JP4794301B2 - 抗体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の抗体または抗体断片を結合する多重特異性抗体の製造において目的とする型の抗体を優先的に製造する方法に関する。より詳細には、第一の重鎖と結合していない第一の軽鎖と第二の軽鎖と結合していない第二の重鎖の接触、及び、第一の軽鎖と結合していない第一の重鎖と第二の重鎖と結合していない第二の軽鎖の接触を阻害することを含む抗体の製造方法に関する。また、本発明は該方法を利用した抗体組成物の比活性を増加させる方法、該方法により得られる抗体組成物、並びに該方法において使用できるベクター、該ベクターを含むベクターキット、及び該ベクターまたはベクターキットを含有する細胞に関する。
抗体は一般的には、2つの重鎖(H鎖)と2つの軽鎖(L鎖)で形成されている。1つのH鎖と1つのL鎖がジスルフィド架橋によりL鎖−H鎖の対を形成し、2つのL鎖−H鎖対がH鎖間の2組のジスルフィド架橋により結合され、抗体が形成されている。二特異性抗体(bispecific antibody;BsAb)は、二機能性抗体(bifunctional antibody)と呼ばれることもあり、2つの抗原決定基に特異的な結合部位を有する2種類の抗原と反応することができる多価抗体である。BsAbは、ハイブリッドハイブリドーマ、即ちクワドローマ(quadroma)と呼ばれる2種類の異なるモノクローナル抗体産生細胞の融合体を用いて産生することができる(米国特許第4,474,893号公報;R.Bos and W.Nieuwenhuitzen,Hybridoma 1992,11(1):41−51)。また、2種類のモノクローナル抗体のFab(抗原結合性)断片、またはFab’断片を化学的(M.Brennan et al.,Science 1985,229(1708):81−3)、または遺伝子操作により結合して作製することもできる。さらに、2つの完全なモノクローナル抗体を共有結合することで作製することもできる(B.Karpovsky et al.,J.Exp.Med.1984,160(6):1686−701)。
BsAb製造方法における問題点として、免疫グロブリンのH鎖及びL鎖が無作為に組み合わさるため、10種類の異なる抗体分子が産生される可能性がある点が挙げられる(M.R.Suresh et al.,Methods Enzymol.1986,121:210−28)。クワドローマにより産生される10種類の抗体のうち、所望の二特異性を有する抗体は、正しいL鎖とH鎖が組合されており、且つ、異なる結合特性を有する2組のL鎖・H鎖ペアにより構成された1種類の抗体のみである。そこで、クワドローマにより産生される10種類の抗体から所望の二重特異性を有する抗体を選択的に精製する必要がある。精製は、一般にアフィニティークロマトグラフィーを利用して行われるが、余計な手数を要し、またその収量も少なくなってしまうという問題点がある(Y.S.Massimo et al.,J.Immunol.Methods 1997,201:57−66)。
このような問題点を解消し、より大きな収量でBsAbを得る方法として、例えば、Fab’−チオニトロ安息香酸(TNB)誘導体とFab’−チオール(SH)等の抗体断片を化学的に連結する方法が知られている(Brennan et al.,Science 1985,229:81)。さらに、化学的に連結させることができるFab’−SH断片をより簡便に得るための方法として、大腸菌等の宿主から遺伝子組換技術により産生する方法が知られている(Shalaby et al.,J.Exp.Med.1992,175:217−25)。遺伝子組換技術を用いることにより、ヒト化抗体断片より構成されるBsAbを得ることもできる。また、ダイアボディ(Db)は、遺伝子融合により構築されたL鎖可変領域(VL)とH鎖可変領域(VH)が互いに結合できないくらいに短いリンカーによって結合されている2種類の断片からなるBsAbである(P.Holliner et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1993,90:6444−8;EP404,097号;WO93/11161号)。このようなDbをさらに改良したものとして単鎖(single chain)Dbを挙げることができる(WO03/087163号公報)。しかしながら、抗体断片は、完全長の抗体に比べ血清半減期が短く、完全抗体のようにエフェクター機能も有していない。そのため、完全長の抗体の方が、より診断や治療に適している場合があると考えられている。
産生された抗体H鎖をヘテロダイマーとして効率的に結合するための方法として、抗体H鎖のマルチマー化ドメインのCH3(定常領域の一部)ドメインに立体的に相補的な変異を導入する方法が知られている(Ridgway et al.,Protein Eng.1996,9:617−21)。この方法により製造されたH鎖も、依然として誤ったL鎖と対形成し得る。そこで、特表2001−523971号公報には、抗体結合ドメインを有するヘテロマー性ポリペプチドと結合した共通のL鎖を有する多重特異性抗体を製造する方法が記載されている。しかしながら、任意の抗体を2つ選んだ場合、同じL鎖を含む可能性は低く、該方法の実施が困難であることから、任意の異なるH鎖に対応し、高いアフィニティーを示す共通L鎖をスクリーニングする方法も本発明者らの一人により提案されている(PCT/JP04/000496)。
2つの異なる抗原に対する特異的結合能を有するBsAbは、in vitro及びin vivoにおける免疫診断、治療及び免疫学的検定等の臨床分野において標的化薬剤として有用である。例えば、BsAbの一方の腕を酵素免疫分析に使用する酵素上の酵素反応を阻害しない部分のエピトープと結合するように、そして他方の腕を固定化用担体に結合するように設計することで、担体上に酵素を結合する媒体として使用することができる(Hammerling et al.,J.Exp.Med.1968,128:1461−73)。その他、例えば、抗体ターゲティング化血栓溶解療法を挙げることができる。該療法として、血栓に含まれるフィブリン特異的に、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター、プロウロキナーゼ等の酵素またはその前駆体等の蛋白を運搬する抗体を用いることが検討されている(T.Kurokawa et al.,Bio/Technology 1989,7:1163;特開平5−304992号公報)。さらに、癌ターゲティングに応用可能なマウス・ヒト・キメラ二重特異性抗体(特開平2−145187号公報)、種々の腫瘍を対象とした癌治療及び診断(例えば、特開平5−213775号公報;特開平10−165184号公報;特開平11−71288号公報;特表2002−518041号公報;特表平11−506310号公報;Link et al.,Blood 1993,81:3343;T.Nitta et al.,Lancet 1990,335:368−71;L.deLeij et al.,Foundation Nationale de Transfusion Sanguine,Les Ulis France 1990,249−53;Le Doussal et al.,J.Nucl.Med.1993,34:1662−71;Stickney et al.,Cancer Res.1991,51:6650−5参照)、真菌治療(特開平5−199894号公報)、免疫応答誘導(特表平10−511085号公報;Weiner et al.,Cancer Res.1993,53:94−100)、T細胞殺細胞作用の誘導(Kroesen et al.,Br.J.Cancer 1994,70:652−61;Weiner et al.,J.Immunol.1994,152:2385)、免疫分析(M.R.Suresh et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1986,83:7989−93;特開平5−184383号公報)、免疫組織化学(C.Milstein and A.C.Cuello,Nature 1983,305:537)等にBsAbを使用することが報告されている。
抗体の抗原特異性を決定するH鎖及びL鎖の可変領域塩基配列を取得することにより、特定の抗原に特異的な抗体を遺伝子工学的に作製することができる(J.Xiang et al.,Mol.Immunol.1990,27:809;C.R.Bebbington et al.,Bio/Technology 1992,10:169)。抗原特異的H及びL鎖を取得する方法として、大腸菌を宿主とし、ファージまたはファージミドを利用した方法が公知である(W.D.Huse et al.,Science 1989,246:1275;J.McCafferty et al.,Nature 1990,348:552;A.S.Kang et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1991,88:4363)。これらの方法ではFabを産生させて抗体ライブラリーとするか、または、Fab若しくは一本鎖Fvとファージコート蛋白質との融合蛋白質を産生させて抗体ライブラリーとする。最終的に、抗原との結合性を調べることにより、それらの抗体ライブラリーから抗原特異的抗体及びその遺伝子を選択する。
二特異性抗体(BsAb)発現の際、knobs−into−holes技術の利用によってH鎖については殆どがヘテロな組合せ(Ha−Hb)になるが、一方それぞれのH鎖に対応するL鎖が必ずしもそれぞれ目的のH鎖へ結合したもののみにはならない。すなわち、考えられるH鎖、L鎖の組合せはHaLa−HbLb(目的型)、HaLb−HbLa、HaLa−HbLa、HaLb−HbLbの4通り存在する。従って、二特異性アゴニストIgGをknobs−into−holesを採用した2種のH鎖と2種のL鎖を単に発現させた場合、生成するIgGの見かけ上の比活性は非目的型IgGの存在により、期待されるよりも低減されたものになってしまうことが予想される。鎖によって発現量が異なる可能性があるため、また非目的型のH鎖とL鎖の親和性の強弱が異なる可能性があるため、目的型のIgGの生成率は一定ではないと考えられる。また目的型IgGの生成IgG全体に対する比を確認する手段も無い。これらのことはアゴニスト活性に基づく抗体のスクリーニングを困難なものにしている。この問題は、全てのBsAbを含む多特異性抗体の作成時に発生する可能性が高い。
