25の直径D''以上の寸法になっている。すなわち、p'<D'<D"≦p"の関係が成り立っている。これにより、ナット2における凹部21と座金3における凸部31とが嵌合状態になったときは、ナット2における凹部21の下面交点部25が座金3における凸部31の湾曲部36周辺に圧力をかける状態になる。
突出部39は、図3(a)および図3(b)に示すように、凸部31(湾曲部36)の下部から支持部32の上面に沿って、凸部31の中心位置iを通る放射線よりも締結時にナット2を締め込む方向に角度γだけ傾いた方向に延在するように形成されている。なお、本実施形態では、この角度γを45°に設定しているが、これに限るものではない。詳細については後述するが、この角度γの設定値を変更することにより、締結時の緩み止め効果の程度、およびそれに相反する締結解除時に必要となる力(戻しトルク)の程度を変更することができる。
突出部39の上記延在方向の長さは特に限定されるものではなく、締結時に突出部39の少なくとも一部とナット2とが圧接すればよい。また、上記延在方向の先端部分の形状についても特に限定されるものではなく、図3(a)のように丸みを帯びた形状であってもよい。
また、突出部39は、図3(a)に示したように、座金3の円周方向に沿って等間隔で8個設けられている。これにより、締結時にナット2を締め込むと、少なくとも1つ以上の突出部39が確実にナット2(特にナット2の下面交点部25)に圧接して食い込むようになっている。
図4は、突出部39の延在方向に対して垂直な断面(図3(a)に示したc−c断面)の断面図である。この図に示すように、突出部39は、該突出部39の延在方向に対して垂直な断面が矩形となっている。なお、突出部39の幅wおよび高さtは、締結具1のサイズ(ボルト4の径)等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、例えばボルト4のサイズがM8の場合、幅wを0.5mm程度、高さtを0.3mm程度に設定すればよい。
次に、締結具1において、ナット2を締め込んだときの作用について説明する。
図1(a)に示すように、ボルト4の頭部42の上に被締結体5,6および座金3をこの順で置いた状態でナット2をボルト4の雄ねじ山に沿って回していく(締め込んでいく)。すると、まず、ナット2の凹部21における下面交点部25が、座金3における凸部31の湾曲部36に接触する。
凸部31の中心位置iは図3(a)に示したx−x軸上にあり、このx−x軸は図2(a)に示したナット2の中心軸Tと共通なので、ナット2の凹部21の下面交点部25が座金3の凸部31の湾曲部36に接触した後、座金3の凸部31の湾曲部36は、ナット2の凹部21に沿って嵌り込んでいき、 HYPERLINK "JP-B-3522695.files\\000004.gif" 図1(b)に示したように、座金3の凸部31とナット2の凹部21とが嵌合した状態となる。
この際、上記したように、座金3における孔35の中心位置jと凸部31の中心位置iとは偏芯しているため、図1(b)に示すように、座金3の凸部31に設けられた孔35の外径点37がボルト4のねじ部41の一部(図1(b)では図中左側)に圧接する。
図5は、締結時に締結具1における各部に作用する接触応力を有限要素法によって解析した結果を示す透視図である。なお、図中に示した矢印は、各部材の接触面に作用する応力の向きおよび大きさを示している。この図(図5におけるボルト4の右側)に示したように、締結時、ナット2の回転(締め込み)によってナット2における凹部21の下面交点部25と、座金3における凸部31の湾曲部36とが接触して嵌合し、座金3がボルト4に圧接する。そして、その結果、図1(b)に示した矢印a,bのように、図5に示した各接触応力の合力に相当して、ボルト4とナット2との間に逆方向横向き(ボルト4の軸4aに垂直な方向)の力が作用する。また、これにより、ナット2と座金3との接触部に対してボルト4の軸4aを介して反対側におけるボルト4とナット2との接触面に、図1(b)に示した矢印c,dのように、ボルト4とナット2とを互いに押し付け合う力が作用し、ナット2が締結状態から緩むことを防止する緩み止め効果(第1の緩み止め効果)が発生する。
また、座金3におけるナット2との接触部には、凸部31(湾曲部36)の下部から支持部32の上面に沿って、凸部31の中心位置iを通る放射線よりも締結時にナット2を締め込むように回転させる方向に角度γだけ傾いた方向に延在するように、突出部39が形成されている。そして、締結時にナット2を締め込むと、この突出部39がナット2に圧接して食い込むようになっている。これにより、ナット2が締結状態から緩むことをさらに防止することができる(第2の緩み止め効果)。
