JP6057850B2 - シーム溶接装置及びシーム溶接方法 - Google Patents

シーム溶接装置及びシーム溶接方法 Download PDF

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Description

この発明は、一対のローラ電極間にワークを挟持し、前記ローラ電極を回転させながら加圧通電し前記ワークを接合しようとする仮想線(溶接教示線という。)に沿って連続的に溶接するシーム溶接装置及びシーム溶接方法に関する。
例えば、車両の燃料タンク等の密閉封止が必要な容器は、プレス成形された2つの部材の外周端部を重ね合わされてシーム溶接装置により溶接されて形成される。
このシーム溶接装置では、運転により各ローラ電極が消耗して、各ローラ電極の径が経時的に減少する。
特許文献1には、各ローラ電極の径が小さくなると、各ローラ電極とワークとの接触面積が小さくなる結果、溶接電流密度が上昇して、正常なナゲットの形成が困難になり、クラックの発生までも惹起するおそれがあると開示されている(特許文献1の(2)欄14行〜(3)欄6行)。
この問題を解決するために、特許文献1に係るシーム溶接装置では、各ローラ電極の消耗に従いワークとの接触面積の減少に伴う電流密度の上昇率の補正を実験的に予め行い、正常なナゲットを形成するのに必要な溶接電流制御用の設定値を、各ローラ電極の径の消耗量との関係において予め制御装置に記憶させている(特許文献1の(7)欄2行〜9行)。
そして、溶接作業によって各ローラ電極が消耗し、ワークとの接合部の接触面積が小さくなった場合、前記制御装置によって前記接合部における電流密度が一定になるように維持することで、ワークの接合部に正常なナゲットを形成できると開示されている(特許文献1の(7)欄10行〜16行)。
特開昭58−100980号公報
特許文献1に開示されているように、シーム溶接では、各ローラ電極の径が経時的に減少し、各ローラ電極とワークとの接触面積が減少しても、溶接電流密度が一定になるように溶接電流値を減少させることで、ワーク間に正常なナゲットを形成することができる。
しかしながら、特許文献1に係るシーム溶接装置では、ローラ電極の幅(ローラ電極は円柱形状であるので、円柱の高さを意味する。)の変更やワークの厚みの変更等の溶接条件の変更が発生した場合には、正常なナゲットを形成するために、その都度、変更後のシーム溶接装置に合致する、溶接電流制御用の設定値を、各ローラ電極の径の消耗量との関係において実験的に求めて予め制御装置に記憶させる必要があるので、管理工数コストが上昇するという課題がある。
この発明は、上記の技術及び課題に関連してなされたものであり、ワークに対するシーム溶接中、あるいはワークに対するシーム溶接処理の前後に、各ローラ電極とワーク間の接触面積を容易に算出することを可能するシーム溶接装置及びシーム溶接方法を提供することを目的とする。
この発明に係るシーム溶接方法は、積層した2枚のワークを、一対のローラ電極間に加圧挟持し、前記ローラ電極を回転させながら前記ワークを前記ローラ電極に対して相対的に移動させ、前記ワークを介して前記ローラ電極間に電流を流して抵抗溶接を行うシーム溶接方法において、各ローラ電極の加圧通電による前記ワークの厚み減少量を検知するワーク厚検知工程と、各ローラ電極の径を検知するローラ径検知工程と、それぞれ検知された前記ワークの厚み減少量と各ローラ電極の径から前記ワーク間の接触面積を算出する接触面積算出工程と、算出された前記ワーク間の接触面積に基づき溶接電流値を決定する溶接電流値決定工程と、を備えることを特徴とする。