上記課題を解決する方法として、本発明者らは、knobs−into−holesによって一方のH鎖だけでは細胞より分泌されないことに着目し、一方のH鎖及びL鎖(Ha及びLa)を発現させ、その発現を抑制した後もう一方のH鎖及びL鎖(Hb及びLb)を発現させ、先に目的HL分子(HaLa及びHbLb)を構築した後にH鎖同士を対合させる(H)ことで目的型BsAbの形成を優先させることができることを発見し、本発明を完成した。本発明により、二特異性IgG等の多重特異性抗体の作製時に、例えば、抗体左腕H鎖およびL鎖(Left HL)、抗体右腕H鎖およびL鎖(Right HL)それぞれを発現制御ベクターにより時間差で発現させる等、対応しない重鎖と軽鎖の接触を阻害することにより目的とする抗体を効率的に産生することができる。
より詳細には本発明により、
(1)第一のH鎖と結合していない第一のL鎖と第二のL鎖と結合していない第二のH鎖の接触を阻害し、第一のL鎖と結合していない第一のH鎖と第二のH鎖と結合していない第二のL鎖の接触を阻害することを特徴とする抗体の製造方法、
(2)抗体の第一の対と第二の対を異なる時期に発現させることを特徴とする抗体の製造方法、
(3)以下の工程を含む抗体の製造方法
(a)抗体の第一のH鎖と第一のL鎖を発現させ、第一の対を作製する工程、
(b)抗体の第二のH鎖と第二のL鎖を発現させ、第二の対を作製する工程、及び
(c)抗体の第一の対と第二の対を用いて抗体を作製する工程、
(4)以下の工程を含む抗体の製造方法
(a)抗体の第一のH鎖と第一のL鎖の発現を誘導して第一の対を作製する工程、
(b)抗体の第一のH鎖と第一のL鎖の発現の誘導をとめる工程、
(c)抗体の第二のH鎖と第二のL鎖の発現を誘導して第二の対を作製する工程、及び
(d)抗体の第一の対と第二の対を用いて抗体を作製する工程、
(5)第一のH鎖と第二のH鎖のアミノ酸配列が異なり、かつ第一のL鎖と第二のL鎖のアミノ酸配列が異なる抗体である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法、
(6)抗体が二特異性抗体である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法、
(7)第一の対同士又は第二の対同士では抗体が形成されにくい抗体であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法、
(8)第一の対同士又は第二の対同士では抗体が形成されにくい抗体が、knobs−into−holesが導入された抗体であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の製造方法、
(9)第一の発現調節因子により第一のH鎖及び第一のL鎖の発現が誘導されるベクター、および第二の発現調節因子により第二のH鎖及び第二のL鎖の発現が誘導されるベクターを用いることを特徴とする抗体の製造方法、
(10)抗体組成物の、第一の対と第二の対を含む抗体の割合を高くすることにより、抗体組成物の比活性を増加させる方法、
(11)抗体の第一の対と第二の対を異なる時期に発現させることにより、抗体組成物の比活性を増加させる方法、
(12)抗体の第一の対と第二の対を異なる時期に発現させることにより、第一の対と第二の対を含む抗体以外の抗体の産生を抑制する方法、
(13)異なる2種以上の発現誘導剤を用いることを特徴とする抗体の第一の対と第二の対を異なる時期に発現させる方法、
(14)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の方法により製造される抗体、
(15)第一のH鎖、第二のH鎖、第一のL鎖、第二のL鎖を同時期に発現させて作製された抗体組成物と比較して、第一の対と第二の対を含む抗体の割合が高い抗体組成物、
(16)抗体のL鎖とH鎖がペプチドリンカーで介されていないことを特徴とする上記(15)記載の抗体組成物、
(17)発現誘導剤により抗体のL鎖またはH鎖の発現が誘導されるベクター、
(18)第一の発現調節因子により抗体の第一のL鎖及び第一のH鎖の発現が誘導されるベクターと、第二の発現調節因子により抗体の第二のL鎖及び第二のH鎖の発現が誘導されるベクターを含むベクターキット、
(19)上記(17)または(18)に記載のベクターを含有する細胞、並びに
(20)抗体の第一の対と第二の対を異なる時期に発現することが可能な細胞、
が提供される。
1.抗体の製造方法
本発明は、複数の抗体または抗体断片を結合する多重特異性抗体の製造において目的とする型の抗体を優先的に製造する方法に関する。より詳細には、二特異性抗体(BsAb)のような多重特異性抗体の製造においては、第一の重鎖(H鎖)と結合していない第一の軽鎖(L鎖)と第二のL鎖と結合していない第二のH鎖の接触、及び、第一のL鎖と結合していない第一のH鎖と第二のH鎖と結合していない第二のL鎖の接触を阻害することにより目的型のBsAbを優先的に製造することができる。本発明では、例えば、まず(1)抗体の第一のH鎖と第一のL鎖を発現させ、第一のH鎖・L鎖対を作製し、別に(2)抗体の第二のH鎖と第二のL鎖を発現させ、第二のH鎖・L鎖対を作製した後、(3)(1)及び(2)の工程により作製された2つの対を用いて所望のBsAbを優先的に製造することができる。そして、三以上の特異性を有する抗体の製造を目的とする場合には、BsAbを製造する場合と同様に第一〜所望の数までのH鎖・L鎖の対をそれぞれ発現し形成させた後に、作製された対を用いて所望の多重特異性抗体を製造することができる。以下、多重特異性抗体のうちBsAbを例として説明するが、本発明の方法はその他の多重特異性抗体にも同じように適用することができる。
本発明において、目的とする多重特異性抗体がBsAbであれば、「第一の重(H)鎖」とは抗体を形成する2つのH鎖のうちの一方のH鎖であり、第二のH鎖は第一のH鎖とは異なるもう一方のH鎖のことをいう。つまり、2つのH鎖のうち任意にどちらか一方を第一のH鎖とし、他方を第二のH鎖とすることができる。同様に、「第一の軽(L)鎖」とはBsAbを形成する2つのL鎖のうちの一方のL鎖であり、第二のL鎖は第一のL鎖とは異なるもう一方のL鎖のことを指し、2つのL鎖のうちどちらか一方を任意に第一のL鎖とし、他方を第二のL鎖とすることができる。通常、第一のL鎖と第一のH鎖は或る抗原(又はエピトープ)を認識する同一の抗体より由来し、第二のL鎖と第二のH鎖も或る抗原(又はエピトープ)を認識する同一の抗体より由来するが、これに限定されるわけではない。ここで、第一のH鎖・L鎖で形成されるL鎖−H鎖対を第一の対、第二のH鎖・L鎖で形成されるL鎖−H鎖対を第二の対と呼ぶ。第二の対の由来となる抗体を作製する際に用いられる抗原(又はエピトープ)は、第一の対の由来となる抗体を作製する際に用いられるものとは異なっていることが好ましい。即ち、第一の対と第二の対が認識する抗原は同じでもよいが、好ましくは異なる抗原(又はエピトープ)を認識する。この場合、第一の対及び第二の対のH鎖とL鎖は互いに異なるアミノ酸配列を有していることが好ましい。第一の対と第二の対が異なる抗原決定部位を認識する場合、該第一の対と第二の対は全く異なる抗原を認識してもよいし、同一抗原上の異なる部位(異なるエピトープ)を認識してもよい。又、一方がタンパク質、ペプチド、遺伝子、糖などの抗原を認識し、他方が放射性物質、化学療法剤、細胞由来トキシン等の細胞傷害性物質などを認識してもよい。しかしながら、特定のH鎖とL鎖の組合せで形成される対を有する抗体を作製したいと考えた場合には、その特定のH鎖とL鎖を第一の対及び第二の対として任意に決定することができる。
抗体のH鎖又はL鎖をコードする遺伝子は既知の配列を用いることも可能であり、又、当業者に公知の方法で取得することもできる。例えば、抗体ライブラリーから取得することも可能であるし、モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマから抗体をコードする遺伝子をクローニングして取得することも可能である。
抗体ライブラリーについては既に多くの抗体ライブラリーが公知になっており、又、抗体ライブラリーの作製方法も公知であるので、当業者は適宜抗体ライブラリーを入手することが可能である。例えば、抗体ファージライブラリーについては、Clackson et al.,Nature 1991,352:624−8、Marks et al.,J.Mol.Biol.1991,222:581−97、Waterhouses et al.,Nucleic Acids Res.1993,21:2265−6、Griffiths et al.,EMBO J.1994,13:3245−60、Vaughan et al.,Nature Biotechnology 1996,14:309−14、及び特表平20−504970号公報等の文献を参照することができる。その他、真核細胞をライブラリーとする方法(WO95/15393号パンフレット)やリボソーム提示法等の公知の方法を用いることが可能である。さらに、ヒト抗体ライブラリーを用いて、パンニングによりヒト抗体を取得する技術も知られている。例えば、ヒト抗体の可変領域を一本鎖抗体(scFv)としてファージディスプレイ法によりファージの表面に発現させ、抗原に結合するファージを選択することができる。選択されたファージの遺伝子を解析すれば、抗原に結合するヒト抗体の可変領域をコードするDNA配列を決定することができる。抗原に結合するscFvのDNA配列が明らかになれば、当該配列を元に適当な発現ベクターを作製し、ヒト抗体を取得することができる。これらの方法は既に周知であり、WO92/01047、WO92/20791、WO93/06213、WO93/11236、WO93/19172、WO95/01438、WO95/15388を参考にすることができる。
