JP2014030841A - アーク倣い溶接方法および溶接装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】試行錯誤的な溶接実験による調整工数を低減するとともに、溶接条件に応じた制御ゲインの最適化を達成する。
【解決手段】アーク倣い溶接方法は、溶接ワイヤの溶融特性式Vf=A・I+B・L・IをLで微分したdI/dL=(−B・I)/(A+2B・L・I)の定数Aおよび定数Bを試験溶接を行うことにより同定する試験溶接ステップと、実際の溶接において、溶接電流Iを検出して目標電流からの電流変化量ΔIを算出して、dI/dLの式に算出した電流変化量ΔIを代入することによりトーチから溶接対象母材までの目標距離からの距離変化量ΔLtを算出して、算出した距離変化量ΔLtが減少するようにトーチの先端位置をΔX=ΔLt/2だけ位置修正する制御ステップとを含む。
【選択図】図7

Description

本発明は、たとえば、自動溶接装置または溶接ロボットを用いたアーク溶接技術に関し、特に、高い位置精度でアーク倣い溶接を可能とする技術に関する。
アーク溶接においては、溶接電流・溶接電圧等の電気的変化に基づいて、溶接すべき継手位置とワイヤ先端位置とのズレ量を検出し、これを補正することによって溶接線を自動追従する「アーク倣い」が良く用いられている。これは、対象ワークの設置誤差、加工誤差、加工中の変形等によって発生する加工具(溶接トーチ)の狙い位置のズレを検出して補正することにより、溶接欠陥を防止し、自動化率を向上させることが目的である。
このようなアーク倣いの原理は、溶接ワイヤの突き出し長さ(正確に言えば、トーチ給電箇所〜母材間の距離L)の変化に応じて、溶接電流(あるいは溶接電圧)が変化することを利用して、ウィビング動作時のアーク電流波形またはアーク電圧波形の非対称性から、トーチの狙い位置のズレを検出して、これを自動溶接装置あるいは溶接ロボットシステムにフィードバックして、トーチ先端位置のズレがなくなる方向に修正することにより、溶接線を自動追従する。なお、溶接電源として定電圧電源を用いるMIG・MAGの場合には、アーク電流波形を用い、TIG等の定電流電源または垂下特性電源を用いる場合には、アーク電圧波形を用いる。
このようなアーク倣い制御として、特開2010−120042号公報(特許文献1)に開示された「ロボット用アークセンサの倣いパラメータの設定方法およびロボット用アークセンサの倣いパラメータの設定方法」がある。
この特許文献1は、シフト量が異なる複数の区間で区切られた教示線上に沿って溶接トーチを溶接させながら移動させる際、前記区間毎に定められているシフト量に応じて前記溶接トーチをシフトさせて移動させる移動工程と、前記区間毎に移動中の溶接トーチに供給されてサンプリングされた電気量を、該サンプリングする周期よりも長い所定周期毎に平均化する平均化工程と、該平均化した値と基準値との差分値を算出する差分値算出工程と、前記区間毎の前記差分値の平均差分値を算出する平均差分値算出工程と、前記区間毎の前記差分値の平均差分値に基づいて回帰直線および該回帰直線と前記平均差分値との相関係数を求める回帰直線および相関係数取得工程と、前記回帰直線の傾き、および切片に関係する倣いに関するパラメータを前記相関係数に基づいて評価して、該パラメータを倣いパラメータとして設定する評価工程を含むことを特徴とするロボット用アークセンサの倣いパラメータの設定方法を開示する。
特開2010−120042号公報
上述したように、アーク倣いは溶接電流(または溶接電圧)の変化量に応じ、トーチ先端動作軌跡を溶接線に対して直角に位置修正するフィードバック制御であり、そのフィードバックゲインが小さすぎると、溶接線ズレに対する追従性が悪くなり、誤差の大きなワークに追従できなくなる。また、そのフィードバックゲインが大きすぎると、オーバーシュートが発生したり、ノイズによる誤検出が発生したりして、蛇行または溶接線からの逸脱が発生することになり、適正な値に調整する必要がある。
