JP4795462B2 - 力センサを搭載したロボットマニピュレータを用いたロールヘム加工装置 - Google Patents
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Description
a.プリヘム加工開始点及びヘム加工開始点を教示する。
b.プリヘム加工及びヘム加工のそれぞれにおける、加工開始点から加工終了点までのローラの移動軌道を教示する。
c.プリヘム加工開始点及びヘム加工開始点での、型への押し付け力の設定値(適正値)を実験等により求めておく。
d.ローラとワークとの間の位置誤差を後述の方法1で補正する場合の準備として、ローラとワークとの理想的な(位置誤差がない時の)両者の接触点の、力センサ座標系25における座標を求めておく。該座標は、ローラの形状を考慮した計算か、或いは実験から求めることができる。なお力センサ座標系とは、力センサに固定された直交座標系である(図7(a)参照)。
e.ローラとワークとの間の位置誤差を後述の方法2で補正する場合の準備として、ローラがワークと接触してからローラが着座するまでの理想的な(位置誤差がない時の)ローラの移動距離を求めておく。該移動距離は、ローラの形状を考慮した計算か、実験から求めることができる。
f.プリヘム加工中又はヘム加工中の型への適切な押し付け力、進行方向の反力、又は型への押し付け方向と進行方向の双方に直交する方向の押し付け力の設定値(適正値)を実験等により求めておく。
ステップS1
図2、及び型18を斜め上方からみた図5に示すように、プリヘムローラ12をプリヘム加工開始点40の上方に移動させる。図5の例では、加工開始点40から加工中間点42を経て加工終了点44までプリヘム加工及びヘム加工を行うものとする。加工開始点40においては図2に示すように、プリヘムローラ12を外板22の上方に教示しておく。
図6(a)−(c)に示すように、プリヘムローラ12の押し付け力が所定の値以下になるまで、プリヘムローラ12を型18に向けて押し付ける。ここでは、押し付け方向を鉛直下向きとするが、これに限られない。先ずプリヘム加工開始点40において(プリヘムローラがワークと接触する前)、ロボット10の手首14に取り付けられた力センサ16を用いて、プリヘムローラ12に作用する力の鉛直方向の分力F1を求める(図2)。図2の例では、F1はプリヘムローラ12の自重に概ね等しい。
プリヘム加工開始点40の位置の誤差(以降、位置誤差とも称する)を計算する。該位置誤差が所定の閾値を超えた場合は、プリヘム加工開始点40の位置を補正する。力センサ16から得られる力情報及びモーメント情報と、ロボット10の駆動モータ(図示せず)に設けられた位置検出器等から順運動学計算より得られるロボット10の手首部の現在位置と、プリヘムローラ12の形状に関するデータ又は情報とから、プリヘム加工開始点40の位置誤差を計算することができる。該位置誤差が設定した閾値より大きい場合、プリヘム加工開始点40でのロボット10の位置を補正する。このようにすれば、予め教示した軌道とワーク表面との間に多少の位置誤差があっても、プリヘムローラがワークから離れたり、逆に押し付け過ぎたりするという不具合を回避できる。
方法1
方法1は、プリヘムローラが外板の端縁部に接触する前後の力とモーメントの変化量を利用して、プリヘム加工開始点の位置誤差を補正するものである。
図7(a)に示すように、プリヘムローラ12を下方(型18のある方向)へ動かし、力センサ16を利用してプリヘムローラ12が外板22の端縁部28と接触する前後の力の変化量F(力センサ座標系のX、Y、Z方向のFの成分をそれぞれFx、Fy、Fzとする)とモーメントの変化量M(力センサ座標系のX、Y、Z方向のMの成分をそれぞれMx、My、Mzとする)を検出する。図7(a)が示す(Px0,Py0)は、位置誤差がない(理想的な)場合でのプリヘムローラとワークの接触点の力センサ座標系における座標であり、ここではプリヘムローラのフランジ30と円錐台部32との境界部分に位置するものとする。また(Px,Py)は、実際のローラとワークの接触点の力センサ座標系における座標であり、このX座標は外板22の外周端部23の力センサ座標系におけるX座標に等しい。
Mz=FyPx−FxPy (1)
また幾何学によって、下記の式(2)が成立する。
Py−Py0=k(Px−Px0) (2)