この第2の緩み止め効果について、より詳細に説明する。図6は、締結時にナット2と座金3との間に作用する力を模式的に示した説明図である。この図に示すように、ナット2の凹部21と座金3の凸部31とが嵌合して締結が完了すると、軸方向の力Pに加えて、ナット2の凹部21と座金3の凸部31との間に作用・反作用の力S・S’が複合的に働き、中心方向への力(座金3をボルト4に押し付ける方向の力)Qが作用する。これにより、上記第1の緩み止め効果が得られる。
図7(a)は、ナット2と突出部39との接触部に作用する力を模式的に示した説明図である。この図に示すように、ナット2を締め込むと、ナット2と突出部39との接触部には、力Fが突出部39における延在方向に平行な側面(ナット2を緩める方向側の側面)39aに主に垂直に作用する。ここで、突出部39は座金3の中心位置iを通る放射線よりもナット2の締め込み方向に角度γだけ傾斜した角度で延在しているので、上記の力Fは、図7(a)に示すように、凸部31の中心位置iを通る放射線方向(凸部31の直径方向)の成分F1と凸部31の円周方向の成分F2とに分解される。したがって、ナット2と突出部39との接触部には、この座金3をボルト4に押し付ける方向の力F1がさらに作用する。
これにより、突出部39がナット2の緩みに対する抵抗力を負担することになり、締め付け時に突出部39に作用した上記の力Fに相当する力を力Fとは反対方向に加えない限り、ナット2が緩み始めない(回転し始めない)。つまり、図7(b)に示すように、締め付け時に突出部39に作用した力Fに対して反対方向かつほぼ同じ大きさの力F’を突出部39(突出部39におけるナット2を絞め込む方向側の側面39b)に加えない限り、ナット2が緩み始めなくなる。したがって、突出部39を備えることにより、緩み止め効果をより強くすることができる。
なお、座金3(座金3における突出部39)の方がナット2(ナット2における座金3との接触部)よりも硬い材質であることが好ましい。これにより、締結時に突出部39がナット2に食い込むので、緩み止め効果をより強くすることができる。
また、座金3はその下部に支持部32を有しており、この支持部32は、x−x軸に垂直な平面、すなわち被締結体5の表面に対して角度αだけ傾いている。この角度αが0°よりも大きく、凸部31の被締結体5表面に対する傾斜角よりも小さい場合(0°<α≦90−β°)、ナット2の締め付けトルクにより、この支持部32にバネ作用が生じる。このバネ作用により、座金3における孔35の外径点37がボルト4のねじ部41により強く圧接されるので、緩み止め効果をより強くすることができる(第3の緩み止め効果)。なお、この支持部32の形状が被締結体5に対して水平(角度α=0)であってもよく、その場合には、座金3が正確に水平移動可能となるという特有の効果を得られる。
また、座金3の孔35を構成する部分の厚さ(座金3の肉厚)を、ボルト4に形成されたねじ山のピッチよりも薄くなるように形成しておいてもよい。この場合、上記のように座金3における孔35の中心位置jと凸部31の中心位置iとが偏芯していることから、ナット2を締め込むことによって座金3の位置、あるいは孔35の外径点37の位置が移動して、この外径点37がボルト4のねじ山に食い込むことになる。
このため、座金3を介してナット2を締結した後は、いわゆるくさび効果により複合的な緩み止め効果(第4の緩み止め効果)が得られる。すなわち、ナット2を締結するためにナット2を締め付けると、その締め付けトルクの一部がボルト4のねじ山に横(ボルト4の軸4aに対して垂直な方向)からの力として作用する結果、座金3の孔35の外径点37がボルト4のねじ山に食い込み、座金3とボルト4との位置関係が固定化されるため、より強力な緩み止め効果が得られる。
また、座金3の孔35を構成する部分の厚さ(座金3の肉厚)が、ボルト4に形成されたねじ山のピッチよりも薄い場合、ボルト4のねじ山は螺旋状になっているので、座金3における孔35の外径点37がこのボルト4の螺旋状のねじ山と噛み合うことにより、孔35の外径におけるねじ山との接触部分にねじれが生じる。このねじれとボルト4に形成された螺旋状のねじ山との作用によって緩み止め効果をさらに強くすることができる(第5の緩み止め効果)。
次に、本実施形態にかかる締結具1について行った振動試験の結果について説明する。
