JP5224580B2 - sc(Fv)2部位特異的変異体 - Google Patents

sc(Fv)2部位特異的変異体 Download PDF

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    • C07K2317/622Single chain antibody (scFv)

Description

本発明は、低分子化抗体であるsc(Fv)2の部位特異的変異体、およびその利用に関する。
バイオ医薬品の製剤化においては、機能を保持した安定なタンパク質の開発、製造、および保存条件の設定が重要視されている。
タンパク質は遺伝情報を扱うDNAとは化学的性質が異なり、その構造は柔軟であるが、逆の意味では不安定とも言える。タンパク質は生理的条件下においても常に天然の構造と崩れた構造(変性構造)との平衡状態にある。
一般にタンパク質の劣化していく経路としては、可溶性の多量体の形成や沈殿・不溶物の生成等のタンパク質分子の物理的会合化に伴う劣化経路(非特許文献1)と、加水分解・脱アミド化反応・メチオニン酸化反応等による化学的修飾による劣化経路(非特許文献2)が知られている。医薬品としてタンパク質を開発するにあたっては、これら両方の劣化経路を最小限に抑え、保存中にそのタンパク質の生物学的活性の低下が起こらない製剤を提供する必要がある。このような劣化経路を最小限に抑制する方法として、溶液pHの最適化、緩衝液・塩の種類と濃度の最適化、または、安定化剤の種類と濃度の最適化が行われる。
医薬品として使用可能な抗体には、全長抗体、断片化抗体、低分子化抗体等が知られている。抗体分子2分子間でモノマー/ダイマーの平衡反応が起こっていることは既に報告されており、抗体のIgG分子では、モノマーとダイマーが可逆的な平衡状態として存在していることが報告されている(非特許文献3)。一般に低分子化抗体を含む抗体分子は会合化しやすく、安定性が非常に低いことが知られている(非特許文献4)。抗体製剤を製造する場合には、非常に高濃度下で抗体の活性を示すモノマーの状態に保つ必要があり、そのため、抗体を医薬品として開発するに当たっては、安定性を確保した抗体の製剤化が大きな課題であると考えられてきた。
医薬品としての安定性を確保したタンパク質医薬の開発に当たっては、上述のような製剤条件を最適化することによってタンパク質の安定性を高める方法と、目的のタンパク質の一次配列に人為的にアミノ酸変異を導入することでタンパク質本来の安定性を増強させる方法がある。ある配列既知のタンパク質に対してアミノ酸変異によりタンパク質の安定性を向上させる方法に関してはこれまで様々な方法が報告されている(非特許文献5,6,7)。抗体分子においては、VH-VLの一本鎖抗体であるscFvを用いた研究により、scFvにおいて安定性に大きく影響する残基の位置(箇所)、及び、その箇所における安定なアミノ酸残基が報告されている(非特許文献8,9,10,11)。実際にこのような方法に従って、scFv分子に関してはアミノ酸改変により安定性を向上させた報告は複数存在する(非特許文献12,13,14)。
低分子化した抗体分子としてはFab、Fv、scFv、sc(Fv)2等が知られている。同じ全長IgGを断片化した抗体分子であるFvとFabにおいても、FabはCH1とCLの存在によりFvとは異なる安定性を有することが分かっている。scFvにおいても同様で、scFvにおいてはCH1とCLが存在しないことによりFabにおいては表面に露出しない疎水性アミノ酸が表面に露出することで熱安定性が低下し、その残基を親水性アミノ酸に置換することで熱加速試験時の安定性が向上することが報告されている(非特許文献7)。すなわち、同じ低分子化した抗体分子であるscFvとFabにおいて安定性に影響する残基の位置(箇所)および安定な残基は異なっている。そのためsc(Fv)2の安定性に影響を与えるアミノ酸部位やアミノ酸は、現在までに報告されているscFvの安定性に影響を与えるアミノ酸部位やアミノ酸とは必ずしも一致しないと考えられる。これまでsc(Fv)2分子において安定性に影響する残基の位置(箇所)および安定な残基に関する報告はなく、またsc(Fv)2においては、アミノ酸の部位特異的な変異の導入により、sc(Fv)2の安定性を高める検討はこれまで行われていなかった。
Int. J. Pharm. 2005, 289, 1-30 Int. J. Pharm. 1999, 185, 129-188 Biochemistry, 1999, 38, 13960-13967 FEBS Letters Volume 360, Issue 3 , 1995, 247-250 Current Opinion in Biotechnology, 2002, 13, 333-337 J. Biotechnology, 2004, 113, 105-120 Microbiol Mol Biol Rev. 2001, 65(1), 1-43 J. Mol. Biol. 2003, 325, 531-553 J. Mol. Biol. 2001, 305, 989-1010 Methods, 2004, 184-199 Protein Eng. 1997, 10(4), 435-44 Biochemistry, 2003, 42, 1517-1528 Int. J. Cancer, 2003, 107, 822-829 Protein Engineering, 1997, 10(12), 1453-1459
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、sc(Fv)2に部位特異的変異を導入する工程を含む、sc(Fv)2を安定化させる方法、またはsc(Fv)2分子間の会合を抑制する方法を提供することにある。また、部位特異的変異を導入することにより安定化されたsc(Fv)2を提供することを課題とする。また、sc(Fv)2の安定性に影響する部位に特定のアミノ酸を配置することにより、sc(Fv)2を安定化することを課題とする。また、本発明はTm値が上昇したsc(Fv)2を提供することを課題とする。さらに、安定化されたsc(Fv)2を含有する医薬組成物、該医薬組成物の製造方法、および該医薬組成物を含むキットを提供することも課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、sc(Fv)2に部位特異的変異を導入し、sc(Fv)2の安定化効果について検討を行った。
まず、本発明者らは、Differential Scanning Calorimetry(DSC)を用いて、ヒト化VB22B sc(Fv)2部位特異的変異体のTm値測定を行った。その結果、hVB22B g-e sc(Fv)2に安定性を向上させるアミノ酸改変を行うことによってTmが13.3℃上昇したhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2、及び、Tmが15.5℃向上したhVB22B q-wz5が得られた(図4)。これまでにsc(Fv)2のTm値に関する報告はなく、またsc(Fv)2のアミノ酸改変によりTm値を向上させた報告はない。
次に、sc(Fv)2部位特異的変異体の熱加速試験を行い、ゲルろ過クロマトグラフィー(SEC)分析によりモノマーの面積を測定することで算出される熱加速後のモノマー残存率の経時的な変化により、各sc(Fv)2部位特異的変異体の安定性を評価した。
その結果、sc(Fv)2において安定化効果が認められるアミノ酸改変を見出した(図9〜17、21〜23)。
即ち、本発明者らは、本発明により初めてアミノ酸改変によりsc(Fv)2のTm値を大幅に向上させることに成功した。また、sc(Fv)2に部位特異的変異を導入することにより、sc(Fv)2が安定化することを見出し、これにより本発明を完成するに至った。
本発明は、より具体的には以下の〔1〕〜〔13〕を提供するものである。
〔1〕sc(Fv)2に部位特異的変異を導入する工程を含む、sc(Fv)2を安定化させる方法
〔2〕sc(Fv)2に部位特異的変異を導入する工程を含む、sc(Fv)2間の会合を抑制する方法
〔3〕sc(Fv)2に部位特異的変異を導入する工程を含む、sc(Fv)2のTm値を10℃以上上昇させる方法
〔4〕部位特異的変異の導入が、以下の(a)〜(k)から選択される少なくとも一つのアミノ酸に変異を導入するものである、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の方法
(a) 重鎖48番目のアミノ酸
(b) 重鎖65番目のアミノ酸
(c) 軽鎖7番目のアミノ酸
(d) 軽鎖8番目のアミノ酸
(e) 軽鎖36番目のアミノ酸
(f) 軽鎖43番目のアミノ酸
(g) 軽鎖45番目のアミノ酸
(h) 軽鎖70番目のアミノ酸
(i) 重鎖81番目のアミノ酸
(j) 重鎖39番目のアミノ酸
(k) 軽鎖38番目のアミノ酸
〔5〕部位特異的変異の導入が、以下の(a)〜(k)から選択される少なくとも一つのアミノ酸変異を導入するものである、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の方法
(a) 重鎖48番目のアミノ酸をイソロイシンへ置換
(b) 重鎖65番目のアミノ酸をグリシンへ置換
(c) 軽鎖7番目のアミノ酸をセリンへ置換
(d) 軽鎖8番目のアミノ酸をプロリンへ置換
(e) 軽鎖36番目のアミノ酸をフェニルアラニンへ置換
(f) 軽鎖43番目のアミノ酸をアラニンへ置換
(g) 軽鎖45番目のアミノ酸をアルギニンへ置換
(h) 軽鎖70番目のアミノ酸をアスパラギン酸へ置換
(i) 重鎖81番目のアミノ酸をグルタミンへ置換
(j) 重鎖39番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンへ置換
(k) 軽鎖38番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンへ置換
〔6〕以下のいずれかの方法によりsc(Fv)2を安定化する方法
(a) 重鎖48番目のアミノ酸をイソロイシンにする方法
(b) 重鎖65番目のアミノ酸をグリシンにする方法
(c) 軽鎖7番目のアミノ酸をセリンにする方法
(d) 軽鎖8番目のアミノ酸をプロリンにする方法
(e) 軽鎖36番目のアミノ酸をフェニルアラニンにする方法
(f) 軽鎖43番目のアミノ酸をアラニンにする方法
(g) 軽鎖45番目のアミノ酸をアルギニンにする方法
(h) 軽鎖70番目のアミノ酸をアスパラギン酸にする方法
(i) 重鎖81番目のアミノ酸をグルタミンにする方法
(j) 重鎖39番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンにする方法
(k) 軽鎖38番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンにする方法
〔7〕以下の(a)〜(k)から選択される少なくとも一つのアミノ酸に変異が導入されたsc(Fv)2
(a) 重鎖48番目のアミノ酸
(b) 重鎖65番目のアミノ酸
(c) 軽鎖7番目のアミノ酸
(d) 軽鎖8番目のアミノ酸
(e) 軽鎖36番目のアミノ酸
(f) 軽鎖43番目のアミノ酸
(g) 軽鎖45番目のアミノ酸
(h) 軽鎖70番目のアミノ酸
(i) 重鎖81番目のアミノ酸
(j) 重鎖39番目のアミノ酸
(k) 軽鎖38番目のアミノ酸
〔8〕以下の(a)〜(k)から選択される少なくとも一つのアミノ酸に変異が導入されたsc(Fv)2
(a) 重鎖48番目のアミノ酸をイソロイシンへ置換
(b) 重鎖65番目のアミノ酸をグリシンへ置換
(c) 軽鎖7番目のアミノ酸をセリンへ置換
(d) 軽鎖8番目のアミノ酸をプロリンへ置換
(e) 軽鎖36番目のアミノ酸をフェニルアラニンへ置換
(f) 軽鎖43番目のアミノ酸をアラニンへ置換
(g) 軽鎖45番目のアミノ酸をアルギニンへ置換
(h) 軽鎖70番目のアミノ酸をアスパラギン酸へ置換
(i) 重鎖81番目のアミノ酸をグルタミンへ置換
(j) 重鎖39番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンへ置換
(k) 軽鎖38番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンへ置換
