JP5224580B2 - sc(Fv)2部位特異的変異体 - Google Patents
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Description
タンパク質は遺伝情報を扱うDNAとは化学的性質が異なり、その構造は柔軟であるが、逆の意味では不安定とも言える。タンパク質は生理的条件下においても常に天然の構造と崩れた構造(変性構造)との平衡状態にある。
まず、本発明者らは、Differential Scanning Calorimetry(DSC)を用いて、ヒト化VB22B sc(Fv)2部位特異的変異体のTm値測定を行った。その結果、hVB22B g-e sc(Fv)2に安定性を向上させるアミノ酸改変を行うことによってTmが13.3℃上昇したhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2、及び、Tmが15.5℃向上したhVB22B q-wz5が得られた(図4)。これまでにsc(Fv)2のTm値に関する報告はなく、またsc(Fv)2のアミノ酸改変によりTm値を向上させた報告はない。
その結果、sc(Fv)2において安定化効果が認められるアミノ酸改変を見出した(図9〜17、21〜23)。
即ち、本発明者らは、本発明により初めてアミノ酸改変によりsc(Fv)2のTm値を大幅に向上させることに成功した。また、sc(Fv)2に部位特異的変異を導入することにより、sc(Fv)2が安定化することを見出し、これにより本発明を完成するに至った。
〔1〕sc(Fv)2に部位特異的変異を導入する工程を含む、sc(Fv)2を安定化させる方法
〔2〕sc(Fv)2に部位特異的変異を導入する工程を含む、sc(Fv)2間の会合を抑制する方法
〔3〕sc(Fv)2に部位特異的変異を導入する工程を含む、sc(Fv)2のTm値を10℃以上上昇させる方法
〔4〕部位特異的変異の導入が、以下の(a)〜(k)から選択される少なくとも一つのアミノ酸に変異を導入するものである、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の方法
(a) 重鎖48番目のアミノ酸
(b) 重鎖65番目のアミノ酸
(c) 軽鎖7番目のアミノ酸
(d) 軽鎖8番目のアミノ酸
(e) 軽鎖36番目のアミノ酸
(f) 軽鎖43番目のアミノ酸
(g) 軽鎖45番目のアミノ酸
(h) 軽鎖70番目のアミノ酸
(i) 重鎖81番目のアミノ酸
(j) 重鎖39番目のアミノ酸
(k) 軽鎖38番目のアミノ酸
〔5〕部位特異的変異の導入が、以下の(a)〜(k)から選択される少なくとも一つのアミノ酸変異を導入するものである、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の方法
(a) 重鎖48番目のアミノ酸をイソロイシンへ置換
(b) 重鎖65番目のアミノ酸をグリシンへ置換
(c) 軽鎖7番目のアミノ酸をセリンへ置換
(d) 軽鎖8番目のアミノ酸をプロリンへ置換
(e) 軽鎖36番目のアミノ酸をフェニルアラニンへ置換
(f) 軽鎖43番目のアミノ酸をアラニンへ置換
(g) 軽鎖45番目のアミノ酸をアルギニンへ置換
(h) 軽鎖70番目のアミノ酸をアスパラギン酸へ置換
(i) 重鎖81番目のアミノ酸をグルタミンへ置換
(j) 重鎖39番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンへ置換
(k) 軽鎖38番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンへ置換
〔6〕以下のいずれかの方法によりsc(Fv)2を安定化する方法
(a) 重鎖48番目のアミノ酸をイソロイシンにする方法
(b) 重鎖65番目のアミノ酸をグリシンにする方法
(c) 軽鎖7番目のアミノ酸をセリンにする方法
(d) 軽鎖8番目のアミノ酸をプロリンにする方法
(e) 軽鎖36番目のアミノ酸をフェニルアラニンにする方法
(f) 軽鎖43番目のアミノ酸をアラニンにする方法
(g) 軽鎖45番目のアミノ酸をアルギニンにする方法
(h) 軽鎖70番目のアミノ酸をアスパラギン酸にする方法
(i) 重鎖81番目のアミノ酸をグルタミンにする方法
(j) 重鎖39番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンにする方法
(k) 軽鎖38番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンにする方法
〔7〕以下の(a)〜(k)から選択される少なくとも一つのアミノ酸に変異が導入されたsc(Fv)2
(a) 重鎖48番目のアミノ酸
(b) 重鎖65番目のアミノ酸
(c) 軽鎖7番目のアミノ酸
(d) 軽鎖8番目のアミノ酸
(e) 軽鎖36番目のアミノ酸
(f) 軽鎖43番目のアミノ酸
(g) 軽鎖45番目のアミノ酸
(h) 軽鎖70番目のアミノ酸
(i) 重鎖81番目のアミノ酸
(j) 重鎖39番目のアミノ酸
(k) 軽鎖38番目のアミノ酸
〔8〕以下の(a)〜(k)から選択される少なくとも一つのアミノ酸に変異が導入されたsc(Fv)2
(a) 重鎖48番目のアミノ酸をイソロイシンへ置換
(b) 重鎖65番目のアミノ酸をグリシンへ置換
(c) 軽鎖7番目のアミノ酸をセリンへ置換
(d) 軽鎖8番目のアミノ酸をプロリンへ置換
(e) 軽鎖36番目のアミノ酸をフェニルアラニンへ置換
(f) 軽鎖43番目のアミノ酸をアラニンへ置換