特許文献1に開示された技術は、このフィードバックゲイン(倣いゲイン)を決定するため、電流差yと修正量xとの関係を単純な一次式(y=a・x+b)として定義し、既知のズレx[mm]を与えた時の、計測した実溶接電流差y[A]から一次式における定数a、bを求めることを前提とし、その調整方法を自動化することを特徴としている。
すなわち、従来、これらの調整作業は、試験溶接にてオペレータが倣いの追従状態を目視しながら、パラメータを微調整するという極めて繊細で、スキルが必要な作業であった
。特許文献1はこの調整作業の属人性を排除することを目的として、
(1)ズレ量が定められた特定試験用動作パターンを溶接ロボット/自動溶接装置で動作させ、
(2)動作中の溶接電流をサンプリングし、
(3)ズレ量と電流・電圧データとを元に回帰直線を求め、定数a,bを自動算出
することにより、誰でも簡単に調整が可能となることを特徴としている。
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、以下のような問題点がある。
(問題点1)溶接機器・対象開先等の組み合わせ毎に多大な調整実験が必要とされる。
例えば、ウィビング時の電流変化は、シールドガスの種類(CO、Ar+CO)、ワイヤ径(1.0、1.2、1.4、1.6mmφ)、ワイヤ突出し長さ(20〜25mm程度)、開先種別(V、L、レ、重ね)および開先角度により変化し、倣いゲインおよびオフセットの最適値も、一般的にはこれら条件毎に異なり、特許文献1が開示する調整方法では、これら条件の組み合わせ分の膨大な実験が必要であり、網羅的に実行するのは極めて困難である。
(問題点2)低電流〜高電流まで、本来の倣い性能を発揮できない。
倣いゲインの最適値は、電流値によって変化し、一般に電流が高いほど倣い感度が高くなるため、逆にゲインは低くする必要がある。しかしながら、この調整方法では、倣い感度aを「定数」としているため、低電流域〜高電流域のすべての領域において追従性能を発揮できる最適値は選択できず、適用範囲を特定の電流域に限定したり、低電流域での追従性能を落として使用したりせざるを得ない。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、試行錯誤的な溶接実験による調整工数を低減するとともに、溶接条件に応じた制御ゲインの最適化を達成することができる、アーク倣い溶接方法および溶接装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係るアーク倣い溶接方法および溶接装置は、以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明のある局面に係るアーク倣い溶接方法は、溶接方向に対してトーチを揺動させるウィビング機能を備えた消耗電極型の溶接装置におけるアーク倣い溶接方法である。このアーク倣い溶接方法は、溶接ワイヤの溶融特性式から得られる関係式であって、電流変化量ΔIと前記トーチから溶接対象母材までの距離Lの変化量である距離変化量ΔLとの関係式を、試験溶接を行うことにより同定する試験溶接ステップと、実際の溶接において、溶接電流Iを検出して目標電流からの電流変化量ΔIを算出して、前記関係式に前記算出した電流変化量ΔIを代入することにより前記トーチから溶接対象母材までの目標距離からの距離変化量ΔLを算出して、前記算出した距離変化量ΔLが減少するように前記トーチの先端位置をフィードバック制御する制御ステップと、を含んで構成されていることを特徴とする。