力センサとプリヘムローラは共にロボットに対し固定されており力センサ座標系におけるプリヘムローラの位置は一定なので、kは定数となる。例えば、図7(a)が示すようにプリヘムローラ12の円錐台部32の角度が45°の場合は、k=−1である。
Px−Px0=(Mz+FxPy0−FyPx0)/(Fy−kFx) (3)
このようにして求めた位置誤差(Px−Px0)が設定した閾値より大きいときは、図7(b)に示すように、該位置誤差が小さくなるようにプリヘムローラ12を破線の位置(図7(a))から実線の位置に動かすことにより、プリヘム加工開始点の位置誤差を補正する。なお位置誤差がない(理想的な)場合での、プリヘムローラとワークの接触点の力センサ座標系における座標(Px0,Py0)は、プリヘムローラの形状を考慮した計算か、或いは正確な教示をして実験により求めることができる。
方法2は、プリヘムローラがワークと接触してから型に着座するまでのロボットの移動距離を利用して、プリヘム加工開始点の位置誤差を補正するものである。
図7(a)に示すように、プリヘムローラ12を下方(型18のある方向)へ動かし、力センサ16を利用してプリヘムローラ12が外板22の端縁部28と接触したことを検知し、その時のロボット位置P1を記録する。その後、図8(a)に示すように、プリヘムローラ12を所定の押し付け力でワークを型に押し付け、プリヘムローラ12が型18に着座したときのロボットの位置P2を記録する。プリヘムローラが着座したか否かは、押し付け力が設定値になった状態で押し付け方向にそれ以上プリヘムローラが進まなくなったことで判断できる。次に位置P1とP2とを比較して、プリヘムローラの移動距離Hを計算する。移動距離Hが設定値より小さい場合は、有意な位置誤差があると判断して該位置誤差を低減する方向(図示例では左方向)にプリヘムローラを押し付ける(図8(b))。左方向への押し付け力が予め設定した値になるまで押し付けることにより、ロボットとワークとの間の位置誤差を補正することができる。
プリヘム加工終了点まで所定の押し付け力を加えながら、図5に示した加工開始点40から加工終了点44に至る加工経路に沿って、プリヘムローラ12を移動させる。プリヘム加工中には、図9に示すように、加工開始点40から加工終了点44まで、力センサによる力情報とモーメント情報を利用して、型18への押し付け力が所定の値になるようにロボットを制御する。型18への押し付け方向46(本実施形態では鉛直下方)と進行方向48(加工経路に沿う方向)の双方に直交する方向50にも押し付けを行い、方向50に沿う力も所定の値になるように制御される。これにより、教示した軌道がワークより少しずれている場合でも、プリヘムローラ12がワーク20より離れたり又はワーク20を押し込みすぎたりすることがなく、プリヘム加工でのワークの折り曲げ量を一定にすることができる。
図3に示したようなヘムローラ34を、ヘム加工開始点40(図5)参照の上方に移動させる。ヘム加工も、加工開始点40から加工中間点42を経て加工終了点44まで行うものとする。ステップS1と同様の方法で、ヘムローラ34を外板22の少し上方に教示しておく。
図10(a)−(c)に示すように、ステップS2と同様に、ヘムローラ34の押し付け力が所定の値以下になるまで、ヘムローラ34を型18に押し付ける。ここでは、押し付け方向を鉛直下向きとするが、これに限られない。先ずヘム加工開始点40において(ヘムローラがワークと接触する前)、ロボット10の手首14に取り付けられた力センサ16を用いて、ヘムローラ34に作用する力の鉛直方向の分力F1'を求める(図3)。図3の例では、F1'はヘムローラ34の自重に概ね等しい。
ステップS3と同様に、ヘム加工開始点40の位置の誤差(以降、位置誤差とも称する)を計算する。該位置誤差が所定の閾値を超えた場合は、ヘム加工開始点40の位置を補正する。該位置誤差が設定した閾値より大きい場合、ヘム加工開始点40でのロボット10の位置を補正する。このようにすれば、予め教示した軌道とワーク表面との間に多少の位置誤差があっても、ヘムローラがワークから離れたり、逆に押し付け過ぎたりするという不具合を回避できる。但し、ヘム加工開始点とプリヘム開始点が同じであり、プリヘム加工開始点でロボットとワークとの間の位置誤差を既に補正している場合は、このステップを省略することもできる。
方法3
方法3は、ヘムローラがワークと接触してから型に着座するまでのロボットの移動距離を利用して、ヘム加工開始点の位置誤差を補正するものである。