(g) 軽鎖45番目のアミノ酸をアルギニンへ置換
(h) 軽鎖70番目のアミノ酸をアスパラギン酸へ置換
(i) 重鎖81番目のアミノ酸をグルタミンへ置換
(j) 重鎖39番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンへ置換
(k) 軽鎖38番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンへ置換
〔9〕以下の(a)〜(k)から選択されるsc(Fv)2
(a) 重鎖48番目のアミノ酸がイソロイシンであるsc(Fv)2
(b) 重鎖65番目のアミノ酸がグリシンであるsc(Fv)2
(c) 軽鎖7番目のアミノ酸がセリンであるsc(Fv)2
(d) 軽鎖8番目のアミノ酸がプロリンであるsc(Fv)2
(e) 軽鎖36番目のアミノ酸がフェニルアラニンであるsc(Fv)2
(f) 軽鎖43番目のアミノ酸がアラニンであるsc(Fv)2
(g) 軽鎖45番目のアミノ酸がアルギニンであるsc(Fv)2
(h) 軽鎖70番目のアミノ酸がアスパラギン酸であるsc(Fv)2
(i) 重鎖81番目のアミノ酸がグルタミンであるsc(Fv)2
(j) 重鎖39番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンにする方法
(k) 軽鎖38番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンにする方法
〔10〕Tm値が55℃以上であるsc(Fv)2
〔11〕部位特異的なアミノ酸変異の導入により、導入前と比較してTm値が10℃以上上昇したsc(Fv)2
〔12〕〔7〕〜〔11〕のいずれかに記載のsc(Fv)2を含有する医薬組成物
〔13〕以下の(1)および(2)の工程を含む、〔12〕に記載の医薬組成物の製造方法
(1)〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の部位特異的変異をsc(Fv)2に導入する工程
(2)医薬的に許容される担体を混合する工程
本発明の方法におけるアミノ酸残基の「改変」または「変異の導入」とは、具体的には、元(改変前)のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基へ置換すること、元のアミノ酸残基を欠失させること、新たなアミノ酸残基を付加すること等を指すが、好ましくは、元のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基へ置換することを指す。本発明でいう元(改変前)のアミノ酸配列は、天然由来の配列を元のアミノ酸配列としてもよいし、既にアミノ酸置換、ヒト化などが行われた配列を元のアミノ酸配列としてもよい。なお、本明細書においては、アミノ酸残基の「改変」と「変異の導入」は同一の意味で用いられる。
本発明において、sc(Fv)2の重鎖(または軽鎖)に変異を導入する場合、sc(Fv)2に含まれる2つの重鎖の両方(または2つの軽鎖の両方)に変異を導入してもよいし、片方の重鎖(または軽鎖)のみに変異を導入してもよい。
(a) 重鎖48番目のアミノ酸
(b) 重鎖65番目のアミノ酸
(c) 軽鎖7番目のアミノ酸
(d) 軽鎖8番目のアミノ酸
(e) 軽鎖36番目のアミノ酸
(f) 軽鎖43番目のアミノ酸
(g) 軽鎖45番目のアミノ酸
(h) 軽鎖70番目のアミノ酸
(i) 重鎖81番目のアミノ酸
(j) 重鎖39番目のアミノ酸
(k) 軽鎖38番目のアミノ酸
(a) 重鎖48番目のアミノ酸:イソロイシン
(b) 重鎖65番目のアミノ酸:グリシン
(c) 軽鎖7番目のアミノ酸:セリン
(d) 軽鎖8番目のアミノ酸:プロリン
(e) 軽鎖36番目のアミノ酸:フェニルアラニン
(f) 軽鎖43番目のアミノ酸:アラニン
(g) 軽鎖45番目のアミノ酸:アルギニン
(h) 軽鎖70番目のアミノ酸:アスパラギン酸
(i) 重鎖81番目のアミノ酸:グルタミン
(j) 重鎖39番目のアミノ酸:グルタミン酸またはリジン
(k) 軽鎖38番目のアミノ酸:グルタミン酸またはリジン
(a) 重鎖48番目のアミノ酸をイソロイシンにする方法
(b) 重鎖65番目のアミノ酸をグリシンにする方法
(c) 軽鎖7番目のアミノ酸をセリンにする方法
(d) 軽鎖8番目のアミノ酸をプロリンにする方法
(e) 軽鎖36番目のアミノ酸をフェニルアラニンにする方法
(f) 軽鎖43番目のアミノ酸をアラニンにする方法
(g) 軽鎖45番目のアミノ酸をアルギニンにする方法
(h) 軽鎖70番目のアミノ酸をアスパラギン酸にする方法
(i) 重鎖81番目のアミノ酸をグルタミンにする方法
(j) 重鎖39番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンにする方法
(k) 軽鎖38番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンにする方法
[VH]リンカー[VL]リンカー[VH]リンカー[VL]
[VL]リンカー[VH]リンカー[VH]リンカー[VL]
[VH]リンカー [VL] リンカー [VL] リンカー [VH]
[VH]リンカー [VH] リンカー [VL] リンカー [VL]
[VL]リンカー[VL]リンカー[VH]リンカー[VH]
[VL]リンカー[VH]リンカー[VL]リンカー[VH]
本発明においては、好ましくは、[VH]リンカー[VL]リンカー[VH]リンカー[VL]の配置を有するsc(Fv)2である。
Ser
Gly・Ser