また、この発明に係るシーム溶接装置は、積層した2枚のワークを、一対のローラ電極間に加圧挟持し、前記ローラ電極を回転させながら前記ワークを前記ローラ電極に対して相対的に移動させ、前記ワークを介して前記ローラ電極間に電流を流して抵抗溶接を行うシーム溶接装置において、各ローラ電極の加圧通電による前記ワークの厚み減少量を検知するワーク厚検知手段と、各ローラ電極の径を検知するローラ径検知手段と、それぞれ検知された前記ワークの厚み減少量と各ローラ電極の径から前記ワーク間の接触面積を算出する接触面積算出部と、算出された前記ワーク間の接触面積に基づき溶接電流値を決定する溶接電流値決定部と、を備えることを特徴とする。
この発明に係るシーム溶接装置及びシーム溶接方法によれば、各ローラ電極の径と、各ローラ電極の加圧通電により減少する前記ワークの厚み減少量とから接触面積を算出することができるので、溶接電流値を容易に最適な溶接電流値に設定することができる。
この発明に係るシーム溶接装置及びシーム溶接方法によれば、各ローラ電極の径と、各ローラ電極の加圧通電により減少する前記ワークの厚み減少量とから接触面積を算出することができるので、溶接電流値を容易に最適な溶接電流値に設定することができる。
この結果、ローラ電極の径変更、加圧力の変更、ワークの厚みや強度の変更等の溶接条件の変更が発生した場合には、正常なナゲットを形成するために、特許文献1のように、その都度、変更後のシーム溶接装置に合致する、溶接電流制御用の設定値を、各ローラ電極の径の消耗量との関係において実験的に求めて予め制御装置に記憶させる必要がなく、容易に最適な溶接電流値に変更することができ、管理工数コストが上昇することがないという効果が達成される。
この実施形態に係るシーム溶接装置を示す正面図である。 シーム溶接装置で溶接されるワークの一例を示す斜視図である。 上下ローラ電極間の軸間距離減少量と下ローラ電極の径の減少量を計測する機構の模式的説明図である。 上下ローラ電極間の軸間距離減少量及び上下ローラ電極の径の減少量の経時的な変化を説明するための模式的説明図である。 図1に示すシーム溶接装置の要部ブロック図である。 上下ローラ電極間にワークのフランジ部を挟持して溶接(加圧通電)している状態を説明する一部省略正面図である。 接触面積の算出処理の説明に供される模式的な一部斜視説明図である。 接触面積の算出処理の説明に供される模式的な一部側面説明図である。 溶接速度に対する基準溶接電流値の関係の一例を示す特性図である。
以下、この発明に係るシーム溶接装置及びシーム溶接方法の実施形態を図1〜図9を参照しながら説明する。
この実施形態に係るシーム溶接装置10は、図1に示すように、例えば2枚のプレス成形部材(金属部材)を重ねたワーク12(ワーク12a、ワーク12b)を一対のローラ電極14(上ローラ電極14a及び下ローラ電極14b)間に加圧挟持し抵抗溶接する装置である。
ここで、シーム溶接装置10によって溶接されるワーク12の一例について説明する。
図2に示すように、ワーク12は、例えば二輪車用の燃料タンクであり、それぞれ周囲にフランジ部16を有する2つの上ワーク12aと下ワーク12bを、各フランジ部16を重ね合わせて組み付けることによって構成されている。フランジ部16には、シーム溶接をする際の基準として参照される溶接教示線TL(一点鎖線参照)が設定される。溶接教示線TLの情報は、フランジ部16の端面の情報と共に、三次元CAD上で設定されるものであって、例えばフランジ部16の端面に関する多数の頂点データと、溶接教示線TLに関する多数の頂点データとがそれぞれ対応付けされて配列されたマップ情報として例えば図示しないメモリ(記憶装置)に記憶される。なお、シーム溶接装置10で溶接されるワーク12としては、二輪車用や四輪車用等の車両用の燃料タンク以外にも、缶容器や電機機器等、各種工業製品を挙げることができる。
そして、このシーム溶接装置10は、図1に示すように、本体部22と、該本体部22のテーブル24上に設けられるコラム28と、を備える。