ハイブリドーマから抗体をコードする遺伝子を取得する方法は、基本的には公知技術を使用し、所望の抗原または所望の抗原を発現する細胞を感作抗原として使用して、これを通常の免疫方法にしたがって免疫し、得られる免疫細胞を通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合させ、通常のスクリーニング法により、モノクローナルな抗体産生細胞(ハイブリドーマ)をスクリーニングし、得られたハイブリドーマのmRNAから逆転写酵素を用いて抗体の可変領域(V領域)のcDNAを合成し、これを所望の抗体定常領域(C領域)をコードするDNAと連結することにより得ることができる。
より具体的には、特に以下の例示に限定される訳ではないが、本発明のH鎖及びL鎖をコードする抗体遺伝子を得るための感作抗原は、免疫原性を有する完全抗原と、免疫原性を示さないハプテン等を含む不完全抗原の両方を含む。例えば、目的タンパク質の全長タンパク質、又は部分ペプチドなどを用いることができる。その他、多糖類、核酸、脂質等から構成される物質が抗原となり得ることが知られており、本発明の抗体の抗原は特に限定されるものではない。抗原の調製は、当業者に公知の方法により行うことができ、例えば、バキュロウイルスを用いた方法(例えば、WO98/46777など)などに準じて行うことができる。ハイブリドーマの作製は、たとえば、ミルステインらの方法(G.Kohler and C.Milstein,Methods Enzymol.1981,73:3−46)等に準じて行うことができる。抗原の免疫原性が低い場合には、アルブミン等の免疫原性を有する巨大分子と結合させ、免疫を行えばよい。また、必要に応じ抗原を他の分子と結合させることにより可溶性抗原とすることもできる。受容体のような膜貫通分子を抗原として用いる場合、受容体の細胞外領域部分を断片として用いたり、膜貫通分子を細胞表面上に発現する細胞を免疫原として使用することも可能である。
抗体産生細胞は、上述の適当な感作抗原を用いて動物を免疫化することにより得ることができる。または、抗体を産生し得るリンパ球をin vitroで免疫化して抗体産生細胞とすることもできる。免疫化する動物としては、各種哺乳動物を使用できるが、ゲッ歯目、ウサギ目、霊長目の動物が一般的に用いられる。マウス、ラット、ハムスター等のゲッ歯目、ウサギ等のウサギ目、カニクイザル、アカゲザル、マントヒヒ、チンパンジー等のサル等の霊長目の動物を例示することができる。その他、ヒト抗体遺伝子のレパートリーを有するトランスジェニック動物も知られており、このような動物を使用することによりヒト抗体を得ることもできる(WO96/34096;Mendez et al.,Nat.Genet.1997,15:146−56参照)。このようなトランスジェニック動物の使用に代えて、例えば、ヒトリンパ球をin vitroで所望の抗原または所望の抗原を発現する細胞で感作し、感作リンパ球をヒトミエローマ細胞、例えばU266と融合させることにより、抗原への結合活性を有する所望のヒト抗体を得ることもできる(特公平1−59878号公報参照)。また、ヒト抗体遺伝子の全てのレパートリーを有するトランスジェニック動物を所望の抗原で免疫することで所望のヒト抗体を取得することができる(WO93/12227、WO92/03918、WO94/02602、WO96/34096、WO96/33735参照)。
動物の免疫化は、例えば、感作抗原をPhosphate−Buffered Saline(PBS)または生理食塩水等で適宜希釈、懸濁し、必要に応じてアジュバントを混合して乳化した後、動物の腹腔内または皮下に注射することにより行われる。その後、好ましくは、フロイント不完全アジュバントに混合した感作抗原を4〜21日毎に数回投与する。抗体の産生の確認は、動物の血清中の目的とする抗体力価を慣用の方法により測定することにより行われ得る。
ハイブリドーマは、所望の抗原で免疫化した動物またはリンパ球より得られた抗体産生細胞を、慣用の融合剤(例えば、ポリエチレングリコール)を使用してミエローマ細胞と融合して作成することができる(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,Academic Press,1986,59−103)。必要に応じハイブリドーマ細胞を培養・増殖し、免疫沈降、放射免疫分析(RIA)、酵素結合免疫吸着分析(ELISA)等の公知の分析法により該ハイブリドーマより産生される抗体の結合特異性を測定する。その後、必要に応じ、目的とする特異性、親和性または活性が測定された抗体を産生するハイブリドーマを限界希釈法等の手法によりサブクローニングすることもできる。
続いて、選択された抗体をコードする遺伝子をハイブリドーマまたは抗体産生細胞(感作リンパ球等)から、抗体に特異的に結合し得るプローブ(例えば、抗体定常領域をコードする配列に相補的なオリゴヌクレオチド等)を用いてクローニングすることができる。また、mRNAからRT−PCRによりクローニングすることも可能である。免疫グロブリンは、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMの5つの異なるクラスに分類される。さらに、これらのクラスは幾つかのサブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgG−1、IgG−2、IgG−3、及びIgG−4;IgA−1及びIgA−2等)に分けられる。本発明において抗体の製造に使用するH鎖及びL鎖は、これらいずれのクラス及びサブクラスに属する抗体に由来するものであってもよく、特に限定されないが、IgGは特に好ましいものである。
ここで、H鎖及びL鎖をコードする遺伝子を遺伝子工学的手法により改変することも可能である。例えば、マウス抗体、ラット抗体、ウサギ抗体、ハムスター抗体、ヒツジ抗体、ラクダ抗体等の抗体について、ヒトに対する異種抗原性を低下させること等を目的として人為的に改変した遺伝子組換え型抗体、例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体等を適宜作製することができる。キメラ抗体は、ヒト以外の哺乳動物、例えば、マウス抗体のH鎖、L鎖の可変領域とヒト抗体のH鎖、L鎖の定常領域からなる抗体であり、マウス抗体の可変領域をコードするDNAをヒト抗体の定常領域をコードするDNAと連結し、これを発現ベクターに組み込んで宿主に導入し産生させることにより得ることができる。ヒト化抗体は、再構成(reshaped)ヒト抗体とも称され、ヒト以外の哺乳動物、たとえばマウス抗体の相補性決定領域(CDR;complementary determining region)を連結するように設計したDNA配列を、末端部にオーバーラップする部分を有するように作製した数個のオリゴヌクレオチドからPCR法により合成する。得られたDNAをヒト抗体定常領域をコードするDNAと連結し、次いで発現ベクターに組み込んで、これを宿主に導入し産生させることにより得られる(EP239400;WO96/02576参照)。CDRを介して連結されるヒト抗体のFRは、相補性決定領域が良好な抗原結合部位を形成するものが選択される。必要に応じ、再構成ヒト抗体の相補性決定領域が適切な抗原結合部位を形成するように抗体の可変領域のフレームワーク領域のアミノ酸を置換してもよい(K.Sato et al.,Cancer Res.1993,53:851−856)。
上述のヒト化以外に、例えば、抗原との結合性等の抗体の生物学的特性を改善するために改変を行うことも考えられる。このような改変は、部位特異的突然変異(例えば、Kunkel(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:488参照)、PCR変異、カセット変異等の方法により行うことができる。一般に、生物学的特性の改善された抗体変異体は70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上(例えば、95%以上、97%、98%、99%等)のアミノ酸配列相同性及び/または類似性を元となった抗体の可変領域のアミノ酸配列に対して有する。本明細書において、配列の相同性及び/または類似性は、配列相同性が最大の値を取るように必要に応じ配列を整列化、及びギャップ導入した後、元となった抗体残基と相同(同じ残基)または類似(一般的なアミノ酸の側鎖の特性に基き同じグループに分類されるアミノ酸残基)するアミノ酸残基の割合として定義される。通常、天然のアミノ酸残基は、その側鎖の性質に基いて(1)疎水性:アラニン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン、メチオニン及びロイシン;(2)中性親水性:アスパラギン、グルタミン、システイン、スレオニン及びセリン;(3)酸性:アスパラギン酸及びグルタミン酸;(4)塩基性:アルギニン、ヒスチジン及びリシン;(5)鎖の配向に影響する残基:グリシンおよびプロリン;ならびに(6)芳香族性:チロシン、トリプトファン及びフェニルアラニンのグループに分類される。
通常、H鎖及びL鎖の可変領域中に存在する全部で6つの相補性決定領域(超可変部;CDR)が相互作用し、抗体の抗原結合部位を形成している。このうち1つの可変領域であっても全結合部位を含むものよりは低い親和性となるものの、抗原を認識し、結合する能力があることが知られている。従って、本発明のH鎖及びL鎖をコードする抗体遺伝子は、該遺伝子によりコードされるポリペプチドが所望の抗原との結合性を維持していればよく、H鎖及びL鎖の各々の抗原結合部位を含む断片部分をコードしていればよい。
さらに、本発明の方法においてH鎖をコードする遺伝子は、該遺伝子から発現される抗体が、第一の対同士又は第二の対同士では抗体が形成しにくいように工夫されていることが好ましい。例えば、knobs−into−holes(特表2001−523971)は、第一のポリペプチドの界面と第二のポリペプチドの界面で特異的かつ相補的な相互作用を導入する(例えば、非天然のジスルフィド結合が第一のポリペプチドと第二のポリペプチド間に形成されるように、第一のポリペプチドの界面に遊離チオール含有残基を、第二のポリペプチドの界面中に相当する遊離チオール含有残基を導入する)当業者に公知の技術であり、該方法を用いることによりヘテロマルチマー形成が促進され、ホモマルチマー形成が抑制されたH鎖を発現させることができる。