Gly・Gly・Ser
Ser・Gly・Gly
Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号:42)
Ser・Gly・Gly・Gly(配列番号:43)
Gly・Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号:44)
Ser・Gly・Gly・Gly・Gly(配列番号:45)
Gly・Gly・Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号:46)
Ser・Gly・Gly・Gly・Gly・Gly(配列番号:47)
Gly・Gly・Gly・Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号:48)
Ser・Gly・Gly・Gly・Gly・Gly・Gly(配列番号:49)
(Gly・Gly・Gly・Gly・Ser(配列番号:44))n
(Ser・Gly・Gly・Gly・Gly(配列番号:45))n
[nは1以上の整数である]
4つの抗体可変領域を結合する場合には、通常、3つのリンカーが必要となるが、全て同じリンカーを用いてもよいし、異なるリンカーを用いてもよい。
一般的に、キメラ抗体は、ヒト以外の哺乳動物由来抗体の可変領域とヒト抗体由来の定常領域とからなる。一方、ヒト化抗体は、ヒト以外の哺乳動物由来抗体の相補性決定領域と、ヒト抗体由来のフレームワーク領域および定常領域とからなる。
キメラ抗体における可変領域、又はヒト化抗体におけるCDRの由来は特に限定されず、どのような動物由来でもよい。例えば、マウス抗体、ラット抗体、ウサギ抗体、ラクダ抗体などの配列を用いることが可能である。
また本発明のsc(Fv)2は、そのN末端あるいはC末端にIgGのFc部分等の別のタンパク質を融合してもよい(Clinical Cancer Research, 2004, 10, 1274-1281)。融合するタンパク質は当業者が適宜選択することができる。
ベクターの例としては、M13系ベクター、pUC系ベクター、pBR322、pBluescript、pCR-Scriptなどが挙げられる。また、cDNAのサブクローニング、切り出しを目的とした場合、上記ベクターの他に、例えば、pGEM-T、pDIRECT、pT7などが挙げられる。
本発明において「会合化」とは、時間の経過により起こるsc(Fv)2の会合化であってもよいし、宿主細胞中でsc(Fv)2が生産される過程または宿主細胞から分泌される過程における会合化であってもよい。また、sc(Fv)2の活性低下の抑制、または非天然状態への移行の抑制も、本発明の「安定化」と同等の意味を示すものとする。
抗体分子の会合度(会合率)の測定する方法としては、SEC(Size Exclusion Chromatography:サイズ排除クロマトグラフィー)を用いて行う方法が挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。
Tm値が上昇したか否かはアミノ酸改変前のTm値とアミノ酸改変後のTm値を比較することにより調べることが可能である。Tm値の上昇は、アミノ酸改変後のTm値がアミノ酸改変前のTm値よりも高くなっている限り特に限定されないが、好ましくは10℃以上の上昇であり、さらに好ましくは13℃以上の上昇であり、特に好ましくは15℃以上の上昇である。なお、Tm値の上限は特に限定されないが、一般的には150℃程度である。
Tm値を上昇させる為に改変するアミノ酸の数は特に限定されず、単一のアミノ酸を改変してもよいし、複数のアミノ酸を改変してもよい。
アゴニスト活性とは、受容体などの抗原に抗体が結合することにより、細胞内にシグナルが伝達される等して、何らかの生理的活性の変化を誘導する活性である。生理的活性としては、例えば、増殖活性、生存活性、分化活性、転写活性、膜輸送活性、結合活性、タンパク質分解活性、リン酸化/脱リン酸化活性、酸化還元活性、転移活性、核酸分解活性、脱水活性、細胞死誘導活性、アポトーシス誘導活性、などを挙げることができるが、これらに限定されるわけではない。
CD1,CD2,CD3,CD4,CD5,CD6,CD7,CD8,CD10,CD11a,CD11b,CD11c,CD13,CD14,CD15s,CD16,CD18,CD19,CD20,CD21,CD23,CD25,CD28,CD29,CD30,CD32,CD33,CD34,CD35,CD38,CD40,CD41a,CD41b,CD42a,CD42b,CD43,CD44,CD45,CD45RO,CD48,CD49a,CD49b,CD49c,CD49d,CD49e,CD49f,CD51,CD54,CD55,CD56,CD57,CD58,CD61,CD62E,CD62L,CD62P,CD64,CD69,CD71,CD73,CD95,CD102,CD106,CD122,CD126,CDw130などが含まれる。
これらの検出指標を測定する方法としては、特に制限はなく、吸光、発光、発色、蛍光、放射活性、蛍光偏光度、表面プラズモン共鳴シグナル、時間分解蛍光度、質量、吸収スペクトル、光散乱、蛍光共鳴エネルギー移動、等を用いることができる。これらの測定方法は当業者にとっては周知であり、目的に応じて、適宜選択することができる。
本発明において、部位特異的変異が導入される部位は特に限定されず、sc(Fv)2の如何なる部位でもよいが、好ましくは、以下の(a)〜(k)のいずれかの部位である。
(a) 重鎖48番目のアミノ酸
(b) 重鎖65番目のアミノ酸
