JP4791747B2 - テトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、テトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンの製造方法に関するものである。さらに詳しくは、テトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンをフェノール類と、ジアルデヒド類とから製造する方法に関するものである。
近年、テトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンは耐熱性エポキシ樹脂の原料として注目されており、また、エポキシ樹脂用硬化剤、フォトレジスト感光剤用バラスト剤、フェノール樹脂改質剤、および酸化防止剤などとしても有用なことが知られている。
このテトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンはフェノール類と、ジアルデヒド類の縮合反応により得られるが、この場合、一般に多くの低分子化合物や高次縮合物などの不純物を含むために、例えばエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂原料、エポキシ樹脂用硬化剤、フェノール樹脂改質剤などとして用いた場合、得られる硬化物の耐熱性や機械的強度が著しくそこなわれるのを免れないという欠点を有している。
テトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンの純度を低下させる不純物としては、未反応フェノール類、主としてジアルデヒド類の片側のホルミル基のみがフェノール類と反応した様な低分子化合物及び7核体を代表とする高次縮合物等が挙げられる。テトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカン及び不純物の割合は、例えばGPCなどの測定により、そのピーク面積比から確認することができる。また、不純物は好適な精製法により除去可能であるが、不純物の量が多いとテトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンの収率が低下する。
テトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンは、多分子系包接化合物におけるホスト化合物として利用できる。このテトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンには、フェノール類の反応点の違いによる構造異性体が存在するが、中でも、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン、特に1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンは、種々の有機ゲスト化合物と選択的に包接化合物を形成するので、選択分離、化学的安定化、不揮発化、粉末化などの技術分野における応用が期待されている。
また、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン、特に1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンは、その極めて高い結晶性と融点により、結晶性エポキシ樹脂原料として利用できる。1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンを原料とした結晶性エポキシ樹脂は、優れた貯蔵安定性を有し、しかもその硬化物は従来一般的に使用されてきたエポキシ樹脂と比較して極めて耐熱性に優れた硬化物を与える為、電気・電子材料、成型材料、注型材料、積層材料、塗料、接着剤、レジスト、光学材料などの広範囲の用途への応用が期待されている。
これらの包接能力、結晶性及び耐熱特性は、テトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンのうち、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン、特に1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンの含有量が高いほど良好であり、その割合及び構造異性体の割合は、より分解能が高い分析機器、例えば、HPLCなどの測定により、そのピークの面積比から確認することができる。
テトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンの製造方法によっては、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンの選択率低下をもたらす場合もあり、また、構造異性体は精製工程でも除去しがたく、前記テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンの純度及び収率低下の要因となる。
これまでテトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンを製造する方法としては、グリオキザールとグリオキザールに対して大過剰のフェノールとを塩酸存在下、100〜180℃の温度範囲内で縮合させる方法が知られている(特許文献1)。しかしながら、この方法においては低分子化合物、高次縮合物及び構造異性体が生成しやすく、高い純度および収率は見込めない。