第一のH鎖と結合していない第一のL鎖と第二のL鎖と結合していない第二のH鎖の接触、及び、第一のL鎖と結合していない第一のH鎖と第二のH鎖と結合していない第二のL鎖の接触を阻害するためには、第一のH鎖と第二のL鎖を異なる時期に発現させ、第一のL鎖と第二のH鎖を異なる時期に発現させればよく、例えば、第一の対と第二の対を異なる時期に発現させる方法を採用することができる。
上述の第一の対と第二の対を異なる時期に発現させるのに対して、第一の対と第二の対を同時期に発現した場合には、通常、第一のH鎖と結合していない第一のL鎖と第二のL鎖と結合していない第二のH鎖の接触が阻害されず、第一のL鎖と結合していない第一のH鎖と第二のH鎖と結合していない第二のL鎖の接触が阻害されていないので、第一のH鎖と結合していない第一のL鎖と第二のL鎖と結合していない第二のH鎖の結合が抑制されず、第一のL鎖と結合していない第一のH鎖と第二のH鎖と結合していない第二のL鎖の結合が抑制されてない状態となる。本発明において「第一の対と第二の対を同時期に発現する」とは、第一の対と第二の対の発現時期の少なくとも一部が重なっていることを意味し、好ましくは、第一の対と第二の対の発現時期が一致していることを指す。
本発明において、第一の対と第二の対を異なる時期に発現させる場合、第一の対が発現している時期と、第二の対が発現している時期が完全に異なっている、つまり、第一の対が発現している時は第二の対は発現しておらず、第二の対が発現している時は第一の対は発現していないことが好ましい。しかしながら、本発明はこれに限定されず、第一の対が発現している時期と第二の対が発現している時期の一部が重なっていても良い。第一のH鎖と第二のL鎖の結合を抑制し、第二のH鎖と第一のL鎖の結合を抑制するその他の方法としては、第一のH鎖と第二のL鎖を異なる時期に発現させ、第二のH鎖と第一のL鎖を異なる時期に発現させればよい。即ち、本発明の方法においては、第一のH鎖と第一のL鎖は同時期に発現させることが好ましいが、特に限定されず、第一のH鎖と第一のL鎖を異なる時期に発現させてもよい(第二のH鎖と第二のL鎖についても同様)。その場合、例えば、第一のH鎖と結合していない第一のL鎖と第二のL鎖と結合していない第二のH鎖の接触を阻害し、第一のL鎖と結合していない第一のH鎖と第二のH鎖と結合していない第二のL鎖の接触を阻害すれば第一のH鎖と第二のL鎖、及び第一のL鎖と第二のH鎖の結合を阻害することができる。例えば、第一の対と第二の対を異なる場所で発現させ、それぞれの対を形成してから、第一の対と第二の対を接触させ、抗体を作製してもよい。そのような方法の一つとして、第一の対と第二の対を異なる細胞中で発現させ、対形成させた後に、第一の対と第二の対を発現する細胞を融合して抗体を作製させる方法が考えられる。
第一の対と第二の対を異なる時期に発現させる為の具体的な方法としては、例えば、発現調節因子などを用いて第一の対と第二の対の発現を異なる時期に誘導する方法を挙げることができる。より具体的には、第一の発現調節因子により第一の対の発現が誘導されるベクターを構築し、第二の発現調節因子により第二の対の発現が誘導されるベクターを構築する。この際、第一の対と第二の対を一つのベクター上に構築してもよいし、異なる2つ以上のベクター上に構築してもよい。又、H鎖とL鎖を同一のベクター上に構築してもよいし、異なる2つ以上のベクターに構築してもよい。次に、構築したベクターを細胞に導入し、まず第一の発現調節因子により第一の対の発現を誘導する。その後、第二の発現調節因子により第二の対の発現を誘導する。この場合、第二の対の発現を誘導する前に、第一の対の発現を停止させておくことが好ましい。
発現調節因子は、宿主細胞中でのH鎖及びL鎖の発現を調節できるものであれば特に限定されず、どのような種類のものを用いてもよい。例えば、発現調節因子の不在下では発現が誘導されず、発現調節因子の存在下では発現が誘導されるものでもよいし、逆に、発現調節因子の存在下では発現が誘導されず、発現調節因子の不在下で発現が誘導されるものでもよい。発現調節因子は、発現誘導剤などの化合物でもよいし、又、温度(熱)などの物理的な要因であってもよい。発現誘導剤の具体的な例としては、テトラサイクリンなどの抗生物質、エクダイソンアナログなどのホルモン、Cre(causes recombination;相同組換え酵素)などの酵素、等を挙げることができる。また、誘導したH鎖及び/またはL鎖の発現をとめるためには、上述の発現調節因子として機能する発現誘導剤を除くことができる。温度(熱)等の物理的要因を発現調節因子とした場合には、発現が誘導されないような温度に戻すことにより誘導したH鎖及び/またはL鎖の発現をとめることができる。
発現調節因子により発現誘導されるベクターの構築は当業者に公知の方法で行うことができる。具体的な例としては、市販されている発現誘導剤により発現が誘導されるベクター(例えば、pcDNA4/TO、pIND:Invitrogen)に抗体の第一の対又は第二の対をコードする遺伝子を導入することにより作製することが可能である。通常、第一の対を構成するH鎖及びL鎖の発現を誘導する第一の発現調節因子と第二の対を構成するH鎖及びL鎖の発現を誘導する第二の発現調節因子は異なる発現調節因子である。また、場合により、第一のH鎖の発現を誘導する発現調節因子と第一のL鎖の発現を誘導する発現調節因子も異なるものであってもよい(第二のH鎖及びL鎖の発現調節因子についても同様)。このようにして構築された発現調節因子により抗体の第一または第二の対の発現が誘導されるベクターは、抗体の第一の対と第二の対を異なる時期に発現することが可能となる。又、当該ベクターが導入された宿主細胞は、抗体の第一の対と第二の対を異なる時期に発現することが可能な細胞となる。
本発明の各抗体断片を発現させるためのベクターの構築に当たっては、遺伝子情報の転写及び翻訳を制御するプロモーター、ターミネーター等のユニットが必要であり、さらに各抗体断片のN末端に適当なシグナル配列を配置することが好ましい。プロモーターとしては、lac、trp、tac、λファージPL、PR等に由来するプロモーターが利用可能である。ターミネーターとしては、trpA、ファージ、rrnBリボソーマルRNA由来のものを使用することができる。適当なシグナル配列としては、宿主細胞からの融合蛋白質の分泌を可能にするリーダーペプチド配列が挙げられ、pel1B分泌シグナルを例示することができる(Better et al.,Science 1988,240:1041−3;Sastry et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1989,86:5728参照)。
本発明の抗体の第一の対と第二の対を異なる時期に発現することが可能なベクターを作製する為に用いられるベクターは特に限定されず、どのようなベクターを用いてもよい。ベクターの具体的な例としては、哺乳動物由来の発現ベクター(例えば、pcDNA3(Invitrogen)、pEGF−BOS(Nucleic Acids Res.1990,18(17):5322)、pEF、pCDM8)、昆虫細胞由来の発現ベクター(例えば「Bac−to−BAC baculovirus expression system」(Gibco BRL)、pBacPAK8)、植物由来の発現ベクター(例えばpMH1、pMH2)、動物ウイルス由来の発現ベクター(例えば、pHSV、pMV、pAdexLcw)、レトロウイルス由来の発現ベクター(例えば、pZIPneo)、酵母由来の発現ベクター(例えば、「Pichia Expression Kit」(Invitrogen)、pNV11、SP−Q01)、枯草菌由来の発現ベクター(例えば、pPL608、pKTH50)、大腸菌由来の発現ベクター(M13系ベクター、pUC系ベクター、pBR322、pBluescript、pCR−Script)などが挙げられる。又、市販されている発現誘導剤により発現が誘導されるベクターを用いてもよい。
本発明の抗体の第一の対と第二の対を異なる時期に発現することが可能な細胞を作製する為に用いられる細胞は特に限定されず、どのような細胞を用いてもよい。真核細胞を宿主として使用する場合、動物細胞、植物細胞、真菌細胞を用いることができる。動物細胞としては、(1)哺乳類細胞、例えば、CHO、COS、ミエローマ、BHK(baby hamster kidney)、HeLa、Vero、(2)両生類細胞、例えば、アフリカツメガエル卵母細胞、または(3)昆虫細胞、例えば、sf9、sf21、Tn5などが知られている。植物細胞としては、ニコティアナ(Nicotiana)属、例えばニコティアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)由来の細胞が知られており、これをカルス培養すればよい。真菌細胞としては、酵母(例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等のサッカロミセス(Saccharomyces)属の細胞等)、糸状菌(例えば、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)等のアスペルギルス(Aspergillus)属の細胞等)などが知られている。原核細胞を使用する場合、細菌細胞を用いる産生系がある。細菌細胞としては、大腸菌(E.coli)、枯草菌等が知られている。本発明においては、糖鎖の付加、立体構造の維持等の観点から、動物細胞を用いることが好ましく、特に哺乳動物細胞を用いることが好ましい。これらの細胞に、本発明の抗体の第一の対と第二の対(場合により、第一並びに第二の対の各々のH鎖及びL鎖)を異なる時期に発現することが可能なベクターを導入することにより本発明の細胞を作製することができる。