(c) 軽鎖7番目のアミノ酸
(d) 軽鎖8番目のアミノ酸
(e) 軽鎖36番目のアミノ酸
(f) 軽鎖43番目のアミノ酸
(g) 軽鎖45番目のアミノ酸
(h) 軽鎖70番目のアミノ酸
(i) 重鎖81番目のアミノ酸
(j) 重鎖39番目のアミノ酸
(k) 軽鎖38番目のアミノ酸
(a) 重鎖48番目のアミノ酸:イソロイシン
(b) 重鎖65番目のアミノ酸:グリシン
(c) 軽鎖7番目のアミノ酸:セリン
(d) 軽鎖8番目のアミノ酸:プロリン
(e) 軽鎖36番目のアミノ酸:フェニルアラニン
(f) 軽鎖43番目のアミノ酸:アラニン
(g) 軽鎖45番目のアミノ酸:アルギニン
(h) 軽鎖70番目のアミノ酸:アスパラギン酸
(i) 重鎖81番目のアミノ酸:グルタミン
(j) 重鎖39番目のアミノ酸:グルタミン酸またはリジン
(k) 軽鎖38番目のアミノ酸:グルタミン酸またはリジン
(a) 重鎖48番目のアミノ酸が置換されたsc(Fv)2
(b) 重鎖65番目のアミノ酸が置換されたsc(Fv)2
(c) 軽鎖7番目のアミノ酸が置換されたsc(Fv)2
(d) 軽鎖8番目のアミノ酸が置換されたsc(Fv)2
(e) 軽鎖36番目のアミノ酸が置換されたsc(Fv)2
(f) 軽鎖43番目のアミノ酸が置換されたsc(Fv)2
(g) 軽鎖45番目のアミノ酸が置換されたsc(Fv)2
(h) 軽鎖70番目のアミノ酸が置換されたsc(Fv)2
(i) 重鎖81番目のアミノ酸が置換されたsc(Fv)2
(j) 重鎖39番目のアミノ酸が置換されたsc(Fv)2
(k) 軽鎖38番目のアミノ酸が置換されたsc(Fv)2
(a) 重鎖48番目のアミノ酸がイソロイシンに置換されたsc(Fv)2
(b) 重鎖65番目のアミノ酸がグリシンに置換されたsc(Fv)2
(c) 軽鎖7番目のアミノ酸がセリンに置換されたsc(Fv)2
(d) 軽鎖8番目のアミノ酸がプロリンに置換されたsc(Fv)2
(e) 軽鎖36番目のアミノ酸がフェニルアラニンに置換されたsc(Fv)2
(f) 軽鎖43番目のアミノ酸がアラニンに置換されたsc(Fv)2
(g) 軽鎖45番目のアミノ酸がアルギニンに置換されたsc(Fv)2
(h) 軽鎖70番目のアミノ酸がアスパラギン酸に置換されたsc(Fv)2
(i) 重鎖81番目のアミノ酸がグルタミンに置換されたsc(Fv)2
(j) 重鎖39番目のアミノ酸がグルタミン酸またはリジンに置換されたsc(Fv)2
(k) 軽鎖38番目のアミノ酸がグルタミン酸またはリジンに置換されたsc(Fv)2
(a) 重鎖48番目のアミノ酸がイソロイシンであるsc(Fv)2
(b) 重鎖65番目のアミノ酸がグリシンであるsc(Fv)2
(c) 軽鎖7番目のアミノ酸がセリンであるsc(Fv)2
(d) 軽鎖8番目のアミノ酸がプロリンであるsc(Fv)2
(e) 軽鎖36番目のアミノ酸がフェニルアラニンであるsc(Fv)2
(f) 軽鎖43番目のアミノ酸がアラニンであるsc(Fv)2
(g) 軽鎖45番目のアミノ酸がアルギニンであるsc(Fv)2
(h) 軽鎖70番目のアミノ酸がアスパラギン酸であるsc(Fv)2
(i) 重鎖81番目のアミノ酸がグルタミンであるsc(Fv)2
(j) 重鎖39番目のアミノ酸がグルタミン酸またはリジンであるsc(Fv)2
(k) 軽鎖38番目のアミノ酸がグルタミン酸またはリジンであるsc(Fv)2
本発明において高いTm値とは、Tm値が55℃以上であり、好ましくは60℃以上であり、さらに好ましくは65℃以上のことをいう。
又、本発明は、部位特異的なアミノ酸変異の導入によって、変異の導入前よりもTm値が10℃以上、好ましくは13℃以上、さらに好ましくは15℃以上上昇したsc(Fv)2を提供する。
なお、本発明で使用されるTm値は、実施例記載の条件と同一の条件で測定された場合のTm値である。
本発明の医薬組成物およびキットには、薬学的に許容される担体が含まれてもよい。薬学的に許容される担体としては、例えば、滅菌水や生理食塩水、安定剤、賦形剤、酸化防止剤(アスコルビン酸等)、緩衝剤(リン酸、クエン酸、他の有機酸等)、防腐剤、界面活性剤(PEG、Tween等)、キレート剤(EDTA等)、結合剤等を挙げることができる。また、その他の低分子量のポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチンや免疫グロブリン等の蛋白質、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン及びリシン等のアミノ酸、多糖及び単糖等の糖類や炭水化物、マンニトールやソルビトール等の糖アルコールを含んでいてもよい。注射用の水溶液とする場合には、例えば生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液、例えば、D-ソルビトール、D-マンノース、D-マンニトール、塩化ナトリウムが挙げられ、適当な溶解補助剤、例えばアルコール(エタノール等)、ポリアルコール(プロピレングリコール、PEG等)、非イオン性界面活性剤(ポリソルベート80、HCO-50)等と併用してもよい。
また、抗体製剤を高濃度溶液製剤にする場合は、当業者に周知の方法によって実施できる。例えば、非特許文献(J. Pharm.Sc, 2004, 93(6), 1390-1402)に記載されているように、通常TFF膜を利用した膜濃縮法が用いられる。
医薬的に許容される担体は上記に記載のものを挙げることができる。