また、特許文献2では、反応系の水分を2質量%以下に保持して低分子化合物の生成を抑える方法が提案されている。しかしながら、この方法においては、低分子化合物の生成はある程度抑制しうるものの、必ずしも十分ではない上、高次縮合物については全く除かれていない。
また、特許文献3では、反応中に、グリオキザールに由来する水を留去しながら縮合させる方法が提案されている。しかしながら、この方法においては、非常に強い蛍光及び紫外線吸収能を有する縮合物が得られるという特徴を有するものの、テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタンの含有率は0〜2%と極めて低い。
また、特許文献4では硫酸とリン酸の混合酸を触媒として低温で縮合させる方法が、特許文献5では硫酸を触媒として低温で縮合させる方法が提案されている。しかしながら、これらの方法においては、硫酸の高い腐食性のために、グラスライニングやテフロン(登録商標)コーティング、ハステロイなど、反応容器に特殊な装備が必要となる。また、反応が非常に激しくなるため、それを抑えるために過剰な冷却設備が必要となり、さらには触媒添加時に長時間を要する上に、スケールアップする際には危険を伴う。
さらなる問題として、特許文献4および特許文献5に挙げた反応例では反応が終了した後に、大量に仕込んだ酸触媒を全て中和、若しくは水洗によって除かなければならない。これは触媒回収が出来ない事を示唆し、製造コスト上昇の原因であると共に、産業廃棄物が増加する為、普及への障害となっている。
特開昭57−65716号公報 特開昭63−223020号公報 特表2003−535934号公報 特開平7−76538号公報 特開平11−80060号公報
本発明はこのような事情のもとで、フェノール類とジアルデヒド類とから、回収利用可能で腐食性の小さい酸触媒を使用しながら高次縮合物及び構造異性体の生成を抑制し、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンを高い選択率で含有するテトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンを、高純度および高収率で効率よく製造し、且つ、廃棄物を低減する方法を提供する事を目的としてなされたものである。
本発明者らは、前記課題を克服するために鋭意研究した結果、フェノール類と、ジアルデヒド類とをリン酸類触媒中、水分を除去しながら不均一下に縮合させることにより、その目的を達成しうることを見出し、この知見をもとにさらに研究を重ねて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のテトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンの製造方法は、リン酸、有機ホスホン酸から選ばれるリン酸類の存在下かつ硫酸の不存在下、フェノール類と、グリオキザール、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン、グリオキザールナトリウムビスルファイト水付加物、グルタルアルデヒドから選ばれるジアルデヒド類とを不均一系反応させる反応工程を有し、該反応工程が反応系内に存在する水分を減圧下除去しながら反応させる工程であることを特徴とする。
本発明によれば、低分子化合物および高次縮合物の生成を抑制し、高い収率及び高い純度で、下記一般式(1)で示されるテトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカン(n=0〜3、m=0〜3)を製造することができる。また、本発明によれば、構造異性体の生成を抑制し、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンの選択率が高く製造することができる。
Figure 0004791747
また、これまでに報告されてきた強酸性の触媒とは異なり、腐食性が少ないため、特殊な設備を設けることなく製造することができ、反応が穏やかな環境で進行するために製造時の安全性も向上する。
さらには、触媒の使用量を低減することが可能で、しかも反応終了後の触媒を容易に回収および再利用することが可能になったことから、産業廃棄物を低減し、製造コスト削減に寄与することができる。
本発明で得られたテトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンは、例えばフォトレジスト分野における感光剤用バラスト剤やフェノール樹脂改質剤として、包接体形成用として、あるいは耐熱性及び結晶性エポキシ樹脂製造用原料、エポキシ樹脂用硬化剤、酸化防止剤などとして幅広く用いることができる。
また、特に、包接体形成用、あるいは耐熱性及び結晶性エポキシ樹脂製造用原料として、より高純度のテトラキス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンを得る場合には、本発明で得られたテトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンを精製して単離する事で、従来のテトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンを精製する場合に比べて精製効率の向上は明白であり、製造コスト削減に寄与することが出来る。