好ましくは、前記溶融特性式は、ワイヤ送給速度Vfが溶接電流Iと距離Lとで表される関数であって、前記関係式は、前記溶融特性式を微分した式で表される関数であるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記溶融特性式は、Vf=A・I+B・L・I(A、Bは定数)で表され、前記関係式は、dI/dL=(−B・I)/(A+2B・L・I)で表されるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記試験溶接ステップは、溶接対象母材を平板として、距離Lおよびアーク長Laが略一定となるように、一定速度で直線動作させた試験溶接において、溶接電流または溶接電圧を所望のパターンで時系列的に変化させて溶接電流I、溶接電圧Vおよび送給速度Vfを計測して、これらの計測結果に基づいて定数Aおよび定数Bを同定するように構成することができる。
また、本発明の別の局面に係るアーク倣い溶接装置は、上述したいずれかのアーク倣い溶接方法を実現する制御部を備えることを特徴とする。
本発明に係るアーク倣い溶接方法および溶接装置を用いることにより、試行錯誤的な溶接実験による調整工数を低減するとともに、溶接条件に応じた制御ゲインの最適化を達成することができる。
本発明の実施の形態に係るアーク倣い溶接方法が適用される溶接ロボットの全体構成を示す概略図である。 本発明の実施の形態に係るアーク倣い溶接方法における試験溶接ステップを説明するための図である。 図2に示す試験溶接ステップにおける指令電流と指令電圧の時間的変化を示す図である。 図2に示す試験溶接ステップにおいて計測された電流波形を示す図である。 図2に示す試験溶接ステップにおける溶融特性式の同定方法を示す図である。 電流と電流変化率dI/dLtとの関係を示す図である。 本発明の実施の形態に係るアーク倣い溶接方法における制御ステップを説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態に係るアーク倣い溶接方法およびその方法を実現する制御部を備えた溶接装置を、図面に基づき詳しく説明する。なお、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。また、以下においては、溶接動作を行う機器を、溶接トーチを傾動動作(ウィビング動作)させる多関節の溶接ロボットとして説明するがこれは一例に過ぎず、汎用のロボットではなく、専用の自動溶接装置であっても構わない。
まず、本実施の形態に係るアーク倣い溶接方法が適用される垂直多関節型のロボットシステム1の概要について説明する。
図1に示すように、このロボットシステム1は、溶接ロボット2と、教示ペンダント3を備えた制御装置4と、パソコン5(パーソナルコンピュータ)とを含む。溶接ロボット2は垂直多関節型の6軸の産業用ロボットであり、その先端に溶接トーチなどから構成される溶接ツールが設けられている。この溶接ロボット2はそれ自体を移動させるスライダ(図示せず)に搭載されていてもよい。
制御装置4は、溶接ロボット2を、予め教示したプログラムに従って制御する。このプログラムは、制御装置4に接続された教示ペンダント3を使用して作成する場合や、パソコン5を利用したオフライン教示システムを使用して作成する場合がある。いずれの場合であっても、このプログラムは、実際の動作の前に予め作成される。パソコン5により作成されたプログラムは、記憶媒体等を介して制御装置4に受渡しされたり、データ通信により制御装置4に転送されたりする。
パソコン5、すなわちオフライフ教示システムは、表示装置としてグラフィック表示可能なディスプレイを備え、入力装置としてキーボードまたはマウスを備える。また、ワークのCAD情報を取込むために、記憶装置または通信装置が設けられている。
ところで、本実施の形態に係るアーク倣い溶接方法は、制御装置4内に設けられた制御部により実行され、試行錯誤的な溶接実験による調整工数を低減するとともに、溶接条件に応じた制御ゲインの最適化を達成することができる。
このアーク倣い溶接方法は、溶接方向に対してトーチを揺動させるウィビング機能を備えた消耗電極型の溶接ロボット2におけるアーク倣い溶接方法である。このアーク倣い溶接方法は、以下の試験溶接ステップと制御ステップとで構成される。