なお、本発明において使用されるアミノ酸部位のナンバーリングは、Kabatらの方法(Kabat EA et al. 1991. Sequence of Proteins of Immunological Interest. NIH)を用いる。
なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
〔実施例1〕ヒト化抗ヒトMpl抗体sc(Fv)2の作製
マウス抗ヒトMpl抗体VB22Bの相補性抗原決定領域(以下、CDR)を相同性の高いヒト抗体フレームワーク領域(以下、FR)に移植したヒト化VB22Bの可変領域遺伝子を作製し、続いてH鎖可変領域とL鎖可変領域がリンカーにて連結されたヒト化VB22B sc(Fv)2を以下の方法で作製した。ヒト化VB22B sc(Fv)2遺伝子の構築過程について図18に示した。
TPO依存性増殖を示すBaF-human Mpl細胞を用いて、抗Mpl抗体のヒト化sc(Fv)2であるhVB22B g-e sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:1、アミノ酸配列は配列番号:2)及びhVB22Bg-e sc(Fv)2に部位特異的変異を導入したhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:3、アミノ酸配列は配列番号:4)、hVB22B q-wz5 sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:5、アミノ酸配列は配列番号:6)のTPO様アゴニスト活性を評価した。細胞を1 % Fetal Bovine Serum(Invitrogen社製)を含むRPMI1640 (Invitrogen社製)で2回洗浄した後、4x105cells/mLとなるように10 % Fetal Bovine Serumを含むRPMI1640に懸濁し、60μL/wellで96well plateに分注した。rhTPO (R&D社製)、精製品サンプルの濃度を振り、各wellに40μL加え、37℃、5 %CO2条件下で、24時間培養した。10μL/wellでWST-8試薬(Cell Count Reagent SF、ナカライテスク社製)を加え、直後にBenchmark Plusを用いて450 nmの吸光度(対照655 nm)を測定し、2時間培養後に、再度450 nmの吸光度(対照655 nm)を測定した。WST-8試薬は生細胞数に応じて450 nmの発色反応を呈することから、2時間の吸光度変化を指標にTPO様アゴニスト活性を評価した。
その結果、図1、2、3に示すとおり、ヒト化VB22B sc(Fv)2部位特異的変異体は変異導入前のhVB22B g-e sc(Fv)2およびマウスVB22B sc(Fv)2と同等の活性を示した。
Differential Scanning Calorimetry(DSC)(N-DSC II, Applied Thermodynamics社製)を用いて、hVB22B g-e sc(Fv)2及びhVB22Bg-e sc(Fv)2に部位特異的変異を導入したhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2、hVB22B q-wz5 sc(Fv)2のTm値(変性中間温度)の測定を行った。各sc(Fv)2を20 mMクエン酸ナトリウム、300 mM塩化ナトリウム(pH 7.0)に対して十分に透析後、44.4 ug/mLの濃度に揃え、DSCを用いscanning speed 1℃/minで変性曲線を測定し、付属の解析ソフトによりTm値を算出した。
各sc(Fv)2を20 mMクエン酸ナトリウム、300 mM塩化ナトリウム(pH 7.5)に対して十分に透析後、0.1 mg/mLの濃度に揃え、熱加速試験を実施した。熱加速条件は以下の図の横軸に示すとおりである。ゲルろ過クロマトグラフィー(SEC)によりモノマーの面積を測定し、各熱加速条件におけるモノマー残存率の経時的な変化によりsc(Fv)2の安定性を評価した。
モノマー残存率は、「熱加速サンプルのSECモノマー面積 /初期状態サンプルのSECモノマー面積×100」によって計算した。熱加速試験により、モノマー残存率が向上したことはすなわち安定性が向上したことを意味する。
(1)H37 Ile→Val〔hVB22B v-e sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:7、アミノ酸配列は配列番号:8) → hVB22B p-e sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:9、アミノ酸配列は配列番号:10)、図5〕
ヒト化VB22BのVHはVH1サブクラスに分類され、H37は安定性に重要な役割を果たすVH/VL界面に位置する(J. Mol. Biol. 2001, 305, 989-1010)。H37はValがVH1サブクラスのカノニカル残基であることから、H37をIleからValに改変することでVH/VL界面が安定化され、安定性が向上すると考えられた。実際、非特許文献(J. Immunol. Methods, 2003, 275, 31-40)において、H37をMetからカノニカル残基のValに改変することで安定性を向上させている。しかしながら、sc(Fv)2においては逆に不安定することが分かった(図5)。