本発明の反応工程において用いられるフェノール類としては、例えば、フェノールの他、クレゾール、キシレノール、トリメチルフェノール等のフェノールのオルソ、メタ置換体等が挙げられる。
ジアルデヒド類としては、ジアルデヒドおよびその誘導体が挙げられ、例えばグリオキザール、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン、グリオキザールナトリウムビスルファイト水付加物、グルタルアルデヒドなどが挙げられる。グリオキザールとしては、一般的に市販されている40質量%水溶液を用いることもできる。
フェノール類と、ジアルデヒド類との使用割合については、ジアルデヒド類に対するフェノール類のモル比(フェノール類/ジアルデヒド類)を4〜50、好ましくは4.5〜30、より好ましくは5〜15とすることが好ましい。このモル比が4未満では、高次縮合物が多く生成してテトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンの純度が低下する可能性があり、50を超えると、未反応フェノール類の残存量が多くなり、その回収に多くの時間と多大のエネルギーを要する可能性がある。
リン酸類としては、リン酸およびその誘導体が挙げられる。リン酸類は、フェノール類との間で不均一系反応(相分離反応)の場を形成する重要な役割を果たすものであるため、好ましくは水溶液タイプ、例えば89質量%リン酸、75質量%リン酸などが用いられるが、必要に応じて例えばポリリン酸、無水リン酸などを用いてもよい。
また、リン酸誘導体としては、有機ホスホン酸が挙げられる。具体的には、アミノポリホスホン酸類であるエチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸、エチレンジアミンビスメチレンホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、β−アミノエチルホスホン酸N,N−ジ酢酸、アミノメチルホスホン酸N,N−ジ酢酸や、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸等がある。これらのうちでも、工業的に大量生産され安価であるアミノトリメチレンホスホン酸や、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸が好ましい。
尚、反応促進を図るために、ステンレス等の反応容器材質への腐食に影響が無く、かつ不均一系反応を維持する範囲で、例えば塩酸、硝酸等のリン酸類以外の酸触媒を若干量添加してもよい。
リン酸類の使用量は、フェノール類に対して10質量%〜200質量%、好ましくは20質量%〜100質量%、より好ましくは30質量%〜50質量%が好ましい。10質量%未満では、反応系内を不均一に維持する事が難しく、著しく反応が遅くなり、反応の完結に長時間を要する可能性がある。一方、200質量%を超えた場合、容積効率が低下してしまう上に、製造コストが著しく増大してしまう為、好ましくない。
本発明の反応工程は、反応系内に存在する水分を減圧下除去しながら反応させる工程である。
反応系内に存在する水分は、リン酸類水溶液由来、ジアルデヒド類水溶液由来、及び縮合水であり、系内の粘度を下げ、固化を防止する効果がある一方、反応の進行を妨げる作用も持っている。本発明では、水分を除去しながら反応を行う事で、低粘度を維持しつつ、速やかに反応進行させる事が可能となる。なお、反応工程で除去される水分は、フェノール類と共沸化合物を生成する為、反応工程ではフェノール類の一部も同時に除去される。
反応工程の真空度は、20kPa以下、好ましくは10kPa以下、より好ましくは5kPa以下が好ましい。真空度が20kPaを越えると、水分の除去が速やかに行われにくく、反応に時間がかかる可能性がある。
反応工程の温度は70℃以下であることが好ましい。70℃を超えると、高次縮合物および構造異性体の生成が助長され、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンの含有量が低下してしまう可能性がある。一方、反応温度の下限は、反応液が固化しない範囲で設定されるが、40℃以上であることが好ましい。40℃未満では、水分の除去が速やかに行われにくく、反応時間が長くなる可能性があり、また、低分子化合物の生成量が多くなって収率低下を招く可能性がある。
反応工程において、反応が完結するまでの時間は、フェノール類の種類、ジアルデヒド類の種類、フェノール類とジアルデヒド類との割合、水分量、原料のモル比率、触媒量、反応温度、真空度などの条件により左右され、一概に定めることはできない。反応を早く完結させる為には、水分の除去が効率良く行われる条件で各々決定する必要があるが、収量、収率、容積効率、廃液量等の反応効率も考慮した上で決定することが好ましい。通常48時間以内、好ましくは24時間以内、より好ましくは16時間以内で反応完結させるべく各々の条件が設定される。
縮合反応終了後、水及び減粘剤を入れ、静置させる事により有機層と水層の二層に分離する。減粘剤としては、アセトン又はフェノール類が好ましいが、反応時に減圧下共沸により除去された水/フェノール類混合物を回収利用する事もできる。