構築した各対を発現するベクターの所望の宿主細胞への導入は、用いるベクター及び宿主細胞の種類に依存する。原核細胞を宿主として使用する場合には、例えば、カルシウムイオンを用いた方法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1972,69:2110)、プロトプラスト法(特開昭63−24829号公報)、エレクトロポレーション法(Gene 1982,17:107;Molecular & General Genetics 1979,168:111)等の方法により宿主細胞へ導入することができる。また、宿主細胞が酵母である場合には、エレクトロポレーション法(Methods in Enzymology 1990,194:182)、スフェロプラスト法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1984,81:4889)、酢酸リチウム法(J.Bacteriol.1983,153:163)等が挙げられ、植物細胞についてはアグロバクテリウム法(Gene 1983,23:315;WO89/05859等)、超音波処理による方法(WO91/00358)等が公知である。また、動物細胞を宿主とした場合には、エレクトロポレーション法(Cytotechnology 1990,3:133)、リン酸カルシウム法(特開平2−227075号公報)、リポフェクション法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1987,84:7413;Virology 1973,52:456)、リン酸−カルシウム共沈法、DEAE−デキストラン法、微小ガラス管を用いたDNAの直接注入法等が挙げられる。
上述のようにして取得された宿主細胞は、例えば、次のような方法で培養することができる。宿主が原核生物や真核微生物である場合は、培地は該生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等の生育に必要な物質を含有し、形質転換体の効率的な培養を可能にするものであれば天然培地、合成培地のいずれでもよい。培養は好気的条件、嫌気的条件のいずれで行ってもよく、生育温度、培地のpH、生育時間等の条件は、用いる形質転換体の種類に応じ適宜当業者により決定され得るものである。また、誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターについては、必要に応じてインデューサーを培地に添加すればよい(例えば、lacプロモーターであればIPTG、trpプロモーターであればIAA等)。昆虫細胞を宿主細胞として用いる場合には、培地としてはTNM−FH培地(Pharmingen)、Sf−900 II SFM培地(Life Technologies)、ExCell400及びExCell405(JRH Biosciences)、Grace’s Insect Medium(Nature 195:788(1962))等を用いることができ、必要に応じゲンタマイシン等の抗生物質を添加してもよい。宿主細胞が動物細胞である場合には、一般に使用されているRPMI1640培地(The Journal of American Medical Association 199:519(1967))、EagleのMEM培地(Science 122:501(1952))、DMEM培地(Virology 8:396(1959))、199培地(Proceeding of the Society for the Biological Medicine 73:1(1950))、または、これらの培地にBSA等を添加した培地を使用することができる。培養は通常の条件、例えば、pH6〜8、30〜40℃、5%CO存在下で行うことができる。この際、必要に応じカナマイシン、ペニシリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
抗体遺伝子を適当なベクターに組み込んで、これを宿主に導入し、遺伝子組換え技術を用いて抗体を産生させる方法は当業者によく知られている(例えば、Carl,A.K.Borrebaeck,James,W.Larrick,THERAPEUTIC MONOCLONAL ANTIBODIES,Published in the United Kingdom by MACMILLAN PUBLISHERS LTD,1990参照)。
本発明の具体的な抗体の製造方法として、例えば、次のような方法が考えられる。最初に、抗体左腕H鎖およびL鎖(Left HL)をテトラサイクリン誘導型のpcDNA4(Invitrogen)ベクターへ、抗体右腕H鎖およびL鎖(Right HL)をエクダイソン誘導型のpIND(Invitrogen)ベクターへ組み込む。全ての発現調節プラスミドを上述の適当な宿主細胞、例えば、COS−7等の動物細胞に形質導入する。その後、例えば、一次誘導としてテトラサイクリンを培地へ添加し、抗体左腕HL分子を細胞内で形成させる。1〜2日間の一次誘導発現後、一旦培地を洗浄することにより、最初の薬剤(ここではテトラサイクリン)を完全に除去する。次に、二次誘導用の薬剤エクダイソンアナログを含む新鮮な培地に置換し、二次誘導発現を例えば2〜3日間行う。その結果、抗体右腕HL分子が生成され、既に細胞中に存在していた左腕HL分子と会合し完全体BsAbが形成され、培地中へ分泌される。
本発明の抗体の製造方法により、第一の対と第二の対の両方を含む抗体以外の産性を抑制し、製造される抗体組成物中に含まれる第一の対と第二の対の両方を含む抗体の割合を高めることができる。即ち、本発明の方法により、製造される抗体組成物の比活性を増加させることができる。
2.抗体
本発明により上述の方法で製造される抗体が提供される。必要に応じ、上記方法により製造された抗体組成物中の抗体を、通常のタンパク質の精製で使用されている公知の方法により精製することができる。例えば、プロテインAカラムなどのアフィニティーカラム、クロマトグラフィーカラム、フィルター、限外濾過、塩析、透析等を適宜選択、組合せることにより、抗体を分離、精製することができる(Antibodies:A Laboratory Manual,Ed Harlow,David Lane,Cold Spring Harbor Laboratory,1988)。精製は、例えば、抗体の抗原結合活性を指標として行うことができる。抗体の抗原結合活性(Antibodies:A Laboratory Manual,Ed Harlow,David Lane,Cold Spring Harbor Laboratory,1988)の測定には公知の手段を使用することができる。例えば、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)、EIA(酵素免疫測定法)、RIA(放射免疫測定法)または蛍光免疫法などを用いることができる。
本発明で製造される多重特異性抗体は特に限定されないが、通常、第一のH鎖と第二のH鎖のアミノ酸配列が異なっており、第一のL鎖と第二のL鎖のアミノ酸配列が異なっている二特異性抗体(BsAb)である。以下、主としてBsAbについて述べるが、その他の多重特異性抗体にも同様に適用することができる。第一の対と第二の対が認識する抗原は同じでもよいが、好ましくは異なる抗原(又はエピトープ)を認識するBsAbである。本発明においては、全く異なる抗原を認識するBsAbでもよいし、同一抗原上の異なる部位(異なるエピトープ)を認識するBsAbでもよい。又、一方がタンパク質、ペプチド、遺伝子、糖などの抗原を認識し、他方が放射性物質、化学療法剤、細胞由来トキシン等の細胞傷害性物質などを認識してもよい。
本発明で製造される抗体は、第一の対同士又は第二の対同士では抗体が形成されにくい工夫がされていることが好ましい。そのような工夫の具体例としては、knobs−into−holesを挙げることができる。knobs−into−holesは、ヘテロマルチマー形成を促進し、ホモマルチマー形成を抑制するように、第一のポリペプチドの界面と第二のポリペプチドの界面で特異的かつ相補的な相互作用を導入する(例えば、非天然のジスルフィド結合が第一のポリペプチドと第二のポリペプチド間に形成されるように、第一のポリペプチドの界面に遊離チオール含有残基を、第二のポリペプチドの界面中に相当する遊離チオール含有残基を導入する)方法である(特表2001−523971)。knobs−into−holesは当業者に公知の技術であり、当業者は適宜、抗体に導入することが可能である。
又、本発明で製造される抗体は、H鎖とL鎖がリンカーなどで結合されていない抗体であることが好ましく、さらに好ましくはH鎖とL鎖間にジスルフィド結合以外の共有結合が存在しない抗体であることが好ましい。
また、抗体は抗原に結合することができれば、抗体断片等の低分子化抗体または抗体の修飾物などであってもよい。抗体断片の具体例としては、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、ダイアボディなどを挙げることができる。このような抗体断片を得るには、これら抗体断片をコードする遺伝子を構築し、これを発現ベクターに導入した後、適当な宿主細胞で発現させればよい(例えば、M.S.Co et al.,J.Immunol.1994,152:2968−2976;M.Better and A.H.Horwitz,Methods Ensymol.1989,178:476−496;A.Pluckthun and A.Skerra,Methods Enzymol.1989,178:497−515;E.Lamoyi,Methods Enzymol.1986,121:652−663;J.Rousseaux et al.,Methods Enzymol.1986,121:663−669;R.E.Bird and B.W.Walker,Trends Biotechnol.1991,9:132−137参照)。
抗体の修飾物として、ポリエチレングリコール(PEG)等の各種分子と結合した抗体を使用することもできる。又、抗体に標識物質、化学療法剤、細菌由来トキシン等の細胞傷害性物質などを結合することも可能である。特に標識抗体は有用であり、酵素、蛍光物質、発光物質、放射性同位体、金属キレート等により抗体を標識し、検出する方法が公知である。抗体修飾物は、得られた抗体に架橋剤等を用いて化学的な修飾を直接的に施すことによって得ることができる。また、抗体に対して低分子ハプテン(例えば、ビオチン、ジニトロフェニル、ピリドキサール、フルオレサミン等)を結合し、低分子ハプテンを認識する結合成分により間接的な標識を施すこともできる。また、本発明においては、糖鎖を改変した抗体などを用いることも可能である。抗体の糖鎖改変技術は既に知られている(例えば、WO00/61739、WO02/31140など)。本発明における「抗体」にはこれらの抗体も包含される。