ヒト化VB22BのVHはVH1サブクラスに分類され、非特許文献(J. Mol. Biol. 2001, 309, 687-699)における構造分類によるとtypeIIIに分類される。VH1におけるH9のカノニカル残基はAlaであり、非特許文献(J. Mol. Biol. 2001, 309, 701-716)によると、全ての組み合わせにおいてH9はProよりもAla若しくはGlyのほうが安定であることが分かっている。そこで、hVB22B q-wz sc(Fv)2のH9をProからtypeIIIのカノニカル残基であるAlaに改変することで安定化すると考えられた。しかしながら、sc(Fv)2においては逆に不安定することが分かった(図6)。
非特許文献(Protein Eng. 1997, 10(4),435-444)によると、scFvにおいてV/C界面に疎水性アミノ酸を親水性に改変することによって熱安定性が上昇することが報告されている。H9はV/C界面に位置していることから、疎水性アミノ酸のProから親水性アミノ酸のSerに置換することでを安定化すると考えられた。しかしながら、sc(Fv)2においては逆に不安定することが分かった(図7)。
非特許文献(J. Mol. Biol. 2003, 325, 531-553)において、VLドメイン内のsalt-bridgeが安定性に重要であり、L45がLeuの場合、側鎖−側鎖間の水素結合が作られず不安定化することが示されている。hVB22B q-wz3 sc(Fv)2のL37は水素結合が形成されないLeuであることから、L37をGlnに改変することで水素結合ネットワークが形成され安定化すると考えられた。しかしながら、sc(Fv)2においては逆に不安定することが分かった(図8)。
(5)L8 Ala→Pro〔hVB22B p-z sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:21、アミノ酸配列は配列番号:22) → hVB22B p-wz sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:23、アミノ酸配列は配列番号:24)、図9〕
L8はシスプロリン構造が高度に保存された配列箇所であり、シスプロリン構造の存在は安定性に大きく寄与することが知られている(J. Mol. Biol. 2001, 305, 989-1010)。実際、非特許文献(J. Mol. Biol. 1998, 283, 395-407)において、scFvのL8がProの場合に安定化されることが報告されている。hVB22B p-z sc(Fv)2はL8がAlaであったためProにアミノ酸改変したところ、安定化効果が見られた(図9)。
抗体の構造上、H65はpositiveφangleで保存されていることが知られており、H65はpositiveφangleを取ることができるGlyが安定であることが報告されている(J. Mol. Biol. 2001, 305, 989-1010)。実際に、非特許文献(Biochemistry, 2003, 42(6), 1517-1528)において、scFvのH65をSerからGlyにすることで安定化することが報告されている。hVB22B g-a sc(Fv)2はH65がValであったためGlyに改変したところ、安定化効果が見られた(図10)。
L45は抗体の内部に存在する電荷的相互作用により安定化されたコア(charge core)に位置し、scFvにおいてこのcharge coreは安定性に影響を及ぼすことが報告されている(J. Mol. Biol. 2003, 325, 531-553)。ただしL43とL45の2箇所の安定性に及ぼす影響を直接示した報告はない。そこで、hVB22B q-wz sc(Fv)2のL43, L45をそれぞれAla, Argに改変したところ、安定化効果が見られた(図11)。
(8)L36 Tyr→Phe〔hVB22B p-w sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:29、アミノ酸配列は配列番号:30) → hVB22B p-wz sc(Fv)2(塩基配列は配列番号:23、アミノ酸配列は配列番号:24)、図12〕
L36はVH/VL界面に位置するが、これまでscFvにおいても安定性に及ぼす影響は検討されていない箇所である。L36は全サブクラスでカノニカル残基はTyrである。しかしながらL36のTyrの水酸基の水素結合相手が存在せず、水素結合が出来ない内部の水酸基は不安定化に寄与することから、TyrからPheにアミノ酸改変を実施した。Pheに改変することで安定化効果が見られた(図12)。
L70は分子表面に位置するが、これまでscFvにおいても安定性に及ぼす影響は検討されていない箇所である。L70のAlaをAspに改変することで安定性が向上した。
L7は分子表面に位置するがこれまでscFvにおいても安定性に及ぼす影響は検討されていない箇所である。L7のAlaをSerに改変することで安定性が向上した。
H81は表面に露出しているアミノ酸で、scFvにおいてもこれまで安定性への影響の報告がない。非特許文献(J. Mol. Biol. 2003, 325, 531-553)において、VH1サブクラスに比べて、VH3サブクラスのほうが安定性が高く、非特許文献(Biochemistry, 2003, 42, 1517-1528)においてscFvを用いた検討では、VH3サブクラスのカノニカル残基になるようにアミノ酸を改変することによって安定性が向上することが報告されており、H81のVH3サブクラスのカノニカル残基はGlnである。しかしながら、sc(Fv)2では、H81をVH3サブクラスのカノニカル残基であるGlnをGluに改変することで安定性が向上した。