〔9〕以下の(a)〜(k)から選択されるsc(Fv)2
(a) 重鎖48番目のアミノ酸がイソロイシンであるsc(Fv)2
(b) 重鎖65番目のアミノ酸がグリシンであるsc(Fv)2
(c) 軽鎖7番目のアミノ酸がセリンであるsc(Fv)2
(d) 軽鎖8番目のアミノ酸がプロリンであるsc(Fv)2
(e) 軽鎖36番目のアミノ酸がフェニルアラニンであるsc(Fv)2
(f) 軽鎖43番目のアミノ酸がアラニンであるsc(Fv)2
(g) 軽鎖45番目のアミノ酸がアルギニンであるsc(Fv)2
(h) 軽鎖70番目のアミノ酸がアスパラギン酸であるsc(Fv)2
(i) 重鎖81番目のアミノ酸がグルタミンであるsc(Fv)2
(j) 重鎖39番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンにする方法
(k) 軽鎖38番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンにする方法
〔10〕Tm値が55℃以上であるsc(Fv)2
〔11〕部位特異的なアミノ酸変異の導入により、導入前と比較してTm値が10℃以上上昇したsc(Fv)2
〔12〕〔7〕〜〔11〕のいずれかに記載のsc(Fv)2を含有する医薬組成物
〔13〕以下の(1)および(2)の工程を含む、〔12〕に記載の医薬組成物の製造方法
(1)〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の部位特異的変異をsc(Fv)2に導入する工程
(2)医薬的に許容される担体を混合する工程
BaF-human Mplを用いたhVB22B g-e sc(Fv)2のアゴニスト活性評価の結果を示す図である。 BaF-human Mplを用いたhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2のアゴニスト活性評価の結果を示す図である。 BaF-human Mplを用いたhVB22B q-wz5 sc(Fv)2のアゴニスト活性評価の結果を示す図である。 hVB22B g-e sc(Fv)2及び該sc(Fv)2の部位特異的変異体のTm値を示す図である。 sc(Fv)2中の重鎖37番目のIleをValに置換した際の、モノマー残存率の変化を示す図である。 sc(Fv)2中の重鎖9番目のProをAlaに置換した際の、モノマー残存率の変化を示す図である。 sc(Fv)2中の重鎖9番目のProをSerに置換した際の、モノマー残存率の変化を示す図である。 sc(Fv)2中の軽鎖37番目のLeuをGlnに置換した際の、モノマー残存率の変化を示す図である。 sc(Fv)2中の軽鎖8番目のAlaをProに置換した際の、モノマー残存率の変化を示す図である。 sc(Fv)2中の重鎖65番目のValをGlyに置換した際の、モノマー残存率の変化を示す図である。 sc(Fv)2中の軽鎖43番目のSerをAlaに、軽鎖45番目のGlnをArgに置換した際の、モノマー残存率の変化を示す図である。 sc(Fv)2中の軽鎖36番目のTyrをPheに置換した際の、モノマー残存率の変化を示す図である。 sc(Fv)2中の軽鎖70番目のAlaをAspに置換した際の、モノマー残存率の変化を示す図である。 sc(Fv)2中の軽鎖7番目のAlaをSerに置換した際の、モノマー残存率の変化を示す図である。 sc(Fv)2中の重鎖81番目のGlnをGluに置換した際の、モノマー残存率の変化を示す図である。 sc(Fv)2中の重鎖81番目のArgをGluに置換した際の、モノマー残存率の変化を示す図である。 sc(Fv)2中の48番目のMetをIleに置換した際の、モノマー残存率の変化を示す図である。 sc(Fv)2遺伝子の作製過程を示す図である。 実施例で使用したsc(Fv)2のVHアミノ酸配列を示す図である。図中の−は、g-eと同じアミノ酸配列であることを示している。 19−Aの続きの配列を示す図である。 実施例で使用したsc(Fv)2のVLアミノ酸配列を示す図である。図中の−は、g-eと同じアミノ酸配列であることを示している。 20−Aの続きの配列を示す図である。 u2-wz4、改変体v1、改変体v3のゲルろ過クロマトグラフィーの結果を示す。 u2-wz4精製peak1、u2-wz4精製peak2、改変体v1、改変体v3のDSC分析の結果を示す。 u2-wz4精製peak1、u2-wz4精製peak2、改変体v1、改変体v3の熱加速試験におけるゲルろ過クロマトグラフィー分析の結果を示す。
本発明者らは、部位特異的変異を導入することによってsc(Fv)2の安定性が向上することを見出した。本発明者らはさらに、特定の部位に特定のアミノ酸を配置することによってsc(Fv)2の安定性が向上することを見出した。本発明は、これら知見に基づくものである。
本発明は、sc(Fv)2に部位特異的変異を導入する工程を含む、sc(Fv)2を安定化させる方法に関する。
本発明の方法におけるアミノ酸残基の「改変」または「変異の導入」とは、具体的には、元(改変前)のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基へ置換すること、元のアミノ酸残基を欠失させること、新たなアミノ酸残基を付加すること等を指すが、好ましくは、元のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基へ置換することを指す。本発明でいう元(改変前)のアミノ酸配列は、天然由来の配列を元のアミノ酸配列としてもよいし、既にアミノ酸置換、ヒト化などが行われた配列を元のアミノ酸配列としてもよい。なお、本明細書においては、アミノ酸残基の「改変」と「変異の導入」は同一の意味で用いられる。
本発明において、アミノ酸残基の「変異の導入」は、sc(Fv)2をコードするDNAを改変することによって行うことが出来る。
本発明において、sc(Fv)2の重鎖(または軽鎖)に変異を導入する場合、sc(Fv)2に含まれる2つの重鎖の両方(または2つの軽鎖の両方)に変異を導入してもよいし、片方の重鎖(または軽鎖)のみに変異を導入してもよい。
本発明において「DNAを改変する」とは、本発明における「変異の導入」によって導入されるアミノ酸残基に対応するようにDNAを改変することを言う。より具体的には、元のアミノ酸残基をコードするDNAについて、改変によって導入されるアミノ酸残基をコードするDNAへ改変することを言う。通常、目的のアミノ酸残基をコードするコドンとなるように、元のDNAに対して、少なくとも1塩基を挿入、欠失または置換するような遺伝子操作もしくは変異処理を行うことを意味する。即ち、元のアミノ酸残基をコードするコドンは、改変によって導入されるアミノ酸残基をコードするコドンによって置換される。このようなDNAの改変は、当業者においては公知の技術、例えば、部位特異的変異誘発法、PCR変異導入法等を用いて、適宜実施することが可能である。
本発明において、部位特異的変異が導入される部位は特に限定されず、sc(Fv)2の如何なる部位でもよいが、好ましくは、以下の(a)〜(k)のいずれかの部位である。
(a) 重鎖48番目のアミノ酸
(b) 重鎖65番目のアミノ酸
(c) 軽鎖7番目のアミノ酸
(d) 軽鎖8番目のアミノ酸
(e) 軽鎖36番目のアミノ酸
(f) 軽鎖43番目のアミノ酸
(g) 軽鎖45番目のアミノ酸
(h) 軽鎖70番目のアミノ酸
(i) 重鎖81番目のアミノ酸
(j) 重鎖39番目のアミノ酸
(k) 軽鎖38番目のアミノ酸
置換後のアミノ酸は特に限定されず、如何なるアミノ酸に置換されてもよいが、好ましい置換後のアミノ酸の例としては、以下のアミノ酸を挙げることができる。
(a) 重鎖48番目のアミノ酸:イソロイシン
(b) 重鎖65番目のアミノ酸:グリシン
(c) 軽鎖7番目のアミノ酸:セリン
(d) 軽鎖8番目のアミノ酸:プロリン
(e) 軽鎖36番目のアミノ酸:フェニルアラニン
(f) 軽鎖43番目のアミノ酸:アラニン
(g) 軽鎖45番目のアミノ酸:アルギニン
(h) 軽鎖70番目のアミノ酸:アスパラギン酸
(i) 重鎖81番目のアミノ酸:グルタミン
(j) 重鎖39番目のアミノ酸:グルタミン酸またはリジン
(k) 軽鎖38番目のアミノ酸:グルタミン酸またはリジン
さらに、本発明はsc(Fv)2中の特定の部位に特定のアミノ酸を配置することによりsc(Fv)2を安定化する方法に関する。より具体的には、以下のいずれかの方法によりsc(Fv)2を安定化する方法に関する。
(a) 重鎖48番目のアミノ酸をイソロイシンにする方法
(b) 重鎖65番目のアミノ酸をグリシンにする方法
(c) 軽鎖7番目のアミノ酸をセリンにする方法
(d) 軽鎖8番目のアミノ酸をプロリンにする方法
(e) 軽鎖36番目のアミノ酸をフェニルアラニンにする方法
(f) 軽鎖43番目のアミノ酸をアラニンにする方法
(g) 軽鎖45番目のアミノ酸をアルギニンにする方法
(h) 軽鎖70番目のアミノ酸をアスパラギン酸にする方法
(i) 重鎖81番目のアミノ酸をグルタミンにする方法
(j) 重鎖39番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンにする方法
(k) 軽鎖38番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンにする方法
本発明において、sc(Fv)2とは、2つの重鎖可変領域([VH])及び2つの軽鎖可変領域([VL])をリンカー等で結合して一本鎖ポリペプチドにした抗体である(Hudson et al、J Immunol. Methods 1999;231:177-189)。sc(Fv)2は、例えば、2つのscFv(シングルチェインFv) (Huston, J. S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (1988) 85, 5879-5883、 Pluckthun「The Pharmacology of Monoclonal Antibodies」Vol.113, Resenburg 及び Moore編, Springer Verlag, New York, pp.269-315, (1994))をリンカー等で結合することにより作製することが可能である。リンカーとしては、遺伝子工学により導入し得る任意のペプチドリンカー、又は合成化合物リンカー、例えば、Protein Engineering, 9(3), 299-305, 1996に開示されるリンカー等を用いることができるが、本発明においてはペプチドリンカーが好ましい。ペプチドリンカーの長さは特に限定されず、目的に応じて当業者が適宜選択することが可能であるが、通常、1〜100アミノ酸、好ましくは5〜30アミノ酸、特に好ましくは12〜18アミノ酸(例えば、15アミノ酸)である。
結合される2つの重鎖可変領域と2つの軽鎖可変領域の順序は特に限定されず、どのような順序で並べられていてもよく、例えば、以下のような配置を挙げることができる。
[VH]リンカー[VL]リンカー[VH]リンカー[VL]
[VL]リンカー[VH]リンカー[VH]リンカー[VL]
[VH]リンカー [VL] リンカー [VL] リンカー [VH]
[VH]リンカー [VH] リンカー [VL] リンカー [VL]
[VL]リンカー[VL]リンカー[VH]リンカー[VH]
[VL]リンカー[VH]リンカー[VL]リンカー[VH]
本発明においては、好ましくは、[VH]リンカー[VL]リンカー[VH]リンカー[VL]の配置を有するsc(Fv)2である。
ペプチドリンカーのアミノ酸配列としては、例えば、以下のような配列を挙げることができる。
Ser
Gly・Ser
Gly・Gly・Ser
Ser・Gly・Gly
Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号:42)
Ser・Gly・Gly・Gly(配列番号:43)
Gly・Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号:44)
Ser・Gly・Gly・Gly・Gly(配列番号:45)
Gly・Gly・Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号:46)