コラム28は、上ローラ電極14aを有する上部電極機構26aと、下ローラ電極14bを有する下部電極機構26bと、煩雑となるのを避けるために図1中には図示していない径計測機構48と、距離計測機構42と、上部電極機構26a、下部電極機構26b及び径計測機構48並びに距離計測機構42等を制御する電極制御部30と、を支持する。
上部電極機構26aは、電極制御部30からの指示に従って、上ローラ電極14aを上下に移動し、さらにモータ43aにより回転制御する上部電極駆動部36aと、上部電極駆動部36aに片持ち式で上ローラ電極14aを支持する第1アーム部材38aと、第1アーム部材38aの中心部分に軸方向に設置され、上部電極駆動部36aの駆動力を上ローラ電極14aに伝える第1駆動軸40aとを有する。
同様に、下部電極機構26bは、電極制御部30からの指示に従って、下ローラ電極14bを上下に移動し、さらにモータ43bにより回転制御する下部電極駆動部36bと、下部電極駆動部36bに片持ち式で下ローラ電極14bを支持する第2アーム部材38bと、第2アーム部材38bの中心部分に軸方向に設置され、下部電極駆動部36bの駆動力を下ローラ電極14bに伝える第2駆動軸40bとを有する。
従って、上ローラ電極14a及び下ローラ電極14bを互いに接近する方向に移動駆動することで、上ローラ電極14aと下ローラ電極14bとの間に挟持されたワーク12のフランジ部16を加圧することとなるが、電極制御部30からの指示によってその加圧力が調節できるようになっている。特に、上部電極機構26a及び下部電極機構26bを、コラム28によって、テーブル24上に支持するようにしているため、上部電極機構26a及び下部電極機構26bのワーク12のフランジ部16に対する相対的な移動、例えばフランジ部16の幅方向(フランジ部16の端面から上下ワーク12a、12bの本体部に向かう方向)の移動を同期させることができる。
上ローラ電極14a及び下ローラ電極14bを上下に移動する機構としては、例えばシリンダとピストンとを有するアクチュエータや圧電素子を用いたアクチュエータ等を用いることができる。また、上ローラ電極14a並びに下ローラ電極14bを回転駆動するモータ43a、43bとしては、例えばサーボモータを用いることができる。
なお、前記アクチュエータによる上ローラ電極14a及び下ローラ電極14b間の加圧力は、上部電極駆動部36a及び下部電極駆動部36bに設けられたロードセル等の圧力センサ41a、41bにより検出され、電極制御部30に取り込まれる。
距離計測機構42は、図3の模式図にも示すように、上部電極駆動部36aに一体的に支持されたセンサ本体部42aと、先端部が下部電極駆動部36bに当接し下部電極駆動部36bの上下動に応じて伸縮する、下方への弾性力が付与されたプローブ部42bとから構成されている。センサ本体部42aは、差動変圧器、ポテンショメータあるいは磁気スケール等により構成され、距離計測機構42は、その出力が電極制御部30に取り込まれる。距離計測機構42は、上ローラ電極14aと下ローラ電極14b間の軸間距離減少量ΔDaxを検知し、電極制御部30は、軸間距離減少量ΔDaxを算出する。
径計測機構48は、図3の模式図に示すように、下部電極駆動部36bに一体的に支持されたセンサ本体部56と、下ローラ電極14bの中心を通る水平軸49上で下ローラ電極14b円周(円柱側面)に接触(当接)して回転するローラ58と、このローラ58を支持し下ローラ電極14b側への弾性力が付与されて下ローラ電極14bの径の減少に応じて下ローラ電極14b側に伸びる支持軸54と、から構成されている。水平軸49上に、下ローラ電極14bの中心とローラ58の中心がある。
センサ本体部56は、差動変圧器、ポテンショメータあるいは磁気スケール等により構成され、径計測機構48は、その出力が電極制御部30に取り込まれる。径計測機構48は、ローラ58が下ローラ電極14bに当接した位置からの支持軸54の伸び量を、下ローラ電極14bの径φDの減少量ΔφDとして検知し、電極制御部30は、下ローラ径減少量ΔφDを算出する。