H48は、scFvにおいてもこれまで安定性への影響の報告がない。VH1サブクラスのカノニカル残基はMetであるが、H48をMetからIleに改変することで安定性が向上した(図17)。
実施例4において用いたhVB22B u2-wz4 sc(Fv)2(以下、u2-wz4と標記する、塩基配列は配列番号:3、アミノ酸配列は配列番号:4)のVH/VL界面を形成するアミノ酸であるVHの39番目(WO2005/56604の配列番号:289に記載のアミノ酸配列における39位)のGlnとVLの38番目(WO2005/56604の配列番号:291に記載のアミノ酸配列における43位)のGlnを以下のようにして改変した。u2-wz4は[VH1]リンカー[VL2]リンカー[VH3]リンカー[VL4]の順にアミノ酸リンカー配列(GlyGlyGlyGlySer)x3(配列番号:37)で連結されており、配列番号:3で記載した塩基配列で転写、翻訳される。はじめに、VH1の39番目のGln(遺伝子コドンCAG)をGlu(遺伝子コドンGAG)に、VL2の38番目のGln(遺伝子コドンCAG)をGlu(遺伝子コドンGAG)に、VH3の39番目のGln(遺伝子コドンCAG)をLys(遺伝子コドンAAG)に、VL4の38番目のGln(遺伝子コドンCAG)をLys(遺伝子コドンAAG)に改変した遺伝子hVB22B u2-wz4(v1) sc(Fv)2(以下v1と標記する、塩基配列は配列番号:38、アミノ酸配列は配列番号:39)を作製した。さらに、VH1の39番目のGln(遺伝子コドンCAG)をGlu(遺伝子コドンGAG)に、VL2の38番目のGln(遺伝子コドンCAG)をLys(遺伝子コドンAAG)に、VH3の39番目のGln(遺伝子コドンCAG)をLys(遺伝子コドンAAG)に、VL4の38番目のGln(遺伝子コドンCAG)をGlu(遺伝子コドンGAG)に改変した遺伝子hVB22B u2-wz4(v3) sc(Fv)2(以下v3と標記する、配列番号:塩基配列は配列番号:40、アミノ酸配列は配列番号:41)を作製した。遺伝子の改変はQuikChange Site-Directed Mutagenesis Kit(STRATAGENE社製)を用いてメーカーのプロトコールに従い、点突然変異を導入した。各遺伝子の塩基配列を確認した後、DNA断片を発現ベクターpCXND3にクローニングして発現ベクターを構築し、CHO-DG44細胞に遺伝子導入することで、安定発現細胞株を作製した。具体的には、発現ベクター(20μg)とPBSに懸濁したCHO-DG44細胞(1×107細胞/mL)の0.75 mLを混合したものを氷上で10分間冷却し、キュベットに移した後にGene Pulser Xcell(BioRad)を用いて1.5kV、25μFDの容量にてパルスを与えた。室温にて10分間の回復期間の後、エレクトロポレーション処理された細胞を、500μg/mL Geneticin(Invitrogen)を含むCHO-S-SFMII培地(Invitrogen)に加えて選抜し、v1産生CHO細胞株およびv3産生CHO細胞株を樹立した。
u2-wz4精製peak1とu2-wz4精製peak2、および、改変体v1と改変体v3の安定性評価として、示走査型熱量測定(Differential Scanning Calorimetry)を用いて変性中間温度(Tm値)の測定を以下の条件下で行った。
DSC : N-DSCII (Applied Thermodynamics社製)
溶液条件:20 mM sodium citrate, 300 mM NaCl, pH 7.0
タンパク質濃度:0.1 mg/mL
スキャニング速度:1℃/分
各DSC測定の結果を図22に示した。u2-wz4精製peak2と改変体v1のTm値は未改変体とほぼ同等であり、安定性は同等であることが分かった。u2-wz4精製peak1と改変体v3とでは、若干改変体v3のほうが低い安定性を示した。knobs-into-hole 技術を用いた方法による界面制御においては、例えばIgGのCH3ドメインのヘテロ会合において、未改変CH3ドメインのTm値が80.4℃であったのに対して、改変CH3ドメインのTm値は69.4℃であり、大幅にTm値が低下し安定性が低下してしまうことが報告されている。それに対して、本発明においては安定性を低下させること無く会合を制御できることが確認された。
<熱加速条件>
溶液条件:20 mM sodium citrate, pH 6.0
タンパク質濃度:0.25 mg/mL
加速条件:40℃-6day, 12day
熱加速サンプルは、ゲルろ過クロマトグラフィーおよび陽イオン交換クロマトグラフィーにより以下の条件で分析した。
Claims (9)
- sc(Fv)2間の会合を抑制する方法であって、sc(Fv)2が2つの重鎖可変領域及び2つの軽鎖可変領域をリンカーで結合して一本鎖ポリペプチドにした抗体であり、sc(Fv)2内の少なくとも1つのアミノ酸に部位特異的変異を導入する工程であって、部位特異的変位の導入が以下の(a)〜(f)から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を導入する工程を含み:
(a) 重鎖48番目のアミノ酸をイソロイシンへ置換;
(b) 軽鎖7番目のアミノ酸をセリンへ置換;
(c) 軽鎖36番目のアミノ酸をフェニルアラニンへ置換;
(d) 軽鎖43番目のアミノ酸をアラニンへ置換し且つ軽鎖45番目のアミノ酸をアルギニンへ置換;
(e) 軽鎖70番目のアミノ酸をアスパラギン酸へ置換;および
(f) 重鎖81番目のアミノ酸をグルタミンへ置換;