Ser・Gly・Gly・Gly・Gly・Gly(配列番号:47)
Gly・Gly・Gly・Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号:48)
Ser・Gly・Gly・Gly・Gly・Gly・Gly(配列番号:49)
(Gly・Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号:44))n
(Ser・Gly・Gly・Gly・Gly(配列番号:45))n
[nは1以上の整数である]
合成化学物リンカー(化学架橋剤)は、ペプチドの架橋に通常用いられている架橋剤、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、ジスクシンイミジルスベレート(DSS)、ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート(BS3)、ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)(DSP)、ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート)(DTSSP)、エチレングリコールビス(スクシンイミジルスクシネート)(EGS)、エチレングリコールビス(スルホスクシンイミジルスクシネート)(スルホ−EGS)、ジスクシンイミジル酒石酸塩(DST)、ジスルホスクシンイミジル酒石酸塩(スルホ−DST)、ビス[2-(スクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン(BSOCOES)、ビス[2-(スルホスクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン(スルホ−BSOCOES)などであり、これらの架橋剤は市販されている。
4つの抗体可変領域を結合する場合には、通常、3つのリンカーが必要となるが、全て同じリンカーを用いてもよいし、異なるリンカーを用いてもよい。
重鎖可変領域又は軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、置換、欠失、付加及び/又は挿入されていてもよい。さらに、重鎖可変領域と軽鎖可変領域を会合させた場合に、抗原結合活性を有する限り、一部を欠損させてもよいし、他のポリペプチドを付加してもよい。又、可変領域はヒト化されていてもよい。
あるポリペプチドと機能的に同等なポリペプチドを調製するための、当業者によく知られた方法としては、ポリペプチドに変異を導入する方法が知られている。例えば、当業者であれば、部位特異的変異誘発法(Hashimoto-Gotoh, T. et al. (1995) Gene 152, 271-275、Zoller, MJ, and Smith, M.(1983) Methods Enzymol. 100, 468-500、Kramer, W. et al. (1984) Nucleic Acids Res. 12, 9441-9456、Kramer W, and Fritz HJ(1987) Methods. Enzymol. 154, 350-367、Kunkel,TA(1985) Proc Natl Acad Sci USA. 82, 488-492、Kunkel (1988) Methods Enzymol. 85, 2763-2766)などを用いて、本発明の抗体に適宜変異を導入することにより、該抗体と機能的に同等な抗体を調製することができる。また、アミノ酸の変異は自然界においても生じうる。このように、本発明の抗体のアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が変異したアミノ酸配列を有し、該抗体と機能的に同等な抗体もまた本発明の抗体に含まれる。
変異するアミノ酸数は特に制限されないが、通常、30アミノ酸以内であり、好ましくは15アミノ酸以内であり、さらに好ましくは5アミノ酸以内(例えば、3アミノ酸以内)であると考えられる。変異するアミノ酸残基においては、アミノ酸側鎖の性質が保存されている別のアミノ酸に変異されることが望ましい。例えばアミノ酸側鎖の性質としては、疎水性アミノ酸(A、I、L、M、F、P、W、Y、V)、親水性アミノ酸(R、D、N、C、E、Q、G、H、K、S、T)、脂肪族側鎖を有するアミノ酸(G、A、V、L、I、P)、水酸基含有側鎖を有するアミノ酸(S、T、Y)、硫黄原子含有側鎖を有するアミノ酸(C、M)、カルボン酸及びアミド含有側鎖を有するアミノ酸(D、N、E、Q)、塩基含有側鎖を有するアミノ酸(R、K、H)、芳香族含有側鎖を有するアミノ酸(H、F、Y、W)を挙げることができる(括弧内はいずれもアミノ酸の一文字標記を表す)。あるアミノ酸配列に対する1又は複数個のアミノ酸残基の欠失、付加及び/又は他のアミノ酸による置換により修飾されたアミノ酸配列を有するポリペプチドがその生物学的活性を維持することはすでに知られている(Mark, D. F. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1984) 81, 5662-5666 、Zoller, M. J. & Smith, M. Nucleic Acids Research (1982) 10, 6487-6500 、Wang, A. et al., Science 224, 1431-1433 、Dalbadie-McFarland, G. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1982) 79, 6409-6413)。また、抗体の定常領域などのアミノ酸配列は当業者に公知である。
キメラ抗体は、異なる動物由来の配列を組み合わせて作製される抗体であり、例えば、マウス抗体の重鎖、軽鎖の可変領域とヒト抗体の重鎖、軽鎖の定常領域からなる抗体などである。キメラ抗体の作製は公知の方法を用いて行うことができ、例えば、抗体V領域をコードするDNAとヒト抗体C領域をコードするDNAとを連結し、これを発現ベクターに組み込んで宿主に導入し産生させることにより得られる。
ヒト化抗体は、再構成(reshaped)ヒト抗体とも称され、これは、ヒト以外の哺乳動物、例えばマウス抗体の相補性決定領域(CDR; complementarity determining region)をヒト抗体の相補性決定領域へ移植したものであり、その一般的な遺伝子組換え手法も知られている(欧州特許出願公開番号EP 125023号公報、WO 96/02576 号公報参照)。
具体的には、マウス抗体のCDRとヒト抗体のフレームワーク領域(framework region;FR)とを連結するように設計したDNA配列を、CDR及びFR両方の末端領域にオーバーラップする部分を有するように作製した数個のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いてPCR法により合成する(WO98/13388号公報に記載の方法を参照)。
CDRを介して連結されるヒト抗体のフレームワーク領域は、相補性決定領域が良好な抗原結合部位を形成するものが選択される。必要に応じ、再構成ヒト抗体の相補性決定領域が適切な抗原結合部位を形成するように、抗体の可変領域におけるフレームワーク領域のアミノ酸を置換してもよい(Sato, K.etal., CancerRes.(1993)53, 851-856)。
キメラ抗体及びヒト化抗体の定常領域には、通常、ヒト抗体のものが使用され、例えばH鎖では、Cγ1、Cγ2、Cγ3、Cγ4を、L鎖ではCκ、Cλを使用することができる。
一般的に、キメラ抗体は、ヒト以外の哺乳動物由来抗体の可変領域とヒト抗体由来の定常領域とからなる。一方、ヒト化抗体は、ヒト以外の哺乳動物由来抗体の相補性決定領域と、ヒト抗体由来のフレームワーク領域および定常領域とからなる。
なお、キメラ抗体やヒト化抗体を作製した後に、可変領域(例えば、FR)や定常領域中のアミノ酸を他のアミノ酸で置換等してもよい。
キメラ抗体における可変領域、又はヒト化抗体におけるCDRの由来は特に限定されず、どのような動物由来でもよい。例えば、マウス抗体、ラット抗体、ウサギ抗体、ラクダ抗体などの配列を用いることが可能である。
本発明に使用するsc(Fv)2は、ポリエチレングリコール(PEG)、放射性物質、トキシン等の各種分子と結合したコンジュゲート抗体でもよい。このようなコンジュゲート抗体は、得られた抗体に化学的な修飾を施すことによって得ることができる。なお、抗体の修飾方法はこの分野においてすでに確立されている。本発明におけるsc(Fv)2にはこれらのコンジュゲート抗体も包含される。
又、本発明に使用するsc(Fv)2は二種特異性抗体(bispecific antibody)でもよい(例えば、Journal of Immunology, 1994, 152, 5368-5374、など)。bispecific antibodyは異なる二種の抗原を認識してもよいし、同一抗原上の異なるエピトープを認識してもよい。
また本発明のsc(Fv)2は、そのN末端あるいはC末端にIgGのFc部分等の別のタンパク質を融合してもよい(Clinical Cancer Research, 2004, 10, 1274-1281)。融合するタンパク質は当業者が適宜選択することができる。
上述のsc(Fv)2は当業者に公知の方法により製造することができる。具体的には、目的とするsc(Fv)2のDNAを発現ベクターへ組み込む。その際、発現制御領域、例えば、エンハンサー、プロモーターの制御のもとで発現するよう発現ベクターに組み込む。次に、この発現ベクターにより宿主細胞を形質転換し、抗体を発現させることができる。その際には、適当な宿主と発現ベクターの組み合わせを使用することができる。
ベクターの例としては、M13系ベクター、pUC系ベクター、pBR322、pBluescript、pCR-Scriptなどが挙げられる。また、cDNAのサブクローニング、切り出しを目的とした場合、上記ベクターの他に、例えば、pGEM-T、pDIRECT、pT7などが挙げられる。
抗体を生産する目的においてベクターを使用する場合には、特に、発現ベクターが有用である。発現ベクターとしては、例えば、大腸菌での発現を目的とした場合は、ベクターが大腸菌で増幅されるような上記特徴を持つほかに、宿主をJM109、DH5α、HB101、XL1-Blueなどの大腸菌とした場合においては、大腸菌で効率よく発現できるようなプロモーター、例えば、lacZプロモーター(Wardら, Nature (1989) 341, 544-546;FASEB J. (1992) 6, 2422-2427)、araBプロモーター(Betterら, Science (1988) 240, 1041-1043 )、またはT7プロモーターなどを持っていることが不可欠である。このようなベクターとしては、上記ベクターの他にpGEX-5X-1(Pharmacia社製)、「QIAexpress system」(QIAGEN社製)、pEGFP、またはpET(この場合、宿主はT7 RNAポリメラーゼを発現しているBL21が好ましい)などが挙げられる。
また、ベクターには、ポリペプチド分泌のためのシグナル配列が含まれていてもよい。ポリペプチド分泌のためのシグナル配列としては、大腸菌のペリプラズムに産生させる場合、pelBシグナル配列(Lei, S. P. et al J. Bacteriol. (1987) 169, 4379 )を使用すればよい。宿主細胞へのベクターの導入は、例えば塩化カルシウム法、エレクトロポレーション法を用いて行うことができる。
大腸菌以外にも、例えば、本発明のポリペプチドを製造するためのベクターとしては、哺乳動物由来の発現ベクター(例えば、pcDNA3(Invitrogen社製)や、pEGF-BOS (Nucleic Acids. Res.1990, 18(17),p5322)、pEF、pCDM8)、昆虫細胞由来の発現ベクター(例えば「Bac-to-BAC baculovairus expression system」(GIBCO BRL社製)、pBacPAK8)、植物由来の発現ベクター(例えばpMH1、pMH2)、動物ウィルス由来の発現ベクター(例えば、pHSV、pMV、pAdexLcw)、レトロウィルス由来の発現ベクター(例えば、pZIPneo)、酵母由来の発現ベクター(例えば、「Pichia Expression Kit」(Invitrogen社製)、pNV11、SP-Q01)、枯草菌由来の発現ベクター(例えば、pPL608、pKTH50)が挙げられる。