試験溶接ステップにおいては、溶接ワイヤの溶融特性式(電流−送給速度特性)である関数、
Vf=A・I+B・L・I (1)
Vf:ワイヤ送給速度、
I:溶接電流、
L:トーチから溶接対象母材までの距離、
A:定数、
B:定数)
を用いるようにしている。
詳しくは、Vf=一定として式(1)を微分することで、式(2)の関係式を求める。
dI/dL=(−B・I)/(A+2B・L・I) (2)
その上で、試験溶接を行うことにより、定数Aおよび定数Bを同定して算出する。
制御ステップにおいては、実際の溶接において、溶接電流Iを検出して目標電流からの電流変化量ΔIを算出して、関係式に算出した電流変化量ΔIを代入することによりトーチから溶接対象母材までの目標距離からの距離変化量ΔLを算出して、算出した距離変化量ΔLが減少するようにトーチの先端位置をフィードバック制御する。
なお、シールドガス種類およびワイヤ種類はそれぞれ1種類に固定されており、溶接電源はMIG/MAGで一般的な定電圧特性のものであり、溶接電圧は各電流設定値毎に、調整済みであることが前提とする。
以下において、試験溶接ステップと制御ステップとに分けて詳しく説明する。
試験溶接ステップは、溶接対象母材を平板として、距離Lおよびアーク長Laが略一定となるように、一定速度で直線動作させて行われる。このとき、溶接電流または溶接電圧を所望のパターンで時系列的に変化させて溶接電流I、溶接電圧Vおよび送給速度Vfを計測して、これらの計測結果に基づいて式(2)における定数Aおよび定数Bを同定する。
図2に示すように、この試験溶接ステップにおいては、ビードオンプレート溶接が行われる。
この試験溶接ステップにおいては、トーチの給電チップ〜平板間距離Lが一定(L)のまま、P1からP2まで一定速度で直線動作するように溶接ロボット2はプログラムされている。P1でアークを発生させ溶接を行いP2で溶接を終了する。この際、ウィビングは行わなず、開先加工も不要な単なる「平板」上で直線溶接するだけの単純なビードオンプレート溶接が行われるだけで良い。また、給電チップ〜平板間距離Lは、事前に定められた「標準トーチ高さ」であり、ワイヤ径1.2mmφの場合、15〜22mmが用いられる。
図3に、この試験溶接ステップにおける指令電流および指令電圧の時間的変化を示す。
図3に示すように、溶接条件はP1からP2までの間において、設定電圧は一定で、設定電流はP1からP2に向かって、図3のように区間1、区間2、区間3、・・・、区間Nと、ステップ状に上昇させる。指令電圧が一定で、溶接電源が定電圧特性である場合、溶接電圧とアーク長Laはほぼ比例することから、本実施の形態ではアーク長Laはほぼ一定値(La)とみなすことができる。通常、アーク長は2〜4mmとなるように電圧は設定される。
なお、試験溶接ステップ(調整時)においては、溶接電源および送給装置に、溶接電流I、溶接電圧V、ワイヤ送給速度Vfを計測するセンサが装着されており、溶接ロボット2の制御部は、これらの計測データを一定周期毎にサンプリングし、メモリに記録している。
図4を参照しつつ、このように計測された記録される溶接電流・電圧波形について、説明する。
P1からP2まで移動させて、記録された溶接電流・電圧波形は、図4に示すように、高周波ノイズ成分を含んでいる。このため、これらを平滑化することにより、ノイズを除去する。
次に、これらの計測データに基づいて、各区間毎の「溶接電流平均値I」と「送給速度平均値Vf」とを求め、これら(I、Vf)のデータ群を作成する。
次に、公知の溶接ワイヤの溶融特性式である式(1)、すなわち、Vf=A・I+B・L・Iのパラメータである定数Aおよび定数Bを求める。
ここで、図5に示すように、ワイヤ突き出し長さL=標準トーチ高さL−アーク長Laとし、実験データ群(I、Vf)に基づいて、公知の2次多項式の曲線回帰手法を用いて、パラメータである定数Aおよび定数Bを同定する。