分離された有機層には、テトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンが含まれ、好適な精製法、例えば特許第2897850号公報に記載のアセトンを包接させて結晶を得る方法等で精製することによりHPLCで測定したテトラキス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン純度85%以上のテトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンを得ることができる。
一方、リン酸類を含む水層からは、仕込み時のリン酸類量に対して60質量%以上のリン酸類を回収することができ、回収されたリン酸類は、例えば減圧脱水や常圧脱水等により、製造時に使用した濃度と同等に濃度調整することで、再度製造に使用することが可能である。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定される物ではない。
なお、実施例における評価方法は以下の通りである。
(1)GPC純度
東ソー(株)製SC−8020型ゲル濾過クロマトグラフィー(カラム:TSK−Gel G2000HXL+G1000HXL、カラム槽温度:40℃、キャリア:テトラヒドロフラン1cc/分、検出器:RI)を用いて、テトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンのピークの面積比により求めた。
(2)HPLC純度
日本分光(株)製LC−2000型高速液体クロマトグラフィー(カラム:(株)資生堂製SUPERIOREX ODS 5μm 4.6φ×250mm、カラム槽温度:40℃、キャリア:0.1%リン酸水溶液/アセトニトリル=60/40(重量比)1cc/分、検出波長UV246nm)を用いて、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンのピークの面積比により求めた。
(3)収率
収率は以下の式により計算した。
収率(%)=テトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンの収量(g)×100/〔ジアルデヒド類のモル数×テトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンの分子量〕
(4)腐食性
反応終了後のSUS304製攪拌棒を観察し、以下の基準で評価した。
○:腐食と見られる変色などが見られない。
×:腐食と見られる緑色への変色が見られた。
(5)回収性
反応終了後に攪拌を停止し、以下の基準で評価した。
○:有機相と水相に分離し、水相のリン酸類の濃度調整を行った後、再度製造に使用した ところ、特に問題なくテトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンが製造できた。
×:分離が見られない、または分離して同様の操作を行っても再現性がなかった。
<実施例1,2>
温度計、攪拌モーター、コンデンサー、及びSUS304製攪拌棒を備えた反応容器内に、フェノール(Ph)を94.1g、89質量%リン酸を37.6g(40質量%/Ph)仕込んだ後、攪拌混合により形成される白濁状態(2相混合物)のもとで、徐々に50℃まで昇温した後、40質量%グリオキザール(Gx)29.0g(Ph/Gx=5)を投入した。次いで、真空ポンプ、レシーバー容器、コンデンサー、減圧ゲージを備えた減圧ラインを反応容器に接続し、減圧下反応を開始した。50℃、2kPaを維持したまま15時間縮合反応を行なった。反応終了点は、前記GPC、及びHPLCを用いて、反応進行の終了を確認して決定した。次いで、減圧を解除して水28.2g(30質量%/Ph)及びアセトン4.7g(5質量%/Ph)を加え、しばらく攪拌混合した後静置したところ、1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタンを含有する有機層とリン酸水溶液層に分離した。
有機層のみ取り出して、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH=4〜6に中和した。次いで純水及びアセトンを投入して室温で晶析した。次いで、結晶をろ取、加熱乾燥して、GPC純度99.3%の1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタン33.5gを得た(実施例1)。この結晶は、HPLC測定により、87.3%の1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンを含んでいた。結果を表1に示す。
一方、リン酸水溶液層61.3g(JIS K1449に基づく試験法による濃度測定結果:50.5質量%)については、濃縮調整することにより89質量%リン酸34.8gを回収した(回収率92.6%)。
この回収リン酸に不足分の89質量%リン酸2.8gを追加して、同一条件で再度反応を行い、1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタン34.0gを得た(実施例2)。結果を表1に示す。
<実施例3〜5、比較例1>
反応条件を表1に示す様に変更した以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
尚、比較例1では、減圧ラインを反応容器に接続することなく、大気圧で反応を行った。