CHO細胞、COS細胞、NIH3T3細胞等の動物細胞での発現を目的とした場合には、細胞内で発現させるために必要なプロモーター、例えばSV40プロモーター(Mulliganら, Nature (1979) 277, 108)、MMTV-LTRプロモーター、EF1αプロモーター(Mizushimaら, Nucleic Acids Res. (1990) 18, 5322)、CAGプロモーター(Gene. (1991) 108, 193)、CMVプロモーターなどを持っていることが不可欠であり、細胞への形質転換を選抜するための遺伝子(例えば、薬剤(ネオマイシン、G418など)により判別できるような薬剤耐性遺伝子)を有すればさらに好ましい。このような特性を有するベクターとしては、例えば、pMAM、pDR2、pBK-RSV、pBK-CMV、pOPRSV、pOP13などが挙げられる。
さらに、遺伝子を安定的に発現させ、かつ、細胞内での遺伝子のコピー数の増幅を目的とする場合には、核酸合成経路を欠損したCHO細胞にそれを相補するDHFR遺伝子を有するベクター(例えば、pCHOIなど)を導入し、メトトレキセート(MTX)により増幅させる方法が挙げられ、また、遺伝子の一過性の発現を目的とする場合には、SV40 T抗原を発現する遺伝子を染色体上に持つCOS細胞を用いてSV40の複製起点を持つベクター(pcDなど)で形質転換する方法が挙げられる。複製開始点としては、また、ポリオーマウィルス、アデノウィルス、ウシパピローマウィルス(BPV)等の由来のものを用いることもできる。さらに、宿主細胞系で遺伝子コピー数増幅のため、発現ベクターは選択マーカーとして、アミノグリコシドトランスフェラーゼ(APH)遺伝子、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子、大腸菌キサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Ecogpt)遺伝子、ジヒドロ葉酸還元酵素(dhfr)遺伝子等を含むことができる。
本発明において「安定化する」とは、変異による会合化(aggregation)を抑制することをいう。会合化の抑制は、会合を完全に抑制する必要はなく、会合化の程度や割合を減少させるだけでもよい。本発明において会合は、可逆的会合でも不可逆的会合でもよい。
本発明において「会合化」とは、時間の経過により起こるsc(Fv)2の会合化であってもよいし、宿主細胞中でsc(Fv)2が生産される過程または宿主細胞から分泌される過程における会合化であってもよい。また、sc(Fv)2の活性低下の抑制、または非天然状態への移行の抑制も、本発明の「安定化」と同等の意味を示すものとする。
安定化したか否かは当業者に公知の方法によって測定することが可能であり、例えば、会合化が抑制されたか否かは実施例に記載の方法により測定することが可能である。又、当業者に公知の方法、例えば、沈降平衡法(超遠心法)、浸透圧法、光散乱法、低角レーザー光散乱法、X線小角散乱法、中性子小角散乱法、またはゲルろ過法等により抗体分子の会合度(会合率)を測定することで行うことが出来る。
抗体分子の会合度(会合率)の測定する方法としては、SEC(Size Exclusion Chromatography:サイズ排除クロマトグラフィー)を用いて行う方法が挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。
タンパク質の溶液中における安定性を示す指標として、Tm値が知られている。一般にタンパク質は高温ほど不安定であり、タンパク質に熱をかけていくと、ある温度から変性および会合化が始まり、ある温度においてタンパク質は完全に変性あるいは会合化する。Tm値はこのような変化の中間温度のことであり、一般にDifferential Scanning Calorimetry(DSC)や温度依存的なCDスペクトルの変化等の光学分析によって測定可能である。タンパク質を医薬品として開発するに当たってはTm値の高い製剤条件を選択することで安定性の高い製剤を作製できることが知られている(Pharm Res. 1998 Feb;15(2):200-8)。そのため、アミノ酸改変によりTm値が高くなるような変異体を作製することによって、より医薬品製剤としての開発が容易になると考えられる。
このようなことから、本発明においてsc(Fv)2分子のTm値が上昇した場合にも、sc(Fv)2が安定化したものとみなすことが出来る。従って、本発明は、sc(Fv)2に部位特異的変異を導入する工程を含む、sc(Fv)2のTm値を10℃以上上昇させる方法に関する。
Tm値が上昇したか否かはアミノ酸改変前のTm値とアミノ酸改変後のTm値を比較することにより調べることが可能である。Tm値の上昇は、アミノ酸改変後のTm値がアミノ酸改変前のTm値よりも高くなっている限り特に限定されないが、好ましくは10℃以上の上昇であり、さらに好ましくは13℃以上の上昇であり、特に好ましくは15℃以上の上昇である。なお、Tm値の上限は特に限定されないが、一般的には150℃程度である。
Tm値は当業者に公知の方法により測定することが可能であり、例えば実施例に記載の方法により測定することが可能である。
Tm値を上昇させる為に改変するアミノ酸の数は特に限定されず、単一のアミノ酸を改変してもよいし、複数のアミノ酸を改変してもよい。
本発明においてsc(Fv)2の安定化は、一時的にsc(Fv)2分子が安定化されるものであってもよく、またある一定期間の後、最終的にsc(Fv)2分子が安定化されるものであってもよい。すなわち、一時的にsc(Fv)2組成物としての活性を維持させるものでもよく、また一定期間の後、最終的にsc(Fv)2分子の活性を維持させるものであってもよい。
本発明において活性は、結合活性、中和活性、細胞傷害活性、アゴニスト活性、アンタゴニスト活性、酵素活性など、いかなる活性でもよく、特に限定されないが、結合活性またはアゴニスト活性が好ましい。
アゴニスト活性とは、受容体などの抗原に抗体が結合することにより、細胞内にシグナルが伝達される等して、何らかの生理的活性の変化を誘導する活性である。生理的活性としては、例えば、増殖活性、生存活性、分化活性、転写活性、膜輸送活性、結合活性、タンパク質分解活性、リン酸化/脱リン酸化活性、酸化還元活性、転移活性、核酸分解活性、脱水活性、細胞死誘導活性、アポトーシス誘導活性、などを挙げることができるが、これらに限定されるわけではない。
本発明において抗原は特に限定されず、どのような抗原でもよい。抗原の例としては、例えば、受容体、癌抗原、MHC抗原、分化抗原、などを挙げることができる。受容体の例としては、例えば、造血因子受容体ファミリー、サイトカイン受容体ファミリー、チロシンキナーゼ型受容体ファミリー、セリン/スレオニンキナーゼ型受容体ファミリー、TNF受容体ファミリー、Gタンパク質共役型受容体ファミリー、GPIアンカー型受容体ファミリー、チロシンホスファターゼ型受容体ファミリー、接着因子ファミリー、ホルモン受容体ファミリー、等の受容体ファミリーに属する受容体などを挙げることができる。
上記受容体ファミリーに属する具体的な受容体としては、例えば、ヒト又はマウスエリスロポエチン(EPO)受容体、ヒト又はマウス顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)受容体、ヒト又はマウストロンボポイエチン(TPO)受容体、ヒト又はマウスインスリン受容体、ヒト又はマウスFlt-3リガンド受容体、ヒト又はマウス血小板由来増殖因子(PDGF)受容体、ヒト又はマウスインターフェロン(IFN)-α、β受容体、ヒト又はマウスレプチン受容体、ヒト又はマウス成長ホルモン(GH)受容体、ヒト又はマウスインターロイキン(IL)-10受容体、ヒト又はマウスインスリン様増殖因子(IGF)-I受容体、ヒト又はマウス白血病抑制因子(LIF)受容体、ヒト又はマウス毛様体神経栄養因子(CNTF)受容体等を例示することができる。
癌抗原は細胞の悪性化に伴って発現する抗原であり、腫瘍特異性抗原とも呼ばれる。又、細胞が癌化した際に細胞表面やタンパク質分子上に現れる異常な糖鎖も癌抗原となり、特に癌糖鎖抗原と呼ばれる。癌抗原の例としては、例えば、CA19-9、CA15-3、シリアルSSEA-1(SLX)などを挙げることができる。
MHC抗原には、MHC class I抗原とMHC class II抗原に大別され、MHC class I抗原には、HLA-A,-B,-C,-E,-F,-G,-Hが含まれ、MHC class II抗原には、HLA-DR,-DQ,-DPが含まれる。
分化抗原には、
CD1,CD2,CD3,CD4,CD5,CD6,CD7,CD8,CD10,CD11a,CD11b,CD11c,CD13,CD14,CD15s,CD16,CD18,CD19,CD20,CD21,CD23,CD25,CD28,CD29,CD30,CD32,CD33,CD34,CD35,CD38,CD40,CD41a,CD41b,CD42a,CD42b,CD43,CD44,CD45,CD45RO,CD48,CD49a,CD49b,CD49c,CD49d,CD49e,CD49f,CD51,CD54,CD55,CD56,CD57,CD58,CD61,CD62E,CD62L,CD62P,CD64,CD69,CD71,CD73,CD95,CD102,CD106,CD122,CD126,CDw130などが含まれる。
活性の変化を測定する為に用いる検出指標としては、量的及び/又は質的な変化が測定可能である限り使用することができる。例えば、無細胞系(cell free assay)の指標、細胞系(cell-based assay)の指標、組織系の指標、生体系の指標を用いることができる。
無細胞系の指標としては、酵素反応やタンパク質、DNA、RNAの量的及び/又は質的な変化を用いることができる。酵素反応としては、例えば、アミノ酸転移反応、糖転移反応、脱水反応、脱水素反応、基質切断反応等を用いることができる。また、タンパク質のリン酸化、脱リン酸化、二量化、多量化、分解、乖離等や、DNA、RNAの増幅、切断、伸長を用いることができる。例えばシグナル伝達経路の下流に存在するタンパク質のリン酸化を検出指標とすることができる。
細胞系の指標としては、細胞の表現型の変化、例えば、産生物質の量的及び/又は質的変化、増殖活性の変化、細胞数の変化、形態の変化、特性の変化等を用いることができる。産生物質としては、分泌タンパク質、表面抗原、細胞内タンパク質、mRNA等を用いることができる。形態の変化としては、突起形成及び/又は突起の数の変化、偏平度の変化、伸長度/縦横比の変化、細胞の大きさの変化、内部構造の変化、細胞集団としての異形性/均一性、細胞密度の変化等を用いることができる。これらの形態の変化は検鏡下での観察で確認することができる。特性の変化としては、足場依存性、サイトカイン依存応答性、ホルモン依存性、薬剤耐性、細胞運動性、細胞遊走活性、拍動性、細胞内物質の変化等を用いることができる。細胞運動性としては、細胞浸潤活性、細胞遊走活性がある。また、細胞内物質の変化としては例えば、酵素活性、mRNA量、Ca2+やcAMP等の細胞内情報伝達物質量、細胞内タンパク質量等を用いることができる。また、細胞膜受容体の場合には、受容体の刺激によって誘導される細胞の増殖活性の変化を指標とすることができる。
組織系の指標としては、使用する組織に応じた機能変化を検出指標とすることができる。生体系の指標としては組織重量変化、血液系の変化、例えば血球細胞数の変化、タンパク質量や、酵素活性、電解質量の変化、また、循環器系の変化、例えば、血圧、心拍数の変化等を用いることができる。
これらの検出指標を測定する方法としては、特に制限はなく、吸光、発光、発色、蛍光、放射活性、蛍光偏光度、表面プラズモン共鳴シグナル、時間分解蛍光度、質量、吸収スペクトル、光散乱、蛍光共鳴エネルギー移動、等を用いることができる。これらの測定方法は当業者にとっては周知であり、目的に応じて、適宜選択することができる。