溶接ワイヤの溶融特性式Vf=A・I+B・L・I(式(1))を、ワイヤ突出し長さLで微分すると、電流変化率dI/dL[A/mm]=(−B・I)/(A+2B・L・I)(式(2))となる。この電流変化率が、上述した倣い感度に相当し、この値が大きいほど、ズレに対する電流変化量は大きく、ズレ量検出の分解能が高いことを意味する。
ここで、溶接電源が定電圧特性、かつ、溶接電圧Vが一定であることから、アーク長Laはほぼ一定であり、ワイヤ突き出し長さの変化dL≒トーチ〜母材間距離の変化dLtであるので、dI/dL≒dI/dLtとみなしてよい。
したがって、式(2)すなわち電流変化率dI/dLの式に同定した定数Aおよび定数Bを代入することにより、トーチ〜母材間距離Ltが変化した際の電流変化率dI/dLt[A/mm]を求めることができる。
参考までに、定数Aおよび定数Bの値は、A=0.1〜0.4[mm/s・A]、B=10−4〜10−5[mm/s・A]である。たとえば、図5に示す場合には、A=0.186[mm/s・A]、B=0.0000822[mm/s・A]となる。なお、特許文献1によると、A=0.33[mm/s・A]、B=0.0000465[mm/s・A]である。
図6に示すように、電流変化率の式により、電流変化率dI/dLt[A/mm]は、電流値が大きいほど大きくなる。これは、大電流ほど倣いが高感度になることを意味しており、溶接電流が大きいほど、電流変化量からズレ量への換算係数Kは小さくする、すなわちゲインを小さくする必要があることを意味している。
以下、試験溶接ステップの後に実行される制御ステップ(試験溶接ステップで調整したパラメータを用いた倣い制御ステップ)について説明する。
以下においては、図7に示すように、開先角度90度の下向き隅肉(V開先)であり、トーチは溶接線に対して対称に振幅Wでウィビング動作する場合の倣い制御について説明する。
<ステップ1>
開先形状を設定し、トーチ高さ方向のズレΔLtと左右方向のズレΔXとの関係を求める。図7に示すような場合(90度の下向きV開先の場合)には、ΔLt=2ΔXとなる。
なお、ΔLtとΔXとの関係は、開先形状が既知であれは決定できる。たとえば、V開先で開先角度がθの場合には、ΔLt=2tan(θ/2)となる。図7は、θ=90度の場合を示している。
<ステップ2>
ウィビング動作しながら溶接を開始して倣い制御も開始する。このとき、フィードバックゲインKを電流Iの関数K(I)として、電流変化率dI/dLの逆数を用いる。このときの電流Iはウィビング中心での平均電流とする。
つまり、フィードバックゲインK(I)は、
K(I)=dL/dI=(A+2B・L・I)/(−B・I) (3)
で表される。
<ステップ3>
左端および右端における溶接電流I、Iを計測して、電流変化分をΔI=I−Iにより算出して、式(3)で示されるフィードバックゲインK(I)を用いてトーチ高さの変化ΔLtを求める。このとき、ΔLt=K(I)・ΔIとなる。
<ステップ4>
上述したように、ΔLt=2ΔXであるこから、トーチを左方向にΔX=ΔLt/2だけ位置修正する。
なお、対象開先が変更された場合、たとえば開先角度が変更された場合であっても、上
述したステップ1における「トーチ高さ方向のズレΔLtと左右方向のズレΔXとの関係」を変更するだけで、倣い制御を適用することができる。
以上のようにして、本実施の形態に係るアーク倣い溶接方法によると、従来の倣い制御が「ゲイン・オフセット」による単純なフィードバック制御であったのに対して、倣い制御にワイヤ溶融特性という「物理モデル」を用いることを特徴としており、物理モデル導入により、試行錯誤的な溶接実験による調整工数低減と、溶接条件に応じた制御ゲインの最適化を達成することができる。具体的には、以下の作用効果を発現する。
(効果1)倣い調整工数が大幅に低減でき、調整済みパラメータの流用性が高い。