本発明の抗体は、癌治療において使用することを目的とする場合には、例えば、抗体の一方の腕は腫瘍細胞抗原を認識するように調製し、他方の腕は細胞傷害性を誘起する分子を認識するように設計することができる。腫瘍細胞抗原としては、例えば、1D10(悪性B細胞)、AMOC−1(pan carcinoma associated antigen)、CAMA1、CD7、CD15、CD19、CD22、CD38、CEA、EGF受容体、Id−1、L−D1(大腸癌)、MoV18、p97、p185HER2、OVCAR−3、神経細胞接着分子(neural cell adhesion molecule;NCAM)、腎細胞癌、メラノサイト刺激ホルモンアナログ、葉酸結合蛋白質(FBP)等が挙げられる。また、細胞傷害性を誘起する分子としては、CD3、CD16、FcγRIが例示される。その他、IFN−α、サポニン、ピンカアルカロイド、リシンのA鎖等の毒素と結合できるようBsAbを設計することもできる。
また、ヘテロ二量体を形成し、リガンドとの結合によりその鎖間の距離または角度等が変化することにより細胞内にシグナルを伝達する受容体(例えば、多くのサイトカイン受容体)に対して結合するように構築することにより、リガンドによる受容体の二量体化を模倣できるアゴニスト抗体として本発明の抗体を利用することができる。
その他にも、(1)CD30及びアルカリホスファターゼに結合し、リン酸マイトマイシンをマイトマイシンアルコールに変換する等の、化学物質の変換を助ける酵素と相互作用する抗体、(2)繊維素溶解剤として使用できる、フィブリン、tPA、uPA等に結合する抗体、(3)LDL及びFc受容体(FcγRI、FcγRII、またはFcγRIII)等に結合し免疫複合体を細胞表面受容体へ誘導する抗体、(4)CD3等のT細胞上の抗原と、HCV、インフルエンザ、HIV等の病原菌の抗原を認識する感染性の疾患に使用できる抗体、(5)腫瘍の検出に使用し得る腫瘍抗原と、EOTUBE、DPTA、ハプテン等の検出可能な物質に結合性を有する抗体、(6)ワクチンアジュバントとして使用し得る抗体(Fanger et al.,Crit.Rev.Immunol.1992,12:101−24参照)、並びに(7)診断において使用し得るウサギIgG、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、FITC、β−ガラクトシダーゼ等の検出可能な物質と、ホルモン、フェリチン、ソマトスタチン、サブスタンスP、CEA等を抗原とする抗体等が知られており、これらの公知の多重特異性抗体(WO89/02922号パンフレット、EP314、317号公報、US5116964号公報参照)を含む様々な抗体を本発明の方法により製造することができる。
以上のように、本発明の抗体は、従来知られている多特異性抗体と同様に、免疫診断、治療及び免疫学的検定による診断等の臨床分野において有用である。例えば、腫瘍細胞を殺す等の細胞障害性を誘起するため、ワクチンアジュバントとして、血栓溶解剤等の薬剤を適切に生体内において標的に対して運搬するため、酵素により活性化されるプロドラッグを標的部位において確実に変換するため、感染性の疾患の治療用に、細胞表面受容体に対して免疫複合体を誘導するため、免疫毒素等を腫瘍細胞等の標的細胞に運搬するため等、様々な治療目的で使用することが考えられる。
本発明の抗体を医薬組成物として用いる場合には、当業者に公知の方法で製剤化することが可能である。このような治療目的で使用される本発明の抗体を含む医薬組成物は、必要に応じ、それらに対して不活性な適当な薬学的に許容される担体、媒体等と混和して製剤化することができる。例えば、滅菌水や生理食塩水、安定剤、賦形剤、酸化防止剤(アスコルビン酸等)、緩衝剤(リン酸、クエン酸、他の有機酸等)、防腐剤、界面活性剤(PEG、Tween等)、キレート剤(EDTA等)、結合剤等を挙げることができる。また、その他の低分子量のポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチンや免疫グロブリン等の蛋白質、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン及びリシン等のアミノ酸、多糖及び単糖等の糖類や炭水化物、マンニトールやソルビトール等の糖アルコールを含んでいてもよい。注射用の水溶液とする場合には、例えば生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液、例えば、D−ソルビトール、D−マンノース、D−マンニトール、塩化ナトリウムが挙げられ、適当な溶解補助剤、例えばアルコール(エタノール等)、ポリアルコール(プロピレングリコール、PEG等)、非イオン性界面活性剤(ポリソルベート80、HCO−50)等と併用してもよい。
また、必要に応じ本発明のDbをマイクロカプセル(ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリ[メチルメタクリル酸]等のマイクロカプセル)に封入したり、コロイドドラッグデリバリーシステム(リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル等)とすることもできる(″Remington’s Pharmaceutical Science 16th edition″,Oslo Ed.,1980等参照)。さらに、薬剤を徐放性の薬剤とする方法も公知であり、本発明のDbに適用し得る(Langer et al.,J.Biomed.Mater.Res.1981,15:167−277;Langer,Chem.Tech.1982,12:98−105;米国特許第3,773,919号;欧州特許出願公開(EP)第58,481号;Sidman et al.,Biopolymers 1983,22:547−556;EP第133,988号)。
患者への投与は経口、非経口投与のいずれでも可能であるが、好ましくは非経口投与であり、具体的には、注射剤型、経鼻投与剤型、経肺投与剤型、経皮投与型などが挙げられる。注射剤型の例としては、例えば、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射などにより全身または局部的に投与することができる。また、患者の年齢、症状によって適宜投与方法を選択することができる。投与量としては、例えば、一回につき体重1kgあたり0.0001mgから1000mgの範囲で選ぶことが可能である。あるいは、例えば、患者あたり0.001〜100000mg/bodyの範囲で投与量を選ぶことができる。しかしながら、本発明はこれらの投与量および投与方法等に制限されるものではない。
本発明の抗体は酵素免疫分析に用いることもできる。このためには、抗体の一方の抗体可変領域は酵素上の酵素活性を阻害しないエピトープを、そして他方は担体に結合するような担体を認識するように設計する。例えば、IgG、フェリチン、HRP及びホルモン等を認識する抗体を挙げることができる。
また、本発明の抗体はin vivo及びin vitroにおける種々の疾病の免疫診断に用いることも可能である。例えば、抗体の一方の対の抗体可変領域を腫瘍細胞に特異的な抗原等を認識するようにし、他方は検出可能なマーカーに結合するように設計することができる。検出可能なマーカーとしては放射性同位体(例えば、H、14C、32P、35S、125I等)、蛍光色素(フルオレセイン、ルシフェリン等)、化学ルミネセンス化合物(イソチオシアネート、ローダミン等)、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、HRP等の汎用の酵素等を挙げることができ、抗体のこれらの物質との結合及び検出は公知の方法に従って行うことができる(Hunter et al.,Nature 1962,144:945;David et al.,Biochemistry 1974,13:1014;Pain et al.,J.Immunol.Meth.1981,40:219;Nygen,J.Histochem and Cytochem 1982,30:407参照)。このように検出可能な物質に対して反応性を有する本発明の抗体は、拮抗的結合分析、直接的及び間接的なサンドイッチ免疫分析(ELISA等)、免疫沈降分析(Zola,″Monoclonal Antibodies:A Manual of Techniques″,pp.147−158,CRC Press Inc.(1987))等を含む、種々の分析において用いることもできる。
本発明の抗体を上述のような診断等において使用する場合、必要に応じ抗体を不溶性担体に結合することもできる。抗体を不溶性担体に結合する方法は周知であり、慣用の化学結合法または物理的吸着法により抗体を固相化することができる。不溶性担体としては例えば、種々の合成樹脂、多糖類、ガラス、金属等を素材とした球状、繊維状、棒状、トレイ等の容器状、盤状、セル及び試験管等の所望の形態の担体を挙げることができる。
3.抗体組成物
本発明において抗体組成物とは、複数種類の抗体を含む集団のことをいう。
抗体組成物において、目的型の抗体の割合を高くするとは、抗体組成物中に含まれる、第一の対と第二の対で形成される抗体の割合を高くすることを意味する。つまり、抗体組成物中の第一のH鎖と第二のL鎖で形成される対又は第二のH鎖と第一のL鎖で形成される対を含む抗体の割合を低くすることを意味する。即ち、本発明の抗体組成物は、一般的には、より高い比活性を有するものである。