例えば、吸収スペクトルは一般的に用いられるフォトメータやプレートリーダ等、発光はルミノメータ等、蛍光はフルオロメータ等で測定することができる。質量は質量分析計を用いて測定することができる。放射活性は、放射線の種類に応じてガンマカウンターなどの測定機器を用いて、蛍光偏光度はBEACON(宝酒造)、表面プラズモン共鳴シグナルはBIACORE、時間分解蛍光、蛍光共鳴エネルギー移動などはARVOなどにより測定できる。さらに、フローサイトメータなども測定に用いることができる。これらの測定方法は、一つの測定方法で2種以上の検出指標を測定しても良く、簡便であれば、2種以上の測定を同時及び/又は連続して測定することによりさらに多数の検出指標を測定することも可能である。例えば、蛍光と蛍光共鳴エネルギー移動を同時にフルオロメータで測定することができる。
本発明において、アゴニスト活性の測定は当業者に公知の方法により行うことが可能である。例えば、実施例に記載のように細胞増殖を指標にアゴニスト活性を測定する方法により判定することが可能である。より具体的には、アゴニスト依存性増殖を示す細胞に、アゴニスト活性を測定したい抗体を添加し、培養する。その後、WST-8のような生細胞数に応じて特定の波長において発色反応を呈する試薬を添加して吸光度を測定し、得られた吸光度を指標にアゴニスト活性を測定することが可能である。
アゴニスト依存性増殖を示す細胞も当業者に公知の方法により作製することが可能であり、例えば、抗原が細胞増殖シグナルを発する受容体である場合には、該受容体を発現している細胞を用いればよい。又、抗原が細胞増殖シグナルを出さない受容体である場合には、細胞増殖シグナルを発する受容体の細胞内領域と、細胞増殖シグナルを出さない受容体の細胞外領域からなるキメラ受容体を作製し、該キメラ受容体を細胞で発現させればよい。細胞増殖シグナルを発する受容体の例としては、例えば、G-CSF受容体、mpl、neu、GM-CSF受容体、EPO受容体、c-kit、FLT-3等を挙げることができる。受容体を発現させる細胞としては、例えば、BaF3、NFS60、FDCP-1、FDCP-2、CTLL-2、DA-1、KT-3等を挙げることができる。
本発明は部位特異的変異の導入されたsc(Fv)2に関する。
本発明において、部位特異的変異が導入される部位は特に限定されず、sc(Fv)2の如何なる部位でもよいが、好ましくは、以下の(a)〜(k)のいずれかの部位である。
(a) 重鎖48番目のアミノ酸
(b) 重鎖65番目のアミノ酸
(c) 軽鎖7番目のアミノ酸
(d) 軽鎖8番目のアミノ酸
(e) 軽鎖36番目のアミノ酸
(f) 軽鎖43番目のアミノ酸
(g) 軽鎖45番目のアミノ酸
(h) 軽鎖70番目のアミノ酸
(i) 重鎖81番目のアミノ酸
(j) 重鎖39番目のアミノ酸
(k) 軽鎖38番目のアミノ酸
置換後のアミノ酸は特に限定されず、如何なるアミノ酸に置換されてもよいが、好ましい置換後のアミノ酸の例としては、以下のアミノ酸を挙げることができる。
(a) 重鎖48番目のアミノ酸:イソロイシン
(b) 重鎖65番目のアミノ酸:グリシン
(c) 軽鎖7番目のアミノ酸:セリン
(d) 軽鎖8番目のアミノ酸:プロリン
(e) 軽鎖36番目のアミノ酸:フェニルアラニン
(f) 軽鎖43番目のアミノ酸:アラニン
(g) 軽鎖45番目のアミノ酸:アルギニン
(h) 軽鎖70番目のアミノ酸:アスパラギン酸
(i) 重鎖81番目のアミノ酸:グルタミン
(j) 重鎖39番目のアミノ酸:グルタミン酸またはリジン
(k) 軽鎖38番目のアミノ酸:グルタミン酸またはリジン
従って、本発明のsc(Fv)2の好ましい態様としては、以下のいずれかのsc(Fv)2を挙げることができる。
(a) 重鎖48番目のアミノ酸が置換されたsc(Fv)2
(b) 重鎖65番目のアミノ酸が置換されたsc(Fv)2
(c) 軽鎖7番目のアミノ酸が置換されたsc(Fv)2
(d) 軽鎖8番目のアミノ酸が置換されたsc(Fv)2
(e) 軽鎖36番目のアミノ酸が置換されたsc(Fv)2
(f) 軽鎖43番目のアミノ酸が置換されたsc(Fv)2
(g) 軽鎖45番目のアミノ酸が置換されたsc(Fv)2
(h) 軽鎖70番目のアミノ酸が置換されたsc(Fv)2
(i) 重鎖81番目のアミノ酸が置換されたsc(Fv)2
(j) 重鎖39番目のアミノ酸が置換されたsc(Fv)2
(k) 軽鎖38番目のアミノ酸が置換されたsc(Fv)2
さらに、本発明のさらに好ましい態様としては、以下のいずれかのsc(Fv)2を挙げることができる。
(a) 重鎖48番目のアミノ酸がイソロイシンに置換されたsc(Fv)2
(b) 重鎖65番目のアミノ酸がグリシンに置換されたsc(Fv)2
(c) 軽鎖7番目のアミノ酸がセリンに置換されたsc(Fv)2
(d) 軽鎖8番目のアミノ酸がプロリンに置換されたsc(Fv)2
(e) 軽鎖36番目のアミノ酸がフェニルアラニンに置換されたsc(Fv)2
(f) 軽鎖43番目のアミノ酸がアラニンに置換されたsc(Fv)2
(g) 軽鎖45番目のアミノ酸がアルギニンに置換されたsc(Fv)2
(h) 軽鎖70番目のアミノ酸がアスパラギン酸に置換されたsc(Fv)2
(i) 重鎖81番目のアミノ酸がグルタミンに置換されたsc(Fv)2
(j) 重鎖39番目のアミノ酸がグルタミン酸またはリジンに置換されたsc(Fv)2
(k) 軽鎖38番目のアミノ酸がグルタミン酸またはリジンに置換されたsc(Fv)2
さらに本発明は、sc(Fv)2の安定性に影響を与える部位に特定のアミノ酸を配置したsc(Fv)2に関する。具体的には以下のいずれかのsc(Fv)2に関する。
(a) 重鎖48番目のアミノ酸がイソロイシンであるsc(Fv)2
(b) 重鎖65番目のアミノ酸がグリシンであるsc(Fv)2
(c) 軽鎖7番目のアミノ酸がセリンであるsc(Fv)2
(d) 軽鎖8番目のアミノ酸がプロリンであるsc(Fv)2
(e) 軽鎖36番目のアミノ酸がフェニルアラニンであるsc(Fv)2
(f) 軽鎖43番目のアミノ酸がアラニンであるsc(Fv)2
(g) 軽鎖45番目のアミノ酸がアルギニンであるsc(Fv)2
(h) 軽鎖70番目のアミノ酸がアスパラギン酸であるsc(Fv)2
(i) 重鎖81番目のアミノ酸がグルタミンであるsc(Fv)2
(j) 重鎖39番目のアミノ酸がグルタミン酸またはリジンであるsc(Fv)2
(k) 軽鎖38番目のアミノ酸がグルタミン酸またはリジンであるsc(Fv)2
発明ははさらに高いTm値を有するsc(Fv)2に関する。
本発明において高いTm値とは、Tm値が55℃以上であり、好ましくは60℃以上であり、さらに好ましくは65℃以上のことをいう。
又、本発明は、部位特異的なアミノ酸変異の導入によって、変異の導入前よりもTm値が10℃以上、好ましくは13℃以上、さらに好ましくは15℃以上上昇したsc(Fv)2を提供する。
なお、本発明で使用されるTm値は、実施例記載の条件と同一の条件で測定された場合のTm値である。
本発明のsc(Fv)2は、安定化や会合抑制などの優れた性質を有するので、医薬組成物として用いるのに適している。又、本発明のsc(Fv)2は如何なるsc(Fv)2でもよく、特に限定されないが、医薬組成物として用いる場合には、人に対する抗原性などの点からヒト化されていることが好ましい。
本発明は、本発明のsc(Fv)2を含有する医薬組成物に関する。さらに、該医薬組成物、および薬学的に許容される担体を含むキットに関する。
本発明の医薬組成物およびキットには、薬学的に許容される担体が含まれてもよい。薬学的に許容される担体としては、例えば、滅菌水や生理食塩水、安定剤、賦形剤、酸化防止剤(アスコルビン酸等)、緩衝剤(リン酸、クエン酸、他の有機酸等)、防腐剤、界面活性剤(PEG、Tween等)、キレート剤(EDTA等)、結合剤等を挙げることができる。また、その他の低分子量のポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチンや免疫グロブリン等の蛋白質、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン及びリシン等のアミノ酸、多糖及び単糖等の糖類や炭水化物、マンニトールやソルビトール等の糖アルコールを含んでいてもよい。注射用の水溶液とする場合には、例えば生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液、例えば、D-ソルビトール、D-マンノース、D-マンニトール、塩化ナトリウムが挙げられ、適当な溶解補助剤、例えばアルコール(エタノール等)、ポリアルコール(プロピレングリコール、PEG等)、非イオン性界面活性剤(ポリソルベート80、HCO-50)等と併用してもよい。
また、必要に応じ、マイクロカプセル(ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリ[メチルメタクリル酸]等のマイクロカプセル)に封入したり、コロイドドラッグデリバリーシステム(リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル等)とすることもできる("Remington's Pharmaceutical Science 16th edition", Oslo Ed., 1980等参照)。さらに、薬剤を徐放性の薬剤とする方法も公知であり、本発明に適用し得る(Langer et al., J.Biomed.Mater.Res. 1981, 15: 167-277; Langer, Chem. Tech. 1982, 12: 98-105;米国特許第3,773,919号;欧州特許出願公開(EP)第58,481号; Sidman et al., Biopolymers 1983, 22: 547-556;EP第133,988号)。
患者への投与は経口、非経口投与のいずれでも可能であるが、好ましくは非経口投与である。本発明の医薬組成物の形態(剤型)としては、特に制限はなく、注射剤型、経鼻投与剤型、経肺投与剤型、経皮投与剤型、凍結乾燥剤型、溶液剤型などが挙げられるが、好ましくは凍結乾燥剤型を挙げることができる。
凍結乾燥は、当業者に周知の方法によって実施できる(Pharm Biotechnol, 2002, 13, 109-33、Int J Pharm. 2000, 203(1-2), 1-60、Pharm Res. 1997, 14(8), 969-75)。例えば、溶液を凍結乾燥に用いるバイアル等の容器に適当量分注し、凍結庫または凍結乾燥庫中にて行なうか、またはアセトン/ドライアイス、液体窒素などの冷媒中に浸漬して行なう。
また、抗体製剤を高濃度溶液製剤にする場合は、当業者に周知の方法によって実施できる。例えば、非特許文献(J. Pharm.Sc, 2004, 93(6), 1390-1402)に記載されているように、通常TFF膜を利用した膜濃縮法が用いられる。
注射剤型の例としては、例えば、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射などにより全身または局部的に投与することができる。また、患者の年齢、症状によって適宜投与方法を選択することができる。投与量としては、例えば、一回につき体重1kgあたり0.0001 mgから1000 mgの範囲で選ぶことが可能である。あるいは、例えば、患者あたり0.001〜100000 mg/bodyの範囲で投与量を選ぶことができる。しかしながら、本発明はこれらの投与量および投与方法等に制限されるものではない。
本発明は、(1)部位特異的変異をsc(Fv)2に導入する工程、および(2)医薬的に許容される担体を混合する工程を含む、sc(Fv)2を含有する医薬組成物の製造方法に関する。
医薬的に許容される担体は上記に記載のものを挙げることができる。
なお、本発明において使用されるアミノ酸部位のナンバーリングは、Kabatらの方法(Kabat EA et al. 1991. Sequence of Proteins of Immunological Interest. NIH)を用いる。
なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
〔実施例1〕ヒト化抗ヒトMpl抗体sc(Fv)2の作製