ここで、上ローラ電極14aのローラ径(上ローラ径という。)φU及び、下ローラ電極14bのローラ径(下ローラ径という。)φDの電極制御部30による算出処理について説明する。なお、上ローラ径φU及び下ローラ径φDは、電極の消耗、電極のドレスにより経時的に減少する。
図4は、上下ローラ電極14a、14bの経時的な減少前後の模式的な説明図であり、上ローラ電極14aは、図4中、左側に示す初期上ローラ径(基準上ローラ径ともいう。)φU0から右側に示す上ローラ径φUに経時的に減少する。同様に、下ローラ電極14bは、初期下ローラ径(基準下ローラ径ともいう。)φD0から下ローラ径φDに経時的に減少する。
上下ローラ電極14a、14bは、X軸方向には移動しないので、図3及び図4を参照すれば、下ローラ径φDは、電極制御部30により次の(1)式によりリアルタイムに算出されることが分かる。
φD=φD0−ΔφD …(1)
φD:下ローラ径
φD0:初期下ローラ径
ΔφD:径計測機構48により計測される下ローラ径減少量
一方、上ローラ径φUは、初期上ローラ径φU0から上ローラ径減少量ΔφUを減じた次の(2)式により算出される。
φU=φU0−ΔφU …(2)
ここで、上ローラ径減少量ΔφUは、距離計測機構42により計測される軸間距離減少量ΔDax(図3参照)が、上ローラ径減少量ΔφUと下ローラ径減少量ΔφDとの加算値(ΔDax=ΔφU+ΔφD)になっていることを考慮すれば、(2)式は、(3)式に示すように変更でき、その(3)式により上ローラ径φUが電極制御部30によりリアルタイムに算出されることが分かる。
φU=φU0−(ΔDax−ΔφD) …(3)
φU:上ローラ径
φU0:初期上ローラ径
ΔDax:軸間距離減少量(距離計測機構42に基づいて計測)
ΔφD:下ローラ径減少量(径計測機構48に基づいて計測)
なお、図4において、上ローラ電極14aと下ローラ電極14bの加圧通電による上ワーク12aのフランジ部16の厚み減少量αと、下ワーク12bの厚み減少量βの計測(ワーク厚検知工程)については後述する。
上述したように、上ローラ径減少量ΔφUと、下ローラ径減少量ΔφDとは、シーム溶接時における上ローラ電極14aと下ローラ電極14bの消耗量に相当し、また、ドレス時における上ローラ電極14aと下ローラ電極14bのドレス量に相当する点に留意する。
図1に示すように、シーム溶接装置10は、さらに、ワーク12を保持して上ローラ電極14a及び下ローラ電極14b間に送るロボット50と、ロボット50を含む装置全体を総合的に制御するコントローラである制御装置52とを備える。制御装置52と電極制御部30とは、相互間で通信する。
以下では、上ローラ電極14a及び下ローラ電極14bをまとめてローラ電極14として図示及び説明することがある。
ロボット50は、プログラム動作により駆動される公知の産業用多関節型ロボットであり、アーム70の先端に設けたワーク保持治具72を介して、ワーク12を保持して任意の位置に且つ任意の姿勢に移動させることができる。
この場合、制御装置52は、電極制御部30との連係制御下に、ロボット50を、予め設定されたティーチングに従い、溶接点Pw(図1参照)においてワーク12のフランジ部16を常に図1中、紙面と直交する方向(水平方向)に送るように駆動制御される。溶接点Pwは、ローラ電極14の上下ローラ径減少量ΔφU、ΔφDによってZ軸方向(鉛直方向)に移動するので、その分、ロボット50により溶接点PwをZ軸方向に補正する。