軽鎖の変異が片方または両方の軽鎖の変異であり、重鎖の変異が片方または両方の重鎖の変異である、方法。 - sc(Fv)2のTm値を10℃以上上昇させる方法であって、sc(Fv)2が2つの重鎖可変領域及び2つの軽鎖可変領域をリンカーで結合して一本鎖ポリペプチドにした抗体であり、sc(Fv)2内の少なくとも1つのアミノ酸に部位特異的変異を導入する工程であって、部位特異的変位の導入が以下の(a)〜(f)から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を導入する工程を含み:
(a) 重鎖48番目のアミノ酸をイソロイシンへ置換;
(b) 軽鎖7番目のアミノ酸をセリンへ置換;
(c) 軽鎖36番目のアミノ酸をフェニルアラニンへ置換;
(d) 軽鎖43番目のアミノ酸をアラニンへ置換し且つ軽鎖45番目のアミノ酸をアルギニンへ置換;
(e) 軽鎖70番目のアミノ酸をアスパラギン酸へ置換;および
(f) 重鎖81番目のアミノ酸をグルタミンへ置換;
軽鎖の変異が片方または両方の軽鎖の変異であり、重鎖の変異が片方または両方の重鎖の変異である、方法。 - 以下の1)〜3)から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換をsc(Fv)2内に導入する工程をさらに含む、請求項1または2記載の方法:
1) 軽鎖8番目のアミノ酸をプロリンへ置換;
2) 重鎖39番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンへ置換;および
3) 軽鎖38番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンへ置換。 - 2つの重鎖可変領域及び2つの軽鎖可変領域をリンカーで結合して一本鎖ポリペプチドにしたsc(Fv)2であって、該sc(Fv)2内に以下の(a)〜(f)から選択される少なくとも一つのアミノ酸変異が導入され:
(a) 重鎖48番目のアミノ酸をイソロイシンへ置換;
(b) 軽鎖7番目のアミノ酸をセリンへ置換;
(c) 軽鎖36番目のアミノ酸をフェニルアラニンへ置換;
(d) 軽鎖43番目のアミノ酸をアラニンへ置換し且つ軽鎖45番目のアミノ酸をアルギニンへ置換;
(e) 軽鎖70番目のアミノ酸をアスパラギン酸へ置換;および
(f) 重鎖81番目のアミノ酸をグルタミンへ置換;
軽鎖の変異が片方または両方の軽鎖の変異であり、重鎖の変異が片方または両方の重鎖の変異である、sc(Fv)2。 - 前記sc(Fv)2内に少なくとも1つのアミノ酸置換がさらに導入され、該さらなる少なくとも1つのアミノ酸置換が以下の1)〜3)からなる群より選択される、請求項4記載のsc(Fv)2:
1) 軽鎖8番目のアミノ酸をプロリンへ置換;
2) 重鎖39番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンへ置換;および
3) 軽鎖38番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンへ置換。 - 2つの重鎖可変領域及び2つの軽鎖可変領域をリンカーで結合して一本鎖ポリペプチドにしたsc(Fv)2であって、以下の(a)〜(f)から選択され:
(a) 重鎖48番目のアミノ酸がイソロイシンであるsc(Fv)2;
(b) 軽鎖7番目のアミノ酸がセリンであるsc(Fv)2;
(c) 軽鎖36番目のアミノ酸がフェニルアラニンであるsc(Fv)2;
(d) 軽鎖43番目のアミノ酸がアラニンであり且つ軽鎖45番目のアミノ酸がアルギニンであるsc(Fv)2;
(e) 軽鎖70番目のアミノ酸がアスパラギン酸であるsc(Fv)2;および
(f) 重鎖81番目のアミノ酸がグルタミンであるsc(Fv)2;
軽鎖の変異が片方または両方の軽鎖の変異であり、重鎖の変異が片方または両方の重鎖の変異である、sc(Fv)2。 - sc(Fv)2のTm値が55℃以上である、請求項4〜6のいずれか一項記載のsc(Fv)2。
- 2つの重鎖可変領域及び2つの軽鎖可変領域をリンカーで結合して一本鎖ポリペプチドにしたsc(Fv)2であって、少なくとも1つの部位特異的なアミノ酸変異の導入により、導入前と比較して該sc(Fv)2のTm値が10℃以上上昇し、少なくとも1つの部位特異的なアミノ酸変異が以下のa)〜f)から選択される置換であり:
(a) 重鎖48番目のアミノ酸をイソロイシンへ置換;
(b) 軽鎖7番目のアミノ酸をセリンへ置換;
(c) 軽鎖36番目のアミノ酸をフェニルアラニンへ置換;
(d) 軽鎖43番目のアミノ酸をアラニンへ置換し且つ軽鎖45番目のアミノ酸をアルギニンへ置換;
(e) 軽鎖70番目のアミノ酸をアスパラギン酸へ置換;および
(f) 重鎖81番目のアミノ酸をグルタミンへ置換;
軽鎖の変異が片方または両方の軽鎖の変異であり、重鎖の変異が片方または両方の重鎖の変異である、sc(Fv)2。 - 前記sc(Fv)2内に少なくとも1つのアミノ酸置換がさらに導入され、該さらなる少なくとも1つのアミノ酸置換が以下の1)〜3)からなる群より選択される、請求項8記載のsc(Fv)2:
1) 軽鎖8番目のアミノ酸をプロリンへ置換;
2) 重鎖39番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンへ置換;および
3) 軽鎖38番目のアミノ酸をグルタミン酸またはリジンへ置換。
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