マウス抗ヒトMpl抗体VB22Bの相補性抗原決定領域(以下、CDR)を相同性の高いヒト抗体フレームワーク領域(以下、FR)に移植したヒト化VB22Bの可変領域遺伝子を作製し、続いてH鎖可変領域とL鎖可変領域がリンカーにて連結されたヒト化VB22B sc(Fv)2を以下の方法で作製した。ヒト化VB22B sc(Fv)2遺伝子の構築過程について図18に示した。
はじめに、ヒト化VB22B可変領域遺伝子をアッセンブルPCR法により合成した。具体的には、50base程度の合成オリゴDNAを約20base程度ハイブリダイズするように設計し、これらの合成オリゴDNAをPCR法により連結し、各可変領域をコードする遺伝子を作製した。次に、ヒト化VB22BのH鎖可変領域をコードする遺伝子の3’末端とヒト化VB22BのL鎖可変領域をコードする遺伝子の5’末端との間に、15アミノ酸から成るリンカー(Gly4Ser)3をコードする塩基配列が位置するように、アッセンブルPCR法を用いて作製した。この構築過程において、H鎖の5’末端にEcoRI部位を有し、H鎖22番目およびH鎖23番目のアミノ酸をコードする塩基配列がPvuII部位に変換するように設計した。また、L鎖の3’末端にNotI部位と必要に応じてFLAG配列をコードする塩基配列を有するように一本鎖ヒト化抗体遺伝子を作製した。続いて、この一本鎖ヒト化抗体遺伝子のPvuII部位に挿入する断片を作製した。すなわちN末端が欠けたH鎖可変領域とL鎖可変領域を(Gly4Ser)3から成るリンカーで連結し、さらにH鎖可変領域のN末端をコードする遺伝子と(Gly4Ser)3から成るリンカーをコードする塩基配列で連結する断片で、両末端がPvuII認識配列となる断片をコードする遺伝子である。この遺伝子断片をPvuIIで消化した後に、上述した一本鎖ヒト化抗体遺伝子のPvuII部位に挿入してヒト化抗体sc(Fv)2遺伝子を作製した。部位特異的なアミノ酸変異の導入については、QuikChange Site-Direct Mutagenesis Kit(Stratagene社製)を使用し、メーカーのプロトコールに従って実施した。完成した各sc(Fv)2遺伝子を発現ベクターpCXND3にクローニングした。本明細書で使用したsc(Fv)2のVHアミノ酸配列、VLアミノ酸配列を図19−A、B、図20−A、Bに示した。
発現ベクターをエレクトロポレーション法によりCHO-DG44細胞に遺伝子導入し、500μg/mL Geneticin(Invitrogen社製)を含むCHO-S-SFMII培地(Invitrogen社製)に加えて選抜し、発現CHO細胞株を樹立した。この安定発現細胞株の培養上清を調製し、50 mM Tris-HCl(pH 7.4), 150 mM NaCl, 0.05 % Tween20で平衡化したAnti-Flag M2 Affinity Gel (SIGMA-ALDRICH社製)カラムまたはFLAGタグが付加していないsc(Fv)2についてはエピトープであるMG10(ヒトMplのGln213からAla231から成る19merのペプチドとGSTとの融合蛋白質)を固定化したカラムに吸着させ、100 mM Glycine-HCl(pH 3.5)で溶出させた。溶出画分は、直ちに1M Tris-HCl (pH 8.0)で中和を行い、HiLoad 26/60 Superdex200pg (Amersham-Bioscience社製)カラムを用いてゲルろ過クロマトグラフィーを行った。
〔実施例2〕ヒト化VB22B sc(Fv)2部位特異的変異体のTPO様アゴニスト活性評価
TPO依存性増殖を示すBaF-human Mpl細胞を用いて、抗Mpl抗体のヒト化sc(Fv)2であるhVB22B g-e sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:1、アミノ酸配列は配列番号:2)及びhVB22Bg-e sc(Fv)2に部位特異的変異を導入したhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:3、アミノ酸配列は配列番号:4)、hVB22B q-wz5 sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:5、アミノ酸配列は配列番号:6)のTPO様アゴニスト活性を評価した。細胞を1 % Fetal Bovine Serum(Invitrogen社製)を含むRPMI1640 (Invitrogen社製)で2回洗浄した後、4x105cells/mLとなるように10 % Fetal Bovine Serumを含むRPMI1640に懸濁し、60μL/wellで96well plateに分注した。rhTPO (R&D社製)、精製品サンプルの濃度を振り、各wellに40μL加え、37℃、5 %CO2条件下で、24時間培養した。10μL/wellでWST-8試薬(Cell Count Reagent SF、ナカライテスク社製)を加え、直後にBenchmark Plusを用いて450 nmの吸光度(対照655 nm)を測定し、2時間培養後に、再度450 nmの吸光度(対照655 nm)を測定した。WST-8試薬は生細胞数に応じて450 nmの発色反応を呈することから、2時間の吸光度変化を指標にTPO様アゴニスト活性を評価した。
その結果、図1、2、3に示すとおり、ヒト化VB22B sc(Fv)2部位特異的変異体は変異導入前のhVB22B g-e sc(Fv)2およびマウスVB22B sc(Fv)2と同等の活性を示した。
〔実施例3〕ヒト化VB22B sc(Fv)2部位特異的変異体のTm値測定
Differential Scanning Calorimetry(DSC)(N-DSC II, Applied Thermodynamics社製)を用いて、hVB22B g-e sc(Fv)2及びhVB22Bg-e sc(Fv)2に部位特異的変異を導入したhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2、hVB22B q-wz5 sc(Fv)2のTm値(変性中間温度)の測定を行った。各sc(Fv)2を20 mMクエン酸ナトリウム、300 mM塩化ナトリウム(pH 7.0)に対して十分に透析後、44.4 ug/mLの濃度に揃え、DSCを用いscanning speed 1℃/minで変性曲線を測定し、付属の解析ソフトによりTm値を算出した。
その結果、図4に示すようなDSCカーブが得られ、hVB22B g-e sc(Fv)2のTm値が53.4℃、hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2のTm値が66.7℃、hVB22B q-wz5 sc(Fv)2のTm値が68.9℃であった。hVB22B g-e sc(Fv)2に安定性を向上させるアミノ酸改変を行うことによってTm値が13.3℃上昇したhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2、及び、Tm値が15.5℃向上したhVB22B q-wz5 sc(Fv)2が得られた。これまでにsc(Fv)2のTm値に関する報告はなく、またsc(Fv)2のアミノ酸改変によりTm値を向上させた報告はない。実施例2に示したとおり、アミノ酸改変前後のアゴニスト活性は同等であることから、本発明者らは、抗体の機能を阻害することなく、アミノ酸改変によりsc(Fv)2のTm値を大幅に向上させることに成功した。
〔実施例4〕部位特異的変異の導入によるsc(Fv)2の安定性の変化
各sc(Fv)2を20 mMクエン酸ナトリウム、300 mM塩化ナトリウム(pH 7.5)に対して十分に透析後、0.1 mg/mLの濃度に揃え、熱加速試験を実施した。熱加速条件は以下の図の横軸に示すとおりである。ゲルろ過クロマトグラフィー(SEC)によりモノマーの面積を測定し、各熱加速条件におけるモノマー残存率の経時的な変化によりsc(Fv)2の安定性を評価した。
モノマー残存率は、「熱加速サンプルのSECモノマー面積 /初期状態サンプルのSECモノマー面積×100」によって計算した。熱加速試験により、モノマー残存率が向上したことはすなわち安定性が向上したことを意味する。
以下に、scFvにて安定化効果が報告されているアミノ酸改変にも関わらず、同様のアミノ酸改変においてsc(Fv)2では安定化効果が認められず、逆に不安定化したアミノ酸改変を挙げる。
(1)H37 Ile→Val〔hVB22B v-e sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:7、アミノ酸配列は配列番号:8) → hVB22B p-e sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:9、アミノ酸配列は配列番号:10)、図5〕
ヒト化VB22BのVHはVH1サブクラスに分類され、H37は安定性に重要な役割を果たすVH/VL界面に位置する(J. Mol. Biol. 2001, 305, 989-1010)。H37はValがVH1サブクラスのカノニカル残基であることから、H37をIleからValに改変することでVH/VL界面が安定化され、安定性が向上すると考えられた。実際、非特許文献(J. Immunol. Methods, 2003, 275, 31-40)において、H37をMetからカノニカル残基のValに改変することで安定性を向上させている。しかしながら、sc(Fv)2においては逆に不安定することが分かった(図5)。
(2)H9 Pro→Ala〔hVB22B q-wz sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:11、アミノ酸配列は配列番号:12) → hVB22B q2-wz sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:13、アミノ酸配列は配列番号:14)、図6〕
ヒト化VB22BのVHはVH1サブクラスに分類され、非特許文献(J. Mol. Biol. 2001, 309, 687-699)における構造分類によるとtypeIIIに分類される。VH1におけるH9のカノニカル残基はAlaであり、非特許文献(J. Mol. Biol. 2001, 309, 701-716)によると、全ての組み合わせにおいてH9はProよりもAla若しくはGlyのほうが安定であることが分かっている。そこで、hVB22B q-wz sc(Fv)2のH9をProからtypeIIIのカノニカル残基であるAlaに改変することで安定化すると考えられた。しかしながら、sc(Fv)2においては逆に不安定することが分かった(図6)。
(3)H9 Pro→Ser〔hVB22B g-a sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:15、アミノ酸配列は配列番号:16) → hVB22B h-a sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:17、アミノ酸配列は配列番号:18)、図7〕
非特許文献(Protein Eng. 1997, 10(4),435-444)によると、scFvにおいてV/C界面に疎水性アミノ酸を親水性に改変することによって熱安定性が上昇することが報告されている。H9はV/C界面に位置していることから、疎水性アミノ酸のProから親水性アミノ酸のSerに置換することでを安定化すると考えられた。しかしながら、sc(Fv)2においては逆に不安定することが分かった(図7)。
(4)L37 Leu→Gln〔hVB22B q-wz3 sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:19、アミノ酸配列は配列番号:20) → hVB22B q-wz sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:11、アミノ酸配列は配列番号:12)、図8〕
非特許文献(J. Mol. Biol. 2003, 325, 531-553)において、VLドメイン内のsalt-bridgeが安定性に重要であり、L45がLeuの場合、側鎖−側鎖間の水素結合が作られず不安定化することが示されている。hVB22B q-wz3 sc(Fv)2のL37は水素結合が形成されないLeuであることから、L37をGlnに改変することで水素結合ネットワークが形成され安定化すると考えられた。しかしながら、sc(Fv)2においては逆に不安定することが分かった(図8)。