すなわち、この実施形態では、図5のブロック図に示すように、シーム溶接時において、距離計測機構42により軸間距離減少量ΔDaxを検知すると共に、径計測機構48により下ローラ径減少量ΔφDを検知することにより、電極制御部30及び制御装置52の連係制御下に、溶接点Pwにおける上ローラ電極14aと下ローラ電極14bの周速が常に等しい速度になるようにモータ43aとモータ43bの回転速度Na、Nbを制御すると共に、ローラ電極14の上下ローラ径減少量ΔφU、ΔφDに応じて、溶接点PwをZ軸方向(鉛直方向)にロボット50を通じて補正するようにしている。
この実施形態に係るシーム溶接装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その動作及び作用効果について説明する。
溶接工程においては、まず、ワーク12を、ワーク保持治具72を介してロボット50のアーム70に保持させる。
これにより、アーム70を駆動すればワーク12を所定の姿勢に容易に変位させることができ、該ワーク12を予め教示された(ティーチングされた)溶接教示線TL(図2参照)に沿ってローラ電極14間に適切に送ることができる(図1及び図2参照)。この場合、制御装置52の制御下に、電極制御部30を通じて上部電極機構26a及び下部電極機構26bによる上ローラ電極14a及び下ローラ電極14bの回転駆動によるワーク12の送り動作と、アーム70によるワーク12の送り動作とが同期するように設定される。
上部電極機構26a及び下部電極機構26bは、例えば、制御装置52から電極制御部30を通じて出力されるモータ用制御信号によってモータ43a、43bの回転速度Na、Nbを制御する。制御装置52には、ワーク12の溶接教示線TL等に対応する所望の数値制御情報等が予め入力されており、ロボット50は、制御装置52から出力されるロボット用制御信号に基づいて各種の動作が制御される。
次に、図6に示すように、ロボット50のアーム70の動作によって上ローラ電極14aと下ローラ電極14bとの間にワーク12のフランジ部16を挟持させる。
上ローラ電極14aと下ローラ電極14bは、上部電極機構26a及び下部電極機構26bによって予め所定間隔離間した状態にあり、電極制御部30からの指令に基づいて上部電極駆動部36a及び下部電極駆動部36bが第1アーム部材38a及び第2アーム部材38bを互いに接近する方向に変位することにより、上ローラ電極14aと下ローラ電極14bとの間にワーク12のフランジ部16(溶接スタート位置)が挟持され、上部電極駆動部36a及び下部電極駆動部36bによる上ローラ電極14a及び下ローラ電極14bの加圧(押圧)作用によってフランジ部16に所定の加圧力が付与される。この加圧力は、図6中のZ軸に沿う方向(鉛直方向)で付与される。
続いて、制御装置52の制御下に、図示しない電源装置によってワーク12のフランジ部16を挟持した上ローラ電極14a及び下ローラ電極14bに対する通電が行われる。同時に、上ローラ電極14a及び下ローラ電極14bが回転駆動されることで、ワーク12のフランジ部16が溶接教示線TLに沿ってシーム溶接され接合される。
図7の模式的な一部斜視図及び図8の模式的な一部側面図に示すように、このシーム溶接中(加圧通電且つ所定周速(溶接速度)でワーク12の送り中)に、上ローラ径φUと下ローラ径φDが経時的に減少する。なお、図7及び図8において、実際上、ローラ電極14a、14bが通過した部分の上ワーク12aと下ワーク12b間のワーク間の隙間はなくなる。
上ローラ径φUと下ローラ径φDが減少すると、上ワーク12aと下ワーク12bとの間でナゲットが形成される部分の接触面積Sが変化する。
この実施形態では、電極制御部30が、接触面積Sを算出し、算出した接触面積Sに基づき、次の(4)式に示すように、電極制御部30により溶接電流値Ioutを決定している。
Iout=Iref×(S/S0) …(4)
Iout:溶接電流値
Iref:初期溶接電流値(基準溶接電流値)
S:接触面積
S0:初期接触面積(基準接触面積)