図11に示すように、ヘムローラ34を下方(型18のある方向)へ動かし、力センサ16を利用してヘムローラ34が外板22の端縁部28と接触することを検知し、その時のロボット位置P1'を記録する。その後、図12(a)に示すように、ヘムローラ34を所定の押し付け力でワークを型に押し付け、ヘムローラ34が型18に着座したときのロボットの位置P2'を記録する。ヘムローラが着座したか否かは、押し付け力が設定値になった状態で押し付け方向にそれ以上ヘムローラが進まなくなったことで判断できる。次に位置P1'とP2'とを比較して、ヘムローラの移動距離H'を計算する。移動距離H'が設定値より小さい場合は、有意な位置誤差があると判断して該位置誤差を低減する方向(図示例では左方向)にヘムローラを押し付ける(図12(b))。左方向の押し付け力が予め設定した値になるまで押し付けることにより、ロボットとワークとの間の位置誤差を補正することができる。
ヘム加工終了点まで所定の押し付け力をかけながら、図5に示した加工開始点40から加工終了点44に至る加工経路に沿って、ヘムローラ34を移動させる。ヘム加工中には、図9に示すように、加工開始点40から加工終了点44まで、力センサによる力情報とモーメント情報を利用して、型18への押し付け力が所定の値になるようにロボットを制御する。型18への押し付け方向46(本実施形態では鉛直下方)と進行方向48(加工経路に沿う方向)の双方に直交する方向50にも押し付けを行い、方向50に沿う力も所定の値になるように制御される。これにより、教示した軌道がワークより少しずれている場合でも、ヘムローラ34がワーク20より離れたり又はワーク20を押し込みすぎたりすることがなく、ヘム加工でのワークの折り曲げ量を一定にすることができる。
12 プリヘムローラ
16 力センサ
18 型
20 ワーク
22 外板
24 内板
26 制御装置
28 外板端縁部
34 ヘムローラ
40 加工開始点
42 中間点
44 加工終了点
Claims (4)
- ロボットマニピュレータの先端部に取り付けられたローラを、型の上に載置された外板と該外板に重なった内板とからなるワークの前記外板の端縁部に押し付けつつ移動させながら、前記ローラと前記型に挟まれた前記外板の端縁部を折り曲げることによりプリヘム加工又はヘム加工を行うロールヘム加工装置において、
前記ローラの現在の位置を検出する位置検出手段と、
前記ロボットマニピュレータの手首部と前記ローラとの間に設けられた力測定手段と、
前記位置検出手段の出力及び前記力測定手段の出力を用いて、前記ローラを前記型へ押し付ける力が所定の値になるように前記ローラの位置を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記位置検出手段の出力及び前記力測定手段の出力を用いて、前記ローラを前記型へ押し付ける力及び前記ローラに作用するモーメントがそれぞれ所定の値になるように前記ローラの位置を制御し、
前記力測定手段の出力を用いてプリヘム加工又はヘム加工中に、前記ローラを型に押し付ける方向及び前記ローラの進行方向の双方に垂直な方向についても前記ローラに所定の力がかかるように前記ローラの移動を制御する手段をさらに有する、ロールヘム加工装置。 - 前記位置検出手段から得られる前記ローラの位置と、前記力測定手段から得られる力及びモーメントと、前記ローラの形状に関する情報とから、前記ロボットマニピュレータと前記外板の端縁部の位置誤差を求める手段と、
前記位置誤差に基づいてプリヘム加工又はヘム加工開始点を補正する手段とをさらに有する、請求項1に記載のロールヘム加工装置。 - 前記力測定手段の出力を用いてプリヘム加工又はヘム加工中に、前記ローラの進行方向にかかる力を求め、プリヘム加工又はヘム加工中に前記力の値が所定の範囲内にあるように前記ローラの移動を制御する手段をさらに有する、請求項1又は2に記載のロールヘム加工装置。
- 前記位置検出手段から得られる前記ローラの位置に基づいてプリヘム加工又はヘム加工中の前記ローラの送り速度を求め、該送り速度の変化に応じて、前記ローラによる前記型への押し付け力を変更する手段をさらに有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のロールヘム加工装置。
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