次に、scFvにて安定化効果が報告されているアミノ酸改変で、sc(Fv)2においても安定化効果があることを見出したアミノ酸改変を挙げる。
(5)L8 Ala→Pro〔hVB22B p-z sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:21、アミノ酸配列は配列番号:22) → hVB22B p-wz sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:23、アミノ酸配列は配列番号:24)、図9〕
L8はシスプロリン構造が高度に保存された配列箇所であり、シスプロリン構造の存在は安定性に大きく寄与することが知られている(J. Mol. Biol. 2001, 305, 989-1010)。実際、非特許文献(J. Mol. Biol. 1998, 283, 395-407)において、scFvのL8がProの場合に安定化されることが報告されている。hVB22B p-z sc(Fv)2はL8がAlaであったためProにアミノ酸改変したところ、安定化効果が見られた(図9)。
(6)H65 Val→Gly〔hVB22B g-a sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:15、アミノ酸配列は配列番号:16) → hVB22B j-a sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:27、アミノ酸配列は配列番号:28)、図10〕
抗体の構造上、H65はpositiveφangleで保存されていることが知られており、H65はpositiveφangleを取ることができるGlyが安定であることが報告されている(J. Mol. Biol. 2001, 305, 989-1010)。実際に、非特許文献(Biochemistry, 2003, 42(6), 1517-1528)において、scFvのH65をSerからGlyにすることで安定化することが報告されている。hVB22B g-a sc(Fv)2はH65がValであったためGlyに改変したところ、安定化効果が見られた(図10)。
(7)L43 Ser→Ala, L45 Gln→Arg〔hVB22B q-wz sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:11、アミノ酸配列は配列番号:12) → hVB22B q-wz5 sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:5、アミノ酸配列は配列番号:6)、図11〕
L45は抗体の内部に存在する電荷的相互作用により安定化されたコア(charge core)に位置し、scFvにおいてこのcharge coreは安定性に影響を及ぼすことが報告されている(J. Mol. Biol. 2003, 325, 531-553)。ただしL43とL45の2箇所の安定性に及ぼす影響を直接示した報告はない。そこで、hVB22B q-wz sc(Fv)2のL43, L45をそれぞれAla, Argに改変したところ、安定化効果が見られた(図11)。
さらに、scFvにおいては安定化効果が報告されておらず、sc(Fv)2において安定化効果があることを見出したアミノ酸改変を挙げる。
(8)L36 Tyr→Phe〔hVB22B p-w sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:29、アミノ酸配列は配列番号:30) → hVB22B p-wz sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:23、アミノ酸配列は配列番号:24)、図12〕
L36はVH/VL界面に位置するが、これまでscFvにおいても安定性に及ぼす影響は検討されていない箇所である。L36は全サブクラスでカノニカル残基はTyrである。しかしながらL36のTyrの水酸基の水素結合相手が存在せず、水素結合が出来ない内部の水酸基は不安定化に寄与することから、TyrからPheにアミノ酸改変を実施した。Pheに改変することで安定化効果が見られた(図12)。
(9)L70 Ala→Asp〔hVB22B q-wz sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:11、アミノ酸配列は配列番号:12) → hVB22B q-wz2 sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:35、アミノ酸配列は配列番号:36)、図13〕
L70は分子表面に位置するが、これまでscFvにおいても安定性に及ぼす影響は検討されていない箇所である。L70のAlaをAspに改変することで安定性が向上した。
(10)L7 Ala→Ser 〔hVB22B i-a sc(Fv)2(塩基配列は配列番号: 25、アミノ酸配列は配列番号:26) → hVB22B i-e sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:31、アミノ酸配列は配列番号:32)、図14〕
L7は分子表面に位置するがこれまでscFvにおいても安定性に及ぼす影響は検討されていない箇所である。L7のAlaをSerに改変することで安定性が向上した。
(11)H81 Gln→Glu〔hVB22B i-a sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:25、アミノ酸配列は配列番号:26) → hVB22B g-a sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:15、アミノ酸配列は配列番号:16)、図15〕or H81 Arg→Glu〔hVB22B u2-wz4 sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:3、アミノ酸配列は配列番号:4) → hVB22B q-wz4 sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:33、アミノ酸配列は配列番号:34)、図16〕
H81は表面に露出しているアミノ酸で、scFvにおいてもこれまで安定性への影響の報告がない。非特許文献(J. Mol. Biol. 2003, 325, 531-553)において、VH1サブクラスに比べて、VH3サブクラスのほうが安定性が高く、非特許文献(Biochemistry, 2003, 42, 1517-1528)においてscFvを用いた検討では、VH3サブクラスのカノニカル残基になるようにアミノ酸を改変することによって安定性が向上することが報告されており、H81のVH3サブクラスのカノニカル残基はGlnである。しかしながら、sc(Fv)2では、H81をVH3サブクラスのカノニカル残基であるGlnをGluに改変することで安定性が向上した。
(12)H48 Met→Ile〔hVB22B p-wz sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:23、アミノ酸配列は配列番号:24) → hVB22B q-wz sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:11、アミノ酸配列は配列番号:12)、図17〕
H48は、scFvにおいてもこれまで安定性への影響の報告がない。VH1サブクラスのカノニカル残基はMetであるが、H48をMetからIleに改変することで安定性が向上した(図17)。
以上の結果より、scFvでは安定性が向上することが報告されているアミノ酸改変は、必ずしもsc(Fv)2においても安定化効果があるとは限らないことを見出した((1)〜(4)の変異体)。これはscFvとsc(Fv)2では全体の立体構造が大きく異なり、安定化に寄与することができる配列箇所がscFvとsc(Fv)2で異なるためと考えられた。本発明者らはその中から、sc(Fv)2においても安定性を向上させることができる配列箇所および安定な配列を見出した((5)〜(7)の変異体)。さらに、scFvにおいてもこれまで安定性への影響が報告されていない箇所についてsc(Fv)2のアミノ酸改変による効果を検討した結果、新たに安定性を向上させる配列箇所を見出した((8)〜(12)の変異体)。
〔実施例5〕VH/VL界面改変型sc(Fv)2の作製
実施例4において用いたhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2(以下、u2-wz4と標記する、塩基配列は配列番号:3、アミノ酸配列は配列番号:4)のVH/VL界面を形成するアミノ酸であるVHの39番目(WO2005/56604の配列番号:289に記載のアミノ酸配列における39位)のGlnとVLの38番目(WO2005/56604の配列番号:291に記載のアミノ酸配列における43位)のGlnを以下のようにして改変した。u2-wz4は[VH1]リンカー[VL2]リンカー[VH3]リンカー[VL4]の順にアミノ酸リンカー配列(GlyGlyGlyGlySer)x3(配列番号:37)で連結されており、配列番号:3で記載した塩基配列で転写、翻訳される。はじめに、VH1の39番目のGln(遺伝子コドンCAG)をGlu(遺伝子コドンGAG)に、VL2の38番目のGln(遺伝子コドンCAG)をGlu(遺伝子コドンGAG)に、VH3の39番目のGln(遺伝子コドンCAG)をLys(遺伝子コドンAAG)に、VL4の38番目のGln(遺伝子コドンCAG)をLys(遺伝子コドンAAG)に改変した遺伝子hVB22B u2-wz4(v1) sc(Fv)2(以下v1と標記する、塩基配列は配列番号:38、アミノ酸配列は配列番号:39)を作製した。さらに、VH1の39番目のGln(遺伝子コドンCAG)をGlu(遺伝子コドンGAG)に、VL2の38番目のGln(遺伝子コドンCAG)をLys(遺伝子コドンAAG)に、VH3の39番目のGln(遺伝子コドンCAG)をLys(遺伝子コドンAAG)に、VL4の38番目のGln(遺伝子コドンCAG)をGlu(遺伝子コドンGAG)に改変した遺伝子hVB22B u2-wz4(v3) sc(Fv)2(以下v3と標記する、配列番号:塩基配列は配列番号:40、アミノ酸配列は配列番号:41)を作製した。遺伝子の改変はQuikChange Site-Directed Mutagenesis Kit(STRATAGENE社製)を用いてメーカーのプロトコールに従い、点突然変異を導入した。各遺伝子の塩基配列を確認した後、DNA断片を発現ベクターpCXND3にクローニングして発現ベクターを構築し、CHO-DG44細胞に遺伝子導入することで、安定発現細胞株を作製した。具体的には、発現ベクター(20μg)とPBSに懸濁したCHO-DG44細胞(1×107細胞/mL)の0.75 mLを混合したものを氷上で10分間冷却し、キュベットに移した後にGene Pulser Xcell(BioRad)を用いて1.5kV、25μFDの容量にてパルスを与えた。室温にて10分間の回復期間の後、エレクトロポレーション処理された細胞を、500μg/mL Geneticin(Invitrogen)を含むCHO-S-SFMII培地(Invitrogen)に加えて選抜し、v1産生CHO細胞株およびv3産生CHO細胞株を樹立した。