なお、接触面積Sは、接触長さLとローラ電極14a(14b)の幅(ローラ電極14を円柱であるとした場合、その高さを意味する。)Hを乗算した長方形(稀に正方形)の面積になる。
すなわち、接触面積Sは、S=L×Hで算出される。
公知のように、単位体積当たりの発熱量Qは、次の(5)式で表現される。
Q=0.24×δ2×T …(5)
Q:発熱量
δ:溶接電流密度
T:通電時間
ここで、通電時間Tは、接触長さLを、周速、すなわち溶接速度Ws(単位は、例えば、[m/min])で除算した値で算出される。
溶接電流密度δは、溶接電流値Ioutを接触面積Sで除算した値として得られ、次の(6)式で表現される。
δ=Iout/S=Iref/S0 …(6)
この(6)式から、シーム溶接では、各ローラ電極14a、14bのローラ径φU、φDが経時的に減少し、各ローラ電極14a、14bとワーク12との接触面積Sが減少しても、溶接電流密度δが一定(δ=一定)になるように溶接電流値Ioutを減少させることで、ワーク12間に正常なナゲットを形成することができることが分かる。
この場合、まず、初期上ローラ径φU0及び初期下ローラ径φD0でワーク12を加圧通電したときの接触面積(初期接触面積又は基準接触面積という。)S0下の条件において、溶接速度Wsに応じて、正常なナゲットを形成することができる溶接電流値(初期溶接電流値又は基準溶接電流値という。)Irefを予め求めておく。
この場合、溶接電流密度δは、次の(7)式で表現することができる。
δ=Iref/S0 …(7)
この溶接電流密度δを、シーム溶接の開始時から終了時まで一定に制御する((6)式参照)ことで正常なナゲットを形成することができる。
(6)式と(7)式を等しいとおいて、溶接電流値Ioutで解けば、上記した以下に再掲する(4)式が得られる。
Iout=Iref×(S/S0) …(4)
すなわち、接触面積Sの減少に比例して溶接電流値Ioutを減少させれば、ワーク12のフランジ部16に対するシーム溶接の全期間において、溶接電流密度δが(7)式に示す一定値に保持されることが分かる。
ここで、図9の基準溶接電流値Irefの特性90に示すように、基準溶接電流値Irefは、初期接触面積S0下において、溶接速度Ws1〜Ws3と増加しても、基準溶接電流値Iref=I01と一定であり、溶接速度Ws4以降、溶接速度Ws4、Ws5、Ws6との増加に伴って、基準溶接電流値I02、I03、I04と増加させればよいことが分かった。
溶接速度Wsが決定されると、基準溶接電流値Irefを図9の特性90から決定することができる。
次に加圧通電時(シーム溶接時)における上ローラ電極14aと下ローラ電極14bの電極制御部30による接触面積Sの算出の仕方について説明する。
接触面積Sは、接触長さL(図7、図8参照)に接触幅H´を乗算することで算出される。接触幅H´は、ローラ幅Hより僅かに小さい値となるが、ローラ幅Hで近似することができるので、接触面積Sは、(8)式で表すことができる。
S=L×H …(8)
ローラ幅Hは、一定であるので、接触長さLが求められれば、接触面積Sを求めることができる。
図8に示すように、加圧通電時には、上ワーク12a及び下ワーク12bに対し、ワーク12a、12bの(各フランジ部16)の厚み減少量α、βが発生する。
この厚み減少量α、βは、図1において矢印Jの方向からカメラで撮像することにより求めることができる。この場合、図6に示すようにコラム28に支持軸102の根本を取付け、支持軸102の先端にカメラ104の撮像部がワーク12のフランジ部16の端部側に向くようにカメラ104を取り付け、且つ支持軸102が鉛直方向(Z軸方向)に移動可能に構成すれば、カメラ104による撮像画像(図8の中央部分を撮像した画像)から厚み減少量α、βが、電極制御部30に取り込まれる。