本実施形態にかかる締結具1について、振動試験を行い、緩み止め効果を調べた。なお、この試験には、サイズM12P1.75の締結具1を用いた。また、試験方法については、アメリカ航空規格(NAS規格)No.3350に準拠して行った。具体的には、振動方向をボルト軸垂直方向とし、振動周波数29.7Hz(1780cps)、振動全振幅11mm、衝撃長さ19mm、試験時間17分、試験回数30000回とした。
表1は、同形状からなる10個の締結具1について、締め付けトルク400kgf・cmで締結状態とした後、上記の条件で10分間振動を加え、締結状態を解除するためのトルク(戻しトルク)を測定した結果を示している。
Figure 0004639291
この表に示すように、上記の条件で10分間振動を加えても、緩みは発生しなかった。また、戻しトルクは、締め付けトルクの75%以上100%以下であり、平均84%であった。
表2は、同形状からなる10個の締結具1について、締め付けトルク380kgf・cm〜400kgf・cmで締結状態とした後、上記の条件で17分間振動を加え、戻しトルクを測定した結果を示している。
Figure 0004639291
この表に示すように、上記の条件で17分間振動を加えても、緩みは発生しなかった。また、戻しトルクは、締め付けトルクの67.5%以上105%以下であり、平均86%であった。
なお、表2に示したように、戻しトルクが締め付けトルクを超える場合もあった。このように、本実施形態にかかる締結具1によれば、突出部39とナット2との接触状態によっては、戻しトルクが締め付けトルクを上回るような、強固な緩み止め効果が得られる。
これらの実験結果から、本実施形態にかかる締結具1は、優れた緩み止め効果を有することがわかる。また、十分な緩み止め効果を有しつつも、戻しトルクが過大になることがなく、締結状態を解除することも比較的容易であることがわかる。
なお、上記特許文献2の技術では、ナットおよび座金にそれぞれ設けた断面略直角三角形の回転抵抗部が互いに噛み合った場合、締結状態を解除するために過大な戻しトルクが必要であり、締結状態を解除することが困難であった。また、締結状態を解除するための戻しトルクを作用させると、回転抵抗部が破損してしまうので、ナットおよび座金の再利用が困難であった。これに対して、本実施形態にかかる締結具1では、過大な戻しトルクを要することなく締結状態を解除でき、ナットおよび座金を再利用することも可能である。
以上のように、本実施形態にかかる締結具1は、ナット2と座金3とボルト4とからなり、ナット2の座金3側かつ内側に軸対称かつ断面略台形状(座金3側に向かうほど開口部の面積が大きくなった形状)の凹部21を有し、座金3のナット2側かつ内側に軸対称かつ断面略台形状(ナット側に向かうほど外径が狭くなった形状)の凸部31を有し、ナット2の凹部21と座金3の凸部31とが嵌合するようになっており、座金3が備える孔35は前記凸部31の内側に位置し、当該孔35の中心位置jが座金3における凸部31の中心位置iに対して偏芯している。
これにより、ナット2を締め込むと、ナット2における凹部21の一部と、座金3における凸部31の一部とが接触して嵌合し、座金3がボルト4に圧接する。その結果、ボルト4とナット2との間に互いに押し付け合う力が作用し、ナット2が締結状態から緩むことを防止する緩み止め効果が発生する(第1の緩み止め効果)。
さらに、本実施形態にかかる締結具1では、座金3におけるナット2との接触部に、凸部31(湾曲部36)の下部から支持部32の上面に沿って、凸部31の中心位置iを通る放射線よりも締結時にナット2を締め込むように回転させる方向に角度γだけ傾いた方向に延在するように、突出部39が形成されている。
これにより、締結時にナット2を締め込むと、この突出部39がナット2に圧接してナット2に食い込む。また、締結時にナット2を締め込むことにより、突出部39とナット2との間には互いに押し付け合う方向の力Fが作用する。この力Fは、主に、突出部39における延在方向に平行な側面39aにおいて延在方向に垂直な方向に作用するので、ナット2と突出部39との接触部に作用する半径方向の力F1は座金3をボルト4に押し付ける方向に作用することになる。これにより、ナット2の緩み止め効果をさらに強固にできる(第2の緩み止め効果)。