本実施の形態に係るアーク倣い溶接方法における溶接ワイヤの溶融特性式は、使用するワイヤの材質・径およびシールドガスの種類で決定される。当然、本実施の形態に係るアーク溶接方法を用いても条件毎に、試験溶接ステップは必要であるが、一旦調整で求めたパラメータは、条件が一致すれば、新規装置であっても改めて調整する必要はなく、調整済みパラメータの流用性が極めて高い。また、上述した溶接ワイヤの溶融特性の調整時(試験溶接ステップ)においては、平板鋼板等の単純なワークでよく、従来のような開先加工されたものは不要であり、結果として調整工数を大幅に低減できる。
(効果2)開先形状の変更に柔軟に対応できる。
本実施の形態に係るアーク倣い溶接方法において、電流の変化量ΔI[A] が定量的なトーチ〜母材間距離ΔL[mm]に換算できるので、開先形状が変更されても、形状に応じたズレがない場合の「トーチ〜母材間距離L」を計算することにより倣い調整が簡単に行え、変更にも迅速に対応することができる。
(効果3)低電流〜高電流域まで最適な制御ゲインとなり追従性能が向上する。
本実施の形態に係るアーク倣い溶接方法において、「ワイヤ溶融速度が電流によって変化する現象」を利用し、溶接電流を考慮したズレ量ΔLを算出している。これは、倣い制御のフィードバックゲインを固定でなく、電流によって最適な値にしていることを意味しており、低電流〜高電流の広範囲で最大限の追従性能を発揮することができる。
ここで、実際のMIG/MAG溶接においては、短絡、溶融池振動、溶滴移行の影響で、電流波形にノイズが重畳され、計測電流値がばらつくことがある。この対策として、倣い感度をあえて鈍らす(ゲインを下げる)必要があり、式(3)で示されるK(I)に、定数α(0〜1)を乗算することで得られる式(3)’を用いるようにするとよい。
K(I)=dL/dI=α・((A+2B・L・I)/(−B・I)) (3)'
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 ロボットシステム
2 溶接ロボット
3 教示ペンダント
4 制御装置
5 パソコン

Claims (5)

  1. 溶接方向に対してトーチを揺動させるウィビング機能を備えた消耗電極型の溶接装置におけるアーク倣い溶接方法であって、
    溶接ワイヤの溶融特性式から得られる関係式であって、電流変化量ΔIと前記トーチから溶接対象母材までの距離Lの変化量である距離変化量ΔLとの関係式を、試験溶接を行うことにより同定する試験溶接ステップと、
    実際の溶接において、溶接電流Iを検出して目標電流からの電流変化量ΔIを算出して、前記関係式に前記算出した電流変化量ΔIを代入することにより前記トーチから溶接対象母材までの目標距離からの距離変化量ΔLを算出して、前記算出した距離変化量ΔLが減少するように前記トーチの先端位置をフィードバック制御する制御ステップと、
    を含んで構成されていることを特徴とするアーク倣い溶接方法。
  2. 前記溶融特性式は、ワイヤ送給速度Vfが溶接電流Iと距離Lとで表される関数であって、
    前記関係式は、前記溶融特性式を微分した式で表される関数であることを特徴とする請求項1に記載のアーク倣い溶接方法。
  3. 前記溶融特性式は、Vf=A・I+B・L・I(A、Bは定数)で表され、
    前記関係式は、dI/dL=(−B・I)/(A+2B・L・I)で表されることを特徴とする請求項2に記載のアーク倣い溶接方法。
  4. 前記試験溶接ステップは、溶接対象母材を平板として、距離Lおよびアーク長Laが略一定となるように、一定速度で直線動作させた試験溶接において、溶接電流または溶接電圧を所望のパターンで時系列的に変化させて溶接電流I、溶接電圧Vおよび送給速度Vfを計測して、これらの計測結果に基づいて定数Aおよび定数Bを同定することを特徴とする請求項3に記載のアーク倣い溶接方法。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載のアーク倣い溶接方法を実現する制御部を備えることを特徴とする溶接装置。
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