厚み減少量α、βは、また、上部電極駆動部36aと下部電極駆動部36bのいずれかに鉛直方向の移動距離センサを設け、上ローラ電極14aと下ローラ電極14bとでワーク12のフランジ部16を挟持した位置からの加圧通電時における前記移動距離センサによる減り込み量(減り込み距離)と、距離計測機構42による軸間距離減少量ΔDaxとから求めることができる。なお、厚み減少量α、βは、図2例の燃料タンクの場合には、実験によりそれぞれ一定値(略同値)となることが確かめられた。
以上のように、厚み減少量α、βは、既知の値となる。
そこで、図8において、上ローラ電極14aとワーク12aの上方の表面で形成される弦の長さを2Laとおき、下ローラ電極14bとワーク12bの下方の表面で形成される弦の長さを2Lbとおくと、接触長さLは、長さ2La及び長さ2Lbをそれぞれ上底、下底とした台形の中線の長さに等しいことが分かる。
つまり、接触長さLは、ワーク12a、12bの板厚が等しい(厚みが同一)ことを考慮すれば、L=(2La+2Lb)/2=La+Lbにより算出することができる。
各弦の半分の長さLa、Lbは、それぞれ三平方の定理から次の(9)式及び(10)式で算出することができる。但し、uはφUの半径(φU=2×u)、dはφDの半径(φD=2×d)である。
La=(u2−(u−α)21/2 …(9)
Lb=(d2−(d−β)21/2 …(10)
よって、接触長さLは、次の(11)式で算出することができ、接触面積Sは、次の(12)式で算出することができる。
L=La+Lb=(φU・α−α21/2+(φD・β−β21/2 …(11)
S=L×H=((φU・α−α21/2+(φD・β−β21/2)・H
…(12)
(11)式又は(12)式において、上ローラ径φU及び下ローラ径φDが、それぞれ(3)式及び(1)式によりリアルタイムに算出できるので、電極制御部30により接触長さL又は接触面積Sは、リアルタイムに算出することができる。
従って、上記(4)式により溶接電流値Ioutをリアルタイムに算出することができる。なお、初期溶接電流値Irefは、図9の特性90から既知である。
なお、2La、2Lbの長さは、カメラ104の画像により電極制御部30で算出することもできる。
[実施形態のまとめ]
以上説明したように、上述した実施形態に係るシーム溶接方法及びシーム溶接装置10は、積層した2枚のワーク12(12a、12b)を、一対の上下ローラ電極14a、14b間に加圧挟持し、上下ローラ電極14a、14bを回転させながらワーク12を上下ローラ電極14a、14bに対して相対的に移動させ、ワーク12を介して上下ローラ電極14a、14b間に電流を流して抵抗溶接を行うシーム溶接方法及びシーム溶接装置10である。
まず、ワーク厚検知工程では、上下ローラ電極14a、14bの加圧通電によるワーク12の厚み減少量α、βを、例えばカメラ104と電極制御部30により検知する。ワーク厚検知手段は、例えばカメラ104と電極制御部30により構成される。
次に、ローラ径検知工程では、距離計測機構42により検知される軸間距離減少量ΔDaxと、径計測機構48により検知される下ローラ径減少量ΔφDから上記(3)式及び(1)式によりそれぞれ上下ローラ径φU、φDを検知する。ローラ径検知手段は、距離計測機構42と径計測機構48と電極制御部30とにより構成される。
次いで、接触面積算出工程では、それぞれ検知されたワーク12の厚み減少量α、βと各ローラ電極14a、14bのローラ径φU、φDから(12)式により接触面積Sを算出する。接触面積算出手段は、距離計測機構42と径計測機構48と電極制御部30とにより構成される。
さらに、溶接電流値決定工程では、算出されたワーク12間の接触面積Sに基づき溶接電流値Ioutを(4)式に基づき決定する。溶接電流値決定手段は、電極制御部30により構成される。