抗体の比活性の指標としては、抗体の結合活性、アゴニスト活性、アンタゴニスト活性、中和活性などを挙げることができる。比活性を測定する為に用いる検出指標としては、抗体組成物中の目的とする抗体の量的および/又は質的な変化が測定可能である限りどのような指標をも使用することができる。例えば、無細胞系(cell free assay)の指標、細胞系(cell−based assay)の指標、組織系の指標、生体系の指標を用いることができる。無細胞系の指標としては、本発明の抗体の結合、アゴニスト作用、アンタゴニスト作用、中和作用等による酵素反応またはタンパク質、DNA、RNAの量的および/若しくは質的な変化を用いることができる。酵素反応としては、例えば、アミノ酸転移反応、糖転移反応、脱水反応、脱水素反応、基質切断反応等を用いることができる。また、タンパク質のリン酸化、脱リン酸化、二量体化、多量体化、分解、乖離等、さらにDNAまたはRNAの増幅、切断、伸長も指標として用いることができる。また、シグナル伝達経路の下流に存在するタンパク質のリン酸化を検出指標とすることもできる。細胞系の指標としては、本発明の抗体の結合、アゴニスト作用、アンタゴニスト作用、中和作用等による細胞の表現型の変化、例えば、産生物質の量的及び/又は質的変化、増殖活性の変化、形態の変化、特性の変化等を用いることができる。産生物質としては、分泌タンパク質、表面抗原、細胞内タンパク質、mRNA等を用いることができる。形態の変化としては、突起形成及び/又は突起の数の変化、偏平度の変化、伸長度/縦横比の変化、細胞の大きさの変化、内部構造の変化、細胞集団としての異形性/均一性、細胞密度の変化等を用いることができる。細胞の形態の変化は、一般に顕鏡下での観察で確認することができる。特性の変化としては、足場依存性、サイトカイン依存応答性、ホルモン依存性、薬剤耐性、細胞運動性、細胞遊走活性、拍動性、細胞内物質の変化等を用いることができる。細胞運動性としては、細胞浸潤活性、細胞遊走活性がある。また、細胞内物質の変化としては例えば、酵素活性、mRNA量、Ca2+及びcAMP等の細胞内情報伝達物質量、細胞内蛋白質量等を用いることができる。また、受容体への本発明の抗体の結合、アゴニスト作用、アンタゴニスト作用、中和作用によって誘導される細胞の増殖活性の変化を指標とすることができる。組織系の指標としては、使用する組織に応じた機能変化を検出指標とすることができる。生体系の指標としては本発明の抗体の結合、アゴニスト作用、アンタゴニスト作用、中和作用等による組織重量変化、血液系の変化、例えば血球細胞数の変化、タンパク質量、酵素活性、電解質量の変化、また、循環器系の変化、例えば、血圧、心拍数の変化等を用いることができる。
これらの検出指標を測定する方法としては、特に制限はなく、発光、発色、蛍光、放射活性、蛍光偏光度、表面プラズモン共鳴シグナル、時間分解蛍光度、質量、吸収スペクトル、光散乱、蛍光共鳴エネルギー移動等を用いることができる。これらの測定方法は当業者にとっては周知であり、目的に応じて、適宜選択することができる。例えば、吸収スペクトルは一般的に用いられるフォトメータ又はプレートリーダ等、発光はルミノメータ等、蛍光はフルオロメータ等で測定することができる。質量は質量分析計を用いて測定することができる。放射活性は、放射線の種類に応じてガンマカウンターなどの測定機器を用いて、蛍光偏光度はBEACON(宝酒造)、表面プラズモン共鳴シグナルはBIACORE、時間分解蛍光、蛍光共鳴エネルギー移動などはARVOなどにより測定できる。さらに、フローサイトメータなども測定に用いることができる。これらの測定方法は、一つの測定方法で2種以上の検出指標を測定しても良く、簡便であれば、2種以上の測定を同時および/または連続して測定することによりさらに多数の検出指標を測定することも可能である。例えば、蛍光と蛍光共鳴エネルギー移動を同時にフルオロメータで測定することができる。
4.ベクター及び細胞
本発明により、本発明の抗体の製造方法において使用することができる、発現誘導剤により抗体のL鎖またはH鎖の発現が誘導されるベクターが提供される。本発明の抗体の製造方法において使用できるベクターは、好ましくは、一つの発現調節因子により対となるL鎖及びH鎖の両方が誘導されるものである。ここで、L鎖及びH鎖をコードする遺伝子は同じベクター中に組み込まれていても、別々のベクター中に組み込まれていてもよい。本発明はまた、第一のL鎖及び第一のH鎖をコードするベクター、並びに、第二のL鎖及び第二のH鎖をコードするベクターを含むベクターキットに関する。該ベクターキットでは、好ましくは第一のL鎖・H鎖と第二のL鎖・H鎖は異なる発現調節因子により誘導される。さらに、必要に応じ、第一のL鎖、第一のH鎖、第二のL鎖、第二のH鎖の発現が各々別の発現調節因子により誘導されるように本発明のベクター及びベクターキットを構築してもよい。
本発明は上記ベクターまたはベクターキットを含有する細胞を提供する。該細胞は好ましくは、抗体の第一のH鎖及びL鎖からなる対と、抗体の第二のH鎖とL鎖からなる対を異なる時期に発現するものである。本発明のベクター及び細胞については、上記「1.抗体の製造方法」の項の記載を参照することができる。
なお本明細書において引用された全ての先行文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
図1は、ルシフェラーゼ定量法によるIFNアゴニスト活性の比較を示すグラフである。2−3:同時誘導,3−3:テトラサイクリンで1日誘導後、ムリステロンAで2日誘導発現,4−4:テトラサイクリンで1日誘導後、ムリステロンAで3日誘導発現,5−3:テトラサイクリンで2日誘導後、ムリステロンAで1日誘導発現,7−4:ムリステロンAで1日誘導後、テトラサイクリンで3日誘導発現。
図2は、サンドイッチELISA法による目的型抗体量の比較を示すグラフである。各抗体サンプル濃度における吸光度を参照波長655nmにて405nmで計測した。上段はAR1−His+抗体+AR2−biotin、下段はAR2−His+抗体+AR1−biotinを示す。
黒丸:同時誘導発現サンプル,白四角:時間差誘導発現サンプル。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、これらの実施例は本発明をいかなる意味でも限定するものではない。
1.ヒトIFNヘテロ受容体(AR1/AR2)に結合する二特異性IgG抗体発現用プラスミド構築
本抗体は2種のH鎖と共に抗AR1または抗AR2いずれかのL鎖だけを発現させ、L鎖を共通のものにした場合活性を失う為、逆に阻害に働くことが考えられる。つまり、両L鎖を発現させた際に目的の組合せのIgGが優先的に発現すればIgGの見かけ上の比活性が上昇することが期待される。
二特異性IgG抗体を産生する際に、各H鎖のヘテロな組み合わせの分子を形成させるためにIgG1のknob−into−hole技術[Ridway et al.,Protein Eng.9;617−21(1996)]を参考に、ヒトIgG4のCH3部分へのアミノ酸置換体を作製した。aタイプ(ヒトIgG4γa)はY349C、T366W置換体であり、bタイプ(ヒトIgG4γb)はE356C、T366S、L368A、Y407Vの置換体である。さらに、両置換体のヒンジ領域にも置換(−ppcpScp− −> −ppcpPcp−)を導入した。
AR1受容体を認識する抗体分子片腕(便宜上右腕HL分子と称する)の発現用として、テトラサイクリン誘導型ベクターpcDNA4(Invitrogen)を用いた。抗体右腕HL分子を構成するH鎖およびL鎖それぞれの発現ユニット、すなわち動物細胞用シグナル配列(IL3ss)[Proc.Natl.Acad.Sci.USA.81;1075(1984)]の下流にAR1受容体を認識するマウス抗体可変領域(VHないしVL)とヒトIgG4γa定常領域ないしκ定常領域、を組み込んだベクター(pcDNA1−24HないしpcDNA1−24L)を公知の遺伝子工学的手法に則り作製した。
AR2受容体を認識するもう一方の片腕(便宜上左腕HL分子と称する)はエクダイソン類似体誘導型ベクターpIND(Invitrogen)を用いた。抗体左腕HL分子を構成するH鎖およびL鎖それぞれの発現ユニット、すなわち動物細胞用シグナル配列(IL6ss)[EMBO.J.6;2939(1987)]の下流にAR2受容体を認識するマウス抗体可変領域(VHないしVL)とヒトIgG4γb定常領域ないしκ定常領域、を組み込んだベクター(pIND2−7HないしpIND2−7L)を同様に作製した。各々のプラスミドDNAは市販プラスミド精製キット(QIAprep Spin Miniprep Kit,QIAGEN)を用いて単離した。各プラスミド溶液は、使用するまで4℃で保存した。
2.二特異性IgG抗体の動物細胞での時間差HL発現
2−1.DNA溶液の調製
抗体右腕HL分子発現用ベクター(pcDNA1−24HそしてpcDNA1−24L)はテトラサイクリンにより発現誘導がかかる。テトラサイクリンが存在しない状況下で発現を完全に抑制する為にTetリプレッサー(TetR)をコードするプラスミドpcDNA6/TR(Invitrogen)が要求される。ここで、発現したTetRは2量体でpcDNA4/TO上の2つのTetオペレーター配列(TetO2)に結合し、目的遺伝子の転写を抑制する。そして、添加したテトラサイクリンがTetR2量体と結合し、構造変化によりTetRがTetオペレーターから離れることにより、CMV/TetO2プロモーターによる目的遺伝子の転写が誘導される。また、抗体左腕HL分子発現用ベクター(pIND2−7HそしてpIND2−7L)は、昆虫ホルモンであるエクダイソン類似化合物(ムリステロンAあるいはポナステロンA)により発現誘導がかかる。このとき、エクダイソン類似化合物と反応し誘導を行なうエクダイソンレセプターとレチノイドXレセプターを恒常的に発現するプラスミドpVgRXR(Invitrogen)が要求される。ここで、エクダイソンアナログの添加により、その類似体と、エクダイソンレセプターとレチノイドXレセプターのヘテロ2量体がpINDベクターのエクダイソン/グルココルチコイド(5XE/GRE)プロモーターに結合して目的遺伝子発現が活性化する。従って、動物細胞のトランスフェクションの為にpcDNA1−24H、pcDNA1−24L、pIND2−7H、pIND2−7L、pcDNA6/TRそしてpVgRXRからなる計6種類のプラスミドDNA混液を調製した。
2−2.動物細胞のトランスフェクション
アフリカミドリザル腎臓由来培養細胞COS−7株(Invitrogen)を用いた場合には、細胞をDMEM+10%FCS培地へ懸濁し、1×10/mlの細胞密度で接着細胞用6−wellプレート(CORNING)の各wellへ1mlずつ蒔きこみ、37℃にて5%COインキュベーター内で一晩培養した。2−1で調製したプラスミドDNA混液をトランスフェクション試薬FuGENE 6(Roche)(Invitrogen)1.5μlとOpti−MEM I培地(Invitrogen)250μlの混液へ加えて室温20分間静置したものを各wellの細胞へ投入し、4〜5時間37℃にて5%COインキュベーター内でインキュベートした。