VH/VL界面改変型sc(Fv)2はFlagタグを付加していないことから、培養上清からの精製は、VB22B sc(Fv)2が認識するエピトープであるMG10(ヒトMplアミノ酸配列のGln213からAla231)とGST融合蛋白質を利用して行った。MG10とGST融合蛋白質の精製は、Glutathione Sepharose 4B(Amersham Biosciences社製)を用いて、メーカーのプロトコールに従って精製した。さらに、精製したMG10 とGST融合蛋白質をメーカーのプロトコールに従って、HiTrap NHS-activated HP(Amersham Biosciences社製)に固定化し、アフィニティカラムを作製した。v1発現CHO細胞株またはv3発現CHO細胞株の培養上清をMG10-GST融合蛋白質固定化カラムに流し、v1またはv3を吸着させ、100 mM Glycine-HCl(pH 3.5),0.01 % Tween80で溶出させた。溶出画分は直ちに1M Tris-HCl(pH 7.4)で中和を行い、HiLoad 16/60 Superdex200pg(Amersham Biosciences社製)を用いてゲルろ過クロマトグラフィーを行い、モノマー分子を精製した。ゲルろ過クロマトグラフィーの緩衝液は、20 mMクエン酸緩衝液(pH 7.5), 300 mM NaCl, 0.01 % Tween 80を使用した。図21に示したゲルろ過クロマトグラフィーの結果から、改変体v1, v3は培養上清中でダイマー以上の凝集体が低下し、モノマー比率は改変前のu2-wz4の59 %と比較して、v1が89 %、v3が77 %と上昇していることが明らかになった。改変体v1, v3はVH/VL界面のアミノ酸を改変することにより、電荷的な反発により好ましくない会合を阻害し、好ましい会合を促進したことが推測される。以上のことからこの会合制御により、効率的なモノマー分子の発現に成功した。
〔実施例6〕VH/VL界面改変型sc(Fv)2の安定性評価
u2-wz4精製peak1とu2-wz4精製peak2、および、改変体v1と改変体v3の安定性評価として、示走査型熱量測定(Differential Scanning Calorimetry)を用いて変性中間温度(Tm値)の測定を以下の条件下で行った。
DSC : N-DSCII (Applied Thermodynamics社製)
溶液条件:20 mM sodium citrate, 300 mM NaCl, pH 7.0
タンパク質濃度:0.1 mg/mL
スキャニング速度:1℃/分
各DSC測定の結果を図22に示した。u2-wz4精製peak2と改変体v1のTm値は未改変体とほぼ同等であり、安定性は同等であることが分かった。u2-wz4精製peak1と改変体v3とでは、若干改変体v3のほうが低い安定性を示した。knobs-into-hole 技術を用いた方法による界面制御においては、例えばIgGのCH3ドメインのヘテロ会合において、未改変CH3ドメインのTm値が80.4℃であったのに対して、改変CH3ドメインのTm値は69.4℃であり、大幅にTm値が低下し安定性が低下してしまうことが報告されている。それに対して、本発明においては安定性を低下させること無く会合を制御できることが確認された。
続いて、u2-wz4精製peak1とu2-wz4精製peak2およびVH/VL界面改変体である改変体v1と改変体v3の安定性評価として、以下の条件における熱加速試験による安定性評価を実施した。
<熱加速条件>
溶液条件:20 mM sodium citrate, pH 6.0
タンパク質濃度:0.25 mg/mL
加速条件:40℃-6day, 12day
熱加速サンプルは、ゲルろ過クロマトグラフィーおよび陽イオン交換クロマトグラフィーにより以下の条件で分析した。
図23に示すとおり、ゲルろ過クロマトグラフィーによる分析の結果、u2-wz4精製peak2と改変体v1のモノマー残存率はほぼ同等であり、会合化に対する安定性はほぼ同等であることが確認された。また、u2-wz4精製peak1と改変体v3のモノマー残存率もモノマー残存率はほぼ同等であり、両構造異性体において会合化に対する安定性はほぼ同等であることが分かった。
目的の構造の一本鎖抗体を得るためのVH/VL界面制御としては、knobs-into-hole 技術を用いてBispecific diabodyの構造を制御する方法(Protein Sci. 1997 Apr;6(4):781-8, Remodeling domain interfaces to enhance heterodimer formation., Zhu Z, Presta LG, Zapata G, Carter P.)が知られている。この方法では、VH/VL界面あたり合計4箇所のアミノ酸を改変することにより目的のヘテロダイマー構造の形成率が72 %から92 %まで上昇したことを報告している。それに対して、本発明は4箇所のアミノ酸を改変することにより、熱安定性および構造異性体の安定性を低下させることなく、目的の構造を100 %の比率で取得することに成功した。
sc(Fv)2に部位特異的変異を導入することにより、または特定の部位に特定のアミノ酸を配置することにより、sc(Fv)2の会合化反応を抑制し、sc(Fv)2をモノマーの状態で存在させることが可能となった。抗体を医薬品として開発するためには、それぞれの抗体分子を安定に存在させ、製剤保存中の会合化反応を最小限に抑制することが必要である。本発明の部位特異的変異の導入は、sc(Fv)2の製造段階および保存段階においてsc(Fv)2を安定化させ会合化反応を抑制することができるため、低分子化抗体製剤を製造する際には非常に有用なものとなると考えられる。
本発明の方法により安定化されたsc(Fv)2を含有する医薬組成物は、抗体分子の変性、会合が抑制されているため、従来のsc(Fv)2製剤と比較して会合化による活性の低下が抑制され、高い活性を維持していることが期待される。

Claims (9)

  1. sc(Fv)2間の会合を抑制する方法であって、sc(Fv)2が2つの重鎖可変領域及び2つの軽鎖可変領域をリンカーで結合して一本鎖ポリペプチドにした抗体であり、sc(Fv)2内の少なくとも1つのアミノ酸に部位特異的変異を導入する工程であって、部位特異的変位の導入が以下の(a)〜(f)から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を導入する工程を含み:
    (a) 重鎖48番目のアミノ酸をイソロイシンへ置換;
    (b) 軽鎖7番目のアミノ酸をセリンへ置換;
    (c) 軽鎖36番目のアミノ酸をフェニルアラニンへ置換
    (d) 軽鎖43番目のアミノ酸をアラニンへ置換し且つ軽鎖45番目のアミノ酸をアルギニンへ置換
    (e) 軽鎖70番目のアミノ酸をアスパラギン酸へ置換および
    (f) 重鎖81番目のアミノ酸をグルタミンへ置換;
    鎖の変異が片方または両方の軽鎖の変異であり、重鎖の変異が片方または両方の重鎖の変異である、方法。
  2. sc(Fv)2のTm値を10℃以上上昇させる方法であって、sc(Fv)2が2つの重鎖可変領域及び2つの軽鎖可変領域をリンカーで結合して一本鎖ポリペプチドにした抗体であり、sc(Fv)2内の少なくとも1つのアミノ酸に部位特異的変異を導入する工程であって、部位特異的変位の導入が以下の(a)〜(f)から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を導入する工程を含み:
    (a) 重鎖48番目のアミノ酸をイソロイシンへ置換;
    (b) 軽鎖7番目のアミノ酸をセリンへ置換;
    (c) 軽鎖36番目のアミノ酸をフェニルアラニンへ置換
    (d) 軽鎖43番目のアミノ酸をアラニンへ置換し且つ軽鎖45番目のアミノ酸をアルギニンへ置換
    (e) 軽鎖70番目のアミノ酸をアスパラギン酸へ置換および
    (f) 重鎖81番目のアミノ酸をグルタミンへ置換;
    鎖の変異が片方または両方の軽鎖の変異であり、重鎖の変異が片方または両方の重鎖の変異である、方法。
  3. 以下の1)〜3)から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換をsc(Fv)2内に導入する工程をさらに含む、請求項1または2記載の方法:
    1) 軽鎖8番目のアミノ酸をプロリンへ置換;
    2) 重鎖39番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンへ置換;および
    3) 軽鎖38番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンへ置換。
  4. 2つの重鎖可変領域及び2つの軽鎖可変領域をリンカーで結合して一本鎖ポリペプチドにしたsc(Fv)2であって、該sc(Fv)2内に以下の(a)〜(f)から選択される少なくとも一つのアミノ酸変異が導入され:
    (a) 重鎖48番目のアミノ酸をイソロイシンへ置換
    (b) 軽鎖7番目のアミノ酸をセリンへ置換
    (c) 軽鎖36番目のアミノ酸をフェニルアラニンへ置換;
    (d) 軽鎖43番目のアミノ酸をアラニンへ置換し且つ軽鎖45番目のアミノ酸をアルギニンへ置換;
    (e) 軽鎖70番目のアミノ酸をアスパラギン酸へ置換;および
    (f) 重鎖81番目のアミノ酸をグルタミンへ置換
    鎖の変異が片方または両方の軽鎖の変異であり、重鎖の変異が片方または両方の重鎖の変異である、sc(Fv)2。
  5. 前記sc(Fv)2内に少なくとも1つのアミノ酸置換がさらに導入され、該さらなる少なくとも1つのアミノ酸置換が以下の1)〜3)からなる群より選択される、請求項4記載のsc(Fv)2:
    1) 軽鎖8番目のアミノ酸をプロリンへ置換;
    2) 重鎖39番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンへ置換;および
    3) 軽鎖38番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンへ置換。
  6. 2つの重鎖可変領域及び2つの軽鎖可変領域をリンカーで結合して一本鎖ポリペプチドにしたsc(Fv)2であって、以下の(a)〜(f)から選択され:
    (a) 重鎖48番目のアミノ酸がイソロイシンであるsc(Fv)2
    (b) 軽鎖7番目のアミノ酸がセリンであるsc(Fv)2
    (c) 軽鎖36番目のアミノ酸がフェニルアラニンであるsc(Fv)2;
    (d) 軽鎖43番目のアミノ酸がアラニンであり且つ軽鎖45番目のアミノ酸がアルギニンであるsc(Fv)2;
    (e) 軽鎖70番目のアミノ酸がアスパラギン酸であるsc(Fv)2;および
    (f) 重鎖81番目のアミノ酸がグルタミンであるsc(Fv)2
    鎖の変異が片方または両方の軽鎖の変異であり、重鎖の変異が片方または両方の重鎖の変異である、sc(Fv)2。
  7. sc(Fv)2のTm値が55℃以上である、請求項4〜6のいずれか一項記載のsc(Fv)2。
  8. 2つの重鎖可変領域及び2つの軽鎖可変領域をリンカーで結合して一本鎖ポリペプチドにしたsc(Fv)2であって、少なくとも1つの部位特異的なアミノ酸変異の導入により、導入前と比較して該sc(Fv)2のTm値が10℃以上上昇し、少なくとも1つの部位特異的なアミノ酸変異が以下のa)〜f)から選択される置換であり
    (a) 重鎖48番目のアミノ酸をイソロイシンへ置換
    (b) 軽鎖7番目のアミノ酸をセリンへ置換
    (c) 軽鎖36番目のアミノ酸をフェニルアラニンへ置換;
    (d) 軽鎖43番目のアミノ酸をアラニンへ置換し且つ軽鎖45番目のアミノ酸をアルギニンへ置換;
    (e) 軽鎖70番目のアミノ酸をアスパラギン酸へ置換;および
    (f) 重鎖81番目のアミノ酸をグルタミンへ置換
    鎖の変異が片方または両方の軽鎖の変異であり、重鎖の変異が片方または両方の重鎖の変異である、sc(Fv)2。
  9. 前記sc(Fv)2内に少なくとも1つのアミノ酸置換がさらに導入され、該さらなる少なくとも1つのアミノ酸置換が以下の1)〜3)からなる群より選択される、請求項8記載のsc(Fv)2:
    1) 軽鎖8番目のアミノ酸をプロリンへ置換;
    2) 重鎖39番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンへ置換;および
    3) 軽鎖38番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンへ置換。
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