この実施形態に係るシーム溶接方法及びシーム溶接装置10によれば、上下ローラ電極14a、14bのローラ径φU、φDと、上下ローラ電極14a、14bの加圧通電により減少するワーク12の厚み減少量α、βとから接触面積Sを算出することができるので、溶接電流値Ioutを容易に最適な溶接電流値Ioutに設定することができる。
この結果、上下ローラ電極14a、14bの径変更、加圧力の変更、ワーク12の厚みや強度の変更等の溶接条件の変更が発生した場合には、正常なナゲットを形成するために、特許文献1のように、その都度、変更後のシーム溶接装置に合致する、溶接電流制御用の設定値を、各ローラ電極の径の消耗量との関係において実験的に求めて予め制御装置に記憶させる必要がなく、容易に最適な溶接電流値Ioutに変更することができ、管理工数コストが上昇することがないという効果が達成される。
3個のワーク12に対するシーム溶接結果において、溶接教示線TLと実際の溶接線との間の軌跡ずれは、ワーク12のフランジ部16の長さが10[mm]の部位では、5[mm]±1[mm]の範囲に収まり、ワーク12のフランジ部16の長さが12[mm]の部位(図2中、奥側、自動二輪車上ではリア側)では、8[mm]±1[mm]の範囲に収めることができた。また、外観、気密検査は、良好であった。
なお、この発明は、上述の実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
10…シーム溶接装置 12(12a、12b)…ワーク
14…ローラ電極 14a…上ローラ電極
14b…下ローラ電極 16…フランジ部
30…電極制御部 42…距離計測機構
48…径計測機構 104…カメラ

Claims (3)

  1. 積層した2枚のワークを、一対のローラ電極間に加圧挟持し、前記ローラ電極を回転させながら前記ワークを前記ローラ電極に対して相対的に移動させ、前記ワークを介して前記ローラ電極間に電流を流して抵抗溶接を行うシーム溶接方法において、
    各ローラ電極の加圧通電による前記ワークの厚み減少量を検知するワーク厚検知工程と、
    各ローラ電極の径を検知するローラ径検知工程と、
    それぞれ検知された前記ワークの厚み減少量と各ローラ電極の径から前記ワーク間の接触面積を算出する接触面積算出工程と、
    算出された前記ワーク間の接触面積に基づき溶接電流値を決定する溶接電流値決定工程と、
    を備えることを特徴とするシーム溶接方法。
  2. 請求項1記載のシーム溶接方法において、
    前記接触面積算出工程では、
    前記一対のワークの各ワークの厚みが同一であって、一方のローラ電極の径をφU、他方のローラ電極の径をφD、一方のローラ電極に接触するワークの厚み減少量をα、及び他方のローラ電極に接触するワークの厚み減少量をβ、各ローラ電極のワークとの接触幅をH、及び前記接触面積をSとしたとき、前記接触面積Sは、
    S=((φU・α−α21/2+(φD・β−β21/2)・H
    として算出する
    ことを特徴とするシーム溶接方法。
  3. 積層した2枚のワークを、一対のローラ電極間に加圧挟持し、前記ローラ電極を回転させながら前記ワークを前記ローラ電極に対して相対的に移動させ、前記ワークを介して前記ローラ電極間に電流を流して抵抗溶接を行うシーム溶接装置において、
    各ローラ電極の加圧通電による前記ワークの厚み減少量を検知するワーク厚検知手段と、
    各ローラ電極の径を検知するローラ径検知手段と、
    それぞれ検知された前記ワークの厚み減少量と各ローラ電極の径から前記ワーク間の接触面積を算出する接触面積算出部と、
    算出された前記ワーク間の接触面積に基づき溶接電流値を決定する溶接電流値決定部と、
    を備えることを特徴とするシーム溶接装置。
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