なお、本実施形態では、上記の角度γを45°としているが、これに限るものではなく、角度γは0°<γ<90°の範囲内であればよい。ただし、角度γを大きくすれば上記の力F1の大きさが大きくなり、逆に角度γを小さくすれば力F1は小さくなる。したがって、必要とする緩み止め効果の程度と、締結状態の解除に必要な力とを考慮して、角度γを0°<γ<90°の範囲内で適宜設定すればよい。換言すれば、角度γを0°<γ<90°の範囲に設定することで、上記の力F1を、緩み止め効果を適切に得られる程度に大きくできる。なお、緩み止め効果をより効果的に得るためには、角度γは、0°<γ≦60°の範囲であることが好まく、30°≦γ≦60°であることがさらに好ましい。
また、本実施形態では、突出部39における、該突出部39の上記延在方向に垂直な断面の形状を矩形としているが、この断面の形状はこれに限るものではなく、例えば図8(a)に示すように三角形であってもよく、図8(b)に示すように台形であってもよく、図8(c)に示すようにドーム形(アーチ形)であってもよい。また、これらの形状を適宜組み合わせて得られる形状であってもよい。例えば、図8(d)に示すように矩形と三角形とを組み合わせた形状であってもよく、図8(e)に示すように矩形とドーム形とを組み合わせた形状であってもよい。
なお、突出部39における延在方向に垂直な断面の断面形状は、図8(a)〜図8(e)に示すように、左右対称(支持部32の表面(突出部39の設置面)に垂直な方向を軸として線対称)であることが好ましい。これにより、突出部39をより容易に形成することができる。
また、突出部39における延在方向に垂直な断面のなす輪郭のうち、支持部32の上面(座金3における突出部39の設置面)から突出する部分(側面39a,39b)の少なくとも一方(より好ましくは両方)は、この面に対する角度が90°±10°の範囲内であることがより好ましい。これにより、上記の力Fを適切に突出部39に作用させることができ、緩み止め効果を効果的に得ることができる。
また、図8(f)に示すように、突出部39の上記延在方向に垂直な断面におけるナット2の締め込み方向側の側面39aの高さが、ナット2を緩める方向側の側面39bの高さよりも高い形状としてもよい。これにより、ナット2を緩める方向のトルクが作用したときに突出部39が負担する力(ナット2を回転させるために加える必要のある力)を大きくでき、ナット2をより緩みにくくすることができる。
また、本実施形態では、突出部39を座金3の円周方向に沿って8個備えているが、突出部39の数はこれに限るものではなく、締結時にナット2を締め込んだ際、少なくとも1つの突出部39が確実にナット2に圧接するように適宜設定すればよい。したがって、突出部39は少なくとも1つ備えられていればよい。また、各突出部39同士の間隔についても、必ずしも等間隔である必要はなく、適宜設定すればよい。
なお、突出部39のうちの少なくとも1つは、孔35の中心位置jから凸部31の中心位置iを通過して延びる直線上に形成されていることが好ましい。この場合、孔35の中心位置jの凸部31の中心位置iに対する偏芯方向に対して反対側に突出部39が設けられることになる。したがって、ナット2の凹部21と座金3の凸部31とが接触して嵌合し、座金3が孔35の中心位置jと座金3の凸部31の中心位置iとを一致させる方向に移動する際、座金3とナット2との間に最も強い圧接力が生じる位置に突出部39が形成されることになる。したがって、上記第2の緩み止め効果をより大きくすることができる。
また、本実施形態では、突出部39を上方から見た形状は、図3(a)に示したように先端部に面取りを施した略矩形になっているが、これに限るものではない。例えば、先端部に面取りを施さない形状としてもよい。また、突出部39の延在方向に平行な辺は、直線形状に限らず、例えばギザギザ状に形成されていてもよい。
また、本実施形態では、締結時に突出部39がナット2に食い込むものとしたが、これに限るものではなく、突出部39がナット2に食い込む方向の力が作用するように、突出部39とナット2とが圧接すればよい。
また、本実施形態にかかる座金3の凸部31の一部(湾曲部36)は、軸Tに平行な断面が湾曲した形状になっているが、これに限らず、この部分が直線形状になっていてもよい。また、ナット2における凹部21の軸Tに対する角度θと、座金3の凸部31における湾曲部36のx−x軸に対する角度βとは、等しくてもよく、異なっていてもよい。つまり、凸部31の形状は、ナット2を締め込んだときに座金3をボルト4に圧接させることができればよく、ナット2や座金3の材質等により適宜変更してもよい。なお、いずれの形状にする場合にも、ナット2と座金3との当接部に、上記した突出部39が設けられていることが好ましい。