ヒト胎児腎臓由来培養細胞HEK293H株(Invitrogen)を用いた場合には、細胞をDMEM+10%FCS培地へ懸濁し、5×10/mlの細胞密度で接着細胞用12−wellプレート(CORNING)の各wellへ1mlずつ蒔きこみ、37℃にて5%COインキュベーター内で一晩培養した。2−1で調製したプラスミドDNA混液をトランスフェクション試薬Lipofectamine 2000(Invitrogen)7μlとOpti−MEM I培地(Invitrogen)250μlの混液へ加えて室温20分間静置したものを各wellの細胞へ投入し、4〜5時間37℃にて5%COインキュベーター内でインキュベートした。
2−3.二特異性IgG抗体の発現誘導
2−2の通りトランスフェクションした細胞培養液から培地を吸引除去し、1μg/mlのテトラサイクリン塩酸塩(和光純薬)を含む1ml CHO−S−SFM−II(Invitrogen)培地を投入し、37℃にて5%COインキュベーター内で1日培養して、抗体右腕HL分子の第一次発現誘導を行なった。その後、培地を吸引除去し、一旦1ml CHO−S−SFM−II培地にて洗浄した後、5μMのムリステロンA(Invitrogen)ないしポナステロンA(Invitrogen)を含む1ml CHO−S−SFM−II培地を投入し、37℃にて5%COインキュベーター内で2日ないし3日培養して、抗体左腕HL分子の第二次発現誘導を行ない、培地中へ二特異性IgG抗体を分泌させた。培養上清は回収された後、一旦遠心(約2000g、5分間、室温)して細胞を除去して、必要に応じマイクロコン−50(Millipore)で濃縮を行った。該サンプルは使用するまで4℃で保存した。
2−4.発現抗体の精製
2−3にて調製された抗体発現上清サンプルをプロテインA樹脂(rmp Protein A Sepharose FAST FLOW,Amersham biosciences)を用いて精製した。すなわち、該上清4mlに対しTBS緩衝液で置換した樹脂50μlを添加し、一晩4℃で転倒混和し、抗体を樹脂へ吸着させた。一旦遠心(3000g,10分)して上清を除去した後、TBS緩衝液500μlに懸濁し、0.22μmフィルターカップ(Millipore)へ移した。遠心(3000g,1分)とTBS緩衝液による洗浄を3回繰り返した後、溶出緩衝液(10mM HCl,150mM NaCl,and 0.01% Tween20)100μlにて溶出した。溶出液へ150mM NaClを含む1M Tris溶液5μlを添加し中和した。該溶液は使用するまで4℃で保存した。
2−5.ヒトIgG濃度の定量
Goat affinity purified antibody to human IgG Fc(Cappel)をcoating bufferにて1μg/mLに調製し、96−wellイムノプレートMaxiSorp Surface(NALGE NNC International)に固相化した。Diluent buffer(D.B.)にてブロッキング処理した後、D.B.を用いて適当に希釈した培養上清サンプルないし精製抗体サンプルを添加した。また、抗体濃度算出のためのスタンダードとして、1000ng/mLから2倍系列でD.B.にて11段階希釈したChromPure Human IgG,whole molecule(Jackson ImmunoResearch、11.1mg/mL)を同様に添加した。3回洗浄した後、Goat anti−human IgG,alkaline phosphatase(Biosource)を反応させた。5回洗浄した後、Sigma 104(R) phosphatase substrate(Sigma Chemical)を基質として発色させ、吸光度リーダーModel550(Bio−Rad Laboratories)により、参照波長655nmとして405nmの吸光度を測定した。Microplate Manager III(Bio−Rad Laboretories)ソフトウェアを用いて、スタンダードの検量線から培養上清中のヒトIgG濃度を算出した。
3.レポータージーンアッセイ法によるヒトIFNアゴニスト活性測定
ヒト肝癌由来培養細胞HuH−7(国立衛生試験所)にIFN刺激応答因子の下流にルシフェラーゼ遺伝子を有するプラスミドpISRE−Luc(Stratagene)を導入した形質転換細胞を用いて、未精製抗体のIFNアゴニスト活性(Relative Luciferase Unit:RLU)を調査した。活性測定はルシフェラーゼ定量システムBright−GloTM Luciferase Assay System(Promega)を用いて添付マニュアル記載の方法に従い行なった。陽性対照として、ヒトIFNα(rhIFN−αA,CALBIOCHEM)を用いた。結果を図1に示す。誘導型ベクターで時間差誘導発現をかけたもの(3−3,4−4,5−3,および7−4)は、誘導型ベクターで全てを同時に誘導発現かけたもの(2−3)に対し5倍から10倍の比活性上昇が認められた。すなわち、時間差で各HL分子を発現させることで、目的外の組合せの余計なIgGの生成割合が抑えられた結果、比活性が上昇した可能性が強く示唆された。
4.サンドイッチELISA法による目的抗体発現量の解析
96−well Ni−NTA HisSorb Plate(QIAGEN)へ、Hisタグ標識された各受容体(AR1−HisないしAR2−His)をDiluent buffer(D.B.)にて500ng/mlに希釈したもの100μlを添加し一晩4℃で吸着させた。一旦上清を吸引除去した後、SuperBlockTM Blocking Buffer in TBS(PIERCE)200μlを添加し、室温60分ブロッキング処理した。3回洗浄した後、D.B.で希釈した精製抗体(31.25〜500ng/ml)を添加し、室温60分インキュベートした。抗体としては、一つはトランスフェクション後同時にテトラサイクリンとポナステロンAにて誘導発現させたもの(同時誘導)、もう一つはテトラサイクリンで1日誘導かけた後にポナステロンAで2日誘導発現させたもの(時間差発現)を用いた。3回洗浄した後、それぞれに対応するビオチン化2次抗原(すなわちAR1−Hisに対してはAR2−biotin、AR2−Hisに対してはAR1−biotin)をD.B.にて500ng/mlに希釈したもの100μlを添加し、室温60分インキュベートした。3回洗浄した後、D.B.で3000倍に希釈されたAP−sterptavidine(ZYMED)を添加し、室温60分インキュベートした。5回洗浄した後、Sigma 104(R) phosphatase substrate(Sigma Chemical)を基質として発色させ、吸光度リーダーModel550(Bio−Rad Laboratories)により、参照波長655nmとして405nmの吸光度を測定した。
その結果、ELISA2種類の方策(AR1−His+抗体+AR2−biotinおよびAR2−His+抗体+AR1−biotin)双方において時間差で各HL分子を発現誘導させた方が、両HL分子を同時に発現させる方法よりも単位抗体量あたり約2倍強高い結合度を示し、目的型抗体比率の優位性を示唆した(図2参照)。
産業上の利用の可能性
本発明は、複数の抗体または抗体断片を結合する多重特異性抗体の製造において目的とする型の抗体を優先的に製造する方法を提供するものである。より詳細には、例えば二特異性抗体(BsAb)の製造において、本発明の方法を採用することにより、第一の重鎖と結合していない第一の軽鎖と第二の軽鎖と結合していない第二の重鎖の接触、及び、第一の軽鎖と結合していない第一の重鎖と第二の重鎖と結合していない第二の軽鎖の接触を阻害し、目的型BsAbを効率的に産生することができる。即ち、本発明の多重特異性抗体の製造方法により、製造される抗体組成物中に含まれる正しい重鎖と軽鎖の対から形成されている抗体の割合を高め、免疫診断、治療及び免疫学的検定による診断等の臨床分野において有用な多重特異性抗体の比活性を増加させることができる。

Claims (7)

  1. 抗体の第一の重鎖と第一の軽鎖からなる第一の対と、第二の重鎖と第二の軽鎖からなる第二の対を、同一細胞内において異なる時期に発現させることを特徴とする抗体の製造方法であって、以下の工程を(a)から(d)の順番で行うことを含み、該抗体がknobs-into-holesが導入された抗体である方法。
    (a)抗体の第一の重鎖と第一の軽鎖の発現を誘導して第一の対を作製する工程、
    (b)抗体の第一の重鎖と第一の軽鎖の発現の誘導をとめる工程、
    (c)抗体の第二の重鎖と第二の軽鎖の発現を誘導して第二の対を作製する工程、
    (d)抗体の第一の対と第二の対を用いて抗体を作製する工程。
  2. 第一の重鎖と第二の重鎖のアミノ酸配列が異なり、かつ第一の軽鎖と第二の軽鎖のアミノ酸配列が異なる抗体である請求項1に記載の製造方法。
  3. 抗体が二特異性抗体である請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 第一の発現調節因子により第一の重鎖及び第一の軽鎖の発現が誘導されるベクター、および第二の発現調節因子により第二の重鎖及び第二の軽鎖の発現が誘導されるベクターを用いることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 異なる2種以上の発現誘導剤を用いることを特徴とする、請求項4記載の製造方法。
  6. 抗体の軽鎖と重鎖がペプチドリンカーで介されていないことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 第一の発現調節因子により抗体の第一の軽鎖及び第一の重鎖の発現が誘導されるベクターと、第二の発現調節因子により抗体の第二の軽鎖及び第二の重鎖の発現が誘導されるベクターを含む、請求項4または5に記載の方法に用いるためのキット。
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