<比較例2>
温度計、攪拌モーター、滴下ロート及びSUS304製攪拌棒を備えた反応容器内に、フェノール(Ph)94.1g、40質量%グリオキザール(Gx)を29.0g(Ph/Gx=5)仕込み、攪拌しながら98質量%硫酸28.2gを滴下温度5〜10℃で発熱に注意しながらゆっくり滴下した。次いで40℃に昇温し、真空ポンプ、レシーバー容器、コンデンサー、減圧ゲージを備えた減圧ラインを反応容器に接続し、減圧下反応を開始した。40℃、2kPaを維持したまま6時間縮合反応を行なった。反応終了点は、前記GPC、及びHPLCを用いて、反応進行の終了を確認して決定した。
反応終了後、減圧を解除して水47.1g(50質量%/Ph)及びアセトン47.1g(50質量%/Ph)を加え、48質量%水酸化ナトリウム水溶液47.0でpH=4〜6に中和した後、85℃に加温して静置し、水層を除去した。次いで室温まで冷却し、アセトン47.1gを加えて晶析し、結晶をろ取、加熱乾燥して、GPC純度92.5%の1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタン16.7gを得た。この結晶は、HPLC測定により、74.6%の1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンを含んでいた。結果を表1に示す。
<比較例3>
温度計、攪拌モーター、滴下ロート及びSUS304製攪拌棒を備えた反応容器内に、フェノール(Ph)94.1g、40質量%グリオキザール(Gx)を29.0g(Ph/Gx=5)仕込み、攪拌しながらパラトルエンスルホン酸9.4gを投入した。次いで80℃に昇温し、真空ポンプ、レシーバー容器、コンデンサー、減圧ゲージを備えた減圧ラインを反応容器に接続し、減圧下反応を開始した。80℃、2kPaを維持したまま24時間縮合反応を行なった。反応終了点は、前記GPC、及びHPLCを用いて、反応進行の終了を確認して決定した。
反応終了後、減圧を解除してトリエチルアミン5.3でpH=4〜6に中和した。次いで減圧蒸留によりフェノールを除去した後、アセトン94.1gを加えて晶析し、結晶をろ取、加熱乾燥して、GPC純度90.1%の1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタン17.5gを得た。この結晶は、HPLC測定により、51.3%の1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンを含んでいた。結果を表1に示す。
<比較例4>
温度計、攪拌モーター、滴下ロート及びSUS304製攪拌棒を備えた反応容器内に、フェノール(Ph)94.1g、40質量%グリオキザール(Gx)を29.0g(Ph/Gx=5)仕込み、攪拌しながら蓚酸9.4gを投入した。次いで80℃に昇温し、真空ポンプ、レシーバー容器、コンデンサー、減圧ゲージを備えた減圧ラインを反応容器に接続し、減圧下反応を開始した。80℃、2kPaを維持したまま48時間縮合反応を行なったが、GPC、及びHPLCを用いて、反応の終了が確認できず、反応を中止した。
Figure 0004791747

Claims (5)

  1. リン酸、有機ホスホン酸から選ばれるリン酸類の存在下かつ硫酸の不存在下、フェノール類と、グリオキザール、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン、グリオキザールナトリウムビスルファイト水付加物、グルタルアルデヒドから選ばれるジアルデヒド類とを不均一系反応させる反応工程を有し、該反応工程が反応系内に存在する水分を減圧下除去しながら反応させる工程であることを特徴とするテトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンの製造方法。
  2. 前記反応工程の反応温度が70℃以下であることを特徴とする請求項1に記載のテトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンの製造方法。
  3. 前記テトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンが、1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタンであることを特徴とする請求項1または2に記載のテトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンの製造方法。
  4. 前記テトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンが、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンであることを特徴とする請求項1または2に記載のテトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンの製造方法。
  5. 前記反応工程後に、前記リン酸類を回収する触媒回収工程を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のテトラキス(ヒドロキシフェニル)アルカンの製造方法。
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