また、本実施形態では、ボルト4はねじ部41と頭部42とからなるものとしたが、これに限るものではない。例えば、頭部42を備えず、被締結体に埋め込まれて用いられるものであってもよく、あるいは被締結体と一体的に設けられたものであってもよい。また、締結具1は、ナット2と座金3とからなり、汎用部品としてのボルトと組み合わされて用いられるものであってもよい。
また、本実施形態では、ナット2の締め込み方向が時計回りである「右ネジ」の場合について説明したが、これに限らず、「左ネジ」にも適用できる。「左ネジ」に適用する場合にも、突起部39を、凸部31の中心位置iを通る放射線よりも締結時にナット2を締め込むように回転させる方向に角度γだけ傾いた方向に延在するように形成すればよい。
また、本実施形態では、突出部39が座金3に設けられている場合について説明したが、これに限るものではなく、ナット2側に突出部39が設けられていてもよく、ナット2と座金3の両方に突出部39が設けられていてもよい。
突出部39をナット2に設ける場合には、上記孔35の中心位置を通る放射線よりも該ナット2の締め込み方向に傾いた方向に延在する突出部39を、座金3との接触部に少なくとも1つ以上形成すればよい。
なお、突出部39をナット2に設ける場合には、座金3に設ける場合と同様、突出部39の孔35の中心位置を通る放射線に対する角度γを、0°<γ≦60°の範囲とすることが好まく、30°≦γ≦60°とすることがより好ましい。また、突出部39の断面形状についても、座金3に設ける場合と同様、特に限定されるものではない。また、突出部39における延在方向に垂直な断面のなす輪郭のうち、ナット2における突出部39の設置面から突出する部分の少なくとも一方(より好ましくは両方)は、この面に対する角度が90°±10°の範囲内であることがより好ましい。また、突出部39の設置数についても、座金3に設ける場合と同様、少なくとも1つ以上であればよい。また、突出部39を上方から見た形状についても、座金3に設ける場合と同様、特に限定されるものではない。
また、突出部39をナット2にのみ設ける場合には、ナット2に設けた突出部39が座金3に食い込むように、ナット2の方が座金3よりも硬い(硬度が高い)材質であることが好ましい。ただし、ナット2の締め込み時に座金3がボルト4側に適切に移動あるいは変形するように、所定の締め付けトルクに達するまでは突出部39が座金3に食い込まずに座金3の表面を滑りながらナット2が回転するように、各部材の硬度を決定することが好ましい。なお、必ずしも締結時に突出部39が座金3に食い込む必要はなく、突出部39がナット2に食い込む方向の力が作用するように、突出部39とナット2とが圧接すればよい。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明にかかる締結具は、非常に優れた緩み止め効果を得ることができ、製造が容易であって、締結状態を解除することも比較的容易なので、建築構造物、配管設備、輸送設備、機械製品、電気製品、など様々な用途に適用できる。
本発明の一実施形態にかかる締結具の断面図であり、(a)は締結完了前の状態(b)は締結完了時の状態を示している。 (a)は本発明の一実施形態にかかる締結具に備えられるナットの平面図(上面図)、(b)は(a)に示したA−A断面の断面図、(c)はこのナットの底面図である。 (a)は本発明の一実施形態にかかる締結具に備えられる座金の平面図(上面図)、(b)は(a)に示したB−B断面の断面図である。 図3に示した座金に備えられる突出部の断面図である。 本発明の一実施形態にかかる締結具における各部に作用する接触応力を有限要素法によって解析した結果を示す透視図である。 本発明の一実施形態にかかる締結具において、締結時にナットと座金との間に作用する力を模式的に示した説明図である。 (a)は、本発明の一実施形態にかかる締結具において、締結時にナットと座金に設けられた突出部との接触部に作用する力を模式的に示した説明図である。(b)は、本発明の一実施形態にかかる締結具において、締結状態を解除するために、ナットと座金に設けられた突出部との接触部に作用させる必要のある力を模式的に示した説明図である。 (a)〜(f)は、図4に示した座金に備えられる突出部の変形例を示す断面図である。
符号の説明
1 締結具
2 ナット
3 座金
4 ボルト
21 凹部
22 傾斜部
23 上面部
24 上面交点部
25 下面交点部
26 雌ねじ部
28 底面
31 凸部
32 支持部
34 湾曲下部点
36 湾曲部
37 外径点
38 湾曲上部点
39 突出部

Claims (9)

  1. ボルトの軸が通る孔を備えたナットおよび座金からなり、上記ナットは、座金側かつ内側に軸対称かつ座金側に向かうほど開口部の面積が大きくなった凹部を有し、上記座金は、ナット側かつ内側に軸対称かつナット側に向かうほど外径が狭くなった凸部を有し、上記座金が備える孔は上記凸部の内側に位置し、当該孔の中心位置が上記座金の凸部の中心位置に対して偏芯しており、締結時、上記ナットにおける凹部と上記座金における凸部とが接触部を構成して嵌合する締結具であって、
    上記座金における上記ナットとの接触部または上記ナットにおける上記座金との接触部のいずれか一方のみに、上記凸部または上記孔の中心位置を通る放射線よりもナットの締め込み方向に傾いた方向に延在し、他方の上記接触部側に突出する突出部が少なくとも1つ以上形成されていることを特徴とする締結具
  2. 上記座金および上記ナットのうち、上記突出部の設けられている方の部材は、上記突出部の設けられていない方の部材よりも硬い材質からなり、締結時に上記突出部が上記突出部の設けられていない側の部材に食い込むことを特徴とする請求項1に記載の締結具。
  3. 上記突出部のうちの少なくとも1つは、上記座金における上記孔の中心位置から上記凸部の中心位置を通過して伸びる直線上に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の締結具。
  4. 上記突出部の延在方向の、上記放射線に対する傾斜角度γが、0°<γ≦60°であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の締結具
  5. 上記突出部における上記延在方向に垂直な断面のなす輪郭のうち、この突出部の設置面から突出する部分の少なくとも一方は、上記設置面に対する角度が90°±10°の範囲内であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の締結具
  6. 上記凸部の被締結体側に設けられ、締結時に被締結体と当接する支持部を備え、
    上記突出部は、上記凸部から当該凸部の中心位置に対して外側に向かって延在するように、上記支持部の上面に形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の締結具
  7. 締結時には、上記ナットにおける凹部の座金側端部と上記凸部とが接触部を構成するようになっており、
    上記突出部は、上記座金に設けられており、かつ締結時に上記ナットにおける凹部の座金側端部に圧接することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の締結具
  8. 上記支持部の上記被締結体表面に対する傾斜角度は、0°よりも大きくかつ上記凸部の上記被締結体表面に対する傾斜角度よりも小さいことを特徴とする請求項に記載の締結具
  9. 締結時に上記ボルトに当接する部分の肉厚が、上記ボルトに設けられたねじ山のピッチよりも薄いことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の締結具
JP2006006715A 2006-01-13 2006-01-13 締結具 Active JP4639291B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006006715A JP4639291B2 (ja) 2006-01-13 2006-01-13 締結具

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006006715A JP4639291B2 (ja) 2006-01-13 2006-01-13 締結具

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007187273A JP2007187273A (ja) 2007-07-26
JP4639291B2 true JP4639291B2 (ja) 2011-02-23

Family

ID=38342576

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006006715A Active JP4639291B2 (ja) 2006-01-13 2006-01-13 締結具

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4639291B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5089327B2 (ja) * 2007-08-28 2012-12-05 輝夫 中上 締結用部材
JP5677012B2 (ja) * 2010-06-03 2015-02-25 有限会社ウェジコ 締結用部材
JP6336445B2 (ja) * 2012-07-23 2018-06-06 インテグラ・サービシーズ・テクノロジーズ,インコーポレーテッド ネジ付き締結具用の荷重逃がし座金組立体
CN111536136A (zh) * 2020-05-05 2020-08-14 浦江县恒川信息科技有限公司 一种防松紧固组件
CN113685421A (zh) * 2021-08-25 2021-11-23 浙江安盛汽车零部件有限公司 一种铆螺母
CN114738363B (zh) * 2022-04-02 2023-08-29 浙江中通汽车零部件有限公司 一种防松的轴承螺母

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002206515A (ja) * 2001-01-12 2002-07-26 Teruo Nakagami 緩み止め用締結構造及び当該締結構造用のナット及び座金
JP2005069347A (ja) * 2003-08-25 2005-03-17 Teruo Nakagami 戻り防止機能付緩み止め用締結構造及び当該締結構造用のナット及び座金

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002206515A (ja) * 2001-01-12 2002-07-26 Teruo Nakagami 緩み止め用締結構造及び当該締結構造用のナット及び座金
JP2005069347A (ja) * 2003-08-25 2005-03-17 Teruo Nakagami 戻り防止機能付緩み止め用締結構造及び当該締結構造用のナット及び座金

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007187273A (ja) 2007-07-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3733534B2 (ja) 緩み止め締結具
KR101230876B1 (ko) 체결부재 및 체결구조
JP4639291B2 (ja) 締結具
US3926237A (en) Self-locking vibration-proof lock washer and cooperating threaded fastener
JP6437313B2 (ja) 緩み止め特殊ダブルナット
TW200916667A (en) Nut contrived for screws not to slacken
WO2002055893A1 (fr) Structure de serrage pour effectuer un verrouillage, et ecrou et rondelle pour cette structure de serrage
JP2006220210A (ja) 介在部材、締付具、及び被締付体
JP6892046B2 (ja) 締結部材
JP2009115297A (ja) 緩み止めナット、その製造方法、及びその加工用治具
US6786690B1 (en) Locking fastener
JP2011012784A (ja) 締結具とボルト及びナットの製造方法並びに締結具の締結方法
JP2016145607A (ja) 緩み止めナット
KR20210037238A (ko) 풀림 방지 기능을 갖는 볼트
US7828500B2 (en) Threaded engagement element with self-locking threads
US20090110510A1 (en) Washer including protrusions for use in a fastener assembly
JP5735905B2 (ja) 抜け止め具、締結方法および締結構造
JP5066747B1 (ja) 緩み止めナット
JP6684312B2 (ja) ゆるみ防止金属製雄ねじ
JP7337376B2 (ja) ダブルナット機構、並びにこれを備えた締結ネジ機構および金属製アンカー
WO2018088913A1 (en) Lock washer
JP3532180B2 (ja) シャートルクナット
JP3199619U (ja) 緩み止めナット
JP4974312B2 (ja) 雌ねじ谷底部に傾斜を設けたねじ
WO2023053470A1 (ja) ワッシャ及び締結構造、締結解除方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090113

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090217

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100405

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100420

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100614

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100921

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101019

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4639291

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131210

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250